説明

使い捨ておむつ

【課題】水様便等の透過性を向上させ、もってトップシート表面における水様便等の拡散を防止し、肌の汚れを少なくする
【解決手段】トップシート30と吸収要素50との間に、トップシート30の裏面に接する中間シート40を備えており、トップシート30は、所定の間隔で穿孔された透過孔Hを有しており、中間シート40は、基材シート41に弾性部材42を伸張状態で固定した後、弾性部材42の収縮により基材シート41を収縮させて表面に波状の皺を形成したものであり、且つこの皺の少なくとも一部がトップシート30の透過孔Hの裏面側に位置する構造とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使い捨ておむつに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、乳児の便は、生後3ヶ月程度で水様便から軟便に変わり、離乳食の始まりにより固形化していくものである。このため、乳児用の使い捨ておむつにおいては、水様便及び軟便(以下、水様便等ともいう)の吸収を考慮した様々な技術が提案されている(例えば特許文献1、2参照)。中でも、身体側表面を形成する透液性トップシートに便透過用の透過孔を穿孔する技術は、水様便等の吸収に有効であることが判っている。
【特許文献1】特開2005−246811号公報
【特許文献2】特許2812340号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の使い捨ておむつでは、トップシートの裏面側に隙間が無いため水様便等が透過し難く、水様便等がトップシート表面で広がることにより、肌が広範囲に汚れてしまうといった問題点を有していた。特に、トップシートに透過孔を有する従来の使い捨ておむつでは、透過孔の裏面側に隙間が無いため、透過孔の機能を十分に生かしきれていなかった。
そこで、本発明の主たる課題は、水様便等の透過性を向上させ、もってトップシート表面における水様便等の拡散を防止し、肌の汚れを少なくすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記問課題を解決した本発明は次記のとおりである。
<請求項1記載の発明>
身体側表面を形成する透液性トップシートと、外面側に位置する液不透過性シートとの間に吸収要素を介在させてなり、幅方向中央に沿って腹側の上縁から股間部を通り背側の上縁まで延在する吸収性本体部を有する使い捨ておむつにおいて、
前記トップシートと前記吸収要素との間に、前記トップシートの裏面に接する中間シートを備えており、
この中間シートは、基材シートに弾性部材を伸張状態で固定した後、弾性部材の収縮により基材シートを収縮させて表面に波状の皺を形成したものである、
ことを特徴とする使い捨ておむつ。
【0005】
(作用効果)
使い捨ておむつにおいては、トップシートを透過した排泄物を吸収体へ移動させ、逆戻りを防ぐために、トップシートと吸収要素との間に中間シート(セカンドシートもいわれる)を設けることは行われている。従来、この中間シートとしては、太い繊維を用いた嵩高な不織布が用いられており、トップシートを透過した水様便等はその広い繊維間隙を通じて吸収されていた。しかし、繊維間隙が広いといっても何も無い状態と比べれば塞がれているのに近い。
これに対して、本発明では、中間シートの表面に波状の皺が形成され、皺の凹部とトップシートとの間に線状に連続する空間が形成される。よって、トップシートを透過した水様便等は、この空間に受け入れられて広がるため、従来よりも水様便等の透過許容量が増加する。そしてその結果、トップシート表面において水様便等が広がり難くなり、肌の汚れも減少する。しかも、中間シートの皺は弾性部材の収縮力により形成されているため、一時的に外圧で皺が伸びても、外圧が開放されると強制的に元の状態まで復元し、トップシートとの間に上述の空間が確保される。よって、上記透過性向上効果が持続的に且つ確実に発揮される。
【0006】
<請求項2記載の発明>
身体側表面を形成する透液性トップシートと、外面側に位置する液不透過性シートとの間に吸収要素を介在させてなり、幅方向中央に沿って腹側の上縁から股間部を通り背側の上縁まで延在する吸収性本体部を有する使い捨ておむつにおいて、
前記トップシートは、所定の間隔で穿孔された透過孔を有しており、
前記トップシートと前記吸収要素との間に、前記トップシートの裏面に接する中間シートを備えており、
この中間シートは、基材シートに弾性部材を伸張状態で固定した後、弾性部材の収縮により基材シートを収縮させて表面に波状の皺を形成したものであり、且つこの皺の少なくとも一部が前記トップシートの透過孔の裏面側に位置している、
ことを特徴とする使い捨ておむつ。
【0007】
(作用効果)
本項記載の発明は、トップシートに透過孔を有することを前提として、本発明の中間シートを採用したものである。トップシートの透過孔を透過した水様便等は、皺の凹部とトップシートとの間に線状に連続する空間に受け入れられて広がるため、透過孔の透過機能が十分に発揮されるようになる。なお、いうまでもないが、本発明の透過孔はトップシートの表裏に貫通する孔であり、窪み孔ではない。
【0008】
<請求項3記載の発明>
前記中間シートは、繊度2.0〜5.0dtex、繊維目付け10〜30g/m2、厚み0.1〜4.0mmの不織布を2枚貼り合わせるとともに、これら不織布間に、太さ150〜1240dtexの細長状弾性部材を100〜300%の伸張状態で、3〜15mmの間隔を空けて平行に複数本固定した後、弾性部材の収縮により不織布を収縮させて表面に弾性部材と交差する方向に沿う波状の皺を形成したものである、請求項1又は2記載の使い捨ておむつ。
【0009】
(作用効果)
このような構造の中間シートを用いることにより、上記本発明の効果がより一層のものとなる。また、このような不織布を基材とすることにより、不織布自体の繊維間隙により、水様便等の固形分がろ過され、吸収要素には液分のみが到達し吸収されるため、吸収要素の吸収性能を損ねることもない。
【0010】
<請求項4記載の発明>
前記皺がおむつ幅方向に沿って形成されている、請求項3記載の使い捨ておむつ。
【0011】
(作用効果)
皺の方向がおむつ幅方向になっていると、水様便等が前後方向に拡散し難くなり、排尿器官等の便による汚れを効果的に防止できる。
【発明の効果】
【0012】
以上のとおり、本発明によれば、水様便等の透過性が向上し、もってトップシート表面における水様便等の拡散が防止され、肌の汚れが少なくなる、等の利点がもたらされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
水様便や軟便の頃の乳児を対象とした使い捨ておむつとしては、いわゆるテープ式おむつが広く用いられているため、以下ではテープ式おむつの例を引いて説明するが、本発明はトップシートに特徴を有するものであり、パンツ型使い捨ておむつ等、他の形態の使い捨ておむつにも適用できることはいうまでもない。また、本発明は大人用使い捨ておむつにも当然適用できるものである。
図1及び図2は本発明に係るテープ式使い捨ておむつの一例を示している。図2は図1におけるB−B線矢視図である。このテープ式使い捨ておむつは、幅方向中央に沿って腹側Fの上縁F1から股間部Cを通り背側Bの上縁B1まで延在する、排泄物を吸収保持する吸収性本体部10と、腹側Fの上縁F1側部分の両側において、それぞれ股間部Cよりも幅方向外側まで延在する一対の腹側サイドフラップ部FF,FFと、背側Bの上縁B1側部分の両側において、それぞれ股間部Cよりも幅方向外側まで延在する一対の背側サイドフラップ部BF,BFとを備えている。また、背側サイドフラップ部BF,BFには、係止部材としてのファスニング片130がそれぞれ設けられている。
より詳細には、吸収性本体部10ならびに背側および腹側の各サイドフラップ部BF,FFの外面全体が外装シート12により形成されている。特に、吸収性本体部10においては、外装シート12の内面側に液不透過性シート11がホットメルト接着剤等の接着剤により固定され、さらにこの液不透過性シート11の内面側に吸収要素50、中間シート40、およびトップシート30がこの順に積層されている。トップシート30および液不透過性シート11は、図示例では腹側上縁F1から背側上縁B1まで延在する長方形であり、吸収要素50よりも前後方向および幅方向において若干大きい寸法を有しており、液不透過性シート11がトップシート30よりも若干幅広に形成されている。トップシート30における吸収要素50の側縁より食み出る周縁部と、液不透過性シート11における吸収要素50の側縁より食み出る周縁部とがホットメルト接着剤などにより固着されるとともに、トップシート30は、中間シート40及び/又は吸収要素50に固着されている。
さらに、この吸収性本体部10の両側には、装着者の肌側に突出(起立)するバリヤーカフス60,60が設けられており、このバリヤーカフス60,60を形成するバリヤーシート64,64が、背側および腹側の各サイドフラップ部BF,FFの内面を含め、吸収性本体部10の幅方向外側の全体にわたり延在されている。
【0014】
以下、各部の素材および特徴部分について順に説明する
(外装シート)
外装シート12は吸収要素50を支持し、着用者に装着するための部分である。外装シート12は、両側部の前後方向中央部が括れた砂時計形状とされており、ここが着用者の脚を入れる部位となる。
外装シート12としては不織布が好適であるが、これに限定されない。不織布の種類は特に限定されず、素材繊維としては、たとえばポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維を用いることができ、加工法としてはスパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、エアスルー法、ニードルパンチ法等を用いることができる。ただし、肌触り及び強度を両立できる点でSMS不織布やSMMS不織布等の積層不織布が好適である。不織布は一枚で使用する他、複数枚重ねて使用することもできる。後者の場合、不織布12相互をホットメルト接着剤等により接着するのが好ましい。
【0015】
(トップシート)
トップシート30は液透過性を有するものであれば足りるが、肌触り等の観点から不織布が好適に用いられる。トップシート30に用いる不織布としては、その原料繊維が何であるかは、特に限定されない。例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維などや、これらから二種以上が使用された混合繊維、複合繊維などを例示することができる。さらに、不織布は、どのような加工によって製造されたものであってもよい。加工方法としては、公知の方法、例えば、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法、エアスルー法、ポイントボンド法等を例示することができる。特に、原料繊維の繊度が1.0〜3.0dtexであり且つ繊維目付け10〜30g/m2であるエアスルー不織布や、スパンボンド不織布、ポイントボンド不織布、SMS不織布が好適である。
また、トップシート30は、1枚のシートからなるものであっても、2枚以上のシートを貼り合せて得た積層シートからなるものであってもよい。同様に、トップシート30は、平面方向に関して、1枚のシートからなるものであっても、2枚以上のシートからなるものであってもよい。
【0016】
(トップシートの透過孔)
トップシート30には透過孔Hが形成される。透過孔Hの配置や形状、構造は特に限定されず、公知の形態を採用することもできるが、次のような形態が特に好適である。すなわち、トップシート30は、背側における臀裂、臀部の頂部との対応関係を基準にすると、臀裂と対応する部分を通り前端F1から後端B1まで延在する幅方向中央領域31と、幅方向中央領域31の左側及び右側に位置し、それぞれ左側の臀部の頂部及び右側の臀部の頂部と対応する部分を通り前端F1から後端B1まで延在する左側中間領域及び右側中間領域32,32と、左側中間領域32の左側及び右側中間領域32の右側に沿ってそれぞれ前端F1から後端B1まで延在する左側領域及び右側領域33,33とを有する。さらに、図示形態では、左側領域の左側及び右側領域の右側に、トップシート30を液不透過性シート11に接合固定するための部分を含む側縁部領域34,34を有しており、左側及び右側領域33は吸収要素50上に位置する領域となっている。
具体的に乳幼児用のおむつにおいては、幅方向中央領域31の幅は20〜40mm程度、左側中間領域及び右側中間領域32の幅は15〜25mm程度、左側領域及び右側領域33の幅は10〜20mm程度とするのが適当である。
そして特徴的には、図3にも示すように、トップシート30における幅方向中央領域31、左側及び右側領域33のそれぞれに、全体にわたり水様便等の固形分を裏面側に透過させるための透過孔Hが所定の間隔で多数穿孔されるとともに、左側及び右側中間領域32,32には、全体にわたり透過孔Hが穿孔されていない。従って、これら透過孔Hの穿孔範囲及び非穿孔範囲の幅方向配置が、少なくとも臀裂、臀部の頂部及びその幅方向外側と対応する部分に適用されるよう、幅方向中央領域31、左側及び右側領域33の範囲は定められている。なお、臀裂、臀部の頂部及びその幅方向外側と対応する部分を含んでいれば、各領域31〜33の前後方向の一部のみがこのような穿孔範囲及び非穿孔範囲の幅方向配置を有していても良く、例えば背側Bのみにこのようなパターンを採用することも可能である。
また、左側及び右側領域33,33の幅が幅方向中央領域31の幅より狭いと、装着者が横向きに寝転んだ際に臀部に接する、左側または右側領域33の透過孔Hから逆戻りして臀部に付着する排泄物の量が少ないため好ましい。
透過孔Hの開口形状は、円形、楕円形、小判形、笹葉形、多角形等、適宜の形状とすることができるが、特に前後方向長さHLが4〜15mm、特に6〜8mmであり且つ幅方向長さHWが前後方向長さHLよりも短い細長形状(楕円形、小判形、笹葉形)であるのが好ましい。
透過孔Hの開口面積は適宜定めることができるが、0.8〜180mm2とするのが好ましく、5〜80mm2とするのが特に好ましく、10〜30mm2とするのが最も好ましい。開口面積が小さすぎると固形分の取り込み性能が低下し、また大きすぎると透過孔Hを介して逆戻りし易くなる。
また、透過孔Hの数は適宜定めることができるが、図示のように透過孔Hの配置が、透過孔Hが前後方向に所定の間隔で並ぶ透過孔列が幅方向に所定の間隔で設けられた配置であって、且つ上述した透過孔Hの開口面積の場合、透過孔Hの列間の幅方向間隔DWが1〜5mm、且つ列内の透過孔Hの前後方向間隔DLが1〜10mmとなるように、各領域31〜33における数及び配置をそれぞれ定めるのが好ましい。透過孔Hの間隔が広すぎると固形分が捕獲されずに移動し易くなり、狭すぎると透過孔の数が多くなりすぎ、透過孔Hを介して逆戻りが発生しやすくなる。なお、透過孔Hの配置は、千鳥状配置(図示例)としたり、格子状(行列状)配置としたりできる他、他の規則的あるいは不規則な配置を採用することもできる。
透過孔Hは、幅方向中央領域31に形成されるものと、左側及び右側領域33,33に形成されるものとが同じ形状、同じ寸法、同じ配置間隔であっても良いが、異ならしめることもできる。一つの好ましい形態として、図4に示すように、幅方向中央領域31に形成された透過孔Hの開口の幅方向長さHW1が4〜10mmであり、かつ左側及び右側領域33,33に形成された透過孔Hの開口の幅方向長さHW2が、幅方向中央領域31のそれよりも短く2〜7mmであるものが提案される。このように、左側及び右側領域33,33に形成された透過孔Hの開口の幅方向長さHW1が幅方向中央領域のものより短いと、装着者が横向きに寝転んだ際に臀部に接する透過孔の面積の合計が小さいため、透過孔Hから逆戻りして臀部に付着する排泄物の量が少ない、という利点がある。
また、別の好ましい形態としては、図5に示すように、幅方向中央領域31に形成された透過孔Hの開口面積が5〜40mm2であり、左側及び右側領域33,33に形成された透過孔Hの開口面積が幅方向中央領域31のそれよりも大きく10〜50mm2であるものが提案される。これにより、左側領域及び右側領域33,33に到達した固形分比率の高い便を効果的に捕獲することができるようになる。
【0017】
(トップシートの固定)
トップシート30は、非穿孔範囲においてその裏面の部材と固着するのが望ましい。特に、便を捕獲する空間を広く形成するために、少なくとも穿孔領域の幅方向中央部においては、トップシート30をその裏面の部材と固着しないのが好ましい。トップシート30の固着は、超音波溶着、ヒートシール、ヒートエンボス等による溶着や、ホットメルト接着剤等の接着剤による接着によって行うことができるが、接着剤が透過孔Hから露出するのは好ましくないため、各透過孔群の幅方向両側縁を基準として幅方向に±10mm以内、特に±5mm以内の範囲において、トップシート30をその裏面側の部材に対して溶着するのが好ましい。
【0018】
(トップシートの穿孔方法)
上記透過孔Hを有するトップシート30は、透過孔形成部位を所定形状に打ち抜く方法や、複数の突起を備えた熱ローラーにより溶融しながら穿孔する方法(特表2002−512909号)や、負圧をかけた開口コンベアにて吸引延伸熱処理により立体的なテーパーを形成しながら穿孔する方法(特許2812340号)や、透過孔形成位置に所定方向(前後方向や幅方向等)に沿うスリットを形成した後にシートをスリットと直交する方向に伸張させ、スリットを拡大させた状態で裏面側の部材(中間シート40及び/又は吸収要素50)に固着する方法(特開平11−253490号)により製造することができる。これらの方法は、それぞれにメリットはあるが、次のようなデメリットもある。すなわち、打ち抜きによる方法は廃材が発生し、溶融穿孔する方法は開口周辺が固くなり、立体的なテーパーを形成する方法は厚み方向の押圧が加わった際に開口が潰れやすく、スリット後伸張する方法ではおむつが撓むと開口の伸張が弛緩して閉じやすくなる。本発明においては、透過孔形成位置に前後方向に沿うスリットを形成した後にシートを幅方向に伸張させ、スリットを拡大させた状態で裏面側の部材に固着する方法を、以下のように組合せるのが最も好ましく、これにより上記デメリットを解消しつつ優れた性能を発揮することが可能となる。
透過孔形成位置に前後方向に沿うスリットを形成した後にシートを幅方向に伸張させ、スリットを拡大させて開口を形成したシートは、特に開口とその周辺において、熱処理により溶融固化して硬化することがなく、繊維間隔が広げられることにより、柔らかくかつ液透過性に優れる。しかし、上述のようにトップシート30の裏面側に便を保持する空間を広く確保するため、トップシート30と裏面側の部材とをほぼ全幅において非固定とすると、おむつの撓みにより開口の伸張が弛緩して閉じやすくなる。逆に、シートのほぼ全面において固着すると、トップシート30の裏面側に便を保持する空間が形成できない。そこで、幅方向に一定間隔をおいて固着する形態を取るのが好適である。本発明では、シートのほぼ全幅に穿孔領域を設けるのではなく、非穿孔範囲とした左右の中間領域を設けているため、逆戻りによる臀部への排泄物の付着が防止できるだけでなく、この左右の中間領域(及びトップシート30の両側部)を利用してトップシート30と裏面側の部材を固着することにより、透過孔Hの開口状態を維持しつつ、トップシート30を強固に固定することが可能となる。この場合、トップシート30の各透過孔群の幅方向両側縁の近傍の領域を固着することにより、透過孔Hの開口状態を安定して維持できるため好ましく、特にこの固着として前述したトップシート30の固定のための溶着を利用するのが好ましい。
【0019】
(バリヤーカフス)
トップシート30上を伝わって横方向に移動する尿や軟便を阻止し、横漏れを防止するために、製品の両側に、使用面側に突出(起立)するバリヤーカフス60、60を設けるのは好ましい。
このバリヤーカフス60は、実質的に幅方向に連続するバリヤーシート64と、このバリヤーシート64に前後方向に沿って伸張状態で固定された細長状弾性伸縮部材62とにより構成されている。このバリヤーシート64としては撥水性不織布を用いることができ、また弾性伸縮部材62としては糸ゴム等を用いることができる。弾性伸縮部材62は、図1及び図2に示すように各複数本設ける他、各1本設けることができる。
バリヤーシート64の内面は、トップシート30の側部上に幅方向の固着始端を有し、この固着始端から幅方向外側の部分は、液不透過性シート11の側部およびその幅方向外側に位置する外装シート12の側部にホットメルト接着剤などにより固着されている。この固着部分のうち固着始端近傍において、バリヤーシート64と外装シート12とが対向する部分のシート間に、前後方向に沿って糸ゴム等の弾性伸縮部材66がそれぞれ設けられている。
脚周りにおいては、バリヤーカフス60の固着始端より幅方向内側は、製品前後方向両端部ではトップシート30上に固定されているものの、その間の部分は非固定の自由部分であり、この自由部分が糸ゴム62の収縮力により起立するようになる。おむつの、装着時には、おむつが舟形に体に装着されるので、そして糸ゴム62の収縮力が作用するので、糸ゴム62の収縮力によりバリヤーカフス60が起立して脚周りに密着する。その結果、脚周りからのいわゆる横漏れが防止される。
【0020】
(吸収要素)
吸収要素50は、尿や軟便などの液を吸収保持する部分である。吸収要素50は、吸収体56と、この吸収体56の少なくとも裏面及び側面を包む包被シート58とを有している。包被シート58は省略することもできる。さらに、図示形態では、吸収体56と包被シート58の裏面側部位(下側の部分)との間に保持シート80が設けられているが、この保持シート80は省略することもできる。吸収要素50は、その裏面においてホットメルト接着剤等の接着剤を介して液不透過性シート11の内面に接着することができる。
【0021】
(吸収体)
吸収体56は、繊維52,52の集合体により形成することができる。この繊維集合体としては、綿状パルプや合成繊維等の短繊維を積繊したものの他、セルロースアセテート等の合成繊維のトウ(繊維束)を必要に応じて開繊して得られるフィラメント集合体も使用できる。繊維目付けとしては、綿状パルプや短繊維を積繊する場合は、例えば100〜300g/m2程度とすることができ、フィラメント集合体の場合は、例えば30〜120g/m2程度とすることができる。合成繊維の場合の繊度は、例えば、1〜16dtex、好ましくは1〜10dtex、さらに好ましくは1〜5dtexである。フィラメント集合体の場合、フィラメントは、非捲縮繊維であってもよいが、捲縮繊維であるのが好ましい。捲縮繊維の捲縮度は、例えば、1インチ当たり5〜75個、好ましくは10〜50個、さらに好ましくは15〜50個程度とすることができる。また、均一に捲縮した捲縮繊維を用いる場合が多い。
【0022】
(高吸収性ポリマー粒子)
吸収体56は、図2に示すように高吸収性ポリマー粒子54,54…を含むのが好ましく、特に、少なくとも液受け入れ領域において、繊維52,52…の集合体に対して高吸収性ポリマー粒子(SAP粒子)が実質的に厚み方向全体に分散されているものが望ましい。
吸収体56の上部、下部、及び中間部にSAP粒子が無い、あるいはあってもごく僅かである場合には、「厚み方向全体に分散されている」とは言えない。したがって、「厚み方向全体に分散されている」とは、繊維の集合体に対し、厚み方向全体に「均一に」分散されている形態のほか、上部、下部及び又は中間部に「偏在している」が、依然として上部、下部及び中間部の各部分に分散している形態も含まれる。また、一部のSAP粒子が繊維52,52…の集合体中に侵入しないでその表面に残存している形態や、一部のSAP粒子が繊維52,52…の集合体を通り抜けて包被シート58上にある形態や、保持シート80上にある形態も排除されるものではない。
高吸収性ポリマー粒子54とは、「粒子」以外に「粉体」も含む。高吸収性ポリマー粒子54の粒径は、この種の吸収性物品に使用されるものをそのまま使用でき、1000μm以下、特に150〜400μmのものが望ましい。高吸収性ポリマー粒子54の材料としては、特に限定無く用いることができるが、吸水量が40g/g以上のものが好適である。高吸収性ポリマー粒子54としては、でんぷん系、セルロース系や合成ポリマー系などのものがあり、でんぷん−アクリル酸(塩)グラフト共重合体、でんぷん−アクリロニトリル共重合体のケン化物、ナトリウムカルボキシメチルセルロースの架橋物やアクリル酸(塩)重合体などのものを用いることができる。高吸収性ポリマー粒子54の形状としては、通常用いられる粉粒体状のものが好適であるが、他の形状のものも用いることができる。
高吸収性ポリマー粒子54としては、吸水速度が40秒以下のものが好適に用いられる。吸水速度が40秒を超えると、吸収体56内に供給された液が吸収体56外に戻り出てしまう所謂逆戻りを発生し易くなる。
高吸収性ポリマー粒子54の目付け量は、当該吸収体56の用途で要求される吸収量に応じて適宜定めることができる。したがって一概には言えないが、50〜350g/m2とすることができる。ポリマーの目付け量が50g/m2未満では、吸収量を確保し難くなる。350g/m2を超えると、効果が飽和するばかりでなく、高吸収性ポリマー粒子54の過剰によりジャリジャリした違和感を与えるようになる。
【0023】
(包被シート)
包被シート58を用いる場合、その素材としては、ティッシュペーパ、特にクレープ紙、不織布、ポリラミ不織布、小孔が開いたシート等を用いることができる。ただし、高吸収性ポリマー粒子が抜け出ないシートであるのが望ましい。クレープ紙に換えて不織布を使用する場合、親水性のSMMS(スパンボンド/メルトブローン/メルトブローン/スパンボンド)不織布が特に好適であり、その材質はポリプロピレン、ポリエチレン/ポリプロピレンなどを使用できる。目付けは、5〜40g/m2、特に10〜30g/m2のものが望ましい。
この包被シート58は、図2のように、連続繊維52,52…の集合体及び高吸収性ポリマー粒子54,54…の層全体を包む形態のほか、その層の裏面及び側面のみを包被するものでもよい。また図示しないが、吸収体56の上面及び側面のみをクレープ紙や不織布で覆い、下面をポリエチレンなどの液不透過性シートで覆う形態、吸収体56の上面をクレープ紙や不織布で覆い、側面及び下面をポリエチレンなどの液不透過性シートで覆う形態などでもよい(これらの各素材が包被シートの構成要素となる)。必要ならば、連続繊維52,52…の集合体及び高吸収性ポリマー粒子54,54…の層を、上下2層のシートで挟む形態や下面のみに配置する形態でもよいが、高吸収性ポリマー粒子の移動を防止でき難いので望ましい形態ではない。
【0024】
(保持シート)
繊維52にフィラメント集合体を用いる場合は、保持シート80を設けるのが好ましい。保持シート80を設ける場合、保持シート80と吸収体56上との間には、高吸収性ポリマー粒子54をその散布などにより介在させることができる。高吸収性ポリマー粒子54は、フィラメント集合体への供給時又はその後の工程、あるいは消費者が使用するまでの流通過程で、フィラメント集合体を通り抜けることがある。フィラメント集合体を通り抜けた高吸収性ポリマー粒子群の凹凸は、消費者が使用する際に手で触ったときジャリジャリした違和感を与える。
この保持シート80は、ティッシュペーパ(クレープ紙)などの包被シート58のみでは足りないコシを補強すると共に、消費者が使用する際に手で触ったときのジャリジャリした違和感を軽減又は防止する役割を果たす。
保持シート80の素材は、特に限定されず、高吸収性ポリマー54の保持性能を有するものであれば足りる。具体的には、例えば、不織布、捲縮パルプ、低吸収性のコットン繊維(例えば、未脱脂のコットン繊維、脱脂されたコットン繊維、レーヨン繊維を撥水剤や疎水化剤で処理したものなど。)、ポリエチレン繊維、ポリエステル繊維、アクリル繊維、ポリプロピレン繊維、絹、綿、麻、ナイロン、ポリウレタン、アセテート繊維等を例示することができる。
保持シート80としては、厚みが高吸収性ポリマー粒子の粒径よりも大きいものが好ましい。また、保持シート80の目付けは10〜60g/m2、特に20〜40g/m2であるのが好ましい。
特に、保持シート80は、KES試験に基づく圧縮エネルギーが0.01〜10.00gfcm/cm2、好ましくは、0.01〜1.00gfcm/cm2で、かつ圧縮レジリエンスが10〜100%、好ましくは、70〜100%の不織布であるとよい。
また、抜け出た高吸収性ポリマー54は、保持シート60によって保持され、包被シート58上を移動することがないため、吸収能力の偏在が生じ難くなる。特に、保持シート80上を高吸収性ポリマー粒子54が移動を防止するために、予め粘着性を有するホットメルト接着剤などを保持シート80上に塗布することができる。また、保持シート80の上面(使用面側に向かう面)を粗面とすることで、保持シート80上を高吸収性ポリマー粒子54が移動を防止するようにしてもよい。このための粗面化又は毛羽立ち手段としては、不織布の製造時におけるネット面でない非ネット面とする、マーブル加工を行う、ニードルパンチにより加工する、ブラシッング加工するなどを挙げることができる。
保持シート80は、図2に示すように吸収体56の下方にのみ設けても、また図示しないが、吸収体56の側面を通り吸収体56の上面にまで巻き上げて延在させてもよい。また、保持シート80を複数枚重ねて使用することも可能である。
上記例は、吸収体56と包被シート58の裏面側部位との間に保持シート58を設ける例であるが、保持シートは、包被シート58より裏面側であってもよく(その形態は図示していない)、要は、吸収体56に対して裏面側に保持シートを設ければ、製品の裏面から触る場合におけるジャリジャリした違和感を軽減させるあるいは生じさせないものとなる。
【0025】
(ファスニング片)
ファスニング片130は、プラスチック、ポリラミ不織布、紙製などのファスニング基材130Cの基部がおむつに接合されており、その先端側部分に腹側に対する係止部として、メカニカルファスナーのフック要素130Aが設けられている。フック要素130Aはファスニング基材130Cに接着剤により剥離不能に接合されている。フック要素130Aは、その外面側に多数の係合突起を有する。係合突起の形状としては、(A)レ字状、(B)J字状、(C)マッシュルーム状、(D)T字状、(E)ダブルJ字状(J字状のものを背合わせに結合した形状のもの)等が存在するが、いずれの形状であっても良い。フック要素130Aに代えて、ファスニング片130の係止部として粘着材層を設けることもできる。
おむつの装着に際しては、背側サイドフラップ部BFを腹側サイドフラップ部FFの外側に重ねた状態で、ファスニング片を腹側F外面の適所に係止する。ファスニング片130の係止箇所の位置及び寸法は任意に定めることができる。通常の場合、係止箇所は、高さ20〜80mm、幅150〜300mmの矩形範囲とし、その上端縁と腹側上縁F1との高さ方向離間距離を0〜60mm、特に20〜50mmとし、かつ製品の幅方向中央とするのが好ましい。
腹側Fにおけるファスニング片130の係止箇所には、係止を容易にするためにターゲットテープ74を設けるのが好ましい。ターゲットテープ74は、係止部がフック要素130Aの場合、フック要素の係合突起が絡まるようなループ糸が表面に多数設けられたものを用いることができ、また粘着材層の場合には粘着性に富むような表面が平滑なフィルム状のものを用いることができる。
また、腹側Fにおけるファスニング片130の係止箇所が不織布からなる場合、例えば図示形態の外装シート12が不織布からなる場合であって、ファスニング片130の係止部がフック要素130Aの場合には、ターゲットテープ74を省略し、フック要素130Aを外装シート12の不織布に絡ませて係止することもできる。
【0026】
(中間シート)
中間シート40は、トップシート30の裏面に接するように、トップシート30と吸収要素50との間に介在されるものであり、図6及び図7に示すように、基材シート41,41に弾性部材42を伸張状態でホットメルト接着剤等により固定した後、弾性部材42を収縮させて表面に波状の皺を形成したものである。
図示形態では、二枚の基材シート41,41をホットメルト接着剤等により貼り合わせるとともに、その間に弾性部材42を挟んで固定しているが、基材シート41を1枚とし、その表裏いずれかの面に弾性部材42を固定することもできる。
基材シート41としては、トップシート30と同様の各種不織布を用いることができるが、特に嵩高で液の透過性に優れるエアスルー不織布が好ましい。なお、基材シート41は、弾性部材42との接着性が良好となるよう、平滑性の高い不織布を用いるのが好ましい。エアスルー不織布の場合は、毛羽立ち面(エアー面)及び平滑面を有するが、平滑面を弾性部材42との接着面にすれば確実な接着が可能となる。また、プレスロール等で圧密して毛羽立ち面に平滑処理を施しても同様に確実な接着が可能である。本発明では、基材シート41と弾性部材42を組み合わせて波状の皺を形成するため、実質的に嵩高な中間シート40を得る、または中間シート40の嵩を自在に調整することが可能となる。また、基材シート41自体の液の透過性が必ずしも優れていなくても、トップシート30との間に広い空間を形成することができるため、水様便等の透過許容量は増大する。従って、基材シート41には本来嵩高ではないスパンボンド不織布やポイントボンド不織布等、液の透過性の低いSMS不織布やメルトブローン不織布等も好適に使用することができる。これらの不織布は、熱エンボスロールにて圧密して製造するため、表裏とも平滑性が高く接着性に優れており、どちらの面を弾性部材42との接着面にしても良く、また波状の皺を良好に形成できるという点で、好ましい。さらに、中間シート40とトップシート30とをヒートエンボスや超音波溶着を用いて接合する場合は、中間シート40の素材はトップシート30と同程度の融点をもつものが好ましい。また、便中の固形分を透過させることを考慮するならば中間シート40に用いる繊維の繊度は5.0〜7.0dtexであるのが好ましいが、トップシート30における液残りが多くなる。これに対して、中間シート40に用いる繊維の繊度が1.0〜2.0dtexであると、トップシート30の液残りは発生し難いが、便の固形分が透過し難くなる。よって、中間シート40に用いる不織布の繊維は繊度が2.0〜5.0dtex程度とするのが好ましい。
弾性部材42としては、網状、シート状のものも用いることができるが、糸状、紐状、帯状等の細長状のものが液透過性の低下が少ないため好ましい。
不織布からなる基材シート41,41を二枚貼り合わせるとともに、両シート41,41間に細長状弾性部材を挟んで中間シート40を形成する場合、各不織布として、繊度2.0〜5.0dtex(特に3.0〜4.0dtex)、繊維目付け10〜30g/m2、(特に15〜20g/m2)、厚み0.1〜4.0mm(特に0.5〜2.0mm)のものを用い、弾性部材42として太さ150〜1240dtex(特に450〜600dtex)の合成糸ゴムを用い、弾性部材42を100〜300%(特に150〜200%)の伸張状態で、3〜15mm(特に5〜10mm)の間隔Zを空けて平行に複数本固定した後、弾性部材42を収縮させて表面に弾性部材42と交差する方向に沿う波状の皺を形成するのが好ましい。このような中間シート40においては、長く規則的な皺が形成され、トップシート30との間に形成される空間がより長い距離連続するようになる。
皺の深さYは1〜5mm程度であるのが好ましく、皺の頂点間距離Xは1〜10mm程度であるのが好ましい。このような皺は基材シート41の素材や厚み、弾性部材42の伸張率を適宜調節することにより形成することができる。
皺の方向(弾性部材の伸張方向と直交する方向)は適宜定めることができ、皺がおむつ前後方向に沿って形成されていても良いが、皺がおむつ幅方向に沿って形成されていると、水様便等が前後方向に拡散し難くなり、排尿器官等の便による汚れを効果的に防止できるため好ましい。
中間シート40は、表面の皺の全てがトップシート30の透過孔Hの裏面側に位置している必要は無く、少なくとも一部がトップシート30の透過孔Hの裏面側に位置していれば良い。中間シート40の皺を有する部分の配置は適宜定めることができるが、肛門と対向する部分を含むように設けられているのが好ましい。具体的に乳幼児用のおむつの場合、おむつ前後方向中央を基準として前側に50mmの位置から後側に160mmの位置までの前後方向範囲、及びおむつ幅方向中央を基準として左側に50mmの位置から右側に50mmの位置までの幅方向範囲を含むように、中間シート40の皺を有する部分が設けられていると好ましい。
皺を有する部分は、中間シート40の一部であっても、また全部であっても良い。中間シート40における皺形成範囲は、弾性部材42が伸張状態で固定される範囲を適宜変更したり、弾性部材42を伸張状態で基材シート41の全長に亘って固定した後に任意の方法により弾性部材42を有する部分のうち非皺形成部分が弾性伸縮しないようにしたりすることにより変えることができる。特に、中間シート40の一部に皺を有しない部分を設け、その前後に皺を有する部分を配置する場合には、特開2002−035029や特開2002−178428に記載の切断方法により、弾性部材42を細かく切断して中間シート40の一部が皺を有さないようにすれば良い。中間シート40自体の製造及び製造した中間シート40の固定を容易にするため、中間シート40における弾性部材42の伸張方向の両端部(図示形態では前後端部)には皺が形成されていないのが好ましい。
中間シート40は、図1に示す形態では、吸収要素50の幅より短く中央に配置されており、左側及び右側領域33の透過孔群の裏面までは中間シート40が延在していないが、これらの透過孔群の裏面までを覆うように例えば全幅にわたって設けてもよい。また、中間シート40のおむつ前後方向長さは、図1に示すようにおむつの全長と同一であると製造が容易なため好ましいが、吸収要素50の長さと同一でもよく、また、図8に示すように便を受け入れる領域を中心にした短い長さ範囲、例えばおむつの前後方向中央部から吸収体の後端部までの範囲としてもよい。
このような中間シート40が介在されていると、前述したとおり、中間シート40表面の皺の凹部とトップシート30との間に線状に連続する空間43が形成される。よって、トップシート30の透過孔Hを透過した水様便等は、この空間43に受け入れられて広がるようになり、トップシート30表面において水様便等が広がり難くなり、肌の汚れも減少する。しかも、中間シート40の皺は弾性部材42の収縮力により形成されているため、一時的に外圧で皺が伸びても、外圧が開放されると強制的に元の状態まで復元し、トップシート30との間に上述の空間43が確保される。
【0027】
<その他>
上記実施形態は、トップシート30に透過孔Hを有するものであるが、本発明の中間シート40はトップシート30に透過孔を有しない形態にも適用できるものである(図示略)。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明は、使い捨ておむつに適用されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】テープ式使い捨ておむつの展開状態平面図である。
【図2】図1のB−B線断面図である。
【図3】図1の要部拡大平面図である。
【図4】別の透過孔例を示す要部拡大平面図である。
【図5】また別の透過孔例を示す要部拡大平面図である。
【図6】中間シートの平面図である。
【図7】トップシート及び中間シート部分の拡大断面図である。
【図8】別のテープ式使い捨ておむつの展開状態平面図である。
【符号の説明】
【0030】
10…吸収性本体部、11…液不透過性シート、12…外装シート、30…トップシート、31…幅方向中央領域、32…左側中間領域、右側中間領域、33…左側領域、右側領域、34…側縁部領域、40…中間シート、41…基材シート、42…弾性部材、43…空間、50…吸収要素、52…繊維、54…高吸収性ポリマー粒子、56…吸収体、58…包被シート、60…バリヤーカフス、64…バリヤーシート、80…保持シート、H…透過孔。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
身体側表面を形成する透液性トップシートと、外面側に位置する液不透過性シートとの間に吸収要素を介在させてなり、幅方向中央に沿って腹側の上縁から股間部を通り背側の上縁まで延在する吸収性本体部を有する使い捨ておむつにおいて、
前記トップシートと前記吸収要素との間に、前記トップシートの裏面に接する中間シートを備えており、
この中間シートは、基材シートに弾性部材を伸張状態で固定した後、弾性部材の収縮により基材シートを収縮させて表面に波状の皺を形成したものである、
ことを特徴とする使い捨ておむつ。
【請求項2】
身体側表面を形成する透液性トップシートと、外面側に位置する液不透過性シートとの間に吸収要素を介在させてなり、幅方向中央に沿って腹側の上縁から股間部を通り背側の上縁まで延在する吸収性本体部を有する使い捨ておむつにおいて、
前記トップシートは、所定の間隔で穿孔された透過孔を有しており、
前記トップシートと前記吸収要素との間に、前記トップシートの裏面に接する中間シートを備えており、
この中間シートは、基材シートに弾性部材を伸張状態で固定した後、弾性部材の収縮により基材シートを収縮させて表面に波状の皺を形成したものであり、且つこの皺の少なくとも一部が前記トップシートの透過孔の裏面側に位置している、
ことを特徴とする使い捨ておむつ。
【請求項3】
前記中間シートは、繊度2.0〜5.0dtex、繊維目付け10〜30g/m2、厚み0.1〜4.0mmの不織布を2枚貼り合わせるとともに、これら不織布間に、太さ150〜1240dtexの細長状弾性部材を100〜300%の伸張状態で、3〜15mmの間隔を空けて平行に複数本固定した後、弾性部材の収縮により基材シートを収縮させて表面に弾性部材と交差する方向に沿う波状の皺を形成したものである、請求項1又は2記載の使い捨ておむつ。
【請求項4】
前記皺がおむつ幅方向に沿って形成されている、請求項3記載の使い捨ておむつ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−34271(P2009−34271A)
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−200146(P2007−200146)
【出願日】平成19年7月31日(2007.7.31)
【出願人】(390029148)大王製紙株式会社 (2,041)
【Fターム(参考)】