使い捨てのおむつ
【課題】丸めたり畳んだりして廃棄することが可能な使い捨てのおむつ。
【解決手段】使い捨ておむつ1における股下域8の両側それぞれに防漏堤60L,60Rが形成される。防漏堤60L,60Rのそれぞれは、おむつ1の幅方向Xにおいて折り畳まれた状態にあり、長さ方向Yの両端部60a,60bでは、折り畳まれた防漏堤60Lどうし、60Rどうしが剥離可能に接合している。両端部60a,60bにおいて折り畳まれて互いに接合している防漏堤60L,60Rのそれぞれを剥離し、防漏堤60L,60Rの近位縁62が幅方向Xの内側に向くようにして防漏堤60L,60Rのそれぞれを伸展すると、防漏堤60Lと60Rとが部分的に重なり合う。
【解決手段】使い捨ておむつ1における股下域8の両側それぞれに防漏堤60L,60Rが形成される。防漏堤60L,60Rのそれぞれは、おむつ1の幅方向Xにおいて折り畳まれた状態にあり、長さ方向Yの両端部60a,60bでは、折り畳まれた防漏堤60Lどうし、60Rどうしが剥離可能に接合している。両端部60a,60bにおいて折り畳まれて互いに接合している防漏堤60L,60Rのそれぞれを剥離し、防漏堤60L,60Rの近位縁62が幅方向Xの内側に向くようにして防漏堤60L,60Rのそれぞれを伸展すると、防漏堤60Lと60Rとが部分的に重なり合う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、使い捨てのおむつに関する。
【背景技術】
【0002】
使用後のおむつを衛生上または外観上の観点から好ましい形で廃棄できるように改良を施した使い捨ておむつは、従来公知ないし周知である。例えば、実開昭58−22908号公報(特許文献1)に開示された使い捨ておむつ1は、裏面シートに接着テープ片が取り付けられている。そのおむつの一例において、接着テープ片はその一端部が腰回りの中央部に固定され、自由端部が腰回り部から外方向へ延出している。使用後に折り畳んだおむつは、それが開くことがないように接着テープ片で止めておくことができる。
【0003】
また、特開2002−11041号公報(特許文献2)に開示された使い捨てパンツ型おむつは、弾性部材の収縮によってはギャザーの生じることのない股下域に粘着性テープ片が取り付けられている。使用後に上下方向へ二つに折り重ねたおむつは、それが開くことのないように粘着性テープ片によって止めておくことができる。
【0004】
特開平2−4372号公報(特許文献3)に開示されたファスナーシステムは、使い捨ておむつ等の吸収性製品に使用される。例えば、開放型のおむつでは、ファスナーシステムの一例である接着剤テープタブが後胴回り域の両側部に取り付けられている。使用後に丸めたり、折り畳んだおむつは、それが開くことのないように接着剤テープタブを使用して止めておくことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開昭58−22908号公報
【特許文献2】特開2002−11041号公報
【特許文献3】特開平2−4372号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
使用後の汚れたおむつを丸めたり折り畳んだりしてから、おむつをそれが開くことがないように粘着性テープ片等のテープ片で止めておくことは、おむつが乳幼児用の小型のものであって、それを衛生上好ましい形で廃棄しようとする場合において特に効果的である。しかし、おむつによっては、テープ片を使用するだけでは汚れたおむつを衛生上好ましい形に丸めておくことが難しい、という場合がある。
【0007】
この発明によれば、汚れたおむつを衛生上好ましい形に丸めたり畳んだりして廃棄することを可能にする使い捨てのおむつを提供することができる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、対象となるのは、前胴回り域と後胴回り域とこれら両域の間に介在する股下域とを有し、前記股下域は前記前胴回り域と前記後胴回り域とに向かって延びる長さ方向と前記長さ方向に直交する幅方向とを含み、前記股下域の前記幅方向の両側それぞれには前記長さ方向へ延びる防漏堤が形成されている使い捨てのおむつである。
【0009】
かかる使い捨てのおむつにおいて、この発明が特徴とするところは以下のとおりである。すなわち、前記防漏堤は、前記股下域と一体になって前記長さ方向へ延びる遠位縁と、前記遠位縁に並行するとともに前記使い捨てのおむつの着用者の肌に弾性的に接触可能な近位縁とを有していて、前記幅方向において折り畳まれた状態にあり、前記長さ方向における前記防漏堤の両端部では、折り畳まれた前記防漏堤どうしが剥離可能に接合している。前記防漏堤はまた、前記両端部で接合している前記防漏堤どうしを剥離して前記近位縁を前記幅方向の内側に向けて伸展すると、前記両側それぞれに形成された前記防漏堤が互いに部分的に重なり合う。
【0010】
この発明の実施形態の一つにおいて、前記おむつが前記前胴回り域を形成する前パネルと、前記後胴回り域を形成する後パネルと、前記股下域を形成する中央パネルとを有し、これらパネルのそれぞれが前記着用者の肌と向かい合う内面と着衣と向かい合う外面とを含む。前記中央パネルの前記長さ方向における両端部のうちの一端部は前記外面が前記前パネルの前記内面に接合し、前記両端部のうちの他端部は前記外面が前記後パネルにおける前記内面に接合している。前記中央パネルには前記幅方向の両側それぞれに前記防漏堤が形成されていて、前記防漏堤の前記両端部のそれぞれでは折り畳まれた前記防漏堤どうしが剥離可能に接合している。
【0011】
この発明の実施形態の他の一つにおいて、前記防漏堤には、前記防漏堤を前記幅方向の内側に向けて伸展したときに部分的に重なり合う前記防漏堤どうしの重なり合う状態を維持することを可能にする接合手段が形成されている。
【0012】
この発明の実施形態の他の一つにおいて、前記中央パネルは、前記前パネルと前記後パネルとから剥離可能に形成されている。
【0013】
この発明の実施形態の他の一つにおいて、前記使い捨てのおむつがパンツ型のものであって、前記前パネルと前記後パネルとが互いの側縁部において剥離可能に接合している。
【発明の効果】
【0014】
この発明の実施形態である使い捨てのおむつにおいては、防漏堤の両端部それぞれが折り畳まれた状態にある。両端部それぞれでは、折り畳まれて重なり合う防漏堤どうしが剥離可能に接合している。接合している防漏堤の端部を剥離し、防漏堤の近位縁がおむつの幅方向の内側に向くように防漏堤を伸展させると、股下域の両側それぞれに形成されていた防漏堤が互いに部分的に重なり合い、排泄物で汚れている股下域の内面を被覆することができる。このように防漏堤を伸展させてから、おむつを丸めたり畳んだりすれば、おむつを廃棄するときに、排泄物で汚れている股下域の内面が露出することを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】使い捨てのおむつの部分破断平面図。
【図2】図1のII−II線切断面を示す図。
【図3】図1のIII−III線切断面を示す図。
【図4】股下域の内面の一部を防漏堤で被覆している状態を示す図。
【図5】実施形態の一例を示す図2と同様な図。
【図6】防漏堤に形成された接合手段の使用状態を示す図。
【図7】パンツ型の使い捨てのおむつの斜視図。
【図8】図7のおむつから得られる展開おむつの部分破断平面図。
【図9】図8のIX−IX線切断面を示す図。
【図10】図8のX−X線切断面を示す図。
【図11】股下域の内面を防漏堤で被覆している状態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
添付の図面を参照して、この発明の実施形態を説明すると、以下のとおりである。
【0017】
図1は、実施形態の一例である開放型の使い捨てのおむつ1の部分破断平面図である。おむつ1は、肌被覆部2と、排泄物処理部4とを有し、これら肌被覆部2と処理部4との長さ方向と幅方向とが双頭矢印X,Yで示されている。
【0018】
おむつ1の肌被覆部2では、内面シート21と外面シート22とがホットメルト接着剤23を介して接合して、前胴回り域6と、後胴回り域7と、これら両域6,7の間に位置する股下域8とを形成している。内面シート21は、前後胴回り域6,7と股下域8の両側部分8aとにおいて、おむつ着用者(図示せず)の肌と向かい合うおむつ1の内面の一部を形成し、外面シート22は、おむつ着用者の着衣と向かい合うおむつ1の外面を形成している。前胴回り域6では、幅方向Xへ延びる胴回り弾性部材24と補助弾性部材26とが内面シート21と外面シート22との間にあって、両シート21,22の少なくとも一方にホットメルト接着剤(図示せず)を介して伸長状態で接合している。後胴回り域7では、幅方向Xへ延びる胴回り弾性部材27と補助弾性部材28とが内面シート21と外面シート22との間にあって、これら両シート21,22の少なくとも一方にホットメルト接着剤(図示せず)を介して伸長状態で接合している。後胴回り域7の側縁部7aのそれぞれからは、ファスナ用テープ7bが延出している。テープ7bの内面にはメカニカルファスナ7cが取り付けられていて、テープ7bを前胴回り域6におけるランディングゾーン(図示せず)に着脱することができる。股下域8の両側部分8aでは、脚回り弾性部材29が弧を画いて延びていて、内面シート21と外面シート22との少なくとも一方にホットメルト接着剤(図示せず)を介して伸長状態で接合している。内面シート21と外面シート22とには、熱可塑性合成繊維で形成された不織布やプラスチックフィルムを使用することができる。図示例の肌被覆部2は、幅方向Xの寸法を二等分する中心線C−Cに関して対称に形成されている。
【0019】
処理部4は、ホットメルト接着剤41(図3,4参照)を介して内面シート21に取り付けられていて、股下域8の幅方向Xにおける中央部を形成しており、中心線C−Cに平行な両側縁42と、両側縁42に交差して幅方向Xへ延びる前端縁43aと後端縁43bとを有し、おむつ1の内面の一部を形成している。幅方向Xにおいて両側縁42それぞれの内側には両端縁43aと43bとの間に延びる防漏堤60が形成されている。その防漏堤60は、防漏堤60Lと防漏堤60Rとを含んでいる。防漏堤60は、両側縁42のそれぞれに一致して長さ方向Yへ延びる遠位縁61と、前端縁43aを含む前端部60aと、後端縁43bを含む後端部60bと、これら両端部60a,60bの間に位置する中間部60cとを有する。防漏堤60はまた、遠位縁61に並行して長さ方向Yへ延びる近位縁62を有する。近位縁62にはスリーブ63が形成されていて、スリーブ63の内側には長さ方向Yへ延びる弾性部材64がホットメルト接着剤(図示せず)を介して伸長状態で取り付けられていることにより、近位縁62はおむつ着用者(図示せず)の肌に弾性的に接触可能である。処理部4には、後記する芯材45の輪郭が鎖線で示されている。図示例の処理部4は、中心線C−Cに関して対称に形成されている。
【0020】
図2は、図1のII−II線切断面によって処理部4と防漏堤60の中間部60cとの構造を示している。処理部4は、吸水性の芯材45と、芯材45の内面を被覆する透液性の内面シート46と、芯材45の外面を被覆する不透水性または撥水性の外面シート47と、外面シート47と芯材45との間に介在する不透液性のプラスチックフィルム48とを含んでいる。内面シート46は、おむつ1を着用するときに、おむつ着用者の肌と向かい合うものであって、股下域8の内面の一部を形成している。外面シート47は、芯材45の側縁45aから幅方向Xへ延出する部分が処理部4の側縁42において折曲されることにより防漏堤60Lを形成している。
【0021】
芯材45は、粉砕パルプ、粉砕パルプと高吸水性ポリマー粒子との混合物等の吸水性材料の集合体、またはその集合体をティッシュペーパ等の透水性シートで被覆したものによって形成されている。
【0022】
内面シート46は、芯材45の周縁から延出する大きさを有していて、幅方向Xにおいては、図示されているように、芯材45に沿って折り曲げられて芯材45の外面の一部分を覆っている。長さ方向Yにおいて、内面シート46は、芯材45から延出しており(図1参照)、内面シート46と同じように芯材45から延出している外面シート47に重なってホットメルト接着剤47aを介して互いに接合している。内面シート46と芯材45とは、ホットメルト接着剤を介して接合している場合と、接合していない場合とがあり、図では後者の場合が示されている。
【0023】
プラスチックフィルム48は、幅方向Xと長さ方向Yとの寸法が芯材45の寸法とほぼ同じであり、芯材45に対してホットメルト接着剤を介して接合している場合と、接合していない場合とがある。図ではプラスチックフィルム48がホットメルト接着剤48aを介して芯材45と内面シート46とに接合している。
【0024】
外面シート47は、芯材45の周縁から延出する大きさを有している。幅方向Xにおいて、外面シート47が芯材45から延出する部分は、防漏堤60を形成しており、長さ方向Yにおいて、外面シート47が芯材45から延出する部分(図示せず)はホットメルト接着剤47aを介して内面シート46に接合している。外面シート47はまた、ホットメルト接着剤41を介して肌被覆部2の内面シート21に接合している。その内面シート21は、ホットメルト接着剤23を介して外面シート22に接合している。
【0025】
防漏堤60のうちの防漏堤60Lは、処理部4における両側縁42の一方で外面シート47が逆Z字形に折り畳まれることにより形成されている。防漏堤60Rは、両側縁42のもう一方(図1参照)で外面シート47がZ字形(図示せず)に折り畳まれることにより形成されている。折り畳まれた状態の防漏堤60Lは、側縁42において折り返されて遠位縁61を画成している部分67と、幅方向Xの外側に向かって折り返されて部分67に重なっている部分68とを含んでいる。このような防漏堤60Lを有する図1のおむつ1では、それを着用するときに股下域8を長さ方向Yにおいて湾曲させると、防漏堤60Lにおける弾性部材64が収縮し、重なり合っていた部分67と部分68とが伸展し、防漏堤60Lの近位縁62がおむつ着用者の肌に弾性的に接触するように、防漏堤60Lが図2の仮想線のごとくおむつ1の内面から起立する。
【0026】
図3は、図1のIII−III線切断面によって防漏堤60Lの後端部60bの構造を示している。そのIII−III線は、処理部4の後端縁43bの近傍において幅方向Xへ延びている。処理部4における芯材45と、内面シート46と、外面シート47と、プラスチックフィルム48とが重なり合う状態は、図2においてこれらが重なり合う状態と同じである。肌被覆部2における内面シート21と外面シート22が重なり合う状態もまた図2においてこれらが重なり合う状態と同じ状態である。防漏堤60Lは、図2におけるそれと同様に逆Z字形に折り畳まれているが、防漏堤60Lが幅方向Xの内側に向かって折り返されている部分67は、処理部4における内面シート46と外面シート47とに対して、ホットメルト接着剤66を介して剥離不能に接合している。防漏堤60Lが幅方向Xの外側に向かって折り返されている部分68は、それと向かい合う防漏堤60Lの部分67に対してホットメルト接着剤69を介し剥離可能に接合している。ただし、部分68における縁部66bは、長さ方向Yにおいて近位縁62の延長上にあり、縁部66bと向かい合う部分67に対しては非接合状態にある。
【0027】
ここで、おむつ1について剥離可能であるというときの剥離とは、おむつ1を通常の着用方法に従って扱う限り、互いに接合している部分に剥離を生じることはないが、おむつ1の所要部分に対して故意に力を加えると、互いに接合している部分に剥離が生じ、その結果としておむつ1においての所要の目的を達成することができるという場合の剥離を意味している。また、おむつ1について剥離不能であるというときには、おむつ1を通常の方法に従って扱う限り、互いに接合している部分に剥離を生じることがないことを意味していることに加えて、おむつ1においての所要の目的を達成するために所要の部位に故意に力を加えても、その力によっては剥離が生じないことを意味している。また、おむつ1において剥離というときには、互いに接合している部分が、その部分において剥がれて別々になるということを意味する他に、互いに接合している部分の近傍において少なくとも一方の部分が破れることによって互いに接合している部分が実質的な意味において剥離して別々になることをも意味している。おむつ1において、互いに接合している部分を剥離可能な状態にしたり、剥離不能な状態にしたりすることは、ホットメルト接着剤の種類の選択やホットメルト接着剤の単位面積当たりの塗布量の調整、ホットメルト接着剤の塗布面積の調整によって可能になる。
【0028】
防漏堤60Lがこのように形成されているおむつ1では、一方の手で肌被覆部2または処理部4をつかみ、もう一方の手では防漏堤60Lにおける後端部60bの縁部66bを摘むか、または図2に示された近位縁62の近傍を摘んで図3に矢印Fで示される図の上方へ引き上げるようにすると、防漏堤60における部分68を部分67から剥離させることができる。部分68は、剥離後にそれを内面シート46に重ねると縁部66bが中心線C−Cを越えることができるように、幅方向Xの寸法Mが調整されている(図3参照)。このようにして防漏堤60Lにおける後端部60bの部分68を内面シート46に重ねるときには、防漏堤60Lの中間部60c(図1参照)における部分68もまた、図2に仮想線で示されているように、内面シート46に重ねることができ、近位縁62が中心線C−Cを越える。
【0029】
防漏堤60Lの前端部60aの断面構造は、図3における後端部60bの断面構造と実質的に同じであるから、その構造の図示は省略されている。その前端部60aにおいても、防漏堤60Lは逆Z字形に折り畳まれていて、部分67がホットメルト接着剤66(図3参照)を介して内面シート46に剥離不能に接合し、部分68がホットメルト接着剤69を介して部分67に剥離可能に接合している。ただし、部分68における縁部66a(図1参照)は部分67に対して非接合状態にある。それゆえ、前端部60aでは、後端部60bの場合と同様に、縁部66aを摘むか、または防漏堤60の中間部60cにおける近位縁62の近傍を摘んで引っ張ることによって、部分68を部分67から剥離することができる。剥離後の部分68は、それを内面シート46に重ねると中心線C−Cに重なって、縁部66aが中心線C−Cを越える。
【0030】
図4は、使用後のおむつ1を廃棄するときの態様の一例を示す図1と同様な図である。図1のおむつ1において、処理部4は中心線C−Cに関して対称に形成されている。それゆえ、図2,3の防漏堤60Lと対称な関係にあるもう一方の防漏堤60Rについても、前端部60aにおいて重なり合う部分67と部分68とを剥離し、後端部60bにおいても重なり合う部分67と部分68とを剥離して、防漏堤60Rの部分68の全体を処理部4の内面シート46に重ねることができる。その重ねた状態の防漏堤60Rは、図2,3に仮想線で示されているとおりであって、防漏堤60Rは中心線C−Cに重なり、近位縁62と縁部66bとが中心線C−Cを越えている。図4では、そのようにして部分68が内面シート46に重ねてある防漏堤60Lと60Rとが示されている。すなわち、両防漏堤60Lと60Rとは中心線C−C近傍で互いに部分的に重なり合い、おむつ1の内面のうちで防漏堤60Lと60Rとの間にある部分、すなわち内面シート24がそれら防漏堤60Lと60Rとによって被覆されている。
【0031】
おむつ1が使用後のものであれば、処理部4の内面シート46を図4に例示のごとく幅方向Xへ伸展させた防漏堤60Lと60Rとによって被覆すれば、おむつ1が乳幼児用のものであっても大人用のものであっても、内面シート46の汚れや、内面シート46の上にある排泄物が隠れた状態になる。その後に、おむつ1はその全体を丸めたり、畳んだりすることができ、さらにはファスナー用テープ7bを使用して丸めたり、畳んだりした状態を保つこともできる。
【0032】
このようなおむつ1の処理部4において、内面シート46は、熱可塑性合成繊維で形成された透水性の不織布や透水性の開孔プラスチックフィルム等の透水性シート材料によって形成される。外面シート47は、熱可塑性合成繊維で形成された不織布、より好ましくは不透水性または撥水性の不織布や不透水性のプラスチックフィルムによって形成される。外面シート47が不透水性のものである場合には、プラスチックフィルム48を省くことが可能である。また、処理部4は、中心線C−Cに関して対称に形成されていることが好ましいものではあるが、中心線C−Cに関して非対称な形状のものにすることも可能である。例えば、防漏堤60Lにおける部分68の幅方向Xの寸法と、防漏堤60Rにおける部分68の幅方向Xの寸法とが異なる態様の処理部4を使用することも可能である。ただし、その処理部4においても防漏堤60Lの部分68と防漏堤60Rの部分68とを内面シート46に重ねると、部分68と68とが互いに重なり合って内面シート46の全体を被覆することができるように、それぞれの部分68の寸法を調整しておくことが必要である。
【0033】
図1のおむつ1において、ホットメルト接着剤41を介して互いに接合している肌被覆部2と処理部4とは、それぞれの内面シート21と46とがおむつ1における股下域6の内面を形成しているものであるが、これら両部2,4は剥離可能な状態で接合しておくことができる。その状態は、ホットメルト接着剤41の単位面積当たりの塗布量を調整したり、ホットメルト接着剤41の塗布域を調整したりすることによって得ることができる。そのようなおむつ1では、使用後に排泄物で汚れている処理部4を肌被覆部2から剥離して処理部4と肌被覆部2とを分別処理することができる。そのときの処理部4の内面シート46を図4に例示の如く防漏堤60Lと60Rとによって被覆しておくことは、衛生上の観点から好ましいことである。
【0034】
図5,6は、実施形態の一例を示す図2,4と同様な図である。図5において、おむつ1の防漏堤60Lには逆Z字形に折り畳まれているうちの部分68に粘着性テープ片80が取り付けられている。テープ片80は、Z字形に折り畳まれていて、部分68と向かい合う第1層81と、第1層81に重なる第2層82と、第2層82に重なる第3層83とを有する。第1層81は、第1接着剤91を介して部分68に剥離不能に接合している。第2層82は第1粘着剤92を介して第1層81に剥離可能に接合している。第3層83は第2粘着剤93を介して第2層82に剥離可能に接合している。かようなテープ片80は、第3層83における先端部分84を摘持して矢印Gで示される図5の斜め上方へ引っ張ると、第2層82が第1層81から剥離し、第3層83が第2層82から剥離して、第1層81が部分68に残った状態になるとともに、第1層81、第2層82、第3層83が直状に延びた図6の状態のものとなる。
【0035】
図6は、処理部4の内面シート46を被覆している防漏堤60Lと60Rとが直状に延びたテープ片80によってシールされている状態を示している。中心線C−Cの近傍では防漏堤60Rが下となり、防漏堤60Lが上となるように防漏堤60Lと60Rとが重なっている。防漏堤60Lに取り付けられているテープ片80は、それを直状に伸展させると、第3層83が防漏堤60Lの近位縁62を越えて防漏堤60Rに届くように形成されており、その第3層83が防漏堤60Rと向かい合う面には第2粘着剤93が塗布されているから、その第2粘着剤93を使用してテープ片80の第3層83を防漏堤60Rに対して固定することができる。このようにすれば、防漏堤60Lと60Rとの重なり合う状態をテープ片80によって維持することができ、おむつ1を廃棄するときに処理部4の内面シート46が露出することを確実に防ぐことができる。防漏堤60Lと防漏堤60Rとが重なり合う状態を維持するための防漏堤60Lと防漏堤60Rとに対する接合手段は、図示例のテープ片80に限られるわけではない。たとえば、防漏堤60Rに重なる防漏堤60Lの内面に粘着剤を塗布して、その粘着剤を防漏堤60Rに対する接合手段にすることもできる。
【0036】
これまでの実施形態において、防漏堤60は、Z字形または逆Z字形となるように折り畳まれている三層構造のものであったが、二層構造や四層構造等の三層構造以外の構造のものに代えることもできる。また、防漏堤60は、処理部4における外面シート47を折り畳むことによって形成されていたが、外面シート47とは別体のシートを肌被覆部2の内面シート21や処理部4の内面シート46に接合しておき、その別体のシートを折り畳むことによって形成されていてもよいものである。外面シート47とは別体のシートによって形成される防漏堤60では、外面シート47とは異なる肌触りや通気性、不透水性を持つことができる。
【0037】
図7は、実施形態の一例であるパンツ型の使い捨てのおむつ101の斜視図である。おむつ101は、前胴回り域6を形成する前パネル106と、後胴回り域7を形成する後パネル107と、股下域8を形成する中央パネル108とを含んでいる。前パネル106と後パネル107とは、互いの側縁部106aと107aとが合掌状に重なり合い、間欠的に形成された複数の接合域109において剥離可能に接合して環状の胴回り域111と、胴回り開口112とを形成している。中央パネル108は、その前端部108aの外面が前パネル106の内面に剥離可能または剥離不能な状態で接合している。中央パネル108の後端部108b(図8参照)の外面は、後パネル107の内面に剥離可能または剥離不能な状態で接合している。これら中央パネル108と前後パネル106,107とによって、一対の脚回り開口113が形成されている。なお、図7には、おむつ101の幅方向と、長さ方向と、上下方向とが双頭矢印X,Y,Zで示されている。
【0038】
図8は、図7のおむつ101において前パネル106と後パネル107との接合域109における接合を解いて、前パネル106と後パネル107と中央パネル108とを平面状に展開して得られる展開おむつ101aの部分破断平面図である。展開おむつ101aについての幅方向と長さ方向とは、おむつ101についての幅方向Xと長さ方向Yとに同じである。
【0039】
展開おむつ101aにおける前パネル106は、ホットメルト接着剤123aを介して互いに剥離不能に接合している内面シート121aと外面シート122aとを含んでいる。内面シート121aと外面シート122aとの間には、幅方向Xへ互いに平行して延びる複数条の胴回り弾性部材124aと複数条の補助弾性部材126aとがあって、これら弾性部材124a,126aが内面シート121aと外面シート122aとのうちの少なくとも一方にホットメルト接着剤(図示せず)を介して伸長状態で接合している。後パネル107は、ホットメルト接着剤123bを介して互いに剥離不能に接合している内面シート121bと外面シート122bとを含む。内面シート121bと外面シート122bとの間には幅方向Xへ互いに平行して延びる複数条の胴回り弾性部材124bと複数条の補助弾性部材126bとがあって、これら弾性部材124b,126bが内面シート121bと外面シート122bとのうちの少なくとも一方にホットメルト接着剤(図示せず)を介して伸長状態で接合している。前パネル106と後パネル107とにおいて、内面シート121a,121bと外面シート122a,122bには熱可塑性合成繊維で形成された不織布やプラスチックフィルム、不織布とプラスチックフィルムとの積層体等が使用される。
【0040】
展開おむつ101aにおける中央パネル108には、図2に例示の排泄物処理部4と同じものが使用されている。すなわち、中央パネル108は、図1,2,3に示された処理部4においての芯材45、内面シート46、外面シート47、プラスチックフィルム48を含み、内面シート46がおむつ101および展開おむつ101aにおける股下域8の内面を形成している中央パネルの両側には防漏堤60L,60Rが形成されている。防漏堤60L,60Rは、外面シート47が芯材45から延出する部分を逆Z字形またはZ字形に折り畳むことによって形成されている。防漏堤60L,60Rのそれぞれには、図3の態様にある中間部60cと、図4の態様にある前後端部60a,60bとが含まれている。前後端部60a,60bにおける防漏堤60L,60Rの部分68は、それが重なる部分67に対して剥離可能に接合している。図7のおむつ101における防漏堤60L,60Rは、近位縁62における弾性部材64(図8参照)が収縮することにより、おむつ着用者の肌に向かって内面シートから離間して起立した状態になる。図7には、そのような防漏堤60L,60Rのうちの一方のみが示されている。
【0041】
図9は、図8のIX−IX線切断面によって、中央パネル108の断面構造を示す図である。中央パネル108には、図2に例示の排泄物処理部4とほぼ同じ構造のものが使用されている。ただし、中央パネル108は、処理部4と異なり、芯材45から延出している外面シート47が内面シート46に沿って折り返されることによって部分67と部分68とが重なり合う防漏堤60Lを形成している。防漏堤60Lの遠位縁61は,ホットメルト接着剤47aを介して内面シート46と一体になっている。防漏堤60Lの部分68は、仮想線のごとく内面シート46に重ねると中心線C−Cに重なり、近位縁62が中心線C−Cを越える。
【0042】
図10は、図8のX−X線切断面を示す図である。図10における中央パネル108の断面構造は、図3における処理部4の断面構造にほぼ同じである。ただし、中央パネル108では、外面シート47が内面シート46に沿って折り返されていて、防漏堤60Lの後端部60bを形成しているが、後端部60bにおける部分67が内面シート46の上面に対してホットメルト接着剤66を介して剥離不能に接合している。後端部60bにおける部分68は、ホットメルト接着剤69を介して部分67に対して剥離可能に接合している。この部分68は、たとえば、縁部66bを摘んで矢印Fで示す方向へ引張ることによって、部分68を部分67から剥離して、内面シート46に重ねることができる。図示してはいないが、防漏堤60Lの前端部60a(図8参照)においても、部分68を部分67から剥離して、内面シート46に重ねることができる。
【0043】
図11は、図8の展開おむつ101aにおいて、防漏堤60L,60Rそれぞれにおける部分68を部分76から剥離した後は、処理部4における内面シート46に重ねた状態を示す図4と同様な図である。図7のおむつ101は、前パネル106を後パネル107から剥離して図8の形状の展開おむつ101aとすることによって、体液処理部である中央パネル108の内面シート46を防漏堤60Lと60Rとによって被覆することができる。
【0044】
この発明の実施形態の一つとして、図8における展開おむつ101aの後パネル107に対して図1に例示のファスナー用テープ7b、またはそれに代わる適宜のファスナー用テープを取り付けると、その展開おむつ101aはこの発明における開放型の使い捨てのおむつとして使用することができる。
【0045】
この発明において、使い捨てのおむつとしての使用を妨げない限り、実施形態の一つで採用されている態様を、その他の実施形態に適用することが可能である。たとえば、図4に例示の粘着性テープ80は、実施形態におけるいずれのおむつに対しても適用することが可能である。
【符号の説明】
【0046】
1 使い捨てのおむつ
6 前胴回り域
7 後胴回り域
8 股下域
60,60L,60R 防漏堤
60a、60b 端部
61 遠位縁
62 近位縁
80 接合手段
101 パンツ型の使い捨てのおむつ
106 前パネル
106a 側縁部
107 後パネル
107a 側縁部
108 中央パネル
108a、108b 端部
111 胴回り域
X 幅方向
Y 長さ方向
【技術分野】
【0001】
この発明は、使い捨てのおむつに関する。
【背景技術】
【0002】
使用後のおむつを衛生上または外観上の観点から好ましい形で廃棄できるように改良を施した使い捨ておむつは、従来公知ないし周知である。例えば、実開昭58−22908号公報(特許文献1)に開示された使い捨ておむつ1は、裏面シートに接着テープ片が取り付けられている。そのおむつの一例において、接着テープ片はその一端部が腰回りの中央部に固定され、自由端部が腰回り部から外方向へ延出している。使用後に折り畳んだおむつは、それが開くことがないように接着テープ片で止めておくことができる。
【0003】
また、特開2002−11041号公報(特許文献2)に開示された使い捨てパンツ型おむつは、弾性部材の収縮によってはギャザーの生じることのない股下域に粘着性テープ片が取り付けられている。使用後に上下方向へ二つに折り重ねたおむつは、それが開くことのないように粘着性テープ片によって止めておくことができる。
【0004】
特開平2−4372号公報(特許文献3)に開示されたファスナーシステムは、使い捨ておむつ等の吸収性製品に使用される。例えば、開放型のおむつでは、ファスナーシステムの一例である接着剤テープタブが後胴回り域の両側部に取り付けられている。使用後に丸めたり、折り畳んだおむつは、それが開くことのないように接着剤テープタブを使用して止めておくことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開昭58−22908号公報
【特許文献2】特開2002−11041号公報
【特許文献3】特開平2−4372号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
使用後の汚れたおむつを丸めたり折り畳んだりしてから、おむつをそれが開くことがないように粘着性テープ片等のテープ片で止めておくことは、おむつが乳幼児用の小型のものであって、それを衛生上好ましい形で廃棄しようとする場合において特に効果的である。しかし、おむつによっては、テープ片を使用するだけでは汚れたおむつを衛生上好ましい形に丸めておくことが難しい、という場合がある。
【0007】
この発明によれば、汚れたおむつを衛生上好ましい形に丸めたり畳んだりして廃棄することを可能にする使い捨てのおむつを提供することができる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、対象となるのは、前胴回り域と後胴回り域とこれら両域の間に介在する股下域とを有し、前記股下域は前記前胴回り域と前記後胴回り域とに向かって延びる長さ方向と前記長さ方向に直交する幅方向とを含み、前記股下域の前記幅方向の両側それぞれには前記長さ方向へ延びる防漏堤が形成されている使い捨てのおむつである。
【0009】
かかる使い捨てのおむつにおいて、この発明が特徴とするところは以下のとおりである。すなわち、前記防漏堤は、前記股下域と一体になって前記長さ方向へ延びる遠位縁と、前記遠位縁に並行するとともに前記使い捨てのおむつの着用者の肌に弾性的に接触可能な近位縁とを有していて、前記幅方向において折り畳まれた状態にあり、前記長さ方向における前記防漏堤の両端部では、折り畳まれた前記防漏堤どうしが剥離可能に接合している。前記防漏堤はまた、前記両端部で接合している前記防漏堤どうしを剥離して前記近位縁を前記幅方向の内側に向けて伸展すると、前記両側それぞれに形成された前記防漏堤が互いに部分的に重なり合う。
【0010】
この発明の実施形態の一つにおいて、前記おむつが前記前胴回り域を形成する前パネルと、前記後胴回り域を形成する後パネルと、前記股下域を形成する中央パネルとを有し、これらパネルのそれぞれが前記着用者の肌と向かい合う内面と着衣と向かい合う外面とを含む。前記中央パネルの前記長さ方向における両端部のうちの一端部は前記外面が前記前パネルの前記内面に接合し、前記両端部のうちの他端部は前記外面が前記後パネルにおける前記内面に接合している。前記中央パネルには前記幅方向の両側それぞれに前記防漏堤が形成されていて、前記防漏堤の前記両端部のそれぞれでは折り畳まれた前記防漏堤どうしが剥離可能に接合している。
【0011】
この発明の実施形態の他の一つにおいて、前記防漏堤には、前記防漏堤を前記幅方向の内側に向けて伸展したときに部分的に重なり合う前記防漏堤どうしの重なり合う状態を維持することを可能にする接合手段が形成されている。
【0012】
この発明の実施形態の他の一つにおいて、前記中央パネルは、前記前パネルと前記後パネルとから剥離可能に形成されている。
【0013】
この発明の実施形態の他の一つにおいて、前記使い捨てのおむつがパンツ型のものであって、前記前パネルと前記後パネルとが互いの側縁部において剥離可能に接合している。
【発明の効果】
【0014】
この発明の実施形態である使い捨てのおむつにおいては、防漏堤の両端部それぞれが折り畳まれた状態にある。両端部それぞれでは、折り畳まれて重なり合う防漏堤どうしが剥離可能に接合している。接合している防漏堤の端部を剥離し、防漏堤の近位縁がおむつの幅方向の内側に向くように防漏堤を伸展させると、股下域の両側それぞれに形成されていた防漏堤が互いに部分的に重なり合い、排泄物で汚れている股下域の内面を被覆することができる。このように防漏堤を伸展させてから、おむつを丸めたり畳んだりすれば、おむつを廃棄するときに、排泄物で汚れている股下域の内面が露出することを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】使い捨てのおむつの部分破断平面図。
【図2】図1のII−II線切断面を示す図。
【図3】図1のIII−III線切断面を示す図。
【図4】股下域の内面の一部を防漏堤で被覆している状態を示す図。
【図5】実施形態の一例を示す図2と同様な図。
【図6】防漏堤に形成された接合手段の使用状態を示す図。
【図7】パンツ型の使い捨てのおむつの斜視図。
【図8】図7のおむつから得られる展開おむつの部分破断平面図。
【図9】図8のIX−IX線切断面を示す図。
【図10】図8のX−X線切断面を示す図。
【図11】股下域の内面を防漏堤で被覆している状態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
添付の図面を参照して、この発明の実施形態を説明すると、以下のとおりである。
【0017】
図1は、実施形態の一例である開放型の使い捨てのおむつ1の部分破断平面図である。おむつ1は、肌被覆部2と、排泄物処理部4とを有し、これら肌被覆部2と処理部4との長さ方向と幅方向とが双頭矢印X,Yで示されている。
【0018】
おむつ1の肌被覆部2では、内面シート21と外面シート22とがホットメルト接着剤23を介して接合して、前胴回り域6と、後胴回り域7と、これら両域6,7の間に位置する股下域8とを形成している。内面シート21は、前後胴回り域6,7と股下域8の両側部分8aとにおいて、おむつ着用者(図示せず)の肌と向かい合うおむつ1の内面の一部を形成し、外面シート22は、おむつ着用者の着衣と向かい合うおむつ1の外面を形成している。前胴回り域6では、幅方向Xへ延びる胴回り弾性部材24と補助弾性部材26とが内面シート21と外面シート22との間にあって、両シート21,22の少なくとも一方にホットメルト接着剤(図示せず)を介して伸長状態で接合している。後胴回り域7では、幅方向Xへ延びる胴回り弾性部材27と補助弾性部材28とが内面シート21と外面シート22との間にあって、これら両シート21,22の少なくとも一方にホットメルト接着剤(図示せず)を介して伸長状態で接合している。後胴回り域7の側縁部7aのそれぞれからは、ファスナ用テープ7bが延出している。テープ7bの内面にはメカニカルファスナ7cが取り付けられていて、テープ7bを前胴回り域6におけるランディングゾーン(図示せず)に着脱することができる。股下域8の両側部分8aでは、脚回り弾性部材29が弧を画いて延びていて、内面シート21と外面シート22との少なくとも一方にホットメルト接着剤(図示せず)を介して伸長状態で接合している。内面シート21と外面シート22とには、熱可塑性合成繊維で形成された不織布やプラスチックフィルムを使用することができる。図示例の肌被覆部2は、幅方向Xの寸法を二等分する中心線C−Cに関して対称に形成されている。
【0019】
処理部4は、ホットメルト接着剤41(図3,4参照)を介して内面シート21に取り付けられていて、股下域8の幅方向Xにおける中央部を形成しており、中心線C−Cに平行な両側縁42と、両側縁42に交差して幅方向Xへ延びる前端縁43aと後端縁43bとを有し、おむつ1の内面の一部を形成している。幅方向Xにおいて両側縁42それぞれの内側には両端縁43aと43bとの間に延びる防漏堤60が形成されている。その防漏堤60は、防漏堤60Lと防漏堤60Rとを含んでいる。防漏堤60は、両側縁42のそれぞれに一致して長さ方向Yへ延びる遠位縁61と、前端縁43aを含む前端部60aと、後端縁43bを含む後端部60bと、これら両端部60a,60bの間に位置する中間部60cとを有する。防漏堤60はまた、遠位縁61に並行して長さ方向Yへ延びる近位縁62を有する。近位縁62にはスリーブ63が形成されていて、スリーブ63の内側には長さ方向Yへ延びる弾性部材64がホットメルト接着剤(図示せず)を介して伸長状態で取り付けられていることにより、近位縁62はおむつ着用者(図示せず)の肌に弾性的に接触可能である。処理部4には、後記する芯材45の輪郭が鎖線で示されている。図示例の処理部4は、中心線C−Cに関して対称に形成されている。
【0020】
図2は、図1のII−II線切断面によって処理部4と防漏堤60の中間部60cとの構造を示している。処理部4は、吸水性の芯材45と、芯材45の内面を被覆する透液性の内面シート46と、芯材45の外面を被覆する不透水性または撥水性の外面シート47と、外面シート47と芯材45との間に介在する不透液性のプラスチックフィルム48とを含んでいる。内面シート46は、おむつ1を着用するときに、おむつ着用者の肌と向かい合うものであって、股下域8の内面の一部を形成している。外面シート47は、芯材45の側縁45aから幅方向Xへ延出する部分が処理部4の側縁42において折曲されることにより防漏堤60Lを形成している。
【0021】
芯材45は、粉砕パルプ、粉砕パルプと高吸水性ポリマー粒子との混合物等の吸水性材料の集合体、またはその集合体をティッシュペーパ等の透水性シートで被覆したものによって形成されている。
【0022】
内面シート46は、芯材45の周縁から延出する大きさを有していて、幅方向Xにおいては、図示されているように、芯材45に沿って折り曲げられて芯材45の外面の一部分を覆っている。長さ方向Yにおいて、内面シート46は、芯材45から延出しており(図1参照)、内面シート46と同じように芯材45から延出している外面シート47に重なってホットメルト接着剤47aを介して互いに接合している。内面シート46と芯材45とは、ホットメルト接着剤を介して接合している場合と、接合していない場合とがあり、図では後者の場合が示されている。
【0023】
プラスチックフィルム48は、幅方向Xと長さ方向Yとの寸法が芯材45の寸法とほぼ同じであり、芯材45に対してホットメルト接着剤を介して接合している場合と、接合していない場合とがある。図ではプラスチックフィルム48がホットメルト接着剤48aを介して芯材45と内面シート46とに接合している。
【0024】
外面シート47は、芯材45の周縁から延出する大きさを有している。幅方向Xにおいて、外面シート47が芯材45から延出する部分は、防漏堤60を形成しており、長さ方向Yにおいて、外面シート47が芯材45から延出する部分(図示せず)はホットメルト接着剤47aを介して内面シート46に接合している。外面シート47はまた、ホットメルト接着剤41を介して肌被覆部2の内面シート21に接合している。その内面シート21は、ホットメルト接着剤23を介して外面シート22に接合している。
【0025】
防漏堤60のうちの防漏堤60Lは、処理部4における両側縁42の一方で外面シート47が逆Z字形に折り畳まれることにより形成されている。防漏堤60Rは、両側縁42のもう一方(図1参照)で外面シート47がZ字形(図示せず)に折り畳まれることにより形成されている。折り畳まれた状態の防漏堤60Lは、側縁42において折り返されて遠位縁61を画成している部分67と、幅方向Xの外側に向かって折り返されて部分67に重なっている部分68とを含んでいる。このような防漏堤60Lを有する図1のおむつ1では、それを着用するときに股下域8を長さ方向Yにおいて湾曲させると、防漏堤60Lにおける弾性部材64が収縮し、重なり合っていた部分67と部分68とが伸展し、防漏堤60Lの近位縁62がおむつ着用者の肌に弾性的に接触するように、防漏堤60Lが図2の仮想線のごとくおむつ1の内面から起立する。
【0026】
図3は、図1のIII−III線切断面によって防漏堤60Lの後端部60bの構造を示している。そのIII−III線は、処理部4の後端縁43bの近傍において幅方向Xへ延びている。処理部4における芯材45と、内面シート46と、外面シート47と、プラスチックフィルム48とが重なり合う状態は、図2においてこれらが重なり合う状態と同じである。肌被覆部2における内面シート21と外面シート22が重なり合う状態もまた図2においてこれらが重なり合う状態と同じ状態である。防漏堤60Lは、図2におけるそれと同様に逆Z字形に折り畳まれているが、防漏堤60Lが幅方向Xの内側に向かって折り返されている部分67は、処理部4における内面シート46と外面シート47とに対して、ホットメルト接着剤66を介して剥離不能に接合している。防漏堤60Lが幅方向Xの外側に向かって折り返されている部分68は、それと向かい合う防漏堤60Lの部分67に対してホットメルト接着剤69を介し剥離可能に接合している。ただし、部分68における縁部66bは、長さ方向Yにおいて近位縁62の延長上にあり、縁部66bと向かい合う部分67に対しては非接合状態にある。
【0027】
ここで、おむつ1について剥離可能であるというときの剥離とは、おむつ1を通常の着用方法に従って扱う限り、互いに接合している部分に剥離を生じることはないが、おむつ1の所要部分に対して故意に力を加えると、互いに接合している部分に剥離が生じ、その結果としておむつ1においての所要の目的を達成することができるという場合の剥離を意味している。また、おむつ1について剥離不能であるというときには、おむつ1を通常の方法に従って扱う限り、互いに接合している部分に剥離を生じることがないことを意味していることに加えて、おむつ1においての所要の目的を達成するために所要の部位に故意に力を加えても、その力によっては剥離が生じないことを意味している。また、おむつ1において剥離というときには、互いに接合している部分が、その部分において剥がれて別々になるということを意味する他に、互いに接合している部分の近傍において少なくとも一方の部分が破れることによって互いに接合している部分が実質的な意味において剥離して別々になることをも意味している。おむつ1において、互いに接合している部分を剥離可能な状態にしたり、剥離不能な状態にしたりすることは、ホットメルト接着剤の種類の選択やホットメルト接着剤の単位面積当たりの塗布量の調整、ホットメルト接着剤の塗布面積の調整によって可能になる。
【0028】
防漏堤60Lがこのように形成されているおむつ1では、一方の手で肌被覆部2または処理部4をつかみ、もう一方の手では防漏堤60Lにおける後端部60bの縁部66bを摘むか、または図2に示された近位縁62の近傍を摘んで図3に矢印Fで示される図の上方へ引き上げるようにすると、防漏堤60における部分68を部分67から剥離させることができる。部分68は、剥離後にそれを内面シート46に重ねると縁部66bが中心線C−Cを越えることができるように、幅方向Xの寸法Mが調整されている(図3参照)。このようにして防漏堤60Lにおける後端部60bの部分68を内面シート46に重ねるときには、防漏堤60Lの中間部60c(図1参照)における部分68もまた、図2に仮想線で示されているように、内面シート46に重ねることができ、近位縁62が中心線C−Cを越える。
【0029】
防漏堤60Lの前端部60aの断面構造は、図3における後端部60bの断面構造と実質的に同じであるから、その構造の図示は省略されている。その前端部60aにおいても、防漏堤60Lは逆Z字形に折り畳まれていて、部分67がホットメルト接着剤66(図3参照)を介して内面シート46に剥離不能に接合し、部分68がホットメルト接着剤69を介して部分67に剥離可能に接合している。ただし、部分68における縁部66a(図1参照)は部分67に対して非接合状態にある。それゆえ、前端部60aでは、後端部60bの場合と同様に、縁部66aを摘むか、または防漏堤60の中間部60cにおける近位縁62の近傍を摘んで引っ張ることによって、部分68を部分67から剥離することができる。剥離後の部分68は、それを内面シート46に重ねると中心線C−Cに重なって、縁部66aが中心線C−Cを越える。
【0030】
図4は、使用後のおむつ1を廃棄するときの態様の一例を示す図1と同様な図である。図1のおむつ1において、処理部4は中心線C−Cに関して対称に形成されている。それゆえ、図2,3の防漏堤60Lと対称な関係にあるもう一方の防漏堤60Rについても、前端部60aにおいて重なり合う部分67と部分68とを剥離し、後端部60bにおいても重なり合う部分67と部分68とを剥離して、防漏堤60Rの部分68の全体を処理部4の内面シート46に重ねることができる。その重ねた状態の防漏堤60Rは、図2,3に仮想線で示されているとおりであって、防漏堤60Rは中心線C−Cに重なり、近位縁62と縁部66bとが中心線C−Cを越えている。図4では、そのようにして部分68が内面シート46に重ねてある防漏堤60Lと60Rとが示されている。すなわち、両防漏堤60Lと60Rとは中心線C−C近傍で互いに部分的に重なり合い、おむつ1の内面のうちで防漏堤60Lと60Rとの間にある部分、すなわち内面シート24がそれら防漏堤60Lと60Rとによって被覆されている。
【0031】
おむつ1が使用後のものであれば、処理部4の内面シート46を図4に例示のごとく幅方向Xへ伸展させた防漏堤60Lと60Rとによって被覆すれば、おむつ1が乳幼児用のものであっても大人用のものであっても、内面シート46の汚れや、内面シート46の上にある排泄物が隠れた状態になる。その後に、おむつ1はその全体を丸めたり、畳んだりすることができ、さらにはファスナー用テープ7bを使用して丸めたり、畳んだりした状態を保つこともできる。
【0032】
このようなおむつ1の処理部4において、内面シート46は、熱可塑性合成繊維で形成された透水性の不織布や透水性の開孔プラスチックフィルム等の透水性シート材料によって形成される。外面シート47は、熱可塑性合成繊維で形成された不織布、より好ましくは不透水性または撥水性の不織布や不透水性のプラスチックフィルムによって形成される。外面シート47が不透水性のものである場合には、プラスチックフィルム48を省くことが可能である。また、処理部4は、中心線C−Cに関して対称に形成されていることが好ましいものではあるが、中心線C−Cに関して非対称な形状のものにすることも可能である。例えば、防漏堤60Lにおける部分68の幅方向Xの寸法と、防漏堤60Rにおける部分68の幅方向Xの寸法とが異なる態様の処理部4を使用することも可能である。ただし、その処理部4においても防漏堤60Lの部分68と防漏堤60Rの部分68とを内面シート46に重ねると、部分68と68とが互いに重なり合って内面シート46の全体を被覆することができるように、それぞれの部分68の寸法を調整しておくことが必要である。
【0033】
図1のおむつ1において、ホットメルト接着剤41を介して互いに接合している肌被覆部2と処理部4とは、それぞれの内面シート21と46とがおむつ1における股下域6の内面を形成しているものであるが、これら両部2,4は剥離可能な状態で接合しておくことができる。その状態は、ホットメルト接着剤41の単位面積当たりの塗布量を調整したり、ホットメルト接着剤41の塗布域を調整したりすることによって得ることができる。そのようなおむつ1では、使用後に排泄物で汚れている処理部4を肌被覆部2から剥離して処理部4と肌被覆部2とを分別処理することができる。そのときの処理部4の内面シート46を図4に例示の如く防漏堤60Lと60Rとによって被覆しておくことは、衛生上の観点から好ましいことである。
【0034】
図5,6は、実施形態の一例を示す図2,4と同様な図である。図5において、おむつ1の防漏堤60Lには逆Z字形に折り畳まれているうちの部分68に粘着性テープ片80が取り付けられている。テープ片80は、Z字形に折り畳まれていて、部分68と向かい合う第1層81と、第1層81に重なる第2層82と、第2層82に重なる第3層83とを有する。第1層81は、第1接着剤91を介して部分68に剥離不能に接合している。第2層82は第1粘着剤92を介して第1層81に剥離可能に接合している。第3層83は第2粘着剤93を介して第2層82に剥離可能に接合している。かようなテープ片80は、第3層83における先端部分84を摘持して矢印Gで示される図5の斜め上方へ引っ張ると、第2層82が第1層81から剥離し、第3層83が第2層82から剥離して、第1層81が部分68に残った状態になるとともに、第1層81、第2層82、第3層83が直状に延びた図6の状態のものとなる。
【0035】
図6は、処理部4の内面シート46を被覆している防漏堤60Lと60Rとが直状に延びたテープ片80によってシールされている状態を示している。中心線C−Cの近傍では防漏堤60Rが下となり、防漏堤60Lが上となるように防漏堤60Lと60Rとが重なっている。防漏堤60Lに取り付けられているテープ片80は、それを直状に伸展させると、第3層83が防漏堤60Lの近位縁62を越えて防漏堤60Rに届くように形成されており、その第3層83が防漏堤60Rと向かい合う面には第2粘着剤93が塗布されているから、その第2粘着剤93を使用してテープ片80の第3層83を防漏堤60Rに対して固定することができる。このようにすれば、防漏堤60Lと60Rとの重なり合う状態をテープ片80によって維持することができ、おむつ1を廃棄するときに処理部4の内面シート46が露出することを確実に防ぐことができる。防漏堤60Lと防漏堤60Rとが重なり合う状態を維持するための防漏堤60Lと防漏堤60Rとに対する接合手段は、図示例のテープ片80に限られるわけではない。たとえば、防漏堤60Rに重なる防漏堤60Lの内面に粘着剤を塗布して、その粘着剤を防漏堤60Rに対する接合手段にすることもできる。
【0036】
これまでの実施形態において、防漏堤60は、Z字形または逆Z字形となるように折り畳まれている三層構造のものであったが、二層構造や四層構造等の三層構造以外の構造のものに代えることもできる。また、防漏堤60は、処理部4における外面シート47を折り畳むことによって形成されていたが、外面シート47とは別体のシートを肌被覆部2の内面シート21や処理部4の内面シート46に接合しておき、その別体のシートを折り畳むことによって形成されていてもよいものである。外面シート47とは別体のシートによって形成される防漏堤60では、外面シート47とは異なる肌触りや通気性、不透水性を持つことができる。
【0037】
図7は、実施形態の一例であるパンツ型の使い捨てのおむつ101の斜視図である。おむつ101は、前胴回り域6を形成する前パネル106と、後胴回り域7を形成する後パネル107と、股下域8を形成する中央パネル108とを含んでいる。前パネル106と後パネル107とは、互いの側縁部106aと107aとが合掌状に重なり合い、間欠的に形成された複数の接合域109において剥離可能に接合して環状の胴回り域111と、胴回り開口112とを形成している。中央パネル108は、その前端部108aの外面が前パネル106の内面に剥離可能または剥離不能な状態で接合している。中央パネル108の後端部108b(図8参照)の外面は、後パネル107の内面に剥離可能または剥離不能な状態で接合している。これら中央パネル108と前後パネル106,107とによって、一対の脚回り開口113が形成されている。なお、図7には、おむつ101の幅方向と、長さ方向と、上下方向とが双頭矢印X,Y,Zで示されている。
【0038】
図8は、図7のおむつ101において前パネル106と後パネル107との接合域109における接合を解いて、前パネル106と後パネル107と中央パネル108とを平面状に展開して得られる展開おむつ101aの部分破断平面図である。展開おむつ101aについての幅方向と長さ方向とは、おむつ101についての幅方向Xと長さ方向Yとに同じである。
【0039】
展開おむつ101aにおける前パネル106は、ホットメルト接着剤123aを介して互いに剥離不能に接合している内面シート121aと外面シート122aとを含んでいる。内面シート121aと外面シート122aとの間には、幅方向Xへ互いに平行して延びる複数条の胴回り弾性部材124aと複数条の補助弾性部材126aとがあって、これら弾性部材124a,126aが内面シート121aと外面シート122aとのうちの少なくとも一方にホットメルト接着剤(図示せず)を介して伸長状態で接合している。後パネル107は、ホットメルト接着剤123bを介して互いに剥離不能に接合している内面シート121bと外面シート122bとを含む。内面シート121bと外面シート122bとの間には幅方向Xへ互いに平行して延びる複数条の胴回り弾性部材124bと複数条の補助弾性部材126bとがあって、これら弾性部材124b,126bが内面シート121bと外面シート122bとのうちの少なくとも一方にホットメルト接着剤(図示せず)を介して伸長状態で接合している。前パネル106と後パネル107とにおいて、内面シート121a,121bと外面シート122a,122bには熱可塑性合成繊維で形成された不織布やプラスチックフィルム、不織布とプラスチックフィルムとの積層体等が使用される。
【0040】
展開おむつ101aにおける中央パネル108には、図2に例示の排泄物処理部4と同じものが使用されている。すなわち、中央パネル108は、図1,2,3に示された処理部4においての芯材45、内面シート46、外面シート47、プラスチックフィルム48を含み、内面シート46がおむつ101および展開おむつ101aにおける股下域8の内面を形成している中央パネルの両側には防漏堤60L,60Rが形成されている。防漏堤60L,60Rは、外面シート47が芯材45から延出する部分を逆Z字形またはZ字形に折り畳むことによって形成されている。防漏堤60L,60Rのそれぞれには、図3の態様にある中間部60cと、図4の態様にある前後端部60a,60bとが含まれている。前後端部60a,60bにおける防漏堤60L,60Rの部分68は、それが重なる部分67に対して剥離可能に接合している。図7のおむつ101における防漏堤60L,60Rは、近位縁62における弾性部材64(図8参照)が収縮することにより、おむつ着用者の肌に向かって内面シートから離間して起立した状態になる。図7には、そのような防漏堤60L,60Rのうちの一方のみが示されている。
【0041】
図9は、図8のIX−IX線切断面によって、中央パネル108の断面構造を示す図である。中央パネル108には、図2に例示の排泄物処理部4とほぼ同じ構造のものが使用されている。ただし、中央パネル108は、処理部4と異なり、芯材45から延出している外面シート47が内面シート46に沿って折り返されることによって部分67と部分68とが重なり合う防漏堤60Lを形成している。防漏堤60Lの遠位縁61は,ホットメルト接着剤47aを介して内面シート46と一体になっている。防漏堤60Lの部分68は、仮想線のごとく内面シート46に重ねると中心線C−Cに重なり、近位縁62が中心線C−Cを越える。
【0042】
図10は、図8のX−X線切断面を示す図である。図10における中央パネル108の断面構造は、図3における処理部4の断面構造にほぼ同じである。ただし、中央パネル108では、外面シート47が内面シート46に沿って折り返されていて、防漏堤60Lの後端部60bを形成しているが、後端部60bにおける部分67が内面シート46の上面に対してホットメルト接着剤66を介して剥離不能に接合している。後端部60bにおける部分68は、ホットメルト接着剤69を介して部分67に対して剥離可能に接合している。この部分68は、たとえば、縁部66bを摘んで矢印Fで示す方向へ引張ることによって、部分68を部分67から剥離して、内面シート46に重ねることができる。図示してはいないが、防漏堤60Lの前端部60a(図8参照)においても、部分68を部分67から剥離して、内面シート46に重ねることができる。
【0043】
図11は、図8の展開おむつ101aにおいて、防漏堤60L,60Rそれぞれにおける部分68を部分76から剥離した後は、処理部4における内面シート46に重ねた状態を示す図4と同様な図である。図7のおむつ101は、前パネル106を後パネル107から剥離して図8の形状の展開おむつ101aとすることによって、体液処理部である中央パネル108の内面シート46を防漏堤60Lと60Rとによって被覆することができる。
【0044】
この発明の実施形態の一つとして、図8における展開おむつ101aの後パネル107に対して図1に例示のファスナー用テープ7b、またはそれに代わる適宜のファスナー用テープを取り付けると、その展開おむつ101aはこの発明における開放型の使い捨てのおむつとして使用することができる。
【0045】
この発明において、使い捨てのおむつとしての使用を妨げない限り、実施形態の一つで採用されている態様を、その他の実施形態に適用することが可能である。たとえば、図4に例示の粘着性テープ80は、実施形態におけるいずれのおむつに対しても適用することが可能である。
【符号の説明】
【0046】
1 使い捨てのおむつ
6 前胴回り域
7 後胴回り域
8 股下域
60,60L,60R 防漏堤
60a、60b 端部
61 遠位縁
62 近位縁
80 接合手段
101 パンツ型の使い捨てのおむつ
106 前パネル
106a 側縁部
107 後パネル
107a 側縁部
108 中央パネル
108a、108b 端部
111 胴回り域
X 幅方向
Y 長さ方向
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前胴回り域と後胴回り域とこれら両域の間に介在する股下域とを有し、前記股下域は前記前胴回り域と前記後胴回り域とに向かって延びる長さ方向と前記長さ方向に直交する幅方向とを含み、前記股下域の前記幅方向の両側それぞれには前記長さ方向へ延びる防漏堤が形成されている使い捨てのおむつであって、
前記防漏堤は、前記股下域と一体になって前記長さ方向へ延びる遠位縁と、前記遠位縁に並行するとともに前記使い捨ておむつの着用者の肌に弾性的に接触可能な近位縁とを有していて、前記幅方向において折り畳まれた状態にあり、前記長さ方向における前記防漏堤の両端部では、折り畳まれた前記防漏堤どうしが剥離可能に接合しており、
前記防漏堤はまた、前記両端部で接合している前記防漏堤どうしを剥離して前記近位縁を前記幅方向の内側に向けて伸展すると、前記両側それぞれに形成された前記防漏堤が互いに部分的に重なり合うことを特徴とする前記使い捨てのおむつ。
【請求項2】
前記おむつが前記前胴回り域を形成する前パネルと、前記後胴回り域を形成する後パネルと、前記股下域を形成する中央パネルとを有し、これらパネルのそれぞれが前記着用者の肌と向かい合う内面と着衣と向かい合う外面とを含み、前記中央パネルの前記長さ方向における両端部のうちの一端部は前記外面が前記前パネルの前記内面に接合し、前記両端部のうちの他端部は前記外面が前記後パネルにおける前記内面に接合しており、前記中央パネルには前記幅方向の両側それぞれに前記防漏堤が形成されていて、前記防漏堤の前記両端部のそれぞれでは折り畳まれた前記防漏堤どうしが剥離可能に接合している請求項1記載の使い捨てのおむつ。
【請求項3】
前記防漏堤には、前記防漏堤を前記幅方向の内側に向けて伸展したときに部分的に重なり合う前記防漏堤どうしの重なり合う状態を維持することを可能にする接合手段が形成されている請求項1または2記載の使い捨てのおむつ。
【請求項4】
前記中央パネルが、前記前パネルと前記後パネルとから剥離可能に形成されている請求項2または3記載の使い捨てのおむつ。
【請求項5】
前記使い捨てのおむつがパンツ型のものであって、前記前パネルと前記後パネルとが互いの側縁部において剥離可能に接合している請求項2〜4のいずれかに記載の使い捨てのおむつ。
【請求項1】
前胴回り域と後胴回り域とこれら両域の間に介在する股下域とを有し、前記股下域は前記前胴回り域と前記後胴回り域とに向かって延びる長さ方向と前記長さ方向に直交する幅方向とを含み、前記股下域の前記幅方向の両側それぞれには前記長さ方向へ延びる防漏堤が形成されている使い捨てのおむつであって、
前記防漏堤は、前記股下域と一体になって前記長さ方向へ延びる遠位縁と、前記遠位縁に並行するとともに前記使い捨ておむつの着用者の肌に弾性的に接触可能な近位縁とを有していて、前記幅方向において折り畳まれた状態にあり、前記長さ方向における前記防漏堤の両端部では、折り畳まれた前記防漏堤どうしが剥離可能に接合しており、
前記防漏堤はまた、前記両端部で接合している前記防漏堤どうしを剥離して前記近位縁を前記幅方向の内側に向けて伸展すると、前記両側それぞれに形成された前記防漏堤が互いに部分的に重なり合うことを特徴とする前記使い捨てのおむつ。
【請求項2】
前記おむつが前記前胴回り域を形成する前パネルと、前記後胴回り域を形成する後パネルと、前記股下域を形成する中央パネルとを有し、これらパネルのそれぞれが前記着用者の肌と向かい合う内面と着衣と向かい合う外面とを含み、前記中央パネルの前記長さ方向における両端部のうちの一端部は前記外面が前記前パネルの前記内面に接合し、前記両端部のうちの他端部は前記外面が前記後パネルにおける前記内面に接合しており、前記中央パネルには前記幅方向の両側それぞれに前記防漏堤が形成されていて、前記防漏堤の前記両端部のそれぞれでは折り畳まれた前記防漏堤どうしが剥離可能に接合している請求項1記載の使い捨てのおむつ。
【請求項3】
前記防漏堤には、前記防漏堤を前記幅方向の内側に向けて伸展したときに部分的に重なり合う前記防漏堤どうしの重なり合う状態を維持することを可能にする接合手段が形成されている請求項1または2記載の使い捨てのおむつ。
【請求項4】
前記中央パネルが、前記前パネルと前記後パネルとから剥離可能に形成されている請求項2または3記載の使い捨てのおむつ。
【請求項5】
前記使い捨てのおむつがパンツ型のものであって、前記前パネルと前記後パネルとが互いの側縁部において剥離可能に接合している請求項2〜4のいずれかに記載の使い捨てのおむつ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−212340(P2011−212340A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−84584(P2010−84584)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(000115108)ユニ・チャーム株式会社 (1,219)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(000115108)ユニ・チャーム株式会社 (1,219)
【Fターム(参考)】
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