説明

使い捨て便座カバー

【課題】排泄物を排泄して便座の下面に飛散した場合であっても、便座の下面を汚すことなく、便座を清潔に保つことができるとともに、容易にその機能が損なわれることがない使い捨て便座カバーを提供する。
【解決手段】着座式便器100の便座102に装着する使い捨て便座カバー1において、前記便座102の平面形状に即して形成される難溶解性のカバー本体と、カバー本体の一方の面に設けられ便座102の下面に固定可能な固定手段とを有する下面カバーを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着座式便器の便座を覆う使い捨て便座カバーに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、着座式便器(洋式便器)は、排泄物を受ける便器本体と、使用者が排泄するために着座する便座とを備える。そして、便座には、使用者が着座しつつ排泄した排泄物を便器本体に排泄可能な開口部が設けられている。
【0003】
公共の場などに設置される着座式便器は、不特定多数の者と共用するため、衛生面に配慮する必要がある。そこで、このような場に設置されるトイレ設備には、各使用者が着座式便器の便座に被せ、その上に着座して排泄することで、各使用者の臀部が便座に直接触れないようにした使い捨て便座カバーが提供されるところがある。この使い捨て便座カバーは、便座の上面を覆うシートであり、水溶性の紙で製造されている(例えば、特許文献1等)。そして、この使い捨て便座カバーには、便座の開口部に沿って開口するように、略馬蹄形の切り目線が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平 7−231862号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、使用者が排泄物を排泄した際に、その排泄物や便器本体に溜められている水が飛散して、便座の下面を汚してしまうことがある。便座の下面が排泄物等で汚されたままにされてしまうと、便座を清潔に保つことができなくなる。そこで、本願出願人は、便座の下面に装着する使い捨て便座カバーを提案している(特願2011−005959号参照)。この便座カバーによると、便座の下面に排泄物等が飛散した場合であっても、便座の下面を汚すことなく、便座を清潔に保つことができる。
【0006】
ところが、公共の場などに設置される着座式便器は、不特定多数の者が使用するため、その使用者の使用様態によって、便座に飛散する排泄物等の量もその飛散の程度も様々である。特に、便座の下面に飛散する排泄物等に水分が多く含まれていると、使い捨て便座カバーが溶解するなどして、その機能(例えば、強度)が損なわれることがある。
【0007】
そこで、本発明は、斯かる実情に鑑み、排泄物を排泄して便座の下面に飛散した場合であっても、便座の下面を汚すことなく、便座を清潔に保つことができるとともに、容易にその機能が損なわれることがない使い捨て便座カバーを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る使い捨て便座カバーは、着座式便器の便座に装着する使い捨て便座カバーにおいて、前記便座の平面形状に即して形成される難溶解性のカバー本体と、該カバー本体の一方の面に設けられ便座の下面に固定可能な固定手段とを有する下面カバーを少なくとも備えることを特徴とする。
【0009】
上記構成の使い捨て便座カバーは、使用者によって、下面カバーを着座式便座の下面に(固定手段で固定することにより)装着する。この使用者が排泄物を排泄した際、下面カバーで便座の下面に飛散した排泄物等を受けることができ、便座の下面に飛散する排泄物等が便座の下面に付着するのを阻止できる。例え、便座の下面に飛散する排泄物等に水分が多く含まれていたとしても、難溶解性を有する下面カバーのカバー本体に排泄物等が飛散するため、その排泄物等に含まれる水分によって、カバー本体は、その強度が容易に損なわれないようになっている。したがって、この使い捨て便座カバーは、便座の下面を汚すことなく、便座を清潔に保つことができるとともに、容易にその機能が損なわれることがない。
【0010】
本発明の一様態として、前記便座の平面形状に即して形成される難溶解性のカバー本体と、該カバー本体の一方の面に設けられ便座の上面に固定可能な固定手段とを有する上面カバーを備えることが好ましい。
【0011】
かかる構成によれば、使用者によって、上面カバーを着座式便器の便座の上面に(固定手段で固定することにより)装着するとともに、下面カバーをその便座の下面に(固定手段で固定することにより)装着する。この使用者が排泄物を排泄する際、上面カバーで臀部が直接便座の上面に触れることがなく、下面カバーで便座の下面に排泄物等が付着するのを阻止できる。例え、使用者が排泄する過程で汗を大量にかいた場合であっても、難溶解性を有する上面カバーのカバー本体に汗が付着するため、その汗によって、カバー本体は、その強度が容易に損なわれないようになっている。したがって、この使い捨て便座カバーは、便座の下面を汚すことなく、便座を清潔に保つことができるとともに、容易にその機能が損なわれることがない。
【0012】
本発明の一様態として、前記下面カバーは、前記便座の上面及び下面の何れにも装着可能であることが好ましい。
【0013】
かかる構成によれば、使用者によって、下面カバーを便座の上面に装着することができ、又は、便座の下面に装着することができる。すなわち、この下面カバーは、便座の上面及び下面の両方に対応している。よって、この使用者が排泄物を排泄する際、便座の上面に装着された下面カバーで臀部が直接便座の上面に触れることがなく、下面に装着された下面カバーで便座の下面に排泄物等が付着するのを阻止できる。例え、便座の下面に飛散する排泄物等に水分が多く含まれていたとしても、難溶解性を有する下面カバーのカバー本体に排泄物等が飛散するため、その排泄物等に含まれる水分によって、カバー本体は、その強度が容易に損なわれないようになっている。したがって、この使い捨て便座カバーは、便座の下面を汚すことなく、便座を清潔に保つことができるとともに、容易にその機能が損なわれることがない。
【発明の効果】
【0014】
以上のように、本発明の使い捨て便座カバーによれば、排泄物を排泄して便座の下面に飛散した場合であっても、便座の下面を汚すことなく、便座を清潔に保つことができるとともに、容易にその機能が損なわれることがないという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態に係る使い捨て便座カバーを便座に取り付けた状態の着座式便器及び給水タンクの全体斜視図を示す。
【図2】同実施形態に係る使い捨て便座カバーの上面カバー及び下面カバーの斜視図を示す。
【図3】同実施形態に係る便座カバー収納ユニットを給水タンクに載置した状態の全体斜視図を示す。
【図4】(a)は、同実施形態に係る便座カバー収納ユニットの保持板の斜視図を示し、(b)は、(a)の矢視A−A線で切断した保持板の断面図を示す。
【図5】他の実施形態に係る便座カバー収納ユニットを給水タンクに載置した状態の全体斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態に係る使い捨て便座カバーについて、添付図面を参照しつつ説明する。使い捨て便座カバーの説明に先立ち、該使い捨て便座カバーを用いる着座式便器及び給水タンクについて、図1を参酌しつつ説明する。かかる着座式便器100は、使用者が着座して排泄物を排泄する形式の便器である。着座式便器100は、上面に設けられる開口部101bから使用者の排泄物を受ける便器本体101と、使用者が排泄物を排泄するために便器本体101の開口部101bの縁部上に載置される便座102と、便座102上に載置されて便器本体101の開口部101bを閉鎖する蓋103とを備える。
【0017】
便器本体101は、使用者の排泄物を受けて一時的に溜める貯留部101aと、該貯留部101aの上面に形成される略楕円形状の開口部101bと、貯留部101aに溜められた排泄物を排出する排出部(図示せず)とを備える。貯留部101aは、臭気封止用の溜り水が所定水位まで蓄えられており、使用者により排泄された排泄物は、この溜り水の中に排泄される。なお、ここで言う排泄物とは、糞尿(大便と小便)を指すものとする。
【0018】
一方、給水タンク110は、着座式便器100の背面(使用者が着座したときに背中と対向する面)に配置され、便器本体101の貯留部101aに溜められた排泄物を排出部に押し流す水を蓄え、便器本体101に給水するタンクである。給水タンク110は、この水を蓄え、栓の開閉により所定量の水を便器本体101に供給可能な貯水部110aと、該貯水部110aに給水すると同時に手洗い等のために使用者に給水する給水ノズル110bと、該給水ノズル110bから供給された水を受けて貯水部110aに案内する受水鉢110cとを備える。給水ノズル110bは、貯水部110aの上面に設けられ、上方に向かって延出され先端側で前方側に湾曲して下方に向かって吐出する管状のノズルである。
【0019】
次に、本発明の一実施形態に係る使い捨て便座カバーについて、図1及び図2を参酌しつつ説明する。かかる使い捨て便座カバー1は、使用後に便器本体101の貯留部101aに廃棄せずに、便器本体101に隣接して設けられる屑箱に廃棄することを想定して製作される。この使い捨て便座カバー1は、便座102の平面形状(上面の形状)に形成される上面カバー2と、便座102の平面形状(下面の形状)に形成される下面カバー3とを備える。
【0020】
上面カバー2は、具体的には、上面(図1の上側)全範囲を覆うように形成される。そして、上面カバー2は、本実施形態に係る便座102が略中心に楕円形状の開口部101bを有する環状のO型であるため、この開口部に合致する開口も形成されている。下面カバー3は、便座102の下面全範囲を覆うように形成され、便座102の開口部に合致する開口が形成されている。そして、上面カバー2及び下面カバー3は、それぞれ、難溶解性を有するカバー本体2a,3aと、該カバー本体2a,3aをその便座102の上面又は下面と対向する面に固定可能な固定手段2b,…,3b,…と、カバー本体2a,3aを貫通して形成される開口部2c,2c,3c,3cとを備える。
【0021】
本実施形態に係る上面カバー2及び下面カバー3は、便座の上面及び下面が略相似形をしており、製造工程を簡略化する観点からも、形状が同一となるように形成されている。すなわち、上面カバー2及び下面カバー3とは、それぞれが兼用可能に形成されている。
【0022】
また、上面カバー2及び下面カバー3は、一方の面に固定手段2b,…,3b,…を有し、使用後に便座102の上面又は下面から剥がす際に容易に裂けにくいように成形されている。特に、下面カバー3の場合は、排泄物などが付着することにより強度が低下しやすく、排泄物が付着した部分を残して裂けてしまうようなことを防止することも目的としている。具体的には、上面カバー2及び下面カバー3は、硬質の材質で厚手に成形されるか、トイレットペーパーなどの水溶性の紙を複数枚重ねて強度を高めて、水分を含ませても容易に溶解しないように厚手に成形されている。水溶性の紙同士は、それぞれが容易に剥がれないように、例えば、溶融しやすい片栗粉などでそれぞれが接着されている。
【0023】
固定手段2b,…,3b,…は、位置ずれすることがなく装着できるように便座102の上面又は下面に粘着可能な粘着シール(粘着部)であり、同一面に所定間隔空けて複数箇所設けられている。なお、固定手段2b,…,3b,…は、水分を与えると接着力が出る接着のりが塗布された接着層であってもよい。
【0024】
開口部2c,2c,3c,3cは、便座102に装着した際に便座102の奥手に対応する位置に設けられている。この開口部2c,2c,3c,3cは、複数設けられ、本実施形態では、2箇所設けられている。
【0025】
次に、同実施形態に係る便座カバー収納ユニットについて、図3及び図4(a),図4(b)を参酌しつつ説明する。かかる便座カバー収納ユニット4は、給水タンク110の上面に載置されて、使い捨て便座カバー1を収納可能なユニットである例を説明する。但し、便座カバー収納ユニット4の設置場所は、給水タンク110の上面に限定されるものではなく、トイレ設備の壁面に壁掛けされてもよい。便座カバー収納ユニット4は、上面カバー2及び下面カバー3を収納する収納部41と、該収納部41の前面に配置される耐水性のパネル42とを備える。
【0026】
収納部41は、図3、図4(a)及び図4(b)に示すように、上面カバー2及び下面カバー3を保持可能な保持板41a(特に、図4(a)参照)と、該保持板41aを挿入可能なスリットを有する格納部41b(特に、図3参照)とを備える。保持板41aは、平面状の保持板本体41cと、上面カバー2及び下面カバー3を引っ掛ける掛止部材41d,41dとを備える。
【0027】
パネル42は、図3に示すように、収納部41の前面から所定間隔離間して固定する耐水性のパネル本体42aと、給水タンク110の給水ノズル110bに下部を掛止可能な凹部42bと、下端を上端側に向けて折り返して形成される樋部42cと、該樋部42cで受けた水を受水鉢110cに案内する案内部42dとを備える。
【0028】
パネル本体42aは、収納部41の前面との間で形成されるスリット状の隙間に挿入して、装飾用シート部材42fを装着可能なシート装着部42eと、該シート装着部42eに装着される装飾用シート部材42fを外部から視認可能に覆うカバー部42gとを備える。なお、装飾用シート部材42fとは、カレンダーやポスター、絵画などである。
【0029】
次に、同実施形態に係る使い捨て便座カバー1の使用方法について、図1及び図2を参酌しつつ説明する。まず、使用者は、着座式便器100の便座102を跳ね上げて、下面カバー3をその便座102の下面側に装着する。続けて、使用者は、便座102を元に(便器本体101aの開口縁部に載置した状態に)戻して、その上面カバー2をその便座102の上面側に装着する。このとき、上面カバー2及び下面カバー3は、それぞれが便座102に固定手段2b,…,3b,…にて接着されており、容易に剥がれたりずれないように装着されている。
【0030】
以上のように、本実施形態に係る使い捨て便座カバー1は、使用者によって、上面カバー2を着座式便器100の便座102の上面に(固定手段2b,…を接着することにより)装着するとともに、下面カバー3をその便座102の下面に(固定手段3b,…を接着することにより)装着する。また、上面カバー2及び下面カバー3は、便座102の上面及び下面の両方に対応しており、下面カバー3を便座102の上面に装着することができ、上面カバー3を便座102の下面に装着することができる。
【0031】
この使用者が排泄物を排泄する際、上面カバー2で臀部が直接便座102の上面に触れることがなく、下面カバー3で便座102の下面に飛散した排泄物等が付着するのを阻止できる。例え、使用者が排泄する過程で汗を大量にかいた場合であっても、難溶解性を有する上面カバー2のカバー本体2aに汗が付着するため、その汗によって、上面カバー2のカバー本体2aは、その強度が容易に損なわれないようになっている。また、便座102の下面に飛散する排泄物等に水分が多く含まれていたとしても、難溶解性を有する下面カバー3のカバー本体3aに排泄物等が飛散するため、その排泄物等に含まれる水分によって、カバー本体3aは、その強度が容易に損なわれないようになっている。したがって、この使い捨て便座カバー1は、便座102の下面を汚すことなく、便座102を清潔に保つことができるとともに、容易にその機能が損なわれることがない。
【0032】
次に、同実施形態に係る便座カバー収納ユニット4の使用方法について、図3、図4(a)及び図4(b)を参酌しつつ説明する。すなわち、便座カバー収納ユニット4から上面カバー2又は下面カバー3(以下、単に「カバー2,3」と略す)を収納する場合若しくは取り出す場合について、説明する。使用者は、格納部41bに挿入された保持板41aを側面方向にスライドすることにより引き出す。引き出された保持板41aには、その正面側にカバー2,3が掛止部材41d,41dに引っ掛けられている。カバー2,3は、複数枚重ね合わされていることによりその強度が高く、特に開口部2c,2c,3c,3cが割けて脱落しないように保持されている。
【0033】
使用者は、カバー2,3を収納する場合であれば、この重ね合わされたカバー2,3に更に重ね合わせて収納する。使用者は、カバー2,3を取り出す場合であれば、この重ね合わされたカバー2,3の最上部のカバー2,3を取り外して使用する。
【0034】
以上のように、かかる便座カバー収納ユニット4は、カバー2,3の形状を崩すことなく収納することができる。また、給水タンク110上に載置される便座カバー収納ユニット4は、給水ノズル110bから受水鉢110cに供給されて飛散した水を耐水性のパネル42でカバーして使い捨て便座カバー1が濡れないように収納することができる。
【0035】
便座カバー収納ユニット4は、給水ノズル110bを凹部42bで掛止することにより、給水タンク110上に立て掛けることができる。また、便座カバー収納ユニット4は、パネル42に飛散した水をパネル42の下端に設けられた樋部42cで受け、該樋部42cで受けた水を案内部42d,42dで案内して受水鉢110cに排水することができ、給水タンク110上を水浸しにしないようにすることができる。また、カバー2,3の前面に装飾用シート部材42fを装着することができ、便座カバー収納ユニット4を見栄えよくすることができる。
【0036】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加え得ることは勿論のことである。
【0037】
上記実施形態において、着座式便器100がO型の便座102を備える例に説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、便器は、正面側を切り欠いて上面から見た形状がUの字状のU型の便座であってもよい。この場合、上面カバーは、このU型の便座の上面形状に沿って形成され、下面カバーは、このU型の便座の下面を覆う面積を有するように形成されるようにしてもよい。
【0038】
上記実施形態において、便座102の上面を1枚の上面カバー2で覆い、便座102の下面を1枚の下面カバー3で覆う使い捨て便座カバー1の例を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、上面カバー又は下面カバーが左右2分割となっていて、これらを組み合わせることにより、便座の上面又は下面を覆うようにしてもよい。
【0039】
上記実施形態において、上面カバー2及び下面カバー2の両方を備える例を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、一般家庭などで使用される便座カバーであれば、便座102の上面に上面カバーを装着しない場合もあり、このような場合には、便座カバーは、(上面カバーを備えておらず)下面カバーのみを備えるものであってもよい。また、下面カバーは、難溶解性のカバー本体を用いるようにして、上面カバーは、従来より使用されている水溶性のカバー本体を用いるようにしてもよい。
【0040】
上記実施形態において、使用者が使い捨て便座カバー1を使用した後、上面カバー2と下面カバー3とを便座102から取り外す例を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、下面カバー3のみに排泄物等が付着したために使い捨て便座カバーを取り替える場合、上面カバー2を取り外さずに、下面カバー3のみを取り外すようにしてもよい。また、下面カバー3に排泄物等が付着しなかったため取り替える必要がない場合、上面カバー2のみ取り外し、下面カバー3を取り外さずに取り付けたままにしてもよい。
【0041】
上記実施形態において、便座カバー収納ユニット4の収納部41及びパネル42が、それぞれが収納する上面カバー2及び下面カバー3を保持する保持板41a、そして、装飾用シート部材42fを側面方向(図3の左右方向)から出し入れ可能な構造とする例を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、図5に示すように、便座カバー収納ユニット204は、上面カバー及び下面カバーを保持する保持板を上面(図面の上方向)から挿入可能な収納部241と、上面から装飾用シート部材を挿入すべく、該収納部241の前面に配置されるパネル242とを備えるようにしてもよい。
【0042】
上記実施形態において、上面カバー2は、便座の上面の形状に形成される例を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、上面カバーは、具体的には、上面(図1の上側)及び正面(図1の紙面手前側)から背面(図1の紙面奥手側)に至るまでの両側面(図1の左右方向)の範囲に沿うように立体形成されていてもよい。そして、上面カバーは、本実施形態に係る便座102が略中心に楕円形状の開口部を有する環状のO型であるため、この開口部の内側の側面に沿うようにも形成されることが好ましい。
【0043】
このような形状の上面カバーは、便座102の形状に成型された金型に水を含ませた原紙を当て、加熱プレスして成形され、若しくは、金型に原紙を当て、蒸気を吹きかけて成形されている。また、上面カバーは、便座102の形状に成型された金型に型押しして成形するようにしてもよい。
【0044】
上記実施形態において、便座カバー収納ユニット4は、パネル42を備える例を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、便座カバー収納ユニットは、パネルを備えていない場合も含まれ、更には、収納部も格納部を備えていない場合であってもよい。
【0045】
上記実施形態において、便座カバー収納ユニット4は、収納部241に上面カバー2と下側カバー3とが一枚づつ交互に収納され、すべて固定手段2b,…,3b,…が同一方向に向けて収納される例を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、便座カバー収納ユニット4は、上面カバー2と下側カバー3との固定手段2b,…,3b,…がそれぞれ対向するようセットにして収納されていてもよい。また、便座カバー収納ユニットは、上面カバーと下面カバーとが異なる形状である場合、上面カバーを収納する第1収納部と、下面カバーを収納する第2収納部とがそれぞれ備えられていてもよい。
【0046】
上記実施形態において、便座カバー1は、更に、消臭効果や抗菌効果が付加されるものであってもよい。
【0047】
上記実施形態において、便座カバー1の上面カバー2及び下面カバー3は、容易に裂けることがないように硬く成形されており、形成される例を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、上面カバー及び下面カバーは、多重に重ね合わせた水溶性の紙を熱圧縮して接合したものや、ニードルパンチで接合したもの、接着剤で接着させて接合したものであってもよい。
【0048】
上記実施形態において、上面カバー2及び下面カバー3が保持板41aの掛止部材41d,41dに開口部2c,2c,3c,3cを通して掛止する例を説明したが、これに限定されるものではなく、上面カバー2及び下面カバー3に開口部に相当する開口を形成せず、保持板41aの掛止部材41d,41dを突き刺すことにより、保持板41aに保持するようにしてもよい。
【0049】
上記実施形態において、上面カバー2及び下面カバー3のカバー本体2a,3aが難溶解性を有する例を説明したが、これに限定されるものではなく、上面カバー及び下面カバーは、複数枚の紙を多重に重ね合わせて厚手に成形されて難溶解性を有するようにした部材であってもよいし、難溶解性を有する材料で成形した部材であってもよいし、また、非溶解性を有する材料(例えば、合成樹脂など)で成形されたものであってもよい。また、上面カバー及び下面カバーは、撥水性を有する部材で成形されたものとして、飛散した排泄物等に含まれる水分を撥水して、容易に溶解しないよう成形されたものであってもよいし、耐水性を有する部材で成形されたものとして、付着した水分に対して容易に溶解しないよう成形されたものであってもよい。また、上面カバー及び下面カバーは、難溶解性、非溶解性、撥水性又は耐水性を有する部材を一方の面に積層させ又は貼着させて(ラミネート加工)、その一方の面のみが難溶解性、非溶解性、撥水性又は耐水性を有するように加工させたものであってもよい。
【符号の説明】
【0050】
1…使い捨て便座カバー、2…上面カバー、2a…カバー本体、2b…固定手段、2c…開口部、3…下面カバー、3a…カバー本体、3b…固定手段、3c…開口部、4…便座カバー収納ユニット、41…収納部、41a…保持板、41b…格納部、41c…保持板本体、41d…掛止部材、42…パネル、42a…パネル本体、42b…凹部、42c…樋部、42d…案内部、42e…シート装着部、42f…装飾用シート部材、42g…カバー部、100…着座式便器、101…便器本体、101a…貯留部、101b…開口部、102…便座、103…蓋、110…給水タンク、110a…貯水部、110b…給水ノズル、110c…受水鉢、204…便座カバー収納ユニット、241…収納部、242…パネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
着座式便器の便座に装着する使い捨て便座カバーにおいて、
前記便座の平面形状に即して形成される難溶解性のカバー本体と、該カバー本体の一方の面に設けられ便座の下面に固定可能な固定手段とを有する下面カバーを少なくとも備えることを特徴とする使い捨て便座カバー。
【請求項2】
前記便座の平面形状に即して形成される難溶解性のカバー本体と、該カバー本体の一方の面に設けられ便座の上面に固定可能な固定手段とを有する上面カバーを備える請求項1に記載の使い捨て便座カバー。
【請求項3】
前記下面カバーは、前記便座の上面及び下面の何れにも装着可能である請求項1に記載の使い捨て便座カバー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−179249(P2012−179249A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−44332(P2011−44332)
【出願日】平成23年3月1日(2011.3.1)
【出願人】(506145441)
【Fターム(参考)】