説明

使い捨て吸収性物品およびアウタ型吸収性物品

【課題】液状排泄物の幅方向外側への漏出を防止し、液状排泄物が漏出し難い使い捨て吸収性物品を提供する。
【解決手段】アウタ型吸収性物品の内面側に配設して使用する使い捨て吸収性物品1であって、表面シート4と、裏面シート5と、表面シート4と裏面シート5との間に位置する吸収体6とを有する吸収性物品本体3を備える。この吸収性物品本体3は、長手方向と幅方向を有する。表面シート4は、表面側中央部8と裏面側両側部10とを有する。裏面シート5は、裏面側中央部12と裏面側両側部14とを有する。また、表面側中央部8および裏面側中央部12を透液性に形成し、表面側両側部10および裏面側両側部14を不透液性に形成する。さらに、表面側中央部8および裏面側中央部12は、吸収体6の幅方向両側縁より内側に位置しかつ裏面側中央部12の幅方向長さaが表面側中央部8の幅方向長さbより短い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、子供用、大人用あるいは失禁用の使い捨て吸収性物品およびこの使い捨て吸収性物品が配設されるアウタ型吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、アウタ型吸収性物品と呼ばれるいわゆるパンツ形状で着用する使い捨ておむつに併用され、インナパッドとして使用される使い捨て吸収性物品としては、透液性の表面シートと、不透液性の裏面シートとの間に吸収体を配設した構成が一般的である。このような使い捨て吸収性物品の場合、例えば尿等の液状排泄物は、前記表面シートを透過して前記吸収体にて吸収できるものの、前記吸収体が液状排泄物にて飽和状態になると、液状排泄物を吸収できず、使い捨て吸収性物品から漏出するおそれがある。そこで、吸収体にて液状排泄物を吸収できない場合に、アウタ型吸収性物品の吸収体に液状排泄物を吸収させて漏出を防止するものとして、表面シートおよび裏面シートを透液性のシートにて形成し、前記裏面シートの外面側の略全域を覆う不透液性のバックシートが前記裏面シートに接合された構成のものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特許第3519267号公報(第2−5頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述した特許文献1の構成では、表面シートおよび裏面シートが透液性であるので、吸収体より幅方向外側の部分が透液性であり、幅方向外側へ液状排泄物が漏出してしまう問題が考えられる。
【0004】
本発明はこのような点に鑑みなされたもので、液状排泄物の幅方向外側への漏出を防止し、液状排泄物が漏出し難い使い捨て吸収性物品およびこの使い捨て吸収性物品が配設されるアウタ型吸収性物品を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載された使い捨て吸収性物品は、内面側に位置する表面シートと、外面側に位置する裏面シートと、前記表面シートと前記裏面シートとの間に設けられた吸収体とを有し、長手方向および幅方向を有する吸収性物品本体を備え、アウタ型吸収性物品の内面側に配設して使用される使い捨て吸収性物品であって、前記表面シートは、幅方向の中央部に位置する表面側中央部と、幅方向の両側部に位置する表面側両側部とから形成され、前記裏面シートは、幅方向の中央部に位置する裏面側中央部と、幅方向の両側部に位置する裏面側両側部とから形成され、前記表面側中央部および前記裏面側中央部が透液性に形成され、前記表面側両側部および前記裏面側両側部が不透液性に形成されており、前記表面側中央部および前記裏面側中央部は、前記吸収体の幅方向の両側縁より内側に位置しかつ前記裏面側中央部の幅方向長さaが前記表面側中央部の幅方向長さbより短いものである。
【0006】
請求項2に記載された使い捨て吸収性物品は、請求項1に記載された使い捨て吸収性物品において、吸収性物品本体の表面シート側の幅方向の中央部には、吸収体の一部および表面側中央部の少なくとも一部が裏面シート側へ向って凹んだ凹み部が長手方向に沿って形成されているものである。
【0007】
請求項3に記載された使い捨て吸収性物品は、請求項1または2に記載された使い捨て吸収性物品において、吸収体には、表面シート側から裏面シート側へ向って貫通して開口する貫通部が形成され、この貫通部は、表面シート側の開口部が表面側中央部に相対する部分に位置し、裏面シート側の開口部が裏面側中央部に相対する部分に位置しているものである。
【0008】
請求項4に記載された使い捨て吸収性物品は、請求項1ないし3いずれかに記載された使い捨て吸収性物品において、吸収体には、高分子吸収材が配設されており、この高分子吸収材は、前記吸収体の幅方向の中央部には低密度に配設され、前記吸収体の幅方向の両側部には高密度に配設されているものである。
【0009】
請求項5に記載された使い捨て吸収性物品は、請求項1ないし4いずれかに記載された使い捨て吸収性物品において、表面側両側部および裏面側両側部の少なくともいずれか一方は、表面側中央部および裏面側中央部と異なる色または模様が形成されているものである。
【0010】
請求項6に記載されたアウタ型吸収性物品は、長手方向に沿って腹側部、股下部および背側部が連続して形成され、請求項1ないし5いずれか記載の使い捨て吸収性物品を内面側に配設した状態で使用者に着用して使用するアウタ型吸収性物品であって、アウタ用吸収体を有し、少なくとも股下部では、前記アウタ用吸収体の幅方向長さcは、前記使い捨て吸収性物品の裏面側中央部の幅方向長さaより長くかつ前記使い捨て吸収性物品の吸収体の幅方向長さdより短いものである。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載された発明によれば、表面側中央部および裏面側中央部が透液性に形成され、表面側両側部および裏面側両側部が不透液性に形成されていることにより、液状排泄物の幅方向外側への漏出を防止できる。また、前記表面側中央部および前記裏面側中央部は、吸収体の幅方向の両側縁より内側に位置しかつ前記裏面側中央部の幅方向長さaが前記表面側中央部の幅方向長さbより短いことにより、前記表面シートを透過した液状排泄物は、前記裏面シートを透過してアウタ型吸収性物品にて吸収できるので、液状排泄物を漏出し難くできる。
【0012】
請求項2に記載された発明によれば、吸収体の一部および表面側中央部の少なくとも一部に長手方向に沿って凹み部が形成されているので、この凹み部に液状排泄物以外の排泄物を留めておくことができ、吸収性物品本体内で前記排泄物が拡がって漏出することを防止できる。
【0013】
請求項3に記載された発明によれば、吸収体に貫通部が形成されることにより、吸収体が液状排泄物で飽和状態になっても、液状排泄物が前記貫通部を通って表面シート側から裏面側シート側へ移動できるので、前記表面シート側に液状排泄物が溜まることを防止できる。
【0014】
請求項4に記載された発明によれば、吸収体の幅方向の中央部では、高分子吸収材が低密度に配設されているので、液状排泄物が裏面側へ透過し易く、また、前記吸収体の幅方向の両側部では、高密度に配設されているので、前記吸収体の幅方向外側へ拡散した液状排泄物を高分子吸収材にて確実に吸収できる。
【0015】
請求項5に記載された発明によれば、表面側両側部および裏面側両側部の少なくともいずれか一方には、表面側中央部および裏面側中央部と異なる色または模様が形成されているので、吸収性物品本体の表面側と裏面側とが識別し易い。
【0016】
請求項6に記載された発明によれば、アウタ用吸収体の幅方向長さcが使い捨て吸収性物品の裏面側中央部の幅方向長さaより長いので、この裏面側中央部から透過してきた液状排泄物を前記アウタ用吸収体にて確実に吸収できる。また、前記アウタ用吸収体の幅方向長さcが使い捨て吸収性物品の吸収体の幅方向長さdより短いので、股下部の装着感の悪化を防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の第1の実施の形態の構成について図1ないし図6を参照しながら詳細に説明する。
【0018】
図1ないし図3に示す使い捨て吸収性物品1は、例えば使い捨ておむつ等のような、アウタ型吸収性物品2の内面側に配設してインナパッドとして使用される。
【0019】
使い捨て吸収性物品1は、長手方向および幅方向を有する略矩形状の吸収性物品本体3を備えている。この吸収性物品本体3は、使い捨て吸収性物品1を使用する際に内面側すなわち使用者側に位置する表面シート4と、外側面すなわちアウタ型吸収性物品2側に位置する裏面シート5と、これら表面シート4と裏面シート5との間に設けられた吸収体6とから形成されている。また、表面シート4および裏面シート5は、表面シート4と裏面シート5との間に吸収体6を封着するように接合されている。
【0020】
表面シート4は、長手方向および幅方向を有する略矩形状であり、透液性の表面側中央シート7にて形成された透液性の表面側中央部8および不透液性の表面側両側シート9にて形成された不透液性の表面側両側部10から構成されている。この表面側両側部10は、表面側中央部8の外側面すなわち使用する際の使用者側となる面における幅方向の両側部に接合され、吸収体6の幅方向の両側縁が表面側両側シート9にて覆われている。
【0021】
表面側中央シート7および表面側両側シート9は、例えば、織布、不織布、フィルム等のシート材にて形成され、このようなシート材にて形成されることにより、身体に接触しても不快感を与え難いので好ましい。特に、表面側中央シート7は透液性の不織布であり、表面側両側シート9は不透液性の不織布であると好ましい。
【0022】
裏面シート5は、長手方向および幅方向を有する略矩形状であり、裏面側中央シート11にて形成された透液性の裏面側中央部12および裏面側両側シート13にて形成された不透液性の裏面側両側部14から構成されている。この裏面側両側部14は、裏面側中央部12の外側面すなわち使用する際のアウタ型吸収性物品2側となる面における幅方向の両側部に接合され、吸収体6の幅方向の両側縁が裏面側両側シート13にて覆われている。
【0023】
裏面側中央シート11および裏面側両側シート13は、例えば、織布、不織布、フィルム等のシート材にて形成され、特に、裏面側中央シート11は透液性の不織布であり、裏面側両側シート13は、確実に不透液性とする必要があるためポリエチレン等からなるフィルムであると好ましい。
【0024】
ここで、透液性の表面側中央部8および裏面側中央部12は、吸収体6の幅方向の両側縁より内側に位置するように設けられ、不透液性の表面側両側部10および裏面側両側部14は、吸収体6の幅方向の両側部から吸収性物品本体3の幅方向の両側縁にわたって設けられている。また、吸収性物品本体3の幅方向において、裏面側中央部12の幅方向長さaは、表面側中央部8の幅方向長さbより短く形成され、裏面シート5における透液性部分の面積は、表面シート4における透液性部分の面積より小さい。
【0025】
吸収体6は、長手方向および幅方向を有する矩形の幅方向の両側端部における長手方向の中央部が円弧状に切り欠かれた形状であり、表面シート4と接触する表側面および裏面シート5と接触する裏側面の面積が表面シート4および裏面シート5より小さい。この吸収体6は、例えば主にパルプ等にて形成され、液状排泄物を十分に吸収する。
【0026】
また、吸収体6には、図示しない高分子吸収材が配設されている。吸収体6は、幅方向の中央部であり裏面側中央部12に相対する部分に高分子吸収材が低密度に配設され、この低密度の中央部より幅方向外側に位置する両側部に高分子吸収材が高密度に配設されている。
【0027】
さらに、吸収体6の幅方向の中央部と両側部とで、異なる種類の高分子吸収材を配設する構成としてもよい。この場合、吸収体6の幅方向の中央部では吸収速度が遅く、吸収体の幅方向の両側部では吸収速度が速い高分子吸収材を配設する。例えば、ボルテックス法による吸収速度が、45秒以上の高分子吸収材を吸収体6の幅方向の中央部に配設し、30秒以下の高分子吸収材を吸収体の幅方向の両側部に配設することが好ましい。
【0028】
このように高分子吸収材を吸収体6に配設することにより、吸収体6の幅方向の中央部では、液状排泄物が裏面側へ透過し易く、吸収体6の幅方向の両側部では、拡散した液状排泄物を高分子吸収材にて確実に吸収できるので好ましいが、吸収体6に高分子吸収材を配設する構成には限定されず、吸収体6に高分子吸収材を配設しない構成としてもよい。
【0029】
裏面側両側部14には、表面側中央部8および裏面側中央部12と異なる色または模様が形成されていると、吸収性物品本体3の表面側と裏面側とが識別し易いので好ましい。具体的には、例えば、表面側中央部8および裏面側中央部12を白色に着色し、裏面側両側部14を白色以外の色に着色する等により表面側と裏面側とを識別し易く構成する。なお、表面側両側部10および裏面側両側部14の少なくともいずれか一方に、表面側中央部8および裏面側中央部12と異なる色または模様が形成される構成であれば、上記の構成には限定されず、例えば、表面側中央部8および裏面側中央部12を白色に着色し、表面側両側部10および裏面側両側部14を白色以外の同じ色にて着色しても、表面側中央部8と裏面側中央部12とは、幅方向の長さが異なり、視認できる白色部分の面積が異なるので十分に識別できる。また、表面側両側部10と裏面側両側部14とを異なる色に着色した構成でもよく、当然ながら表面側両側部10と裏面側両側部14と表面側中央部8と裏面側中央部12とをそれぞれ異なる色に着色した構成でもよい。さらに、色だけでなく模様によって識別する構成にもできる。模様としては、例えば、文字、図形および記号等、吸収性物品本体3の表面側と裏面側とを識別する目印となるものであればよい。
【0030】
アウタ型吸収性物品2は、使用者に着用して使用するもので、内面側にすなわち使用者側に使い捨て吸収性物品1を配設可能である。また、このアウタ型吸収性物品2は、着用の際に面ファスナを係合させてパンツ形状に固定する展開可能な面ファスナ固定タイプや、あらかじめパンツ形状に形成されているパンツタイプのおむつである。
【0031】
このアウタ型吸収性物品2は、着用した際に、使用者の腹部に相対する腹側部、使用者の股部に相対する股下部および使用者の背部に相対する背側部が、展開状態で長手方向に沿って連続して形成されている。
【0032】
また、アウタ型吸収性物品2は、アウタ用表面シート15aとアウタ用裏面シート15bとの間に配設され腹側部から背側部にわたって設けられたアウタ用吸収体16を有し、このアウタ用吸収体16にて使い捨て吸収性物品1を透過した液状排泄物を吸収する。
【0033】
アウタ用吸収体16の股下部の幅方向長さcは、使い捨て吸収性物品1の裏面側中央部12の幅方向長さaより長く、かつ、使い捨て吸収性物品1の吸収体6の幅方向長さdより短い。すなわち、裏面側中央部12の幅方向長さa<アウタ用吸収体16の股下部の幅方向長さc<吸収体6の幅方向長さdとなっている。また、アウタ用吸収体16は、股下部が腹側部および背側部より幅狭となった略砂時計形状に形成されている。なお、アウタ用吸収体16は、少なくとも股下部において、アウタ用吸収体16の股下部の幅方向長さcが、使い捨て吸収性物品1の裏面側中央部12の幅方向長さaより長く、かつ、使い捨て吸収性物品1の吸収体6の幅方向長さdより短い構成であればよく、アウタ用吸収体16は、股下部が他の部分より幅狭な砂時計形状に限定されず、矩形状等であってもよい。
【0034】
また、アウタ型吸収性物品2の幅方向の両側部には、長手方向に沿って弾性体17が配設され、この弾性体17によりレッグギャザ18が形成されている。なお、弾性体17は、伸張した状態で配設され、アウタ側吸収性物品2を着用した状態では、弾性体17の収縮により使用者の脚周りにレッグギャザ18が密着する。このアウタ用吸収体16の両レッグギャザ18,18間の幅方向長さeは、使い捨て吸収性物品1の吸収体6の幅方向長さdより長い。すなわち、裏面側中央部12の幅方向長さa<アウタ用吸収体16の股下部の幅方向長さc<吸収体6の幅方向長さd<レッグギャザ18,18間の幅方向長さeとなっている。
【0035】
さらに、アウタ用吸収体16には、高分子吸収材が配設されている。この高分子吸収材の分散密度は任意に設定できるが、使い捨て吸収性物品1の吸収体6と同様に、アウタ用吸収体16の幅方向の中央部で低密度に配設され、幅方向の両側部で高密度に配設される構成が好ましい。なお、アウタ用吸収体16に高分子吸収材が配設されることにより、幅方向の両側部での液状排泄物の漏出を防止できるので好ましいが、アウタ用吸収体16に高分子吸収材を配設する構成には限定されず、アウタ用吸収体16に高分子吸収材を配設しない構成としてもよい。
【0036】
次に、上記第1の実施の形態の作用および効果を説明する。
【0037】
使い捨て吸収性物品1の装着に際しては、まず、使い捨て吸収性物品1をアウタ型吸収性物品2の内面側に配設する。この際、使い捨て吸収性物品1の裏面側両側部14は、表面側中央部8および裏面側中央部12と異なる色または模様が形成されているので、吸収性物品本体3の表面側と裏面側とが識別し易く、アウタ型吸収性物品2に配設し易い。
【0038】
使用者は、使い捨て吸収性物品1が配設されたアウタ型吸収性物品2を、使い捨て吸収性物品1の表面側中央部8が使用者の股下に位置するように着用する。
【0039】
アウタ型吸収性物品2を着用すると、アウタ型吸収性物品2のレッグギャザ18が使用者の脚周りに密着する。
【0040】
そして、使い捨て吸収性物品1が配設されたアウタ型吸収性物品2を着用した使用者の液状排泄物は、まず、表面シート4の表面側中央部8を透過し、吸収体6により吸収される。そして、表面シート4の表面側中央部8を透過したものの、吸収体6により吸収しきれない液状排泄物は、さらに裏面シート5の裏面側中央部12を透過して、アウタ型吸収性物品2のアウタ用吸収体16にて吸収される。
【0041】
このように、表面側中央部8および裏面側中央部12が透液性に形成されていることにより、例えば吸収体6が液状排泄物で飽和状態となった場合等、吸収体6にて液状排泄物を吸収しきれない場合であっても、液状排泄物が裏面側中央部12を透過でき、アウタ用吸収体16にて吸収できる。また、表面側中央部8および裏面側中央部12は透液性に形成されているが、表面側両側部10および裏面側両側部14は、不透液性に形成されていることにより、表面側中央部8を透過した液状排泄物が、幅方向外側へ拡がっても、表面側両側部10および裏面側両側部14が不透液性であるので、吸収体6から幅方向外側へは透過しない。したがって、吸収性物品本体3における液状排泄物の漏出を防止できる。
【0042】
さらに、表面側中央部8および裏面側中央部12は、吸収体の幅方向の両側縁より内側に位置しかつ裏面側中央部12の幅方向長さaが表面側中央部8の幅方向長さbより短いことにより、吸収体6へ透過できる面積をできるだけ大きく確保でき、アウタ型吸収性物品2側へ透過できる面積を制限できる。したがって、表面シート4から吸収した液状排泄物は、裏面シート5を透過してアウタ用吸収体16にて吸収できるので、液状排泄物を漏出し難くできる。
【0043】
吸収体6は、幅方向の中央部に高分子吸収材が低密度で配設され、幅方向の両側部に高分子吸収材が高密度で配設されていることにより、低密度な吸収体6の幅方向の中央部では、液状排泄物をアウタ型吸収性物品2側へできるだけ透過させ、吸収体6に通常用いられるパルプ等より高分子吸収材の吸収力が良好であるので、透過後に吸収体6内に残った液状排泄物を高分子吸収材にて吸収でき、吸収体6の表面に液状排泄物が残り難く、リウェットを良好にできる。また、吸収体6の幅方向外側へ拡散した液状排泄物は、早く高分子吸収材に吸収させることにより、幅方向の両側部での液状排泄物の漏出を防止できる。したがって、高分子吸収材によって吸収性物品本体3からの液状排泄物の漏出をより確実に防止できる。
【0044】
アウタ型吸収性物品2は、アウタ用吸収体16の幅方向長さcが使い捨て吸収性物品1の裏面側中央部12の幅方向長さaより長いので、この裏面側中央部12から透過してきた液状排泄物をアウタ用吸収体16にて確実に吸収できる。
【0045】
また、アウタ用吸収体16の幅方向長さcが使い捨て吸収性物品1の吸収体6の幅方向長さdより短く、裏面側中央部12の幅方向長さa<アウタ用吸収体16の股下部の幅方向長さc<吸収体6の幅方向長さdとすることにより、使用者の脚周りにおけるレッグギャザ18の密着性の悪化を防止できる。ここで、股下部においてアウタ用吸収体16の幅方向長さが長く、例えば吸収体6の幅方向長さdと同等であると、吸収体6とアウタ用吸収体16との幅方向の両側縁同士が重なり、これら吸収体6およびアウタ用吸収体16が重なった厚みによって、股下部、特に、股下部の幅方向両側部である脚周り部の密着性が低下し、装着感が悪化するとともに、レッグギャザ18が使用者の脚周りに密着し難く、液状排泄物が漏出するおそれがある。したがって、アウタ用吸収体16の股下部の幅方向長さcを吸収体6の幅方向長さdより短くすることにより、股下部における脚周り部の厚みが厚くなりすぎず、密着性の低下および装着感の悪化を防止できる。
【0046】
さらに、裏面側中央部12の幅方向長さa<アウタ用吸収体16の股下部の幅方向長さc<吸収体6の幅方向長さd<レッグギャザ18,18間の幅方向長さeとすることにより、レッグギャザ18を使用者の脚周りに確実に密着でき、アウタ型吸収性物品2の脚周りの密着性を向上できる。また、脚周りの密着性を向上することにより、アウタ型吸収性物品2の保持力を向上でき、アウタ型吸収性物品2を正確に着用した状態を維持し易いとともに、使い捨て吸収性物品1をアウタ型吸収性物品2の内面に配設された状態で保持し易い。
【0047】
なお、上記の実施の形態では、表面側中央部8を形成する表面側中央シート7自体の幅方向長さおよび裏面側中央部12を形成する裏面側中央シート11自体の幅方向長さが、吸収体6の幅方向長さdより短い構成としたが、このような構成には限定されず、表面側中央部8および裏面側中央部12が透液性であり、表面側両側部10および裏面側両側部14が不透液性であり、表面側中央部8および裏面側中央部12が吸収体6の幅方向の両端縁より内側に位置し、裏面側中央部12の幅方向長さaが表面側中央部8の幅方向の長さbより短ければ、図4に示すように、表面側中央シート7自体の幅方向長さおよび裏面側中央シート11自体の幅方向長さが、吸収体6の幅方向長さdより長い構成としてもよい。この構成の場合、吸収体6の幅方向の両側縁より外側にて表面側中央シート7と裏面側中央シート11とが接合され、表面側中央シート7および裏面側中央シート11にて吸収体6が包まれている。さらに、表面側中央シート7および裏面側中央シート11の外面側であり、吸収体6の幅方向の両側部から吸収性物品本体3の幅方向の両側縁にわたって、表面側両側シート9および裏面側両側シート13が接合されている。
【0048】
しかし、図4のように裏面側中央シート11の幅方向長さが吸収体6の幅方向長さdより長くなると、吸収体6の表面シート4側から裏面シート5側へ移動した液状排泄物が、裏面側中央シート11によって吸収体6より幅方向外側へ拡散し易くなるので、裏面側中央部12からアウタ型吸収性物品2への液状排泄物の透過性が悪化し、吸収性物品本体3から液状排泄物が漏出してしまう可能性がある。したがって、図5に示すように、裏面側中央シート11自体の幅方向長さが吸収体6の幅方向長さdより短いことが好ましい。
【0049】
さらに、表面側中央シート7自体の幅方向長さや裏面側中央シート11自体の幅方向長さが吸収体6の幅方向長さdより長いと、表面側両側シート9や裏面側両側シート13と重なる部分を大きくなり、重なった分だけ材料が無駄になるので、製造コストが高騰してしまう。したがって、図2のように表面シート4自体の幅方向長さおよび裏面シート5自体の幅方向長さは、吸収体6の幅方向長さdより短い構成が特に好ましい。
【0050】
また、図6に示すように、吸収性物品本体3の幅方向の両側部に長手方向に沿って立体ギャザ20を設けた構成としてもよい。この立体ギャザ20は、表面側両側シート9と表面側中央シート7との接合部分より幅方向中央側の表面側中央シート7に接合されていない表面側両側シート9の自由部19にて形成されている。この立体ギャザ20は、自由部19における吸収性物品本体3の幅方向中央側に位置する端部に、長手方向に沿って弾性体21が伸張した状態で配設されて形成されている。そして、使い捨て吸収性物品1の使用する際には、弾性体21の収縮により自由部19が立ち上り、立体ギャザ20が使用者の股下に密着する。したがって、表面側中央部8を透過中の液状排泄物または表面側中央部8を透過していない液状排泄物が、立体ギャザ20より使い捨て吸収性物品1の幅方向外側へ流動することを防止でき、液状排泄物の漏出をより確実に防止できる。
【0051】
さらに、表面側中央シート7および表面側両側シート9の別個のシートにて表面シート4を形成し、裏面側中央シート11および裏面側両側シート13の別個のシートにて裏面シート5を形成した構成としたが、このような構成に限定されず、表面シート4および裏面シート5をそれぞれ一枚の不透液性のシートから構成し、幅方向の中央部を透液性に処理することにより、透液性の中央部と不透液性の両側部とを形成してもよい。なお、不透液性のシートは、界面活性剤にて処理することにより透液性にできる。このように表面シート4および裏面側シート5をそれぞれ一枚のシートから形成することにより、透液性の中央部と不透液性の両側部とを接合する必要がなく、接合による装着感の悪化を防止できる。
【0052】
また、アウタ型吸収性物品2としては、アウタ用吸収体16の股下部の幅方向長さcや両レッグギャザ18,18間の幅方向長さeを上記のように設定したものには限定されず、内面側に使い捨て吸収性物品1を配設できるものであればよい。
【0053】
次に、第2の実施の形態について図7を参照しながら説明する。なお、上記の実施の形態と同一の構成については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0054】
図7に示すように、吸収性物品本体3の表面シート4側の幅方向の中央部には、表面シート4側から裏面シート5側へ向かって断面形状が矩形状に凹んだ凹み部23が長手方向に沿って形成されている。
【0055】
この凹み部23は、吸収体6の表面シート4側の一部が裏面シート5側へ向かって凹んだ吸収体凹み部24と、表面側中央部8の一部が裏面シート5側へ向かって凹んだ表面シート凹み部25とから形成されている。
【0056】
なお、凹み部23は断面が矩形状の形状には限定されず、例えば断面が円弧状や三角形状の構成としてもよい。
【0057】
ここで、凹み部23の幅方向長さは、吸収体6の幅方向長さdより短く、かつ、裏面側中央部12の幅方向長さaより長い。すなわち、凹み部23の幅方向の両側縁は、吸収体6の幅方向の両側縁より幅方向内側に位置し、かつ、裏面側中央部12の幅方向の両側縁より幅方向外側に位置している。
【0058】
また、図示していないが、凹み部23の長手方向の長さは、吸収体6の長手方向の長さと同等であり、凹み部23の長手方向の両端部は、吸収体6の長手方向の両端部に位置している。なお、凹み部23の長手方向の長さは、吸収体6の長手方向の長さより短い構成であってもよい。
【0059】
そして、吸収性物品本体3に凹み部23が形成されることにより、例えば固形便や流動便等の液状排泄物以外の排泄物を凹み部23に留めておくことができる。したがって、液状排泄物以外の排泄物が吸収性物品本体3内で移動して拡がることにより漏出することを防止できるので、液状排泄物以外の排泄物であっても対応でき、排泄物が吸収性物品本体3から漏出し難い。
【0060】
なお、この実施の形態では、凹み部23を一つのみ設けた構成としたが、凹み部23の
数は一つに限定されず、複数設けてもよい。
【0061】
次に、第3の実施の形態について図8ないし図10を参照しながら説明する。なお、上記の実施の形態と同一の構成については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0062】
図8に示すように、吸収体6には、表面シート4側から裏面シート5側へ向かって貫通して開口する2つの貫通部26が形成されている。
【0063】
貫通部26は、表面シート4側の開口部27が表面側中央部8に相対する部分に位置し、裏面シート5側の開口部28が裏面側中央部12に相対する部分に位置している。
【0064】
そして、吸収体6に貫通部26が形成されることにより、吸収体6が液状排泄物で飽和状態になっても、液状排泄物が貫通部26を通って表面シート4側から裏面シート5側へ移動できるので、液状排泄物がアウタ型吸収性物品2側へ透過し易く、吸収性物品本体3内の表面シート4側に液状排泄物が溜まり難い。したがって、吸収性物品本体3からの液状排泄物の漏出を防止できる。
【0065】
また、開口部27が表面側中央部8に相対する部分に位置し、開口部28が裏面側中央部12に相対する部分に位置しているので、液状排泄物を確実にアウタ型吸収性物品2側へ透過できる。
【0066】
なお、貫通部26は、吸収体6の長手方向に沿って連続的に溝状に形成される構成であっても、吸収体6の長手方向に沿って間欠的に孔状に形成される構成であってもよい。
【0067】
また、上記実施の形態では、貫通部26が2つ形成された構成としたが、貫通部26の数は2つに限定されない。
【0068】
さらに、図9に示すように、吸収体6に凹み部23が形成されている構成では、凹み部23に固形便および流動便が留められ、また、凹み部23には液状排泄物が溜まり易いので、凹み部23に貫通部26が形成される構成が好ましい。
【0069】
また、図10に示すように、貫通部26を表面シート4側から裏面シート5の幅方向の中央部へ向かって傾斜状に形成した構成としてもよい。このような構成にすることにより、表面シート4側で液状排泄物が幅方向外側へ拡散した場合であっても、液状排泄物は貫通部26を通って裏面側中央部12へ透過し易く、より確実にアウタ用吸収体16にて吸収できる。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明の使い捨て吸収性物品における第1の実施の形態を一部を切り欠いて示す平面図である。
【図2】図1におけるA−A断面を示す断面図である。
【図3】同上使い捨て吸収性物品のアウタ型吸収性物品の内面側に配設した状態を示す断面図である。
【図4】同上使い捨て吸収性物品の変形例を示す断面図である。
【図5】同上使い捨て吸収性物品の変形例を示す断面図である。
【図6】同上使い捨て吸収性物品の変形例を示す断面図である。
【図7】本発明の使い捨て吸収性物品における第2の実施の形態を示す断面図である。
【図8】本発明の使い捨て吸収性物品における第3の実施の形態を示す断面図である。
【図9】同上使い捨て吸収性物品の変形例を示す断面図である。
【図10】同上使い捨て吸収性物品の変形例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0071】
1 使い捨て吸収性物品
2 アウタ型吸収性物品
3 吸収性物品本体
4 表面シート
5 裏面シート
6 吸収体
8 表面側中央部
10 表面側両側部
12 裏面側中央部
14 裏面側両側部
16 アウタ用吸収体
23 凹み部
26 貫通部
27 開口部
28 開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内面側に位置する表面シートと、外面側に位置する裏面シートと、前記表面シートと前記裏面シートとの間に設けられた吸収体とを有し、長手方向および幅方向を有する吸収性物品本体を備え、
アウタ型吸収性物品の内面側に配設して使用される使い捨て吸収性物品であって、
前記表面シートは、幅方向の中央部に位置する表面側中央部と、幅方向の両側部に位置する表面側両側部とから形成され、
前記裏面シートは、幅方向の中央部に位置する裏面側中央部と、幅方向の両側部に位置する裏面側両側部とから形成され、
前記表面側中央部および前記裏面側中央部が透液性に形成され、前記表面側両側部および前記裏面側両側部が不透液性に形成されており、
前記表面側中央部および前記裏面側中央部は、前記吸収体の幅方向の両側縁より内側に位置しかつ前記裏面側中央部の幅方向長さaが前記表面側中央部の幅方向長さbより短い
ことを特徴とする使い捨て吸収性物品。
【請求項2】
吸収性物品本体の表面シート側の幅方向の中央部には、吸収体の一部および表面側中央部の少なくとも一部が裏面シート側へ向って凹んだ凹み部が長手方向に沿って形成されている
ことを特徴とする請求項1記載の使い捨て吸収性物品。
【請求項3】
吸収体には、表面シート側から裏面シート側へ向って貫通して開口する貫通部が形成され、この貫通部は、表面シート側の開口部が表面側中央部に相対する部分に位置し、裏面シート側の開口部が裏面側中央部に相対する部分に位置している
ことを特徴とする請求項1または2記載の使い捨て吸収性物品。
【請求項4】
吸収体には、高分子吸収材が配設されており、この高分子吸収材は、前記吸収体の幅方向の中央部には低密度に配設され、前記吸収体の幅方向の両側部には高密度に配設されている
ことを特徴とする請求項1ないし3いずれか記載の使い捨て吸収性物品。
【請求項5】
表面側両側部および裏面側両側部の少なくともいずれか一方は、表面側中央部および裏面側中央部と異なる色または模様が形成されている
ことを特徴とする請求項1ないし4いずれか記載の使い捨て吸収性物品。
【請求項6】
長手方向に沿って腹側部、股下部および背側部が連続して形成され、請求項1ないし5いずれか記載の使い捨て吸収性物品を内面側に配設した状態で使用者に着用して使用するアウタ型吸収性物品であって、
アウタ用吸収体を有し、少なくとも股下部では、前記アウタ用吸収体の幅方向長さcは、前記使い捨て吸収性物品の裏面側中央部の幅方向長さaより長くかつ前記使い捨て吸収性物品の吸収体の幅方向長さdより短い
ことを特徴とするアウタ型吸収性物品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−63546(P2010−63546A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−231297(P2008−231297)
【出願日】平成20年9月9日(2008.9.9)
【出願人】(391047503)白十字株式会社 (64)
【Fターム(参考)】