使い捨て吸収性物品
【課題】排泄物が漏出しにくくかつ装着者の肌に接触しにくく、また、容易に製造できる使い捨て吸収性物品を提供する。
【解決手段】装着者側に位置する表面シート3、外面側に位置する裏面シート4、表面シート3と裏面シート4との間に位置する吸収体5が設けられた吸収性物品本体2を備える。また、この吸収性物品本体2に少なくとも長手方向の中央部および幅方向の中央部に表面シート3と吸収体5とが接合されていない部分を設ける。表面シート3に、この表面シート3の長手方向の長さより短く、表面シート3と吸収体5とが接合されていない部分に連通する切込部15を形成する。また、この切込部15の幅方向の両側に表面シート3の長手方向に沿って収縮により切込部15を開口する弾性体16を配設する。
【解決手段】装着者側に位置する表面シート3、外面側に位置する裏面シート4、表面シート3と裏面シート4との間に位置する吸収体5が設けられた吸収性物品本体2を備える。また、この吸収性物品本体2に少なくとも長手方向の中央部および幅方向の中央部に表面シート3と吸収体5とが接合されていない部分を設ける。表面シート3に、この表面シート3の長手方向の長さより短く、表面シート3と吸収体5とが接合されていない部分に連通する切込部15を形成する。また、この切込部15の幅方向の両側に表面シート3の長手方向に沿って収縮により切込部15を開口する弾性体16を配設する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、子供用、大人用あるいは失禁用の使い捨て吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の使い捨ておむつ等の使い捨て吸収性物品としては、表面シートと裏面シートとの間に吸収体を配設した構成が一般的である。このような構成のものは、尿等の液状の排泄物は前記表面シートを透過して、吸収体にて吸収されるものの、固形便等は吸収することができない。そして、固形便等の排泄物であれば吸収はできないものの、前記使い捨て吸収性物品内で移動しないので、この使い捨て吸収性物品内から漏出しにくい。しかし、軟便等のように粘性のある液状の排泄物は、前記表面シートを透過しにくいので、前記吸収体にて吸収できず、前記使い捨て吸収性物品内にて拡がってしまう。したがって、外部へ漏出するおそれがあるとともに、排泄物が装着者の肌の広範囲に接触して装着感が悪化してしまう。
【0003】
そこで、粘性のある軟便等の排泄物が装着者の肌に接触しにくく、装着感が良好な構成のものとしては、表面シートとしての表面層と、裏面シートとしての防漏層との間に吸収体としての吸収層が介装され、前記吸収層の幅方向の両側でかつ前記表面層の幅方向の両側に撥水性の一対の外側立体ギャザーが突出形成され、この一対の外側立体ギャザーの形成間隔に撥水性の内側立体ギャザーが一対突設されたものが知られている。この構成では、まず、前記一対の内側立体ギャザー間に形成された吸収間隔により排泄物を吸収し、さらに、前記内側立体ギャザーの外面と前記外側立体ギャザーの外面との間に形成された補助吸収間隔により前記吸収間隔から横漏れした体液を吸収するので、排泄物が広がりにくく、排泄物が装着者の肌に接触しにくい(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】実開平4−99921号公報(第1,2頁、図1−3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した特許文献1における一対の内側立体ギャザーの長手方向の両端部が接続されて表面層の表面が袋状に被覆された構成、即ち、装着者側の表面に開口部が形成された構成では、前記内側立体ギャザーにて前記開口部を形成する必要があり、製造において前記開口部をくり抜く工程が必要になるので、製造が煩雑になってしまい、さらには、くり抜き部分がゴミになってしまう問題が考えられる。
【0005】
また、特許文献1における前記一対の内側立体ギャザーが吸収間隔を介して平行に位置した構成では、製造は容易であるものの、軟便等の排泄物が前記表面層の長手方向に流動して漏出するおそれがある。
【0006】
本発明はこのような点に鑑みなされたもので、排泄物が漏出しにくくかつ装着者の肌に接触しにくく、また、容易に製造できる使い捨て吸収性物品を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載された使い捨て吸収性物品は、装着者側に位置する表面シートと、外面側に位置する裏面シートと、前記表面シートと前記裏面シートとの間に位置する吸収体とが設けられた吸収性物品本体を備え、この吸収性物品本体は、少なくとも長手方向の中央部および幅方向の中央部に前記表面シートと前記吸収体とが接合されていない部分を有し、前記表面シートは、この表面シートの長手方向の長さより短く形成され前記表面シートと前記吸収体とが接合されていない部分に連通する切込部と、この切込部の幅方向の両側に前記表面シートの長手方向に沿って配設され収縮により前記切込部を開口する弾性体とを有し、この弾性体は、前記切込部より長手方向の長さが長く形成され、長手方向の両端部が前記切込部の両端部より前記表面シートの長手方向の外側に位置しているものである。
【0008】
請求項2に記載された使い捨て吸収性物品は、請求項1に記載された使い捨て吸収性物品において、表面シートは、装着者側に位置する上側表面シートと、吸収体側に位置し前記上側表面シートより幅方向の長さが短い下側表面シートとから形成され、弾性体は、前記上側表面シートと前記下側表面シートとの間に配設されたものである。
【0009】
請求項3に記載された使い捨て吸収性物品は、請求項1または2に記載された使い捨て吸収性物品において、表面シートは、複数の切込部が形成され、これら各切込部の幅方向の両側に弾性体が配設されたものである。
【0010】
請求項4に記載された使い捨て吸収性物品は、請求項1ないし3のいずれかに記載された使い捨て吸収性物品において、吸収性物品本体は、表面シートと吸収体との間に液透過性の中間シートが配設され、少なくとも長手方向中央部および幅方向中央部に前記表面シートと前記中間シートとが接合されていない部分を有するものである。
【0011】
請求項5に記載された使い捨て吸収性物品は、請求項1ないし4のいずれかに記載された使い捨て吸収性物品において、吸収体の少なくとも一部は、ガーゼと、クレープ紙と、パルプ層とが表面シート側から順次配設されたものである。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載された発明によれば、吸収性物品本体が、少なくとも長手方向の中央部および幅方向の中央部に前記表面シートと前記吸収体とが接合されていない部分を有し、表面シートが切込部およびこの切込部の幅方向の両側に配設された弾性体を有することにより、前記弾性体の収縮により開口した前記切込部から排泄物を収容できるので、排泄物が前記吸収性物品本体から漏出しにくくかつ前記吸収性物品本体内の排泄物が装着者の肌に接触しにくい。
【0013】
また、前記表面シートに切込部を形成するだけで、開口部をくり抜いて形成する必要がないので、容易に製造できる。
【0014】
請求項2に記載された発明によれば、表面シートが上側表面シートと下側表面シートとから形成され、弾性体が前記上側表面シートと前記下側表面シートとの間に配設されているので、前記弾性体を容易に配設でき、また、前記弾性体全体を前記表面シートに確実に接合できる。
【0015】
請求項3に記載された発明によれば、複数の切込部が形成され、これら各切込部の幅方向の両側に弾性体が配設されているので、前記切込部から排泄物を確実に収容できる。
【0016】
請求項4に記載された発明によれば、表面シートと吸収体との間に液透過性の中間シートが配設されていることにより、開口状態の切込部からの前記吸収体の露出を防止でき、前記中間シートにて排泄物を拡散できるので、吸収性物品本体内で排泄物を確実に保持できる。
【0017】
請求項5に記載された発明によれば、吸収体の少なくとも一部に、ガーゼとクレープ紙とパルプ層とが表面シート側から順次配設されていることにより、液状または粘性のある液状の排泄物が前記ガーゼによって流動しにくく、また、表面積が大きいクレープ紙によって吸収力を向上できるので、吸収性物品本体からの前記排泄物の漏出をより確実に防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の第1の実施の形態の構成について図1ないし図6を参照しながら詳細に説明する。
【0019】
図1および図2には、展開状態の使い捨て吸収性物品1が示され、この使い捨て吸収性物品1は、例えばおむつ等のようなパンツ型吸収性物品の装着者側に配設してインナとして使用される。
【0020】
また、使い捨て吸収性物品1は、略矩形状の吸収性物品本体2を備えている。この吸収性物品本体2は、使い捨て吸収性物品1を装着した際に、装着者側に位置する略矩形状の表面シート3と、外側面に位置する略矩形状の裏面シート4と、これら表面シート3と裏面シート4との間に位置する略矩形状の吸収体5とが設けられている。また、表面シート3と吸収体5との間には、略矩形状の中間シート6が配設されている。なお、吸収性物品本体2には、使い捨て吸収性物品1を装着した際に、装着者の腹側に位置する前側部7、吸収性物品本体2の長手方向の中央部であり装着者の股下に位置する股下部8、装着者の尻側に位置する後側部9が長手方向に沿って順次形成されている。
【0021】
表面シート3と裏面シート4とは、表面シート3と裏面シート4との間に吸収体5および中間シート6を封着するように接合されており、吸収体5と中間シート6とは、一部または全体が接合されている。さらに、表面シート3と中間シート6とは、少なくとも長手方向の中央部、即ち、股下部8に対応する部分および幅方向の中央部が接合されず、それ以外の部分が接合されており、図3および図4に示すように、使用状態の使い捨て吸収性物品1では、表面シート3と中間シート6とが接合されていない部分が収容ポケット部10となる。
【0022】
表面シート3は、使い捨て吸収性物品1を装着した際に、装着者側に位置する上側表面シート13と、吸収体5側に位置し、上側表面シート13より幅方向の長さが短い一対の下側表面シート14とから形成されている。これら一対の下側表面シート14は、表面シート3の幅方向の中央部にて離間して上側表面シート13に接合されている。
【0023】
上側表面シート13および下側表面シート14は、透液性および通気性を有しかつ肌着に近い感触のもので、例えば織布、不織布、多孔性フィルム、合成繊維等シート材にて形成される。このようなシート材にて形成されることにより、尿等の液状の排泄物を透過するとともに、身体に直接接触しても不快感を与えにくいので好ましい。
【0024】
このような構成の表面シート3には、上側表面シート13の幅方向の中央部、即ち、一対の下側表面シート14が離間した表面シート3の幅方向の中央部となる部分に、表面シート3の長手方向の長さより短く形成された線状の切込部15が設けられている。この切込部15は、表面シート3の長手方向に沿って、前側部7から後側部9へわたって表面シート3を切断して設けられ、表面シート3と中間シート6とが接合されていない部分すなわち使用状態における使い捨て吸収性物品1の収容ポケット部10に連通している。
【0025】
また、表面シート3における切込部15の幅方向の両側であり、上側表面シート13と下側表面シート14との間には、前側部7から後側部9へわたって、弾性体16が切込部15と略平行に配設されている。この弾性体16は、切込部15より長手方向の長さが長く形成され、長手方向の両端部が、切込部15の両端部より表面シート3の長手方向の外側に位置するように配設されている。この弾性体16は、伸縮可能なものであればよく、例えば紐状ゴム等が用いられる。また、弾性体16の色を表面シート3とは異なる色にすると、切込部15が目立ちやすくなり好ましい。
【0026】
そして、使い捨て吸収性物品1を展開状態から弾性体16が収縮した使用状態にすると、弾性体16の収縮により切込部15が開口されるとともに表面シート3と中間シート6とが接合されていない部分にて収容ポケット部10が形成される。
【0027】
ここで、弾性体16は、切込部15によって形成される表面シート3の切込縁部には配設されず、この切込縁部より表面シート3の幅方向の外側に配設されており、切込縁部と弾性体16との間にフラップ部17が形成される。このフラップ部17が形成されることにより、図5に示すように、弾性体16の収縮によってフラップ部17が表面シート3の幅方向の外側へ折曲可能になり、切込部15が開口しやすい。
【0028】
なお、フラップ部17の幅方向の長さが長くなり過ぎると、弾性体16の収縮により切込部15を開口しにくくなるので、図4に示すフラップ部17の幅方向の長さaが、表面シート3における接合部分の内側端部と弾性体16との距離bより短くなるようにフラップ部17を形成することが好ましい。
【0029】
裏面シート4は、例えばポリエチレン等の不透液性または疎水性でありかつ透湿性を有するシート材にてフィルム状に形成されている。このようなシート材にて形成されることにより、裏面シート4にて吸収性物品本体2からの液状の排泄物の漏出を防止できる。また、裏面シート4は、長手方向の長さが表面シート3と同等に形成されており、幅方向の長さは、表面シート3より長く形成されている。
【0030】
中間シート6は、表面シート3と同一の素材でもよいが、液透過性に加えて液吸収性を有する素材にて形成されることが好ましい。この場合、吸収体5へ液状の排泄物を透過しながら、中間シート6によっても液状の排泄物を吸収できるので、使い捨て吸収性物品1の吸収力が向上する。また、中間シート6は、長手方向の長さが、表面シート3および裏面シート4と同等に形成されており、長手方向の端部は、表面シート3および裏面シート4に挟まれるように接合されている。さらに、中間シート6の幅方向の長さは、表面シート3より短く形成され、中間シート6にて吸収体5全体を覆うように配設され、中間シート6の幅方向の両端部および吸収体5の幅方向の両端部は、表面シート3にて覆われている。
【0031】
吸収性物品本体2の幅方向の両端部、即ち、表面シート3および裏面シート4の幅方向の両端部には、吸収性物品本体2の長手方向に沿って、液不透過性のギャザーシート18の幅方向の端部が接合されている。このギャザーシート18は、接合された端部とは他端側の先端部に第1ギャザー弾性体19が配設され、ギャザーシート18と裏面シート4との間には、第2ギャザー弾性体20が配設されている。そして、ギャザーシート18と第1ギャザー弾性体19と第2ギャザー弾性体20とによって立体ギャザー21が形成される。この立体ギャザー21は、使い捨て吸収性物品1を装着する際に、第1ギャザー弾性体19および第2ギャザー弾性体20の収縮によって吸収性物品本体2に対して立ち上り可能であり、立ち上ることにより、防漏壁として作用する。
【0032】
なお、上記第1の実施の形態では、吸収性物品本体2の少なくとも股下部8および幅方向の中央部にて、表面シート3と中間シート6とを接合しない構成であれば、例えば、吸収性物品本体2の前側部7および後側部9にて、表面シート3と中間シート6とを接合せず、使用状態における使い捨て吸収性物品1にて前側収容ポケット部および後側収容ポケット部を形成する構成等にしてもよい。この構成では、軟便等の粘性のある液状の排泄物が前側収容ポケット部および後側収容ポケット部に流動し、排泄物を収容し易いので好ましい。しかし、表面シート3と中間シート6とが接合されていない部分の大きさが吸収体5より大きいと、排泄物が吸収体5にて吸収できない可能性があるので、表面シート3と中間シート6とが接合されていない部分すなわち使用状態における収容ポケット部10は、吸収体5が配設された部分より吸収性物品本体2の内側に位置することが好ましい。
【0033】
また、表面シート3は、裏面シート4より幅方向の長さが短い構成としたが、このような構成には限定されず、表面シート3および裏面シート4の幅方向の長さが同等の構成としてもよい。
【0034】
さらに、表面シート3は、上側表面シート13および下側表面シート14によって形成された構成としたが、このような構成には限定されず、一枚のシート材にて表面シート3を構成してもよい。このような構成の場合は、表面シート3の幅方向の中央部に位置する切込縁部を幅方向の外側へ折り返し、この折り返した部分と表面シート3との間に弾性体16を配設する構成が考えられる。この構成では、切込部15の長手方向の長さは、弾性体16の長手方向の長さより短いことから、折り返した部分の長手方向の長さが、弾性体16より短くなってしまい、弾性体16の長手方向の両端部を確実に配設できない。したがって、上側表面シート13および下側表面シート14によって表面シート3を形成して、上側表面シート13と下側表面シート14との間に弾性体16を配設する構成が好ましい。
【0035】
上側表面シート13および下側表面シート14にて表面シート3を形成する場合は、一対の下側表面シート14を表面シート3の幅方向の中央部にて離間させる構成には限定されず、図6に示すように、一対の下側表面シート14を離間させない構成にしてもよい。この構成の場合は、上側表面シート13の幅方向の中央部に一枚の下側表面シート14を配設し、上側表面シート13および下側表面シート14を線状に切断して切込部15を形成する。
【0036】
吸収性物品本体2は、表面シート3と吸収体5との間に中間シート6を配設し、使用状態の使い捨て吸収性物品1では表面シート3と中間シート6との間に収容ポケット部10が形成される構成としたが、このような構成には限定されず、中間シート6を設けない構成としてもよい。中間シート6を設けない構成の場合は、表面シート3と吸収体5とは、少なくとも股下部8に対応する部分および幅方向の中央部以外の部分が接合され、使用状態における使い捨て吸収性物品1では、表面シート3と吸収体5とが接合されていない部分にて収容ポケット部10が形成される。
【0037】
また、中間シート6を設ける構成の場合は、中間シート6にて吸収体5全体を覆う構成には限定されず、例えば、切込部15の延長線上に位置する吸収体5の幅方向の中央部にのみ中間シート6を配設し、吸収体5の他の部分を表面シート3にて覆う構成等としてもよい。
【0038】
切込部15は、前側部7から後側部9へわたって設けられた構成としたが、このような構成には限定されず、少なくとも股下部8に形成されていればよい。
【0039】
また、切込部15が、吸収性物品本体2の幅方向の中央部にて、吸収性物品本体2の長手方向に沿って形成される構成には限定されず、例えば、吸収性物品本体2の長手方向に対して傾斜上に形成する構成等でもよい。
【0040】
さらに、切込部15は、表面シート3を完全に切断した構成には限定されず、使い捨て吸収性物品1の使用状態にて切込部15が切断されて開口可能であればよく、切込部15を例えばミシン目のような鎖線状に形成し、使用に際して、鎖線状の切込部15を切断する構成等でもよい。
【0041】
弾性体16が切込部15に略平行に配設されることにより、弾性体16の収縮によって切込部15が開口し易いので好ましいが、このような構成には限定されず、切込部15と弾性体16とは、平行でなくてもよい。
【0042】
吸収性物品本体2の幅方向の両端部に長手方向に沿って立体ギャザー21を設ける構成としたが、このような構成には限定されず、立体ギャザー21を設けない構成としてもよい。
【0043】
次に、上記第1の実施の形態の作用および効果を説明する。
【0044】
使い捨て吸収性物品1の装着に際しては、この使い捨て吸収性物品1は、折り畳まれた状態にて保管してあるので、この折り畳まれた使い捨て吸収性物品1を広げ、弾性体16、第1ギャザー弾性体19、第2ギャザー弾性体20が収縮した使用状態にする。
【0045】
ここで、使用状態の使い捨て吸収性物品1では、弾性体16の収縮により切込部15が開口されるとともに表面シート3と中間シート6とが接合されていない部分にて収容ポケット部10が形成され、第1ギャザー弾性体19および第2ギャザー弾性体20の収縮により立体ギャザー21が立ち上げられる。
【0046】
次いで、使い捨て吸収性物品1の開口した切込部15およびこの切込部15と連通する収容ポケット部10が装着者の股下に位置するように、例えば、おむつ等のパンツ型使い捨て吸収性物品の内部に使い捨て吸収性物品1を配設する。
【0047】
そして、切込部15の幅方向の両側に位置するフラップ部17が装着者の股下に接触するように、使い捨て吸収性物品1が配設されたパンツ型使い捨て吸収性物品を装着する。
【0048】
このような使い捨て吸収性物品1を装着すると、装着者の排泄物は、開口した切込部15から収容ポケット部10へ入り込み収容される。
【0049】
ここで、収容ポケット部10に流入した排泄物が尿のような液状の排泄物であれば、中間シート6により拡散されながら、この中間シート6を透過して吸収体5にて吸収される。収容ポケット部10に流入した排泄物が軟便のような粘性のある液状の排泄物であれば、吸収体5によって吸収されにくいものの、収容ポケット部10内にて中間シート6によって拡散される。収容ポケット部10に入り込んだ排泄物が固形便のような固形の排泄物であると、収容ポケット部10内では固形の排泄物は移動しにくいので、収容ポケット部10内に収容された状態で保持される。
【0050】
このように使い捨て吸収性物品1によれば、吸収性物品本体2が、長手方向の中央部および幅方向の中央部に、表面シート3と吸収体5とが接合されていない部分を有し、表面シート3が表面シート3と中間シート6とが接合されていない部分に連通する切込部15およびこの切込部15の幅方向の両側に配設された弾性体16を有することにより、使用状態では、弾性体16の収縮により切込部15が開口されるとともに表面シート3と吸収体5とが接合されていない部分にて収容ポケット部10が形成される。そして、開口した切込部15から収容ポケット部10へ排泄物が入り込み、収容ポケット部10にて排泄物を収容できる。したがって、吸収体5にて吸収できない排泄物であっても、収容ポケット部10内に収容した状態を保持できるので、排泄物が吸収性物品本体2から漏出しにくい。さらに、収容ポケット部10は、表面シート3より吸収体5側に位置するので、収容ポケット部10に収容された排泄物が装着者の肌に接触しにくく、装着感が悪化しにくい。なお、この実施の形態では、表面シート3と吸収体5との間に中間シート6を配設した構成としたので、使用状態では、表面シート3と中間シート6との間に収容ポケット部10が形成されているが、中間シート6を配設しない構成の使用状態では、表面シート3と吸収体5との間に収容ポケット部10が形成される。そして、中間シート6が配設されていない構成であっても、切込部15および収容ポケット部10によって上記と同様の効果を奏する。
【0051】
また、使い捨て吸収性物品1は、従来の構成の使い捨て吸収性物品の製造と比較しても、吸収性物品本体2の長手方向の中央部および幅方向の中央部以外の部分にて表面シート3と中間シート6とを接合し、展開状態における表面シート3の幅方向の中央部に長手方向に沿って切込部15を形成し、この切込部15の両側に弾性体16を配設するだけで製造できる。また、表面シート3に線状の切込部15を形成するだけで、開口部をくり抜いて形成する必要がないので、容易に製造できるとともに、製造時のゴミを減少できる。
【0052】
表面シート3が、上側表面シート13と下側表面シート14とから形成され、弾性体16が上側表面シート13と下側表面シート14との間に配設されているので、弾性体16を配設する際には、弾性体16を挟むように上側表面シート13と下側表面シート14とを接合すればよく、弾性体16を容易に配設でき、また、弾性体16全体を表面シート3に確実に接合できる。
【0053】
ここで、上側表面シート13と下側表面シート14とを接合する際に、一対の下側表面シート14を表面シート3の幅方向の中央部にて離間して接合し、これら一対の下側表面シート14が離間した部分に、切込部15を設けることにより、装着者に接触し易い切込部15にて形成された切込縁部が上側表面シート13のみであるので、硬くなり過ぎることがなく、肌触りが良好である。
【0054】
一方、上側表面シート13と下側表面シート14とを接合する際に、一対の下側表面シート14を離間させず、上側表面シート13の幅方向の中央部に一枚の下側表面シート14を配設して、上側表面シート13および下側表面シート14に切込部15を形成すると、一対の下側表面シート14を離間させて、それぞれ上側表面シート13に接合する構成に比べて容易に形成できるとともに、切込部15を形成する位置や、弾性体16を配設する位置が、表面シート3の幅方向に多少ずれてもよく、製造誤差による成形不良が発生しにくい。また、上側表面シート13と下側表面シート14との境界部が分かりにくく、切込部15の外観が良好になる。
【0055】
さらに、表面シート3の切込縁部にフラップ部17が形成されることにより、弾性体16の収縮により切込部15が開口しやすいとともに、フラップ部17が装着者に接触するので、使い捨て吸収性物品1の密着性を向上でき、排泄物を収容ポケット部10に収容しやすくなる。
【0056】
また、弾性体16を表面シート3等の他の部分とは異なる色にて形成したり、切込部15近傍に目印を設けたりすることにより、使い捨て吸収性物品1を装着する際に切込部15が目立ち易くなるので、使い捨て吸収性物品1を正確に装着しやすくなる。
【0057】
さらに、切込部15と弾性体16とを略平行に設けることにより、弾性体16の収縮によって切込部15が開口しやすくなるので、排泄物を切込部15から収容ポケット部10へ確実に収容できる。
【0058】
表面シート3と吸収体5との間に液透過性の中間シート6が配設されることにより、開口状態の切込部15からの吸収体5の露出を防止できるので、排泄物を吸収した吸収体5が切込部15から露出することによって、吸収体5に吸収された排泄物が収容ポケット部10から漏出することを防止できる。また、切込部15から収容ポケット部10へ流入してきた排泄物を中間シート6にて拡散できるので、排泄物が収容ポケット部10から漏出することを防止できる。したがって、吸収性物品本体2内で排泄物を確実に保持できる。
【0059】
次に、第2の実施の形態を図7ないし図11を参照して説明する。なお、上記各実施の形態と同様の構成および作用については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0060】
図7ないし図9に示すように、表面シート3には、長手方向に沿って複数、例えば、二つの切込部15が形成され、使用状態ではこれら各切込部15は、収容ポケット部10に連通している。
【0061】
また、各切込部15の幅方向の両側には、弾性体16が配設され、二つの切込部15の間には、二つの弾性体16が配設されている。これらの弾性体16の収縮により、二つの切込部15が開口する。
【0062】
そして、表面シート3に二つの切込部15が形成され、これら各切込部15の幅方向の両側に弾性体16が配設されるので、これらの弾性体16の収縮により、二つの切込部15を確実に開口できる。したがって、開口した二つの切込部15から収容ポケット部10へ排泄物を確実に収容できる。また、使い捨て吸収性物品1の装着位置がずれてしまった場合であっても、切込部15が二つ設けられていることにより、二つの切込部15のうちのいずれかから収容ポケット部10へ排泄物を収容できるので、排泄物を収容ポケット部10へ収容しやすい。
【0063】
ここで、上記のように、表面シート3に複数、例えば、二つの切込部15を形成する構成では、図10および図11に示すように、二つの切込部15の間に一つの弾性体16を配設する構成としてもよい。
【0064】
また、図10に示すように、3つの下側表面シート14を離間して上側表面シート13に接合する構成では、各切込部15にて形成される切込縁部が硬くなり過ぎず、肌触りが良好であるので好ましいが、3つの下側表面シート14をそれぞれ上側表面シート13に接合して、下側表面シート14の間に切込部15を形成する必要があるので、製造が煩雑になってしまう。
【0065】
一方、図11に示すように、下側表面シート14が離間しない構成では、一枚の下側表面シート14を上側表面シート13に接合し、上側表面シート13および下側表面シート14に複数の切込部15を形成すればよいので、図10の構成に比べて、容易に製造できるとともに、製造誤差による成形不良が発生しにくい。
【0066】
なお、この実施の形態では、表面シート3に二つの切込部15を形成した構成としたが、表面シート3に形成する切込部15の数は二つ限定されず、適宜設定できる。
【0067】
また、二つの切込部15の間に二つの弾性体16を配設する構成の場合に、下側表面シート14が離間していない構成としたが、このような構成には限定されず、3つの下側表面シート14をそれぞれ離間して上側表面シート13に接合する構成としてもよい。
【0068】
次に、第3の実施の形態を図12を参照して説明する。なお、上記各実施の形態と同様の構成および作用については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0069】
図12に示すように、吸収体5は、ガーゼ23とクレープ紙24とパルプ層25とが表面シート3側から順次配設されて形成されている。
【0070】
このような構成の吸収体5では、切込部15から収容ポケット部10へ収容された液状または粘性のある液状の排泄物が、まず、ガーゼ23の目に入り込み、収容ポケット部10内にて流動しにくくなる。次いで、ガーゼ23を透過した排泄物は、クレープ紙24によって吸収されるが、多数の皺が形成され、表面積が大きいクレープ紙は、吸収できる面積が大きいので、吸収力を向上できる。さらに、クレープ紙24の裏面シート4側には、パルプ層25が配設されているので、吸収性物品本体2からの排泄物を確実に吸収して、吸収性物品本体2からの排泄物の漏出をより確実に防止できる。
【0071】
ガーゼ23は、例えば、1cm2につき綿糸40番手の経糸12±1本、綿糸40番手緯糸12±1本の条数のものを用いることが好ましいが、このような構成には限定されない。しかしながら、経糸および緯糸の条数が多くなり、ガーゼ23の目が詰まっていると、軟便等の排泄物が入り込みにくくなり、流動抑制効果が悪化するので、ガーゼ23の経糸および緯糸の条数は少ない方が好ましい。
【0072】
クレープ紙24は、多数の皺が形成された紙であり、皺が形成されることによって表面積が大きくなっている。そして、このクレープ紙24は、複数枚重ね合わされて配設される。
【0073】
パルプ層25は、フラップパルプを積層させて形成される。
【0074】
また、クレープ紙24とパルプ層25との間には、例えば高分子吸収材(SAP)にて形成された図示しない吸収性シートを配設すると、吸収体5の吸収力がより向上するので好ましい。
【0075】
なお、このような吸収体5を用いる構成では、ガーゼ23によって軟便等の排泄物を流動しにくくするので、中間シート6は配設しない。
【0076】
また、この実施の形態では、吸収体5全体がガーゼ23とクレープ紙24とパルプ層25とによって形成された構成としたが、このような構成には限定されず、吸収体5の少なくとも一部にガーゼ23とクレープ紙24とパルプ層25とが配設されていればよい。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明の使い捨て吸収性物品における第1の実施の形態を示す平面図である。
【図2】同上使い捨て吸収性物品における図1のA−A断面図である。
【図3】同上使い捨て吸収性物品における使用状態を示す斜視図である。
【図4】同上使い捨て吸収性物品における図3のB−B断面図である。
【図5】同上使い捨て吸収性物品におけるフラップ部が折曲した状態の断面図である。
【図6】同上使い捨て吸収性物品における他の構成を示す断面図である。
【図7】本発明の使い捨て吸収性物品における第2の実施の形態を示す断面図である。
【図8】同上使い捨て吸収性物品における斜視図である。
【図9】同上使い捨て吸収性物品における図8のC−C断面図である。
【図10】同上使い捨て吸収性物品における他の構成を示す断面図である。
【図11】同上使い捨て吸収性物品における他の構成を示す断面図である。
【図12】本発明の使い捨て吸収性物品における第3の実施の形態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0078】
1 使い捨て吸収性物品
2 吸収性物品本体
3 表面シート
4 裏面シート
5 吸収体
6 中間シート
13 上側表面シート
14 下側表面シート
15 切込部
16 弾性体
23 ガーゼ
24 クレープ紙
25 パルプ層
【技術分野】
【0001】
本発明は、子供用、大人用あるいは失禁用の使い捨て吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の使い捨ておむつ等の使い捨て吸収性物品としては、表面シートと裏面シートとの間に吸収体を配設した構成が一般的である。このような構成のものは、尿等の液状の排泄物は前記表面シートを透過して、吸収体にて吸収されるものの、固形便等は吸収することができない。そして、固形便等の排泄物であれば吸収はできないものの、前記使い捨て吸収性物品内で移動しないので、この使い捨て吸収性物品内から漏出しにくい。しかし、軟便等のように粘性のある液状の排泄物は、前記表面シートを透過しにくいので、前記吸収体にて吸収できず、前記使い捨て吸収性物品内にて拡がってしまう。したがって、外部へ漏出するおそれがあるとともに、排泄物が装着者の肌の広範囲に接触して装着感が悪化してしまう。
【0003】
そこで、粘性のある軟便等の排泄物が装着者の肌に接触しにくく、装着感が良好な構成のものとしては、表面シートとしての表面層と、裏面シートとしての防漏層との間に吸収体としての吸収層が介装され、前記吸収層の幅方向の両側でかつ前記表面層の幅方向の両側に撥水性の一対の外側立体ギャザーが突出形成され、この一対の外側立体ギャザーの形成間隔に撥水性の内側立体ギャザーが一対突設されたものが知られている。この構成では、まず、前記一対の内側立体ギャザー間に形成された吸収間隔により排泄物を吸収し、さらに、前記内側立体ギャザーの外面と前記外側立体ギャザーの外面との間に形成された補助吸収間隔により前記吸収間隔から横漏れした体液を吸収するので、排泄物が広がりにくく、排泄物が装着者の肌に接触しにくい(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】実開平4−99921号公報(第1,2頁、図1−3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した特許文献1における一対の内側立体ギャザーの長手方向の両端部が接続されて表面層の表面が袋状に被覆された構成、即ち、装着者側の表面に開口部が形成された構成では、前記内側立体ギャザーにて前記開口部を形成する必要があり、製造において前記開口部をくり抜く工程が必要になるので、製造が煩雑になってしまい、さらには、くり抜き部分がゴミになってしまう問題が考えられる。
【0005】
また、特許文献1における前記一対の内側立体ギャザーが吸収間隔を介して平行に位置した構成では、製造は容易であるものの、軟便等の排泄物が前記表面層の長手方向に流動して漏出するおそれがある。
【0006】
本発明はこのような点に鑑みなされたもので、排泄物が漏出しにくくかつ装着者の肌に接触しにくく、また、容易に製造できる使い捨て吸収性物品を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載された使い捨て吸収性物品は、装着者側に位置する表面シートと、外面側に位置する裏面シートと、前記表面シートと前記裏面シートとの間に位置する吸収体とが設けられた吸収性物品本体を備え、この吸収性物品本体は、少なくとも長手方向の中央部および幅方向の中央部に前記表面シートと前記吸収体とが接合されていない部分を有し、前記表面シートは、この表面シートの長手方向の長さより短く形成され前記表面シートと前記吸収体とが接合されていない部分に連通する切込部と、この切込部の幅方向の両側に前記表面シートの長手方向に沿って配設され収縮により前記切込部を開口する弾性体とを有し、この弾性体は、前記切込部より長手方向の長さが長く形成され、長手方向の両端部が前記切込部の両端部より前記表面シートの長手方向の外側に位置しているものである。
【0008】
請求項2に記載された使い捨て吸収性物品は、請求項1に記載された使い捨て吸収性物品において、表面シートは、装着者側に位置する上側表面シートと、吸収体側に位置し前記上側表面シートより幅方向の長さが短い下側表面シートとから形成され、弾性体は、前記上側表面シートと前記下側表面シートとの間に配設されたものである。
【0009】
請求項3に記載された使い捨て吸収性物品は、請求項1または2に記載された使い捨て吸収性物品において、表面シートは、複数の切込部が形成され、これら各切込部の幅方向の両側に弾性体が配設されたものである。
【0010】
請求項4に記載された使い捨て吸収性物品は、請求項1ないし3のいずれかに記載された使い捨て吸収性物品において、吸収性物品本体は、表面シートと吸収体との間に液透過性の中間シートが配設され、少なくとも長手方向中央部および幅方向中央部に前記表面シートと前記中間シートとが接合されていない部分を有するものである。
【0011】
請求項5に記載された使い捨て吸収性物品は、請求項1ないし4のいずれかに記載された使い捨て吸収性物品において、吸収体の少なくとも一部は、ガーゼと、クレープ紙と、パルプ層とが表面シート側から順次配設されたものである。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載された発明によれば、吸収性物品本体が、少なくとも長手方向の中央部および幅方向の中央部に前記表面シートと前記吸収体とが接合されていない部分を有し、表面シートが切込部およびこの切込部の幅方向の両側に配設された弾性体を有することにより、前記弾性体の収縮により開口した前記切込部から排泄物を収容できるので、排泄物が前記吸収性物品本体から漏出しにくくかつ前記吸収性物品本体内の排泄物が装着者の肌に接触しにくい。
【0013】
また、前記表面シートに切込部を形成するだけで、開口部をくり抜いて形成する必要がないので、容易に製造できる。
【0014】
請求項2に記載された発明によれば、表面シートが上側表面シートと下側表面シートとから形成され、弾性体が前記上側表面シートと前記下側表面シートとの間に配設されているので、前記弾性体を容易に配設でき、また、前記弾性体全体を前記表面シートに確実に接合できる。
【0015】
請求項3に記載された発明によれば、複数の切込部が形成され、これら各切込部の幅方向の両側に弾性体が配設されているので、前記切込部から排泄物を確実に収容できる。
【0016】
請求項4に記載された発明によれば、表面シートと吸収体との間に液透過性の中間シートが配設されていることにより、開口状態の切込部からの前記吸収体の露出を防止でき、前記中間シートにて排泄物を拡散できるので、吸収性物品本体内で排泄物を確実に保持できる。
【0017】
請求項5に記載された発明によれば、吸収体の少なくとも一部に、ガーゼとクレープ紙とパルプ層とが表面シート側から順次配設されていることにより、液状または粘性のある液状の排泄物が前記ガーゼによって流動しにくく、また、表面積が大きいクレープ紙によって吸収力を向上できるので、吸収性物品本体からの前記排泄物の漏出をより確実に防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の第1の実施の形態の構成について図1ないし図6を参照しながら詳細に説明する。
【0019】
図1および図2には、展開状態の使い捨て吸収性物品1が示され、この使い捨て吸収性物品1は、例えばおむつ等のようなパンツ型吸収性物品の装着者側に配設してインナとして使用される。
【0020】
また、使い捨て吸収性物品1は、略矩形状の吸収性物品本体2を備えている。この吸収性物品本体2は、使い捨て吸収性物品1を装着した際に、装着者側に位置する略矩形状の表面シート3と、外側面に位置する略矩形状の裏面シート4と、これら表面シート3と裏面シート4との間に位置する略矩形状の吸収体5とが設けられている。また、表面シート3と吸収体5との間には、略矩形状の中間シート6が配設されている。なお、吸収性物品本体2には、使い捨て吸収性物品1を装着した際に、装着者の腹側に位置する前側部7、吸収性物品本体2の長手方向の中央部であり装着者の股下に位置する股下部8、装着者の尻側に位置する後側部9が長手方向に沿って順次形成されている。
【0021】
表面シート3と裏面シート4とは、表面シート3と裏面シート4との間に吸収体5および中間シート6を封着するように接合されており、吸収体5と中間シート6とは、一部または全体が接合されている。さらに、表面シート3と中間シート6とは、少なくとも長手方向の中央部、即ち、股下部8に対応する部分および幅方向の中央部が接合されず、それ以外の部分が接合されており、図3および図4に示すように、使用状態の使い捨て吸収性物品1では、表面シート3と中間シート6とが接合されていない部分が収容ポケット部10となる。
【0022】
表面シート3は、使い捨て吸収性物品1を装着した際に、装着者側に位置する上側表面シート13と、吸収体5側に位置し、上側表面シート13より幅方向の長さが短い一対の下側表面シート14とから形成されている。これら一対の下側表面シート14は、表面シート3の幅方向の中央部にて離間して上側表面シート13に接合されている。
【0023】
上側表面シート13および下側表面シート14は、透液性および通気性を有しかつ肌着に近い感触のもので、例えば織布、不織布、多孔性フィルム、合成繊維等シート材にて形成される。このようなシート材にて形成されることにより、尿等の液状の排泄物を透過するとともに、身体に直接接触しても不快感を与えにくいので好ましい。
【0024】
このような構成の表面シート3には、上側表面シート13の幅方向の中央部、即ち、一対の下側表面シート14が離間した表面シート3の幅方向の中央部となる部分に、表面シート3の長手方向の長さより短く形成された線状の切込部15が設けられている。この切込部15は、表面シート3の長手方向に沿って、前側部7から後側部9へわたって表面シート3を切断して設けられ、表面シート3と中間シート6とが接合されていない部分すなわち使用状態における使い捨て吸収性物品1の収容ポケット部10に連通している。
【0025】
また、表面シート3における切込部15の幅方向の両側であり、上側表面シート13と下側表面シート14との間には、前側部7から後側部9へわたって、弾性体16が切込部15と略平行に配設されている。この弾性体16は、切込部15より長手方向の長さが長く形成され、長手方向の両端部が、切込部15の両端部より表面シート3の長手方向の外側に位置するように配設されている。この弾性体16は、伸縮可能なものであればよく、例えば紐状ゴム等が用いられる。また、弾性体16の色を表面シート3とは異なる色にすると、切込部15が目立ちやすくなり好ましい。
【0026】
そして、使い捨て吸収性物品1を展開状態から弾性体16が収縮した使用状態にすると、弾性体16の収縮により切込部15が開口されるとともに表面シート3と中間シート6とが接合されていない部分にて収容ポケット部10が形成される。
【0027】
ここで、弾性体16は、切込部15によって形成される表面シート3の切込縁部には配設されず、この切込縁部より表面シート3の幅方向の外側に配設されており、切込縁部と弾性体16との間にフラップ部17が形成される。このフラップ部17が形成されることにより、図5に示すように、弾性体16の収縮によってフラップ部17が表面シート3の幅方向の外側へ折曲可能になり、切込部15が開口しやすい。
【0028】
なお、フラップ部17の幅方向の長さが長くなり過ぎると、弾性体16の収縮により切込部15を開口しにくくなるので、図4に示すフラップ部17の幅方向の長さaが、表面シート3における接合部分の内側端部と弾性体16との距離bより短くなるようにフラップ部17を形成することが好ましい。
【0029】
裏面シート4は、例えばポリエチレン等の不透液性または疎水性でありかつ透湿性を有するシート材にてフィルム状に形成されている。このようなシート材にて形成されることにより、裏面シート4にて吸収性物品本体2からの液状の排泄物の漏出を防止できる。また、裏面シート4は、長手方向の長さが表面シート3と同等に形成されており、幅方向の長さは、表面シート3より長く形成されている。
【0030】
中間シート6は、表面シート3と同一の素材でもよいが、液透過性に加えて液吸収性を有する素材にて形成されることが好ましい。この場合、吸収体5へ液状の排泄物を透過しながら、中間シート6によっても液状の排泄物を吸収できるので、使い捨て吸収性物品1の吸収力が向上する。また、中間シート6は、長手方向の長さが、表面シート3および裏面シート4と同等に形成されており、長手方向の端部は、表面シート3および裏面シート4に挟まれるように接合されている。さらに、中間シート6の幅方向の長さは、表面シート3より短く形成され、中間シート6にて吸収体5全体を覆うように配設され、中間シート6の幅方向の両端部および吸収体5の幅方向の両端部は、表面シート3にて覆われている。
【0031】
吸収性物品本体2の幅方向の両端部、即ち、表面シート3および裏面シート4の幅方向の両端部には、吸収性物品本体2の長手方向に沿って、液不透過性のギャザーシート18の幅方向の端部が接合されている。このギャザーシート18は、接合された端部とは他端側の先端部に第1ギャザー弾性体19が配設され、ギャザーシート18と裏面シート4との間には、第2ギャザー弾性体20が配設されている。そして、ギャザーシート18と第1ギャザー弾性体19と第2ギャザー弾性体20とによって立体ギャザー21が形成される。この立体ギャザー21は、使い捨て吸収性物品1を装着する際に、第1ギャザー弾性体19および第2ギャザー弾性体20の収縮によって吸収性物品本体2に対して立ち上り可能であり、立ち上ることにより、防漏壁として作用する。
【0032】
なお、上記第1の実施の形態では、吸収性物品本体2の少なくとも股下部8および幅方向の中央部にて、表面シート3と中間シート6とを接合しない構成であれば、例えば、吸収性物品本体2の前側部7および後側部9にて、表面シート3と中間シート6とを接合せず、使用状態における使い捨て吸収性物品1にて前側収容ポケット部および後側収容ポケット部を形成する構成等にしてもよい。この構成では、軟便等の粘性のある液状の排泄物が前側収容ポケット部および後側収容ポケット部に流動し、排泄物を収容し易いので好ましい。しかし、表面シート3と中間シート6とが接合されていない部分の大きさが吸収体5より大きいと、排泄物が吸収体5にて吸収できない可能性があるので、表面シート3と中間シート6とが接合されていない部分すなわち使用状態における収容ポケット部10は、吸収体5が配設された部分より吸収性物品本体2の内側に位置することが好ましい。
【0033】
また、表面シート3は、裏面シート4より幅方向の長さが短い構成としたが、このような構成には限定されず、表面シート3および裏面シート4の幅方向の長さが同等の構成としてもよい。
【0034】
さらに、表面シート3は、上側表面シート13および下側表面シート14によって形成された構成としたが、このような構成には限定されず、一枚のシート材にて表面シート3を構成してもよい。このような構成の場合は、表面シート3の幅方向の中央部に位置する切込縁部を幅方向の外側へ折り返し、この折り返した部分と表面シート3との間に弾性体16を配設する構成が考えられる。この構成では、切込部15の長手方向の長さは、弾性体16の長手方向の長さより短いことから、折り返した部分の長手方向の長さが、弾性体16より短くなってしまい、弾性体16の長手方向の両端部を確実に配設できない。したがって、上側表面シート13および下側表面シート14によって表面シート3を形成して、上側表面シート13と下側表面シート14との間に弾性体16を配設する構成が好ましい。
【0035】
上側表面シート13および下側表面シート14にて表面シート3を形成する場合は、一対の下側表面シート14を表面シート3の幅方向の中央部にて離間させる構成には限定されず、図6に示すように、一対の下側表面シート14を離間させない構成にしてもよい。この構成の場合は、上側表面シート13の幅方向の中央部に一枚の下側表面シート14を配設し、上側表面シート13および下側表面シート14を線状に切断して切込部15を形成する。
【0036】
吸収性物品本体2は、表面シート3と吸収体5との間に中間シート6を配設し、使用状態の使い捨て吸収性物品1では表面シート3と中間シート6との間に収容ポケット部10が形成される構成としたが、このような構成には限定されず、中間シート6を設けない構成としてもよい。中間シート6を設けない構成の場合は、表面シート3と吸収体5とは、少なくとも股下部8に対応する部分および幅方向の中央部以外の部分が接合され、使用状態における使い捨て吸収性物品1では、表面シート3と吸収体5とが接合されていない部分にて収容ポケット部10が形成される。
【0037】
また、中間シート6を設ける構成の場合は、中間シート6にて吸収体5全体を覆う構成には限定されず、例えば、切込部15の延長線上に位置する吸収体5の幅方向の中央部にのみ中間シート6を配設し、吸収体5の他の部分を表面シート3にて覆う構成等としてもよい。
【0038】
切込部15は、前側部7から後側部9へわたって設けられた構成としたが、このような構成には限定されず、少なくとも股下部8に形成されていればよい。
【0039】
また、切込部15が、吸収性物品本体2の幅方向の中央部にて、吸収性物品本体2の長手方向に沿って形成される構成には限定されず、例えば、吸収性物品本体2の長手方向に対して傾斜上に形成する構成等でもよい。
【0040】
さらに、切込部15は、表面シート3を完全に切断した構成には限定されず、使い捨て吸収性物品1の使用状態にて切込部15が切断されて開口可能であればよく、切込部15を例えばミシン目のような鎖線状に形成し、使用に際して、鎖線状の切込部15を切断する構成等でもよい。
【0041】
弾性体16が切込部15に略平行に配設されることにより、弾性体16の収縮によって切込部15が開口し易いので好ましいが、このような構成には限定されず、切込部15と弾性体16とは、平行でなくてもよい。
【0042】
吸収性物品本体2の幅方向の両端部に長手方向に沿って立体ギャザー21を設ける構成としたが、このような構成には限定されず、立体ギャザー21を設けない構成としてもよい。
【0043】
次に、上記第1の実施の形態の作用および効果を説明する。
【0044】
使い捨て吸収性物品1の装着に際しては、この使い捨て吸収性物品1は、折り畳まれた状態にて保管してあるので、この折り畳まれた使い捨て吸収性物品1を広げ、弾性体16、第1ギャザー弾性体19、第2ギャザー弾性体20が収縮した使用状態にする。
【0045】
ここで、使用状態の使い捨て吸収性物品1では、弾性体16の収縮により切込部15が開口されるとともに表面シート3と中間シート6とが接合されていない部分にて収容ポケット部10が形成され、第1ギャザー弾性体19および第2ギャザー弾性体20の収縮により立体ギャザー21が立ち上げられる。
【0046】
次いで、使い捨て吸収性物品1の開口した切込部15およびこの切込部15と連通する収容ポケット部10が装着者の股下に位置するように、例えば、おむつ等のパンツ型使い捨て吸収性物品の内部に使い捨て吸収性物品1を配設する。
【0047】
そして、切込部15の幅方向の両側に位置するフラップ部17が装着者の股下に接触するように、使い捨て吸収性物品1が配設されたパンツ型使い捨て吸収性物品を装着する。
【0048】
このような使い捨て吸収性物品1を装着すると、装着者の排泄物は、開口した切込部15から収容ポケット部10へ入り込み収容される。
【0049】
ここで、収容ポケット部10に流入した排泄物が尿のような液状の排泄物であれば、中間シート6により拡散されながら、この中間シート6を透過して吸収体5にて吸収される。収容ポケット部10に流入した排泄物が軟便のような粘性のある液状の排泄物であれば、吸収体5によって吸収されにくいものの、収容ポケット部10内にて中間シート6によって拡散される。収容ポケット部10に入り込んだ排泄物が固形便のような固形の排泄物であると、収容ポケット部10内では固形の排泄物は移動しにくいので、収容ポケット部10内に収容された状態で保持される。
【0050】
このように使い捨て吸収性物品1によれば、吸収性物品本体2が、長手方向の中央部および幅方向の中央部に、表面シート3と吸収体5とが接合されていない部分を有し、表面シート3が表面シート3と中間シート6とが接合されていない部分に連通する切込部15およびこの切込部15の幅方向の両側に配設された弾性体16を有することにより、使用状態では、弾性体16の収縮により切込部15が開口されるとともに表面シート3と吸収体5とが接合されていない部分にて収容ポケット部10が形成される。そして、開口した切込部15から収容ポケット部10へ排泄物が入り込み、収容ポケット部10にて排泄物を収容できる。したがって、吸収体5にて吸収できない排泄物であっても、収容ポケット部10内に収容した状態を保持できるので、排泄物が吸収性物品本体2から漏出しにくい。さらに、収容ポケット部10は、表面シート3より吸収体5側に位置するので、収容ポケット部10に収容された排泄物が装着者の肌に接触しにくく、装着感が悪化しにくい。なお、この実施の形態では、表面シート3と吸収体5との間に中間シート6を配設した構成としたので、使用状態では、表面シート3と中間シート6との間に収容ポケット部10が形成されているが、中間シート6を配設しない構成の使用状態では、表面シート3と吸収体5との間に収容ポケット部10が形成される。そして、中間シート6が配設されていない構成であっても、切込部15および収容ポケット部10によって上記と同様の効果を奏する。
【0051】
また、使い捨て吸収性物品1は、従来の構成の使い捨て吸収性物品の製造と比較しても、吸収性物品本体2の長手方向の中央部および幅方向の中央部以外の部分にて表面シート3と中間シート6とを接合し、展開状態における表面シート3の幅方向の中央部に長手方向に沿って切込部15を形成し、この切込部15の両側に弾性体16を配設するだけで製造できる。また、表面シート3に線状の切込部15を形成するだけで、開口部をくり抜いて形成する必要がないので、容易に製造できるとともに、製造時のゴミを減少できる。
【0052】
表面シート3が、上側表面シート13と下側表面シート14とから形成され、弾性体16が上側表面シート13と下側表面シート14との間に配設されているので、弾性体16を配設する際には、弾性体16を挟むように上側表面シート13と下側表面シート14とを接合すればよく、弾性体16を容易に配設でき、また、弾性体16全体を表面シート3に確実に接合できる。
【0053】
ここで、上側表面シート13と下側表面シート14とを接合する際に、一対の下側表面シート14を表面シート3の幅方向の中央部にて離間して接合し、これら一対の下側表面シート14が離間した部分に、切込部15を設けることにより、装着者に接触し易い切込部15にて形成された切込縁部が上側表面シート13のみであるので、硬くなり過ぎることがなく、肌触りが良好である。
【0054】
一方、上側表面シート13と下側表面シート14とを接合する際に、一対の下側表面シート14を離間させず、上側表面シート13の幅方向の中央部に一枚の下側表面シート14を配設して、上側表面シート13および下側表面シート14に切込部15を形成すると、一対の下側表面シート14を離間させて、それぞれ上側表面シート13に接合する構成に比べて容易に形成できるとともに、切込部15を形成する位置や、弾性体16を配設する位置が、表面シート3の幅方向に多少ずれてもよく、製造誤差による成形不良が発生しにくい。また、上側表面シート13と下側表面シート14との境界部が分かりにくく、切込部15の外観が良好になる。
【0055】
さらに、表面シート3の切込縁部にフラップ部17が形成されることにより、弾性体16の収縮により切込部15が開口しやすいとともに、フラップ部17が装着者に接触するので、使い捨て吸収性物品1の密着性を向上でき、排泄物を収容ポケット部10に収容しやすくなる。
【0056】
また、弾性体16を表面シート3等の他の部分とは異なる色にて形成したり、切込部15近傍に目印を設けたりすることにより、使い捨て吸収性物品1を装着する際に切込部15が目立ち易くなるので、使い捨て吸収性物品1を正確に装着しやすくなる。
【0057】
さらに、切込部15と弾性体16とを略平行に設けることにより、弾性体16の収縮によって切込部15が開口しやすくなるので、排泄物を切込部15から収容ポケット部10へ確実に収容できる。
【0058】
表面シート3と吸収体5との間に液透過性の中間シート6が配設されることにより、開口状態の切込部15からの吸収体5の露出を防止できるので、排泄物を吸収した吸収体5が切込部15から露出することによって、吸収体5に吸収された排泄物が収容ポケット部10から漏出することを防止できる。また、切込部15から収容ポケット部10へ流入してきた排泄物を中間シート6にて拡散できるので、排泄物が収容ポケット部10から漏出することを防止できる。したがって、吸収性物品本体2内で排泄物を確実に保持できる。
【0059】
次に、第2の実施の形態を図7ないし図11を参照して説明する。なお、上記各実施の形態と同様の構成および作用については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0060】
図7ないし図9に示すように、表面シート3には、長手方向に沿って複数、例えば、二つの切込部15が形成され、使用状態ではこれら各切込部15は、収容ポケット部10に連通している。
【0061】
また、各切込部15の幅方向の両側には、弾性体16が配設され、二つの切込部15の間には、二つの弾性体16が配設されている。これらの弾性体16の収縮により、二つの切込部15が開口する。
【0062】
そして、表面シート3に二つの切込部15が形成され、これら各切込部15の幅方向の両側に弾性体16が配設されるので、これらの弾性体16の収縮により、二つの切込部15を確実に開口できる。したがって、開口した二つの切込部15から収容ポケット部10へ排泄物を確実に収容できる。また、使い捨て吸収性物品1の装着位置がずれてしまった場合であっても、切込部15が二つ設けられていることにより、二つの切込部15のうちのいずれかから収容ポケット部10へ排泄物を収容できるので、排泄物を収容ポケット部10へ収容しやすい。
【0063】
ここで、上記のように、表面シート3に複数、例えば、二つの切込部15を形成する構成では、図10および図11に示すように、二つの切込部15の間に一つの弾性体16を配設する構成としてもよい。
【0064】
また、図10に示すように、3つの下側表面シート14を離間して上側表面シート13に接合する構成では、各切込部15にて形成される切込縁部が硬くなり過ぎず、肌触りが良好であるので好ましいが、3つの下側表面シート14をそれぞれ上側表面シート13に接合して、下側表面シート14の間に切込部15を形成する必要があるので、製造が煩雑になってしまう。
【0065】
一方、図11に示すように、下側表面シート14が離間しない構成では、一枚の下側表面シート14を上側表面シート13に接合し、上側表面シート13および下側表面シート14に複数の切込部15を形成すればよいので、図10の構成に比べて、容易に製造できるとともに、製造誤差による成形不良が発生しにくい。
【0066】
なお、この実施の形態では、表面シート3に二つの切込部15を形成した構成としたが、表面シート3に形成する切込部15の数は二つ限定されず、適宜設定できる。
【0067】
また、二つの切込部15の間に二つの弾性体16を配設する構成の場合に、下側表面シート14が離間していない構成としたが、このような構成には限定されず、3つの下側表面シート14をそれぞれ離間して上側表面シート13に接合する構成としてもよい。
【0068】
次に、第3の実施の形態を図12を参照して説明する。なお、上記各実施の形態と同様の構成および作用については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0069】
図12に示すように、吸収体5は、ガーゼ23とクレープ紙24とパルプ層25とが表面シート3側から順次配設されて形成されている。
【0070】
このような構成の吸収体5では、切込部15から収容ポケット部10へ収容された液状または粘性のある液状の排泄物が、まず、ガーゼ23の目に入り込み、収容ポケット部10内にて流動しにくくなる。次いで、ガーゼ23を透過した排泄物は、クレープ紙24によって吸収されるが、多数の皺が形成され、表面積が大きいクレープ紙は、吸収できる面積が大きいので、吸収力を向上できる。さらに、クレープ紙24の裏面シート4側には、パルプ層25が配設されているので、吸収性物品本体2からの排泄物を確実に吸収して、吸収性物品本体2からの排泄物の漏出をより確実に防止できる。
【0071】
ガーゼ23は、例えば、1cm2につき綿糸40番手の経糸12±1本、綿糸40番手緯糸12±1本の条数のものを用いることが好ましいが、このような構成には限定されない。しかしながら、経糸および緯糸の条数が多くなり、ガーゼ23の目が詰まっていると、軟便等の排泄物が入り込みにくくなり、流動抑制効果が悪化するので、ガーゼ23の経糸および緯糸の条数は少ない方が好ましい。
【0072】
クレープ紙24は、多数の皺が形成された紙であり、皺が形成されることによって表面積が大きくなっている。そして、このクレープ紙24は、複数枚重ね合わされて配設される。
【0073】
パルプ層25は、フラップパルプを積層させて形成される。
【0074】
また、クレープ紙24とパルプ層25との間には、例えば高分子吸収材(SAP)にて形成された図示しない吸収性シートを配設すると、吸収体5の吸収力がより向上するので好ましい。
【0075】
なお、このような吸収体5を用いる構成では、ガーゼ23によって軟便等の排泄物を流動しにくくするので、中間シート6は配設しない。
【0076】
また、この実施の形態では、吸収体5全体がガーゼ23とクレープ紙24とパルプ層25とによって形成された構成としたが、このような構成には限定されず、吸収体5の少なくとも一部にガーゼ23とクレープ紙24とパルプ層25とが配設されていればよい。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明の使い捨て吸収性物品における第1の実施の形態を示す平面図である。
【図2】同上使い捨て吸収性物品における図1のA−A断面図である。
【図3】同上使い捨て吸収性物品における使用状態を示す斜視図である。
【図4】同上使い捨て吸収性物品における図3のB−B断面図である。
【図5】同上使い捨て吸収性物品におけるフラップ部が折曲した状態の断面図である。
【図6】同上使い捨て吸収性物品における他の構成を示す断面図である。
【図7】本発明の使い捨て吸収性物品における第2の実施の形態を示す断面図である。
【図8】同上使い捨て吸収性物品における斜視図である。
【図9】同上使い捨て吸収性物品における図8のC−C断面図である。
【図10】同上使い捨て吸収性物品における他の構成を示す断面図である。
【図11】同上使い捨て吸収性物品における他の構成を示す断面図である。
【図12】本発明の使い捨て吸収性物品における第3の実施の形態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0078】
1 使い捨て吸収性物品
2 吸収性物品本体
3 表面シート
4 裏面シート
5 吸収体
6 中間シート
13 上側表面シート
14 下側表面シート
15 切込部
16 弾性体
23 ガーゼ
24 クレープ紙
25 パルプ層
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装着者側に位置する表面シートと、外面側に位置する裏面シートと、前記表面シートと前記裏面シートとの間に位置する吸収体とが設けられた吸収性物品本体を備え、
この吸収性物品本体は、少なくとも長手方向の中央部および幅方向の中央部に前記表面シートと前記吸収体とが接合されていない部分を有し、
前記表面シートは、この表面シートの長手方向の長さより短く形成され前記表面シートと前記吸収体とが接合されていない部分に連通する切込部と、この切込部の幅方向の両側に前記表面シートの長手方向に沿って配設され収縮により前記切込部を開口する弾性体とを有し、
この弾性体は、前記切込部より長手方向の長さが長く形成され、長手方向の両端部が前記切込部の両端部より前記表面シートの長手方向の外側に位置している
ことを特徴とする使い捨て吸収性物品。
【請求項2】
表面シートは、装着者側に位置する上側表面シートと、吸収体側に位置し前記上側表面シートより幅方向の長さが短い下側表面シートとから形成され、
弾性体は、前記上側表面シートと前記下側表面シートとの間に配設された
ことを特徴とする請求項1記載の使い捨て吸収性物品。
【請求項3】
表面シートは、複数の切込部が形成され、これら各切込部の幅方向の両側に弾性体が配設された
ことを特徴とする請求項1または2記載の使い捨て吸収性物品。
【請求項4】
吸収性物品本体は、表面シートと吸収体との間に液透過性の中間シートが配設され、少なくとも長手方向中央部および幅方向中央部に前記表面シートと前記中間シートとが接合されていない部分を有する
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか記載の使い捨て吸収性物品。
【請求項5】
吸収体の少なくとも一部は、ガーゼと、クレープ紙と、パルプ層とが表面シート側から順次配設された
ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか記載の使い捨て吸収性物品。
【請求項1】
装着者側に位置する表面シートと、外面側に位置する裏面シートと、前記表面シートと前記裏面シートとの間に位置する吸収体とが設けられた吸収性物品本体を備え、
この吸収性物品本体は、少なくとも長手方向の中央部および幅方向の中央部に前記表面シートと前記吸収体とが接合されていない部分を有し、
前記表面シートは、この表面シートの長手方向の長さより短く形成され前記表面シートと前記吸収体とが接合されていない部分に連通する切込部と、この切込部の幅方向の両側に前記表面シートの長手方向に沿って配設され収縮により前記切込部を開口する弾性体とを有し、
この弾性体は、前記切込部より長手方向の長さが長く形成され、長手方向の両端部が前記切込部の両端部より前記表面シートの長手方向の外側に位置している
ことを特徴とする使い捨て吸収性物品。
【請求項2】
表面シートは、装着者側に位置する上側表面シートと、吸収体側に位置し前記上側表面シートより幅方向の長さが短い下側表面シートとから形成され、
弾性体は、前記上側表面シートと前記下側表面シートとの間に配設された
ことを特徴とする請求項1記載の使い捨て吸収性物品。
【請求項3】
表面シートは、複数の切込部が形成され、これら各切込部の幅方向の両側に弾性体が配設された
ことを特徴とする請求項1または2記載の使い捨て吸収性物品。
【請求項4】
吸収性物品本体は、表面シートと吸収体との間に液透過性の中間シートが配設され、少なくとも長手方向中央部および幅方向中央部に前記表面シートと前記中間シートとが接合されていない部分を有する
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか記載の使い捨て吸収性物品。
【請求項5】
吸収体の少なくとも一部は、ガーゼと、クレープ紙と、パルプ層とが表面シート側から順次配設された
ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか記載の使い捨て吸収性物品。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2009−291455(P2009−291455A)
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−148865(P2008−148865)
【出願日】平成20年6月6日(2008.6.6)
【出願人】(391047503)白十字株式会社 (64)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年6月6日(2008.6.6)
【出願人】(391047503)白十字株式会社 (64)
【Fターム(参考)】
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