説明

使い捨て着用物品

【課題】 着用者の肌に強い刺激を与えることなく、尿等の排泄物を一時的に留めることができるカップ形状部を有する使い捨て着用物品を提供する。
【解決手段】 おむつ1の前外面シート11と内面シート13との間には、前ウエスト弾性体18が取り付けられ、後外面シート12と内面シート13との間には、後ウエスト弾性体19が取り付けられる。内面シート13の内側には、吸収体30が取り付けられ、吸収体30と内面シート13との間には、一対のレッグカフ40が取り付けられる。レッグカフ40の第1側域は、吸収体30と内面シート13との間で接合され、第2側域42は、吸収体30の横方向Xの外側に延出され、内面シート13に接合されることなくカフ弾性体43が複数本取り付けられている。前後ウエスト域2,3は、縦方向Yに隣接する第1〜第3領域2a〜2c,3a〜3cをそれぞれ有し、各領域に第1〜第3弾性体18a〜18c,19a〜19cが取り付けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、使い捨て着用物品に関し、さらに詳しくはウエスト域に複数本の弾性体が取り付けられた使い捨てのおむつ、排泄トレーニングパンツ、失禁ブリーフ等の使い捨て着用物品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、前後ウエスト域とこれらの間に位置するクロッチ域とを有し、少なくともクロッチ域に吸収体が取り付けられた使い捨ておむつが知られている。例えば、特許文献1によれば、伸長状態で収縮可能な弾性素子を第1〜第4経路に沿って取り付けることによって、吸収体がこれらの経路で囲まれるとともに、おむつの着衣側に膨らむわん形状をクロッチ域に形成することとしている。具体的には、第1および第2経路は、前ウエスト領域の一側縁から後ウエスト領域の反対側の側縁に延び縦中心線を横切る。第3および第4経路は、縦中心線に関して第1および第2経路の鏡像である。
【0003】
第1〜第4経路に沿って取り付けられた弾性素子が収縮することによって、これらの間には、わん形状が形成され、わん形状の部分に尿等が一時的に収集されることによって、確実に吸収体に尿等を浸透させ、おむつから尿等が漏れるのを防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表平11−504825号公報(JP H11−504825 A)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のおむつでは、第1〜第4経路に沿って取り付けられた弾性素子が、4箇所で互いに交差する。弾性素子が交差した部分では、他の領域よりも着用者に対する締め付け力が大きくなり、部分的に着用者に強く接触し、刺激を与える可能性がある。
【0006】
この発明は、着用者の肌に強い刺激を与えることなく、尿等の排泄物を一時的に留めることができるカップ形状部を有する使い捨て着用物品を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、縦方向および横方向と、身体側およびその反対側と、前ウエスト域、後ウエスト域および前記前後ウエスト域間に位置するクロッチ域を含むシャーシと、前記シャーシの前後端縁によって形成されたウエスト開口と、前記シャーシの両側縁によって形成されたレッグ開口と、少なくとも前記クロッチ域に位置する吸収体と、前記シャーシの前記身体側に位置し前記クロッチ域から前記前後ウエスト域へと延びて前記横方向に離間した一対のレッグカフとを有し、前記前後ウエスト域には、前記横方向に延びるとともに前記縦方向に離間した複数の前後ウエスト弾性体が伸長状態で収縮可能に取り付けられた使い捨て着用物品の改良に関わる。
【0008】
この発明は、前記着用物品において、前記シャーシは、前記身体側に位置する内面シートと、前記反対側に位置する外面シートとを有し、前記内外面シートの間に前記ウエスト弾性体が取り付けられ、前記吸収体は、前記クロッチ域から前記前後ウエスト域に延在し、前記レッグカフは、前記シャーシに接合される第1側域と、前記第1側域に対向するとともに前記シャーシから離間可能な第2側域と、前記第2側域に伸長状態で収縮可能に取り付けられたカフ弾性体とを有し、前記前後ウエスト弾性体の少なくともいずれかは、前記吸収体の前記縦方向外側の前記シャーシに位置する第1弾性体と、前記レッグ開口の少なくとも一部に沿って取り付けられる第3弾性体とを有し、前記前後ウエスト域の少なくともいずれかは、前記第1弾性体が取り付けられた第1領域と、前記第3弾性体が取り付けられた第3領域と、前記第1および第3領域の間に位置する第2領域とを有し、前記第1および第3領域の伸張応力は、前記第2領域のそれよりも大きく、前記カフ弾性体は、少なくとも前記第2領域まで延在されることを特徴とする。
【0009】
この発明の実施態様のひとつとして、前記前後ウエスト弾性体は、前記第2領域に取り付けられた第2弾性体を含む。
【0010】
他の実施態様のひとつとして、前記レッグカフの前記第2側域は、前記第1領域に重なる位置で前記シャーシ側に接合される。
【0011】
他の実施態様のひとつとして、前記第1領域および前記第3領域の伸張応力は、0.5〜3.0N、前記第2領域の伸張応力は、0.1〜1.5Nである。
【0012】
他の実施態様のひとつとして、前記第1〜第3領域の前記吸収体を含む剛性は、0.05〜1.00N・cmである。
【0013】
他の実施態様のひとつとして、前記吸収体は、吸液性の芯材を有し、少なくとも前記第3領域に重なる位置において前記芯材の量が他の部分よりも少なくされた減少部が形成される。
【発明の効果】
【0014】
この発明は、特にそのひとつ以上の実施態様によれば、前後ウエスト域の少なくともいずれかにおいて、第2領域の伸張応力が、第1および第3領域の伸張応力よりも小さくされ、その両側がカフ弾性体によって縮められることによって、第2領域が着用物品の外側に膨んだカップ形状部を形成することができる。ウエスト弾性体は、内外面シートの間に取り付けられ、内面シートの身体側にカフ弾性体が取り付けられるので、これら弾性体が直接接触して重なることがなく、部分的に締め付け力が大きくなるのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】使い捨て着用物品の一例であるおむつの斜視図。
【図2】おむつの展開平面図。
【図3】図2のIII−III線模式断面図。
【図4】図2の分解組立図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1〜4は、この発明の一実施態様を示すものであり、着用物品として使い捨ておむつを例に挙げて説明する。図1は、おむつ1のウエスト開口5およびレッグ開口6が環状に保たれた状態の斜視図であり、図2は、おむつ1の身体側から見た展開平面図であって、おむつの各弾性体をその収縮力に抗して伸長させ、おむつ1を平面に保った状態を示したものである。図3は、図2のIII−III線断面図であり、各シート間を離間させて模式的に示している。図4は、図2の分解組立図である。
【0017】
おむつ1は、縦方向Yおよび横方向Xと、身体側およびその反対側である着衣側と、前ウエスト域2、後ウエスト域3、前後ウエスト域2,3の間に位置するクロッチ域4とを含む。おむつ1は、前後ウエスト域2,3の両側縁7を互いに接合することによって、横方向Xに延びる前後端縁8,9でウエスト開口5が形成され、クロッチ域4に位置する両側縁7でレッグ開口6が形成される。また、おむつ1は、横方向Xの長さ寸法を二等分する仮想縦中心線P−Pと、縦方向Yの長さ寸法を二等分する仮想横中心線Q−Qとを有し、仮想縦中心線P−Pに対してほぼ対称に形成されている。両側縁7は、クロッチ域4において、仮想縦中心線P−Pに向かって、その横方向Xの長さ寸法が小さくなるように湾曲されている。
【0018】
おむつ1は、前後ウエスト域2,3およびクロッチ域4を有するシャーシ10と、シャーシ10の身体側に位置するとともにクロッチ域4から前後ウエスト域2,3に延びる吸収体30と、レッグカフ40とを有する。
【0019】
シャーシ10は、前後ウエスト域2,3の一部をそれぞれ形成し、着衣側に位置する前後外面シート11,12と、前後外面シート11,12の内面側であってその一部に重なり、前後ウエスト域2,3の一部とクロッチ域4とを形成する内面シート13とを有する。前後外面シート11,12は、縦方向Yに離間し、これらシート11,12を連結するように内面シート13が配置されている。前後外面シート11,12および内面シート13として、疎水性のスパンボンド繊維不織布、SMS(スパンボンド・メルトブローン・スパンボンド)繊維不織布等を用いることができる。
【0020】
前外面シート11は、横方向Xに延びる内外端縁11a,11bと、縦方向Yに延びる両側縁11cとを有し、全体的にほぼ矩形にされている。後外面シート12は、横方向Xに延びる内外端縁12a,12bと、縦方向Yに延びる両側縁12cとを有し、前後外面シート11,12の外端縁11b,12bを互いに重ね合わせたときに、後外面シート12の内端縁12aが前外面シート11の内端縁11aから延出する寸法関係を有している。この延出した領域はほぼ台形にされている。
【0021】
前後外面シート11,12および内面シート13の間には、前外面シート11に接合される前漏れ防止シート14と、後外面シート12に接合される後漏れ防止シート15と、これら前後漏れ防止シート14,15の縦方向Yの間に位置し内面シート13に接合されるクロッチ漏れ防止シート16とを有し、クロッチ漏れ防止シート16の着衣側には被覆シート17が接合されている。これら漏れ防止シート14,15,16として、疎水性かつ透湿性のプラスチックフィルム等を用いることができ、おむつ1から尿等が漏れるのを防止することができる。クロッチ漏れ防止シート16と被覆シート17とは、ほぼ同形同大とされ、被覆シート17として疎水性繊維不織布等を用いることができる。前後漏れ防止シート14,15の外面を前後外面シート11,12で覆い、クロッチ漏れ防止シート16の外面を被覆シート17で覆うことによって、おむつ1の着衣側の肌触りを向上させることができる。各シートを互いに接合する接合手段として、例えば、ホットメルト接着剤を用いることができる。
【0022】
前外面シート11と内面シート13との間には、横方向Xに伸長状態で収縮可能に延びる複数本の前ウエスト弾性体18が取り付けられている。後外面シート12と内面シート13との間には、後ウエスト弾性体19が取り付けられている。これら前後ウエスト弾性体18,19は、縦方向Yに離間して配置され、前後外面シート11,12および内面シート13の少なくともいずれか一方にホットメルト接着剤等の接合手段によって接合されている。
【0023】
前後外面シート11,12の縦方向Y外側には、それぞれ前後開口シート21,22が接合されている。前開口シート21は、前外面シート11の外端縁11bに接合され、後開口シート22は、後外面シート12の外端縁12bに接合される。前後開口シート21,22は、境界線23を介して外面側に位置する第1シート部24,25と、内面側に位置する第2シート部26,27とを有している。すなわち、前後開口シート21,22は、境界線23を介して折り畳まれ、第1シート部24,25と第2シート部26,27とが積層されている。境界線23によってウエスト開口5が形成され、シャーシ10の前後端縁8,9が形成される(図1参照)。第1シート部24,25と第2シート部26,27との間には、複数本の前後開口弾性体28,29が横方向Xに伸長状態で収縮可能に取り付けられている。前後開口弾性体28,29は、縦方向Yに離間して、第1シート部24,25および第2シート部26,27の少なくともいずれか一方にホットメルト接着剤等の接合手段によって接合されている。
【0024】
この実施形態では、前開口シート21の境界線23から前外面シート11の内端縁11aまでが前ウエスト域2とされ、後開口シート22の境界線23から後外面シート12の内端縁12aまでが後ウエスト域3とされている。また、内端縁11aおよび内端縁12a間がクロッチ域4とされている。
【0025】
内面シート13の内面側には、吸収体30が取り付けられている。吸収体30は、フラッフパルプや超吸収ポリマー粒子等、またはこれらの混合物によって構成された芯材を有し、ティッシュペーパ等の透液性シート31で覆われている。さらに、吸収体30の吸収面側には身体側ライナ32が取り付けられている。身体側ライナ32は、エアスルー不織布やスパンボンド不織布等の透液性の繊維不織布を用いることができる。吸収体30には、縦方向Yに延びるとともに、その周囲の領域よりも芯材の量が少なくされた減少部33が形成されている。具体的には、減少部33は、芯材が部分的に除去された複数条のスリットによって形成されている。したがって、減少部33では、芯材がほとんど存在せず、これら減少部33に沿って吸収体30が折れ曲がり、着用者の身体に密着しやすくすることができる。また、減少部33の形成によって、芯材の吸収面が増大し、速やかな尿等の吸収が可能となる。
【0026】
吸収体30と内面シート13との間には、一対のレッグカフ40が取り付けられている。レッグカフ40は、横方向Xに離間してそれぞれ取り付けられ、縦方向Yに延びている。レッグカフ40は、横方向X内側に位置する第1側域41と、外側に位置する第2側域42とを有する。第1側域41は、吸収体30と内面シート13との間に位置し、これらの間でホットメルト接着剤等の接着手段によって接合されている。第2側域42は、吸収体30の横方向Xの外側に延出され、内面シート13に接合されることなく縦方向Yに延びるとともに、縦方向Yに伸長状態で収縮可能なカフ弾性体43が複数本取り付けられている。レッグカフ40の前後端縁44,45は、内面シート13にホットメルト接着剤等の接合手段により接合されている。このようなレッグカフ40において、カフ弾性体43の収縮によって、第2側域42が内面シート13から起立するように離間して、着用者の鼠蹊部近傍に密着し、尿等の漏れを防止することができる。
【0027】
上記のようなおむつ1において、前ウエスト弾性体18は、吸収体30の前端縁30aの縦方向Y外側に位置する複数本の第1弾性体18aと、第1弾性体18aの縦方向Y内側に位置し、少なくともその横方向Xの中央部分が吸収体30に重なる複数本の第2弾性体18bと、第2弾性体18bの縦方向Y内側に位置し、少なくともその横方向Xの中央部分が吸収体30に重なる複数本の第3弾性体18cとを有する。具体的に、第1弾性体18aは、前外面シート11の外端縁11bから吸収体30の前端縁30aの間に配置され、第3弾性体18cは、内端縁11aに沿って配置され、第2弾性体18bは、これら第1および第3弾性体18a,18cの間に配置されている。前ウエスト域2は、第1弾性体18aが取り付けられた第1領域2aと、第2弾性体18bが取り付けられた第2領域2bと、第3弾性体18cが取り付けられた第3領域2cとが、それぞれ隣接して画成される。少なくとも第3領域2cには、クロッチ域4から延びる減少部33の一部が重なっている。
【0028】
この実施形態において、第1領域2aの縦方向Yの長さ寸法は約65mmとされている。この第1領域2aの伸張応力は、約0.5〜3.0Nであり、この実施形態では約0.95Nとされている。第1弾性体18aは、約620dtexの弾性糸が伸長倍率約1.8〜2.5倍、ピッチ約10〜15mmで5本取り付けられている。第2領域2bの縦方向Yの長さ寸法は約60mmとされている。この第2領域2bの伸張応力は、約0.1〜1.5Nであり、この実施形態では約0.63Nとされている。第2弾性体18bは、約620dtexの弾性糸が伸長倍率約1.8倍、ピッチ約12mmで5本取り付けられている。第3領域2cの縦方向Yの長さ寸法は約25mmとされている。この第3領域2cの伸張応力は、約0.5〜3.0Nであり、この実施形態では約0.67Nとされている。第3弾性体18cは、約620dtexの弾性糸が伸長倍率約1.8倍、ピッチ約5mmで4本取り付けられている。
【0029】
伸張応力は、以下の方法によって測定した。
おむつは1、シャーシ10から吸収体30を剥離し、各領域を所定の寸法に切り取ってサンプルとして用いた。第1領域2aでは、横方向Xの長さ寸法150mm、縦方向Yの長さ寸法65mm、第2領域2bでは、横方向Xの長さ寸法150mm、縦方向Yの長さ寸法60mm、第3領域2cでは、横方向Xの長さ寸法150mm、縦方向Yの長さ寸法25mmをサンプルとして用いた。各サンプルは、温度約20〜23℃、湿度約60〜65%RHの恒温恒湿にて弾性体の弛緩状態で24時間放置後、引っ張り試験機(インストロンジャパン カンパニイリミテッド製)を用いて測定した。
【0030】
各サンプルには、横方向Xにおいて一定寸法(Amm)のマーキングをし、マーキング位置に合わせてサンプルをチャックに挟む。サイクルモードを2サイクル、速度100mm/minとして、マーキングした寸法(Amm)に対して、90%長さ(Bmm)までサンプルを伸長させる。チャック間距離がBmmの地点(B地点)で反転させ、2サイクル目のB地点での荷重を測定し、その85%を伸張応力としている。各サンプルにおける測定は複数回おこなわれ、その平均値をこの実施形態の伸張応力としている。
【0031】
第1〜第3領域2a〜2cの縦方向Yの剛性値は、約0.08〜1.00N・cm、この実施形態では約0.13N・cmであり、第1および第2領域2a,2bの横方向Xの剛性値は約0.08〜1.00N・cm、この実施形態では約0.11N・cmであり、第3領域2cの横方向Xの剛性値は約0.05〜1.00N・cm、この実施形態では約0.07N・cmである。
【0032】
剛性値は、以下の方法により測定した。
剛性はテーバー法により、テーバースティフネフテスター(株式会社 安田精機製作所製)を用い測定した。サンプルは、シャーシ10および吸収体30を含むとともに、縦方向Yの長さ寸法を約70mm、横方向Xの長さ寸法を約38.1mmに切り取って用いた。サンプルの厚さ方向の長さ寸法(C)を測定し、このサンプルをチャック中心に触れる程度に挟む。支持ローラとサンプルの間隔を長さ寸法(C)×0.08(mm)に調整し、補助重りをかぶせる。サンプルを左右両方向に回転させ、15度支持刻線と振り子の中心刻とが一致した点で、左側(D)および右側(E)の目盛りを読み取る。剛性は、(D)+(E)/2×(補助重りの数値)/1000×9.807によって求められる。測定は複数回おこなわれ、その平均値をこの実施形態の剛性値としている。
【0033】
後ウエスト弾性体19は、吸収体30の後端縁30bの縦方向Y外側に位置する複数本の第1弾性体19aと、第1弾性体19aの縦方向Y内側に位置し、少なくとも横方向Xの中央部分が吸収体30に重なる複数本の第2弾性体19bと、第2弾性体19bの縦方向Y内側に位置し、少なくとも横方向Xの中央部分が吸収体30に重なる複数本の第3弾性体19cとを有する。具体的に、第1弾性体19aは、後外面シート12の外端縁12bから吸収体30の後端縁30bの間に配置され、第3弾性体19cは、内端縁11aに沿って配置され、第2弾性体19bは、これら第1および第3弾性体19a,19cの間に配置されている。後ウエスト域3は、第1弾性体19aが取り付けられた第1領域3aと、第2弾性体19bが取り付けられた第2領域3bと、第3弾性体19cが取り付けられた第3領域3cとが、それぞれ隣接して画成される。第3領域3cは、少なくとも第3弾性体19cと吸収体30との重なる領域を有するものである。第3領域3cには、クロッチ域4から延びる減少部33の一部が重なっている。
【0034】
この実施形態において、第1領域3aの縦方向Yの長さ寸法は約50mmとされている。この第1領域3aの伸張応力は、約0.5〜3.0Nであり、この実施形態では約0.74Nとされている。第1弾性体19aは、約620dtexの弾性糸が伸長倍率約1.8〜2.5倍、ピッチ約12〜15mmで4本取り付けられている。第2領域3bの縦方向Yの長さ寸法は約145mmとされている。この第2領域3bの伸張応力は、約0.1〜1.5Nであり、この実施形態では約0.67Nとされている。第2弾性体19bは、約620dtexの弾性糸が伸長倍率約1.4〜1.8倍、ピッチ約7〜12mmで6本取り付けられている。第3領域3cの縦方向Yの長さ寸法は約25mmとされている。この第3領域3cの伸張応力は、約0.5〜1.5Nであり、この実施形態では約0.53Nとされている。第3弾性体19cは、約620dtexの弾性糸が伸長倍率約1.4、ピッチ約5mmで4本取り付けられている。伸張応力は、前ウエスト域2と同様の方法によって測定した。ただし、第2領域3bにおいて、第2弾性体19bは、第1領域3a側に偏倚して取り付けられ、弾性体が取り付けられた部分の伸張応力を測定している。
【0035】
第1〜第3領域3a〜3cの縦方向Yの剛性値は、約0.08〜1.00N・cm、この実施形態では約0.13N・cmであり、第1および第2領域3a,3bの横方向Xの剛性値は約0.08〜1.00N・cm、この実施形態では約0.11N・cmであり、第3領域3cの横方向Xの剛性値は約0.05〜1.00N・cm、この実施形態では約0.07N・cmである。剛性値は、前ウエスト域2と同様の方法によって測定した。
【0036】
レッグカフ40の第2側域42に取り付けられたカフ弾性体43は、クロッチ域4から前後ウエスト域2,3に延びるとともに、その前後端部43a,43bは、前後ウエスト域2,3の第2および第3領域2b,2c,3b,3cを越えて第1領域2b,3bにまで延在されている。すなわち、前後端部43a,43bは、吸収体30の前後端縁30a,30bよりも縦方向Y外側に位置されている。また、第2側域42であってその前後端縁44,45は、内面シート13に接合されて、これによって、カフ弾性体43の前後端部43a,43bも内面シート13に接合される。カフ弾性体43と前後ウエスト弾性体18,19とは、内面シート13を介して間接的に互いに重なり、換言すれば、直接接触して重なることはない。カフ弾性体43として、約620dtexの弾性糸が伸長倍率約2.5倍、ピッチ約5mmで2本取り付けられている。
【0037】
上記のようなおむつ1では、前ウエスト域2の第1および第3領域2a,2cの伸張応力は、第2領域2bのそれよりも大きく、同様に、後ウエスト域3においても第1および第3領域3a,3cの伸張応力は、第2領域3bよりも大きくされているから、前後ウエスト域2,3の第2領域2b,3bの縦方向Y外側の第1および第3領域2a,2c,3a,3cでは、第1および第3弾性体18a,18c,19a,19cの収縮によって、より強く締め付けられる。また、第1〜第3領域2a〜2c,3a〜3cには、縦方向Yにカフ弾性体43の収縮力が作用する。すなわち、第2領域2b,3bの周囲が各弾性体によって収縮され、前後ウエスト域2,3では、特におむつ1の着用時において、第2領域2b,3bが外側に突出するようなカップ形状部50が形成される(図1参照)。
【0038】
前後ウエスト域2,3にカップ形状部50が形成されると、排泄物をカップ形状部50で一時的に保持することができるから、カップ形状部50に位置する吸収体30で確実にその水分を吸収することができ、これがおむつ1から漏れるのを防止することができる。特に、大量の水分を含む排泄物が排泄された場合には、その全てを瞬時に吸収体30で吸収することが困難であり、おむつ1から漏れてしまう可能性もあるが、この発明では、カップ形状部50の形成によってこれを確実に防止することができる。また、カップ形状部50が形成されることで、第2領域2b,3bの内面シート13が着用者の身体から離間され、おむつ1内の通気性を向上させることができるから、おむつ1内の蒸れを防止し、着用者のかぶれを防止することもできる。
【0039】
カフ弾性体43と、前後ウエスト弾性体18,19とは、直接交差することがないので、交差した部分で締め付け力が大きくなり、着用者の身体に強く当たってしまうというのを防止することができる。したがって、このおむつ1では、弾性の取り付け部分において、部分的に着用者に強く接触し、刺激を与えるのを防止することができる。
【0040】
吸収体30には、減少部33が形成されているから、この減少部33に沿って吸収体30が湾曲しやすく、より一層カップ形状部50を形成しやすい。また、減少部33によって吸収面積を増大することができるので、その分、排泄物の速やかな吸収が可能となる。さらに、減少部33によって、第3領域2c,3cの横方向Xの剛性を小さくすることができるので、第3弾性体18c,19cによって、第3領域2c,3cを収縮しやすく、特にカップ形状部50の下端を確実に形成するとともに、着用者に身体に密着させることとができる。したがって、カップ形状部50の下端から尿等が漏れ難く、確実にカップ形状部50に保持することができる。
【0041】
おむつ1において、吸収体30が重なる位置において、その縦方向Yの剛性値を約0.08〜1.00N・cmとし、横方向Xの剛性値を約0.05〜1.00N・cmとしているが、縦方向Yおよび横方向Xのいずれにおいても、約0.05〜1.00N・cmとすることができ、それぞれの剛性値が等しくなるようにすることもできる。この実施形態では、吸収体30に減少部33を形成したことにより、横方向Xの剛性値が縦方向Yのそれに比べて低くなっている。剛性値が0.05N・cmよりも小さい場合には、形成されたカップ形状部50が前後ウエスト弾性体18,19の収縮力によりつぶれてしまい、1.00N・cmよりも大きい場合には第1および第3領域が収縮せずに、カップ形状部50が形成されにくい。
【0042】
第3弾性体18c,19cが、前後外面シート11,12の外端縁11b,12bに沿って取り付けられる。これら外端縁11b,12bは、レッグ開口6の一部を形成するので、レッグ開口6を着用者の脚周りに密着させることができ、レッグ開口6からの排泄物の漏れを防止することができる。
【0043】
カップ形状部50は、前後ウエスト域2,3のいずれか一方に形成されていればよい。また、第2領域2b,3bには、弾性体が取り付けられない場合であってもよい。すなわち、第2領域2b,3bの伸張応力が第1および第3領域2a,2c,3a,3cのそれよりも小さくなることによってカップ形状部50が形成されるから、この条件に当てはまる限り、第2領域2b,3bに弾性体がなくてもよい。ただし、第2領域2b,3bに弾性体が取り付けられることによって、着用状態によってはこの第2領域2b,3bが着用者の肌に接触し尿等を吸収することも可能となる。また、第1および第3領域の伸張応力が、それぞれほぼ等しくなるようにしているが、第2領域よりも小さければよい。
【0044】
第1〜第3領域の縦方向Yの長さ寸法は、この実施形態に記載されたものに限られることなく、また、各弾性体の本数、ピッチ、太さ等は、この実施形態に記載されたものに限られることなく、カップ形状部が形成される限りにおいて適宜変更可能である。
【0045】
前後開口シート21,22が取り付けられているが、これが取り付けられることなく、シャーシ10が前後外面シート11,12と内面シート13とで構成されているものであってもよい。おむつ1の前後外面シート11,12は、縦方向Yに離間されているが、これが離間されず、連続しているものであってもよい。また、この実施形態では、前後ウエスト域2,3の両側縁7が互いに接合された、いわゆるプルオンパンツ型のおむつについて説明しているが、両側縁があらかじめ接合されていない、いわゆるオープン型のおむつに適用することも可能である。
【0046】
おむつ1を構成する各構成部材には、本明細書に記載されている材料のほかに、この種の分野において通常用いられている、各種の公知の材料を制限なく用いることができる。
本発明の明細書および特許請求の範囲において、用語「第1」および「第2」は、同様の要素、位置等を単に区別するために用いられている。
【符号の説明】
【0047】
1 おむつ(使い捨て着用物品)
2 前ウエスト域
3 後ウエスト域
4 クロッチ域
5 ウエスト開口
6 レッグ開口
7 両側縁
8 前端縁
9 後端縁
10 シャーシ
11 前外面シート(外面シート)
12 後外面シート(外面シート)
13 内面シート
18 前ウエスト弾性体
18a 第1弾性体
18b 第2弾性体
18c 第3弾性体
19 後ウエスト弾性体
19a 第1弾性体
19b 第2弾性体
19c 第3弾性体
30 吸収体
33 減少部
40 レッグカフ
41 第1側域
42 第2側域
43 カフ弾性体
X 横方向
Y 縦方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦方向および横方向と、身体側およびその反対側と、前ウエスト域、後ウエスト域および前記前後ウエスト域間に位置するクロッチ域を含むシャーシと、前記シャーシの前後端縁によって形成されたウエスト開口と、前記シャーシの両側縁によって形成されたレッグ開口と、少なくとも前記クロッチ域に位置する吸収体と、前記シャーシの前記身体側に位置し前記クロッチ域から前記前後ウエスト域へと延びて前記横方向に離間した一対のレッグカフとを有し、前記前後ウエスト域には、前記横方向に延びるとともに前記縦方向に離間した複数の前後ウエスト弾性体が伸長状態で収縮可能に取り付けられた使い捨て着用物品において、
前記シャーシは、前記身体側に位置する内面シートと、前記反対側に位置する外面シートとを有し、前記内外面シートの間に前記ウエスト弾性体が取り付けられ、
前記吸収体は、前記クロッチ域から前記前後ウエスト域に延在し、
前記レッグカフは、前記シャーシに接合される第1側域と、前記第1側域に対向するとともに前記シャーシから離間可能な第2側域と、前記第2側域に伸長状態で収縮可能に取り付けられたカフ弾性体とを有し、
前記前後ウエスト弾性体の少なくともいずれかは、前記吸収体の前記縦方向外側の前記シャーシに位置する第1弾性体と、前記レッグ開口の少なくとも一部に沿って取り付けられる第3弾性体とを有し、
前記前後ウエスト域の少なくともいずれかは、前記第1弾性体が取り付けられた第1領域と、前記第3弾性体が取り付けられた第3領域と、前記第1および第3領域の間に位置する第2領域とを有し、前記第1および第3領域の伸張応力は、前記第2領域のそれよりも大きく、前記カフ弾性体は、少なくとも前記第2領域まで延在されることを特徴とする前記使い捨て着用物品。
【請求項2】
前記前後ウエスト弾性体は、前記第2領域に取り付けられた第2弾性体を含む請求項1記載の使い捨て着用物品。
【請求項3】
前記レッグカフの前記第2側域は、前記第1領域に重なる位置で前記シャーシ側に接合される請求項1または2記載の使い捨て着用物品。
【請求項4】
前記第1領域および前記第3領域の伸張応力は、0.5〜3.0N、前記第2領域の伸張応力は、0.1〜1.5Nである請求項1〜3のいずれかに記載の使い捨て着用物品。
【請求項5】
前記第1〜第3領域の前記吸収体を含む剛性は、0.05〜1.00N・cmである請求項1〜4のいずれかに記載の使い捨て着用物品。
【請求項6】
前記吸収体は、吸液性の芯材を有し、少なくとも前記第3領域に重なる位置において前記芯材の量が他の部分よりも少なくされた減少部が形成される請求項1〜5のいずれかに記載の使い捨て着用物品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−240054(P2011−240054A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−116775(P2010−116775)
【出願日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【出願人】(000115108)ユニ・チャーム株式会社 (1,219)
【Fターム(参考)】