説明

使い捨て着用物品

【課題】表面シートおよび裏面シートから視認可能な吸収体を有する使い捨て着用物品を提供する。
【解決手段】おむつ1は、表面シート20と、裏面シート30と、これら表裏面シート20,30の間に位置する吸液性の吸収体40とを有する。吸収体40の芯材41は、クロッチ域13における横方向Xの寸法が、前後ウエスト域11,12のそれよりも小さくされて一対の凹曲部45が形成される。芯材41の第1面41aには、着色された第1被覆シート42が積層されている。第1被覆シート42は、表面シート20を介して視認することができる。芯材41の第2面41bは、第2被覆シート43で覆われている。芯材41の凹曲部45においては、第1および第2被覆シート42,43が両側縁43eの横方向X外側に延出して延出部44が形成され、おむつ1の非肌対向面(着衣側)から視認可能とされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、使い捨て着用物品に関し、より詳しくは、吸液性の芯材が被覆シートで覆われた吸収体を有する使い捨ておむつ、使い捨てのトイレット・トレーニングパンツ、使い捨て失禁パンツ、使い捨ての生理用パンツ等の使い捨て着用物品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被覆シートで覆われた芯材を有する吸収体を備える着用物品は公知である。例えば、特許文献1には、液透過性表面シートと、不透液性裏面シートと、これらシート間に介在する吸収性コアとを有する生理用ナプキンが開示されている。コアは、粉砕パルプと高吸収性ポリマー粒子との混合物をティッシュペーパで被覆することにより作られている。ティッシュペーパは、比較的濃い青に着色されている。表面シートには開孔が形成され、開孔を介してティッシュペーパの色を視認することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−299825号公報(JP11−299825A)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような特許文献1では、表面シート側からティッシュペーパを視認することについては記載されているが、裏面シート側におけるティッシュペーパの見え方については言及されていない。
【0005】
この発明では、表面シートおよび裏面シートから視認可能な吸収体を有する使い捨て着用物品を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、縦方向および横方向を有し、肌対向面およびその反対側である非肌対向面と、前後ウエスト域と、これら前後ウエスト域の間に位置するクロッチ域と、前記肌対向面に位置する表面シートと、前記非肌対向面に位置する裏面シートと、前記表裏面シートの間に位置するとともに少なくとも前記クロッチ域に位置する吸収体とを含み、前記吸収体は、吸液性の芯材と、前記芯材を覆う被覆シートとを有する使い捨て着用物品の改良にかかわる。
この発明は、前記使い捨て着用物品において、前記芯材は、前記表面シートに対向する第1面と、前記裏面シートに対向する第2面とを有し、前記被覆シートは、前記第1面に重なるとともに着色された第1被覆シートと、前記第2面に重なる第2被覆シートとを有し、前記第1被覆シートは、前記表面シートを介して視認可能であるとともに、前記第1被覆シートは、少なくとも前記クロッチ域において、前記芯材の両側縁から前記横方向外側に延出する延出部を有し、前記延出部が前記裏面シートを介して視認可能であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
この発明の特にそのひとつ以上の実施態様によれば、吸収体を構成する芯材の第1面を覆う第1被覆シートが着色されるとともに表面シートを介して視認可能であるので、吸収体の芯材に尿等の体液が吸収された場合に体液による芯材の着色を見え難くすることができる。また、第1被覆シートは芯材の両側縁から延出した延出部を有し、延出部が裏面シートを介して視認可能であるので、着用物品外側からも第1被覆シートを確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】使い捨て着用物品の一実施形態である使い捨ておむつの着用状態を示す斜視図。
【図2】展開したおむつの肌対向面から見た平面図。
【図3】おむつの分解斜視図。
【図4】図2のIV−IV線端面図。
【図5】吸収体の分解斜視図。
【図6】他の実施形態の吸収体を示す図。
【図7】他の実施形態の表面シートを示す図。
【図8】おむつの非肌対向面から見た平面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、この発明の使い捨て着用物品の一例として示す、使い捨ておむつ1の着用状態の斜視図、図2は展開したおむつ1の肌対向面から見た平面図、図3はおむつ1の分解斜視図、図4は図2のIV−IV線端面図、図5は吸収体40の分解斜視図である。図2〜4において、各弾性体は、その収縮力に抗して伸長させた状態で示している。
【0010】
図1に示したように、おむつ1は、縦方向Yおよび横方向Xを有し、前ウエスト域11および後ウエスト域12、これら前後ウエスト域11,12間に位置するクロッチ域13と、横方向Xに延びる前後端縁14,15と、縦方向Yに延びる両側縁16とを有する。おむつ1は、後ウエスト域12に取り付けられたフック要素81と、前ウエスト域に取り付けられたループ要素82とを連結することによって、パンツ型とすることができる。
【0011】
図2に示したように、おむつ1は、横方向Xにおける寸法を二等分する仮想縦中心線P−Pと、縦方向Yにおける寸法を二等分する仮想横中心線Q−Qとを有し、仮想縦中心線P−Pにおいて、ほぼ対称にされている。
【0012】
図3に示したように、おむつ1は、肌対向面に位置する透液性の表面シート20と、その反対側である非肌対向面(着衣側)に位置する不透液性の裏面シート30と、これら表裏面シート20,30の間に位置する吸液性の吸収体40と、吸収体40および裏面シート30の間に位置する漏れ防止シート50とを有する。表面シート20の肌対向面には、横方向Xに離間する一対の漏れバリアカフ60が形成されている。表面シート20と裏面シート30とによって、この発明のシャーシ10を形成している。
【0013】
表面シート20としては、例えば、質量約15〜35g/m好ましくは約25〜30g/mのポイントボンド繊維不織布を用いることができる。裏面シート30としては、質量約10〜30g/mのスパンボンド・メルトブローン・スパンボンド(SMS)繊維不織布もしくはスパンボンド繊維不織布、または、プラスチックシートやそれら繊維不織布とプラスチックシートのラミネートを用いることができる。
【0014】
漏れバリアカフ60としては、質量約10〜30g/mのスパンボンド・メルトブローン・スパンボンド(SMS)繊維不織布を用いることができる。漏れバリアカフ60の前後端縁61,62は、表面シート20の前後端縁23,24と一致して積層され、図示しないホットメルト接着剤等によって互いに接合されている。漏れバリアカフ60の外側縁63は、裏面シート30の両側縁33に重なり、図示しないホットメルト接着剤等によって互いに接合されている。漏れバリアカフ60の内側縁64は、横方向Xに離間して配置され、これら内側縁64は、表面シート20に重なるが、これとは接合されず、表面シート20から離間可能にされている。内側縁64には、縦方向Yに延びるカフ弾性体65が伸長状態で収縮可能に取り付けられる。このようにカフ弾性体65を取り付けることによって、内側縁64が表面シート20から起立するように離間して着用者の肌に密着し、尿等がおむつ1の外側に漏れるのを防止する。
【0015】
吸収体40は、少なくともクロッチ域13に位置し、この実施形態では、クロッチ域13から前後ウエスト域11,12へと延出している。図5に示したように、吸収体40は、吸液性の芯材41と、芯材41を覆う第1および第2被覆シート42,43とを有する。芯材41としてフラッフパルプ、高吸収性ポリマー粒子、またはこれらの混合物を用いることができる。芯材41は、クロッチ域13における横方向Xの寸法が、前後ウエスト域11,12のそれよりも小さくされている。すなわち、芯材41には、クロッチ域13において一対の凹曲部45が形成される。
【0016】
芯材41は、表面シート20側に位置する第1面41aと、その反対側であって裏面シート30側に位置する第2面41bと、横方向Xに延びる前後端縁41c,41dと、縦方向Yに延びる両側縁41eとを有する。芯材41の第1面41aには、着色された第1被覆シート42が積層されている。第1被覆シート42は、矩形を有し、芯材41の第1面41aのほぼ全面を覆っている。第2被覆シート43は、矩形を有し、芯材の第2面41bのほぼ全面を覆っている。第2被覆シート43の横方向Xにおける寸法は、芯材41および第1被覆シート42のそれよりも大きくされている。
【0017】
芯材41の両側縁41eに第1被覆シート42の両側縁42aが重なり、第2被覆シート43で、これら両側縁41eおよび42aが覆われている。具体的には、第2被覆シート43は、両側縁41eおよび42aに沿う折曲線43bに沿って折り曲げられ、その側縁43aが、第1被覆シート42に重なる。芯材41の凹曲部45においては、第1および第2被覆シート42,43が両側縁43eの横方向X外側に延出して、これら第1および第2被覆シート42,43が積層された延出部44が形成される(図3参照)。
【0018】
図3および図4に示したように、吸収体40と裏面シート30との間には漏れ防止シート50が配置されている。漏れ防止シート50は、不透液性かつ非通気性のプラスチックフィルムを用いることができる。漏れ防止シート50は吸収体40よりもその面積が大きくされている。したがって、吸収体40で吸収された尿等がおむつ1外にもれるのを防止することができる。
【0019】
漏れ防止シート50の裏面シート30に対向する面とは反対側の面には、第1および第2レッグ弾性体71,72が取り付けられている。第1および第2レッグ弾性体71,72は、漏れ防止シート50と漏れバリアカフ60との間において、縦方向Yに延びるとともに、縦方向Yに伸長状態で収縮可能に取り付けられている。第1レッグ弾性体71は、漏れ防止シート50の両側縁53に沿って、その近傍に取り付けられ、第2レッグ弾性体72は、吸収体40の延出部44に重なるように取り付けられる。第1および第2レッグ弾性体71,72としては、複数本のストリング状またはストランド状の弾性体を用いることができる。
【0020】
フック要素81は、支持シート83を介して後ウエスト域12に取り付けられる。支持シート83は、漏れバリアカフ60と裏面シート30との間で固定されるとともに、両側縁16から横方向Xに延出し、延出した部分にフック要素81が取り付けられている。ループ要素82は、前ウエスト域11において裏面シート30に取り付けられる。フック要素81をループ要素82に取り付けることによって、前後ウエスト域11,12が連結され、パンツ型のおむつ1として着用者に着用させることができる。
【0021】
上記のようなおむつ1において、芯材41を覆う第1被覆シート42は、緑色に着色されている。詳細には、第1被覆シート42は、国際照明委員会L*a*b*色空間(以下「CIE Lab」)による表示において、L:92.5、a:−16、b:12とされている。さらに、第1被覆シート42は、表面シート20を介して測定された色差ΔEabが8〜50、好ましくは10〜30とされている。
【0022】
<色差の測定方法>
色差ΔEabは、式差測定機(ミノルタ製 CR−300)を用いて測定した。具体的には、標準白色校正板(Y92.0、x0.3145、y0.3198)で色差計の校正をし、ブランク値を得た。標準色差校正板におむつ1を載置し、第1被覆シート42が積層された部分を、表面シート20を介して測定し、サンプル値を得た。サンプル値は、具体的には、仮想縦中心線P−Pと仮想横中心線Q−Qとの交点近傍で測定した。色差ΔEabは、以下の式により算出した。
色差ΔEab=サンプル値−ブランク値
なお、サンプル値は、漏れバリアカフ60が重ならない部分を測定したものである。
【0023】
第1被覆シート42は、少なくとも一対の漏れバリアカフ60の横方向Xの離間部分から表面シート20を介して視認することができる。表面シート20から第1被覆シート42を視認可能とするために、表面シート20の全光線透過率は、約30〜80%、好ましくは40〜60%としている。この実施形態において、表面シート20の全光線透過率は約64%である。また、表面シート20を形成する繊維不織布の繊維の密度を約20〜75kg/mとしている。
【0024】
<全光線透過率の測定方法>
全光線透過率は、JIS−K7105に基づいて測定した。具体的には、測定の対象となるシートをそれぞれ幅50mm、長さ40mmに切断し、これをサンプルとして用いた。交照測光式色差計Z−300A(日本電色工業株式会社)を用い、濁度計にサンプルを挟んで全光線透過率を測定した。
【0025】
上記のようなおむつ1に排尿があると、尿は表面シート20を透過して、第1被覆シート42によって拡散され、芯材41に吸収される。尿は、個人差や着用者の体調等によって異なるが、やや黄色であり、芯材41が尿の成分によって着色されることがある。しかし、第1被覆シート42が緑色を有し、色差ΔEabが8〜50とされているので、表面シート20側から見たときに、その着色を目立たなくすることができる。芯材41が尿の色に着色されると、おむつ1の使用者によっては不衛生な感じを受けることがあるが、尿の色が目立たなくなるので、排尿後であっても清潔感を維持することができる。なお、色差ΔEabにおいて、a値がプラス(+)の場合には赤色が強くなり、マイナス(−)の場合には緑色が強くなり、b値がプラス(+)の場合には黄色が強くなり、マイナス(−)の場合には青色が強くなる。尿の色を目立たなくするという目的を達成するために、少なくともa値が0以下であって、さらには−15以下であることが望ましい。
色差ΔEabが8よりも小さいと、尿の色を目立たなくすることができず、50よりも大きいと、第1被覆シート42の色が着用者の肌に色移りするのではないかというような心配を使用者に抱かせる懸念がある。
【0026】
また、芯材41の全面が第1被覆シート42で覆われ、これを表面シート20側から視認できるので、吸収体40の位置、大きさを確認することもできる。したがって、芯材41が広い範囲で存在することを認識することによって、使用者に漏れに対する安心感を抱かせることができる。吸収体40の横方向Xにおける寸法が、少なくとも一対の漏れバリアカフ60の横方向Xの離間寸法よりも大きくされていることが望ましい。このような寸法関係にすることによって、漏れバリアカフ60の間から見える領域において、第1被覆シート42が視認され、吸収体40が広い範囲に存在することの安心感が得られる。なお、第1被覆シート42は、漏れバリアカフ60が重なる部分においては、それが視認できるものであっても、視認できないものであってもよい。
【0027】
吸収体40の延出部44では、芯材41が存在せず、第1被覆シート42と第2被覆シート43とが直接互いに接合されている。これら延出部44は、おむつ1の非肌対向面(着衣側)から視認可能とされている。具体的には、第1被覆シート42が有する緑色が、第2被覆シート43、漏れ防止シート50、および、裏面シート30を介して視認可能とされている。この実施形態において、第2被覆シート43の全光線透過率は約86%、漏れ防止シート50の全光線透過率は38%、裏面シート30の全光線透過率は約80%である。全光線透過率の測定は、表面シート20のそれと同様である。
【0028】
延出部44は、おむつ1の着用時において、着用者の脚回りに位置するとともに、他の部分に比べて、鼠蹊部に食い込むようになる。この延出部44の色差ΔEabが8〜50とされているから、これが非肌対向面から視認されることによって、おむつ1の両側において陰影が付されたように見える。このように、おむつ1の両側が暗くなると、横方向Xにおいて小さくなったように錯覚し、股下においてすっきりとした印象を与える。したがって、見た目において良好なおむつ1とすることができる。
【0029】
第2レッグ弾性体72は、延出部44に重なって取り付けられている。したがって、延出部44は、着用者の股下に密着することができる。密着した延出部44には影ができ、より一層、横方向Xにおいて小さく、すっきりした印象を与えることができる。
【0030】
第1被覆シート42は、芯材41の第1面41aを覆うようにされているが、第1面41aから両側縁41eを介して第2面41bまで延びるようにしてもよい。また、第1面41aおよび第2面41bの全面を第1被覆シート42で覆うようにしてもよい。この場合には、着衣側(非肌対向面)から視認される緑色の領域が大きくなる。
【0031】
図6は、他の実施形態における吸収体40を示す図である。吸収体40以外の構成要素は前述のおむつ1と同様なので、その詳細な説明を省略する。この実施形態では、吸収体40の第1被覆シート42と表面シート20との間に、さらに第3被覆シート46が積層される。第3被覆シート46は、第1被覆シート42または表面シート20の少なくともいずれか一方に、図示しないホットメルト接着剤等の接合手段によって接合される。第3被覆シート46は、第1被覆シート42よりも縦方向Yおよび横方向Xにおける寸法が小さくされ、換言すれば、その表面積が小さくされている。この第3被覆シート46は、排尿位置に対応させて、クロッチ域13に配置される。このように、排尿位置に対応させて第3被覆シート46を配置することによって、より一層、尿の色を目立たなくすることができる。第3被覆シート46は、第1被覆シート42と異なる色にすることもできるし、同じ色にすることもできる。また、第3被覆シート46の色差ΔEab値を、第1被覆シート42のそれよりも大きくすることもでき、この場合には、より一層尿の色を目立たなくすることができる。また、第3被覆シート46は、第1被覆シート42と同形同大であってもよい。
【0032】
図6に示した吸収体40の芯材41は、後ウエスト域12およびクロッチ域13における横方向Xの寸法が等しく、かつ、前ウエスト域11よりも小さくされている。したがって、これら後ウエスト域12およびクロッチ域13において延出部44が形成される。この場合には、おむつ1の着衣側から視認される延出部44の縦方向Yの寸法を大きくすることができる。また、おむつ1を低月齢の乳児に着用させる場合において、このような乳児は寝ていることが多いので、おむつ1の後ウエスト域12側で尿が吸収されやすい。したがって、図2等で示したように後ウエスト域12において横方向Xの寸法が大きく、クロッチ域13に凹曲部45を有する吸収体40を用いることが望ましい。高月齢の乳幼児の場合には、起き上がっていることが多くなるので、おむつ1のクロッチ域13で尿が吸収される。したがって、図6で示した吸収体40のように後ウエスト域12において芯材41の横方向Xの寸法を小さくしたおむつ1を着用させても、尿が漏れることがない。このような吸収体40を用いることによって、着用者の臀部においてすっきりとしたおむつ1とすることができる。このような吸収体40は、前述の実施形態におけるおむつ1に適用することもできる。
【0033】
図7は、表面シート20の他の例を示したものである。図示したように、表面シート20として、縦方向Yまたは横方向Xに延びる複数条の畝部21およびこれら畝部21の間に位置する溝部22を有するものを用いることができる。このような表面シート20は、例えば、表面シート20を構成する繊維ウェブの上部に配置されたノズルから連続的に気体を噴射することで、気体が噴射された部分で溝部22が形成され、気体が直接噴射されなかった部分で畝部21が形成される。隣接する一方の畝部21から他方の溝部22までのピッチは、例えば、約3mm〜6mmとすることができる。このような表面シート20は、気体の噴射部分では繊維が掻き分けられ、繊維ウェブの繊維の再配向により畝部21に比べて、その間の溝部22で密度を低くすることができる。また、噴射する気体の量を間欠的に多くすることによって、溝部22に、縦方向Yに間欠的な透孔を形成することもできる。この製法のほかには、表面シート20のウォータージェット処理やスチームジェット処理、プレス加工またはギア加工によって、畝部21および溝部22を形成することもできる。
【0034】
上記のような表面シート20において、畝部21は、この発明の第1部分に相当し、溝部22よりも全光線透過率が低くされている。この畝部21では、第1被覆シート42が視認されないか、または、その視認の程度が低くなる。溝部22は、この発明の第2部分に相当し、畝部21に比べて全光線透過率が高くされている。したがって、溝部22では、第1被覆シート42を視認し易くすることができる。このような表面シート20は、畝部21が着用者の肌に接触し、溝部22が接触しないから、接触による肌への刺激を低減することができるとともに、通気性を向上させることもできる。
【0035】
図8は、おむつ1を非肌対向面から見たときの平面図である。おむつ1は、表面シート20および裏面シート30を介して第1被覆シート42がそれぞれ視認されるが、第1被覆シート42が緑色をしているので、その色から森林等の自然なイメージを抱くことができる。このイメージに関連付けて、裏面シート30には、花や葉などの自然物のイラスト31を描いている。非肌対向面からイラスト31を視認することによって、おむつ1全体として、自然にやさしいイメージや、リラックスできるイメージを抱くことができる。また、このイラスト31と同じイラスト、このイラスト31に関連したイラストをおむつ1の包装体に描くこともできる。このように包装体にイラストを描くことによって意匠的な統一感を出し、美感に優れたおむつおよびその包装体を提供することができる。
【0036】
以上に記載したこの発明に関する開示は、少なくとも下記事項に要約することができる。
この発明は、以下の使い捨て着用物品1の改良にかかわる。使い捨て着用物品1は、縦方向Yおよび横方向Xを有し、肌対向面およびその反対側である非肌対向面と、前後ウエスト域11,12と、これら前後ウエスト域11,12の間に位置するクロッチ域13と、前記肌対向面に位置する表面シート20と、前記非肌対向面に位置する裏面シート30と、前記表裏面シート20,30の間に位置するとともに少なくとも前記クロッチ域13に位置する吸収体40とを含む。前記吸収体40は、吸液性の芯材41と、前記芯材を覆う被覆シートとを有する。
【0037】
この発明は、上記使い捨て着用物品1において、以下の点を特徴とする。前記芯材41は、前記表面シート20に対向する第1面41aと、前記裏面シート30に対向する第2面41bとを有し、前記被覆シートは、前記第1面41aに重なるとともに着色された第1被覆シート42と、前記第2面41bに重なる第2被覆シート43とを有する。前記第1被覆シート42は、前記表面シート20を介して視認可能であるとともに、前記第1被覆シート42は、少なくとも前記クロッチ域13において、前記芯材41の両側縁41eから前記横方向X外側に延出する延出部44を有し、前記延出部44が前記裏面シート30を介して視認可能である。
【0038】
上記の発明は、少なくとも下記の実施の形態を含むことができる。
(1)前記表面シートを介して測定された前記第1被覆シートの標準白色校正板に対する色差ΔEabは、8〜50である。
(2)前記吸収体40は、前記クロッチ域13から前記前後ウエスト域11,12に延びて形成され、前記芯材41は、前記クロッチ域13の前記横方向Xにおける寸法が、少なくとも前記前ウエスト域11におけるそれよりも小さくされる。
(3)前記第1被覆シート42は、前記縦方向Yに延びる折曲線に沿って折り曲げられ、前記芯材41の両側縁41eを覆い、前記第1被覆シート42の両側縁42aが前記芯材41の前記第2面41b側に位置される。
(4)前記第1被覆シート42には、前記第1被覆シート42よりも前記縦方向Yおよび前記横方向Xにおける寸法が小さくされた第3被覆シート46がさらに積層される。
(5)前記吸収体40と前記裏面シート30との間には、前記縦方向Yに延びるとともに、前記縦方向Yに収縮可能に取り付けられたレッグ弾性体72が取り付けられ、前記レッグ弾性体72の少なくとも一部は、前記延出部44に重なって配置される。
(6)前記表面シート20は、全光線透過率の低い第1部分21と、全光線透過率の高い第2部分22とを有する。
(7)前記表面シート20は、複数の前記第1部分21の間に前記第2部分22が位置する。
【0039】
使い捨て着用物品の一例である使い捨ておむつ1を構成する各構成部材には、この明細書に記載されている材料のほかに、この種の分野において通常用いられている、各種の公知の材料を制限なく用いることができる。また、この発明の明細書において、用語「第1」「第2」および「第3」は、同様の要素、位置等を単に区別するために用いられている。
【符号の説明】
【0040】
1 使い捨て着用物品(使い捨ておむつ)
10 シャーシ
11 前ウエスト域
12 後ウエスト域
13 クロッチ域
16 両側縁
20 表面シート
21 畝部(第1部分)
22 溝部(第2部分)
30 裏面シート
40 吸収体
41 芯材
41a 第1面
41b 第2面
41e 両側縁
42 第1被覆シート
43 第2被覆シート
44 延出部
46 第3被覆シート
72 第2レッグ弾性体(レッグ弾性体)
X 横方向
Y 縦方向
P−P 仮想縦中心線
Q−Q 仮想横中心線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦方向および横方向を有し、肌対向面およびその反対側である非肌対向面と、前後ウエスト域と、これら前後ウエスト域の間に位置するクロッチ域と、前記肌対向面に位置する表面シートと、前記非肌対向面に位置する裏面シートと、前記表裏面シートの間に位置するとともに少なくとも前記クロッチ域に位置する吸収体とを含み、前記吸収体は、吸液性の芯材と、前記芯材を覆う被覆シートとを有する使い捨て着用物品において、
前記芯材は、前記表面シートに対向する第1面と、前記裏面シートに対向する第2面とを有し、前記被覆シートは、前記第1面に重なるとともに着色された第1被覆シートと、前記第2面に重なる第2被覆シートとを有し、
前記第1被覆シートは、前記表面シートを介して視認可能であるとともに、前記第1被覆シートは、少なくとも前記クロッチ域において、前記芯材の両側縁から前記横方向外側に延出する延出部を有し、前記延出部が前記裏面シートを介して視認可能であることを特徴とする前記使い捨て着用物品。
【請求項2】
前記表面シートを介して測定された前記第1被覆シートの標準白色校正板に対する色差ΔEabは、8〜50である請求項1記載の使い捨て着用物品。
【請求項3】
前記吸収体は、前記クロッチ域から前記前後ウエスト域に延びて形成され、
前記芯材は、前記クロッチ域の前記横方向における寸法が、少なくとも前記前ウエスト域におけるそれよりも小さくされる請求項1または2記載の使い捨て着用物品。
【請求項4】
前記第1被覆シートは、前記縦方向に延びる折曲線に沿って折り曲げられ、前記芯材の両側縁を覆い、前記第1被覆シートの両側縁が前記芯材の前記第2面側に位置される請求項1〜3のいずれかに記載の使い捨て着用物品。
【請求項5】
前記第1被覆シートには、前記第1被覆シートよりも前記縦方向および前記横方向における寸法が小さくされた第3被覆シートがさらに積層される請求項1〜4のいずれかに記載の使い捨て着用物品。
【請求項6】
前記吸収体と前記裏面シートとの間には、前記縦方向に延びるとともに、前記縦方向に収縮可能に取り付けられたレッグ弾性体が取り付けられ、前記レッグ弾性体の少なくとも一部は、前記延出部に重なって配置される請求項1〜5のいずれかに記載の使い捨て着用物品。
【請求項7】
前記表面シートは、全光線透過率の低い第1部分と、全光線透過率の高い第2部分とを有する請求項1〜6のいずれかに記載の使い捨て着用物品。
【請求項8】
前記表面シートは、複数の前記第1部分の間に前記第2部分が位置する請求項7記載の使い捨て着用物品。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−39162(P2013−39162A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−176389(P2011−176389)
【出願日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【出願人】(000115108)ユニ・チャーム株式会社 (1,219)
【Fターム(参考)】