説明

使い捨て着用物品

【課題】前後ウエスト域の少なくとも後ウエスト域に取り付けられたウエスト弾性体によって、芯材が着用者の肌との間に空間を形成し、これによって便等の排泄物を保持するポケットが形成される着用物品を提供する。
【解決手段】おむつ1は、前後ウエスト弾性体23,33が取り付けられた前後ウエストパネル20,30と、これらの間に延びるクロッチパネル40とを有する。クロッチパネル40は、前後端縁40a,40bが前後ウエストパネル20,30の肌対向面にそれぞれ接合され、芯材41の前後端縁41a,41bが前後ウエストパネル20,30に重なる。前後ウエストパネル20,30には、非伸縮領域61,64と、第1伸縮領域62,65と、第2伸縮領域63,66とがそれぞれ形成される。クロッチパネル40には、ガスケット弾性体51が取り付けられた一対の第1カフ46が形成され、ガスケット弾性体51は、前後端部51a,51bが前後ウエスト弾性体23,33に交差される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、使い捨て着用物品に関し、より詳しくは、ウエスト域に伸縮性シートを用いた使い捨ておむつ、使い捨てのトイレット・トレーニングパンツ、使い捨て失禁パンツ、使い捨ての生理用パンツ等の使い捨て着用物品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、クロッチ域から前後ウエスト域に吸収体が延在するとともに、前後ウエスト域に弾性体が取り付けられた使い捨ておむつは公知である。例えば、特許文献1には、使い捨ておむつの胴周囲部には、胴周囲部弾性部材が取り付けられ、胴周囲部弾性部材は、吸収体が存在しない部位においては弾性伸縮性を発現し、吸収体が存在する部位においては、実質的に弾性伸縮性が発現されないようにされていることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−61890公報(JP 2001−61890 A)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような特許文献1では、着用時において前後ウエスト域において吸収体がどのような形状を有するのかについて記載されていない。特にウエスト域に取り付けられた弾性部材によって、吸収体がどのような形状を有するのかについては、不明である。
【0005】
この発明では、前後ウエスト域の少なくとも後ウエスト域に取り付けられたウエスト弾性体によって、吸収体が着用者の肌との間に空間を形成し、これによって便等の排泄物を保持するポケットが形成される着用物品を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、縦方向および横方向を有し、肌対向面およびその反対側である非肌対向面と、前後ウエスト域と、これら前後ウエスト域間に位置するクロッチ域と、前記前後ウエスト域のいずれか一方を形成するとともに前記横方向へ伸縮可能な第1ウエストパネルと、前記前後ウエスト域のいずれか他方を形成するとともに前記横方向へ伸縮可能な第2ウエストパネルと、前記第1および第2ウエストパネルの前記縦方向間に延びてクロッチ域を形成するクロッチパネルと、前記クロッチパネルに配置された体液吸収体とを含む使い捨て着用物品の改良にかかわる。
【0007】
この発明は、前記使い捨て着用物品において、前記体液吸収体は、吸液性の芯材と前記芯材を覆う液透過性の被覆シートとを有し、前記クロッチパネルは、前記横方向へ延びる第1および第2端縁が前記第1および第2ウエストパネルの前記肌対向面にそれぞれ接合され、前記芯材は、前記横方向へ延びる第1および第2端縁のうち、少なくとも前記第2端縁が前記第2ウエストパネルに重なり、前記第2ウエストパネルは、前記芯材が重なる領域に非伸縮領域が形成され、前記非伸縮領域の前記横方向外側に第1伸縮領域が形成され、前記非伸縮領域の前記縦方向外側には第2伸縮領域が形成され、前記第2伸縮領域と前記芯材の前記第2端縁との離間寸法は、5〜20mmとされることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
この発明の特にそのひとつ以上の実施態様によれば、第2ウエストパネルには、芯材が重なる領域に非伸縮領域が形成され、その両側には第1伸縮領域が形成され、その縦方向外側には第2伸縮領域が形成されることとし、前記第2伸縮領域と芯材の第2端縁との離間寸法を5〜20mmとしているので、芯材が重ならない領域では第2ウエストパネルが着用者に密着し、芯材が重なる領域では第2ウエストパネルが離間して、芯材の第2端縁近傍にポケットが形成される。排泄物はポケットに保持されるから、着用物品外に漏れるのを予防することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】使い捨て着用物品の一例であるおむつの前ウエスト域側から見た斜視図。
【図2】おむつの側方から見た斜視図。
【図3】おむつの肌対向面から見た展開平面図。
【図4】おむつの非肌対向面から見た展開平面図。
【図5】図3のV−V線切断端面図。
【図6】着用状態における図5に対応する図。
【図7】図3のVII−VII線切断端面図。
【図8】着用状態における図7に対応する図であってその一部を示した図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1〜図5および図7を参照すると、おむつ1は、着用者の肌対向面およびその反対側である非肌対向面を有し、前ウエスト域2と、後ウエスト域3と、前後ウエスト域2,3間に位置するクロッチ域4とを有する。おむつ1は、横方向Xにおける長さ寸法を二等分した仮想縦中心線P−P、縦方向Yにおける長さ寸法を二等分した仮想横中心線Q−Qを有し、仮想縦中心線P−Pに関してほぼ対称とされる。なお、図3、図4において、各弾性体は、その収縮力に抗して伸長させた状態で示している。
【0011】
おむつ1は、前ウエスト域2を画定する前ウエストパネル20と、後ウエスト域3を画定する後ウエストパネル30と、クロッチ域4を画定するとともに、前後ウエスト域2,3へと延びるクロッチパネル40とを含む。前ウエストパネル20は、横方向Xへ延びる折曲線21に沿って折り畳まれた前ウエストシート22と、折り重なった前ウエストシート22の間に取り付けられた前ウエスト弾性体23とを有する。前ウエスト弾性体23は、横方向Xへ延びるとともに、伸長状態で収縮可能に取り付けられ、前ウエストパネル20を横方向Xへ弾性的に伸縮可能にしている。折り畳まれた前ウエストシート22は、前ウエスト弾性体23を介して、ホットメルト接着剤等の公知の接着手段によって互いに接着される。
【0012】
後ウエストパネル30は、横方向Xへ延びる折曲線31に沿って折り畳まれた後ウエストシート32と、折り重なった後ウエストシート32の間に取り付けられた後ウエスト弾性体33とを有する。後ウエスト弾性体33は、横方向Xへ延びるとともに、伸長状態で収縮可能に取り付けられ、後ウエストパネル30を横方向Xへ弾性的に伸縮可能にしている。折り畳まれた後ウエストシート32は、後ウエスト弾性体33を介して、ホットメルト接着剤等の公知の接着手段によって互いに接着される。
【0013】
これら前後ウエストパネル20,30を両側縁20c,30cに沿って間欠的に形成されたシーム部5によって接合することによって、これらが環状にされ、ウエスト開口が形成される。
【0014】
前後ウエストシート22,32として、例えば、質量が約10〜40g/m、好ましくは約11〜20g/mのスパンボンド繊維不織布、スパンボンド・メルトブローン・スパンボンド(SMS)繊維不織布を用いることができる前後ウエスト弾性体としては、ストリング状またはストランド状の複数本の弾性体を用いることができ、例えば、太さ約400〜1200dtexの弾性体を縦方向Yにおけるピッチ約4〜12mmで配置し、約1.7〜3.5倍の伸長倍率で取り付けることができる。
【0015】
クロッチパネル40は、芯材41の吸収面に接着された身体側ライナ42と、芯材41の底面に接着された防漏シート43と、吸液性の芯材41および芯材41を覆う被覆シート49から構成される吸収体と、身体側ライナ42および防漏シート43を覆いクロッチパネル40の外形を画定する裏面シート44とを含む。身体側ライナ42、防漏シート43および裏面シート44は、その縦方向Yにおける寸法がほぼ等しく、クロッチパネル40の横方向Xへ延びる前後端縁40a,40bを画定する。芯材41および被覆シート49は、これら防漏シート43、身体側ライナ42、防漏シート43および裏面シート44よりもその縦方向Yにおける寸法が小さくされ、芯材41の横方向Xへ延びる前後端縁41a,41bと、被覆シート49の横方向Xへ延びる前後端縁49a,49bは、クロッチパネル40の前後端縁40a,40bよりも縦方向Y内側に位置される。
【0016】
裏面シート44は、芯材41の底面側においては、防漏シート43に接着され、芯材41の両側縁41cからその外側に延出され、縦方向Yへ延びる第1折曲線45に沿って仮想縦中心線P-Pに向かって折り曲げられて横方向Xへ離間する一対の第1カフ(ガスケットカフ)46が形成される。さらに、芯材41に重なる位置において縦方向Yへ延びる第2折曲線47に沿って横方向X外側へ向かって折り曲げられて、横方向Xへ離間する一対の第2カフ48が形成される。第1カフ46には、縦方向Yへ延びるガスケット弾性体51が、伸長状態で収縮可能に取り付けられる。第1カフ46において、図示しないホットメルト接着剤等の公知の接合手段によって裏面シート44が互いに接着される。第1カフ46は、主に着用者の太股に密着することができ、第2カフ48は、第1カフ46の内側において主に着用者の鼠蹊部または鼠蹊部近傍に密着することができ、排泄物の横漏れをそれぞれ防止することができる。
【0017】
ガスケット弾性体51は、前端部51aが前ウエスト域2に重なり、前ウエスト弾性体23に交差して取り付けられる。後端部51bは、後ウエスト域3に重なり後ウエスト弾性体33に交差して取り付けられる。これら前後端部51a,51bが前後ウエスト弾性体23,33に交差するとは、前後ウエストシート22,32および裏面シート44を介して間接的に重なって交差することを意味する。また、ガスケット弾性体51は、前後端部51a,51bが、芯材41の前後端縁41a,41bよりも、縦方向Y内側、すなわち、仮想横中心線Q-Q側に位置される。少なくともガスケット弾性体51の後端部51bにおいて、芯材41の後端縁41bとの縦方向Yにおける寸法が、約5〜20mm、好ましくは約7〜15mmとされる。
【0018】
第2カフ48は、その前後端部分で身体側ライナ42に接合された近位縁部48aと、身体側ライナ42とは接合されず離間可能とされた遠位縁部48bとを有する。遠位縁部48bには、縦方向Yへ延びる遠位弾性体52が伸長状態で収縮可能に取り付けられる。
【0019】
芯材41としては、木材フラッフパルプ、高吸収性ポリマー粒子、またはこれらの混合物を用いることができる。被覆シート49としては、ティッシュペーパ等の透液性かつ液拡散性のシートを用いることができ、例えば、質量約10〜30g/mのスパンレース繊維不織布を用いることができる。これら芯材41と被覆シート49とは、図示しないホットメルト接着剤等の公知の接合手段を用いて互いに接合することができる。
身体側ライナ42としては、例えば、質量約15〜35g/m、好ましくは約18〜23g/mのスパンボンド繊維不織布またはポイントボンド繊維不織布を用いることができる。防漏シート43としては、透湿性かつ不透液性のプラスチックフィルムまたはこのフィルムと繊維不織布とのラミネートを用いることができる。
【0020】
裏面シート44は、例えば、質量約10〜30g/mのSMS繊維不織またはスパンボンド繊維不織布を用いることができる。ガスケット弾性体51としては、太さ約400〜1200dtexのストランド状またはストリング状の弾性体を約2.0〜3.0倍の伸長倍率で取り付けることができる。遠位弾性体52としては、太さ約400〜1200dtexのストランド状またはストリング状の弾性体を約2.0〜3.0倍の伸長倍率で取り付けることができる。
【0021】
上記のようなクロッチパネル40は、前端縁40aが前ウエストパネル20の肌対向面に位置し、裏面シート44が前ウエストシート22に図示しないホットメルト接着剤等の公知の接合手段によって接合される。このとき、芯材41の前端縁41aも前ウエスト域2に位置し、芯材41の一部と前ウエストパネル20とが重なっている。前ウエストパネル20に重なった芯材41の縦方向Yにおける寸法は、約50〜90mmである。このように芯材41が重なった領域においては、前ウエスト弾性体23が存在しない非伸縮領域61が形成される。非伸縮領域61は、前ウエスト弾性体23を配置しないことによって形成することもできるし、前ウエストパネル20の両側縁20c間に連続した前ウエスト弾性体23を取り付けた後、芯材41に重なる領域において弾性体を切断していわゆるカットバックによって伸縮性が発現されないようにして形成することもできる。
【0022】
非伸縮領域61の横方向X外側には、前ウエスト弾性体23の伸縮力が発揮される第1伸縮領域62が形成される。第1伸縮領域62は、一部、芯材41と重なるようにされている。すなわち、前ウエスト弾性体23が、一部、芯材41の両側縁41cに重なって取り付けられ、これらが重なる領域の横方向Xにおける寸法は、約15〜35mmとされている。したがって、芯材41の両側縁41cにおいては、前ウエスト弾性体23の収縮力が作用する。
非伸縮領域61の縦方向Y外側には、前ウエスト弾性体23の伸縮力が発揮される第2伸縮領域63が形成される。第2伸縮領域63は、前ウエストパネル20の両側縁20c間において連続した前ウエスト弾性体23によって形成される。
【0023】
上記のような芯材41の両側縁41cを除くほぼ全域においては、芯材41に前ウエスト弾性体23の収縮力が作用しないので、芯材41が横方向Xにおいて収縮することがなく、芯材41に皺が発生しないから、着用者の肌に接触する面積が小さくなることがない。
【0024】
クロッチパネル40の後端縁40bは、後ウエストパネル30の肌対向面に位置し、その裏面シート44が後ウエストシート32に図示しないホットメルト接着剤等の公知の接合手段によって接合される。このとき、芯材41の後端縁41bが後ウエスト域3に位置し、芯材41の一部と後ウエストパネル30とが重なっている。後ウエストパネル30に重なった芯材41の縦方向Yにおける寸法は、約20〜50mmであり、前ウエストパネル20におけるそれよりも小さくされる。このように芯材41が重なった領域においては、後ウエスト弾性体33が存在しない非伸縮領域64が形成される。
【0025】
非伸縮領域64の横方向X外側には、後ウエスト弾性体33の伸縮力が発揮される第1伸縮領域65が形成される。第1伸縮領域65は、一部、芯材41と重なるようにされている。すなわち、後ウエスト弾性体33が、一部、芯材41の両側縁41cに重なって取り付けられる。具体的には、これらが重なる領域の横方向Xにおける寸法は、約5〜20mmとされる。したがって、芯材41の両側縁41cにおいては、後ウエスト弾性体33の収縮力が作用する。ただし、後ウエスト域3において後ウエスト弾性体33が芯材41の両側縁41cに重なる領域は、前ウエスト域2におけるそれよりも小さくされる。
【0026】
図6に示したように、このような後ウエスト域3に位置する芯材41において、両側縁41cを除くほぼ全域で、芯材41に後ウエスト弾性体33の収縮力が作用しないので、芯材41が横方向Xにおいて収縮することがなく、肌に対向可能な面積が小さくなることがない。したがって、肌に対向する面積が小さくなることによる吸収量の低下を予防することができる。また、第1伸縮領域65がその収縮力によって着用者の肌に密着する一方、非伸縮領域64では、肌に密着することなく、肌から離間するように両側縁41cを基点にして湾曲する。特に、芯材41の両側縁41cでは、後ウエスト弾性体33が重なって接合されているから、この両側縁41c近傍では、その剛性が他の領域よりも大きくなり、より一層、剛性の低い芯材41の中央で肌から離間する方向へ湾曲し易くなる。なお、前ウエスト域2では、両側縁41cに前ウエスト弾性体23が重なる領域が比較的大きいから、この弾性体の収縮力によって、芯材41が着用者の肌側へと押し付けられ、着用者の肌から離間することがない。
【0027】
図4、図7および図8を参照すると、非伸縮領域64の縦方向Y外側には、後ウエスト弾性体33の伸縮力が発揮される第2伸縮領域66が形成される。第2伸縮領域66は、後ウエストパネル30の両側縁30cにおいて連続した後ウエスト弾性体33によって形成される。また、第2伸縮領域66における複数本の後ウエスト弾性体33の最もクロッチ域4側に位置するひとつと、芯材41の後端縁41bとの縦方向Yにおける離間寸法が約5〜20mm、好ましくは約7〜15mmとされる。
【0028】
芯材41の後端縁41bと、その縦方向Y外側に位置する直近の後ウエスト弾性体33との離間寸法が上記のようにされるから、図8に示したように、後ウエストパネル30が横方向Xへ収縮すると、第2伸縮領域66が着用者に密着する一方、芯材41が後ウエストパネル30から浮き上がる。芯材41の後端縁41bでは、後ウエストパネル30との間に剛性差が生じ、後端縁41bが接合された部分において、後ウエストパネル30に段部が形成される。特に、縦方向Yへ延びるガスケット弾性体51が、後ウエスト弾性体33の少なくとも一部に重なるので、クロッチパネル40が縦方向Yへ収縮され、より一層、後ウエストパネル30に段差が生じやすい。
【0029】
芯材41が横方向Xにおいて着用者の肌から離間する方向へ湾曲し、後端縁41bにおいて後ウエストパネル30によって段差が形成されることによって、これら芯材41および後ウエストパネル30によって便等の排泄物を保持するポケット70が形成される。ポケット70では、排泄物が一時的に保持され、その後、芯材41によって水分を吸収することができるから、特に水分を多く含む軟便がウエスト開口から漏れるのを防止することができる。また、このようにポケット70が形成されることによって、芯材41が着用者の肌から離間されるので、着用者の肌に身体側ライナ42を介して芯材41が密着することによる蒸れやかぶれを予防することができる。
【0030】
前後ウエストパネル20,30の第2伸縮領域63,66は、被覆シート49の縦方向Y外側へ離間されている。具体的には、第2伸縮領域63,66に取り付けられた前後ウエスト弾性体23,33は、被覆シート49の前後端縁49a,49bに重ならず、前後端縁49a,49bは、前後ウエスト弾性体23,33よりも縦方向Y内側に位置される。被覆シート49として、個々の繊維が機械的に交絡されたティッシュペーパ等が使用された場合には、曲げ剛性が比較的大きなシートになり、これに弾性体の収縮力を作用させてもシートが収縮しにくい。しかし、前後ウエスト弾性体23,33が、被覆シート49に重ならないので、前後ウエストパネル20,30を確実に収縮させることができ、着用者の身体に密着させることができる。さらに、後ウエストパネル30においては、第2伸縮領域66を確実に収縮させることによって、ポケット70が形成されやすくすることができる。
【0031】
前後ウエストパネル20,30は、一枚のシートを折り返して形成された二枚重ねのシートによって構成され、クロッチパネル40の前後端縁40a,40bでは、身体側ライナ42、防漏シート43および裏面シート44が重なっているのみである。したがって、これら前後ウエストパネル20,30とクロッチパネル40の前後端縁40a,40bとが重なった領域では、合計5枚という比較的少ない枚数のシートが重なっている。積層されたシートの枚数が少ないから、この部分における剛性も比較的小さいものとなり、前後ウエスト弾性体23,33の収縮力によって確実に前後ウエストパネル20,30が収縮される。
【0032】
この実施形態において、非伸縮領域61,64は、前後ウエスト弾性体23,33が配置されないようにしているが、第1伸縮領域62,65よりもその伸縮力が小さく芯材41を収縮させない程度のものであれば弾性体が取り付けられている場合であってもよい。
【0033】
芯材41が横方向Xにおいて湾曲し易くするために、その中央と、両側との間に剛性が生じるようにすることもできる。例えば、芯材41の質量を横方向X中央と、その両側とで、異なるようにすることで剛性差を出すこともできる。また、芯材41は、その一部に芯材を含まない領域を形成することもできる。さらに、芯材41の中央またはその両側のいずれかに、加圧加工することによって剛性差を出すこともできる。芯材41に縦方向Yまたは横方向Xへ延びるスリットを形成し、一部剛性が低下するようにすることもできる。
【0034】
クロッチパネル40には、遠位弾性体52が取り付けられ、これによって第2カフ48が縦方向Yへ収縮する。これに伴って、クロッチパネル40全体が縦方向Yへ収縮されるから、芯材41の後端縁41b近傍も縦方向Yへ収縮され、より一層ポケットが形成されやすくなる。この実施形態において、ポケット70は、後ウエスト域3に形成されることとしているが、前ウエスト域2に形成されてもよいし、前後ウエスト域2,3に形成されてもよい。
【0035】
以上に記載したこの発明に関する開示は、少なくとも下記事項に要約することができる。
この発明は、以下の使い捨て着用物品1の改良にかかわる。使い捨て着用物品1は、縦方向Yおよび横方向Xを有し、肌対向面およびその反対側である非肌対向面と、前後ウエスト域2,3と、これら前後ウエスト域2,3間に位置するクロッチ域4と、前記前後ウエスト域2.3のいずれか一方を形成するとともに前記横方向Xへ伸縮可能な第1ウエストパネル20と、前記前後ウエスト域2,3のいずれか他方を形成するとともに前記横方向Xへ伸縮可能な第2ウエストパネル30と、前記第1および第2ウエストパネル20,30の前記縦方向Y間に延びてクロッチ域4を形成するクロッチパネル40と、前記クロッチパネル40に配置された体液吸収体とを含む。
【0036】
この発明は、上記使い捨て着用物品1において、以下の点を特徴とする。
前記体液吸収体は、吸液性の芯材41と前記芯材41を覆う液透過性の被覆シート49とを有する。
前記クロッチパネル40は、前記横方向Xへ延びる第1および第2端縁40a,40bが前記第1および第2ウエストパネル20,30の前記肌対向面にそれぞれ接合され、前記芯材41は、前記横方向Xへ延びる第1および第2端縁41a,41bのうち、少なくとも前記第2端縁41bが前記第2ウエストパネル30に重なる。
前記第2ウエストパネル30は、前記芯材41が重なる領域に非伸縮領域64が形成され、前記非伸縮領域64の前記横方向X外側に第1伸縮領域65が形成され、前記非伸縮領域64の前記縦方向Y外側には第2伸縮領域66が形成される。
前記第2伸縮領域66と前記芯材41の前記第2端縁41bとの離間寸法は、5〜20mmとされる。
【0037】
上記の発明は、少なくとも下記の実施の形態を含むことができる。
(1)前記第1および第2伸縮領域63,66は、前記横方向Xへ延びるとともに前記縦方向Yへ離間する複数のウエスト弾性体23,33が伸張状態で収縮可能に取り付けられることによって形成される。
(2)前記クロッチパネル40は、前記芯材41の前記縦方向Yへ延びる両側縁41cにおいて、その前記横方向X外側に一対のガスケットカフ46を含む。
前記ガスケットカフ46には、前記縦方向Yへ延びるガスケット弾性体51が伸長状態で収縮可能に取り付けられ、前記ガスケット弾性体51の第1端部51aおよび第2端部51bのうち、少なくとも第2端部51bは、前記第1伸縮領域65に重なって配置される。
(3)前記ガスケット弾性体51の前記第2端部51bは、前記芯材41の前記第2端縁41bよりも前記縦方向Y内側に位置し、前記第2端部51bと前記第2端縁41bとの前記縦方向Yにおける離間寸法が5〜20mmとされる。
(4)前記芯材41は、前記第2ウエストパネル30と重なる領域において、前記横方向Xに剛性差が形成される。
(5)前記第1伸縮領域62は、その一部が前記芯材41の両側縁40cにそれぞれ重なり、重なった領域の前記横方向Xにおける寸法が15〜35mmとされる。
(6)前記第2伸縮領域63,66は、前記被覆シート49から前記縦方向Y外側へ離間される。
【0038】
おむつ1を構成する各構成部材には、この発明の明細書に記載されている材料のほかに、この種の分野において通常用いられている、各種の公知の材料を制限なく用いることができる。また、おむつ1は、前ウエスト域2と、後ウエスト域3と、クロッチ域4とが一連に形成された態様であってもよい。
【0039】
この発明の明細書および特許請求の範囲において、用語「第1」および「第2」は、同称の要素、位置等を単に区別するために用いられている。さらに、この発明の明細書および特許請求の範囲において、用語「第1ウエスト域」は、前後ウエスト域の一方を意味し、「第2ウエスト域」はその他方を意味する。
【符号の説明】
【0040】
1 おむつ(使い捨ての着用物品)
2 前ウエスト域
3 後ウエスト域
4 クロッチ域
20 前ウエストパネル(第1または第2ウエストパネル)
23 前ウエスト弾性体
30 後ウエストパネル(第1または第2ウエストパネル)
33 後ウエスト弾性体
40 クロッチパネル
40a 前端縁(第1または第2端縁)
40b 後端縁(第1または第2端縁)
40c 両側縁
41 芯材
41a 前端縁(第1または第2端縁)
41b 後端縁(第1または第2端縁)
41c 両側縁
46 第1カフ(ガスケットカフ)
49 被覆シート
51 ガスケット弾性体
51a 前端部(第1または第2端部)
51b 後端部(第1または第2端部)
52 遠位弾性体
64 非伸縮領域
65 第1伸縮領域
66 第2伸縮領域
70 ポケット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦方向および横方向を有し、肌対向面およびその反対側である非肌対向面と、前後ウエスト域と、これら前後ウエスト域間に位置するクロッチ域と、前記前後ウエスト域のいずれか一方を形成するとともに前記横方向へ伸縮可能な第1ウエストパネルと、前記前後ウエスト域のいずれか他方を形成するとともに前記横方向へ伸縮可能な第2ウエストパネルと、前記第1および第2ウエストパネルの前記縦方向間に延びてクロッチ域を形成するクロッチパネルと、前記クロッチパネルに配置された体液吸収体とを含む使い捨て着用物品において、
前記体液吸収体は、吸液性の芯材と前記芯材を覆う液透過性の被覆シートとを有し、
前記クロッチパネルは、前記横方向へ延びる第1および第2端縁が前記第1および第2ウエストパネルの前記肌対向面にそれぞれ接合され、前記芯材は、前記横方向へ延びる第1および第2端縁のうち、少なくとも前記第2端縁が前記第2ウエストパネルに重なり、
前記第2ウエストパネルは、前記芯材が重なる領域に非伸縮領域が形成され、前記非伸縮領域の前記横方向外側に第1伸縮領域が形成され、前記非伸縮領域の前記縦方向外側には第2伸縮領域が形成され、
前記第2伸縮領域と前記芯材の前記第2端縁との離間寸法は、5〜20mmとされることを特徴とする前記使い捨て着用物品。
【請求項2】
前記第1および第2伸縮領域は、前記横方向へ延びるとともに前記縦方向へ離間する複数のウエスト弾性体が伸張状態で収縮可能に取り付けられることによって形成される請求項1記載の使い捨て着用物品。
【請求項3】
前記クロッチパネルは、前記芯材の前記縦方向へ延びる両側縁において、その前記横方向外側に一対のガスケットカフを含み、
前記ガスケットカフには、前記縦方向へ延びるガスケット弾性体が伸長状態で収縮可能に取り付けられ、前記ガスケット弾性体の第1端部および第2端部のうち、少なくとも第2端部は、前記第1伸縮領域に重なって配置される請求項1または2記載の使い捨て着用物品。
【請求項4】
前記ガスケット弾性体の前記第2端部は、前記芯材の前記第2端縁よりも前記縦方向内側に位置し、前記第2端部と前記第2端縁との前記縦方向における離間寸法が5〜20mmとされる請求項3記載の使い捨て着用物品。
【請求項5】
前記芯材は、前記第2ウエストパネルと重なる領域において、前記横方向に剛性差が形成される請求項1〜4のいずれかに記載の使い捨て着用物品。
【請求項6】
前記第1伸縮領域は、その一部が前記芯材の両側縁にそれぞれ重なり、重なった領域の前記横方向における寸法が15〜35mmとされる請求項1〜5のいずれかに記載の使い捨て着用物品。
【請求項7】
前記第2伸縮領域は、前記被覆シートから前記縦方向外側へ離間される請求項1〜6のいずれかに記載の使い捨て着用物品。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2013−75106(P2013−75106A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−218056(P2011−218056)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000115108)ユニ・チャーム株式会社 (1,219)
【Fターム(参考)】