説明

使用済み照明機器の口金部除去装置

【課題】 一台の簡単な装置で、種類の多い蛍光ランプの口金部に幅広く対応して口金部を除去することができる。
【解決手段】 一方部材3aと他方部材3bからなる挟持部材3を備え、挟持部材3の一方部材3ab他方部材3aにこれらで挟持すると照明機器Kの口金部10に食い込む刃10cを有する。挟持部材3の一方部材3aと他方部材3bのうちの少なくとも一方を駆動させる駆動手段7と備え、これらの部材3a,3bが平行にならずに傾斜姿勢を維持して照明機器Kの口金部10を挟持する

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蛍光灯、蛍光ランプやLED照明などの照明機器の口金部を除去する使用済み照明機器の口金部除去装置に関する。
【背景技術】
【0002】
蛍光灯の両端部には、口金部が取り付けられている。白熱電球、蛍光ランプ、ハロゲンランプ、LED電球等の照明機器には、これらをソケットに取り付けるための口金部が取り付けられている。これらの口金部は、その大きさも種々のものがあり、例えば、E10口金部(直径が10mm)、E17口金部(直径が17mm)、E26口金部(直径が26mm)等がその代表格であるが(図9参照)、これらよりも小さなものや大きなものがある。口金部の内側には、蛍光管、蛍光灯等の本体との接触を図るための接着剤が充填されている。
近年の環境保護の観点から、これら照明機器の分別処理が要求されるようになり、上記のような照明機器にあっては、蛍光管(ガラス)と金属(口金部)を分離する必要があり、そのための従来技術としては、特許文献1から4等に示すものが開示されている。特許文献1と2は、蛍光灯の口金部分を切断して除去するものであり、特許文献3は、蛍光灯の口金部分を挟持した状態にして、蛍光管(ガラス)を所定方向に引っ張ったり、又、回転させることにより口金部を除去する。特許文献4では、廃蛍光ランプの口金部の外周を半径方向に把持し、把持面に前後方向の波形を形成した緩衝材を装着したクランプ機構と、クランプ機構で把持される口金部の位置に突出し、口金部をクランプしたバルブ側に付勢された揺動板に固定されたプッシャロッドで除去された口金部を排出する排出機構と、バルブと口金部の接合部を加熱するため廃蛍光ランプの端部を緩挿できる筒状挿入口、この筒状挿入口の後部と連通し上下方向に配設した熱風送管及び熱風発生器より成る加熱機構とを備える。熱風での加熱機構により、上記接合部の接着剤を軟化し脆くして、接着剤の除去も容易にする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−111325号公報
【特許文献2】特許第3389188号公報
【特許文献3】特開2006−212498号公報
【特許文献4】特許第4035048号公報
【0004】
ところで、蛍光灯、蛍光ランプやLED照明などの照明機器の種類や大きさは種々あり、これらに取り付けられている口金部のすべてを除去することが理想であり、その内部の接着剤や、蛍光管内の水銀、ナトリウムやアマルガムなども分別処理ができれば更に好ましい。しかし、実際には、照明機器には非常に小さなものも多数あり、それらのすべてに対応することまでは難しい。一般的な蛍光灯、蛍光ランプ等の照明機器では、口金部の大きさで言うと、直径が10mmのE10口金部から直径が26mmのE26口金部等がその代表格であり、これらは少なくとも分別される必要がある。
他方、近年、白熱電球に代わって、蛍光ランプやLED電球等が消費電力や長期使用可能な点から普及し始めており、これらの口金部は、白熱電球の口金部とは異なり、照明機器の本体が合成樹脂製の部材に取り付けられる構造になっている(図8(a)〜(d)参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の口金部除去装置では、上記のように、口金部の大きさが種々のものがあることから、これらすべてに個々に対応する装置(口金部を外周から挟む設定を変更する等)は、機構が複雑になるおそれがある。除去装置を個別に製造することは、より装置の製造コストがかかってしまう問題を有する。
なお、上記特許文献1,2のように、切断による除去では、回転カッター等を使用するので、蛍光管(ガラス)が飛散する問題や、蛍光ランプやLED電球等の口金部のような合成樹脂製の部材を切断するには、頑強な回転カッター等を使用する必要が生じてしまう。
【0006】
そこで本発明の目的は、一台の簡単な装置で、種類の多い照明機器の口金部に幅広く対応して口金部を除去することができる使用済み照明機器の口金部除去装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の使用済み照明機器の口金部除去装置は、蛍光灯、蛍光ランプやLED照明などの照明機器の口金部を除去する使用済み照明機器の口金部除去装置であって、一方部材と他方部材からなる挟持部材を備え、挟持部材の一方部材と他方部材にこれらで挟持すると照明機器の口金部に食い込む刃を有することを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、照明機器の口金部を挟持部材の一方部材と他方部材で所定箇所で挟持すると、互いの刃が口金部に食い込むので、挟持部材の挟持を解除すると、口金部が破損して外れることとなる。
ここで、挟持した状態で照明機器の本体を回転させるようにして口金部を除去しても良いが、挟持してから、この挟持状態を解除すると、刃が口金部に食い込むことで、一方部材と他方部材のいずれかの刃に引っかかるようにして除去できる。口金部の大きさは照明機器により種々あるが、一方部材と他方部材で所定箇所での所定位置を変更して、挟持すれば良く、これにより種々の口金部に幅広く対応して大量に処理することができる。
そして、前記挟持部材の一方部材と他方部材に、対応する円弧状の円弧状部が形成され、この円弧状部に照明機器の口金部に食い込む刃を有することが好ましい。本発明によれば、口金部の全周囲に刃の食い込みが生じるようにして除去することができる。
【0009】
本発明としては、前記挟持部材の一方部材と他方部材のうちの少なくとも一方を駆動させる駆動手段と備え、これらの部材が平行にならずに傾斜姿勢を維持して照明機器の口金部を挟持することが好ましい。
本発明よれば、作業者が基台の前に立って、照明機器本体を持って、例えば、挟持部材の他方部材を駆動させて、一方部材に対して傾斜姿勢を維持して降下すると、他方の部材が降下し過ぎてしまう事態を抑制する。したがって、照明機器が蛍光管(ガラス)のような場合でも、蛍光管(ガラス)を破損してしまう事態を防止する。
ここで、挟持部材の一方部材に対する他方部材の傾斜角度は、小さな角度(2〜5度程度)で良く、この傾斜角度が小さいほど、円形の口金部と他方部材が接触する面積が大きくなるとともに、照明機器の種類により多く対応することが可能になる。
【0010】
本発明としては、前記一方部材と他方部材の幅は、口金部の幅よりも狭幅であり、その幅狭の刃が口金部の末端側を挟持することが好ましい。ここで、蛍光灯にあっては、口金部の末端側とは、蛍光灯のピン(極)を言うものではなく、円筒状の口金部のピン側の端部を言う。
本発明者らの実験によれば、照明機器の口金部の全周囲を把持しなくとも、その上下(或いは左右)側だけでも刃を有する挟持部材で挟持すれば、口金部を除去できることが分かった。むしろ、口金部の末端側を上記挟持部材で挟持することで、口金部の後方側が浮き上がるようになり(広がるようになり)、照明機器本体から除去でき、そしてこれにより照明機器本体から口金部を抜き取るように除去できる。
【0011】
本発明としては、前記基台に口金部の末端側を位置決めする位置決め部材がレールを介して取り付けられていることが好ましい。
本発明によれば、レールを介して照明機器の口金部を位置決め部材で位置決めすることで、同じ種類や大きさの照明機器の口金部を除去する最適な位置を確認して、位置決め部材により口金部が移動しないようにして、口金部を除去することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、口金部に食い込む刃を有する一方部材と他方部材の挟持部材により挟持することで、一台の簡単な装置で、種類の多い蛍光ランプの口金部に幅広く対応して大量に処理することが可能になる。また、位置決め部材を使用することで、同じ種類や大きさの照明機器の口金部を大量に正確に除去することができる。そして、熱風等により接着剤を軟化し脆くすることなく、口金部を抜き取るように除去できる。
また、口金部に食い込む刃を有する一方部材と他方部材の挟持部材により挟持して除去すると、照明機器本体を損傷させずに口金部を照明機器本体から除去できるようになり、照明機器本体を持つ作業者の作業にも、ガラス片が飛び散るというような危険がなく作業が行える。すなわち、前記挟持部材の一方部材と他方部材が傾斜姿勢(平行にならないことで)、挟持する際の行き過ぎを防止でき、又、前記一方部材と他方部材の幅は、口金部の幅よりも狭幅であり、その幅狭の切断刃が口金部の末端側を挟持することにより、照明機器本体を損傷させることなく、口金部を除去することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明を適用した第1の実施の形態の使用済み照明機器の口金部除去装置の背面側から見た斜視図である。
【図2】上記第1の実施の形態の使用済み照明機器の口金部除去装置の位置決め部材の他の例を示す斜視図である。
【図3】上記第1の実施の形態の使用済み照明機器の口金部除去装置の側面図である。
【図4】上記第1の実施の形態の挟持部材の動きを説明する図である。
【図5】上記第1の実施の形態の挟持部材の他の例を示す正面図である。
【図6】上記実施形態の使用済み照明機器の口金部除去装置の使用例(実験例)を説明する図である。
【図7】上記実施の形態の他の例の挟持部材を示す正面図である。
【図8】照明機器の種類を説明する図である。
【図9】照明機器の口金部の種類を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は本実施形態の使用済み照明機器の口金部除去装置1の背面であり、図3はその側面図である。
本実施形態の使用済み照明機器の口金部除去装置1は、一方部材3aと他方部材3bからなる挟持部材3を備える。また、他方部材3bを可動させる駆動手段Mを備え、一方部材3aに対して他方部材3bが上下動可能に所定高さの基台2に取り付けられている(図1)。基台2の下方には、足で踏み込むステップ動作式のスイッチ4が配されている。基台2の下方には、除去した口金部10を集める廃棄用のボックス5が配されている。また、各種の棄処分になった蛍光灯、蛍光ランプやLED照明を集める集積ボックス6を有する。
【0015】
前記基台2には、挟持部材3の一方部材3aが所定高さ位置に水平に取り付けられている。挟持部材3の他方部材3bは、基台2に設けられた所定高さの上方フレーム2aに取り付けられ、その姿勢が斜めに取り付けられている。一方部材3aと他方部材3bは、鋼鉄製の板で(長さが約60cm)、その上面(他方部材は下面)には刃3cが形成されている。刃3cは、鋼鉄製の鋸歯状の刃3cであり(先端に向かって断面が三角形状の刃)、照明機器の口金部10に食い込む刃3cであり、ワークである口金部10に突き刺さるようになる。
他方部材3bの上方には、他方部材3bの一方片側を下方に押し下げる駆動手段(シリンダー)7が基台2に設けられた所定高さの上方フレーム2aに取り付けられ、上記シリンダー7に自在継ぎ手6aが取り付けられている。シリンダー7は油圧式であるが、空気シリンダー等でも良い。そして、シリンダー7の上方にも自在継ぎ手6bが取り付けられている(図3)。他方部材3bの他方片側は、一方部材3aに対して回転軸9を介して連結されている。したがって、駆動手段7を駆動させると、一方部材3aに対して回転軸9を介して他方部材3bを下方側に稼動させる。
基台2は、フレーム2aが組み合わせて構成されるが、テーブル面のようなものは特になく、平行な一方部材3aの近辺で特に、除去した口金部10をそのままボックス5に落下させるために、フレーム2aを組み合わせるだけで構成されている。
【0016】
本実施の形態では、挟持部材3の他方部材3bは一方部材3aに対してその傾斜姿勢を維持して可動するように設定されている。一方部材3aは、基台2のフレーム2aに掛け渡すようにして取り付けられている。他方部材3bは、回転軸9を中心に回転するが(回転距離が少なく上下動に見えるが実際には、上記自在継ぎ手が取り付けられていることにより、回転するようにして上下動する構造である。)、図4(a)(b)に示すように、平行な一方部材3aに対して、傾斜姿勢で下降するが、平行姿勢にはならないように設定されている。その理由は、平行姿勢までにすると、照明機器本体10cを損傷させることになることと、平行姿勢で停止させて復帰させる制御が難しいことにある。本実施の形態の傾斜角度θは、他方部材3bが平行な一方部材3aに対して5度程度の傾斜角度(姿勢)θになるように下降するが、それ以上は下降しない設定になっている。上記傾斜角度θとしては、上記傾斜角度θに限定されるものではないが、2〜15度程度でも可能であり、上限としては40度程度でも可能である。本実施の形態では、後述するように、照明機器の口金部10の種類(大きさの種類)をできるだけ多く除去することを考えている。このためには、上記傾斜角度θが小さいほど多くの種類の口金部を除去できるのみならず、上記傾斜角度θが小さいほど、一方部材3aと他方部材3bが円形の口金部10と接触する割合が多くなり好ましい。
【0017】
本実施形態の挟持部材3の一方部材3aと他方部材3bの幅Hは、約8〜9mm程度の幅Hである(図3)。したがって、直径10mm以上口金部であれば、その口金部10の幅よりも狭幅であるために、口金部10の先端側10bが前方(図3中左側)に突出させた状態で挟持部材3の一方部材3aと他方部材3bで挟持できる。なお、口金部10の末端側10aは位置決め部材8に当たった状態になる。上記のように、口金部10の先端側10bが残ることで、この部分が挟持により開くようになり(径が大きくなり)、照明機器本体を抜き取り易くなるための工夫である。
【0018】
位置決め部材8は、基台2に配される第1のレール3rに取り付けられている(図1)。この第1のレール3rは、位置決め部材を左右方向に移動にさせるためのものであるが、図2に示すように、更に第1のレール3rが第2のレール3qに取り付けられていても良い。位置決め部材8は、一方部材3aの後方に配され、一方部材3aに沿って配される第1のレール3rに取り付けられ、一方部材3aに沿って移動可能に構成されている(図1では左右方向Xに移動可能である)。また、第1のレール3rが第2のレール3qに取り付けられていると、位置決め部材8は、一方部材3aから離間する方向に移動可能に構成されている(図2では矢印Y方向に移動可能である)。位置決め部材8は、直方体形状の部材であり、その一側面(正面)8aに照明機器Kの末端側10aが接触する。ここで、蛍光ランプKrの場合は、末端接触部(極)を有する突出部側が末端であり、蛍光灯Ktでは、ピン(極)Kpを除いた口金部10の端部10aを末端側と言う。蛍光灯Ktでは、位置決め部材8にピンKrを逃がすためのスペースを設けるようにしても良い。蛍光ランプKrの末端10aは、突出部(極)があるので(図9(c)参照)、この突出部(極)の形状に対応した凹部が位置決め部材の上記一側面に形成されていることが好ましい。図9(d)のように、突出部10aが2箇所あるような場合は(図9(d)参照)、その数だけ位置決め部材8に凹部が形成されていることが好ましい。なお、上記位置決め部材8に、蛍光灯Ktのピン(極)Kpを逃がす穴や溝を設けても良い。
【0019】
次に、実施の形態の使用済み照明機器の口金部除去装置1を使用して実際に蛍光灯、蛍光ランプやLED照明などの照明機器の口金部を除去する場合を説明する。
【0020】
前提として、本発明の使用済み照明機器の口金部除去装置1で除去できる対象は、白熱電球や、蛍光ランプ、ハロゲンランプ、LED電球等の種々の口金部が付いたものであれば広く対象になる。ただし、近年は、白熱電球に代わって(白熱電球の生産中止が相次いでいる。)、電球型と呼ばれる蛍光ランプが省電力、省エネルギーの面からも効率の低い白熱電球に置き換えて使用され(図8(a)(b)参照)、一段と普及が進んでいる(小形軽量化が進み、一般のA形状の白熱電球と外観的に近似したものも提供されている)。なお、白熱電球には、水銀等の有害物質を含まないが、ガラスと口金部との分別処理にはなる。他方、細管蛍光ランプや直管型ランプのような蛍光灯も、電球型の蛍光ランプに置き換えられる傾向にある。この電球型の蛍光ランプの種類としては、ボール型、扇形状や螺旋形状(スパイラル形状)等の種々のものがあり、その大きさも種々異なるものがある。これらには口金部が取り付けられ、口金部の大きさも種々のものがある。例えば、E11口金部とは、直径が11mmであり、E17口金部とは、直径が17mmであり、E26口金部とは、直径が26mm等がその代表格であるが、これらよりも小さなものや大きなものがある(図8(c)参照)。電球型と呼ばれる蛍光ランプの口金部10は、ガラス球に取り付けられる白熱電球の口金部10とは異なり、合成樹脂製の品部材に取り付けられるものが多い。電球型の蛍光ランプは、ガラス管内壁に蛍光体膜を塗布し、内部に水銀やアマルガムが封入され、さらに金属材料からなる電極、端子、リードワイヤー等から構成された放電管と、この放電管を点灯制御するためのインバータ等の電子回路を構成する回路部品と、回路部品に商用電源を供給するための金属製の口金部、さらには放電管や回路部品を支持する合成樹脂からなる構造部材等、各種構成部品が多種類の材料で構成されている。そして、上記電球型の蛍光ランプやLED電球では、これらの口金部が合成樹脂の外周に取り付けられているので(白熱電球のようにガラスに口金部が取り付けられていないので)、口金部を挟み込んで除去し易いものである。
したがって、蛍光灯、蛍光ランプやLED照明などの照明機器の口金部10であれば広く対象になるが、あまり小さすぎるものは扱い難いところがある。実際には、口金部の直径が10mm以上であれば、本体(照明機器本体)がガラス材質の蛍光灯でも、その口金部10の除去が可能である。なお、廃棄されたものの照明機器の口金部を除去することがほとんどではあるが、新品の照明機器の口金部を除去することも勿論可能である。
以下では、照明機器本体がガラス材質の蛍光灯(図8(c))と、図8(а)(b)(d)の電球型の蛍光ランプやLED照明の口金部を例に実際に実験した例を踏まえて説明する。
【0021】
照明機器Kが蛍光灯の場合は、まず、口金部10の末端10aのピン(極)10pをカッタ(図示せず)でカットする。そして、ペンチやカッター等で、ピン(極)10pをカット10pした照明機器本体(円筒ガラス部分)Kbを手で持ち、照明機器Kの口金部10を一方部材3aの上に載置する(他方部材3bを動かさないで)。このとき、傾斜姿勢の他方部材3bとの間隔が狭くなる方向に移動させて、挟持部材3の一方部材3aと他方部材3bに接触する位置まで移動させ(図6(a)の左側に移動させ)、口金部10が一方部材3aと他方部材3bに接触する位置を確認する。このとき、位置決め部材8に口金部10の末端10aが接触した状態で、口金部10の先端側10bが口金部10の幅よりも前方(図6(a)中の正面側であり、図3では右側)に突出させた状態になっていることが好ましい。
次に、一方部材3aと他方部材3bに接触する位置を維持した状態で、足踏み式スイッチ4を足で操作して駆動手段7を駆動させて他方部材3bを降下させる(図6(b))。スイッチ4の設定は、他方部材3bが一方部材3aに対して平行姿勢になる直前で停止させて(踏み続けると挟持した状態を維持する。)、平行にはならないように制御され、傾斜姿勢のまま停止させて挟持する。なお、平行姿勢になる直前で元に戻るように設定して、行っても良い。他方部材3bが降下して(回転軸9を中心に回転して)、一方部材3aと他方部材3bの刃3cが蛍光灯Kの口金部10を挟持すると、さらにその刃3cで口金部10に食い込むが、口金部10の先端側10bが口金部10の幅よりも前方(図3中左側)に突出させた状態になっていることから(口金部10の先端側10bが残ることから)、この部分が挟持により開くようになり(径が大きくなり)、照明機器本体Kbを引っ張ると、口金部10が抜き取られる。すなわち、口金部10だけが刃3cにくっつく様にして残って除去される(図7(a)(b))。
図6と図7は実際に除去したときの様子の写真を図面にしたものである。抜き取られた蛍光灯本体の末端側(口金部があった部分)は、接着剤が付着した状態の先端部となる。図6(c)は、挟持した状態を解除したもので、除去された口金部10は、下方の一方部材3aに付着して、照明機器本体Kbから除去され、後は軽く触れると、下方のボックス5に落下する(図1)。これは、他方部材3bが傾斜姿勢で口金部10を挟持するために、口金部10が接触する面積が水平姿勢の一方部材3aの方が大きいからである。なお、熱風等により口金部10内の接着剤を加熱することは行っていない。
ここで、口金部10の種類としては、口金部10の先端側10bが外側に広がったものがあり(図9(b)、このようなタイプの口金部の場合は、上記幅Hの挟持部材3より、より一層はずし易い。また、図9(d)に示すような鍔があるタイプでも、一方部材3aと他方部材3bで、その半分側(鍔を介して片側だけ挟持してその口金部を除去することができた。
そして、除去された口金部10は、そのまま基台2の下方に落下して(テーブル面になっていないので)、そのまま、軽く除去された口金部に触れると、ボックス5に入れられる。
本実施の形態によれば、種類や大きさの異なる照明機器の口金部を処理する場合でも、その順番を問わずに(口金部の大きさや種類を予め揃えておく必要はなく)、小さな口金部は、水平な一方部材3aに対する傾斜姿勢の他方部材3bとの間隔が狭い箇所で(図6(a)の左側で)挟持すれば良く、これよりも大きな口金部はそれよりも広い間隔の箇所で(図6(a)の右側で)挟持すれば、どのような口金部でも対応可能であり、これにより処理能力が高められる。なお、ここでの実験では、位置決め部材8を使用しなかったが、何ら問題なく除去可能であった。
【0022】
次に、図8(a)(b)のような蛍光ランプや、図8(d)のようなLED照明の場合を説明する。これらの場合は、上記のようなピン10pがないので、そのまま使用済みの証明機器Kの口金部10が一方部材3aと他方部材3bに接触する位置を確認して、足踏み式スイッチ4を足で操作して駆動手段7を駆動させて他方部材3bを降下させる(図6(b))。上記蛍光ランプやLED照明の場合、口金部10が樹脂でモールドされた硬質部材であることから、一方部材3aと他方部材3bで挟持しても破損しない場合がある。このような場合でも、破損した口金部分を軽く叩くか、又は、口金部10を挟持部材3で挟持した状態で(スイッチ4を踏みつけた状態のまま)、照明機器本体Kbを手で少し回転させると、口金部10は照明機器本体Kから完全に分離する。また、一回の挟持では除去できないときは、挟持する位置を変更して、口金部10を回転させて挟持部材3の刃3cが当たる位置を変更することで、口金部の全周囲に刃3cの食い込みが生じるようにして除去する。このような操作を繰り返す場合でも、その位置を自由に選択できる利点が本実施の形態は有する。
【0023】
ここで、図5に示すように、挟持部材11の一方部材11aと他方部材11bとしては、互いに対応する円弧形状部11cを形成することも可能である。図5に示す例では、3箇所の対応する円弧形状部11cを形成することで、2種類の照明機器に対応して口金部10の除去が可能になっている。図5に示す例では、互いに対応する円弧形状部11cで挟持するので、照明機器Kの口金部10のほぼ全周囲を挟持することとなり、口金部10の除去がより確実に行われる。
【0024】
なお、一方部材3aには、口金部10の種類に応じて、その除去しやすかった位置には、印を付けておくようにして、繰り返し操作の目印として作業性を向上させても良い。すなわち、口金部の種類や大きさが同じものを連続的に処理する場合は、同じ大きさの口金部の除去を効率的に行うために、位置決め部材8を使用することが好ましい。
【0025】
以上、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではない。一方部材3aを可動可能にしたり、一方部材3aと他方部材3bの両方を可動可能に構成することも可能である。刃3cの種類や材質も種々適用可能である。このように、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0026】
1 使用済み照明機器の口金部除去装置、
2 基台、
3,11 挟持部材、3a 一方部材、3b 他方部材、3c 刃、11c 円弧形状部、
5 ボックス、
6a,6b 自在継ぎ手、
7 駆動手段(シリンダー)、
8 位置決め部材、
9 回転軸(他方部材を回転させる回転軸)、
10 口金部、10a 口金部の末端側、10b 口金部の先端側、
θ 他方部材の一方部材に対する傾斜角度(傾斜姿勢)、
K 照明機器、Kb 照明機器の本体、


【特許請求の範囲】
【請求項1】
蛍光灯、蛍光ランプやLED照明などの照明機器の口金部を除去する使用済み照明機器の口金部除去装置であって、一方部材と他方部材からなる挟持部材を備え、挟持部材の一方部材と他方部材にこれらで挟持すると照明機器の口金部に食い込む刃を有することを特徴とする使用済み照明機器の口金部除去装置。
【請求項2】
前記挟持部材の一方部材と他方部材に、対応する円弧状の円弧状部が形成され、この円弧状部に照明機器の口金部に食い込む刃を有することを特徴とする請求項1記載の使用済み照明機器の口金部除去装置。
【請求項3】
前記挟持部材の一方部材と他方部材のうちの少なくとも一方を駆動させる駆動手段と備え、これらの部材が平行にならずに傾斜姿勢を維持して照明機器の口金部を挟持することを特徴とする請求項1記載の使用済み照明機器の口金部除去装置。
【請求項4】
前記一方部材と他方部材の幅は、口金部の幅よりも狭幅であり、その幅狭の刃が口金部の末端側(極のある側)を挟持することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項記載の使用済み照明機器の口金部除去装置。
【請求項5】
前記基台に口金部の末端側を位置決めする位置決め部材がレールを介して取り付けられていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項記載の使用済み照明機器の口金部除去装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−161316(P2011−161316A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−23926(P2010−23926)
【出願日】平成22年2月5日(2010.2.5)
【出願人】(302054442)株式会社サワヤ (22)
【Fターム(参考)】