説明

使用者装着装置及び自動排泄処理装置

【課題】仰向けの使用者が使用者装着装置を装着した状態で上半身を起こす際のおむつカップからの圧迫感を軽減した使用者装着装置及び自動排泄処理装置を提供する。
【解決手段】おむつカップは、浄水用のホース、空気用のホース、及び排泄物用のホースに接続されるコネクタを使用者の腰幅方向に沿って配列し、かつ可撓性材料で構成したことにより、おむつカップを各ホース側に向けて曲げたときに各ホースがコネクタの近傍で曲がることができ、おむつカップと排泄物用のホースとの間に空気用のホースや浄水用のホースが入り込むことによるおむつカップの位置が高くなることがなくなるので、使用者が装着した状態で起き上がることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本発明は、寝たきり老人等の高齢者、傷病者、乳幼児等の使用者が装着したままの状態で排泄物を排出処理するための使用者装着装置及び自動排泄処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、高齢化に伴い介護を必要とする高齢者が急増している。このような急増に伴って家庭、介護施設、あるいは病院等で介護を受けている寝たきり老人等の多くはほとんど自分自身で糞尿(以下、「排泄物」と記す)の処理を行うことができない状況にある。また、乳幼児、重度身体障害者、内臓疾患患者や骨折患者を含むベッド上安静者等の使用者は、ベッドに寝ていなければならないので、自分自身で排泄物を処理することができないという状況下にある。
このため、使用者は、おむつ本体と、おむつ本体の股部に取り付けられたおむつカップとで構成された排泄用装着体と、排泄用装着体を使用者に装着することができるように構成された排泄用装着具とを装着している。
【0003】
この種の排泄用装着具は、使用後には介護者が使用者からおむつカップを外し、おむつカップ内の排泄物を介護者が人手でトイレに搬送し、排泄物を処理し、おむつカップを洗浄し、再度おむつカップを使用者に装着したり、おむつカップごと廃棄し新たなおむつカップを装着したりしていた。この排泄処理においては臭気の問題や、使用者の体の向きを変えたり、使用者への後処理(拭き取りなど)を行ったり多大な労力を必要としていた。
このため、排泄処理を自動的に行う自動排泄処理装置が要望され、開発されている。
【0004】
一般に、自動排泄処理装置は、排泄装着体の一部を構成するおむつ本体と、おむつ本体の股部に取り付けられ、排泄装着体の他の一部を構成するおむつカップと、おむつカップに一端が接続され、かつ他端が吸引装置に接続されたホースとを備えている。この自動排泄処理装置は、おむつ本体とおむつカップとを装着した使用者が排泄物の排泄を行った場合おむつカップ内のセンサが排泄物を感知し、吸引装置がホースを介しておむつカップに溜まった排泄物を吸引すると共に、吸引装置は、おむつカップに温水を送っておむつカップ内の汚れを洗浄し、洗浄後の汚水を吸引装置内のタンクに収容するもの(例えば、特許文献1参照)や、さらにおむつ本体とおむつカップとに温風を送風してそれらの内部を乾燥するものがある(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2002−58692号公報
【特許文献2】特許第3077085号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、自動排泄処理装置のおむつカップを装着した使用者がベッド上で起きあがろうとした場合、特許文献1に記載の技術では使用者がベッド上で食事等をするため起きあがると、おむつカップの吸引ホースが折れてしまう。
また、特許文献2に記載の技術では使用者が装着具を装着した状態のままベッド上で食事等をするため、起きあがろうとすると吸引ホースやフレキシブルホースが股間部を圧迫し、起き上がることが困難である。
【0006】
そこで、本発明の目的は、仰向けの使用者が使用者装着装置を装着した状態で上半身を起こす際のおむつカップからの圧迫感を軽減した使用者装着装置及び自動排泄処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、請求項1記載の発明は、使用者の股間に装着され、排泄物処理装置からの洗浄用の浄水及び乾燥用の空気がそれぞれ浄水用のホース及び空気用のホースを介して供給され、前記使用者の排泄物が前記排泄物処理装置へ排泄物用のホースを介して排出されるためのおむつカップを有する使用者装着装置であって、前記おむつカップは、前記浄水用のホース、前記空気用のホース、及び前記排泄物用のホースに接続されるコネクタが前記使用者の腰幅方向に沿うように配列され、かつ可撓性材料で構成されていることを特徴とする。
【0008】
請求項1記載の発明によれば、おむつカップは、浄水用のホース、空気用のホース、及び排泄物用のホースに接続されるコネクタを使用者の腰幅方向に沿うように配列し、かつ可撓性材料で構成したことにより、おむつカップを各ホース側に向けて曲げたときに各ホースがコネクタの近傍で曲がることができ、おむつカップと排泄物用のホースとの間に空気用のホースや浄水用のホースが入り込むことによるおむつカップの位置が高くなることがなくなるので、使用者が装着した状態で起き上がることができる。また、おむつカップが可撓性材料で構成されているので、使用者が起き上がったときに使用者の体重によって生じるおむつカップからの圧迫感が軽減される。
【0009】
請求項2記載の発明は、使用者の股間に装着され、排泄物処理装置からの洗浄用の浄水及び乾燥用の空気がそれぞれ浄水用のホース及び空気用のホースを介して供給され、前記使用者の排泄物が前記排泄物処理装置へ排泄物用のホースを介して排出されるためのおむつカップを有する使用者装着装置であって、前記おむつカップは、前記浄水用のホース、前記空気用のホース、及び前記排泄物用のホースに接続されるコネクタが前記使用者の腰幅方向に沿うように配列され、可撓性材料で構成され、かつ前記使用者の腰部の下側に配置される腰部マット部を備えたことを特徴とする。
【0010】
請求項2記載の発明によれば、おむつカップは、浄水用のホース、空気用のホース、及び排泄物用のホースに接続されるコネクタを使用者の腰幅方向に沿うように配列し、かつ可撓性材料で構成したことにより、おむつカップを各ホース側に向けて曲げたときに各ホースがコネクタの近傍で曲がることができ、おむつカップと排泄物用のホースとの間に空気用のホースや浄水用のホースが入り込むことによるおむつカップの位置が高くなることがなくなるので、使用者が装着した状態で起き上がることができる。また、おむつカップが可撓性材料で構成されているので、使用者が起き上がったときに使用者の体重によって生じるおむつカップからの圧迫感が軽減される。さらに使用者の腰部の下側に配置される腰部マット部を備えたことにより、おむつカップの使用時の圧迫感や褥瘡の発生が軽減される。
【0011】
請求項3記載の発明は、使用者の股間に装着され、排泄物処理装置からの洗浄用の浄水及び乾燥用の空気がそれぞれ浄水用のホース及び空気用のホースを介して供給され、前記使用者の排泄物が前記排泄物処理装置へ排泄物用のホースを介して排出されるためのおむつカップを有する使用者装着装置と、前記おむつカップに浄水路を介して浄水を供給する浄水系、前記使用者装着装置との間で空気流路を介して空気を循環させることにより前記使用者に乾燥用の空気を供給する循環系、及び、前記使用者の排泄物が前記空気ごと汚水流路を介して汚物タンク内に収容される際に気水分離する気水分離機構を有する排泄物処理装置とを有する自動排泄処理装置であって、前記おむつカップは、前記浄水用のホース、前記空気用のホース、及び前記排泄物用のホースに接続されるコネクタを前記使用者の腰幅方向に沿うように配列され、かつ可撓性材料で構成されていることを特徴とする。
【0012】
請求項3記載の発明によれば、おむつカップは、浄水用のホース、空気用のホース、及び排泄物用のホースに接続されるコネクタを使用者の腰幅方向に沿うように配列し、かつ可撓性材料で構成したことにより、おむつカップを各ホース側に向けて曲げたときに各ホースがコネクタの近傍で曲がることができ、おむつカップと排泄物用のホースとの間に空気用のホースや浄水用のホースが入り込むことによるおむつカップの位置が高くなることがなくなるので、使用者が装着した状態で起き上がることができる。また、おむつカップが可撓性材料で構成されているので、使用者が起き上がったときに使用者の体重によって生じるおむつカップからの圧迫感が軽減される。
【0013】
請求項4記載の発明は、使用者の股間に装着され、排泄物処理装置からの洗浄用の浄水及び乾燥用の空気がそれぞれ浄水用のホース及び空気用のホースを介して供給され、前記使用者の排泄物が前記排泄物処理装置へ排泄物用のホースを介して排出されるためのおむつカップを有する使用者装着装置と、前記使用者装着装置にポンプにより浄水流路を介して浄水を供給する浄水系、前記使用者装着装置との間で空気流路を介して空気を循環させることにより前記使用者に乾燥用の空気を供給する循環系、及び、前記使用者の排泄物が前記空気ごと汚水流路を介して汚物タンク内に収容される際に気水分離する気水分離機構を有する排泄物処理装置とを有する自動排泄処理装置であって、前記おむつカップは、前記浄水用のホース、前記空気用のホース、及び前記排泄物用のホースに接続されるコネクタが前記使用者の腰幅方向に沿うように配列され、可撓性材料で構成され、かつ前記使用者の腰部の下側に配置される腰部マット部を備えたことを特徴とする。
【0014】
請求項4記載の発明によれば、おむつカップは、浄水用のホース、空気用のホース、及び排泄物用のホースに接続されるコネクタを使用者の腰幅方向に沿うように配列し、かつ可撓性材料で構成したことにより、おむつカップを各ホース側に向けて曲げたときに各ホースがコネクタの近傍で曲がることができ、おむつカップと排泄物用のホースとの間に空気用のホースや浄水用のホースが入り込むことによるおむつカップの位置が高くなることがなくなるので、使用者が装着した状態で起き上がることができる。また、おむつカップが可撓性材料で構成されているので、使用者が起き上がったときに使用者の体重によって生じるおむつカップからの圧迫感が軽減される。さらに使用者の腰部の下側に配置される腰部マット部を備えたことにより、おむつカップの使用時の圧迫感や褥瘡の発生が軽減される。
【0015】
請求項5記載の発明は、請求項4記載の発明において、前記各ホースは一端が前記排泄物処理装置に着脱自在に接続され、他端に前記おむつカップのコネクタに着脱自在に接続されるカセットを有し、前記カセットの前記ホース側の面にはほぼD字形状の保護フィンが立設されていることを特徴とする。
【0016】
請求項5記載の発明によれば、カセットのホース側の面にほぼD字形状の保護フィンが立設されていることにより、使用者がおむつカップを装着した状態で上半身を起こす際にホースが使用者の体重で押しつぶされるのを軽減することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、おむつカップは、浄水用のホース、空気用のホース、及び排泄物用のホースに接続されるコネクタを使用者の腰幅方向に沿うように配列し、かつ可撓性材料で構成したことにより、おむつカップを各ホース側に向けて曲げたときに各ホースがコネクタの近傍で曲がることができ、おむつカップと排泄物用のホースとの間に空気用のホースや浄水用のホースが入り込むことによるおむつカップの位置が高くなることがなくなるので、使用者が装着した状態で起き上がることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図1は、本発明に係る使用者装着装置の一実施の形態を示す概念図である。図2は、図1に示した使用者装着装置のおむつカップにカセットを装着し、斜め前から見た外観斜視図である。図3は、図1に示した使用者装着装置のおむつカップにカセットを装着し、斜め後から見た外観斜視図である。図4は、図2のIV−IV線断面図である。図5は、図2のV−V線断面図である。図6は、図2の平面図である。図7は、図2のVII−VII線断面図である。
【0019】
図8(a)は、図1に示した使用者装着装置のおむつカップに用いられる噴射ノズル214の外観斜視図であり、図8(b)は、図8(a)のVIIIb−VIIIb線断面図であり、図8(c)は、図1に示した使用者装着装置のおむつカップに用いられる噴射ノズル213の外観斜視図であり、図8(d)は、図8(c)のVIIId−VIIId線断面図である。図9(a)は、図2のIXa−IXa線断面図であり、図9(b)は、図9(a)のノズルボックス211の正面図であり、図9(c)は、図9(b)のIXc−IXc線断面図であり、図9(d)は、図9(b)のIXd−IXd線断面図であり、図9(e)は、図9(b)のIXe−IXe線断面図である。図10は、図1に示した使用者装着装置のおむつカップの底面図である。
【0020】
図11は、図1に示した使用者装着装置のおむつカップの正面図である。図12は、図2のXII−XII線断面図である。図13(a)は、図1に示した使用者装着装置のおむつカップの背面図であり、図13(b)は、図1に示した使用者装着装置に接続されるカセット800をホース側から見た図であり、図13(c)は、図13(b)に示したカセット800に設けられたフィン833からつまみネジ823を引き抜いたときの状態を示す正面図であり、図13(d)は、図13(c)の側面図であり、図13(e)は、図13(b)に示したカセット800に設けられたフィン832の側面図である。図14は、本発明に係る使用者装着装置を使用者が装着した状態を平面図である。図15は、図14のXV−XV線断面図である。図16は、図1に示した使用者装着装置を装着した使用者が上半身を起こした状態を示す説明図である。
【0021】
ここで、おむつカップとは後述する主壁部202、副壁部203、及び下腹部側被覆部(男性陰部収納部ともいう)204で構成されたものをいうが、主壁部202、副壁部203、男性陰部収納部204及び腰マット部263で構成されていてもよい。また、使用者装着装置200とは、おむつカップ201、ベルト部260、連結部261、及びシール部材262で構成されたものをいう。
【0022】
使用者装着装置200(図14〜16参照)は、使用者の股間に装着され、後述する排泄物処理装置からの浄水及び乾燥用の空気がそれぞれ浄水用のホース及び空気用のホースを介して供給され、使用者の排泄物が排泄物処理装置へ排泄物用のホースを介して排出するための装置である。使用者装着装置200は、使用者の下腹部から臀部を覆うほぼC字断面形状に形成されたおむつカップ201を有する。
【0023】
図1に示すおむつカップ201は、ホース群700の一端(図1では左端)が接続されたカセット800と着脱自在に接続できるようになっている。おむつカップ201は、所定期間(例えば、1週間)使用後に使い捨てるようになっている。従って、おむつカップ201にはセンサを配置せず、ノズルやその配管、及びコネクタが一体的に構成されている。
【0024】
また、おむつカップ201は、可撓性材料(例えば、シリコーン樹脂)からなり、おむつカップ201の主壁部202に接続される各ホース用のコネクタ225、226、227、228がほぼ横並びに配置されているので、使用者装着装置200(図14、15)を使用者1に装着した状態でベッド上において、背上げしたり、起きあがったりする際に股間を圧迫することが少ない(図16参照)。
【0025】
おむつカップ201は、使用者1(図15参照)の臀部下側に配置されるほぼ箱型の主壁部202と、主壁部202からほぼ垂直に延出して股間部1a(図15参照)と接触配置されるほぼ三日月断面形状の副壁部203と、使用者1の下腹部を覆う、レードルのおたま形状の男性陰部収納部204とを有する。
主壁部202内には、ほぼL字形状に交差するように一体化され、コの字平面形状の補強板(例えば、プラスチック)205が設けられている。
おむつカップ201は、主壁部202の後端(図2では右上)の中央に排泄物用のホース用のコネクタ(雄コネクタが好ましい)226を有すると共に、主壁部202の後端側とは反対側からコネクタ226の方向に向かって所定の角度(例えば、10度±5度の範囲内)で傾斜した傾斜面を有する。これは、排泄物や浄水を流れやすくするためである。
【0026】
おむつカップ201の主壁部202の臀部側には、排泄物用のホースのコネクタ226から使用者1(図15参照)の肛門真下までほぼ楕円錐状に広がると共に楕円の長軸が水平方向になるように形成されたほぼカップ状の排泄物誘導流路215が配置されている。
これは、使用者1(図15参照)の肛門から排泄物吸込口までの距離を短くし、かつ排泄物誘導流路215がほぼ楕円錐状に広げることにより、排泄物吸込効率を向上させ、後述する排泄物処理装置内のモータへの負担を少なくするためである。
【0027】
排泄物誘導流路215は、おむつカップ201の副壁部203内の中央の内壁から排泄物誘導流路215の開口部にわたって樋状の排泄物案内部材203cと一体的に形成されている。排泄物誘導流路215と排泄物案内部材203cとの接続部近傍には凹面が形成されており、漏斗を上からつぶしたような形状となっている(図1、11参照)。
【0028】
おむつカップ201の外周部には使用者との間の隙間をシールするシール部材262を備えている(図14、15参照)。シール部材262は、断面形状がほぼ長方形(楕円、台形、もしくは長円形であってもよい。)の中空柔軟部材(例えば、シリコーンゴム)からなっている。
【0029】
下腹部を覆う男性陰部収納部204は剛性部材(例えば、シール部材262より剛性の高いシリコーンゴム、もしくはアクリル樹脂)からなっている。
【0030】
さらに、おむつカップ201の構造について説明する。
図1〜図16に示すようにおむつカップ201は、副壁部203の上端に男性陰部収納部204の基端部を取り付けると共に、副壁部203の下端に主壁部202を取り付けている。
おむつカップ201には、排泄物を検知するためのセンサは設けられておらず、カセット800に設けられた発光素子(例えば、赤外線LED)810からの出射光が通過することができる通過窓(例えば、シリコーン樹脂もしくはアクリル樹脂)240と、カセット800に設けられた受光素子(例えば、フォトトランジスタもしくはフォトダイオード)811へのおむつカップ201からの反射光が通過することができる通過窓(例えば、シリコーン樹脂もしくはアクリル樹脂)241とが設けられている。
【0031】
発光素子810及び受光素子811でセンサが構成されており、発光素子810と受光素子811との間の光量の変化で排便の有無を検知するようになっている。
【0032】
おむつカップ201には、制御部400に内蔵されたタイマー(図示せず)により定期的に使用者1(図1)及びおむつカップ201内を洗浄するための複数(図では2個であるが限定されない)の噴射ノズル213、214と、センサにより排泄物(排便)を検知した後、使用者1(図14参照)の肛門、陰部(以下、「洗浄対処部位」と記す)を臨時に洗浄すると共に、排泄物を押し出すための複数(図では6個であるが限定されない。)の噴射ノズル211−a〜211−c、212−1〜212−3が設けられている。
【0033】
噴射ノズル214は、副壁部203の内側中央に設けられており、使用者1(図14、15参照)の排便後洗浄もしくは定期洗浄に用いられる。噴射ノズル214は、図8(a)、(b)に示すように、ヘッド214aと、ヘッド214aに設けられたノズル214bと、ノズル214bの先端に設けられた網(例えば、ステンレス網もしくは樹脂網)214cとで構成され、チューブ223に接続されている。
【0034】
噴射ノズル213は、主壁部202と副壁部203との境界部近傍に設けられており、使用者1(図14、15参照)の排便後洗浄もしくは定期洗浄に用いられる。噴射ノズル213は、図8(c)、(d)に示すように、ヘッド213aと、ヘッド213aに設けられた噴射ノズル213bと、噴射ノズル213bの先端に設けられた網(ステンレス網もしくは樹脂網)213cとで構成され、チューブ222に接続されている。網213c、214cは、排尿もしくは排便がノズル内に浸入するのを防止すると共に、噴射浄水を拡散させるためのものである。
【0035】
図9(a)〜(e)において、噴射ノズル211−a〜211−c、212−1〜212−3は、主壁部202の前方(図2の左下側)に設けられている。
噴射ノズル211−a〜211−cは、ヘッドとしてのノズルボックス211に一体的に構成され、チューブ220に接続されている。噴射ノズル211−1〜211−3は、ヘッドとしてのノズルボックス212に一体的に構成され、チューブ221に接続されている。
噴射ノズル211−a〜211−cのうち、噴射ノズル211−aは、おむつカップ内洗浄のため図9(a)〜図9(c)に示すようにノズルボックス211に対して上向き(例えば、仰角45度±5度)かつ副壁部203の中央に照準が合うように(矢印211−p方向に出射するように)構成されている。
【0036】
噴射ノズル211−bは、便押し出しのため図9(a)、図9(b)、図9(d)に示すようにノズルボックス211に対してやや上向き(例えば、仰角10度±5度)かつ、主壁部202と副壁部203との境界部に照準が合うように(矢印211−q方向に出射するように)構成されている。
噴射ノズル211−cは、便押し出しのため、図9(a)、図9(b)、図9(e)に示すようにノズルボックス211に対してやや下向き(例えば、俯角10度±5度)かつ、主壁部202に照準が合うように(矢印211−r方向に出射するように)構成されている。尚、噴射ノズル212−1〜212−3も噴射ノズル211−a〜211−cと同様である。
【0037】
噴射ノズル213、214、211−a〜211−c、212−1〜212−3及びノズルボックス211は、例えば、エンジニアプラスチックで構成されているが材質については限定されない。
【0038】
主壁部202の後端には図13(a)に示すようにコネクタ226の他、浄水流路としてのホース704(図1参照)を接続するためのコネクタ(雌コネクタが好ましい)227と、浄水流路としてのホース705(図1参照)を接続するためのコネクタ(雌コネクタが好ましい)228と、空気流路としてのホース703を接続するためのコネクタ(雌コネクタが好ましい)225が設けられている。232、233は、カセット800をおむつカップ201に取り付けるためのネジ孔である。
【0039】
コネクタ227には、図1に示すように径違いチーズ206が接続されており、径違いチーズ206にはチューブ222、223が接続されている。コネクタ228にも、図1に示すように径違いチーズ207が接続されており、径違いチーズ207にはチューブ220、221が接続されている。
【0040】
コネクタ225には乾燥用の空気が通過する空気流路としてのパイプ250の一端(図5では左側)が接続され、パイプ250の他端(図5では右側)は主壁部202の内壁202aに接続されている。パイプ250の開口部251には逆止弁252が設けられており、排便や排尿がホース703内に浸入(逆流)しないように構成されている。逆止弁252は、例えば、円形もしくは矩形状のゴム片からなり、上端が開口部251の上側に固定されたものである。逆止弁252は、待機時、洗浄時は垂直に懸垂されて開口部251を塞ぎ、乾燥時には風圧で排泄物室202b側に(矢印252a方向に)押し曲げられて開口部を開放するようになっている。
【0041】
一方、男性陰部収納部204は、おむつカップ201の嵌合突起部に基端部が嵌合された後、シール面の端部をシール部材262(図14、15参照)の端部に接着固定して取り付けられている。これにより、排泄用装着装置のおむつカップ201はシール性を確保できるようになっている。
【0042】
主壁部202の前方(図2の左下側)には、図14、15に示すような多数の凹凸を有し、体重を分散するための腰マット部263が設けられている。腰マット部263は、例えばウレタン素材等により形成され、かつ弾力性を有する。腰マット部263は、使用者1の体型や好みに応じて平面形状を選択することができる。また、図示しないゲル状シートで腰マット部263を覆うようにしてもよい。
【0043】
腰マット部263には、使用者1の腰部1bにおむつカップ201を装着可能なベルト部260が着脱自在に設けられ左右に延出している。このベルト部260の両端部には、面ファスナが添付されており、互いの端部を脱着自在に結合することによって使用者1の腰部1bにおむつカップ201を装着することができる。
【0044】
ベルト部260には、男性陰部収納部204と連結する連結部261の一端が脱着自在に取り付けられる。連結部263は、使用者1の体型に応じた長さを有し、かつ伸縮自在である。連結部261は、使用者1の体型に応じて長さが調節可能な公知のベルトであってもよい。連結部261の他端は、男性陰部収納部204に着脱自在に取り付けることができる。
通常、連結部261は、一端が男性陰部収納部204に取り付けられており、おむつカップ201の装着時、他端をベルト部260に取り付けることで、ベルト部260と男性陰部収納部204とを連結する。
【0045】
図1に示すカセット800には、コネクタ226に接続するためのコネクタ(雌コネクタが好ましい)803と、コネクタ225に接続するためのコネクタ(雄コネクタが好ましい)802と、コネクタ227に接続するためのコネクタ(雄コネクタが好ましい)804と、コネクタ228に接続するためのコネクタ(雄コネクタが好ましい)805と、主壁部202に設けられたナット(例えば、樹脂製ナット、もしくは金属製ナット)230、231に螺合して取り付けるためのつまみネジ822、823のネジ部820、821とが筐体801に設けられている。
筐体801の材質は、ABS樹脂やメラミン樹脂等の樹脂やステンレスやチタニウム等の金属アレルギーを起こしにくい金属が用いられる。
【0046】
カセット800は、図13(b)〜(e)に示すように、カセット800のホース側の面にはほぼD字形状の保護フィン830〜833が立設されている。
保護フィン830〜833のうちカセット800のホース側の面の両側に立設された保護フィン833は、図13(c)、(d)に示すように上部833a、中部833b、及び下部833cが一体的に構成されている。
【0047】
上部833aは、ほぼ鋭角三角形状に形成されており、下部833cは、ほぼ扇形に形成されている。
中部833bは、円筒状に形成されており、中心軸に沿ってつまみネジ823のネジ部821が貫通可能な貫通孔833dが形成されている。中部833bの軸方向の長さは保護フィン833の横方向の長さの半分程度であるが限定されるものではない。上部833a及び下部833cの間の隙間はつまみネジ823のつまみ部が挿入される程度の長さと間隔を有する。保護フィン833は、上部833a及び下部833cの隙間につまみネジ823が挿入されることにより、図13(e)に示した保護フィン832とほぼ同様のD字形状を有する。保護フィン830も保護フィン833と同様の構成である。
【0048】
保護フィン830〜833のうちカセット800のホース側の面のホース708の両側に立設された保護フィン831、832は、ほぼD字形状に形成されている。これらの保護フィン830〜833は、カセット800と同様の材質(例えば、樹脂もしくは金属)で構成されている。
これら保護フィン830〜833は、使用者がおむつカップ201を装着した状態で例えばベッド上で上半身を起こしたときに図16に示すように保護フィン830〜833がベッドとカセット800との間に介在することにより、各ホース703、704、705、708が押しつぶされるのを軽減する機能を有する。尚、各ホース703、704、705、708のカセット800の近傍には例えばスチール製のコイルを巻回すことにより強度を向上させるようにしてもよい。
【0049】
コネクタ803にはホース708が接続されている。尚、ホース708は、空気流路706と、汚水流路707とを兼ねている。ここで、汚水とは便と浄水もしくは便と尿と浄水との混合液をいう。
コネクタ802には空気流路としてのホース703が接続されている。
コネクタ804には浄水流路としてのホース704が接続されている。
コネクタ805にはホース705が接続されている。
これらホース703、704、705、708でホース群700が構成されている。
尚、発光素子811及び受光素子810のコードは図1〜図15では省略されている。
【0050】
図17は、本発明に係る使用者装着装置を用いた自動排泄装置の一実施の形態を示すブロック図である。
同図に示す自動排泄処理装置100は、使用者1の股間1a(図14、15、16)に装着される使用者装着装置200と、使用者から排泄される排泄物を処理する排泄物処理装置300と、使用者装着装置200及び排泄物処理装置300の統括制御を行う制御装置400と、データ読取装置500と、データ送信装置600とで構成されている。
【0051】
図18は、本発明に係る使用者装着装置を用いた自動排泄処理装置の一実施の形態を示す概念図である。
図18には、自動排泄処理装置100のうちの、使用者装着装置200と、排泄物処理装置300と、複合管700とについて詳細に示されている。
【0052】
排泄物処理装置300は、主に給水機構と、乾燥系としての送風機構と、排出系としての回収機構とで構成されている。
給水機構は、浄水(例えば、水道水)120を貯蔵する浄水タンク121、浄水タンク121から使用者装着装置200へ浄水120を給水するための電磁ポンプ122−1、122−2、浄水タンク121の下側に設けられ浄水タンク121内の浄水120を加熱し適切な温度に保温するための加熱手段としてのヒーター123、浄水120の温度を検知する温度センサ124、浄水120の水位を検知する水位センサ125、及びチューブ130、131−1、131−2で構成されている。
【0053】
送風機構は、使用者装着装置200のおむつカップ201内に乾燥用の空気を送風するためのブロアー101、フィルターエレメント105、及びリターンエアーが通る空気流路としてのチューブ110、111で構成されている。
フィルターエレメント105は、例えば活性炭を用いた交換可能な消臭フィルタを有し、おむつカップ201から戻ってくる空気の悪臭を除去するようになっている。
ブロアー101は、両軸モータM104と、両軸モータM104の一方(図では上側)の出力軸に取り付けられた空気循環用のファン102と、両軸モータMの他方(この場合下側)の出力軸に取り付けられた冷却用のファン103とで構成されている。
【0054】
リターンエアーは、排泄物処理装置300から使用者装着装置200へ供給される空気であり、サクションエアーは、使用者装着装置200から排泄物処理装置300へ吸引される空気である。
【0055】
ファン103の吸気口は排泄物処理装置300の外部の空気を吸入するようになっており、ファン103の排気口は両軸モータM104自体を冷却する。これと共に空気流路としてのチューブ114を介して排泄物処理装置300内の各部を冷却するようになっており、バルブ107を開くことにより空気流路としてのチューブ115を介して外部に排気できるようになっている。
【0056】
ファン102の排気口には空気流路としてのチューブ110が接続されており、吸気口にはサクションエアーが通る空気循環用の空気流としてのチューブ113の一端(図では左側)が接続されている。チューブ113の他端(この場合右側)には遠心分離機構129が接続されている。
【0057】
回収機構は、汚物タンク126、遠心分離機構129、空気流路112、汚水流路132で構成されている(但し、空気流路112及び汚水流路132は図では個別の流路であるが実際は1本のパイプ150であり、空気流路706及び汚水流路707も図では個別の流路であるが実際は、実際は1本のホース708である。
【0058】
汚物タンク16には、汚水の満タンを検知するセンサ140が設けられている。
汚物タンク126の底部の配管に設けられた開閉バルブ128を開けることにより汚水を排出できるようになっているが、開閉バルブ128を設けずに汚物タンク126を着脱自在に構成し、汚物タンク126を取り外すように構成してもよい。
【0059】
汚物タンク126の上部に設けられた遠心分離機構129は、ブロアー101により使用者装着装置200を経由して供給される空気及び電磁ポンプ122−1、122−2により使用者装着装置200を経由して供給される汚水の圧力で垂直な回転軸の周りを回転する回転翼(図示せず)と、回転翼の回転軌道を覆うように配置された下側に広がるテーパ状のスカートとを有する。
この遠心分離機構129の遠心力により汚水と空気とを分離(気水分離)して汚物タンク126内に汚水127を収容し、チューブ113を介してブロアー101により空気を回収させる。回収後の空気はブロアー101により再び空気流路としてのチューブ110、フィルターエレメント105、空気流路としてのチューブ111、ホース703を経て使用者装着装置200に供給される。尚、図18ではフィルターエレメント105がチューブ110とチューブ111との間に挿入されているが、本発明はこれに限定されるものではなく、チューブ113に挿入されていてもよい。
【0060】
すなわち、使用者装着装置200内の汚水を空気ごと排泄物処理装置300に回収して空気と汚水とを分離し、汚水127を汚水タンク126に収容し、空気を使用者装着装置200と排泄物処理装置300との間で循環させるようになっている。
【0061】
つまり、浄水タンク121内の浄水120は、浄水流路としてのチューブ130、電磁ポンプ122−1、122−2、浄水流路としてのチューブ131−1、131−2、ホース704、705、及び噴射ノズル211−a〜211−c、212−1〜212−3、213、214からなる噴射系、排泄物誘導流路215、ホース708(汚水流路707)、汚水流路132、及び遠心分離機構129を経て排泄物ごと汚物タンク126に回収される。
【0062】
おむつカップ201内の空気は、排泄物誘導流路215、ホース708(空気流路706)、空気流路112、遠心分離機構129、汚物タンク126、遠心分離機構129、チューブ113、ファン102、チューブ110、フィルターエレメント105、チューブ111、ホース703、及びパイプ250を経ておむつカップ201へと循環される。
【0063】
ホース704、705の他端(この場合、図18の右上端)は、排泄物処理装置300のチューブ131−1、131−2の各コネクタに着脱自在に接続される。ホース703の他端(この場合、図18の右上端)は、排泄物処理装置300のコネクタにより着脱自在に接続される。ホース708の他端は、排泄物処理装置300のコネクタにより着脱自在に接続される。発光素子810及び受光素子811のコード701、702は、排泄物処理装置300のコネクタに着脱自在に接続される。
【0064】
ホース群700は、円筒状のビニールカバー(図示せず)で覆われていてもよく、フレキシブルな管(例えば、樹脂からなる蛇腹管、コルゲート管もしくはスパイラル管)で覆われていてもよい。
ホース群700の長さは、例えば、使用者がベッド上で寝起きでき、脱着しやすい長さ(例えば、3m程度、但し限定されるものではない。)であればよい。
【0065】
また、例えば、ホース703がスパイラル管の場合にはスパイラル溝内にコード701、702を埋設することでコンパクト化を図るように構成してもよい。
【0066】
両軸モータM104、電磁ポンプ122、ヒーター123、温度センサ124、水位センサ125は、制御装置400の制御用コンピュータ402に接続されており、制御用コンピュータ402によりブロアー101の作動、浄水120の温度、浄水120の供給、水位等が制御されるようになっている。
操作パネル401は、自動排泄物処理装置のオンオフ操作、洗浄や乾燥の自動手動切り替え操作、水温設定等を行うためのスイッチや表示部を有する。
【0067】
次に、図19及び図20(a)、(b)を参照して、洗浄のタイミングについて説明する。
図19は、図18に示した自動排泄処理装置による洗浄のタイミングを説明するためのフロー図である。
図20(a)は、図18に示した自動排泄処理装置に用いられるおむつカップの噴射ノズル213、214の噴射タイミングを示し、図20(b)は、図18に示した自動排泄処理装置に用いられるおむつカップの噴射ノズル211−a〜211−b、212−1〜212−3の噴射タイミングを示す。
【0068】
自動排泄処理装置300は、おむつカップの噴射ノズル213、214からは原則として所定時間(例えば、10分)おきに一定時間(使用者1の排尿の洗浄に必要な時間、例えば、10秒間)噴射し(定期洗浄)、使用者1が排泄(排便)をしたときに噴射ノズル213、214とともに噴射ノズル211−a〜211−b、212−1〜212−3から一定時間(排便をおむつカップ201から押し出して洗浄するのに必要な時間、例えば30秒間)噴射する(臨時洗浄)ようにしたことを特徴とする。これは、効率的に浄水を利用するためである。
【0069】
例えば、図20(a)、(b)に示すように自動排泄処理装置300の電源スイッチ(図示せず)を朝7:00に投入すると、動作が開始し、制御装置400(図18)は、電磁ポンプ122−1(図18)が停止した後t1経過したか否かを判断する。本実施の形態では電源スイッチを投入すると、電磁ポンプ122−1が作動して浄水タンク121から浄水が供給され、噴射ノズル213、214から一定時間t1(10秒間:図20(a))浄水を噴射するものとする。また、浄水タンク121内の浄水120は十分な量があり、既にヒーター123によって適度な温度になっているものとする(ステップS1:図19)。
【0070】
電磁ポンプ122−1停止後t1経過した場合(ステップS1/Yes)、制御装置400(図18)の指示によりブロアー101が駆動を開始する。ブロアー101が駆動を開始すると、ファン102が回転し、チューブ113側が正圧となり、チューブ110側が負圧となる。このため、おむつカップ201内の空気が排泄物誘導流路215、コネクタ226、803、ホース708、空気流路112、汚物タンク126、遠心分離機構129、及びチューブ113を経てファン102に吸引される。ファン102に吸引された空気はチューブ110、フィルターエレメント105、チューブ111、ホース703、コネクタ802、225、パイプ250を経て再度おむつカップ201内に送られる(ステップS2:図19)。
【0071】
ブロアー101が駆動を開始すると、制御部400(図18)の指示により電磁ポンプ122−1が駆動を開始する。電磁ポンプ122−1が駆動を開始すると、浄水タンク121内の浄水120がチューブ130、電磁ポンプ122−1、チューブ131−1、ホース704、コネクタ804、227、径違いチーズ、及びチューブ222、223、を経て噴射ノズル213、214に供給され、噴射ノズル213、214から浄水がおむつカップ201内に噴射され定期洗浄が行われる。洗浄による汚水は排泄物誘導流路215を経てホース708内に吸引され、汚水流路132を通過して、遠心分離機構129で気水分離され、汚水は汚水タンク129内に収容され、悪臭を含んだ空気はチューブ113、ブロアー101、チューブ110を経て、フィルターエレメント105で濾過され、チューブ111、ホース703、パイプ250を経ておむつカップ201内に送られる。このとき、逆止弁252により汚水がホース703に浸入するのが防止される(ステップS3:図19)。
【0072】
制御部400(図18)は、発光素子810及び受光素子811からなるセンサからの出力が閾値より低いか否かを判断し(ステップS4:図19)、センサ出力が閾値より低い場合、例えば、7時12分に使用者1により排泄(排便)があった場合(ステップS4/Yes:図19、図20(b))、ブロアー101の駆動を継続すると共に(ステップS5:図19)、排便をおむつカップ201から押し出すために電磁ポンプ122−2を駆動させる。
【0073】
電磁ポンプ122−2が駆動すると、浄水タンク121内の浄水120がチューブ130、電磁ポンプ122−2、チューブ131−2、ホース705、コネクタ805、228、径違いチーズ、チューブ220、221、ノズルボックス211、212を経て噴射ノズル211−a〜211−c、212−1〜212−3から一定時間(t3)浄水が噴射され排泄物の押し出しと臨時洗浄とが行われる(図20(a)、(b))。
【0074】
洗浄による汚水は、前述と同様に排泄物誘導流路215を経てホース708、汚水流路132、遠心分離機構129を経て汚水タンク129内に収容され、悪臭を含んだ空気はチューブ113、ブロアー101、チューブ110を経て、フィルターエレメント105で濾過され、チューブ111、ホース703、パイプ250を経ておむつカップ201内に送られる。このとき、逆止弁252により汚水がホース703に浸入するのが防止される(ステップS6:図19)。
【0075】
制御部400(図18)は、電磁ポンプ122−1駆動後t2経過したか否かを判断し(ステップS7:図18)、t2経過した場合(ステップS7/Yes)、電磁ポンプ122−2が駆動中か否かを判断する(ステップS8:図19)。
【0076】
電磁ポンプ122−2が駆動中の場合(ステップS8/Yes)、使用者1が排泄中(排便中)であるため、制御部400(図18)は電磁ポンプ122−1の駆動を継続する。これは、おむつカップ201内を洗浄するためである。(ステップS9:図19)
制御部400(図18)は、電磁ポンプ122−2が駆動した後t3経過したか否かを判断し(ステップS10:図19)、t3経過した場合(ステップS10/Yes:図19)、電磁ポンプ122−2を停止し(ステップS11:図19)、電磁ポンプ122−1を停止する(ステップS12:図19)。
【0077】
制御部400(図18)は、電磁ポンプ122−1、122−2が停止した後、電磁ポンプ122−1及び電磁ポンプ122−2が停止してからt4(おむつカップ201が乾燥するのに必要な時間、例えば5分)経過したか否かを判断し(ステップS13:図19)、t4経過後(ステップS13/Yes:図19)、ブロアー101(図18)を停止し(ステップS14:図19)、終了命令があるか否か、すなわち、介護者(操作者)による終了操作があるか否かを判断し(ステップS15:図19)、終了命令があれば(ステップS15/Yes:図19)、終了命令がなければ(ステップS15/No:図19)、ステップS1に戻り、上記動作を繰り返す。
【0078】
ここで、電磁ポンプ122−1停止後t1経過していない場合(ステップS1/No:図19)、電磁ポンプ122−1は停止した状態で制御部400(図18)はセンサ出力が閾値以下であるか否かの判断をし(ステップS4:図19)、センサ出力が閾値以下ではない、すなわち、使用者1は排泄(排便)をしていないと判断した場合(ステップS4/No)、ステップS1に戻る。
【0079】
電磁ポンプ122−1が駆動開始後t2経過していない場合、すなわち、おむつカップ201の定期洗浄中は(ステップS7/No:図19)、ステップS3に戻り、浄水の噴射を継続する。
【0080】
電磁ポンプ122−2が駆動中でない場合、すなわち、使用者1が排泄をしておらず、かつ定期洗浄中ではない場合(ステップS8/No:図19)、ステップS12に進んで電磁ポンプ122−1を停止する。
【0081】
電磁ポンプ122−2の駆動開始後t3経過していない場合、すなわち、使用者1が排泄中(排便中)の場合(ステップS10/No)、ステップS6に戻り電磁ポンプ122−2の駆動を継続する。
【0082】
ここで、ホース群700のうちのホース708には、使用者1の洗浄対象部位を洗浄した後、浄水(温水)の残水が滞留するが、この残水の温度は時間の経過と共に常温へと低下する。
温度が低下した浄水による洗浄は、使用者1に不快感を与える。
【0083】
そこで、ホース708内に残留している浄水(以下、「残留浄水」と記す)をおむつカップ201の浄水として使用する。すなわち、残留浄水を洗浄時より低い圧力で噴射ノズル213、214、211−1a〜211−c、212−1〜212−3からおむつカップ201に数秒間流すことにより、(a)常に予め設定された温度の浄水が得られるので、使用者1に対して浄水の温度差によってもたらされる不快感を緩和することができ、(b)事前におむつカップ201内に浄水が流れることにより、おむつカップ201内の内側表面が湿潤して汚れの付着を防止することができ、(c)噴射ノズル213、214、211−1a〜211−c、212−1〜212−3の目詰まりを防止することができる。
【0084】
おむつカップ201は、透明な材質で形成されている。すなわち、使用者2の腰臀部に装着するおむつカップ201の材質を透明なものにすることによって、(1)装着状態の確認;おむつカップ201が所定の位置に装着されているか否かを目視によって確認でき、(2)排尿、排便、汚れの確認;おむつカップ201を脱着しなくても排尿、排便及び汚れの有無や状態を確認することができ、(3)機器動作状況の確認;自動排泄処理装置100を構成する装置・機器の動作状況を確認できる。
【0085】
上述した自動排泄処理装置100は、制御装置400に設けられた操作パネル401の画面上に「動作エラー」を表示すると共に、「動作エラーの内容」を公知の音声合成LSI(大規模集積回路)の音声によっても使用者2や介護者に報知するように構成されている。
【0086】
上述した自動排泄処理装置100は、さらに、図17に示すように、排泄物処理装置300及び制御装置400に接続されており、制御装置400により排泄物処理装置300によって処理された排泄物に関するデータ、例えば、使用者2の排便回数、排便料、排尿回数、及び排尿量に関するデータを読み取るデータ読取装置500と、データ読取装置500で読み取ったデータを送信するデータ送信装置600とを有する。
【0087】
データ読取装置500は、図示しない他の計測装置を接続することにより、排泄物に関するデータ以外のデータ、例えば、血圧、脈拍、SpO2、体温、血糖値等に関するデータを読み取るように構成されている。
データ送信装置600は、データ読取装置500で読み取ったデータ、いわゆる生体情報に関するデータを有線または無線でインターネットなどの通信網を経由して介護センター、デイサービスセンター、ホームヘルパー、主治医、被介護者の家族等の目的とする場所に送信するように構成されている。
【0088】
なお、上述した実施の形態は、本発明の好適な実施の形態の一例を示すものであり、本発明はそれに限定されることなく、その要旨を逸脱しない範囲内において、種々変形実施が可能である。例えば、本実施の形態では排泄物誘導流路と主壁部との間が中空であるが、本発明はこれに限定されるものではなく、中実であってもよい。また、上述した実施の形態では、排泄物誘導流路の上面に凹面を形成した場合で説明したが、本発明はこれに限定するものではなく、排泄物誘導流路の開口部の形状が楕円であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0089】
本発明は、本人が自力で排泄できない寝たきり老人等の高齢者、傷病者、乳幼児等を収容する施設や家庭に配置される使用者装着装置及び自動排泄処理装置に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】本発明に係る使用者装着装置の一実施の形態を示す概念図である。
【図2】図1に示した使用者装着装置のおむつカップにカセットを装着し、斜め前から見た外観斜視図である。
【図3】図1に示した使用者装着装置のおむつカップにカセットを装着し、斜め後から見た外観斜視図である。
【図4】図2のIV−IV線断面図である。
【図5】図2のV−V線断面図である。
【図6】図2の平面図である。
【図7】図7は、図2のVII−VII線断面図である。
【図8】(a)は、図1に示した使用者装着装置のおむつカップに用いられる噴射ノズル214の外観斜視図であり、(b)は、(a)のVIIIb−VIIIb線断面図であり、(c)は、図1に示した使用者装着装置のおむつカップに用いられる噴射ノズル213の外観斜視図であり、(d)は、(c)のVIIId−VIIId線断面図である。
【図9】(a)は、図2のIXa−IXa線断面図であり、(b)は、(a)のノズルボックス211の正面図であり、(c)は、(b)のIXc−IXc線断面図であり、(d)は、(b)のIXd−IXd線断面図であり、(e)は、(b)のIXe−IXe線断面図である。
【図10】図1に示した使用者装着装置のおむつカップの底面図である。
【図11】図1に示した使用者装着装置のおむつカップの正面図である。
【図12】図2のXII−XII線断面図である。
【図13】(a)は、図1に示した使用者装着装置のおむつカップの背面図であり、(b)は、図1に示した使用者装着装置に接続されるカセット800をホース側から見た図であり、(c)は、(b)に示したカセット800に設けられたフィン833からつまみネジ823を引き抜いたときの状態を示す正面図であり、(d)は、(c)の側面図であり、(e)は、(b)に示したカセット800に設けられたフィン832の側面図である。
【図14】本発明に係る使用者装着装置を使用者が装着した状態を平面図である。
【図15】図14のXV−XV線断面図である。
【図16】図1に示した使用者装着装置を装着した使用者が上半身を起こした状態を示す説明図である。
【図17】本発明に係る使用者装着装置を用いた自動排泄装置の一実施の形態を示すブロック図である。
【図18】本発明に係る使用者装着装置を用いた自動排泄処理装置の一実施の形態を示す概念図である。
【図19】図18に示した自動排泄処理装置による洗浄のタイミングを説明するためのフロー図である。
【図20】(a)は、図18に示した自動排泄処理装置に用いられるおむつカップの噴射ノズル213、214の噴射タイミングを示すタイミングチャートであり、(b)は、図18に示した自動排泄処理装置に用いられるおむつカップの噴射ノズル211−a〜211−b、212−1〜212−3の噴射タイミングを示すタイミングチャートである。
【符号の説明】
【0091】
201 おむつカップ
202 主壁部
203 副壁部
204 下腹部側被覆部(男性陰部収納部)
211、212 ノズルボックス
211−211−a〜211−c、212−1〜212−3、213、214 噴射ノズル
215 排泄物誘導流路
220、221、222、223 浄水流路(チューブ)
225、226、227、228、802、803、804、805 コネクタ
230、231 ナット
250 空気流路(パイプ)
251 開口部
252 逆止弁
700 ホース群
703、706 空気流路(ホース)
704、705 浄水流路(ホース)
707 汚水流路
708 ホース
800 カセット
801 筐体
810 発光素子
811 受光素子
820、821 ネジ部
822、823 つまみネジ
830〜833 保護フィン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の股間に装着され、排泄物処理装置からの洗浄用の浄水及び乾燥用の空気がそれぞれ浄水用のホース及び空気用のホースを介して供給され、前記使用者の排泄物が前記排泄物処理装置へ排泄物用のホースを介して排出されるためのおむつカップを有する使用者装着装置であって、
前記おむつカップは、前記浄水用のホース、前記空気用のホース、及び前記排泄物用のホースに接続されるコネクタが前記使用者の腰幅方向に沿うように配列され、かつ可撓性材料で構成されていることを特徴とする使用者装着装置。
【請求項2】
使用者の股間に装着され、排泄物処理装置からの洗浄用の浄水及び乾燥用の空気がそれぞれ浄水用のホース及び空気用のホースを介して供給され、前記使用者の排泄物が前記排泄物処理装置へ排泄物用のホースを介して排出されるためのおむつカップを有する使用者装着装置であって、
前記おむつカップは、前記浄水用のホース、前記空気用のホース、及び前記排泄物用のホースに接続されるコネクタが前記使用者の腰幅方向に沿うように配列され、可撓性材料で構成され、かつ前記使用者の腰部の下側に配置される腰部マット部を備えたことを特徴とする使用者装着装置。
【請求項3】
使用者の股間に装着され、排泄物処理装置からの洗浄用の浄水及び乾燥用の空気がそれぞれ浄水用のホース及び空気用のホースを介して供給され、前記使用者の排泄物が前記排泄物処理装置へ排泄物用のホースを介して排出されるためのおむつカップを有する使用者装着装置と、
前記おむつカップに浄水路を介して浄水を供給する浄水系、前記使用者装着装置との間で空気流路を介して空気を循環させることにより前記使用者に乾燥用の空気を供給する循環系、及び、前記使用者の排泄物が前記空気ごと汚水流路を介して汚物タンク内に収容される際に気水分離する気水分離機構を有する排泄物処理装置とを有する自動排泄処理装置であって、
前記おむつカップは、前記浄水用のホース、前記空気用のホース、及び前記排泄物用のホースに接続されるコネクタを前記使用者の腰幅方向に沿うように配列され、かつ可撓性材料で構成されていることを特徴とする使用者装着装置。
【請求項4】
使用者の股間に装着され、排泄物処理装置からの洗浄用の浄水及び乾燥用の空気がそれぞれ浄水用のホース及び空気用のホースを介して供給され、前記使用者の排泄物が前記排泄物処理装置へ排泄物用のホースを介して排出されるためのおむつカップを有する使用者装着装置と、
前記使用者装着装置にポンプにより浄水流路を介して浄水を供給する浄水系、前記使用者装着装置との間で空気流路を介して空気を循環させることにより前記使用者に乾燥用の空気を供給する循環系、及び、前記使用者の排泄物が前記空気ごと汚水流路を介して汚物タンク内に収容される際に気水分離する気水分離機構を有する排泄物処理装置とを有する自動排泄処理装置であって、
前記おむつカップは、前記浄水用のホース、前記空気用のホース、及び前記排泄物用のホースに接続されるコネクタが前記使用者の腰幅方向に沿うように配列され、可撓性材料で構成され、かつ前記使用者の腰部の下側に配置される腰部マット部を備えたことを特徴とする自動排泄処理装置。
【請求項5】
前記各ホースは一端が前記排泄物処理装置に着脱自在に接続され、他端に前記おむつカップのコネクタに着脱自在に接続されるカセットを有し、前記カセットの前記ホース側の面にはほぼD字形状の保護フィンが立設されていることを特徴とする請求項4記載の自動排泄処理装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate


【公開番号】特開2008−161494(P2008−161494A)
【公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−355177(P2006−355177)
【出願日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【出願人】(505468392)ケアライフ・ジャパン株式会社 (12)
【Fターム(参考)】