説明

供給配管の凝集状態点検窓

【課題】 この発明は、点検窓に調質汚泥の付着がなく、固液分離装置に投入する直前の凝集フロックの確認が出来る供給配管の凝集状態点検窓を提供する。
【解決手段】 凝集混和槽1と固液分離装置10を繋ぐ調質汚泥の供給配管6にケーシング11を立設し、ケーシング11に透視板12を嵌着して点検窓7を構成し、点検窓7の内部に密閉状の空気溜り13を形成すると共に、点検窓7の透視板12にLEDランプ14を配列し、点検窓7の内部に噴霧ノズル18を配設するもので、固液分離装置10に投入する直前の凝凝集フロックの凝集状態の点検が、供給配管6で正確に把握できる。供給配管6を流れる調質汚泥が空気溜り13を形成する点検窓7の透視板12に接触することがない。供給配管6に流れる調質汚泥の目視がLEDランプ14の投光により更に見やすくなり、点検窓7の密閉空気が減少しても、空気を供給すれば空気溜りを再生でき、結露水の分散も可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、下水、集落排水、し尿処理,或は工場廃水などから発生する汚泥に凝集剤を添加して凝集混和装置で攪拌混合し、調質汚泥を固液分離装置に供給する排水処理装置に関し、特に、調質汚泥の凝集状態を確認する供給配管の凝集状態点検窓に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の高分子凝集剤を使用するろ過脱水装置に代表されるスクリュープレスは、図1に示すように、高分子凝集剤を添加した原水汚泥を凝集混和槽1に供給し、或はラインミキサー(図示せず)に供給して、必要に応じて二次凝集のための高分子凝集剤を凝集混和槽1に供給して、攪拌機2で原水汚泥と高分子凝集剤を攪拌混合し、調質汚泥をスクリュープレス3にタンク圧入し、圧搾脱水している。スクリュープレス3に圧入する凝集フロックの形成状態の確認は、通常凝集混和槽1の側面に設置してある凝集状態点検窓4で目視確認を行っている。汚泥中の懸濁物質のフロック生成の制御装置としては、図示は省略するが供給配管5に流れる凝集フロックの面積や個数を撮影・解析することにより、フロックの形成状況を判断し、凝集剤注入制御を行っている。例えば、目視確認は、攪拌槽及び反応・沈殿槽の側壁に監視窓を設けた汚濁水浄化装置が、特許文献1に開示してある。また、凝集剤注入制御は、固液分離装置に連結した原液供給管に検視窓を設け、テレビカメラでフロックを撮影する制御装置を、特許文献2でこの発明の出願人が提案している。そして、配管壁に対蹠的に透明部を設け、投光器と受光器を透明部に対設し、透明部の内側にブラシ体を揺動自在に配設した排泥濃度の検知装置も、特許文献3に開示してある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−319763号公報(段落番号0015及び段落番号0027、2図)
【特許文献2】特開2005−7338号公報(明細書の段落番号0020及び段落番号21、1図及び図2)
【特許文献3】実公平3−1815号公報(実用新案登録請求の範囲、3図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の凝集混和槽の目視確認の点検窓は、特許文献1に記載してあるように、点検窓の全面が凝集混和槽中の汚泥と接触しており、汚泥が付着する。攪拌機で凝集フロックを形成している凝集混和槽での目視確認では、最終的な固液分離装置に投入される凝集フロックの形状とは異なる場合がある。凝集混和槽の攪拌速度は10〜100m/min程度であるが、攪拌速度が速くなるほど、内部の凝集フロック形状を確認しづらいという欠点がある。点検窓を必要以上に大きく確保すると、凝集混和槽と点検窓のシール面が大きくなると共に、凝集混和槽設置型の点検窓は側面設置のため、凝集混和槽の加工が複雑となり、コスト面でもデメリットとなる。特許文献2又は特許文献3に記載してある検知装置と制御装置は、供給配管に設けた点検窓の透視面が汚泥と接触していると、多くの汚泥が付着して凝集剤の注入制御の誤作動が生じ、目視確認も困難となる。点検窓付属のワイパーで簡易に清掃する構造としても、十分な清掃が出来ないため、清掃頻度が多くなる。
この発明は、点検窓に調質汚泥の付着がなく、固液分離装置に投入する直前の凝集フロックの確認が出来る供給配管の凝集状態点検窓を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
凝集剤を添加した原液汚泥を凝集装置で攪拌混合し、調質汚泥を固液分離装置に供給する汚泥の処理装置において、凝集装置と固液分離装置を繋ぐ調質汚泥の供給配管にケーシングを配設し、ケーシングの上面に透視板を嵌着して点検窓を構成し、点検窓の内部に密閉状の空気溜りを形成するもので、固液分離装置に投入する直前の凝集状態の点検が、流速の低下した供給配管で凝集フロックを正確に把握できる。供給配管を流れる調質汚泥が空気溜りを形成する点検窓の透視板に接触することがなく、調質汚泥が飛散して透視板に付着することも少ない。
【0006】
凝集状態の確認に必要な光源として、点検窓の透視板にLEDランプを配列したもので、供給配管に流れる調質汚泥の目視がLEDランプの投光により更に見やすくなる。
そして、空気溜りの減少対策として、点検窓の内部に噴霧ノズルを配設したもので、シール漏れなどの原因により点検窓の密閉空気が減少しても、噴霧ノズルに空気を供給すれば空気溜りを再生できる。点検窓に付着する結露水の分散も可能となる。
また、調質汚泥が流れる管内温度と外気との温度差のある供給配管では、点検窓の透視板に結露予防熱線を配設すれば、結露水の予防と、透視板の内面に発生する結露水を蒸発させることができる。
なお、結露水除去のため、点検窓に空気溜りを形成する透視板の裏面にワイパーを摺接させても良いもので、曇り止めと付着汚泥の除去が効果的に行える。
【発明の効果】
【0007】
この発明に係る供給配管の凝集状態点検窓は上記のように構成してあり、凝集装置と固液分離装置を繋ぐ供給配管に空気溜りを有する点検窓を配設すれば、攪拌混合される凝集装置の内部より供給配管の方が調質汚泥の流速が低いため、固液分離装置投入直前の凝集フロックを正確に目視確認し、凝集フロックをベストの状態に調整することにより、効率のよい固液分離装置の運転が可能になる。そして、凝集状態の確認の光源としてのLEDランプは、低い消費電力で大きな光エネルギーが得られ、供給配管を流れる調質汚泥のフロックの形成状態が把握でき、撮像装置の設置も可能となる。また、LEDランプは、小型軽量で構造が簡単であり、衝撃にも強く、長寿命で故障の発生頻度が低い。そして、点検窓の内部に噴霧ノズルを配設すれば、空気溜りの再生と、点検窓に付着する結露水の分散が可能となる。点検窓の透視板に結露予防熱線を配設すれば、水滴を蒸発させ、透視板の裏面にワイパーを摺接させれば、付着汚泥の除去が行える。供給配管の点検窓は必要以上に大きくする必要がなく、点検窓の空気溜りは透視板への付着を防止することができ、清掃頻度を減少して清潔性を保つことが可能となり、凝集装置として凝集混和槽を使用する場合には、凝集混和槽の形状を簡易にして、コストダウンが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】従来の凝集状態点検窓を設置した凝集混和槽を供給配管で繋ぐスクリュープレスの側面図である。
【図2】この発明に係る凝集状態点検窓を配設した供給配管で繋ぐ凝集混和槽と固液分離装置の側面図である。
【図3】同じく、供給配管に配設する点検窓の一部縦断面図である。
【図4】同じく、複数のLEDランプを透視板に配列した点検窓の平面図である。
【図5】同じく、他の実施例の、空気溜りに噴霧ノズルを配設した点検窓の縦断面図である。
【図6】同じく、他の実施例の、結露予防熱線を透視板に並列した点検窓の縦断面図である。
【図7】同じく、他の実施例の、ワイパーを透視板の裏面に摺接させる点検窓の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
この発明に係る供給配管の点検窓は上記のように構成してあり、先ず、図2は凝集混和槽を接続する固液分離装置の正面図であって、凝集混和槽1とスクリュープレス3を繋ぐ供給配管6に調質汚泥の凝集状態を目視する点検窓7が配設してあり、凝集混和槽1の側面に清掃用蓋8を設置してある。供給配管6を流れる調質汚泥の流速は、攪拌機2で攪拌混合する凝集混和槽1の攪拌流速よりも低いため、供給配管6に配設した点検窓7から調質汚泥の凝集状態を正確に把握でき、供給配管6の点検窓7は、必要以上に大きくする必要がない。凝集混和槽1とスクリュープレス3を繋ぐ供給配管6は、凝集混和槽1の凝集汚泥吐出口1aがスクリュープレス3の凝集汚泥投入口3aよりも高い場合、点検窓下面に空気溜りを形成せずに汚泥液面が点検窓まで到達する可能性がある。凝集混和槽1の凝集汚泥吐出口1aはスクリュープレス3の凝集汚泥投入口3aよりもやや低くするか、水平に設置する必要があり、水平に設置するのが好ましい。図2に示すこの発明の実施例では、凝集混和槽1とスクリュープレス3を繋ぐ供給配管7を水平状に設置してある。
【0010】
図2に示すこの発明の実施例の凝集混和槽1は、原液汚泥に凝集剤を添加して攪拌混合するラインミキサーも使用が可能であり、凝集混和槽1又はラインミキサーを含む攪拌装置が凝集装置9として使用できる。また、この発明の実施例の供給配管6に接続するスクリュープレス3は、フイルタープレス、ベルトプレス、又は濃縮機等の固液分離装置10であっても良いものである。供給配管6から調質汚泥をスクリュープレス3又はフイルタープレスに圧入し、或は調質汚泥をベルトプレスに供給しても、直前に正確に目視確認できるので調質汚泥をベストに近い状態に近づけことができる。また、濃度の低い汚泥では、濃縮機を固液分離装置10として使用することも可能であり、固液分離装置10投入直前の凝集フロックを目視確認してベストに近い状態に近づけ、固液分離装置10の効率よい安定運転が可能となる。
【0011】
図3は、供給配管に配設する点検窓の一部縦断面図であって、凝集混和槽1(凝集装置9)とスクリュープレス3(固液分離装置10)を繋ぐ供給配管6にケーシング11を配設し、上面に透視板12を配設して点検窓7を構成してあり、点検窓7の内部に密閉構造の空気溜り13を形成してある。ケーシング11と透視板12の間はパッキン等の公知の手段で水封してある。凝集混和槽1と固液分離装置10を繋ぐ供給配管6を水平状に設置して点検窓7に空気溜り13を形成すれば、供給配管6を流れる調質汚泥が透視板12に接触することがなく、汚泥が飛散して透視板12に付着する恐れもなく、調質汚泥の凝集状態を正確に目視することができる。
図4は点検窓の平面図であって、ケーシング11に載置した透視板12にケーシング11の内周縁に沿って複数のLEDランプ14・・・が配列してある。図3に示すように、透視板12に載置するLEDランプ14の上面から透視板15を覆設し、押えフランジ16でLEDランプ14・・・を挟持する透視板12、15をケーシング11に嵌着してある。供給配管6に流れる調質汚泥の目視がLEDランプ14の投光により見やすくなる。LEDランプ14は低い消費電力で大きな光エネルギーが得られ、供給配管6を流れる調質汚泥のフロックの形成状態が把握でき、撮像装置の設置も可能となる。LEDランプ14は、小型軽量で構造が簡単であり、衝撃にも強く、長寿命で故障の発生頻度が低い。
【0012】
図5は、他の実施例の、空気溜りに噴霧ノズルを配設した点検窓の縦断面図であって、流体供給配管16に接続した噴霧ノズル18が点検窓7aの空気溜り13に配設してあり、ノズル口を透視板12に対設してある。点検窓7aの空気溜り13の密閉空気が、ケーシング11と透視板12の隙間から漏れ出し、或は、供給配管6に流れる調質汚泥に流出しても、流体供給配管17に設けた調整バルブ19を開放すれば、空気溜り13を再生できる。点検窓7aの透視板12の裏面に結露水が付着しても、噴霧ノズル18から空気を噴射すれば、結露水を分散させることも可能となり、流体供給配管17から高圧水を供給しても結露水を分散させることができる。なお、図3に示すLEDランプ14を配列した点検窓7の空気溜り13に、図5の噴霧ノズル18を配設すれば、空気溜り13の空気を維持しながら、LEDランプ14の照明で、凝集状態を正確に把握でき、より固液分離装置10の運転をベストに近い状態に近づけることが可能となる。
【0013】
図6は、他の実施例の、結露予防熱線を並列した点検窓の縦断面図であって、点検窓7bの透視板12に配列したLEDランプ14・・・の間に結露予防熱線20・・・が並列し、LEDランプ14と結露予防熱線20・・・の上面から透視板15を載置して、押えフランジ16でケーシング11に嵌着してある。透視板12の裏面に析出する結露水を蒸発させて凝集状態を把握する。
図7は、他の実施例の、ワイパーを透視板の裏面に摺接させる点検窓の縦断面図であって、点検窓7cの透視板12の裏面にワイパー21を摺接させてあり、ワイパー21に取り付けたハンドル22でワイパー21を摺動させれば、透視板12の曇り止めと、透視板12に汚泥が付着しても、付着汚泥の除去が行える。図7に示すワイパー21は、図3のLEDランプ14・・・を配列した点検窓7、又は図6の結露予防熱線20を配設した点検窓7bと組合せれば、透視板12の水滴や付着汚泥の除去が可能となり、透視板12の透視を良好に維持できる。
【産業上の利用可能性】
【0014】
この発明に係る供給配管の凝集状態点検窓は上記のように構成してあり、凝集混和槽と固液分離装置を繋ぐ供給配管に配設する空気溜りを形成する点検窓により、固液分離装置投入直前の凝集フロックの正確な目視確認が可能となり、固液分離装置に合わせて調質汚泥の調整が行える。従って、下水、し尿、集落排水、工場等の排水処理施設に設置して高分子凝集剤を使用するスクリュープレス、フイルタープレス、又はベルトプレス、或は濃縮機のろ過脱水装置の調質汚泥供給配管にこの発明の点検窓を設置すれば、固液分離装置の運転をベストに近い状態に近づける。
【符号の説明】
【0015】
6 供給配管
7、7a、7b,7c 点検窓
9 凝集装置
10 固液分離装置
11 ケーシング
12 透視板
13 空気溜り
14 LEDランプ
18 噴霧ノズル
20 結露予防熱線
21 ワイパー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
凝集剤を添加した原液汚泥を凝集装置(9)で攪拌混合し、調質汚泥を固液分離装置(10)に供給する汚泥の処理装置において、凝集装置(9)と固液分離装置(10)を繋ぐ調質汚泥の供給配管(6)にケーシング(11)を配設し、ケーシング(11)の上面に透視板(12)を嵌着して点検窓(7)を構成し、点検窓(7)の内部に密閉状の空気溜り(13)を形成したことを特徴とする供給配管の凝集状態点検窓。
【請求項2】
上記点検窓(7)の透視板(12)にLEDランプ(14・・・)を配列したことを特徴とする請求項1に記載の供給配管の凝集状態点検窓。
【請求項3】
上記空気溜り(13)を形成する点検窓(7a)の内部に噴霧ノズル(18)を配設したことを特徴とする請求項1又は2に記載の供給配管の凝集状態点検窓。
【請求項4】
上記点検窓(7b)の透視板(12)に結露予防熱線(20)を配設したことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の供給配管の凝集状態点検窓。
【請求項5】
上記点検窓(7c)の透視板(12)の裏面にワイパー(21)を摺接させることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の供給配管の凝集状態点検窓。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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