説明

依頼書の作成装置及びその作成方法

【課題】添付先の情報および画像の入力を簡単にし、またファイルの添付を誤ることがない依頼書を作成可能にする。
【解決手段】添付先の情報が記載された表紙(21)と少なくとも1枚の画像データ化する資料(22)とを画像データとして取り込むスキャナ手段(11)と、前記表紙の画像データに対して文字認識によって添付先の情報を文字として取得する文字認識手段(12)と、前記表紙の画像データから取得した添付先情報で依頼書を作成し、当該依頼書に対応する画像ファイルを添付する画像ファイル添付手段(14)とを有する依頼書の作成装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、財務データ等の画像データを含む資料を単純な作業によって電子ファイル化して依頼書を作成する依頼書作成装置及びその作成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
企業では、営業上の収支の総計算を決算日に行い、この総計算によって明らかになった営業期における営業の概要、財政状態、経営成績などを株主等に報告している。
このような企業においては、その会計処理等を予め契約した会計事務所に委託している場合がある。
そして近年においては、会計事務所は、コンピュータを使用して顧問先となった企業の会計処理を行っており、そのために財務会計用ソフトウェアを導入している。そして、顧問先から送付された当座照合表、預金通帳、現金出納帳等の帳票を基に、上記財務会計用ソフトウェアに対して、財務データの入力を実行する必要がある。
【0003】
ところで、財務データ等の入力作業は単純作業であるので、他の会計処理と切り分けて人件費の安価な国や地域で実行するシステムとして、例えば、特許文献1のようなシステムが知られている。
前記の財務データ等の入力は、データ入力作業が単純作業であるので、会計事務所の外部の入力支援センター等へ委託する方が、決算報告書等を能率的に作成する上で、また経費節約の上でも望ましい。
【0004】
従来、会計事務所から財務データ等の入力を外部の入力支援センターに依頼する場合には、会計事務所では、顧問先の企業から当座照合表、預金通帳、現金出納帳などの帳票(資料)のコピーの提供を受けて予め自動給紙装置(ADF)付きスキャナで画像データとして取り込み、一つの画像ファイルとしてまとめている。
その際に、依頼書を作成するためのWebページをブラウザで開いたり、依頼書作成用ソフトウェアを起動して、依頼するための情報をキーボードなどの入力装置で入力する必要があった。
そして、会計事務所では作成した依頼書に前記画像ファイルを添付して入力支援センターに送付する。
【特許文献1】特開2003−44638号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来では、財務データの入力作業の依頼書を作成する際には、上記のようにスキャナで画像データを取り込んでファイルを予め作成しておき、依頼書を作成するためのWebページをブラウザで開いたり、依頼書作成用ソフトウェアを起動して、依頼するための情報をキーボードなどの入力装置で入力しなければならなかった。
このような、従来の依頼書の作成方法では、キーボードなどの入力装置による作業が必要であり、このための手間がかかる。また、作業者が画像ファイルの指定を間違えて、依頼書の内容と違う画像ファイルを依頼書に添付してしまうおそれがあるという問題があった。
【0006】
本発明は前記のような課題を解決するものであり、文字認識手段を有効に利用することで、依頼するための情報を含む添付先の情報の入力作業を簡単にし、また画像ファイルの添付を間違えるのを防止できる依頼書の作成装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の依頼書の作成装置では、添付先の情報が記載された表紙と少なくとも1枚の画像データ化する資料とを画像データとして取り込むスキャナ手段と、前記表紙の画像データに対して文字認識によって添付先の情報を文字として取得する文字認識手段と、前記表紙の画像データから取得した添付先情報で依頼書を作成し、当該依頼書に対応する画像ファイルを添付する画像ファイル添付手段とを有することを特徴とする。
【0008】
これにより、スキャナ手段は、表紙上の添付先の情報と資料とを画像データとして読み込み、これらのうち読み込まれた表紙上の情報については文字認識手段により文字として認識し、この文字による添付先情報で依頼書を作成し、画像ファイル添付手段により、この依頼書に対し読み込まれた前記資料の画像を添付してセットにすることができる。
また、いずれの顧問先の資料であるかを特定可能にし、キーボードによる各添付先の情報等を打ち込む作業を省くことができる。また、画像ファイルの添付ミスを回避することができる。
【0009】
また、本発明の依頼書の作成装置では、前記添付先の情報が記載された表紙と画像データ化する資料とを、それぞれ組とする複数組を一括して、前記スキャナ手段で一括して取り込み、各組ごとに得られる添付先の情報に画像ファイルを添付した依頼書を作成することを特徴とする。
【0010】
これにより、添付先の情報が記載された表紙と画像にする資料の組み合わせを1組として、複数組を一度にスキャナ装置に通すことで、各表紙単位で複数組の依頼書を一度に作成することができる。
【0011】
また、本発明の依頼書の作成方法では、添付先の情報が記載された表紙と画像データ化する少なくとも1枚の資料とをスキャナ手段により画像データを取り込むステップと、前記表紙から取り込んだ画像データに対して文字認識手段によって添付先の情報を文字として取得して依頼書を作成するステップと、前記資料から取り込んだ画像データから画像ファイルを作成するステップと、前記依頼書に当該依頼書に対応する画像ファイルを添付して画像が添付された依頼書を作成するステップとにより依頼書の作成を行う。
【0012】
また本発明の依頼書の作成方法では、前記添付先の情報が記載された表紙と画像データ化する資料とを、それぞれ組とする複数組を一括して、前記スキャナ手段で一括して取り込み、各組ごとに得られる添付先の情報に画像ファイルを添付した依頼書を作成する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、画像データをファイル化して添付する依頼書を作成するために、Webページを開いたり、依頼書プログラムを起動したりして、依頼書作成のための情報をキーボード操作により入力するという、面倒な作業を省くことができる。また、前記資料の画像データを間違えて依頼書に添付するおそれがなくなり、従って、必要とする依頼書を能率的に、少ない経費で作成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の一形態を図について説明する。
図1は、本発明の実施の形態による依頼書の作成装置を示すブロック図である。ここで、依頼書とは、例えば会計事務所が、顧客企業の決算書作成のための財務データの入力処理を入力支援センターへ依頼する場合などに用いられるものである。
この依頼書は、依頼するための情報を含む添付先の情報が記載された部分と、添付される複数枚の画像データ化したファイルとを組み合わせたものからなる。
【0015】
また、この依頼書の作成装置は、画像読み取り手段としてのスキャナ装置(手段)11と、文字認識装置(手段)12と、画像ファイル作成装置(手段)13と、画像ファイル添付装置(手段)14とで構成されている。
これらのうち、スキャナ装置11は、依頼するための情報を含む添付先の情報が記載された表紙と、これと対をなす一枚または複数枚の画像データにするための資料とを、光学的な画像として読み出す機能を奏する。このスキャナ装置11としては、用紙を自動的にセットして連続的に送り出す自動給紙タイプのものが適している。
【0016】
また、文字認識装置12は、スキャナ装置11で読み出した光学的な画像情報(依頼するための情報、添付先の情報)を、文字(テキスト情報)として認識するように機能するものであり、例えば光学式文字読み取り装置(OCR)が用いられる。
画像ファイル装置13は、スキャナ装置11を通して得られた画像データをイメージデータとして蓄積して、資料に関する画像ファイルを作成する。
【0017】
画像ファイル添付装置14は、表紙に記載されたデータの内、文字認識装置12で文字認識された添付先情報を含む依頼書を作成するとともに、前記画像ファイル装置13で資料から作成された画像ファイルをその依頼書に添付するように機能する。
なお、図面上、スキャナ装置11に対して、文字認識装置12、画像ファイル装置13、画像ファイル添付装置14のそれぞれを独立して設けた場合を示したが、これらの一つまたは全部の機能をスキャナ装置11に持たせ、アプリケーション処理によって各機能を実現させてもよい。
【0018】
図2は、画像にする資料とともにスキャナ装置11で読み取る添付先の情報が記載された表紙の一例を示す。この表紙15には、顧問先を特定する数字等で表わされた依頼会社コード16、依頼者コード17のほかに、依頼会社名18および依頼者氏名19が一目で分かるようにテキスト表示されている。
【0019】
このテキスト表示に対しては、後述の文字読み取り処理は行われないが、依頼者コード17に対しては、文字読み取り処理が行われる。なお、添付資料として画像データにする資料は、表紙15とは別に一枚または複数枚用意されている。
【0020】
次に、このような依頼書の作成装置を用いて依頼書を作成する手順を、図3の作成手順を示す図及び図4のフローチャートを参照して説明する。
【0021】
まず、添付先の情報(依頼するための情報を含む)が記載された表紙21(図2の表紙15に対応)と画像データ化する複数枚の資料22とを用意し、これらの表紙21上の情報および資料22を順次、自動給紙(ADF)付きのスキャナ装置11で画像データとして取り込む(ステップS1)。
【0022】
また、スキャナ装置11で画像データとして取り込んだ表紙21上の添付先の情報を、文字認識装置12における文字認識アプリケーションの実行により、添付先の情報23として文字認識させる(ステップS2)。一方、スキャナ装置11で取り込んだ資料の画像データから、画像ファイル装置13によって画像ファイル24を作成する(ステップS3)。
【0023】
そして、画像ファイル添付装置14において、前記文字認識された添付先情報で作られた依頼書にその画像ファイルを添付する(ステップS4)。これにより、画像ファイル(資料)が添付された依頼書25が得られ、これが入力支援センターへ渡される。
【0024】
従って、会計事務所の担当者は、入力支援センターへ財務データの入力処理を依頼するたびに、いちいち顧問先名やコードをキーボードで打ち込む必要がなくなり、スキャナ装置に書面を自動的に通すだけで、画像を添付した依頼書25を作成することができる。
【0025】
図5は、本発明の依頼書の作成装置を用いて、依頼書を作成する別の方法を示すの作成手順を示す図であり、図6は、そのフローチャートである。この方法では、添付先の情報を持つ表紙と画像データ化する資料を一組として、複数組をスキャナ装置11により一度に読み込ませる。
【0026】
すなわち、添付先の情報が記載された図5に示すような表紙21A(図7の表紙15Aに対応する)と、これに添付しようとする一枚または複数枚の画像データ化する資料22Aの組のほかに、複数の別組の表紙21N(図5の表紙15Aに対応する)と、これらに添付しようとする複数枚の画像の資料22Nを、表紙21A,資料22A,・・・,表紙21N,資料22Nの順にスキャナ装置11に読み込ませる(ステップS11)。
【0027】
各表紙21A,・・・,21Nには、決められた位置に表紙であることを示す識別情報20が設けられている。この識別情報20には、図示のようなバーコードのほかに、種々のマーク、文字、数字、記号などを用いることができる。なお、このバーコードなどの識別情報20内には、依頼会社コードや依頼者コードを一緒に入れることもできる。
そして、ステップS11で読み込まれた表紙21A,資料22A,・・・,表紙21N,資料22Nは識別情報20を元に表紙21A,・・・,21Nと、それぞれの表紙に続く資料22A,・・・,資料22Nとに区別する(ステップS12)。
【0028】
さらに、文字認識装置12では、各表紙21A,・・・,21N上の添付先の情報21を文字として認識可能な添付先の情報23A,・・・,23Nに変換する(ステップS13)。一方、スキャナ装置11で画像認識された画像にする資料22A,・・・,資料22Nから、画像ファイル装置13によってそれぞれ画像ファイル24A,・・・,24Nを作成する(ステップS13)。
【0029】
添付先の情報23A,・・・,23Nと画像ファイル24A,・・・,24Nとは、画像ファイル添付装置14に前記の順に取り込まれ、情報23Aから作成された依頼書には画像ファイル24Aが添付されて依頼書25Aが作成されるというように、組となる表紙と資料とを元に、複数の依頼書25A,・・・,25Nが作成される(ステップS14)。
【0030】
このようにすれば、複数組のテキストデータと画像データを含む依頼書を、スキャナ装置11を用いて一度に読み込むことができ、キーボード操作を行うことなく、各組ごとの依頼書を一度に自動作成することができる。
【0031】
このように、本発明では、添付先の情報が記載された表紙21と画像にする資料22とを画像データとして取り込むためスキャナ装置11と、前記表紙21の画像データに対して文字認識を施すことで添付先の情報を文字として取得する文字認識装置12と、前記表紙21の画像データから取得した添付先情報で依頼書を作成して、当該依頼書に前記資料の画像ファイルを添付する画像ファイル添付装置14と、を設けたことで、画像にする資料22を依頼書に添付するために、Webページを開いたり、依頼書作成用プログラムを起動したりして、依頼書作成のための情報をキーボード操作により入力するという、従来の面倒な作業を省くことができる。また、前記資料22の画像データを間違えて依頼書に添付するおそれがなくなり、従って、必要とする依頼書を能率的に、少ない経費で作成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の実施の形態による依頼書の作成装置を示すブロック図である。
【図2】本発明で使用する添付先の情報が記載された表紙を示す正面図である。
【図3】本発明による依頼書の作成手順を示す図である。
【図4】図3のフローチャートである。
【図5】本発明による依頼書の別の作成手順を示す図である。
【図6】図5のフローチャートである。
【図7】本発明による依頼書の別の作成手順の実施に使用する添付先の情報が記載された表紙を示す正面図である。
【符号の説明】
【0033】
11…スキャナ装置(手段)、12…文字認識装置(手段)、13…画像ファイル装置(手段)、14…画像ファイル添付装置(手段)、21、21A〜21N…表紙、22、22A〜22N…資料、25、25A〜25N…画像が添付された依頼書

【特許請求の範囲】
【請求項1】
添付先の情報が記載された表紙と少なくとも1枚の画像データ化する資料とを画像データとして取り込むスキャナ手段と、
前記表紙の画像データに対して文字認識によって添付先の情報を文字として取得する文字認識手段と、
前記表紙の画像データから取得した添付先情報で依頼書を作成し、当該依頼書に対応する画像ファイルを添付する画像ファイル添付手段と、を有することを特徴とする依頼書の作成装置。
【請求項2】
前記添付先の情報が記載された表紙と画像データ化する資料とを、それぞれ組とする複数組を一括して、前記スキャナ手段で一括して取り込み、各組ごとに得られる添付先の情報に画像ファイルを添付した依頼書を作成することを特徴とする請求項1に記載の依頼書の作成装置。
【請求項3】
添付先の情報が記載された表紙と画像データ化する少なくとも1枚の資料とをスキャナ手段により画像データを取り込むステップと、
前記表紙から取り込んだ画像データに対して文字認識手段によって添付先の情報を文字として取得して依頼書を作成するステップと、
前記資料から取り込んだ画像データから画像ファイルを作成するステップと、
前記依頼書に当該依頼書に対応する画像ファイルを添付して画像が添付された依頼書を作成するステップと、
を含むことを特徴とする依頼書の作成方法。
【請求項4】
前記添付先の情報が記載された表紙と画像データ化する資料とを、それぞれ組とする複数組を一括して、前記スキャナ手段で一括して取り込み、各組ごとに得られる添付先の情報に画像ファイルを添付した依頼書を作成することを特徴とする請求項3に記載の依頼書の作成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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