説明

価格決定装置、価格決定システム、価格決定プログラムおよび価格決定方法

【解決手段】価格決定装置12はCPUを含み、CPUは、複数のLRF14の出力に基づいて、買い物する客の移動軌跡を検出する。CPUは、客の移動軌跡に基づいて、当該客の行動が予め登録された大局的な行動であると推定すると、当該大局的な行動に対応して予め登録された商品についての価格を特別価格に変更する。
【効果】客毎に価格を可変的に設定するので、バリエーションの豊富なサービスを提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は価格決定装置、価格決定システム、価格決定プログラムおよび価格決定方法に関し、特にたとえば、商品の価格を可変的に決定する、価格決定装置、価格決定システム、価格決定プログラムおよび価格決定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の価格決定装置の一例が特許文献1に開示されている。この特許文献1に開示される価格変更システムでは、商品価格情報は、店舗システムを経由して電子値札に受信され、その価格表示部に表示される。また、商品価格情報は、随時変更され、価格表示部に随時反映される。購入者は、商品購入を決意した時点で電子値札に設けられるボタンを押下すると、その時点で価格表示部に表示されている値が電子値札に内蔵される価格メモリに記憶される。店舗システムは、電子値札内の価格メモリに記憶されている値と、同じく電子値札内の商品情報メモリに記憶されている値とを比較し、小さい値の方を販売価格として清算する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−157645号[G07G 1/01, B42D 15/10, B65G 61/00, G06F 17/60, G06K 17/00]
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の価格変更システムでは、たとえば、販売数量が目標を超えると値上げしたり、在庫が予定より少なくなった場合に値上げしたり、タイムサービスとしてある時間だけ割引価格で販売するために、電子値札に記憶される商品価格情報を変動させるため、通常人為的に行われている手法をコンピュータのシステムに応用しただけであり、特定の客に対して価格を可変的に決定することはできなかった。
【0005】
それゆえに、この発明の主たる目的は、新規な、価格決定装置、価格決定システム、価格決定プログラムおよび価格決定方法を提供することである。
【0006】
また、この発明の他の目的は、特定の客に対して可変的に価格を決定することができる、価格決定装置、価格決定システム、価格決定プログラムおよび価格決定方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記の課題を解決するために、以下の構成を採用した。なお、括弧内の参照符号および補足説明等は、本発明の理解を助けるために後述する実施の形態との対応関係を示したものであって、本発明を何ら限定するものではない。
【0008】
第1の発明は、或る商業施設において販売される商品の価格を決定する価格決定装置であって、商業施設内を移動する客の第1軌跡を検出する軌跡検出手段、軌跡検出手段によって検出された第1軌跡が予め決定された第2軌跡であるかどうかを推定する推定手段、および推定手段によって第1軌跡が第2軌跡であることが推定されたとき、客が購入しようとする商品の価格を通常価格から特別価格に変更する価格変更手段を備える、価格決定装置である。
【0009】
第1の発明では、或る商業施設において販売される商品の価格を決定する価格決定装置(12)は、軌跡検出手段(30、S9)、推定手段(30、S11)および価格変更手段(30、SS81、S83、S85、S87)を備える。軌跡検出手段は、商業施設内を移動する客の第1軌跡を検出する。推定手段は、軌跡検出手段によって検出された第1軌跡が予め決定された第2軌跡であるかどうかを推定する。たとえば、第1軌跡が複数の第2軌跡のいずれかに近似するかどうかを判断し、第1軌跡が近似する1の第2軌跡として推定される。価格更手段は、推定手段によって第1軌跡が第2軌跡であることが推定されたとき、客が購入しようとする商品の価格を通常価格から特別価格に変更する。つまり、特定の軌跡に従って移動する客の価格が変更される。
【0010】
第1の発明によれば、特定の軌跡に従って移動する客が購入しようとする商品の価格を変更させるので、客毎に異なる価格を可変的に設定する新規なサービスを提供することができる。また、客毎に価格を変更するので、サービスのバリエーションを豊富にすることができる。
【0011】
第2の発明は、第1の発明に従属し、第2軌跡に対応付けて複数の商品を記憶する商品記憶手段、および客が購入しようとする商品を検出する商品検出手段をさらに備え、価格変更手段は、商品検出手段によって検出された商品と、推定手段によって推定された第2軌跡に対応づけて商品記憶手段に記憶された複数の商品とが所定数以上一致するとき、客が購入しようとする商品の価格を特別価格に変更する。
【0012】
第2の発明では、価格決定装置は、商品記憶手段(38)および商品検出手段(30、S73)をさらに備える。商品記憶手段は、第2軌跡に対応付けて複数の商品を記憶する。商品検出手段は、客が購入しようとする商品を検出する。価格変更手段は、商品検出手段によって検出された商品と、推定手段によって推定された第2軌跡に対応づけて商品記憶手段に記憶された複数の商品とが所定数以上一致するとき、客が購入しようとする商品の価格を特別価格に変更する。つまり、第2軌跡に対応づけて特別価格の対象となる複数の商品が記憶され、そのうちの所定数以上の商品を購入しようとするとき、特別価格が適用される。
【0013】
第2の発明によれば、第2軌跡に対応づけて記憶された商品を所定数以上購入しようとするとき、特別価格が適用されるので、単に第2軌跡と推定されるだけで、該当の商品を購入しない場合には、特別価格が適用されない。つまり、第2軌跡に応じて記憶された所定の商品を購入しようとする特定の客にのみ、特別価格を適用することができる。
【0014】
第3の発明は、第1の発明に従属し、各々の商品についての陳列位置を含む商業施設についてのマップデータを記憶するマップ記憶手段、各々の商品についての価格を表示する価格表示手段、および価格変更手段によって通常価格から特別価格に変更することが決定されたとき、客が次に購入しようとする商品を、推定手段によって推定された第2軌跡と、マップ記憶手段に記憶されたマップデータと、第2軌跡に対応づけられた複数の商品と、商品検出手段によって検出された当該客が購入しようとする商品とから予測する商品予測手段をさらに備え、価格表示手段は、商品予測手段によって客が次に購入しようとする商品が予測されたとき、価格表示手段によって表示される当該商品についての価格を特別価格で表示する。
【0015】
第3の発明では、価格決定装置は、マップ記憶手段(32)、価格表示手段(16)、および商品予測手段(30、S35)をさらに備える。マップ記憶手段は、各々の商品についての陳列位置を含む商業施設についてのマップデータを記憶する。価格表示手段は、各々の商品についての価格を表示する。商品予測手段は、価格変更手段によって通常価格から特別価格に変更することが決定されたとき(S33で“YES”)、客が次に購入しようとする商品を、推定手段によって推定された第2軌跡と、マップ記憶手段に記憶されたマップデータと、第2軌跡に対応づけられた複数の商品と、商品検出手段によって検出された当該客が購入しようとする商品とから予測する。価格表示手段は、商品予測手段によって客が次に購入しようとする商品が予測されたとき、価格表示手段によって表示される当該商品についての価格を特別価格で表示する。
【0016】
第3の発明によれば、客が次に購入しようとする商品を予測し、その商品を特別価格で表示するので、客は特別価格を見て買い物をすることができる。
【0017】
第4の発明は、第3の発明に従属し、価格表示手段は、商品予測手段によって予測された商品の陳列位置の所定距離以内に客以外の客が存在するとき、または、客が商品予測手段によって予測された商品の陳列位置から所定距離以上離れたとき、特別価格を通常価格に戻す。
【0018】
第4の発明では、表示手段は、第2軌跡と推定された客(第1の客)が次に購入しようと予測された商品の陳列位置の第1所定距離以内に、当該第1の客以外の第2の客が存在するとき、または、当該第1の客が予測された商品の陳列位置から第2所定距離以上離れたとき、特別価格を通常価格に戻す。したがって、第1の客以外の第2の客が特別価格を知ることが防止される。ただい、第1所定距離と第2所定距離とは、同じ距離でも異なる距離でもよい。
【0019】
第4の発明によれば、特別価格が適用される特定の客のみにその特別価格が提示されるので、特別価格が他の客に提示されてしまうような混乱を招くのを防止することができる。
【0020】
第5の発明は、或る商業施設において販売される商品の価格を決定する価格決定装置、および客が購入しようとする商品のリストを作成するリスト作成装置を備える価格決定システムであって、価格決定装置は、商業施設内を移動する客の第1軌跡を検出する軌跡検出手段、軌跡検出手段によって検出された第1軌跡が予め決定された第2軌跡であるかどうかを推定する推定手段、推定手段によって第1軌跡が第2軌跡であることが推定されたとき、客が購入しようとする商品の価格を通常価格から特別価格に変更する価格変更手段、リスト作成装置から問い合わせがあったとき、価格変更手段によって通常価格から特別価格に変更されているかどうかを判断する価格判断手段、および価格判断手段の判断結果に応じて、リスト作成装置に、通常価格または特別価格を通知する価格通知手段を備え、記リスト作成装置は、客が購入しようとする商品の価格を価格決定装置に問い合わせる問い合わせ手段、および問い合わせ手段の問い合わせに応じて通知された通常価格または特別価格を客が購入しようとする商品の価格として商品のリストに登録するリスト登録手段を備える、価格決定システムである。
【0021】
第5の発明では、価格決定システム(10)は、或る商業施設において販売される商品の価格を決定する価格決定装置(12)、および客が購入しようとする商品のリストを作成するリスト作成装置(60)を備える。価格決定装置(12)は、軌跡検出手段(30、S9)、推定手段(30、S11)、価格変更手段(30、SS81、S83、S85、S87)、価格判断手段(30、S81)および価格通知手段(30、S89)を備える。軌跡検出手段は、商業施設内を移動する客の第1軌跡を検出する。推定手段は、軌跡検出手段によって検出された第1軌跡が予め決定された第2軌跡であるかどうかを推定する。たとえば、第1軌跡が複数の第2軌跡のいずれかに近似するかどうかを判断し、第1軌跡が近似する1の第2軌跡として推定される。価格更手段は、推定手段によって第1軌跡が第2軌跡であることが推定されたとき、客が購入しようとする商品の価格を通常価格から特別価格に変更する。つまり、特定の軌跡に従って移動する客の価格が変更される。価格判断手段は、リスト作成装置から問い合わせがあったとき(S63で“YES”)、価格変更手段によって通常価格から特別価格に変更されているかどうかを判断する。価格通知手段は、価格判断手段の判断結果に応じて、リスト作成装置に、通常価格または特別価格を通知する。
【0022】
一方、リスト作成装置は、問い合わせ手段(62、S105)およびリスト登録手段(62、S107)を備える。問い合わせ手段は、客が購入しようとする商品の価格を価格決定装置に問い合わせる。リスト登録手段は、問い合わせ手段の問い合わせに応じて通知された通常価格または特別価格を客が購入しようとする商品の価格として商品のリストに登録する。
【0023】
第5の発明においても、第1の発明と同様に、客毎に異なる価格を可変的に設定する新規なサービスを提供することができる。
【0024】
第6の発明は、或る商業施設において販売される商品の価格を決定する価格決定プログラムであって、コンピュータを、商業施設内を移動する客の第1軌跡を検出する軌跡検出手段、軌跡検出手段によって検出された第1軌跡が予め決定された第2軌跡であるかどうかを推定する推定手段、および推定手段によって第1軌跡が第2軌跡であることが推定されたとき、客が購入しようとする商品の価格を通常価格から特別価格に変更する価格変更手段として機能させる、価格決定プログラムである。
【0025】
第7の発明は、或る商業施設において販売される商品の価格を決定する価格決定方法であって、コンピュータは、(a)商業施設内を移動する客の第1軌跡を検出し、(b)ステップ(a)によって検出された第1軌跡が予め決定された第2軌跡であるかどうかを推定し、そして(c)ステップ(b)によって第1軌跡が第2軌跡であることが推定されたとき、客が購入しようとする商品の価格を通常価格から特別価格に変更する、価格決定方法である。
【0026】
第6および第7の発明においても、第1の発明と同様に、客毎に異なる価格を可変的に設定する新規なサービスを提供することができる。
【発明の効果】
【0027】
この発明によれば、第2軌跡と推定される客を特定し、特定した客が購入しようとする商品の価格を特別価格に変更するので、特定の客に対して価格を可変的に設定することができる。したがって、単にタイムセールスを行うような全体的に行うサービスのみならず、特定の人間に対してのみ行う新規なサービスを提供することができる。したがって、提供するサービスのバリエーションを豊富にすることができる。
【0028】
この発明の上述の目的,その他の目的,特徴および利点は、図面を参照して行う以下の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】図1はこの発明の一実施例の価格決定システムの構成を示す図解図である。
【図2】図2は図1に示す価格決定装置の詳細およびそれに接続される装置等を示す図解図である。
【図3】図3は図1に示すLRFの計測領域および複数のLRFを用いた人間の検出領域を示す図解図である。
【図4】図4は図2に示す客情報データベースに記憶される客情報テーブルの一例を示す図解図である。
【図5】図5は図2に示す価格データベースに記憶される価格テーブルの一例を示す図解図である。
【図6】図6は図2に示す大局行動データベースに記憶される大局的な行動テーブルの一例を示す図解図である。
【図7】図7は図1に示すカートに搭載される商品リスト作成装置の詳細を示す図解図である。
【図8】図8は図7に示す商品リスト作成装置で作成されるカート内の商品リストの一例を示す図解図である。
【図9】図9は価格決定システムが適用されるショッピングセンターを真上から見た模式図である。
【図10】図10は図2に示すメモリのメモリマップの一例を示す図解図である。
【図11】図11は図8に示すメモリのメモリマップの一例を示す図解図である。
【図12】図12は図2に示すCPUの行動推定処理を示すフロー図である。
【図13】図13は図2に示すCPUの価格表示処理の一部を示すフロー図である。
【図14】図14は図2に示すCPUの価格表示処理の他の一部であって、図13に後続するフロー図である。
【図15】図15は図2に示すCPUの客情報管理および価格通知処理の一部を示すフロー図である。
【図16】図16は図2に示すCPUの客情報管理および価格通知処理の他の一部であって、図15に後続するフロー図である。
【図17】図17は図8に示すCPUの価格リスト作成処理の一部を示すフロー図である。
【図18】図18は図8に示すCPUの価格リスト作成処理の他の一部であって、図17に後続するフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1を参照して、この実施例の価格決定システム(以下、単に「システム」という)10は、価格決定装置12を含み、価格決定装置12には、複数のレーザーレンジファインダ(LRF)14および複数の表示装置16が接続されるとともに、ネットワーク20を介して、人間(客)が使用するショッピングカート50に搭載される商品リスト作成装置60と通信可能に接続される。
【0031】
たとえば、システム10は、ショッピングセンターのような商業施設に適用され、価格決定装置12は、客の移動軌跡を検出し、検出した移動軌跡から大局的な行動を推定する。この実施例では、大局的な行動とは、或る目的に従って買い物する客が移動する軌跡(移動軌跡)であって、多数の客についてまとめた(平均、クラスタリング)ものをいう。ただし、或る目的とは、買い物についての目的である。たとえば、客が食事の準備を目的として買い物に来た場合には、基本的には、その食事の献立に従って必要な商品が購入される。また、客が旅行に必要な物の準備を目的として買い物に来た場合には、基本的には、その旅行に必要な物が購入される。さらに、客が育児に必要な物を揃えることを目的として買い物に来た場合には、基本的には、その育児に必要な物が購入される。したがって、商品は、陳列棚の所定の場所ないし位置に陳列されているため、買い物の目的によって、客が移動する経路すなわち大局的な行動が異なり、同じ目的を持っている客は同様の大局的な行動をとることになる。
【0032】
客の大局的な行動を推定すると、価格決定装置12は、当該大局的な行動に対応する所定の商品であって、当該客が購入しようとする商品の価格を変更する。ここで、所定の商品は、大局的な行動を行った場合に、購入すると考えられる商品である。たとえば、食事の献立がカレーライスであれば、その大局的な行動に対応して、カレー粉、玉ねぎ、にんじん、じゃがいも、豚肉などの商品が記述されるのである。このような所定の商品は、大局的な行動を決定した際に、移動軌跡を検出した多数の客について調査した結果に基づいて決定される。
【0033】
図1に戻って、LRF14は、距離センサであり、レーザーを照射し、物体(人間を含む)に反射して戻ってくるまでの時間から当該物体までの距離を計測する。たとえば、トランスミッタ(図示せず)から照射したレーザーを回転ミラー(図示せず)で反射させて、前方を扇状に一定角度(たとえば、0.5度)ずつスキャンする。
【0034】
ここで、LRF14としては、SICK社製のレーザーレンジファインダ(型式LMS200)やHOKUYO社製のLRF(型式 UTM―30LX)などを用いることができる。SICK社製のレーザーレンジファインダを用いる場合には、距離8mを±15mm程度の誤差で計測可能である。また、使用しているレーザーは、日本工業規格JIS C 6802「レーザー製品の安全基準」におけるクラス1レーザーであり、人の眼に対して影響を及ぼさない安全なレベルである。
【0035】
ここで、人間(この実施例では、客)の移動軌跡の検出について説明する。図3(A)に示すように、LRF14の計測領域は、半径r(r≒8m)の半円状(扇状)で示される。つまり、LRF14は、その正面方向を中心とした場合に、左右90度の方向を所定の距離(r)以内で計測可能である。この実施例では、LRF14のサンプリングレートを37Hzとした。これは、歩行するなどにより移動する人間の位置を連続して検出するためである。
【0036】
また、複数のLRF14の各々は、計測領域が互いに重なるように配置され、図示は省略するが、床面(地面)から約120cmの高さに固定される。この高さは、客の胴体と腕(両腕)とを検出可能とするためであり、この実施例では、ショッピングカート50の高さおよび日本人の成人の平均身長に基づいて決定される。したがって、システム10が適用される場所(地域ないし国)で使用されるショッピングカート50の高さや客の年齢ないし年代(たとえば、子供、大人)に応じて、LRF14を固定する高さを適宜変更するようにしてよい。
【0037】
たとえば、図3(B)に示すように、2つのLRF14は、各々の計測領域が重なるように配置される。この実施例では、斜線を付して示すように、計測領域が重なった領域が客の位置を検出する領域(検出領域)DAとして設定され、パーティクフィルタを用いて、客の現在位置を推定する。たとえば、本願出願人が先に出願し、既に出願公開された特開2009−168578号に開示された方法を用いて、客の現在位置および移動速度を推定することができる。そして、推定された現在位置の時間変化は、当該客の移動軌跡として抽出することができる。図3(B)に示す例では、2つのLRF14の出力に基づいて、人間(客)の移動軌跡Trが検出される。
【0038】
なお、推定される客の現在位置は、たとえば、水平面内におけるXY座標で表されるが、このXY座標は、上述したように、システム10が適用される場所(たとえば、ショッピングセンター)におけるXY座標である。
【0039】
図1に戻って、表示装置16は、たとえばLCDであり、商品棚に設置され、商品の価格を表示するために用いられる。詳細な説明は省略するが、各表示装置16は、価格決定装置12に識別可能に接続されており、したがって、商品毎の価格の表示が可能である。
【0040】
図2に示すように、価格決定装置12は、CPU30含み、CPU30には、メモリ32、客情報データベース(客情報DB)34、価格DB36、大局行動DB38、通信LANボード40が接続される。また、通信LANボード40には、無線通信装置42が接続され、この無線通信装置42には、アンテナ44が接続される。さらに、CPU30には、上述した複数のLRF14および複数の表示装置16も接続される。
【0041】
なお、価格決定装置12は、汎用のコンピュータに各DB34−38を接続することにより、構成することができる。ただし、価格決定装置12は、各DB34−38に代えて、内蔵のハードディスクドライブ(図示せず)を用いた単体のコンピュータで構成してもよい。
【0042】
CPU30は、価格決定装置12の全体制御を司る。CPU30は、RTC30aを内蔵し、このRTC30aで管理(カウント)される日時情報(年月日および時分秒)を取得する。メモリ32は、たとえばRAMであり、CPU30のワーク領域またはバッファ領域として用いられる。
【0043】
客情報DB34は、各客についての買い物に関する情報を記述したテーブル(客情報テーブル)を記憶する。図4に示すように、客情報テーブルは、客毎の移動軌跡に対応して、大局的な行動、カートID、カート内の商品および特別価格フラグが記述される。
【0044】
移動軌跡の欄には、客毎に推定される現在位置を時系列に従って順次記憶した軌跡についてのデータ(軌跡データ)が記述される。この実施例では、移動軌跡によって、客が識別される。この点において、移動軌跡は客の識別情報(客ID)ということができる。図4に示す客情報テーブルでは、軌跡データすなわち客を識別するために番号(数字)を付加してある。
【0045】
大局的な行動の欄には、大局的な行動についての行動IDが記述される。後述するように、検出された客の移動軌跡が、予め決定された大局的な行動(移動軌跡)に近似する場合に、当該客の行動が当該大局的な行動であると推定される。そして、推定された大局的な行動についての行動IDが大局的な行動の欄に記述される。図示は省略するが、客の移動軌跡が、大局的な行動に近似すると判断される前、および近似しない場合には、大局的な行動であることが推定されないため、大局的な行動の欄は、たとえば、空白にされる。
【0046】
カートIDの欄には、移動軌跡で特定される客が使用するショッピングカート50の識別情報が記述される。たとえば、カートIDとしては、商品リスト作成装置60に設けられる通信装置(後述する無線通信装置72)のMACアドレスを使用することができる。図4に示す例では、簡単のため、カートIDを、1文字のアルファベットと1文字の数字とで表している。
【0047】
詳細な説明は省略するが、移動軌跡で特定されるユーザが、ショッピングカート50に最初に商品を入れたときに、その商品の価格の問い合わせがあると、価格決定装置12は、問い合わせをした商品リスト作成装置60に設けられる無線通信装置72のMACアドレスを知ることができる。また、価格決定装置12は、後述する価格DB36を参照して問い合わせのあった商品を特定し、後述するマップデータから特定した商品の陳列位置を検出することができる。特定したユーザの移動軌跡に含まれる現在位置が、検出した陳列位置と一致する場合に、当該ユーザの移動軌跡(軌跡データ)に対応して、問い合わせのあった商品リスト作成装置60に設けられる無線通信装置72のMACアドレスをカートIDとして記載(登録)する。
【0048】
カート内の商品の欄には、移動軌跡で特定される客のショッピングカート50内に入れられている商品の商品名が記述される。ただし、商品名に代えて商品の識別情報(商品ID)が記述されてもよい。また、商品がショッピングカート50に入れられていない場合には、カート内の商品の欄は、たとえば、空白にされる。図4では、商品がショッピングカート50に入れられていないことを横棒で示してある。
【0049】
特別価格フラグは、移動軌跡で特定される客が特別価格の適用を受けることができるかどうかを判断するためのフラグであり、そのフラグの状態(オンまたはオフ)が記述される。特別価格の適用を受けると判断された客については、その移動軌跡に対応して「オン」が記述され、特別価格の適用を受けない(受ける前)と判断された客については、その移動軌跡に対応して「オフ」が記述される。
【0050】
なお、特別価格の適用を受けることができるかどうかの判定方法について後で詳細に説明することにする。
【0051】
図2に戻って、価格DB34は、各商品についての価格を記述した価格テーブルを記憶する。図5に示すように、価格テーブルは、商品IDに対応して、商品名および価格が記載される。商品IDは、商品を識別するための識別情報であり、この実施例では、商品毎に異なる数字が割り当てられる。図示は省略するが、この実施例では、商品に無線タグが装着され、無線タグから読み出される識別情報(RFID)がこの商品IDに対応する。
【0052】
商品名は、商品の名称である。価格は、対応する商品についての価格であり、この実施例では、時間帯に応じて、通常価格または特別価格が設定される。ただし、このような価格設定は、すべての商品の各々について行う必要はなく、一部の商品についてのみ行うようにしてよい。図示は省略するが、上述のような価格設定がされていない商品については、時間帯に関係なく、1種類の価格(通常価格のみ)が記述される。ただし、時間帯に関係なく、2種類の価格(通常価格および特別価格)が記述されてもよい。
【0053】
なお、図示は省略するが、他の商品についても、時間帯に応じて通常価格と特別価格が設定される場合があるが、時間帯や価格の増減値は、商品毎に変化させてよい。場合によっては、通常価格よりも特別価格の方が高く設定される。
【0054】
また、図5に示す例では、簡単のため、価格の欄に、点線の横棒を示してあるが、実際には、上述したように、時間帯に応じた価格(通常価格、特別価格)、1時間帯に関係のない1種類の価格、または、時間帯に関係のない2種類の価格が記述される。
【0055】
図2に示した大局行動DB38には、大局的な行動についてのテーブル(大局的な行動テーブル)が記憶される。図6は、大局的な行動テーブルの一例を示す図解図である。図6に示すように、大局的な行動テーブルでは、行動IDに対応して移動軌跡および買うものが記述される。行動IDは、大局的な行動を識別するための識別情報であり、たとえば、3文字のアルファベットで示される。移動軌跡は、大局的な行動であると判断された移動軌跡であり、上述したように、複数の客について検出した移動軌跡をまとめたデータ(軌跡データ)が移動軌跡の欄に記述される。ただし、図6では、1つの行動IDに対して1つの軌跡データを記述するようにしてあるが、軌跡データは2つ以上記述されることもある。さらに、買うものは、行動IDが示す大局的な行動が行われた場合に、複数の客が購入した商品、または、複数の客が購入した頻度が比較的高かった商品である。たとえば、大局的なテーブルは、比較的長期間(一週間〜一カ月程度)において、多数の客の各々について移動軌跡および購入した商品を検出することにより、経験的に作成されたテーブルである。
【0056】
図2に戻って、通信LANボード40は、たとえば、DSPで構成され、CPU30から与えられた送信データを無線通信装置42に出力し、無線通信装置42は、送信データをネットワーク20を介して商品リスト作成装置60に送信する。たとえば、送信データとしては、商品の価格を通知するデータ(価格データ)である。また、無線LANボード40は、無線通信装置42を介してデータを受信し、受信したデータをCPU30に与える。たとえば、受信するデータは、商品リスト作成装置60からの価格の問い合わせを通知するデータ(問い合わせデータ)や商品の削除を通知するデータ(削除データ)である。
【0057】
また、図7は図1に示したショッピングカート50に搭載された商品リスト作成装置60の詳細を示す図解図である。図7に示すように、商品リスト作成装置60は、CPU62を含み、CPU62には、タグリーダ64、表示装置66、メモリ68および通信LANボード70が接続される。また、無線LANボード70には、無線通信装置72が接続され、さらに、この無線通信装置72には、アンテナ74が接続される。
【0058】
なお、商品リスト作成装置60は、汎用のコンピュータにタグリーダ64を接続することにより、構成することができる。
【0059】
CPU62は、商品リスト作成装置60の全体的な制御を司る。タグリーダ64は、無線タグ(RFIDタグ)から送信される識別情報の重畳された電波を受信し、受信した電波信号を増幅し、増幅した電波信号から識別情報を分離する。そして、タグリーダ64は、分離した識別情報(RFID)を復調(デコード)してCPU62に与える。上述したように、無線タグは各商品に装着されており、タグリーダ64は、ショッピングカート50に出し入れされる商品に装着された無線タグのRFIDを検出する。
【0060】
なお、この実施例では、無線タグとしては、パッシブ型のものが用いられるが、アクティブ型のものを用いることもできる。
【0061】
表示装置66は、たとえばLCDであり、ショッピングカート50内の商品についての商品ID、各商品の価格、商品の数、小計および合計を含む商品リスト(図8参照)を表示するために用いられる。メモリ68は、たとえばRAMであり、その商品リストのデータ(商品リストデータ)などを記憶する。
【0062】
図8は、商品リストの一例を示す。図8に示すように、商品リストには、商品IDに対応して、商品名、時刻、価格(単価)、数(個数)および小計が記述され、さらに、合計が記述される。商品IDの欄には、ショッピングカート50に入れられている商品についての商品IDが記述される。また、商品名の欄には、ショッピングカート50に入れられている商品の名称が記述される。時刻は、対応する商品をショッピングカート50に入れた時刻(時分秒)であり、厳密には、価格決定装置12に価格を問い合わせたときに、当該価格決定装置12において取得された時刻である。価格の欄には、対応する商品についての単価(円)が記述される。数の欄には、ショッピングカート50に入れられている同一種類の商品の数(個数)が記述される。小計の欄には、商品毎の小計の金額(円)が記述される。合計の欄には、小計を合計した金額(円)が記述される。
【0063】
なお、商品名、時刻および価格は、商品リスト作成装置60からの問い合わせに応じて、価格決定装置12から通知される。
【0064】
このように、商品リストに時刻と価格とを記述するのは、客毎に、および同一客であっても商品をショッピングカート50に入れた時刻に応じて、商品の価格が異なる場合があるからである。また、ショッピングカート50に入れたときに適用された価格で清算するようにするためでもある。
【0065】
上述したように、システム10は、図9に示すような商業施設(ショッピングセンター)に適用される。ただし、図9は、ショッピングセンターを真上から鳥瞰的に見た見取り図(マップ)である。図9に示すように、ショッピングセンター内には、レジ(レジスタ)および陳列棚が配置される。図示は省略するが、商品が陳列される場所ないし位置は予め決定され、マップにはその位置の情報が登録されている。また、ショッピングセンター内には、上述したように、複数のLRF14が互いに計測領域が重なるように配置される。ただし、複数のLRF14の配置は、単なる一例であり、ショッピングセンターのレイアウトや検出領域を設定する範囲などに応じて適宜変更することができる。また、使用するLRF14の個数も例示の個数に限定される必要はない。
【0066】
なお、図9では、簡単のため、価格決定装置12、表示装置16およびショッピングカート50並びに人物(客および店員)は省略してある。
【0067】
客がショッピングカート50を使用してショッピングセンター内を移動すると、価格決定装置12は、各LRF14からの出力(距離データ)に基づいて、パーティクルフィルタを用いて、当該客の現在位置および移動速度を推定する。したがって、客が移動すると、推定される現在位置が変化し、移動軌跡が検出される。
【0068】
また、客が購入しようとする商品、すなわちショッピングカート50に入れた商品は、商品リストに登録される。上述したように、商品の価格が価格決定装置12に問い合わせられるため、価格決定装置12は、価格テーブルを参照して、商品名および価格を取得する。そして、価格決定装置12は、客情報テーブルにおいて、問い合わせしてきた商品リスト作成装置60についてのカートIDに対応して、取得した商品名を記述する。また、価格決定装置12は、取得した商品名および価格とともに、時刻(現在時刻)を、問い合わせしてきた商品リスト作成装置60に通知する。したがって、商品リスト作成装置60では、ショッピングカート50に入れられた商品の商品IDに対応して、商品名、時刻、価格、数および小計が記述される。
【0069】
なお、詳細な説明は省略するが、既にショッピングカート50に入れられている商品と同じ商品が入れられた場合には、商品リストには、既に商品ID等が記述されているため、価格の問い合わせは行われずに、数が加算されるだけである。
【0070】
たとえば、検出した移動軌跡で特定される客の大局的な行動が推定され、大局的な行動が推定された客に対して特別価格が適用される。具体的には、価格決定装置12は、上述したように、客の移動軌跡を検出し、検出した移動軌跡(説明の都合上、「第1移動軌跡」ということがある)が、大局的な移動テーブルに記述されている軌跡データに対応する移動軌跡(説明の都合上、「第2移動軌跡」ということがある)のいずれかに近似するかどうかを判断する。
【0071】
詳細な説明は省略するが、2つの移動軌跡が近似するかどうかは、たとえば、DPマッチング法によって一致する度合いを検出し、一致する度合いが一定以上であるかどうかで判断することができる。また、たとえば、2つの移動軌跡のそれぞれについて、時系列に従って客が曲がる方向(右または左)をラベリングし、ラベリングが一致している度合いが一定以上であるかどうかで判断することもできる。ただし、これらは単なる一例であり、他の方法によって、2つの移動軌跡が近似するかどうかを判断してもよい。
【0072】
第1移動軌跡が、いずれの第2移動軌跡にも近似しない場合には、価格決定装置12は、客の大局的な行動を推定しないため、特別価格が適用されることはない。一方、第1移動軌跡が、いずれかの第2移動軌跡に近似する場合には、さらに、価格決定装置12は、客のショッピングカート50に入っている商品が、大局的な行動テーブルにおいて、第1移動軌跡が近似する第2移動軌跡に対応して買うものの欄に記載された商品に所定数以上一致するかどうかを判断する。
【0073】
このような判断を行うのは、第1移動軌跡が第2移動軌跡に近似するだけで、第1移動軌跡で特定される客が何ら商品を購入しようとしていない場合や大局的な行動に対応して記述された買うもの以外の商品を購入している場合には、特別価格を適用する対象から外すためである。
【0074】
なお、所定数は、ショッピングセンターのオーナーや店長のような使用者が決定する数であり、1以上で設定される。
【0075】
ショッピングカート50内の商品と、買うものの欄に記載された商品とが所定数以上一致しない場合には、価格決定装置12は、特別価格を適用しないと判断する。したがって、客管理テーブルにおいて、当該客についての特別価格フラグはオンされない。つまり、特別価格フラグはオフのままである。このため、価格決定装置12は、それ以降も、通常価格を適用する。
【0076】
一方、ショッピングカート50内の商品と、買うもの欄に記載された商品とが所定数以上一致する場合には、価格決定装置12は、特別価格を適用すると判断する。したがって、客管理テーブルにおいて、当該客についての特別価格フラグはオンされる。このため、価格決定装置12は、それ以降に、客の第1移動軌跡等から推定される、当該客が購入しようとする商品であって、推定された大局的な行動に対応して買うものの欄に記載された商品についての価格を、特別価格に変更(設定)する。
【0077】
具体的には、価格決定装置12は、特別価格が適用されることが判定された客の現在位置、推定された大局的な行動についての第2移動軌跡、当該大局的な行動に対応して買うものの欄に記載された商品、およびカート内の商品から、当該客が次に購入しようとする商品、すなわち次にショッピングカート50に入れると考えられる商品を予測する。つまり、第2移動軌跡に沿って陳列される商品であって、買うものの欄に記載された商品のうち、カート内の商品に記載されていない商品を抽出し、抽出された商品が複数ある場合には、現在位置から最も近い位置に陳列されている商品が、次に購入しようとする商品として予測(決定)される。
【0078】
次に購入しようとする商品が予測されると、客の移動速度と、客の現在位置から予測した商品が陳列された場所(位置)までの距離とに基づいて、客がその位置に到達する時刻(到達時刻)を算出し、到達時刻になると、次に購入すると予測した商品の価格を特別価格で表示装置16に表示する。
【0079】
ただし、距離を移動速度で割ることにより、到達するまでにかかる時間(所要時間)が算出され、現在時刻に所要時間を加算することにより、到達時刻が算出される。また、距離は、現在位置と予測された商品の陳列位置との直線距離ではなく、客が移動する通路に沿った距離である。
【0080】
また、この実施例では、客毎に特別価格を適用するか否かを判断するようにしてあるため、他の客が同じ場所またはその近傍(たとえば、2m以内)に存在する場合には、表示装置16に特別価格を表示しないようにしてある。つまり、表示装置16には通常価格が表示されたままである。しかし、このような状況であっても、特別価格が設定されることは決定されているため、特別価格が適用される商品がショッピングカート50に入れられた場合には、その商品リスト作成装置60に設けられる表示装置66には、特別価格が表示される。
【0081】
また、特別価格が表示装置16に表示された後では、特別価格が適用された客とは異なる他の客がその場に近づいたり(2m以下に接近したり)、特別価格の適用を受ける客がその場から所定距離(たとえば、2m)以上離れたりした場合には、元の通常価格に戻される。
【0082】
図10は、図2に示した価格決定装置12に内蔵されるメモリ32のメモリマップ300を示す図解図である。図10に示すように、メモリ32は、プログラム記憶領域302およびデータ記憶領域304を含む。プログラム記憶領域302には、価格決定装置12の制御プログラムが記憶され、制御プログラムは、行動推定プログラム302a、価格表示プログラム302b、価格通知プログラム302cおよび客情報管理プログラム302dなどによって構成される。
【0083】
行動推定プログラム302aは、第1移動軌跡が、第2移動軌跡のいずれかに近似するかどうかを判断し、近似することが判断された場合に、客の行動(第1移動軌跡)を近似する第2移動軌跡についての大局的な行動として推定(決定)するためのプログラムである。
【0084】
価格表示プログラム302bは、商品の価格を表示装置16に表示したり、表示された内容を更新したりするためのプログラムである。価格通知プログラム302cは、商品リスト作成装置60からの価格の問い合わせに応じて、現在時刻、商品名および価格(通常価格または特別価格)を含む価格データを当該商品リスト作成装置60に送信するためのプログラムである。
【0085】
客情報管理プログラム302dは、客が使用するショッピングカート50、そのショッピングカート50に入れている商品および特別価格フラグの状態(オンまたはオフ)を管理するためのプログラムである。
【0086】
なお、図示は省略するが、プログラム記憶領域302には、客の現在位置および移動速度を推定するためのプログラムおよび通信プログラムなどの他のプログラムも記憶される。
【0087】
データ記憶領域304には、距離データバッファ304aが設けられる。また、データ記憶領域304には、予想データ304bおよびマップデータ304cが記憶される。
【0088】
距離データバッファ304aは、各LRF14から入力される距離データを、LRF14のそれぞれについて時系列に従って記憶(一時記憶)するためのバッファである。
【0089】
予想データ304bは、特別価格を設定することが判断された客が次にショッピングカート50に入れると予測される商品および当該商品が陳列された位置に到達することが予測される到達時刻についてのデータである。マップデータ304cは、各商品の陳列位置を含むショッピングセンターのマップ(図9参照)についてのデータである。
【0090】
なお、図示は省略するが、データ記憶領域304には、プログラム記憶領域302に記憶された制御プログラムの実行に必要な、他のデータが記憶されたり、フラグやカウンタ(タイマ)が設定されたりする。
【0091】
図11は、図7に示したメモリ68のメモリマップ400の一例を示す図解図である。図11に示すように、メモリ68は、プログラム記憶領域402およびデータ記憶領域404を含む。プログラム記憶領域402には、制御プログラムが記憶され、制御プログラムは、商品リスト作成プログラム402aなどによって構成される。また、商品リスト作成プログラム402aは、商品出し入れ検出プログラム410、商品・価格検出プログラム412および商品リスト表示プログラム414を含む。
【0092】
商品リスト作成プログラム402aは、図8に示したような商品リストを作成するためのプログラムである。商品出し入れ検出プログラム410は、ショッピングカート50への商品の出し入れを検出するためのプログラムである。図示は省略したが、ショッピングカート50には荷重検出装置も搭載され、荷重検出装置で検出される荷重についてのデータ(荷重データ)は、CPU62に与えられる。したがって、タグリーダ64から商品のRFIDが入力されたときに、検出される荷重データが示す荷重が増加すると、ショッピングカート50に商品が入れられたことが判断され、荷重が減少すると、ショッピングカート50から商品が出されたことが判断される。
【0093】
商品・価格検出プログラム412は、商品出し入れ検出プログラム410に従って商品が入れられたことが検出されると、商品名および価格を価格決定装置12に問い合わせる。また、商品・価格検出プログラム412は、商品出し入れ検出プログラム410に従って商品が出されたことが検出されると、同じ商品がショッピングカート50内に残っていない場合には、商品の削除を価格決定装置12に通知し、同じ商品がショッピングカート50内に残っている場合には、商品リストの数を1減算する。ただし、同じ商品がショッピングカート50内に残っているかどうかは、商品リストの当該商品の数に基づいて判断される。
【0094】
商品リスト表示プログラム414は、表示装置66に、商品リストを表示するためのプログラムである。
【0095】
図示は省略するが、プログラム記憶領域402には、通信プログラムなども記憶される。
【0096】
データ記憶領域404には、商品リストデータ404aが記憶される。商品リストデータ404aは、図8に示した商品リストについてのテーブルデータである。
【0097】
図示は省略するが、データ記憶領域404には、プログラム記憶領域402に記憶された制御プログラムの実行に必要な、他のデータが記憶されたり、フラグやカウンタ(タイマ)が設けられたりする。
【0098】
図12は、図2に示した価格決定装置12に内蔵されるCPU30の行動推定処理のフロー図である。図12に示すように、CPU30は、行動推定処理を開始すると、ステップS1で、終了かどうかを判断する。ここでは、システム10の使用者のようなオペレータから終了の指示が与えられたかどうかを判断する。後述する価格表示処理と、客情報管理および価格通知処理についても同様である。
【0099】
ステップS1で“YES”であれば、つまり終了であれば、そのまま行動推定処理を終了する。一方、ステップS1で“NO”であれば、つまり終了でなければ、ステップS3で、変数nに1を設定する。ここで、nはショッピングセンター内に存在する客を個別に識別するための変数である。たとえば、ショッピングセンターに入り、LRF14の出力に基づいて、現在位置および移動速度の推定が開始された客に対して、1から順に数字(整数)が付され、たとえば、この数字が変数nに対応する。
【0100】
続くステップS5では、変数nが最大値を超えているかどうかを判断する。つまり、CPU30は、ショッピングセンター内のすべての客について行動推定処理を実行したかどうかを判断する。ステップS5で“YES”であれば、つまりすべての客について行動推定処理を実行すれば、ステップS1に戻る。したがって、終了されるまでは、すべての客についての行動推定処理が繰り返される。
【0101】
一方、ステップS5で“NO”であれば、つまり行動推定処理を実行していない客が存在すれば、ステップS7で、変数nで示される客の大局的な行動が推定されているかどうかを判断する。つまり、客情報テーブルにおいて、当該客の移動軌跡に対応して、行動IDが記述されているかどうかを判断する。ステップS7で“YES”であれば、つまり変数nで示される客の大局的な行動が推定されていれば、そのままステップS15に進む。
【0102】
一方、ステップS7で“NO”であれば、つまり変数nで示される客の大局的な行動が推定されていなければ、ステップS9で、変数nで示される客の位置履歴を取得する。つまり、変数nが示す番号を含む軌跡データが客情報テーブルから取得される。
【0103】
なお、図示は省略するが、CPU30は、別のタスクを実行することにより、LRF14の出力に基づいて、各客の現在位置および移動速度を推定し、推定した現在位置が時系列に従って客毎に客情報テーブルに登録する。
【0104】
続くステップS11では、変数nで示される客の大局的な行動を推定する。ここでは、ステップS9で取得した軌跡データに対応するヂア1移動軌跡が、大局的な行動テーブルに記憶された軌跡データに対応する第2移動軌跡のいずれかに近似するかどうかが判断される。この判断手法等は、上述したとおりである。
【0105】
次のステップS13では、変数nの大局的な行動を記憶する。ここでは、ステップS11で推定した大局的な行動についての行動IDまたは大局的な行動が推定されないこと(空白)が客情報テーブルの大局的な行動の欄に記憶される。そして、ステップS15で、変数nを1加算し(n=n+1)、ステップS5に戻る。
【0106】
図13および図14は、図2に示した価格決定装置12に内蔵されるCPU30の価格表示処理を示すフロー図である。詳細な説明は省略するが、この価格表示処理は、大局的な行動が推定された客毎に実行される。ここでは、着目する1人の客(「当該客」という)についての価格表示処理について説明するが、他の客についても同様である。また、このような価格表示処理は、上述した行動推定処理とは別のタスクで並列的に実行される。さらに、図示は省略するが、この価格表示処理とは別のタスクによって、価格決定装置12は、各表示装置16に通常価格を表示する処理を実行している。
【0107】
図13に示すように、CPU30は、価格表示処理を開始すると、ステップS31で、終了かどうかを判断する。ステップS31で“YES”であれば、つまり終了であれば、そのまま価格表示処理を終了する。一方、ステップS31で“NO”であれば、つまり終了でなければ、ステップS33で、特別価格フラグがオンであるかどうかを判断する。ここでは、CPU30は、客情報テーブルを参照して、当該客についての特別価格フラグがオンであるかどうかを判断する。
【0108】
ステップS33で“NO”であれば、つまり特別価格フラグがオンでなければ、そのままステップS31に戻る。一方、ステップS33で“YES”であれば、つまり特別価格フラグがオンであれば、ステップS35で、次にカートに入れると予測される商品を決定する。次のステップS37では、到達する時刻を予測する。つまり、ステップS35およびS37の処理によって、予測データ304bが生成および記憶される。
【0109】
続いて、ステップS39では、予測した時刻になったかどうかを判断する。ここでは、CPU30は、RTC30aから取得した現在時刻が、予測データ304bが示す予測時刻になったかどうかを判断する。ステップS39で“NO”であれば、つまり予測した時刻になっていなければ、そのままステップS39に戻る。一方、ステップS39で“YES”であれば、つまり予測した時刻になれば、図14に示すステップS41で、予測した商品が陳列されている位置の近傍に他の客が居るかどうかを判断する。ここでは、CPU30は、客情報テーブルを参照して、各客の推定された現在位置を抽出し、マップデータ304cを参照して、予測した商品が陳列されている場所の近傍(たとえば、2m以内)に、当該客とは異なる客が存在するかどうかを判断するのである。
【0110】
ステップS41で“YES”であれば、つまり予測した商品が陳列されている場所の近傍に他の客が居る場合には、そのままステップS45に進む。一方、ステップS41で“NO”であれば、つまり予測した商品が陳列されている場所の近傍に他の客が居ない場合には、ステップS43で、当該商品の価格の表示を変化させて、ステップS45に進む。ただし、ステップS43では、CPU30は、価格テーブルを参照して、予測した商品についての現在時刻に対応する特別価格を読み出し、当該商品の価格を表示する表示装置16に、読み出した特別価格を表示する。
【0111】
ステップS45では、当該客が当該商品の棚から離れたかどうかを判断する。ここでは、CPU30は、マップデータ304cを参照して、当該客の現在位置が推定した商品が陳列される場所から所定距離(たとえば、2m)以上離れているかどうかを判断する。ステップS45で“YES”であれば、当該客が当該商品の棚から離れれば、そのままステップS49に進む。一方、ステップS45で“NO”であれば、つまり当該客が当該商品の棚から離れていなければ、ステップS47で、当該商品が陳列されている場所の近傍に他の客が居るかどうかを判断する。この判断手法は、ステップS41と同じであるため、重複した説明は省略する。
【0112】
ステップS47で“NO”であれば、つまり当該商品が陳列されている場所の近傍に他の客が居ない場合には、そのままステップS45に戻る。一方、ステップS47で“YES”であれば、つまり当該商品が陳列されている場所の近傍に他の客が居る場合には、ステップS49で、当該商品の価格を元の通常価格に戻す。つまり、CPU30は、価格テーブルを参照して、現在時刻における当該商品についての通常価格を読み出して、当該商品の価格を表示する表示装置16に、読み出した通常価格を表示する。
【0113】
そして、ステップS51では、終了かどうかを判断する。ここでは、CPU30は、オペレータによって終了の指示が入力されたり、当該客が買い物を終了したりしたかどうかを判断する。たとえば、当該客がレジで精算した場合に、買い物を終了したと判断することができる。
【0114】
ただし、清算したかどうかは、当該客がレジの前に一定時間(たとえば、1分)以上滞在していたかどうかで判断される。または、レジ係の店員が、ショッピングカート50に設けられた清算ボタン(図示せず)を操作し、清算ボタンの操作に応じて商品リスト作成装置60から清算したことが価格決定装置12に通知されてもよい。
【0115】
ステップS51で“NO”であれば、つまり終了でなければ、図13に示したステップS35に戻る。一方、ステップS51で“YES”であれば、つまり終了であれば、そのまま当該客についての価格表示処理を終了する。
【0116】
図15および図16は、図2に示した価格決定装置12に内蔵されたCPU30の客情報管理および価格通知処理を示すフロー図である。ただし、この客情報管理および価格通知処理は、上述した行動推定処理および価格表示処理とは異なるタスクで並列的に実行される。
【0117】
図15に示すように、CPU30は、客情報管理および価格通知処理を開始すると、ステップS61で終了かどうかを判断する。ステップS61で“YES”であれば、つまり終了であれば、そのまま客情報管理および価格通知処理を終了する。一方、ステップS61で“NO”であれば、つまり終了でなければ、ステップS63、いずれかの商品リスト作成装置60から価格の問い合わせがあるかどうかを判断する。つまり、CPU30は、問い合わせデータを受信したかどうかを判断する。
【0118】
ステップS63で“NO”であれば、つまり価格の問い合わせがなければ、ステップS65で、いずれかの商品リスト作成装置60から商品の削除通知があるかどうかを判断する。つまり、CPU30は、削除データを受信したかどうかを判断する。ステップS65で“NO”であれば、つまり商品の削除通知がなければ、そのままステップS61に戻る。一方、ステップS65で“YES”であれば、つまり商品の削除通知があれば、ステップS69で、当該客のカート内の商品を削除する。つまり、CPU30は、客情報テーブルにおいて、削除通知を送信してきた商品リスト作成装置60を搭載したショッピングカート50のカートIDに対応して記述されたカート内の商品から当該削除通知が示す商品を削除する。
【0119】
続くステップS69では、当該客のカート内に所定の商品が有るかどうかを判断する。この実施例では、CPU30は、カート内の商品が、大局的な行動テーブルで特定された行動IDに対応して記述された買うもの欄の商品と所定数以上一致するかどうかを判断するのである。ステップS69で“YES”であれば、つまり当該客のカート内に所定の商品が有る場合には、そのままステップS61に戻る。一方、ステップS69で“NO”であれば、つまり当該客のカート内で所定の商品が足りていない場合には、ステップS71で、客情報テーブルにおいて、当該客の特別価格フラグをオフして、ステップS61に戻る。
【0120】
また、ステップS63で“YES”であれば、つまり価格の問い合わせがある場合には、ステップS73で、当該客のカート内に商品を追加する。ここでは、問い合わせのあった商品(商品ID)に対応する商品名を価格テーブルから取得し、当該客のカート内の商品に追加する。続くステップS75では、当該客のカート内に所定の商品があるかどうかを判断する。この判断手法は、ステップS69と同じである。
【0121】
ステップS75で“NO”であれば、つまり当該客のカート内で所定の商品が足りていない場合には、そのまま図16に示すステップS79に進む。一方、ステップS75で“YES”であれば、つまり当該客のカート内に所定の商品が入っている場合には、ステップS77で、客情報テーブルにおいて、当該客についての特別価格フラグをオンして、ステップS79に進む。
【0122】
図16に示すように、ステップS79では、RTC30aから現在時刻を取得する。次のステップS81では、当該客の特別価格フラグがオンかどうかを判断する。つまり、CPU30は、客情報テーブルを参照して、当該客の特別価格フラグがオンかどうかを判断する。ステップS81で“NO”であれば、つまり当該客の特別価格フラグがオフであれば、ステップS83で、価格テーブルを参照して、問い合わせのあった商品について、現在時刻に対応して記述された通常価格を取得し、ステップS89に進む。一方、ステップS81で“YES”であれば、つまり当該客の特別価格フラグがオンであれば、ステップS85で、問い合わせのあった商品が特別価格の適用がある商品であるかどうかを判断する。ここでは、CPU30は、問い合わせのあった商品が、当該客について推定された大局的な行動に対応して買うものの欄に記述された商品であるかどうかを判断する。
【0123】
ステップS85で“NO”であれば、つまり問い合わせのあった商品が特別価格の適用がない商品であれば、ステップS83に進む。一方、ステップS85で“YES”であれば、つまり問い合わせのあった商品が特別家格の適用がある商品であれば、ステップS87で、価格テーブルを参照して、問い合わせのあった商品について、現在時刻に対応して記述された特別価格を取得し、ステップS89に進む。ステップS89では、現在時刻、商品名および価格(通常価格または特別価格)を、問い合わせのあった商品リスト作成装置60に通知して、図15に示したステップS61に戻る。
【0124】
図17および図18は、図8に示した商品リスト作成装置60に内蔵されるCPU62の商品リスト作成処理のフロー図である。ただし、この商品リスト作成処理は、商品リスト作成装置60毎に実行される。ここでは、或る1つの商品リスト作成装置60について説明するが、他の商品リスト作成装置60についても同様である。
【0125】
図17に示すように、CPU62は、商品リスト作成処理を開始すると、ステップS101で終了かどうかを判断する。ここでは、外部機器(たとえば、価格決定装置12)によって終了指示が入力されたかどうかを判断する。ただし、詳細な説明は省略するが、商品リスト作成装置60の電源は、当該商品リスト作成装置60を搭載したショッピングカート50を使用する客によってオンされ、商品リスト作成処理が開始される。
【0126】
ステップS101で“YES”であれば、つまり終了であれば、そのまま商品リスト作成処理を終了する。図示は省略するが、その後、商品リスト作成装置60の電源がオフされる。一方、ステップS101で“NO”であれば、つまり終了でなければ、ステップS103で、商品がショッピングカート50に入れられたかどうかを判断する。ここでは、CPU30は、タグリーダ64からRFID(商品ID)が入力され、かつショッピングカート50内の荷重が増加したかどうかを判断する。
【0127】
ステップS103で“NO”であれば、つまり商品がショッピングカート50に入れられていなければ、そのまま図18に示すステップS111に進む。一方、ステップS103で“YES”であれば、つまり商品がショッピングカート50に入れられれば、ステップS105で、当該商品についての商品名および価格を、価格決定装置12に問い合わせる。たとえば、問い合わせであることを示すヘッダ情報とRFID(商品ID)と含む問い合わせデータがネットワーク20を介して価格決定装置12に送信される。
【0128】
続いて、ステップS107では、価格決定装置12から、現在時刻、商品名および価格を含む価格データを受信(取得)し、商品IDとともに、これらの情報を商品リストに追加する。そして、ステップS109で、商品リストを表示装置66に表示して、ステップS111に進む。ただし、ステップS109では、既に商品リストが表示されている場合には、表示されている商品リストが更新される。
【0129】
図18に示すように、ステップS111では、商品がカートから出されたかどうかを判断する。つまり、商品が陳列棚に戻されたかどうかを判断する。具体的には、CPU30は、タグリーダ64からRFID(商品ID)が入力され、かつショッピングカート50内の荷重が減少したかどうかを判断する。
【0130】
ステップS111で“NO”であれば、つまり商品がカートから出されていない場合には、そのまま図17に示したステップS101に戻る。一方、ステップS111で“YES”であれば、つまり商品がカートから出された場合には、ステップS113で、当該商品を商品リストから削除する。つまり、ショッピングカート50から出された商品の商品ID、商品名、時刻および価格が消去される。
【0131】
続くステップS115では、商品リストを表示装置66に表示(更新)する。そして、ステップS117で、カートから取り出した商品の削除通知(削除データ)を価格決定装置12に送信して、ステップS101に戻る。
【0132】
なお、図18では、商品が取り出されると、当該商品を商品リストから削除し、削除データを価格決定装置12に送信するようにしてあるが、上述したように、取り出した商品と同じ商品がショッピングカート50内に残っている場合には、商品リストにおいて、当該商品の数が1減算されるだけである。
【0133】
この実施例によれば、買い物する客の移動軌跡から大局的な行動を推定し、大局的な行動に対応して予め登録されている商品を当該客が購入する場合に、当該商品の特別価格が適用されるので、客毎に価格を変動させるような新しいサービスを提供することができる。したがって、サービスのバリエーションを豊富にすることができる。
【0134】
なお、この実施例では、移動軌跡から大局的な行動を推定し、所定の商品をショッピングカートに入れている場合に、特別価格を適用するようにしてあるが、単に、大局的な行動が推定された場合に、特別価格を適用するようにしてもよい。また、特別価格が適用された場合には、既にショッピングカート内に入れてある商品の価格も特別価格に変更されてよい。
【0135】
また、この実施例では、一旦特別価格が適用されることが決定された後に、商品を陳列棚に戻すことにより、所定の商品が足りていない場合には、特別価格の適用を解除するようにしたが、特別価格の適用を解除せずに維持するようにしてもよい。または、特別価格の適用を解除したときには、カート内の商品をすべて通常価格に戻すようにしてもよい。
【0136】
さらに、この実施例では、特別価格を適用することが判断されると、推定された大局的な行動に対応して買うものの欄に記載された商品を特別価格に変更するようにしたが、特別価格を適用することが判断された後では、いずれの商品についても特別価格が適用されるようにしてもよい。かかる場合には、ステップS85の処理を削除すればよい。
【0137】
さらにまた、この実施例では、一旦大局的な行動が推定されると、それが維持されるようにしたが、大局的な行動が推定された後に、第1移動軌跡が、推定された大局的な行動についての第2移動軌跡と近似しなくなった場合には、その推定を取り消すようにしてもよい。かかる場合には、特別価格の適用も取り消される。また、かかる場合には、ショッピングカート内の商品についても特別価格の適用が取り消されてもよい。
【0138】
また、この実施例では、大局的な行動テーブルに記憶(登録)されているすべての大局的な行動について特別価格を適用するようにしたが、一部の大局的な駆動について特別価格を適用するようにしてもよい。
【0139】
また、この実施例では、価格が変動されるようにしたが、商品を購入することによってポイントが付される場合には、当該ポイントを付す量ないし割合を変化させてもよい。
【符号の説明】
【0140】
10 …価格決定システム
12 …価格決定装置
14 …LRF
16、66 …表示装置
30、62 …CPU
32、64 …メモリ
34、36、38 …データベース
40、70 …通信LANボード
42、72 …無線通信装置
60 … 商品リスト作成装置
64 … タグリーダ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
或る商業施設において販売される商品の価格を決定する価格決定装置であって、
前記商業施設内を移動する客の第1軌跡を検出する軌跡検出手段、
前記軌跡検出手段によって検出された前記第1軌跡が予め決定された第2軌跡であるかどうかを推定する推定手段、および
前記推定手段によって前記第1軌跡が前記第2軌跡であることが推定されたとき、前記客が購入しようとする商品の価格を通常価格から特別価格に変更する価格変更手段を備える、価格決定装置。
【請求項2】
前記第2軌跡に対応付けて複数の商品を記憶する商品記憶手段、および
前記客が購入しようとする商品を検出する商品検出手段をさらに備え、
前記価格変更手段は、前記商品検出手段によって検出された商品と、前記推定手段によって推定された第2軌跡に対応づけて前記商品記憶手段に記憶された複数の商品とが所定数以上一致するとき、前記客が購入しようとする商品の価格を特別価格に変更する、請求項1記載の価格決定装置。
【請求項3】
各々の前記商品についての陳列位置を含む前記商業施設についてのマップデータを記憶するマップ記憶手段、
各々の前記商品についての価格を表示する価格表示手段、および
前記価格変更手段によって前記通常価格から前記特別価格に変更することが決定されたとき、前記客が次に購入しようとする商品を、前記推定手段によって推定された第2軌跡と、前記マップ記憶手段に記憶されたマップデータと、前記第2軌跡に対応づけられた複数の商品と、前記商品検出手段によって検出された当該客が購入しようとする商品とから予測する商品予測手段をさらに備え、
前記価格表示手段は、前記商品予測手段によって前記客が次に購入しようとする商品が予測されたとき、前記価格表示手段によって表示される当該商品についての価格を前記特別価格で表示する、請求項1記載の価格決定装置。
【請求項4】
前記価格表示手段は、前記商品予測手段によって予測された商品の陳列位置の第1所定距離以内に前記客以外の客が存在するとき、または、前記客が前記商品予測手段によって予測された商品の陳列位置から第2所定距離以上離れたとき、前記特別価格を前記通常価格に戻す、請求項3記載の価格決定装置。
【請求項5】
或る商業施設において販売される商品の価格を決定する価格決定装置、および
客が購入しようとする商品のリストを作成するリスト作成装置を備える価格決定システムであって、
前記価格決定装置は、
前記商業施設内を移動する客の第1軌跡を検出する軌跡検出手段、
前記軌跡検出手段によって検出された前記第1軌跡が予め決定された第2軌跡であるかどうかを推定する推定手段、
前記推定手段によって前記第1軌跡が前記第2軌跡であることが推定されたとき、前記客が購入しようとする商品の価格を通常価格から特別価格に変更する価格変更手段、
前記リスト作成装置から問い合わせがあったとき、前記価格変更手段によって前記通常価格から前記特別価格に変更されているかどうかを判断する価格判断手段、および
前記価格判断手段の判断結果に応じて、前記リスト作成装置に、前記通常価格または前記特別価格を通知する価格通知手段を備え、
前記リスト作成装置は、
前記客が購入しようとする商品の価格を前記価格決定装置に問い合わせる問い合わせ手段、および
前記問い合わせ手段の問い合わせに応じて通知された前記通常価格または前記特別価格を前記客が購入しようとする商品の価格として前記商品のリストに登録するリスト登録手段を備える、価格決定システム。
【請求項6】
或る商業施設において販売される商品の価格を決定する価格決定プログラムであって、
コンピュータを、
前記商業施設内を移動する客の第1軌跡を検出する軌跡検出手段、
前記軌跡検出手段によって検出された前記第1軌跡が予め決定された第2軌跡であるかどうかを推定する推定手段、および
前記推定手段によって前記第1軌跡が前記第2軌跡であることが推定されたとき、前記客が購入しようとする商品の価格を通常価格から特別価格に変更する価格変更手段として機能させる、価格決定プログラム。
【請求項7】
或る商業施設において販売される商品の価格を決定する価格決定方法であって、
コンピュータは、
(a)前記商業施設内を移動する客の第1軌跡を検出し、
(b)前記ステップ(a)によって検出された前記第1軌跡が予め決定された第2軌跡であるかどうかを推定し、そして
(c)前記ステップ(b)によって前記第1軌跡が前記第2軌跡であることが推定されたとき、前記客が購入しようとする商品の価格を通常価格から特別価格に変更する、価格決定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−208575(P2012−208575A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−71978(P2011−71978)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)JST戦略的創造研究推進事業/チーム型研究(CREST)、研究領域「共生社会に向けた人間調和型情報技術の構築」、研究課題名「ロボットによる街角の情報環境の構築」、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(393031586)株式会社国際電気通信基礎技術研究所 (905)
【Fターム(参考)】