説明

便器と洗浄便座装置

【課題】排便行為中に臭気が臭わない便器と、また、排便局部洗浄行為後にトイレットペーパーの要らない洗浄便座装置を提供する。
【解決手段】洗浄噴射ノズル15からは水と空気が混ざったミスト水を噴射し、排便局部洗浄後に水だけが止まり空気噴射に切り替わり、排便局部の水滴を飛ばすことができる。更に、男性の陰部を洗浄し加圧空気により水滴を飛ばすことが可能な噴射ノズル16を便座10の手前側に備えた。 次に、排便行為中に、ボウル内の臭気を負圧吸引または室内加圧により便器2の洗浄水放出口20から屋外へ放出排気することが可能な機構を設け、更に、排気専用口65を備え屋外へ放出排気することが可能な機構を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排便行為中、臭気を屋外へ放出排気が可能な便器とトイレットペーパーが要らない洗浄便座装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、洋式便器と洗浄便座装置との組み合わせで飛躍的に衛生面や快適性が向上したと言える。
洗浄便座装置には脱臭機能としてイオンや活性炭また脱臭触媒カートリッジを使用するなど、また、排便局部洗浄後にトイレットペーパーの要らない温風乾燥機能を採用した最新の洗浄便座装置も多く販売されている。
しかし、未だに解決していないのが経済的で環境に優しく効果的な脱臭方式や、また、トイレットペーパーが要らない方式の便器と洗浄便座装置がないことである。
【0003】
ところで、排便行為中の脱臭方法としては、いろいろな方式(例えば、特許文献1、2参照。)等が公知となっている。
【特許文献1】特開2005−021188号公報
【特許文献2】実開平06−060677号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1また2の脱臭方式は、脱臭後の空気がトイレ室内に直接戻され循環するので活性炭カートリッジ等の脱臭効果が低下すれば臭気が漂うことになることから脱臭機能の維持管理を含め弱点がある。
また、排便局部洗浄行為後にトイレットペーパーの要らない温風乾燥機能を搭載した洗浄便座装置もあるが、乾燥に時間がかかり、せっかく温風乾燥機能を搭載していても使用しない人が多いとの報告がある。
【0005】
本発明の目的は、上記事情に鑑み排便行為中に臭気が臭わない便器の提供と、また、排便局部洗浄行為後にトイレットペーパーの要らない洗浄便座装置の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため本発明は、以下の技術的手段を講じた。
第1に、便器に装備する洗浄便座装置であって、洗浄噴射ノズルからは水と空気が混ざったミスト水を噴射し排便局部洗浄後に水だけが止まり空気噴射に切り替わり、更に、前記洗浄噴射ノズルに加圧空気が付加され空気噴射することによって排便局部の水滴を飛ばすことができる洗浄便座装置にしている。
【0007】
第2に、洗浄便座装置に、男性の陰部を洗浄し加圧空気により水滴を飛ばすことが可能な噴射ノズルを便座の手前側に備えた洗浄便座装置にしている。
【0008】
第3に、前記洗浄噴射ノズルや前記噴射ノズルからミスト水を噴射する系統には、水系統と空気系統を有しそれぞれ量調整機能付開閉弁を備えていて、更に、排便局部の水滴を飛ばす空気系統にも量調整機能付開閉弁を備えた洗浄便座装置にしている。
【0009】
第4に、排便行為中に、ボウル内の臭気を負圧吸引または室内加圧により便器の洗浄水放出口から屋外へ放出排気することが可能な機構を有する便器にしている。
【0010】
第5に、前記技術的手段の第4の便器に、更に、排気専用口を備え屋外へ放出排気することが可能な機構を有する便器にしたことである。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係わる、上記技術的手段の第1から第5の洗浄便座装置と便器との組み合わせにより排便行為中に臭気が臭うことがなく、また、排便局部洗浄行為後にトイレットペーパーが必要なくなるのである。
【0012】
それは、排便行為中に、ボウル内の臭気を負圧吸引または室内加圧により便器の洗浄水放出口から屋外へ放出排気することが可能な機構を有する便器にしたことと、また、水と空気が混ざったミスト水を洗浄噴射ノズルから噴射し排便局部洗浄後に加圧空気で排便局部の水滴を飛ばすことができるからである。
更に、ミスト水による洗浄は、高い洗浄効果が得られ節水にも結び付くし、排便局部の刺激も少なく快適で効果的な洗浄が得られる。
応用事例として、ミスト水による洗浄は高い洗浄性と節水効果を得られることが実証されており、既に、米国のラスベガス地区のホテルでは浴室のシャワーに採用されている。
【0013】
このような洗浄便座装置を使用すればトイレットペーパーの使用は排除できるので、下水道の処理負荷が軽減でき、また、古紙類の用途先の見直しを含め地球に優しい洗浄便座装置が提供できる。
【0014】
次に、上記技術的手段の第4また第5の便器では、排便行為中、ボウル内の臭気を負圧吸引または室内加圧により便器の洗浄水放出口穴から屋外へ放出排気することが可能な機構を有する便器となっているので、臭気の流れは一方通行の流れを示し臭気が漂うこともなく快適な排便行為が実現できるのである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態に基づいて図面を参照し詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態の全体図で、便器と洗浄便座装置の全体の姿の概略図である。この便器と洗浄便座装置の図1では、洗浄便座装置1、便器2、便座10、洗浄噴射ノズル15、噴射ノズル16、洗浄水放出口20、排気ダクト21、水タンク25、オーバーフロー管26、水栓27、鎖28、レバー29を図示している。
【0016】
図2は、本発明の第一実施形態で、洗浄便座装置に内蔵される大便用とビデ用の洗浄噴射ノズルと男性の陰部用の噴射ノズルに接続している水系統と空気系統の概略図である。
図2の(a)(b)(c)に示すように、大便用とビデ用の洗浄噴射ノズル15には量調整機能付開閉弁71を通過した水と、また、量調整機能付開閉弁81を通過した空気とが混合部41で混合され、ミスト水はホース85を通じて洗浄噴射ノズル15に供給噴射される。
また、排便局部洗浄後は量調整機能付開閉弁71を閉止して空気のみが洗浄噴射ノズル15に供給噴射される機構となっている。
次に、排便局部洗浄後の前記洗浄噴射ノズル15には排便局部の水滴を飛ばすことができる加圧空気が量調整機能付開閉弁82とホース89を通じて供給噴射できる機構となっている。
【0017】
更に、便座10には男性の陰部用の噴射ノズル16が取り付けられており、水と空気が流れるようになっていて、量調整機能付開閉弁76を通過した水と、また、量調整機能付開閉弁86を通過した空気とが混合部46で混合されミスト水としてチューブ17を通り噴射ノズル16に供給噴射される。そして、洗浄後は空気のみが噴射ノズル16から供給噴射し水滴を飛ばすことができる機構となっている。
以上、洗浄噴射ノズル15と噴射ノズル16の機構を備えた洗浄便座装置1とすることで、排便局部洗浄行為後にトイレットペーパーが必要なくなるのである。
【0018】
図2の(b)(c)では、洗浄噴射ノズル15からのミスト水の噴射方向と加圧空気の噴射方向を図示している。
特に、水滴を飛ばす加圧空気の噴射ノズル位置55はミスト水の噴射ノズル位置51より上方に位置し、効果的に水滴を飛ばし乾燥する噴射位置と噴射角度と方向を示している。
尚、図2では、供給噴射する水と空気の温度調整ヒーター部位は省略している。
【0019】
図3は、本発明の第二実施形態で、排便行為中の臭気を負圧吸引により屋外へ放出排気できる便器の概略図である。
図3に示すように、便器2の洗浄水放出口20は二か所で渦巻きを利用し効果的にボウル内を洗浄する方式で、洗浄水放出口20の一つひとつは大口径となっている。
この洗浄水放出口20に臭気を吸い込ませて屋外へ放出排気するようになっている。
【0020】
図示にしたがって説明すると、
先ず、便座に座ると臭気排気ファン40が稼働し負圧吸引を開始する。
排便行為中は、ボウル内の臭気を洗浄水放出口20に吸い込ませ排気ダクト21を通じ臭気排気ファン40を通過し虫避け金網30を経て屋外へ放出排気する臭気の流れを示している。
一方、水タンク25のオーバーフロー管26は洗浄水放出口20と排気ダクト21とも連通しているが、負圧吸引によってオーバーフロー管26の入口から吸い込みが起こらぬように入口先端には水封機構が設けてある。
このように、排便行為中はボウル内の臭気を負圧吸引し屋外へ放出排気することが可能な機構を有する便器2となっているので、臭気の流れは一方通行を示し臭気が漂うこともなく快適な排便行為が実現できるのである。
【0021】
次に、ボウル内の排便を排出するためにレバー29を操作すると鎖28によって水栓27が開放し、水タンク25内の水が一気に洗浄水放出口20から放出し排便洗浄開始から排水また給水までの排便洗浄工程が完了する。
前記排便洗浄工程を過ぎても一定時間、臭気排気ファン40は稼働状態を保つが、その際も、水タンク25内の水が排気ダクト21を経て臭気排気ファン40に吸い込まれることがないように水タンク25内の最高水位より排気ダクト21を立ち上げ、その先に臭気排気ファン40を取り付けている。
また、臭気排気ファン40の性能として、排気容量は大きいが負圧吸引力の弱いファンを選定しているので水が臭気排気ファン40に吸い込まれることがないのである。
【0022】
このように、洗浄水放出口20は臭気の吸引通路口として、また、洗浄水の放出通路口として共用している。
その為、洗浄水放出口20の洗浄は毎回繰り返されているので常に清潔に維持されている。
【0023】
図4は、本発明の第三実施形態で、排便行為中のトイレ室内を正圧にすることにより臭気を屋外へ放出排気できる便器の概略図である。
図4に示すように、この便器2は水タンク25を有せず、数多くの洗浄水放出口60が周囲に配列されていてボウル内を洗浄する方式で、洗浄水放出口60の一つひとつは小口径となっている。
この洗浄水放出口60に臭気を逆流させて屋外へ放出排気できる機構となっている。
更に、便器2には排気専用口65を別に設け臭気を屋外へ連続排気できるようになっている。
このことによって、第二実施形態ではできなかった便器2の排便洗浄開始から排水また給水完了までの排便洗浄工程の間も臭気を屋外へ連続排気できるようにした。
【0024】
図示にしたがって説明すると、
先ず、気密保持できるトイレ室のドアーを閉めて便座10に座ると加圧ファン90が稼働しトイレ室内が加圧され正圧を保持する。
排便行為中は、ボウル内の臭気は洗浄水放出口60から排気ダクト21を通り虫避け金網30を経て屋外へ放出排気する臭気の流れを示している。
また、臭気は排気専用口65にも流れ込み排気ダクト61を通じて屋外へ連続排気される。
【0025】
次に、排気ダクト21は立ち上がっていて、前記排気ダクト21の屋外放出部の近傍に排気専用口65からの排気ダクト61が接合し、両方の排気ダクト21と排気ダクト61が一本に集合してから外壁を貫通している。
以上、図示にしたがって説明した技術内容以外は、前記第二実施形態と略同様で同機能であり詳細は省略する。
【0026】
尚、本発明の実施形態に限らず、以下のような変更が可能である。
本発明の図2の第一実施形態では、水滴を飛ばす加圧空気の噴射ノズル位置55はミスト水の噴射ノズル位置51より上方に位置し、効果的に水滴を飛ばし乾燥する噴射位置と噴射角度と方向としたが、
別方式の、洗浄噴射ノズル15を前後させ位置調整する方式の採用で加圧空気の噴射ノズル位置55とミスト水を噴射ノズル位置51を集合し統合する手段を講ずれば、加圧空気系統の量調整機能付開閉弁82をなくしてもよい。
【0027】
また、既存の洗浄便座装置には一本の洗浄ノズルに大便専用の水路とビデ専用の水路を別々に内蔵した方式もあるが、前記水路にミスト水また加圧空気を噴射する洗浄噴射ノズルを採用してもよく、組み合わせ方式に全く制限するものではない。
【0028】
次に、図3の第二実施形態の便器2には排気専用口65を設けなかったが、図4の第三実施形態で設けた排気専用口65と排気ダクト61を設けてもよい。
また、便器2の洗浄水放出口20には、渦巻きを利用し効果的にボウル内を洗浄する洗浄水放出口20の方式や、また、数多くの洗浄水放出口60が周囲に配列されていてボウル内を洗浄する洗浄水放出口60の方式などがあるが、洗浄水放出口20から臭気を吸い込ませる方式であればどのような便器2を採用してもよい。
【0029】
次に、本発明に係わる技術的手段を講じる洗浄便座装置1においては、加圧空気を使用するので空気コンプレッサーを設置している。
そこで、例えば、魚類水槽への注入空気として、または酸素富化空気を発生させる機器に接続するなど酸素富化空気を住宅内に取り込み利用することを行ってもよい。
【産業上の利用の可能性】
【0030】
本発明に係わるミスト水による洗浄方法は、節水に関する種々の洗浄機器の洗浄方法の見直しと改善に利用し得る。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】図1は、本発明の実施形態の全体図で、便器と洗浄便座装置の全体の姿の概略図である。
【図2】図2は、本発明の第一実施形態で、洗浄便座装置に内蔵される大便用とビデ用の洗浄噴射ノズルと男性の陰部用の噴射ノズルに接続している水系統と空気系統の概略図である。
【図3】図3は、本発明の第二実施形態で、排便行為中の臭気を負圧吸引により屋外へ放出排気できる便器の概略図である。
【図4】図4は、本発明の第三実施形態で、排便行為中のトイレ室内を正圧にすることにより臭気を屋外へ放出排気できる便器の概略図である。
【符号の説明】
【0032】
1・・・・・洗浄便座装置
2・・・・・便器
10・・・・便座
15・・・・洗浄噴射ノズル
16・・・・噴射ノズル
20、60・・洗浄水放出口
21、61・・排気ダクト
25・・・・水タンク
26・・・・オーバーフロー管
27・・・・水栓
29・・・・レバー
40・・・・臭気排気ファン
71、76、81、82、86・・量調整機能付開閉弁
90・・・・加圧ファン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
便器に装備する洗浄便座装置であって、洗浄噴射ノズルからは水と空気が混ざったミスト水を噴射し排便局部洗浄後に水だけが止まり空気噴射に切り替わり、更に、前記洗浄噴射ノズルに加圧空気が付加され空気噴射することによって排便局部の水滴を飛ばすことができることを特徴とする洗浄便座装置。
【請求項2】
洗浄便座装置または請求項1記載の洗浄便座装置に、男性の陰部を洗浄し加圧空気により水滴を飛ばすことが可能な噴射ノズルを便座の手前側に備えたことを特徴とする洗浄便座装置。
【請求項3】
前記洗浄噴射ノズルや前記噴射ノズルからミスト水を噴射する系統には、水系統と空気系統を有しそれぞれ量調整機能付開閉弁を備えていて、更に、排便局部の水滴を飛ばす空気系統にも量調整機能付開閉弁を備えたことを特徴とする請求項1また2に記載の洗浄便座装置。
【請求項4】
排便行為中に、ボウル内の臭気を負圧吸引または室内加圧により便器の洗浄水放出口から屋外へ放出排気することが可能な機構を有する便器。
【請求項5】
請求項4に記載の便器に、更に、排気専用口を備え屋外へ放出排気することが可能な機構を有する便器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2007−23740(P2007−23740A)
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−231287(P2005−231287)
【出願日】平成17年7月13日(2005.7.13)
【出願人】(501120889)
【出願人】(505122829)株式会社ウィズ・ワン (9)
【Fターム(参考)】