説明

便器排水口部の接続構造

【課題】 排水管からの臭気がトイレ室内に漏れ出すことを確実に防止し、便器を設置予定箇所に確実に設置し、且つ便器の施工を容易にする。
【解決手段】 床フランジ7の排水筒部8の上端部に排水筒部8の内方に向けて突出する環状シール材14を設ける。床フランジ7の鍔部18を床2に載設する。便器1の下面に形成した凹部5の上底面から下方に向けて突設した排水口部6を環状シール材14の中央に形成された口部挿通孔17に挿通して環状シール材14により排水口部6と排水筒部8との間をシールする。便器1の凹部5の内側面に被ガイド面35を形成する。床フランジ7に、鍔部18の上方に位置すると共に、便器1の排水口部6を口部挿通孔17に挿通する際において被ガイド面35に当接して排水口部6が平面視でその中心が排水筒部8の中心と重なる位置となるように導くガイドリブ26を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は便器排水口部の接続構造に関する。
【背景技術】
【0002】
便器の排水口部と床下の排水管とを床フランジを用いて接続する便器排水口部の接続構造としては図8に示すものが一般的に知られている。
【0003】
この便器排水口部の接続構造にあっては、排水筒部8と、該排水筒部8の外周面から突出した鍔部18とを備えた床フランジ7を具備し、排水筒部8の上端部に排水筒部8の内方に向けて突出する弾性変形可能な環状シール材14を設け、該床フランジ7の排水筒部8の下端部を床下の排水管13に接続すると共に鍔部18を床2に載設し、便器1の下面に形成した凹部5の上底面から下方に向けて排水口部6を突設し、該排水口部6を前記床フランジ7の環状シール材14の中央に形成された口部挿通孔17に挿通して前記環状シール材14により排水口部6と排水筒部8との間をシールすると共に、該便器1を床2に載設してなるものである(例えば特許文献1)。
【0004】
ところで上記便器排水口部の接続構造にあっては、床2の上方から便器1を下方に移動して便器1の排水口部6を床フランジ7の排水筒部8内に挿通するのだが、この際作業者は便器1によって隠れた口部挿通孔17を視認することができないため勘を頼りに排水口部6の挿通を行うこととなる。
【0005】
しかしこのように排水口部6を挿入する作業は難しく、これにより排水口部6を口部挿通孔17に挿通した場合に、図8に示すように排水筒部8の中心と排水口部6の中心とのずれLが大きい状態で排水口部6が排水筒部8内に挿通される場合があり、このように排水口部6が排水筒部8内に挿通された場合、図8のように排水口部6と排水筒部8との隙間が小さい箇所は環状シール材14によって必要以上に密閉され、逆に排水口部6と排水筒部8との隙間が大きい箇所は環状シール材14によって完全に密閉できないといった事態が生じ、環状シール材14によって完全に密閉できない箇所から排水管13からの臭気がトイレ室内に漏れ出す恐れがある。また便器1は予め便器1の設置位置を考慮して床の所定位置に設けられた床フランジ7に上記のように嵌め込んで設置されるのだが、上記したように排水筒部8の中心と排水口部6の中心とが大きくずれた状態で便器1が設置された場合、便器1の設置位置が床フランジ7によって定められた設置予定箇所とずれてしまうといった問題が生じる。
【特許文献1】特開2001―40739号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記従来の問題点に鑑みて発明したものであって、環状シール材により排水管からの臭気がトイレ室内に漏れ出すことを確実に防止でき、且つ便器を設置予定箇所に確実に設置でき、且つ便器の施工を容易にできる便器排水口部の接続構造を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明に係る便器排水口部の接続構造は、下端部が排水管13に接続される排水筒部8と、該排水筒部8の外周面から突設した鍔部18とを備えた床フランジ7を具備し、排水筒部8の上端部に排水筒部8の内方に向けて突出する環状シール材14を設け、該床フランジ7の鍔部18を床2に載設し、便器1の下面に形成した凹部5の上底面から下方に向けて排水口部6を突設し、該排水口部6を前記床フランジ7の環状シール材14の中央に形成された口部挿通孔17に挿通して前記環状シール材14により排水口部6と排水筒部8との間をシールすると共に、該便器1を床2に載設してなる便器排水口部の接続構造において、便器1の凹部5の内側面に被ガイド面35を形成し、床フランジ7に、鍔部18の上方に位置すると共に、前記便器1の排水口部6を口部挿通孔17に挿通する際において被ガイド面35に当接して排水口部6が平面視でその中心が排水筒部8の中心と重なる位置となるように導くガイドリブ26を設けて成ることを特徴とする。
【0008】
便器1の排水口部6を口部挿通孔17に挿通する際に、ガイドリブ26によって排水口部6が平面視でその中心が排水筒部8の中心と重なる位置と重なる位置にガイドすることができ、これにより平面視における排水口部6の中心と排水筒部8の中心とを略一致させることができ、これにより排水口部6の外面の全周に亙って均等にシールできて、排水管13からトイレ室内への臭気の漏れを環状シール材14によって確実に防止でき、また便器1の排水口部6を口部挿通孔17に挿通する際に、ガイドリブ26によって排水口部6が平面視でその中心が排水筒部8の中心と重なる位置と重なる位置にガイドすることができるため便器1を設置予定箇所に確実に設置でき、さらには便器1の施工が容易になる。
【0009】
また請求項2は請求項1において、便器1の幅方向を左右方向とすると共に平面視で前記左右方向に直交する方向を前後方向とし、床フランジ7の排水筒部8の左側方に位置する箇所に、左側前ガイドリブ26a、左側後ガイドリブ26b、左側左ガイドリブ26cを形成し、床フランジ7の排水筒部8の右側方に位置する箇所に、右側前ガイドリブ26d、右側後ガイドリブ26e、右側右ガイドリブ26fを形成し、これら左側前ガイドリブ26a、左側後ガイドリブ26b、左側左ガイドリブ26c、右側前ガイドリブ26d、右側後ガイドリブ26e、右側右ガイドリブ26f、で、上記ガイドリブ26を構成し、便器1の凹部5の左側の内側面に、後方を向き前記左側前ガイドリブ26aにガイドされる左側前被ガイド面35a、前方を向き前記左側後ガイドリブ26bにガイドされる左側後被ガイド面35b、右側方を向き前記左側左ガイドリブ26cにガイドされる左側左被ガイド面35c、を形成し、便器1の凹部5の右側の内側面に、後方を向き前記右側前ガイドリブ26dにガイドされる右側前被ガイド面35d、前方を向き前記右側後ガイドリブ26eにガイドされる右側後被ガイド面35e、左側方を向き前記右側右ガイドリブ26fにガイドされる右側右被ガイド面35f、を形成し、これら左側前被ガイド面35a、左側後被ガイド面35b、左側左被ガイド面35c、右側前被ガイド面35d、右側後被ガイド面35e、右側右被ガイド面35f、で上記被ガイド面35を構成して成ることを特徴とする。
【0010】
上記のようにガイドリブ26及び被ガイド面35を構成することで、左側前ガイドリブ26a、左側後ガイドリブ26b、右側前ガイドリブ26d、右側後ガイドリブ26e、によって便器1の前後方向の移動を規制した排水口部6のガイドができ、左側左ガイドリブ26c及び右側右ガイドリブ26fによって、便器1の左右方向の移動を規制した排水口部6のガイドができ、これにより簡単な構成で且つ正確に排水口部6のガイドができる。
【0011】
また請求項3は請求項2において、上記左側左ガイドリブ26c及び右側右ガイドリブ26fを平面視において排水筒部8の中心を通る一直線上に配設して成ることを特徴とする。
【0012】
これにより作業者は左側左ガイドリブ26c及び右側右ガイドリブ26fを見て排水筒部8の中心位置を確認でき、便器1の載置や、床フランジ7の設置の際に、床フランジ7の位置合わせを容易に行うことができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明では、排水筒部の中心と排水口部の中心のずれを小さくでき、これにより環状シール材により排水管からの臭気がトイレ室内に漏れ出すことを確実に防止でき、且つ便器を設置予定箇所に確実に設置でき、且つ便器の施工を容易にできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基いて説明する。なお以下の説明では、便器1を床2に設置した状態における便器1の幅方向を左右方向とし、該左右方向に平面視で直交する方向を前後方向とし、便器1から見て小便をする男子が立つ側を前方と規定して説明する。
【0015】
図2にトイレの床2に設置される便器1を示す。便器1はその上面部の後部に便座3及び便蓋4を回動自在に連結した洋式便器である。図1に示すように便器1の下面には下方に開口する凹部5を形成してあり、該凹部5の上底面からは、便器1のボウル面の後部に連通する直管状の排水口部6が下方に向けて突設されている。図示例の凹部5は排水口部6及び後述する床フランジ7を外側から覆う排水口部カバー5aからなり、該排水口部カバー5aは排水口部6の基端に一体に設けてある。
【0016】
以下、上記便器1の排水口部6の接続構造について説明する。
【0017】
トイレの床2には図1に示すように樹脂製の床フランジ7を載設している。床フランジ7は、上下に伸びる排水筒部8と、該排水筒部8の外周面から突出した鍔部18とを有しており、その鍔部18を床2の上面に載設することで床2に載設されている。
【0018】
排水筒部8はトイレの床2の所定位置に穿設したトイレ室内と床下とを連通させる床孔9に挿通されている。排水筒部8は、下側の小径部10と、小径部10よりも内径の大きい上側の大径部11と、小径部10と大径部11とを接続する接続部12と、からなる。小径部10の内径は排水口部6の内径よりも小さく、大径部11の内径は排水口部6の外径よりも大きい。また接続部12はその下端から上端に行くほど徐々に内径が大きくなるように拡径してある。
【0019】
排水筒部8の下端部、即ち小径部10の下側部分は床2よりも下方に位置してあり、この小径部10の下側部分は床下に配管された排水管13に挿入されて接着剤等により排水管13に接続されている。排水筒部8の上端部、即ち大径部11の上側部分は床2の上面よりも上方に位置しており、該大径部11の上側部分には排水筒部8の内方に向けて突出する環状シール材14を設けている。
【0020】
環状シール材14はゴム等の弾性を有する部材からなり、内側に大径部11が嵌入される筒状部15と、筒状部15に一体に設けたシール部16とからなる。シール部16は筒状部15の排水筒部8よりも上方に位置する上端から排水筒部8の内方且つ下方である斜方に向けて突出しており、筒状部15の全周に亙って設けられている。またシール部16の内端は排水筒部8の上端よりやや下方に位置している。シール部16によって囲まれた円形孔からなる環状シール材14の中央に形成された口部挿通孔17は、該口部挿通孔17に後述する排水口部6を挿通する前の状態においては、平面視でその中心が排水筒部8の中心と一致する孔となっており、該口部挿通孔17の孔径は排水筒部8の上端部(大径部11)よりも小さくなっている。
【0021】
鍔部18は図2及び図3に示すように平面視で左右方向に長い大略菱形状に形成されており、平面視における鍔部18の中心と前記排水筒部8の中心とは一致している。鍔部18には複数の固着具用孔19を穿設してあり、両固着具用孔19に挿通した図示しないビス等の固着具により鍔部18は床2に固定されている。
【0022】
鍔部18の排水筒部8を挟んだ左右両側には便器1が固定される固定用リブ20a、20bを上方に向けて一体に突設しており、両固定用リブ20a、20bは排水筒部8よりも上方に突出している。両固定用リブ20a、20bの夫々の上部には固定用リブ20a、20bの上面から上方に開口し且つ固定用リブ20a、20bの前面から前方に開口するTボルト挿入溝21a、21bを形成している。Tボルト挿入溝21a、21bは上部の幅狭部22と下部の幅広部23とからなり、正面視逆T字状に形成されている。両Tボルト挿入溝21a、21bの夫々には図2及び図4に示すようにTボルト24a、24bが挿入されており、Tボルト24a、24bはその頭部が幅広部23に、その軸部の基部が幅狭部22に挿入されている。ここで両Tボルト24a、24bは前後方向において排水筒部8の中心と同じ位置に配してあるものとする。また図4に示すように両固定用リブ20a、20bの夫々の上面には左右に伸びる位置決線25a、25bを引いており、平面視において両位置決線25a、25bを延長した延長線は排水筒部8の中心を通っている。
【0023】
上記床フランジ7には図3に示すように鍔部18の上方に位置するガイドリブ26を一体に設けている。ガイドリブ26は、床フランジ7の排水筒部8の左側方に位置する箇所に形成した、左側前ガイドリブ26a、左側後ガイドリブ26b、左側左ガイドリブ26c、と、床フランジ7の排水筒部8の右側方に位置する箇所に形成した、右側前ガイドリブ26d、右側後ガイドリブ26e、右側右ガイドリブ26fと、で構成してある。左側前ガイドリブ26a、左側後ガイドリブ26b、左側左ガイドリブ26c、右側前ガイドリブ26d、右側後ガイドリブ26e、右側右ガイドリブ26fは、全て鍔部18から上方に向けて一体に突設してあり、尚且つ、左側前ガイドリブ26a、左側後ガイドリブ26b、左側左ガイドリブ26c、は全て左側の固定用リブ20aに一体に設けており、右側前ガイドリブ26d、右側後ガイドリブ26e、右側右ガイドリブ26f、は、全て右側の固定用リブ20bに一体に設けている。
【0024】
左側前ガイドリブ26aは左側の固定用リブ20aの前面における左側端部から前方に向けて突出しており、左側後ガイドリブ26bは左側の固定用リブ20aの後面における左側端部から後方に向けて突出しており、左側左ガイドリブ26cは左側の固定用リブ20aの左側面から左側方に向けて突出している。左側後ガイドリブ26b及び左側左ガイドリブ26cは左側の固定用リブ20aの上下全長に亙って設けてあり、即ち左側後ガイドリブ26b及び左側左ガイドリブ26cは排水筒部8よりも上方に突出している。また左側前ガイドリブ26aは左側の固定用リブ20aの下端からTボルト挿入溝21aの底面と同レベルの位置まで亙って設けられておりTボルト挿入溝21aの底面よりも上方には設けられていない。これによりTボルト24aをTボルト挿入溝21aの前端開口から挿入する際には左側前ガイドリブ26aが邪魔にならないようになっている。
【0025】
右側前ガイドリブ26dは右側の固定用リブ20bの前面における右側端部から前方に向けて突出しており、右側後ガイドリブ26eは右側の固定用リブ20bの後面における右側端部から後方に向けて突出しており、右側右ガイドリブ26fは右側の固定用リブ20bの右側面から右側方に向けて突出している。右側後ガイドリブ26e及び右側右ガイドリブ26fは右側の固定用リブ20bの上下全長に亙って設けてあり、即ち右側後ガイドリブ26e及び右側右ガイドリブ26fは排水筒部8よりも上方に突出している。また右側前ガイドリブ26dは右側の固定用リブ20bの下端からTボルト挿入溝21bの底面と同レベルの位置までに亙って設けられておりTボルト挿入溝21bの底面よりも上方には設けられていない。これによりTボルト24bをTボルト挿入溝21bの前端開口から挿入する際には右側前ガイドリブ26dが邪魔にならないようになっている。
【0026】
左側前ガイドリブ26aの前面及び右側前ガイドリブ26dの前面は上方程後方に位置するように傾斜したテーパー面27a、27dとなっており、左側後ガイドリブ26bの後面及び右側後ガイドリブ26eの後面は上方程前方に位置するように傾斜したテーパー面27b、27eとなっている。また左側左ガイドリブ26cの左側面は上方程側右側方に位置するように傾斜したテーパー面27cとなっており、右側右ガイドリブ26fの右側面は上方程左側方に位置するように傾斜したテーパー面27fとなっている。
【0027】
上記ガイドリブ26は排水筒部8の中心位置を示す形状に形成してある。具体的には上記左側左ガイドリブ26c及び右側右ガイドリブ26fを、平面視において排水筒部8の中心を通る一直線上を通るように、且つ上記左側左ガイドリブ26c及び右側右ガイドリブ26fを前後方向において排水筒部8の中心位置と重なるように設けている。
【0028】
一方、床2には図1に示すように排水口部カバー5aにて上記床フランジ7を上方から覆うように便器1を載設している。便器1の排水口部6は環状シール材14の口部挿通孔17に挿入してあり、環状シール材14はそのシール部16を排水口部6の外面に弾接している。これにより便器1の排水口部6と排水筒部8の隙間は気密されて排水管13からの臭気が洩れることが防止されている。
【0029】
凹部5の上底面を形成する排水口部カバー5aの天板には前述したTボルト24a、24bの軸部に対応する箇所にボルト挿通用孔28a、28bを穿設している。そして両ボルト挿通用孔28a、28bには対応する固定用リブ20a、20bの上面から上方に突出したTボルト24a、24bの軸部の先部を挿通してあり、各Tボルト24a、24bのボルト挿通用孔28a、28bから上方に突出した雄ねじ部に螺合したナット29により便器1と床フランジ7が締結されている。また便器1の後端の下端部から後方に突出した板状部30にはねじ挿通用孔31を穿設してあり、該ねじ挿通用孔31に挿通したねじ32の先端部は床2に固着してある。上記により便器1は床フランジ7及び床2に固定されている。
【0030】
便器1の排水口部カバー5aはその下端部を平面視で床フランジ7の鍔部18を覆う鍔部カバー部33としており、該排水口部カバー5aの下端は床2の上面に載置してある。
【0031】
上記排水口部カバー5aの内側面の前記鍔部カバー部33よりも上方に位置する部分には、便器1の排水口部6を口部挿通孔17に挿通する際において、上記床フランジ7のガイドリブ26が当接される被ガイド面35を形成してあり、これにより便器1の排水口部6を口部挿通孔17に挿通する際には、上記ガイドリブ26によって便器1の水平方向の移動を規制して、排水口部6が平面視でその中心が排水筒部8の中心と重なる位置となるように導くことができるようなっている。
【0032】
具体的には、排水口部カバー5aの左側の側面部の前後方向における一部を左側方に突出して排水口部カバー5aの左側の内側面に右側方に開口する凹面34aを形成し、右側の側面部の前後方向における一部を右側方に突出して排水口部カバー5aの右側の内側面に左側方に開口する凹面34bを形成してある。そして左側の凹面34aにおいて、後方を向く面を前記左側前ガイドリブ26aにガイドされる左側前被ガイド面35aとし、前方を向く面を前記左側後ガイドリブ26bにガイドされる左側後被ガイド面35bとし、右側方を向く面を前記左側左ガイドリブ26cにガイドされる左側左被ガイド面35cとし、右側の凹面34bにおいて、後方を向く面を前記右側前ガイドリブ26dにガイドされる右側前被ガイド面35dとし、前方を向く面を前記右側後ガイドリブ26eにガイドされる右側後被ガイド面35eとし、左側方を向く面を前記右側右ガイドリブ26fにガイドされる右側右被ガイド面35fとし、これら左側前被ガイド面35a、左側後被ガイド面35b、左側左被ガイド面35c、右側前被ガイド面35d、右側後被ガイド面35e、右側右被ガイド面35f、で上記被ガイド面35を構成している。
【0033】
左側前被ガイド面35a及び右側前被ガイド面35dは左側前ガイドリブ26aのテーパー面27a及び右側前ガイドリブ26dのテーパー面27eと略同じ傾斜角度で上方程後方に位置するように傾斜したテーパー面となっており、左側後被ガイド面35b及び右側後被ガイド面35eは左側後ガイドリブ26bのテーパー面27b及び右側後ガイドリブ26eのテーパー面27eと略同じ傾斜角度で上方程前方に位置するように傾斜したテーパー面となっている。また左側左被ガイド面35cは左側左ガイドリブ26cのテーパー面27cと略同じ傾斜角度で上方程右側方に位置するように傾斜したテーパー面となっており、右側右被ガイド面35fは右側右ガイドリブ26fのテーパー面27fと略同じ傾斜角度で上方程左側方に位置するように傾斜したテーパー面となっている。
【0034】
また上記左側前被ガイド面35a、左側後被ガイド面35b、左側左被ガイド面35c、右側前被ガイド面35d、右側後被ガイド面35e、右側右被ガイド面35f、は排水口部6の下端よりも下方まで伸びているものとする。
【0035】
上記左側前被ガイド面35a、左側後被ガイド面35b、左側左被ガイド面35c、右側前被ガイド面35d、右側後被ガイド面35e、右側右被ガイド面35fは、夫々、左側前ガイドリブ26aのテーパー面27a、左側後ガイドリブ26bのテーパー面27b、左側左ガイドリブ26cのテーパー面27c、右側前ガイドリブ26dのテーパー面27d、右側後ガイドリブ26eのテーパー面27e、右側右ガイドリブ26fのテーパー面27fに近接対向している。
【0036】
しかして上記便器1の排水口部6の接続構造により、便器1内の汚水を排水口部6及び排水筒部8を順に介して排水管13に排水できるようになる。
【0037】
上記便器1を床2へ施工する場合には図2及び図5に示す型紙36を用いる。型紙36の上面には、便器1の下端部の外周を縁取った便器位置決用マーカー37、穴穿用マーカー38、左右に伸びる型紙側施工線39、が描かれており、穴穿用マーカー38及び型紙側施工線39は、便器位置決用マーカー37に合わせて載置される便器1の排水口部6の中心と前後方向に一致する箇所に夫々描かれている。また型紙36の前記便器位置決用マーカー37に合わせて載置される便器1の排水口部カバー5aに対応する箇所には、床フランジ7と平面視で略同大同形の床フランジ通孔44を穿けている。また型紙36の左右方向における中心には便器1を型紙36に載置した後に該型紙36を左右に引き裂くことが容易にできるよう前後に伸びるスリット41を形成してある。
【0038】
そして便器1を床2へ施工する場合には例えば以下に示すように行う。まず床2に前後方向に伸びるけがき線と左右方向に伸びるけがき線とを引いて両けがき線の交差する点を床孔9の穿設位置として決定する。この後、前記けがき線によって決定された床2の所定位置に床孔9を穿設すると共に、床下に排水管13を該排水管13の排水筒部8側の端部開口が前記床孔9に臨むように配管する。次に床フランジ7の鍔部18を床2に載置し、同時に床フランジ7の排水筒部8の下端部を排水管13の端部開口に挿入して接着剤等により排水管13に接続し、この後、床フランジ7の左側左ガイドリブ26cと右側右ガイドリブ26fを結ぶ線が前記床孔9を穿設する際に引いた左右方向に伸びるけがき線と平行となるようにして、床フランジ7の鍔部18の長手方向を左右方向とする。次に床フランジ7の鍔部18に形成した各固着具用孔19にビス等の固着具を挿通して、該固着具により鍔部18を床2に固定する。次に図2及び図3に示すように型紙36を、床フランジ通孔44に床フランジ7を挿入して床2に載置する。この際、型紙36は型紙側施工線39と床フランジ7の左側左ガイドリブ26cと右側右ガイドリブ26fの結ぶ線とが平行となり、且つ、型紙側施工線39と左側左ガイドリブ26c及び右側右ガイドリブ26fの前後方向における位置が一致するように、床2に載置する。次に両Tボルト挿入溝21a、20bにその前端開口からTボルト24a、24bを挿入し、上記位置決線25a、25bを見て、前記Tボルト挿入溝21a、21bに挿入した両Tボルト24a、24bをTボルト24a、24bが前後方向において排水筒部8の中心と一致する位置に配置する。同時に穴穿用マーカー38によって示された床2の所定箇所に下孔(図示せず)を穿ける。次いで便器1に設けた搬送用ロープ42を持って、便器1を型紙36を介して床2に載置する。この際、作業者は、便器位置決用マーカー37に便器1を合わせ、同時に、便器1の下端部の両側面における排水口部6の中心位置と前後方向が同じ箇所に設けた上下に伸びる便器側施工線43と型紙36に設けた型紙側施工線39とを合わせながら、便器1を型紙36に載置する。次に型紙36をスリット41を境にして左右に引き裂き、便器1を床2に直接載置する。これにより便器1は床2の設置予定箇所に確実に載置されることとなる。上記便器1の床2への載置によって、同時に排水口部カバー5a内に床フランジ7が挿入され、同時に便器1の排水口部6は環状シール材14の口部挿通孔17に挿入され、また同時に便器1のボルト挿通用孔28a、28bにTボルト24a、24bの軸部の先部が挿通されることとなる。なお、上記では便器1を直接手で持つことによる便器1の破損を防止するために搬送用ロープ42を用いて便器1を床2に載置したが、勿論破損の恐れがない便器にあっては直接便器を手で持って床2に載置しても良いものとする。
【0039】
そして上記便器1を床2に載置した後、各Tボルト24a、24bのボルト挿通用孔28a、28bから上方に突出した雄ねじ部にナット29を螺合して便器1と床フランジ7を締結すると共に、便器1のねじ挿通用孔31にねじ32を挿通して該ねじ32の先端部を床2に形成した下穴に固着する。しかして便器1の施工が完了する。なお便器1の施工は上記に限定されるものではない。
【0040】
ここで上記便器1を床2に載置する際において、便器1の排水口部6が環状シール材14の口部挿通孔17に挿入されていく状態を図6に示す。図に示すように便器1を下方に移動して床2に近づけて行くと、ガイドリブ26が被ガイド面35に当接して排水口部6が平面視でその中心が排水筒部8の中心と重なる位置となるように便器1をガイドする。即ち便器1の排水口部6を口部挿通孔17に挿通する際において、平面視における床フランジ7の排水筒部8の中心と便器1の排水口部6の中心とがずれた場合には、床フランジ7のガイドリブ26が便器1の被ガイド面35に当接して便器1の水平方向における移動が規制されるのである。これにより便器1を床2に載置した際には、便器1の排水口部6の中心と床フランジ7の排水筒部8の中心とが平面視で完全に一致する図1に示す状態や、最悪でも排水筒部8の中心と排水口部6の中心のずれLが小さい図7に示す状態で口部挿通孔17に排水口部6が挿通されることとなり、従って環状シール材14は便器1の排水口部6の外面に全周に亙って均等な力で弾接されることとなって、排水口部6の外面の全周に亙って均等にシールでき、この結果、従来例に示したように排水口部6と排水筒部8との隙間にばらつきが生じて環状シール材14によって完全に密閉できない箇所ができるといったことを防止でき、排水管13からトイレ室内への臭気の漏れを環状シール材14によって確実に防止できるようになる。またこのように便器1の排水口部6を口部挿通孔17に挿通する際に、ガイドリブ26によって排水口部6が平面視でその中心が排水筒部8の中心と重なる位置と重なる位置にガイドすることができるため便器1を設置予定箇所に確実に設置でき、さらには便器1の施工が容易になる。
【0041】
また特に本実施形態では、ガイドリブ26を、前述した左側前ガイドリブ26a、左側後ガイドリブ26b、左側左ガイドリブ26c、右側前ガイドリブ26d、右側後ガイドリブ26e、右側右ガイドリブ26f、で、構成し、被ガイド面35を、前述した左側前被ガイド面35a、左側後被ガイド面35b、左側左被ガイド面35c、右側前被ガイド面35d、右側後被ガイド面35e、右側右被ガイド面35f、で構成してあり、便器1の排水口部6を環状シール材14の口部挿通孔17に挿通する際においては、左側前ガイドリブ26aのテーパー面27a、左側後ガイドリブ26bのテーパ面27b、右側前ガイドリブ26dのテーパ面27d、右側後ガイドリブ26eのテーパー面27e、の夫々が、左側前被ガイド面35a、左側後被ガイド面35b、右側前被ガイド面35d、右側後被ガイド面35e、の夫々に当接して便器1の前後方向の位置を規制してガイドができ、また左側左ガイドリブ26cのテーパー面27c及び右側右ガイドリブ26fのテーパー面27fの夫々が、左側左被ガイド面35c、右側右被ガイド面35f、の夫々に当接して便器1の左右方向の移動を規制してガイドができ、これにより簡単な構成で且つ正確に便器1の排水口部6のガイドができる。
【0042】
また上記ガイドリブ26は固定用リブ20a、20bに一体に設けているため、ガイドリブ26自体の強度が強く、これにより被ガイド面35にガイドリブ26が強く当たった場合にガイドリブ26が破損してしまうことを防止でき、また床フランジ7の形状を単純なものとでき、床フランジ7の金型コストを削減できる。またガイドリブ26は固定用リブ20a、20bに一体に設けてあるので、両固定用リブ20a、20bを排水筒部8に近い位置に配置でき、排水口部6に一体に設けた排水口部カバー5aの排水口部6側に近い位置で排水口部カバー5aと床フランジ7とを固定でき、これにより便器1と床フランジ7とを強固に固定でき、尚且つガイドリブ26を環状シール材14の口部挿通孔17に近い位置に配設でき、ガイドリブ26によって一層正確な位置に便器1をガイドできるようになる。
【0043】
また左側後ガイドリブ26b、左側左ガイドリブ26c、右側後ガイドリブ26e、右側右ガイドリブ26f、は排水筒部8よりも上方に突出しており、且つ左側後被ガイド面35b、左側左被ガイド面35c、右側後被ガイド面35e、右側右被ガイド面35f、は排水口部6の下端よりも下方まで伸びているので、便器1の排水口部6を環状シール材14の口部挿通孔17に挿通する際においては、便器1の排水口部6が床フランジ7の排水筒部8内に挿入される前にガイドリブ26によって排水口部6が排水筒部8内に挿入されるようにガイドすることができ、排水口部6の排水筒部8内への挿入も容易となる。
【0044】
また上記左側左ガイドリブ26c及び右側右ガイドリブ26fを平面視において排水筒部8の中心を通る一直線上に配設してあるので、床フランジ7を床2に設置する際には、左側左ガイドリブ26c及び右側右ガイドリブ26fを見て、床フランジ7の向きを調整することができ、また本実施形態のように便器1の施工に型紙36を用いた場合には、左側左ガイドリブ26c及び右側右ガイドリブ26fを見て、型紙36に対する床フランジ7の向きを調整でき、また型紙36を用いずに便器1を施工する場合にあっては、排水筒部8よりも左右方向における外側の見やすい位置にある左側左ガイドリブ26c及び右側右ガイドリブ26fを見て排水筒部8の中心位置を確認でき、便器1の床2への載置が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の実施の形態を示し、図は正面断面図である。
【図2】同上の床に便器を載置する前の状態を示す斜視図である。
【図3】同上の環状シール材を取り外した床フランジの右側から見た斜視図である。
【図4】同上の床フランジの左側から見た斜視図である。
【図5】同上の床に便器を載置する前の状態を示す平面図である。
【図6】(a)〜(c)は同上の排水口部を口部挿通孔に挿通する際の状態を順に示す側断面図である。
【図7】同上の便器排水口部の接続構造の参考例を示す正面断面図である。
【図8】従来の便器排水口部の接続構造を示す正面断面図である。
【符号の説明】
【0046】
1 便器
2 床
5 凹部
6 排水口部
7 床フランジ
8 排水筒部
13 排水管
14 環状シール材
17 口部挿通孔
18 鍔部
26 ガイドリブ
26a 左側前ガイドリブ
26b 左側後ガイドリブ
26c 左側左ガイドリブ
26d 右側前ガイドリブ
26e 右側後ガイドリブ
26f 右側右ガイドリブ
35 被ガイド面
35a 左側前被ガイド面
35b 左側後被ガイド面
35c 左側左被ガイド面
35d 右側前被ガイド面
35e 右側後被ガイド面
35f 右側右被ガイド面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下端部が排水管に接続される排水筒部と、該排水筒部の外周面から突設した鍔部とを備えた床フランジを具備し、排水筒部の上端部に排水筒部の内方に向けて突出する環状シール材を設け、該床フランジの鍔部を床に載設し、便器の下面に形成した凹部の上底面から下方に向けて排水口部を突設し、該排水口部を前記床フランジの環状シール材の中央に形成された口部挿通孔に挿通して前記環状シール材により排水口部と排水筒部との間をシールすると共に、該便器を床に載設してなる便器排水口部の接続構造において、便器の凹部の内側面に被ガイド面を形成し、床フランジに、鍔部の上方に位置すると共に、前記便器の排水口部を口部挿通孔に挿通する際において被ガイド面に当接して排水口部が平面視でその中心が排水筒部の中心と重なる位置となるように導くガイドリブを設けて成ることを特徴とする便器排水口部の接続構造。
【請求項2】
便器の幅方向を左右方向とすると共に平面視で前記左右方向に直交する方向を前後方向とし、床フランジの排水筒部の左側方に位置する箇所に、左側前ガイドリブ、左側後ガイドリブ、左側左ガイドリブを形成し、床フランジの排水筒部の右側方に位置する箇所に、右側前ガイドリブ、右側後ガイドリブ、右側右ガイドリブを形成し、これら左側前ガイドリブ、左側後ガイドリブ、左側左ガイドリブ、右側前ガイドリブ、右側後ガイドリブ、右側右ガイドリブ、で、上記ガイドリブを構成し、便器の凹部の左側の内側面に、後方を向き前記左側前ガイドリブにガイドされる左側前被ガイド面、前方を向き前記左側後ガイドリブにガイドされる左側後被ガイド面、右側方を向き前記左側左ガイドリブにガイドされる左側左被ガイド面、を形成し、便器の凹部の右側の内側面に、後方を向き前記右側前ガイドリブにガイドされる右側前被ガイド面、前方を向き前記右側後ガイドリブにガイドされる右側後被ガイド面、左側方を向き前記右側右ガイドリブにガイドされる右側右被ガイド面、を形成し、これら左側前被ガイド面、左側後被ガイド面、左側左被ガイド面、右側前被ガイド面、右側後被ガイド面、右側右被ガイド面、で上記被ガイド面を構成して成ることを特徴とする便器排水口部の接続構造
【請求項3】
上記左側左ガイドリブ及び右側右ガイドリブを平面視において排水筒部の中心を通る一直線上に配設して成ることを特徴とする請求項2に記載の便器排水口部の接続構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−2497(P2006−2497A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−181650(P2004−181650)
【出願日】平成16年6月18日(2004.6.18)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】