説明

便器洗浄装置

【課題】簡易な構成で蓄圧水を供給することができる便器洗浄装置を提供する。
【解決手段】タンク60,68内に蓄圧水を貯留させるために、第2弁40を開弁させ、水道水の一部をエゼクタ70を介して主タンク60に導入し、エゼクタ70で吸引したエアーも水と共にタンクに溜める。次いで、第1弁30も開弁させ、タンク60,68内に水を蓄圧状態で溜める。その後、リム給水弁22を開弁する。これにより、リム3へ給水され、鉢部2の内面が洗浄される。次いで、第1弁30を開とすると共に、ジェット給水弁23を開弁する。これにより、主タンク60及びサブタンク68内の蓄圧水と給水ホース11からの水とがジェットノズル5を介してトラップ部に噴出し、トラップ部にサイホンが迅速かつ強力に発生する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洋風便器に洗浄水を供給する便器洗浄装置に係り、さらに詳しくは、ロータンクやハイタンクなどのタンクを設置せず、水道水の水圧によって洗浄水を洋風便器に供給する便器洗浄装置の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来用いられてきた洋風便器は、便器本体の後部上面にロータンクを設置し、該ロータンク内の水をリム等へ供給するロータンク式のものが多い。
【0003】
このロータンク式洋風便器は、ロータンクの分だけ後方に出張るところから、近年、ロータンクを省略し、水道水圧によって洗浄水を給水することにより洋風便器の後方出張りを著しく小さくした洋風便器が急速に普及しつつある。この水道水圧による便器洗浄装置にあっては、便鉢内から汚物やペーパーを強力に排出するために、便器のトラップ部にジェット孔から水を噴出させてサイホン排出水流を形成するサイホンジェット式洗浄方式が採用されている。
【0004】
ところで、水道水圧によって便器に給水する場合、水道水圧が低いと十分な水勢によって洗浄水を便器に供給することができない。この対策として、特開2005−120742号及び特開2006−169767号には、給水配管の途中に蓄圧タンクを接続し、ジェット動作中に蓄圧水を供給することが記載されている。
【0005】
前者の特開2005−120742号の蓄圧タンクは、タンク内にダイヤフラムと該ダイヤフラムを押圧するスプリングとを配置したものであり、部品点数が多くコスト高であった。
【0006】
後者の特開2006−169767号では、かかるダイヤフラム及びスプリングの代りに、エアーによってタンク内の水を加圧するようにエアーポンプを設置している。この場合も、エアーポンプの分だけコスト高である。
【0007】
また、上記特開2005−120742号公報の洋風便器設備にあっては、蓄圧タンク内が便器非使用時に常に蓄圧貯水状態となっているため、蓄圧タンクの要求強度が高くなる。
【特許文献1】特開2005−120742号公報
【特許文献2】特開2006−169767号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記の課題を解決し、簡易な構成で蓄圧水を供給することができる便器洗浄装置を提供することを目的とする。
【0009】
本発明は、その一態様において、蓄圧タンクの必要強度を緩和することができる蓄圧装置を備えた便器洗浄装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明(請求項1)の便器洗浄装置は、洋風便器に給水元管からの水を供給するための洗浄弁と、該給水元管から連通路を介して水道水が水道水圧によって導入されると共に、該連通路を介して該給水元管に対し蓄圧水を供給可能なタンクと、該連通路に設けられた導入放水制御用の弁とを有する便器洗浄装置において、該連通路に、水が該タンクに向って流れるときにエアーを吸引するエゼクタが設けられていることを特徴とするものである。
【0011】
請求項2の便器洗浄装置は、請求項1において、前記連通路は、並列に設けられた第1連通路と第2連通路とを備えており、前記導入放出制御用の弁として、該第1連通路に第1弁が設けられ、該第2連通路に第2弁が設けられており、該第2連通路に前記エゼクタが設けられていることを特徴とするものである。
【0012】
請求項3の便器洗浄装置は、請求項1又は2において、前記エゼクタのエアー吸引部に、水の流出を阻止するための逆止弁が設けられていることを特徴とするものである。
【0013】
請求項4の便器洗浄装置は、請求項1ないし3のいずれか1項において、前記タンクに、該タンク内のエアーが前記便器側に流出することを阻止するエアー流出阻止手段が設けられていることを特徴とするものである。
【0014】
請求項5の便器洗浄装置は、請求項4において、前記タンクの底部に水の給排口が設けられており、前記エアー流出阻止手段は、該給排口に設けられており、上方から浮子が着座可能な弁シート部と、該貯水タンク内の水面に浮上している浮子とを備えてなり、該貯水タンク内の水位が所定以下になると該浮子が該弁シート部に着座して該給排口が閉鎖されることを特徴とするものである。
【0015】
請求項6の便器洗浄装置は、請求項1ないし5のいずれか1項において、前記タンクは、前記連通路に連なる主タンクと、該主タンクの上部に連通するサブタンクとからなることを特徴とするものである。
【0016】
請求項7の便器洗浄装置は、請求項2において、洋風便器の便器洗浄を開始するためのフラッシュスイッチと、該フラッシュスイッチの操作信号に基づいて前記第1弁及び第2弁並びに前記洗浄弁を制御する制御手段とが設けられており、前記洋風便器は、トラップ内ヘ水を噴出するジェットノズルを備えており、前記洗浄弁として、洋風便器のリムに給水するリム給水弁と、該ジェットノズルに給水するジェットノズル給水弁とが設けられており、該制御手段は、該フラッシュスイッチが操作されると、該リム給水弁及びジェットノズル給水弁を閉弁させたまま該第1弁及び第2弁を所定時間開弁させ、エアー及び水道水を前記タンク内に流入させて蓄圧水を貯水する蓄圧工程と、次に、前記第1弁及び第2弁を閉弁させ、リム給水弁を開弁させて水道水をリムに供給する鉢洗浄工程と、その後、リム給水弁を閉弁させ、ジェットノズル給水弁を開弁させると共に、前記第1弁を開弁させ、前記タンク内の蓄圧水をジェットノズルに供給するジェット排水工程と、その後、第1弁及びジェットノズル給水弁を閉弁させると共に、リム給水弁を開弁させる覆水工程と、その後、リム給水弁を閉弁させる工程と、を順次に実行するものであることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明(請求項1)の便器洗浄装置にあっては、蓄圧用タンクに水道水を導入するための連通路にエゼクタを設けており、該タンク内に水道水を流入させるときに、水と共にエアーが導入され、タンク内には、最大で水道水の静水圧となったエアーと水とが貯留される。このように構成が簡易で安価なエゼクタを採用し、エアーを該エゼクタによって導入して静水圧によって加圧するようにしているため、ダイヤフラムとスプリング、あるいはエアーポンプが不要であり、便器洗浄装置全体のコストダウンを図ることができる。
【0018】
また、タンクに便器洗浄の直前に水道水をエゼクタを介して導入して貯水するようにすることができるので、便器非使用時にはタンク内を蓄圧貯水状態としないでおくことができる。これにより、蓄圧装置のタンクの必要強度を緩和することができる。
【0019】
請求項2の便器洗浄装置にあっては、タンクから蓄圧水を流出させるときには、エゼクタが設けられていない第1連通路を通すことにより、圧力低下が少なく、圧力の高い水を供給することができる。
【0020】
請求項3の便器洗浄装置にあっては、タンクから蓄圧水の圧力がエゼクタに加えられても、エゼクタ吸引部から水が外部へ流出することが防止される。
【0021】
請求項4の便器洗浄装置にあっては、タンク内のエアーが便器側に流出することを阻止するエアー流出阻止手段が設けられているため、タンクから便器へ水を流出させるときに、タンク内のエアーまで便器側へ流出することがない。このため、タンク内にエアーを少量補給するだけでタンク内に十分な量のエアーを存在させることができる。また、タンクから便器へ水を流出させるときに、貯水タンク内のエアーが便器側へ流出して異音が発生することが防止される。
【0022】
請求項5の便器洗浄装置にあっては、タンク内の水位が所定以下になると、浮子が水の給排口に設けられた弁座部に着座して該給排口を閉鎖するため、タンク内のエアーが便器側に流出することが確実に防止される。また、構造が簡易であるため、タンクの低コスト化も可能である。
【0023】
請求項6の便器洗浄装置によると、タンクを2つのタンクで構成しているため、各タンクの容積が小さくなり、各タンクの配置の自由度が高くなる。
【0024】
請求項7の便器洗浄装置にあっては、フラッシュスイッチが操作されると、タンク内に水を蓄圧状態で貯留させ、次いで便器の鉢洗浄を行ない、その後鉢内の汚水をジェット排水し、次いで鉢に覆水を行なうという一連の便器洗浄工程が自動的に行なわれる。なお、ジェット洗浄時に蓄圧水をジェットノズルに供給することにより、サイホンを迅速に起動させることができる。
【0025】
この態様にあっては、フラッシュスイッチ動作の当初にタンクに蓄圧水を貯水させるようにしており、その前の状態(便器非使用時)ではタンク内に水を静水圧で貯水させることが不要となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、図面を参照して実施の形態について説明する。
【0027】
第1図は本発明の実施の形態に係る便器洗浄装置の斜視図、第2図は第1図の洋風便器の斜視図、第3図〜第6図は第1図の便器洗浄装置のフロー図、第7図はタイミングチャートである。
【0028】
第1,2図の通り、陶器製の洋風便器1は、前部に鉢部2を備え、この鉢部2の上部内周にリム3が設けられている。このリム3へはリムノズル4を介して洗浄水が供給される。このリムノズル4は、洋風便器1の正面向って左側にのみ配置されており、所謂「片側給水方式」となっている。このリムノズル4から水がリム3に供給されることにより、鉢面には旋回流が形成される。
【0029】
鉢部2のトラップ部には、該トラップ部にサイホン排出流を誘起するための水(ジェット水)を噴出するジェットノズル5が設けられている。このトラップ部は、鉢部2の底部から斜め上方に立ち上がる上昇部と、該上昇部に連なり、下方に立ち下がる立下部とを有しており、この立下部が排水管(図示略)に連なっている。このトラップ構造自体は周知のものである。
【0030】
なお、この洋風便器1はフラッシュスイッチを操作することにより便器洗浄が開始されるよう構成されている。このフラッシュスイッチは、図示しないリモコンに設けられている。このリモコンからのフラッシュ信号が後述の各弁の制御手段に赤外線等によって与えられる。
【0031】
洋風便器1の後部上面に便座ボックス6が設置されている。この便座ボックス6の後部は洋風便器1よりも若干後方に張り出し、その下側にアンダーケース7が連なっている。便座ボックス6に対し便座8及び便蓋9が起倒回動しうるように支持されている。
【0032】
トイレルームの壁面には給水管の末端が突出しており、この給水管の末端に止水栓10が取り付けられている。この止水栓10は給水ホース11及び逆止弁11a(第3〜6図)を介して洋風便器1の後部に設置されたストレーナ12に接続されている。この逆止弁11aは、便器1側から止水栓10側への水の流出を阻止するものである。このストレーナ12を通過した水は配管24を介して弁ユニット20へ供給されている。
【0033】
この弁ユニット20は、第3〜6図に示すリム給水弁22及びジェット給水弁23並びに第1弁30及び第2弁40を備えている。配管24は末端側が2手に分岐しており、一方にリム給水弁22が設けられ、他方にジェット給水弁23が設けられている。
【0034】
リム給水弁22はリムノズル4へ水を供給し、ジェット給水弁23はジェットノズル5へ水を供給する。リムノズル4に至る配管に調圧弁4a及びバキュームブレーカ4bが設けられている。ジェットノズル5に至る配管に調圧弁5a及びバキュームブレーカ5bが設けられている。これらリム給水弁22、ジェット給水弁23、第1弁30及び第2弁40は、電気配線を介して図示しない制御手段に接続されている。
【0035】
配管24の途中から分岐管25が分岐している。この分岐管25の末端は第1弁30の水室31に連通し、この水室31は配管50を介して第2弁40の水室41に連通している。
【0036】
第1弁30及び第2弁40は、流出口32,42の周縁から突出する円筒状の弁座33,43と、該弁座33,43に着座する弁体34,44と、該弁体34,44を着座方向に押圧するバネ38,48と、該弁体34,44に対し着座方向に磁力を与えるためのソレノイド35,45とを有する。このソレノイド35,45に対し前記制御手段から通電が行なわれる。
【0037】
この第1弁30の流出口32は、配管51を介して主タンク60の水給排口61に連通している。第2弁40の流出口はエゼクタ70及び配管52を介して該水給排口61に連通している。
【0038】
エゼクタ70のスロート部(ノズル部)に連通する吸引部71は、スロート部に向う方向にのみ流体の流通を許容する逆止弁72を介して大気に連通している。このエゼクタ70のノズル部の径は第2弁40の弁座43よりも径が小さくなっており、エゼクタ70のノズル部に、水圧を低下させずに水を供給して空気を吸引するようにしている。また、第2弁40の弁座43は、第1弁30の弁座33よりも径が小さなものとなっている。
【0039】
なお、配管52の途中部分から水抜管74が分岐し、この水抜管74に水抜弁73が設けられている。この水抜弁73は、通常時は閉とされ、凍結防止等のために機器内部の水を抜く場合に開とされる。
【0040】
配管51,52内の圧を所定圧以下とするために放圧用配管75が分岐し、この放圧用配管75にリリーフ弁76が設けられている。この放圧用配管75の末端は便鉢のリムに連通している。
【0041】
この実施の形態では、蓄圧用のタンクは主タンク60と、サブタンク68とからなり、該主タンク60の上部とサブタンク68の下部とが配管67で連通されている。
【0042】
主タンク60内には、該水給排口61に周設された弁シート部63と、該弁シート部63を囲むパンチングメタルや金網などよりなる円筒状の浮子ガイド65と、該ガイド65内に上下動自在に配置された浮子62とを有している。このガイド65は、浮子62を弁シート部63に案内するためのものであり、筒軸方向を鉛直方向にして配置されている。
【0043】
主タンク60及びサブタンク68は、アンダーケース7内又は洋風便器1のスカート部1a内に配置されている。
【0044】
次に、このように構成された便器洗浄装置の作動内容について、以下に説明する。
【0045】
[非使用時(第3図)]
リム給水弁22,ジェット給水弁23及び第1弁30,第2弁40は閉弁されている。主タンク60及びサブタンク68内は貯水されておらず、主タンク60内は、後述の通り、ほぼ配管24の流動圧もしくはエアーの初期加圧値となっている。なお、第1弁30,第2弁40の弁体34,44は、バネ38,48の付勢力と、水道水圧とによって弁座33,43に押し付けられ、閉弁状態となっている。
【0046】
[主タンク60及びサブタンク68内への蓄水(第4図)]
フラッシュスイッチが操作されると、制御手段が第2弁40のソレノイド45を励磁し、弁体44を後退させて第2弁40を開弁させる。これにより、止水栓10、給水ホース11,分岐管25,第2弁40,エゼクタ70及び配管52を介して水道水が静水圧にて主タンク60内に流入し、貯水される(第7図の工程a)。この際、エゼクタ70の吸引部71からエアーが吸引され、このエアーも主タンク60内に流入する。
【0047】
その後、第1弁30も開弁し、水道水がさらに第1弁30及び配管51を介しても主タンク60に流入し、その後にはサブタンク68にも流入する(第7図の工程b)。工程aは通常は1〜5秒、工程bは1〜5秒程度である。
【0048】
この主タンク60及びサブタンク68内への水の流入に伴って、サブタンク68内のエアー圧が上昇する。
【0049】
この便器洗浄装置にあっては、配管50、第2弁40及び配管52等を介してエゼクタ70に水道水が通水されるので、エゼクタ70を通過する流量が少ない。そのため、第2弁40、エゼクタ70及び配管50,52を通過することによる水道水の水圧低下が少なく、主タンク60内に十分に高い水圧で水道水を流入させることができる。
【0050】
なお、主タンク60に水が流入すると、浮子62がその浮力によって上昇し、弁シート部63から離座する。
【0051】
[便器洗浄(第5図、第6図)]
1.鉢洗浄(工程c,d,e)
上記工程bの末期において、第1弁30及び第2弁40がまだ開弁している状態にあるときに、制御手段がリム給水弁22を開弁させる。これは、第1弁30及び第2弁40が急速に閉弁することによるウォーターハンマ(WH)を防止するためである。リム給水弁22が開弁してから極く短時間(例えば0.1〜0.3秒)の工程cが経過した後に、第1弁30及び第2弁40を閉弁させる。これにより、ホース11からの水のみが、リムノズル4を介してリム3へ給水され、鉢部2の内面が洗浄される(工程d)。
【0052】
この工程dの間は、上記の通り、ホース11からの水道水のみがリムノズル4へ供給される。なお、前記工程cでは、主タンク60内の水の一部もリムへ放出される。
【0053】
所定時間経過後、制御手段がリム給水弁22を閉弁し、鉢洗浄が停止される。なお、この実施の形態では、鉢洗浄の終了よりも短時間(例えば0.5〜1.5秒)だけ先行して第1弁30を開弁させ、主タンク60内の水を急速にリムへ供給し、鉢内の水位を高める(増水工程e)。
【0054】
2.再度の蓄圧工程(工程f)
工程c,eでの放水により低下したタンク60,68内の水圧を回復させるために、鉢洗浄終了後、所定時間(例えば2〜3秒)第1弁30を開弁させたままとして、水道水を主タンク60へ供給する。
【0055】
3.ジェット起動(工程g)
次いで、制御手段がジェット給水弁23を開弁する。これにより、タンク60,68内の蓄圧水と給水ホース11からの水とがジェットノズル5を介してトラップ部に噴出する。これにより、トラップ部にサイホンが迅速かつ強力に発生し、便鉢2から汚水が排出される(工程g)。なお、タンク60,68内の蓄圧水は、エゼクタ70を経由せず、配管51,25から直接的に配管24へ供給されるので、この供給水圧は十分に高いものとなる。
【0056】
このジェット洗浄工程の後半になると、タンク60,68内の水の大部分が放出終了する。そして、浮子62がシート部63に着座する。このときの主タンク60及びサブタンク68内の残圧は、このときの配管24内の流動圧と等しい。この流動圧と等しい圧が次回の便器洗浄開始までタンク60,68内に残ることになる。
【0057】
4.ジェット停止、溜水面の形成
やがて、制御手段からの信号によってジェット給水弁23及び第1弁30が閉弁する。これによってジェット水噴出が停止し、鉢部2内の汚水が排出され、サイホンがブレークする。そこで、制御手段がリム給水弁22を所定の時間(例えば5〜10秒)だけ開弁させ、鉢部2内に所定量の水を供給し、溜水面を形成する(覆水工程h)。
【0058】
鉢部2内に十分な溜水面が形成された後、制御手段がリム給水弁22を閉弁させ、洗浄が終了し、待機状態となる。
【0059】
なお、この待機状態では、タンク60,68内の圧力が低いので、タンク60,68の耐圧要求特性が緩和される。
【0060】
[別の態様]
上記実施の形態では、鉢洗浄工程の末期に増水工程eを実行しているが、この増水工程eを省略し、工程dから直ちに再蓄圧工程fに移行してもよい。このようにすると、タンク60,68への水補充量が少なくて済むので、再蓄圧工程f時間が短くて足りる。そのため、鉢洗浄工程で鉢内に生じた旋回流が十分に残っているうちにジェット排出が開始することになり、ジェット排水効率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】第1の実施の形態に係る便器洗浄装置の斜視図である。
【図2】第1図の洋風便器の斜視図である。
【図3】第1図の便器洗浄装置のフロー図である。
【図4】第1図の便器洗浄装置のフロー図である。
【図5】第1図の便器洗浄装置のフロー図である。
【図6】第1図の便器洗浄装置のフロー図である。
【図7】第1図の便器洗浄装置のタイミングチャートである。
【符号の説明】
【0062】
1 洋風便器
2 鉢部
3 リム
4 リムノズル
5 ジェットノズル
11 給水ホース
22 リム給水弁
23 ジェット給水弁
30 第1弁
40 第2弁
31,41 水室
34,44 弁体
35,45 ソレノイド
38,48 バネ
60 主タンク
62 浮子
63 弁座
68 サブタンク
70 エゼクタ
71 吸引部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
洋風便器に給水元管からの水を供給するための洗浄弁と、
該給水元管から連通路を介して水道水が水道水圧によって導入されると共に、該連通路を介して該給水元管に対し蓄圧水を供給可能なタンクと、
該連通路に設けられた導入放水制御用の弁とを有する便器洗浄装置において、
該連通路に、水が該タンクに向って流れるときにエアーを吸引するエゼクタが設けられていることを特徴とする便器洗浄装置。
【請求項2】
請求項1において、前記連通路は、並列に設けられた第1連通路と第2連通路とを備えており、
前記導入放出制御用の弁として、該第1連通路に第1弁が設けられ、該第2連通路に第2弁が設けられており、
該第2連通路に前記エゼクタが設けられていることを特徴とする便器洗浄装置。
【請求項3】
請求項1又は2において、前記エゼクタのエアー吸引部に、水の流出を阻止するための逆止弁が設けられていることを特徴とする便器洗浄装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項において、前記タンクに、該タンク内のエアーが前記便器側に流出することを阻止するエアー流出阻止手段が設けられていることを特徴とする便器洗浄装置。
【請求項5】
請求項4において、前記タンクの底部に水の給排口が設けられており、
前記エアー流出阻止手段は、
該給排口に設けられており、上方から浮子が着座可能な弁シート部と、
該貯水タンク内の水面に浮上している浮子と
を備えてなり、
該貯水タンク内の水位が所定以下になると該浮子が該弁シート部に着座して該給排口が閉鎖されることを特徴とする便器洗浄装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1項において、前記タンクは、前記連通路に連なる主タンクと、該主タンクの上部に連通するサブタンクとからなることを特徴とする便器洗浄装置。
【請求項7】
請求項2において、洋風便器の便器洗浄を開始するためのフラッシュスイッチと、該フラッシュスイッチの操作信号に基づいて前記第1弁及び第2弁並びに前記洗浄弁を制御する制御手段とが設けられており、
前記洋風便器は、トラップ内ヘ水を噴出するジェットノズルを備えており、前記洗浄弁として、洋風便器のリムに給水するリム給水弁と、該ジェットノズルに給水するジェットノズル給水弁とが設けられており、
該制御手段は、
該フラッシュスイッチが操作されると、該リム給水弁及びジェットノズル給水弁を閉弁させたまま該第1弁及び第2弁を所定時間開弁させ、エアー及び水道水を前記タンク内に流入させて蓄圧水を貯水する蓄圧工程と、
次に、前記第1弁及び第2弁を閉弁させ、リム給水弁を開弁させて水道水をリムに供給する鉢洗浄工程と、
その後、リム給水弁を閉弁させ、ジェットノズル給水弁を開弁させると共に、前記第1弁を開弁させ、前記タンク内の蓄圧水をジェットノズルに供給するジェット排水工程と、
その後、第1弁及びジェットノズル給水弁を閉弁させると共に、リム給水弁を開弁させる覆水工程と、
その後、リム給水弁を閉弁させる工程と、
を順次に実行するものであることを特徴とする便器洗浄装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−156937(P2008−156937A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−347992(P2006−347992)
【出願日】平成18年12月25日(2006.12.25)
【出願人】(000000479)株式会社INAX (1,429)
【Fターム(参考)】