説明

便器洗浄装置

【課題】便器本体回りの外観を損なうことなく、床面への水の滴下をより生じない便器洗浄装置を提供する。
【解決手段】便器洗浄装置1において、給水管10は、流入口11が下方を向く直線状の第1給水管20と、第1給水管20と直交する直線状の接続管30と、流出口12が下方を向くように接続管30と直交し、バキュームブレーカ機構70が設けられた直線状の第2給水管40とを有する。バキュームブレーカ機構70は、流水路71aと、流水路71aと外部とを連通する吸気通路71bとが形成された筒体71と、上流側が流水路71a内で筒体71に設けられ、下流側が流水路71a内で閉塞又は開放可能なパッキン72とを有する。少なくとも第2給水管40の外周には吸気通路71bを逆流する溢れ水と少なくとも第2給水管40で生じる結露水とを貯留し、貯留した水を吸気通路71bに導く水受け部材101が設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は便器洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に従来の便器洗浄装置が開示されている。この便器洗浄装置は、流入口から流出口まで流路が延びる給水管を備えており、給水管に対して止水弁機構、開閉弁機構及びバキュームブレーカ機構がこの順で設けられたものである。
【0003】
より詳しくは、給水管は設置時に流入口が下方を向き、止水弁機構が設けられた直線状の第1給水管と、この第1給水管と直交する直線状の接続管と、設置時に流出口が下方を向くように接続管と直交し、上流側に開閉弁機構が設けられ、下流側にバキュームブレーカ機構が設けられた直線状の第2給水管とを有している。
【0004】
バキュームブレーカ機構は、筒体とパッキンとを有している。筒体には、流路の一部をなす流水路と、この流水路と外部とを連通する吸気通路とが形成されている。パッキンは、上流側が流水路内で筒体に設けられ、下流側が流水路内で弾性力によって閉塞して吸気通路を開放可能であるととともに弾性力に抗して内部を流れる流水によって開放可能なものである。
【0005】
また、この便器洗浄装置では、第2給水管の外周に水受け部材が設けられている。この水受け部材は、吸気通路を上面に位置させる下部材と、この下部材の上方に下部材と離れて設けられ、下部材より大径の上部材とからなる。
【0006】
このような構成である従来の便器洗浄装置では、便器本体の長時間の不使用時において、止水弁機構が流路を上流側で遮断して止水を行う。また、便器本体の使用時には、開閉弁機構が流路の遮断と開放とを切り替え、便器本体の便鉢に洗浄水を適宜供給可能となっている。バキュームブレーカ機構は、上流側で負圧が発生した場合、外気を吸気通路により給水管内に導入して負圧を解消し、水が逆流することを防止する。
【0007】
また、この便器洗浄装置では、バキュームブレーカ機構の吸気通路を逆流する溢れ水がまずは水受け部材の下部材に貯留される。バキュームブレーカ機構では、上流側の開閉弁機構が開かれ、洗浄水が筒体内の流水路を下流に向かって流れておれば、パッキンが吸気通路を閉塞しているが、開閉弁機構が閉じられ、洗浄水が筒体内の流水路を流れていないのであれば、パッキンが吸気通路を開放する。このため、下部材に貯留された溢れ水は、開閉弁機構が閉じている間に吸気通路を介して流水路に導かれる。
【0008】
こうして、この便器洗浄装置では、バキュームブレーカ機構の溢れ水が下方の床面に滴下することを防止できる。また、この便器洗浄装置では、水の処理のために別途ホース等を設ける必要がないことから、便器本体回りの外観が維持される。
【0009】
【特許文献1】特開2003−42322号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、給水管の外部には、バキュームブレーカ機構の吸気通路から漏出する漏れ水ばかりでなく、給水管の表面に結露する結露水も存在し得る。この点、上記従来の便器洗浄装置では、下部材の上方に上部材が設けられており、この上部材が下部材より大径であることから、第2給水管で生じる結露水を下部材で受けることができない。このため、この便器洗浄装置では、溢れ水の床面への滴下は防止できるものの、結露水の床面への滴下を生じるおそれがある。
【0011】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、便器本体回りの外観を損なうことなく、床面への水の滴下をより生じない便器洗浄装置を提供することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の便器洗浄装置は、流入口から流出口まで流路が延びる給水管に対し、止水弁機構、開閉弁機構及びバキュームブレーカ機構がこの順で設けられ、便器本体の便鉢に洗浄水を供給可能な便器洗浄装置において、
前記給水管は、設置時に前記流入口が下方を向き、前記止水弁機構が設けられた直線状の第1給水管と、該第1給水管と直交する直線状の接続管と、設置時に前記流出口が下方を向くように該接続管と直交し、上流側に前記開閉弁機構が設けられ、下流側に前記バキュームブレーカ機構が設けられた直線状の第2給水管とを有し、
該バキュームブレーカ機構は、前記流路の一部をなす流水路と、該流水路と外部とを連通する吸気通路とが形成された筒体と、
上流側が該流水路内で該筒体に設けられ、下流側が該流水路内で弾性力によって閉塞して該吸気通路を開放可能であるととともに該弾性力に抗して内部を流れる流水によって開放可能なパッキンとを有し、
少なくとも該第2給水管の外周には、該吸気通路を逆流する溢れ水と少なくとも該第2給水管で生じる結露水とを貯留し、貯留した水を該吸気通路に導く水受け部材が設けられていることを特徴とする。
【0013】
このような構成である本発明の便器洗浄装置では、バキュームブレーカ機構の吸気通路を逆流する溢れ水ばかりでなく、第2給水管の表面に結露する結露水も漏らすことなくまずは水受け部材で貯留することができる。このため、水受け部材に貯留された溢れ水及び結露水は、床面に滴下することなく、開閉弁機構が閉じている間に吸気通路を介して流水路に導かれる。また、この便器洗浄装置では、水の処理のために別途ホース等を設ける必要がないことから、便器本体回りの外観が維持される。
【0014】
したがって、本発明の便器洗浄装置は、便器本体回りの外観を損なうことなく、床面への水の滴下をより防止することが可能である。
【0015】
水受け部材は、吸気通路を上面に位置させる下部材と、内部が外部に連通するように下部材と一体化され、少なくとも第2給水管を覆う上部材とからなることが好ましい。上部材がない場合には、下部材に外部から埃やゴミ等が付着し易く、極端な場合には吸気通路を介した水の還流が阻害されることとなる。この点、上部材があれば、埃等が下部材に蓄積されることがなく、水の還流を維持することが可能である。
【0016】
本発明の便器洗浄装置において、下部材は接続管の下方に連続していることが好ましい。この場合、この便器洗浄装置は、給水管の外部に存在し得る結露水も下部材によって確実に受けることができる。このため、この便器洗浄装置は、本発明の作用効果を確実に奏することができる。
【0017】
本発明の便器洗浄装置において、第1給水管には、止水弁機構より下流側からストレーナが直線方向で挿入されているとともに、ストレーナを直線方向で着脱可能とする蓋部が設けられ、下部材は第1給水管の外周に連続していることが好ましい。
【0018】
この場合、この便器洗浄装置は、第1給水管の外部に存在し得る結露水も一層確実に受けることができる。さらに、この便器洗浄装置は、蓋部を取り外してストレーナを着脱する際に水が溢れたとしても、その水を下部材により受けることができる。このため、この便器洗浄装置は、本発明の作用効果を一層確実に奏することができる。
【0019】
上部材は接続管及び第1給水管を覆っていることが好ましい。この場合、接続管及び第1給水管側においても、埃等が下部材に蓄積されることがなく、水の還流を維持することが可能である。また、下部材と上部材とが箱型に一体化されるため、優れた外観も呈する。
【0020】
本発明の便器洗浄装置において、第1給水管は接続管の一部を一体に有し、第2給水管は接続管の残部を一体に有し、接続管の一部と接続管の残部とは回転不能に結合されていることが好ましい。この場合、この便器洗浄装置は、部品点数を削減できるとともに、第1給水管、接続管及び第2給水管を一体に組み付ける作業、及び一体に組み付けられた第1給水管、接続管及び第2給水管に水受け部材を装着する作業を容易に実施できる。このため、この便器洗浄装置は、製品コストの低廉化を図ることができる。
【0021】
本発明の便器洗浄装置において、接続管には流量調整弁機構が設けられていることが好ましい。この場合、この便器洗浄装置は、流量調整弁機構により洗浄水の流量を調整することができる。また、この便器洗浄装置において、第1給水管が接続管の一部を一体に有し、第2給水管が接続管の残部を一体に有し、接続管の一部と接続管の残部とが回転不能に結合される構成である場合には、接続管の一部と接続管の残部との間に、流量調整弁機構を配置することにより、流量調整弁機構を接続管内に配置する作業を容易に実施できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明を具体化した実施例を図面を参照しつつ説明する。
【実施例】
【0023】
図1に示すように、実施例の便器洗浄装置1は、洋風水洗式便器において、便器本体2の便鉢2aの上流側に取り付けられ、便鉢2aに洗浄水を供給するものである。この便器洗浄装置1は、図2及び図3に示すように、第1給水管20と接続管30と第2給水管40とを有する給水管10を備えている。また、便器洗浄装置1には、詳細を後述する水受け部材101が設けられている。
【0024】
図3に示すように、給水管10には、流入口11から第1給水管20、接続管30及び第2給水管40を経由して流出口12まで延びる略U字状の流路10a(図3中、二点鎖線で示す。)が形成されている。流入口11は、図1に示すように、設置時には下方を向いた状態で、便器本体2の設置場所に設けられる水道管(図示しない)に止水栓(図示しない)及びフレキシブルホース9を介して接続されるものである。流出口12は、設置時には下方を向いた状態で、エゼクタ6、水タンク7及び接続管8を介して、便鉢2aの貫通孔2bに設けられたノズル8aに接続される。エゼクタ6と水タンク7とは、便鉢2aに洗浄水を供給する際、洗浄水を増量して便鉢2aを洗浄するものである。なお、流出口12は、エゼクタ6と水タンク7とを介さずに、接続管8及びノズル8aに接続されていてもよい。
【0025】
図3に示すように、第1給水管20は、流入口11側から下流側に向かって第1ボール弁筒体51、第2ボール弁筒体52、第1給水管本体21及び蓋部22が組み付けられてなる構成であり、流入口11から直線S1方向に延在する直線状の筒体である。
【0026】
筒状の第1ボール弁筒体51及び第2ボール弁筒体52が嵌め合わされて形成される内部空間50a内には、直線S1方向に直交する方向を回転軸とする球状の弁体53と、弁体53を前記回転軸回りで回転可能に支持しつつ、弁体53と内部空間50aとの隙間をシールするシール部材54a、54bとが配設されている。弁体53は、図2に示すように、筒状の第1ボール弁筒体51の外部に突出する操作軸55と接続されており、操作軸55を回転させて、弁体53を図3に示す状態から90°回転させることにより、弁体53に形成された貫通孔53aと、第1ボール弁筒体51及び第2ボール弁筒体52の内筒面とが直線状に挿通するようになっている。
【0027】
上記第1ボール弁筒体51、第2ボール弁筒体52、弁体53及びシール部材54a、54b等により、止水弁機構50が構成されている。そして、止水弁機構50は、便器の不使用時に止水するため、流路10aを上流側である流入口11付近で遮断することが可能となっている。
【0028】
第1給水管本体21は、直線S1方向に延在する筒体の中間付近から直線S1方向と直交する方向に延在する筒状の第1接続部21aが一体に形成されたT字状のものである。第1接続部21aは、後述するストレーナ80より下流側に位置するものであり、この第1接続部21aが後述する接続管30の一部に相当する。
【0029】
第1給水管本体21の流入口11側は、第2ボール弁筒体52の内筒に挿入されて、第2ボール弁筒体52と嵌合している。そして、クリップ56により、第1給水管本体21の流入口11側と第2ボール弁筒体52とが離反しないように係止固定されている。
【0030】
蓋部22は、第1給水管本体21の流入口11と反対側(直線S1方向の下流側)に、螺合により着脱可能に設けられている。止水弁機構50と蓋部22との間には、直線S1方向に延在する円筒状のストレーナ80が配設されている。このストレーナ80は、後述する開閉弁機構60及びバキュームブレーカ機構70よりも上流側において洗浄水に混入し得るゴミ等の異物を濾過することにより、異物が開閉弁機構60及びバキュームブレーカ機構70に不具合を生じさせることを防止するものである。
【0031】
ストレーナ80は、図5に示すように、蓋部22を取り外した状態で、止水弁機構50より下流側から直線S1方向で挿入されると、ストレーナ80の上流側端部が第1給水管本体21の内部に形成された段部21dに当て止まった状態となる。そして、蓋部22を第1給水管本体21に螺合させることにより、ストレーナ80の下流側端部が蓋部22の内部に形成された段部22dに当て止まった状態となる。こうして、ストレーナ80は、第1給水管本体21内に装着される。
【0032】
図2及び図3に示すように、第2給水管40は、流出口12側から上流側に向かって流出口筒体44、接続管43、バキュームブレーカ筒体71、第2給水管本体41及び開閉弁機構マウント部材66等が組み付けられてなる構成であり、直線S1方向と平行に延在し、流出口12が流入口11と同方向に開口する直線状の筒体である。
【0033】
筒状の第2給水管本体41の内部には、筒状の開閉弁筒体61が配置され、開閉弁機構マウント部材66の第2給水管本体41に対面する側には、開閉弁筒体61に着座又は離座可能な略円盤状の弁体62が配設されている。弁体62の背面側には、第2給水管本体41と開閉弁機構マウント部材66とにより容積可変空間62aが形成されている。また、第2給水管本体41と開閉弁機構マウント部材66とには容積可変空間62aを密閉するパッキン63が挟持されており、弁体62はこのパッキン63に固定されて容積可変空間62aを上下動するようになっている。容積可変空間62a内には弁体62を開閉弁筒体61に着座させる方向に付勢力をもつばね68が収納されている。また、弁体62には開閉弁筒体61の外側と容積可変空間62aとを連通する小孔69が形成されている。開閉弁機構マウント部材66の弁体62と反対側には、ソレノイド67が配設されている。ソレノイド67は、第2給水管本体41の下流側の流路10aから開閉弁機構マウント部材66と弁体62とで形成される容積可変空間62a内に連通する挿通路65を遮断又は開放可能とされている。
【0034】
上記の開閉弁筒体61、開閉弁機構マウント部材66、弁体62、ソレノイド67、容積可変空間62a及び挿通路65等により、開閉弁機構60が構成されている。そして、開閉弁機構60において、ソレノイド67が挿通路65を開放すれば、容積可変空間62aが流路10aの下流側と挿通路65を介して連通し、弁体62が上流側の水圧に押されて開閉弁筒体61から離座して流路10aを開放する。他方、ソレノイド67が挿通路65を遮断すれば、弁体62がばね68に押され、容積可変空間62a内に小孔69から水が流入する。その結果、弁体62は、開閉弁筒体61に着座し、流路10aを遮断する。
【0035】
図4に拡大して示すように、バキュームブレーカ筒体71は、流路10aの一部をなす流水路71aと、流水路71aと外部とを連通する吸気通路71bとが形成されたものである。流水路71a内には、弾性材料からなる略円筒状のパッキン72が配設されている。
【0036】
パッキン72は、上流側が流水路71a内でバキュームブレーカ筒体71に固定され、下流側が流水路71a内で弾性力によって閉塞して吸気通路71bを開放可能であるととともに弾性力に抗して内部を流れる流水によって開放可能なものである。パッキン72の下流側が開放すれば、パッキン72の外周面が吸気通路71bに当接して、吸気通路71bを閉塞するようになっている。
【0037】
上記のバキュームブレーカ筒体71及びパッキン72により、バキュームブレーカ機構70が構成されている。このバキュームブレーカ機構70は、流路10aの上流側で負圧が発生した場合、図4の経路P1、P2に示すように、吸気通路71bを介して、外気を流水路71a内に導入して負圧を解消し、水が逆流することを防止可能となっている。
【0038】
図5に示すように、第2給水管本体41の開閉弁機構60より上流側には、直線S1方向と直交する方向、かつ上述の第1接続部21aと同軸で対面し得る方向に延在する筒状の第2接続部40aが形成され、第2接続部40aには内筒40bが嵌合固定されている。この第2接続部40a及び内筒40bが後述する接続管30の残部に相当する。
【0039】
図2及び図3に示すように、接続管30は、接続管30の一部としての第1接続部21aと、接続管30の残部としての第2接続部40a及び内筒40bとが結合されることにより構成され、直線S1方向と直交する方向に延在し、第1給水管20と第2給水管40とを連通させる直線状の筒体である。
【0040】
接続管30の中央部には、流量調整弁機構90が直線S1方向と直交する方向を向いた状態で配設されている。流量調整弁機構90は周知のものであり、開閉弁機構60が流路10aを開放した後、洗浄水が所望の流量で流出口12から流出するように調整するものである。
【0041】
図5に示すように、第1接続部21aと第2接続部40a及び内筒40bとは、流量調整弁機構90を中間に位置させつつ、同軸で対面する状態とした上で、第2接続部40a及び内筒40bに配設された袋ナット35が第1接続部21aの外周側に形成されたねじ部21bに螺合されることにより結合され、さらに、第1接続部21aと第1接続部40a及び内筒40bとの間に介在するOリング35aによって水密状態が維持されるようになっている。
【0042】
なお、袋ナット35をねじ部21bに螺合する際、第1接続部21aと第2接続部40a及び内筒40bとが対面する位置関係が捩れることのないように、双方を回り止めする回り止め機構36が設けられている。
【0043】
回り止め機構36は、第1接続部21aから径方向外側に突出する支持部36aと、内筒40bから径方向外側に突出する支持部36bと、支持部36a、36bに挿通されるピン36cにより構成されている。そして、回り止め機構36により双方を回り止めした状態で、袋ナット35をねじ部21bに螺合することにより、流入口11と流出口12とを同方向に開口する状態とし、第1給水管20、接続管30及び第2給水管40を略U次形状とすることを容易に実現可能となっている。
【0044】
図2及び図3に示すように、第1給水管20、接続管30及び第2給水管40の下方には、水受け部材101が設けられている。水受け部材101は、平たい底面の周囲を囲む側壁が形成された受け皿形状の下部材101aと、下部材101aと一体化された上部材101bとからなる。上部材101bの側面には微小な大気口101cが貫設されており、この大気口101cにより下部材101aと上部材101bの内部は外部に連通されている。
【0045】
下部材101aの底面には、第1給水管20の流入口11側を挿通させる開口部100bと、第2給水管40の流出口12側を挿通させる開口部100aとが形成されている。
【0046】
第1給水管本体21と開口部100bとの間には双方の間を封止する円環状のパッキン100dが配設され、バキュームブレーカ筒体71と開口部100bとの間には双方の間を封止する円環状のパッキン100cが配設されている。
【0047】
図4に示すように、パッキン100cは、吸気通路71bより下方に配置されているので、下部材101aに溜まった水は、図4の経路P1、P2に示すように、吸気通路71bに導かれ、さらに、流水路71aに流入するようになっている。
【0048】
このような構成である実施例の便器洗浄装置1は、図1〜図3に示すように、第1給水管20が流路10aの上流側、すなわち流入口11を下方に向けた状態で垂直に配置される設置方法により便器本体2に装着される。この際、蓋部22は、第1給水管20の最上端に位置する。また、水受け部材101の下部材101aは、第1給水管20、接続管30及び第2給水管40の下方に位置する。そして、第1給水管20、接続管30及び第2給水管40の上方には、下方に開口縁を有する箱状の上部材101bが第1給水管20、接続管30及び第2給水管40に覆いかぶさるように配設されている。上部材101bの開口縁は、下部材101aの側壁の上端縁と当接固定されるようになっており、下部材101aに外部から埃やゴミ等が付着しないようにしている。
【0049】
そして、止水弁機構50が流路10aを開放した状態において、便器本体2の使用時に開閉弁機構60が流路10aを開放すれば、流量調整弁機構90により所望の流量に調整された洗浄水が便器本体2の便鉢2aに供給されるようになっている。
【0050】
ここで、実施例の便器洗浄装置1においては、給水管10は、設置時に流入口11が下方を向き、止水弁機構50が設けられた直線状の第1給水管20と、第1給水管20と直交する直線状の接続管30と、設置時に流出口12が下方を向くように接続管30と直交し、上流側に開閉弁機構60が設けられ、下流側にバキュームブレーカ機構70が設けられた直線状の第2給水管40とを有している。
【0051】
そして、バキュームブレーカ機構70は、流路10aの一部をなす流水路71aと、流水路71aと外部とを連通する吸気通路71bとが形成されたバキュームブレーカ筒体71と、上流側が流水路71a内でバキュームブレーカ筒体71に設けられ、下流側が流水路71a内で弾性力によって閉塞して吸気通路71bを開放可能であるととともに弾性力に抗して内部を流れる流水によって開放可能なパッキン72とを有している。
【0052】
さらに、少なくとも第2給水管40の外周には、吸気通路71bに水を導く水受け部材101が設けられている。このため、この便器洗浄装置1では、バキュームブレーカ機構70の吸気通路71bを逆流する溢れ水ばかりでなく、第1給水管20、接続管30及び第2給水管40の表面に結露する結露水も漏らすことなくまずは下部材101aで貯留することができる。このため、下部材101aに貯留された溢れ水及び結露水は、床面に滴下することなく、開閉弁機構60が閉じている間に吸気通路71bを介して流水路71aに導かれる。
【0053】
また、この便器洗浄装置1では、水受け部材101が下部材101aと上部材101bとからなるため、埃等が下部材101aに蓄積されることがなく、水の還流を維持することが可能である。
【0054】
また、この便器洗浄装置1において、第1給水管20には、止水弁機構50より下流側からストレーナ80が直線S1方向で挿入されているとともに、ストレーナ80を直線S1方向で着脱可能とする蓋部22が設けられ、水受け部材101は第1給水管20の外周に連続している。このため、この便器洗浄装置1は、第2給水管40及び接続管20の外周からさらに第1給水管20の外周に連続する水受け部材101により、給水管10の外部に存在し得る水を一層確実に受けることが可能となっている。さらに、この便器洗浄装置1は、蓋部22を取り外してストレーナ80を着脱する際に水が溢れたとしても、水受け部材101により受けることができる。このため、この便器洗浄装置1は、本発明の作用効果を一層確実に奏することができる。
【0055】
さらに、この便器洗浄装置1では、水の処理のために別途ホース等を設ける必要がないことから、便器本体2回りの外観が維持される。
【0056】
したがって、この便器洗浄装置1は、便器本体2回りの外観を損なうことなく、床面への水の滴下をより防止することが可能である。
【0057】
また、この便器洗浄装置1において、第1給水管20は接続管30の一部としての第1接続部21aを一体に有し、第2給水管40は接続管30の残部としての第2接続部40a及び内筒40bを一体に有し、第1接続部21aと第2接続部40aとは回り止め機構36及び袋ナット35により回転不能に結合されている。このため、この便器洗浄装置1は、部品点数を削減できているとともに、第1給水管20、接続管30及び第2給水管40を一体に組み付ける作業、及び一体に組み付けられた第1給水管20、接続管30及び第2給水管40に水受け部材101を装着する作業を容易に実施できる。特に、回り止め機構36により、流入口11と流出口12とが同一方向を向くようにすることを確実に実現できるので、水受け部材101の開口部100a、100bに第1給水管20及び第2給水管40を挿入する作業がし易くなっている。このため、この便器洗浄装置1は、製品コストの低廉化を図ることが可能となっている。
【0058】
さらに、この便器洗浄装置1において、接続管30には流量調整弁機構90が設けられている。このため、この便器洗浄装置1は、流量調整弁機構90により洗浄水の流量を調整することが可能となっている。また、この便器洗浄装置1は、第1給水管20の第1接続部21aと第2接続部40aとの間に流量調整弁機構90を配置することにより、流量調整弁機構90を接続管30内に配置する作業を容易に実施可能となっている。
【0059】
以上において、本発明を実施例に即して説明したが、本発明は上記実施例に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用できることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明は洋風水洗式便器に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】実施例の便器洗浄装置が適用された洋風水洗式便器の断面図である。
【図2】実施例の便器洗浄装置の斜視図である。
【図3】実施例の便器洗浄装置の断面図である。
【図4】実施例の便器洗浄装置の要部拡大断面図である。
【図5】実施例の便器洗浄装置に係り、各構成部材を組み付ける前の状態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0062】
1…便器洗浄装置
2…便器本体
2a…便鉢
10…給水管
10a…流路
11…流入口
12…流出口
20…第1給水管
21a…接続管の一部(21a…第1接続部)
22…蓋部
30…接続管
36…回り止め機構
40…第2給水管
40a、40b…接続管の残部(40a…第2接続部、40b…内筒)
50…止水弁機構
60…開閉弁機構
70…バキュームブレーカ機構
71…筒体(バキュームブレーカ筒体)
71a…流水路
71b…吸気通路
72…パッキン
80…ストレーナ
90…流量調整弁機構
101…水受け部材
101a…下部材
101b…上部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流入口から流出口まで流路が延びる給水管に対し、止水弁機構、開閉弁機構及びバキュームブレーカ機構がこの順で設けられ、便器本体の便鉢に洗浄水を供給可能な便器洗浄装置において、
前記給水管は、設置時に前記流入口が下方を向き、前記止水弁機構が設けられた直線状の第1給水管と、該第1給水管と直交する直線状の接続管と、設置時に前記流出口が下方を向くように該接続管と直交し、上流側に前記開閉弁機構が設けられ、下流側に前記バキュームブレーカ機構が設けられた直線状の第2給水管とを有し、
該バキュームブレーカ機構は、前記流路の一部をなす流水路と、該流水路と外部とを連通する吸気通路とが形成された筒体と、
上流側が該流水路内で該筒体に設けられ、下流側が該流水路内で弾性力によって閉塞して該吸気通路を開放可能であるととともに該弾性力に抗して内部を流れる流水によって開放可能なパッキンとを有し、
少なくとも該第2給水管の外周には、該吸気通路を逆流する溢れ水と少なくとも該第2給水管で生じる結露水とを貯留し、貯留した水を該吸気通路に導く水受け部材が設けられていることを特徴とする便器洗浄装置。
【請求項2】
前記水受け部材は、前記吸気通路を上面に位置させる下部材と、内部が外部に連通するように該下部材と一体化され、少なくとも前記第2給水管を覆う上部材とからなる請求項1記載の便器洗浄装置。
【請求項3】
前記下部材は前記接続管の下方に連続している請求項2記載の便器洗浄装置。
【請求項4】
前記第1給水管には、前記止水弁機構より下流側からストレーナが直線方向で挿入されているとともに、該ストレーナを該直線方向で着脱可能とする蓋部が設けられ、
前記下部材は前記第1給水管の外周に連続している請求項3記載の便器洗浄装置。
【請求項5】
前記上部材は前記接続管及び前記第1給水管を覆っている請求項4記載の便器洗浄装置。
【請求項6】
前記第1給水管は前記接続管の一部を一体に有し、前記第2給水管は該接続管の残部を一体に有し、該接続管の一部と該接続管の残部とは回転不能に結合されている請求項4又は5記載の便器洗浄装置。
【請求項7】
前記接続管には流量調整弁機構が設けられている請求項1乃至6のいずれか1項記載の便器洗浄装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−255660(P2008−255660A)
【公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−98880(P2007−98880)
【出願日】平成19年4月4日(2007.4.4)
【出願人】(000000479)株式会社INAX (1,429)
【Fターム(参考)】