説明

便器装置

【課題】旋回流を使用する洗浄方式の便器装置に関し、臭気の吸気効果を向上させる便器装置を提供する。
【解決手段】便器装置21の旋回流Q用の凹状溝30はボウル24の上端部24a全周に亘って平面視環状に形成され、凹状溝30はボウル24に連続して形成される底面30aと奥面30bとボウル24の上端部24aを塞ぐリム部25の下面を天面30cとして形成される。リム部25の下端部25aはボウル24の上端部24aに固着される。臭気Rを含む空気を吸気する吸気口31が便器本体22の後方左側の凹状溝30の天面30cに設けられ、吸気口31の縁部31aを囲むように堰32を備える。脱臭装置35は吸気口31から順番に空気流路36、脱臭フィルター37、脱臭ハニカム38、ファン39、排気口40で一体的に形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、旋回流を使用する洗浄方式の便器装置に関し、臭気の吸気効果が向上する脱臭装置を備えた便器装置の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、便器装置における脱臭装置として、特許文献1の方法が知られている。
【0003】
特許文献1によれば、図4に示すように、便器装置1には便器2の前部上方に開口するボウル5が設けられ、ボウル5の後部上面6に温水洗浄装置3が載置される。そして、温水洗浄装置3に脱臭装置4が内装される。
【0004】
脱臭装置4は、空気を吸気口10から吸入して脱臭するため空気流路20内に図示しない脱臭フィルターや脱臭ハニカムを備え、空気を排気するためのファンが設けられる。
【0005】
吸気口10から続くダクト19は、温水洗浄装置3のハウジングを構成する下部ハウジング19aと、この下部ハウジング19aのダクト形成部分に上方から取り付けられる上部ハウジング19bとで形成される。
【0006】
ここで、ボウル5の開口縁には、強度向上のためや洗浄水をボウル5の内部全体に行き渡らせるためのリム部15が形成されている。
【0007】
また、ボウル5の開口後縁部は、ボウル5の左右後域部を構成するリム部15の上面よりも一段低くなるように形成された凹没部7が設けられる。
【0008】
そして、凹没部7に収納される温水洗浄装置3の前端部分の右端部に、脱臭装置4の吸気口10が設けられる。吸気口10は、凹部8の天井面8bに開口して上記空所9に臨む下方吸気口10bと、凹部8の立上り面8aに開口して上記空所9に臨む前方吸気口10aとで構成される。
【0009】
ボウル5の内部の臭気成分を含んだ空気は、脱臭装置4のファンの駆動によって、矢印A,Bに示すように、前方吸気口10aや下方吸気口10bからダクト19内に吸引され、脱臭フィルターや脱臭ハニカムにて脱臭処理がなされて排気される。
【0010】
この構成であれば、矢印Aで示すように前方吸気口10aによってボウル5の前方域から吸気することができ、矢印Bで示すように下方吸気口10bによってボウル5の下方域から吸気することができるから、ボウル5の広い範囲の空気を吸気できるので脱臭効果が向上する。
【特許文献1】特開2006−2488号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところが、リム部15の上方が自由空間領域なので、ボウル5から上昇した臭気はリム部15の領域において外部空気と混合して臭気密度が低下している。このため、吸気口10による臭気の吸気効果が低いという問題があった。
【0012】
そこで、本発明は、旋回流を使用する洗浄方式の便器装置に関し、臭気の吸気効果を向上させる脱臭装置を備えた便器装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
請求項1の発明は、旋回流を用いて洗浄する便器装置であって、前記旋回流用の凹状溝が便器本体のボウルの上端部全周に亘って環状に形成され、この凹状溝はボウルに形成される底面と奥面と前記ボウルの上端部を塞ぐリム部を天面として形成され、脱臭用の吸気口が前記凹状溝の天面に設けられることを特徴としている。
【0014】
請求項2の発明は、請求項1に記載の便器装置であって、前記吸気口の縁部に堰を備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
請求項1の発明によれば、前記凹状溝はボウルに形成される底面と奥面と前記ボウルの上端部を塞ぐリム部を天面として形成され、脱臭用の吸気口が前記凹状溝の天面に設けられる。
【0016】
このため、吸気口がリム部の下方に位置するので、臭気が外部空気とあまり混合していない状態で吸気されるので、臭気密度の低下を防ぐことができるため臭気の吸気効果が向上する。
【0017】
さらに、旋回流の近傍では旋回流の流速によって生じるバキューム効果によって前記ボウル内を上昇してくる臭気が吸引されるため、この旋回流に隣接して設けられる吸気口によって臭気を効果的に吸引することができるので臭気の吸気効果がさらに向上する。
【0018】
請求項2の発明によれば、前記吸気口の縁部に堰を備えるので、洗浄水が前記吸気口に万一侵入しようとした場合でも、堰の高さ効果によって洗浄水の侵入を防止することができる。このため、脱臭装置内への臭気発生に繋がる物質の侵入が防止できるとともに衛生性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下に、本発明の実施形態を図1〜図3に基づいて説明する。
【0020】
<便器装置の構成>
図1、図2、図3に示すように、本発明の実施形態における旋回流Qを用いて洗浄する便器装置21は便器本体22がスカート部23とボウル24とリム部25とから成り、ヒンジ式の便座26と便蓋27を備える。
【0021】
旋回流Q用の凹状溝30はボウル24の上端部24a全周に亘って平面視環状に形成され、凹状溝30はボウル24に連続して形成される底面30aと奥面30bと天面30cで形成される。ここで、天面30cはボウル24の上端部24aを塞ぐリム部25の下面でもある。
【0022】
リム部25の下端部25aはボウル24の上端部24aに固着され、この下端部25aと上端部24aはスカート部23に固着される。
【0023】
そして、臭気Rを吸気する吸気口31が便器本体22の後方左側の凹状溝30の天面30cに設けられ、吸気口31の縁部31aを囲むように堰32を備える。堰32は吸気口31の周囲にできるだけ高く設けることが好ましい。
【0024】
ここで、脱臭装置35は図示しない洗浄後ノズルと洗浄後の乾燥用温風ファンと一体的にケーシング41内に納められている。そのため、堰32の一部はケーシング41の前面板部41aを共用している。
【0025】
ケーシング41内の脱臭装置35は吸気口31から順番に空気流路36、脱臭フィルター37、脱臭ハニカム38、ファン39、排気口40が一体的に形成される。
【0026】
なお、旋回流Qの洗浄水が便器本体22の後方右側から図示しないノズルで吐出されるので、吸気口31は旋回流Qの水勢の影響を一番受け難い場所として便器本体22の後方左側に設定されている。
【0027】
<便器装置の作用>
上記、脱臭用の吸気口31が凹状溝30の天面30cに設けられてリム部の最下方に位置するので、臭気は外部空気とあまり混合していない状態のため、臭気密度の低下を防ぐことができて臭気の吸気効果を向上することができる。
【0028】
また、万一洗浄水の水位が上昇した場合や水跳ねの場合でも、堰32によって洗浄水が空気流路36に侵入するのを防止することができる。
【0029】
このため、脱臭装置35の内部を衛生的に保持できる。また、脱臭装置35内の各機器類を洗浄水から保護することができるので脱臭装置35の性能および寿命を延ばすことができる。
【0030】
以上、本発明の実施例を図面に基づいて説明したが、具体的な構成はこの実施例に限られるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても本発明に含まれる。
【0031】
たとえば、凹状溝30の天面30cに設けられる吸気口31は、旋回流Qの影響を受け難い位置であれば必ずしも便器本体22の後方左側でなくてもよい。
【0032】
堰32はできるだけ吸気口31の縁部31aに設けることが好ましいが、ケーシング41内の区画部材等を利用して吸気口31から若干離れた位置に設けても構わない。この場合洗浄水が万一堰32近傍に浸入した場合でも侵入水がボウルに自動的に戻るような傾斜等が設けることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の実施形態における便器装置の斜視図である。
【図2】本発明の実施形態における便器装置の、図1におけるA−A矢視図である。
【図3】本発明の実施形態における便器装置の、図1におけるB−B断面図である。
【図4】従来の便器装置の脱臭装置を示す断面図である。
【符号の説明】
【0034】
21 便器装置
22 便器本体
24 ボウル
24a 上端部
25 リム部
25a 下端部
30 凹状溝
30a 底面
30b 奥面
30c 天面
31 吸気口
31a 縁部
32 堰
35 脱臭装置
36 空気流路
37 脱臭フィルター
38 脱臭ハニカム
39 ファン
40 排気口
Q 旋回流
R 臭気

【特許請求の範囲】
【請求項1】
旋回流を用いて洗浄する便器装置であって、
前記旋回流用の凹状溝が便器本体のボウルの上端部全周に亘って環状に形成され、この凹状溝はボウルに形成される底面と奥面と前記ボウルの上端部を塞ぐリム部を天面として形成され、脱臭用の吸気口が前記凹状溝の天面に設けられることを特徴とする便器装置。
【請求項2】
請求項1に記載の便器装置であって、前記吸気口の縁部に堰を備えることを特徴とする便器装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−95440(P2008−95440A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−280490(P2006−280490)
【出願日】平成18年10月13日(2006.10.13)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】