説明

便器

【課題】便器を設置した場所の室温が低い場合であっても、便蓋の裏面に結露が発生することを抑制した便器を提供すること。
【解決手段】本発明の便器1は、水が溜められるボウル部2と、ヒータ3を備えた便座4と、便蓋5と、を備えた便器1において、ボウル部2に溜まった水の温度を検出する水温センサ6と、便蓋5の温度を検出する温度センサ7と、水温センサ6の検出温度が温度センサ7の検出温度より所定の値T1以上高い場合にヒータ3を昇温制御する制御部8と、を備える。または、上述した構成の便器1において、制御部8は、水温センサ6の検出温度が温度センサ7の検出温度より所定の値T1以上高い場合にボウル部2に溜まった水を一旦排水してボウル部2に再度給水する制御を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、便蓋に結露が発生することを抑制した便器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、寒冷地などに設置される便器として、図3に示すような、ボウル部2に溜めた水を加温する凍結防止用ヒータ9を備えた便器1が提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
この便器1は、ボウル部2と、便座(図示せず)と、便蓋(図示せず)とで主体が構成され、さらに、ボウル部2に溜めた水の温度を検出する水温センサ6を備えている。
【0004】
この便器1は、設置した場所の室温が低い場合に、ボウル部2に溜めた水の温度が低下していき、この水温が所定の値以下になったことを水温センサ6が検出した際に、凍結防止用ヒータ9を駆動し、溜めた水の凍結を防止するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6−299584号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記構成の便器1は、便蓋が閉じられた状態で凍結防止用ヒータ9を駆動し、ボウル部2に溜めた水を温めていくと、この溜めた水の上方の空間(溜めた水の喫水面から便蓋までの空間)の温度が、便器1を設置した場所の室温よりも大幅に高くなる場合がある。その場合、凍結防止用ヒータ9を停止すると、便器1を設置した場所の冷たい空気によって便蓋が徐々に冷やされ、この便蓋の裏面(下面)に結露が発生し、この結露によって便座の座面が濡れてしまうという問題があった。
【0007】
また、このような凍結防止用ヒータを備えない便器であっても、便器を設置した場所の室温が低く、ボウル部に供給する水の温度が高い場合等には、同様に便蓋の裏面(下面)に結露が発生し、この結露によって便座の座面が濡れてしまうという問題があった。
【0008】
そこで、本発明は、便器を設置した場所の室温が低い場合であっても、便蓋の裏面に結露が発生することを抑制した便器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための本発明の便器は、水が溜められるボウル部と、ヒータを備えた便座と、便蓋と、を備えた便器において、前記ボウル部に溜まった水の温度を検出する水温センサと、前記便蓋の温度を検出する温度センサと、前記水温センサで検出した温度が前記温度センサで検出した温度より所定の値以上高い場合に前記ヒータを昇温制御する制御部と、を備えることを特徴とする。
【0010】
また、上記課題を解決するための本発明の便器は、水が溜められるボウル部と、ヒータを備えた便座と、便蓋と、を備えた便器において、前記ボウル部に溜まった水の温度を検出する水温センサと、前記便器を設置した場所の室温を検出する室温センサと、前記水温センサで検出した温度が前記室温センサで検出した温度より所定の値以上高い場合に前記ヒータを昇温制御する制御部と、を備えることを特徴とする。
【0011】
また、前記ヒータは、検知加熱式ヒータであることが好ましい。
【0012】
また、上記課題を解決するための本発明の便器は、水が溜められるボウル部と、ヒータを備えた便座と、便蓋と、を備えた便器において、前記ボウル部に溜まった水の温度を検出する水温センサと、前記便蓋の温度を検出する温度センサと、前記水温センサで検出した温度が前記温度センサで検出した温度より所定の値以上高い場合に前記ボウル部に溜まった水を一旦排水して前記ボウル部に再度給水する制御を行う制御部と、を備えることを特徴とする。
【0013】
また、上記課題を解決するための本発明の便器は、水が溜められるボウル部と、ヒータを備えた便座と、便蓋と、を備えた便器において、前記ボウル部に溜まった水の温度を検出する水温センサと、前記便器を設置した場所の室温を検出する室温センサと、前記水温センサで検出した温度が前記室温センサで検出した温度より所定の値以上高い場合に前記ボウル部に溜まった水を一旦排水して前記ボウル部に再度給水する制御を行う制御部と、を備えることを特徴とする。
【0014】
また、前記水温センサは、前記ボウル部の裏面に設けられていることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明の便器は、設置した場所の室温が低い場合であっても、便蓋の裏面に結露が発生することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第一の実施形態の便器を示し、(a)は側面断面図であり、(b)は斜視図である。
【図2】本発明の第二の実施形態の便器の状態変化のサイクルを示すフローチャートである。
【図3】従来の便器の側面断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態の一例を添付図面に基づいて説明する。
【0018】
第一の実施形態の便器1は、図1(b)に示すように、水が溜められるボウル部2と、このボウル部2上に載置される便座4と、ボウル部2に載置された便座4を上方から隠蔽する便蓋5とから、主体が構成される。便器1は、ボウル部2を有する便器本体の上部に、便座4と便蓋5とが回動自在に取り付けられたものである。便器1は、便器本体が床面に設置される。なお、ボウル部2、便座4、及び便蓋5は、樹脂で形成されている。
【0019】
便座4には、便座4を温めるため専用の便座加温用ヒータ3が内蔵されている。便座加温用ヒータ3は、外部のリモコン(図示せず)を操作することで、便座4を使用者の好みの便座温度に温めるように設定できる。なお、この便座温度は、使用者が外部のリモコンで操作するのではなく、便器1が設置された場所の室温に対応して、自動的に設定されるようなものであってもかまわない。
【0020】
便座加温用ヒータ3は、検知加熱式のものである。つまり、便座加温用ヒータ3は、便器1に使用者が近づくと、感知センサ(図示せず)が感知して、便座4を加熱し、便器1から使用者が離れると、感知センサ(図示せず)が感知して、便座4の加熱を自動的に停止するものである。ここで、この便座加温用ヒータ3は、使用者を検知してから使用者が便座4に着座するまでの短い時間で、設定した便座温度まで便座4を加温できるものであることが好ましい。
【0021】
ボウル部2の水が溜められる部分の裏側には、図1(a)及び図1(b)に示すように、溜めた水を温めるため専用の凍結防止用ヒータ9が設けられている。凍結防止用ヒータ9は面状に設けていて、ボウル部2の水が溜められる部分の裏側の略全面を覆っている。
【0022】
この凍結防止用ヒータ9の裏側(ボウル部2側の反対側)は全体に亘って断熱材10及び防露材11で覆われている。そのため、凍結防止用ヒータ9の熱は、凍結防止用ヒータ9の裏側には伝達しにくく、ボウル部2を介してボウル部2に溜めた水に伝達しやすいようになっている。また、この断熱材10及び防露材11によって、凍結防止用ヒータ9の熱が凍結防止用ヒータ9の裏側にある便器1の他の構成を温めることを抑制して、この他の構成に結露が発生することを防止している。
【0023】
また、図1(a)に示すように、ボウル部2の水が溜められる部分の裏面には、ボウル部2を介して溜めた水の温度を間接的に検出する水温センサ6が設けられている。ここで、ボウル部2は樹脂で形成するため薄くできるので、ボウル部2の裏面に設けた水温センサ6は、ボウル部2に溜めた水の温度を正確に検出することができる。
【0024】
また、図1(b)に示すように、便蓋5の裏面(便蓋5を閉じた際の下面)には、便蓋5の裏面の温度を検出する温度センサ7が設けられている。また、ボウル部2を有する便器本体の後部上部外面には、便器1を設置した場所の室温を検出する室温センサ70が設けられている。なお、室温センサ70は、便座4に内蔵された便座加温用ヒータ3やボウル部2の裏側に設けた凍結防止用ヒータ9の熱が伝わり難い部分であって、便器1を設置した場所の室温を正確に検出できる部分であれば、他の部分に設けてもかまわない。
【0025】
便器1には、さらに、水温センサ6で検出した温度が温度センサ7で検出した温度よりも所定の値T1以上高い場合、便座加温用ヒータ3を昇温することで、便座4の便座温度を水温センサ6で検出した温度よりも所定の値T3以上高い温度となるように昇温制御する制御部8を設けている。なお、温度センサ7で検出する温度を、室温センサ70で間接的に検出するようにして、制御部8を、水温センサ6で検出した温度が室温センサ70で検出した温度よりも所定の値T2以上高い場合に、同様の昇温制御をするように設定してもよい。この場合通常は、所定の値T2(℃)=所定の値T1(℃)+温度センサ7の検出温度(℃)−室温センサ70の検出温度(℃)となる。また、制御部8は、便器1内にある他の制御手段(便座4を設定温度に加温する制御部等)に組み込んである。なお、制御部8は、他の制御手段とは別に便器1内に単体で設けてもかまわない。
【0026】
ここで、上述した所定の値T1,T2,T3は、以下の模擬実験の実験結果から設定される。
【0027】
実験の条件としては、室温が−5℃の恒温槽に便器1を設置し、ボウル部2の溜め水を凍結防止用ヒータ9で温める。ここで、制御部8は昇温制御しない状態としておく。そして、便座4の便座温度を18℃、26℃、31℃にそれぞれ設定し、上記環境下で、便座4及び便蓋5を閉じた状態で16時間放置し、16時間後、便蓋5の裏面に付着した結露水の量を計測する。計測結果は以下のようになった。
【0028】
【表1】

【0029】
実験結果から、便座4の便座温度が溜め水温度と同程度のパターンAでは、結露水は2.1g発生し、溜め水の温度より10℃以上便座4の便座温度が高いパターンB,Cでは、ほぼ0gに結露の発生を抑えられている。
【0030】
つまり、本実施形態の便器1においては、溜め水の温度が便蓋5の裏面の温度よりも約12℃以上高い場合に、便座4の便座温度を溜め水の温度より10℃以上高くなるように便座加温用ヒータ3を昇温することで、便蓋5の裏面への結露の発生を抑制できる。なお、溜め水の温度が便蓋5の裏面の温度よりも約12℃以上高い場合とは、溜め水の温度が便器1を設置した場所の室温よりも約20℃以上高い場合に相当している。
【0031】
以上の実験結果から、所定の値T1,T2,T3は、それぞれ、T1=約12℃,T2=約20℃,T3=約10℃となる。よって、本実施形態の便器1においては、制御部8を、水温センサ6の検出温度が温度センサ7の検出温度よりも約12℃以上高い場合に、便座加温用ヒータ3を水温センサ6の検出温度よりも約10℃以上高くなるよう昇温制御するように設定する。なお、制御部8を、水温センサ6の検出温度が室温センサ70の検出温度よりも約20℃以上高い場合に、同様の昇温制御をするように設定してもよい。なお、実験結果により設定された上記の所定の値(T1,T2,T3)は、上記温度に限定されず、条件が変われば、他の温度に設定される。
【0032】
このように制御部8を設定することで、本実施形態の便器1は、制御部8がそれぞれのセンサの検出温度に応じて便座加温用ヒータ3を昇温制御して便座4を温め、間接的に便蓋5を温めることができ、便蓋5の裏面に結露が発生しないようにすることができる。
【0033】
上述したように、本実施形態の便器1は、水が溜められるボウル部2と、ヒータ3を備えた便座4と、便蓋5と、を備えた便器1である。この便器1は、さらに、ボウル部2に溜まった水の温度を検出する水温センサ6と、便蓋5の温度を検出する温度センサ7とを備える。そして、水温センサ6で検出した温度が温度センサ7で検出した温度より所定の値T1以上高い場合に、ヒータ3を昇温制御する制御部8を備えることを特徴とする。
【0034】
このような構成とすることで、便器1のボウル部2に溜まった水の温度が、便蓋5の温度よりも所定の値T1以上高い場合に、便座4をヒータ3で温めることで、間接的に便蓋5を温めて、溜めた水と便蓋5との温度差を低減させることができる。
【0035】
よって、便器1を設置した場所の室温が低い場合であっても、便蓋5の温度の低下を抑えて、便蓋5の裏面に結露が発生することを抑制し、便座4の座面がその結露によって濡れてしまうことを防止できる。
【0036】
なお、温度センサ7は結露が発生する便蓋5の温度を直接計測できるので、所定の値T1を正確に設定し、制御部8での昇温制御を効率良く行うことができる。
【0037】
また、本実施形態の便器1は、水が溜められるボウル部2と、ヒータ3を備えた便座4と、便蓋5と、を備えた便器1である。この便器1は、さらに、ボウル部2に溜まった水の温度を検出する水温センサ6と、便器1を設置した場所の室温を検出する室温センサ70とを備える。そして、水温センサ6で検出した温度が室温センサ70で検出した温度より所定の値T2以上高い場合に、ヒータ3を昇温制御する制御部8を備えることを特徴とする。
【0038】
このような構成とすることで、便器1のボウル部2に溜まった水の温度が、便器1を設置した場所の気温よりも所定の値T2以上高い場合に、便座4をヒータ3で温めることで、間接的に便蓋5を温めて、溜めた水と便蓋5との温度差を低減させることができる。
【0039】
よって、便器1を設置した場所の室温が低い場合であっても、便蓋5の温度の低下を抑えて、便蓋5の裏面に結露が発生することを抑制し、便座4の座面がその結露によって濡れてしまうことを防止できる。
【0040】
なお、便座4の便座温度を設定する際等に比較される室温(便器1を設置した場所の温度)を検出する室温センサ70を用いて、便蓋5の温度を間接的に検出するようにしたことで、便蓋5の温度を検出するためだけの温度センサ7を別途設けなくてもよく、部品数を減らすことができる。
【0041】
また、本実施形態の便器1においては、水温センサ6は、ボウル部2の裏面に設けられていることを特徴とする。
【0042】
このような構成とすることで、水温センサ6をボウル部2の水を溜める側に設けなくてもよいので、水温センサ6が排泄物等によって汚れることがなく、破損もしにくい。そして、ボウル部2への取り付けも簡単である。
【0043】
また、本実施形態の便器1においては、ヒータ3は、検知加熱式ヒータであることを特徴とする。
【0044】
したがって、人を検知しない場合に便座4を加熱しないことで省エネ化を図ったうえで、溜めた水と便蓋5との温度差が開いて、便蓋5の裏面に結露が発生しそうな場合には、人を検知しない場合であっても制御部8でヒータ3を昇温制御することができる。よって、その場合であっても、便蓋5の裏面への結露の発生を抑制し、便座4の座面がその結露によって濡れてしまうことを防止できる。
【0045】
続いて、第二の実施形態の便器1について説明する。本実施形態の便器1は、第一の実施形態の便器1とは制御部8の制御の仕方だけが異なり、第一の実施形態の便器1と同じ構成には同じ符号を付けて説明を行う。
【0046】
本実施形態において、制御部8は、水温センサ6で検出した温度が温度センサ7で検出した温度よりも所定の値T1以上高い場合に、ボウル部2に溜まった水を一旦排水しボウル部2に再度給水する制御を行う。ここで、この再度給水する水は、その水温が排水直前のボウル部2に溜まっていた水の水温と同等またはそれより低いものとなっている。以下、この一旦排水し再度給水する制御を排水給水制御という。なお、便蓋5の裏面の温度を室温センサ70で間接的に検出するようにして、水温センサ6で検出した温度が室温センサ70で検出した温度よりも所定の値T2以上高い場合に、制御部8が上述の排水給水制御をするように設定してもよい。
【0047】
上記構成の本実施形態の便器1は、以下のようなサイクル(図2参照)で状態変化を繰り返す。
【0048】
便器1を設置した場所の冷たい空気によって便器1が徐々に冷やされ、それに伴いボウル部2に溜めた水の水温が徐々に下がる。すると、便器1に溜めた水の水温が所定の値(0℃付近)以下になったことを水温センサ6が検出する。このとき、凍結防止用ヒータ9が起動する。この凍結防止用ヒータ9によって、便器1に溜めた水の温度が上がる。ここで、水温センサ6で検出した温度が温度センサ7で検出した便蓋5の裏面の温度より所定の値T1以上高くなった場合、制御部8がボウル部2内の水を排水する制御を行う。このとき、ボウル部2内の水が排水されるとともに、ボウル部2と便座4の間の隙間や、便座4と便蓋5の間の隙間から、便器1の外部の冷たい空気がボウル部2内に引き込まれて、ボウル部2内の空気の温度及び湿度が下がる。次いで、制御部8はボウル部2内に再度水を給水する制御を行う。すると、ボウル部2内に給水された水の水温は、排水直前にボウル部2内に溜まっていた水の水温と同等またはそれよりも低くなり、水温センサ6で検出した温度と、便蓋5の温度センサ7で検出した温度との温度差が所定の値T1未満となる。
【0049】
なお、便蓋5の裏面の温度を室温センサ70で間接的に検出する場合も、便器1は上述したサイクルと同様の状態変化を繰り返す。
【0050】
本実施形態の便器1は、上述したサイクルのように、ボウル部2に溜めた水の水温と便蓋5の裏面の温度の温度差を小さくできるため、便蓋5裏面への結露の発生を抑えることができる。また、ボウル部2内の空気の湿度を下げることもできるので、便蓋5裏面への結露の発生をさらに抑えることができる。
【0051】
上述したように、本実施形態の便器1は、水が溜められるボウル部2と、ヒータ3を備えた便座4と、便蓋5と、を備えた便器1である。この便器1は、さらに、ボウル部2に溜まった水の温度を検出する水温センサ6と、便蓋5の温度を検出する温度センサ7とを備える。そして、水温センサ6で検出した温度が温度センサ7で検出した温度より所定の値T1以上高い場合に、ボウル部2に溜まった水を一旦排水しボウル部2に再度給水する制御を行う制御部8を備えることを特徴とする。
【0052】
このような構成とすることで、便器1のボウル部2に溜まった水の温度が便蓋5の温度よりも所定の値T1以上高い場合に、制御部8でボウル部2に溜まった温かくなった水を一旦排水し、冷たい水を再度給水する制御を行うことができる。このようにすることで、ボウル部2内に溜めた水と、便器1の外部の冷たい空気によって冷やされた便蓋5との温度差を低減させることができる。
【0053】
よって、便器1を設置した場所の室温が低い場合であっても、ボウル部2内に溜めた水と便蓋5との温度差を低減させて、便蓋5の裏面に結露が発生することを抑制し、便座4の座面がその結露によって濡れてしまうことを防止できる。また、ボウル部2内の水を一旦排水する際に、ボウル部2と便座4の間の隙間や、便座4と便蓋5の間の隙間から、便器1の外部の冷たい空気がボウル部2内に引き込まれて、ボウル部2内の空気の温度及び湿度が下がる。そのため、便蓋5裏面付近の空気の温度及び湿度が下がるので、便蓋5裏面への結露の発生をさらに抑えることができるものとなっている。
【0054】
なお、温度センサ7は結露が発生する便蓋5の温度を直接計測できるので、所定の値T1を正確に設定し、制御部8での排水給水制御を効率良く行うことができる。
【0055】
また、本実施形態の便器1は、水が溜められるボウル部2と、ヒータ3を備えた便座4と、便蓋5と、を備えた便器1である。この便器1は、さらに、ボウル部2に溜まった水の温度を検出する水温センサ6と、便器1を設置した場所の室温を検出する室温センサ70とを備える。そして、水温センサ6で検出した温度が室温センサ70で検出した温度より所定の値T2以上高い場合に、ボウル部2に溜まった水を一旦排水しボウル部2に再度給水する制御を行う制御部8を備えることを特徴とする。
【0056】
このような構成とすることで、便器1のボウル部2に溜まった水の温度が便器1を設置した場所の気温よりも所定の値T2以上高い場合に、制御部8でボウル部2に溜まった温かくなった水を一旦排水し、冷たい水を再度給水する制御を行うことができる。このようにすることで、ボウル部2内に溜めた水と、便器1の外部の冷たい空気によって冷やされた便蓋5との温度差を低減させることができる。
【0057】
よって、便器1を設置した場所の室温が低い場合であっても、ボウル部2内に溜めた水と便蓋5との温度差を低減させて、便蓋5の裏面に結露が発生することを抑制し、便座4の座面がその結露によって濡れてしまうことを防止できる。
【0058】
なお、便座4の便座温度を設定する際等に比較される室温(便器1を設置した場所の温度)を検出する室温センサ70を用いて、便蓋5の温度を間接的に検出するようにしたことで、便蓋5の温度を検出するためだけの温度センサ7を別途設けなくてもよく、部品数を減らすことができる。
【0059】
最後に、本発明の第一及び第二の実施形態の変更例について説明する。
【0060】
第一及び第二の実施形態において、ボウル部2は樹脂で形成していたが、陶器で形成してもよい。その場合、水温センサ6で検出した温度と、陶器の厚さや熱の伝わり具合から、ボウル部2に溜めた水の温度を正確に算出できるようにすればよい。
【0061】
また、第一及び第二の実施形態において、水温センサ6は、ボウル部2の裏面に設けてボウル部2を介して間接的にボウル部2に溜めた水の温度を検出していたが、ボウル部2の表面(水を溜める側の面)に設けて、この溜めた水を直接検出するようなものであってもよい。
【0062】
また、第一及び第二の実施形態の便器1は、ボウル部2の裏側に凍結防止用ヒータ9を設けた、寒冷地で設置されるタイプのものであったが、凍結防止用ヒータ9を設けていないものであってもよい。例えば、日中の暖かい気温によりボウル部2に溜めた水が温められ、夜間または朝方の冷え込みにより便蓋5近傍の温度が下がる季節には、ボウル部2に溜めた水の温度が、便器1を設置した場所の気温より所定温度以上高くなってしまうことがある。その場合も、制御部8が制御して、この温度差を低減させることができる。
【0063】
また、第一及び第二の実施形態においては、温度センサ7あるいは室温センサ70のいずれか一方と、水温センサ6を比較して、制御部8を設定したが、温度センサ7及び室温センサ70の両方と、水温センサ6を比較して、制御部8を設定するようにしても構わない。その場合、水温センサ6の検出温度が温度センサ7の検出温度よりも所定の値T1以上高い場合と、水温センサ6の検出温度が室温センサ70の検出温度よりも所定の値T2以上高い場合の、少なくとも一方に当てはまる場合に、便座加温用ヒータ3を水温センサ6の検出温度よりも所定の値T3以上高くなるよう昇温制御するように制御部8を設定すればよい。
【0064】
また、温度センサ7と室温センサ70は、両方あってもよいし、片方だけであってもかまわない。
【0065】
また、第二の実施形態の制御部8は、上述した排水給水制御を行うとともに、第一の実施形態の制御部8と同様の昇温制御をするように設定してもよい。
【0066】
以上、本発明を添付図面に示す実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記の各実施形態に限定されるものではなく、本発明の意図する範囲内であれば、適宜の設計変更が可能である。
【符号の説明】
【0067】
1 便器
2 ボウル部
3 ヒータ
4 便座
5 便蓋
6 水温センサ
7 温度センサ
70 室温センサ
8 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水が溜められるボウル部と、ヒータを備えた便座と、便蓋と、を備えた便器において、
前記ボウル部に溜まった水の温度を検出する水温センサと、
前記便蓋の温度を検出する温度センサと、
前記水温センサで検出した温度が前記温度センサで検出した温度より所定の値以上高い場合に前記ヒータを昇温制御する制御部と、
を備えることを特徴とする便器。
【請求項2】
水が溜められるボウル部と、ヒータを備えた便座と、便蓋と、を備えた便器において、
前記ボウル部に溜まった水の温度を検出する水温センサと、
前記便器を設置した場所の室温を検出する室温センサと、
前記水温センサで検出した温度が前記室温センサで検出した温度より所定の値以上高い場合に前記ヒータを昇温制御する制御部と、
を備えることを特徴とする便器。
【請求項3】
前記ヒータは、検知加熱式ヒータであることを特徴とする請求項1又は2に記載の便器。
【請求項4】
水が溜められるボウル部と、ヒータを備えた便座と、便蓋と、を備えた便器において、
前記ボウル部に溜まった水の温度を検出する水温センサと、
前記便蓋の温度を検出する温度センサと、
前記水温センサで検出した温度が前記温度センサで検出した温度より所定の値以上高い場合に前記ボウル部に溜まった水を一旦排水して前記ボウル部に再度給水する制御を行う制御部と、を備えることを特徴とする便器。
【請求項5】
水が溜められるボウル部と、ヒータを備えた便座と、便蓋と、を備えた便器において、
前記ボウル部に溜まった水の温度を検出する水温センサと、
前記便器を設置した場所の室温を検出する室温センサと、
前記水温センサで検出した温度が前記室温センサで検出した温度より所定の値以上高い場合に前記ボウル部に溜まった水を一旦排水して前記ボウル部に再度給水する制御を行う制御部と、を備えることを特徴とする便器。
【請求項6】
前記水温センサは、前記ボウル部の裏面に設けられていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の便器。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−67577(P2012−67577A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−238404(P2010−238404)
【出願日】平成22年10月25日(2010.10.25)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】