説明

便座昇降装置

【課題】装置の高さ寸法を増大させずに、便座ユニットをより高い位置までモータ駆動することができ、さらに、便座ユニットの上下ストロークを長くした場合でも、可動体の傾きを防止することのできる便座昇降装置を提供すること。
【解決手段】便座昇降装置1においては、出力ピニオン58をステッピングモータ51よりも高い位置に配置してある分、可動体30の上死点を高い位置に設定してある。しかも、出力ピニオン58は、底板部21と天板部23との中間の高さ位置より上方に配置されている。従って、可動体30の上死点が極めて高い。また、便座ユニットの上下ストロークを長くすると、可動体30が傾きやすいが、かかる傾きは、第2ガイド機構42内の左右方向のクリアランスのバランスにより防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洋式便器の便座を昇降させるための便座昇降装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
洋式便器においては、便座や便蓋が奥の方を中心に回転して平伏姿勢および起立姿勢となる。このため、便器本体上面の奥の方を清掃しようとしても便器本体と便座との間には極めて狭い隙間しか空いておらず、その部分を掃除したくても手が入らない。そこで、モータ駆動により便座ユニットを便器本体から浮かせた状態にすることが可能な便座昇降装置が案出されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
かかる特許文献1に記載された便座昇降装置においては、底板部と天板部との間に設けたモータ駆動機構において、底板部と天板部との中間の高さ位置よりも上方にモータを配置し、かかるモータの駆動力をモータより下方位置に設けた出力ピニオンを介して、便座ユニットが連結された可動体のラック部に伝達し、可動体を底板部と天板部との間で昇降させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−218554号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の便座昇降装置では、可動体の上死点が出力ピニオンの高さ位置に規定されるにもかかわらず、出力ピニオンが低い位置に設けられているため、可動体の上死点が低い。このため、便座ユニットを上昇させた際、便座と便器本体との間に形成される隙間が狭いので、掃除の際、奥まで手が入らず、不便であるという問題点がある。かといって、モータおよび出力ピニオンをそのまま高い位置にずらすには、底板部と天板部との距離を広げる必要があるため、便座昇降装置の高さ寸法が大になってしまうという問題点がある。また、特許文献1に記載の便座昇降装置では、底板部と天板部との間のみで可動体を昇降させるため、便座ユニットを高い位置まで上昇させるには、底板部と天板部との距離を広げる必要があるが、かかる構成を採用すると、便座昇降装置の高さ寸法が大になってしまうという問題点がある。
【0006】
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、装置の高さ寸法を増大させずに、便座ユニットをより高い位置までモータ駆動することができる便座昇降装置を提供することにある。
【0007】
次に、本発明の課題は、便座ユニットの上下ストロークを長くした場合でも、可動体の傾きを防止することのできる便座昇降装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明では、洋式トイレの便器本体側に固定される固定体と、便座ユニット側に連結される可動体と、該可動体を上下方向に案内するガイド機構と、前記可動体を昇降させるモータ駆動機構と、を有する便座昇降装置において、前記モータ駆動機構は、モータと、前記可動体のラック部に噛合して前記モータからの駆動力を前記可動体に伝達する出力ピニオンと、を備え、前記固定体は、前記モータ駆動機構の下方に位置する底板部と、前記モータ駆動機構の上方に位置する天板部と、を備え、前記出力ピニオンは、前記モータと前記天板部との間の高さ位置に配置され、前記可動体は、前記ラック部の上端部が前記天板部より上方に突出する位置まで駆動されることを特徴とする。
【0009】
本発明では、モータを駆動すると、モータの駆動力は出力ピニオンを介して可動体に形成されたラック部に伝達される。その結果、可動体は、ガイド機構に案内されて上下方向に移動する。このため、便座ユニットを便器本体から浮かせた状態にすることができる。その際、出力ピニオンとラック部の下端部とが噛合している状態が可動体の上死点になるため、可動体の上死点は、出力ピニオンの高さ位置によって規定される。そこで、本発明では、出力ピニオンをモータよりも高い位置に配置し、可動体の上死点を高い位置に設定してある。このため、便座ユニットを高い位置まで浮かせることができるので、便座と便器本体との間に広い隙間を空けることができる。このように本発明では、底板部と天板部との間でモータと出力ピニオンの位置関係を変更して、出力ピニオンを高い位置に配置することにより、可動体の上下のストロークを延ばしたので、底板部と天板部との距離、すなわち、便座昇降装置の高さ寸法を増大させなくても、便座ユニットを高い位置まで浮かせることができる。また、可動体は、ラック部の上端部が天板部より上方に突出する位置まで駆動されるので、底板部と天板部との距離、すなわち、便座昇降装置の高さ寸法を増大させなくても、便座ユニットを高い位置まで浮かせることができる。
【0010】
本発明において、前記出力ピニオンは、前記底板部と前記天板部との中間の高さ位置より上方に配置されていることが好ましい。かかる構成によれば、便座ユニットをより高い位置まで浮かせることができるので、便座と便器本体との間により広い隙間を形成することができる。
【0011】
本発明において、前記モータは、前記底板部と前記天板部との中間の高さ位置より下方に配置されていることが好ましい。かかる構成によれば、底板部と天板部との間のスペースを高さ方向で有効に利用してモータ駆動機構を配置することができる。
【0012】
本発明において、前記ガイド機構は、前記天板部および前記底板部によって上下の端部が各々保持されたガイド軸と、前記可動体において当該ガイド軸が嵌った軸穴と、を備えている構成を採用することができる。
【0013】
本発明において、前記軸穴は、前記可動体において前記ラック部の上端部よりも下方に設けられているこが好ましい。かかる構成によれば、ラック部の上端部が天板部より上方に突出した状態でも軸穴全体がガイド軸に係合するため、可動体を安定した状態でガイドすることができる。
【0014】
本発明において、前記可動体において、前記ラック部が形成されている部分の上端部のみが前記天板部より上方に突出する位置まで駆動されることが好ましい。かかる構成によれば、余計な部分が天板部から突出しないので、安全である。
【0015】
本発明において、前記出力ピニオンと前記ラック部とは左右方向で噛合し、前記ガイド機構は、前記出力ピニオンを間に挟む左右両側のうち、前記出力ピニオンに対して前記ラック部が位置する側に設けられた第1ガイド機構、および前記出力ピニオンに対して前記ラック部が位置する側とは反対側に設けられた第2ガイド機構として設けられ、前記第1ガイド機構において、前記ガイド軸および前記軸穴として設けられた第1ガイド軸および第1軸穴は、当該第1ガイド軸の外周面と当該第1軸穴の内周面が左右方向のいずれにおいても略接触状態となるクリアランスを有し、前記第2ガイド機構において、前記ガイド軸および前記軸穴として設けられた第2ガイド軸および第2軸穴は、当該第2ガイド軸の外周面と当該第2軸穴の内周面との左右方向のクリアランスが、前記第1ガイド軸の外周面と前記第1軸穴の内周面との左右方向のクリアランスよりも大きく、かつ、下端側での前記第2ガイド軸の外周面と前記第2軸穴の内周面とのクリアランスが左右方向で相違していることが好ましい。ガイド機構として出力ピニオンを間に挟む左右両側に第1ガイド機構および第2ガイド機構として設ければ、可動体が傾きにくい。この場合、第1ガイド機構において、第1ガイド軸の外周面と第1軸穴の内周面が左右方向のいずれにおいても略接触状態となるクリアランスになっていれば、出力ピニオンとラック部とは良好に噛合する。また、第2ガイド機構において第2ガイド軸の外周面と第2軸穴の内周面との左右方向のクリアランスを第1ガイド軸の外周面と第1軸穴の内周面との左右方向のクリアランスよりも大きくしておけば、可動体に加わる摺動負荷が小さくて済む。ここで、可動体のストロークを長くすると、便座ユニットに加わった力で可動体が傾くおそれがあるが、下端側での第2ガイド軸の外周面と第2軸穴の内周面とのクリアランスが左右方向で相違していれば、クリアランスが広い方に可動体の下端部が変位することがないので、可動体が傾くことを防止することができる。
【0016】
本発明において、下端側での前記第2ガイド軸の外周面と前記第2軸穴の内周面との左右方向のクリアランスが、前記出力ピニオンが位置する側とは反対側より前記出力ピニオンが位置する側で小さくなっていることが好ましい。可動体のストロークを長くすると、便座ユニットに加わった力で可動体が傾いて出力ピニオンとラック部との噛合が外れて歯飛びが発生するおそれがあるが、下端側での第2ガイド軸の外周面と第2軸穴の内周面との左右方向のクリアランスを、出力ピニオンが位置する側とは反対側より出力ピニオンが位置する側で小さくしておけば、クリアランスが広い方、すなわち、出力ピニオンが位置する側とは反対側に可動体の下端部が変位するような可動体の傾きを防止することができる。それ故、出力ピニオンとラック部との間に歯飛びが発生することがないので、モータとしてステッピングモータを用いた場合のステップ制御や、モータから出力ピニオンまでの間での角度検出によって可動体の上下位置を制御した場合でも、可動体の上下位置を高い精度で制御することができる。
【0017】
本発明において、前記第2ガイド軸が、同一外径寸法をもって上下方向に延在する丸棒である場合、前記第2軸穴の内周面には、下端側での前記第2ガイド軸の外周面と前記第2軸穴の内周面との左右方向のクリアランスを相違させるために、左右方向の一方側から仮想の円より内側に張り出した張り出し部が形成されていることが好ましい。かかる構成によれば、第2ガイド軸の外周面と第2軸穴の内周面との左右方向のクリアランスを容易に相違させることができ、可動体の傾きを確実に防止することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の便座昇降装置では、出力ピニオンが高い位置に配置されているため、可動体の上死点を高い位置に設定することができる。このため、便座ユニットを高い位置まで浮かせることができるので、便座と便器本体との間に広い隙間を形成することができる。また、底板部と天板部との間でモータと出力ピニオンの位置関係を変更して、出力ピニオンを高い位置に配置することにより、可動体の上下のストロークを延ばしたので、底板部と天板部との距離、すなわち、便座昇降装置の高さ寸法を増大させなくても、便座ユニットを高い位置まで浮かせることができる。また、可動体は、ラック部の上端部が天板部より上方に突出する位置まで駆動されるので、底板部と天板部との距離、すなわち、便座昇降装置の高さ寸法を増大させなくても、便座ユニットを高い位置まで浮かせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明を適用した便座昇降装置を用いた洋式トイレユニットの説明図である。
【図2】本発明を適用した便座昇降装置の外観の説明図である。
【図3】本発明を適用した便座昇降装置の内部構成の説明図である。
【図4】本発明を適用した便座昇降装置のガイド機構の説明図である。
【図5】本発明を適用した便座昇降装置の第1ガイド機構および第2ガイド機構でのクリアランスを示す説明図である。
【図6】本発明を適用した便座昇降装置において第2ガイド機構を構成する第2軸穴の構成を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図面を参照して、本発明を適用した便座昇降装置の一例を説明する。なお、以下の説明で参照する図面では、左右方向をX方向とし、左側に−Xを付す一方、右側に+Xを付す。また、前後方向をY方向とし、後側に−Yを付す一方、前側に+Yを付す。また、上下方向をZ方向とし、下側に−Zを付す一方、上側に+Zを付す。
【0021】
(トイレユニットの構成)
図1は、本発明を適用した便座昇降装置を用いた洋式トイレユニットの説明図であり、図1(a)、(b)は各々、本発明を適用した便座昇降装置を用いた洋式トイレユニットにおいて、便座を下ろした状態の説明図、および便座を便器本体から持ち上げた状態を示す説明図である。
【0022】
図1に示す洋式トイレユニット100は、洋式の便器本体101と、この便器本体101上で開閉される便座102と、この便座102上で開閉される便蓋103とを有しており、便座102および便蓋103は、奥の方を中心に回転して平伏姿勢および起立姿勢となる。便座102および便蓋103は、便座ユニット110として一体化されており、この便座ユニット110には、必要に応じて、便座102および便蓋103が自重で平伏する際の速度を緩和するダンパー装置や便蓋を電動で開閉するための電動装置が内蔵される場合がある。これらいずれの場合においても、本形態の洋式トイレユニット100には、図1(b)に示すように便座102(便座ユニット110)を便器本体101から浮き上がらせて、便器本体101の上面を奥まで清掃可能とする電動式の便座昇降装置1が構成されている。
【0023】
(便座昇降装置の構成)
図2は、本発明を適用した便座昇降装置の外観の説明図であり、図2(a)、(b)は各々、便座昇降装置の斜視図、および外カバーや内カバーを外した状態の斜視図である。図3は、本発明を適用した便座昇降装置の内部構成の説明図であり、図3(a)、(b)は各々、可動体が最上位置にある状態の斜視図、および可動体が最下位置にある状態の斜視図である。図4は、本発明を適用した便座昇降装置のガイド機構の説明図であり、図4(a)、(b)は各々、左側の第1ガイド軸を通る位置で切断したときの断面図、および右側の第2ガイド軸を通る位置で切断したときの断面図である。
【0024】
図2、図3および図4に示すように、本形態の便座昇降装置1は、便座昇降装置本体2と、この便座昇降装置本体2を覆う角筒状の外カバー3とを備えている。かかる便座昇降装置1において、便座昇降装置本体2は、洋式トイレの便器本体101側に固定される固定体20と、便座ユニット110側に連結される可動体30と、この可動体30を上下方向に案内するガイド機構40と、可動体30を昇降させるモータ駆動機構50とを有している。
【0025】
固定体20は、便器本体101(図1を参照)の上面部分に固定される略矩形の底板部21と、底板部21の後端で上方に起立する垂直板部22と、垂直板部22の上端から前方に突出して底板部21と対向する略矩形の天板部23とを備えている。
【0026】
かかる固定体20において、底板部21と天板部23との間には、ガイド機構40として、右側の第1ガイド機構41と、左側の第2ガイド機構42とが設けられている。第1ガイド機構41および第2ガイド機構42は各々、底板部21および天板部23に上下の端部が各々保持された丸棒状の第1ガイド軸411および第2ガイド軸421を備えている。
【0027】
第1ガイド軸411および第2ガイド軸421には、これらのガイド軸411、421に沿って上下にスライド可能な右側の第1スライダ31および左側の第2スライダ32が支持されている、これらのスライダ31、32は、それらの前面に昇降板35が取り付けられている。このため、第1スライダ31および第2スライダ32は、昇降板35と一体に昇降する可動体30を構成している。昇降板35は、第1スライダ31および第2スライダ32の前面でこれらのスライダ31、32を連結する連結板部351と、連結板部351の下端部から前方に折れ曲がった水平板部352とを備えており、水平板部352の上面に便座ユニット110が固定される。このため、第1スライダ31および第2スライダ32が上下動すると、昇降板35に固定された便座ユニット110も一体に上下動することになる。
【0028】
第1スライダ31および第2スライダ32は略直方体形状を備えている。図4に示すように、第1スライダ31および第2スライダ32の内部には、上下方向に貫通する第1軸穴311および第2軸穴321が形成されており、かかる軸穴311、321に第1ガイド軸411および第2ガイド軸421が嵌ることにより、第1ガイド機構41および第2ガイド機構42が構成されている。
【0029】
第1スライダ31は、第1軸穴311が形成されたスライダ本体部分310と、スライダ本体部分310の左端部分で上下方向に延在して上端部316がスライダ本体部分310の上面部分より突出するラック構成部315とを備えており、ラック構成部315の左側面には、上下方向の全体にわたってラック部317が形成されている。従って、第1スライダ31において、スライダ本体部分310に形成されている第1軸穴311は、可動体30においてラック部317の上端部316よりも下方の高さ位置に設けられている。本形態では、図3(a)に示すように、ラック構成部315の上端部316が天板部23から上方に突出するまで可動体30を上昇させる。従って、天板部23には、ラック構成部315の上端部316と重なる位置に切り欠き230が形成されている。また、本形態では、図3(a)に示すように、ラック構成部315の上端部316が天板部23から上方に突出させた際、可動体30の他の部分は、天板部23より上方に突出させない。
【0030】
(ストッパーの構成)
図4に示すように、第1スライダ31および第2スライダ32の背面側には、垂直板部22と対向する部分で角穴319、329が各々開口している。これらの角穴319、329の内部には各々、係合部材318、328が水平方向に進退可能に配置され、その奥には、係合部材318、328を垂直板部22に向けて付勢するばね(図示せず)が配置されている。垂直板部22には、第1スライダ31および第2スライダ32が上下したときに係合部材318、328が通過する線上のうち、その下方位置に、係合部材318、328の先端部が入り込む下側凹部221、222が左右に形成され、上方位置には、係合部材318、328の先端部が入り込む上側凹部223、224が左右に形成されている。
【0031】
このため、可動体30と垂直板部22との間において、係合部材318、328と垂直板部22の下側凹部221、222は、可動体30が降下したときの下側ストッパーとして機能する。また、係合部材318、328と垂直板部22の上側凹部223、224は、可動体30が上昇したときの上側ストッパーとして機能する。かかる下側ストッパーおよび上側ストッパーのいずれにおいても、係合部材318、328が下側凹部221、222あるいは上側凹部223、224に係合したときにクリック感を発生させる。
【0032】
(モータ駆動機構の詳細構成)
図3に示すように、本形態の便座昇降装置1では、底板部21と天板部23との間に、可動体30を上下方向にモータ駆動するモータ駆動機構50が構成されており、かかるモータ駆動機構50は、第1ガイド軸41と第2ガイド軸42とに挟まれた空間に配置されている。このため、モータ駆動機構50を間に挟む左右両側に第1スライダ31および第2スライダ32が位置することになる。
【0033】
かかるモータ駆動機構50は、まず、駆動源としての正逆双方向への回転が可能なステッピングモータ51(モータ)と、このステッピングモータ51の駆動力を伝達する減速輪列52とを備えている。減速輪列52は、ステッピングモータ51の回転軸に連結されたピニオン53と噛み合うアイドル車54と、このアイドル車54と噛み合う大径歯車を備えた第1の減速車55と、この第1の減速車55の小径歯車と噛み合う大径歯車を備えた第2の減速車56と、この第2の減速車56の小径歯車と噛み合う大径歯車を備えた出力車57とを備えており、この出力車57の一方側端部に出力ピニオン58が形成されている。出力ピニオン58とラック部317とは左右方向で噛合しており、出力ピニオン58に対してラック部317が位置する側に第1ガイド機構41が位置し、出力ピニオン57に対してラック部317が位置する側とは反対側に第2ガイド機構42が位置している。また、本形態の便座昇降装置1には、ステッピングモータ51への給電などを制御する制御部(図示せず)が構成されている。かかるモータ駆動機構50の前面は、図2に示す内カバー59で覆われている。
【0034】
このように構成したモータ駆動機構50において、可動体30の上死点は出力ピニオン58の高さ位置で規定され、本形態では、図3(a)に示すように、ラック構成部315の上端部316が天板部23から上方に突出するまで可動体30を上昇させる。そこで、本形態において、ステッピングモータ51およびアイドル車54は略同一の高さ位置に配置され、かかるステッピングモータ51およびアイドル車54から上方に向かって、第1の減速車55、第2の減速車56、および出力車57がこの順に配置されている。このため、出力ピニオン58は、モータ51よりも上方において、ステッピングモータ51と天板部23との間の高さ位置に配置されている。
【0035】
ここで、ステッピングモータ51は、底板部21と天板部23との中間の高さ位置より下方に配置されており、出力ピニオン58は、底板部21と天板部23との中間の高さ位置より上方に配置されている。
【0036】
なお、図示を省略するが、出力車57には、出力ピニオン58と反対側の端部に小径歯車が構成されており、かかる小径歯車には、ポテンショメータに接続されたセンサ歯車が噛合している。ポテンショメータは、出力車57の角度位置に応じた信号を制御部に出力するため、制御部は、可動体30の高さ位置や移動速度を検出することができる。また、ステッピングモータ51には、ロータと回転軸との間に、ラチェット内蔵のトルクリミッタが構成される場合がある、かかるトルクリミッタでは、ロータから回転軸に駆動力を伝達する際、可動体30を下降させる方向の回転は常時伝達されるが、可動体30を上昇させる方向の回転は、回転軸の側に過大な負荷がかかれば伝達が遮断される。従って、逆に回転軸からロータに動力が伝達されるような場合、可動体30が上降する方向の回転は常時伝達されるが、可動体30が下降する方向の回転は、ロータの側に過大な負荷がかかれば伝達が遮断されることになる。
【0037】
(ガイド機構10の詳細構成)
図3に示すように、本形態の便座昇降装置1においては、可動体30の上下方向のストロークが長く、ラック構成部315の上端部316が天板部23から上方に突出するまで可動体30を上昇させる。このため、ラック部317の長さ寸法が長い。従って、図3(b)に示すように、可動体30が下方位置にある状態で、便座ユニット110に外力が加わると、可動体30の下端部が、図3(b)に矢印R1で示すように変位し、可動体30が矢印R2で示すように右側に傾きやすい。かかる傾きは、出力ピニオン58とラック部317の上側部分との噛合が外れる方向であるため、出力ピニオン58とラック部317との間に歯飛びが起こるおそれがある。特に本形態では、ラック部317の上側部分の右側には、第1軸穴311が形成されたスライダ本体部分310が存在せず、支持されていないことからも、可動体30が矢印R2で示すように右側に傾きやすい傾向にある。なお、図3(b)に示す状態で、可動体30の下端部が、矢印R3で示すように右側に変位する場合、かかる変位は、出力ピニオン58とラック部317とが深く噛合する方向の変位であるため、大きな問題は発生しない。
【0038】
そこで、本形態では、ガイド機構40については、図4、図5および図6を参照して以下に説明するように構成してある。
【0039】
図5は、本発明を適用した便座昇降装置1の第1ガイド機構41および第2ガイド機構42でのクリアランスを示す説明図であり、図5(a)、(b)、(c)は、第1ガイド機構41の上端側での横断面図、第1ガイド機構41の高さ方向の中間部分での横断面図、および第1ガイド機構41の下端側での横断面図である。図5(d)、(e)、(f)は、第2ガイド機構42の上端側での横断面図、第2ガイド機構42の高さ方向の中間部分での横断面図、および第2ガイド機構42の下端側での横断面図である。図6は、本発明を適用した便座昇降装置1において第2ガイド機構42を構成する第2軸穴321の構成を示す説明図であり、図6(a)、(b)、(c)、(d)は各々、第2軸穴321を縦方向に切断して斜め右側からみた斜視図、第2軸穴321を縦方向に切断して左斜め下方からみた斜視図、および第2軸穴の下端側での平面構成を模式的に示す説明図である。なお、図6(a)、(b)、(c)はいずれも、図5(d)のD−D′線に相当する位置で切断したときの断面図に相当する。
【0040】
まず、図4からわかるように、出力ピニオン58の左右に配置された第1ガイド機構41および第2ガイド機構42のうち、出力ピニオン58に対してラック部317が位置する側の第1ガイド機構41では、第1軸穴311がストーレートな穴である。このため、図5(a)、(b)、(c)に示すように、第1ガイド機構41を高さ方向のいずれの箇所で横方向に切断しても、第1ガイド軸411と第1軸穴311との間は、第1ガイド軸411の外周面と第1軸穴311の内周面が左右方向のいずれにおいても略接触状態となるクリアランスを有している。このため、可動体30が傾きにくく、出力ピニオン58とラック部317とは適正に噛合する。
【0041】
これに対して、出力ピニオン58に対してラック部317が位置する側とは反対側の第2ガイド機構42においては、図5(d)に示すように、第2軸穴321の上端側は、断面が左右方向に長軸を向ける略楕円形状になっている。また、高さ方向の途中位置では、図5(e)に示すように、第2軸穴321の断面が略真円になっており、かかる途中位置から下方は、図5(e)、(f)を比較すると分るように、略真円形状のまま、内径が下方に向かって連続的に拡張するスカート形状になっている。このため、高さ方向の全体にわたって、第2ガイド軸421の外周面と第2軸穴321の内周面との左右方向のクリアランスは、第1ガイド軸411の外周面と第1軸穴311の内周面との左右方向のクリアランスよりも大きい。このため、出力ピニオン58を間に挟む左右両側に第1ガイド機構41および第2ガイド機構42を設けて可動体30の傾きを防止した場合でも、第2ガイド機構42での多少の寸法誤差などにかかわらず、可動体30に加わる摺動負荷が小さい。
【0042】
なお、図5(d)に示すように、第2軸穴321は、上端側では、前後方向(短軸方向)の寸法は、第2ガイド軸421の外径寸よりわずかに大きいだけであるため、可動体30には、前後方向のブレが発生しない。
【0043】
かかる第2ガイド機構42においては、図5(f)に示すように、下端側での第2ガイド軸421の外周面と第2軸穴321の内周面とのクリアランスが左右方向で相違している。このため、可動体30の下端部が左右方向のいずれの側に変位しても、クリアランスが小さい側で第2ガイド軸421の外周面と第2軸穴321の内周面とが当接するので、クリアランスが広い側に可動体30の下端部が変位することがない。
【0044】
本形態では、図3(b)に矢印R1で示すように、可動体30が下方に位置する場合、可動体30の下端部が右側に変位しやすい。そこで、本形態では、図5(f)に示すように、下端側での第2ガイド軸421の外周面と第2軸穴321の内周面との左右方向のクリアランスが、出力ピニオン58が位置する側とは反対側(左側)より出力ピニオン58が位置する右側で小さくなっている。すなわち、第2ガイド軸421の外周面と第2軸穴321の内周面との右側のクリアランスCRは、第2ガイド軸421の外周面と第2軸穴321の内周面との左側のクリアランスCLより小さい。
【0045】
かかる構成を実現するにあたって、本形態では、図6(a)、(b)に示すように、第2軸穴321の左側の面は、斜め下向きにわずかに傾いたテーパ面321tになっているのに対して、図6(a)、(b)、(c)に示すように、第2軸穴321の右側の面には、上下方向に垂直に延びた平坦面321sになっている。このため、第2軸穴321の下端側には、図6(d)に模式的に示すように、左右方向の一方側(右側)から仮想の円(一点鎖線で示す)より内側に弦のように張り出した張り出し部321pが形成されている。
【0046】
従って、図3(b)に矢印R1で示すように、可動体30の下端部が左側に変位しようとしても、第2軸穴321の内部では、第2軸穴321において第2ガイド軸421とのクリアランスの小さな右側の面(張り出し部321p)が第2ガイド軸421の外周面に当接するので、可動体30の下端部が左側に変位することがない。それ故、図3(b)に矢印R2で示すように、可動体30の上端部が右側に傾かないので、出力ピニオン58とラック部317との噛合が外れて歯飛びが起こるという事態が発生しない。
【0047】
(昇降動作)
本形態の便座昇降装置1は、底板部21を便器本体101(図1を参照)の上面部分に固定する一方、昇降板35の水平板部352の上面に便座ユニット110を取り付けた状態で使用される。
【0048】
清掃などを開始する前は、図3(b)に示すように、可動体30が最下位置にあり、図1示すように、便座ユニット110は便器本体101上に位置する。この状態においては、図4を参照して説明した係合部材318、328の先端部が垂直板部22の下側凹部221、222に係合し、第1ストッパーが作動している。従って、最下位置では、第1ストッパーでの係合力、ステッピングモータ51のディテントトルク、および便座ユニット110の自重により、便座ユニット110が不用意に上昇することはない。また、この状態において、ポテンショメータは、便座ユニット110が最下位置にある旨の出力を行う。
【0049】
この状態から、図1(b)に示すように、清掃を開始するために便座ユニット110を浮かせたい場合に所定のスイッチ動作を行うと、制御部は、所定のパルス信号をステッピングモータ51に出力する。その結果、ステッピングモータ51は、所定のステップ数、あるいは所定の時間、正方向に回転するので、ステッピングモータ51の駆動力は、減速輪列52を介して出力ピニオン58に伝達され、出力ピニオン58はラック部317を介して第1スライダ31を上昇させる。その結果、第1ストッパーでの係合が解除され、図3(a)に示すように、可動体30が一体で上昇する。その結果、図1(b)に示すように、便座ユニット110は便器本体101から浮いた状態となる。
【0050】
そして、第2ストッパーでの係合が行われるまで、可動体30が上昇した後、ステッピングモータ51は停止する。この状態で、可動体30において、ラック部317が形成されているラック構成部315の上端部316のみが天板部23から上方に突出し、その他の部分は、天板部23から上方には突出しない。
【0051】
それまでの間に、ポテンショメータの出力が変化するので、制御部は、その出力から、便座ユニット110が所定の位置まで上昇したことを検出できる。また、便座ユニット110が所定の位置まで上昇したことは、第2ストッパーで発生するクリック音で報知することができる。さらに、便座ユニット110が最上位置で停止した状態では、第2ストッパーでの係合力、およびステッピングモータ51のディテントトルクにより、便座ユニット110は、自重で落下してしまうことがない。
【0052】
ここで、上昇駆動されたはずの便座ユニット110が、所定時間、あるいは所定ステップ数駆動された時点でも、最上位置に到着していない場合には、何らかの不具合で便座ユニット110が上昇途中で停止したことになる。このような不具合の発生は、第2ストッパーによるクリック音が発生しないことでも分かるが、本形態では、ポテンショメータの出力値によって検出することができる。従って、不具合が発生した際、制御部は、ポテンショメータでの検出結果に基づいて、その旨の報知を行うことができる。また、制御部は、その後の動作が不要に開始されないように、ステッピングモータ51の動作をリセットするなどの処置を行うことができる。
【0053】
一方、図3(a)に示す状態で、清掃が終了して便座ユニット110を降下させたい場合に所定のスイッチ動作を行うと、制御部は、所定のパルス信号をステッピングモータ51に出力する。その結果、ステッピングモータ51は、所定のステップ数、あるいは所定の時間、逆方向に回転するので、ステッピングモータ51の回転運動力は、減速輪列52を介して出力ピニオン58に伝達され、図3(b)に示すように、出力ピニオン58は、ラック部317を介して第1スライダ31を降下させる。従って、第2ストッパーでの係合が解除され、可動体30は、便座ユニット110とともに下降する。
【0054】
そして、第1ストッパーでの係合が行われるまで、便座ユニット110が下降した後、ステッピングモータ51は停止する。それまでの間に、ポテンショメータの出力が変化するので、制御部は、その出力から、便座ユニット110が所定の位置まで下降したことを検出できる。また、便座ユニット110が所定の位置まで下降したことは、第1ストッパーで発生するクリック音で報知することができる。
【0055】
ここで、下降駆動されたはずの便座ユニット110が、所定時間、あるいは所定ステップ数駆動された時点でも、最下位置に到着していない場合には、何らかの不具合で便座ユニット110が下降途中で停止したことになる。このような不具合の発生は、第1ストッパーによるクリック音が発生しないことでも分かるが、制御部は、ポテンショメータの出力値によっても検出することができる。従って、不具合が発生した際、制御部は、ポテンショメータでの検出結果に基づいて、その旨の報知を行うことができる。また、制御部は、その後の動作が不要に開始されないように、ステッピングモータ51の動作をリセットするなどの処置を行うことができる。
【0056】
(手動による便座ユニットの下降動作/通常時)
本形態の便座昇降装置1では、清掃が終了した後、最上位置にある便座ユニット110を手動で最下位置まで降ろすことができる。この場合には、ステッピングモータ51に給電せずに、人の力で便座ユニット110を押し下げる。その際、可動体30の下降は、ラック部317および減速輪列52を介してステッピングモータ51に伝達されるが、本形態では、駆動源として用いたモータがステッピングモータ51であるので、ステッピングモータ51において脱調が起こる。また、本形態では、駆動源として用いたモータがステッピングモータ51であり、かつ、ステッピングモータ51からラック部317までの間に減速輪列52が接続されているので、手動で便座ユニット110を下降させる際には、ステッピングモータ51のディトントトルクと、減速輪列52の負荷が適度な抗力として作用するので、便座ユニット110がゆっくりと下降する。
【0057】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態の便座昇降装置1において、モータ駆動機構50では、出力ピニオン58をステッピングモータ51よりも高い位置に配置してある分、可動体30の上死点が高い位置にある。しかも、出力ピニオン58は、底板部21と天板部23との中間の高さ位置より上方に配置されている。従って、可動体30の上死点が極めて高い。それ故、便座ユニット110を高い位置まで浮かせることができるので、便座ユニット110と便器本体101との間に広い隙間を形成することができる。よって、便座ユニット110と便器本体101との隙間の奥まで手が届くので、掃除が容易である。このように本形態では、底板部21と天板部23との間でステッピングモータ51と出力ピニオン58の位置関係を変更して、出力ピニオン58を高い位置に配置することにより、可動体30の上下のストロークを延ばしたので、底板部21と天板部23との距離、すなわち、便座昇降装置1の高さ寸法を増大させなくても、便座ユニットを高い位置まで浮かせることができる。また、可動体30は、ラック部317の上端部316が天板部23より上方に突出する位置まで駆動されるので、底板部31と天板部32との距離、すなわち、便座昇降装置1の高さ寸法を増大させなくても、便座ユニット110を高い位置まで浮かせることができる。
【0058】
また、ステッピングモータ51は、底板部21と天板部23との中間の高さ位置より下方に配置されているため、底板部21と天板部23との間のスペースを高さ方向で有効に利用してモータ駆動機構50を配置することができる。
【0059】
さらに、ガイド機構40(第1ガイド機構41および第2ガイド機構42)を構成する軸穴(第1軸穴311および第2軸穴321)は、可動体30においてラック部317の上端部316よりも下方に設けられている。このため、ラック部317の上端部316が天板部23より上方に突出した状態でも軸穴全体(第1軸穴311および第2軸穴321の全体)がガイド軸(第1ガイド軸411および第2ガイド軸421)に係合するため、可動体30を安定した状態でガイドすることができる。また、可動体30において、ラック部317が形成されているラック構成部315の上端部316のみが天板部23より上方に突出し、余計な部分が天板部23から突出しないので、安全である。
【0060】
また、可動体30のストロークを長くすると、便座ユニットに加わった力で可動体が傾くおそれがあるが、第2ガイド機構42では、下端側での第2ガイド軸421の外周面と第2軸穴321の内周面とのクリアランスを左右方向で相違させている。このため、クリアランスが広い方に可動体30の下端部が変位することがないので、可動体30が傾くことを防止することができる。
【0061】
特に本形態では、下端側での第2ガイド軸421の外周面と第2軸穴321の内周面との左右方向のクリアランスが、出力ピニオン58が位置する側とは反対側より出力ピニオン58が位置する側で小さくなっているため、第2ガイド機構42からみて出力ピニオン58が位置する側とは反対側に可動体30の下端部が変位するような可動体30の傾きを防止することができる。その結果、出力ピニオン58とラック部317との間に歯飛びが発生することがないので、モータとしてステッピングモータ51を用いた場合のステップ制御や、モータから出力ピニオン58までの間での角度検出によって可動体30の上下位置を制御した場合でも、可動体30の上下位置を高い精度で制御することができる。
【0062】
(他の実施の形態)
上記実施の形態では、モータ駆動機構50の駆動源としてステッピングモータ51を用いたが、他のモータを用いてもよい。また、ステッピンモータ51と出力ピニオン58との位置関係など、可動体30の上下のストロークを延ばすための構成については、ガイド機構40が1組のみ構成されている便座昇降装置に適用してもよい。
上記実施の形態では、出力車57の動きをポテンショメータで検出して便座ユニット110の位置および下降速度を監視する構成であったが、減速輪列52を構成するアイドル車54または減速車55、56のいずれかの回転角度位置を検出することにより、便座ユニット110の位置および下降速度を監視してもよい。また、上記実施の形態では、便座ユニット110の位置や下降速度を監視するのにポテンショメータを用いたが、ホールIC等などのセンサにより便座ユニット110の位置や下降速度を監視してもよい。
【符号の説明】
【0063】
1 便座昇降装置
20 固定体
21 底板部
22 垂直板部
23 天板部
30 可動体
31 第1スライダ
32 第2スライダ
35 昇降板
40 ガイド機構
41 第1ガイド機構
42 第2ガイド機構
50 モータ駆動機構
51 ステッピングモータ(モータ)
58 出力ピニオン
100 洋式トイレユニット
101 便器本体
110 便座ユニット
311 第1軸穴
315 ラック構成部
316 ラック構成部の上端部
317 ラック部
321 第2軸穴
321p 第2軸穴の張り出し部
411 第1ガイド軸
421 第2ガイド軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
洋式トイレの便器本体側に固定される固定体と、便座ユニット側に連結される可動体と、該可動体を上下方向に案内するガイド機構と、前記可動体を昇降させるモータ駆動機構と、を有する便座昇降装置において、
前記モータ駆動機構は、モータと、前記可動体のラック部に噛合して前記モータからの駆動力を前記可動体に伝達する出力ピニオンと、を備え、
前記固定体は、前記モータ駆動機構の下方に位置する底板部と、前記モータ駆動機構の上方に位置する天板部と、を備え、
前記出力ピニオンは、前記モータと前記天板部との間の高さ位置に配置され、
前記可動体は、前記ラック部の上端部が前記天板部より上方に突出する位置まで駆動されることを特徴とする便座昇降装置。
【請求項2】
前記出力ピニオンは、前記底板部と前記天板部との中間の高さ位置より上方に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の便座昇降装置。
【請求項3】
前記モータは、前記底板部と前記天板部との中間の高さ位置より下方に配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載の便座昇降装置。
【請求項4】
前記ガイド機構は、前記天板部および前記底板部によって上下の端部が各々保持されたガイド軸と、前記可動体において当該ガイド軸が嵌った軸穴と、を備えていることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の便座昇降装置。
【請求項5】
前記軸穴は、前記可動体において前記ラック部の上端部よりも下方の高さ位置に設けられていることを特徴とする請求項4に記載の便座昇降装置。
【請求項6】
前記可動体において、前記ラック部が形成されている部分の上端部のみが前記天板部より上方に突出する位置まで駆動されることを特徴とする請求項5に記載の便座昇降装置。
【請求項7】
前記出力ピニオンと前記ラック部とは左右方向で噛合し、
前記ガイド機構は、前記出力ピニオンを間に挟む左右両側のうち、前記出力ピニオンに対して前記ラック部が位置する側に設けられた第1ガイド機構、および前記出力ピニオンに対して前記ラック部が位置する側とは反対側に設けられた第2ガイド機構として設けられ、
前記第1ガイド機構において、前記ガイド軸および前記軸穴として設けられた第1ガイド軸および第1軸穴は、当該第1ガイド軸の外周面と当該第1軸穴の内周面が左右方向のいずれにおいても略接触状態となるクリアランスを有し、
前記第2ガイド機構において、前記ガイド軸および前記軸穴として設けられた第2ガイド軸および第2軸穴は、当該第2ガイド軸の外周面と当該第2軸穴の内周面との左右方向のクリアランスが、前記第1ガイド軸の外周面と前記第1軸穴の内周面との左右方向のクリアランスよりも大きく、かつ、下端側での前記第2ガイド軸の外周面と前記第2軸穴の内周面とのクリアランスが左右方向で相違していることを特徴とする請求項4乃至6の何れか一項に記載の便座昇降装置。
【請求項8】
下端側での前記第2ガイド軸の外周面と前記第2軸穴の内周面との左右方向のクリアランスが、前記出力ピニオンが位置する側とは反対側より前記出力ピニオンが位置する側で小さくなっていることを特徴とする請求項7に記載の便座昇降装置。
【請求項9】
前記第2ガイド軸は、略同一の外径寸法をもって上下方向に延在する丸棒であり、
下端側での前記第2ガイド軸の外周面と前記第2軸穴の内周面との左右方向のクリアランスを相違させるために、前記第2軸穴の内周面には、左右方向の一方側から仮想の円より内側に張り出した張り出し部が形成されていることを特徴とする請求項7または8に記載の便座昇降装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−184093(P2010−184093A)
【公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−31887(P2009−31887)
【出願日】平成21年2月13日(2009.2.13)
【出願人】(000002233)日本電産サンキョー株式会社 (1,337)
【出願人】(000000479)株式会社INAX (1,429)
【Fターム(参考)】