説明

係員操作制御装置、および、係員操作制御方法

【課題】装置の保守作業に要する時間および開発コストを低減させる。
【解決手段】係員操作制御装置1は、操作に基づいて入力信号を生成する入力手段2と、本体装置9の保守作業に用いられる係員操作用画面データを生成する画面データ生成手段3と、画面データ生成手段3が生成した係員操作用画面データを表示する表示手段4と、画面データ生成手段3が生成した係員操作用画面データを、外部の端末8に送信する送信手段5と、外部の端末8において生成された入力信号を受信する受信手段6と、入力手段2が生成した入力信号、および、受信手段6が受信した入力信号に基づいて、本体装置9の保守作業に関する処理を実行する処理実行手段7と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作を制御する係員操作制御装置、および、係員操作制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、金融機関に設置されている自動取引装置(ATM:Automated Teller Machine)等、保守作業が必要な装置には、係員操作用画面が備えられているものが存在する。係員操作用画面には、装置の運用状態等、装置の保守作業に必要なデータが表示される。係員は、係員操作用画面を閲覧することで、装置の運用状態等を確認することができる。また、係員操作用画面には、例えば、タッチパネルが備えられており、係員は、このタッチパネルを操作することで、保守作業に必要な処理を実行することができる。
【0003】
係員操作用画面は、例えば、コンプライアンス、個人情報保護、犯罪抑止の観点等から、装置の外側には露出しておらず、装置の内部機器のセキュリティを兼ねる扉の中に設置されている場合がある。この場合、係員は、この扉を開けなくては、係員操作用画面の閲覧および操作を行うことができない。この扉を開けるには、例えば、警備会社に連絡して扉の警報を解除する必要がある。このため、係員操作用画面の閲覧および操作に、多大な時間を要してしまう場合がある。
【0004】
これに対し、装置の運用状態を、装置から別端末に送信し、その別端末を係員が閲覧および操作する方法が存在する。この方法によれば、装置に設けられた係員操作用画面を閲覧および操作する必要がないため、装置の保守作業に要する時間を大幅に低減することが可能となる。
【0005】
例えば、複数機器との間で無線によるデータ交信が可能な通信部、ガイダンス表示を行う表示部、および、データ入力が可能なキーを有する操作部を有する自動取引装置用メンテナンス端末であって、操作パネルを取り外した複数の自動取引装置と通信回線を介して接続し、複数の自動取引装置に対して遠距離からパネル操作を行う回線部、および、バックアップセンタとの間で情報伝達を行うための遠距離通信手段を具備するものが存在する(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
また、入力部と、表示部と、複数台の自動取引装置からの運用状態を示す各種データが入ってきたとき、そのデータを発信元毎に表示部に表示する運用監視部と、個々の自動取引装置が有する自動取引機能を表示部に表示し、入力部の操作による自動取引機能の切り換えを検知したときはその情報を操作対象の自動取引装置に送出して制御させる運用制御部とを備えた係員操作装置が存在する(例えば、特許文献2参照)。
【0007】
また、自動取引装置と無線通信手段による通信を実現し、自動取引装置に保守の動作を実施させる動作指示を入力する操作部と、この動作指示に基づく動作結果を表示する表示部とを備えた遠隔制御端末が存在する(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2003−85364号公報
【特許文献2】特開2004−54351号公報
【特許文献3】特開平5−274336号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、装置の運用状態を、装置から別端末に送信し、その別端末を係員が閲覧および操作する方法では、例えば、装置の運用機能が増加すると、別端末においてアップデートが必要となり、その都度、別端末のアプリケーションソフトを開発する必要がある。また、装置の種類毎に、別端末のアプリケーションソフトを開発する必要がある。このため、開発費が大幅に増大してしまう可能性がある。
【0010】
このような点に鑑み、本発明は、装置の保守作業に要する時間および開発コストを低減させる係員操作制御装置、および、係員操作制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために以下のような係員操作制御装置、および、係員操作制御方法が提供される。
この係員操作制御装置は、操作に基づいて入力信号を生成する入力手段と、本体装置の保守作業に用いられる係員操作用画面データを生成する画面データ生成手段と、画面データ生成手段が生成した係員操作用画面データを表示する表示手段と、画面データ生成手段が生成した係員操作用画面データを、外部の端末に送信する送信手段と、外部の端末において生成された入力信号を受信する受信手段と、入力手段が生成した入力信号、および、受信手段が受信した入力信号に基づいて、本体装置の保守作業に関する処理を実行する処理実行手段と、を有する。
【0012】
また、この係員操作制御方法は、本体装置の保守作業に用いられる係員操作用画面データを生成し、端末からの依頼に基づいて、生成した係員操作用画面データを、端末に送信し、端末から受信した入力信号に基づいて、本体装置の保守作業に関する処理を実行する。
【発明の効果】
【0013】
開示の係員操作制御装置、および、係員操作制御方法によれば、装置の保守作業に要する時間および開発コストを低減させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1の実施の形態に係る係員操作制御装置の一例を示す図である。
【図2】第2の実施の形態に係る係員操作制御システムの一例を示す図である。
【図3】第2の実施の形態に係る自動取引装置のハードウェアの一例を示す図である。
【図4】第2の実施の形態に係るモバイル係員端末のハードウェアの一例を示す図である。
【図5】第2の実施の形態に係る係員操作制御装置の一例を示す機能ブロック図である。
【図6】第2の実施の形態に係る係員操作用画面データの一例を示す図である。
【図7】第2の実施の形態に係る係員操作制御装置の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図8】第2の実施の形態に係る係員操作制御装置の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図9】第2の実施の形態に係るモバイル係員端末による操作手順の一例を示すフローチャートである。
【図10】第2の実施の形態に係る表示画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、実施の形態を図面を参照して説明する。
[第1の実施の形態]
図1は、第1の実施の形態に係る係員操作制御装置の一例を示す図である。
【0016】
係員操作制御装置1は、例えば、保守作業の対象となる本体装置9に設けられている。係員操作制御装置1は、入力手段2と、画面データ生成手段3と、表示手段4と、送信手段5と、受信手段6と、処理実行手段7とを有している。
【0017】
入力手段2は、係員によって操作され、係員の操作に基づいて入力信号を生成する。入力手段2には、例えば、表示手段4に重ねて配置されたタッチパネルが用いられている。
画面データ生成手段3は、本体装置9の保守作業に用いられる係員操作用画面データを生成する。係員操作用画面データには、例えば、本体装置9の運用状態を示すデータや、コマンドボタンを示すデータ等が含まれている。表示手段4は、画面データ生成手段3が生成した係員操作用画面データを表示する。
【0018】
送信手段5は、画面データ生成手段3が生成した係員操作用画面データを、外部の端末8に送信する。送信は、例えば、無線通信によって行われる。外部の端末8は、表示手段10を有しており、送信手段5が送信した係員操作用画面データは、この表示手段10に表示される。また、外部の端末8は、係員によって操作される入力手段11を有し、係員の操作に基づいて入力信号を生成する。
【0019】
受信手段6は、外部の端末8において生成された入力信号を受信する。処理実行手段7は、入力手段2が生成した入力信号、および、受信手段6が受信した入力信号に基づいて、本体装置9の保守作業に関する処理を実行する。ここで、本体装置9の保守作業に関する処理とは、例えば、係員操作用画面データの切り換えや、本体装置9の運用状態に関するデータ収集や、本体装置9に設けられた内部機器の復旧等である。
【0020】
係員が表示手段4を閲覧して本体装置9の保守作業を行う場合、表示手段4が、画面データ生成手段3が生成した係員操作用画面データを表示する。また、係員が入力手段2を操作すると、入力手段2が入力信号を生成し、次に、処理実行手段7が生成された入力信号に基づいて所定の処理を実行する。
【0021】
係員が外部の端末8を用いて本体装置9の保守作業を行う場合、送信手段5が、画面データ生成手段3が生成した係員操作用画面データを外部の端末8に送信する。外部の端末8に送信された係員操作用画面データは、外部の端末8の表示手段10に表示される。
【0022】
また、係員が外部の端末8の入力手段11を操作すると、外部の端末8が入力信号を生成し、次に、受信手段6が生成された入力信号を受信する。次に、処理実行手段7が受信した入力信号に基づいて所定の処理を実行する。
【0023】
このように、係員操作制御装置1は、画面データ生成手段3が生成した係員操作用画面データを、外部の端末8に送信する送信手段5を有している。これにより、外部の端末8では、係員操作制御装置1から送信された係員操作用画面データを表示手段10に表示すればよいので、外部の端末8において係員操作用画面データを生成する必要がない。
【0024】
すなわち、係員操作用画面データを生成するためのアプリケーションソフトを必要としないため、例えば、本体装置9の運用機能が増加した場合であっても、新たにアプリケーションソフトの開発を行う必要がない。また、種類が異なる本体装置が複数存在する場合でも、本体装置の種類毎にアプリケーションソフトの開発を行う必要もない。これにより、本体装置の保守作業に要する時間および開発コストを低減させることが可能となる。
【0025】
また、係員操作制御装置1では、外部の端末8へ送信される係員操作用画面データを、表示手段4に表示される係員操作用画面データを生成する画面データ生成手段3が生成しているので、外部の端末8へ送信される係員操作用画像データを生成するために、画面データ生成手段を新たに設ける必要がない。
【0026】
さらに、係員操作制御装置1では、外部の端末8から受信した入力信号に基づく処理の実行を、入力手段2が生成した入力信号に基づいて処理を実行する処理実行手段7が行うので、外部の端末8から受信した入力信号に基づく処理を実行するために、処理実行手段を新たに設ける必要がない。
【0027】
このため、係員操作制御装置1は、従来の係員操作制御装置に対して、大規模な改造を施すことなく実現することができる。
次に、係員操作制御装置1を金融機関に設置されている自動取引装置に適用した実施の形態を、第2の実施の形態として説明する。
【0028】
[第2の実施の形態]
図2は、第2の実施の形態に係る係員操作制御システムの一例を示す図である。
係員操作制御システムは、複数の自動取引装置100a,100b,100c,100dと、無線LAN(Local Area Network)ルータ20と、無線LAN中継装置21と、複数のモバイル係員端末300a,300bとを備えている。
【0029】
自動取引装置100a〜100dは、例えば、金融機関の店舗コーナ22に設置されている。自動取引装置100a〜100dと無線LANルータ20とはそれぞれ、LAN23に接続されている。無線LANルータ20は、無線LAN中継装置21と無線接続される。なお、無線接続に替えて有線接続を用いるようにしてもよい。
【0030】
モバイル係員端末300a,300bは、例えば、金融機関の事務所スペース24内で用いられる。モバイル係員端末300a,300bはそれぞれ、無線LAN中継装置21と無線接続される。なお、無線接続に替えて有線接続を用いるようにしてもよい。
【0031】
自動取引装置100a〜100dと、モバイル係員端末300a,300bとは、LAN23、無線LANルータ20、無線LAN中継装置21を介して、互いにデータの送受信を行う。また、自動取引装置100a〜100d、および、モバイル係員端末300a,300bにはそれぞれ、個別のIPアドレスが設定されている。
【0032】
次に、自動取引装置100a〜100dのハードウェアについて説明する。自動取引装置100a〜100dは互いに同様の構成を有するので、ここでは、代表して自動取引装置100aについて説明する。
【0033】
図3は、第2の実施の形態に係る自動取引装置のハードウェアの一例を示す図である。
自動取引装置100aは、制御部101と、制御部101にバスを介して接続され、制御部101により制御される、カード読み取り印字部108と、レシート印字部109と、ジャーナル印字部110と、通帳印字部111と、紙幣入出金部112と、硬貨入出金部113と、電源120とを有する。電源120には、例えば、無停電電源装置(UPS:Uninterruptible Power Supply)が用いられている。
【0034】
制御部101は、回線制御部102と、顧客画面制御部103と、係員画面制御部104と、補助記憶部105とを有している。補助記憶部105は、HDD(Hard Disk Drive)106と光学ドライブ107を備えている。
【0035】
さらに、自動取引装置100aは、顧客画面制御部103にバスを介して接続され、顧客画面制御部103により制御される顧客操作部114と、係員画面制御部104にバスを介して接続され、係員画面制御部104により制御される係員操作部117とを有する。顧客操作部114は、LCD(Liquid Crystal Display)115とタッチパネル116とを備えている。係員操作部117は、LCD118とタッチパネル119とを備えている。
【0036】
なお、ここで、係員画面制御部104、および、係員操作部117は、係員操作制御装置200aを構成する。また、係員画面制御部104および係員操作部117に加えて、補助記憶部105の一部を用いて、係員操作制御装置200aを構成してもよい。
【0037】
次に、モバイル係員端末300a,300bのハードウェアについて説明する。モバイル係員端末300a,300bは互いに同様の構成を有するので、ここでは、代表してモバイル係員端末300aについて説明する。
【0038】
図4は、第2の実施の形態に係るモバイル係員端末のハードウェアの一例を示す図である。
モバイル係員端末300aは、制御ボード301と、制御ボード301にバスを介して接続され、制御ボード301により制御される、LCD304と、タッチパネル305と、ネットワーク画像アダプタ306と、装置選択スイッチ307と、セキュリティキー308と、カードリーダライタ309と、バッテリ310とを有する。
【0039】
制御ボード301は、LCD304の画面データの表示を制御するLCD表示部302と、USB(Universal Serial Bus)信号の入出力を制御するUSB−IF(Interface)部303とを備えている。
【0040】
ネットワーク画像アダプタ306は、外部から送信されてきた画面データおよびUSB信号を受信する。また、ネットワーク画像アダプタ306は、制御ボード301から送出された信号を、外部へ送信する。ネットワーク画像アダプタ306は、無線LAN、または、有線LANに接続される。
【0041】
装置選択スイッチ307は、自動取引装置100a〜100dの中から接続先の装置を選択する。セキュリティキー308は、物理的に操作の許可を行う鍵、または生体認証により操作の許可を行う生体情報等である。カードリーダライタ309は、操作者の特定が可能なIC(Integrated Circuit)カードや磁気ID(Identification)カードのリーダライタである。生体認証装置312は、操作者の生体情報を読み込む。バッテリ310は、外部電源ケーブル311に接続され、制御ボード301、および、ネットワーク画像アダプタ306に電源を供給する。
【0042】
このようなハードウェアにより、自動取引装置100a〜100dから送信された画像データは、LCD304に表示される。また、係員がタッチパネル305を操作することで、入力信号が生成され、生成された入力信号は、自動取引装置100a〜100dに送信される。また、操作を行う係員を識別する識別信号が、自動取引装置100a〜100dに送信される。また、係員が装置選択スイッチ307を押下することで、自動取引装置100a〜100dのうち、選択された装置に接続依頼信号が送信される。
【0043】
次に、自動取引装置100aに設けられた係員操作制御装置200aの機能について説明する。
図5は、第2の実施の形態に係る係員操作制御装置の一例を示す機能ブロック図である。
【0044】
係員操作制御装置200aは、入力手段201と、表示手段202と、画面データ生成手段204と、画面駆動手段205と、画面制御手段206と、LAN変換制御手段207と、LAN駆動手段208と、通信制御手段209と、処理実行手段210と、操作状況検出手段211とを有する。
【0045】
入力手段201は、係員によって操作され、係員の操作に基づいて入力信号を生成し、生成した入力信号を処理実行手段210および操作状況検出手段211に出力する。
画面データ生成手段204は、自動取引装置100aの保守作業に用いられる係員操作用画面データを生成する。係員操作用画面データには、例えば、自動取引装置100aの運用状態を示すデータや、コマンドボタンを示すデータ等が含まれている。また、画面データ生成手段204は、操作ができないことを報知する報知画面データを生成する。
【0046】
画面駆動手段205は、画面データ生成手段204が生成した画面データを、画面制御手段206およびLAN変換制御手段207に出力する。画面制御手段206は、画面駆動手段205から出力された画面データを、表示手段202に表示させる。
【0047】
LAN変換制御手段207は、画面駆動手段205から出力された画面データを、LANの通信データ形式に変換してLAN駆動手段208に出力する。また、LAN変換制御手段207は、通信制御手段209から出力された信号を、内部の通信信号形式に変換して処理実行手段210および操作状況検出手段211に出力する。
【0048】
LAN駆動手段208は、LAN変換制御手段207から出力された画像データを通信制御手段209に出力する。
通信制御手段209は、LAN変換制御手段207から出力された画像データを、LAN23を介して、モバイル係員端末300a,300bに送信する。また、通信制御手段209は、モバイル係員端末300a,300bから出力された入力信号および接続依頼信号をLAN23を介して受信し、受信した入力信号および接続依頼信号をLAN変換制御手段207に出力する。
【0049】
処理実行手段210は、入力手段201が生成した入力信号、および、LAN変換制御手段から出力された入力信号に基づいて、自動取引装置100aの保守作業に関する処理を実行する。ここで、自動取引装置100aの保守作業に関する処理とは、例えば、係員操作用画面データの切り換えや、自動取引装置100aの運用状態に関するデータ収集や、自動取引装置100aに設けられた内部機器の復旧等である。
【0050】
操作状況検出手段211は、自動取引装置100aおよびモバイル係員端末300a,300bによる係員の操作の有無を検出する。この検出は、例えば、係員操作用画面データが遷移しているかどうかを判断することで行われる。また、自動取引装置100aによる操作の有無の検出については、例えば、自動取引装置100aに設けられたセキュリティ扉の開閉状態を監視することで行われる。
【0051】
さらに、操作状況検出手段211は、画面駆動手段205から画面制御手段206およびLAN変換制御手段207への画面データの出力を制御する。さらに、操作状況検出手段211は、処理実行手段210における処理の実行を制御する。
【0052】
次に、画面データ生成手段204が生成する係員操作用画面データについて説明する。
図6は、第2の実施の形態に係る係員操作用画面データの一例を示す図である。
図6(A)は、運用確認の際の係員操作用画面データ220を示す。係員操作用画面データ220には、例えば、装置状態データ221、保守データコマンド222、休止データコマンド223、係員処理コマンド224等が含まれている。
【0053】
図6(B)は、休止処理の際の係員操作用画面データ230を示す。係員操作用画面データ230には、例えば、装置状態データ231、保守データコマンド232、運用データコマンド233、係員処理コマンド234、復旧処理コマンド235等が含まれている。
【0054】
図6(C)は、係員処理の際の係員操作用画面データ240を示す。係員操作用画面データ240には、例えば、スケジュール設定データ241、保守データコマンド242、休止データコマンド243、運用データコマンド244等が含まれている。
【0055】
次に、係員操作制御装置200aの処理手順について説明する。
まず、モバイル係員端末300aまたはモバイル係員端末300bによる操作があった場合について説明する。
【0056】
図7は、第2の実施の形態に係る係員操作制御装置の処理手順の一例を示すフローチャートである。
以下の処理は、操作状況検出手段211が、モバイル係員端末300aまたはモバイル係員端末300bから送信された接続依頼信号を、通信制御手段209を介して受信することで開始される。
【0057】
[ステップS100]操作状況検出手段211が、自動取引装置100a、および、接続依頼信号を受信したモバイル係員端末ではない他のモバイル係員端末による操作の有無を判定する。操作がない場合、操作状況検出手段211は、処理をステップS101に進める。操作がある場合、操作状況検出手段211は、処理をステップS104に進める。
【0058】
[ステップS101]操作状況検出手段211が、画面駆動手段205を制御して、画面データ生成手段204が生成した係員操作用画面データを、LAN変換制御手段207に出力させる。これにより、通信制御手段209に係員操作用画面データが出力される。そして、通信制御手段209が、接続依頼のあったモバイル係員端末に係員操作用画面データを送信する。このとき、通信制御手段209が、アクセスログを残すようにしてもよい。
【0059】
[ステップS102]操作状況検出手段211が、通信制御手段209を介して受信した、接続依頼のあったモバイル係員端末から送信された識別信号に基づいて、操作を許可するかどうかを判定する。許可する場合、操作状況検出手段211は、処理をステップS103に進める。許可しない場合、操作状況検出手段211は、処理をステップS105に進める。なお、操作状況検出手段211は、操作の許可を、係員のアクセスレベルに応じて行うようにしてもよい。
【0060】
[ステップS103]処理実行手段210が、通信制御手段209を介して受信した、接続依頼のあったモバイル係員端末から送信された入力信号に基づいて処理を実行し、一連の処理を終了する。
【0061】
[ステップS104]操作状況検出手段211が、画面駆動手段205を制御して、画面データ生成手段204が生成した報知画面データを、LAN変換制御手段207に出力させる。これにより、通信制御手段209に報知画面データが出力される。そして、通信制御手段209が、接続依頼のあったモバイル係員端末に報知画面データを送信する。このとき、通信制御手段209が、アクセスログを残すようにしてもよい。
【0062】
[ステップS105]操作状況検出手段211が、処理実行手段210による処理の実行を禁止して処理を終了する。これにより、接続依頼のあったモバイル係員端末による操作が抑止される。
【0063】
以上の処理により、自動取引装置100aおよびモバイル係員端末300a,300bの間で、操作が重複してしまうことを抑制することができる。
次に、自動取引装置100aによる操作があった場合について説明する。
【0064】
図8は、第2の実施の形態に係る係員操作制御装置の処理手順の一例を示すフローチャートである。
以下の処理は、操作状況検出手段211が、自動取引装置100aによる操作依頼を検出することで開始される。操作依頼の検出は、例えば、操作状況検出手段211が、入力手段201を介して操作依頼信号を受信することで行われる。
【0065】
[ステップS200]操作状況検出手段211が、モバイル係員端末300a,300bによる操作の有無を判定する。操作がない場合、操作状況検出手段211は、処理をステップS201に進める。操作がある場合、操作状況検出手段211は、処理をステップS204に進める。
【0066】
[ステップS201]操作状況検出手段211が、画面駆動手段205を制御して、画面データ生成手段204が生成した係員操作用画面データを、画面制御手段206に出力させる。これにより、表示手段202に係員操作用画面データが表示される。
【0067】
[ステップS202]操作状況検出手段211が、操作を許可するかどうかを判定する。操作の許可の判定は、例えば、操作状況検出手段211が、入力手段201を介して係員を識別する識別信号を受信することで行われる。許可する場合、操作状況検出手段211は、処理をステップS203に進める。許可しない場合、操作状況検出手段211は、処理をステップS205に進める。なお、操作状況検出手段211は、操作の許可を、係員のアクセスレベルに応じて行うようにしてもよい。
【0068】
[ステップS203]処理実行手段210が、入力手段201から出力された入力信号に基づいて処理を実行し、一連の処理を終了する。
[ステップS204]操作状況検出手段211が、画面駆動手段205を制御して、画面データ生成手段204が生成した報知画面データを、画面制御手段206に出力させる。これにより、表示手段202に報知画面データが表示される。
【0069】
[ステップS205]操作状況検出手段211が、処理実行手段210による処理の実行を禁止して処理を終了する。これにより、自動取引装置100aによる操作が抑止される。
【0070】
以上の処理により、自動取引装置100aおよびモバイル係員端末300a,300bの間で、操作が重複してしまうことを抑制することができる。
また、自動取引装置100aによる操作があったときに、モバイル係員端末300a,300bによる操作が検出された場合、通信制御手段209が、モバイル係員端末300a,300bの接続を強制的に切断してもよい。
【0071】
また、自動取引装置100aによる操作があったときに、モバイル係員端末300a,300bによる操作が検出された場合、操作状況検出手段211が、係員操作用画面データを表示手段202に表示させ、操作については抑止するようにしてもよい。
【0072】
次に、モバイル係員端末300aによる操作手順について説明する。
図9は、第2の実施の形態に係るモバイル係員端末による操作手順の一例を示すフローチャートである。
【0073】
[ステップS300]係員が、モバイル係員端末300aの電源を投入する。
[ステップS301]モバイル係員端末300aが、自動取引装置100a〜100dのうち、デフォルトの装置に接続する。
【0074】
[ステップS302]モバイル係員端末300aが、セキュリティキー308により鍵や生体認証で操作の許可を行う。さらに、カードリーダライタ309によりICカードや磁気IDを読み込む、または生体認証装置312により生体情報を読み込むことにより、係員の認証を行う。
【0075】
[ステップS303]係員が、装置選択スイッチ307を押下し、接続先の自動取引装置を選択する。これにより、モバイル係員端末300aから選択された自動取引装置に、接続依頼信号が送信される。また、このとき、係員の識別信号も送信される。
【0076】
[ステップS304]モバイル係員端末300aが、接続先の自動取引装置から送信された画面データを受信し、受信した画面データをLCD304に表示する。
[ステップS305]LCD304に表示された画面データが、係員操作用画面データである場合、係員は、処理をステップS306に進める。LCD304に表示された画面データが、係員操作用画面データではない場合、すなわち、報知画面データである場合、係員は、所定時間待機した後、処理をステップS303に進める。
【0077】
[ステップS306]係員が、タッチパネル305を操作する。これにより、モバイル係員端末300aから接続先の自動取引装置に入力信号が送信され、保守作業が実施される。
【0078】
[ステップS307]保守作業が終了すると、係員は、モバイル係員端末300aの電源を切って処理を終了する。
次に、例として、自動取引装置100aによる操作が行われている間に、モバイル係員端末300aから自動取引装置100aに対して接続依頼があったときの、自動取引装置100aのLCD118およびモバイル係員端末300aのLCD304にそれぞれ表示される画面データについて説明する。
【0079】
図10は、第2の実施の形態に係る表示画面の一例を示す図である。
この場合、図10(A)に示すように、自動取引装置100aのLCD118に、係員操作用画面データが表示され、モバイル係員端末300aのLCD304に、報知画面データが表示される。
【0080】
次に、自動取引装置100aに対してモバイル係員端末300aによる操作が行われている間に、自動取引装置100aによる操作依頼があったときの、自動取引装置100aのLCD118およびモバイル係員端末300aのLCD304にそれぞれ表示される画面データについて説明する。
【0081】
この場合、図10(B)に示すように、自動取引装置100aのLCD118に、報知画面データが表示され、モバイル係員端末300aのLCD304に、係員操作用画面データが表示される。
【0082】
以上、説明したように、係員操作制御装置100aは、画面データ生成手段204が生成した係員操作用画面データを、モバイル係員端末300a,300bに送信する送信手段を有している。これにより、モバイル係員端末300a,300bでは、係員操作制御装置100aから送信された係員操作用画面データを表示手段に表示すればよいので、モバイル係員端末300a,300bにおいて係員操作用画面データを生成する必要がない。
【0083】
すなわち、係員操作用画面データを生成するためのアプリケーションソフトを必要としないため、例えば、自動取引装置100aの運用機能が増加した場合であっても、新たにアプリケーションソフトの開発を行う必要がない。また、種類が異なる自動取引装置が複数存在する場合でも、自動取引装置の種類毎にアプリケーションソフトの開発を行う必要もない。これにより、自動取引装置の保守作業に要する時間および開発コストを低減させることが可能となる。
【0084】
また、係員操作制御装置100aでは、モバイル係員端末300a,300bに送信される係員操作用画面データを、表示手段202に表示される係員操作用画面データを生成する画面データ生成手段204が生成しているので、モバイル係員端末300a,300bに送信される係員操作用画面データを生成するために、画面データ生成手段を新たに設ける必要がない。
【0085】
さらに、係員操作制御装置100aでは、モバイル係員端末300a,300bから受信した入力信号に基づく処理の実行を、入力手段201が生成した入力信号に基づいて処理を実行する処理実行手段210が行うので、モバイル係員端末300a,300bから受信した入力信号に基づく処理を実行するために、処理実行手段を新たに設ける必要がない。
【0086】
このため、係員操作制御装置100aは、従来の係員操作制御装置に対して、大規模な改造を施すことなく実現することができる。
【符号の説明】
【0087】
1,200a 係員操作制御装置
2,11,201 入力手段
3,204 画面データ生成手段
4,10,202 表示手段
5 送信手段
6 受信手段
7,210 処理実行手段
8 外部の端末
9 本体装置
20 無線LANルータ
21 無線LAN中継装置
22 店舗コーナ
23 LAN
24 事務所スペース
100a,100b,100c,100d 自動取引装置
101 制御部
102 回線制御部
103 顧客画面制御部
104 係員画面制御部
105 補助記憶部
106 HDD
107 光学ドライブ
108 カード読み取り印字部
109 レシート印字部
110 ジャーナル印字部
111 通帳印字部
112 紙幣入出金部
113 硬貨入出金部
114 顧客操作部
115,118,304 LCD
116,119,305 タッチパネル
117 係員操作部
120 電源
205 画面駆動手段
206 画面制御手段
207 LAN変換制御手段
208 LAN駆動手段
209 通信制御手段
211 操作状況検出手段
220,230,240 係員操作用画面データ
221,231 装置状態データ
222,232,242 保守データコマンド
223,243 休止データコマンド
224,234 係員処理コマンド
233,244 運用データコマンド
235 復旧処理コマンド
241 スケジュール設定データ
300a,300b モバイル係員端末
301 制御ボード
302 LCD表示部
303 USB−IF部
306 ネットワーク画像アダプタ
307 装置選択スイッチ
308 セキュリティキー
309 カードリーダライタ
310 バッテリ
311 外部電源ケーブル
312 生体認証装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作に基づいて入力信号を生成する入力手段と、
本体装置の保守作業に用いられる係員操作用画面データを生成する画面データ生成手段と、
前記画面データ生成手段が生成した係員操作用画面データを表示する表示手段と、
前記画面データ生成手段が生成した係員操作用画面データを、外部の端末に送信する送信手段と、
前記外部の端末において生成された入力信号を受信する受信手段と、
前記入力手段が生成した入力信号、および、前記受信手段が受信した入力信号に基づいて、前記本体装置の保守作業に関する処理を実行する処理実行手段と、
を有することを特徴とする係員操作制御装置。
【請求項2】
前記画面データ生成手段は、操作ができないことを報知する報知画面データを生成し、
前記表示手段は、前記画面データ生成手段が生成した報知画面データを表示し、
前記送信手段は、前記画面データ生成手段が生成した報知画面データを、前記外部の端末に送信することを特徴とする請求項1記載の係員操作制御装置。
【請求項3】
前記本体装置および前記外部の端末による操作を検出する操作状況検出手段を有し、
前記操作状況検出手段は、検出した操作状況に応じて、前記画面データ生成手段が生成した係員操作用画面データまたは報知画面データの一方を前記表示手段に表示させ、他方を前記送信手段により前記外部の端末に送信させることを特徴とする請求項2記載の係員操作制御装置。
【請求項4】
前記外部の端末のセキュリティキーが生体情報であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の係員操作制御装置。
【請求項5】
前記本体装置は、金融機関に設置される自動取引装置であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の係員操作制御装置。
【請求項6】
本体装置の保守作業に用いられる係員操作用画面データを生成し、
端末からの依頼に基づいて、生成した係員操作用画面データを、前記端末に送信し、
前記端末から受信した入力信号に基づいて、前記本体装置の保守作業に関する処理を実行する、
ことを特徴とする係員操作制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−32870(P2012−32870A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−169456(P2010−169456)
【出願日】平成22年7月28日(2010.7.28)
【出願人】(000237639)富士通フロンテック株式会社 (667)
【Fターム(参考)】