説明

係留ブイシステム、係留ブイ、および係留索の張力算出方法

【課題】簡易な構造で係留索の張力を求めることができ、かつメンテナンススパンを長く採ることができる係留ブイシステムを提供する。
【解決手段】海上に浮べた係留ブイ12と、陸上に設けられた監視室32、および係留ブイ12と船舶とを接続する係留索とを備える係留ブイシステムであって、係留ブイ12は、その傾きを検出する傾斜角度検出手段18と、検出された傾斜情報を監視室32へ送信するための無線通信手段14とを備え、監視室32は、係留ブイ12から送信された傾斜情報を受信する無線通信手段34と、取得した傾斜情報と、予め算出された係留ブイ12に負荷される浮力情報とに基づいて係留索に負荷される張力を算出し、算出された張力の値と予め定められた閾値とを比較して、張力の値が閾値よりも大きいか否かを判定する演算手段38と、張力の値が閾値よりも大きいと判定された場合に警報を発する警報手段とを備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、海上に設置した係留ブイに船舶を係留し、海底配管等を介して荷役を行うことを可能とした係留ブイシステムに係り、特に係留ブイと船舶との間を繋ぐ係留索に負荷される張力を求める技術に関する。
【背景技術】
【0002】
海上に停泊するタンカー等の大型船舶を係留ブイに係留すると共に、係留した船舶を岸壁等に近づけることなく積荷である原油等を陸上に建設した原油タンクなどへ荷役する技術が知られている。このような技術に用いられる係留ブイとしては、例えば特許文献1に開示されているようなものがある。特許文献1に開示されている係留ブイは、海底に配設された海底配管との間をホースにより接続する形態を採っている。
【0003】
このような技術において係留ブイに係留したタンカー等の船舶が風、波、および潮流などの影響を受けることにより流された際、係留ブイと船舶とを繋ぐ係留索に張力が負荷される。この張力は、所定の範囲内であれば問題は無いが、過度の張力が働いた際には係留ブイの転覆等が生ずる虞があると共に、荷役作業に支障が生ずる虞がある。このため、張力が所定値以上となった場合には、管理者に対して警告を発する、あるいは係留索を解除する等の策を講ずる必要がある。
【0004】
船舶を係留する係留索に負荷される張力を監視する技術に関しては、例えば特許文献2や特許文献3に開示されている。なお、特許文献2、3に開示されている技術は、多点係留における技術であるが、一点係留に応用することも可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−85684号公報
【特許文献2】特開2001−1980号公報
【特許文献3】特開平7−17464号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来、係留ブイに設けられている張力検出手段は、張力が負荷される部分の歪みを検出することによって張力を算出する歪みゲージなどであった。このため、張力検出手段は係留ブイにおける係留索の係合部付近に設けられる必要があった。係留ブイは海上に浮遊させられているため、その表面に配置される張力検出手段は、海水の影響を受け、劣化等が生じ易い。また、係留ブイは海上に浮遊しているため陸上構造物とは異なり、メンテナンス性が悪く、メンテナンスコストも高い。
【0007】
このため、メンテナンススパンの延長化や劣化の遅延を図るために防水性を高める構造を採った場合には、張力を検出するための装置が大掛かりなものとなってしまうといった問題が生ずる。
【0008】
そこで本発明では、簡易な構造で係留索の張力を求めることができ、かつメンテナンススパンを長く採ることができる係留ブイシステム、係留ブイ、および係留索に係る張力の算出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための本発明に係る係留ブイシステムは、海上に浮べた係留ブイと、陸上に設けられた監視室、および前記係留ブイと船舶とを接続する係留索とを備える係留ブイシステムであって、前記係留ブイは、垂直位置または水平位置を基準として当該係留ブイの傾きを検出する傾斜角度検出手段と、前記傾斜角度検出手段により検出された傾斜情報を前記監視室へ送信するための送信手段とを備え、前記監視室は、前記係留ブイから送信された傾斜情報を受信する受信手段と、前記受信手段により取得した前記傾斜情報と、予め算出された前記係留ブイに負荷される浮力情報とに基づいて前記係留索に負荷される張力を算出し、算出された張力の値と予め定められた閾値とを比較して、前記張力の値が前記閾値よりも大きいか否かを判定する演算手段と、前記演算手段により前記張力の値が前記閾値よりも大きいと判定された場合に警報を発する警報手段とを備えることを特徴とする。
【0010】
また、上記のような特徴を有する係留ブイシステムにおいて前記係留ブイは、固定用索を介して海底に固定された係留ベースに係留されており、前記張力の算出は、前記係留ブイに負荷される浮力Bと前記係留ブイの傾斜角度θの正接関数とを乗算し、乗算によって求められた値を2で除算する構成とすることができる。
このような構成とすることによれば、複雑な計算を行う必要や換算テーブル等を記憶する必要が無くなり、システムの簡易化を図ることができる。
【0011】
また、上記目的を達成するための本発明に係る係留ブイは、浮体と、前記浮体を海上に浮かべた際の垂直位置または水平位置を基準として当該浮体の傾きを検出する傾斜角度検出手段と、前記傾斜測定手段により検出された傾斜情報を外部へ出力する送信手段とを備えたことを特徴とする。
【0012】
さらに、上記目的を達成するための本発明に係る係留索の張力算出方法は、海上に浮べた係留ブイと船舶とを係留索で接続する係留工程と、前記係留ブイの水平位置または垂直位置を基準とした傾きを求める傾斜角度検出工程と、前記傾斜角度検出工程により検出された前記係留ブイの傾斜角度θと、予め算出された前記係留ブイに負荷される浮力Bとを演算手段に入力し、前記浮力Bと傾斜角度θの正接関数とを乗算し、乗算によって求められた値を2で除算することで前記係留索に負荷される張力Fを算出する張力算出工程とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
上記のような特徴を有する係留ブイシステムによれば、傾斜角度検出手段により係留ブイの傾斜角度を測るといった簡易な構造で、係留索に負荷される張力を求めることが可能となる。また、傾斜角度検出手段を用いた張力の算出は、歪みゲージのように係留索の係合箇所の歪みを直接検出する必要が無いため、係留ブイを構成するケーシング内部に配置することができる。これにより、計測機器としての役割を担う傾斜角度検出手段が海水に晒されることが無くなる。よって、塩害等による劣化を防止することができ、メンテナンススパンの長期化を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る係留索の張力測定方法を説明するためのブロック図である。
【図2】本発明に係る係留ブイシステムの全体構成を示す図である。
【図3】本発明に係る係留ブイシステムを構成する係留ブイと監視室の概要構成を示すブロック図である。
【図4】本発明に係る係留ブイシステムによる係留索の張力算出値と、従来の係留ブイによる張力検出値とを比較するためのグラフであって、係留ブイの傾斜角度と係留索の許容最大張力値比との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の係留ブイシステム、係留ブイ、および係留索の張力測定方法に係る実施の形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
本実施形態に係る係留ブイシステム10は図2に示すように、係留ブイ12と船舶22、および監視室32を基本として構成される。係留ブイ12は、図3に示すように、ケーシング13と傾斜角度検出手段18、無線通信手段14、および電源20を基本として構成される。ケーシング13は、係留ブイ12を構成する外郭であり、浮力を受けて海上に浮上可能な容器(浮体)として構成される。ケーシング13の寸法および形状は、係留対象とする船舶22の大きさにもよるが、例えばタンカー等を対象とする場合には、直径数m程度の円筒状とすれば良い。
【0016】
傾斜角度検出手段18は、いわゆるジャイロセンサと呼ばれるものであれば良く、その具体的構成については特に限定するものでは無い。本実施形態に用いる傾斜角度検出手段18は、係留索50による牽引方向に対する傾きを検出することができれば良い。よって、傾斜角度検出手段18をケーシング13の中心位置に配置する場合には、詳細を図示しない係留索係合部の配置方向に、ジャイロセンサの検出軸を向けるようにする。こうすることにより、係留索50による牽引方向に対する係留ブイ12の傾倒角度を検出することが可能となるからである。傾斜角度の検出は、垂直位置、または水平位置を基準としたものであれば良く、例えば図1に示す例では、傾斜角度について、垂直位置を基準としてθを検出する構成としている。なお、傾斜角度検出手段18は、係留索50による張力を直接検出するものでは無いため、上述したケーシング13の内部に配置することができる。これにより、海水に晒される虞が無く、塩害により機械的劣化が進むといった事も無い。
【0017】
無線通信手段14は、詳細を後述する監視室32に対して送信波により、検出した角度情報を変調して出力することのできる送信手段としての機能と、監視室から出力された信号を受信して復調する受信手段としての機能を有するものであれば良い。無線通信手段14は、少なくとも送受信のためのアンテナ16をケーシング13の外部に備えれば良く、無線通信手段14についてはケーシング13の内部に配置することができる。なお、アンテナ16についてはゴム等の樹脂によりコーティングすることで、電波の出力を可能としつつ海水の付着を防止することが可能となるため、無線通信手段14についても海水に晒される虞が無い。
【0018】
電源20は、少なくとも上述した傾斜角度検出手段18、および無線通信手段14に対して、各機器の機能を発揮するための電力を供給する手段である。電源20の具体的構成としては特に限定するものでは無いが、例えば波力発電と蓄電池を組み合わせたものなどであれば良い。このような構成とすることにより、メンテナンス期間の長期化と、電力の安定供給の両立を図ることが可能となるからである。
【0019】
また、係留ブイ12における係留索50を係合する係留部(不図示)には、図示しない係留解除手段が設けられ、無線通信手段14を介して入力される解除信号を受けて係留索50の係合状態を解除可能な構成としている。このような構成とすることで、係留索50に負荷される張力が危険状態に達した際、遠隔操作にて係留索50の係合を解除することが可能となる。
【0020】
係留ブイ12は、固定用鎖52等の索(固定用索)を介して、海底に配置された係留ベース24に係止されている。本実施形態に係るタンカー係留用に用いられる係留ブイ12の係留ベース24は、例えば海底配管26や立抗28などを介して、陸上に建てられた原油タンク30等と接続されている。係留ベース24には、海上に延設されるマリンホース54などを介して船舶から積荷である原油などが供給され、海底を介して原油タンク30へと搬送される。これにより、船舶22を岸壁に近付ける事無く積荷を陸上へ荷役すること、および陸上から船舶22へ荷役することが可能となる。
【0021】
船舶22については、その種類等を特に限定するものでは無い。例えば本実施形態のように、タンカーを対象とする場合には、船首に係留索50を係留可能な係留部(具体的には不図示)を備え、積荷である原油を貯蔵するタンクには、送油用のマリンホース54を接続可能な構成とすれば良い。
【0022】
監視室32には少なくとも、無線通信手段34と演算手段38、表示手段40、および入力手段42が備えられる。無線通信手段34は、上述した係留ブイ12に搭載された無線通信手段14により出力された送信波を受信し、これを復調して角度情報(傾斜角度θ)を得ることのできる受信手段としての機能、および詳細を後述する演算手段38を介して出力される情報を変調して送信波に重畳させて出力する送信手段としての機能を持つものであれば良い。監視室32に備えられる無線通信手段34も、係留ブイ12に搭載した無線通信手段14と同様に、少なくとも送受信のためのアンテナ36を備えるようにしている。
【0023】
演算手段38は、無線通信手段34によって得られた角度情報、および予め与えられている各種データ(例えば係留ブイ12に負荷される浮力情報)に基づいて、係留索50に負荷される張力Fを算出する役割を担う。演算手段38は、コンピュータであれば良い。また、演算手段38による張力Fの算出は、無線通信手段34によって得られた係留ブイ12の傾斜角度θと、予め算出された係留ブイ12に負荷される浮力Bに基づいて成される。具体的には、浮力Bと傾斜角度θの正接関数(tanθ)とを乗算し、乗算によって求められた値を2で除算するというものである。これを数式で示すと数式1のようになる。
【数1】

【0024】
これは、次のような原理に基づいた計算である。すなわち、係留ブイ12の傾斜角度をθとした場合において、係留ブイ12が浮き上がろうとする力(浮力)はBであることは、予め算出されている。このため、係留索50側に向けて引き付けられる力FはF=B×tanθと示すことができる。通常、この力(引き付けられる力F)は、力の吊り合いの関係上、反力Fと等しい。しかし、係留ブイ12は、海底に対してリジットに直接固定されている訳では無く、全体として可撓性を有する固定用鎖52等の索を介してフレキシブルに係止されている。このため、係留ブイ12は、その全体が係留索50による牽引方向に移動すると共に、海底側端部は固定用鎖52により引き戻される力Fを受けている。
【0025】
したがって係留ブイ12は、海上の係留索50と海底の固定用鎖52の双方から引張の力を受け、その中心点Oを基点として回転することとなる。よって、傾斜角度θに基づいてFとして示される力は実際には、係留索50に付加される張力Fと固定用鎖52に起因した引張力Fに対する反力Fとの合力であるといえる。
【0026】
係留ブイ12の傾倒は、係留ブイ12の長手方向中心位置(中心点O)を基点として生ずるため、固定用鎖52により引き戻される力Fは、反力Fの1/2に等しい。そして、実際に係留索50によって引き付けられる力(張力F)も反力Fの1/2に等しい値となる。よって、係留索50に負荷される張力Fは、F=F/2と示すことができる。なお、浮力Bは、係留ブイ12の没水部の容積Vに海水の密度ρを掛けた値から、係留ブイ12の質量Mを引き、この値に重力加速度Gを掛けることにより求めることができる。これを数式として示すと数式2のように示すことができる。
【数2】

ここで、係留ブイ12の没水部の容積Vについては、係留ブイ12の喫水を計測し、この喫水の値に基づいて没水部の容積を算出すれば良い。なお、係留索50に負荷される張力Fが係留ブイ12の許容最大張力となった場合には、係留ブイ12における殆どの部分が海水中に沈むこととなる。
【0027】
また、演算手段38は、計算によって算出された張力Fと、張力の閾値として予め定められた値Ftとを比較する。比較方法は、例えばFtからFを減算する方法であれば良く、この場合、計算結果が0よりも大きい場合にはFt>Fと判断し、計算結果が0よりも小さい場合にはFt<Fと判断する。そして計算結果が0の場合には、Ft=Fと判断する。ここで、閾値Ftは、係留ブイ12の転覆等の危険を招く虞のある張力であり、危険値として任意に定めるようにすれば良い。
【0028】
演算手段38には、ディスプレイ等の表示手段40や、図示しないスピーカといった警報手段が接続されている。表示手段40は、演算手段38による演算結果を監視作業者の視覚により認識することのできる状態で表示する。この際、演算手段38による張力Fと閾値Ftとの判定結果がFt<Fであった場合には、赤色で表示する等、警報手段として働くと共に、スピーカ等から警報音を発するようにすると良い。
【0029】
入力手段42は、表示手段40等の警報手段による警報を受けた際に、監視作業者が係留ブイ12に対する指示を入力するための手段である。例えば、監視作業者が係留索50を切り離す旨の支持を出力した場合には、演算手段38を介してその旨が送信波に重畳されて係留ブイ12に出力される。係留ブイ12を切り離す旨の情報が重畳された送信波を受けた係留ブイ12では、係留索50を係合する係留部(不図示)を解除する信号を出力し、係留ブイ12から係留索50を切り離す。
【0030】
このような構成とすることで、係留索50に負荷される張力が危険値(閾値)を越えた場合に、遠隔操作により係留ブイ12から係留索50を切り離すことができる。これにより、係留ブイ12の転覆や破損等の事態を避けることが可能となる。
【0031】
図4に、実施形態に係る係留ブイシステム10による傾斜角度θに基づく簡易式により算出された張力と、歪みゲージを用いて係留ブイが傾斜した際の張力を検出した張力(実験値)との比較を示す。図4からは第1に、実施形態による計算値の方が、実験値よりも高い張力値を示すことを読み取ることができる。また、第2に、実験値と簡易式による計算値との差は最大で、角度にして1度程度、張力にして4%程度であることも読み取ることができる。さらに、第3に、張力値が0(%)の時と、張力値が許容最大張力となった時においては、実験値と簡易式による計算値とが一致していることを読み取ることができる。
【0032】
これらの事より、本実施形態に係る係留ブイシステム10による張力の算出は、従来の歪みゲージを用いた張力の検出に比べても遜色無い精度を有するということができる。また、最も重要である許容最大張力の算出値では従来方式による検出値と一致するため、この算出値に基づいて係留索50の切り離し等の指示(制御)を行う事に問題が無い事も明らかである。
【0033】
上記のような構成の係留ブイシステム10によれば、係留索50に負荷される張力の検出を、傾斜角度検出手段18による傾斜角度θの検出といった簡易な構成で行うことが可能となる。また、係留索50の張力Fを検出するための要素である傾斜角度検出手段18を係留ブイ12におけるケーシング13の内部に配置することができる。このため、傾斜角度検出手段18が海水に晒される虞が無く劣化の促進を防ぐことができる。よって、メンテナンススパンを長く採ることができ、メンテナンスコストを抑制することもできる。
【符号の説明】
【0034】
10………係留ブイシステム、12………係留ブイ、13………ケーシング、14………無線通信手段、16………アンテナ、18………傾斜角度検出手段、20………電源、22………船舶、24………係留ベース、26………海底配管、28………立抗、30………原油タンク、32………監視室、34………無線通信手段、36………アンテナ、38………演算手段、40………表示手段、42………入力手段、50………係留索、52………固定用鎖、54………マリンホース。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
海上に浮べた係留ブイと、陸上に設けられた監視室、および前記係留ブイと船舶とを接続する係留索とを備える係留ブイシステムであって、
前記係留ブイは、垂直位置または水平位置を基準として当該係留ブイの傾きを検出する傾斜角度検出手段と、前記傾斜角度検出手段により検出された傾斜情報を前記監視室へ送信するための送信手段とを備え、
前記監視室は、前記係留ブイから送信された傾斜情報を受信する受信手段と、前記受信手段により取得した前記傾斜情報と、予め算出された前記係留ブイに負荷される浮力情報とに基づいて前記係留索に負荷される張力を算出し、算出された張力の値と予め定められた閾値とを比較して、前記張力の値が前記閾値よりも大きいか否かを判定する演算手段と、前記演算手段により前記張力の値が前記閾値よりも大きいと判定された場合に警報を発する警報手段とを備えることを特徴とする係留ブイシステム。
【請求項2】
前記係留ブイは、固定用索を介して海底に固定された係留ベースに係留されており、
前記張力の算出は、前記係留ブイに負荷される浮力Bと前記係留ブイの傾斜角度θの正接関数とを乗算し、乗算によって求められた値を2で除算する構成としたことを特徴とする請求項1に記載の係留ブイシステム。
【請求項3】
浮体と、
前記浮体を海上に浮かべた際の垂直位置または水平位置を基準として当該浮体の傾きを検出する傾斜角度検出手段と、
前記傾斜測定手段により検出された傾斜情報を外部へ出力する送信手段とを備えたことを特徴とする係留ブイ。
【請求項4】
海上に浮べた係留ブイと船舶とを係留索で接続する係留工程と、
前記係留ブイの水平位置または垂直位置を基準とした傾きを求める傾斜角度検出工程と、
前記傾斜角度検出工程により検出された前記係留ブイの傾斜角度θと、予め算出された前記係留ブイに負荷される浮力Bとを演算手段に入力し、前記浮力Bと傾斜角度θの正接関数とを乗算し、乗算によって求められた値を2で除算することで前記係留索に負荷される張力Fを算出する張力算出工程とを有することを特徴とする係留索の張力算出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−236445(P2012−236445A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−105207(P2011−105207)
【出願日】平成23年5月10日(2011.5.10)
【出願人】(000005902)三井造船株式会社 (1,723)