説明

保冷具

【課題】 冷却した保冷具を、乳幼児の口に含ませ舐めさせて、口内を冷却することができる保冷具を提供する。
【解決手段】 拡大部2を形成してなる保冷具1本体の、前記拡大部2のなかに空洞の収納部3を有して前記収納部3に蓄冷剤5を封入して、さらに把手部4を有したことを特徴とする保冷具1である。冷蔵庫や冷凍庫で冷却した保冷具1の前記把手部4を持って、冷却した前記拡大部2を口に含ませ舐めさせて、口内を冷却する保冷具1とすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷却した保冷具を口に含ませ舐めさせて、口内を冷却することに用いる保冷具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、軟質合成樹脂製の袋体内に、ゲル状蓄冷剤を充填してなる保冷具、例えばアイスノンを冷却しておいて、必要時に身体や物品の冷却に用いることは公知となっている。さらにポリビニルアルコール等のゲル状蓄冷剤に、エチレングリコール等の不凍性物質を混入してなる保冷具、例えばアイスノンソフトなどの凍結しないようにした保冷具は、氷まくら等の代替物として広く知られている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記の技術によれば、高熱による不機嫌や気だるさや食欲の減退等の症状を少しでも緩和するには、脳に近い額や口内などの身体の熱を、早く下げることであるが、乳幼児は、頭部を冷却しようとしてゲル状蓄冷剤を充填した保冷具やポリビニルアルコール等のゲル状蓄冷剤にエチレングリコール等の不凍性物質を混入して、凍結しないようにした保冷具を、皮膚の表面に接触しただけで嫌がって手で払いのけたり、また泣いたりして拒絶をするので、乳幼児の頭部を冷却することが難しいという問題があった。
【0004】
また、氷を口内に入れて舐めさせて早く冷却することは、乳幼児にとっては、氷で咽喉を詰まらせたり、飲み込んでしまう危険性があり、さらに氷の溶けた水滴や生水などを乳幼児に飲ませることは、衛生上安心できないという問題があった。
【0005】
そこでこの発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、乳幼児に保冷具を舐めさせて口内を冷却して、高熱による不機嫌や気だるさや食欲の減退等の症状を少しでも緩和して、短時間の使用でも疲労回復効果が得られて、衛生上安心して使用することができて、乳幼児に嫌がられない保冷具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の課題を解決するために、本発明の一態様による保冷具は、拡大部を形成してなる保冷具本体の、前記拡大部のなかに空洞の収納部を有して、空洞の前記収納部に蓄冷剤を封入して、把手部を有したことを特徴とする保冷具により達成される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、冷蔵庫や冷凍庫で冷却した本発明の保冷具の把手部を持って、冷却された拡大部を発熱している乳幼児の口に接触すると、乳幼児は熱があるために冷たいものを欲しがって、冷やされた前期拡大部を自ら舐めてくるのであり、嫌がって手で払いのけたり泣かれたりする拒絶反応はなくなり、簡単に口内を冷却することができて、高熱による不機嫌や気だるさや食欲の減退等の症状を緩和することができる保冷具を提供することができる。
【0008】
本発明によれば、収納部に蓄冷剤を封入して、保冷具の材料で密封されているので、蓄冷剤が保冷具本体から漏れ出ることがないので、衛生上安心して使用できる。
【0009】
本発明によれば、把手部を有する保冷具とすることにより、保冷具の拡大部を口に含ませたり舐めさせたりする操作が簡単にできる。
【0010】
本発明によれば、冷却された保冷具を、舐めはじめて20秒後には、口内の皮膚の表面の温度が、使用前の温度よりも5度〜8度以下にすることができ、乳幼児の気分を良くして安らぎを与えることができて、短時間の使用でも疲労回復効果が得られる。
【0011】
請求項2記載の発明の効果であるが、蓄冷剤を収納袋に封入して収納部に封入してあるので、保冷具の材料による壁と収納袋の材料による壁との二重の防壁となり、蓄冷剤が保冷具本体から漏れ出ることがなくなり、衛生上安心して使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の保冷具1の実施例を説明する。
【実施例1】
【0013】
図1は、本発明の実施例1の保冷具1を示す斜視図であり、図2は図1の保冷具1の正面図で、図3は図1の保冷具1の収納部3に、蓄冷剤5を封入していないところを側面から見た断面図で、図4は図1の保冷具1の前記収納部3に、前記蓄冷剤5を封入した保冷具1のA−A線断面図で、図5は図1の保冷具1のB−B線断面図である。
【0014】
図1に示すように、実施例1の保冷具1は、前記拡大部2を形成してなる前記保冷具1本体の、前記拡大部2のなかに空洞の前記収納部3を有しており、前記収納部3の空洞に前記蓄冷剤5を封入して、把手部4を有して構成されている。前記保冷具1は、冷蔵庫や冷凍庫で冷却することにより、前記収納部3に封入した前記蓄冷剤5が冷却されて、充分に被冷却物を冷却する能力を有するように構成されている。
【0015】
前記収納部3に封入される前記蓄冷剤5として、従来から数多くの蓄冷剤5が提供されている。冷凍庫や冷蔵庫であらかじめ冷却しておいて、必要時に種々な物や人体を冷やすときに保冷効果を示すものであれば特に制限されず限定されることもなく、柔軟性蓄冷剤やゲル状の蓄冷剤いずれを選択しても良い。保冷効果が高くて持続性に優れるものを選択して前記収納部3に封入して使用すれば良い。
【0016】
使用者は、前記蓄冷剤5に対して十分な冷却がなされると、冷蔵庫か冷凍庫から保冷具1を取り出して、前記拡大部2を乳幼児の口に含ませたり舐めさせたりして冷やすのである。
【0017】
図1及び図2、図3、図4、図5に示すように、前記保冷具1を形成する材料としては封入された前記蓄冷剤5が、前記保冷具1本体から漏れ出なければ特に制限されるものではない。ステンレスやアルミ等の金属やゴムや合成ゴムまたは合成樹脂に限るものではなく、金属や合成ゴムや合成樹脂の複合構成であっても何ら問題なく同様の効果が得られるものである。これらのなかから低温下での強度に優れ、さらに柔軟性をも備えている特性を発揮するものを適宜に選択すれば良く、なかでも前記蓄冷剤5を封入して密封するのに優れて、安価で成形しやすく劣化し難い合成樹脂が好ましい。
【0018】
また、前記保冷具1は、乳幼児が口に含んだり舐めたりする前記拡大部2と、使用者が掴む前記把手部4とを有しており、前記拡大部2は乳幼児が口に含んだり舐めたりした時に不快感がないように、断面形状がおよそ円形状や楕円形状または長方形で角に丸みを設けて口あたりが良い形状としている。前記把手部4は前記保冷具1を使いやすいように前記拡大部2の方向が定まるよう、断面形状がおよそ円形状や楕円形状または長方形で角に丸みを設けている。
【0019】
また前記保冷具1の厚みについては、厚すぎると蓄冷された保冷効果を引き出すことが難しくなり、薄すぎると乳幼児が噛んだりして前記保冷具1が傷ついて前記蓄冷剤5が漏れ出る危険性があることから、0.3mm〜5mmが好ましく、0.4mm〜3mmがより好ましく、0.5mm〜2mmが更に好ましい。
【0020】
前記保冷具1の前記拡大部2の大きさについては、大きくしすぎると乳幼児が口にして舐めることが難しくなり、小さくしすぎると保冷効果が小さくなることから、厚さ3mm〜50mm、長さ10mm〜200mm、幅10mm〜100mmとするのが好ましく、厚さ8mm〜30mm、長さ30mm〜150mm、幅20mm〜90mmとするのがより好ましく、厚さ10mm〜25mm、長さ60mm〜130mm、幅30mm〜70mmとするのが更に好ましい。前記把手部4の大きさは、厚さ1mm〜20mm、長さ5mm〜200mm、幅3mm〜100mmとするのが好ましく、厚さ2mm〜15mm、長さ20mm〜80mm、幅5mm〜20mmとするのが更に好ましい。
【実施例2】
【0021】
図6は、本発明の実施例2に係る保冷具1を示す断面図である。図7は収納袋6に前記蓄冷剤5を封入した断面図である。前記拡大部2を形成してなる前記保冷具1本体の、前記拡大部2のなかに空洞の前記収納部3を有して、図7に示してある前期蓄冷剤5を封入した前記収納袋6を、前記拡大部2のなかにある前記収納部3の空洞に封入して、前記把手部4を有した保冷具1である。前記蓄冷剤5を封入した前記収納袋6の構成以外は、実施例1の保冷具1と同様である。
【0022】
前記収納袋6を形成する材料としては、特に制限されず例えば、ゴムや合成ゴムや合成樹脂等が挙げられる。即ち本発明の前記保冷具1において、前記収納袋6の形成材料及び大きさは特に制限されず、ゴムや合成ゴムや合成樹脂の形成材料の中から、低温下での強度に優れ、さらに柔軟性をも備えている特性を発揮するものを適宜に選択すれば良く、さらに前記蓄冷剤5を封入して密封するのに優れて、劣化し難い合成樹脂が好ましい。
【0023】
すなわちこの前記収納袋6を用いると、材料の厚みが加わって壁となって、なお丈夫になり前記収納袋6の材料の壁と前記保冷具1の材料の壁との二重となり、乳幼児が噛んでも前記蓄冷剤5が前記保冷具1から漏れ出ないので安心して使用することができる。
【0024】
また前期収納袋6の厚みについては、厚すぎると蓄冷された保冷効果が低下する一方、薄すぎると低温下での強度が弱くなるので、0.2mm〜5mmが好ましく、0.3mm〜3mmがより好ましく、0.5mm〜2mmが更に好ましい。
【0025】
また図示しないが、前記収納袋6の内部に隔壁を設けて、二室に分割した構造等にして前記蓄冷剤5の代わりに瞬間冷却剤(二種以上の物質を混合した際に発生する吸熱を利用した冷却剤)を用いて、二種類の物質をそれぞれ二室に分けて充填して、外的な圧力で隔壁が容易に壊れ、二種の物質が混合した際に発生する吸熱を利用した保冷具1としても良い。
【0026】
なお、本発明の保冷具1の用途は、乳幼児に限るものではなく、子供はもちろん老人や病人又は動物に使用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】 本発明に係る保冷具1の第1実施形態を示す斜視図である。
【図2】 図1の保冷具1の正面図である。
【図3】 図1の保冷具1の収納部3に、蓄冷剤5を封入していないところを側面から見た断面図である。
【図4】 図1の保冷具1の収納部3に、蓄冷剤5を封入したA−A線断面図である。
【図5】 図1の保冷具1のB−B線断面図である。
【図6】 本発明に係る保冷具1の第2実施形態を示す断面図である。
【図7】 収納袋6に蓄冷剤5を封入した断面図である。
【符号の説明】
【0028】
1 保冷具
2 拡大部
3 収納部
4 把手部
5 蓄冷剤
6 収納袋

【特許請求の範囲】
【請求項1】
拡大部を形成してなる保冷具本体の、前記拡大部のなかに空洞の収納部を有して、前記収納部に蓄冷剤を封入して、把手部を有したことを特徴とする保冷具。
【請求項2】
前記蓄冷剤を収納袋に封入して、その前記蓄冷剤が封入された前記収納袋を、前記収納部に封入したことを特徴とする請求項1記載の保冷具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−136639(P2009−136639A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−341652(P2007−341652)
【出願日】平成19年12月5日(2007.12.5)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.アイスノン
【出願人】(597076336)
【Fターム(参考)】