説明

保冷具

【課題】
水に浸すだけで自然に湾曲形状を得ることができる保冷具を提供する。
【解決手段】
可撓性を備え、少なくとも部分的に透水性を備えた袋体1と、袋体内部に密閉された、吸水により膨張する吸水材4と、からなる保冷具であって、袋体1は、伸び率の異なる複数の部分2、3から形成されており、前記保冷具は、吸水により袋体1の内部で膨張した吸水材4から当該袋体に作用する内圧により、前記複数の部分2、3が当該部分の伸び率の違いに応じて伸びることによって変形するように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、身体を冷やすために用いる保冷具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
吸水性ポリマーに吸水された水分が気化する際の吸熱作用を用いた保冷具ないし冷却具は公知であり、例えば、特許文献1〜5に記載されている。このような保冷具を用いる際の冷却効果を向上ないし維持させるべく、吸水性ポリマーを凍結させて使用する場合がある。
【0003】
吸水性ポリマーが長尺状の袋体に密閉されている場合、吸水により内部のポリマーが膨張して膨らんだ状態の袋体を冷凍すると、バー状ないし板状に凍結した袋体が得られる。身体の殆どの部位は曲面から形成されているため、保冷具を身体の所望部位に接触させて装着するためには、保冷具が装着される身体部位の曲面に沿うように凍結した袋体を変形させる必要がある。
【0004】
しかしながら、凍結した袋体を無理に曲げようとすると袋体が破れてしまうおそれがあることから、凍結した袋体を任意の湾曲状に自由に折り曲げることはできず、無理に曲げたとしてもせいぜい折れ線状のU字形状が得られるに過ぎない。したがって、凍結した袋体を折り曲げて、首部のように曲率が大きい部位にフィットするような湾曲を得ることは困難であり、装着時のフィット感・着け心地が悪くなっていた。
【0005】
長尺状の袋体を予め湾曲させた状態で冷凍させようとしても、吸水して膨張した吸水性ポリマーの内圧により膨らんだ袋体が直線状態を維持しようとする傾向があり、所望の湾曲形状が得られる保証はない。長尺状の袋体を湾曲させ、湾曲状態を維持するような型にはめて凍結させることも考えられるが、手間を要するのみならず、袋体を形成する繊維に無理なストレスが作用して、袋体の破れを誘引するおそれがある。また、凍結時に湾曲形状が得られたとしても、装着している間に凍結した袋体が融けてくると、湾曲状の袋体が直線状態に戻るように変形し、やはり、装着時のフィット感・着け心地が悪くなる。
【特許文献1】特開2000−328318
【特許文献2】特開2010−106416
【特許文献3】特開2010−156091
【特許文献4】実用新案登録第3016580号
【特許文献5】実用新案登録第3019831号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記従来の問題点に鑑み創案されたものであって、水に浸すだけで自然に湾曲形状を得ることができる保冷具を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明が採用した技術手段は、
可撓性を備え、少なくとも部分的に透水性を備えた袋体と、
前記袋体内部に密閉された、吸水により膨張する吸水材と、からなる保冷具であって、
前記袋体は、伸び率の異なる複数の部分から形成されており、
前記保冷具は、吸水により前記袋体の内部で膨張した吸水材から当該袋体に作用する内圧により、前記複数の部分が当該部分の伸び率の違いに応じて伸びることによって変形するように構成されている、保冷具、である。
【0008】
生地の伸び率(伸縮性)は、生地の素材(繊維の種類等)、生地の構造(織物、編物、不織布等)等によって決定される。
袋体を形成する複数の部分の生地の素材および/あるいは構造を選択することで、袋体を互いに伸び率の異なる複数の部分から形成することができる。例えば、一般に、ニット(編物)が布帛(織物)よりも伸び率が大きいことは当業者に知られている。
袋体を形成する生地としては様々なものが用いられ得るが、多くの生地の伸び率(伸縮率)は当業者に既知である。
また、生地において伸びやすい方向・伸びにくい方向があることも当業者に知られており、生地(繊維)において、縦目、横目、斜め目(バイアス)があり、これらの方向間で伸び率が異なり得る。一般に用いられるようなニット生地や布帛生地において、縦目方向、横目方向、バイアス方向の伸び率は、当業者において既知である。同じ生地であっても、袋体上の部分毎に生地の配向を異ならしめることで、袋体上のある一定の方向における各部分の伸び率が異なることになる。袋体における各部分の生地(繊維)の配向を異ならしめることで、当該部分の伸び率の違いに応じて袋体を変形させてもよい。
【0009】
吸水により袋体の内部で膨張した吸水材から当該袋体に作用する内圧は、袋体の内部の容積、吸水材の膨張率及び量、によって決定される。袋体の内部の容積、吸水材の膨張率及び量は、袋体の膨らみの程度、袋体の湾曲の程度を決定する要因(選択する生地も要因の1つとなり得る)である。例えば、袋体の構成(容積も含む)が同一で吸水材の種類も同一の場合、吸水材の量を増やせば、それだけ袋体の膨らみも大きくなり、内圧も大きくなる。
1つの態様では、前記吸水材は、吸水樹脂であり、後述する実施形態では吸水ポリマーを用いている。
1つの態様では、前記吸水材は、吸水樹脂と高吸水繊維を組み合わせてなる。袋体内には、吸水樹脂と高吸水繊維とからなる吸水性要素が、吸水樹脂と高吸水繊維とが少なくとも部分的に接触した状態で封入されており、
前記吸水樹脂は、第1の吸水率、第1の膨張率を備え、前記高吸水繊維は、第1の吸水率よりも低い第2の吸水率、第1の膨張率よりも低い第2の膨張率を備えている。
吸水性要素を封入した袋体を水に浸して、前記高吸水繊維が保水飽和状態で、前記吸水樹脂が非保水飽和状態として用いることで、吸水樹脂の分量を少なくすることで袋体の膨張を抑制しつつ袋体の表面の濡れを維持する。
1つの態様では、前記高吸水繊維は板状であり、前記吸水樹脂は粒状であり、前記粒状の吸水樹脂は、前記板状の高吸水繊維の表面に接触した状態で前記前記透水性袋体内に封入される。
【0010】
1つの態様では、前記袋体は、第1部分及び第2部分を備えた長尺部材であり、前記第1部分、前記第2部分は、前記吸水材を挟むように対向しており、
当該袋体の長さ方向に沿って、前記第1部分は、前記第2部分よりも大きい伸び率を備えており、
前記袋体は、前記第1部分と前記第2部分の長さ方向に沿った伸び率の違いにより、前記内圧により前記袋体が膨張しながら湾曲することで、前記保冷具が湾曲状に変形する。
【0011】
1つの態様では、前記第1部分は、当該第1部分を形成する生地の伸び易い方向が長手方向に一致するように形成されており、
前記第2部分は、当該第2部分を形成する生地の伸び難い方向が長さ方向に一致するように形成されている。
【0012】
1つの態様では、前記第1部分を形成する生地はニットであり、第2部分を形成する生地は布帛である。
ニットとしては綿ニット、布帛としてはポリエステル布帛が例示されるが、他の繊維を用いてもよい。
【0013】
前記第1部分を形成する生地と前記第2部分を形成する生地は、同じ生地であってもよい。例えば、ある生地において第1の方向の伸び率が110%、第2の方向の伸び率が101%だとすると、第1部分においては、当該生地の第1の方向を長さ方向に合わせ、第2部分においては、当該生地の第2の方向を長さ方向に合わせることで、袋体の長さ方向に沿って、前記第1部分は、前記第2部分よりも大きい伸び率を備えることになる。
【0014】
1つの態様では、本発明は、上記保冷具を着脱可能に収容する可撓性外装体を備え、当該外装体を介して身体に装着される、身体冷却用装着具として提供される。
外装体は、保冷具を収容する専用の布製外装体でもよく、あるいは、タオル等の布体であってもよい。
1つの態様では、上記保冷具自体が身体冷却用装着具であり、保冷具を直接身体に装着してもよい。
【0015】
本発明に係る保冷具は、具体的な態様では、首、頭部、額、肩、腕、手首、脚、膝、足首、などの曲面部位に装着して使用することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明では、保冷具を水に浸すだけで、吸水材の膨張に伴って保冷具が自然に変形するため、予め吸水時に所望の変形が得られるように袋体を形成しておけば、保冷具が自然に変形し、変形した状態で凍結させることができる。また、保冷具は、吸水した状態で自然に湾曲形状が得られるので、湾曲状の保冷具が凍結状態から融けたとしても、そのまま湾曲形状が維持される。
【0017】
袋体が、第1部分及び第2部分を備えた長尺部材であり、前記第1部分、前記第2部分は、前記吸水材を挟むように対向しており、当該袋体の長さ方向に沿って、前記第1部分は、前記第2部分よりも大きい伸び率を備えているものでは、吸水材の膨張に伴って保冷具が自然に湾曲するため、予め吸水時に所望の湾曲形状が得られるように袋体を形成しておけば、手間をかけることなく保冷具が自然に湾曲し、湾曲変形した状態で凍結させることができる。
【0018】
曲がった状態で凍結した保冷具の湾曲の程度を調整することもあり得るが、直線状に凍結した状態のものを曲げるよりは、曲がった状態で冷凍したものの湾曲の程度を調整した方が容易であり、また、そのほうが袋体の生地に負担がかかり難い。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】未吸水状態の保冷具の上面図、下面図、側面図である。
【図2】未吸水状態の保冷具の断面図である。
【図3】吸水状態の保冷具を示す図である。
【図4】吸水状態の保冷具を凍結した状態を示す図である。
【図5】吸水状態の保冷具の断面図である。
【図6】保冷具を出し入れ可能に収納する外装体の概略図である。
【図7】他の実施形態に係る保冷具を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
保冷具は長尺状の袋体1と、袋体1内に収容された粒状の高吸水性ポリマーと、からなる。図1は、高吸水性ポリマーが未吸水状態での保冷具を示す。袋体1は、袋体の一側の面部を形成する長尺の第1部分2と、袋体の他側の面部を形成する長尺の第2部分3と、を備えた長尺部材である。対向する第1部分2と第2部分3と間には高吸水性ポリマー4が介在している。図1、図2に示すように、高吸水性ポリマー4が未吸水状態では、袋体は、扁平状の形態を有しており、第1部分2と第2部分3は近接対向している。
【0021】
1つの態様では、第1部分2を形成する生地はニット(例えばコットンのニット)であり、第2部分を形成する生地は布帛(例えばポリエステルの布帛)である。第1部分2のニットの内側にはウレタン樹脂のコーティング(図示せず)が施されており、高吸水性ポリマーの漏れを防いでいる。第2部分3のポリエステルが透水性を備え、第2側部分3のポリエステルを透過して内部に浸入した水分を高吸水性ポリマーが吸水して膨張するようになっている。
【0022】
第1部分2と第2部分3は略同じ形状を有しており、第1部分2と第2部分3との間に高吸水性ポリマー4を設け、両者の面部の周縁同士を周縁部5を形成するように縫着して高吸水性ポリマー4を内部に密閉している。さらに、面部同士を、幅方向の中央において長さ方向に縫着6することで、袋体1の内部空間を長さ方向に分割している。長尺状の第1部分2は、細幅の半部20、21に区切られ、長尺状の第2部分3は、細幅の半部30、31に区切られる。袋体1の内部空間は、半部20、30間の第1空間と、半部21、31間の第2空間と、に区画される。袋体1を水に浸すと、第1空間の高吸水性ポリマー4、第2空間の高吸水性ポリマー4がそれぞれ吸水により膨張して、半部20、30、21、31に内側から内圧を作用させ、袋体1が図5に示す断面図のように膨らむ。中央の縫着部6には適宜、糸の解れを防止するテープ60やプリント61を設けてもよい。縫着に用いられる糸も袋体1の膨張に耐え得る程度の伸縮性を備えていることが望ましい。
【0023】
袋体1の幅方向中間部位において、当該袋体1の長さ方向に亘って第1側部分2と第2側部分3とを表糸(上糸)と裏糸(下糸)を用いて縫着してなるが、表糸と裏糸のテンションを異ならしめることで、第1部分2と第2部分3の長さ方向に沿った伸びを制御してもよい。例えば、第1部分側に表糸、第2部分側に裏糸、が位置し、表糸のテンションを裏糸のテンションよりも緩くしてもよい。
【0024】
本実施形態では、高吸水性ポリマー4は、ポリアクリル酸ナトリウム系の高吸水性ポリマーであるが、高い水分保持機能を有し、吸水により膨張して体積が増える樹脂であれば、他の高吸水性ポリマーを用いてもよい。袋体1を水に浸すことで、袋体1の生地(本実施形態では、第2側部分3のポリエステル)を介して内部の吸水ポリマーが吸水して膨張し、袋体1の内面、すなわち、第1部分2の内面、第2部分3の内面に、これらを伸ばすように内圧が作用する。
【0025】
第1部分2と第2部分3は、長さ方向に沿った伸び率が異なる。第1部分2と第2部分3とは、周縁同士が連結されており、第1部分2の長さ方向に沿った伸び率は、第2部分3の長さ方向に沿った伸び率よりも大きく、内圧により、第1部分2が第2部分3よりも長さ方向に大きく伸びるため、袋体1が膨張しながら湾曲して、湾曲状に変形した保冷具が得られる。
【0026】
本実施形態では、第1部分2を形成する生地はコットンのニットであり、第2部分3を形成する生地はポリエステルの布帛である。1つの態様では、実施形態に係るコットンのニットの伸び率は、横目方向120%、バイアス方向115%、縦目方向110%であり、ポリエステル布帛の伸び率は、横目方向101%、バイアス方向112%、縦目方向101%である。
【0027】
第1部分2において、コットンのニットの横目方向(伸び易い方向)が第1部分2の長さ方向に一致するように、第1部分2を形成するコットンのニットが裁断される。
【0028】
第2部分3において、ポリエステル布帛のバイアス方向(伸び易い方向)が第2部分3の幅方向に一致するように、第2部分3を形成するポリエステル布帛が裁断される。すなわち、ポリエステル布帛の横目方向あるいは縦目方向(伸び難い方向)が第2部分3の長さ方向に一致するように、第2部分3を形成するポリエステル布帛が裁断される。
【0029】
本実施形態では、結果として、長さ方向において、第1部分2の伸び率は120%であるのに対して、第2部分3の伸び率は101%となる。このような、第1部分2と第2部分3の長さ方向に沿った伸び率の違いにより、保冷具を水中に浸すことで、内部の高吸水性ポリマー4が膨張して、水分を多量に含んで膨張した状態に変姿し、吸水して膨張する高吸水性ポリマー4の内圧により袋体1が膨張しながら湾曲することで、図3に示すように、保冷具が略360度まで自然に湾曲変形する。
【0030】
図4は、吸水により湾曲変形した保冷具の含水凍結状態を示す。図4では、保冷具が略360度まで湾曲して長さ方向端部同士が重なって閉鎖状となっているが、この状態から端部を離間させるように湾曲した保冷具を拡開させて、湾曲度合いを調整することができる。このような調整は、従来のように棒状に凍結した袋体を湾曲させる場合に比べて容易に行うことができる。また、略360度まで湾曲した状態の径を選択することで(袋体の長さを選択することによって湾曲した時の径を決定することができる)、閉鎖状に湾曲した保冷具の開口に腕や足を通して、腕や足に保冷具を装着することもできる。
【0031】
吸水により自然に得られる湾曲の程度・度合いは、長さ方向における、第1側部分2の伸び率、第2側部分3の伸び率の組み合わせ(伸び率の違い)の選択、内圧の大きさの調整(袋体1の容積に対する膨張時のポリマーの全体積、袋体1の容積、ポリマーの種類が同じであれば、ポリマーの量)、により調整し得る。図3、4では、吸水して膨張することにより自然に略360度まで湾曲した袋体を示したが、吸水による袋体の自然な湾曲の程度は、調整可能であり、装着部位の曲面に適合するように適当な弧状(例えば、180度、200度、270度等)を選択することが可能である。
【0032】
保冷具1は、そのまま身体に装着することもできるが、1つの態様では、外装体7に保冷具1を収納した身体冷却用装着具として身体に装着される。外装体7は、例えば、木綿生地、タオル生地、メッシュ生地等の生地から形成された布製部材である。外装体7は、長尺の第1面部70と、長尺の第2面部71と、を備えた長尺部材であり、長尺の第1面部70と、長尺の第2面部71との間に長さ方向に延びる袋体1(保冷具)の収容部72が形成されている。外装体7には、収容部72に対して袋体1(保冷具)を出し入れするための開口73が形成されている。吸水して膨らんで湾曲状に変形した袋体1(保冷具)を出し入れ可能であれば、開口を設ける位置は限定されない。1つの態様では、第1面部70と、第2面部71は、同形状の2枚の布地の周縁同士を重ねて縫着することで形成されるが、略長方形状の布を長手方向に折り重ねた時のそれぞれの半部から、第1面部70と、第2面部71を形成してもよい。
【0033】
外装体7の長さ方向の一方の端部において、第1面部70上に面ファスナー700が形成されており、他方の端部において、第2面部71上に面ファスナー710が形成されている。高吸水性ポリマー4が充填された袋体1は、吸水し膨張・湾曲させた状態で、望ましくは、冷蔵ないし冷凍後に、外装体7の収容部72内に収容される。布製身体冷却用装着具は、例えば、首に巻き付けた状態で、面ファスナー700、710同士を接合することで、首部に装着される。
【0034】
図示の態様では、首に装着する保冷具を示したが、例えば、幅広の袋体かなる保冷具を用意して、肩や膝に装着するようにしてもよい。図示の態様では、幅方向の中央において長さ方向に縫着することで袋体を長さ方向に沿って2つに分割したが、幅広の袋体を幅方向の複数箇所で長さ方向に縫着することで袋体を長さ方向に沿って3つ以上に分割してもよい。
【0035】
図7に他の実施形態に係る保冷具を示す。図7(A)は1段の保冷具を示し、図7(B)は1段の保冷具を接続してなる2段の保冷具を示している。図7において、吸水材は、吸水樹脂40と高吸水繊維41を組み合わせてなる。袋体1内には、長尺板状の高吸水繊維41と、高吸水繊維41の表面に接触ないし付着させた粒状の吸水樹脂40と、からなる吸水材が封入されている。吸水樹脂40は、第1の吸水率、第1の膨張率を備え、高吸水繊維41は、第1の吸水率よりも低い第2の吸水率、第1の膨張率よりも低い第2の膨張率を備えている。高吸水繊維41は、吸水樹脂40に比べて保水能力は低いが、膨張率は低く、吸水しても板厚は大きくは増加しない。量を低減させた吸水樹脂40と高吸水繊維との組み合わせを用いることで、袋体1を水に浸して、高吸水繊維40が保水飽和状態で、吸水樹脂41が非保水飽和状態として用いることで、吸水樹脂の分量を低減して袋体1の膨張を抑制しつつ袋体1の表面の濡れを維持する。吸水樹脂の量と高吸水繊維の量を適宜選択することで、吸水時の袋体1の厚さをコントロールすることができる。
【符号の説明】
【0036】
1 袋体
2 第1部分
3 第2部分
4 吸水ポリマー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性を備え、少なくとも部分的に透水性を備えた袋体と、
前記袋体内部に密閉された、吸水により膨張する吸水材と、からなる保冷具であって、
前記袋体は、伸び率の異なる複数の部分から形成されており、
前記保冷具は、吸水により前記袋体の内部で膨張した吸水材から当該袋体に作用する内圧により、前記複数の部分が当該部分の伸び率の違いに応じて伸びることによって変形するように構成されている、
保冷具。
【請求項2】
前記袋体は、第1部分及び第2部分を備えた長尺部材であり、前記第1部分、前記第2部分は、前記吸水材を挟むように対向しており、
当該袋体の長さ方向に沿って、前記第1部分は、前記第2部分よりも大きい伸び率を備えており、
前記袋体は、前記第1部分と前記第2部分の長さ方向に沿った伸び率の違いにより、前記内圧により前記袋体が膨張しながら湾曲することで、前記保冷具が湾曲状に変形する、
請求項1に記載の保冷具。
【請求項3】
前記第1部分は、当該第1部分を形成する生地の伸び易い方向が長手方向に一致するように形成されており、
前記第2部分は、当該第2部分を形成する生地の伸び難い方向が長さ方向に一致するように形成されている、請求項2に記載の保冷具。
【請求項4】
前記第1部分を形成する生地はニットであり、第2部分を形成する生地は布帛である、請求項2、3いずれか1項に記載の保冷具。
【請求項5】
請求項1〜4いずれか1項に記載の保冷具を出し入れ可能に収容する可撓性外装体を備え、
当該外装体を介して身体に装着される、身体冷却用装着具。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2013−81767(P2013−81767A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−208986(P2012−208986)
【出願日】平成24年9月21日(2012.9.21)
【出願人】(599000832)有限会社 有美 (3)
【Fターム(参考)】