説明

保守管理間隔を決定する方法及びそのための装置

本発明による方法は、インジケータ要素(33)が排出用開口部の上方、即ち、小便器のバルブ(9)の上方に配されており、該インジケータ要素は、使用毎に多少分解され、所定回数使用した後にその色を変化させる。色の変化は、バルブ(17)の交換の時期であるということを保守管理者に警告するインジケータである。同時に、洗浄剤及び生物学的に分解可能な物質を該インジケータ要素(33)に加えることもできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の主題は、請求項1によれば、衛生器具の使用に基づいて摩耗部品並びに/または封水及び/もしくは芳香剤及び洗浄剤を交換する時点を決定する方法に関する。本発明の主題は、更に、請求項4の前文によれば、該方法を実行するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、無水小便器などの衛生器具で、不快な臭気を防ぐために、適当な時点でサイホン部分の封水及び/または摩耗部品を交換することが必要である。今日、この交換は、裁量に任せてまたは不快なにおいの広がりを受けてもしくは固定した周期で行われている。しかしながら、全ての基準は、信頼することができないし意味もない。なぜなら、特に、大規模なトイレ設備では、複数の男性用小便器は、互いに隣り合って配されており、知得したところによれば、全ての小便器が同じように頻繁に使用されるとは限らないからである。このため、臭気の広がりに関して、小便器または複数の小便器のうちのどれが不快な臭気を放っているかがわからなかった。一方で、使用されることの少ない小便器に関して、本質的にまだ壊れていないバルブ部分及びサイホン部分を時期尚早に交換することは意味がない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2004/059198号明細書
【特許文献2】PCT国際出願国際公開第WO1999/57382号明細書
【特許文献3】スイス国特許第CH690917号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、衛生器具の使用に基づいて摩耗部品並びに/または封水及び/もしくは芳香剤及び洗浄剤を交換する時点を決定する方法を提供しかつ該方法を実行する装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
これらの目的は、請求項1の特徴による方法及び請求項4の特徴による装置によって実現される。本発明の有利なデザインは、従属項に開示されている。
【0006】
衛生器具に用いられて、足置位置において水しぶき(尿)で使用の都度ぬらされるインジケータ要素の物理的にかつ/または化学的に得られる視覚的な変化によって、かつ互いに隣接して配された複数の衛生器具で、各個々の衛生器具をモニタすることができ、必要な措置を必要に応じ行うことができる。一方で、このことは、臭気排出に関して、早期に、即ち、最初の兆候が臭う前に気付けることを意味する。他方で、同様に交換が本当に必要なところだけといった、時間及び経費に関してわずかの取り組みで交換を行うことができる。インジケータ要素の適当な化学組成及び/または物理組成により、芳香剤もインジケータ要素に加えられてもよい。該芳香剤は、サニタリルームの壁に通常配されている芳香剤またはドアを開けることにより放出される芳香剤に取って代わる。更に、バクテリア、酵素界面活性剤等などの洗浄剤も、インジケータ要素に加えられてもよい。該洗浄剤は、化学的方法及び/または生物学的方法で、衛生器具を清潔かつ中性の臭気に保つ。更に、バルブ部分及びサイホン部分の機能要素だけでなくそれらに続く排水管のケア及び洗浄を可能にする。
【0007】
本発明は、小便器の1つの実施形態の例を介してより詳細に説明される。それぞれの図は、該装置を通る軸方向断面を示す。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】無水小便器の垂直断面図である。
【図2】無水小便器のバルブの各要素の縦断面図である。
【図3】部分的に組み立てられたバルブの縦断面の斜視図である。
【図4】組み立てられたバルブの垂直縦断面の斜視図である。
【図5】中心及び中心を外れた開口部を有するバルブの上のマッシュルーム状のキャップの垂直断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1に概略的に示されている小便器1は、底面22を有する鉢3を含み、鉢3は、壁5に直接または間接的に固定される。バルブ9は、鉢3の底面22の凹部7に挿入される。小便器1が固定されている壁5に入る排水管11(図1)は、管状の凹部7に結合している。
【0010】
バルブ9の1つの考えられるデザインの個々の部分が、図2に示されている。アダプタは、参照番号13で示されていて、あらゆる小便器1の凹部7に挿入される。アダプタ13は、より詳細には示されていない適当な密封手段を用いて、排水管11内に密封する形で挿入される。アダプタはまた、尿が導出漏斗15の下方横方向に行かないように、凹部7上で、密封するように位置している。バルブ17は、アダプタ13内部の管にねじ込まれているかまたは、バヨネットタイプのクロージャを介して挿入されて保持される。臭気ブロック部19は、例えば、米国特許出願公開第2004/059198号明細書において開示されているように、バルブ17内に挿入される。もちろん、同様に、例えばPCT国際出願国際公開第WO1999/57382号明細書に開示されているような、異なった形状の臭気ブロック部が挿入されてもよい。あるいは、臭気ブロック部は、また、例えば、スイス国特許第CH690917号明細書に開示されているデザインにおけるように、封水として与えられてもよい。
【0011】
キャップ21は、バルブ17の上方に配されていて、例えば、複数の脚部25が一体的に形成されたマッシュルーム状のドーム23を含んでいる。脚部25により、キャップ21を、バルブ17の上方に隔てて固定することができる。全ての部品がプラスチックで製造されているので、キャップ21とバルブ17との間の結合は、スナップ機構として実施されてもよい。該スナップ機構は、より詳細には示されていない。キー27が、キャップ21の上方に示されている。該キーを用いて、バルブ17を、アダプタ13内に固定することができかつ交換のために取り外すことができる(図2及び図3)。該キー27は、本装置の一部ではない。
【0012】
図4の断面図では、全ての要素が連結されており、アダプタ13上でキー27を用いて互いに結合されている。よりよく概観するために、ドーム23の下方のスペースは、この図では何も示されていない。ドーム23またはキャップ21は、バルブ17の導出部分29が、例えば、タバコの吸殻、紙の切れ端等が原因で詰まるのを防止する。図5のキャップ21の拡大概略図において、本発明によれば、ドーム23で囲まれたスペース31は、インジケータ要素33で完全にまたは部分的に満たされていることがはっきりと分かる。成形母材が何であるかは別として、ペースト状、液状、または他の形態でキャップ21へ運ばれるインジケータ要素33は、酵素及び/または界面活性剤及び/またはバクテリア及び/または洗浄剤及び/または染料を含む。これらの物質は、小便器1の使用の度に浴びせられる尿の飛沫37でぬらされる。それによって、一方では、キャップ21の外部の小便器1の底面22に当たる尿の噴流から生じる尿の飛沫37によって下方から、もう一方では、キャップ21内に形成される中央開口部35を介して、中央開口部35がある場合に、底面22に当たって部分的に跳ね返る尿でぬらされる。所定回数小便器がぬれた後、即ち、飛沫でぬれた後にインジケータ要素33が完全に分解されるか、かつ/またはインジケータ要素33が少なくとも透明な材料で製造されているドーム23との接触部分においてその色を変化させるといった方法で、インジケータ要素33は化学的に/物理的にセットされる。この変化は、インジケータの分解によってでも色の変化によってでも、更なる補助なしに外部から見ることができる。小便器1の清掃及びメンテナンスのために小便器を周期的に訪れる保守管理チームは、例えば、鉄道の駅、レストラン、空港等において配置されているように、互いに隣接して配された多数の小便器1からも、バルブ17及び/またはインジケータ要素33のうちのどれが交換される必要があるか、またはどこで封水が補充されなければならないかを手間をかけずに見分けることができる。インジケータ要素33の製品寿命は、バルブ17または封水を安全に使用できる期間に合わされていて、インジケータ要素33の製品寿命は、この期間内にバルブ17または封水は異常が見られず、よって、香りがサニタリルームに届き得るようにする。インジケータ要素33の化学成分に応じて、インジケータ要素33は、洗浄剤は別として、バルブ17をシルトが固まらないようきれいに保ち、導管内の尿石の生物学的除去を可能にする酵素及びバクテリアを含んでいるようにし、特にバルブ17においてだけでなくそれに続く汚水管11においても尿石が堆積するのを防止する。もちろん、芳香剤が、インジケータ要素33に加えられてもよい。これは、ユーザ次第で投与される。しかしながら、主要構成要素は、いずれにせよ、使用期間が決められているその使用の間に、色が変化する物質である。
【0013】
あるいは、インジケータ要素33は、また、ドームの屋根状部に組み込まれたインジケータの境界層32及び分解することができてその下方に配されている主要部からなっていてもよい。よって、色を変化させる層32は、その下方にある分解可能なインジケータ要素33が分解されるときだけ、尿のしぶき及び尿の飛沫と接触するようになる。よって、インジケータ要素33は、色が変化する必要がない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
衛生器具(1)の使用に基づいて、磨耗部品並びに/または封水及び/もしくは芳香剤及び洗浄剤の交換の時点を決定しかつ確立する方法であって、
前記衛生器具(1)を使用することで設定可能な回数濡れた後に、前記衛生器具の導出部分に配されたインジケータ要素(33)に生じる化学変化または物理変化を光学的に認識することを特徴とする方法。
【請求項2】
飛沫でぬれるごとに、前記インジケータ要素(33)は、永続的な方法で色を多少変化しかつ/または分解するか溶解し、または、インジケータ要素(33)の境界層(32)の色の変化が生じることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記インジケータ要素(33)が濡れると、同時に、芳香剤及び/または洗浄剤を放出することを特徴とする請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記インジケータ要素(33)は、水を通さないマッシュルーム状のキャップ(21)の下方で、かつ前記衛生器具(1)の排出口の上方に垂直方向に離れて配されていることを特徴とする請求項1記載の方法を実行する装置。
【請求項5】
前記マッシュルーム状のキャップ(21)は、前記インジケータ要素(33)を上部及び横方向に囲って、前記インジケータ要素(33)を水分から保護することを特徴とする請求項4記載の装置。
【請求項6】
前記マッシュルーム状のキャップ(21)は複数の脚部(25)を含んでおり、前記複数の脚部(25)によって、前記マッシュルーム状のキャップ(21)の下部が前記排出口から離れて保持されることを特徴とする請求項4または5のうちの1に記載の装置。
【請求項7】
前記キャップ(21)は、少なくとも部分的に、透明なプラスチックで製造されていることを特徴とする請求項4乃至6のうちの1に記載の装置。
【請求項8】
インジケータ要素(33)として、前記インジケータ要素(33)が、硬さ及び/または分解性を設定することができるペーストを含むことを特徴とする請求項4乃至7のうちの1に記載の装置。
【請求項9】
前記マッシュルーム状のキャップ(21)及び前記インジケータ要素(33)は、中心にまたは中心を外れて、垂直方向に通っている開口部(35)を含むことを特徴とする請求項4乃至8のうちの1に記載の装置。
【請求項10】
前記インジケータ要素(33)は、ユーザが決める自浄作用のためのバクテリア及び/または酵素などの生物学的に分解可能な洗浄剤及び染料を含むことを特徴とする請求項4乃至9のうちの1に記載の装置。
【請求項11】
前記インジケータ要素(33)が、薄層(32)として、前記ドーム(23)の屋根状部に直接配されることを特徴とする請求項4乃至10のうちの1に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2010−537091(P2010−537091A)
【公表日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−522154(P2010−522154)
【出願日】平成20年5月23日(2008.5.23)
【国際出願番号】PCT/CH2008/000234
【国際公開番号】WO2009/026733
【国際公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【出願人】(510055080)エンスヴィーコ アイピー アクツィエンゲゼルシャフト (1)
【Fターム(参考)】