保形用ボーン
【課題】保形用ボーンに対する発想を変えて、当該保形用ボーンを構成する素材を適宜選択することによって、製造コストが高価になることなく、良好な着用感と保形性とが得られるようにした保形用ボーンを提供することを課題とする。
【解決手段】身体に装着する装身製品に用いられる保形用ボーンにおいて、前記保形用ボーンは、ボーン本体と、当該ボーン本体を被覆又は当該ボーン本体と一体的に構成される高密度ポリエチレンからなる被覆層とを備えるように構成して課題を解決した。
【解決手段】身体に装着する装身製品に用いられる保形用ボーンにおいて、前記保形用ボーンは、ボーン本体と、当該ボーン本体を被覆又は当該ボーン本体と一体的に構成される高密度ポリエチレンからなる被覆層とを備えるように構成して課題を解決した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ブラジャーやウエストニッパー、ボディスーツ、フィットスリップ、レオタード等のファンデーションや水着等のその他の衣類、あるいはプロテクター並びに医療用のコルセット等の身体に装着する装身用品に用いられる保形用ボーンであって、所定の形状を保持したり、補整機能を発揮したりするためなどに用いられる保形用ボーンに関し、特にボーン本体と高密度ポリエチレンからなる被覆層とを組み合わせた保形用ボーンに関するものである。
【背景技術】
【0002】
【特許文献1】実公昭59−5683号公報
【特許文献2】実開平6−39909号公報
【特許文献3】特公平4−47042号公報
【0003】
従来、この種のブラジャーやウエストニッパー、ボディスーツ、フィットスリップ、レオタード等のファンデーションや水着等のその他の衣類、あるいは医療用のコルセット等の身体に装着する装身用品に用いられる保形用ボーンであって、所定の形状を保持したり、補整機能を発揮したりするためなどに用いられる保形用ボーンとしては、例えば、合成樹脂や金属等からなる断面丸形状や断面偏平形状の弾性線材を、そのまま使用するか、あるいは弾性線材を合成樹脂製のチューブ内に挿入した状態で、半円形状に湾曲させたり、直線状に形成したものなどのほか、広幅のフィルム体を細幅に裁断の上、適宜な幅に耳部を二つ折りとした細板状体を、所定の形状又は寸法に形成したものが使用されている。
【0004】
上記保形用ボーンのボーンの多くは、図20に示すように、人体の湾曲乃至は凹凸のあるウエスト等の部位に組み込んで着用することが多い。この場合の製品目的の多くは、レベルの高い緊迫を求めることから、ボーン自体の剛性を必要とし、結果として、現状の一次元的なボーンでは骨格部の骨格に接する部位や、人体屈折時のボーン先端部による人体局部への極度な抵抗を与える欠点を有し、強いては人体骨格から乳房等の脂質層に連接される二つの異なる着用感を持つ部位や、女性の乳房の下側面の湾曲などのように、柔軟で且つ微妙なシルエットを形成する部位には、まったく適さないものである。
【0005】
そこで、従来においても、このような着用感あるいはバストやウエストの保形性を改善するために、例えば、身体に接する側を内方として上面から見た半円状部のほぼ中央部は基準面に対し身体の膨らみに合うように外方に湾曲し、この中央底部から両端部に至る途中部分は基準面に一致する平面となし、これら平面部から両端部よりの部分は再び基準面から外方に湾曲させた湾曲形状を有するもの(実公昭59−5683号公報及び実開平6−39909号公報等)や、外側縁円弧状部分と下側縁円弧状部分と内側縁円弧状部分とが実質的に平面状であり、内側面がその内側下縁より内側上縁に向かって外方向に立ち上がった傾斜面に形成された内面側傾斜形状のもの(特公平4−47042号公報)等が提案されている。
【0006】
しかしながら、上記何れの保形用ボーンもこれを平面上に載置して上方からみた際にその一端から他端までに捩じれがなくて弾性線材の広幅面がほぼ同じ幅で連続した形状になっており、これを衣類のカップ部に組み込んで着用した際にはボーンの一端が腋下側に引っ張られることにより半円形状のボーンの両端が離れる方向に引っ張られて拡がり、この結果、特に使用する弾性線材の断面形状が偏平であるとボーンの弾性変形に基づく強い復元力が発生する。
【0007】
このため、特に歩行や運動等の際にバストが動いてボーンに対する衣類による腋下側への引張力が作用したり作用しなかったりすると、そのたびにボーンにおける弾性変形に基づく復元力が作用したり作用しなかったりすることになり、この結果、このボーンの腋下側の端部やその一部が部分的に腋下に食い込むように当たり、特に長時間に亘って歩行や運動等をする場合にはボーンが当たっている腋下部分が痛くなる等、極めてその着用感が損なわれることがある。
【0008】
更に、従来の保形用ボーンは、これを平面上に載置してその上方から中央底部、身体中心側端部及び腋下側立部を水平方向移動自由な状態で平面上に押しつけ、このボーンを略平坦にして得られる平坦基本形状が概ね略半円形状となっており、このためにこのボーンに所定の湾曲形状を付与すると、バストの下側を支えてバスト形状を設定するその中央底部の幅が必要以上に狭くなり、着用時のフィット感が損なわれるという問題点を有していた。
【0009】
そこで、本発明者らは、このような問題を解決すべく鋭意検討した結果、断面偏平形状のボーンにおいて、単にブレスト下部側に位置する中央底部とブレスト身体中心側に位置する身体中心側立部及びブレスト腋下側に位置する腋下側立部とが平面上から離れる方向に湾曲させるだけでなく、腋下側立部には中央底部の略中心を基準にして45〜90°の範囲でその正面が外側を向く方向に捩れを付与し、かつ、装身時には、腋下側立部がその捩れ形状に基づいて優先的に弾性変形して拡開するように形成することにより、このボーンの腋下側立部がその略全長に亘って広幅面で身体の腋下にフィットし、これによって歩行や運動等によりブレストが動いてもボーンの腋下側の端部やその一部が部分的に腋下に食い込むようなことがなく、極めて良好な着用感とブレスト保形性とが得られるようにしたブレストカップ保形用ボーンについて既に提案している(特許第3313029号公報)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上記従来技術の場合には、次のような問題点を有している。すなわち、上記特許第3313029号公報に係るブレストカップ保形用ボーンの場合には、極めて良好な着用感とブレスト保形性とが得られるようにしたブレストカップ保形用ボーンを提供することができるものの、当該ブレストカップ保形用ボーンは、特殊な形状に形成されているため、ボーンの製造工程が複雑にならざるを得ず、しかも、着用者のサイズや体型に合ったものを複数種類にわたって製造すると、製造コストが高価になってしまうという問題点を有していた。
【0011】
そこで、この発明は、上記従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、保形用ボーンに対する発想を変えて、当該保形用ボーンを構成する素材を適宜選択することによって、製造コストが高価になることなく、良好な着用感と保形性とが得られるようにした保形用ボーンを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するため、請求項1に記載された発明は、身体に装着する装身製品に用いられる保形用ボーンにおいて、
前記保形用ボーンは、ボーン本体と、当該ボーン本体を被覆又は当該ボーン本体と一体的に構成される高密度ポリエチレンからなる被覆層とを備えたことを特徴とする保形用ボーンである。
【0013】
また、請求項2に記載された発明は、身体に装着する装身製品に用いられる保形用ボーンにおいて、
前記保形用ボーンは、耐熱弾性樹脂によって所定の形状に形成されたボーン本体と、当該ボーン本体を所定の厚みをもって被覆する高密度ポリエチレンからなる被覆層とを備えたことを特徴とする保形用ボーンである。
なお、上記ボーン本体を形成する材料としては、耐熱弾性樹脂が用いられるが、耐熱性高弾性樹脂を用いるのがより好ましい。
【0014】
上記ボーン本体は、例えば、耐熱弾性樹脂を金型射出成形又は鋳造することによって所定の形状に形成される。
【0015】
さらに、請求項3に記載された発明は、身体に装着する装身製品に用いられる保形用ボーンにおいて、
前記保形用ボーンは、耐熱弾性樹脂によって細長いフィルム状に形成されたボーン本体と、当該ボーン本体を所定の厚みをもって被覆するフィルム状の高密度ポリエチレンからなる被覆層とを、熱圧着することによって一体的に構成したことを特徴とする保形用ボーンである。
【0016】
ここで、上記ボーン本体は、原材料となる広幅のフィルム状の段階で、熱圧着並びに接着を兼ねる合成樹脂を媒介させてフィルム状の高密度ポリエチレンからなる被覆層と接着し、これを必要な形態にカットする方式によって一体的に構成することが可能である。
【0017】
又、請求項4に記載された発明は、前記請求項1乃至3のいずれか1つに記載された保形用ボーンにおいて、
前記耐熱弾性樹脂からなるボーン本体と、前記高密度ポリエチレンからなる被覆層の両端部は、段差を生じないように、少なくとも一方の厚さを徐々に薄く設定したことを特徴とする保形用ボーンである。
【0018】
このように、耐熱弾性樹脂からなるボーン本体と、前記高密度ポリエチレンからなる被覆層の両端部に段差を生じないように構成することによって、ボーン本体と高密度ポリエチレンからなる被覆層の両端部との間に応力が集中するのを回避することができ、接合点における破断を回避することができる、かつ、人体を補正又は美的目的に向けて保形性を持たせる上でも、ボーン本体の弾性又は硬度を徐々に高密度ポリエチレンの弾性並びに硬度に移行させることが可能となる。
【0019】
更に、請求項5に記載された発明は、前記請求項1乃至4のいずれか1つに記載された保形用ボーンにおいて、
前記保形用ボーンは、第一の金型によってボーン本体を形成し、第二の金型によってボーン本体の外周に被覆層を形成することを特徴とする保形用ボーンである。
【0020】
このように形成される保形用ボーンは、原則として、二次元乃至三次元の形状を必要とするボーンの作成に適するが、別途一次元(フラット体)であっても、ボーンの両端を精密又は特定の形状にデザインする場合、弾性ボーン体を第一の金型としての切断用金型を用いて切断するものをも含むものである。
【0021】
なお、上記第一及び第二の金型は、射出成形用の金型であっても、鋳造用の金型のいずれであっても良い。
【0022】
また、請求項6に記載された発明は、前記請求項1乃至5のいずれか1つに記載された保形用ボーンにおいて、
前記保形用ボーンは、バスト部の補整に使用され、当該保形用ボーンには、高密度ポリエチレン製フィルムの圧縮弾性が相対的に高い部分と相対的に低い部分とを設けたことを特徴とする保形用ボーンである。
【0023】
さらに、請求項7に記載された発明は、前記請求項1乃至5のいずれか1つに記載された保形用ボーンにおいて、
前記保形用ボーンは、バスト部の補整に使用され、当該保形用ボーンには、高密度ポリエチレン製フィルムからなる二枚の被覆層の間に、平板状又は曲線状に形成されたボーン本体をサンドイッチ状に保持して形成されていることを特徴とする保形用ボーンである。
【0024】
又、請求項8に記載された発明は、前記請求項1乃至5のいずれか1つに記載された保形用ボーンにおいて、
前記保形用ボーンは、バスト部の補整に使用され、当該保形用ボーンは、線状に形成された弾性体としての耐熱弾性樹脂又は金属からなるボーン本体と、当該ボーン本体を被覆する高密度ポリエチレンからなる被覆層とを備え、前記保形用ボーンは、弾性変形可能に構成されていることを特徴とする保形用ボーンである。
【発明の効果】
【0025】
この発明によれば、保形用ボーンに対する発想を変えて、当該保形用ボーンを構成する素材を適宜選択することによって、製造コストが高価になることなく、良好な着用感と保形性とが得られるようにした保形用ボーンを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下に、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0027】
実施の形態1
図2はこの発明の実施の形態1に係る保形用ボーンを適用した装身用品としてのウエストニッパーを示す構成図である。
【0028】
このウエストニッパー1は、図2に示すように、女性の体のウエスト部2に着用することによって、ウエスト部2を細く矯正したり、腹部3を押さえたりするために使用される。上記ウエストニッパー1は、伸縮性を有する素材等によって、女性の体型に合わせた略円筒形状に形成されており、当該ウエストニッパー1の上下両端部には、女性のウエスト部2の体型に合わせて、それぞれ開口部4、5が設けられている。また、上記ウエストニッパー1の上端開口部4及び下端開口部5の端縁部には、伸縮性を有するテープ6、7が縫着等の手段によって全周にわたり装着されており、女性のウエスト部2にフィットするように構成されているとともに、当該ウエストニッパー1の上端開口部4及び下端開口部5は、その側面4a、5aがウエストのくびれに合わせて、下方又は上方に向けて凹形状に湾曲した形状に形成されている。
【0029】
また、上記ウエストニッパー1には、図2に示すように、その前面の左右の脇部、及び背部の脇部など所定の位置に、所定本数の保形用ボーン10が縦方向に沿って装着されている。上記保形用ボーン10は、例えば、当該ウエストニッパー1の所定の位置に縦方向に沿って袋状に形成された挿入部(図示せず)に挿入された状態で装着されるか、又は当該ウエストニッパー1の内面に保形用ボーン10を覆うように内側布(図示せず)を縫着することによって装着されている。
【0030】
ところで、この実施の形態では、身体に装着する装身用品に用いられる保形用ボーンにおいて、前記保形用ボーンは、ボーン本体と、当該ボーン本体を被覆する高密度ポリエチレンからなる被覆層とを備えるように構成されている。
【0031】
また、この実施の形態では、身体に装着する装身用品に用いられる保形用ボーンにおいて、前記保形用ボーンは、耐熱弾性樹脂によって所定の形状に形成されたボーン本体と、当該ボーン本体を所定の厚みをもって被覆する高密度ポリエチレンからなる被覆層とを備えるように構成されている。上記ボーン本体は、例えば、耐熱弾性樹脂を金型射出成形又は鋳造することによって所定の形状に形成される。
【0032】
さらに、この実施の形態では、身体に装着する装身用品に用いられる保形用ボーンにおいて、前記保形用ボーンは、耐熱弾性樹脂によって細長いフィルム状に形成されたボーン本体と、当該ボーン本体を所定の厚みをもって被覆するフィルム状の高密度ポリエチレンからなる被覆層とを、熱圧着することによって一体的に構成されている。
【0033】
又、この実施の形態では、前記耐熱弾性樹脂からなるボーン本体と、前記高密度ポリエチレンからなる被覆層の両端部は、段差を生じないように、少なくとも一方の厚さを徐々に薄く設定するように構成されている。
【0034】
更に、この実施の形態では、前記保形用ボーンは、第一の金型によってボーン本体を形成し、第二の金型によってボーン本体の外周に被覆層を形成するように構成されている。
【0035】
すなわち、この実施の形態に係る保形用ボーン10は、図1に示すように、耐熱弾性樹脂好ましくは耐熱性高弾性樹脂によって所定の形状に形成されたボーン本体11と、当該ボーン本体11の表面側を所定の厚みをもって被覆する高密度ポリエチレンからなる被覆層12とを備えるように構成されている。上記ボーン本体11は、例えば、ポリアミド系、ポリエステル系、ポリプロピレン系などの合成樹脂、ポリエステル系の合成樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、全芳香族ポリエステル、ポリカーボネートなどによって形成することができ、さらには高弾性からポリウレタン系の樹脂もボーンの機能によっては、使用することが可能である。また、上記ボーン本体11は、これらの耐熱弾性樹脂好ましくは耐熱性高弾性樹脂によって、略直線状又は厚さ方向や幅方向に沿って湾曲した形状に形成されている。このボーン本体11の形状は、図2に示すように、装着する部位によって異なり、ウエスト前面の脇部のうち、体の前側寄りに配設されるものは、直線状に近い形状に形成され、ウエストの側面寄りに配設されるものは、略中央部が体の前面側に湾曲した形状に形成されたものなどが用いられる。また、このボーン本体11の形状は、図2に示すように、ウエスト背面の脇部寄りに配設されるものは、その両端部が体の外側に向けて湾曲した形状に形成されたものなどが用いられる。
【0036】
さらに、上記ボーン本体11の両端部13、14は、図3に示すように、その平面形状が円弧状に形成されているとともに、両端部13、14の断面形状は、図1に示すように、厚さ方向の内側から外側に向けて、先端部に行くに従って徐々に薄くなるようにテーパー状に形成されている。そして、上記保形用ボーン10には、ボーン本体11と被覆層12との間に段差を生じないように構成されている。
【0037】
一方、上記ボーン本体11を所定の厚みをもって被覆する被覆層12は、高密度ポリエチレンからなるように構成されている。この被覆層12は、その厚さが所定の値に設定されている。ここで、高密度ポリエチレンとは、金属酸化物やアルキルアルミニウムなどを触媒として、常圧または低圧下で重合したポリエチレンであり、密度が0.94〜0.96と他のポリエチレンに比較して高いものをいう。上記高密度ポリエチレンは、そのまま使用してもよいが、重量平均分子量が50万以下の高密度ポリエチレンを30倍以上に超延伸成型したものを用いるのが望ましい。
【0038】
ここで、高密度ポリエチレンを30倍以上に超延伸成型したものを用いるのが望ましい理由は、強度を高めるためであり、延伸することで分子を均一に揃えて結晶化することができ、結果として、引っ張り力に対する耐性を高めることができる。
【0039】
また、重量平均分子量が50万以下の高密度ポリエチレンを用いるのが望ましい理由は、固形用には必ずしも50万という程の高い分子量である必要はないが、重量平均分子量の上限値を規定したものである。
【0040】
また、上記高密度ポリエチレンからなる被覆層12の両端部15、16は、図1に示すように、ボーン本体11との間に段差を生じないように、厚さが徐々に厚くなるように設定されており、保形用ボーン10の両端部15、16は、当該保形用ボーン10全体の厚さに等しい厚さを有する被覆層12のみから構成されている。
【0041】
そして、上記の如く構成されたボーン本体11と被覆層12は、図4に示すように、加熱加圧することによって一体的に圧着され、保形用ボーン10が形成されるようになっている。
【0042】
上記の如く構成される保形用ボーン10を製造するには、図5に示すように、耐熱弾性樹脂からなるボーン本体11を、射出成型用の第一の金型101によって、所定の形状に形成されたキャビティ102に耐熱弾性樹脂を図示しないスプールブッシュから通路103を介して射出することによって成型し、図6に示すように、ボーン本体11を製造する。次に、図7に示すように、射出成型用の第二の金型104を用いて、当該射出成型用の第二の金型104の所定位置に形成されたキャビティ105に、図8に示すように、高密度ポリエチレンからなる被覆層12と共にボーン本体11をセットし、図9に示すように、当該ボーン本体11と被覆層12とを加熱・加圧することによって、ボーン本体11と被覆層12とが一体的に形成され、図10に示すように、保形用ボーン10が製造されるようになっている。なお、図10に示す実施例では、保形用ボーン10が直線状に示されているが、加熱・加圧成型時にキャビティ102、105の形状に応じて所定の湾曲形状に形成しても良いし、加熱・加圧成型後に所定の湾曲形状に形成するように構成しても良い。
【0043】
ただし、図5等に示す製造工程は、使用する樹脂の種類によっては成型が困難な場合も考えらえるが、この場合には、後述するように、シート状乃至フィルム状に形成された二枚の被覆層12の間に、線状あるいは平板状のボーン本体11をサンドイッチ状に配置し、熱圧着等の手段によって、保形用ボーン10を製造するようにしても勿論良い。
【0044】
以上の構成において、この実施の形態に係る保形用ボーンを用いたウエストニッパーでは、次のようにして、保形用ボーンを構成する素材を適宜選択することによって、製造コストが高価になることなく、良好な着用感と保形性とが得られるようになっている。
【0045】
すなわち、この実施の形態に係るウエストニッパー1では、図2に示すように、保形用ボーン10として、耐熱弾性樹脂からなるボーン本体11と、当該ボーン本体11を被覆する被覆層12とからなるものを用いている。この保形用ボーン10を装着したウエストニッパー1を着用した状態で図11に示すように前に屈んだ場合には、図12に示すように、当該保形用ボーン10の上端部及び下端部に張力が作用すると、被覆部12は、高密度ポリエチレンからなり、適度な弾性を有しているため、当該被覆部12の両端部15、16が体の外側に湾曲し、保形用ボーン10の両端が体に食い込むことがなく、優れた着用感及びウエストの保形性を発揮することができる。
【0046】
上記の実施の形態1では、ボーン本体11と被覆層12とを加熱・加圧することによって一体化する場合について説明したが、ボーン本体11と被覆層12とを一体化する射出成型用の第二の金型104に、図13に示すように、ボーン本体11を中央に埋設した状態で被覆する被覆層12を成型するキャビティ110及び樹脂を注入する通路111を設け、当該キャビティ110に被覆層12を形成する高密度ポリエチレン樹脂を注入することによって、ボーン本体11と被覆層12とを一体化するように構成しても良い。
【0047】
実施の形態2
図14はこの発明の実施の形態2を示すものであり、前記実施の形態1と同一の部分には同一の符号を付して説明すると、この実施の形態2は、保形用ボーンをブラジャー用のボーンとして使用するように構成したものである。
【0048】
図14はこの実施の形態2に係る保形用ボーンを適用した装身用品としてのブラジャーを示す構成図である。
【0049】
図14において、21は装身用品としてのブラジャーを示すものであり、このブラジャー21は、女性のバストをそれぞれ覆う左右のカップ部22、23を備えている。これらの左右のカップ部22、23は、当該左右のカップ部22、23の下側に縫着された下辺連結布24によって、一体的に連結されており、この下辺連結布24の左右両側には、女性の体の背面側で互いに係止される図示しない左右の側布がそれぞれ縫着されている。これら左右の側布の先端部には、フックやアイ等からなる図示しない係止具が、縫着等の手段によって取り付けられている。また、上記左右のカップ部22、23の三角形状に形成された上端部には、女性の肩に掛けるストラップ25、26がそれぞれ装着されている。
【0050】
上記ブラジャー21に使用される保形用ボーン10としては、図15に示すように、左右のカップ部22、23の下端縁に沿って、略円弧状に形成されたものが、当該左右のカップ部22、23の下端縁に沿って図示しない当て布を介して縫着されている。この保形用ボーン10は、図1に示す保形用ボーン10と同様に構成されており、所定の形状に湾曲させた状態で形成されている。
【0051】
上記実施の形態2に係る保形用ボーン10の場合には、身体中心側端部15及び腋下側立部16が、被覆層12としての高密度ポリエチレンによって形成されているため、体の動きに合わせて容易に変形し、保形用ボーン10の端部が腋下側などに食い込むように当たることがなく、極めて優れた着用感を得ることができる。
【0052】
しかも、保形用ボーン10の被覆層12は、高密度ポリエチレンによって形成されているため、繰り返しの曲げ応力や圧縮力、あるいは伸張力に対しても十分な強度を有しており、保形用ボーン10本来の機能を長期間維持することが可能となる。その際、上記高密度ポリエチレンとしては、重量平均分子量が50万以下の高密度ポリエチレンを30倍以上に超延伸成型したものを用いると、更に十分な強度を有しているため望ましい。
【0053】
また、上記保形用ボーン20としては、上記のものに限らず、図16に示すように、ブラジャー21の左右のカップ部22、23の下端縁ではなく、当該左右のカップ部22、23の身体中心側や腋下側立部であって、下端縁よりも上方の位置からカップ部22、23の下端中央部に向けて、それぞれ略直線状乃至カップ部22、23の曲面に沿った湾曲状に形成したものを用いても良い。
【0054】
これらの保形用ボーン20としても、基本的には、図1に示す保形用ボーン10と同様に構成されたものが用いられる。
【0055】
ただし、これに限定されるものではなく、図17に示すように、高密度ポリエチレンからなる被覆層12が、所定の長さを有するように、ボーン本体11の少なくとも一方の端部又は両端部から長く突出するように形成されており、図16に示すように、左右のカップ部22、23等の形状に合わせて、屈曲が容易となるように構成されている。なお、上記被覆層12の長さは、カップ部22、23等の形状等に合わせて適宜設定される。
【0056】
また、上記保形用ボーン10、20としては、ボーン本体11の材質を、被覆層12の材質と異ならせる必要は必ずしもなく、ボーン本体11と被覆層12を同じ材質で形成しても良い。
【0057】
即ち、上記保形用ボーン10、20のボーン本体11と被覆層12を同じ材質で形成する場合には、図18に示すように、ボーン本体11と被覆層12とを、高密度ポリエチレンによって形成するとともに、予めボーン本体11に相当する部分の厚さを厚く設定するとともに、被覆層12に相当する部分の厚さを、ボーン本体11に相当する部分よりも薄く、且つ先端部にいくに従って徐々に厚さが薄くなるように形成した高密度ポリエチレンからなる保形用ボーン10、20のための素材30を用意し、当該素材30をプレス用の金型を用いて加熱加圧することによって、図19に示すように、均一な厚さに成形し、ボーン本体11の密度をより一層高く設定して、ボーン本体11と被覆層12を同じ材質で一体的に形成しても良い。
【0058】
その他の構成及び作用は、前記実施の形態1と同様であるので、その説明を省略する。
【0059】
なお、上記保形用ボーンを適用した装身用品としては、ウエストニッパーやブラジャー等に限定されるものではなく、医療用のコルセット等の身体に装着するものであれば広く、広く適用できることは勿論である。
【0060】
実施の形態3
図21はこの発明の実施の形態3を示すものであり、前記実施の形態1と同一の部分には同一の符号を付して説明すると、この実施の形態3は、耐熱性高弾性樹脂等からなるボーン本体と、高密度ポリエチレンからなる被覆層との接着性を改善し、両者の一体化を容易とするように構成したものである。
【0061】
図21はこの実施の形態3に係る保形用ボーンを示す構成図である。
【0062】
本発明に係る保形用ボーンは、耐熱性高弾性樹脂等からなるボーン本体、及び高密度ポリエチレンからなる被覆層として、何れも略製品形状を持ったものを、熱圧着による癒着、又は媒介樹脂を介して接着して一体化させる方式、さらには鋳造方式、又は射出成形方式等によって、略製品化されたボーン本体と一体成型するものである。
【0063】
これに対し、図21に示すように、最も効率的且つ簡略的に一体化させる長尺状又は板状のフィルム体40、41に、ボーン本体11を並べて、一時に多くの量をプレスによって熱圧着し、フィルム体40、41に埋め込み、これを必要とする寸法又は形状に裁断又はプレスカットする方法によっても製造することができる。
【0064】
さらに説明すると、図22に示すように、長尺状又は板状のフィルム体40、41を二枚合わせてサンドイッチ状に形成し、中にボーン本体11をセットプレスによって熱圧着することによって製造することができる。
【0065】
また、上記耐熱性高弾性樹脂等からなるボーン本体と、高密度ポリエチレンからなる被覆層との接着性を改善する技術としては、図23に示すように、熱圧着、並びに熱接着方式を含め高密度ポリエチレンからなる被覆層12が、熱圧着時の熱と圧力によりボーン本体11の一部又は全面に穴42又は凹凸部43を穿設することにより、当該穴42又は凹凸部43を介して、含浸的、物性的融着をし剥離を防止することができる。
【0066】
また、図23に示すように、連続したS字形状又はコイル状のボーン本体11を耐熱性高弾性樹脂又は金属線によって形成した上、(現在、S字ボーン、コイルボーンとして市販されている)、上述した方式によって製品としてのボーンを作成することによって、体の捩じれ又は前後の屈折に対応することのできるボーンを提供することができる。
【0067】
さらに、この実施の形態3では、保形用ボーン10は、図24に示すように、バスト部の補整に使用され、当該保形用ボーン10には、高密度ポリエチレン製フィルムからなる二枚の被覆層12の間に、平板状又は曲線状に形成されたボーン本体11をサンドイッチ状に保持して形成されている。
【0068】
また、この実施の形態3では、保形用ボーン10は、図25に示すように、バスト部の補整に使用され、当該保形用ボーンは、線状に形成された弾性体としての耐熱弾性樹脂又は金属からなるボーン本体と、当該ボーン本体を被覆する高密度ポリエチレンからなる被覆層とを備え、前記保形用ボーンは、弾性変形可能に構成されている。
【0069】
このように、図24に示すようなパターン形状のボーン体、図25に示すような伸びる部分にあたる部分、又は人体チェスト部等の乳房部に重なる部分を、高密度ポリエチレンからなる被覆層のみで形成するように構成しても良い。
【0070】
このような保形用ボーンは、三次元形状であることが前提であるが、製品の身体構造として内蔵させてから、三次元モールド成型によって製品と一体で三次元形状とするように構成しても良い。
【0071】
その他の構成及び作用は、前記実施の形態1と同様であるので、その説明を省略する。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】図1はこの発明の実施の形態1に係る保形用ボーンを示す断面図である。
【図2】図2はこの発明の実施の形態1に係る保形用ボーンを適用した装身用品としてのウエストニッパーを示す構成図である。
【図3】図3はこの発明の実施の形態1に係る保形用ボーンを示す分解構成図である。
【図4】図4はこの発明の実施の形態1に係る保形用ボーンを示す分解構成図である。
【図5】図5はこの発明の実施の形態1に係る保形用ボーンの製造工程を示す断面構図である。
【図6】図6はこの発明の実施の形態1に係る保形用ボーンの製造工程を示す断面構図である。
【図7】図7はこの発明の実施の形態1に係る保形用ボーンの製造工程を示す断面構図である。
【図8】図8はこの発明の実施の形態1に係る保形用ボーンの製造工程を示す断面構図である。
【図9】図9はこの発明の実施の形態1に係る保形用ボーンの製造工程を示す断面構図である。
【図10】図10はこの発明の実施の形態1に係る保形用ボーンの製造工程を示す断面構図である。
【図11】図11はこの発明の実施の形態1に係る保形用ボーンの作用を示す説明図である。
【図12】図12はこの発明の実施の形態1に係る保形用ボーンの作用を示す説明図である。
【図13】図13はこの発明の実施の形態1に係る保形用ボーンの他の製造工程を示す断面構図である。
【図14】図14はこの発明の実施の形態2に係る保形用ボーンを適用した装身用品としてのブラジャーを示す構成図である。
【図15】図15はこの発明の実施の形態2に係る保形用ボーンを示す断面図である。
【図16】図16はこの発明の実施の形態2に係る保形用ボーンを適用した装身用品としてのブラジャーの要部を示す構成図である。
【図17】図17はこの発明の実施の形態2に係る他の保形用ボーンを示す構成図である。
【図18】図18はこの発明の実施の形態2に係る更に他の保形用ボーンを示す構成図である。
【図19】図19はこの発明の実施の形態2に係る更に他の保形用ボーンを示す構成図である。
【図20】図20は従来の保形用ボーンの作用を示す説明図である。
【図21】図21はこの発明の実施の形態2に係る更に他の保形用ボーンを示す構成図である。
【図22】図22はこの発明の実施の形態3に係る保形用ボーンを示す構成図である。
【図23】図23はこの発明の実施の形態3に係る保形用ボーンを示す構成図である。
【図24】図24はこの発明の実施の形態3に係る他の保形用ボーンを示す構成図である。
【図25】図25はこの発明の実施の形態3に係る更に他の保形用ボーンを示す構成図である。
【符号の説明】
【0073】
10:保形用ボーン、11:ボーン本体、12:被覆層。
【技術分野】
【0001】
この発明は、ブラジャーやウエストニッパー、ボディスーツ、フィットスリップ、レオタード等のファンデーションや水着等のその他の衣類、あるいはプロテクター並びに医療用のコルセット等の身体に装着する装身用品に用いられる保形用ボーンであって、所定の形状を保持したり、補整機能を発揮したりするためなどに用いられる保形用ボーンに関し、特にボーン本体と高密度ポリエチレンからなる被覆層とを組み合わせた保形用ボーンに関するものである。
【背景技術】
【0002】
【特許文献1】実公昭59−5683号公報
【特許文献2】実開平6−39909号公報
【特許文献3】特公平4−47042号公報
【0003】
従来、この種のブラジャーやウエストニッパー、ボディスーツ、フィットスリップ、レオタード等のファンデーションや水着等のその他の衣類、あるいは医療用のコルセット等の身体に装着する装身用品に用いられる保形用ボーンであって、所定の形状を保持したり、補整機能を発揮したりするためなどに用いられる保形用ボーンとしては、例えば、合成樹脂や金属等からなる断面丸形状や断面偏平形状の弾性線材を、そのまま使用するか、あるいは弾性線材を合成樹脂製のチューブ内に挿入した状態で、半円形状に湾曲させたり、直線状に形成したものなどのほか、広幅のフィルム体を細幅に裁断の上、適宜な幅に耳部を二つ折りとした細板状体を、所定の形状又は寸法に形成したものが使用されている。
【0004】
上記保形用ボーンのボーンの多くは、図20に示すように、人体の湾曲乃至は凹凸のあるウエスト等の部位に組み込んで着用することが多い。この場合の製品目的の多くは、レベルの高い緊迫を求めることから、ボーン自体の剛性を必要とし、結果として、現状の一次元的なボーンでは骨格部の骨格に接する部位や、人体屈折時のボーン先端部による人体局部への極度な抵抗を与える欠点を有し、強いては人体骨格から乳房等の脂質層に連接される二つの異なる着用感を持つ部位や、女性の乳房の下側面の湾曲などのように、柔軟で且つ微妙なシルエットを形成する部位には、まったく適さないものである。
【0005】
そこで、従来においても、このような着用感あるいはバストやウエストの保形性を改善するために、例えば、身体に接する側を内方として上面から見た半円状部のほぼ中央部は基準面に対し身体の膨らみに合うように外方に湾曲し、この中央底部から両端部に至る途中部分は基準面に一致する平面となし、これら平面部から両端部よりの部分は再び基準面から外方に湾曲させた湾曲形状を有するもの(実公昭59−5683号公報及び実開平6−39909号公報等)や、外側縁円弧状部分と下側縁円弧状部分と内側縁円弧状部分とが実質的に平面状であり、内側面がその内側下縁より内側上縁に向かって外方向に立ち上がった傾斜面に形成された内面側傾斜形状のもの(特公平4−47042号公報)等が提案されている。
【0006】
しかしながら、上記何れの保形用ボーンもこれを平面上に載置して上方からみた際にその一端から他端までに捩じれがなくて弾性線材の広幅面がほぼ同じ幅で連続した形状になっており、これを衣類のカップ部に組み込んで着用した際にはボーンの一端が腋下側に引っ張られることにより半円形状のボーンの両端が離れる方向に引っ張られて拡がり、この結果、特に使用する弾性線材の断面形状が偏平であるとボーンの弾性変形に基づく強い復元力が発生する。
【0007】
このため、特に歩行や運動等の際にバストが動いてボーンに対する衣類による腋下側への引張力が作用したり作用しなかったりすると、そのたびにボーンにおける弾性変形に基づく復元力が作用したり作用しなかったりすることになり、この結果、このボーンの腋下側の端部やその一部が部分的に腋下に食い込むように当たり、特に長時間に亘って歩行や運動等をする場合にはボーンが当たっている腋下部分が痛くなる等、極めてその着用感が損なわれることがある。
【0008】
更に、従来の保形用ボーンは、これを平面上に載置してその上方から中央底部、身体中心側端部及び腋下側立部を水平方向移動自由な状態で平面上に押しつけ、このボーンを略平坦にして得られる平坦基本形状が概ね略半円形状となっており、このためにこのボーンに所定の湾曲形状を付与すると、バストの下側を支えてバスト形状を設定するその中央底部の幅が必要以上に狭くなり、着用時のフィット感が損なわれるという問題点を有していた。
【0009】
そこで、本発明者らは、このような問題を解決すべく鋭意検討した結果、断面偏平形状のボーンにおいて、単にブレスト下部側に位置する中央底部とブレスト身体中心側に位置する身体中心側立部及びブレスト腋下側に位置する腋下側立部とが平面上から離れる方向に湾曲させるだけでなく、腋下側立部には中央底部の略中心を基準にして45〜90°の範囲でその正面が外側を向く方向に捩れを付与し、かつ、装身時には、腋下側立部がその捩れ形状に基づいて優先的に弾性変形して拡開するように形成することにより、このボーンの腋下側立部がその略全長に亘って広幅面で身体の腋下にフィットし、これによって歩行や運動等によりブレストが動いてもボーンの腋下側の端部やその一部が部分的に腋下に食い込むようなことがなく、極めて良好な着用感とブレスト保形性とが得られるようにしたブレストカップ保形用ボーンについて既に提案している(特許第3313029号公報)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上記従来技術の場合には、次のような問題点を有している。すなわち、上記特許第3313029号公報に係るブレストカップ保形用ボーンの場合には、極めて良好な着用感とブレスト保形性とが得られるようにしたブレストカップ保形用ボーンを提供することができるものの、当該ブレストカップ保形用ボーンは、特殊な形状に形成されているため、ボーンの製造工程が複雑にならざるを得ず、しかも、着用者のサイズや体型に合ったものを複数種類にわたって製造すると、製造コストが高価になってしまうという問題点を有していた。
【0011】
そこで、この発明は、上記従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、保形用ボーンに対する発想を変えて、当該保形用ボーンを構成する素材を適宜選択することによって、製造コストが高価になることなく、良好な着用感と保形性とが得られるようにした保形用ボーンを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するため、請求項1に記載された発明は、身体に装着する装身製品に用いられる保形用ボーンにおいて、
前記保形用ボーンは、ボーン本体と、当該ボーン本体を被覆又は当該ボーン本体と一体的に構成される高密度ポリエチレンからなる被覆層とを備えたことを特徴とする保形用ボーンである。
【0013】
また、請求項2に記載された発明は、身体に装着する装身製品に用いられる保形用ボーンにおいて、
前記保形用ボーンは、耐熱弾性樹脂によって所定の形状に形成されたボーン本体と、当該ボーン本体を所定の厚みをもって被覆する高密度ポリエチレンからなる被覆層とを備えたことを特徴とする保形用ボーンである。
なお、上記ボーン本体を形成する材料としては、耐熱弾性樹脂が用いられるが、耐熱性高弾性樹脂を用いるのがより好ましい。
【0014】
上記ボーン本体は、例えば、耐熱弾性樹脂を金型射出成形又は鋳造することによって所定の形状に形成される。
【0015】
さらに、請求項3に記載された発明は、身体に装着する装身製品に用いられる保形用ボーンにおいて、
前記保形用ボーンは、耐熱弾性樹脂によって細長いフィルム状に形成されたボーン本体と、当該ボーン本体を所定の厚みをもって被覆するフィルム状の高密度ポリエチレンからなる被覆層とを、熱圧着することによって一体的に構成したことを特徴とする保形用ボーンである。
【0016】
ここで、上記ボーン本体は、原材料となる広幅のフィルム状の段階で、熱圧着並びに接着を兼ねる合成樹脂を媒介させてフィルム状の高密度ポリエチレンからなる被覆層と接着し、これを必要な形態にカットする方式によって一体的に構成することが可能である。
【0017】
又、請求項4に記載された発明は、前記請求項1乃至3のいずれか1つに記載された保形用ボーンにおいて、
前記耐熱弾性樹脂からなるボーン本体と、前記高密度ポリエチレンからなる被覆層の両端部は、段差を生じないように、少なくとも一方の厚さを徐々に薄く設定したことを特徴とする保形用ボーンである。
【0018】
このように、耐熱弾性樹脂からなるボーン本体と、前記高密度ポリエチレンからなる被覆層の両端部に段差を生じないように構成することによって、ボーン本体と高密度ポリエチレンからなる被覆層の両端部との間に応力が集中するのを回避することができ、接合点における破断を回避することができる、かつ、人体を補正又は美的目的に向けて保形性を持たせる上でも、ボーン本体の弾性又は硬度を徐々に高密度ポリエチレンの弾性並びに硬度に移行させることが可能となる。
【0019】
更に、請求項5に記載された発明は、前記請求項1乃至4のいずれか1つに記載された保形用ボーンにおいて、
前記保形用ボーンは、第一の金型によってボーン本体を形成し、第二の金型によってボーン本体の外周に被覆層を形成することを特徴とする保形用ボーンである。
【0020】
このように形成される保形用ボーンは、原則として、二次元乃至三次元の形状を必要とするボーンの作成に適するが、別途一次元(フラット体)であっても、ボーンの両端を精密又は特定の形状にデザインする場合、弾性ボーン体を第一の金型としての切断用金型を用いて切断するものをも含むものである。
【0021】
なお、上記第一及び第二の金型は、射出成形用の金型であっても、鋳造用の金型のいずれであっても良い。
【0022】
また、請求項6に記載された発明は、前記請求項1乃至5のいずれか1つに記載された保形用ボーンにおいて、
前記保形用ボーンは、バスト部の補整に使用され、当該保形用ボーンには、高密度ポリエチレン製フィルムの圧縮弾性が相対的に高い部分と相対的に低い部分とを設けたことを特徴とする保形用ボーンである。
【0023】
さらに、請求項7に記載された発明は、前記請求項1乃至5のいずれか1つに記載された保形用ボーンにおいて、
前記保形用ボーンは、バスト部の補整に使用され、当該保形用ボーンには、高密度ポリエチレン製フィルムからなる二枚の被覆層の間に、平板状又は曲線状に形成されたボーン本体をサンドイッチ状に保持して形成されていることを特徴とする保形用ボーンである。
【0024】
又、請求項8に記載された発明は、前記請求項1乃至5のいずれか1つに記載された保形用ボーンにおいて、
前記保形用ボーンは、バスト部の補整に使用され、当該保形用ボーンは、線状に形成された弾性体としての耐熱弾性樹脂又は金属からなるボーン本体と、当該ボーン本体を被覆する高密度ポリエチレンからなる被覆層とを備え、前記保形用ボーンは、弾性変形可能に構成されていることを特徴とする保形用ボーンである。
【発明の効果】
【0025】
この発明によれば、保形用ボーンに対する発想を変えて、当該保形用ボーンを構成する素材を適宜選択することによって、製造コストが高価になることなく、良好な着用感と保形性とが得られるようにした保形用ボーンを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下に、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0027】
実施の形態1
図2はこの発明の実施の形態1に係る保形用ボーンを適用した装身用品としてのウエストニッパーを示す構成図である。
【0028】
このウエストニッパー1は、図2に示すように、女性の体のウエスト部2に着用することによって、ウエスト部2を細く矯正したり、腹部3を押さえたりするために使用される。上記ウエストニッパー1は、伸縮性を有する素材等によって、女性の体型に合わせた略円筒形状に形成されており、当該ウエストニッパー1の上下両端部には、女性のウエスト部2の体型に合わせて、それぞれ開口部4、5が設けられている。また、上記ウエストニッパー1の上端開口部4及び下端開口部5の端縁部には、伸縮性を有するテープ6、7が縫着等の手段によって全周にわたり装着されており、女性のウエスト部2にフィットするように構成されているとともに、当該ウエストニッパー1の上端開口部4及び下端開口部5は、その側面4a、5aがウエストのくびれに合わせて、下方又は上方に向けて凹形状に湾曲した形状に形成されている。
【0029】
また、上記ウエストニッパー1には、図2に示すように、その前面の左右の脇部、及び背部の脇部など所定の位置に、所定本数の保形用ボーン10が縦方向に沿って装着されている。上記保形用ボーン10は、例えば、当該ウエストニッパー1の所定の位置に縦方向に沿って袋状に形成された挿入部(図示せず)に挿入された状態で装着されるか、又は当該ウエストニッパー1の内面に保形用ボーン10を覆うように内側布(図示せず)を縫着することによって装着されている。
【0030】
ところで、この実施の形態では、身体に装着する装身用品に用いられる保形用ボーンにおいて、前記保形用ボーンは、ボーン本体と、当該ボーン本体を被覆する高密度ポリエチレンからなる被覆層とを備えるように構成されている。
【0031】
また、この実施の形態では、身体に装着する装身用品に用いられる保形用ボーンにおいて、前記保形用ボーンは、耐熱弾性樹脂によって所定の形状に形成されたボーン本体と、当該ボーン本体を所定の厚みをもって被覆する高密度ポリエチレンからなる被覆層とを備えるように構成されている。上記ボーン本体は、例えば、耐熱弾性樹脂を金型射出成形又は鋳造することによって所定の形状に形成される。
【0032】
さらに、この実施の形態では、身体に装着する装身用品に用いられる保形用ボーンにおいて、前記保形用ボーンは、耐熱弾性樹脂によって細長いフィルム状に形成されたボーン本体と、当該ボーン本体を所定の厚みをもって被覆するフィルム状の高密度ポリエチレンからなる被覆層とを、熱圧着することによって一体的に構成されている。
【0033】
又、この実施の形態では、前記耐熱弾性樹脂からなるボーン本体と、前記高密度ポリエチレンからなる被覆層の両端部は、段差を生じないように、少なくとも一方の厚さを徐々に薄く設定するように構成されている。
【0034】
更に、この実施の形態では、前記保形用ボーンは、第一の金型によってボーン本体を形成し、第二の金型によってボーン本体の外周に被覆層を形成するように構成されている。
【0035】
すなわち、この実施の形態に係る保形用ボーン10は、図1に示すように、耐熱弾性樹脂好ましくは耐熱性高弾性樹脂によって所定の形状に形成されたボーン本体11と、当該ボーン本体11の表面側を所定の厚みをもって被覆する高密度ポリエチレンからなる被覆層12とを備えるように構成されている。上記ボーン本体11は、例えば、ポリアミド系、ポリエステル系、ポリプロピレン系などの合成樹脂、ポリエステル系の合成樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、全芳香族ポリエステル、ポリカーボネートなどによって形成することができ、さらには高弾性からポリウレタン系の樹脂もボーンの機能によっては、使用することが可能である。また、上記ボーン本体11は、これらの耐熱弾性樹脂好ましくは耐熱性高弾性樹脂によって、略直線状又は厚さ方向や幅方向に沿って湾曲した形状に形成されている。このボーン本体11の形状は、図2に示すように、装着する部位によって異なり、ウエスト前面の脇部のうち、体の前側寄りに配設されるものは、直線状に近い形状に形成され、ウエストの側面寄りに配設されるものは、略中央部が体の前面側に湾曲した形状に形成されたものなどが用いられる。また、このボーン本体11の形状は、図2に示すように、ウエスト背面の脇部寄りに配設されるものは、その両端部が体の外側に向けて湾曲した形状に形成されたものなどが用いられる。
【0036】
さらに、上記ボーン本体11の両端部13、14は、図3に示すように、その平面形状が円弧状に形成されているとともに、両端部13、14の断面形状は、図1に示すように、厚さ方向の内側から外側に向けて、先端部に行くに従って徐々に薄くなるようにテーパー状に形成されている。そして、上記保形用ボーン10には、ボーン本体11と被覆層12との間に段差を生じないように構成されている。
【0037】
一方、上記ボーン本体11を所定の厚みをもって被覆する被覆層12は、高密度ポリエチレンからなるように構成されている。この被覆層12は、その厚さが所定の値に設定されている。ここで、高密度ポリエチレンとは、金属酸化物やアルキルアルミニウムなどを触媒として、常圧または低圧下で重合したポリエチレンであり、密度が0.94〜0.96と他のポリエチレンに比較して高いものをいう。上記高密度ポリエチレンは、そのまま使用してもよいが、重量平均分子量が50万以下の高密度ポリエチレンを30倍以上に超延伸成型したものを用いるのが望ましい。
【0038】
ここで、高密度ポリエチレンを30倍以上に超延伸成型したものを用いるのが望ましい理由は、強度を高めるためであり、延伸することで分子を均一に揃えて結晶化することができ、結果として、引っ張り力に対する耐性を高めることができる。
【0039】
また、重量平均分子量が50万以下の高密度ポリエチレンを用いるのが望ましい理由は、固形用には必ずしも50万という程の高い分子量である必要はないが、重量平均分子量の上限値を規定したものである。
【0040】
また、上記高密度ポリエチレンからなる被覆層12の両端部15、16は、図1に示すように、ボーン本体11との間に段差を生じないように、厚さが徐々に厚くなるように設定されており、保形用ボーン10の両端部15、16は、当該保形用ボーン10全体の厚さに等しい厚さを有する被覆層12のみから構成されている。
【0041】
そして、上記の如く構成されたボーン本体11と被覆層12は、図4に示すように、加熱加圧することによって一体的に圧着され、保形用ボーン10が形成されるようになっている。
【0042】
上記の如く構成される保形用ボーン10を製造するには、図5に示すように、耐熱弾性樹脂からなるボーン本体11を、射出成型用の第一の金型101によって、所定の形状に形成されたキャビティ102に耐熱弾性樹脂を図示しないスプールブッシュから通路103を介して射出することによって成型し、図6に示すように、ボーン本体11を製造する。次に、図7に示すように、射出成型用の第二の金型104を用いて、当該射出成型用の第二の金型104の所定位置に形成されたキャビティ105に、図8に示すように、高密度ポリエチレンからなる被覆層12と共にボーン本体11をセットし、図9に示すように、当該ボーン本体11と被覆層12とを加熱・加圧することによって、ボーン本体11と被覆層12とが一体的に形成され、図10に示すように、保形用ボーン10が製造されるようになっている。なお、図10に示す実施例では、保形用ボーン10が直線状に示されているが、加熱・加圧成型時にキャビティ102、105の形状に応じて所定の湾曲形状に形成しても良いし、加熱・加圧成型後に所定の湾曲形状に形成するように構成しても良い。
【0043】
ただし、図5等に示す製造工程は、使用する樹脂の種類によっては成型が困難な場合も考えらえるが、この場合には、後述するように、シート状乃至フィルム状に形成された二枚の被覆層12の間に、線状あるいは平板状のボーン本体11をサンドイッチ状に配置し、熱圧着等の手段によって、保形用ボーン10を製造するようにしても勿論良い。
【0044】
以上の構成において、この実施の形態に係る保形用ボーンを用いたウエストニッパーでは、次のようにして、保形用ボーンを構成する素材を適宜選択することによって、製造コストが高価になることなく、良好な着用感と保形性とが得られるようになっている。
【0045】
すなわち、この実施の形態に係るウエストニッパー1では、図2に示すように、保形用ボーン10として、耐熱弾性樹脂からなるボーン本体11と、当該ボーン本体11を被覆する被覆層12とからなるものを用いている。この保形用ボーン10を装着したウエストニッパー1を着用した状態で図11に示すように前に屈んだ場合には、図12に示すように、当該保形用ボーン10の上端部及び下端部に張力が作用すると、被覆部12は、高密度ポリエチレンからなり、適度な弾性を有しているため、当該被覆部12の両端部15、16が体の外側に湾曲し、保形用ボーン10の両端が体に食い込むことがなく、優れた着用感及びウエストの保形性を発揮することができる。
【0046】
上記の実施の形態1では、ボーン本体11と被覆層12とを加熱・加圧することによって一体化する場合について説明したが、ボーン本体11と被覆層12とを一体化する射出成型用の第二の金型104に、図13に示すように、ボーン本体11を中央に埋設した状態で被覆する被覆層12を成型するキャビティ110及び樹脂を注入する通路111を設け、当該キャビティ110に被覆層12を形成する高密度ポリエチレン樹脂を注入することによって、ボーン本体11と被覆層12とを一体化するように構成しても良い。
【0047】
実施の形態2
図14はこの発明の実施の形態2を示すものであり、前記実施の形態1と同一の部分には同一の符号を付して説明すると、この実施の形態2は、保形用ボーンをブラジャー用のボーンとして使用するように構成したものである。
【0048】
図14はこの実施の形態2に係る保形用ボーンを適用した装身用品としてのブラジャーを示す構成図である。
【0049】
図14において、21は装身用品としてのブラジャーを示すものであり、このブラジャー21は、女性のバストをそれぞれ覆う左右のカップ部22、23を備えている。これらの左右のカップ部22、23は、当該左右のカップ部22、23の下側に縫着された下辺連結布24によって、一体的に連結されており、この下辺連結布24の左右両側には、女性の体の背面側で互いに係止される図示しない左右の側布がそれぞれ縫着されている。これら左右の側布の先端部には、フックやアイ等からなる図示しない係止具が、縫着等の手段によって取り付けられている。また、上記左右のカップ部22、23の三角形状に形成された上端部には、女性の肩に掛けるストラップ25、26がそれぞれ装着されている。
【0050】
上記ブラジャー21に使用される保形用ボーン10としては、図15に示すように、左右のカップ部22、23の下端縁に沿って、略円弧状に形成されたものが、当該左右のカップ部22、23の下端縁に沿って図示しない当て布を介して縫着されている。この保形用ボーン10は、図1に示す保形用ボーン10と同様に構成されており、所定の形状に湾曲させた状態で形成されている。
【0051】
上記実施の形態2に係る保形用ボーン10の場合には、身体中心側端部15及び腋下側立部16が、被覆層12としての高密度ポリエチレンによって形成されているため、体の動きに合わせて容易に変形し、保形用ボーン10の端部が腋下側などに食い込むように当たることがなく、極めて優れた着用感を得ることができる。
【0052】
しかも、保形用ボーン10の被覆層12は、高密度ポリエチレンによって形成されているため、繰り返しの曲げ応力や圧縮力、あるいは伸張力に対しても十分な強度を有しており、保形用ボーン10本来の機能を長期間維持することが可能となる。その際、上記高密度ポリエチレンとしては、重量平均分子量が50万以下の高密度ポリエチレンを30倍以上に超延伸成型したものを用いると、更に十分な強度を有しているため望ましい。
【0053】
また、上記保形用ボーン20としては、上記のものに限らず、図16に示すように、ブラジャー21の左右のカップ部22、23の下端縁ではなく、当該左右のカップ部22、23の身体中心側や腋下側立部であって、下端縁よりも上方の位置からカップ部22、23の下端中央部に向けて、それぞれ略直線状乃至カップ部22、23の曲面に沿った湾曲状に形成したものを用いても良い。
【0054】
これらの保形用ボーン20としても、基本的には、図1に示す保形用ボーン10と同様に構成されたものが用いられる。
【0055】
ただし、これに限定されるものではなく、図17に示すように、高密度ポリエチレンからなる被覆層12が、所定の長さを有するように、ボーン本体11の少なくとも一方の端部又は両端部から長く突出するように形成されており、図16に示すように、左右のカップ部22、23等の形状に合わせて、屈曲が容易となるように構成されている。なお、上記被覆層12の長さは、カップ部22、23等の形状等に合わせて適宜設定される。
【0056】
また、上記保形用ボーン10、20としては、ボーン本体11の材質を、被覆層12の材質と異ならせる必要は必ずしもなく、ボーン本体11と被覆層12を同じ材質で形成しても良い。
【0057】
即ち、上記保形用ボーン10、20のボーン本体11と被覆層12を同じ材質で形成する場合には、図18に示すように、ボーン本体11と被覆層12とを、高密度ポリエチレンによって形成するとともに、予めボーン本体11に相当する部分の厚さを厚く設定するとともに、被覆層12に相当する部分の厚さを、ボーン本体11に相当する部分よりも薄く、且つ先端部にいくに従って徐々に厚さが薄くなるように形成した高密度ポリエチレンからなる保形用ボーン10、20のための素材30を用意し、当該素材30をプレス用の金型を用いて加熱加圧することによって、図19に示すように、均一な厚さに成形し、ボーン本体11の密度をより一層高く設定して、ボーン本体11と被覆層12を同じ材質で一体的に形成しても良い。
【0058】
その他の構成及び作用は、前記実施の形態1と同様であるので、その説明を省略する。
【0059】
なお、上記保形用ボーンを適用した装身用品としては、ウエストニッパーやブラジャー等に限定されるものではなく、医療用のコルセット等の身体に装着するものであれば広く、広く適用できることは勿論である。
【0060】
実施の形態3
図21はこの発明の実施の形態3を示すものであり、前記実施の形態1と同一の部分には同一の符号を付して説明すると、この実施の形態3は、耐熱性高弾性樹脂等からなるボーン本体と、高密度ポリエチレンからなる被覆層との接着性を改善し、両者の一体化を容易とするように構成したものである。
【0061】
図21はこの実施の形態3に係る保形用ボーンを示す構成図である。
【0062】
本発明に係る保形用ボーンは、耐熱性高弾性樹脂等からなるボーン本体、及び高密度ポリエチレンからなる被覆層として、何れも略製品形状を持ったものを、熱圧着による癒着、又は媒介樹脂を介して接着して一体化させる方式、さらには鋳造方式、又は射出成形方式等によって、略製品化されたボーン本体と一体成型するものである。
【0063】
これに対し、図21に示すように、最も効率的且つ簡略的に一体化させる長尺状又は板状のフィルム体40、41に、ボーン本体11を並べて、一時に多くの量をプレスによって熱圧着し、フィルム体40、41に埋め込み、これを必要とする寸法又は形状に裁断又はプレスカットする方法によっても製造することができる。
【0064】
さらに説明すると、図22に示すように、長尺状又は板状のフィルム体40、41を二枚合わせてサンドイッチ状に形成し、中にボーン本体11をセットプレスによって熱圧着することによって製造することができる。
【0065】
また、上記耐熱性高弾性樹脂等からなるボーン本体と、高密度ポリエチレンからなる被覆層との接着性を改善する技術としては、図23に示すように、熱圧着、並びに熱接着方式を含め高密度ポリエチレンからなる被覆層12が、熱圧着時の熱と圧力によりボーン本体11の一部又は全面に穴42又は凹凸部43を穿設することにより、当該穴42又は凹凸部43を介して、含浸的、物性的融着をし剥離を防止することができる。
【0066】
また、図23に示すように、連続したS字形状又はコイル状のボーン本体11を耐熱性高弾性樹脂又は金属線によって形成した上、(現在、S字ボーン、コイルボーンとして市販されている)、上述した方式によって製品としてのボーンを作成することによって、体の捩じれ又は前後の屈折に対応することのできるボーンを提供することができる。
【0067】
さらに、この実施の形態3では、保形用ボーン10は、図24に示すように、バスト部の補整に使用され、当該保形用ボーン10には、高密度ポリエチレン製フィルムからなる二枚の被覆層12の間に、平板状又は曲線状に形成されたボーン本体11をサンドイッチ状に保持して形成されている。
【0068】
また、この実施の形態3では、保形用ボーン10は、図25に示すように、バスト部の補整に使用され、当該保形用ボーンは、線状に形成された弾性体としての耐熱弾性樹脂又は金属からなるボーン本体と、当該ボーン本体を被覆する高密度ポリエチレンからなる被覆層とを備え、前記保形用ボーンは、弾性変形可能に構成されている。
【0069】
このように、図24に示すようなパターン形状のボーン体、図25に示すような伸びる部分にあたる部分、又は人体チェスト部等の乳房部に重なる部分を、高密度ポリエチレンからなる被覆層のみで形成するように構成しても良い。
【0070】
このような保形用ボーンは、三次元形状であることが前提であるが、製品の身体構造として内蔵させてから、三次元モールド成型によって製品と一体で三次元形状とするように構成しても良い。
【0071】
その他の構成及び作用は、前記実施の形態1と同様であるので、その説明を省略する。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】図1はこの発明の実施の形態1に係る保形用ボーンを示す断面図である。
【図2】図2はこの発明の実施の形態1に係る保形用ボーンを適用した装身用品としてのウエストニッパーを示す構成図である。
【図3】図3はこの発明の実施の形態1に係る保形用ボーンを示す分解構成図である。
【図4】図4はこの発明の実施の形態1に係る保形用ボーンを示す分解構成図である。
【図5】図5はこの発明の実施の形態1に係る保形用ボーンの製造工程を示す断面構図である。
【図6】図6はこの発明の実施の形態1に係る保形用ボーンの製造工程を示す断面構図である。
【図7】図7はこの発明の実施の形態1に係る保形用ボーンの製造工程を示す断面構図である。
【図8】図8はこの発明の実施の形態1に係る保形用ボーンの製造工程を示す断面構図である。
【図9】図9はこの発明の実施の形態1に係る保形用ボーンの製造工程を示す断面構図である。
【図10】図10はこの発明の実施の形態1に係る保形用ボーンの製造工程を示す断面構図である。
【図11】図11はこの発明の実施の形態1に係る保形用ボーンの作用を示す説明図である。
【図12】図12はこの発明の実施の形態1に係る保形用ボーンの作用を示す説明図である。
【図13】図13はこの発明の実施の形態1に係る保形用ボーンの他の製造工程を示す断面構図である。
【図14】図14はこの発明の実施の形態2に係る保形用ボーンを適用した装身用品としてのブラジャーを示す構成図である。
【図15】図15はこの発明の実施の形態2に係る保形用ボーンを示す断面図である。
【図16】図16はこの発明の実施の形態2に係る保形用ボーンを適用した装身用品としてのブラジャーの要部を示す構成図である。
【図17】図17はこの発明の実施の形態2に係る他の保形用ボーンを示す構成図である。
【図18】図18はこの発明の実施の形態2に係る更に他の保形用ボーンを示す構成図である。
【図19】図19はこの発明の実施の形態2に係る更に他の保形用ボーンを示す構成図である。
【図20】図20は従来の保形用ボーンの作用を示す説明図である。
【図21】図21はこの発明の実施の形態2に係る更に他の保形用ボーンを示す構成図である。
【図22】図22はこの発明の実施の形態3に係る保形用ボーンを示す構成図である。
【図23】図23はこの発明の実施の形態3に係る保形用ボーンを示す構成図である。
【図24】図24はこの発明の実施の形態3に係る他の保形用ボーンを示す構成図である。
【図25】図25はこの発明の実施の形態3に係る更に他の保形用ボーンを示す構成図である。
【符号の説明】
【0073】
10:保形用ボーン、11:ボーン本体、12:被覆層。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
身体に装着する装身用品に用いられる保形用ボーンにおいて、
前記保形用ボーンは、ボーン本体と、当該ボーン本体を被覆又は当該ボーン本体と一体的に構成される高密度ポリエチレンからなる被覆層とを備えたことを特徴とする保形用ボーン。
【請求項2】
身体に装着する装身用品に用いられる保形用ボーンにおいて、
前記保形用ボーンは、耐熱弾性樹脂によって所定の形状に形成されたボーン本体と、当該ボーン本体を所定の厚みをもって被覆する高密度ポリエチレンからなる被覆層とを備えたことを特徴とする保形用ボーン。
【請求項3】
身体に装着する装身用品に用いられる保形用ボーンにおいて、
前記保形用ボーンは、耐熱弾性樹脂によって細長いフィルム状に形成されたボーン本体と、当該ボーン本体を所定の厚みをもって被覆するフィルム状の高密度ポリエチレンからなる被覆層とを、熱圧着することによって一体的に構成したことを特徴とする保形用ボーン。
【請求項4】
前記請求項1乃至3のいずれか1つに記載された保形用ボーンにおいて、
前記耐熱弾性樹脂からなるボーン本体と、前記高密度ポリエチレンからなる被覆層の両端部は、段差を生じないように、少なくとも一方の厚さを徐々に薄く設定したことを特徴とする保形用ボーン。
【請求項5】
前記請求項1乃至4のいずれか1つに記載された保形用ボーンにおいて、
前記保形用ボーンは、第一の金型によってボーン本体を形成し、第二の金型によってボーン本体の外周に被覆層を形成することを特徴とする保形用ボーン。
【請求項6】
前記請求項1乃至5のいずれか1つに記載された保形用ボーンにおいて、
前記保形用ボーンは、バスト部の補整に使用され、当該保形用ボーンには、高密度ポリエチレン製フィルムの圧縮弾性が相対的に高い部分と相対的に低い部分とを設けたことを特徴とする保形用ボーン。
【請求項7】
前記請求項1乃至5のいずれか1つに記載された保形用ボーンにおいて、
前記保形用ボーンは、バスト部の補整に使用され、当該保形用ボーンには、高密度ポリエチレン製フィルムからなる二枚の被覆層の間に、平板状又は曲線状に形成されたボーン本体をサンドイッチ状に保持して形成されていることを特徴とする保形用ボーン。
【請求項8】
前記請求項1乃至5のいずれか1つに記載された保形用ボーンにおいて、
前記保形用ボーンは、バスト部の補整に使用され、当該保形用ボーンは、線状に形成された弾性体としての耐熱弾性樹脂又は金属からなるボーン本体と、当該ボーン本体を被覆する高密度ポリエチレンからなる被覆層とを備え、前記保形用ボーンは、弾性変形可能に構成されていることを特徴とする保形用ボーン。
【請求項1】
身体に装着する装身用品に用いられる保形用ボーンにおいて、
前記保形用ボーンは、ボーン本体と、当該ボーン本体を被覆又は当該ボーン本体と一体的に構成される高密度ポリエチレンからなる被覆層とを備えたことを特徴とする保形用ボーン。
【請求項2】
身体に装着する装身用品に用いられる保形用ボーンにおいて、
前記保形用ボーンは、耐熱弾性樹脂によって所定の形状に形成されたボーン本体と、当該ボーン本体を所定の厚みをもって被覆する高密度ポリエチレンからなる被覆層とを備えたことを特徴とする保形用ボーン。
【請求項3】
身体に装着する装身用品に用いられる保形用ボーンにおいて、
前記保形用ボーンは、耐熱弾性樹脂によって細長いフィルム状に形成されたボーン本体と、当該ボーン本体を所定の厚みをもって被覆するフィルム状の高密度ポリエチレンからなる被覆層とを、熱圧着することによって一体的に構成したことを特徴とする保形用ボーン。
【請求項4】
前記請求項1乃至3のいずれか1つに記載された保形用ボーンにおいて、
前記耐熱弾性樹脂からなるボーン本体と、前記高密度ポリエチレンからなる被覆層の両端部は、段差を生じないように、少なくとも一方の厚さを徐々に薄く設定したことを特徴とする保形用ボーン。
【請求項5】
前記請求項1乃至4のいずれか1つに記載された保形用ボーンにおいて、
前記保形用ボーンは、第一の金型によってボーン本体を形成し、第二の金型によってボーン本体の外周に被覆層を形成することを特徴とする保形用ボーン。
【請求項6】
前記請求項1乃至5のいずれか1つに記載された保形用ボーンにおいて、
前記保形用ボーンは、バスト部の補整に使用され、当該保形用ボーンには、高密度ポリエチレン製フィルムの圧縮弾性が相対的に高い部分と相対的に低い部分とを設けたことを特徴とする保形用ボーン。
【請求項7】
前記請求項1乃至5のいずれか1つに記載された保形用ボーンにおいて、
前記保形用ボーンは、バスト部の補整に使用され、当該保形用ボーンには、高密度ポリエチレン製フィルムからなる二枚の被覆層の間に、平板状又は曲線状に形成されたボーン本体をサンドイッチ状に保持して形成されていることを特徴とする保形用ボーン。
【請求項8】
前記請求項1乃至5のいずれか1つに記載された保形用ボーンにおいて、
前記保形用ボーンは、バスト部の補整に使用され、当該保形用ボーンは、線状に形成された弾性体としての耐熱弾性樹脂又は金属からなるボーン本体と、当該ボーン本体を被覆する高密度ポリエチレンからなる被覆層とを備え、前記保形用ボーンは、弾性変形可能に構成されていることを特徴とする保形用ボーン。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図2】
【図3】
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【図6】
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【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【公開番号】特開2007−154346(P2007−154346A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−349822(P2005−349822)
【出願日】平成17年12月2日(2005.12.2)
【出願人】(306040805)株式会社MIC (9)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年12月2日(2005.12.2)
【出願人】(306040805)株式会社MIC (9)
【Fターム(参考)】
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