説明

保持及び駆動締結具用の改良された駆動ソケットデザイン

【課題】保持及び駆動締結具用の改良された駆動ソケットデザインを提供する。
【解決手段】駆動ソケット102を有する駆動ツール100である。駆動ソケット102は、交互配置の縦溝104及びローブ106を有し、そして円錐区間108を持つ。ローブ106は、ソケット102の円錐区間108でテーパ状にされているのではなく、駆動ソケット102の端部110に至るまで、各々幅が均一である。駆動ソケット102の円錐区間108においてローブ106の幅が均一であるという事実は、締結具の円錐区間の縦溝との間を良好に係合する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に駆動ソケットに関し、特に保持及び駆動締結具用の改良された駆動ソケットデザインに関する。
【背景技術】
【0002】
米国特許第6,158,310号は、参照により完全にここに組み入れられる。本願の図1は、‘310号特許の図1である。図1に示されているように、‘310号特許は、駆動ヘッド24及び長い本体26を持つ有頭スタッド又は締結具22の形態の駆動システム20を開示している。駆動ヘッド24と長い本体26との間には、概ね円錐形の遷移部分28がある。長い本体26上には、ネジ部34が形成されており、また遷移部分28は、交互配置の縦溝38及びローブ40を有する。縦溝38及びローブ40の各々は、駆動ヘッド24と遷移部分28とが一致する点42から長い本体26に至るまで、外向きにテーパ状になっており、また遷移部分28上の各ローブ40は、ネジ部44を有する。駆動ヘッド24も、遷移部分28上の縦溝38及びローブ40と一列に並ぶ交互配置の縦溝46及びローブ48を有する。
【0003】
図1に示されているように、対応する駆動ツール30も開示されている。このツールは、駆動ソケット32を有する。このソケットは、締結具22の駆動ヘッド24及び遷移部分28の外形と対応するように、その形状及び構成が設定されている。そのようなものとして、駆動ソケット32も、交互配置の縦溝50及びローブ52を有する。具体的には、駆動ソケット32が締結具22の駆動ヘッド24と係合されるときに(即ち、締結具22を駆動するために)、縦溝50の部分54は、締結具22の遷移部分28のローブ40を受け入れ、また縦溝50の部分56は、締結具22の駆動ヘッド24のローブ48を受け入れる。同様に、ローブ52の部分58は、締結具22の遷移部分28の縦溝38と係合し、またローブ52の部分60は、締結具22の駆動ヘッド24の縦溝46と係合する。図1に示されているように、駆動ソケット32の縦溝50及びローブ52のそれぞれの部分54及び58は、駆動ソケット32の概ね円錐形の区間70内に配設されており、そしてこれらの部分54,58は、円錐区間70が駆動ソケット32内で開始する点43から駆動ツール30の端部72へ向かって延びるに従い、テーパ状になる(即ち、広がる)。逆に、駆動ソケット32の縦溝50及びローブ52のそれそれの部分56及び60は、駆動ツール30の内部領域74から円錐区間70が駆動ソケット32内で開始する点43に至るまで、均一な幅のままである。
【0004】
駆動ソケット32は、締結具22を駆動するように作用するものであるが、締結具22の遷移部分28の縦溝38と十分に係合することがないように構成されている。例えば、ネジ部形成においては、締結具の円錐区間の縦溝部分にもある程度ネジ部が越えることがある。そのようなものとして、円錐又は遷移区間のソケットのローブは、十分なクリアランスを与えることがない。従って、このソケットデザインは、ねじりネジ区間破壊の目標究極破壊モードを常に達成するものではない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の一実施形態の1つの目的は、保持及び駆動締結具用の改良された駆動ソケットデザインを提供するにある。
【0006】
本発明の一実施形態のもう1つの目的は、締結具の円錐区間の縦溝と良好に係合する駆動ソケットデザインを提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
簡単に、そして前述したことの少なくとも1つに従って、本発明の一実施形態は、本発明の好ましい実施形態に係る駆動ソケットを提供する。この駆動ソケットは駆動ツールの一部である。この駆動ソケットは、‘310号特許に開示されている駆動ソケット32よりも良好に、締結具の円錐区間の縦溝、例えば図1の締結具22の円錐区間28の縦溝38と係合するように構成されている。具体的には、本発明の一実施形態に係る駆動ソケットは、交互配置の縦溝及びローブを有する。ローブは、‘310号特許に開示されているように締結具の円錐区間でテーパ状にされるのではなく、円錐区間では駆動ソケットの端部に至るまで、各々幅が均一である。駆動ソケットの円錐区間においてローブの幅が均一であるという事実は、締結具の円錐区間の縦溝、例えば図1に示された締結具22の縦溝38との間の良好な係合を可能にする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
この発明の構造及び動作の組織及び手法は、その更なる目的及び利点と共に、添付の図面に関連してなされる以下の説明を参照することによって、最も良く理解される。図面では、同様の参照番号は、同様の要素を識別する。
【0009】
この発明は異なる形の実施形態に受け入れ可能であるが、特定の実施形態が図面に示され、ここで詳細に説明される。本開示は、発明の原理の例示として考えられるべきものであって、発明をここに図示されたものに限定することを意図されたものではない、と理解されるべきである。
【0010】
図5は、本発明の好ましい実施形態に係る駆動ソケット102を有した駆動ツール100を描いている。この駆動ソケット102は、310号特許に開示されている駆動ソケット32よりも良好に、締結具の円錐区間の縦溝、例えば図1の締結具22の円錐区間28の縦溝38と係合するように構成されている。具体的には、駆動ソケット102は、交互配置の縦溝104及びローブ106を有する。ローブ106は、310号特許に開示されているように駆動ソケット102の円錐区間108でテーパ状にされるのではなく、円錐区間108では駆動ソケット102の端部110に至るまで、各々幅が均一である。円錐区間108においてローブ106の幅が均一であるという事実は、駆動ソケット102の円錐区間108の縦溝104に多くのクリアランスを与え、締結具の円錐区間の縦溝、例えば図1に示され且つ310号特許に開示されている締結具22の縦溝38との間の良好な係合を可能にする。
【0011】
図5に示されているように、駆動ツール100は概ね円筒形で、第1の、前端110(図6参照)と、第2の、後端112(図10参照)とを持つ。図3に示されているように、駆動ツール100は、駆動ツール100の第1端110から第2端112へ延びた中心開口114を有する。図2〜5に示されているように、駆動ソケット102は、駆動ツール100の第1端110の付近に設けられている。図3〜5及び8〜9に示されているように、駆動ソケット102の円錐区間108は、駆動ツール100の第1端110から、駆動ツール100の内部116を、駆動ソケット102の非円錐区間118まで延びている。駆動ソケット102の円錐及び非円錐区間108,118の双方は、交互配置された縦溝104及びローブ106を有する。これらの縦溝及びローブは、締結具、例えば310号特許に開示され且つ図1に示された締結具22上に交互配置された縦溝及びローブとそれぞれ係合するように構成されている。ローブ106の各々は、それらの全長に沿って幅が均一である。より具体的には、ローブ106は、駆動ツール100の第1端110から円錐区間108及び非円錐区間118に沿って延びるときに、幅を変えない。円錐区間108においてローブ106の幅が均一であるという事実は、駆動ソケット102の円錐区間108の縦溝104にさらなるクリアランスをもたらし、締結具の円錐区間の縦溝(例えば図1に示された締結具22の縦溝38)との間の良好な係合に備える。
【0012】
逆に、縦溝104は、非円錐区間118では幅が均一であるが、縦溝104は、駆動ツール100の円錐区間108と非円錐区間118とが一致する点120から駆動ツール100の端部110へ向かって延びるに従い、外向きにテーパ状になる(即ち、広がる)(例えば、図6〜9参照)。
【0013】
図3に示されているように、駆動ソケット102の円錐区間108における縦溝104の各々は、円錐区間108の180度離れた1つの縦溝に対して64度の角度を形成する(換言すれば、縦溝104は、駆動ツール100の縦軸122に対して32度の角度を形成する)ことがある。この代わりに、駆動ソケット102の円錐区間108における縦溝104の各々は、円錐区間108の180度離れた1つの縦溝に対して他の角度、例えば80度の角度を形成することもある(換言すれば、縦溝104は、駆動ツール100の縦軸122に対して40度の角度を形成することもある)。勿論、更に他の角度及び構成も可能である。にもかかわらず、図4に示されているように、駆動ソケット102の円錐区間108におけるローブ106の各々は、円錐区間108の180度離れた1つのローブに対して50度の角度を形成する(換言すれば、ローブ106は、駆動ツール100の縦軸122に対して25度の角度を形成する)ことが好ましい。勿論、更に他の角度及び構成も可能である。
【0014】
図10に示されているように、駆動ツール100の中心開口114は、駆動ツール100の後端112に方形駆動部材(図示せず)を受けるための開口124を与えるようにするものであることが好ましい。勿論、駆動ツール100の後端112は、駆動ツール100に係合されることになる駆動部材に依存して、他の構成及び外形を取ることもある。図示のように、駆動ツール100の後端112が方形駆動部材を受けるように構成されている場合、駆動ツール100は、駆動部材上のボールデタントを受けるための開口126を有し、これにより駆動部材を固定的に保持することが好ましい。また、開口124内への駆動部材の受け入れを容易にするための傾斜壁面128を持つことが好ましい。
【0015】
駆動ツール100は、‘310号特許に開示されているような締結具22を駆動することに使用可能であると論じられてきたが、この駆動ツール100は、異なる形状及び構成の締結具、例えば締結具の円錐又は遷移区間でテーパ状になっていないローブを持つ締結具を駆動することにも使用可能である
【0016】
発明の好ましい実施形態が図示され説明されてきたが、当業者は、先の説明の精神及び範囲を逸脱することなしに、種々の変形を工夫することがあるものと想像される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】締結具の駆動端と駆動ツールの分解斜視図であり、駆動ツールは一部断面で示されており、締結具と駆動ツールは米国特許第6,158,310号に開示された特色を組み入れている。
【図2】本発明の一実施形態に係る駆動ツールの端面図である。
【図3】図2の線A−Aに沿った駆動ツールの断面図である。
【図4】図2の線B−Bに沿った駆動ツールの断面図である。
【図5】駆動ツールの斜視図である。
【図6】駆動ツールの端部の拡大斜視図である。
【図7】駆動ツールの端部の拡大図である。
【図8】図5の線C−Cに沿った駆動ツールの断面図である。
【図9】図8と同様であるが、駆動ツールの端部の近接図である。
【図10】駆動ツールのもう1つの斜視図であり、駆動部材との係合用に構成されたその後端を示している。
【符号の説明】
【0018】
100 駆動ツール
102 駆動ソケット
104 縦溝
106 ローブ
108 円錐区間
110 第1端(前端)
112 第2端(後端)
114 中心開口
116 内部
118 非円錐区間
120 点
122 縦軸
126 開口
128 傾斜壁面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
締結具に係合するように構成された駆動ツール部材(100)のソケット(102)であって、前記ソケット(102)は、締結具に係合するように構成された円錐区間(108)と、ソケット(102)の円錐区間(108)に交互配置された縦溝(104)及びローブ(106)とを備え、前記ローブ(106)は、ソケット(102)の円錐区間(108)内でソケット(102)の端部(110)に至るまで、均一な幅を持つことを特徴とするソケット(102)。
【請求項2】
ソケット(102)は、非円錐区間(118)を更に備える請求項1に記載のソケット(102)。
【請求項3】
ソケット(102)の非円錐区間(118)は、交互配置の縦溝(104)及びローブ(106)を備える請求項2に記載のソケット(102)。
【請求項4】
ローブ(106)は、ソケット(102)の円錐区間(108)及び非円錐区間(118)の双方で幅が均一である請求項3に記載のソケット(102)。
【請求項5】
縦溝(104)は、ソケット(102)の円錐区間(108)では幅がテーパ状になる請求項1に記載のソケット(102)。
【請求項6】
縦溝(104)は、ソケット(102)の円錐区間(108)では幅がテーパ状になり、またソケット(102)の非円錐区間(118)では幅が均一である請求項3に記載のソケット(102)。
【請求項7】
縦溝(104)は、ソケット(102)の円錐区間(108)では幅がテーパ状になり、またソケット(102)の非円錐区間(118)では幅が均一である請求項4に記載のソケット(102)。
【請求項8】
縦溝(104)は、ソケット(102)の円錐区間(108)と非円錐区間(118)とが一致する点(120)から駆動ツール部材(100)の端部(110)まで延びるに従い、ソケット(102)の円錐区間(108)では外向きにテーパ状になる請求項2に記載のソケット(102)。
【請求項9】
縦溝(104)は、ソケット(102)の円錐区間(108)と非円錐区間(118)とが一致する点(120)から駆動ツール部材(100)の端部(110)まで延びるに従い、ソケット(102)の円錐区間(108)では外向きにテーパ状になる請求項3に記載のソケット(102)。
【請求項10】
縦溝(104)は、ソケット(102)の円錐区間(108)と非円錐区間(118)とが一致する点(120)から駆動ツール部材(100)の端部(110)まで延びるに従い、ソケット(102)の円錐区間(108)では外向きにテーパ状になる請求項4に記載のソケット(102)。
【請求項11】
縦溝(104)は、ソケット(102)の非円錐区間(118)では幅が均一である請求項10に記載のソケット(102)。
【請求項12】
ソケット(102)の円錐区間(108)におけるローブ(106)の各々は、円錐区間(108)の180度離れたもう1つのローブに対して50度の角度を形成し、円錐区間(108)におけるローブ(106)は、駆動ツール(100)の縦軸(122)に対して25度の角度を形成する請求項1に記載のソケット(102)。
【請求項13】
ソケット(102)の円錐区間(108)における縦溝(104)の各々は、円錐区間(108)の180度離れたもう1つの縦溝に対して64度の角度を形成し、円錐区間(108)における縦溝(104)は、駆動ツール(100)の縦軸(122)に対して32度の角度を形成する請求項1に記載のソケット(102)。
【請求項14】
ソケット(102)の円錐区間(108)におけるローブ(106)の各々は、円錐区間(108)の180度離れたもう1つのローブに対して50度の角度を形成し、円錐区間(108)におけるローブ(106)は、駆動ツール(100)の縦軸(122)に対して25度の角度を形成する請求項13に記載のソケット(102)。
【請求項15】
ソケット(102)の円錐区間(108)における縦溝(104)の各々は、円錐区間(108)の180度離れたもう1つの縦溝に対して80度の角度を形成し、円錐区間(108)における縦溝(104)は、駆動ツール(100)の縦軸(122)に対して40度の角度を形成する請求項1に記載のソケット(102)。
【請求項16】
ソケット(102)の円錐区間(108)におけるローブ(106)の各々は、円錐区間(108)の180度離れたもう1つのローブに対して50度の角度を形成し、円錐区間(108)におけるローブ(106)は、駆動ツール(100)の縦軸(122)に対して25度の角度を形成する請求項15に記載のソケット(102)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−284680(P2008−284680A)
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−125390(P2008−125390)
【出願日】平成20年5月13日(2008.5.13)
【出願人】(507065795)アキュメント インテレクチュアル プロパティーズ エルエルシー (11)