説明

保持脱離治具及び取扱治具

【課題】粘着保持された被粘着物のほとんどすべてを脱離させることのできる保持脱離治具及び取扱治具を提供すること。
【解決手段】被粘着物を粘着保持する粘着保持部12と、この粘着保持部12に粘着保持された被粘着物を脱離させるときに被粘着物が押圧される押圧方向側に形成された粘着保持不能部13とを有する弾性部材を備えて成る保持脱離治具1、並びに、この保持脱離治具1と、保持脱離治具1の表面に沿って相対的に移動して粘着保持された被粘着物を脱離させる脱離具とを備えて成る取扱治具。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、保持脱離治具及び取扱治具に関し、さらに詳しくは、粘着保持された被粘着物のほとんどすべてを脱離させることのできる保持脱離治具及び取扱治具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、チップコンデンサ等の小型部品等を製造する際等に、この小型部品等を製造可能な小型部品用部材等をその表面に粘着保持可能な保持治具が用いられている。例えば、特許文献1に記載の保持治具は、「少なくとも表面部が粘着性を有するゴム弾性材で形成され、その粘着力により小型部品をその弾性材表面において密着保持可能であることを特徴とする」(特許文献1の請求項1参照)。このような保持治具を用いて製造された小型部品等は保持治具から取り外される。
【0003】
保持治具から小型部品等を取り外す方法として、例えば、スクレイパー等の小型部品掻き取り部材を弾性材表面上に摺動させて、粘着保持された小型部品等を取り外す方法がある。このような方法として、具体的には、特許文献2には、「支持体と支持体の一面に形成された粘着層とを有する電子部品保持具の該粘着層に複数の電子部品を粘着により保持する工程と、前記粘着層に保持されている電子部品に所定の処理を施す工程と、前記ブレードの先端により粘着層を凹ませ、その状態でブレードを粘着層表面方向に相対的に移動させることにより電子部品を粘着層から離脱させる工程とを備える、電子部品の取扱い方法。」が記載されている(請求項4等参照。)。
【0004】
特許文献2に記載の方法は、「ブレードの先端により粘着層を凹ませ、その状態でブレードを粘着層表面方向に相対的に移動させる」ことによって、特許文献2の図3に示されるように、電子部品2を傾斜させて離脱させる方法であるから、電子部品の寸法、粘着層の凹ませ状態、粘着層の粘着力、ブレードの移動速度等を適切に設定しないと、電子部品が転倒して粘着層表面に再粘着し、粘着層から所望のように取り外せないことがある。
【0005】
特に小型部品等は、年々小型化されているので、小型部品等の寸法が小さくなるほど、前記したような小型部品等が再粘着してしまうという問題が生じやすくなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特公平07−93247号公報
【特許文献2】特開2003−77772号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この発明は、粘着保持された被粘着物のほとんどすべてを脱離させることのできる保持脱離治具及び取扱治具を提供することを、目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するための手段として、
請求項1は、弾性部材を備えて成る保持脱離治具であって、前記弾性部材は、被粘着物を粘着保持する粘着保持部と、前記粘着保持部に粘着保持された被粘着物を脱離させるときに被粘着物が押圧される押圧方向側に形成された粘着保持不能部とを有していることを特徴とする保持脱離治具であり、
請求項2は、請求項1に記載の弾性部材と前記弾性部材を支持する支持部材とを備えて成ることを特徴とする保持脱離治具であり、
請求項3は、請求項1又は2に記載の保持脱離治具と、前記保持脱離治具の表面に沿って相対的に移動して粘着保持された被粘着物を脱離させる脱離具とを備えて成ることを特徴とする取扱治具であり、
請求項4は、被粘着物を粘着保持する弾性部材を有して成る保持治具を備え、前記弾性部材は、前記保持脱離治具の粘着保持部よりも小さな粘着力を有していることを特徴とする請求項3に記載の取扱治具であり、
請求項5は、被粘着物を粘着保持する弾性部材を有して成る第1保持治具及び第2保持治具を備え、前記保持脱離治具の粘着保持部、前記第2保持治具及び前記第1保持治具は、条件:粘着保持部>第2保持治具>第1保持治具を満たす粘着力を有していることを特徴とする請求項3に記載の取扱治具であり、
請求項6は、前記脱離具は、前記保持脱離治具の両端縁近傍それぞれを載置して摺動させる一対の摺動部と、前記摺動部よりも下方で前記一対の摺動部に挟まれるように前記一対の摺動部の間に形成され、前記保持脱離治具に粘着保持された前記被粘着物が衝突する被衝突面とを有して成ることを特徴とする請求項3〜5のいずれか1項に記載の取扱治具である。
【発明の効果】
【0009】
この発明に係る保持脱離治具は、粘着保持部と前記押圧方向側に形成された粘着保持不能部とを有する弾性部材を備えて成るから、前記粘着保持部に粘着保持された被粘着物を所定の押圧方向に押圧すると、被粘着物はその粘着保持状態にかかわらず押圧方向に摺動されて粘着保持不能部に到達し、又は、押圧方向側に転倒して前記粘着保持不能部に接触し、被粘着物が弾性部材から脱離する。
【0010】
また、この発明に係る取扱治具は、この発明に係る保持脱離治具と前記保持脱離治具の表面に沿って相対的に移動する脱離具とを備えて成るから、前記脱離具の前記相対的な移動によって、前記保持脱離治具に粘着保持された被粘着物を粘着保持不能部に到達又は接触させることができる。
【0011】
したがって、この発明によれば、粘着保持された被粘着物のほとんどすべてを脱離させることのできる保持脱離治具及び取扱治具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、この発明に係る保持脱離治具の一実施例である保持脱離治具を示す概略図であり、図1(a)はこの発明に係る保持脱離治具の一実施例である保持脱離治具を示す概略上面図であり、図1(b)はこの発明に係る保持脱離治具の一実施例である保持脱離治具を示す概略側面図である。
【図2】図2は、この発明に係る取扱治具の一実施例である取扱治具、及び、この発明に係る保持脱離治具の一実施例である保持脱離治具から被粘着物を脱離させる方法を説明する説明図であり、図2(a)はこの発明に係る保持脱離治具の一実施例である保持脱離治具に被粘着物を粘着保持させた状態を説明する説明図であり、図2(b)は脱離具によって被粘着物が摺動して粘着保持不能部に到達する様子を説明する説明図であり、図2(c)は脱離具によって被粘着物が転倒して粘着保持不能部に接触する様子を説明する説明図である。
【図3】図3は、この発明に係る取扱治具の別の一実施例である取扱治具、及び、この発明に係る保持脱離治具の別の一実施例である保持脱離治具から被粘着物を脱離させる方法を説明する説明図である。
【図4】図4は、この発明に係る取扱治具の一実施例である取扱治具が備える保持治具を示す概略斜視図である。
【図5】図5は、この発明に係る取扱治具の別の一実施例である取扱治具、及び、この取扱治具において保持治具から保持脱離治具に被粘着物を転写させる状態を示す概略図である。
【図6】図6は、この発明に係る取扱治具のさらに別の一実施例である取扱治具、及び、この取扱治具において第1保持治具から第2保持治具に被粘着物を転写させる状態を示す概略図である。
【図7】図7は、この発明に係る取扱治具を構成する脱離具の一実施例である脱離具を示す概略図であり、図7(a)はこの発明に係る取扱治具を構成する脱離具の一実施例である脱離具を示す概略上面図であり、図7(b)は図7(a)におけるA−A線における概略断面図であり、図7(c)は図7(a)におけるB−B線における概略断面図である。
【図8】図8は、この発明に係る取扱治具の別の一実施例である取扱治具、及び、この発明に係る取扱治具の別の一実施例である取扱治具を用いた被粘着物の脱離方法を説明する概略図であり、図8(a)はこの発明に係る取扱治具の別の一実施例である取扱治具を用いた被粘着物の脱離方法を説明する概略上面図であり、図8(b)は図8(a)におけるA−A線における概略断面図であり、図8(c)は図8(a)におけるB−B線における概略断面図である。
【図9】図9は、この発明に係る取扱治具のまた別の一実施例である取扱治具、及び、この発明に係る保持脱離治具の別の一実施例である保持脱離治具から被粘着物を脱離させる方法を説明する説明図である。
【図10】図10は、この発明に係る取扱治具のさらに別の一実施例である取扱治具を示す概略図である。
【図11】図11は、この発明に係る取扱治具のさらにまた別の一実施例である取扱治具を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
この発明における被粘着物は、この発明に係る保持脱離治具又はこの発明に係る取扱治具に粘着保持される必要性のある被粘着物を製造可能な被粘着物用部材、例えば、小型器具用部材、小型機械要素用部材及び小型電子部品用部材等が挙げられる。また、被粘着物の製造には被粘着物の搬送工程等も含まれるから、被粘着物は、被粘着物そのもの、例えば、小型器具、小型機械要素及び小型電子部品等も含まれる。したがって、この発明においては、被粘着物と被粘着物用部材とは明確に区別される必要はない。これら被粘着物の中でも、この発明に係る保持脱離治具及びこの発明に係る取扱治具が粘着保持するのに好適な被粘着物として、小型電子部品及び/又は小型電子部品用部材等が挙げられる。小型電子部品及び小型電子部品用部材としては、例えば、コンデンサチップ(チップコンデンサとも称されることがある。)、インダクタチップ、抵抗体チップ、FPC、ウエハー等の完成品若しくは未完成品等、及び/又は、これらを製造可能な例えば、角柱体若しくは円柱体、一端部に鍔を有する角柱体若しくは円柱体、両端部に鍔を有する角柱体若しくは円柱体等が挙げられる。
【0014】
この発明に係る保持脱離治具の一実施例である保持脱離治具を、図面を参照して、説明する。この保持脱離治具1は、図1に示されるように、支持部材11(図1(a)において図示しない。)と、支持部材11の表面に設けられた、表面に被粘着物を粘着保持可能な弾性部材10とから成る。
【0015】
前記弾性部材10は、図1に示されるように、方形の盤状薄葉体に形成され、少なくともその表面に粘着保持部12及び粘着保持不能部13を有している。より具体的には、弾性部材10の少なくとも表面には、被粘着物を粘着保持する粘着保持部12と、粘着保持部12に粘着保持された被粘着物を脱離させるときに被粘着物が押圧される押圧方向側に前記粘着保持部12に隣接して形成された粘着保持不能部13とを、交互に連続するように、複数有している。簡潔にいうと、弾性部材10は、その表面に複数の粘着保持部12及び複数の粘着保持不能部13が前記押圧方向に沿って交互に配列された縞状に形成されている。ここで、前記押圧方向は、後述する脱離具に着目すると「脱離具の相対的な移動方向」ということができる。なお、前記押圧方向は、図1(a)に示されるように被粘着物を縦横に配列する場合には「被粘着物の粘着保持配列方向の1つ」ということもできる。
【0016】
前記粘着保持部12は、被粘着物を粘着保持することのできる粘着力を有していればよく、この保持脱離治具1を後述するこの発明に係る取扱治具に利用するには、この取扱治具を構成する保持治具の粘着力よりも大きな粘着力を有している。具体的には、粘着保持部12は、通常、1〜70g/mmの粘着力を有しているのがよく、7〜70g/mmの粘着力を有しているのがよい。ここで、粘着保持部12の粘着力は下記「信越ポリマー法」によって測定された値である。この方法においては、弾性部材10を水平に固定する吸着固定装置(例えば、商品名:電磁チャック、KET−1530B、カネテック(株)製)又は真空吸引チャックプレート等と、測定部先端に、直径10mmの円柱を成したステンレス鋼(SUS304)製の接触子を取り付けたデジタルフォースゲージ(商品名:ZP−50N、(株)イマダ製)とを備えた荷重測定装置を用意し、この荷重測定装置における吸着固定装置又は真空吸引チャックプレート上に弾性部材10を固定し、測定環境を21±1℃、湿度50±5%に設定する。次いで、20mm/minの速度で弾性部材10の被測定部位に接触するまで前記荷重測定装置に取り付けられた前記接触子を下降させ、次いで、この接触子を被測定部位に所定の荷重で被測定部に対して垂直に3秒間押圧する。ここで、前記所定の荷重を25g/mmに設定する。次いで、180mm/minの速度で前記接触子を被測定部位から引き離し、このときに前記デジタルフォースゲージにより測定される引き離し荷重を読み取る。この操作を、被測定部位の複数箇所で行い、得られる複数の引き離し荷重を算術平均し、得られる算術平均値を粘着保持部12の粘着力とする。
【0017】
前記粘着保持不能部13は、実質的に非粘着性又は弱粘着性であり、例えば、粘着力を有してなく、又は、被粘着物を粘着保持することができない程度の小さな粘着力、具体的には、1g/mm未満(前記「信越ポリマー法」による)の粘着力を有している。
【0018】
前記粘着保持部12はその粘着力に応じて被粘着物を粘着保持することができる寸法に形成され、前記粘着保持不能部13は被粘着物を粘着保持することができない寸法に形成されている。具体的には、粘着保持部12及び粘着保持不能部13の粘着力並びに被粘着物の寸法に応じて、粘着保持部12及び粘着保持不能部13の寸法が決定される。例えば、図1に示される保持脱離治具1においては、図1(a)に破線で示されるように、粘着保持部12は被粘着物の被粘着面が粘着される粘着予定領域14a及び14bよりも大きな寸法を有し、粘着保持不能部13は被粘着物が摺動又は転倒して接触する面積よりも大きな寸法、例えば、被粘着物が転倒したときにその側面が接触する接触予定領域14c(図1(a)において粘着保持不能部13内に破線で示す。)よりも大きな寸法を有している。より具体的には、前記保持脱離治具1においては、粘着保持不能部13の前記押圧方向の長さは被粘着物の前記側面すなわち前記接触予定領域14cの軸線長さよりも長く設定されている。
【0019】
前記弾性部材10は、図1(b)により明確に示されるようにほぼ平滑な表面を有し、硬度(JIS K6253[デュロメータE])が5〜60程度であるのが好ましい。弾性部材10が後述するシリコーンゴム組成物で形成されて前記硬度の範囲内にあると、例えば、保持治具から弾性部材10に被粘着物が転写されるときに、被粘着物の寸法誤差を吸収して、ほとんどすべての被粘着物を損傷及び破損等させることなく転写されることができる。弾性部材10はその形態に応じて0.05〜2mm程度の厚さを有しているのがよい。
【0020】
弾性部材10は、前記粘着力を発揮することのできる粘着性材料又はこの粘着性材料の硬化物で形成されていればよく、粘着材料として、例えば、フッ素系樹脂又はフッ素系ゴム、フッ素系樹脂又はフッ素系ゴムを含有するフッ素系組成物、シリコーン樹脂又はシリコーンゴム、シリコーン樹脂又はシリコーンゴムを含有するシリコーン組成物、ウレタン系エラストマー、天然ゴム、スチレン−ブタジエン共重合エラストマー等の各種エラストマー等が挙げられる。この中でも、シリコーンゴム、及び/又は、シリコーンゴムを含有する付加反応硬化型粘着性シリコーン組成物及び過酸化物硬化型粘着性シリコーン組成物が好ましい。
【0021】
前記付加反応硬化型粘着性シリコーン組成物としては、例えば、特開2008−091659号公報に記載の、シリコーン生ゴム(a)と架橋成分(b)と粘着力向上剤(c)と触媒(d)とシリカ系充填材(e)とを含有する粘着性組成物を挙げることができる。前記付加反応硬化型粘着性シリコーン組成物を簡単に説明する。前記シリコーン生ゴム(a)は、(RSiO2/2)単位(Rは、炭化水素基を表す。)を含み、置換基を有していてもよいポリジメチルシロキサンの長鎖重合体等であり、例えば、付加反応により架橋可能なポリオルガノシロキサンを挙げることができる。より具体的には、下記(1)式で示されるアルケニル基含有ポリオルガノシロキサンを好適に挙げることができる。
【0022】
(3−a)SiO−(RXSiO)−(RSiO)−SiR(3−b) (1)式
ただし、(1)式中、Rは脂肪族不飽和結合を有することのない1価の炭化水素基であり、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、Xはアルケニル基含有有機基であり、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。また、aは0〜3の整数、bは0〜3の整数、mは0以上の整数、nは100以上の整数であり、a、b及びmは同時に0とはならない。前記式(1)において、Rとしては、炭素数1〜10の前記炭化水素基が好ましく、例えば、直鎖又は分岐アルキル基、シクロアルキル基及びアリール基等が挙げられ、特にメチル基、フェニル基が好ましい。また、Xで示されるアルケニル基含有有機基としては、炭素数2〜10のアルケニル基含有有機基が好ましく、炭素二重結合含有炭化水素基、シクロアルケニルアルキル基、ビニルオキシプロピル基等を挙げることができる。
【0023】
シリコーン生ゴム(a)の粘度は25℃において50mPa・s以上であるのが好ましく、特に100mPa・s以上であるのが好ましい。シリコーン生ゴム(a)は、一種単独で用いてもよく二種以上を混合して用いてもよい。
【0024】
前記架橋成分(b)は、前記シリコーン生ゴム(a)と架橋反応可能な成分であり、例えば、1分子中にSi原子に結合したH原子を少なくとも2個以上、好ましくは3個以上有するSiH結合含有ポリオルガノシロキサン(以下、オルガノハイドロジェンポリシロキサンと称することもある。)を用いることができる。このオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、その粘度が25℃において1〜5000mPa・sであるのが好ましい。前記架橋成分(b)は、一種単独で用いてもよく二種以上を混合して用いてもよい。架橋成分(b)の配合割合は、適宜に選択可能であるが、前記シリコーン生ゴム(a)がアルケニル基を含有すると共に、前記架橋成分(b)がSiH結合を含有する場合には、シリコーン生ゴム(a)中のアルケニル基に対する架橋成分(b)中のSiH結合のモル比が0.5〜20であるのが好ましく、特に1〜15の範囲であるのが好ましい。
【0025】
前記粘着力向上剤(c)は、粘着力を向上するために配合される成分であり、例えば、ポリオルガノシロキサンを用いることができ、特に、RSiO1/2単位及びSiO単位(ただし、Rは脂肪族不飽和結合を有しない1価の炭化水素基である。)を含有するものを好適に用いることができる。ここで、Rとしては、炭素数1〜10の、直鎖又は分岐アルキル基、シクロアルキル基及びアリール基等であり、特にメチル基、フェニル基が好ましい。粘着力向上剤(c)は、一種単独で用いても二種以上を混合して用いてもよい。粘着力向上剤(c)は、シリコーン生ゴム(a)/粘着力向上剤(c)の質量比として20/80〜80/20の範囲で用いるのが好ましく、特に、30/70〜70/30とするのが好適である。
【0026】
前記触媒(d)は、主として、前記シリコーン生ゴム(a)と前記架橋成分(b)との架橋反応を促進する触媒であり、通常、ハイドロサイレーションの触媒として使用されるものであればよく、例えば、白金化合物等が挙げられる。触媒(d)の配合割合は、前記シリコーン生ゴム(a)と前記架橋成分(b)との合計質量に対し、白金成分として1〜5,000ppmとするのが好ましく、特に5〜2,000ppmとすることが好適である。
【0027】
前記シリカ系充填材(e)は、シリカ、石英紛、珪藻土等が挙げられるが、好ましくはシリカである。シリカ系充填材(e)は、一種単独で用いても二種以上を混合して用いてもよい。シリカ系充填材(e)の配合割合は、前記シリコーン生ゴム(a)と前記粘着力向上剤(c)との合計100質量部に対して、1〜30質量部とするのが好ましく、5〜20質量部とするのがより好ましい。
【0028】
前記付加反応硬化型粘着性シリコーン組成物は前記各成分を混合して調製される。各成分はそれぞれ準備していもよく、複数の成分を含有する組成物を準備してもよい。例えば、前記シリコーン生ゴム(a)、架橋成分(b)、粘着力向上剤(c)及び触媒(d)を含有し、前記シリカ系充填材(e)を含有しない組成物として信越化学工業株式会社製の商品名「KE1214」、「X−40−3098」等の「X−40系」及び「X−34−632A/B」等の「X−34系」組成物等が入手可能である。
【0029】
前記過酸化物硬化型粘着性シリコーン組成物としては、例えば、特開2008−091659号公報に記載の、シリコーン生ゴム(a)と粘着力向上剤(c)とシリカ系充填材(e)と有機過酸化物(f)とを含有する粘着性組成物を挙げることができる。前記過酸化物硬化型粘着性シリコーン組成物を簡単に説明する。前記ゴムシリコーン生ゴム(a)としては、(RSiO2/2)単位(Rは、炭化水素基を表す。)を含み、置換基を有していてもよいポリシロキサンの長鎖重合体等が挙げられ、例えば、ポリジメチルシロキサン、その置換体等が挙げられる。このシリコーン生ゴム(a)の性状、粘度等は前記付加反応硬化型粘着性組成物に含有されるシリコーン生ゴム(a)と基本的に同様である。シリコーン生ゴム(a)は一種単独で用いてもよく二種以上を混合して用いてもよい。
【0030】
過酸化物硬化型粘着性シリコーン組成物に含有される粘着力向上剤(c)及びシリカ系充填材(e)は、それぞれ、前記付加反応硬化型粘着性組成物に含有される粘着力向上剤(c)及びシリカ系充填材(e)と基本的に同様である。
【0031】
前記有機過酸化物(f)は、例えば、ベンゾイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド類、ジ−t−ブチルパーオキサイド等のジアルキルパーオキサイド類等が挙げられる。有機過酸化物(f)の配合割合は、シリコーン生ゴム(a)と粘着力向上剤(c)との合計質量に対して、0.2〜5.0質量部とするのが好ましく、特に0.5〜2.5質量部とすることが好適である。
【0032】
このような過酸化物硬化型粘着性シリコーン組成物は前記各成分を混合して調製される。各成分はそれぞれ準備していもよく、複数の成分を含有する組成物を準備してもよい。例えば、シリコーン生ゴム(a)、粘着力向上剤(c)及びシリカ系充填材(e)を含有し、前記有機過酸化物(f)を含有しない組成物として信越化学工業株式会社製の商品名「KR−101−10」、「KR−120」、「KR−130」及び「KR−140」等が入手可能である。
【0033】
前記支持部材11は、図1に示されるように、前記弾性部材10を支持する。この支持部材11は、平滑な表面を有していればよく、弾性部材11を支持することができる限り種々の設計変更に基づく各種の形態にすることができる。例えば、この支持部材11は、図1に示されるように、前記弾性部材10とほぼ同じ寸法の方形を成す盤状薄葉体に形成されている。この支持部材11は、その幅方向の両端縁近傍が弾性部材10の両端縁から突出するように、弾性部材10の幅よりも大きな幅を有する盤状薄葉体に形成されることもできる。特に、後述する脱離具30を用いる場合には、このように支持部材11は弾性部材10よりも大きな幅を有しているのが好ましい。
【0034】
支持部材11は、弾性部材10を支持可能な材料で形成されていればよく、例えば、ステンレス鋼及びアルミニウム等の金属製プレート、アルミニウム箔及び銅箔等の金属箔、ポリエステル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン及びポリ塩化ビニル等の樹脂フィルム又は樹脂板等を挙げることができる。さらに、支持部材11はシート状物を複数積層して成る積層体とすることもできる。
【0035】
この発明に係る保持脱離治具の別の一実施例である保持脱離治具1’は、図3にその一部が示されるように、無端ベルト状に形成されている。この保持脱離治具1’は、無端ベルト状に形成されていること以外は、前記保持脱離治具1と基本的に同様に形成されている。したがって、保持脱離治具1’は、図3に示されるように、無端ベルト状に形成された支持部材11’と、無端ベルト状になるように支持部材11’の表面に積層された弾性部材10’とから成り、弾性部材10’の少なくとも表面には、図1(a)に示されるように、保持脱離治具1’の軸線方向に沿って延びる帯状の粘着保持部12及び粘着保持不能部13が周方向に交互に配置形成されている。この保持脱離治具1’においても、特に後述する脱離具30を用いる場合には、支持部材11が弾性部材10よりも大きな幅を有しているのが好ましい。
【0036】
前記保持脱離治具1及び1’は、前記材料で公知の成形方法等で所定形状に作製した支持部材11に前記材料で公知の成形方法等で作製した弾性部材10又は成形体を積層し、所望により接着して、製造することができる。また、前記支持部材11と前記成形体とを一体成形法等により製造することもできる。また、前記成形体の少なくとも表面に粘着保持部12及び粘着保持不能部13を形成する方法は、例えば、(1)成形体にマスキング部材を載置してマスキング部材上から照射量を制御した紫外線を照射する方法、(2)粘着保持不能部13を形成する部分に粘着性の弱い粘着材(例えば、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、ウレタン樹脂等)又は粘着性のない非粘着材を塗布する方法、(3)粘着保持不能部13を形成する部分の表面を粗面化する方法等が挙げられる。
【0037】
前記保持脱離治具1及び1’に粘着保持された被粘着物は、後に詳細に説明するが簡単に説明すると、前記保持脱離治具1及び1’の表面近傍に配置された後述する脱離具6又は30を前記表面に沿って相対的に移動させて粘着保持不能部13に到達又は接触させることによって、保持脱離治具1から取り外されることができる。
【0038】
このように、前記構成を有するこの発明に係る保持脱離治具によれば、後に詳細に説明するように、粘着保持部に粘着保持された被粘着物が例えば脱離具で所定の押圧方向に押圧され、粘着保持状態例えば粘着保持された状態のまま又は転倒した状態で、かりに被粘着物が粘着保持部に再粘着された状態等であっても、粘着保持不能部に到達し、又は、接触するから、ほとんどすべての被粘着物を弾性部材から脱離させることができる。
【0039】
また、この発明に係る保持脱離治具によれば、被粘着物の脱離時に、脱離具を弾性部材の表面に接触又は押圧させる必要はないから、脱離具によって被粘着物及び弾性部材が損傷することがなく、歩留り良く被粘着物を製造することができるうえ、保持脱離治具を長期間にわたって使用することができる。
【0040】
この発明に係る保持脱離治具は、前記した実施例に限定されることはなく、本願発明の目的を達成することができる範囲において、種々の変更が可能である。例えば、前記保持脱離治具1は方形の盤状薄葉体を成し、前記保持脱離治具1’は無端ベルト状を成しているが、この発明において、保持脱離治具は、用途等に応じて、肉厚の板状体、シート体、長尺体等の形態に適宜に形成されることができる。
【0041】
保持脱離治具1及び1’の前記粘着保持部12及び前記粘着保持不能部13はいずれも帯状に形成されているが、この発明において、粘着保持部及び粘着保持不能部は、被粘着物の被粘着面又は接触面に対応する形状又は対応しない形状、例えば、正方形及び長方形等の方形、円形、楕円形に形成され、所定のパターン例えば碁盤目状等に配列形成されてもよい。
【0042】
前記保持脱離治具1は方形を成す盤状薄葉体の支持部材11を備え、前記保持脱離治具1’は無端ベルト状の支持部材11’を備えているが、この発明において、保持脱離治具は、弾性部材の一部に支持部材が形成されてもよく、支持部材が形成されず弾性部材のみから構成されてもよい。また、この支持部材は、例えば図3に示されるように、弾性部材と共に屈曲性を有する材料で形成されていてもよい。
【0043】
前記保持脱離治具1及び1’は、粘着予定領域14aに被粘着物9を粘着保持しているが、この発明において、被粘着物は粘着保持可能な領域に粘着保持されればよく、例えば、図1(a)に示されるように、粘着保持部12と粘着保持不能部13に跨った粘着保持領域14bに粘着保持されてもよい。
【0044】
前記粘着保持部12は粘着予定領域14a及び14bよりも大きな寸法を有し、前記粘着保持不能部13は被粘着物が摺動又は転倒して接触する面積例えば前記接触予定領域14cの面積よりも大きな寸法を有しているが、この発明において、粘着保持部は被粘着物を粘着保持できればその寸法は特に限定されず前記粘着予定領域よりも小さな寸法を有していてもよく、また、粘着保持不能部は被粘着物を粘着保持できなければその寸法は特に限定されず前記被粘着物が摺動又は転倒して接触する面積よりも小さな寸法を有していてもよい。
【0045】
次に、この発明に係る取扱治具について説明する。この発明に係る取扱治具は、この発明に係る保持脱離治具と、この保持脱離治具の表面に沿って相対的に移動して粘着保持された被粘着物を脱離させる脱離具とを備えている。この発明に係る取扱治具における保持脱離治具は前記した通りであり、例えば、前記保持脱離治具1及び1’等が挙げられる。
【0046】
この発明に係る取扱治具における前記脱離具は、前記保持脱離治具の表面に沿って相対的に移動して粘着保持された被粘着物を脱離させることができる形態を有していればよく、例えば、前記保持脱離治具1に粘着保持された被粘着物に衝突してこの被粘着物を押圧することができる被衝突部を有する脱離具が好適に挙げられる。このような脱離具として、例えば、その先端が前記被衝突部として機能する、図2等に示される転倒配置された三角柱状のブレード6であってもよく、また、自身が前記被衝突部として機能するワイヤー等であってもよく、さらに、被衝突面が前記被衝突部として機能する、例えば図7に示されるような脱離具30等であってもよい。この発明に係る取扱治具における脱離具は、後述するように、前記保持脱離治具の表面に非接触状態で相対的に移動する。
【0047】
前記脱離具6は、例えば、図2に示されるように、転倒配置された三角柱状を成している。この脱離具6は、その延在方向の長さ、すなわち、三角柱の高さが、保持脱離治具の粘着保持部に一列に粘着保持された複数の被粘着物を一挙に脱離させることができる点で、前記保持脱離治具の粘着保持部の長さよりも長くなっているのがよい。なお、前記先端部は、例えば図2(b)及び図2(c)に示されるように被粘着物9に衝突する被衝突部として機能するから、被粘着物への傷付き防止等を目的として弾性部材で形成又は被覆されてもよい。
【0048】
前記脱離具6の他に、前記のような被衝突面が前記被衝突部として機能する脱離具としては、例えば、図7に示される脱離具30が挙げられる。この脱離具30は、この発明に係る保持脱離治具の両端縁近傍それぞれを載置して摺動させる一対の摺動部32a及び32bと、前記摺動部32a及び32bよりも下方で前記摺動部32a及び32bに挟まれるようにそれら摺動部32a及び32bの間に形成され、前記保持脱離治具に粘着保持された被粘着物が衝突する被衝突面35とを有している。この脱離具30は、所望により、前記保持脱離治具から取り外した被粘着物を収納する収納部材37を前記被衝突面35の下方に備えていてもよい。
【0049】
前記脱離具30は、より具体的には、図7に示されるように、基体31を備えて成り、この基体31は、保持脱離治具の両端縁近傍それぞれを載置して摺動させる一対の摺動面41a及び41b、及び、前記摺動面41a及び41bの端部それぞれに形成され保持脱離治具の摺動を案内する案内面42a及び42bを有する一対の摺動部32a及び32bと、前記摺動面41a及び41bよりも下方で前記一対の摺動部32a及び32bに挟まれるように前記一対の摺動部32a及び32bの間に形成され、保持脱離治具に粘着保持された被粘着物が衝突する被衝突面35を有する被衝突部34と、前記被衝突面35を共有するように前記被衝突部34に連続して形成された、前記被衝突部34よりも深い空間部36とを有する基体31を備えている。
【0050】
前記一対の摺動面41a及び41bは、図7に示されるように、第1摺動面41aと第2摺動面41bとからなっている。一対の摺動面41a及び41bそれぞれは、図7に示されるように、摺動面41a及び41bに載置した前記保持脱離治具が略水平となるように互いにほぼ同じ高さで基体31の長手方向に沿って略並行に延在する平滑な平面とされている。この摺動面41a及び41bそれぞれは、保持脱離治具の両端縁近傍それぞれを載置して摺動させることのできる寸法を有していればよく、この例においては、幅の狭い平面になっている。
【0051】
前記案内面42a及び42bは、図7に示されるように、第1案内面42aと第2案内面42bとからなり、これらは前記摺動面41a及び41bそれぞれの端面から略垂直に立ち上がる側面として形成されている。案内面42a及び42bそれぞれは、例えば図8に示されるように、前記摺動面41a及び41bに前記保持脱離治具が載置されたときにその両端面に接触して、保持脱離治具の摺動を案内する。したがって、これらの案内面42a及び42bの距離は保持脱離治具又は支持部材の幅と略同一に調整されている。
【0052】
このように前記摺動面41a及び41b並びに前記案内面42a及び42bを有して成る前記一対の摺動部32a及び32bそれぞれは、図7(c)によく示されるように、略垂直に張り出したフランジ状の堰堤を有する第1摺動部32a及び第2摺動部32bで形成される一対の軌条になっている。
【0053】
前記被衝突部34は、図7に示されるように、前記摺動部32a及び32bよりも下方で摺動部32a及び32bに挟まれるように前記一対の摺動部32a及び32bの間に形成された被衝突面35を有している。この被衝突部34は、図7(b)及び図7(c)に示されるように、その最上部すなわちその上面45が、前記摺動部32a及び32b、具体的には、前記摺動面41a及び41bよりも一段低い位置になるように、第1摺動部32aと第2摺動部32bとに連設され、これらを結合している。具体的には、前記被衝突部34の最上部すなわち前記上面45が、前記摺動部31a及び32bを摺動してくる保持脱離治具特にその弾性部材10に衝突することなく、保持脱離治具に粘着保持された被粘着物に衝突するように、前記摺動面41a及び41bよりも低い位置に調整されている。すなわち、前記被衝突部34の上面45が前記弾性部材10の厚さを超え、弾性部材10の厚さと被粘着物の保持長さとの合計長さ以下の深さとなるように、前記被衝突部34の形成位置が設定されている。
【0054】
この例において、前記被衝突部34は、平坦な上面45を有する平面状に形成され、その上面45と、前記一対の摺動部32a及び32bにおける保持脱離治具の摺動方向の最上流側に位置する一端面とを有している。そして、前記一端面が前記被衝突面35として機能する。前記被衝突面35は、図7(a)及び図7(b)に示されるように、被衝突部35の上面45から下面46まで延在する平面を有し、その平面が前記摺動部32a及び32bの延在方向すなわち前記摺動方向に対して交差している。このとき、被衝突面35における上面45上の稜線と前記摺動部32aの延在方向すなわち保持脱離治具の移動方向との交差角度θ1(図7(a)参照。)は、特に限定されず、例えば、0〜90°の範囲内から適宜に選択され、被粘着物の脱離容易性、保持脱離治具の摺動性及び脱離具30の小型化等を考慮して45〜85°の範囲内から選択されるのが好ましい。また、前記被衝突面35は、図7(b)に示されるように、前記上面45からその最下部すなわち下面46にわたって、後述する空間部36の水平面積がその深さ方向にそって徐々に拡大するように、基体31の垂直面に対して傾斜している。前記被衝突面35がこのように傾斜していると、被衝突部34の上部が被粘着物に衝突し、被粘着物を効果的に転倒させることができる。前記垂直面に対する前記被衝突面35の傾斜角θ2(図7(b)参照。)は、特に限定されず、例えば、0°を超え90°未満の範囲内から適宜に選択され、被粘着物の取り外し容易性等を考慮すると5〜45°の範囲内から選択されるのが好ましい。なお、前記被衝突面35は被粘着物への傷付き防止等を目的として弾性部材で形成又は被覆されてもよい。
【0055】
前記空間部36は、図7に示されるように、保持脱離治具1の摺動方向の上流側に前記被衝突部34に隣接して形成され、側壁として前記被衝突面35を前記被衝突部34と共有している。この空間部36は、前記被衝突部34よりも深く形成され、この例においては貫通形成されている。この空間部36は、保持脱離治具が前記摺動面41a及び41bに反転状態に載置されたときに、粘着保持された被粘着物が一時的に配置される空間である。したがって、空間部36の開口部47は前記保持脱離治具の弾性部材に被粘着物が粘着保持される粘着領域よりも大きな開口面積を有している。空間部36の前記被衝突部34の反対側には前記被衝突部34に向い合うように断面矩形の連結部が前記摺動部32a及び32bに連設されている。
【0056】
前記脱離具30は、図7(b)及び図7(c)に示されるように、前記基体31の下部に配置される収納部材37を備えている。この収納部材37は、前記基体31の下方に配置されたときに、前記空間部36の下方に位置する収納凹部48が凹設されている。この収納凹部48は、前記空間部36よりも大きな寸法を有し、前記被衝突部34で取り外された被粘着物を一時的に収納する。前記収納部材37は前記基体31よりも厚いこと以外は前記基体31とほぼ同様の寸法を有している。
【0057】
この発明に係る取扱治具の一実施例としての取扱治具2は、図2に示されるように、前記保持脱離治具1とこの発明に係る取扱治具における脱離具の一実施例の前記脱離具6とを有している。この保持脱離治具1は前記した通りである。この脱離具6は、前記した通りであり、前記保持脱離治具1の粘着保持部12の長さよりも長い高さを有する三角柱状を成している。
【0058】
前記取扱治具2において前記保持脱離治具1から被粘着物を取り外す方法の一例を説明する。被粘着物は、図2に示されるように、保持脱離治具1の粘着保持部12に粘着保持されている。例えば、保持脱離治具1の粘着保持部12における図1(a)に示される粘着予定領域14aに四角柱状を成すチップコンデンサ用部材である被粘着物9が粘着保持された状態が図2(a)に示されている。この保持脱離治具1を、図2(b)及び図2(c)に示されるように、180°反転させて、被粘着物9を粘着保持した弾性部材10の表面を下方に配置する。
【0059】
次いで、図2(b)に示されるように、後述する脱離具6を前記保持脱離治具1の表面近傍に、前記表面に非接触となるように、配置する。このとき、脱離具6は弾性部材10の表面に接触させなくても、この発明に係る保持脱離治具であれば被粘着物を所望のように脱離させることができる。前記脱離具6を前記表面に沿って相対的に前進移動すなわち被粘着物9側(図2(b)における矢印Aの方向)に移動させる。そうすると、図2(b)に破線で示されるように、脱離具6は、前記矢印Aの方向に前進する脱離具6の先端が被粘着物9の側面に当接して、被粘着物9を前記方向に押圧して摺動させ、粘着保持不能部13に到達させる。このようして、被粘着物9が粘着保持不能部13に到達すると被粘着物9は保持脱離治具1から脱離する。一方、図2(c)に破線で示されるように、脱離具6の前記矢印Aの方向への移動によって被粘着物9が図中の矢印Cのように転倒すると、被粘着物9の側面が粘着保持不能部13に接触して保持脱離治具1から脱離する。このとき、被粘着物9がたとえ粘着保持部12に再粘着しても、脱離具6によって前記矢印Aの方向に押圧されて、弾性部材10の表面上を摺動し、最終的に粘着保持不能部13に到達する。このようにして、取扱治具2によれば、粘着保持した被粘着物9のほとんどすべてを脱離させることができる。
【0060】
この発明に係る取扱治具の一実施例としての取扱治具5は、図3に示されるように、前記保持脱離治具1’とこの発明に係る取扱治具における脱離具の一実施例の前記脱離具6とを有している。この保持脱離治具1’及び脱離具6は前記した通りである。
【0061】
前記取扱治具5において前記保持脱離治具1’から被粘着物を取り外す方法の一例を説明する。例えば、保持脱離治具1’を湾曲して被粘着物9を脱離させることができる。前記取扱治具5は、図3に示されるように、少なくとも2つのローラ5aに保持脱離治具1’が張架され、1つの前記ローラ5aの斜め下方であって保持脱離治具1’の表面近傍に前記表面に非接触となるように脱離具6が配置されている。この状態で、ローラ5aを図中の矢印方向に回転させると、被粘着物9を粘着保持した保持脱離治具1’も同様に回転して、被粘着物9の側面が脱離具6の先端部に衝突し、次いで、前記保持脱離治具1と同様にして、被粘着物9が粘着保持不能部13に到達し又は接触して、保持脱離治具1’から被粘着物9のほとんどすべてを脱離させることができる。すなわち、この取扱治具5は、被粘着物9を保持脱離治具1’から脱離させる脱離装置としても機能し、したがって、脱離装置とも称される。保持脱離治具1’のように無端ベルト状に形成すると、被粘着物の転写及び脱離を連続して実施することができる。また、前記ローラ5aはその外径が小さいほど被粘着物9を容易かつ確実に脱離させることができる。なお、前記保持脱離治具1’を用いる取扱治具においては、保持脱離治具1’を湾曲させることなく、前記保持脱離治具1の場合と同様にして被粘着物9を脱離させることもできる。
【0062】
この発明に係る取扱治具の一実施例としての取扱治具2’は、図8に示されるように、前記保持脱離治具1とこの発明に係る取扱治具における脱離具の一実施例の前記脱離具30とを有している。この保持脱離治具1及び脱離具30は前記した通りである。
【0063】
前記取扱治具2’において前記保持脱離治具1から被粘着物を取り外す方法の一例を説明する。前記取扱治具2と基本的に同様にして、図2(a)に示されるように、保持脱離治具1の粘着保持部12における図1(a)に示される粘着予定領域14aに四角柱状を成すチップコンデンサ用部材である被粘着物9を粘着保持させる。この保持脱離治具1を、図8に示されるように、180°反転させて、被粘着物9を粘着保持した弾性部材10の表面が下方となるように、一対の摺動部32a及び32b上に、保持脱離治具1の両端縁近傍それぞれを載置する。なお、この保持脱離治具1は、弾性部材10よりも支持部材11の方がその幅が大きくなっているので、支持部材11の両端縁近傍が前記摺動部32a及び32b上に載置される。
【0064】
次いで、図8に示されるように、前記保持脱離治具1を前記一対の摺動部32a及び32bに沿ってその上を、被粘着物9が前記被衝突部34に向かう方向(図8において矢印Dの方向。)に、摺動させる。そうすると、図8に示されるように、保持脱離治具1の摺動によって移動してきた被粘着物9は、前記被衝突部34すなわち被衝突面35に衝突して、その移動方向と逆方向に押圧され、粘着保持不能部13に到達する。このようして、被粘着物9が粘着保持不能部13に到達すると被粘着物9は保持脱離治具1から脱離する。一方、被粘着物9が転倒すると、被粘着物9の側面が粘着保持不能部13に接触して、保持脱離治具1から脱離する。このとき、被衝突面35は、前記のように、前記摺動方向に対して交差する角度を有して延在すると共に前記垂直面に対して傾斜しているから、複数の被粘着物9が順次被衝突面35に衝突する。したがって、保持脱離治具1の摺動安定性、被粘着物9の脱離性に優れ、粘着保持した被粘着物9のほとんどすべてを脱離させることができる。また、保持脱離治具1を前記のように摺動させても、被衝突部34は前記のように保持脱離治具1の弾性部材10に衝突することがないから、弾性部材10を損傷させることがない。
【0065】
この発明に係る取扱治具の一実施例としての取扱治具5’は、図9に示されるように、前記保持脱離治具1’とこの発明に係る取扱治具における脱離具の一実施例の前記脱離具30とを有している。この保持脱離治具1’は前記した通りであり、脱離具30は前記連結部が形成されていないこと以外は、図7に示される前記脱離具30と基本的に同様である。
【0066】
前記取扱治具5’において前記保持脱離治具1’から被粘着物を取り外す方法の一例を説明する。例えば、保持脱離治具1’を湾曲されて被粘着物9を脱離して被粘着物9を脱離させることができる。前記取扱治具5’は、図9に示されるように、少なくとも2つのローラ5aに保持脱離治具1’が張架され、前記保持脱離治具1’が粘着保持した被粘着物9を懸垂させた状態で前記摺動部32a及び32b上を走行するように、保持脱離治具1’の略水平な走行面に脱離具30が配置されている。この状態で、ローラ5aを図中の矢印方向に回転させると、保持脱離治具1’も同方向に回転し、粘着保持された被粘着物9が被衝突面35に衝突して、その回転方向と逆方向に押圧され、粘着保持不能部13に到達し又は接触する。このようにして、保持脱離治具1’から被粘着物9のほとんどすべてを脱離させることができる。保持脱離治具1’は無端ベルト状に形成されているから、被粘着物9の転写及び脱離を連続して実施することができる。なお、前記保持脱離治具1’を用いる取扱治具5’においては、保持脱離治具1’を湾曲させることなく、前記保持脱離治具1の場合と同様にして被粘着物9を脱離させることもできる。
【0067】
この発明に係る取扱治具は、この発明に係る保持脱離治具例えば前記保持脱離治具1と脱離具例えば前記脱離具6又は前記脱離具30とに加えて、保持治具を備えることができる。前記取扱治具における前記保持脱離治具及び脱離具は前記した通りである。前記保持治具は、被粘着物を粘着保持することのできる弾性部材を備えていればよく、その一例を挙げると、保持治具としての第1保持治具7は、図4に示されるように、第1弾性部材21と第1補強部材22とを備えている。前記第1補強部材22は、前記保持脱離治具1の支持部材11と基本的に同様である。前記第1弾性部材21は、粘着保持不能部13が形成されず所定の粘着力を有していること以外は、前記保持脱離治具1の弾性部材10と基本的に同様である。この第1弾性部材21の粘着力は、前記粘着保持部12よりも小さな粘着力を有していればよく、前記粘着保持部12の前記粘着力が50〜70g/mmである場合には、例えば、10〜45g/mm(前記「信越ポリマー法」による)の粘着力を有しているのがよい。
【0068】
この発明に係る保持脱離治具及び脱離具を備えて成るこの発明に係る取扱治具は、前記保持脱離治具に粘着保持した被粘着物のほとんどすべてを脱離させることができる。したがって、この発明に係る取扱治具は、例えば、散在した被粘着物の回収等に好適に用いられる。
【0069】
この発明に係る取扱治具の一実施例として、例えば、前記保持脱離治具1と前記脱離具6と保持治具例えば前記第1保持治具7とを備えて成る図5に示される取扱治具3が挙げられる。また、図5に示される取扱治具3は脱離具として前記脱離具6を備えているが、この発明においては、図10に示されるように、この脱離具6に代えて前記脱離具30を用いることもできる。すなわち、この発明に係る取扱治具の一実施例として、前記保持脱離治具1と前記脱離具30と保持治具例えば前記第1保持治具7とを備えて成る取扱治具3’が挙げられる。これらの取扱治具3及び3’における被粘着物9の脱離方法は前記取扱治具2又は2’の脱離方法と基本的に同様である。
【0070】
第1保持治具7を備えて成る取扱治具3及び3’によれば、第1保持治具7に粘着保持され所定の処理等を施された被粘着物9を、この第1保持治具7から保持脱離治具1に転写して、ほとんどすべての被粘着物9を第1保持治具7及び保持脱離治具1から脱離させることができる。例えば、図5及び図10に示されるように、第1保持治具7の第1弾性部材21に粘着保持されて例えばその端部に電極(図5及び図10において図示しない。)が形成された被粘着物9の他端を、保持脱離治具1の粘着保持部12に圧接すると、前記第1弾性部材21と粘着保持部12との粘着力差によって、ほとんどのすべての被粘着物9を粘着保持部12に転写することができる。次いで、前記のようにして脱離具6又は30を保持脱離治具1に対して相対的に移動させると、粘着保持部12に粘着保持された被粘着物9のほとんどすべてを脱離させることができる。
【0071】
なお、第1保持治具7への被粘着物の粘着方法等として例えば特開2008−091659号公報に記載された方法等が挙げられる。例えば、被粘着物9の軸線長さよりも薄い厚さを有し、配設孔22が形成された立設配置板を第1保持治具7に載置した状態で、前記配設孔22に被粘着物9を挿入し、次いで、この被粘着物9を第1保持治具7に向けて押圧すると、被粘着物9が第1保持治具7に粘着保持される。
【0072】
第1保持治具7を備えて成る取扱治具3及び3’は、例えば、一方の端面に電極を有するチップコンデンサを製造する場合等に好適に用いられる。
【0073】
また、この発明に係る取扱治具は、この発明に係る保持脱離治具例えば前記保持脱離治具1と前記脱離具例えば前記脱離具6又は前記脱離具30とに加えて、2種の保持治具すなわち第1保持治具及び第2保持治具を備えることができる。前記取扱治具における前記保持脱離治具及び脱離具は前記した通りである。これら2種の保持治具7及び8は、被粘着物を粘着保持することのできる第1弾性部材21及び第2弾性部材23を備えていればよく、前記第1保持治具7と基本的に同様である。これら2種の保持治具である第1保持治具7及び第2保持治具8と前記保持脱離治具1とは下記条件を満たす粘着力を有している。
条件:保持脱離治具1の粘着保持部12>第2保持治具8の第2弾性部材23>第1保持治具7の第1弾性部材21
【0074】
第1保持治具7及び第2保持治具8の粘着力と保持脱離治具1との粘着力が前記条件を満たしていると、第1保持治具7に粘着保持した被粘着物を第2保持治具8に転写し、次いで、第2保持治具8から保持脱離治具1に転写して、被粘着物9を保持脱離治具1から脱離させることができる。第1保持治具7の粘着力は、例えば、10〜25g/mm(前記「信越ポリマー法」による)であり、第2保持治具8の粘着力は、例えば、30〜45g/mm(前記「信越ポリマー法」による)であり、保持脱離治具1の粘着保持部12の粘着力は、例えば、50〜70g/mm(前記「信越ポリマー法」による)であるのがよい。
【0075】
この発明に係る、2種の保持治具を備えて成る取扱治具の一実施例として、例えば、図6に示されるように、前記保持脱離治具1と前記脱離具6と前記第1保持治具7と前記第2保持治具8とを備えて成る取扱治具4が挙げられる。また、図6に示される取扱治具4は脱離具として前記脱離具6を備えているが、この発明においては、図11に示されるように、この脱離具6に代えて前記脱離具30を用いることもできる。すなわち、この発明に係る取扱治具の一実施例として、前記保持脱離治具1と前記脱離具30と前記第1保持治具7と前記第2保持治具8とを備えて成る取扱治具4’が挙げられる。これらの取扱治具4及び4’における被粘着物9の脱離方法は前記取扱治具2又は2’の脱離方法と基本的に同様である。
【0076】
第1保持治具7及び第2保持治具8を備えて成る取扱治具4及び4’によれば、これら2種の保持治具7及び8に粘着保持され所定の処理等を施された被粘着物9を、これらの2種の保持治具7及び8から前記保持脱離治具1に転写して、ほとんどすべての被粘着物9を保持治具7及び8並びに保持脱離治具1から脱離させることができる。例えば、図6及び図11に示されるように、一端面に電極(図6及び図11において図示しない。)が形成され、第1保持治具7に粘着保持されたチップコンデンサ用部材9aを第2保持治具8の第2弾性部材23に圧接すると、第1弾性部材21と第2弾性部材23との粘着力差によってチップコンデンサ用部材9aが第2弾性部材23に転写される。次いで、第2保持治具8に粘着保持されたチップコンデンサ用部材9aの他端面に電極(図6及び図11において図示しない。)を形成したチップコンデンサのほとんどすべてを、前記のようにして、保持脱離治具1に転写後、保持脱離治具1から脱離させることができる。
【0077】
なお、第1保持治具7と第2保持治具8とを用いて例えばチップコンデンサ用部材9aの両端面に電極を形成する方法等として特開2008−091659号公報に記載された方法等が挙げられる。例えば、前記のようにして第1保持治具7に粘着保持されたチップコンデンサ用部材9aに導電ペーストを塗布硬化して、チップコンデンサ用部材9aの自由端に電極を形成する。次いで、対向配置させた第1保持治具7と第2保持治具8とを互いに近接するように相対的に移動させて、電極が形成されたチップコンデンサ用部材9aの自由端を第2弾性部材23に押圧する。その後、第1保持治具7と第2保持治具8とを互いに離間させると、チップコンデンサ用部材9aは第2保持治具8に粘着保持される。次いで、このチップコンデンサ用部材9aの自由端に同様にして電極を形成して、チップコンデンサ用部材9aの両端面に電極を形成することができる。
【0078】
第1保持治具7及び第2保持治具8を備えて成る取扱治具4及び4’は、例えば、両端面に電極を有するチップコンデンサを製造する場合等に好適に用いられる。
【0079】
このように、前記構成を有するこの発明に係る取扱治具によれば、この発明に係る保持脱離治具及び脱離具を備えているから、所望により保持治具から転写され、保持脱離治具の粘着保持部に粘着保持されたほとんどすべての被粘着物を脱離させることができる。また、この発明に係る取扱治具によれば、脱離具を弾性部材の表面に接触又は押圧させる必要はないから、歩留り良く被粘着物を製造することができるうえ、取扱治具を長期間にわたって使用することができる。
【0080】
この発明に係る取扱治具は、前記した実施例に限定されることはなく、本願発明の目的を達成することができる範囲において、種々の変更が可能である。例えば、前記取扱治具2〜4は、保持脱離治具、脱離具、所望により保持治具を備えて成るが、この発明において、取扱治具は、これら以外の部材又は要素、例えば、被粘着物の収納部材、脱離具の駆動手段、また、特開2008−091659号公報に記載された立設配置板例えば前記立設配置板、及び、立設配置板の配設孔に挿入された被粘着物を第1保持治具に向けて押圧するプレス板等を備えていてもよい。
【0081】
前記取扱治具2〜4及び2’〜4’は、例えば、特開2008−091659号公報に記載された被粘着物保持装置における支持部材に装着されて使用されてもよい。この被粘着物保持装置は、略平行な2つの平面内に設けられ、その延在方向がほぼ直交する2本の軌条と、軌条それぞれに軌条に沿って水平方向及び垂直方向に運動自在に設けられ、保持治具を装着する保持治具変位手段とを備え、前記2本の軌条がほぼ直交する空間で被粘着物を転写可能になっている。
【0082】
前記取扱治具2〜4及び2’〜4’は、いずれも、前記保持脱離治具1を備えているが、この発明に係る取扱治具は、前記保持脱離治具1に代えて、前記保持脱離治具1’を備えていてもよく、例えば、前記取扱治具5及び5’は、さらに、前記第1保持治具7、所望により前記第2保持治具8を備えていてもよい。
【0083】
前記脱離具30は、貫通した空間部36を有する基体31を備えているが、この発明において、前記基体は有底穴の空間部を有していてもよい。この場合には、前記収納部材37は不要であり、脱離具30は基体で構成される。また、前記脱離具30は、平面状の被衝突部34を有する基体31を備えているが、この発明において、前記基体は、断面が多角形の棒状若しくは柱状の被衝突部、又は、被衝突面が曲面である断面が略円形、略楕円形等の棒状若しくは柱状の被衝突部を有していてもよい。これらの棒状又は柱状の被衝突部は複数形成されることもできる。
【符号の説明】
【0084】
1、1’ 保持脱離治具
2、2’、3、3’、4、4’、5、5’ 取扱治具
5a ローラ
6 脱離具(ブレード)
7 第1保持治具
8 第2保持治具
9 被粘着物
9a、チップコンデンサ用部材
10、10’ 弾性部材
11、11’ 支持部材
12 粘着保持部
13 粘着保持不能部
14a、14b 粘着予定領域
14c 接触予定領域
21 第1弾性部材
22 第1補強部材
23 第2弾性部材
24 第2補強部材
30 脱離具
31 基体
32a 第1摺動部
32b 第2摺動部
34 被衝突部
35 被衝突面
36 空間部
37 収納部材
41a 第1摺動面
41b 第2摺動面
42a 第1案内面
42b 第2案内面
45 上面
46 下面
47 開口部
48 収納凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
弾性部材を備えて成る保持脱離治具であって、
前記弾性部材は、被粘着物を粘着保持する粘着保持部と、前記粘着保持部に粘着保持された被粘着物を脱離させるときに被粘着物が押圧される押圧方向側に形成された粘着保持不能部とを有していることを特徴とする保持脱離治具。
【請求項2】
請求項1に記載の弾性部材と前記弾性部材を支持する支持部材とを備えて成ることを特徴とする保持脱離治具。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の保持脱離治具と、
前記保持脱離治具の表面に沿って相対的に移動して粘着保持された被粘着物を脱離させる脱離具とを備えて成ることを特徴とする取扱治具。
【請求項4】
被粘着物を粘着保持する弾性部材を有して成る保持治具を備え、
前記弾性部材は、前記保持脱離治具の粘着保持部よりも小さな粘着力を有していることを特徴とする請求項3に記載の取扱治具。
【請求項5】
被粘着物を粘着保持する弾性部材を有して成る第1保持治具及び第2保持治具を備え、
前記保持脱離治具の粘着保持部、前記第2保持治具及び前記第1保持治具は、下記条件を満たす粘着力を有していることを特徴とする請求項3に記載の取扱治具。
粘着保持部 > 第2保持治具 > 第1保持治具
【請求項6】
前記脱離具は、前記保持脱離治具の両端縁近傍それぞれを載置して摺動させる一対の摺動部と、前記摺動部よりも下方で前記一対の摺動部に挟まれるように前記一対の摺動部の間に形成され、前記保持脱離治具に粘着保持された前記被粘着物が衝突する被衝突面とを有して成ることを特徴とする請求項3〜5のいずれか1項に記載の取扱治具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−186982(P2010−186982A)
【公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−239142(P2009−239142)
【出願日】平成21年10月16日(2009.10.16)
【出願人】(000190116)信越ポリマー株式会社 (1,394)
【Fターム(参考)】