説明

保持装置

【課題】被搬送物を経路上の所定の位置に搬送した場合、搬送された被搬送物が傾かないように被搬送物の姿勢を規制する装置を提供すること。
【解決手段】保持装置1は、搬送される被搬送物(テープカートリッジ600)を、経路上(第2搬送路ベース基材820上)の所定の位置に保持する保持部材10を有し、保持部材10は、テープカートリッジ600を介して第2搬送路ベース基材820と対向する側からテープカートリッジ600を押圧することにより、第2搬送路ベース基材820上の所定の位置で、テープカートリッジ600を第2搬送路ベース基材820との間に挟み込む形態で保持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ファイルやノートなどに貼り付けて見出しや分類用に用いるラベルを作成するテープ印刷装置が、家庭や会社などで盛んに使用されている。このようなテープ印刷装置は、一般的に、内部に着脱可能なテープカートリッジが収容されている。また、テープカートリッジは、内部に、テープ状のラベル用テープと、ラベル用テープに文字などが熱転写されるインクリボンなどが収容されている。そして、ユーザは、所望のテープカートリッジをテープ印刷装置に装着して、所望の文字などを入力し、テープ印刷装置が有する熱転写用のヘッドで印刷(熱転写)してラベルを作成する。
【0003】
なお、上記テープカートリッジは、テープカートリッジの組立てからテープカートリッジの箱詰めまで、自動化された製造ラインにより、一貫した製造が行なわれている。この製造ラインにおいて、組立てが完了したテープカートリッジを箱詰めする箱詰め工程が設置されている。この箱詰め工程は、箱詰め用の製造ラインの経路上に、組立てが完了したテープカートリッジを所定数量整列させた後、箱詰め装置により、整列させたテープカートリッジを一括して保持して搬送し、ダンボール箱内の所定の位置に収容し、この操作を所定回数繰り返すことで、ダンボール箱内にテープカートリッジを所定数量収容させる工程である。
【0004】
なお、この箱詰め工程において、組立てが完了したテープカートリッジを所定数量整列させるための前段の作業として、従来、箱詰め用の製造ラインの経路上の所定の位置に、組立てが完了したテープカートリッジを1つずつ搬送装置(この搬送装置を第1搬送装置とする)により搬送する作業が含まれている。箱詰め用のラインの経路上に搬送されたテープカートリッジは、その後、別の搬送装置(この搬送装置を第2搬送装置とする)により、順次搬送され、所定数量となるまで整列される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような作業において、従来の第1搬送装置で、箱詰め用の製造ラインの経路上の所定の位置にテープカートリッジを1つずつ搬送した場合、搬送されたテープカートリッジが経路上の所定の位置で、第2搬送装置で搬送されるまで、傾きや倒れなどが発生することなく安定して静止していることが必要となる。しかし、実際は多少傾くことなど、テープカートリッジの姿勢が不安定となるため、第1搬送装置は、第2搬送装置で搬送するまでテープカートリッジを保持していた。これにより、テープカートリッジを所定数量整列させるまでの時間(サイクルタイム)が掛ってしまい、箱詰め工程における製造コストの上昇につながっていた。従って、搬送装置で、被搬送物を経路上の所定の位置に搬送した場合、搬送された被搬送物が傾かないように被搬送物の姿勢を規制(保持)する装置が要望されていた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述した課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0007】
(適用例1)本適用例に係る保持装置は、製造ラインの経路上を搬送される被搬送物を、経路上の所定の位置に保持する保持部材を有し、保持部材は、被搬送物を介して経路と対向する側から被搬送物を押圧することにより、経路上の所定の位置で、被搬送物を経路との間に挟み込む形態で保持することを特徴とする。
【0008】
上記の保持装置は、保持部材を有し、被搬送物を介して経路と対向する側から、被搬送物を押圧することにより、被搬送物を経路上の所定の位置で、経路との間に挟み込む形態で保持することにより、経路上の所定の位置に被搬送物を傾くことなく安定して保持することができる。よって、被搬送物の姿勢を規制する装置が、上記保持部材を有することで容易に実現できる。
【0009】
(適用例2)上記の保持装置であって、保持部材は、被搬送物の外形形状の一部と略同様の形状を有して被搬送物を押圧することが好ましい。
【0010】
上記の保持装置では、被搬送物の外形形状の一部と略同様の形状を有する保持部材が、この略同様の形状の部分で、被搬送物の対応する外形形状の部分を押圧することにより、被搬送物を経路上の所定の位置に被搬送物の姿勢を更に規制でき、更に安定して被搬送物を保持することができる。
【0011】
(適用例3)上記の保持装置であって、保持装置は、保持部材を回動自在に軸支する軸部材と、保持部材が回動した場合に、保持部材を初期位置に戻すバネ部材と、を有して構成されていることが好ましい。
【0012】
上記の保持装置では、軸部材とバネ部材とを有し、軸部材が保持部材を回動自在に軸支し、バネ部材が、回動した保持部材を初期位置に戻すことにより、保持装置は、安定した動作(保持動作)を繰り返し行なうことができる。
【0013】
(適用例4)上記の保持装置であって、保持装置は、経路上の所定の位置に搬送される被搬送物に押圧されて保持部材を回動させることが好ましい。
【0014】
上記の保持装置では、経路上の所定の位置に搬送される被搬送物に押圧されて保持部材を回動させる。これにより、被搬送物が搬送される力を利用して保持部材を回動させて保持できることにより、保持装置自体に保持部材を回動させる別の機構を備えることが不必要となるため、保持装置を簡易に構成できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、実施形態を図面に基づいて説明する。
(実施形態)
【0016】
図1は、実施形態に係るテープカートリッジの概略斜視図である。図1を参照して、テープカートリッジ600の構成および動作に関して簡潔に説明する。
【0017】
本実施形態での被搬送物であるテープカートリッジ600は、平面視略L字状をなす箱状の外装ケース601で覆われて構成されている。その外装ケース601は、上ケース602および下ケース603により構成されている。また、外装ケース601の内部には、テープ状のラベル用テープ604をロール状に巻回したテープコア605と、インクリボン606をロール状に巻回した繰出しコア607と、繰出したインクリボン606を巻き取る巻取りコア608とを収容している。また、テープカートリッジ600には、図示省略するテープ印刷装置の熱転写用のヘッドユニット(図示省略)を遊挿する貫通開口609が形成されている。また、この貫通開口609に臨むように回転自在のプラテンローラ610が立設されている。
【0018】
テープカートリッジ600をテープ印刷装置(図示省略)のカートリッジ装着部(図示省略)に装着すると、プラテン駆動軸(図示省略)にプラテンローラ610が係合すると共に、リボン巻取り駆動軸(図示省略)に巻取りコア608が係合し、ラベル用テープ604およびインクリボン606の送りが可能となる。ユーザは、このテープ印刷装置に設置されるキー入力部(図示省略)を操作して所望の文字などを入力し、印刷の指示を行なう。それにより、テープ印刷装置は、プラテン駆動軸およびリボン巻取り駆動軸が同期しながら回転を行ない、併せて、ヘッドユニットが、インクリボン606に積層されるインク層(図示省略)をラベル用テープ604に熱転写させることで、文字などが印刷されてラベルを作成する。
【0019】
なお、ラベル用テープ604は、粘着層(図示省略)を有する印刷用テープ(図示省略)に剥離紙(図示省略)を積層して構成され、ラベル作成後に剥離紙を剥がしてラベルとして貼り付けることができるようになっている。また、テープカートリッジ600には、ラベル用テープ604の色や幅などが異なる複数種のものが用意されており、ユーザが、その内容を識別できるように、その内容を記述した識別ラベル611が、ラベル貼付部612に貼り付けられている。また、ラベル用テープ604のテープ残量を確認できる確認用窓613も設置されている。
【0020】
なお、テープカートリッジ600の外装ケース601において、ラベル貼付部612の上方向の側面部となる外形部を上側面部620と呼称する。そして、上側面部620は、天面部621と、天面部621につながる両サイドのコーナ部622,623で構成される。
【0021】
図2は、実施形態に係る保持装置を示す図であり、図2(a)は、保持装置の概略斜視図であり、図2(b)は、保持装置が被搬送物を保持した状態を示す概略斜視図である。なお、図2(b)は、本実施形態での被搬送物であるテープカートリッジ600、およびその周辺を透視図として図示している。図2を参照して、箱詰めライン2および保持装置1の構成に関して簡潔に説明する。
【0022】
本実施形態の保持装置1は、テープカートリッジ600の製造ラインにおいて、組立てが完了したテープカートリッジ600を箱詰めする箱詰め工程の前段の作業に用いられる装置である。前段の作業とは、箱詰め用の製造ラインの経路上の所定の位置に、組立てが完了したテープカートリッジ600を、後述する第1搬送装置710(図5参照)により1つずつ搬送する。その後、箱詰め用の製造ラインの経路上の所定の位置に搬送されたテープカートリッジ600を、後述する第2搬送装置810(図6参照)により、順次搬送し、所定数量を製造ライン上に整列する作業である。この作業において、保持装置1は、第1搬送装置710により搬送されるテープカートリッジ600を、箱詰め用の製造ラインの経路上の所定の位置に保持する装置である。
【0023】
詳細には、箱詰め工程は、箱詰めライン2で行なわれる。また、箱詰めライン2は、第1ライン700と第2ライン800とを含んで構成される。第1ライン700は、組立てが完了したテープカートリッジ600を経路上の所定の位置に1つずつ搬送するラインである。また、第2ライン800は、所定の位置に搬送されたテープカートリッジ600を、順次搬送し、所定数量となるまで整列するラインである。
【0024】
第1ライン700は、テープカートリッジ600が搬送される基台となる第1搬送路ベース基材720と、その両脇に設置される第1搬送路用壁730と、テープカートリッジ600に当接してテープカートリッジ600を搬送する第1搬送装置710とで構成されている。また、第2ライン800も第1ライン700と略同様に、テープカートリッジ600が搬送される基台となる第2搬送路ベース基材820と、その両脇に設置される第2搬送路用壁830と、テープカートリッジ600に当接してテープカートリッジ600を搬送する第2搬送装置810とで構成されている。第1搬送装置710および第2搬送装置810の動作に関しては後述する。
【0025】
また、第1ライン700と第2ライン800とは、平面的に直行した形態で接続されている。そして、保持装置1は、第2ライン800上で、第1ライン700と直行する位置に設置されている。また、保持装置1は、テープカートリッジ600を保持する保持部材10と、保持部材10を支持して保持装置1を第2ライン800(詳細には、第2搬送路ベース基材820)に固定する保持装置支持部材50とで構成されている。また、保持装置1は、保持部材10を回動自在に軸支する軸部材20と、保持部材10が回動した場合に初期位置に戻すバネ部材30とを有して構成されている。
【0026】
図2において、座標系を設定して以降の説明の補助に使用する。座標系は、第1ライン700の設置される方向をY軸とし、第2ライン800の設置される方向をX軸とし、このX軸およびY軸に対して垂直な方向をZ軸とする。
【0027】
組立てが完了したテープカートリッジ600は、第1ライン700の第1搬送路ベース基材720上を図示省略する第1搬送装置710により、図2(a)に示すように、+Y軸方向から−Y軸方向に向けて搬送(第2ライン800に向けて搬送)される。搬送されたテープカートリッジ600は、図2(b)に示すように、保持装置1の保持部材10により保持される。なお、保持部材10により、所定の位置に保持されたテープカートリッジ600は、図示省略する第2搬送装置810により、第2ライン800の第2搬送路ベース基材820上を−X軸方向に向けて搬送される。第1ライン700、第2ライン800におけるテープカートリッジ600の移動に関しての詳細は後述する。
【0028】
図3は、保持装置を説明する図であり、図3(a)は、保持装置の平面図であり、図3(b)は、保持装置の軸部材周辺の概略断面図である。図4は、図3と同様に、保持装置を説明する図であり、図4(a)は、保持装置のバネ部材周辺の概略断面図であり、図4(b)は、保持装置の回動規制部材周辺の概略断面図である。図3、図4を参照して、保持装置1の構成に関して説明する。
【0029】
図3(a)および前述した図2に示すように、保持装置1は、テープカートリッジ600を保持する保持部材10と、保持部材10を支持して保持装置1を第2搬送路ベース基材820に固定する保持装置支持部材50とで構成されている。また、保持装置1は、保持部材10を回動自在に軸支する軸部材20と、保持部材10が回動した場合に初期位置に戻すバネ部材30とを有して構成されている。また、保持装置1は、保持部材10の回動動作の範囲を規制する回動規制部材40を有して構成されている。
【0030】
保持部材10は、略四角柱形状をなして形成されている。詳細には、保持部材10は、+Y軸方向の先端部から、第2搬送路ベース基材820に対向する側に、テーパ部101、保持形状部102、第1凹部103および第2凹部104が形成されている。また、保持部材10は、本実施形態では、摺動性能の良いプラスチック材料となるナイロンを用いている。
【0031】
テーパ部101は、+Y軸方向の先端部から、所定の傾斜角度で斜め下方に傾斜して形成されている。このテーパ部101は、第1ライン700から搬送されるテープカートリッジ600のコーナ部622が最初に保持部材10に当接する部分である。第1搬送装置710により−Y軸方向に搬送が継続されることにより、テーパ部101に当接したコーナ部622は、テーパ部101を滑りながら移動を継続することになる。これにより、テーパ部101は、図3(a)に示す位置から+Z軸方向に押し上げられることになる。なお、この動作の詳細は後述する。
【0032】
保持形状部102は、テープカートリッジ600の外装ケース601の外形形状の一部である上側面部620の形状と略同様の形状(凹形状)をなして形成されている。この保持形状部102に第1ライン700から搬送されたテープカートリッジ600の上側面部620を保持することにより、テープカートリッジ600を第2搬送路ベース基材820と保持部材10で挟み込む形態で保持することになる。この状態でのテープカートリッジ600の位置が、テープカートリッジ600を保持する経路上の所定の位置となる。
【0033】
第1凹部103は、保持部材10のZ軸方向の最大厚さ部分に対して窪んで形成されている。この第1凹部103に、後述するバネ部材30を固定する。また、第2凹部104も、保持部材10のZ軸方向の最大厚さ部分に対して窪んで形成されている。この第2凹部104の上方(+Z軸方向)には、後述する回動規制部材40を遊嵌する回動規制孔15が形成されている。
【0034】
保持装置支持部材50は、略矩形状をなして形成されている。上述したように、保持装置支持部材50は、保持部材10を支持して保持装置1を第2搬送路ベース基材820に固定する。保持装置支持部材50は、保持装置1を第2搬送路ベース基材820に固定するために、図3(a)、(b)に示すように、保持装置支持部材50には、ベース基材固定溝53および2つのベース基材固定ネジ孔54が形成されている。
【0035】
ベース基材固定溝53は、−Z軸方向の端面側で、+Y軸方向の端面から保持装置支持部材50の略中間位置にかけて切り欠いて形成されている。また、ベース基材固定ネジ孔54は、−Z軸方向の端面から、ベース基材固定溝53に貫通させて形成されている。このベース基材固定溝53を、第2搬送路ベース基材820の端面から挿入した後、ベース基材固定ネジ孔54に2つのベース基材固定ボルト56を螺合させることにより、保持装置支持部材50が固定できる。つまり、保持装置1を第2搬送路ベース基材820に固定できる。
【0036】
なお、保持部材10の−Y軸方向の端部側には、軸部材固定孔11がX軸方向に貫通して形成され、丸棒部材で形成された軸部材20が嵌合されている。また、この軸部材固定孔11に垂直に交わるように保持部材10の−Z軸方向の端面と、−Y軸方向の端面の2つの方向から軸部材固定ネジ孔12が形成されている。そして、この2つの軸部材固定ネジ孔12に軸部材固定ネジ25を螺合させることにより、軸部材20を保持部材10に固定している。
【0037】
また、図3(b)に示すように、保持装置支持部材50には、保持部材10に固定された軸部材20を回動自在に支持固定するために、X軸方向に貫通して軸部材支持孔51が形成されている。この軸部材支持孔51の両端部には、軸部材20が保持装置支持部材50に対して回動自在となるように軸部材20を支持固定する第1軸受け21が挿入固定されている。また、2つの第1軸受け21の外側には、第2軸受け22が、第1軸受け21および軸部材20をそれぞれ支持固定しており、軸部材20(保持部材10)に加わるX軸方向への負荷を緩和している。この構造により、保持部材10は、保持装置支持部材50に支持され、軸部材20を中心に回動自在となる。
【0038】
図4(a)に示すように、バネ部材30は、引張りコイルバネとして形成されている。そして、バネ部材30は、バネ本体301とその両端部にフック302が形成されている。なお、バネ部材30を保持部材10と保持装置支持部材50とに固定するために、保持部材10に第1支柱部材31が、また、保持装置支持部材50に第2支柱部材32が設置されている。
【0039】
詳細には、第1支柱部材31は、第1支柱部材31の固定用にねじ加工されたネジ部311と、バネ部材30を支持する支柱部312と、バネ部材30の一方のフック302を掛けるための切り欠き部313とで構成されている。この第1支柱部材31は、保持部材10の第1凹部103で+Z軸方向に形成した第1支柱ネジ孔14にネジ部311を螺合させ、更に、第1ナット33をネジ部311に螺合させて第1凹部103に当接させることにより、保持部材10の第1凹部103で−Z軸方向に突出して固定される。
【0040】
また、第2支柱部材32も、第1支柱部材31と同様に構成されており、第2支柱部材32の固定用にねじ加工されたネジ部321と、バネ部材30を支持する支柱部322と、バネ部材30の他方のフック302を掛けるための切り欠き部323とで構成されている。この第2支柱部材32は、保持装置支持部材50の−X軸方向の側面(以降、側面501と呼称する)から+X軸方向に形成した第2支柱ネジ孔52にネジ部321を螺合させ、更に、第2ナット34をネジ部321に螺合させて側面501に当接させることにより、保持装置支持部材50の側面501で−X軸方向に突出して固定される。
【0041】
このように固定された第1支柱部材31の切り欠き部313と、第2支柱部材32の切り欠き部323とにバネ部材30のフック302を掛けることにより、保持部材10は、保持装置支持部材50に引張られることになる。言い換えると、保持部材10が軸部材20を中心に回動した場合(バネ部材30のバネ本体301を伸ばす動作を行なった場合)に、バネ部材30は、保持部材10を初期位置に戻す動作を行なう。
【0042】
図4(b)に示すように、回動規制部材40は、丸棒部材で形成され、回動規制部材40の固定用にねじ加工されたネジ部401と、保持部材10の回動を規制する規制部402とで構成されている。この回動規制部材40は、保持装置支持部材50の側面501から+X軸方向に形成した規制部材ネジ孔57にネジ部401を螺合させ、更に、規制部材固定ナット41をネジ部401に螺合させて側面501に当接させることにより、保持装置支持部材50の側面501で−X軸方向に突出して固定される。
【0043】
また、図4(b)および図3(a)に示すように、保持部材10には、回動規制部材40の規制部402を遊嵌する回動規制孔15が、X軸方向に貫通して形成されている。そして、回動規制部材40の規制部402は、この回動規制孔15に遊嵌して設置される。回動規制孔15と回動規制部材40とにより、保持部材10の回動を規制する。
【0044】
図5は、保持装置の動作を説明する図であり、図5(a)は、被搬送物が保持部材を回動させる状態を示す平面図であり、図5(b)は、保持装置が被搬送物を保持した状態を示す平面図である。図5を参照して、保持装置1の動作に関して説明する。
【0045】
組立てが完了したテープカートリッジ600は、第1ライン700(図2参照)の第1搬送路ベース基材720上を第1搬送装置710により、+Y軸方向から−Y軸方向に向けて搬送(第2ライン800に向けて搬送)される。搬送されたテープカートリッジ600は、図3(a)に2点鎖線で示したように、テープカートリッジ600のコーナ部622が、最初に保持部材10のテーパ部101に当接する。そして、搬送が継続することにより、テーパ部101に当接したコーナ部622は、テーパ部101を滑りながら搬送される。
【0046】
これにより、テーパ部101(保持部材10)は、軸部材20を中心に、また、バネ部材30のバネ力に抗し、図5(a)に2点鎖線で示す位置(初期位置)から+Z軸方向に押し上げられて、実線で示す位置に回転する。なお、保持部材10が軸部材20を中心に、+Z軸方向に押し上げられて(図5(a)では、時計回りに)回動することにより、バネ部材30は、延びる方向に引張られることになる。言い換えれば、延びる方向に引張られることにより、バネ部材30は、戻し力を有することになる。
【0047】
更に、搬送が継続することにより、テープカートリッジ600は、テープカートリッジ600のコーナ部622につながる天面部621をテーパ部101の終端部1011に滑らせながら搬送される。そして、テープカートリッジ600の上側面部620が、図5(b)に示すように、保持部材10の保持形状部102に位置するまで搬送された場合、第1搬送装置710の搬送が停止する。
【0048】
なお、この状態で、保持部材10は、バネ部材30の戻し力により、テープカートリッジ600を、第2搬送路ベース基材820との間に押圧する。これにより、保持部材10は、テープカートリッジ600の傾きを含む姿勢や、テープカートリッジ600の移動を規制(制限)し、テープカートリッジ600を第2搬送路ベース基材820との間で安定させて保持する。
【0049】
また、保持部材10は、保持形状部102にテープカートリッジ600の上側面部620が位置することで、テープカートリッジ600の傾きを含む姿勢や、テープカートリッジ600の移動を更に規制(制限)でき、テープカートリッジ600を第2搬送路ベース基材820との間で更に安定させて保持することができる。なお、この状態でのテープカートリッジ600の位置が、テープカートリッジ600を保持する経路上の所定の位置となる。このとき、保持装置1は、テープカートリッジ600を、第2搬送路ベース基材820と保持部材10とで挟み込む形態で保持することになる。
【0050】
ここで、保持部材10の初期位置は、回動規制部材40が略矩形状の貫通孔となる回動規制孔15の+Z軸方向の面151に当接することで設定(規制)されることになる。また、回動規制部材40が回動規制孔15の−Z軸方向の面152に当接することで、保持部材10の最大回転量が規制されることになる。従って、保持部材10は、回動規制部材40が回動規制孔15の面151,152に当接する範囲内で回動する。なお、保持部材10の初期位置(回動規制部材40が回動規制孔15の+Z軸方向の面151に当接する状態)において、本実施形態では、バネ部材30は戻し力を有している設定としている。
【0051】
第1搬送路ベース基材720と第2搬送路ベース基材820において、テープカートリッジ600が搬送される際に接触する面は、滑らかに接続されている。また、第2搬送路ベース基材820上には、テープカートリッジ600が所定の位置を行き過ぎないための受部材840が設置されている。
【0052】
図6は、箱詰めラインの動作を示す図であり、図6(a)は、第1搬送装置がテープカートリッジを搬送する図であり、図6(b)は、保持部材がテープカートリッジを保持した図であり、図6(c)は、第2搬送装置がテープカートリッジを搬送する図であり、図6(d)は、整列受け部材にテープカートリッジを整列させた図である。図7も、箱詰めラインの動作を示す図であり、図7(a)は、保持部材が次のテープカートリッジを保持した図であり、図7(b)は、保持部材が保持した次のテープカートリッジを第2搬送装置が搬送する図であり、図7(c)は、整列受け部材に次のテープカートリッジを整列させた図であり、図7(d)は、整列受け部材に所定の数量のテープカートリッジを整列させた図である。図6、図7を参照して、箱詰めライン2の動作に関して説明する。
【0053】
図6(a)に示すように、第1搬送装置710は、最初(1つ目)のテープカートリッジ600を第1ライン700の第1搬送路ベース基材720上を、+Y軸方向から−Y軸方向に向けて搬送(第2ライン800に向けて搬送)する。そして、図6(b)に示すように、第2ライン800上に設置された保持装置1の保持部材10にテープカートリッジ600が上述したように保持される。その後、第1搬送装置710は、初期位置に向かって移動を開始する。そして、図6(c)に示すように、保持装置1に対して+X軸方向に設置される第2搬送装置810が、−X軸方向に移動して保持部材10に保持されるテープカートリッジ600に当接する。
【0054】
そして、図6(d)に示すように、保持されたテープカートリッジ600に当接した第2搬送装置810は、テープカートリッジ600を押圧して、保持部材10に押圧されて保持されているテープカートリッジ600を開放し、−X軸方向に搬送する。なお、第2ライン800の第2搬送路ベース基材820には、保持装置1に対して−X軸方向で、第2搬送路ベース基材820の中央部に、スライド自在でテープカートリッジ600を受けて順次整列させる整列受け部材850が設置されている。
【0055】
テープカートリッジ600を保持部材10から開放して−X軸方向に搬送する第2搬送装置810は、保持部材10と第2搬送路ベース基材820との間を移動する。そして、第2搬送装置810は、整列受け部材850をテープカートリッジ600を介して押圧することにより、整列受け部材850を初期位置(図6(d)に2点鎖線で示す位置)から所定の位置(図6(d)に実線で示す位置)までスライドさせて停止する。その後、第2搬送装置810は、初期位置に戻る。これにより、1つ目のテープカートリッジ600は、整列受け部材850に当接して、所定の位置で静止した状態となる。なお、この状態で、第1搬送装置710は、次(2つ目)のテープカートリッジ600を第2ライン800に向けて搬送する。
【0056】
そして、図7(a)に示すように、保持装置1の保持部材10に、2つ目のテープカートリッジ600が保持される。その後、第1搬送装置710は、初期位置に向かって移動を開始する。そして、図7(b)に示すように、第2搬送装置810が−X軸方向に移動し、保持部材10に保持される2つ目のテープカートリッジ600に当接する。
【0057】
そして、図7(c)に示すように、保持された2つ目のテープカートリッジ600に当接した第2搬送装置810は、テープカートリッジ600を押圧して、保持部材10から開放し、−X軸方向に搬送する。そして、第2搬送装置810は、2つ目のテープカートリッジ600を介して1つ目のテープカートリッジ600を押圧することで、整列受け部材850を押圧する。これにより、整列受け部材850は、前回の位置(図7(c)に2点鎖線で示す位置)から所定の位置(図7(c)に実線で示す位置)までスライドして停止する。その後、第2搬送装置810は、初期位置に戻る。
【0058】
これにより、2つ目のテープカートリッジ600は、1つ目のテープカートリッジ600および整列受け部材850を上述したように当接して押圧し、所定の位置で静止した状態となる。この状態が、2つのテープカートリッジ600を整列した状態となる。なお、第2搬送装置810の搬送距離は初期的に設定されているため、2つ目のテープカートリッジ600のX軸方向の位置は、前回の1つ目のテープカートリッジ600の位置と同様の位置となる。なお、この状態で、第1搬送装置710は、次(3つ目)のテープカートリッジ600を第2ライン800に向けて搬送する。
【0059】
本実施形態では、図7(d)に示すように、テープカートリッジ600を所定数量として10個整列させるまで、上述した動作を順次繰り返す。その後、図示省略する箱詰め装置が第2ライン800の+Z軸方向から降下して、整列されたテープカートリッジ600を一括して保持して上昇し、第2ライン800の後段に設置されるダンボール箱内の所定の場所に、保持したテープカートリッジ600を収容させる。
【0060】
なお、箱詰め装置が動作中においても、第1搬送装置710は、次のテープカートリッジ600を搬送し、第2搬送装置810は、上述した動作を行ない、第2搬送路ベース基材820上にテープカートリッジ600を所定数量整列させる。そして、箱詰め装置は、上述した操作を所定回数繰り返すことで、ダンボール箱内にテープカートリッジ600を所定数量収容させる。なお、第1搬送装置710、第2搬送装置810および箱詰め装置の動作は、図示省略する制御部により制御され、図示省略する駆動部により駆動されている。
【0061】
上述した実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1)本実施形態の保持装置1は、保持部材10により、テープカートリッジ600を介して第2搬送路ベース基材820と対向する側(テープカートリッジ600の上方となる+Z軸方向)から、テープカートリッジ600を押圧する。これにより、保持装置1は、保持部材10により、経路(第2搬送路ベース基材820)上の所定の位置で、テープカートリッジ600を第2搬送路ベース基材820との間に挟み込む形態で保持する。これにより、保持部材10は、テープカートリッジ600の傾きを含む姿勢や、テープカートリッジ600の移動を規制(制限)することで、テープカートリッジ600が傾いたり、倒れたり、移動してずれたりすることが無くなり、テープカートリッジ600を安定して保持することができる。従って、テープカートリッジ600の姿勢を規制する保持装置1が、保持部材10を有することで容易に実現できる。
【0062】
(2)本実施形態の保持装置1において、保持部材10は、テープカートリッジ600の外形形状の一部である上側面部620と略同様の形状を有する保持形状部102が形成され、この保持形状部102がテープカートリッジ600の対応する上側面部620を押圧する。これにより、保持部材10は、テープカートリッジ600の傾きを含む姿勢や、テープカートリッジ600の移動を更に規制(制限)することができ、テープカートリッジ600を更に安定して保持することができる。
【0063】
(3)本実施形態の保持装置1において、保持部材10は、軸部材20により、回動自在に軸支される。そして、バネ部材30により、回動した保持部材10が初期位置に戻される。これにより、保持装置1は、安定した動作(保持動作)を繰り返し行なうことができる。
【0064】
(4)本実施形態の保持装置1は、経路上(第2搬送路ベース基材820上)の所定の位置に搬送されるテープカートリッジ600のコーナ部622に押圧されて保持部材10を回動させる。これにより、テープカートリッジ600が搬送される力を利用して保持部材10を回動させて保持できることにより、保持装置1自体に保持部材10を回動させる別の機構を備えることが不必要となるため、保持装置1を簡易に構成できる。
【0065】
(5)本実施形態の保持装置1は、テープカートリッジ600を安定して所定の位置に保持できることにより、従来のように、第1搬送装置710は、第2搬送装置810がテープカートリッジ600を搬送開始するまでテープカートリッジ600を保持する必要がなくなる。従って、第1搬送装置710は、保持部材10にテープカートリッジ600を保持させた後、直ちに初期位置に戻り、次のテープカートリッジ600を搬送することができるため、テープカートリッジ600を経路上の所定の位置に搬送するサイクルタイムを短縮することができる。これにより、テープカートリッジ600を所定数量整列させるまでのサイクルタイムも短縮でき、箱詰め工程における製造コストの低減に寄与することができる。
【0066】
なお、上述した実施形態に限定されず、種々の変更や改良などを加えて実施することが可能である。変形例を以下に述べる。
【0067】
(変形例1)前記実施形態において、被搬送物をテープカートリッジ600として実施しているが、このような被搬送物に限られず、他の被搬送物に対して実施しても同様の効果が得られる。
【0068】
(変形例2)前記実施形態において、保持部材10は、摺動性能の良いプラスチック材料となるナイロンを用いている。しかし、これに限られず、摺動性を有するプラスチック材料であれば良好に用いることができる。また、本実施形態での被搬送物であるテープカートリッジ600以外の被搬送物に保持部材を適用する場合、被搬送物を構成する外装ケースの材質にもよるが、プラスチック材料以外に、金属材料を使用することでもよい。
【0069】
なお、本発明を実施するための最良の形態を、上記記載で開示しているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して図示し、かつ、説明しているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、上述した実施形態に対し、詳細な構成部材の形状・材質・数量などにおいて、当業者が様々な変形(変更ならびに改良)を加えることができるものである。従って、詳細な構成部材の形状・材質・数量などにおいて、当業者が様々な変形を加えることにより実施する場合も本発明に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】実施形態に係るテープカートリッジの概略斜視図。
【図2】保持装置を示す図であり、(a)は保持装置の概略斜視図であり、(b)は保持装置が被搬送物を保持した状態を示す概略斜視図。
【図3】保持装置を説明する図であり、(a)は保持装置の平面図であり、(b)は保持装置の軸部材周辺の概略断面図。
【図4】保持装置を説明する図であり、(a)は保持装置のバネ部材周辺の概略断面図であり、(b)は保持装置の回動規制部材周辺の概略断面図。
【図5】保持装置の動作を説明する図であり、(a)は被搬送物が保持部材を回動させる状態を示す平面図であり、(b)は保持装置が被搬送物を保持した状態を示す平面図。
【図6】箱詰めラインの動作を示す図であり、(a)は第1搬送装置がテープカートリッジを搬送する図であり、(b)は保持部材がテープカートリッジを保持した図であり、(c)は第2搬送装置がテープカートリッジを搬送する図であり、(d)は整列受け部材にテープカートリッジを整列させた図。
【図7】箱詰めラインの動作を示す図であり、(a)は保持部材が次のテープカートリッジを保持した図であり、(b)は保持部材が保持した次のテープカートリッジを第2搬送装置が搬送する図であり、(c)は整列受け部材に次のテープカートリッジを整列させた図であり、(d)は整列受け部材に所定の数量のテープカートリッジを整列させた図。
【符号の説明】
【0071】
1…保持装置、2…箱詰めライン、10…保持部材、15…回動規制孔、20…軸部材、30…バネ部材、40…回動規制部材、50…保持装置支持部材、101…テーパ部、102…保持形状部、600…テープカートリッジ、620…上側面部、621…天面部、622…コーナ部、700…第1ライン、710…第1搬送装置、720…第1搬送路ベース基材、800…第2ライン、810…第2搬送装置、820…第2搬送路ベース基材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
製造ラインの経路上を搬送される被搬送物を、前記経路上の所定の位置に保持する保持部材を有し、
前記保持部材は、前記被搬送物を介して前記経路と対向する側から前記被搬送物を押圧することにより、前記経路上の所定の位置で、前記被搬送物を前記経路との間に挟み込む形態で保持することを特徴とする保持装置。
【請求項2】
請求項1に記載の保持装置であって、
前記保持部材は、前記被搬送物の外形形状の一部と略同様の形状を有して前記被搬送物を押圧することを特徴とする保持装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の保持装置であって、
前記保持装置は、前記保持部材を回動自在に軸支する軸部材と、
前記保持部材が回動した場合に、前記保持部材を初期位置に戻すバネ部材と、を有して構成されていることを特徴とする保持装置。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の保持装置であって、
前記保持装置は、前記経路上の所定の位置に搬送される前記被搬送物に押圧されて前記保持部材を回動させることを特徴とする保持装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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