説明

保水性と透水性を兼備した土ブロック

【課題】 組成混合物は保水性と透水性に優れ、比較的比重が小さく、適度な強靱性を備える無機質材料で、 使用後には比較的簡単に崩壊させることができ、且つ廃棄物の問題が生じることなく、土壌に戻し易い無機質材料であると共に、製造コストを抑制しうるブロック体を提供する。
【解決手段】 本発明の土ブロックは、重量比で山砂15〜60%、溶融スラグ10〜35、ポルトランドセメント5〜15%とリサイクル発泡ガラス20〜30%及びノニオン系界面活性剤及び顔料等の添加剤を混合させて保水性と透水性を兼備することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保水性と透水性に優れ、軽量で、且つ使用後には比較的簡単に崩壊させ、土壌に戻すことのできるブロック体に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に舗道等に使用されるブロックは、一定の強度を必要とされる為、堅牢ではあるが、重量物となり、又、使用後には反って廃棄物としての処理に困難を伴うことが多い。
そこで、本発明は、軽量で且つ廃棄物としての処理においてリサイクルを可能とするブロックに関するもので、その成分として山砂等により土ブロックを形成するものである。
ところで、この山砂等を使用した例としては、従来鋪装構造に関する特許文献1が存在し、その概要は、土系鋪装材と、フライアッシュとセメントを混合させて表面層とするものである。
しかし、該鋪装材においても、セメントによる強い結合力で、重量物となり、且つ、使用後には廃棄処理に困ることは従来と同様である。
【特許文献1】特開2002−275814
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は上記実情に鑑みてなされたもので、組成混合物は(1)保水性と透水性に優れ、(2)比較的比重が小さく、適度な強靱性を備える無機質材料で、 (3)使用後には比較的簡単に崩壊させることができ、且つ廃棄物の問題が生じることなく、土壌に戻し易い無機質材料であると共に、製造コストを抑制しうるブロック体を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するために、請求項1記載の土ブロックは、重量比で山砂50〜70%、ポルトランドセメント5〜15%とリサイクル発泡ガラス20〜30%及びノニオン系界面活性剤及び顔料等の添加剤を混合させて保水性と透水性を兼備することを特徴とする。
【0005】
請求項2記載の土ブロックは、重量比で山砂15〜60%、溶融スラグ10〜35、ポルトランドセメント5〜15%とリサイクル発泡ガラス20〜30%及びノニオン系界面活性剤及び顔料等の添加剤を混合させて保水性と透水性を兼備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の土ブロックは、山砂にポルトランドセメント、リサイクル発泡ガラス及びノニオン系界面活性剤混合させてあるので、透水性と保水性に優れ、ブロック体の軽量化と保水性を高めることができる。更に、溶融スラグを加えると、表面硬度を高めることができる。
又、土ブロックの比重が1.1〜1.3g/cm、曲げ強度が3〜4MPa程度となるので、軽量で且つ、容易に粉砕することができ、且つ、土ブロックを構成する組成物は無機質および界面活性剤であるので、廃棄物の問題を生じない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
そこで、この発明の実施の形態を、図1、図2、図3および表1に基づいて説明する。
本発明は、保水性と透水性を兼備した無機質組成物として一体化するが、その構成は、山砂、溶融スラグ、リサイクル発泡ガラス、ポルトランドセメントに、ノニオン系界面活性剤及び顔料等の添加剤から成る。
以下、該材料の特徴について記述した後、該材料で構成されるブロック1を説明する。
【0008】
山砂は、主として花崗岩などが風化してできた土で、火山灰などの粘土質を除いた骨材である。その粒度は、通常2mmのふるい目下のものが用いられ、図1に粒度分布状態の一例を拡大して模式的に示す。この図は、粗い粒径(2〜0.5mm)のものaと、細かい粒径(0.5〜0.075mm)のものbと、微粒径(0.075mm未満)のものcとが満遍なく分布し、各粒子間にランダムに僅かな空隙dが形成されていることを示し、ポーラス状で空気や水が保存できることを表している。透水性を高めるためには、均等係数が小さく、均一で粗い粒径の骨材を多くすることが必要であるが、コスト高となるため粒度分布を持たせて透水性の確保を図った。
【0009】
ポルトランドセメントは、山砂の表面を実質的に囲繞し、山砂の各粒子を結合して、多数の空隙を形成する。ポルトランドセメントは山砂その他も一体に固化し、ブロック1をポーラス状に保持する役割を担っている。しかしながら、ポルトランドセメントは骨材間の接合力を大きく保持できるが、それ自体が団子状、塊状になり易く、空隙を埋め易いので、使用量は少量が望ましい。
【0010】
ノニオン系界面活性剤は、山砂の濡れ性を高め、山砂の表面にポルトランドセメントを均一に分散させ、水の表面張力を抑えて均一な保水と透水を可能とする性状を保有する。ポルトランドセメントが山砂の表面において均一に分散されると、ブロック体として適度な強度が現れる。一方、ポルトランドセメントが山砂の表面において不均一であると、団子状、塊状となり、強度が強くなり過ぎて破砕が困難となり、不適である。
配合剤の濡れ性や分散性を高めることを担うノニオン系界面活性剤は、例えばオーストラリアのデプコ・プティ・リミテッド社(DEBCO.PTY.LIMITED)製のサチュライドなどノニルフェニルエーテル系重合体で炭素数6〜7のものを利用することができる。
【0011】
リサイクル発泡ガラスは、廃ガラスを粉砕して添加剤を加えて混合し、該混合物を焼成炉に入れてガラス軟化点以上に加熱発泡させたもので、ブロック体の軽量化と保水性を高める材料である。すなわち、リサイクル発泡ガラスはそれ自体が軽量な保水性セラミックスで、るつぼ状の気孔を大量に含み、急速且つ強力な吸水性と適度な蒸発性を備えているので、これを配合したブロック体は軽量となり、保水を高めるものとなる。
【0012】
溶融スラグは、溶鉱炉で1400℃の高温で焼却灰を溶融して生成されるガラス質の固化物で、比重は山砂と同程度であるが、硬度が高く、山砂に換えて一定割合を混合すると、硬化後のブロック体の表面硬度を高めると共に耐摩耗性を向上させることができる。
【0013】
以上に記述した各材料の特徴を踏まえ、本発明である保水性と透水性を兼備したブロック1の配合と成形方法について説明する。
【実施例1】
【0014】
表1に前記材料を含有した配合表を示す。山砂50〜70%、リサイクル発泡ガラス20〜30%、ポルトランドセメント5〜15%、ノニオン系界面活性剤及び顔料等の添加剤を含む組成混合物に水を滴下して混練し、ブロック1を形成する。
【0015】
【表1】

【0016】
前記配合に基づき、無機質組成物のブロック体として一体化する製造方法を以下に説明する。
図2に示す通り、該組成混合物に水を加えながら撹拌機で撹拌し、ブロック1に調整し、加圧成形し、2日間養生すると、該ブロック1は自然固化し、次第に硬度を増す。図3は固化後のブロック1である。
配合剤のリサイクル発泡ガラスはそれ自体が軽量で吸水性を保持しているが、適度な蒸発性を備えているので、自然乾燥し易い。
一方、本発明ブロック体の曲げ強度は、ポルトランドセメントと山砂、発泡ガラス、ノニオン系界面活性剤の量や成形マシーンによる加圧力等で決められ、ブロック体の廃棄時にクラッシャーなどで容易に破砕できる量は、それぞれ5〜15、20〜30gが良い。この範囲であれば、本発明ブロック体の曲げ強度は、3〜4MPaに確保できる。
また、本発明の配合は、廃棄時には自然土に還元できる材料を使用し、そのままでも自然土に還元できるブロック体となっている。
上記配合に基づくブロック体の物性は、曲げ強度が3〜4MPaであり、比重は1.1〜1.3g/cmである。透水係数は1×10一4cm/sec前後を示した。
【実施例2】
【0017】
又、次の実施例の配合を表2に示す。
【0018】
【表2】

【0019】
本実施例2は、吸水性等は実施例1と同様であるが、溶融スラグが、、比重では山砂とほぼ同等の性状を呈し、硬度が高く、これを配合することで、 ブロック表面に硬度が上がり、耐摩耗性を向上させることができた。
【産業上の利用可能性】
【0020】
本発明は、大きな荷重の加わる車道には適さないが、それを除いた歩道や公園等に広く応用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は、本発明の粒度分布状態の模式図
【図2】図2は、ブロック体の調整状況図
【図3】図3は、脱型後のブロック体
【符号の説明】
【0022】
a 粗い粒径
b 細かい粒径
c 微粒径
d 空隙
A 山砂
B セメント
C 空隙
A‘ 山砂
B‘ セメント
C‘ 空隙
1 ブロック体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
重量比で山砂50〜70%、ポルトランドセメント5〜15%とリサイクル発泡ガラス20〜30%及びノニオン系界面活性剤及び顔料等の添加剤を混合させて保水性と透水性を兼備することを特徴とする土ブロック。
【請求項2】
重量比で山砂15〜60%、溶融スラグ10〜35、ポルトランドセメント5〜15%とリサイクル発泡ガラス20〜30%及びノニオン系界面活性剤及び顔料等の添加剤を混合させて保水性と透水性を兼備することを特徴とする土ブロック。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate