説明

保温陳列用の食品容器

【課題】加熱された食品、特に細長い形状の固形物を、良好な保温状態に保つとともに、見栄えのよい状態でかつ中身が見やすい状態で陳列することのできる容器を提供する。
【解決手段】紙製の容器本体10の側壁には、散点状の凸部又は上下方向に延びる複数のリブ12が形成され、キャップ20は、容器本体10に収容されて容器本体の開口から上方へ突出する食品を覆って防護可能な縦長の内部空間を有するように形成され、かつキャップの上部には、上下方向に延びる複数のリブ21に孔22又はスリットが形成されている。容器本体10の一方の側壁の高さh2を、この側壁と対向する他方の側壁の高さh1よりも高くなるように形成し、容器本体10の上縁部11を傾斜状又は段状に形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保温陳列用の食品容器、詳しくは、加熱された食品を収容する容器であって、コンビニエンスストアその他の店舗で食品を保温するショーケース等の内部に入れ、保温状態で陳列するために用いられる容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンビニエンスストアその他の店舗では、食品を保温するショーケース等の内部に、加熱された食品を陳列して販売することが行われている。これらの食品は、特に容器には収容されておらず、客の注文に応じてその都度、店員がショーケースから食品を取り出し、包装袋やトレーに詰めて販売している。このため、混雑時など手間がかかるという問題がある。
また、例えば、フライドポテト等の加熱された食品では、紙製の袋状容器に収容した状態で販売することが行われているが、陳列の際の見栄えが良くなく、また、収容されている食品の状態が見えにくいという問題がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、上記従来の技術における問題点を解決するためになされたものであり、加熱された食品、特に細長い形状の固形物を、良好な保温状態に保つとともに、見栄えのよい状態でかつ中身が見やすい状態で陳列することのできる容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
(1) 本発明は、紙製のコップ型容器本体と、プラスチック製の透明性キャップとからなる保温陳列用の食品容器であって、容器本体の側壁には、散点状の凸部又は上下方向に延びる複数のリブが形成され、キャップは、容器本体に収容されて容器本体の開口から上方へ突出する食品を覆って防護可能な縦長の内部空間を有するように形成され、かつキャップの少なくとも上部には孔又はスリットが形成されている、保温陳列用の食品容器である。
【0005】
本発明における好ましい構成は次のとおりである。
(2) キャップの少なくとも上部には、上下方向に延びる複数のリブが形成され、かつキャップの外側に凸なリブの山部に複数の孔又はスリットが形成されている。
(3) 容器本体の一方(径方向)の側壁の高さを、この側壁と対向する他方の側壁の高さよりも高くなるように形成し、容器本体の上縁部を傾斜状又は段状に形成した。
(4) 容器本体の底部の内面に、容器本体に収容される細長い食品の底部を当接させて該食品を前記他方の側壁の側へと傾斜させるための凸部を有する。
(5) 容器本体の側壁の上部側内面に段部が形成され、該段部よりも上方は円筒形状をなしており、容器本体の内側にキャップの下縁が嵌入され、上記段部にて係止される。
【発明の効果】
【0006】
(1) 本発明によれば、紙製のコップ型容器本体によって、使用の際、容器が載置される板から伝わる熱に対して耐え得るとともに、プラスチック製の透明性キャップによって、収容された食品の状態が見やすく、かつ見栄えもよい。客の注文に応じて、あるいは客自らがその欲するものを直接手に取って選択購入することができるので、顧客は本当に欲しいと思うものを素早く購入することができ、顧客満足度を高めることができ、かつ販売者側も販売時の手間がかからない。
容器本体の側壁には、散点状の凸部又は上下方向に延びる複数のリブが形成されているため、容器を持った際滑りにくく、強度にも優れ、また、容器本体内部において食品の容器本体への接触面積が小さくなるため、食品が接触部で痛む等のダメージを少なくすることができる。キャップは、容器本体に収容されて容器本体の開口から上方へ突出する食品を覆って防護可能な縦長の内部空間を有するように形成されているので、細長い食品を入れた際、食品のその突出部分を保護して損傷を防止することができ、また、食品の状態が良く見えかつ見栄えがよい。キャップの少なくとも上部には孔又はスリットが形成されているため、加熱された食品から生じる水分が容器内部にこもらずに排出され、良好な保温状態を維持することができる。
【0007】
(2) キャップの少なくとも上部には、上下方向に延びる複数のリブが形成されている構成により、比較的少量の材料(薄い材料)で強度が得られるとともに、かつキャップの外側に凸なリブの山部に複数の孔又はスリットが形成されている構成により、加熱された食品から生じる水分が容器外へ円滑に排出され、キャップが水分で曇ることを避けることができる。
(3) 容器本体の一方の側壁の高さを、この側壁と対向する他方の側壁の高さよりも高くなるように形成し、容器本体の上縁部を傾斜状又は段状に形成した構成により、容器に収容される細長い食品を容器本体内に保持しやすく、かつ、容器本体の一方の低い側壁の側を客に見やすい前面として陳列でき、収容された食品が見やすく、かつ見栄えもよい。
(4) 容器本体の底部の内面に、容器本体に収容される細長い食品の底部を当接させて該食品を前記他方の側壁の側へと傾斜させるための凸部を有する構成により、容器に収容される細長い食品を容器本体内においてより安定させて保持することができる。
(5) 容器本体の側壁の上部側内面に段部が形成され、該段部よりも上方は円筒形状をなしており、容器本体の内側にキャップの下縁が嵌入され、上記段部にて係止される構成により、キャップ及び容器本体の製造がしやすくなり、またキャップの容器本体への脱着も簡便となる。
【実施例1】
【0008】
図1は本発明の実施例1に係る保温陳列用の食品容器1を示し、(a)は側面図、(b)はb−b断面(端面)図、(c)はc−c断面(端面)図である。
【0009】
保温陳列用の食品容器1は、紙製のコップ型容器本体10と、この容器本体10に被せて組み合わされるプラスチック製の透明性キャップ20とからなる。
容器本体10は、紙製で、持った際に潰れることのない剛性を有する。通常、70〜80℃の熱に耐え得る材質であればよい。また、コップ型、つまり側壁を掴んで手に持てる大きさに形成され、自立性を有しており、高さが径よりも大である縦長の形状となっている。この実施例では、容器本体10は高さ方向の中間部に下方に向けて径の小さくなる窄まり部11を有し、全体としては有底の円筒体に形成されている。寸胴な円筒状、あるいは側面視、下辺の小さい台形状の円筒体に形成してもよい。また、断面形状は円形のみならず、矩形その他の多角形に形成してもよい。
容器本体10の側壁には、上下方向に延びる複数のリブ12が周方向に適宜間隔をおいて整列されて形成されている。このリブ12によって、リブ(凸部)12間に挟まれた部分は凹部13となり、容器本体10の内外面に向けて凹凸が形成される。このリブ12に代えて散点状の凸部を形成するようにしてもよい(図示省略)。散点状の凸部は容器本体10の内面又は外面に向けていずれであってもよいが、リブ12の場合と同様、容器本体10の内外面に向けて凹凸が形成されるものであることが肝要である。比較的径の大きいエンボスにより散点状の凸部を形成することができる。
【0010】
キャップ20は、容器本体に収容されて容器本体の開口から上方へ突出する食品Fを覆って防護可能な縦長の内部空間を有するように形成されている。この例では、上部がほぼ半球状に形成された円筒状に形成されている。また、図示のようにこの半球状に形成された領域等、キャップ20の少なくとも上部には多数の孔22が形成されている。この孔22に代えて例えば縦方向に延びるスリットを形成してもよい。キャップ20の頂部23にも孔を形成することができる。
【0011】
また、キャップ20の上部には、上下方向に延びる複数のリブ21が形成されている。このリブ21によって、リブ(凸部)21間に挟まれた部分は凹部となり、キャップ20内外面に向けて凹凸が形成されている。リブ21は、通常、半球状ないし円錐状に形成されたキャップの頂部23から放射状に複数形成するとよい。また、このリブ21は、図示の例ではキャップ20の上部のみに形成されているが、キャップの側壁部24にも形成することができる。
そして、キャップの外側に凸なリブ21の山部に複数の孔22が、リブ21に沿って適宜間隔をおいて複数形成されている。孔22に代えてスリットを形成してもよい。
【0012】
容器本体10の一方の側壁の高さh2は、この側壁と対向する他方の側壁の高さh1よりも高くなるように形成されており、容器本体10の上縁部11は、両側壁間を斜状に連結して傾斜状に形成されている。一方の側壁の高さh2が高く形成されているため、細長い食品Fを入れた際、この高く形成された側壁にて食品を安定した状態で支えることができる。
なお、容器本体10の上縁部11は、図2に示すように段部(立ち上がり部)15を設けて、段状に形成することもできる。
図1、図2において、キャップ20の下縁25は、容器本体10の上縁11と適合する形状に形成されており、容器本体10とキャップ20との係合は、例えば、容器本体10の上縁部11にフランジ部13(図1参照、全周にわたるものの他部分的に設けてもよい。)を設け、該フランジ部13に、キャップ20の下縁25内側に設けた係止部(図示省略)を係止するようにすればよい。
【0013】
図3は、図1の実施例の変形例を示す。以下、変形例では実施例1と異なる点を説明する。図3に示すものは、図1に示したものと、容器本体10の上部の構成及びキャップ20の下縁25の構成が異なっている。
図3に示す例では、容器本体10の側壁の上部側内面に段部16が形成され、該段部16よりも上方は、それより下方と同様に円筒形状をなしている。
また、キャップ20の下縁25は図1,2のものと異なり、水平方向にカットされており、容器本体10の内側にキャップ20の下縁25が嵌入され、上記段部16にて係止される。
なお、図3(b)に示すものは、図3(a)に示すものよりも容器本体10の一方の側壁の高さh2を、より高くなるように形成したものである。このように、容器本体10の一方の側壁の高さh2と他方の側壁の高さh1との比は適宜設定することができる。
【0014】
また、容器本体10の底部の内面に、容器本体10に収容される細長い食品Fの底部を当接させて該食品Fを前記一方の側壁の側(h2の側)へと傾斜させるための凸部18を有している。この凸部18の形状や形成の仕方は、容器本体10に収容される細長い食品Fの底部を当接させて該食品Fを前記他方の側壁の側(h2の側)へと傾斜させることのできるものであれば、特に限定されるものではない。この凸部18は、図1,2に示した実施例においても適用することができるものであるのは勿論である。
【0015】
図4は、図3に示した例における容器本体10の上部の構成を変更したものである。図4に示す容器本体10は、容器本体10の側壁の上部側内面に段部16が形成されておらず、容器本体10の側壁の上部側外面にフランジ部17を設けており、キャップ20の水平方向にカットされた下縁25が、容器本体10の外側に嵌められ、上記フランジ部17にて係止される。
【0016】
図5は、図3に示した例におけるキャップ20の上部の構成を変更したものである。図1〜3に示したキャップ20は、その上部が半球状に形成されているが、図5に示すキャップ20は、上部を斜めに平坦な斜面部23aで形成したものである。
【0017】
本発明に係る保温陳列用の食品容器1は、一般にケース内温度が65℃±5℃の温度条件に設定される食品保温用ショーケースに入れられ、陳列して使用される。食品容器1に収容される食品としては、加熱調理された各種食品、例えば焼き芋等の細長い形状の固形物、スティック状物等が挙げられるが、特に限定されない。客は収容された食品と食品容器1と一緒に購入し、キャップ20を容器本体10から外して収容された食品を食する。
【0018】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲で種々の変形、付加等が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】実施例1に係る保温陳列用の食品容器1を示し、(a)は側面図、(b)はb−b端面図、(c)はc−c端面図である。
【図2】変形例を示す食品容器1の側面図である。
【図3】変形例を示す食品容器1の側面図である。
【図4】変形例を示す食品容器1の側面図である。
【図5】変形例を示す食品容器1の側面図である。
【符号の説明】
【0020】
1 保温陳列用の食品容器
10 容器本体
11 容器本体の上縁
12 リブ
20 キャップ
21 リブ
22 孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙製のコップ型容器本体と、プラスチック製の透明性キャップとからなる保温陳列用の食品容器であって、
容器本体の側壁には、散点状の凸部又は上下方向に延びる複数のリブが形成され、
キャップは、容器本体に収容されて容器本体の開口から上方へ突出する食品を覆って防護可能な縦長の内部空間を有するように形成され、かつキャップの少なくとも上部には孔又はスリットが形成されている、
保温陳列用の食品容器。
【請求項2】
キャップの少なくとも上部には、上下方向に延びる複数のリブが形成され、かつキャップの外側に凸なリブの山部に複数の孔又はスリットが形成されている、請求項1に記載の保温陳列用の食品容器。
【請求項3】
容器本体の一方の側壁の高さを、この側壁と対向する他方の側壁の高さよりも高くなるように形成し、容器本体の上縁部を傾斜状又は段状に形成した、請求項1又は2に記載の保温陳列用の食品容器。
【請求項4】
容器本体の底部の内面に、容器本体に収容される細長い食品の底部を当接させて該食品を前記他方の側壁の側へと傾斜させるための凸部を有する、請求項3に記載の保温陳列用の食品容器。
【請求項5】
容器本体の側壁の上部側内面に段部が形成され、該段部よりも上方は円筒形状をなしており、容器本体の内側にキャップの下縁が嵌入され、上記段部にて係止される、請求項3又は4に記載の保温陳列用の食品容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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