説明

保護コードを備える光ディスク及びその保護コードを得るための方法並びにデータの読み出しのためのそれぞれの装置

【課題】保護コードを備える光ディスク及びその保護コードを得るための方法並びにデータの読み出しのためのそれぞれの装置を提供すること。
【解決手段】光ディスクは、基板層2と、その基板層2上のトラックに配列されるユーザーデータ及び制御データを含むピット/ランドデータ構造を有する読み出し専用のデータ層3と、そのデータ層上に配置される超解像構造を備える非線形層4とを含み、その制御データは、ディスクの逆回転を含むことによってのみ正しく読み出し可能である。制御データは、特に、ディスクのための保護コード、例えば、コピー防止コードを含み、その結果ディスクのユーザーデータは、制御データの読み出しの後でのみ読み出し可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板層と、その基板層上のトラックに配列されるユーザーデータ及び制御データを含むデータ構造を有する読み出し専用のデータ層と、そのデータ層上に配置される非線形層とを含む光ディスクであって、その制御データは、光ディスクのための保護コードを含む光ディスクに関する。本発明は、さらに、保護コードを得るための方法及びデータの読み出しのためのそれぞれの装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光記憶媒体は、ピックアップ内に統合されている、例えば、レーザー及び光検出器を用いて光学的に読み出し可能な方法でデータを記憶する媒体である。光検出器は、記憶媒体のデータを読み出すときにレーザービームの反射光を検出するために使用される。その一方で、多種多様な光記憶媒体が周知であり、それらは、異なるレーザー波長で動作し、1ギガバイトより下から50ギガバイト(GB)に至るまでの記憶容量を提供するために異なるサイズを有する。フォーマットは、オーディオCD及びビデオDVDなどの読み出し専用フォーマット、CD−R及びDVD−R、DVD+Rなどの追記型光媒体、並びにCD−RW、DVD−RW及びDVD+RWのような書換え可能なフォーマットを含んでいる。デジタルデータは、媒体の1つ又は複数の層のトラックに沿ってこれらの媒体に記憶される。
【0003】
最高データ容量を有する記憶媒体は、現在のところブルーレイディスク(BD)であり、そのディスクは、二重層ディスクに約50GBに至るまで記憶することを可能にする。ブルーレイディスクの読み出し及び書き込みのために、405nmのレーザー波長及び0.85の開口数を有する光ピックアップが使用される。ブルーレイディスクでは、320nmのトラックピッチ及び2Tから8T又は9Tのマーク長が、使用され、ここでTは、チャネルビット長であり、2Tは、138、149又は160nmの最小マーク長と一致する。
【0004】
アッベ(Abbe)理論によって述べられるような光学機器の回折限界は、約ラムダ/2NAであり、それは、波長ラムダ=405nm及び開口数NA=0.85を持つブルーレイ型ピックアップについては238nmである。回折理論からのこの理論的最小限の検出可能な長さは、同じ長さを有するピット及びランドから形成されるパターン関数の周期に対応している。そのようなシステムの最小の検出可能な要素は、約ラムダ/4NAの長さを有するピット又はランドであり、その長さは、ブルーレイ型ピックアップについては120nmの長さと一致する。
【0005】
超解像構造を備える新しい光記憶媒体は、ブルーレイディスクと比べて一次元で2から4倍だけ光記憶媒体のデータ密度を増加させる可能性を提示する。これは、非線形層を含むことによって可能であり、その非線形層は、光記憶媒体のデータ層上に置かれ、光記憶媒体からの読み出し又は光記憶媒体への書き込みのために使用される光スポットの有効サイズを著しく低減する。非線形層は、それがデータ層上に配置されるのでマスク層として理解でき、いくつかの特定材料については、レーザービームの高い強度の中心部分だけが、そのマスク層を貫通することができる。さらに、半導体材料、例えば、InSbが、非線形層として使用でき、その半導体材料は、焦点の合ったレーザービームの中心部分でより高い反射率を示し、その中心反射率は、対応するデータ層のピット構造に依存する。従って、超解像効果は、対応するピックアップのラムダ/4NAの光学的解像限界より下のサイズを有する光ディスクのマークに記憶されるデータを記録し、読み出すことを可能にする。
【0006】
いくつかの特定材料については、レーザービームの有効スポットサイズを低減する光学的効果は、データ層のマーク及びスペースと非線形層との間の近接場相互作用に基づくと推測されるので、非線形層は、しばしば、超解像近接場構造(Super−RENS)層と呼ばれる。金属酸化物、高分子化合物又はGeSbTeもしくはAgInSbTeを含む相変化層から形成される超解像近接場構造を含むSuper−RENS光ディスクは、周知である。
【0007】
基板層と、その基板層上のトラックに配列されるユーザーデータ及び制御データを含むデータ構造を有する読み出し専用のデータ層と、そのデータ層上に配置される非線形層とを含む光ディスクであって、その制御データは、保護コードを含む光ディスクは、周知である(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】欧州特許出願公開第2136363号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、基板層と、その基板層上のトラックに配列されるユーザーデータ及び制御データを含むデータ構造を有する読み出し専用のデータ層と、そのデータ層上に配置される非線形層とを含む光ディスクであって、その制御データは、光ディスクのための保護コードを含む光ディスク及び保護コードを得るための方法並びにデータの読み出しのためのそれぞれの装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
光ディスクは、基板層と、その基板層上のトラックに配列されるユーザーデータ及び制御データを含むピット/ランドデータ構造を有する読み出し専用のデータ層と、そのデータ層上に配置される超解像構造を備える非線形層とを含み、その制御データは、ディスクの逆回転を含むことによってのみ正しく読み出し可能である。制御データは、特に、ディスクのための保護コード、例えば、コピー防止コードを含み、その結果、ディスクのユーザーデータは、制御データの読み出しの後でのみ読み出し可能である。
【0011】
光ディスクは、非線形層の超解像効果の特定の特徴を利用し、その特徴では、ある種のピット/ランドの並び、例えば、大きなピットに続く超解像ランド又はピットについては、超解像ピット及び/又はランドは、ディスクが逆回転しているときにのみ検出されるが、ディスクが正常方向に回転しているときには検出されない。制御データを含むディスクの領域を第1のステップでは順回転を使用し、第2のステップでは逆回転を使用して走査することによって、最小ピット及び/又はランドのいくつかが超解像効果の性質に起因して再生されないという点で異なる、第1及び第2のデータ信号が得られる。
【0012】
制御データは、例えば、データの読み出しのためのピックアップの解像限界よりも上である大きなピット及びランドならびに解像限界より下である小さなピット及びランドを含み、ここで制御データの大きな及び小さなピットならびにランドは、制御データの正しい読み出しが、ユーザーデータの読み出しのためのディスク回転に対してディスク回転を逆にすることによってのみ可能であるように配列される。
【0013】
好ましい実施形態では、大きなピット及びランドは、6T乃至8Tピット及びランドであり、小さなピット及びランドは、2T及び/又は3Tピットならびにランドであり、ここで制御データは少なくとも、2T及び/又は3Tランドを含み、その後に6T乃至8Tピット及び/又は6T乃至8Tランドが続き、その後に2T及び/又は3Tピットが続く。
【0014】
本発明のさらなる態様では、非線形層は、制御データだけを覆い、データ層のユーザーデータを覆わない。従って、ユーザーデータの読み出しのために、超解像効果は、必要とされない。ユーザーデータのデータ構造は、例えば、ブルーレイディスク又はDVDのデータ構造と一致してもよい。
【0015】
光ディスクのデータを読み出すための装置は、ディスクからユーザーデータ及び生の制御データを読み出すためのピックアップと、光ディスクを順方向及び逆方向に回転させるためのモータ及びサーボ制御装置と、保護コードの計算のためのマイクロプロセッサとを含んでいる。有利には、誤り訂正は、保護コードの計算のために制御データを読み出すときは適用されない、又は5T乃至8Tピットに続く2T及び/又は3Tランド並びに/又は5T乃至8Tランドに続く2T及び/又は3Tピットを含まない誤り訂正は、適用される。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、保護コードを備える光ディスク及びその保護コードを得るための方法並びにデータの読み出しのためのそれぞれの装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
本発明の好ましい実施形態は、例として概略図面を参照して以下でより詳細に説明され、その図面は、以下に示す。
【図1】基板、データ層及び非線形層を含む層スタックを備える光ディスクの断面図である。
【図2】正常回転方向に回転している光ディスクの制御データの並びのデータ信号と光ディスクが逆方向に回転しているときの同じ制御データの並びについてのデータ信号との一緒の図である。
【図3】正常回転方向についての図2の制御データの並びのデータ信号と光ディスクが逆方向に回転しているときに得られる鏡映データ信号との一緒の図である。
【図4】小さな及び大きなピットの測定された相対振幅を描写する図である。
【図5】図2で示される測定結果を説明するための図である。
【図6】光ディスクの正常回転方向を使用するときに検出可能でないデータを含む制御データの並びのデータ信号の図である。
【図7】光ディスクの逆回転方向を使用する図6の制御データの並びについてのデータ信号の図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、基板、データ層及び非線形層を含む層スタックを備える光ディスクの断面図で、光記憶媒体1が、簡略化された方法で断面で示されている。光記憶媒体1は、特に、読み出し専用(ROM)光記憶ディスクである。基板2上には、反射金属層、例えば、アルミニウム層を含んでもよいデータ層3が配置されている。データ層3は、本質的に平行なトラック上に配列されるマーク及びスペースから成るデータ構造を有する。ROMディスクについては、マーク及びスペースは、ピット及びランドから成り、ピットは、データ層3を表わすために基板2の表面にモールド加工又はエンボス加工される。データ層3上には、第1誘電体層5が配置され、その第1誘電体層5上には、非線形層4が、超解像効果を利用するためのマスク層の機能を提供するために配置されている。非線形層4は、特に、超解像効果を提供するための超解像構造、例えば、超解像近接場構造(Super−RENS)を含んでいる。
【0019】
非線形層4上には、第2誘電体層6が配置されている。さらなる層として、カバー層7が、保護層として第2の誘電体層5上に配置されている。この実施形態では、データ層3のデータを読み出すために、レーザービームが、記憶媒体1の上部から加えられ、最初にカバー層7を貫通する。光記憶媒体1は、特に、DVD及びCDと同様の外形寸法を有する光ディスクである。第1及び第2誘電体層5,6は、例えば、材料ZnS−SiO2を含んでいる。基板2及びカバー層7は、DVD及びCDから周知であるように、プラスチック材料から成ってもよい。記憶媒体1の層は、特に、層スタックとして配置されている。非線形層4は、超解像構造として、例えば、III−V半導体族の半導体材料、例えば、GaSb、InAsもしくはInSb、又は相変化材料、例えば、カルコゲナイド材料を含んでいる。
【0020】
超解像効果は、光記憶媒体のデータの読み出しのための対応する装置の光学的解像限界より下のサイズ、特に、長さを有するピットを検出することを可能にする。相変化材料を含み、また、半導体材料のような他の材料も含む光ディスクの超解像検出は、非線形層4の光学的特性の局所的な変化に関連することが実証されている。
【0021】
最近の実験は、いくつかの状況については、データの読み出しのためのピックアップの解像限界より下の最少ピット及びランドは、それらが大きなランド、大きなピットにそれぞれ続くときは、超解像構造を含む光ディスクについて正しく復号できないことを示した。例えば、ピックアップの解像限界より下の長さを有するランドである2Tランドが、大きなピット、例えば、5T又は8Tピットに続くときは、2Tランドは、ピックアップによって検出されないことになる。光ディスク1についてのチャネルビット長Tは、例えば、40nm又は50nmであり、従って2Tピット及び2Tランドは、80nm又は100nmの長さを有する。
【0022】
ピックアップの解像限界より下の長さを有する2T及び/又は3Tピットならびにランドは、それらが超解像効果を使用することによってのみ検出できるので、この文脈では超解像ピット及びランドと呼ばれることになる。ピックアップの解像限界より上の長さを有する5T乃至8Tピット及びランドは、例えば、ブルーレイディスクから周知であるように、検出のためには回折効果が有効であるので、この文脈では回折ピット及びランドと呼ばれる。この現象は、図2で見ることができ、その図2は、先行する大きな回折ピットから超解像ランドだけ離れている超解像ピットが検出できないことを示している。
【0023】
図2は、正常回転方向に回転している光ディスクの制御データの並びのデータ信号と光ディスクが逆方向に回転しているときの同じ制御データの並びについてのデータ信号との一緒の図である。
【0024】
図2のグラフ21は、各々80nmの長さを有する交互に10個のピットSP1乃至SP10及び10個のランドSL1乃至SL10のデータの並びの検出を示し、そのピット及びランドには、400nm回折ランドDLが先行し、後に400nm回折ピットDPが続く。図示されるのは、時間tの関数としての振幅Aである。レーザー出力は、2.8mWである。データ構造は、超解像構造としてInSb層によって提供される非線形層を含む光ディスク上に配列される。図2からわかるように、回折ランドDLに続く第1の超解像ピットSP1は、明瞭に解像され、また、超解像ピット及びランドの次の並びも、明瞭に解像される。最後の超解像ランドSL10の後には長さ400nmの回折ピットDPが続き、その回折ピットの後には同じサイズの回折ランドDLが続く。
【0025】
しかし、ディスクが、超解像ピット及びランドの同じ並びを読み出すために逆方向に回転されるときは、状況は異なる。10個の超解像ピット及びランドの並びは、先行する回折ピットDPの後に、超解像ランドSL1から始まる。10個の超解像ピット及びランドの並びは、超解像ピットSP10と一致して終わり、後に回折ランドDLが続く。逆方向でデータを読み出すときにピックアップで得られるデータ信号、グラフ22は、グラフ21のデータ信号と対応させて図2で表示される。図2からわかるように、グラフ22の最後の回折ピットDPの後には、超解像ランドSL1が続いているので、信号振幅は、上昇しているが、その後の超解像ピットSP1は、解像されない。次の超解像ランドSL2だけが、解像され、また、その後の超解像ピット及びランドも解像される。
【0026】
これは、驚くべき効果であり、なぜなら大きな回折ランドDLに続く超解像ピットSP1は、グラフ21によって示されるように明瞭に解像されるが、大きな回折ピットDPに続く超解像ピットSP1は、グラフ22によると解像されないからである。それに応じて、また、回折ピットDPと超解像ピットSP1との間の超解像ランドSL1も、検出されない。正常回転方向は、特に、ユーザーデータの読み出しに使用されるディスク回転であり、この実施形態では反時計方向回転であり、逆回転方向は、時計方向回転である。
【0027】
図3は、正常回転方向についての図2の制御データの並びのデータ信号と光ディスクが逆方向に回転しているときに得られる鏡映データ信号との一緒の図である。
【0028】
グラフ22のグラフ21とのより良い比較のために、図3では、グラフ22は、振幅に関して鏡映されて、グラフ21と一緒に表示され、その結果、グラフ21のピット及びランドの信号は、グラフ22の信号と一致する。図3のグラフ22は、大きな回折ピットに続く第1の超解像ピット及び第1の超解像ランドが、ピックアップによって検出されないことを確認する。超解像ランドSL2及び超解像ピットSP2は、検出され、またその後の超解像ピットSP3〜SP10及び超解像ランドSL3〜SL10も、検出される。
【0029】
この効果の理由の1つは、超解像ピット及びランドについてピックアップによって得られるデータ信号が、回折ピット及びランドについて得られるデータ信号に対して非常に小さいことである。
【0030】
図4は、小さな及び大きなピットの測定された相対振幅を描写する図である。小さな及び大きなピットの相対振幅が、測定されて、図4で表示され、その図4は、ピット長Lの関数としてピットの解像度Rを示している。この解像度は、この文脈では600nmの長さを有するピットの振幅で割られた、所与の長さのピットの振幅として定義される。調べられたのは、100nmの最小ピット長から始まり、600nmの最大ピット長に至るまで50nmの階段状に増加するピット長を持つピットを含むピットである。ピットは、非線形層の超解像材料としてInSbを含む超解像光ディスク上に配列される。
【0031】
グラフ41は、0.8mWのレーザー出力を使用するときに得られるピットの解像度を示し、そのレーザー出力は、非線形層の超解像効果を提供するのに十分ではない。グラフ42は、1.8mWのレーザー出力を使用するときの同じピットの解像度を示し、そのレーザー出力は、超解像効果を提供するのに十分である。図4でわかるように、超解像効果は、ピックアップの解像限界ぐらいである150nmのピット長より下で有効であるだけでなく、またより大きなピット長についても有効である。さらに、100nmのピット長については、解像度Rは、1.8mWのレーザー出力の場合でさえ、より大きなピットと比較して非常に小さく、従って100nm長以下の超解像ピット及びランドについて得られるデータ信号の振幅は、それに応じて非常に小さい。これらの測定に、また図2及び図5乃至図7の他の測定にも使用されるピックアップは、405nmのレーザー波長及び開口数NA=0.85を有するブルーレイ型ピックアップである。このピックアップの解像限界は、回折理論によるとそれに応じて約120nmのマーク長であり、マーク長は、ここではランド又はピット長のことである。
【0032】
さらに、超解像効果を説明するためのシミュレーションは、超解像効果が主として、超解像ランドによって提供されること、及び超解像ピットが、超解像ランドに対して比較的小さな信号だけを提供することを示した。これは、なぜ大きな回折ピットに続く超解像ランド及びその後の超解像ピットが、図2のグラフ22によって示されるように検出されないのかを説明する。
【0033】
図5は、図2で示される測定結果を説明するための図である。
この効果は、図5に関してより詳細に説明される。グラフ51は、図2及び図3のグラフ21と同様の、先行する回折ランドDLと後に続く回折ピットDPとの間に配列された10個の超解像ピット及び10個の超解像ランドの並びを示す。相違点としては、超解像ピット及びランドの長さは、各々100nmであり、回折ピット及びランドの長さは、各々400nmである。図5のグラフ52は、これらのピット及びランドについてだが、光ディスクの逆回転を使用するデータ信号を示す。この場合もまた、回折ピットDPに続く第1の超解像ランド及び第1の超解像ピットは、図2と一致して、逆方向でのデータ読み出しの間は解像されないが、その後の超解像ピット及びランドだけは、解像される。
【0034】
加えて、図5で示されるのは、回折ピットのサイズDPS及び超解像ピットのサイズSPSである。また、ピット及びランドについての対応する反射率も、回折効果及び超解像効果から生じるように、矢印によって示される。第1の回折ピットDPは、グラフ51では、低反射率10を提供し、その後の回折ランドDLは、高反射率11を提供する。回折ランドDLについては、また、図4に従って超解像効果によって加えて提供される反射率12も示される。超解像ランドもまた、より高い反射率13を有し、超解像ピットは、より低い反射率14を有するが、しかし、超解像ピットについては、反射率14は、超解像ランドのデータ信号と比較してデータ信号へのはるかにより小さい寄与だけを提供する。これは、なぜ回折ランドDLの後の第1の超解像ランドがグラフ51で明瞭に解像され、従ってまた回折ランドDLの後の第1の超解像ピットも明瞭に解像されるのかを説明する。
【0035】
しかし、ディスクが逆方向に回転されるときは、状況が異なり、グラフ52となる。サイズDPSの回折ピットDPは、反射率15を提供する。この回折ピットDPに続く第1の超解像ランドは、データ信号の振幅の上昇につながる大きな信号寄与16を提供するが、その後の超解像ピットは、先行する超解像ランドの信号寄与に対して小さな信号寄与17だけを提供する。従って、データ信号の振幅は、なお増加し続け、その結果超解像データの並びの第1の超解像ランド及びそれに応じてまた第1の超解像ピットも、グラフ52によるとピックアップによって検出されない。反射率18を有するその後の超解像ランド及び反射率19を有するその後の超解像ピットだけが検出される。
【0036】
これは、保護コード、例えば、コピー防止コードの機能を有する制御コードをディスクに含むことを可能にする。超解像ランドSL1、例えば、2T又は3Tランドは、それが、回折ピットである大きなピットDP、例えば、5T乃至8Tピットに続くときは検出できない。また、大きなピットの後の超解像ランドSL1に続く超解像ピットSP1、例えば、2T又は3Tピットも、図6でより詳細に示されるように検出されない。
【0037】
図6は、光ディスクの正常回転方向を使用するときに検出可能でないデータを含む制御データの並びのデータ信号の図である。また、図7は、光ディスクの逆回転方向を使用する図6の制御データの並びについてのデータ信号の図である。
【0038】
ディスクの回転方向が、逆回転に変えられるときは、小さなランドSL1は、図7で示されるように、回折ピットDPに先行している。従って、図6でのディスクの正常回転の間は復号できないデータは、ディスクの逆回転を使用するときは明瞭に復号できる。従って、この種のデータの並びを使用することによって、ディスクの正常回転だけを使用することによって読み出すことができないいくらかのコードを、ディスク上で制御データ内に隠すことができる。制御データは特に、光ディスクのユーザーデータを読み出すために必要なすべての情報を含んでいる。ユーザーデータは、ユーザーが求める情報データ、例えば、映画又はコンピュータゲームを含んでいる。
【0039】
光ディスクの読み出しのための装置は、ユーザーデータ及び制御データの読み出しのためのピックアップと、保護コードを計算するためのマイクロプロセッサと、ディスクを順方向及び逆方向に回転させることを可能にするモータ及びそれぞれのサーボ制御装置とを含んでいる。
【0040】
制御データの読み出しのために、最初にディスクの保護コードが、検証されなければならない。保護コードを見いだすためには、保護コードを含む制御データは、第1のデータ信号を得るためにディスクの順回転を含む初回に読み出され、第2のデータ信号を得るためにディスクの逆回転を使用する2回目に読み出されなければならない。第1のデータ信号を第2のデータ信号と比較することによって、例えば、両方のデータ信号の減算又は加算を含む簡単な計算が使用されてもよいその計算によって、正しい保護コードが、得られる。保護コードが、例えば、装置のメモリに記憶されるコードと一致するときのみ、ユーザーデータは、装置によって読み出すことができる。
【0041】
述べられるようなディスク及び装置を含むこのシステムの応用は、例えば、独占的システム、例えば、ゲーム機又は同様の応用のためである。
【0042】
逆回転は、ディスクの制御データを得るために必要とされるので、ディスク読取り装置及び記録装置又は任意の他のディスクコピーステーションを含む現在のコンピュータは、最初のステップで制御データが復号されるときに、ユーザーデータにアクセスできるだけなので、ディスクをコピーできない。現在のシステムは、データの読み出しのためにディスクを逆方向に回転させることを許容しないので、これは、現在のシステムでは不可能である。保護コードは、大きな組の制御データ内に隠すことができ、ユーザーデータの始まりは、例えば、その制御データ又はユーザーデータの読み出しに必要な任意の他の制御データ内に含まれてもよいので、制御データは、また、単にコンピュータの処理能力を使用することによって又は試行錯誤によっても見いだせない。従って、制御データは有利には、ユーザーデータの前に、ディスクの内側トラック又は内側区画に配列される。従って、ユーザーデータは、制御データを読み出し、復号することなく見いだすことができない。
【0043】
コンピュータが、順回転を使用することによって得られるようなディスクのデータの1:1コピーを単に提供することによってディスクをコピーするときには、コピーされたディスクは、制御データ内の隠されたデータを含まない。従って、コピーされたディスクが、応用に使用されるときには、装置は、第1のデータ信号を得るために順方向で及び第2のデータ信号を得るために逆回転方向で制御データを読み出すが、しかし、2つのデータ信号が比較されるとき、装置は、両方のデータ信号が同じであると、又は特に保護されたコードがディスクに含まれないと認識する。従って、本発明は、非常に有効なコピー防止モードを提供する。
【0044】
制御データの読み出しのために、どんな欠落ピット及びランドも計算する誤り訂正は、もちろん、含むことができない。有利には、隠されたコードについては有効ではないが、制御データの残りの部分についてのみ有効である誤り訂正は、使用されてもよい。
【0045】
超解像効果の特定の特徴が制御データを得るために使用されるので、完全な制御データの正しい読み出しのためには、超解像層が、必要とされる。従って、本発明のさらなる態様では、超解像層は、制御データだけを覆い、ユーザーデータを覆わなくてもよい。ユーザーデータは、例えば、現在のDVD又はブルーレイディスクから周知であるようなデータ構造と一致してもよい。従って、この種のコピー防止は、また、現在のゲーム機にも応用できる。それぞれの装置のサーボ制御装置及びマイクロプロセッサのソフトウェアだけが、ディスクの逆回転を含むことによって制御データを得るために変更されなければならず、また、超解像効果を応用するのに十分なレーザー出力を提供することを可能にするピックアップも、使用されなければならない。従って、光ディスクは、現在の光ディスクと同様に設計されてもよいが、しかし、ユーザーがディスクのユーザーデータを読み出すことをほとんど不可能にする制御データを含んでいる。
【0046】
また、本発明の他の実施形態も、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく当業者によって利用されてもよい。従って、本発明は、本明細書の後に添付される特許請求の範囲に存在する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板層と、
該基板層上のトラックに配列されるユーザーデータ及び制御データを含むピット/ランドデータ構造を有する読み出し専用のデータ層と、
該データ層上に配置される超解像構造を備える非線形層とを含む光ディスクであって、
前記制御データは、前記光ディスクの逆回転を含むことによってのみ正しく読み出し可能であることを特徴とする光ディスク。
【請求項2】
前記制御データは、前記光ディスクのための保護コードを含み、前記ユーザーデータは、前記制御データの読み出し及び前記保護コードの抽出の後でのみ読み出し可能であることを特徴とする請求項1に記載の光ディスク。
【請求項3】
前記制御データは、前記ユーザーデータの前に前記光ディスクの内側トラック又は内側区画に配列されることを特徴とする請求項1又は2に記載の光ディスク。
【請求項4】
前記制御データは、
前記データの読み出しのためのピックアップの解像限界より上である大きなピット(DP)及びランド(DL)と、
前記ピックアップの前記解像限界より下である小さなピット(SP1)及びランド(SL1)とを含み、
前記制御データの前記大きな及び小さなピットならびにランドは、前記制御データの正しい読み出しが、前記ユーザーデータの読み出しのための前記ディスク回転に対して前記光ディスク回転を逆にすることによってのみ可能であるように配列されることを特徴とする請求項1,2又は3に記載の光ディスク。
【請求項5】
前記大きなピット及びランドは、5T乃至8Tピット及びランドであり、前記小さなピット及びランドは、2T及び/又は3Tピットならびにランドであり、前記制御データは少なくとも、5T乃至8Tピットに続く2T及び/もしくは3Tランド、ならびに/又は2T及び/もしくは3Tピットが後に続く5T乃至8Tランドを含むことを特徴とする請求項4に記載の光ディスク。
【請求項6】
前記非線形層は、前記超解像構造として、例えば、GaSb、InAsもしくはInSbのIII−V半導体族の半導体材料、又は、例えば、カルコゲナイド材料の相変化材料を含むことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の光ディスク。
【請求項7】
前記非線形層は、前記制御データだけを覆い、前記データ層の前記ユーザーデータを覆わないことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の光ディスク。
【請求項8】
前記ピックアップの前記解像限界は、ラムダ/2NAとして定義され、ラムダは、レーザー波長であり、NAは、前記ピックアップの開口数であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の光ディスク。
【請求項9】
前記非線形層上のカバー層と、前記非線形層と前記データ層との間に配置される第1誘電体層と、前記非線形層と前記カバー層との間に配置される第2誘電体層とを含むことを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の光ディスク。
【請求項10】
基板層と、該基板層上のトラックに配列されるユーザーデータ及び制御データを含むピット/ランドデータ構造を有する読み出し専用のデータ層と、該データ層上に配置される超解像構造を備える非線形層とを含む光ディスクからデータを読み出すためのデータ読み出し方法であって、
第1のデータ信号を得るために前記光ディスクを順方向に回転させることによって前記制御データを読み出すステップと、
第2のデータ信号を得るために前記光ディスクを逆方向に回転させることによって前記制御データを読み出すステップと、
前記第1のデータ信号及び前記第2のデータ信号から前記光ディスクのための保護コードを計算するステップと
を含むことを特徴とするデータ読み出し方法。
【請求項11】
前記光ディスクの超解像効果を利用するためのしきいより上である、前記制御データの読み出しのためのレーザー出力を使用するステップを含むことを特徴とする請求項10に記載のデータ読み出し方法。
【請求項12】
前記光ディスクのコピー防止のため又は読み出し防止のために前記保護コードを使用するステップを含み、
前記保護コードは、前記第1のデータ信号及び前記第2のデータ信号の差、合計、又は任意の数学的組合せを考慮に入れることによって計算されることを特徴とする請求項10又は11に記載のデータ読み出し方法。
【請求項13】
前記光ディスクは、請求項1乃至9のいずれかに記載の光ディスクであることを特徴とする請求項10,11又は12に記載のデータ読み出し方法。
【請求項14】
請求項10乃至13のいずれかに記載の方法を適用するために、光ディスクのデータを読み出すためのピックアップと、前記保護コードの前記計算のためのマイクロプロセッサと、前記光ディスクを順方向及び逆方向に回転させるためのモータ及びサーボ制御装置とを含むことを特徴とするデータ読み出し装置。
【請求項15】
誤り訂正は、前記保護コードの前記計算のために前記制御データを読み出すときは適用されない、又は5T乃至8Tピットに続く2T及び/もしくは3Tランドならびに/又は5T乃至8Tランドに続く2T及び/もしくは3Tピットを含まない誤り訂正は、適用されることを特徴とする請求項14に記載のデータ読み出し装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−227986(P2011−227986A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−91011(P2011−91011)
【出願日】平成23年4月15日(2011.4.15)
【出願人】(501263810)トムソン ライセンシング (2,848)
【氏名又は名称原語表記】Thomson Licensing 
【住所又は居所原語表記】1−5, rue Jeanne d’Arc, 92130 ISSY LES MOULINEAUX, France
【Fターム(参考)】