説明

保護シート

【課題】 長期間使用した状態が続いても悪臭の発生を抑える保護シートを提供する。
【解決手段】 第2保護シート12は透明な合成樹脂フィルム19を中心として構成されている。合成樹脂フィルム19の上面には全面に亜鉛系の透明な抗菌剤20が塗布されている。合成樹脂フィルム19の下面には印刷層22が形成され、印刷模様が合成樹脂フィルム19及び抗菌剤20を介して上方から透視できる。合成樹脂フィルム19の下面側には印刷層22を介してアクリル系の吸着層23が全面に形成されている。吸着層23は、その形成時にアクリル系の合成樹脂に対して無機系の消臭剤が一定重量比で練り込まれている。これによって、第2保護シート12をキッチン調理台14上に接着した際、吸着層23とキッチン調理台14との間に侵入した水等の腐食による臭いは吸着層23によって消臭され、悪臭が拡散する虞はない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は保護シートに関し、特に台所の調理台等の上を覆うように接着して用いる保護シートに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来台所の調理台等の上を覆うように設置して、調理台等の汚れを防止する保護シートが提案されている。この保護シートは合成樹脂フィルムの一方面に粘着剤を塗布したものが一般的である。
【0003】
設置した保護シートが汚れたらその都度取替えることによって、調理台等の汚れが常に防止されることになり、使い勝手が良い。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような従来の保護シートでは、1枚の保護シートを長く使っていると問題を生じる虞がある。通常台所の調理台等にあっては、水等の液体を使用することが多くなるが、この水等が保護シートと設置面との間に入り込んでしまう場合がある。この状態が長く続くと、水等の腐食によって悪臭を放つことにもなり、保護シートの本来の目的である清潔感が損なわれることにもなりかねない。
【0005】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、長期間使用した状態が続いても悪臭の発生を抑えることができる保護シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、請求項1記載の発明は、被取付面を覆い、汚れ等から保護するための保護シートであって、合成樹脂フィルムと、消臭効果を有するとともに、合成樹脂フィルムの一方面側に形成され、被取付面に着脱自在の接着層とを備えたものである。
【0007】
このように構成すると、被取付体と合成樹脂フィルムとの間に侵入した水等からの臭いの発生が抑えられる。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の構成において、接着層は合成樹脂フィルムの一方面側の全面に形成され、消臭剤が練り込まれた合成樹脂からなる吸着層を含むものである。
【0009】
このように構成すると、合成樹脂の下面に一定密度で消臭剤が露出する。
【0010】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明の構成において、消臭剤と合成樹脂との重量比は、1.5:100としたものである。
【0011】
請求項4記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれかに記載の発明の構成において、合成樹脂フィルムは透明であり、一方面に形成された印刷層を更に備え、接着層は印刷層を介して合成樹脂フィルムに形成されるものである。
【0012】
このように構成すると、合成樹脂フィルムを介して印刷層が透視できる。
【0013】
請求項5記載の発明は、請求項4記載の発明の構成において、合成樹脂フィルムの他方面に形成された抗菌剤を更に備えたものである。
【0014】
このように構成すると、合成樹脂フィルムの上面は抗菌作用を発揮する。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように、請求項1記載の発明は、侵入した水等からの臭いの発生が抑えられるため、被取付体に対する保護シートの使用期間を長くすることが可能となる。
【0016】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の効果に加えて、合成樹脂の下面に消臭剤が一定密度で露出するため、消臭効果と吸着効果とが安定して発揮される。
【0017】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明の効果に加えて、消臭効果と吸着効果とが効率的に発揮される。
【0018】
請求項4記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれかに記載の発明の効果に加えて、フィルムを介して印刷層が透視できるため、印刷層の印刷模様の形成状態が安定して持続し、視覚性の高い保護シートとなる。
【0019】
請求項5記載の発明は、請求項4記載の発明の効果に加えて、フィルム上面は抗菌作用を発揮するため、接着層の消臭効果とあいまって清潔感がより発揮され、特に台所の調理台等を覆うのに適したものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
図1はこの発明の第1の実施の形態による保護シートの使用状態を示した斜視図であり、図2は図1で示したII−IIラインの拡大断面図である。
【0021】
これらの図を参照して、キッチン調理台14にはシステムキッチン用レンジ15が落し込まれるように嵌め込まれて設置されている。システムキッチン用レンジ15のガードプレート17の周囲は、平面視コの字状の第1保護シート11と平面視矩形形状の第2保護シート12とによって囲われるように取付けられている。これによってシステムキッチン用レンジ15の周りのキッチン調理台14は、第1保護シート11及び第2保護シート12によってその表面が保護された状態となる。第1保護シート11又は第2保護シート12の表面が汚れた状態となると、その都度新しいものに取替えることによって常にキッチン調理台14の表面は保護された状態となる。
【0022】
第1保護シート11と第2保護シート12の断面構成は同一であり、その具体的な構成は図2に示されている。第2保護シート12はポリエチレンテレフタレート(PET)よりなる合成樹脂フィルム19を中心として構成されている。合成樹脂フィルム19の上面には亜鉛系の透明の抗菌剤20が全面に塗布されている。一方、合成樹脂フィルム19の下面には、印刷層22が形成されており印刷模様が施されている。更に、合成樹脂フィルム19の下面側には印刷層22を介してアクリル系の合成樹脂(好ましくは発泡樹脂)よりなる吸着層23が全面に形成されている。尚、吸着層23は後述する製造工程において、消臭剤が練り込まれた状態で合成樹脂フィルム19に対して吸着加工されるものである。
【0023】
第2保護シート12は上述のように構成され、吸着層23の吸着効果によって平滑な面であれば、所望の場所に脱着自在に接着させることが可能となる。又、第2保護シート12の接着は、粘着剤を用いずに吸着層23の吸着効果によるものであるため、キッチン調理台14等から取外した場合にあっても、キッチン調理台14の表面に糊残りを生じる虞はない。
【0024】
第2保護シート12の使用が長期化すると、吸着層23の下面とキッチン調理台14の上面との間の隙間に水等が侵入する虞がある。仮にこのような水等が内部で腐食した場合であっても、吸着層23は上述のように吸着効果のみならず消臭効果も併せ持っている。従って、侵入した水等からの臭いは吸着層23によって吸収され、外方への悪臭の発散を抑制することが可能となる。これによって、第2保護シート12の清潔感を長期間保つことが可能となる。
【0025】
図3はこの発明の第1の実施の形態による保護シートの製造過程を示した概略工程図である。
【0026】
図を参照して、まずその(1)のように、厚さ50μmのPETよりなる透明な合成樹脂フィルム19が準備される。次にその(2)に示されているように、合成樹脂フィルム19の下面にパール調の3色印刷が施され印刷層22が形成される。これによって印刷層22の印刷模様は合成樹脂フィルム19を介してその上方から透視することが可能となる。
【0027】
次にその(3)に示されているように、合成樹脂フィルム19の印刷層22側とは反対面の全面に亜鉛系の透明な抗菌剤20が全面に塗布される。その塗布量は0.3g/mである。これによって合成樹脂フィルム19の上面には殺菌効果がもたらされることになる。
【0028】
次にその(4)に示されているように、合成樹脂フィルム19の下面側には印刷層22を介して厚さ70μmのアクリル系の吸着層23が全面に形成される。尚、吸着層23には無機系の消臭剤がアクリル系の合成樹脂(以下「吸着樹脂」ともいう)に対して重量比率で1.5:100の状態で練り込まれている。これによって吸着層23の下面には練り込まれた消臭剤が外方に一定密度で露出することになる。これによって、吸着層23の下面は安定した消臭効果を発揮することになる。
【0029】
次にその(5)に示されているように、吸着層23の下面に透明な合成樹脂よりなる剥離紙25が全面に貼り付けられ、製品たる保護シートが完成する。尚、保護シートは製造時にあってはシート状に形成されるため、製品の用途に応じてこれを平版断裁やトムソン抜き加工によって所望の形状にして製品化する。
【0030】
図4は図1で示した第1保護シート及び第2保護シートの製品化前の状態を示した図である。
【0031】
上述のように保護シート27は製造完成時にあってはシート状に形成されているため、これを図の境界線29で打ち抜くことによってコの字状の第1保護シート11と矩形状の第2保護シート12とが無駄なく製造されることになる。そして図1に示すようにキッチン調理台14の上面に接着する際には、保護シート27の状態で下面に貼り付けられている剥離紙25を取除く。これによって、吸着層23の吸着効果により第1保護シート11及び第2保護シート12をキッチン調理台14上の所望の場所に接着させることが可能となる。そして、この実施の形態にあっては第1保護シート11及び第2保護シート12の下面には粘着剤を用いずに吸着層を形成しているため、これらの取替え時にキッチン調理台14上に糊残り等を生じる虞はない。
【0032】
尚、上記の実施の形態では、保護シートをキッチン調理台の上を保護するように用いているが、台所の壁面等の他の場所にも同様に使用でき同様の効果を奏することは言うまでもない。
【0033】
又、上記の実施の形態では、消臭剤と吸着樹脂との重量比率を特定しているが、消臭効果が発揮されるものであればこの重量比率は他の比率でも良い。
【0034】
更に、上記の実施の形態では、合成樹脂フィルム、消臭剤及び吸着樹脂を特定しているが他の種類のものを用いても良いことは言うまでもない。
【0035】
更に、上記の実施の形態では、保護シートを構成している各材料の厚さ等を特定しているが、他の厚さ等の材料を用いても良い。
【0036】
更に、上記の実施の形態では、PETフィルムの下面に吸着層を形成しているが、これに代えて粘着剤を塗布して粘着層を形成しても良い。この場合、粘着剤に消臭剤を同様に練り込むようにすれば、同様の効果を奏する。
【0037】
更に、上記の実施の形態では、PETフィルムおよび抗菌剤は透明のものを用いているが、不透明のものであっても良い。この場合、PETフィルム等を介して透視できなくなるため印刷層は不要となる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】この発明の第1の実施の形態による保護シートの取付け状態を示した概略斜視図である。
【図2】図1で示したII−IIラインの拡大断面図である。
【図3】図1及び図2で示した保護シートの製造過程を示す概略断面図である。
【図4】図1で示した第1保護シートと第2保護シートの製品化過程を示した平面図である。
【符号の説明】
【0039】
11…第1保護シート
12…第2保護シート
14…キッチン調理台
19…合成樹脂フィルム
20…抗菌剤
22…印刷層
23…吸着層
尚、各図中同一符号は同一又は相当部分を示す。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
被取付面を覆い、汚れ等から保護するための保護シートであって、
合成樹脂フィルムと、
消臭効果を有するとともに、前記合成樹脂フィルムの一方面側に形成され、前記被取付面に着脱自在の接着層とを備えた、保護シート。
【請求項2】
前記接着層は、前記合成樹脂フィルムの前記一方面側の全面に形成され、消臭剤が練り込まれた合成樹脂からなる吸着層を含む、請求項1記載の保護シート。
【請求項3】
前記消臭剤と前記合成樹脂との重量比は、1.5:100である、請求項2記載の保護シート。
【請求項4】
前記合成樹脂フィルムは透明であり、前記一方面に形成された印刷層を更に備え、
前記接着層は前記印刷層を介して前記合成樹脂フィルムに形成される、請求項1から請求項3のいずれかに記載の保護シート。
【請求項5】
前記合成樹脂フィルムの他方面に形成された抗菌剤を更に備えた、請求項4記載の保護シート。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−15489(P2006−15489A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−192480(P2004−192480)
【出願日】平成16年6月30日(2004.6.30)
【出願人】(000222107)東洋アルミホイルプロダクツ株式会社 (9)
【Fターム(参考)】