説明

保護剤供給装置、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置

【課題】 発泡体ローラが塑性変形することなく経時に亘って像担持体、クリーニング部材、及び帯電部材を保護することができる保護剤供給装置、その保護剤供給装置を備えたプロセスカートリッジ及び画像形成装置を提供すること。
【解決手段】 脂肪酸金属塩を含有する保護剤ブロック34aと、発泡体層でトナー像を担持する像担持体(感光体ドラムY)の外周表面と保護剤ブロック34aの両方に当接する回転可能な発泡体ローラ34bと、この発泡体ローラ34bに保護剤ブロック34aを押圧する押圧手段34cと、を備え、発泡体ローラ34bが回転することにより保護剤ブロック34aを発泡体層で削り取って保護剤を像担持体(感光体ドラムY)の外周表面に供給する保護剤供給装置34において、発泡体ローラ34bの発泡体層が連続気泡型のセルを有するように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタ、ファクシミリ、コピー機、これらの複合機等の静電気力を利用した電子写真方式の画像形成装置に関し、詳しくは、電子写真方式の画像形成装置に搭載され、像担持体に保護剤を供給する保護剤供給装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
このような電子写真方式による画像形成装置は、ドラム形状の感光体ドラムや無端ベルト形状の感光体ベルトなどの外周表面に感光体層が形成された感光体(潜像担持体)上の静電潜像に現像装置により帯電させたトナーを転移させてトナー像に可視像化し、このトナー像を感光体から直接用紙(材質を問わずコピー用紙、樹脂シート、厚紙、ハガキなど、表面に転写されたトナー像を定着可能なシート状の部材を指す。以下同じ)に転写する直接転写方式の画像形成装置と、感光体からドラム形状の中間転写ドラムや無端ベルト状の中間転写ベルトなどの中間転写体に一旦転写してから用紙に転写する間接転写方式の画像形成装置とに大別される。
【0003】
しかしながら、いずれの方式の画像形成装置も、前述の感光体ドラムや中間転写ベルトなどの表面にトナー像を担持する像担持体から用紙に画像を転写する点では共通しており、像担持体から用紙へ転写されなかったトナー成分(トナー像の付着残留物)は、一般的に、像担持体の表面にクリーニングブレードなどのクリーニング部材を摺接させて掻き取るタイプのクリーニング装置や、帯電ローラなどの帯電部材でトナーと逆極性の電界を形成して電気的にトナーを除去するタイプのクリーニング装置などで除去されている。
【0004】
このため、前述の像担持体、クリーニング部材、帯電部材には、クリーニング工程などにおいて、物理的ストレスや電気的ストレスが掛かってしまい、像担持体、帯電部材、クリーニング部材が経時的に磨耗したり劣化したりすることが避けられなかった。そのため、この課題を解消すべく、これまでにも像担持体、帯電部材、クリーニング部材の劣化を低減させるために各種潤滑剤や保護剤などの供給・膜形成方法、及びその装置が提案されている。
【0005】
例えば、特許文献1には、像担持体であるゼログラフドラム10(感光体ドラム)の外層12の表面にステアリン酸亜鉛を主成分とする固形潤滑剤(保護剤)を供給してゼログラフドラム10の表面に潤滑剤の皮膜を形成することにより、ゼログラフドラム10の表面と清掃ウェブ26との摩耗を抑え、ゼログラフドラム10の寿命を伸ばすことができる画像形成装置が記載されている(第1図等参照)。
【0006】
また、特許文献2には、バー状の固形潤滑剤81をブラシローラ82で削り取って微粉末状となった潤滑剤を像担持体である感光体ベルト1の表面に塗布し、潤滑剤均しブレード85で押し均して膜厚が均一な潤滑剤の薄膜を形成することにより、虫喰い、画像ボケ、ボソツキ等の異常画像の発生を防止することができると共に、ブラシローラの塗布機能も長期に渡って維持することができる潤滑剤塗布装置80及び画像形成装置が記載されている(特許文献2の図3等参照)。
【0007】
しかしながら、特許文献2に記載の潤滑剤塗布装置は、固形潤滑剤81をつるまきバネでブラシローラ82へ押圧する構成であるため、固形潤滑剤81が削れていくに従ってつるまきバネが伸びていき、必然的につるまきバネの押圧力が弱まることとなる。したがって、感光体ベルト1へ供給される固形潤滑剤の量も低下することとなり、経時的に像担持体である感光体ベルト1の磨耗・劣化を防ぐことができないという問題があった。
【0008】
この問題を解決するべく、特許文献3には、固形潤滑剤162をブラシローラ161との当接方向へ押圧する押圧機構163とを備えた潤滑剤塗布装置16において、1つのバネ163Cの付勢力を受けて左右一対の可動部材163Aで固形潤滑剤162を押圧することにより、固形潤滑剤162を押圧する左右の押圧力が均等となり、固形潤滑剤が削れていく経時においても、同じ加圧力を保つことができる潤滑剤塗布装置16、及びそれを備えた画像形成装置であるプリンタ1が記載されている(特許文献3の図1、図3等参照)。また、特許文献2及び3には、固形潤滑剤としてステアリン酸亜鉛が最適である旨も記載されている(特許文献2の段落0035、特許文献3の段落0022等参照)。
【0009】
一方、像担持体へ掛かるストレスは、クリーニング工程から受けるものばかりではなく、帯電工程で受ける電気的ストレスも像担持体表面の状態を劣化させる原因となる。また、この電気的ストレスは、像担持体表面近傍で放電現象を伴う、接触帯電方式や近接帯電方式で顕著であり、これらの帯電方式では、像担持体表面で多くの活性種や反応生成物が発生し、放電領域の大気中で発生した活性種や反応性生物の像担持体表面への吸着も多く生じることが問題となっている。
【0010】
前述の特許文献1〜3に記載されているようなステアリン酸亜鉛を用いた潤滑剤は、像担持体表面を比較的均等に覆い良好な潤滑性及び保護性を与えることができるため、像担持体である感光体を帯電させる際に交流電圧を印加する作像プロセスで問題になっている感光体摩耗を防止するためには有効である。しかし、潤滑剤としてステアリン酸亜鉛を使用してブレード方式のクリーニング手段で像担持体をクリーニングする場合、ステアリン酸亜鉛等の影響を受け、クリーニングブレードからトナーがすり抜け易くなってしまい、クリーニングブレードを摩耗させ画像形成装置が短寿命になってしまうという問題がある。クリーニングブレードをトナーがすり抜けてしまうと、そのトナーが直接画像に出ることにより画像品質が劣化するばかりでなく、帯電部材の汚染をさらに加速して濃度ムラ等の異常画像が発生してしまうという問題もある。このようなブレードをトナーがすり抜けてしまう現象は、トナーを小粒径化、真球形化すればするほど顕著に表れるため、近年より問題が顕在化している。
【0011】
更に、ステアリン酸亜鉛は、電気的ストレスを受けて劣化し易く、劣化すると潤滑性が失われてトナーすり抜けや帯電部材の汚染をさらに加速させるという問題もある。そこで、特許文献4には、ステアリン酸亜鉛を主成分とする固形潤滑剤に無機潤滑剤の1つである窒化ホウ素を添加することで、帯電工程による電気的ストレスを受けても、潤滑性が低下し難くなることが記載されている(特許文献4の段落0022等参照)。
【0012】
また、ステアリン酸亜鉛を始めとする脂肪酸金属塩に無機潤滑剤や無機微粒子を含ませた潤滑剤を固形化してバー状に成型する手段の1つとして、圧縮成型による固形潤滑剤の成型方法が既に提案されている。この圧縮成型は、固形潤滑剤の成型方法として一般的な溶融成型の不具合、即ち、ステアリン酸亜鉛と窒化ホウ素を圧縮成型と同じ重量処方比で溶融成型ブロックを作製した場合、非常に硬くなるため潤滑剤の削り量の確保が困難になるという不具合を解決するために案出されたものである。しかしながら、溶融成型であっても、窒化ホウ素の添加の割合を小さくすることで、固形潤滑剤の成型ブロックの硬さを抑えることができ、必要な潤滑剤の削り量を確保することができる。但し、窒化ホウ素の含有比率と帯電部材への汚染に相関があるため、窒化ホウ素の含有比率を下げることにより帯電部材の汚染の程度が悪化する。
【0013】
特許文献5及び6には、ステアリン酸亜鉛を溶融成型した固形潤滑剤71を独立気泡型の発泡体ローラ72で削り取って感光体1に供給することにより、発泡体ローラ72によって固形潤滑剤71を比較的小粒径で均一な粒子として像担持体である感光体1の表面に供給でき、固形潤滑剤71の被膜の感光体1への成膜効率が向上できる潤滑剤塗布装置7、及びそれを備えた画像形成装置10aが記載されている(特許文献5の図1、特許文献6の図2等参照)。
【0014】
しかし、特許文献5及び6に記載の潤滑剤塗布装置は、前述したように、ステアリン酸亜鉛が電気的ストレスを受けて劣化し易く、トナーすり抜けや帯電部材の汚染を加速させてしまうという問題は解決できていないし、一般的に、独立気泡型の発泡体は連続気泡型の発泡体に比べて圧縮残留歪みが大きく、発泡体ローラを感光体や固形潤滑剤に当接させて長期間放置すると変形してしまうという問題もある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
そこで、本発明は、前記問題点を解決するべく、発泡体ローラが経時においても塑性変形するおそれが少なく、長期に亘って安定的に保護剤の均一供給が可能であり、像担持体の摩耗、像担持体へのトナーのフィルミング現象、帯電部材の汚染、及びトナーのすり抜けを確実に防止して、像担持体、クリーニング部材、及び帯電部材を保護することができる保護剤供給装置、その保護剤供給装置を備えたプロセスカートリッジ及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
前記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、脂肪酸金属塩を含有する保護剤ブロックと、発泡体層でトナー像を担持する像担持体の外周表面と前記保護剤ブロックの両方に当接する回転可能な発泡体ローラと、この発泡体ローラに前記保護剤ブロックを押圧する押圧手段と、を備え、前記発泡体ローラが回転することにより前記保護剤ブロックを前記発泡体層で削り取って保護剤を前記像担持体の外周表面に供給する保護剤供給装置において、前記発泡体ローラの発泡体層は、連続気泡型のセルを有することを特徴とする。
【0017】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の保護剤供給装置において、前記発泡体ローラの発泡体層は、セル数が25〜300[個/inch]、且つ、硬度が50〜500[N]となっていることを特徴とする。
【0018】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の保護剤供給装置において、前記像担持体の外周表面の保護剤を押し均して均一に薄層化する均し部材を有することを特徴とする。
【0019】
請求項4に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載の保護剤供給装置において、前記脂肪酸金属塩は、ステアリン酸亜鉛であることを特徴とする。
【0020】
請求項5に記載の発明は、請求項1ないし4のいずれかに記載の保護剤供給装置において、前記保護剤ブロックは、脂肪酸金属塩に加え、無機潤滑剤を更に含有することを特徴とする。
【0021】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の保護剤供給装置において、前記無機潤滑剤は、窒化ホウ素であることを特徴とする。
【0022】
請求項7に記載の発明は、請求項1ないし6のいずれかに記載の保護剤供給装置において、前記保護剤ブロックは、圧縮成型により成型されていることを特徴とする。
【0023】
請求項8に記載の発明は、カートリッジ本体と、このカートリッジ本体に回転可能に軸支された前記像担持体と、この像担持体の外周表面を一様に帯電する帯電装置と、前記像担持体の外周表面に書き込まれた静電潜像にトナーを供給して現像する現像装置と、を備えたプロセスカートリッジであって、請求項1ないし7のいずれかに記載の保護剤供給装置を備えることを特徴とする。
【0024】
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載のプロセスカートリッジにおいて、前記像担持体に転写後も付着残留する残留トナーを除去してクリーニングするクリーニング装置を備えることを特徴とする。
【0025】
請求項10に記載の発明は、請求項8又は9に記載のプロセスカートリッジを備えることを特徴とする画像形成装置である。
【0026】
請求項11に記載の発明は、前記像担持体と、この像担持体の外周表面を一様に帯電する帯電装置と、前記像担持体の外周表面に書き込まれた静電潜像にトナーを供給して現像する現像装置と、を備えた画像形成装置であって、請求項1ないし7のいずれかに記載の保護剤供給装置を備えることを特徴とする。
【0027】
請求項12に記載の発明は、請求項11に記載の画像形成装置において、前記像担持体に転写後も付着残留する残留トナーを除去してクリーニングするクリーニング装置を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0028】
この発明は、前記のようであって、請求項1の発明によれば、脂肪酸金属塩を含有する保護剤ブロックと、発泡体層でトナー像を担持する像担持体の外周表面と前記保護剤ブロックの両方に当接する回転可能な発泡体ローラと、この発泡体ローラに前記保護剤ブロックを押圧する押圧手段と、を備え、前記発泡体ローラが回転することにより前記保護剤ブロックを前記発泡体層で削り取って保護剤を前記像担持体の外周表面に供給する保護剤供給装置において、前記発泡体ローラの発泡体層は、連続気泡型のセルを有するので、発泡体ローラが経時においても塑性変形するおそれが少なく、長期に亘って安定的に保護剤の均一供給が可能である。また、このため、長期間に亘って、像担持体の摩耗、像担持体へのトナーのフィルミング現象、帯電部材の汚染、及びトナーのすり抜けを確実に防止して、像担持体、クリーニング部材、及び帯電部材を保護することができる。
【0029】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の保護剤供給装置において、前記発泡体ローラの発泡体層は、セル数が25〜300[個/inch]、且つ、硬度が50〜500[N]となっているので、前記作用効果に加え、更に像担持体の表面に均一厚に保護剤層を形成することができる。
【0030】
請求項3に記載の発明によれば、請求項1又は2に記載の保護剤供給装置において、前記像担持体の外周表面の保護剤を押し均して均一に薄層化する均し部材を有するので、前記作用効果に加え、更に像担持体の表面に均一厚に保護剤層を形成することができる。
【0031】
請求項4に記載の発明によれば、請求項1ないし3のいずれかに記載の保護剤供給装置において、前記脂肪酸金属塩は、ステアリン酸亜鉛であるので、前記作用効果に加え、像担持体のトナー汚染を確実に防止することができる。
【0032】
請求項5に記載の発明によれば、請求項1ないし4のいずれかに記載の保護剤供給装置において、前記保護剤ブロックは、脂肪酸金属塩に加え、無機潤滑剤を更に含有するので、前記作用効果に加え、保護剤の電気的ストレスに対する耐久性を向上させることができ、保護剤の帯電劣化を防止して帯電部材等へのトナーや保護剤の飛散を確実に防止することができる。
【0033】
請求項6に記載の発明によれば、請求項5に記載の保護剤供給装置において、前記無機潤滑剤は、窒化ホウ素であるので、前記作用効果に加え、更に保護剤の電気的ストレスに対する耐久性を向上させて帯電劣化を防止することができる。
【0034】
請求項7に記載の発明によれば、請求項1ないし6のいずれかに記載の保護剤供給装置において、前記保護剤ブロックは、圧縮成型により成型されているので、前記作用効果に加え、保護剤ブロックを溶融成型する場合に生ずる窒化ホウ素などの無機潤滑剤の混合比率を低くしなければ保護剤ブロックが硬くなり過ぎるという問題や、無機潤滑剤の混合比率を低くすれば保護剤の帯電劣化の抑制効果が薄れてしまうという問題が起こらず、小型化や省エネルギー化において有利である。
【0035】
請求項8に記載の発明によれば、カートリッジ本体と、このカートリッジ本体に回転可能に軸支された前記像担持体と、この像担持体の外周表面を一様に帯電する帯電装置と、前記像担持体の外周表面に書き込まれた静電潜像にトナーを供給して現像する現像装置と、を備えたプロセスカートリッジであって、請求項1ないし7のいずれかに記載の保護剤供給装置を備えるので、前記作用効果をプロセスカートリッジで発揮することができ、帯電装置が汚れることを防止することができる。
【0036】
請求項9に記載の発明によれば、請求項8に記載のプロセスカートリッジにおいて、前記像担持体に転写後も付着残留する残留トナーを除去してクリーニングするクリーニング装置を備えるので、前記作用効果をクリーニング装置を備えるプロセスカートリッジで発揮することができ、クリーニング装置が汚れることを防止することができる。
【0037】
請求項10に記載の発明によれば、請求項8又は9に記載のプロセスカートリッジを備える画像形成装置であるので、前記作用効果をプロセスカートリッジを備える画像形成装置で発揮することができる。
【0038】
請求項11に記載の発明によれば、前記像担持体と、この像担持体の外周表面を一様に帯電する帯電装置と、前記像担持体の外周表面に書き込まれた静電潜像にトナーを供給して現像する現像装置と、を備えた画像形成装置であって、請求項1ないし7のいずれかに記載の保護剤供給装置を備えるので、前記作用効果を画像形成装置で発揮することができる。
【0039】
請求項12に記載の発明によれば、請求項11に記載の画像形成装置において、前記像担持体に転写後も付着残留する残留トナーを除去してクリーニングするクリーニング装置を備えるので、前記作用効果をクリーニング装置を備える画像形成装置で発揮することができ、クリーニング装置が汚れることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の実施の形態に係る画像形成装置の概略構成を正面透視で示す構成説明図である。
【図2】本発明の実施の形態に係るプロセスカートリッジの概略構成を感光体ドラムの回転軸と直交する鉛直断面で示す構成説明図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る保護剤ブロックの形状を示す斜視図である。
【図4】同上の保護剤ブロックの長手方向と直交する鉛直面で切断した鉛直断面図である。
【図5】同上の保護剤ブロックを圧縮成型枠と共に示す斜視図である。
【図6】同上の保護剤ブロック及び圧縮成型枠の鉛直断面図である。
【図7】本発明の実施の形態に係る発泡体ローラと、その発泡体層のセル数測定箇所を示す平面図である。
【図8】同上の測定箇所をマイクロスコープで見た部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、図面を参照しながら、この発明の実施の形態について説明する。
【0042】
[画像形成装置]
先ず、図1を用いて本発明の実施の形態に係る画像形成装置の概略構成について説明する。図中の符号1は、本発明の画像形成装置の一実施の形態として例示する4連タンデム型中間転写方式の画像形成装置であり、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色のトナーからフルカラーの画像を形成可能なカラーレーザ複写機である。この複写機1は、画像形成装置の主要部であるプリンタ部100と、このプリンタ部100の下方に配置され、プリンタ部100を載置すると共に給紙装置としての機能を有する給紙部200と、プリンタ部100の上方に配置され、原稿を走査して読み込むスキャナ機能を有するスキャナ部300と、スキャナ部300の上方に開閉自在に取り付けられ、原稿をスキャナ部に自動搬送する自動搬送部400などから構成されている。
【0043】
プリンタ部100は、後述の感光体ドラムY,M,C,K上に静電潜像を書き込む露光部2と、露光部2で作像した静電潜像をトナー像に現像する作像部3と、現像したトナー像を用紙に転写する転写部4と、転写したトナー像を用紙に定着する定着部5などから構成されている。
【0044】
露光部2には、半導体レーザ(LD)や発光ダイオード(LED)などの図示しないレーザ光源や回転駆動可能なポリゴンミラー、fθレンズなどを有し、レーザ光源で発するレーザ光をポリゴンミラー、fθレンズなどで偏向・集光・走査して後述の感光体ドラムY,M,C,Kに照射し、一様に所定の極性に帯電させた感光体ドラムY,M,C,Kの外周表面を露光して帯電レベルを減衰させて、静電潜像を形成する露光装置20が備えられている。
【0045】
作像部3には、像担持体としてドラム形状の感光体である4つの感光体ドラムY,M,C,Kを中心とする前記4色のトナーに対応する4つのプロセスカートリッジ3Y,3M,3C,3Kが備えられており、各プロセスカートリッジ3Y,3M,3C,3Kでは、収容するイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各トナーを使用して、それぞれ単色のトナー像が形成される。
なお、プロセスカートリッジ3Y,3M,3C,3Kについては、後で詳述する。
【0046】
転写部4は、各プロセスカートリッジ3Y,3M,3C,3Kで作像した各色のトナー像を各感光体ドラムY,M,C,K上から後述の中間転写ベルト40に重畳転写する中間転写ユニット41と、この中間転写ユニット41下方に設けられ、中間転写ベルト40上に形成した重畳トナー像を用紙に転写する2次転写装置42などから構成されている。
【0047】
この中間転写ユニット41は、中間転写体及び像担持体として半導電性の樹脂を基体として表層に離型層などが設けられた多層構造の無端ベルトからなる中間転写ベルト40と、この中間転写ベルト40を支持・張架する3つの支持ローラ43,44,45と、前記4つの感光体ドラムY,M,C,Kとそれぞれ中間転写ベルト40を挟んで対向する4つの1次転写ローラ46などから構成されている。
【0048】
中間転写ベルト40は、体積抵抗105〜1011Ω・cmの導電性を示すものが好ましい。何故なら、表面抵抗が105Ω/□を下回る場合には、感光体ドラムY,M,C,Kから中間転写ベルト40へ転写が行われる際に、放電を伴いトナー像が乱れるいわゆる転写チリが生じることがあり、1011Ω/□を上回る場合には、中間転写ベルト40から用紙へトナー像を転写した後に、中間転写ベルト40上へトナー像の対抗電荷が残留し、次の画像上に残像として現れることがあるからである。
【0049】
中間転写ベルト40に好適な材質及び製造方法としては、例えば、酸化スズ、酸化インジウムなどの金属酸化物やカーボンブラック等の導電性粒子や導電性高分子を、単独または併用して熱可塑性樹脂と共に混練後、押し出し成型したベルト状もしくは円筒状のプラスチックなどを挙げることができる。また、熱架橋反応性のモノマーやオリゴマーを含む樹脂液に、必要により前述の導電性粒子や導電性高分子を加え、加熱しつつ遠心成型を行い、無端ベルト状として中間転写ベルト40を製造してもよい。
【0050】
支持ローラ43は、駆動手段として図示しない駆動モータの駆動力が伝達可能に構成され、中間転写ベルト40を図示時計回り方向に回転駆動する駆動ローラ43となっており、その他の支持ローラ44,45が、従動ローラとなっている。勿論、支持ローラのいずれか1つが駆動ローラとなっていればよく、図示する形態に限られないのは云うまでもない。
【0051】
各1次転写ローラ46は、空隙放電を考慮し、各感光体ドラムY,M,C,Kと中間転写ベルト40を挟んで当接する正対位置から中間転写ベルト40の移動方向下流側(図1の右側)へ少しずらした位置に配設され、図示しないバイアス電源に接続されている接触方式の転写バイアス(転写電圧)印加手段である。これらの1次転写ローラ46は、図示しない接離機構により中間転写ベルト40の内周面と接離可能に構成されており、この接離機構に押圧されて各感光体ドラムY,M,C,Kへ圧接されることによりそれぞれ1次転写ニップを形成し、これらの各1次転写ニップにおいて各感光体ドラム上のトナー像と逆極性の1次転写バイアスが印加されて転写電界が形成され、クーロン力によりトナー像を引き寄せて各感光体ドラムから中間転写ベルト40の外周表面にトナー像を転写する仕組みとなっている。
【0052】
2次転写装置42は、支持ローラ44をバックアップローラとして支持ローラ44の外周において2次転写ローラが中間転写ベルト40に圧接されており、2次転写ニップが形成されている。そして、この2次転写ローラは、図示しないバイアス電源に接続されており、トナー像と逆極性の2次転写バイアスが、2次転写ローラを介して2次転写ニップに印加される接触印加方式の転写バイアス印加手段となっている。なお、本実施例では、転写バイアス印加手段として、転写チリの発生が少ない接触印加方式のものを採用したが、勿論、転写チャージャを用いた非接触方式のものでも構わない。
【0053】
また、駆動ローラ43と支持ローラ44との間の中間転写ベルト40が湾曲して入り込んだ部分には、クリーニングユニット47が設けられており、このクリーニングユニット47は、中間転写ベルト40の内側に設けられたローラ48をバックアップローラとして、中間転写ベルト40の外周表面に付着した転写残トナーをクリーニングする機能を有したクリーニング装置であり、回収した転写残トナーは、クリーニングユニット47内から図示しない搬送手段により図示しない廃トナータンクまで搬送され、廃棄される。
【0054】
定着部5は、無端状ベルトからなる定着ベルト50と、この定着ベルト50と図示しない付勢手段により付勢されて圧接する加圧ローラ51などから構成され、この定着ベルト50は、定着ベルト50を回転駆動する駆動ローラである定着ローラ52と、内部にハロゲンヒータからなる加熱手段を有して定着ベルト50を加熱する加熱ローラ53と、に張架され、定着ベルト50と加圧ローラ51とが定着ローラ外周で圧接されて密着し、定着ニップが形成されている。そして、この定着ニップにおいて、搬送されてきた用紙に熱と圧力が加えられ、転写部4で転写されたトナー像が用紙に溶融・浸透して定着される。
【0055】
給紙部200には、内部に所定の大きさの複数枚の用紙を束の状態で収容可能な給紙カセット60が、鉛直方向に複数(図示形態では4段)重なるように配設されている。それぞれの給紙カセット60は、用紙の上部に給紙ローラ61が弾接し、給紙ローラ61を回転させることにより、一番上に載置された用紙が1枚ずつ用紙搬送路Rに向けて送り出される仕組みとなっている。この用紙搬送路Rには、複数の搬送ローラ対62が最小の用紙の大きさに応じた間隔で設けられ、その末端付近となる2次転写ニップ直前に転写と用紙搬送のタイミングを調整するレジストローラ対63が設けられている。
【0056】
スキャナ部300は、原稿を載置する透明なコンタクトガラス70と、このコンタクトガラス70を通して原稿を読み取る光学読取装置71などから主に構成され、この光学読取装置71は、移動する露光ランプなどの光源、この光源と共に移動するミラーなどの移動光学系を有し、光源から原稿に光を照射し、反射光をミラー、結像レンズなどを介してCCDなどの画像読取素子に結像させて画像を読み取る画像読取装置となっており、読み取った画像情報を電気信号に変換して図示しない複写機1の制御手段へ送信する。
【0057】
自動搬送部400は、コンタクトガラス70上面を露出又は遮蔽するように複写機本体に対して開閉可能に取り付けられ、載置台にセットした原稿をコンタクトガラス70上に自動搬送する自動原稿搬送装置としての機能を有し、自動搬送された原稿は、スキャナ部300の光学読取装置71により自動で読み取られるようになっている。
【0058】
[プロセスカートリッジ]
次に、図2を用いて本発明の実施の形態に係るプロセスカートリッジの構成について説明する。各プロセスカートリッジ3Y,3M,3C,3Kは、使用するトナーの色が相違するだけで、略同一構成であるため、転写順序が一番早いイエロー色のプロセスカートリッジ3Yを例示して説明し、その他のプロセスカートリッジ3M,3C,3Kについては説明を省略する。なお、トナー色を示す添え字(例えば、30YのY)も一部省略する。
【0059】
プロセスカートリッジ3Yは、複写機1の筐体である装置本体に対して脱着可能に構成されたカートリッジ本体30と、このカートリッジ本体30の内部に回転可能に軸支された像担持体である感光体ドラムYと、この感光体ドラムYを中心にその周りに配置された、帯電装置31、現像装置32、クリーニング装置33、保護剤供給装置34などから構成されている。
【0060】
(帯電装置)
この帯電装置31は、感光体ドラムYに対して従動回転して感光体ドラムYの外周表面を一様に接触帯電させる帯電部材としての帯電ローラ31aと、この帯電ローラ31aに付着した付着トナーに同極性の電圧を印加して静電斥力により帯電ローラ31aから付着トナーを除去するクリーニング部材であるクリーニングローラ31bなどから構成されている。
なお、帯電部材は、感光体ドラムYに接触せずに近接配置としても帯電可能であり、クリーニング部材は、帯電ローラ31aに表面に当接して掻き取るクリーニングブレードであっても適用可能である。
【0061】
(現像装置)
現像装置32は、トナーと磁性キャリアからなる2成分現像剤を搬送しながら撹拌することで帯電させる2本の撹拌搬送ローラ32a,32bと、複数の磁極を有するマグネットローラとその周りを回転可能な現像スリーブとからなる現像ローラ32cを備え、現像剤をマグネットローラの磁力で現像スリーブの外周表面に担持して回転搬送して現像領域に達した時点で現像バイアスを印加することにより、前述の露光装置20(図1参照)で感光体ドラムY上に書き込んだ静電潜像にトナーを転移させてトナー像に現像する2成分現像方式の現像装置である。
【0062】
(クリーニング装置)
クリーニング装置33は、クリーニング部材として、ウレタンゴム、ヒドリンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム等の弾性体からなるゴムブレードの先端端面が、感光体ドラムYの回転方向上流側に向くように突出して取り付けられたカウンタータイプのクリーニングブレード33aを備えたクリーニング装置であり、感光体ドラムYに1次転写後も付着残留する残留トナーをクリーニングブレード33aで掻き取って除去する機能を有している。
なお、本発明の特徴部分である保護剤供給装置34については後で詳述する。
【0063】
(画像形成動作)
次に、図1、図2を用いて複写機1の画像形成動作について説明する。
先ず、各プロセスカートリッジ3Y,3M,3C,3Kにおいて、帯電装置31により感光体ドラムY,M,C,Kの外周表面が一様に所定の極性に帯電され、露光部2から画像情報に基いてレーザ光が照射され、一様に帯電された感光体ドラムY,M,C,Kの表面電位が照射された部分だけ低下することにより感光体ドラムY,M,C,Kに静電潜像が形成される。そして、現像装置32で静電潜像がトナー像化(現像)され、このトナー像は、感光体ドラムの回転に伴って1次転写ニップに移動して行き、そこで、1次転写ローラ46から1次転写バイアスが印加され、クーロン力により中間転写ベルト40表面へトナー像が転写される。また、1次転写後も感光体ドラムY,M,C,Kの外周表面に付着する1次転写残トナーが、クリーニング装置33でクリーニングされ、再度の画像形成に備えられる。
【0064】
各プロセスカートリッジ3Y,3M,3C,3Kで形成された単色トナー像は、中間転写ベルト40の回転のタイミングに合せてイエロー、マゼンダ、シアン、ブラックの順番で1次転写が行われ中間転写ベルト40上に重畳されて行き、フルカラーのトナー像が形成される。
【0065】
一方、給紙部200から用紙搬送路Rを通って搬送されてきた用紙がレジストローラ対63に一旦突き当たって停止し、転写とのタイミングが調整されたうえ2次転写ニップに送られる。そこで、2次転写装置42により2次転写バイアスが印加され、静電引力により中間転写ベルト40上のフルカラーのトナー像が2次転写装置42側に引き寄せられることにより用紙上に転写される。次に、この未定着のトナー像を表面に担持した用紙が定着部5の定着ニップに送られ、熱と圧力が加えられてトナー像が溶融・浸透して定着される。また、2次転写後の中間転写ベルト40の表面に転写後も付着する転写残トナーは、クリーニングユニット47により除去され、再度の画像形成動作に備えられる。そして、クリーニングユニット47で除去された転写残トナーは、図示しない廃トナータンクなどに運ばれ廃棄される。
【0066】
[保護剤供給装置]
次に、図2〜図6を用いて本発明の特徴部分である実施の形態に係る保護剤供給装置について詳細に説明する。
図2に示すように、保護剤供給装置34は、感光体ドラムYの外周表面をコーティングして保護するブロック状の保護剤である保護剤ブロック34aと、この保護剤ブロック34aと感光体ドラムYの外周表面の両方に当接するよう配置され、回転駆動することにより保護剤ブロック34aから保護剤を削り取って感光体ドラムYの外周表面に保護剤の粉末を塗布・供給する保護剤供給部材としての発泡体ローラ34bと、この発泡体ローラ34bに保護剤ブロック34aを押圧する押圧手段34cと、感光体ドラムYの外周表面に塗布した粉末状の保護剤を押し均して均一に薄層化する均し部材としての均しブレード34dなどから主に構成されている。
【0067】
<保護剤ブロック>
先ず、保護剤ブロックについて説明する。
本実施の形態に係る保護剤ブロック34aは、少なくとも脂肪酸金属塩を含んだ保護剤の原料から図3及び図4に示すように後述の発泡体ローラの軸方向を長手方向とする長細い角棒状(直方体形状)に圧縮成型されたブロックである。勿論、保護剤ブロック34aの形状は、特に角棒状に限られるものではなく、バー形状、即ち、発泡体ローラの軸方向に長細い四角柱以外の多角形の柱状、又は円柱状であっても構わない。
【0068】
(脂肪酸金属塩)
脂肪酸金属塩の例としては、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸鉛、ステアリン酸鉄、ステアリン酸ニッケル、ステアリン酸コバルト、ステアリン酸銅、ステアリン酸ストロンチウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸カドミウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、オレイン酸亜鉛、オレイン酸マグネシウム、オレイン酸鉄、オレイン酸コバルト、オレインサン銅、オレイン酸鉛、オレイン酸マンガン、パルミチン酸亜鉛、パルミチン酸コバルト、パルミチン酸鉛、パルミチン酸マグネシウム、パルミチン酸アルミニウム、パルミチン酸カルシウム、カプリル酸鉛、カプリン酸鉛、リノレン酸亜鉛、リノレン酸コバルト、リノレン酸カルシウム、リシノール酸亜鉛、リシノール酸カドミウム及びそれらの混合物などが挙げられる。また、これらを2種類以上混合して用いることもできる。
但し、像担持体へのトナー汚染を防止する観点からは、ステアリン酸金属塩が好ましく、その中でもステアリン酸亜鉛が最も好ましい。
【0069】
(無機潤滑剤)
また、本実施の形態に係る保護剤ブロック34aには、脂肪酸金属塩に加え、電気的ストレスに対する耐久性を向上させるべく、無機潤滑剤が更に添加されている。この無機潤滑剤の例としては、マイカ、窒化ホウ素、二硫化モリブデン、二硫化タングステン、タルク、カオリン、モンモリロナイト、フッ化カルシウム、グラファイト、などが挙げられるが、これらに限られず、へき開又は内部滑りを起こすことにより潤滑剤としての機能を発揮する無機物であれば使用可能であり、これらを2種類以上混合して用いても構わない。また、例示した無機潤滑剤の中では、窒化ホウ素が、1つの層内では原子同士がしっかり六角網面状に組み合わさると共に、層と層とを繋ぐ力は弱いファンデルワールス力のみで結合しているため、その層と層との間で容易にへき開を起こすので、無機潤滑剤として最適である。
【0070】
(配合割合)
脂肪酸金属塩と無機潤滑剤の配合割合は、肪酸金属塩:無機潤滑剤の質量比で90:10〜60:40の割合が好ましく、50:50よりも脂肪酸金属塩の割合が少なくなると、像担持体の表面に保護膜を形成することが困難となり好ましくない。
なお、無機潤滑剤を添加しなくても脂肪酸金属塩だけで保護剤としての機能は発揮するが、無機潤滑剤を添加することにより保護剤の帯電劣化を抑制することができるため好ましい。
【0071】
(充填率)
本実施の形態に係る保護剤ブロック34aは、後述の圧縮成型により成型されるが、圧縮成型前の保護剤の材料の理論的な密度と成型後の実際の密度との比である充填率は、84%〜95%の範囲が最も好ましく、80%未満であると保護剤ブロック34aの機械的強度が低く、成型後に保護剤ブロック34aを取り扱う際に割れが生じ易く好ましくなく、逆に、98%を超えると圧縮成型時に必要な力が一般的なプレス機の能力を超えるだけでなく、成型時に割れを生じ易くなるため好ましくない。
なお、溶融成型により成型された保護剤ブロックの充填率は、通常略100%となる。
【0072】
(圧縮成型)
次に、図5及び図6を用いて、本実施の形態に係る保護剤ブロックの成型方法について説明する。
本実施の形態に係る保護剤ブロックは、前述のように、肪酸金属塩と無機潤滑剤が所定の割合で混合され、更にその他の添加剤が添加された原料から図5及び図6に示す型枠Wにより図3、4で示した角棒状に圧縮成型される。
【0073】
この型枠Wは、図示するように、それぞれ一対の横枠W1と端枠W2と、上枠W3、下枠W4とからなり、この型枠W内に粉体状(砂状、粒状、顆粒状を含む)の原料Gを投入し、軽く上枠W3でプレスした後、更に端枠W2を開いて小量の原料Gを両端に同量ずつ再投入して上枠W3で最終プレスすることで、長手方向の端部領域が中央領域よりも充填密度が高くなった保護剤ブロックを圧縮成型することができる。このように端部領域の充填密度を高くすることにより、使用中に潤滑剤の片側だけ多く削れる偏磨耗を防ぐことができる。
なお、2段階に分けて原料Gを投入するのではなく、型枠内を中央部と両端部に区分けして投入する原料Gの量を中央部より両端部の方が多くなるようにし、区分けを取り外して最終プレスすることでも端部領域の充填密度を高くすることができる。
【0074】
以上のように、保護剤ブロックを圧縮成型する場合を例に挙げて説明したが、前述の保護剤ブロックの原料を熱して溶融させた後、型枠に流し込み、冷まして所望の形状に成型する一般的な溶融成型で成型しても構わない。但し、溶融成型する場合は、背景技術で述べたように、窒化ホウ素などの無機潤滑剤の混合比率を低くしなければ、保護剤ブロックが硬くなり過ぎるという問題が生じ、無機潤滑剤の混合比率を低くすれば、保護剤の帯電劣化の抑制効果が薄れてしまうという問題が生じる。
【0075】
<保護剤供給部材>
次に、保護剤供給部材について説明する。
本実施の形態に係る保護剤供給部材は、図2及び図7に示すように、芯材の周りに発泡体層が形成されたローラ形状の発泡体ローラ34bであり、この発泡体ローラ34bは、保護剤ブロック34aと感光体ドラムYの外周表面の両方に当接するよう配置され、回転駆動することにより保護剤ブロック34aから保護剤を削り取って感光体ドラムYの外周表面に保護剤の粉末を塗布・供給する機能を有している。
【0076】
(芯材)
芯材は、鉄、アルミ、ステンレス等の金属や、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等の樹脂などからなる丸棒状の軸であるが、前述の発泡体ローラの機能を発揮するのに必要な所望の強度を有するものであれば、材質、形状、大きさ、構造等は特に制限されるものではない。
【0077】
(発泡体層)
発泡体層は、前記芯材の周りに形成された発泡樹脂層からなるが、後述のように、セル数が25〜300[個/inch]、且つ、硬度が50〜500[N]となっている連続気泡型の発泡樹脂層が発泡体ローラ34bの最外層に設けられていれば内側に弾性層など他の機能を有する層を有していてもよい。また、材質としては、原料の必要量の入手容易性や価格などの理由から発泡ポリウレタンフォームが好適である。
なお、背景技術で述べたように、発泡体層の気泡のセルが各々独立した独立気泡型である場合、発泡体ローラが経時的に塑性変形するおそれがあり、変形すると保護剤を均一に感光体ドラムなどの像担持体に塗布できなくなり好ましくない。
【0078】
(発泡体ローラの製造方法)
発泡体ローラを製造する方法としては、(1)原料から予めポリウレタンフォームをブロック状に形成し、必要な形状に切り出して表面を研磨して、表面が開口したセルを有するローラ状に加工した後、前記芯材を挿入する方法と、(2)前記芯材をセットした成型枠に原料を注入し、発泡硬化させる方法の2つの方法が一般的であるが、ポリウレタンフォーム層の成型とその表面を開口させることが同時にでき、加工精度も良好であることから、(2)の芯材を成型枠に予めセットして製造する方法が好ましい。
なお、発泡体層を接着するためにセットする芯材に予め接着層を形成しておいてもよく、成型枠の表面には、フッ素樹脂などをコーティングしておくとポリウレタンフォームの離型性が向上するため好ましい。
【0079】
(発泡ポリウレタンフォームの製造方法)
発泡ポリウレタンフォームの製造は、公知の製造方法で構わないが、本実施の形態では、ポリオールとポリイソシアネートに添加剤(触媒、発泡剤、整泡剤等)を加えて混合することにより反応・発泡させて製造される。なお、ポリイソシアネート以外の成分は予め混合され、成型直前にポリイソシアネート成分が加えられる。
【0080】
(ポリオール)
ポリオールとしては、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオールなどを用いることができるが、加工性、発泡体層の硬さなどの調整が容易な点から、ポリエーテルポリオールが好ましい。また、ポリエーテルポリオールとしては、一般に軟質ポリウレタンフォームの製造に用いられているポリエーテルポリエーテルポリオール、ポリエステルポリエーテルポリオール、ポリマーポリエーテルポリオール等から適宜選択すればよく、これらを2種以上組み合せて用いてもよい。
なお、エチレンオキシドを5モル%以上端末に結合したポリエーテルポリエーテルポリオールを使用すると成型性がよいため好ましい。
【0081】
また、ポリテトラメチレンエーテルグリコールと、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとを付加重合したポリエーテルポリオールとをブレンドして用いることも好ましい。この場合、これらのブレンド比率が、重量比で95:5〜20:80の範囲となるよう用いることが好適である。
【0082】
(ポリイソシアネート)
ポリイソシアネートとしては、例えば、2、4−及び2、6−トリレンジイソシアネート(TDI)、トリジンジイソシアネート(TODI)、ナフチレンジイソシアネート(NDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、4、4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)及びカーボジイミド変成MDI、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、ポリメリックポリイソシアネート等を用いることができ、これらを2種以上を組み合せて用いてもよい。
【0083】
(触媒)
触媒としては、例えば、(1)トリエチレンジアミン、ジメチルエタノールアミン、ビス(ジメチルアミノ)エチルエーテル等のアミン系触媒、(2)ジオクチルスズ、ジステアリルスズジブチレート等の有機金属系触媒、(3)これらの変性触媒等を用いることができ、(4)自身に活性水素を有するジメチルアミノエタノール等の反応性触媒であってもよい。なお、これらの触媒を適宜選択し、その使用量をコントロールすることで、ポリウレタンフォーム層のセル壁幅、開口セル径、硬度や通気量等を調整することができる。
【0084】
(整泡剤、発泡剤)
整泡剤としては、シリコーン系界面活性剤が好ましく、発泡剤としては、水、低沸点物、ガス体等の公知の各種発泡剤を単独又は複数種組み合せて使用することができるが、環境の観点から水を発泡剤として用いることが好ましい。
また、発泡剤の使用量や条件を変えることにより、ポリウレタンフォーム層のセル壁幅、セル径、硬度や通気量等をコントロールすることができ、これらを調整することにより、本実施の形態に係る発泡体ローラは、前記した所定の好適な範囲のセル数、硬度に調整され、且つ、気泡セル同士が連通してセル内の空気が移動可能なように形成された連続気泡型の発泡ポリウレタンフォームとなっている。
【0085】
連続気泡型の発泡体ローラの製造方法としては、先ず、下記ポリウレタン原料をミキサーにて機械的に撹拌し、窒素ガス、ドライエアー等を混入して、発泡密度0.5g/cm3に調整した発泡ポリウレタン原料を作製する。次いで、この発泡ポリウレタン原料を、予め60℃に温度調整した筒状金型内に、その中心線上に軸をセットした状態で上方から注入して、内部に充填する。その後、筒状金型を密閉して、110℃で30分間加熱し、硬化させた後、軸と一体成形された弾性体層を脱型して作製することができる。
更に、クラッシング工程(冷却後の収縮を避けたり、独立気泡を連続気泡化するためにローラなどで圧縮したりする工程)を経ることで、連続気泡型の発泡ポリウレタンフォームからなる発泡体層を有した発泡体ローラを得ることができる。
【0086】
ポリイソシアネート:24.6質量部
ポリエーテルポリオール:60質量部
ポリテトラメチレンエーテルグリコール:40質量部
シリコーン整泡剤:4質量部
黒色顔料:5質量部
電解質:0.4質量部
触媒:0.01質量部
ここで上記原料中においてイソシアネート指数が高すぎるとき、得られる発泡ポリウレタンフォームの硬度は高くなり、独立気泡となり易いので注意が必要である。
【0087】
(その他の添加剤)
また、発泡ポリウレタンフォームの原料には、前記材料の他、ポリウレタンフォーム層のセルの連続気泡性をコントロールするために架橋剤、破泡剤等を配合する。それに加え、所望の導電性を付与するために導電剤、帯電防止剤等を添加してもよい。架橋剤としては、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン等が使用可能である。必要に応じて、導電剤、難燃剤、減粘剤、顔料、安定剤、着色剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、抗酸化剤、酸化防止剤等を配合しても構わない。
このとき、架橋剤の添加量は、ポリオール組成物(A)に対して5質量%以下が好ましく、更には3質量%以下が好ましい。何故なら、架橋剤が少なすぎる場合は架橋剤を用いたことによる効果が得られず、多すぎる場合は反応制御が困難になり易いからである。
【0088】
<押圧手段>
次に、押圧手段について説明する。
本実施の形態に係る押圧手段34cは、図2に示すように、カートリッジ本体30と一体となった支持体と、この支持体から反力を得て保護剤ブロック34aを発泡体ローラ34bに押圧するコイルバネからなる加圧スプリング、保護剤ブロックを収容するホルダーなどから構成されている。但し、保護剤ブロック34aを発泡体ローラ34bに押圧可能な構成であれば、その他公知の手段を適用することができる。
【0089】
<均し部材>
次に、均し部材について説明する。
本実施の形態に係る均し部材は、図2に示すように、ウレタンゴム、ヒドリンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム等の弾性体からなるゴムブレードの先端端面が感光体ドラムYの回転方向下流側に向くように突出して取り付けられた、いわゆるトレーリングタイプの均しブレード34dであり、感光体ドラムYの外周表面に塗布した粉末状の保護剤を押し均して均一に薄層化する機能を有している。
【0090】
なお、この均しブレード34dは、感光体ドラムYとの接触部分を低摩擦係数の材料で、コーティングしたり含浸処理したりして耐摩耗性を向上させるようにしてもよく、弾性体の硬度を調整するために、他の有機フィラーや無機フィラーに代表される充填材を分散してもよい。
【0091】
均しブレード34dの厚みは、押圧力との兼ね合いで一義的に定義できるものではないが、概ね0.5〜5mm程度であれば好ましく、1〜3mm程度であれば更に好ましい。
また、均しブレード34dの突出量も、押圧力との兼ね合いで一義的に定義できるものではないが、概ね1〜15mm程度であれば好ましく、2〜10mm程度であれば更に好ましい。
【0092】
以上説明した均しブレード34dやクリーニングブレード33aなどのブレード部材は、弾性樹脂等から構成するのではなく、弾性金属ブレードを基体としてその表面にカップリング剤やプライマーなどを介して、弾性樹脂、ゴム、エラストマー等の弾性体をコーティング又はディッピング等で覆うことで構成してもよく、更に、必要により熱硬化や表面研磨などの処理を施してもよい。
【0093】
この弾性金属ブレードの厚みは、0.05〜3mm程度であれば好ましく、0.1〜1mm程度であればより好ましい。また、弾性金属ブレードでは、ブレードのねじれを抑止するために、取り付け後に支軸と略平行となる方向に、曲げ加工等の処理を施してもよい。
【0094】
なお、弾性金属ブレードの表層を覆う弾性体の材料としては、PFA、PTFE、FEP、PVdF等のフッ素樹脂や、フッ素系ゴム、メチルフェニルシリコーンエラストマー等のシリコーン系エラストマー等を、必要により充填剤と共に、用いることが好ましいが、これに限定されるものではない。
【0095】
また、均しブレード34dと感光体ドラムYとの当接圧力は、保護剤を押圧・延展して均一厚の保護膜を形成可能な圧力であればよく、具体的な線圧としては、0.49N/mm(5gf/cm)以上7.85N/mm(80gf/cm)以下であることが好ましく、0.98N/mm(10gf/cm)以上5.88N/mm(60gf/cm)以下であることがより好ましい。
【0096】
[比較実験]
次に、画像形成装置を経時的に使用した結果、前述の発泡体ローラの気泡セルが連続気泡型か独立気泡型かの違いにより、像担持体である感光体ドラム、帯電部材である帯電ローラの汚れ具合に差があるか否か等を検証するため、発泡体ローラの発泡体層のセル数、硬度、成型方法を種々変更すると共に、前述の保護剤ブロックの成分を変更して表1上段に示す実施例1〜17を作成し、保護剤ブロックをステアリン酸亜鉛+窒化ホウ素からなるものに固定すると共に、連続気泡型である発泡体ローラの発泡層のセル数、硬度、成型方法を種々変更した表1下段に示す比較例1〜6を作成して、実施例1〜17、及び比較例1〜6の保護剤供給装置を稼動して感光体ドラムと帯電ローラの汚れ具合を目視により確認する実験を行い、その結果を下記表1にまとめた。
【0097】
【表1】

【0098】
(実験方法)
本実験では、画像形成装置としてリコー製 imagio MP C5000を基準機として、その保護剤供給装置のブラシローラ及び固形潤滑剤を、表1に示す発泡体ローラ及び保護剤ブロックに変更した実験機を作成した。そして、その実験機を恒温槽に入れて保護剤供給装置の経時状態と擬制し得る35℃、85%RHの高温多湿の環境下に10日放置したうえ、放置後にA4版、画像面積率100%の縦帯原稿を5000枚連続通紙し、感光体ドラムと帯電ローラの汚れ具合を目視により判定した。
【0099】
本実験に使用したトナーは、円形度SR(トナー粒子投影面積と同じ面積の円の周囲長/トナー粒子投影像の周囲長)が、0.93〜1.00の範囲にあり、且つ、トナーの重量平均径(D4)と個数平均径(D1)の比(D4/D1)が1.00〜1.40の範囲にある真球形化・小粒径化したトナーを使用した。なお、円形度SR、及びトナーの重量平均径(D4)と個数平均径(D1)の比(D4/D1)についての詳細は、特開2010−164759号公報等参照のこと。
【0100】
なお、表中のステアリン酸亜鉛と窒化ホウ素との混合比率は、全て重量比でステアリン酸亜鉛:窒化ホウ素が95:5となるように固定した。また、帯電部材である帯電ローラが汚染され易い環境下で実験を行うため、磨耗したクリーニングブレードを使用して実験した。そして、保護剤ブロックの消費量は、押圧手段の押圧力等を調整することにより0.15[g/km]となるように設定した。
【0101】
(測定方法)
ここで、表1に示すセル数は、図7及び図8に示すように、実線1[inch](約25mm)当たりに接触するセルの個数で表わしたものであり、発泡体層の表面において軸方向の両端部と中央部とで測定箇所を任意にそれぞれ3点選択して合計9点測定し、測定した値の平均値を表示している。図7の34bが前述の発泡体ローラであり、矢印の先の実線が測定箇所である。セル数の測定は、マイクロスコープを用い、それぞれの測定箇所の写真画面を観察する。そして、図8に示すように、写真画面の中心部に実寸1[inch](約25mm)に対応する長さの線を引き、その線内に何個のセルがあるかをカウントすることで求めている。このとき、僅かでも線に接触したセルは1つとしてカウントする。図8に示す例では、セル数は12個となる。
また、表1に示す硬度は、発泡体層の表面における任意の数箇所においてJIS K 6400(軟質発泡材料−物理特性の求め方)に基づいて測定された値の平均値であり、単位は[N]である。
【0102】
感光体ドラム、帯電ローラの汚れ具合の目視による判定は、表1に示すように◎:全く汚れていない。○:汚れはあるが画像に現れない。△:汚れがあり画像に現れるが許容できるレベル。×:汚れており画像もNG。の4段階で評価した。
【0103】
(考察)
表1から分かるように、連続気泡型の発泡体ローラを使用した実施例1〜17の保護剤供給装置では、感光体ドラムと帯電ローラいずれについても汚れていないか又は許容できるレベルの汚れであったが、独立気泡型の発泡体ローラを使用した比較例1〜6の保護剤供給装置では、感光体ドラムが許容できないレベルまで汚れていた。原因としては、発泡体ローラが経時状態と擬制し得る高温多湿の環境により塑性変形してしまい、感光体ドラムへの保護剤の供給が均一にできなかったからと考えられる。
【0104】
また、連続気泡型の発泡体ローラに係る実施例1〜14の保護剤供給装置では、感光体ドラムと帯電ローラいずれについても画像に現れるほど汚れておらず、実施例15〜17の保護剤供給装置では、許容レベルではあるが感光体ドラムが汚れていた。これは、実施例1〜5と実施例15〜17とは他の条件が同じなので、実施例15〜17において、発泡体ローラのセル数、硬度が適切でなかったのが原因と推察される。但し、セル数、硬度の個々の値は、略同数の実施例が他にも存在することから、セル数が25〜300[個/inch]、硬度が50〜500[N]のいずれかの条件を満たさなくなると感光体ドラムに汚れが発生すると考えられる。つまり、発泡体ローラの発泡体層は、セル数が25〜300[個/inch]、且つ、硬度が50〜500[N]であれば、保護剤を感光体ドラム上に均一厚に供給するうえで好適と考えられる。
【0105】
更に、帯電ローラについては、保護剤の成分がステアリン酸亜鉛だけの実施例11、実施例12、保護剤の成分がステアリン酸亜鉛+マイカの実施例14の3つの実施例に汚れが確認された。逆に言えば、保護剤の成分をステアリン酸亜鉛+窒化ホウ素とすれば、帯電劣化を起こし難い無機物である窒化ホウ素がへき開により潤滑剤として機能するため、帯電部材である帯電ローラの汚れを確実に防ぐことができることを示していると推察される。
【0106】
要するに、実施例1〜17に係る保護剤供給装置によれば、発泡体ローラが経時においても塑性変形せずに、長期に亘って安定的に保護剤を均一厚に像担持体である感光体ドラムに供給できるので、真球形化・小粒径化したトナーを使用した場合であっても、感光体ドラムが汚れるのを防止できたうえ、保護剤の帯電劣化を防止して帯電部材である帯電ローラが汚れることを防止できたといえる。
【0107】
以上のように、この発明の実施の形態に係る画像形成装置として、4連タンデム型の中間転写方式のカラー複写機を例に挙げて説明したが、必ずしもこのようなものに限られず、複写機、ファクシミリ、これらの複合機等の一般的な電子写真方式の画像形成装置であって、連続気泡型の発泡体ローラを有する保護剤供給装置を備えた画像形成装置には、本発明を適用することができる。
【0108】
そして、実施の形態に係る画像形成装置の説明におけるプリンタ部100、給紙部200、スキャナ部300、自動搬送部400などは、あくまでも一例を示したものであって、他の公知の装置・手段などの構成を採用することができる。その場合でも、前記課題に対して同様の作用効果を奏することは明らかである。また、図面で示した各構成部材の形状や構造等も、あくまでも好ましい一例を示すものであり、特許請求の範囲内で適宜設計変更が可能であることは云うまでもない。
【符号の説明】
【0109】
1 複写機(画像形成装置)
31 帯電装置
31a 帯電ローラ(帯電部材)
32 現像装置
33 クリーニング装置
33a クリーニングブレード(クリーニング部材)
34 保護剤供給装置
34a 保護剤ブロック
34b 発泡体ローラ(保護剤供給部材)
34c 押圧手段
34d 均しブレード(均し部材)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0110】
【特許文献1】特公昭51−22380号公報
【特許文献2】特開2001−305907号公報
【特許文献3】特開2007−293240号公報
【特許文献4】特開2006−350240号公報
【特許文献5】特開2009−150986号公報
【特許文献6】特開2009−169237号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
脂肪酸金属塩を含有する保護剤ブロックと、発泡体層でトナー像を担持する像担持体の外周表面と前記保護剤ブロックの両方に当接する回転可能な発泡体ローラと、この発泡体ローラに前記保護剤ブロックを押圧する押圧手段と、を備え、前記発泡体ローラが回転することにより前記保護剤ブロックを前記発泡体層で削り取って保護剤を前記像担持体の外周表面に供給する保護剤供給装置において、
前記発泡体ローラの発泡体層は、連続気泡型のセルを有することを特徴とする保護剤供給装置。
【請求項2】
前記発泡体ローラの発泡体層は、セル数が25〜300[個/inch]、且つ、硬度が50〜500[N]となっていることを特徴とする請求項1に記載の保護剤供給装置。
【請求項3】
前記像担持体の外周表面の保護剤を押し均して均一に薄層化する均し部材を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の保護剤供給装置。
【請求項4】
前記脂肪酸金属塩は、ステアリン酸亜鉛であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の保護剤供給装置。
【請求項5】
前記保護剤ブロックは、脂肪酸金属塩に加え、無機潤滑剤を更に含有することを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の保護剤供給装置。
【請求項6】
前記無機潤滑剤は、窒化ホウ素であることを特徴とする請求項5に記載の保護剤供給装置。
【請求項7】
前記保護剤ブロックは、圧縮成型により成型されていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の保護剤供給装置。
【請求項8】
カートリッジ本体と、このカートリッジ本体に回転可能に軸支された前記像担持体と、この像担持体の外周表面を一様に帯電する帯電装置と、前記像担持体の外周表面に書き込まれた静電潜像にトナーを供給して現像する現像装置と、を備えたプロセスカートリッジであって、
請求項1ないし7のいずれかに記載の保護剤供給装置を備えることを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項9】
前記像担持体に転写後も付着残留する残留トナーを除去してクリーニングするクリーニング装置を備えることを特徴とする請求項8に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項10】
請求項8又は9に記載のプロセスカートリッジを備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
前記像担持体と、この像担持体の外周表面を一様に帯電する帯電装置と、前記像担持体の外周表面に書き込まれた静電潜像にトナーを供給して現像する現像装置と、を備えた画像形成装置であって、
請求項1ないし7のいずれかに記載の保護剤供給装置を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項12】
前記像担持体に転写後も付着残留する残留トナーを除去してクリーニングするクリーニング装置を備えることを特徴とする請求項11に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−118307(P2012−118307A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−268117(P2010−268117)
【出願日】平成22年12月1日(2010.12.1)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】