説明

保護帽およびヘッドバンドのサイズ調整装置

【課題】着用者が保護帽を被った場合における保護帽の密着性が優れていると共に、片手で容易にヘッドバンドのサイズの調整をおこなうことができるヘッドバンドのサイズ調整装置を提供する。
【解決手段】直線状部13と第1の円弧状部15と第2の円弧状部17とを備えて帯状に形成され、各円弧状部15,17をお互いに係合させて環状に形成し保護帽1の帽体7に設置したときに、各円弧状部15,17が帽体7の後方で下側に凸になるヘッドバンド5と、各円弧状部15,17をガイドするヘッドバンドガイド体9と、回転することによって、環状のヘッドバンド5のサイズを変更するヘッドバンド調整体11とを有するヘッドバンドのサイズ調整装置3である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保護帽および保護帽に使用されるヘッドバンドのサイズ調整装置に係り、特に、取手(ノブ)を回転することによりサイズ調整をするものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、保護帽の着用者の後頭部を包むように一部を湾曲形状(円弧状)にすると共にサイズ調整をワンタッチですることができるヘッドバンドを備えた保護帽が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記従来の保護帽で、ヘッドバンドのサイズが小さくなるような調整をするときには、ヘッドバンドの一方のサイズ調整部を左手で持ち、右手を用いてヘッドバンドの他方の端部を、一方のサイズ調整部に差し込んでいる。
【0004】
また、ヘッドバンドのサイズが大きくなるような調整をするときには、ヘッドバンドの一方のサイズ調整部を左手で持ちつつサイズ調整ボタンを押し、右手を用いてヘッドバンドの他方の端部を、一方のサイズ調整部から引き出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4041365号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来の保護帽では、ヘッドバンドの後頭部を包むヘッドバンドの部位が円弧状になっているので、保護帽を着用者が被ったときにおける保護帽(ヘッドバンド)の密着性が優れており、着用者へのフィット感が良好なものになっている。しかしながら、上記従来の保護帽では、ヘッドバンドのサイズ調整に両手を使用する必要がある。また、保護帽の着用者(原子力発電所や電力会社等で作業に従事する者)は、手袋をしていることが多く、手袋をしているとヘッドバンドの調整がし難いという問題がある。
【0007】
本発明は、前記問題点に鑑みてなされたものであり、着用者が保護帽を被った場合における保護帽(ヘッドバンド)の密着性が優れていると共に、着用者がたとえば手袋を着用していても、片手で容易にヘッドバンドのサイズの調整をおこなうことができる保護帽およびヘッドバンドのサイズ調整装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、直線状部と、この直線状部の一端部に形成された第1の円弧状部と、前記直線状部の他端部に形成された第2の円弧状部とを備えて帯状に形成され、前記各円弧状部をお互いに係合させて環状に形成し保護帽の帽体に設置したときに、前記各円弧状部が前記帽体の後方で前記帽体の下側に凸になるヘッドバンドと、前記ヘッドバンドの各円弧状部がお互いに係合するように、前記各円弧状部をガイドするヘッドバンドガイド体と、前記ヘッドバンドガイド体に回転位置決め自在に設けられ、前記ヘッドバンドガイド体が前記ヘッドバンドの各円弧状部をガイドしているときに、回転することによって、前記環状のヘッドバンドのサイズを変更するヘッドバンド調整体とを有するヘッドバンドのサイズ調整装置である。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のヘッドバンドのサイズ調整装置において、前記ヘッドバンド調整体にはピニオンが形成されており、前記第1の円弧状部には、前記ピニオンと噛合する第1のラックが形成されており、前記第2の円弧状部には、前記ピニオンと噛合する第2のラックが形成されており、前記ヘッドバンド調整体の回転量による、前記ヘッドバンドガイド体に対する前記各円弧状部の移動量が、お互いに等しくなるようにするために、前記第1のラックのピッチと、前記第2のラックのピッチとが、お互いに異なっているヘッドバンドのサイズ調整装置である。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載のヘッドバンドのサイズ調整装置において、前記ヘッドバンドガイド体が筒状に形成されており、前記各円弧状部がヘッドバンドガイド体の貫通孔に入り込みガイドされるように構成されており、前記ヘッドバンドガイド体とこのヘッドバンドガイド体でガイドされている各円弧状部との間隙の量が、前記ヘッドバンドガイド体の貫通孔が延びている方向で、前記ヘッドバンドガイド体の中央部で最も小さくなっており、前記ヘッドバンドガイド体の端部に向かうにしたがって次第に大きくなるように構成されているヘッドバンドのサイズ調整装置である。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のヘッドバンドのサイズ調整装置において、前記ヘッドバンド調整体の一部が、前記ヘッドバンドガイド体の外に露出しており、前記ヘッドバンド調整体の露出部分、前記ヘッドバンドガイド体の少なくともいずれかに、前記ヘッドバンドガイド体による前記ヘッドバンド調整体の支持強度を補強するための補強部が設けられているヘッドバンドのサイズ調整装置である。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のヘッドバンドのサイズ調整装置を備えた保護帽である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、保護帽を着用者が被った場合における保護帽(ヘッドバンド)の密着性が優れていると共に、着用者がたとえば手袋を着用していても、片手で容易にヘッドバンドのサイズの調整をおこなうことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態に係る保護帽1におけるヘッドバンドのサイズ調整装置3に使用されるヘッドバンド5の概略構成を示す展開図である。
【図2】ヘッドバンドのサイズ調整装置3が設置された保護帽1を着用者が被った状態を後から見た図である。
【図3】ヘッドバンドのサイズ調整装置3が設置された保護帽1を着用者が被った状態を側方から見た図である。
【図4】ヘッドバンドのサイズ調整装置3の分解図であって、ヘッドバンドのサイズ調整装置3を後方から見た図である。
【図5】ヘッドバンドのサイズ調整装置3を、図4の場合と同様にして、後方から見た図である。
【図6】図5におけるVI矢視図である。
【図7】図6において、上側部材49を取り去った状態を示す図である。
【図8】図5におけるVIII−VIII断面を示す図である。
【図9】ヘッドバンド調整体11を示す図であり、(b)は、(a)におけるB矢視図であり、(c)は、(b)におけるC矢視図である。
【図10】ヘッドバンドガイド体9の下側部材51を示す図であり、(b)は、(a)におけるB矢視図である。
【図11】ヘッドバンドガイド体9の上側部材49を示す図であり、(b)は、(a)におけるB矢視図である
【図12】ヘッドバンド調整体11の変形例を示す図であり、(b)は、(a)におけるB矢視図であり、(c)は、(b)におけるC矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、本発明の実施形態に係る保護帽1におけるヘッドバンドのサイズ調整装置3に使用されるヘッドバンド5の概略構成を示す展開図であり、図2は、ヘッドバンドのサイズ調整装置3が設置された保護帽1を着用者が被った状態を後から見た図であり、図3は、ヘッドバンドのサイズ調整装置3が設置された保護帽1を着用者が被った状態を側方から見た図である。
【0016】
保護帽(安全帽)1は、椀状の帽体7と、帽体7の内側に設置される衝撃吸収ライナー(図示せず)と、ヘッドバンド5およびこのサイズ調整装置3と、顎紐(図示せず)を備えて構成されており、保護帽1を着用者が被ったときに、ヘッドバンド5が着用者の頭部に接触することによって、帽体7が着用者の頭部で支持されて頭部を覆うようになっている。
【0017】
ヘッドバンドのサイズ調整装置(以下、「サイズ調整装置」という。)3は、帽体7に設置されるヘッドバンド5を環状に形成し、環状に形成されたヘッドバンド5の径(周長;サイズ)を調整するものであり、ヘッドバンド5と、ヘッドバンドガイド体9とヘッドバンド調整体11とを備えて構成されている。
【0018】
ヘッドバンド5は、直線状部13と第1の円弧状部15と第2の円弧状部17とを備えて帯状に形成されている。直線状部13はヘッドバンド5の長手方向の中間部に形成されており、第1の円弧状部15は、直線状部13の長手方向の一端部に形成されており、第2の円弧状部17は、直線状部13の長手方向の他端部に形成されている。
【0019】
また、各円弧状部15,17をお互いに係合させて(たとえば、重ねて)環状に(平ベルト状に)形成し保護帽1の帽体7に設置すると、各円弧状部15,17の中心C1が帽体7の頂上部側に位置し(図2参照)、各円弧状部15,17が帽体7の後方で帽体7の下側に凸(直線状部13よりも下側に凸)になるようになっている(図2、図3参照)。
【0020】
なお、各円弧状部15,17は、それらの総てがお互いに重ね合わされるわけではなく、環状になったときにヘッドバンド5のサイズが変更されるようになっているので、第1の円弧状部15の先端部(図1の右端部)と第1の円弧状部15における長手方向の中間部(直線状部13との境界である基端部19でもよい。)との間に存在する部位と、第2の円弧状部17の先端部(図1の左端部)と第2の円弧状部17における長手方向の中間部(直線状部との境界である基端部21でもよい。)との間に存在する部位とが、お互いに重ね合わされるようになっている。
【0021】
ヘッドバンドガイド体9は、ヘッドバンド5の各円弧状部15,17がお互いに重なってヘッドバンド5が環状に形成されるように、各円弧状部15,17をガイドするものである。
【0022】
ヘッドバンド調整体11は、ヘッドバンドガイド体9に回転位置決め自在に設けられている。ヘッドバンドガイド体9がヘッドバンド5の各円弧状部15,17をガイドしているときに、ヘッドバンド調整体11がヘッドバンドガイド体9に対し回転することによって、環状のヘッドバンド5の径(サイズ;各円弧状部15,17がお互いに重なり合っている長さ)を変更するものである。
【0023】
ヘッドバンド調整体11にはピニオン(中心軸がヘッドバンド調整体11の回転中心軸C2に一致しているピニオン)23が形成されている(図9参照)。第1の円弧状部15には、第1の円弧状部15の円弧に沿って(円弧に対してほぼ平行に、)第1のラック25が形成されている。第2の円弧状部17には、第2の円弧状部17の円弧に沿って(円弧に対してほぼ平行に、)第2のラック27が形成されている(図1参照)。
【0024】
第1のラック25は、ヘッドバンド調整体11のピニオン23の一方の側の部位と噛合するようになっており、第2のラック27は、ヘッドバンド調整体11のピニオン23の他方の側の部位と噛合するようになっている(図4、図7参照)。なお、第2のラック27に噛合しているピニオン23の部位は、ヘッドバンド調整体11の回転中心軸C2を間にして、第1のラック25に噛合しているピニオン23の部位の反対側に位置している。たとえば、図4では、第1のラック25に噛合しているピニオン23の部位は、中心軸C2の下側に位置し、第2のラック27に噛合しているピニオン23の部位は、中心軸C2の上側に位置している。
【0025】
また、ヘッドバンド調整体11の回転量による、ヘッドバンドガイド体9に対する各円弧状部15,17の移動量(各円弧状部15,17は、お互いが逆方向に移動するので、より精確には、各円弧状部15,17の移動量の絶対値)が、お互いに等しくなるようにするために、第1のラック25のピッチと、第2のラック27のピッチとが、お互いに異なっている。
【0026】
ヘッドバンドガイド体9は筒状に形成されており、各円弧状部15,17は、ヘッドバンドガイド体11の貫通孔に入り込みお互いに重なり合ってガイドされるように構成されている。
【0027】
そして、ヘッドバンドガイド体9とヘッドバンドガイド体9でガイドされている各円弧状部15,17との間隙Gの量が、ヘッドバンドガイド体9の貫通孔が延びている方向で、ヘッドバンドガイド体9の中央部で最も小さくなっており、ヘッドバンドガイド体9の端部に向かうにしたがって次第に大きくなっている(図5参照)。
【0028】
なお、ヘッドバンド調整体11が設けられているヘッドバンドガイド体9を用いてヘッドバンド5を環状に形成して、ヘッドバンド調整体11とヘッドバンドガイド体9とヘッドバンド5とを帽体7に設置した状態(ヘッドバンド設置状態)では、間隙Gの量は、帽体7の上下方向で次第に変化しており、帽体7の前後方向(図4の紙面に直交する方向)ではほぼ一定になっている。
【0029】
ここで、サイズ調整装置3についてさらに詳しく説明する。
【0030】
ヘッドバンドガイド体9は、図4〜図8等で示すように、筒状であって、お互いに重なった各円弧状部15,17と同様な円弧状に形成されている。ヘッドバンド調整体11は、ヘッドバンドガイド体9の長手方向(ヘッドバンドガイド体11の貫通孔が通っている方向;ヘッドバンドガイド体9でガイドされている各円弧状部15,17の長手方向)の中央部であって、ヘッドバンドガイド体9の幅手方向(ヘッドバンドガイド体9でガイドされている各円弧状部15,17の幅方向)に設けられている。
【0031】
ヘッドバンド調整体11が設けられているヘッドバンドガイド体9がヘッドバンド5の各円弧状部15,17をガイドしている状態では、前述したように、お互いに重なっている各円弧状部15,17がヘッドバンドガイド体9の貫通孔内に位置している(お互いに重なった各円弧状部15,17がヘッドバンドガイド体9で囲まれている)。
【0032】
また、第1の円弧状部15がこの先端から所定の長さにわたって、ヘッドバンドガイド体9の長手方向の一端部からヘッドバンドガイド体9の貫通孔に入り込んでおり、第2の円弧状部17もこの先端から所定の長さ(第1の円弧状部15がヘッドバンドガイド体9に入り込んでいる長さとほぼ同じ長さ)にわたって、ヘッドバンドガイド体9の長手方向の他端部からヘッドバンドガイド体9の内側に入り込んでいる。
【0033】
そして、ヘッドバンド調整体11が回転することにより、ヘッドバンド5の各円弧状部15,17の重なり長さが変化すると共に、ヘッドバンドガイド体9の貫通孔内に入り込んでいる第1の円弧状部15の長さとヘッドバンドガイド体9の貫通孔内に入り込んでいる第2の円弧状部17の長さとが、お互いに等しい割合で変化するようになっている。
【0034】
たとえば、ヘッドバンド調整体11をヘッドバンドガイド体9に対して所定の方向にある角度αだけ回転すると、第1の円弧状部15が所定の長さL1だけさらにヘッドバンドガイド体9の貫通孔内に入り込み、第2の円弧状部17も所定の長さL1だけさらにヘッドバンドガイド体9の貫通孔内に入り込み、各円弧状部15,17の重なり長さが長くなり、環状のヘッドバンド5のサイズが小さくなるようになっている。さらに、ヘッドバンド調整体11が回転位置決めされるようになっているので、一旦設定された環状のヘッドバンド5のサイズは、ヘッドバンド調整体11に外力を加えてヘッドバンド調整体11をヘッドバンドガイド体9に対して回転しない限り、維持されるようになっている。
【0035】
ヘッドバンド調整体11が設けられているヘッドバンドガイド体9を用いてヘッドバンド5を環状に形成して、ヘッドバンド調整体11とヘッドバンドガイド体9とヘッドバンド5とを帽体7に設置した状態(ヘッドバンド設置状態)では、ヘッドバンド5の各円弧状部15,17以外の他の部位(直線状部13)は、帽体7の環状の開口部よりも僅かに上方であって帽体7の内側で、帽体7の環状の開口部の沿い、帽体7の一方の側方から前方を通り他方の側方にわたって存在している(図3参照)。
【0036】
また、ヘッドバンド設置状態では、ヘッドバンド5の各円弧状部15,17やヘッドバンドガイド体9は、帽体7の開口部よりも下方で帽体7の後方に位置している(図2、図3参照)。すなわち、ヘッドバンド5の各円弧状部15,17やヘッドバンドガイド体9は、帽体7の後方で帽体7の下方外側に円弧状になって突出しており、お互いに重なっている各円弧状部15,17やヘッドバンドガイド体9の長手方向の中央部が、最も下側に位置している。
【0037】
さらに、ヘッドバンド設置状態では、ヘッドバンド調整体11は、帽体7の後方外側でヘッドバンドガイド体9から真後ろの方向に突出しており、帽体7の前後方向に対してやや斜めに(前側が上方に位置し後側が下方に位置するような斜めに)延びた軸C2を回転中心にして、回転位置決めされるようになっている(図3参照)。
【0038】
なお、この明細書で使用している「上」、「下」の文言は、保護帽1の着用者が起立している状態におけるものである。また、ヘッドバンド設置状態の保護帽1を着用者が被ると、環状のヘッドバンド5が着用者の頭部に接触し頭部を包囲し、帽体7が着用者の頭部にほぼ固定されるようになっている。なお、ヘッドバンド5には、ヘッドバンド5を帽体7に設置するための係止部29が設けられている。
【0039】
さらに説明すると、ヘッドバンド5は、たとえば、樹脂等の可撓性を備えた材料でモールド成形によって帯状に一体で形成されている。そして、ヘッドバンド5は、環状になっていない状態では、図1に示すように、平板状に展開される。
【0040】
ヘッドバンド5の直線状部13は薄く細長い平板状に形成されており、第1の円弧状部15は、薄く細長い平板状に形成されていることに加えて、長手方向に直線状に延びているのはなく、所定の曲率半径をもった円弧状に曲がって延びている。また、第1の円弧状部15は、直線状部13の長手方向の一端部から延出して、直線状部13と一体で形成されている。第1の円弧状部15と直線状部13との境界19では、第1の円弧状部15が直線状部に対して急激に曲がることなく、直線状部13の幅方向の一方の側(図1の下側)に緩やかに曲がっている。また、第1の円弧状部15の円弧の中心は、直線状部13の幅方向の他方の側(図1の上側)に位置している。さらに、第1の円弧状部15の長手方向の先端は、半円状に形成されている。
【0041】
また、第1の円弧状部15のほぼ中央部には、長円状の第1の貫通孔(第1の円弧状部15の厚さ方向に貫通している貫通孔)31が形成されている。この第1の長円状の貫通孔31は、この長手方向で、第1の円弧状部15と同様にして円弧状に曲がっている。第1の長円状の貫通孔31の幅や長さは、第1の円弧状部15のものよりも小さくなっており、第1の長円状の貫通孔31の長手方向は第1の円弧状部15の長手方向と一致しており、第1の長円状の貫通孔31の幅方向は第1の円弧状部15の幅方向と一致している。
【0042】
第1の長円状の貫通孔31には、第1のラック25が形成されている。第1のラック25は、第1の長円状の貫通孔31の幅方向の一方の辺(お互いが対向している大きな円弧状の2つの辺のうちの長いほうの辺;図1の下側の辺)のほぼ全長にわたって、三角形状もしくは台形状の凹凸を繰り返して形成されている。
【0043】
第2の円弧状部17や第2の長円状の貫通孔33も第1の円弧状部15や第1の長円状の貫通孔31と同様に形成されている。また、第2の円弧状部17や第2の長円状の貫通孔33は、直線状部13の中心を通り直線状部13の幅方向(直線状部13の長手方向と厚さ方向とに直交する方向;図1の上下方向)に延びている直線L1に対してほぼ対称に形成されている。すなわち、図1の左右方向でほぼ対象に形成されている。
【0044】
ただし、第2の円弧状部17に形成されている第2のラック27と、第1の円弧状部15に形成されている第1のラック25との設置形態は、異なっている。
【0045】
すなわち、第2のラック27は、第2の長円状の貫通孔33の幅方向の他方の辺(お互いが対向している大きな円弧状の2つの辺のうちで、長いほうの辺ではなくて短いほうの辺;図1の上側の辺)のほぼ全長にわたって、三角形状もしくは台形状の凹凸を繰り返して形成されている。
【0046】
また、第1のラック25のピッチに比べて第2のラック27のピッチは小さくなっている。詳しく説明すると、第1のラック25が形成されている辺の長さ(ラックが存在しないと仮定した場合の大きな円弧状の辺の長さ)は、第2のラック27が形成されている辺の長さよりも長くなっており、第1のラック25が形成されている辺の長さと第2のラック27が形成されている辺の長さとの比と、第1のラック25のピッチと第2のラック27のピッチとの比とが、お互いに等しくなっている。
【0047】
第1の円弧状部15と第2の円弧状部17とは、これらの幅方向ではお互いが一致し、これらの厚さ方向でお互いが重なり合い、環状のヘッドバンド5が形成されるようになっている。
【0048】
すなわち、図1に示す状態で、直線状部13の中央部を紙面に残しておいて、第1の円弧状部15側を図1の紙面の手前にもってくるようにヘッドバンド5を湾曲させた後、第2の円弧状部17が第1の円弧状部15よりもさら手前にくるように第2の円弧状部17側を湾曲させ、第1の円弧状部15と第2の円弧状部17とをこれらの幅方向の位置をそろえてこれらの厚さ方向でお互いに重ねると、図4で示す状態になる。図4で示す各円弧状部15,17は、図1の示すものに対して、裏返しになっている。
【0049】
各円弧状部15,17には、これらの厚さ方向で段差35が形成されている(図1、図8参照)。これらの段差35をお互いに係合させることにより、各円弧状部15,17をお互いに重ねるときに、各円弧状部15,17が、これらの幅方向でお互いに一致しやすくなっている一方で、お互いに重なり合った各円弧状部15,17が、これらの長手方向でお互いに移動しやすくなっている。
【0050】
詳しく説明すると、図1で示すように、第1の円弧状部15は、厚さが厚い部位である第1の厚手部37と、厚さが薄い部位である第1の薄手部39とで構成されている。第1の厚手部37の厚さは、直線状部13の厚さよりも僅かに厚くなっており、第1の薄手部39の厚さは、直線状部13の厚さよりも僅かに薄くなっている。なお、第1の厚手部37と第1の薄手部39との境界(段差)35は、第1の円弧状部15の幅方向の中央部に形成されており、第1の円弧状部15の長手方向に円弧状に延びている。また、第1の厚手部37は、ラック25が形成されている側に形成されており、第1の薄手部39は、ラック25が形成されていない側に形成されている。このように、厚手部37にラック25を形成することにより、ラック25の強度を高めることができる。
【0051】
同様にして、第2の円弧状部17も、第2の厚手部41と第2の薄手部43とで構成されており、第2の厚手部41が、ラック27が形成されている側に形成されており、第2の薄手部43は、ラック27が形成されていない側に形成されている。
【0052】
そして、各円弧状部15,17をお互いに重ねたときに、図8で示すように、これらの段差35がお互いに係合するようになっている。図8から理解されるように、各円弧状部15,17をお互いに重ねた場合、この重ね合わされた部位における厚さは、重ね合わされた部位のいずれの箇所でもほぼ一定になっている。また、各円弧状部15,17がお互いに重なった部位における断面(各円弧状部15,17の長手方向に垂直な平面による断面)は、細長い矩形状になっている。
【0053】
ヘッドバンドガイド体9は、図5や図6で示すように、お互いに重なり合った各円弧状部15,17をカイドするために矩形な筒状に形成されている本体部45と、ヘッドバンド調整体11を設置するための円環状のヘッドバンド調整体設置部47とを備えて構成されている。また、ヘッドバンドガイド体9は、ヘッドバンドガイド体9へのヘッドバンド5およびヘッドバンド調整体11の設置をしやすくするために、2つの部材(上側部材49と下側部材51)に分割可能なように構成されている(図4等参照)。分割可能な各部材49,51は、樹脂等の材料で、たとえばモールド成形によって一体で形成されている。
【0054】
なお、次の説明は、理解を容易にするために、ヘッドバンドガイド体9が、上側部材49と下側部材51とに分割されていないものとして、なされている。
【0055】
ヘッドバンドガイド体9の本体部45の断面(本体部45の長手方向に対して直角な平面による断面)は、図8に示すように、矩形な環状に形成されており、ヘッドバンドガイド体9の本体部45の断面における内側の長方形の高さは、各円弧状部15,17の幅よりも僅かに大きくなっており、ヘッドバンドガイド体9の本体部45の断面における内側の長方形の幅(図8の左右方向の寸法)は、お互いが重なり合っている円弧状部15,17の厚さよりも僅かに大きくなっている。これにより、各円弧状部15,17がお互いに重なるようにして、各円弧状部15,17をヘッドバンドガイド体9の本体部45でガイドすることができると共に、このようにガイドされている各円弧状部15,17が、この長手方向(図8の紙面に直交する方向)で、ヘッドバンドガイド体9の本体部45に対して移動することができるようになっている。
【0056】
また、ヘッドバンドガイド体9の本体部45は、お互いに重ね合わされた各円弧状部15,17と同様にして、この長手方向(図8の紙面に直交する方向)で、円弧状に曲がっている。すなわち、ヘッドバンドガイド体9の本体部45は、円弧状に湾曲した4枚の板状部(第1の板状部53、第2の板状部55、第3の板状部57、第4の板状部59)で矩形な筒状に形成されている(図5参照)。
【0057】
ヘッドバンドガイド体9で環状に形成されたヘッドバンド5を帽体7に設置した場合、第1の板状部53は、保護帽1の着用者の頭部側に位置して頭部に接触する部分であり、第2の板状部55は、お互いが重なっている各円弧状部15,17を間にして第1の板状部53とは反対側に位置している部分であり、第3の板状部57は、お互いが重なっている各円弧状部15,17の上方で、第1の板状部53と第2の板状部55とをお互いにつないでいる部分であり、第4の板状部59は、お互いが重なっている各円弧状部15,17の下方で、第1の板状部53と第2の板状部55とをお互いにつないでいる部分である。
【0058】
なお、第2の板状部55と第4の板状部59との長さ(図5における左右方向の寸法)は、お互いがほぼ等しくなっているが、第1の板状部53は第2の板状部55や第4の板状部59よりも長くなっており、第3の板状部57は、第2の板状部55や第4の板状部59よりも短くなっている。これにより、着用者の頭部に接触するヘッドバンドガイド体9の本体部45の面積を大きくしつつ、ヘッドバンドガイド体9の本体部45に対する各円弧状部15,17の遊びの自由度を大きくすることができ、ヘッドバンド5やヘッドバンドガイド体9を着用者の頭部の形状に合致させることが容易になる。
【0059】
ヘッドバンドガイド体9のヘッドバンド調整体設置部47は、ヘッドバンドガイド体9の本体部45の中央部(第2の板状部55の中央部)に設けられている。ヘッドバンド調整体設置部47の中心軸(ヘッドバンド調整体11の回転中心軸と同じ軸)C2は、第1の板状部53や第2の板状部55の厚さ方向に延びており、ヘッドバンド調整体設置部47は、第2の板状部55から突出して設けられている。また、ヘッドバンド調整体設置部47と第2の板状部55との間には、背の低い円柱状の内部空間61が形成されている(図7参照)。
【0060】
ヘッドバンド調整体11は、たとえば、樹脂等でモールド成形されており、図9で示すように、前述したピニオン23と、円環状のラチェットの歯部63と、円柱もしくは円筒状の本体部65と、円板状の取手部67とを備えて構成されている。ピニオン23と、ラチェットの歯部63、円柱もしくは円筒状の本体部65、円板状の取手部67は、この順序で同軸で並んでいる。本体部65の外径がピニオン23の外径よりも大きくなっており、取手部67の外径が本体部65の外径よりも大きくなっている。また、ラチェットの歯部63は本体部65の端面(ピニオン23側の端面)に形成されている。また、本体部65の外周には、ラチェットの歯部63をラチェットの爪(突起)69(図10(a)参照)に付勢するための弾性を備えた付勢部71が設けられている。
【0061】
ヘッドバンド調整体11の本体部65における中間部(軸C2方向における中間部)よりもピニオン23側の部位が、ヘッドバンドガイド体9の内部に入り込んで、ヘッドバンドガイド体9の本体部45やヘッドバンド調整体設置部47に係合していることにより、ヘッドバンドガイド体9に対してヘッドバンド調整体11がこの軸C2を中心にして回転するようになっている。
【0062】
また、この係合をしている状態では、ピニオン23がヘッドバンド調整体9の本体部45の貫通孔内に位置している。さらに、ピニオン23の先端部が、第1の板状部53の凹部73にも係合して本体部45に支持されている(図7参照)。
【0063】
ヘッドバンドガイド体9でガイドされお互いが重なっている各円弧状部15,17の長円状の各貫通孔31,33は、お互いにほぼ重なっており、この重なっている貫通孔31,33の一方の側に第1のラック25が位置し他方の側に第2のラック27が位置している(図4参照)。そして、ヘッドバンドガイド体9に設置されているヘッドバンド調整体11のピニオン23の一方の端部(下側に位置している一部の歯)が、ヘッドバンドガイド体9でガイドされてお互いが重なっている第1の円弧状部15の第1のラック25に噛合し、ピニオン23の他方の端部(上側に位置している他の一部の歯)が、第2の円弧状部17の第2のラック27に噛合している。
【0064】
このように噛合している状態で、ヘッドバンド調整体11を回転すると、第1の円弧状部15と第2に円弧状部17とがお互いに逆の方向に移動して、ヘッドバンド5のサイズの調整がなされるようになっている。
【0065】
また、ヘッドバンド調整体11のヘッドバンド調整体設置部47と第2の板状部55との間に形成されている円柱状の内部空間61の一方の端面(本体部45側の底面)には、ラチェットの歯部63と係合する突起69が設けられており、ヘッドバンド調整体11の付勢部71が円柱状の内部空間61の他方の端面を押圧することで、ラチェットの歯部63が突起69側に付勢され、一旦回転位置決めされたヘッドバンド調整体11が容易には回転しないようになっている。これにより、一旦、サイズが調整された環状のヘッドバンド5のサイズが容易には変化しないようになっている。
【0066】
ここで、ヘッドバンドガイド体11の分割について説明する。
【0067】
ヘッドバンドガイド体11は、図4で示すように、ヘッドバンド調整体11の回転中心軸C2を含み、ヘッドバンドガイド体11の本体部45の円弧の沿って本体部45の長手方向に延びている円弧状の面により、上側部材49と下側部材51とに分割可能になっている。上記分割は、前述したように、ヘッドバンドガイド体11に各円弧状部15,17やヘッドバンド調整体11するときなされるようになっている。
【0068】
ところで、各円弧状部15,17をお互いに重ねてヘッドバンド5を環状に形成し保護帽1の帽体7に設置すると、すでに理解されるように、ヘッドバンド5の幅方向が帽体7の開口部と頂上部とをお互いに結ぶ方向とほぼ一致し、ヘッドバンド5の厚さ方向が、帽体7の肉部の厚さ方向とほぼ一致し、ヘッドバンド5の長手方向が、帽体7の開口部の縁が延びている方向になっている。
【0069】
また、このようにしてヘッドバンド5を設置した状態では、各円弧状部15,17が重なっている部位、ヘッドバンドガイド体9、ヘッドバンド調整体11は、帽体7の後に位置しており、各円弧状部15,17が重なっている部位やヘッドバンドガイド体9が、帽体7の真後ろの部分で最も下方に位置している。
【0070】
また、ヘッドバンド調整体11を回転することで、重なり合っている各円弧状部15,17の長さは変化するが、重なり合っている各円弧状部15,17の長さが最も長くなっても、第2の板状部55や第4の板状部59のほうが重なり長さよりも僅かに長くなっている。なお、重なり合っている各円弧状部15,17の長さが最も長くなったときには、第3の板状部57が、重なり合っている各円弧状部の長さよりも僅かに短くなる。
【0071】
また、図5で示すように、ヘッドバンドガイド体9の本体部45の貫通孔とお互いに重なり合いヘッドバンドガイド体9でガイドされている各円弧状部15,17との間の間隙(本体部45の貫通孔の高さ方向での間隙;お互いに重なり合っている各円弧状部15,17の幅方向での間隙)Gは、ヘッドバンドガイド体9の本体部45の長手方向の中央部で最も小さくごく僅かな値であり、ヘッドバンドガイド体9の本体部45の長手方向の端部に向かうにしたがって次第に大きくなっている。一方、本体部45の貫通孔の幅方向での間隙(お互いに重なり合っている各円弧状部15,17の厚さ方向での間隙)の値は、ほぼ一定のごく僅かな値になっている。
【0072】
サイズ調整装置3の組立手順について説明する。
【0073】
この手順は、ヘッドバンド5を帽体7に設置した状態で行ってもよいし、設置していない状態で行ってもよい。
【0074】
まず、図1に示すヘッドバンド5の各円弧状部15,17をお互いに重ね合わせる。このときに、各円弧状部15,17の重なり長さを最小にしておく。すなわち、各貫通孔31,33の重なり部分がほぼ円形状になるようにしておく。
【0075】
続いて、各貫通孔31,33に、ヘッドバンド調整体11のピニオン23を挿入し、ピニオンが挿入された各円弧状部15,17をヘッドバンドガイド体9の下側部材51(上側部材49でもよい。)の所定の箇所に設置する(図7参照)。
【0076】
続いて、接着もしくは熱を用いたカシメ等により、上側部材49を下側部材51に一体的に設置する。
【0077】
この後、ヘッドバンド調整体11を回転させれば、ヘッドバンド5のサイズを調整することができる。
【0078】
サイズ調整装置3によれば、各円弧状部15,17が帽体7の後方で帽体7の下側に円弧状に凸になるヘッドバンド5を備えており、ヘッドバンド調整体11を回転することによって、環状のヘッドバンド5のサイズを変更することができるので、保護帽1を着用者が被った場合における保護帽1(ヘッドバンド5)の密着性を優れたものにすることができると共に、着用者がたとえば手袋を着用していても、片手で容易にヘッドバンド5のサイズの調整をおこなうことができる。
【0079】
また、サイズ調整装置3によれば、ヘッドバンド調整体11の回転量による各円弧状部15,17の移動量が、お互いに等しくなっているので、ヘッドバンド5のサイズの調整をしても、各円弧状部15,17(ヘッドバンドガイド体11)が帽体7の側方にずれることがなく常に帽体7の後に位置することになり、ヘッドバンド5のサイズ調整にかかわらず、保護帽1の着用者が良好なフィット感を得ることができる。
【0080】
また、サイズ調整装置3によれば、ヘッドバンドガイド体9とこのヘッドバンドガイド体9でガイドされている各円弧状部15,17との間隙Gが、ヘッドバンドガイド体9の端部に向かうにしたがって次第に大きくなっているので、ヘッドバンドガイド体9に対する各円弧状部15,17の遊びの自由度を大きくすることができ、ヘッドバンド5やヘッドバンドガイド体9を着用者の頭部の形状に合致させることが容易になる。
【0081】
ところで、サイズ調整装置3において、ヘッドバンド調整体11の支持強度が補強されていてもよい。
【0082】
すなわち、ヘッドバンド調整体11の一部は、すでに理解されるように、ヘッドバンドガイド体9の外に露出しており、ヘッドバンド調整体11の他の部分が、ヘッドバンドガイド体9の内部に入り込んでヘッドバンドガイド体9に係合している。
【0083】
そして、ヘッドバンドガイド体9に対向しているヘッドバンド調整体11の露出部分、この露出部分に対向しているヘッドバンドガイド体9の部分(ヘッドバンド調整体設置部47の円環状の平面)47Aの少なくともいずれかに、ヘッドバンドガイド体9によるヘッドバンド調整体11の支持強度を補強するための補強部74が設けられていてもよい。
【0084】
補強部74によって、ヘッドバンド調整体11の回転中心軸C2まわりのモーメント以外の外力に対する、ヘッドバンドガイド体9によるヘッドバンド調整体11の支持強度を強化することができる。
【0085】
具体的には、図12で示すように、ヘッドバンド調整体11の取手部67には、スポーク部75が形成されている。換言すれば、複数の貫通孔77が、取手部67の周方向を等分配するように配置されている。
【0086】
そこで、各スポーク部75を、円柱状の本体部65の側に所定の距離だけ延出させる。そして、ヘッドバンド調整体11をヘッドバンドガイド体9に設置したときに、スポーク部75の各先端部(ピニオン23側の端部)75Aが、リブとなり、ヘッドバンド調整体設置部47の円環状の平面47Aに接触するようになっている。これによって、前述した支持強度を強化することができるようになっている。
【0087】
なお、常態においては、スポーク部75の各先端部75Aとヘッドバンド調整体設置部47の円環状の平面47Aとの間に僅かな隙間が形成されており、ヘッドバンド調整体11に外力が加わったときにのみ、スポーク部75の各先端部75Aとヘッドバンド調整体設置部47の円環状の平面47Aとが接触する構成であってもよい。
【0088】
このような補強をしたことにより、保護帽1を誤って落下させてヘッドバンド調整体11に衝撃が発生しても、この衝撃によってヘッドバンド調整体11の付勢部71が折れて破損する事態を回避することができる。
【符号の説明】
【0089】
1 保護帽
3 サイズ調整装置
5 ヘッドバンド
7 帽体
9 ヘッドバンドガイド体
11 ヘッドバンド調整体
13 直線状部
15 第1の円弧状部
17 第2の円弧状部
23 ピニオン
25 第1のラック
27 第2のラック
74 補強部
G 間隙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直線状部と、この直線状部の一端部に形成された第1の円弧状部と、前記直線状部の他端部に形成された第2の円弧状部とを備えて帯状に形成され、前記各円弧状部をお互いに係合させて環状に形成し保護帽の帽体に設置したときに、前記各円弧状部が前記帽体の後方で前記帽体の下側に凸になるヘッドバンドと;
前記ヘッドバンドの各円弧状部がお互いに係合するように、前記各円弧状部をガイドするヘッドバンドガイド体と;
前記ヘッドバンドガイド体に回転位置決め自在に設けられ、前記ヘッドバンドガイド体が前記ヘッドバンドの各円弧状部をガイドしているときに、回転することによって、前記環状のヘッドバンドのサイズを変更するヘッドバンド調整体と;
を有することを特徴とするヘッドバンドのサイズ調整装置。
【請求項2】
請求項1に記載のヘッドバンドのサイズ調整装置において、
前記ヘッドバンド調整体にはピニオンが形成されており、
前記第1の円弧状部には、前記ピニオンと噛合する第1のラックが形成されており、
前記第2の円弧状部には、前記ピニオンと噛合する第2のラックが形成されており、
前記ヘッドバンド調整体の回転量による、前記ヘッドバンドガイド体に対する前記各円弧状部の移動量が、お互いに等しくなるようにするために、前記第1のラックのピッチと、前記第2のラックのピッチとが、お互いに異なっていることを特徴とするヘッドバンドのサイズ調整装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のヘッドバンドのサイズ調整装置において、
前記ヘッドバンドガイド体が筒状に形成されており、前記各円弧状部がヘッドバンドガイド体の貫通孔に入り込みガイドされるように構成されており、
前記ヘッドバンドガイド体とこのヘッドバンドガイド体でガイドされている各円弧状部との間隙の量が、前記ヘッドバンドガイド体の貫通孔が延びている方向で、前記ヘッドバンドガイド体の中央部で最も小さくなっており、前記ヘッドバンドガイド体の端部に向かうにしたがって次第に大きくなるように構成されていることを特徴とするヘッドバンドのサイズ調整装置。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のヘッドバンドのサイズ調整装置において、
前記ヘッドバンド調整体の一部が、前記ヘッドバンドガイド体の外に露出しており、
前記ヘッドバンド調整体の露出部分、前記ヘッドバンドガイド体の少なくともいずれかに、前記ヘッドバンドガイド体による前記ヘッドバンド調整体の支持強度を補強するための補強部が設けられていることを特徴とするヘッドバンドのサイズ調整装置。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のヘッドバンドのサイズ調整装置を備えたことを特徴とする保護帽。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−203015(P2010−203015A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−51275(P2009−51275)
【出願日】平成21年3月4日(2009.3.4)
【出願人】(391009372)ミドリ安全株式会社 (201)
【Fターム(参考)】