説明

保険契約情報提供システムおよび当該保険契約情報提供システムに接続されたクライアント端末

【課題】保険の契約者が自己の保険の内容を簡単に把握できるようにする。
【解決手段】保険契約情報提供システム100は、それぞれ約款が準備されている複数種の保険について、保険毎に当該保険の約款の中から、保険金に関する部分、保険金を支払う場合の条件に関する部分、保険金を支払わない場合の条件に関する部分がそれぞれ部分毎に区別されるとともに部分毎に識別情報が対応付けられた状態の電子データとして記憶する約款データベース120と、識別情報の指定とともに、約款の読み出し指示があると、約款データベースから該当する部分の電子データを読み出して提供する約款提供部106と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保険契約を行った契約者の保険に関する情報を一元的に管理する保険契約情報提供システムおよび当該保険契約情報提供システムに接続されたクライアント端末に関する。
【背景技術】
【0002】
保険会社が保険契約を行う際には、契約者に約款を配布することが義務づけられている。特許文献1(特表2005−518029号公報)には、保険約款をCDに保存して提供することが記載されている。
【特許文献1】特表2005−518029号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、保険契約の約款には多数の条項が含まれ、不慣れな人が見てもすぐに把握することができず、多くの契約者が実際には約款の内容を充分に把握しないでいる。
【0004】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、保険の契約者が自己の保険の内容を簡単に把握できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、
それぞれ約款が準備されている複数種の保険について、保険毎に当該保険の約款の中から、保険金に関する部分、保険金を支払う場合の条件に関する部分、保険金を支払わない場合の条件に関する部分がそれぞれ部分毎に区別されるとともに部分毎に識別情報が対応付けられた状態の電子データとして記憶する約款データベースと、
前記識別情報の指定とともに、前記約款の読み出し指示があると、前記約款データベースから該当する部分の電子データを読み出して提供する約款提供部と、
を含む保険契約情報提供システムが提供される。
このような構成により、保険の契約者が容易に約款の必要な部分を読み出すようにすることができ、自己の保険の内容を簡単に把握できるようにすることができる。
【0006】
上記保険契約情報提供システムとネットワークを介して接続されたクライアント端末であって、
ユーザの保険契約に関する情報を一覧表として表示し、前記保険契約毎に、前記約款データベースの当該保険契約の約款の保険金に関する部分、保険金を支払う場合の条件に関する部分、保険金を支払わない場合の条件に関する部分それぞれにアクセスするためのアクセス情報を、保険契約を識別する情報および約款のいずれの部分に該当するかを示す情報とともに表示する表示処理部と、
前記一覧表のいずれかの前記アクセス情報が選択された場合に、当該アクセス情報を前記保険契約情報提供システムに送信して前記電子データを要求するデータ要求処理部と、
を含み、
前記表示処理部は、前記データ要求処理部の要求に対し、前記保険契約情報提供システムから該当する電子データが提供されると、当該電子データを表示するクライアント端末が提供される。
【0007】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置、システム、記録媒体、コンピュータプログラムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、保険の契約者が自己の保険の内容を簡単に把握できるようにすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0010】
図1は、本実施の形態における保険契約情報提供システムを含むネットワーク構成を示すブロック図である。
ここでは、保険契約情報提供システム100、クライアントPC200、クライアントPC202、保険会社サーバ300、および保険会社サーバ302が、ネットワーク400に接続されている。ネットワーク400は、たとえばインターネット等とすることができる。保険会社サーバ300および保険会社サーバ302は、保険会社のサーバである。クライアントPC200およびクライアントPC202は、保険会社サーバ300や保険会社サーバ302等を管理する保険会社と保険契約を行った契約者が利用する端末である。
【0011】
本実施の形態において、保険契約情報提供システム100は、保険会社および契約者であるユーザとの間で、保険契約の管理業務を委託された業者により運営される。この業者は、たとえば保険契約の代理店等とすることができる。保険契約情報提供システム100は、クライアントPC200やクライアントPC202のユーザが契約している保険に関する情報を記憶しており、ユーザからの要求に応じて、これらの情報を提供する。ユーザは、クライアントPC200やクライアントPC202等から、ネットワーク400を介して保険契約情報提供システム100にアクセスし、保険契約情報提供システム100から自己の保険に関する情報を取得する。クライアントPC200やクライアントPC202において、保険契約情報提供システム100から取得した保険に関する情報が閲覧ソフトにより表示される。
【0012】
図2は、保険契約情報提供システム100およびクライアントPC200の構成を具体的に示すブロック図である。クライアントPC202もクライアントPC200と同様の構成を有する。
【0013】
なお、図2において、本発明の本質に関わらない部分の構成については省略してある。図2に示した保険契約情報提供システム100およびクライアントPC200の各構成要素は、ハードウエア単位の構成ではなく、機能単位のブロックを示している。保険契約情報提供システム100およびクライアントPC200の各構成要素は、任意のコンピュータのCPU、メモリ、メモリにロードされた本図の構成要素を実現するプログラム、そのプログラムを格納するハードディスクなどの記憶ユニット、ネットワーク接続用インタフェースを中心にハードウエアとソフトウエアの任意の組合せによって実現される。そして、その実現方法、装置にはいろいろな変形例があることは、当業者には理解されるところである。
【0014】
保険契約情報提供システム100は、通信制御部102、契約情報提供部104、約款提供部106、ユーザ認証部108、検索条件受付処理部110、ニュース提供部(満了検出部)112、約款データベース120、契約情報データベース122、およびユーザ情報記憶部124を含む。
【0015】
通信制御部102は、ネットワーク400を介してクライアントPC200等他の装置とデータの送受信を行う。
【0016】
ユーザ情報記憶部124は、保険契約情報提供システム100へのログインが許可されたユーザを認証するための情報を記憶する。ユーザ認証部108は、通信制御部102を介して、クライアントPC200からのログイン要求を受け付け、ユーザの識別情報(ユーザID)および認証情報に基づき、ユーザ情報記憶部124を参照してユーザを認証することによりユーザのログイン処理を行う。ここで、認証情報は、たとえばパスワード等とすることができる。また、ユーザ認証部108は、ログインしているユーザからの指示に基づき、当該ユーザのログアウト処理も行う。
【0017】
約款データベース120は、複数種の保険の約款を記憶する。本実施の形態において、約款データベース120は、約款をそのまま記憶するのではなく、それぞれ約款が準備されている複数種の保険について、保険毎に当該保険の約款を保険金に関する部分を第1のパート、保険金を支払う場合の条件に関する部分を第2のパート、保険金を支払わない場合の条件に関する部分を第3のパートとしてパート毎に区別された状態で電子データとして記憶する。また、約款データベース120は、パート毎にその部分に固有の識別情報を対応付けて電子データを記憶する。固有の識別情報は、どの保険に対応するかを示す情報およびどの部分に対応するかを示す情報から構成することができる。
【0018】
約款は、保険会社や保険の種類によって異なる形態で作成されている。しかし、どのような約款でも、保険金に関する部分、保険金を支払う場合の条件に関する部分、保険金を支払わない場合の条件に関する部分を含む。本実施の形態では、保険契約情報提供システム100の運営業者が、各保険会社から約款を入手し、約款毎に、保険金に関する部分、保険金を支払う場合の条件に関する部分、保険金を支払わない場合の条件に関する部分を抽出し、これらをそれぞれ第1のパート、第2のパート、および第3のパートとしてパート毎に区別して約款データベース120に記憶しておく。
【0019】
図3は、約款データベース120の内部構成の一例を示す図である。
ここでは、約款データベース120は、保険会社名欄と、保険名称欄と、約款欄とを含む。約款欄には、保険毎に、保険の約款の保険金に関する第1のパート、保険金を支払う場合の条件に関する第2のパート、保険金を支払わない場合の条件に関する第3のパートに区別された電子データが記憶されている。ここで、第1のパート、第2のパート、および第3のパートの電子データには、それぞれ、「part1」、「part2」、および「part3」というファイル名が付されている。ここで、保険会社名と保険名称との組合せにより、各保険が識別され、どの保険に対応するかが判断できる。また、ファイル名により、いずれのパートに対応するかが判断できる。なお、ここでは、約款データベース120が保険会社名欄と保険名称欄とを含む構成を示したが、これらのかわりに、各保険を識別可能な識別情報と約款とを対応付けて記憶することもできる。
【0020】
図2に戻り、約款提供部106は、通信制御部102を介してクライアントPC200から、保険を識別する情報および約款のパートの指定とともに約款の読み出し指示があると、対応する約款の対応するパートの電子データを読み出し、クライアントPC200に提供する。たとえば、クライアントPC200から、A損保のabc自動車保険の保険金に関する部分の約款の読み出し指示があると、約款提供部106は、約款データベース120の「A損保」、「abc自動車保険」に対応付けられた「part1」の電子データを読み出し、クライアントPC200に提供する。
【0021】
契約情報データベース122は、ユーザIDに対応付けて、当該ユーザの複数の保険契約に関する情報を記憶する。契約情報提供部104は、ユーザIDの指定とともに、当該ユーザの保険契約に関する情報の読み出し指示があった場合に、当該ユーザの識別情報に対応付けられた保険契約に関する情報を契約情報データベース122から読み出し、クライアントPC200に提供する。本実施の形態において、契約情報提供部104は、ユーザ認証部108によりユーザが認証され、ログインした状態で保険契約に関する情報の読み出し指示があった場合に、当該ユーザの識別情報に対応付けられた保険契約に関する情報を契約情報データベース122から読み出し、クライアントPC200に提供する。
【0022】
図4は、契約情報データベース122の内部構成の一部の一例を示す図である。
契約情報データベース122は、保険契約毎に、契約識別情報、ユーザID、保険会社名、保険名称、証券番号、契約者名、被保険者名、保険期間(保険契約の適用期間)、保険金額、保険の分類、当該保険の保険金支払いとなる原因および当該保険の保険金支払いとなる結果等を記憶する。ここで、契約識別情報とは、保険契約情報提供システム100が取り扱う保険契約毎に固有に割り振られた情報とすることができる。すなわち、証券番号は、各保険会社により割り当てられるが、契約識別情報は、保険契約情報提供システム100において、保険契約を管理するために割り当てられる識別情報である。また、ユーザIDも、保険契約情報提供システム100を利用する契約を行ったユーザに固有に割り当てられる。図4では、一つの保険契約のみ示しているが。契約情報データベース122は、複数の保険契約それぞれにつき、図4に示したような情報を保持する。
【0023】
図2に戻り、契約情報提供部104は、保険契約に関する情報の一部として、保険契約毎に、約款データベース120の当該保険契約の約款の保険金に関する部分、保険金を支払う場合の条件に関する部分、保険金を支払わない場合の条件に関する部分それぞれにアクセスするためのアクセス情報を提供する。ここで、アクセス情報は、約款データベース120の該当するデータへのリンク情報とすることもでき、また保険会社名および保険名称により指定される保険を示す情報と各パートを示す情報との組合せとすることもできる。
【0024】
検索条件受付処理部110は、クライアントPC200から該当する契約を検出するための検索条件を受け付ける。検索条件受付処理部110は、ユーザIDの指定とともに、事例の該当者、原因および結果を検索条件として受け付けることができる。この場合、検索条件受付処理部110は、受け付けた検索条件に基づき、契約情報データベース122を参照して、当該ユーザの保険契約の中から、当該事例に適用可能な保険契約を検出する。検索条件受付処理部110は、検出した契約情報に関する情報をクライアントPC200に提供する。
【0025】
ニュース提供部112は、保険契約の適用期間の満了が近い保険契約を検出する満了検出機能を含むことができる。また、ニュース提供部112は、適用期間の満了が近い保険契約を検出した場合に、当該保険契約の保険契約に関する情報の一部として、当該保険契約の適用期間の満了が近いことを示す情報を契約情報データベース122に付加することができる。また、ニュース提供部112は、適用期間の満了が近い保険契約を検出した場合に、当該保険契約の保険契約に関する情報の一部として、当該保険契約の代替となる新たな保険契約の見積もり情報を契約情報データベース122に付加することもできる。契約情報提供部104は、これらの情報も他の保険契約に関する情報とともにクライアントPC200に提供することができる。
【0026】
クライアントPC200は、データ要求処理部204、表示処理部206、通信制御部208、および契約情報記憶部209を含む。また、クライアントPC200は、ディスプレイ210および操作部212と接続されている。クライアントPC200のユーザは操作部212によりクライアントPC200の操作を行う。また、表示処理部206は、ディスプレイ210に表示を行う。
【0027】
保険の契約者(以下、ユーザという。)には、保険に関する情報を閲覧するための閲覧ソフトが配布される。閲覧ソフトは、たとえばCD等に保存されたかたちで配布されてもよく、またネットワーク400を介して取得できるようにしてもよい。ユーザが閲覧ソフトをクライアントPC200にインストールすると、クライアントPC200で閲覧ソフトを使用できるようになる。
【0028】
閲覧ソフトは、ユーザがある保険を契約したタイミングで、当該保険会社から配布されるようにすることもできる。この場合は、初期状態でその契約した保険に関する情報が閲覧ソフトのデータベースに保存されているようにすることができる。また、他の例として、閲覧ソフトだけをユーザに配布するようにすることもできる。この場合、ユーザが保険契約情報提供システム100にアクセスすることにより、その時点でそのユーザが契約している保険に関する情報が閲覧ソフトのデータベースに保存され、クライアントPC200で表示できるようにすることもできる。また、ユーザがクライアントPC200で閲覧ソフトを開いて、該当する見出しの画面に自分および自分の家族の保険に関する情報を入力するようにすることもできる。ユーザがクライアントPC200から情報を入力した場合、その情報は契約情報記憶部209に記憶される。この場合、ユーザが次回保険契約情報提供システム100にアクセスする際等に、保険契約情報提供システム100において、契約情報記憶部209に記憶された情報と契約情報データベース122に記憶された情報との整合性を確認し、契約情報データベース122に追加情報を記憶する等、同期をとるようにすることができる。
【0029】
クライアントPC200のデータ要求処理部204および表示処理部206は、この閲覧ソフトの機能により実現される。表示処理部206は、保険契約情報提供システム100から取得した保険に関する情報をディスプレイ210に表示する。データ要求処理部204は、ディスプレイ210に表示された画面に対してユーザが行った指示に基づき、保険契約情報提供システム100に必要な情報を送信しデータの要求を行う。通信制御部208は、ネットワーク400を介して保険契約情報提供システム100等他の装置とデータの送受信を行う。
【0030】
データ要求処理部204は、保険契約情報提供システム100から取得したユーザの契約情報を契約情報記憶部209に記憶する。すなわち、クライアントPC200のユーザが保険契約情報提供システム100にログインして保険契約に関する情報の読み出しを指示すると、当該ユーザのユーザIDに対応付けられた保険契約に関する情報すべてがクライアントPC200に送信されるようにすることもできる。この場合、クライアントPC200は、そのユーザの保険契約に関する情報を契約情報記憶部209に記憶する。このような構成とすると、クライアントPC200のユーザが保険契約情報提供システム100にアクセスしていない場合でも、表示処理部206により、自己の保険契約に関する情報を閲覧するようにすることができる。
【0031】
さらに他の例として、クライアントPC200が契約情報記憶部209をローカルで保持している場合、保険会社は、ユーザが新たな保険契約を行うと、契約情報データベースに記憶させるための保険契約に関する情報をたとえば電子メール等に添付してユーザに送信するようにすることができる。ユーザがそれらの情報をローカルの契約情報データベースに保存することにより、表示処理部206により、新たな保険契約に関する情報を閲覧するようにすることができる。閲覧ソフトは、たとえば各種情報がマトリックスとして表計算ソフト形式で記載されており、契約ごとにそのデータを貼り付けるようにすることができる。
【0032】
図5および図6は、表示処理部206によりディスプレイ210に表示される画面の例を示す図である。
表示処理部206は、1つのウィンドウの中で、複数の画面を切り替えて表示する複数の見出しが設けられたタブ方式(フォルダ方式)で保険に関する情報を表示する。ここでは、保険の種類毎に見出しが設けられる。保険の種類としては、生命保険、個人年金、障害・損害、自動車・バイク、火災・地震、医療、団体契約等がある。表示処理部206は、保険契約情報提供システム100から送信される保険契約に関する情報の保険の分類に応じて、その保険契約に関する情報をどの画面に表示させるかを決定する。ウィンドウ500には、これらに対応する見出し510〜522が設けられている。また、ウィンドウ500には、保険契約情報提供システム100にログインするためのログイン情報を入力するためのログイン画面の見出し508や保険契約情報提供システム100に検索条件を送るための検索条件を入力するための検索条件入力画面の見出し524も設けられている。クライアントPC200のユーザがいずれかの見出しを選択すると、その見出しに対応する内容の画面がウィンドウ500に表示される。
【0033】
図5は、見出し516が選択され、自動車・バイクに関する保険の内容の一覧表502が表示された例を示す。一覧表502には、クライアントPC200のユーザが契約している保険のうち、自動車・バイクに関する保険に関する情報が表示される。
【0034】
一覧表502には、保険会社名、保険名称、証券番号、契約者名(被保険者名)、保険期間、および保険金額等が表示される。また、一覧表502には、保険契約毎に、保険金の内容、保険金を支払う場合、および保険金を支払わない場合それぞれの約款へのリンクも対応付けられている。
【0035】
図中、下線を引いている箇所は、リンクがはられていることを示す。ユーザが、たとえばA損保に対応する保険金の内容欄の「詳細」部分をクリックすると、データ要求処理部204は、これをA損保のabc自動車保険の約款の「保険金の内容」部分を取得するための要求として保険契約情報提供システム100に送信する。
【0036】
保険契約情報提供システム100において、約款提供部106は、約款データベース120から、A損保のabc自動車保険の約款のpart1の電子データを読み出し、クライアントPC200に送信する。これにより、クライアントPC200において、A損保のabc自動車保険の約款のpart1の電子データが表示される。このとき、この電子データとともに、「保険金の内容(約款から抜粋)」等の項目も表示されるようにすることができる。
【0037】
約款に不慣れな契約者であるユーザが約款をそのまま見ても内容をすぐには把握できないが、このように区別しておくことにより、約款とともにユーザにその部分の意味づけを提示することができ、ユーザが保険金の内容に関する約款が表示されていることを把握することができる。
【0038】
なお、一覧表502には、クライアントPC200のユーザとして、家族単位の情報を表示するようにすることができる。たとえば、予め保険契約情報提供システム100に家族の保険に関する情報を1つのユーザIDに対応付けて登録しておけば、クライアントPC200のユーザの家族が契約者または被保険者となっているすべての保険を保険の種類毎に一覧表に表示させるようにすることができる。
【0039】
さらに、一覧表502には、保険契約毎にニュース欄も表示される。ニュース欄には、たとえば保険期間の満了が近づいた保険に「!」が表示され、ユーザが「!」をクリックすると、保険期間の満了が近づいたこと、およびその保険契約の代替となる新たな保険契約の見積もり等が表示されるようにすることができる。本実施の形態において、保険契約情報提供システム100が各ユーザの情報を保持しているので、ユーザからの了承を予め得ておくことを全体に、様々な保険契約の見積もりを、ユーザから新たな情報の入力無しで行うことができ、様々な保険契約の情報を提供するようにすることができる。
【0040】
また、保険契約情報提供システム100は、保険会社の契約だけでなく、会社の就業規則、町内会や子ども会の傷害保険、カード会社の自動付帯傷害保険等の契約情報、スポーツクラブ等の団体契約に関する情報も提供できるようにすることができる。このような契約は個別に行われるのではなく、たとえば会社単位や会単位等で行われる。このような契約は、見出し522の「団体契約」を選択することにより、ウィンドウ500に表示されるようにすることができる。
【0041】
図6は、見出し524が選択され、該当保険を検索するための条件入力画面が表示された例を示す。
ユーザが、保険金が支払われる可能性がある事例に遭遇したときに、この画面に条件を入力することにより、該当する保険が表示される。ここでは、「誰が」(被保険者)、いつ、どこで(適用場所)、「どうして」(原因)、「どうなった」(結果)を入力するようになっている。ユーザがこれらを入力し、「該当保険検索」ボタンを押すと、データ要求処理部204は、これらを該当する保険を検出するための検索条件として保険契約情報提供システム100に送信する。
【0042】
保険契約情報提供システム100において、検索条件受付処理部110は、この検索条件を受け付け、契約情報データベース122を参照して、該当する保険契約を検出する。検索条件受付処理部110は、図4に示した「被保険者名」欄、「原因」欄および「結果」欄に記憶された情報と、クライアントPC200から送信された検索条件の「誰が」(被保険者)、いつ、どこで(適用場所)、「どうして」(原因)、「どうなった」(結果)に対応する情報とを比較して、該当する保険契約を検出する。図4において、「原因」欄が「all」となっているのは、とくに制限なく検出されるようにするためである。本実施の形態における見出し524の検索条件は、これにより該当する保険契約を厳密に見つけ出すことを目的としているのではなく、該当する可能性のある保険を大まかに検出するためのものである。そのため、契約情報データベース122においても、あまり細かい条件を設定するのではなく、より広く検出されるような条件が設定される。
【0043】
検索条件受付処理部110は、検出した保険をクライアントPC200に送信する。これにより、クライアントPC200において、該当する保険の一覧表が表示される。一覧表は、図5に示した一覧表502と同様の項目を含むようにすることができる。なお、この場合は、保険の種類毎ではなく、該当する保険すべてが見出し520の画面に、一つの一覧表として表示されるようにすることができる。
【0044】
また、ここでは図示していないが、ウィンドウ500には、保険契約情報提供システム100に保険金の請求を行うための保険金請求書に必要な情報を入力するための画面が設けられていてもよく、それに対応する見出しが設けられてもよい。なお、保険金請求書は、保険会社サーバ300や保険会社サーバ302に直接送信されるようにすることもできる。
【0045】
たとえば、見出し520の画面に表示された、ユーザの事例に該当する保険の一覧表に含まれる保険契約のいずれかを選択することにより、事故報告と保険金請求手続きができるようにすることもできる。
【0046】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【0047】
たとえば、クライアントPC200は、そのユーザの保険契約の約款を記憶した約款データベースをローカルで保持することもできる。この場合は、クライアントPC200が保険契約情報提供システム100と同様の機能を有することになる。また、この場合、クライアントPC200のユーザが保険契約情報提供システム100にアクセスすることにより、新たな保険契約に関する情報を取得するようにすることができる。
【0048】
さらに、他の例として、クライアントPC200にはユーザの契約情報を保存せず、保険契約情報提供システム100にアクセスすることにより、これを閲覧することができるようにすることもできる。
【0049】
本発明は、以下のような形態で用いることができる。
ユーザが保険契約を行うと、紙ベースで保険証券を受け取るとともに、その保険契約に関する情報を含む契約情報データベースと、それを閲覧するための閲覧ソフトが記憶されたCD等を受け取るようにすることができる。ユーザが閲覧ソフトを自己のパソコンにインストールすると、契約情報データベースもパソコンに保存され、閲覧ソフトでその契約に関する情報を閲覧することができる。また、このとき、契約情報データベースには、約款へのアクセス情報として、約款へのリンク情報を記憶しておくことができ、ユーザがいずれかのアクセス情報をクリックすると、インターネット等のネットワークを介して、該当する約款を見ることができる。さらに、約款以外でも、種々の用語にリンクを張っておき、ユーザがそれをクリックすると、あらかじめ用意されたネットワーク上の用語解説集にアクセスして、用語等の説明を見ることができるようにすることができる。さらに、用語の説明を音声で流すようにすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の実施の形態における保険契約情報提供システムを含むネットワーク構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態における保険契約情報提供システムおよびクライアントPCの構成を示すブロック図である。
【図3】約款データベースの内部構成の一例を示す図である。
【図4】契約情報データベースの内部構成の一部の一例を示す図である。
【図5】表示処理部によりディスプレイに表示される画面の例を示す図である。
【図6】表示処理部によりディスプレイに表示される画面の例を示す図である。
【符号の説明】
【0051】
100 保険契約情報提供システム
102 通信制御部
104 契約情報提供部
106 約款提供部
108 ユーザ認証部
110 検索条件受付処理部
112 ニュース提供部
120 約款データベース
122 契約情報データベース
124 ユーザ情報記憶部
200 クライアントPC
202 クライアントPC
204 データ要求処理部
206 表示処理部
208 通信制御部
209 契約情報記憶部
210 ディスプレイ
212 操作部
300 保険会社サーバ
302 保険会社サーバ
400 ネットワーク
500 ウィンドウ
502 一覧表

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ約款が準備されている複数種の保険について、保険毎に当該保険の約款の中から、保険金に関する部分、保険金を支払う場合の条件に関する部分、保険金を支払わない場合の条件に関する部分がそれぞれ部分毎に区別されるとともに部分毎に識別情報が対応付けられた状態の電子データとして記憶する約款データベースと、
前記識別情報の指定とともに、前記約款の読み出し指示があると、前記約款データベースから該当する部分の電子データを読み出して提供する約款提供部と、
を含む保険契約情報提供システム。
【請求項2】
請求項1に記載の保険契約情報提供システムにおいて、
前記識別情報は、どの保険に対応するかを示す情報およびどの部分に対応するかを示す情報から構成された保険契約情報提供システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の保険契約情報提供システムにおいて、
前記約款提供部は、ネットワークを介して接続されたクライアント端末から、前記識別情報の指定とともに前記約款の読み出し指示を受け付け、当該クライアント端末に前記電子データを提供する保険契約情報提供システム。
【請求項4】
請求項1から3いずれかに記載の保険契約情報提供システムにおいて、
ユーザの識別情報に対応付けて、当該ユーザの複数の保険契約に関する情報を記憶する契約情報データベースと、
前記ユーザの識別情報の指定とともに、当該ユーザの保険契約に関する情報の読み出し指示があった場合に、当該ユーザの識別情報に対応付けられた前記保険契約に関する情報を前記契約情報データベースから読み出して提供する契約情報提供部と、
をさらに含み、
前記契約情報提供部は、前記保険契約に関する情報の一部として、前記保険契約毎に、前記約款データベースの当該保険契約の約款の保険金に関する部分、保険金を支払う場合の条件に関する部分、保険金を支払わない場合の条件に関する部分それぞれにアクセスするためのアクセス情報を提供する保険契約情報提供システム。
【請求項5】
請求項4に記載の保険契約情報提供システムにおいて、
前記契約情報提供部は、前記ユーザの識別情報の指定とともに、当該ユーザの保険契約に関する情報の読み出し指示があり、前記ユーザの識別情報に基づき当該ユーザが認証された場合に、当該ユーザの識別情報に対応付けられた前記保険契約に関する情報を前記契約情報データベースから読み出して提供する保険契約情報提供システム。
【請求項6】
請求項4または5に記載の保険契約情報提供システムにおいて、
前記契約情報データベースは、前記保険契約に関する情報として、各前記保険契約毎に、当該保険契約の適用期間を記憶し、
前記保険契約情報提供システムは、前記保険契約の適用期間の満了が近い保険契約を検出する満了検出部をさらに含み、
前記契約情報提供部は、前記満了検出部が適用期間の満了が近い保険契約を検出した場合に、当該保険契約の前記保険契約に関する情報の一部として、当該保険契約の適用期間の満了が近いことを示す情報を提供する保険契約情報提供システム。
【請求項7】
請求項6に記載の保険契約情報提供システムにおいて、
前記契約情報提供部は、前記満了検出部が適用期間の満了が近い保険契約を検出した場合に、当該保険契約の前記保険契約に関する情報の一部として、当該保険契約の代替となる新たな保険契約の見積もり情報を提供する保険契約情報提供システム。
【請求項8】
請求項4から7いずれかに記載の保険契約情報提供システムにおいて、
前記契約情報データベースは、前記保険契約に関する情報として、各前記保険契約毎に、当該保険契約の被保険者、ならびに当該保険契約が適用となる事例の原因および結果を記憶し、
前記保険契約情報提供システムは、前記ユーザの識別情報の指定とともに、事例の該当者、原因および結果を検索条件として受け付け、当該検索条件に基づき、当該ユーザの保険契約の中から、前記事例に適用可能な保険契約を検出して提供する検索条件受付処理部をさらに含む保険契約情報提供システム。
【請求項9】
請求項1から8いずれかに記載の前記保険契約情報提供システムとネットワークを介して接続されたクライアント端末であって、
ユーザの保険契約に関する情報を一覧表として表示し、前記保険契約毎に、前記約款データベースの当該保険契約の約款の保険金に関する部分、保険金を支払う場合の条件に関する部分、保険金を支払わない場合の条件に関する部分それぞれにアクセスするためのアクセス情報を、保険契約を識別する情報および約款のいずれの部分に該当するかを示す情報とともに表示する表示処理部と、
前記一覧表のいずれかの前記アクセス情報が選択された場合に、当該アクセス情報を前記保険契約情報提供システムに送信して前記電子データを要求するデータ要求処理部と、
を含み、
前記表示処理部は、前記データ要求処理部の要求に対し、前記保険契約情報提供システムから該当する電子データが提供されると、当該電子データを表示するクライアント端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−116610(P2009−116610A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−288858(P2007−288858)
【出願日】平成19年11月6日(2007.11.6)
【出願人】(506032233)株式会社あいおい基礎研究所 (11)
【出願人】(592018320)あいおい損害保険株式会社 (21)