信号伝送方法と信号伝送回路及びそれを用いた情報処理システム
【目的】 低消費電力化と高速化を可能にした信号伝送回路と、低消費電力で効率のよい情報処理を実現する。
【構成】 信号の伝送路1と基準電圧の伝送路2とを並走するようにされた一対のペア配線を用い、特性インピーダンスに整合した終端抵抗RZを設けるとともに、それに接続される受信回路を上記終端電圧の約1/2に設定されたオフセットが設けられた差動入力回路6〜8を用い、送信回路3〜5をオープンドレイン出力回路を用いる。このようなバス回路を用いた高速情報処理部9〜11と、従来の低速バスを用いた低速情報処理部とをインターフェイス回路を介して相互に接続して階層的にシステムを構築する。
【効果】 伝送信号の低振幅化により伝送速度を速くできるバス回路を用いた高速情報処理部と、従来の低速バス回路との組み合わせにより、各信号伝達速度に応じた効率のよい情報処理が行える。
【構成】 信号の伝送路1と基準電圧の伝送路2とを並走するようにされた一対のペア配線を用い、特性インピーダンスに整合した終端抵抗RZを設けるとともに、それに接続される受信回路を上記終端電圧の約1/2に設定されたオフセットが設けられた差動入力回路6〜8を用い、送信回路3〜5をオープンドレイン出力回路を用いる。このようなバス回路を用いた高速情報処理部9〜11と、従来の低速バスを用いた低速情報処理部とをインターフェイス回路を介して相互に接続して階層的にシステムを構築する。
【効果】 伝送信号の低振幅化により伝送速度を速くできるバス回路を用いた高速情報処理部と、従来の低速バス回路との組み合わせにより、各信号伝達速度に応じた効率のよい情報処理が行える。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、信号伝送方法と信号伝送回路及びそれを用いた情報処理システムに関し、主に、比較的短い伝送路に複数の情報処理部が接続されてなるものに利用して有効な技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】パーソナルコンピュータやワークステーションといったような情報処理装置は、1つの伝送路に複数の情報処理部が並列形態に接続されて相互に情報の伝達を行うといういわゆるバス回路が用いられる。このバス回路の低消費電力化等のためにGTL(Gunning Transceiver Logic)がある。このGTLは、図22に示されているように、従来のTTL(トランジスタ・トランジスタ・ロジック)レベルよりもバス線路上の信号振幅を半分以下に低下させ、低消費電力化を図るものである。すなわち、バス回路の終端電圧Vtを+1.2Vのような低電圧とし、受信回路Rcvr は、通常の論理回路に代えて小信号をセンスできる差動増幅回路を用いるようにする。
【0003】上記のGTLに関しては、1992年2月19日付『アイ・エス・エス・シー・シー』論文頁58〜頁59(ISSCC;International Solid State Circuit Conference1992 2/19 pp.58-59) がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記GTLにあっては、伝送路を通して伝達された信号を、差動回路の入力部に設けられた基準電圧Vref により判定するものであるため、低振幅化するにしても伝送路での雑音の影響を受けることを考慮する必要があり、低振幅化するにしても上記1.2V程度が限界とされるものである。このため、一般的な伝送線路の特性インピーダンスが50Ωと小さいことから、上記のような低電圧1.2Vのもとでも、終端抵抗RZでの消費電力が2×1.22 /50=57.6mWのように大きくなってしまうという問題も生じる。
【0005】この発明の目的は、低消費電力化と高速化を可能にした信号伝送回路を提供することある。この発明の他の目的は、低消費電力化、高速化に加えて動作マージンの拡大を実現した信号伝送回路を提供することある。この発明の他の目的は、低消費電力で効率のよい情報処理を実現した情報処理システムを提供することにある。この発明の前記ならびにそのほかの目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【0006】
【課題を解決するための手段】本願において開示される発明のうち代表的なものの概要を簡単に説明すれば、下記の通りである。すなわち、信号の伝送路と基準電圧の伝送路とを並走するようにされた一対のペア配線を用い、信号の伝送路の特性インピーダンスに整合した終端抵抗を終端電圧に接続するとともに、基準電圧の伝送路の特性インピーダンスに整合した終端抵抗を上記終端電圧又は回路の接地電位に接続し、それに接続される受信回路を上記終端電圧の約1/2に設定されたオフセットを利用して伝送路の基準電圧を受ける増幅トランジスタと伝送路を通して入力された入力信号を受ける増幅トランジスタとが差動動作を行うようにされた入力段回路を用い、送信回路をオープンドレイン出力回路を用いて信号伝送を行うこと及び構成とする。
【0007】
【作用】上記した手段によれば、伝送路を通して信号と基準電圧が転送されるので雑音がコモンモードでのることになるから差動入力回路で相殺させることができるとともに、差動入力回路のオフセットによって基準電圧を構成するため高精度に基準電圧の設定ができるから、終端電圧のいっそうの低電圧化により低消費電力化と高速化が可能になる。
【0008】
【課題を解決するための手段】本願において開示される発明のうち他の代表的なものの概要を簡単に説明すれば、下記の通りである。すなわち、両端に終端抵抗を介して終端電圧を受ける第1の配線と、これに並設され、両端に終端抵抗を介して回路の接地電位を受ける第2の配線に結合される出力回路を有する第1の半導体集積回路と、上記第1及び第2の配線に結合される入力回路を有する第2の半導体集積回路とを備え、上記出力回路は、上記第1の配線と回路の接地電位との間に配置され出力信号にてスイッチ制御される駆動トランジスタと、上記第2の配線と回路の接地電位との間に配置され上記駆動トランジスタのオン/オフ状態に同期してスイッチ制御されるスイッチングトランジスタを用い、上記入力回路は、上記終端電圧の約1/2に設定されたオフセット電圧により第2の配線の接地電位が供給された増幅トランジスタと上記第1の配線から伝えられる入力信号が供給された増幅トランジスタとが差動動作を行うような入力段回路を用いる。
【0009】
【作用】上記した手段によれば、伝送路を通して信号と基準電圧が転送され、しかも第1の半導体集積回路で発生する出力ノイズを含めて雑音がコモンモードでのることになるから差動入力回路で相殺させることができるとともに、差動入力回路のオフセットによって基準電圧を構成するため高精度に基準電圧の設定ができるから、上記低消費電力化と高速化に加えて動作マージンの拡大が図られる。
【0010】
【課題を解決するための手段】本願において開示される発明のうち他の代表的なものの概要を簡単に説明すれば、下記の通りである。すなわち、両端に終端抵抗を介して終端電圧を受ける第1の配線と、これに並設され、両端に終端抵抗を介して回路の終端電位を受ける第2の配線に結合される出力回路を有する第1の半導体集積回路と、上記第1及び第2の配線に結合される入力回路を有する第2の半導体集積回路とを備え、上記出力回路は、上記第1の配線と回路の接地電位との間に配置され出力信号にてスイッチ制御される駆動トランジスタと、回路の接地電位と出力端子との間に配置され上記駆動トランジスタのオン/オフ状態に同期してスイッチ制御されるスイッチングトランジスタ及び上記出力端子と第2の配線との間に挿入されてなるカップリングコンデンサとを用い、上記入力回路は、上記終端電圧の約1/2に設定されたオフセット電圧により第2の配線の接地電位が供給された増幅トランジスタと上記第1の配線から伝えられる入力信号が供給された増幅トランジスタとが差動動作を行うような入力段回路を用いる。
【0011】
【作用】上記した手段によれば、終端電圧を基準にして信号の伝送が行われるので、終端電圧の変動による出力信号のロウレベルの変動の影響を受けなくできるとともに、第1の半導体集積回路で発生する出力ノイズを含めて雑音がコモンモードでのることになって上記差動入力回路で相殺させられるため、上記低消費電力化と高速化に加えていっそうの動作マージンの拡大が図られる。
【0012】
【課題を解決するための手段】本願において開示される発明のうち更に他の代表的なものの概要を簡単に説明すれば、下記の通りである。すなわち、信号の伝送路と基準電圧の伝送路とを並走するようにされた一対のペア配線を用い、信号の伝送路の特性インピーダンスに整合した終端抵抗を終端電圧に接続するとともに、基準電圧の伝送路の特性インピーダンスに整合した終端抵抗を上記終端電圧又は回路の接地電位に接続し、それに接続される受信回路を上記終端電圧の約1/2に設定されたオフセットを利用して伝送路の基準電圧を受ける増幅トランジスタと伝送路を通して入力された入力信号を受ける増幅トランジスタとが差動動作を行うようにされた入力段回路を用い、送信回路をオープンドレイン出力回路を用いてなるバス回路により高速情報処理部と、従来の低速バスを用いた低速情報処理部とをインターフェイス回路を介して相互に接続して階層的にシステムを構築する。
【0013】
【作用】上記した手段によれば、伝送信号の低振幅化により伝送速度を速くできるバス回路を用いた高速情報処理部と、従来の低速バス回路とを組み合わせることにより、それぞれの信号伝達速度に応じた効率のよい情報処理が行えるようになる。
【0014】
【実施例】図1には、この発明に係る信号伝送回路(バス回路)の一実施例の回路図が示されている。同図の信号伝送路(バスライン)1と2は、半導体集積回路装置を含む電子装置が実装される実装基板又は大規模の半導体集積回路に形成される。バス回路は、一般に複数ビットの信号を並列に転送させるようにするものであるので、それに対応して複数の信号伝送路が設けられるが、同図にはそのうちの1ビットの信号に対応した回路が代表として例示的に示されている。信号をシリアルに転送するものでは、同図に示されているような1つ(一対)の伝送路により構成されることはいうまでもないであろう。
【0015】信号を伝送させるバスライン1の両端には、その特性インピーダンスに整合された抵抗値を持つ終端抵抗RZが終端電圧VTとの間に接続される。上記終端電圧VTは、バス回路の低消費電力化のためにそれに接続される情報処理回路(以下、単にLOGICという)9〜11における入出力回路の電源電圧VDDに比べて相当低い電圧、例えば0.8Vに設定される。上記LOGICにおける入出力回路の電源電圧VDDは、従来のCMOS集積回路用の電源電圧5V又は3.3Vのような電圧が用いられる。
【0016】LOGIC9に設けられる出力回路(送信回路)3は、同図に点線で囲まれた回路のようにインバータ回路INV1と、それにより駆動されるオープンドレインのNチャンネル型MOSFETQ1から構成される。このMOSFETQ1のドレインは、上記バスライン1に接続される。他のLOGIC10,11に設けられる出力回路4,5も上記同様なインバータ回路INV2,INV3と、Nチャンネル型MOSFETQ2,Q3から構成され、その出力端子であるドレインが適宜にバスライン1に接続される。このようなオープンドレイン構成の出力MOSFETQ1〜Q3を用いて、バスライン1に並列形態に接続されることにより、ワイヤードオア論理の出力信号を送出させることができる。本願において、MOSFETは、絶縁ゲート型電界効果トランジスタ(IGFET)の意味で用いている。
【0017】LOGIC9に設けられる入力回路(受信回路)6は、同図ではブラックボックスで示されているように差動入力回路から構成される。この差動入力回路6の一方の入力は、上記出力回路の出力端子と共通化されてバスライン1に接続される。上記差動入力回路6の他方の入力には、基準電圧としてバスライン2を通した接地電位が供給される。このバスライン2は、上記信号伝送用のバスライン1と並走するように半導体集積回路又は実装基板上に形成され、その終端にはバスライン1の終端抵抗RZと同様な終端抵抗RZを介して接地電位に接続される。
【0018】他のLOGIC10,11に設けられる入力回路7,8も上記同様な差動入力回路から構成され、バスライン1に並走されたバスライン2を通して基準電圧としての接地電位が供給される。
【0019】上記差動入力回路6〜8の基準電圧は、バスライン1を通して受信された信号のハイレベル/ロウレベルを識別するための参照電圧である。上記のような出力回路においては、出力MOSFETがオフ状態のときには終端抵抗RZによりハイレベル(0.8V)が出力され、出力MOSFETがオン状態のときにはほぼ0Vのロウレベルが出力される。それ故、通常の差動入力回路を用い、しかも基準電圧として回路の接地電位を供給したのでは上記のような信号のハイレベル/ロウレベルの識別が不能となる。
【0020】この実施例では、差動入力回路の基準電圧として回路の接地電位を用いつつ、しかも上記のようなハイレベル/ロウレベルの識別動作を行わせるために、差動入力回路にオフセットが設定される。すなわち、上記ハイレベル/ロウレベルのほぼ中間電位となるような0.4V程度のオフセットが持たせられる。具体的には、基準電圧が供給される入力端子側が、+0.4Vとなるようなオフセット電圧を持つようにされる。このようなオフセット電圧の設定により、差動入力回路において、0.8Vのようなハイレベルが入力されると、回路の接地電位に上記オフセット分を加算した基準電圧に対して+0.4Vのような入力信号が相対的に供給されることになるのでハイレベルと判定され、0Vのようなロウレベルが入力されると、回路の接地電位に上記オフセット分を加算した基準電圧に対して−0.4Vのような入力信号が相対的に供給されることになるのでロウレベルと判定される。
【0021】上記LOGIC9〜11は、後述するようなワークステーションやパーソナルコンピュータ等の情報処理装置における高性能の高速プロセッサユニット、高速メモリ装置、あるいはインターフェイス回路、あるいは入出力コントロールユニント等である。
【0022】いずれのLOGIC9〜11の出力回路3〜5が動作していないとき、バスライン1の電位は、終端電圧VTと同じ0.8Vとなっており、電流消費が行われない。バスライン2は回路の接地電位にされている。
【0023】例えば、出力回路3が選択されて、LOGIC9により形成された送信データに応じて出力MOSFETQ1がオン状態になると、バスライン1の電位はほぼ回路の接地電位に引き下げられる。この実施例では、上記バスライン1を通して送出された信号を受ける他のLOGIC10,11等の差動入力回路7,8のバスライン1側に接続された入力端子と、基準電圧端子に対応した他の入力端子には接地電位に終端され、しかもバスライン1と並走するようにされたバスライン(リファレンスライン)2に接続されている。
【0024】それ故、上記バスライン1にノイズがのるときには、それと並走して設けられるバスライン2にも同様なノイズがのることなる。この結果、例えば、差動入力回路7が選択されて信号受信を行うときには、上記バスライン1と2にノイズ成分は、コモンモードとなって差動入力回路において相殺させることができる。これにより、上記のようなバスライン1の信号の低振幅化にもかかわらず、外来ノイズの影響が大幅に軽減されるから、十分な信号のレベルマージンを確保することができる。
【0025】上記差動入力回路の実質的な基準電圧は、差動入力回路のオフセットを利用するものである。このような差動入力回路のオフセットを利用することにより、高精度に基準電圧を設定することができる。ちなみに、ダイナミック型RAM(ランダム・アクセス・メモリ)に設けられる差動入力のセンスアンプでは、入力オフセットを10mV程度に抑え込むことができる。すなわち、現在の半導体製造技術にあっては、10mV精度での入力オセットを制御ができることを意味する。ダイナミック型RAMのセンスアンプでは、オフセットが小さくなるようにプロセス制御するものであるが、それと同じプロセス技術により上記のような400mVのオセットを高精度で設定することができることを意味する。上記のような差動入力回路のオフセットを利用した基準電圧の設定により、受信回路において基準電圧を形成するための定電圧回路が省略できるという利点も生じる。
【0026】上記のような信号伝送回路においては、信号振幅を0.8V程度あるいはそれ以下にも低下できるものであり、終端抵抗RZの消費電力は、50Ωのバスラインを用いた場合でも、2・VT2 /RZ=2×0.82 /50=25.6mWのように、前記のようなGTLと比べても半分の低消費電力化を図ることができる。上記終端電圧VTを0.5Vのように更に低く設定すれば、終端抵抗RZでの消費電力が10mWとなり、いっそうの低消費電力化を図ることができる。
【0027】上記低消費電力化は、単にエネルギー消費が小さくなることを意味するに止まらない。半導体集積回路装置においては、電流消費は発熱をもたらすことを意味する。それ故、半導体集積回路装置において消費電流が小さくなるということは発熱が小さくなるため、同じパッケージや実装手段(冷却手段)のもとでは大規模集積回路化が可能になるということ結果をもたらし、回路規模が同じなら実装手段の簡素化を図ることができるという結果をもたらす。また、電池駆動されるポータブル型の情報処理装置では、低消費電力化により電池寿命を長くすることができるという結果をもたらすものとなる。
【0028】図2には、この発明に係る信号伝送回路の他の一実施例の回路図が示されている。同図の信号伝送路は、図1の実施例と同様に半導体集積回路装置を含む電子装置が実装されるプリント基板等のような実装基板又は大規模の半導体集積回路に形成される。以下に説明する部分以外は、前記図1の実施例と同様であるのでその説明を省略する。
【0029】この実施例では、出力回路3の出力端子であるMOSFETQ1のドレインと、バスライン1の接続点との間に直列抵抗RSが挿入される。他の出力回路4及び5においても、同様な直列抵抗RSが設けられる。
【0030】この直列抵抗RSは、バスライン1側からみて、それに接続される出力回路3〜5の出力容量(寄生キャパシタ)の影響を軽減させて、バスライン1の特性インピーダンスが出力回路3〜5の接続点において局所的に低下してしまうのを軽減するものである。これにより、高速動作時の反射による波形の歪を減少させるようにするものである。
【0031】図3には、上記バスライン1の特性インピーダンスを説明するための概念図が示されている。同図において、特性インピーダンスZoがバスライン1の長さ方向に対してどのように変化するかがその幅により示されている。上記出力回路3等の接続点においては、出力回路の出力容量CAの影響により乱される。損失を無視した場合の線路の特性インピーダンスZoは、単位長さ当たりのインダクタンスをLとし、単位長さ当たりのキャパシタンスをCとすると、次式(1)により求められる。
Zo=(L/C)1/2 ・・・・・・・・・・・・・(1)
【0032】出力回路が接続された箇所には、出力容量CAが接続されるので、次式(2)のように表すことができる。
α・Zo=〔L/(C+CA)〕1/2 ・・・・・・・・・・・・(2)
【0033】これに対して、上記のような直列抵抗RSを接続した場合には、出力容量CAがそのまま接続されないで、γ・CAのように低減される。γは減衰率(γ<1)である。この結果、上記直列抵抗RSの挿入により、次式(3)のように改善させることができる。
β・Zo=〔L/(C+γ・CA)〕1/2 ・・・・・・・・・・・(3)
上記式(1)〜(3)において、α<β<1の関係にあるから、図3のように特性インピーダンスの乱れは、(A)から(B)のように改善される。
【0034】上記特性インピーダンスの乱れの改善により、その特性インピーダンスの差分に応じて発生する電圧反射が小さくなり、バスライン1上を伝送される信号波形の波形歪みが少なくなり、信号を正確にしかも高速に伝送させることができる。
【0035】図4には、この発明に係る信号伝送回路の他の一実施例の回路図が示されている。同図の信号伝送路も、図1及び図2の実施例と同様に半導体集積回路装置を含む電子装置が実装されるプリント基板等のような実装基板又は大規模の半導体集積回路に形成される。以下に説明する部分以外は、前記図1及び図2の実施例と同様であるのでその説明を省略する。
【0036】この実施例では、差動入力回路6の基準電位の入力端子と回路の接地電位との間に上記同様な直列抵抗RSを接続するものである。他の差動入力回路7及び8においても、同様な直列抵抗RSが設けられる。出力回路3が選択されてバスライン1に信号を送出させるときには、出力MOSFETQ1のオン状態に対応して回路の接地電位にノイズが発生する。このノイズは、上記直列抵抗RSを通してバスライン1に送出させる。このように選択された出力回路3で発生したノイズも、受信側の差動入力回路において相殺させるようにするために、上記差動入力回路6の基準電圧側の入力端子と回路の接地電位との間に直列抵抗RSが挿入される。これにより、上記出力回路3の出力MOSFETQ1のオン状態により発生するノイズは、上記直列抵抗RSを介してバスライン2側にも送出されることとなり、それを受ける受信側の差動入力回路7又は8において相殺ないし、低減させることができるようになる。
【0037】図5には、この発明に係る信号伝送回路の他の一実施例の回路図が示されている。同図の信号伝送路も、図1の実施例と同様に半導体集積回路装置を含む電子装置が実装されるプリント基板等のような実装基板又は大規模の半導体集積回路に形成される。以下に説明する部分以外は、前記図1の実施例と同様であるのでその説明を省略する。
【0038】この実施例では、各LOGIC1、LOGIC2及びLOGIC3の各電源電圧がVDD1、VDD2及びVDD3のように異なるようにされる。各LOGIC1〜LOGICに対応して差動入力回路6、7及び8の電源電圧もVDD1、VDD2及びVDD3のように異なるようにされる。
【0039】特に制限されないが、電源電圧VDD1は、5Vのような電圧にされ、電源電圧VDD2は3.3Vのような電圧にされ、電源電圧VDD3は2Vのような電圧にされる。例えば、LOGIC1は、5Vで動作させられるCMOS回路又はBi−CMOS回路から構成される。LOGIC2とLOGIC3は、CMOS回路から構成される。
【0040】上記のような異なる電源電圧VDD1〜VDD3によってシステムが構成される場合でも、出力回路はオープンドレイン構成にされており、終端電圧VTによって一定の伝送信号のレベルが設定されるので問題ない。また、入力回路は、差動入力回路により構成されており、その動作電圧を対応するLOGIC1〜LOGIC3の電源電圧VDD1〜VDD3にすることにより、前記のような信号のレベル判定と増幅を行うので問題ない。
【0041】これにより、電源電圧が異なる半導体集積回路装置又は実装基板上に構成された情報処理回路により構成されたLOGICを混在させて用いることができる。これにより、この実施例では、既存の半導体集積回路装置又は実装基板上に構成された情報処理回路の中から、最適のものを選んで1つの情報処理システムを構成することができるという利点がもたらされる。
【0042】図6には、この発明に係る信号伝送回路の他の一実施例の回路図が示されている。同図の信号伝送路も、図1の実施例と同様に半導体集積回路装置を含む電子装置が実装されるプリント基板等のような実装基板又は大規模の半導体集積回路に形成される。以下に説明する部分以外は、前記図1の実施例と同様であるのでその説明を省略する。
【0043】この実施例では、並走するように構成された一対のバスライン1と2が、適当な間隔で交差するように配置される。これにより、バスライン1と2にのる誘導雑音を打ち消すようにすることができる。また、半導体集積回路又はプリント基板のような実装基板に複数対のバスラインが並走ように構成される場合、一対のバスライン置きに、この実施例のようなバスラインの入れ替え(交叉)を行うことによって隣接する信号間の寄生容量により異なるカップリングノイズが発生してしまうのを防止することができる。すなわち、この実施例のバスライン1,2を中心にして左右にに並んで隣接して配置される一対のバスライン1,2は交叉しないように配置される。そして、上記直線的に配置される一対のバスラインの外側に配置されるバスラインには、上記のような一定間隔での入れ替えが行うようにされる。
【0044】図7には、この発明に係る信号伝送回路の更に他の一実施例の回路図が示されている。同図の信号伝送路も、図1の実施例と同様に半導体集積回路装置を含む電子装置が実装されるプリント基板等のような実装基板又は大規模の半導体集積回路に形成される。以下に説明する部分以外は、前記図1の実施例と同様であるのでその説明を省略する。
【0045】この実施例では、基準電圧としての接地電位を伝達させるバスライン2の両端には、信号伝達用のバスライン1と同様に終端電圧VTとの間に終端抵抗RZが設けられる。
【0046】この構成では、差動入力回路6〜8において、上記基準電圧が供給される入力端子側が−0.4Vのようなオフセット電圧を持つようにされる。このようなオフセット電圧の設定により、差動入力回路において、0.8Vのようなハイレベルが入力されると、上記終端電圧VTからオフセット分を差し引いた+0.4Vのような入力信号が供給されることになるのでハイレベルと判定され、0Vのようなロウレベルが入力されると、上記終端電圧VTからオフセット分を差し引いて−0.4Vのような入力信号が供給されることになるのでロウレベルと判定される。
【0047】この構成では、終端電圧VTにのるノイズがコモンモードで差動入力回路に供給されることになるため、差動入力回路において電源ノイズを相殺させることができる。それ故、終端電圧VTに無視できないノイズが発生するものでは、この実施例のような構成を採ることが信号レベルマージンを確保する上で有利となるものである。
【0048】図8には、受信回路に用いられる差動入力回路の一実施例の回路図が示されている。同図の各回路素子は、公知のCMOS集積回路の製造技術により、少なくともLOGICや出力回路が形成される他の回路のとともに、単結晶シリコンのような1個の半導体基板上において形成される。
【0049】この実施例では、前記のようにバス回路を通して伝送される信号レベルが、0.8V/0Vのようにロウレベル側に偏倚したものである。それ故、差動入力回路の入力段は、Pチャンネル型差動MOSFETQ4とQ5を用いた差動回路から構成される。Pチャンネル型差動MOSFETQ4とQ5の共通化されたソースと回路の電源電圧VDDとの間には、Pチャンネル型MOSFETQ8が設けられる。このMOSFETQ8のゲートには、定常的に回路の接地電位が与えられ、定電源として動作する。
【0050】上記Pチャンネル型差動MOSFETQ4とQ5のドレインには、Nチャンネル型負荷MOSFETQ7が設けられる。これらのNチャンネル型負荷MOSFETQ6,Q7のゲートには定常的に電源電圧VDDが供給されることによって抵抗素子として作用させられる。
【0051】上記の差動入力回路は、増幅動作とともにレベルシフト動作を行うようにされる。MOSFETQ4とQ6及びQ5とQ7のコンダクタンス比に対応した増幅動作とともに、信号レベルを回路の接地電位側から電源電圧VDD側にレベルシフトさせる。これにより、入力段回路は、レベルシフト回路(LS)としての役割を持つようにされる。このとき、差動MOSFETQ4とQ5のコンダクタンスに比を持たせること、又は負荷MOSFETQ6とQ7のコンダクタンスに比を持たせること、あるいはそれらを組み合わせることによって、前記のような実質的に基準電圧として用いられるオフセットが設定される。
【0052】上記のような差動MOSFET及び負荷MOSFETのようなペア素子は、相対バラツキが小さくなることにより、前記のような400mVのようなオフセットを10mV高精度のように高精度に設定することができる。
【0053】上記のようなレベルシフト回路(LS)を通した出力信号bとaは、Nチャンネル型差動MOSFETQ9とQ10のゲートに供給される。このようなレベルシフト作用によって、電源電圧VDDからみたとき、回路の接地電位側に極端にレベル偏倚されていた信号レベルを、差動増幅MOSFETQ9とQ10を最も感度のよい領域で動作させることができる。
【0054】上記差動MOSFETQ9とQ10のドレインには、電流ミラー形態にされたPチャンネル型MOSFETQ11とQ12がアクティブ負荷回路として設けられる。Nチャンネル型差動MOSFETQ9とQ10の共通化されたエミッタには、Nチャンネル型MOSFETQ14が設けられる。このMOSFETQ14のゲートには、電源電圧VDDが定常的に供給されることによって、定電流源として動作する。上記の回路により、差動増幅回路(DA)が構成される。
【0055】上記のようなレベルシフト回路(LS)と差動増幅回路(DA)からなる差動入力回路を、選択された受信回路に対応したもののみが動作を行うようにするため、レベルシフト回路(LS)の負荷MOSFETQ6,Q7と、定電流源として作用するNチャンネル型MOSFETQ14には、選択信号ENによってスイッチ制御されるNチャンネル型MOSFETQ15が設けられる。このMOSFETQ15は、電源スイッチとして作用して選択された差動入力回路のみを活性化させるものである。これにより、差動入力回路において定常的に直流電流が流れることがなく、低消費電力化を図ることができる。
【0056】差動入力回路が非選択状態であるとき、出力信号が不定レベルになってしまうのを防ぐために、言い換えるならば、差動入力回路が非選択状態のときに差動増幅出力信号を電源電圧VDDのようなハイレベルに固定するために、差動増幅回路(DA)の出力端子と電源電圧VDDとの間にPチャンネル型MOSFETQ13が設けられ、そのゲートには上記選択信号ENが供給される。これにより、選択信号ENがロウレベルにされることによって、差動入力回路が非選択状態に置かれるときに、Pチャンネル型MOSFETQ13がオン状態になって差動増幅回路(DA)の出力信号を電源電圧VDDのようなハイレベルに固定することができる。
【0057】上記差動増幅回路(DA)の出力信号は、Pチャンネル型MOSFETQ16とNチャンネル型MOSFETQ17からなるCMOSインバータ回路と、Pチャンネル型MOSFETQ18とNチャンネル型MOSFETQ19からなるCMOSインバータ回路とを通してCMOSレベルにされて、LOGICの入力信号として取り込まれる。
【0058】上記のような差動入力回路のオフセットは、差動増幅回路(DA)において、差動MOSFETQ9とQ10のコンダクタンス比、又は負荷MOSFETQ11とQ12のコンダクタンス比、あるいはこれらの組み合わせにより実現するものであってもよい。
【0059】さらに、上記レベルシフト回路により第1段階のオフセットを持たせ、上記差動増幅回路(DA)により第2段階のオフセットを持たせ、両者の合成により前記のような比較的大きなオフセットを持つようにしてもよい。この構成では、比較的大きなオフセットを2段階に分けて設定できるため、ペア素子の相対バラツキを小さくすることができる。
【0060】図9には、図1に示したような信号伝送回路の動作の一例を説明するための波形図が示されている。この実施例では、電源電圧VDDが+5Vのような電圧を用いた場合を例にして示されている。
【0061】出力回路の出力MOSFETQ1のゲートに供給される入力信号Vinは、LOGIC1の電源電圧VDDに対応した5V振幅の信号である。上記出力すべき信号Vinがハイレベルのとき、Nチャンネル型MOSFETQ1がオン状態となってほぼ回路の接地電位のようなロウレベルがバスライン1に出力される。実際には、MOSFETQ1もオン抵抗値を持つので、上記終端抵抗RZとMOSFETQ1のオン抵抗値によりロウレベルが決定されるが、MOSFETQ1のオン抵抗値を終端抵抗RZに比べて十分小さくすることにより、ほぼ回路の接地電位のようなロウレベルにすることができる。
【0062】上記のようなロウレベルと終端電圧VTに対応し、電源電圧VDDからみたときに回路の接地電位側にレベルが偏倚した信号がバスライン1を通して伝送される。このような信号レベルVBUS及び基準電圧としての接地電位VREFが入力されるレベルシフト回路では、入力MOSFETと負荷MOSFETのコンダクタンス比に対応して回路の接地電位0Vと電源電圧+5Vの中間電位にレベルシフト動作と、前記のようなオフセットが持たせられている。すなわち、基準電圧VREFを受ける入力回路は、レベルシスト量が入力信号VBUSに対して相対的に約400mV大きくされる。
【0063】上記のようなレベルシフト量に差を持たせる手段として、差動MOSFETQ4,Q5、負荷MOSFETQ6,Q7のコンダクタンス、言い換えるならば、MOSFETのサイズ比を選定することにより容易に、しかも高精度で実現することができる。同図のようなオフセットを持たせる例としては、MOSFETQ4とQ5が同じコンダクタンスであるとき、MOSFETQ7に比べて、MOSFETQ6のコンダクタンスを小さく設定すればよい。すなわち、MOSFETQ6の大きさを、MOSFETQ7より小さく形成するようにすればよい。
【0064】上記のようなオフットとレベルシフト動作によって、その出力信号aとbは、電源電圧VDDのほぼ中点電位付近で電圧bを基準にして伝送される信号aがハイレベル/ロウレベルに変化するものとなる。これを受けて、差動増幅回路(DA)が高感度の動作領域での増幅動作を行うので、上記ハイレベル/ロウレベルの判定を行い、前記のようなCMOSインバータ回路からなる出力回路を通して+5V/0VのようなCMOSレベルの信号に変換して、それが搭載されたLOGICに取り込むことができる。
【0065】図10には、図7に示したような信号伝送回路の動作の一例を説明するための波形図が示されている。この実施例では、電源電圧VDDが+5Vのような電圧を用いた場合を例にして示されている。
【0066】この実施例では、基準電位側のバスライン2の終端抵抗RZが終端電圧VT側に接続されることに応じて、バスライン2を通して伝えられる基準電圧がVTに対応した電圧とされる。これにより、図8のような差動入力回路では、図9の場合とは逆レベルシフト量に差を持たせる例として、MOSFETQ4とQ5が同じコンダクタンスであるとき、MOSFETQ7に比べて、MOSFETQ6のコンダクタンスを大きく設定すればよい。すなわち、MOSFETQ6の大きさを、MOSFETQ7より大きく形成するようにすればよい。
【0067】これにより、入力信号VBUSのレベルシフト量が、基準電圧VREFのレベルシフト量より相対的に大きくされる。このレベルシフト回路の出力信号aとbは、電源電圧VDDのほぼ中点電位付近で電圧bを基準にして伝送される信号aがハイレベル/ロウレベルに変化するものとなる。これを受けて、差動増幅回路(DA)が高感度の動作領域での増幅動作を行うので、上記ハイレベル/ロウレベルの判定を行い、前記のようなCMOSインバータ回路からなる出力回路を通して+5V/0VのようなCMOSレベルの信号に変換して、それが搭載されたLOGICに取り込むことができる。
【0068】図1の実施例にいては、多数の出力回路が動作してマルチビット同時出力する際に生じるスイッチングノイズが前記のような低振幅とされる信号レベルに対して無視できなくなると動作マージンが悪化するという問題が生じる。そこで、前記図4の実施例のように、上記出力回路3の出力MOSFETQ1のオン状態により発生するノイズは、上記直列抵抗RSを介してバスライン2側にも送出されることとなり、それを受ける受信側の差動入力回路7又は8において相殺ないし低減させることができるようになる。
【0069】しかしながら、上記図4の構成では、バスライン1と2に接続されるLOGICが3以上存在し、例えば2つのLOGIC9と10との間で信号伝送を行うときに、それ以外のLOGIC11等において内部回路により信号処理を行うときには、上記バスライン2を通して上記信号伝送動作により発生するノイズがのることになってしまうという問題が生じる。
【0070】図11には、この発明に係る信号伝送回路の更に他の一実施例の回路図が示されている。同図の信号伝送路は、前記図1のような実施例と同様に半導体集積回路装置を含む電子装置が実装されるプリント基板等のような実装基板又は大規模の半導体集積回路に形成される。
【0071】同図には複数ビットのバスに含まれる1ビット分の回路構成が代表的に示され、その1ビット分の信号線1に並走するリファレンス線2が設けられ、信号線1とリファレンス線2の両端はラインの特性インピーダンスに等しい値の終端抵抗RZで終端される。本実施例において信号線1の終端電圧VTは、特に制限されないが、従来技術のGTLバス回路における+1.2Vよりも低い+0.8Vとされる。リファレンス線2は接地電位GNDに終端される。LSI1〜LSI3は上記信号線1及びリファレンス線2に信号端子が結合された複数個の半導体集積回路である。
【0072】各々の半導体集積回路LSI1〜LSI3は、論理回路(LOGIC)9〜11、出力回路3〜5、及び入力回路6〜8を備える。上記半導体集積回路LSI1〜LSI3は、図示しない回路ボードに実装され、その動作電源は当該回路ボードに敷設された接地電位GND及び電源電圧VDDの電源配線から供給される。上記リファレンス線2の終端電位としての接地電位GNDは上記回路ボードの電源配線を介して供給され、また、信号線1の終端電位VTは、特に制限されないが、回路ボード上の電源回路を介して供給される。
【0073】上記出力回路(送信回路)3は、上記信号線1と半導体集積回路の接地電位(回路ボード上の接地電位GND用電源配線を介して半導体集積回路に供給される接地電位)との間に配置され、出力制御信号としてのインバータ回路INV1の出力駆動信号にてスイッチ制御されるNチャンネル型駆動MOSFETQ1と、上記リファレンス線2と半導体集積回路の接地電位との間に配置され上記駆動MOSFETQ1のオン/オフ状態に同期してオン/オフ状態に制御されるNチャンネル型スイッチングMOSFETQ1’とを供える。上記MOSFETQ1とQ1’は、共にオープンドレイン形式であり、本実施例に従えば共にインバータ回路INV1により形成される出力駆動信号にてスイッチ制御される。出力駆動信号は、論理回路9の出力信号を受けて反転出力するインバータINV1ら出力され、バス伝達情報を含む。
【0074】上記入力回路(受信回路)6は、前記実施例と同様に他の半導体集積回路の駆動MOSFETのオン状態によって信号線1に現れるべき電位又はオフ状態によって信号線1に現れるべき電位VTとを識別するための参照電位(リファレンス電圧)とされる入力オフセットを持ち、リファレンス線2のレベルに上記入力オフセットを加えたレベルと上記信号線1のレベルとのレベル差を差動増幅して論理回路9に供給するものである。
【0075】換言すれば、上記入力回路6は、上記駆動MOSFETのオン状態によって信号線1に現れる電位を、接地電位GNDを参照電位として識別できるようにするための入力オフセットを持ち、リファレンス線2のリファレンス入力信号と上記信号線1の信号波形のレベルとのレベル差を差動増幅して論理回路9に供給するものである。入力回路6における入力オフセットは、特に制限されないが、本実施例に従うと、VT/2=+0.4V程度とされる。そのような入力オフセットは、例えば入力回路6における一対の差動回路の回路定数のアンバランスによって形成することができる。
【0076】斯る入力オフセットを持つ入力回路6においては、接地電位GNDが見掛け上リファレンス電圧として入力されるが、実際には接地電位GNDに当該入力オフセットを加えた電圧レベルが回路動作上のリファレンス電圧となって差動増幅される。したがって入力回路6は、リファレンス線2の接地電位GNDに入力オフセットを加えた電圧レベルに対して信号線1の信号波形のレベルが高いか低いかに応じた論理レベルの信号を出力する。尚、論理回路9はそれを含む半導体集積回路の機能に応じた適宜の論理構成を有し、その具体的な論理構成若しくは回路構成は限定されない。
【0077】図11に示された実施例の動作を次に説明する。複数の半導体集積回路LSI1〜3の出力回路3〜5が何れも動作していないとき、信号線1の電位は、終端電圧VTと同じ値となっている。今たとえば、半導体集積回路LSI1の出力回路3の出力動作が選択され、例えば駆動信号によってオープンドレインの駆動MOSFETQ1がオン状態にされると、信号線1の電位は接地電位へ向けて引き下げられる。本実施例ではリファレンス線2は接地電位GNDに終端され、半導体集積回路LSI1〜LSI3の差動入力回路6〜8のリファレンス入力へ接続される。このとき、入力回路6〜8はリファレンス電圧Vrefに相当する入力オフセットを持つので、信号線1の電位が入力オフセット電圧以下まで降下すると、入力動作を行うべき別の半導体集積回路LSI2又はLSI3の入力回路7又は8はその入力の変化を識別することができる。
【0078】図11には1ビット分の構成しか示されていないが、例えば半導体集積回路LSI1に含まれる多数の出力回路によるマルチビット同時出力に際して、多数の駆動MOSFETQ1等が一斉にオン状態されて当該半導体集積回路チップ内の共通の接地電位パターン(半導体集積回路内部において接地電位を供給する配線パターン)に向けて多数の出力回路から電流が供給されると、そのパターン若しくは当該パターンに接続するホディングワイヤーやリード端子などのインダクタンス成分によって当該接地電位パターンの接地電位が変化して不所望なノイズ成分となる。このようなグランドノイズは信号線1に載る前記のような小振幅の送信波形に重畳され、信号線1のレベルを不所望に変化させる。
【0079】この実施例では、上記ノイズは、駆動MOSFETQ1と同相でスイッチ制御されるスイッチングMOSFETQ1’を介してリファレンス線2にも伝達される。換言すれば、信号線1とリファレンス線2には同じグランドノイズが同相で載ることになる。したがって、上記信号線1とリファレンス線2を介して接続される他の半導体集積回路LSI2又はLSI3の入力回路7又は8に伝達される信号線1とリファレンス線2には同じグランドノイズが載っているので、差動増幅に際して当該ノイズは相殺される。このことは、伝送すべき信号のS/Nを向上させ、信号振幅をGTLバス回路の+0.8Vよりも小さな振幅とすることを可能にして、バスによる信号伝送の高速化を実現し、また、信号線の終端電位も+0.8VというようにGTLバス回路よりも低くでき、低消費電力の信号伝送を実現することができる。
【0080】このとき、受信側の半導体集積回路LSI2又はLSI3においては、リファレンス線2に対応して設けられるスイッチMOSFETQ2’及びQ3’は共にオフ状態にされている。それ故、リファレンス線2に意図的に載せられたノイズが、半導体集積回路LSI2及びLSI3の接地電位に伝えられることがない。このため、かかる半導体集積回路LSI2及びLSI3の論理回路10及び11の接地電位に不所望なノイズがのることがないので動作マージンが悪化してしまうという問題も生じない。
【0081】この実施例における入力回路は、前記図8に示された回路が利用される。すなわち、図8を用いて説明を繰り返すならば、次の通りである。接地電位側に偏った小振幅の入力信号を電源電圧VDDと接地電位GNDとの中間レベル程度に電位シフトする高入力インピーダンスのレベルシフト回路LSと、このレベルシフト回路LSの出力を差動増幅する差動増幅回路DAと、この差動増幅回路DA出力をCMOSレベルの信号振幅(VDD例えば5V)に変換するバッファ回路BAから構成される。
【0082】上記レベルシフト回路LSは、上記信号線1の接地電位に偏った微小なレベル変化を、センスアンプDAの増幅動作上最も高感度となる動作点付近でのレベル変化に電位シフトする。即ち、このレベルシフト回路LSは、特に制限されないが、出力のドレイン電位を入力電圧に追従変化させるもので、具体的には、電流増幅トランジスタとしてのPチャンネル型MOSFETQ4,Q5に、ゲートが電源電圧VDDでバイアスされたNチャンネル型MOSFETQ6,Q7が直列接続され、特に制限されないが、MOSFETQ4のゲートに対応した入力端子INBは信号線1が結合され、MOSFETQ5のゲートに対応した入力端子INTはリファレンス線2が結合される。
【0083】上記MOSFETQ4,Q5の共通ソースはゲートが接地電位にバイアスされたPチャンネル型MOSFETQ8を介して電源電圧VDDに結合され、上記MOSFETQ6,Q7の共通ソースは制御信号ENにてスイッチ制御されるパワースイッチMOSFETQ15を介して接地電位に結合される。このレベルシフト回路LSの出力端子は、MOSFETQ4とQ6の結合ノードb、及びMOSFETQ5とQ7の結合ノードaとされる。このレベルシフト回路LSにおける入力電圧に対する出力電圧のレベルシフト量は、MOSFETQ4(Q5)のしきい値電圧、ゲート酸化膜容量やチャネル中のキャリア移動どなどによって決定される定数、及びMOSFETQ6(Q7)のソース・ドレイン電流によって決定され、次段のセンスアンプDAの動作点との関係において例えば5V電源の場合には2V〜2.5V程度に設定されている。
【0084】レベルシフト回路LSの出力負荷は次段のセンスアンプDAの入力ゲート容量だけであるから、レベルシフト回路LSによるレベルシフト動作に要する時間は実質的に無視し得る程短い時間とされる。しかも、レベルシフト回路LSが活性化されるときにはその構造上直流電流パスが形成されるが、レベルシフト回路LSの駆動負荷は極めて小さいから、その直流電流パスの貫通電流が比較的小さくても高速レベルシフト動作には実質的な影響を与えず、これに応じてレベルシフト回路LSを構成するMOSFETの定数は適当に設定される。
【0085】センスアンプDAは、特に制限されないが、ソースが共通接続された差動対を成す一対のNチャンネル型入力MOSFETQ9,Q10と、当該入力MOSFETQ9,Q10のドレイン電極に結合されたカレントミラー負荷を構成するPチャンネル型MOSFETQ11,Q12と、ゲートが電源電圧VDDでバイアスされ上記入力MOSFETQ9,Q10の共通ソースと上記パワースイッチMOSFETQ15のドレインとに結合されたNチャンネル型MOSFETQ14とから成る。カレントミラー負荷を構成するPチャンネル型MOSFETQ11,Q12のソース電極は電源電圧VDDに接続され、それらゲート電極の共通接続端は入力MOSFETQ11のドレイン電極に結合される。上記入力MOSFETQ9,Q10のゲートには、レベルシフト回路LSの出力b,aが夫々供給される。
【0086】図8の入力回路において上記入力オフセットは、特に制限されないが、能動負荷を構成するMOSFETQ11とQ12とのコンダクタンス若しくはゲート幅のアンバランスによって、或は入力MOSFETQ9とQ10の同様なアンバランス、更には上記の能動負荷MOSFETと入力MOSFET双方による同様のアンバランスによって設定する。このような入力オフセットはレベルシフト回路LSにおけるレベルシフト量を左右でアンバランスにすることによって設定してもよい。
【0087】上記MOSFETQ10のドレインはセンスアンプDAの出力として次段のバッファ回路の入力に結合される。バッファ回路は直列接続されたCMOSインバータINV4,INV5によって構成される。CMOSインバータINV5の入力と回路の電源電圧VDDとの間には、特に制限されないが、そのゲートに上記制御信号ENを受けるPチャンネル型プリセットMOSFETQ13が設けられる。CMOSインバータINV5の出力OUTは、前記のような論理回路9等に供給される。
【0088】上記制御信号ENがローレベルとされると、パワースイッチMOSFETQ15がオフ状態となるため、センスアンプDAは非動作状態とされ、MOSFETQ16のドレイン電位は不確定レベルになろうとする。ところが、上記制御信号ENがローレベルとされることでプリセットMOSFTQ13がオン状態となることから、バッファ回路の入力段回路であるCMOSインバータ回路INV4の入力は強制的に回路の電源電圧VDDとされ、かかる入力回路の非活性状態において出力信号OUTは電源電圧VDDのレベルに固定される。
【0089】一方、制御信号ENがハイレベルとされると、パワースイッチMOSFETQ15がオン状態で、且つ、プリセットMOSFETQ13がオフ状態となるため、レベルシフト回路LS及びセンスアンプDAは活性化される。このとき、信号線1とリファレンス線2とのレベルは、レベルシフト回路LSによってその中心レベルがシフトされ、VDD/2のようなバイアスレベルを持つ相補信号b及びaとしてセンスアンプDAに伝達される。この実施例において、センスアンプDAは、前述のように、上記バイアスレベルVDD/2においてその増幅率が最大となるように設計されている。
【0090】図12には本発明の更に他の一実施例に係る信号伝送回路が示されている。同図には、1ビット分の信号線について代表的に示されている。図11に示される実施例ではリファレンス電位に相当する入力オフセットを持った入力回路を要したが、この実施例は、従来技術のGTLバス回路と同様にリファレンス電圧それ自体を受ける形式の入力回路6’〜8’を適用するものである。
【0091】すなわち、図11の実施例との構成上の相違は、リファレンス線2の終端電圧をリファレンス電位Vrefとし、またリファレンス線2に接続される出力回路3〜5のオープンドレイン形式のNチャンネル型スイッチングMOSFETQ1’〜Q3’のソースは回路の接地電位ではなく、例えば半導体集積回路の内部回路で生成されるリファレンス電位Vrefに接続される。
【0092】出力回路3〜5において回路の接地電位とリファレンス電位Vrefとの間には、カップリングコンデンサが接続され、送信側とされる半導体集積回路の接地電位の変動(ノイズ)を当該カップリングコンデンサを通してリファレンス電位Vrefに重畳させてリファレンス線2に与えるようになっている。
【0093】入力回路6’〜9’はその入力動作が論理回路9〜11から指示されると、信号線1のレベルがリファレンス線2のレベルに対して低いか高いかに応じた論理値の信号を当該論理回路9〜11に供給する。入力回路6’〜8’の構成も図8と同様の回路構成を採用することができる。但し本実施例の場合には積極的に入力オフセットを設定する必要はなく、レベルシフト回路LS及びセンスアンプDAにおける夫々の差動回路の回路特性は左右でバランスされるよう構成されている点が図11の実施例に使用される場合との相違とされる。
【0094】図12の実施例においても1ビット分の構成しか示されていないが、1つの半導体集積回路に含まれる多数の出力回路3によるマルチビット同時出力に際して、多数の駆動MOSFETQ1等が一斉にオン状態されて当該半導体集積回路チップLSI1内の共通の接地電位パターンに向けて多数の出力回路3から電流が供給されると、そのパターン若しくは当該パターンに接続するボンディングワイヤーやリード端子などのインダクタンス成分によって当該接地電位パターンの接地電位が変化して不所望なノイズ成分となる。
【0095】このようなグランドノイズは信号線1に載る小振幅の送信波形に重畳され、信号線1のレベルを不所望に変化させる。このとき、当該グランドノイズは、カップリングコンデンサを介してリファレンス電位(参照電位)Vrefに重畳されており、その結果当該グランドノイズは、駆動MOSFETQ1と同相でスイッチ制御されるスイッチングMOSFETQ1’を介してリファレンス線2にも伝達される。換言すれば、信号線1とリファレンス線2には同じグランドノイズが同相で載ることになる。
【0096】したがって、他の半導体集積回路装置LSI2又はLSI3の入力回路7’又は8’に伝達される信号線1とリファレンス線2のレベルには同じスイッチングノイズが載っているので、差動増幅に際して当該ノイズは相殺される。このため、上記図11の実施例同様に、伝送すべき信号のS/Nを向上させ、信号振幅をGTLバス回路の0.8Vよりも小さな振幅とすることを可能にして、バスによる信号伝送の高速化を実現し、受信側とされる半導体集積回路LSI2又はLSI3においては、スイッチングMOSFETQ2’とQ3’がオフ状態にされているから、リファレンス線2に意図的にのせたノイズがその接地電位にまで混入してしまうという不都合を防止することができる。
【0097】この実施例でも、信号線1の終端電位も0.8VというようにGTLバス回路よりも低くでき、低消費電力の信号伝送を実現することができる。特に、本実施例においては、回路ボード上に参照電位Vrefの発生回路を設けなくてはならないが、入力回路6’〜8’には特別なオフセット電圧を設定しなくてもいので、GTLバス回路との共存若しくはGTLバス回路との直接インタフェースが可能である。
【0098】前記図1の実施例のように、基準電圧を回路の接地電位とした場合には、図13の波形図に示すように、終端電圧VTの使用範囲が制限されてしまう。つまり、図13(A)のように、終端電圧VTが前記0.8V程度のように比較的低い場合、信号S1のロウレベルVOL11は駆動MOSFETQ1等のオン抵抗値とそれに流れる電流によって決定される。こように終端電圧VTが比較的低いときには上記ロウレベルVOL11も比較的小さいから接地電位GNDを基準にしたオセットVIOS によってもレベルマージンを確保することができる。
【0099】しかし、終端電圧を高くすると、(B)や(C)のように駆動MOSFETに流れる電流が増大し、信号S2やS3のようにロウレベルVOL12、VOL13のように上昇するのに対して、実質的な基準電圧としてのオフセット電圧VIOS は固定であるから、ロウレベル側のマージンがなくなってしまう。つまり、前記図1や図11等の実施例のように回路の接地電位を基準電位とした場合には、終端電圧VTの設定範囲が狭くなってしまい、終端電圧VTを比較的広い範囲で使用したいシステムでは使い勝手が悪くなる。
【0100】そこで、図7の実施例のように終端電圧VTを基準電圧として使用した場合には、図14(A)、(B)及び(C)のように、終端電圧VTが大きくなることより、信号S1、S2及びS3のロウレベルVOL1 、VOL2 及びVOL3 のように接地電位GNDに対して高くされた場合でも、実質的な基準電圧としてのオフセット電圧VIOS がそれぞれのハイレベルVOH1 、VOH2 及びVOH3 のような終端電圧VTを基準にして設定されているため、終端電圧VTに影響されない。このように、終端電圧VTを基準電圧として用いる構成では、終端電圧VTの設定範囲を広くでき、あるいはその変動の実質的な影響を受けなくできる。
【0101】図15には、この発明に係る信号伝送回路の更に他の一実施例の回路図が示されている。この実施例では、上記終端電圧VTを基準電圧として用いた場合に対応されている。同図の信号伝送路は、前記図1のような実施例と同様に半導体集積回路装置を含む電子装置が実装されるプリント基板等のような実装基板又は大規模の半導体集積回路に形成される。
【0102】同図には複数ビットのバスに含まれる1ビット分の回路構成が代表的に示され、その1ビット分の信号線1に並走するリファレンス線2が設けられ、信号線1とリファレンス線2の両端はラインの特性インピーダンスに等しい値の終端抵抗RZで終端されて終端電圧VTが与えられる。終端電圧VTは、特に制限されないが、前記同様にGTLバス回路における+1.2Vよりも低い+0.8Vとされる。LSI1〜LSI4は上記信号線1及びリファレンス線2に信号端子が結合された複数個の半導体集積回路である。
【0103】各の半導体集積回路LSI1〜LSI4は、論理回路(LOGIC)9〜12、出力回路13〜16、及び入力回路16〜19を備える。上記半導体集積回路LSI1〜LSI4は、図示しない回路ボードに実装され、その動作電源は当該回路ボードに敷設された接地電位GND及び電源電圧VDDの電源配線から供給される。上記信号線1とリファレンス線2の終端電圧VTは、特に制限されないが、回路ボード上の電源回路を介して供給される。
【0104】上記半導体集積回路LSI1に設けられた出力回路(送信回路)13は、上記信号線1とかかる半導体集積回路LSI1の接地電位(回路ボード上の接地電位GND用電源配線を介して半導体集積回路に供給される接地電位)との間に配置され、出力制御信号としてのインバータ回路IG1の出力駆動信号にてスイッチ制御されるNチャンネル型駆動MOSFETQ1と、上記リファレンス線2にカップリングコンデンサ(結合コンデンサ)C1を介して接続される出力端子と半導体集積回路の接地電位との間に配置され、上記同様なインバータ回路IG2の出力駆動信号にて上記駆動MOSFETQ1のオン/オフ状態に同期してオン/オフ状態に制御されるNチャンネル型スイッチングMOSFETQ5とを供える。上記MOSFETQ1とQ5は、共にオープンドレイン形式であり、本実施例に従えばそれぞれに対応して設けられるインバータ回路IG1,IG2により形成される出力駆動信号にてスイッチ制御される。
【0105】上記半導体集積回路LSI1に設けられた入力回路(受信回路)16は、前記実施例と同様に他の半導体集積回路の駆動MOSFETのオン状態によって信号線1に現れるべき電位又はオフ状態によって信号線1に現れるべき電位VTとを識別するための参照電位(リファレンス電圧)とされる入力オフセットを持ち、リファレンス線2のレベルに上記入力オフセットを加えたレベルと上記信号線1のレベルとのレベル差を差動増幅して論理回路9に供給するものである。ただし、入力回路16には、リファレンス線2のレベルを取り込むための専用の入力端子が設けられる。つまり、この実施例では、前記のようなカップリングコンデンサC1が設けられているので、半導体集積回路LSI1の内部で出力回路13の基準電圧側の駆動MOSFETQ5のドレインと接続できない。MOSFETQ5と並列接続される抵抗R5は、MOSFETQ5がオフ状態のときにカップリングコンデンサC1に終端電圧VTを定常的に印加させるバイアス回路を構成する。
【0106】換言すれば、上記入力回路16は、上記駆動MOSFETのオン状態によって信号線1に現れる電位を、終端電圧VTを参照電位として識別できるようにするための入力オフセットを持ち、リファレンス線2のリファレンス入力信号と上記信号線1の信号波形のレベルとのレベル差を差動増幅して論理回路9に供給するものである。入力回路16における入力オフセットは、特に制限されないが、本実施例に従うと、VT/2=+0.4V程度とされる。そのような入力オフセットは、例えば入力回路16における一対の差動回路の回路定数のアンバランスによって形成することができる。
【0107】斯る入力オフセットを持つ入力回路16においては、終端電圧VTが見掛け上リファレンス電圧として入力されるが、実際には終端電圧VTに当該入力オフセットを加えた電圧レベルが回路動作上のリファレンス電圧となって差動増幅される。したがって入力回路16は、リファレンス線2の終端電圧VTに入力オフセットを加えた電圧レベルに対して信号線1の信号波形のレベルが高いか低いかに応じた論理レベルの信号を出力する。尚、論理回路9はそれを含む半導体集積回路の機能に応じた適宜の論理構成を有し、その具体的な論理構成若しくは回路構成は限定されない。他の半導体集積回路LSI2〜LSI4に設けられる出力回路14〜16及び入力回路17〜19も、前記同様な回路により構成される。
【0108】図15に示された実施例の動作を次に説明する。複数の半導体集積回路LSI1〜4の出力回路13〜16が何れも動作していないとき、信号線1の電位は、終端電圧VTと同じ値となっている。今たとえば、半導体集積回路LSI1の出力回路13の出力動作が選択され、例えば駆動信号によってオープンドレインの駆動MOSFETQ1がオン状態にされると、信号線1の電位は接地電位へ向けて引き下げられる。本実施例ではリファレンス線2は終端電圧VTに終端され、半導体集積回路LSI1〜LSI4の差動入力回路16〜19のリファレンス入力へ接続される。このとき、入力回路16〜19はリファレンス電圧Vrefに相当する入力オフセットを持つので、信号線1の電位が入力オフセット電圧以下まで降下すると、入力動作を行うべき別の半導体集積回路LSI2〜LSI4のいずれか少なくとも1つの入力回路においてはその入力の変化を識別することができる。
【0109】図15には1ビット分の構成しか示されていないが、例えば半導体集積回路LSI1に含まれる多数の出力回路によるマルチビット同時出力に際して、多数の駆動MOSFETQ1等が一斉にオン状態されて当該半導体集積回路チップ内の共通の接地電位パターン(半導体集積回路内部において接地電位を供給する配線パターン)に向けて多数の出力回路から電流が供給されると、そのパターン若しくは当該パターンに接続するホディングワイヤーやリード端子などのインダクタンス成分によって当該接地電位パターンの接地電位が変化して不所望なノイズ成分となる。このようなグランドノイズは信号線1に載る前記のような小振幅の送信波形に重畳され、信号線1のレベルを不所望に変化させる。
【0110】この実施例では、上記ノイズは、駆動MOSFETQ1と同相でスイッチ制御されるスイッチングMOSFETQ5とカップリングコンデンサC1を介してリファレンス線2にも伝達される。換言すれば、信号線1とリファレンス線2には同じグランドノイズが同相で載ることになる。したがって、上記信号線1とリファレンス線2を介して接続される他の半導体集積回路LSI2〜LSI4のいずれか少なくとも1つの入力回路に伝達される信号線1とリファレンス線2には同じグランドノイズが載っているので、差動増幅に際して当該ノイズは相殺される。このことは、伝送すべき信号のS/Nを向上させ、信号振幅をGTLバス回路の+0.8Vよりも小さな振幅とすることを可能にして、バスによる信号伝送の高速化を実現し、また、信号線の終端電位も+0.8VというようにGTLバス回路よりも低くでき、低消費電力の信号伝送を実現することができる。
【0111】このとき、受信側の半導体集積回路LSI2〜LSI4においては、リファレンス線2に対応して設けられるスイッチMOSFETQ6〜Q8は共にオフ状態にされている。それ故、リファレンス線2に意図的に載せられたノイズが、半導体集積回路LSI2〜LSI4の接地電位に伝えられることがない。このため、かかる半導体集積回路LSI2〜LSI4の論理回路10〜12の接地電位に不所望なノイズがのることがないので動作マージンが悪化してしまうという問題も生じない。
【0112】図16には、この発明に係る信号伝送回路の更に他の一実施例の回路図が示されている。この実施例では、上記終端電圧VTを基準電圧として用いた場合に対応されている。同図の信号伝送路は、前記図1のような実施例と同様に半導体集積回路装置を含む電子装置が実装されるプリント基板等のような実装基板又は大規模の半導体集積回路に形成される。
【0113】この実施例では、上記信号線1及びリファレンス線2に信号端子が結合された複数個の半導体集積回路LSI1〜LSI4の相互で、信号の受信を行うものではなく、半導体集積回路LSI1を信号の発信専用とし、他の半導体集積回路LSI2〜LSI4を受信専用とするものである。この構成では、発信専用とされる半導体集積回路LSI1には入力回路16は基本的には不要であるが、出力信号のモニターを行うため等に設けられている。
【0114】上記のように半導体集積回路LSI1〜LSI4が受信専用とされるため、発信専用とされる半導体集積回路LSI1の出力回路13は、駆動MOSFETQ9と、そこで発生する接地電位のノイズをそのまま出力端子を介して出力させる。出力端子にはカップリングコンデンサC5によりリファレンス線2に接続される。このように、信号の伝送が一方向にのみ行われる場合には、出力回路の簡素化が図られる。
【0115】図17には、上記図15の実施例における1ビット分の出力回路と入力回路の一部の一実施例のレイアウト図が示されている。同図の回路素子を構成する各パターンは、公知の半導体集積回路の製造技術により単結晶シリコンのような半導体基板上において形成される。
【0116】32は第2層目のアルミニュウム層からなり、回路の接地電位を供給する配線とされる。33も第2層目のアルミニュウム層からなり、電源電圧VDDを供給する配線とされる。上記接地配線32の下側には、駆動MOSFETQ1とQ5が形成される。39と40は第1層目のアルニュウム層からなり、出力MOSFETQ5とQ1のドレインに接続される。42も第1層目のアルニュウム層からなり、出力MOSFETQ5とQ1のソースに接続されるとともに、そのまま延びてCMOSインバータ回路IG1とIG5を構成するNチャンネル型MOSFETのソースと接続される。そして、この配線42は、上記第2層目のアルミニュウム層32に接続されて回路の接地電位が与えられる。
【0117】37と38は、MOSFETQ5とQ1のゲート電極を構成するポリシリコン層であり、1層目のアルミニュウム層からなる配線48と49により、上記CMOSインバータ回路IG5とIG1の出力であるPチャンネル型MOSFETとNチャンネル型MOSFETのドレインに接続される。48−1と49−1は、ポリシリコン層からなり、上記CMOSインバータ回路IG5とIG1を構成するNチャンネル型MOSFETとPチャンネル型MOSFETのゲート電極を構成するとともに、配線により共通接続されて図示しない論理回路に接続されて、出力すべき信号が伝えられる。
【0118】R5は、駆動MOSFETQ5のドレインが接続された出力端子39に接続されるカップリングコンデンサに定常的にバイアス電圧を与える抵抗であり、MOSFETのゲート電極と同時に形成されるポリシリコン層により構成される。この抵抗R5の一端は、回路の接地電位を与える配線42に接続され、他端は上記出力端子39と一体的に形成される配線に接続される。
【0119】41は、入力端子であり、図示しない入力回路の入力端子と接続される。42は、上記同様に入力回路に接地電位を与える内部配線である。34、35及び36は、上記出力回路と入力回路のセル領域を示すものである。このように出力回のセル34と35を近接して配置することにより、駆動MOSFETQ1のスイッチング動作によって接地電位を与える配線にノイズが重畳した場合でも、Q5がQ1に隣接して配置されているため、同一のノイズをリファレンス線2に出力させることができる。
【0120】図18には、この発明に係る情報処理システムの一実施例のブロック図が示されている。この実施例は、特に制限されないが、ワークステーションのような高速で高性能の情報処理システムに向けられている。
【0121】高速で高性能のプロセッサユニットPUと、前記実施例のような信号伝送回路からなるAバス(高速バス)により、バイポーラ型トランジスタ又はバイポーラ型トランジスタとCMOS回路を組み合わせて構成されたBi−CMOS構成の高速メモリM1及びインターフェイスINFと接続される。
【0122】上記プロセッサユニットPUは、上記Aバスを通して高速に高速メモリM1等をアクセスしてデータ処理を行う。上記Aバスには、少数点演算や画像処理等の専門のデータ処理を持つ、コプロサッサユニット等の周辺装置が必要に応じて接続される。
【0123】上記Aバスは、超LSIにより構成される高速、高性能プロセッサユニットそのものに設けられる内部バスであってもよい。この場合には、Aバスは半導体集積回路内に形成される。この場合、外来ノイズの影響が小さいことと、終端抵抗での発熱を最小に抑えるために終端電圧VTは極限まで小さくされる。例えば、前記のように0.5V程度まで小さくされる。
【0124】上記インターフェイスINFは、上記AバスとBバスとの間の相互の信号伝達動作を行う機能を持つ。Bバスも、特に制限されないが、前記実施例のような高速で低消費電力のバス回路が用いられる。このBバスには、CMOSスタティック型RAM等のように比較的高速のメモリ装置M2等が接続される。このBバスには、メモリ装置M2の他、システムの性能や機能に応じて必要とされる他の比較的高速の周辺回路が設けられる。
【0125】上記インターフェイスINFは、上記AバスとCバスとの間の相互の信号伝達動作を行う機能も持つ。Cバスは、従来より広く用いられているような汎用のTTLバスから構成される。これにより、比較的動作が遅くてよいダイナミック型RAMのようなメモリ装置M3や、磁気ディスク用のコントロール回路、ディスプレイ装置、プリンタ、あるいはキーボードといったような入出力装置I/Oが接続される。
【0126】このようなCバスもシステム内に組み込むことにより、動作速度が要求されない周辺回路を、既存のメモリ装置、入出力装置及びバス回路をそのまま流用できるという利点が生じる。
【0127】すなわち、この実施例の情報処理システムでは、表示装置やプリンタ、キーボードといったようなデータ転送の速度が遅くてよいものは従来のTTLバスに接続し、データ転送の速度を速くしたり、その消費電力が問題になる部分では、本発明に係る信号伝送回路を用いるようにすることによって、合理的で効率的な情報処理システムを構成することができる。
【0128】図19には、上記信号伝送回路が適用されたワークステーションシステムの他の一実施例のブロック図が示される。この実施例のワークステーションシステムは各種データ処理を行う高性能プロセッサユニット57、高性能プロセッサユニット57のワーク領域及びデータの一時記憶領域などとされる高速メモリユニット58、各種周辺装置とインタフェースされるI/Oコントロールユニット61、その他周辺LSIとして位置付けられるような一般目的のLSI60、及び上記それらのインタフェース制御を行うためのインタフェースLSI59を備える。
【0129】上記高性能プロセッサユニット57とインタフェースLSI59はバス70によって結合され、インタフェースLSI63と高速メモリユニッ62はバス(A)によって結合される。インタフェースLSI59、I/Oコントロールユニット61、及び一般目的のLSI60はTTLインタフェースバス(C)によって結合される。
【0130】このワークステーションシステムにおいて上記バス(A)及び(C)が上記信号線1とリファレンス線2を用いた低消費電力型の高速バスとされる。そして、高性能プロセッサユニット57、インタフェースユニット59、高速メモリユニット58は、図11又は図15等において説明した半導体集積回路LSI1〜LSI4に代表される半導体集積回路によって構成される。したがって、高速プロセッサユニット57と高速メモリユニット58との間でのデータ伝送に際してグランドノイズによる誤動作を防止できるので、その信号振幅を従来のGTLバス回路より小さくしても、高い信頼性を以って高速信号伝送を実現できる。
【0131】図20には、上記ワークステーションシステムの一実施例の外観図が示されている。高速バスにより構成されるシステム全体はシステムボード62に搭載される。高性能プロセッサユニット57は、それぞれがモジュールボード63に搭載されたプロセッサLSI65から構成される。1つのモジュールボード63に搭載されたプロセッサLSI65間の伝送路は、かかるモジュールボード上に形成されたプリント配線により構成される。複数のモジュールボード間の接続は、システムボードに設けられたコネクタとシステムボードに形成されたプリント配線により行われる。
【0132】同様に、高速メモリユニット58は、それぞれがモジュールボード64に搭載された高速メモリLSI66から構成される。1つのモジュールボード64に搭載された高速メモリLSI66に対するアクセスは、かかるモジュールボード上に形成されたプリント配線、システムボードに設けられたコネクタとシステムボードに形成されたプリント配線からなる信号線1とリリファレンス線2により構成される高速バスにより行われる。システムボード62には、インタフェースユニット59を構成するインターフェイスLSI67が搭載され、かかるシステムボード62上に形成されたプリント配線により接続される。
【0133】低速用バスからなるシステムは、他のシステムボード上に纏められて構成される。上記インターフェイスLSI67を通した低速バスは、それが搭載されたシステムボード62に形成されたプリント配線及び図示しないコネクタを介してフラットケーブル等の配線手段を通して上記システムボードの低速バスと接続される。
【0134】図21には、上記高速バスにおける信号線1とリファレンス線2とのパターン図が示されている。同図(A)のバスは、0からnまでのn+1ビットのバスにおいて信号線1とリファレンス線2を一本対一本で対応させて設けた例である。この場合には、各出力ビットの信号線1及びリファレンス線2には完全同相のノイズが載り、駆動MOSFETQ1のスイッチングノイズをキャンセルする作用を完全化することができる。また、全ての隣接信号線1の間にはリファレンス線2が介在されるから、接地電位GND又は電源電圧VTなどが与えられるリファレンス2はシールド線として機能され、隣接信号線間の容量性カップリングによるノイズの影響などを最小限にすることができる。
【0135】同図(B)は8本の信号線毎に1本のリファレンス線2を共有させる構成であり、(C)は16本の信号線毎に1本のリファレンス線2を共有させる構成である。(B)及び(C)の構成は、リファレンス線2を共有する信号線1の1本でも駆動トランジスタQ1等のスイッチングノイズを受けると、当該共有されるリファレンス線2にも同相でそのノイズが載るため、当該スイッチングノイズを受けない信号線の入力回路にとってリファレンス線2のそのようなノイズ成分は不所望な成分となる。但し、複数の信号線に共有されるリファレンス線2に与えられるその様なノイズの変化若しくはピーク値は信号線に一対一対応されるリファレンス線に与えられるノイズに比べて小さくされるから、1本のリファレンス線2が共有される信号線1の本数を適当に制限することによって、駆動トランジスタQ1等のスイッチングノイズによる影響を同様に解消することができる。
【0136】上記の実施例から得られる作用効果は、下記の通りである。すなわち、(1) 信号の伝送路と基準電圧の伝送路とを並走するようにされた一対のペア配線を用い、信号の伝送路の特性インピーダンスに整合した終端抵抗を終端電圧に接続するとともに、基準電圧の伝送路の特性インピーダンスに整合した終端抵抗を上記終端電圧又は回路の接地電位に接続し、それに接続される送信回路をオープンドレイン出力回路を用いて信号伝送を行う方法ないし構成により、伝送される信号は、終端電圧に対応した小振幅にすることができ、そこでの電力消費を大幅に低減させることができるという効果が得られる。
【0137】(2) 信号の伝送路と基準電圧の伝送路とを並走するようにされた一対のペア配線を用い、信号の伝送路の特性インピーダンスに整合した終端抵抗を終端電圧に接続するとともに、基準電圧の伝送路の特性インピーダンスに整合した終端抵抗を上記終端電圧又は回路の接地電位に接続し、それに接続される受信回路を上記終端電圧の約1/2に設定されたオフセットが設けられた差動入力回路を用いることにより、信号伝送路にのるコモンモードのノイズが差動入力回路により相殺され、しかもオフセットによって高精度の基準電圧が設定できるから上記の小振幅の信号に対して十分なレベルマージンを採ることができるという効果が得られる。
【0138】(3) 上記出力回路の出力端子と信号伝送路の接続点との間に直列抵抗を設けることによって、バスラインの接続点における特性インピーダンスの乱れを小さくでき、これによりそこでの電圧反射も小さくなるから低振幅の信号伝達と相俟って高速な信号伝送を行わせることができるという効果が得られる。
【0139】(4) 上記出力回路としてオープンドレインの出力回路を用いることにより、ワイヤードオア論理が採れるとともに、それぞれが異なる種類の電源電圧を持つ複数のディジタル回路を接続して相互に信号伝達を行わせることができるという効果が得られる。
【0140】(5) 上記駆動MOSFETのターン・オン又はターン・オフによって生ずる半導体集積回路内部でのグランドノイズは、駆動MOSFETを介して信号線1に伝達され、また、当該駆動MOSFETと同期してスイッチ制御されるスイッチングMOSFETを介してリファレンス線2にも伝達されるので、信号線1及びリファレンス線2にその様なグランドノイズを同相で載せることができ、入力回路に伝達される信号線1とリファレンス線2のレベルには同じノイズが載っているので、差動増幅に際して当該ノイズを相殺することができる。したがって、伝送すべき信号のS/Nを向上させ、信号振幅の低振幅化により高速化と低消費電力化を図ることができるという効果が得られる。
【0141】(6) 上記(5)の構成では、信号送出を行う出力回路においてのみ、駆動トランジスタと同期してグランドノイズをリファレンス線に伝えるスイッチMOSFETがオン状態にされるから、受信を行う半導体集積回路を含めた送信側以外の半導体集積回路では、上グランドノイズが接地電位に伝わるのを防止することができるという効果が得られる。
【0142】(7) リファレンス線を接地電位GND又は終端電圧VTに終端させる構成においては、回路ボード上に参照電位Vrefを発生させる回路が不要にできるという効果が得られる。
【0143】(8) リファレンス線2に直接参照電位Vrefを供給する場合には、回路ボード上に参照電位Vrefの発生回路を設けなければならないが、入力回路には特別な入力オフセットを設定しなくてもよいので、既存のGTLバス回路との共存若しくはGTLバス回路との直接インタフェースが可能になるという効果が得られる。
【0144】(9) 信号線1とリファレンス線2を一対一対応させてバスを構成する場合には、各出力ビットの信号線1及びリファレンス線2には完全同相のノイズが載り、駆動MOSFETのスイッチングノイズをキャンセルする作用を完全化することができる。また、全ての隣接信号線1の間にはリファレンス線2が介在されるから、接地電位GNDや終端電圧VTなどが与えられるリファレンス2はシールド線として機能され、隣接信号線間の容量性カップリングによるノイズの影響を最小限にすることができるという効果が得られる。
【0145】(10) リファレンス線2を複数の信号線1に共有させてバスを構成する場合には、グランドノイズによる誤動作防止のマージンが小さくされるが、リファレンス線の本数を減らすことができるという効果が得られる。
【0146】(11) リファレンス線2に基準電圧として終端電圧VTを供給し、それを基準にした入力回路のオフセット電圧により実質的な参照電圧を形成することにより、終端電圧が大きく変動した場合のレベルマージンの確保や、終端電圧の設定幅を広くしても所望のレベルマージンを確保できるという効果が得られる。
【0147】(12) 上記の高速バス回路を用いた高速情報処理部と、従来の低速バスを用いた低速情報処理部とをインターフェイス回路を介して相互に接続して階層的にシステムを構築することにより、それぞれの信号伝達速度に応じた効率のよい情報処理が行えるという効果が得られる。
【0148】以上本発明者によってなされた発明を実施例に基づいて具体的に説明したが、本発明はそれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは言うまでもない。例えば、信号伝送回路を構成する半導体集積回路は必ずしも上記実施例の出力回路と入力回路の双方を備えなくてもよく、個々の半導体集積回路の機能に応じて決定される性質のものである。また、信号線の終端電圧や参照電位は上記実施例に限定されず適宜変更可能であり、入力回路も上記実施例の回路構成に限定されない。また、駆動トランジスタ及びスイッチングトランジスタの導電型は上記実施例に限定されなく、バイポーラ型トランジスタを用いるものであってもよい。
【0149】図12や図15の実施例のようにカップリングコンデンサを用いる場合、かかるコンデンサを半導体集積回路に内蔵させるものであってもよい。この場合、小さな占有面積で大きな容量値を得るために、誘電体膜として強誘電体膜を利用するものであってもよい。あるいは、上記半導体集積回路チップとカップリングコンデンサとをモジュール化して1つのパッケージに収めるようにしてもよい。このようにすると、1ビット当たりの端子数を2本にすることができる。
【0150】上記の信号伝送回路は、高速コンピュータ等における1つの信号処理ユニット内の信号伝送回路として用いるものであってもよい。すなわち、信号の伝送線路の長さが比較的短くてよく、しかも信号伝達を低消費電力で高速に行う必要のある回路及びシステムに広く利用できる。
【0151】
【発明の効果】本願において開示される発明のうち代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば、下記の通りである。すなわち、信号の伝送路と基準電圧の伝送路とを並走するようにされた一対のペア配線を用い、信号の伝送路の特性インピーダンスに整合した終端抵抗を終端電圧に接続するとともに、基準電圧の伝送路の特性インピーダンスに整合した終端抵抗を上記終端電圧又は回路の接地電位に接続し、それに接続される送信回路をオープンドレイン出力回路を用いて信号伝送を行う方法ないし構成により、伝送される信号は、終端電圧に対応した小振幅にすることができ、そこでの電力消費を大幅に低減させることができる。
【0152】信号の伝送路と基準電圧の伝送路とを並走するようにされた一対のペア配線を用い、信号の伝送路の特性インピーダンスに整合した終端抵抗を終端電圧に接続するとともに、基準電圧の伝送路の特性インピーダンスに整合した終端抵抗を上記終端電圧又は回路の接地電位に接続し、それに接続される受信回路を上記終端電圧の約1/2に設定されたオフセットが設けられた差動入力回路を用いることにより、信号伝送路にのるコモンモードのノイズが差動入力回路により相殺され、しかもオフセットによって高精度の基準電圧が設定できるから上記の小振幅の信号に対して十分なレベルマージンを採ることができる。
【0153】上記出力回路の出力端子と信号伝送路の接続点との間に直列抵抗を設けることによって、バスラインの接続点における特性インピーダンスの乱れを小さくでき、これによりそこでの電圧反射も小さくなるから低振幅の信号伝達と相俟って高速な信号伝送を行わせることができる。
【0154】上記出力回路としてオープンドレインの出力回路を用いることにより、ワイヤードオア論理が採れるとともに、それぞれが異なる種類の電源電圧を持つ複数のディジタル回路を接続して相互に信号伝達を行わせることができる。
【0155】上記駆動MOSFETのターン・オン又はターン・オフによって生ずる半導体集積回路内部でのグランドノイズは、駆動MOSFETを介して信号線1に伝達され、また、当該駆動MOSFETと同期してスイッチ制御されるスイッチングMOSFETを介してリファレンス線2にも伝達されるので、信号線1及びリファレンス線2にその様なグランドノイズを同相で載せることができ、入力回路に伝達される信号線1とリファレンス線2のレベルには同じノイズが載っているので、差動増幅に際して当該ノイズを相殺することができる。したがって、伝送すべき信号のS/Nを向上させ、信号振幅の低振幅化により高速化と低消費電力化を図ることができる。
【0156】上記の構成では、信号送出を行う出力回路においてのみ、駆動トランジスタと同期してグランドノイズをリファレンス線に伝えるスイッチMOSFETがオン状態にされるから、受信を行う半導体集積回路を含めた送信側以外の半導体集積回路では、上グランドノイズが接地電位に伝わるのを防止することができる。
【0157】リファレンス線を接地電位GND又は終端電圧VTに終端させる構成においては、回路ボード上に参照電位Vrefを発生させる回路が不要にできる。
【0158】リファレンス線2に直接参照電位Vrefを供給する場合には、回路ボード上に参照電位Vrefの発生回路を設けなければならないが、入力回路には特別な入力オフセットを設定しなくてもよいので、既存のGTLバス回路との共存若しくはGTLバス回路との直接インタフェースが可能になる。
【0159】信号線1とリファレンス線2を一対一対応させてバスを構成する場合には、各出力ビットの信号線1及びリファレンス線2には完全同相のノイズが載り、駆動MOSFETのスイッチングノイズをキャンセルする作用を完全化することができるとともに、全ての隣接信号線1の間にはリファレンス線2が介在されるから、接地電位GNDや終端電圧VTなどが与えられるリファレンス2はシールド線として機能され、隣接信号線間の容量性カップリングによるノイズの影響を最小限にすることができる。
【0160】リファレンス線2を複数の信号線1に共有させてバスを構成する場合には、グランドノイズによる誤動作防止のマージンが小さくされるが、リファレンス線の本数を減らすことができる。
【0161】リファレンス線2に基準電圧として終端電圧VTを供給し、それを基準にした入力回路のオフセット電圧により実質的な参照電圧を形成することにより、終端電圧が大きく変動した場合のレベルマージンの確保や、終端電圧の設定幅を広くしても所望のレベルマージンを確保できる。
【0162】上記の高速バス回路を用いた高速情報処理部と、従来の低速バスを用いた低速情報処理部とをインターフェイス回路を介して相互に接続して階層的にシステムを構築することにより、それぞれの信号伝達速度に応じた効率のよい情報処理が行える。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る信号伝送回路(バス回路)の一実施例を示す回路図である。
【図2】この発明に係る信号伝送回路の他の一実施例を示す回路図である。
【図3】図2のバスライン1の特性インピーダンスを説明するための概念図である。
【図4】この発明に係る信号伝送回路の他の一実施例を示す回路図である。
【図5】この発明に係る信号伝送回路の他の一実施例を示す回路図である。
【図6】この発明に係る信号伝送回路の他の一実施例を示す回路図である。
【図7】この発明に係る信号伝送回路の更に他の一実施例を示す回路図である。
【図8】この発明に係る差動入力回路の一実施例を示す回路図である。
【図9】図1の実施例回路の動作の一例を説明するための波形図である。
【図10】図7の実施例回路の動作の一例を説明するための波形図である。
【図11】この発明に係る信号伝送回路の更に他の一実施例を示す回路図である。
【図12】この発明に係る信号伝送回路の更に他の一実施例を示す回路図である。
【図13】この発明に係る信号伝送回路における接地電位をリファレンスとした場合の動作の一例を説明するための波形図である。
【図14】この発明に係る信号伝送回路における終端電圧をリファレンスとした場合の動作の一例を説明するための波形図である。
【図15】この発明に係る信号伝送回路の更に他の一実施例を示す回路図である。
【図16】この発明に係る信号伝送回路の更に他の一実施例を示すの回路図である。
【図17】図15の出力回路と入力回路の一部の一実施例を示すレイアウト図である。
【図18】この発明に係る情報処理システムの一実施例を示すブロック図である。
【図19】上記信号伝送回路が適用されたワークステーションシステムの他の一実施例を示すブロック図である。
【図20】図19のワークステーションシステムの一実施例を示す外観図である。
【図21】この発明に係る高速バスにおける信号線1とリファレンス線2の一実施例を示すパターン図である。
【図22】従来技術(GTL)の一例を説明するための回路図である。
【符号の説明】
1…信号のバスライン(信号線)、2…基準電圧のバスライン(リファレンス線)、3〜5,13〜16…出力回路、6〜8,16〜19…差動入力回路、9〜12…LOGIC(情報処理回路又は論理回路)、32…GNDパターン(第2層目アルミニュウム)、34…VDDパターン(第2層目アルミニュウム)、34〜36…入出力セル領域、37〜38…ゲートポリシリコンパターン、39〜40…出力端子、41…入力端子、42〜43…配線パターン(第1層目アルミニュウム)、45,47…Nチャンネル型MOSFETの拡散層、44,46…Pチャンネル型MOSFETの拡散層、48−1,49−1…ゲートポリシリコンパターン、VT…終端電圧、RZ…終端抵抗、VDD,VDD1〜VDD3…LOGIC電源電圧、Q1〜Q19…MOSFET、INV1〜INV3,IG1〜IG9…インバータ回路、RS…直列抵抗、PU…プロセッサユニット、M1〜M3…メモリ装置、INF…インターフェイス回路、I/O…入出力装置。LSI1〜LSI4…半導体集積回路。
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、信号伝送方法と信号伝送回路及びそれを用いた情報処理システムに関し、主に、比較的短い伝送路に複数の情報処理部が接続されてなるものに利用して有効な技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】パーソナルコンピュータやワークステーションといったような情報処理装置は、1つの伝送路に複数の情報処理部が並列形態に接続されて相互に情報の伝達を行うといういわゆるバス回路が用いられる。このバス回路の低消費電力化等のためにGTL(Gunning Transceiver Logic)がある。このGTLは、図22に示されているように、従来のTTL(トランジスタ・トランジスタ・ロジック)レベルよりもバス線路上の信号振幅を半分以下に低下させ、低消費電力化を図るものである。すなわち、バス回路の終端電圧Vtを+1.2Vのような低電圧とし、受信回路Rcvr は、通常の論理回路に代えて小信号をセンスできる差動増幅回路を用いるようにする。
【0003】上記のGTLに関しては、1992年2月19日付『アイ・エス・エス・シー・シー』論文頁58〜頁59(ISSCC;International Solid State Circuit Conference1992 2/19 pp.58-59) がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記GTLにあっては、伝送路を通して伝達された信号を、差動回路の入力部に設けられた基準電圧Vref により判定するものであるため、低振幅化するにしても伝送路での雑音の影響を受けることを考慮する必要があり、低振幅化するにしても上記1.2V程度が限界とされるものである。このため、一般的な伝送線路の特性インピーダンスが50Ωと小さいことから、上記のような低電圧1.2Vのもとでも、終端抵抗RZでの消費電力が2×1.22 /50=57.6mWのように大きくなってしまうという問題も生じる。
【0005】この発明の目的は、低消費電力化と高速化を可能にした信号伝送回路を提供することある。この発明の他の目的は、低消費電力化、高速化に加えて動作マージンの拡大を実現した信号伝送回路を提供することある。この発明の他の目的は、低消費電力で効率のよい情報処理を実現した情報処理システムを提供することにある。この発明の前記ならびにそのほかの目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【0006】
【課題を解決するための手段】本願において開示される発明のうち代表的なものの概要を簡単に説明すれば、下記の通りである。すなわち、信号の伝送路と基準電圧の伝送路とを並走するようにされた一対のペア配線を用い、信号の伝送路の特性インピーダンスに整合した終端抵抗を終端電圧に接続するとともに、基準電圧の伝送路の特性インピーダンスに整合した終端抵抗を上記終端電圧又は回路の接地電位に接続し、それに接続される受信回路を上記終端電圧の約1/2に設定されたオフセットを利用して伝送路の基準電圧を受ける増幅トランジスタと伝送路を通して入力された入力信号を受ける増幅トランジスタとが差動動作を行うようにされた入力段回路を用い、送信回路をオープンドレイン出力回路を用いて信号伝送を行うこと及び構成とする。
【0007】
【作用】上記した手段によれば、伝送路を通して信号と基準電圧が転送されるので雑音がコモンモードでのることになるから差動入力回路で相殺させることができるとともに、差動入力回路のオフセットによって基準電圧を構成するため高精度に基準電圧の設定ができるから、終端電圧のいっそうの低電圧化により低消費電力化と高速化が可能になる。
【0008】
【課題を解決するための手段】本願において開示される発明のうち他の代表的なものの概要を簡単に説明すれば、下記の通りである。すなわち、両端に終端抵抗を介して終端電圧を受ける第1の配線と、これに並設され、両端に終端抵抗を介して回路の接地電位を受ける第2の配線に結合される出力回路を有する第1の半導体集積回路と、上記第1及び第2の配線に結合される入力回路を有する第2の半導体集積回路とを備え、上記出力回路は、上記第1の配線と回路の接地電位との間に配置され出力信号にてスイッチ制御される駆動トランジスタと、上記第2の配線と回路の接地電位との間に配置され上記駆動トランジスタのオン/オフ状態に同期してスイッチ制御されるスイッチングトランジスタを用い、上記入力回路は、上記終端電圧の約1/2に設定されたオフセット電圧により第2の配線の接地電位が供給された増幅トランジスタと上記第1の配線から伝えられる入力信号が供給された増幅トランジスタとが差動動作を行うような入力段回路を用いる。
【0009】
【作用】上記した手段によれば、伝送路を通して信号と基準電圧が転送され、しかも第1の半導体集積回路で発生する出力ノイズを含めて雑音がコモンモードでのることになるから差動入力回路で相殺させることができるとともに、差動入力回路のオフセットによって基準電圧を構成するため高精度に基準電圧の設定ができるから、上記低消費電力化と高速化に加えて動作マージンの拡大が図られる。
【0010】
【課題を解決するための手段】本願において開示される発明のうち他の代表的なものの概要を簡単に説明すれば、下記の通りである。すなわち、両端に終端抵抗を介して終端電圧を受ける第1の配線と、これに並設され、両端に終端抵抗を介して回路の終端電位を受ける第2の配線に結合される出力回路を有する第1の半導体集積回路と、上記第1及び第2の配線に結合される入力回路を有する第2の半導体集積回路とを備え、上記出力回路は、上記第1の配線と回路の接地電位との間に配置され出力信号にてスイッチ制御される駆動トランジスタと、回路の接地電位と出力端子との間に配置され上記駆動トランジスタのオン/オフ状態に同期してスイッチ制御されるスイッチングトランジスタ及び上記出力端子と第2の配線との間に挿入されてなるカップリングコンデンサとを用い、上記入力回路は、上記終端電圧の約1/2に設定されたオフセット電圧により第2の配線の接地電位が供給された増幅トランジスタと上記第1の配線から伝えられる入力信号が供給された増幅トランジスタとが差動動作を行うような入力段回路を用いる。
【0011】
【作用】上記した手段によれば、終端電圧を基準にして信号の伝送が行われるので、終端電圧の変動による出力信号のロウレベルの変動の影響を受けなくできるとともに、第1の半導体集積回路で発生する出力ノイズを含めて雑音がコモンモードでのることになって上記差動入力回路で相殺させられるため、上記低消費電力化と高速化に加えていっそうの動作マージンの拡大が図られる。
【0012】
【課題を解決するための手段】本願において開示される発明のうち更に他の代表的なものの概要を簡単に説明すれば、下記の通りである。すなわち、信号の伝送路と基準電圧の伝送路とを並走するようにされた一対のペア配線を用い、信号の伝送路の特性インピーダンスに整合した終端抵抗を終端電圧に接続するとともに、基準電圧の伝送路の特性インピーダンスに整合した終端抵抗を上記終端電圧又は回路の接地電位に接続し、それに接続される受信回路を上記終端電圧の約1/2に設定されたオフセットを利用して伝送路の基準電圧を受ける増幅トランジスタと伝送路を通して入力された入力信号を受ける増幅トランジスタとが差動動作を行うようにされた入力段回路を用い、送信回路をオープンドレイン出力回路を用いてなるバス回路により高速情報処理部と、従来の低速バスを用いた低速情報処理部とをインターフェイス回路を介して相互に接続して階層的にシステムを構築する。
【0013】
【作用】上記した手段によれば、伝送信号の低振幅化により伝送速度を速くできるバス回路を用いた高速情報処理部と、従来の低速バス回路とを組み合わせることにより、それぞれの信号伝達速度に応じた効率のよい情報処理が行えるようになる。
【0014】
【実施例】図1には、この発明に係る信号伝送回路(バス回路)の一実施例の回路図が示されている。同図の信号伝送路(バスライン)1と2は、半導体集積回路装置を含む電子装置が実装される実装基板又は大規模の半導体集積回路に形成される。バス回路は、一般に複数ビットの信号を並列に転送させるようにするものであるので、それに対応して複数の信号伝送路が設けられるが、同図にはそのうちの1ビットの信号に対応した回路が代表として例示的に示されている。信号をシリアルに転送するものでは、同図に示されているような1つ(一対)の伝送路により構成されることはいうまでもないであろう。
【0015】信号を伝送させるバスライン1の両端には、その特性インピーダンスに整合された抵抗値を持つ終端抵抗RZが終端電圧VTとの間に接続される。上記終端電圧VTは、バス回路の低消費電力化のためにそれに接続される情報処理回路(以下、単にLOGICという)9〜11における入出力回路の電源電圧VDDに比べて相当低い電圧、例えば0.8Vに設定される。上記LOGICにおける入出力回路の電源電圧VDDは、従来のCMOS集積回路用の電源電圧5V又は3.3Vのような電圧が用いられる。
【0016】LOGIC9に設けられる出力回路(送信回路)3は、同図に点線で囲まれた回路のようにインバータ回路INV1と、それにより駆動されるオープンドレインのNチャンネル型MOSFETQ1から構成される。このMOSFETQ1のドレインは、上記バスライン1に接続される。他のLOGIC10,11に設けられる出力回路4,5も上記同様なインバータ回路INV2,INV3と、Nチャンネル型MOSFETQ2,Q3から構成され、その出力端子であるドレインが適宜にバスライン1に接続される。このようなオープンドレイン構成の出力MOSFETQ1〜Q3を用いて、バスライン1に並列形態に接続されることにより、ワイヤードオア論理の出力信号を送出させることができる。本願において、MOSFETは、絶縁ゲート型電界効果トランジスタ(IGFET)の意味で用いている。
【0017】LOGIC9に設けられる入力回路(受信回路)6は、同図ではブラックボックスで示されているように差動入力回路から構成される。この差動入力回路6の一方の入力は、上記出力回路の出力端子と共通化されてバスライン1に接続される。上記差動入力回路6の他方の入力には、基準電圧としてバスライン2を通した接地電位が供給される。このバスライン2は、上記信号伝送用のバスライン1と並走するように半導体集積回路又は実装基板上に形成され、その終端にはバスライン1の終端抵抗RZと同様な終端抵抗RZを介して接地電位に接続される。
【0018】他のLOGIC10,11に設けられる入力回路7,8も上記同様な差動入力回路から構成され、バスライン1に並走されたバスライン2を通して基準電圧としての接地電位が供給される。
【0019】上記差動入力回路6〜8の基準電圧は、バスライン1を通して受信された信号のハイレベル/ロウレベルを識別するための参照電圧である。上記のような出力回路においては、出力MOSFETがオフ状態のときには終端抵抗RZによりハイレベル(0.8V)が出力され、出力MOSFETがオン状態のときにはほぼ0Vのロウレベルが出力される。それ故、通常の差動入力回路を用い、しかも基準電圧として回路の接地電位を供給したのでは上記のような信号のハイレベル/ロウレベルの識別が不能となる。
【0020】この実施例では、差動入力回路の基準電圧として回路の接地電位を用いつつ、しかも上記のようなハイレベル/ロウレベルの識別動作を行わせるために、差動入力回路にオフセットが設定される。すなわち、上記ハイレベル/ロウレベルのほぼ中間電位となるような0.4V程度のオフセットが持たせられる。具体的には、基準電圧が供給される入力端子側が、+0.4Vとなるようなオフセット電圧を持つようにされる。このようなオフセット電圧の設定により、差動入力回路において、0.8Vのようなハイレベルが入力されると、回路の接地電位に上記オフセット分を加算した基準電圧に対して+0.4Vのような入力信号が相対的に供給されることになるのでハイレベルと判定され、0Vのようなロウレベルが入力されると、回路の接地電位に上記オフセット分を加算した基準電圧に対して−0.4Vのような入力信号が相対的に供給されることになるのでロウレベルと判定される。
【0021】上記LOGIC9〜11は、後述するようなワークステーションやパーソナルコンピュータ等の情報処理装置における高性能の高速プロセッサユニット、高速メモリ装置、あるいはインターフェイス回路、あるいは入出力コントロールユニント等である。
【0022】いずれのLOGIC9〜11の出力回路3〜5が動作していないとき、バスライン1の電位は、終端電圧VTと同じ0.8Vとなっており、電流消費が行われない。バスライン2は回路の接地電位にされている。
【0023】例えば、出力回路3が選択されて、LOGIC9により形成された送信データに応じて出力MOSFETQ1がオン状態になると、バスライン1の電位はほぼ回路の接地電位に引き下げられる。この実施例では、上記バスライン1を通して送出された信号を受ける他のLOGIC10,11等の差動入力回路7,8のバスライン1側に接続された入力端子と、基準電圧端子に対応した他の入力端子には接地電位に終端され、しかもバスライン1と並走するようにされたバスライン(リファレンスライン)2に接続されている。
【0024】それ故、上記バスライン1にノイズがのるときには、それと並走して設けられるバスライン2にも同様なノイズがのることなる。この結果、例えば、差動入力回路7が選択されて信号受信を行うときには、上記バスライン1と2にノイズ成分は、コモンモードとなって差動入力回路において相殺させることができる。これにより、上記のようなバスライン1の信号の低振幅化にもかかわらず、外来ノイズの影響が大幅に軽減されるから、十分な信号のレベルマージンを確保することができる。
【0025】上記差動入力回路の実質的な基準電圧は、差動入力回路のオフセットを利用するものである。このような差動入力回路のオフセットを利用することにより、高精度に基準電圧を設定することができる。ちなみに、ダイナミック型RAM(ランダム・アクセス・メモリ)に設けられる差動入力のセンスアンプでは、入力オフセットを10mV程度に抑え込むことができる。すなわち、現在の半導体製造技術にあっては、10mV精度での入力オセットを制御ができることを意味する。ダイナミック型RAMのセンスアンプでは、オフセットが小さくなるようにプロセス制御するものであるが、それと同じプロセス技術により上記のような400mVのオセットを高精度で設定することができることを意味する。上記のような差動入力回路のオフセットを利用した基準電圧の設定により、受信回路において基準電圧を形成するための定電圧回路が省略できるという利点も生じる。
【0026】上記のような信号伝送回路においては、信号振幅を0.8V程度あるいはそれ以下にも低下できるものであり、終端抵抗RZの消費電力は、50Ωのバスラインを用いた場合でも、2・VT2 /RZ=2×0.82 /50=25.6mWのように、前記のようなGTLと比べても半分の低消費電力化を図ることができる。上記終端電圧VTを0.5Vのように更に低く設定すれば、終端抵抗RZでの消費電力が10mWとなり、いっそうの低消費電力化を図ることができる。
【0027】上記低消費電力化は、単にエネルギー消費が小さくなることを意味するに止まらない。半導体集積回路装置においては、電流消費は発熱をもたらすことを意味する。それ故、半導体集積回路装置において消費電流が小さくなるということは発熱が小さくなるため、同じパッケージや実装手段(冷却手段)のもとでは大規模集積回路化が可能になるということ結果をもたらし、回路規模が同じなら実装手段の簡素化を図ることができるという結果をもたらす。また、電池駆動されるポータブル型の情報処理装置では、低消費電力化により電池寿命を長くすることができるという結果をもたらすものとなる。
【0028】図2には、この発明に係る信号伝送回路の他の一実施例の回路図が示されている。同図の信号伝送路は、図1の実施例と同様に半導体集積回路装置を含む電子装置が実装されるプリント基板等のような実装基板又は大規模の半導体集積回路に形成される。以下に説明する部分以外は、前記図1の実施例と同様であるのでその説明を省略する。
【0029】この実施例では、出力回路3の出力端子であるMOSFETQ1のドレインと、バスライン1の接続点との間に直列抵抗RSが挿入される。他の出力回路4及び5においても、同様な直列抵抗RSが設けられる。
【0030】この直列抵抗RSは、バスライン1側からみて、それに接続される出力回路3〜5の出力容量(寄生キャパシタ)の影響を軽減させて、バスライン1の特性インピーダンスが出力回路3〜5の接続点において局所的に低下してしまうのを軽減するものである。これにより、高速動作時の反射による波形の歪を減少させるようにするものである。
【0031】図3には、上記バスライン1の特性インピーダンスを説明するための概念図が示されている。同図において、特性インピーダンスZoがバスライン1の長さ方向に対してどのように変化するかがその幅により示されている。上記出力回路3等の接続点においては、出力回路の出力容量CAの影響により乱される。損失を無視した場合の線路の特性インピーダンスZoは、単位長さ当たりのインダクタンスをLとし、単位長さ当たりのキャパシタンスをCとすると、次式(1)により求められる。
Zo=(L/C)1/2 ・・・・・・・・・・・・・(1)
【0032】出力回路が接続された箇所には、出力容量CAが接続されるので、次式(2)のように表すことができる。
α・Zo=〔L/(C+CA)〕1/2 ・・・・・・・・・・・・(2)
【0033】これに対して、上記のような直列抵抗RSを接続した場合には、出力容量CAがそのまま接続されないで、γ・CAのように低減される。γは減衰率(γ<1)である。この結果、上記直列抵抗RSの挿入により、次式(3)のように改善させることができる。
β・Zo=〔L/(C+γ・CA)〕1/2 ・・・・・・・・・・・(3)
上記式(1)〜(3)において、α<β<1の関係にあるから、図3のように特性インピーダンスの乱れは、(A)から(B)のように改善される。
【0034】上記特性インピーダンスの乱れの改善により、その特性インピーダンスの差分に応じて発生する電圧反射が小さくなり、バスライン1上を伝送される信号波形の波形歪みが少なくなり、信号を正確にしかも高速に伝送させることができる。
【0035】図4には、この発明に係る信号伝送回路の他の一実施例の回路図が示されている。同図の信号伝送路も、図1及び図2の実施例と同様に半導体集積回路装置を含む電子装置が実装されるプリント基板等のような実装基板又は大規模の半導体集積回路に形成される。以下に説明する部分以外は、前記図1及び図2の実施例と同様であるのでその説明を省略する。
【0036】この実施例では、差動入力回路6の基準電位の入力端子と回路の接地電位との間に上記同様な直列抵抗RSを接続するものである。他の差動入力回路7及び8においても、同様な直列抵抗RSが設けられる。出力回路3が選択されてバスライン1に信号を送出させるときには、出力MOSFETQ1のオン状態に対応して回路の接地電位にノイズが発生する。このノイズは、上記直列抵抗RSを通してバスライン1に送出させる。このように選択された出力回路3で発生したノイズも、受信側の差動入力回路において相殺させるようにするために、上記差動入力回路6の基準電圧側の入力端子と回路の接地電位との間に直列抵抗RSが挿入される。これにより、上記出力回路3の出力MOSFETQ1のオン状態により発生するノイズは、上記直列抵抗RSを介してバスライン2側にも送出されることとなり、それを受ける受信側の差動入力回路7又は8において相殺ないし、低減させることができるようになる。
【0037】図5には、この発明に係る信号伝送回路の他の一実施例の回路図が示されている。同図の信号伝送路も、図1の実施例と同様に半導体集積回路装置を含む電子装置が実装されるプリント基板等のような実装基板又は大規模の半導体集積回路に形成される。以下に説明する部分以外は、前記図1の実施例と同様であるのでその説明を省略する。
【0038】この実施例では、各LOGIC1、LOGIC2及びLOGIC3の各電源電圧がVDD1、VDD2及びVDD3のように異なるようにされる。各LOGIC1〜LOGICに対応して差動入力回路6、7及び8の電源電圧もVDD1、VDD2及びVDD3のように異なるようにされる。
【0039】特に制限されないが、電源電圧VDD1は、5Vのような電圧にされ、電源電圧VDD2は3.3Vのような電圧にされ、電源電圧VDD3は2Vのような電圧にされる。例えば、LOGIC1は、5Vで動作させられるCMOS回路又はBi−CMOS回路から構成される。LOGIC2とLOGIC3は、CMOS回路から構成される。
【0040】上記のような異なる電源電圧VDD1〜VDD3によってシステムが構成される場合でも、出力回路はオープンドレイン構成にされており、終端電圧VTによって一定の伝送信号のレベルが設定されるので問題ない。また、入力回路は、差動入力回路により構成されており、その動作電圧を対応するLOGIC1〜LOGIC3の電源電圧VDD1〜VDD3にすることにより、前記のような信号のレベル判定と増幅を行うので問題ない。
【0041】これにより、電源電圧が異なる半導体集積回路装置又は実装基板上に構成された情報処理回路により構成されたLOGICを混在させて用いることができる。これにより、この実施例では、既存の半導体集積回路装置又は実装基板上に構成された情報処理回路の中から、最適のものを選んで1つの情報処理システムを構成することができるという利点がもたらされる。
【0042】図6には、この発明に係る信号伝送回路の他の一実施例の回路図が示されている。同図の信号伝送路も、図1の実施例と同様に半導体集積回路装置を含む電子装置が実装されるプリント基板等のような実装基板又は大規模の半導体集積回路に形成される。以下に説明する部分以外は、前記図1の実施例と同様であるのでその説明を省略する。
【0043】この実施例では、並走するように構成された一対のバスライン1と2が、適当な間隔で交差するように配置される。これにより、バスライン1と2にのる誘導雑音を打ち消すようにすることができる。また、半導体集積回路又はプリント基板のような実装基板に複数対のバスラインが並走ように構成される場合、一対のバスライン置きに、この実施例のようなバスラインの入れ替え(交叉)を行うことによって隣接する信号間の寄生容量により異なるカップリングノイズが発生してしまうのを防止することができる。すなわち、この実施例のバスライン1,2を中心にして左右にに並んで隣接して配置される一対のバスライン1,2は交叉しないように配置される。そして、上記直線的に配置される一対のバスラインの外側に配置されるバスラインには、上記のような一定間隔での入れ替えが行うようにされる。
【0044】図7には、この発明に係る信号伝送回路の更に他の一実施例の回路図が示されている。同図の信号伝送路も、図1の実施例と同様に半導体集積回路装置を含む電子装置が実装されるプリント基板等のような実装基板又は大規模の半導体集積回路に形成される。以下に説明する部分以外は、前記図1の実施例と同様であるのでその説明を省略する。
【0045】この実施例では、基準電圧としての接地電位を伝達させるバスライン2の両端には、信号伝達用のバスライン1と同様に終端電圧VTとの間に終端抵抗RZが設けられる。
【0046】この構成では、差動入力回路6〜8において、上記基準電圧が供給される入力端子側が−0.4Vのようなオフセット電圧を持つようにされる。このようなオフセット電圧の設定により、差動入力回路において、0.8Vのようなハイレベルが入力されると、上記終端電圧VTからオフセット分を差し引いた+0.4Vのような入力信号が供給されることになるのでハイレベルと判定され、0Vのようなロウレベルが入力されると、上記終端電圧VTからオフセット分を差し引いて−0.4Vのような入力信号が供給されることになるのでロウレベルと判定される。
【0047】この構成では、終端電圧VTにのるノイズがコモンモードで差動入力回路に供給されることになるため、差動入力回路において電源ノイズを相殺させることができる。それ故、終端電圧VTに無視できないノイズが発生するものでは、この実施例のような構成を採ることが信号レベルマージンを確保する上で有利となるものである。
【0048】図8には、受信回路に用いられる差動入力回路の一実施例の回路図が示されている。同図の各回路素子は、公知のCMOS集積回路の製造技術により、少なくともLOGICや出力回路が形成される他の回路のとともに、単結晶シリコンのような1個の半導体基板上において形成される。
【0049】この実施例では、前記のようにバス回路を通して伝送される信号レベルが、0.8V/0Vのようにロウレベル側に偏倚したものである。それ故、差動入力回路の入力段は、Pチャンネル型差動MOSFETQ4とQ5を用いた差動回路から構成される。Pチャンネル型差動MOSFETQ4とQ5の共通化されたソースと回路の電源電圧VDDとの間には、Pチャンネル型MOSFETQ8が設けられる。このMOSFETQ8のゲートには、定常的に回路の接地電位が与えられ、定電源として動作する。
【0050】上記Pチャンネル型差動MOSFETQ4とQ5のドレインには、Nチャンネル型負荷MOSFETQ7が設けられる。これらのNチャンネル型負荷MOSFETQ6,Q7のゲートには定常的に電源電圧VDDが供給されることによって抵抗素子として作用させられる。
【0051】上記の差動入力回路は、増幅動作とともにレベルシフト動作を行うようにされる。MOSFETQ4とQ6及びQ5とQ7のコンダクタンス比に対応した増幅動作とともに、信号レベルを回路の接地電位側から電源電圧VDD側にレベルシフトさせる。これにより、入力段回路は、レベルシフト回路(LS)としての役割を持つようにされる。このとき、差動MOSFETQ4とQ5のコンダクタンスに比を持たせること、又は負荷MOSFETQ6とQ7のコンダクタンスに比を持たせること、あるいはそれらを組み合わせることによって、前記のような実質的に基準電圧として用いられるオフセットが設定される。
【0052】上記のような差動MOSFET及び負荷MOSFETのようなペア素子は、相対バラツキが小さくなることにより、前記のような400mVのようなオフセットを10mV高精度のように高精度に設定することができる。
【0053】上記のようなレベルシフト回路(LS)を通した出力信号bとaは、Nチャンネル型差動MOSFETQ9とQ10のゲートに供給される。このようなレベルシフト作用によって、電源電圧VDDからみたとき、回路の接地電位側に極端にレベル偏倚されていた信号レベルを、差動増幅MOSFETQ9とQ10を最も感度のよい領域で動作させることができる。
【0054】上記差動MOSFETQ9とQ10のドレインには、電流ミラー形態にされたPチャンネル型MOSFETQ11とQ12がアクティブ負荷回路として設けられる。Nチャンネル型差動MOSFETQ9とQ10の共通化されたエミッタには、Nチャンネル型MOSFETQ14が設けられる。このMOSFETQ14のゲートには、電源電圧VDDが定常的に供給されることによって、定電流源として動作する。上記の回路により、差動増幅回路(DA)が構成される。
【0055】上記のようなレベルシフト回路(LS)と差動増幅回路(DA)からなる差動入力回路を、選択された受信回路に対応したもののみが動作を行うようにするため、レベルシフト回路(LS)の負荷MOSFETQ6,Q7と、定電流源として作用するNチャンネル型MOSFETQ14には、選択信号ENによってスイッチ制御されるNチャンネル型MOSFETQ15が設けられる。このMOSFETQ15は、電源スイッチとして作用して選択された差動入力回路のみを活性化させるものである。これにより、差動入力回路において定常的に直流電流が流れることがなく、低消費電力化を図ることができる。
【0056】差動入力回路が非選択状態であるとき、出力信号が不定レベルになってしまうのを防ぐために、言い換えるならば、差動入力回路が非選択状態のときに差動増幅出力信号を電源電圧VDDのようなハイレベルに固定するために、差動増幅回路(DA)の出力端子と電源電圧VDDとの間にPチャンネル型MOSFETQ13が設けられ、そのゲートには上記選択信号ENが供給される。これにより、選択信号ENがロウレベルにされることによって、差動入力回路が非選択状態に置かれるときに、Pチャンネル型MOSFETQ13がオン状態になって差動増幅回路(DA)の出力信号を電源電圧VDDのようなハイレベルに固定することができる。
【0057】上記差動増幅回路(DA)の出力信号は、Pチャンネル型MOSFETQ16とNチャンネル型MOSFETQ17からなるCMOSインバータ回路と、Pチャンネル型MOSFETQ18とNチャンネル型MOSFETQ19からなるCMOSインバータ回路とを通してCMOSレベルにされて、LOGICの入力信号として取り込まれる。
【0058】上記のような差動入力回路のオフセットは、差動増幅回路(DA)において、差動MOSFETQ9とQ10のコンダクタンス比、又は負荷MOSFETQ11とQ12のコンダクタンス比、あるいはこれらの組み合わせにより実現するものであってもよい。
【0059】さらに、上記レベルシフト回路により第1段階のオフセットを持たせ、上記差動増幅回路(DA)により第2段階のオフセットを持たせ、両者の合成により前記のような比較的大きなオフセットを持つようにしてもよい。この構成では、比較的大きなオフセットを2段階に分けて設定できるため、ペア素子の相対バラツキを小さくすることができる。
【0060】図9には、図1に示したような信号伝送回路の動作の一例を説明するための波形図が示されている。この実施例では、電源電圧VDDが+5Vのような電圧を用いた場合を例にして示されている。
【0061】出力回路の出力MOSFETQ1のゲートに供給される入力信号Vinは、LOGIC1の電源電圧VDDに対応した5V振幅の信号である。上記出力すべき信号Vinがハイレベルのとき、Nチャンネル型MOSFETQ1がオン状態となってほぼ回路の接地電位のようなロウレベルがバスライン1に出力される。実際には、MOSFETQ1もオン抵抗値を持つので、上記終端抵抗RZとMOSFETQ1のオン抵抗値によりロウレベルが決定されるが、MOSFETQ1のオン抵抗値を終端抵抗RZに比べて十分小さくすることにより、ほぼ回路の接地電位のようなロウレベルにすることができる。
【0062】上記のようなロウレベルと終端電圧VTに対応し、電源電圧VDDからみたときに回路の接地電位側にレベルが偏倚した信号がバスライン1を通して伝送される。このような信号レベルVBUS及び基準電圧としての接地電位VREFが入力されるレベルシフト回路では、入力MOSFETと負荷MOSFETのコンダクタンス比に対応して回路の接地電位0Vと電源電圧+5Vの中間電位にレベルシフト動作と、前記のようなオフセットが持たせられている。すなわち、基準電圧VREFを受ける入力回路は、レベルシスト量が入力信号VBUSに対して相対的に約400mV大きくされる。
【0063】上記のようなレベルシフト量に差を持たせる手段として、差動MOSFETQ4,Q5、負荷MOSFETQ6,Q7のコンダクタンス、言い換えるならば、MOSFETのサイズ比を選定することにより容易に、しかも高精度で実現することができる。同図のようなオフセットを持たせる例としては、MOSFETQ4とQ5が同じコンダクタンスであるとき、MOSFETQ7に比べて、MOSFETQ6のコンダクタンスを小さく設定すればよい。すなわち、MOSFETQ6の大きさを、MOSFETQ7より小さく形成するようにすればよい。
【0064】上記のようなオフットとレベルシフト動作によって、その出力信号aとbは、電源電圧VDDのほぼ中点電位付近で電圧bを基準にして伝送される信号aがハイレベル/ロウレベルに変化するものとなる。これを受けて、差動増幅回路(DA)が高感度の動作領域での増幅動作を行うので、上記ハイレベル/ロウレベルの判定を行い、前記のようなCMOSインバータ回路からなる出力回路を通して+5V/0VのようなCMOSレベルの信号に変換して、それが搭載されたLOGICに取り込むことができる。
【0065】図10には、図7に示したような信号伝送回路の動作の一例を説明するための波形図が示されている。この実施例では、電源電圧VDDが+5Vのような電圧を用いた場合を例にして示されている。
【0066】この実施例では、基準電位側のバスライン2の終端抵抗RZが終端電圧VT側に接続されることに応じて、バスライン2を通して伝えられる基準電圧がVTに対応した電圧とされる。これにより、図8のような差動入力回路では、図9の場合とは逆レベルシフト量に差を持たせる例として、MOSFETQ4とQ5が同じコンダクタンスであるとき、MOSFETQ7に比べて、MOSFETQ6のコンダクタンスを大きく設定すればよい。すなわち、MOSFETQ6の大きさを、MOSFETQ7より大きく形成するようにすればよい。
【0067】これにより、入力信号VBUSのレベルシフト量が、基準電圧VREFのレベルシフト量より相対的に大きくされる。このレベルシフト回路の出力信号aとbは、電源電圧VDDのほぼ中点電位付近で電圧bを基準にして伝送される信号aがハイレベル/ロウレベルに変化するものとなる。これを受けて、差動増幅回路(DA)が高感度の動作領域での増幅動作を行うので、上記ハイレベル/ロウレベルの判定を行い、前記のようなCMOSインバータ回路からなる出力回路を通して+5V/0VのようなCMOSレベルの信号に変換して、それが搭載されたLOGICに取り込むことができる。
【0068】図1の実施例にいては、多数の出力回路が動作してマルチビット同時出力する際に生じるスイッチングノイズが前記のような低振幅とされる信号レベルに対して無視できなくなると動作マージンが悪化するという問題が生じる。そこで、前記図4の実施例のように、上記出力回路3の出力MOSFETQ1のオン状態により発生するノイズは、上記直列抵抗RSを介してバスライン2側にも送出されることとなり、それを受ける受信側の差動入力回路7又は8において相殺ないし低減させることができるようになる。
【0069】しかしながら、上記図4の構成では、バスライン1と2に接続されるLOGICが3以上存在し、例えば2つのLOGIC9と10との間で信号伝送を行うときに、それ以外のLOGIC11等において内部回路により信号処理を行うときには、上記バスライン2を通して上記信号伝送動作により発生するノイズがのることになってしまうという問題が生じる。
【0070】図11には、この発明に係る信号伝送回路の更に他の一実施例の回路図が示されている。同図の信号伝送路は、前記図1のような実施例と同様に半導体集積回路装置を含む電子装置が実装されるプリント基板等のような実装基板又は大規模の半導体集積回路に形成される。
【0071】同図には複数ビットのバスに含まれる1ビット分の回路構成が代表的に示され、その1ビット分の信号線1に並走するリファレンス線2が設けられ、信号線1とリファレンス線2の両端はラインの特性インピーダンスに等しい値の終端抵抗RZで終端される。本実施例において信号線1の終端電圧VTは、特に制限されないが、従来技術のGTLバス回路における+1.2Vよりも低い+0.8Vとされる。リファレンス線2は接地電位GNDに終端される。LSI1〜LSI3は上記信号線1及びリファレンス線2に信号端子が結合された複数個の半導体集積回路である。
【0072】各々の半導体集積回路LSI1〜LSI3は、論理回路(LOGIC)9〜11、出力回路3〜5、及び入力回路6〜8を備える。上記半導体集積回路LSI1〜LSI3は、図示しない回路ボードに実装され、その動作電源は当該回路ボードに敷設された接地電位GND及び電源電圧VDDの電源配線から供給される。上記リファレンス線2の終端電位としての接地電位GNDは上記回路ボードの電源配線を介して供給され、また、信号線1の終端電位VTは、特に制限されないが、回路ボード上の電源回路を介して供給される。
【0073】上記出力回路(送信回路)3は、上記信号線1と半導体集積回路の接地電位(回路ボード上の接地電位GND用電源配線を介して半導体集積回路に供給される接地電位)との間に配置され、出力制御信号としてのインバータ回路INV1の出力駆動信号にてスイッチ制御されるNチャンネル型駆動MOSFETQ1と、上記リファレンス線2と半導体集積回路の接地電位との間に配置され上記駆動MOSFETQ1のオン/オフ状態に同期してオン/オフ状態に制御されるNチャンネル型スイッチングMOSFETQ1’とを供える。上記MOSFETQ1とQ1’は、共にオープンドレイン形式であり、本実施例に従えば共にインバータ回路INV1により形成される出力駆動信号にてスイッチ制御される。出力駆動信号は、論理回路9の出力信号を受けて反転出力するインバータINV1ら出力され、バス伝達情報を含む。
【0074】上記入力回路(受信回路)6は、前記実施例と同様に他の半導体集積回路の駆動MOSFETのオン状態によって信号線1に現れるべき電位又はオフ状態によって信号線1に現れるべき電位VTとを識別するための参照電位(リファレンス電圧)とされる入力オフセットを持ち、リファレンス線2のレベルに上記入力オフセットを加えたレベルと上記信号線1のレベルとのレベル差を差動増幅して論理回路9に供給するものである。
【0075】換言すれば、上記入力回路6は、上記駆動MOSFETのオン状態によって信号線1に現れる電位を、接地電位GNDを参照電位として識別できるようにするための入力オフセットを持ち、リファレンス線2のリファレンス入力信号と上記信号線1の信号波形のレベルとのレベル差を差動増幅して論理回路9に供給するものである。入力回路6における入力オフセットは、特に制限されないが、本実施例に従うと、VT/2=+0.4V程度とされる。そのような入力オフセットは、例えば入力回路6における一対の差動回路の回路定数のアンバランスによって形成することができる。
【0076】斯る入力オフセットを持つ入力回路6においては、接地電位GNDが見掛け上リファレンス電圧として入力されるが、実際には接地電位GNDに当該入力オフセットを加えた電圧レベルが回路動作上のリファレンス電圧となって差動増幅される。したがって入力回路6は、リファレンス線2の接地電位GNDに入力オフセットを加えた電圧レベルに対して信号線1の信号波形のレベルが高いか低いかに応じた論理レベルの信号を出力する。尚、論理回路9はそれを含む半導体集積回路の機能に応じた適宜の論理構成を有し、その具体的な論理構成若しくは回路構成は限定されない。
【0077】図11に示された実施例の動作を次に説明する。複数の半導体集積回路LSI1〜3の出力回路3〜5が何れも動作していないとき、信号線1の電位は、終端電圧VTと同じ値となっている。今たとえば、半導体集積回路LSI1の出力回路3の出力動作が選択され、例えば駆動信号によってオープンドレインの駆動MOSFETQ1がオン状態にされると、信号線1の電位は接地電位へ向けて引き下げられる。本実施例ではリファレンス線2は接地電位GNDに終端され、半導体集積回路LSI1〜LSI3の差動入力回路6〜8のリファレンス入力へ接続される。このとき、入力回路6〜8はリファレンス電圧Vrefに相当する入力オフセットを持つので、信号線1の電位が入力オフセット電圧以下まで降下すると、入力動作を行うべき別の半導体集積回路LSI2又はLSI3の入力回路7又は8はその入力の変化を識別することができる。
【0078】図11には1ビット分の構成しか示されていないが、例えば半導体集積回路LSI1に含まれる多数の出力回路によるマルチビット同時出力に際して、多数の駆動MOSFETQ1等が一斉にオン状態されて当該半導体集積回路チップ内の共通の接地電位パターン(半導体集積回路内部において接地電位を供給する配線パターン)に向けて多数の出力回路から電流が供給されると、そのパターン若しくは当該パターンに接続するホディングワイヤーやリード端子などのインダクタンス成分によって当該接地電位パターンの接地電位が変化して不所望なノイズ成分となる。このようなグランドノイズは信号線1に載る前記のような小振幅の送信波形に重畳され、信号線1のレベルを不所望に変化させる。
【0079】この実施例では、上記ノイズは、駆動MOSFETQ1と同相でスイッチ制御されるスイッチングMOSFETQ1’を介してリファレンス線2にも伝達される。換言すれば、信号線1とリファレンス線2には同じグランドノイズが同相で載ることになる。したがって、上記信号線1とリファレンス線2を介して接続される他の半導体集積回路LSI2又はLSI3の入力回路7又は8に伝達される信号線1とリファレンス線2には同じグランドノイズが載っているので、差動増幅に際して当該ノイズは相殺される。このことは、伝送すべき信号のS/Nを向上させ、信号振幅をGTLバス回路の+0.8Vよりも小さな振幅とすることを可能にして、バスによる信号伝送の高速化を実現し、また、信号線の終端電位も+0.8VというようにGTLバス回路よりも低くでき、低消費電力の信号伝送を実現することができる。
【0080】このとき、受信側の半導体集積回路LSI2又はLSI3においては、リファレンス線2に対応して設けられるスイッチMOSFETQ2’及びQ3’は共にオフ状態にされている。それ故、リファレンス線2に意図的に載せられたノイズが、半導体集積回路LSI2及びLSI3の接地電位に伝えられることがない。このため、かかる半導体集積回路LSI2及びLSI3の論理回路10及び11の接地電位に不所望なノイズがのることがないので動作マージンが悪化してしまうという問題も生じない。
【0081】この実施例における入力回路は、前記図8に示された回路が利用される。すなわち、図8を用いて説明を繰り返すならば、次の通りである。接地電位側に偏った小振幅の入力信号を電源電圧VDDと接地電位GNDとの中間レベル程度に電位シフトする高入力インピーダンスのレベルシフト回路LSと、このレベルシフト回路LSの出力を差動増幅する差動増幅回路DAと、この差動増幅回路DA出力をCMOSレベルの信号振幅(VDD例えば5V)に変換するバッファ回路BAから構成される。
【0082】上記レベルシフト回路LSは、上記信号線1の接地電位に偏った微小なレベル変化を、センスアンプDAの増幅動作上最も高感度となる動作点付近でのレベル変化に電位シフトする。即ち、このレベルシフト回路LSは、特に制限されないが、出力のドレイン電位を入力電圧に追従変化させるもので、具体的には、電流増幅トランジスタとしてのPチャンネル型MOSFETQ4,Q5に、ゲートが電源電圧VDDでバイアスされたNチャンネル型MOSFETQ6,Q7が直列接続され、特に制限されないが、MOSFETQ4のゲートに対応した入力端子INBは信号線1が結合され、MOSFETQ5のゲートに対応した入力端子INTはリファレンス線2が結合される。
【0083】上記MOSFETQ4,Q5の共通ソースはゲートが接地電位にバイアスされたPチャンネル型MOSFETQ8を介して電源電圧VDDに結合され、上記MOSFETQ6,Q7の共通ソースは制御信号ENにてスイッチ制御されるパワースイッチMOSFETQ15を介して接地電位に結合される。このレベルシフト回路LSの出力端子は、MOSFETQ4とQ6の結合ノードb、及びMOSFETQ5とQ7の結合ノードaとされる。このレベルシフト回路LSにおける入力電圧に対する出力電圧のレベルシフト量は、MOSFETQ4(Q5)のしきい値電圧、ゲート酸化膜容量やチャネル中のキャリア移動どなどによって決定される定数、及びMOSFETQ6(Q7)のソース・ドレイン電流によって決定され、次段のセンスアンプDAの動作点との関係において例えば5V電源の場合には2V〜2.5V程度に設定されている。
【0084】レベルシフト回路LSの出力負荷は次段のセンスアンプDAの入力ゲート容量だけであるから、レベルシフト回路LSによるレベルシフト動作に要する時間は実質的に無視し得る程短い時間とされる。しかも、レベルシフト回路LSが活性化されるときにはその構造上直流電流パスが形成されるが、レベルシフト回路LSの駆動負荷は極めて小さいから、その直流電流パスの貫通電流が比較的小さくても高速レベルシフト動作には実質的な影響を与えず、これに応じてレベルシフト回路LSを構成するMOSFETの定数は適当に設定される。
【0085】センスアンプDAは、特に制限されないが、ソースが共通接続された差動対を成す一対のNチャンネル型入力MOSFETQ9,Q10と、当該入力MOSFETQ9,Q10のドレイン電極に結合されたカレントミラー負荷を構成するPチャンネル型MOSFETQ11,Q12と、ゲートが電源電圧VDDでバイアスされ上記入力MOSFETQ9,Q10の共通ソースと上記パワースイッチMOSFETQ15のドレインとに結合されたNチャンネル型MOSFETQ14とから成る。カレントミラー負荷を構成するPチャンネル型MOSFETQ11,Q12のソース電極は電源電圧VDDに接続され、それらゲート電極の共通接続端は入力MOSFETQ11のドレイン電極に結合される。上記入力MOSFETQ9,Q10のゲートには、レベルシフト回路LSの出力b,aが夫々供給される。
【0086】図8の入力回路において上記入力オフセットは、特に制限されないが、能動負荷を構成するMOSFETQ11とQ12とのコンダクタンス若しくはゲート幅のアンバランスによって、或は入力MOSFETQ9とQ10の同様なアンバランス、更には上記の能動負荷MOSFETと入力MOSFET双方による同様のアンバランスによって設定する。このような入力オフセットはレベルシフト回路LSにおけるレベルシフト量を左右でアンバランスにすることによって設定してもよい。
【0087】上記MOSFETQ10のドレインはセンスアンプDAの出力として次段のバッファ回路の入力に結合される。バッファ回路は直列接続されたCMOSインバータINV4,INV5によって構成される。CMOSインバータINV5の入力と回路の電源電圧VDDとの間には、特に制限されないが、そのゲートに上記制御信号ENを受けるPチャンネル型プリセットMOSFETQ13が設けられる。CMOSインバータINV5の出力OUTは、前記のような論理回路9等に供給される。
【0088】上記制御信号ENがローレベルとされると、パワースイッチMOSFETQ15がオフ状態となるため、センスアンプDAは非動作状態とされ、MOSFETQ16のドレイン電位は不確定レベルになろうとする。ところが、上記制御信号ENがローレベルとされることでプリセットMOSFTQ13がオン状態となることから、バッファ回路の入力段回路であるCMOSインバータ回路INV4の入力は強制的に回路の電源電圧VDDとされ、かかる入力回路の非活性状態において出力信号OUTは電源電圧VDDのレベルに固定される。
【0089】一方、制御信号ENがハイレベルとされると、パワースイッチMOSFETQ15がオン状態で、且つ、プリセットMOSFETQ13がオフ状態となるため、レベルシフト回路LS及びセンスアンプDAは活性化される。このとき、信号線1とリファレンス線2とのレベルは、レベルシフト回路LSによってその中心レベルがシフトされ、VDD/2のようなバイアスレベルを持つ相補信号b及びaとしてセンスアンプDAに伝達される。この実施例において、センスアンプDAは、前述のように、上記バイアスレベルVDD/2においてその増幅率が最大となるように設計されている。
【0090】図12には本発明の更に他の一実施例に係る信号伝送回路が示されている。同図には、1ビット分の信号線について代表的に示されている。図11に示される実施例ではリファレンス電位に相当する入力オフセットを持った入力回路を要したが、この実施例は、従来技術のGTLバス回路と同様にリファレンス電圧それ自体を受ける形式の入力回路6’〜8’を適用するものである。
【0091】すなわち、図11の実施例との構成上の相違は、リファレンス線2の終端電圧をリファレンス電位Vrefとし、またリファレンス線2に接続される出力回路3〜5のオープンドレイン形式のNチャンネル型スイッチングMOSFETQ1’〜Q3’のソースは回路の接地電位ではなく、例えば半導体集積回路の内部回路で生成されるリファレンス電位Vrefに接続される。
【0092】出力回路3〜5において回路の接地電位とリファレンス電位Vrefとの間には、カップリングコンデンサが接続され、送信側とされる半導体集積回路の接地電位の変動(ノイズ)を当該カップリングコンデンサを通してリファレンス電位Vrefに重畳させてリファレンス線2に与えるようになっている。
【0093】入力回路6’〜9’はその入力動作が論理回路9〜11から指示されると、信号線1のレベルがリファレンス線2のレベルに対して低いか高いかに応じた論理値の信号を当該論理回路9〜11に供給する。入力回路6’〜8’の構成も図8と同様の回路構成を採用することができる。但し本実施例の場合には積極的に入力オフセットを設定する必要はなく、レベルシフト回路LS及びセンスアンプDAにおける夫々の差動回路の回路特性は左右でバランスされるよう構成されている点が図11の実施例に使用される場合との相違とされる。
【0094】図12の実施例においても1ビット分の構成しか示されていないが、1つの半導体集積回路に含まれる多数の出力回路3によるマルチビット同時出力に際して、多数の駆動MOSFETQ1等が一斉にオン状態されて当該半導体集積回路チップLSI1内の共通の接地電位パターンに向けて多数の出力回路3から電流が供給されると、そのパターン若しくは当該パターンに接続するボンディングワイヤーやリード端子などのインダクタンス成分によって当該接地電位パターンの接地電位が変化して不所望なノイズ成分となる。
【0095】このようなグランドノイズは信号線1に載る小振幅の送信波形に重畳され、信号線1のレベルを不所望に変化させる。このとき、当該グランドノイズは、カップリングコンデンサを介してリファレンス電位(参照電位)Vrefに重畳されており、その結果当該グランドノイズは、駆動MOSFETQ1と同相でスイッチ制御されるスイッチングMOSFETQ1’を介してリファレンス線2にも伝達される。換言すれば、信号線1とリファレンス線2には同じグランドノイズが同相で載ることになる。
【0096】したがって、他の半導体集積回路装置LSI2又はLSI3の入力回路7’又は8’に伝達される信号線1とリファレンス線2のレベルには同じスイッチングノイズが載っているので、差動増幅に際して当該ノイズは相殺される。このため、上記図11の実施例同様に、伝送すべき信号のS/Nを向上させ、信号振幅をGTLバス回路の0.8Vよりも小さな振幅とすることを可能にして、バスによる信号伝送の高速化を実現し、受信側とされる半導体集積回路LSI2又はLSI3においては、スイッチングMOSFETQ2’とQ3’がオフ状態にされているから、リファレンス線2に意図的にのせたノイズがその接地電位にまで混入してしまうという不都合を防止することができる。
【0097】この実施例でも、信号線1の終端電位も0.8VというようにGTLバス回路よりも低くでき、低消費電力の信号伝送を実現することができる。特に、本実施例においては、回路ボード上に参照電位Vrefの発生回路を設けなくてはならないが、入力回路6’〜8’には特別なオフセット電圧を設定しなくてもいので、GTLバス回路との共存若しくはGTLバス回路との直接インタフェースが可能である。
【0098】前記図1の実施例のように、基準電圧を回路の接地電位とした場合には、図13の波形図に示すように、終端電圧VTの使用範囲が制限されてしまう。つまり、図13(A)のように、終端電圧VTが前記0.8V程度のように比較的低い場合、信号S1のロウレベルVOL11は駆動MOSFETQ1等のオン抵抗値とそれに流れる電流によって決定される。こように終端電圧VTが比較的低いときには上記ロウレベルVOL11も比較的小さいから接地電位GNDを基準にしたオセットVIOS によってもレベルマージンを確保することができる。
【0099】しかし、終端電圧を高くすると、(B)や(C)のように駆動MOSFETに流れる電流が増大し、信号S2やS3のようにロウレベルVOL12、VOL13のように上昇するのに対して、実質的な基準電圧としてのオフセット電圧VIOS は固定であるから、ロウレベル側のマージンがなくなってしまう。つまり、前記図1や図11等の実施例のように回路の接地電位を基準電位とした場合には、終端電圧VTの設定範囲が狭くなってしまい、終端電圧VTを比較的広い範囲で使用したいシステムでは使い勝手が悪くなる。
【0100】そこで、図7の実施例のように終端電圧VTを基準電圧として使用した場合には、図14(A)、(B)及び(C)のように、終端電圧VTが大きくなることより、信号S1、S2及びS3のロウレベルVOL1 、VOL2 及びVOL3 のように接地電位GNDに対して高くされた場合でも、実質的な基準電圧としてのオフセット電圧VIOS がそれぞれのハイレベルVOH1 、VOH2 及びVOH3 のような終端電圧VTを基準にして設定されているため、終端電圧VTに影響されない。このように、終端電圧VTを基準電圧として用いる構成では、終端電圧VTの設定範囲を広くでき、あるいはその変動の実質的な影響を受けなくできる。
【0101】図15には、この発明に係る信号伝送回路の更に他の一実施例の回路図が示されている。この実施例では、上記終端電圧VTを基準電圧として用いた場合に対応されている。同図の信号伝送路は、前記図1のような実施例と同様に半導体集積回路装置を含む電子装置が実装されるプリント基板等のような実装基板又は大規模の半導体集積回路に形成される。
【0102】同図には複数ビットのバスに含まれる1ビット分の回路構成が代表的に示され、その1ビット分の信号線1に並走するリファレンス線2が設けられ、信号線1とリファレンス線2の両端はラインの特性インピーダンスに等しい値の終端抵抗RZで終端されて終端電圧VTが与えられる。終端電圧VTは、特に制限されないが、前記同様にGTLバス回路における+1.2Vよりも低い+0.8Vとされる。LSI1〜LSI4は上記信号線1及びリファレンス線2に信号端子が結合された複数個の半導体集積回路である。
【0103】各の半導体集積回路LSI1〜LSI4は、論理回路(LOGIC)9〜12、出力回路13〜16、及び入力回路16〜19を備える。上記半導体集積回路LSI1〜LSI4は、図示しない回路ボードに実装され、その動作電源は当該回路ボードに敷設された接地電位GND及び電源電圧VDDの電源配線から供給される。上記信号線1とリファレンス線2の終端電圧VTは、特に制限されないが、回路ボード上の電源回路を介して供給される。
【0104】上記半導体集積回路LSI1に設けられた出力回路(送信回路)13は、上記信号線1とかかる半導体集積回路LSI1の接地電位(回路ボード上の接地電位GND用電源配線を介して半導体集積回路に供給される接地電位)との間に配置され、出力制御信号としてのインバータ回路IG1の出力駆動信号にてスイッチ制御されるNチャンネル型駆動MOSFETQ1と、上記リファレンス線2にカップリングコンデンサ(結合コンデンサ)C1を介して接続される出力端子と半導体集積回路の接地電位との間に配置され、上記同様なインバータ回路IG2の出力駆動信号にて上記駆動MOSFETQ1のオン/オフ状態に同期してオン/オフ状態に制御されるNチャンネル型スイッチングMOSFETQ5とを供える。上記MOSFETQ1とQ5は、共にオープンドレイン形式であり、本実施例に従えばそれぞれに対応して設けられるインバータ回路IG1,IG2により形成される出力駆動信号にてスイッチ制御される。
【0105】上記半導体集積回路LSI1に設けられた入力回路(受信回路)16は、前記実施例と同様に他の半導体集積回路の駆動MOSFETのオン状態によって信号線1に現れるべき電位又はオフ状態によって信号線1に現れるべき電位VTとを識別するための参照電位(リファレンス電圧)とされる入力オフセットを持ち、リファレンス線2のレベルに上記入力オフセットを加えたレベルと上記信号線1のレベルとのレベル差を差動増幅して論理回路9に供給するものである。ただし、入力回路16には、リファレンス線2のレベルを取り込むための専用の入力端子が設けられる。つまり、この実施例では、前記のようなカップリングコンデンサC1が設けられているので、半導体集積回路LSI1の内部で出力回路13の基準電圧側の駆動MOSFETQ5のドレインと接続できない。MOSFETQ5と並列接続される抵抗R5は、MOSFETQ5がオフ状態のときにカップリングコンデンサC1に終端電圧VTを定常的に印加させるバイアス回路を構成する。
【0106】換言すれば、上記入力回路16は、上記駆動MOSFETのオン状態によって信号線1に現れる電位を、終端電圧VTを参照電位として識別できるようにするための入力オフセットを持ち、リファレンス線2のリファレンス入力信号と上記信号線1の信号波形のレベルとのレベル差を差動増幅して論理回路9に供給するものである。入力回路16における入力オフセットは、特に制限されないが、本実施例に従うと、VT/2=+0.4V程度とされる。そのような入力オフセットは、例えば入力回路16における一対の差動回路の回路定数のアンバランスによって形成することができる。
【0107】斯る入力オフセットを持つ入力回路16においては、終端電圧VTが見掛け上リファレンス電圧として入力されるが、実際には終端電圧VTに当該入力オフセットを加えた電圧レベルが回路動作上のリファレンス電圧となって差動増幅される。したがって入力回路16は、リファレンス線2の終端電圧VTに入力オフセットを加えた電圧レベルに対して信号線1の信号波形のレベルが高いか低いかに応じた論理レベルの信号を出力する。尚、論理回路9はそれを含む半導体集積回路の機能に応じた適宜の論理構成を有し、その具体的な論理構成若しくは回路構成は限定されない。他の半導体集積回路LSI2〜LSI4に設けられる出力回路14〜16及び入力回路17〜19も、前記同様な回路により構成される。
【0108】図15に示された実施例の動作を次に説明する。複数の半導体集積回路LSI1〜4の出力回路13〜16が何れも動作していないとき、信号線1の電位は、終端電圧VTと同じ値となっている。今たとえば、半導体集積回路LSI1の出力回路13の出力動作が選択され、例えば駆動信号によってオープンドレインの駆動MOSFETQ1がオン状態にされると、信号線1の電位は接地電位へ向けて引き下げられる。本実施例ではリファレンス線2は終端電圧VTに終端され、半導体集積回路LSI1〜LSI4の差動入力回路16〜19のリファレンス入力へ接続される。このとき、入力回路16〜19はリファレンス電圧Vrefに相当する入力オフセットを持つので、信号線1の電位が入力オフセット電圧以下まで降下すると、入力動作を行うべき別の半導体集積回路LSI2〜LSI4のいずれか少なくとも1つの入力回路においてはその入力の変化を識別することができる。
【0109】図15には1ビット分の構成しか示されていないが、例えば半導体集積回路LSI1に含まれる多数の出力回路によるマルチビット同時出力に際して、多数の駆動MOSFETQ1等が一斉にオン状態されて当該半導体集積回路チップ内の共通の接地電位パターン(半導体集積回路内部において接地電位を供給する配線パターン)に向けて多数の出力回路から電流が供給されると、そのパターン若しくは当該パターンに接続するホディングワイヤーやリード端子などのインダクタンス成分によって当該接地電位パターンの接地電位が変化して不所望なノイズ成分となる。このようなグランドノイズは信号線1に載る前記のような小振幅の送信波形に重畳され、信号線1のレベルを不所望に変化させる。
【0110】この実施例では、上記ノイズは、駆動MOSFETQ1と同相でスイッチ制御されるスイッチングMOSFETQ5とカップリングコンデンサC1を介してリファレンス線2にも伝達される。換言すれば、信号線1とリファレンス線2には同じグランドノイズが同相で載ることになる。したがって、上記信号線1とリファレンス線2を介して接続される他の半導体集積回路LSI2〜LSI4のいずれか少なくとも1つの入力回路に伝達される信号線1とリファレンス線2には同じグランドノイズが載っているので、差動増幅に際して当該ノイズは相殺される。このことは、伝送すべき信号のS/Nを向上させ、信号振幅をGTLバス回路の+0.8Vよりも小さな振幅とすることを可能にして、バスによる信号伝送の高速化を実現し、また、信号線の終端電位も+0.8VというようにGTLバス回路よりも低くでき、低消費電力の信号伝送を実現することができる。
【0111】このとき、受信側の半導体集積回路LSI2〜LSI4においては、リファレンス線2に対応して設けられるスイッチMOSFETQ6〜Q8は共にオフ状態にされている。それ故、リファレンス線2に意図的に載せられたノイズが、半導体集積回路LSI2〜LSI4の接地電位に伝えられることがない。このため、かかる半導体集積回路LSI2〜LSI4の論理回路10〜12の接地電位に不所望なノイズがのることがないので動作マージンが悪化してしまうという問題も生じない。
【0112】図16には、この発明に係る信号伝送回路の更に他の一実施例の回路図が示されている。この実施例では、上記終端電圧VTを基準電圧として用いた場合に対応されている。同図の信号伝送路は、前記図1のような実施例と同様に半導体集積回路装置を含む電子装置が実装されるプリント基板等のような実装基板又は大規模の半導体集積回路に形成される。
【0113】この実施例では、上記信号線1及びリファレンス線2に信号端子が結合された複数個の半導体集積回路LSI1〜LSI4の相互で、信号の受信を行うものではなく、半導体集積回路LSI1を信号の発信専用とし、他の半導体集積回路LSI2〜LSI4を受信専用とするものである。この構成では、発信専用とされる半導体集積回路LSI1には入力回路16は基本的には不要であるが、出力信号のモニターを行うため等に設けられている。
【0114】上記のように半導体集積回路LSI1〜LSI4が受信専用とされるため、発信専用とされる半導体集積回路LSI1の出力回路13は、駆動MOSFETQ9と、そこで発生する接地電位のノイズをそのまま出力端子を介して出力させる。出力端子にはカップリングコンデンサC5によりリファレンス線2に接続される。このように、信号の伝送が一方向にのみ行われる場合には、出力回路の簡素化が図られる。
【0115】図17には、上記図15の実施例における1ビット分の出力回路と入力回路の一部の一実施例のレイアウト図が示されている。同図の回路素子を構成する各パターンは、公知の半導体集積回路の製造技術により単結晶シリコンのような半導体基板上において形成される。
【0116】32は第2層目のアルミニュウム層からなり、回路の接地電位を供給する配線とされる。33も第2層目のアルミニュウム層からなり、電源電圧VDDを供給する配線とされる。上記接地配線32の下側には、駆動MOSFETQ1とQ5が形成される。39と40は第1層目のアルニュウム層からなり、出力MOSFETQ5とQ1のドレインに接続される。42も第1層目のアルニュウム層からなり、出力MOSFETQ5とQ1のソースに接続されるとともに、そのまま延びてCMOSインバータ回路IG1とIG5を構成するNチャンネル型MOSFETのソースと接続される。そして、この配線42は、上記第2層目のアルミニュウム層32に接続されて回路の接地電位が与えられる。
【0117】37と38は、MOSFETQ5とQ1のゲート電極を構成するポリシリコン層であり、1層目のアルミニュウム層からなる配線48と49により、上記CMOSインバータ回路IG5とIG1の出力であるPチャンネル型MOSFETとNチャンネル型MOSFETのドレインに接続される。48−1と49−1は、ポリシリコン層からなり、上記CMOSインバータ回路IG5とIG1を構成するNチャンネル型MOSFETとPチャンネル型MOSFETのゲート電極を構成するとともに、配線により共通接続されて図示しない論理回路に接続されて、出力すべき信号が伝えられる。
【0118】R5は、駆動MOSFETQ5のドレインが接続された出力端子39に接続されるカップリングコンデンサに定常的にバイアス電圧を与える抵抗であり、MOSFETのゲート電極と同時に形成されるポリシリコン層により構成される。この抵抗R5の一端は、回路の接地電位を与える配線42に接続され、他端は上記出力端子39と一体的に形成される配線に接続される。
【0119】41は、入力端子であり、図示しない入力回路の入力端子と接続される。42は、上記同様に入力回路に接地電位を与える内部配線である。34、35及び36は、上記出力回路と入力回路のセル領域を示すものである。このように出力回のセル34と35を近接して配置することにより、駆動MOSFETQ1のスイッチング動作によって接地電位を与える配線にノイズが重畳した場合でも、Q5がQ1に隣接して配置されているため、同一のノイズをリファレンス線2に出力させることができる。
【0120】図18には、この発明に係る情報処理システムの一実施例のブロック図が示されている。この実施例は、特に制限されないが、ワークステーションのような高速で高性能の情報処理システムに向けられている。
【0121】高速で高性能のプロセッサユニットPUと、前記実施例のような信号伝送回路からなるAバス(高速バス)により、バイポーラ型トランジスタ又はバイポーラ型トランジスタとCMOS回路を組み合わせて構成されたBi−CMOS構成の高速メモリM1及びインターフェイスINFと接続される。
【0122】上記プロセッサユニットPUは、上記Aバスを通して高速に高速メモリM1等をアクセスしてデータ処理を行う。上記Aバスには、少数点演算や画像処理等の専門のデータ処理を持つ、コプロサッサユニット等の周辺装置が必要に応じて接続される。
【0123】上記Aバスは、超LSIにより構成される高速、高性能プロセッサユニットそのものに設けられる内部バスであってもよい。この場合には、Aバスは半導体集積回路内に形成される。この場合、外来ノイズの影響が小さいことと、終端抵抗での発熱を最小に抑えるために終端電圧VTは極限まで小さくされる。例えば、前記のように0.5V程度まで小さくされる。
【0124】上記インターフェイスINFは、上記AバスとBバスとの間の相互の信号伝達動作を行う機能を持つ。Bバスも、特に制限されないが、前記実施例のような高速で低消費電力のバス回路が用いられる。このBバスには、CMOSスタティック型RAM等のように比較的高速のメモリ装置M2等が接続される。このBバスには、メモリ装置M2の他、システムの性能や機能に応じて必要とされる他の比較的高速の周辺回路が設けられる。
【0125】上記インターフェイスINFは、上記AバスとCバスとの間の相互の信号伝達動作を行う機能も持つ。Cバスは、従来より広く用いられているような汎用のTTLバスから構成される。これにより、比較的動作が遅くてよいダイナミック型RAMのようなメモリ装置M3や、磁気ディスク用のコントロール回路、ディスプレイ装置、プリンタ、あるいはキーボードといったような入出力装置I/Oが接続される。
【0126】このようなCバスもシステム内に組み込むことにより、動作速度が要求されない周辺回路を、既存のメモリ装置、入出力装置及びバス回路をそのまま流用できるという利点が生じる。
【0127】すなわち、この実施例の情報処理システムでは、表示装置やプリンタ、キーボードといったようなデータ転送の速度が遅くてよいものは従来のTTLバスに接続し、データ転送の速度を速くしたり、その消費電力が問題になる部分では、本発明に係る信号伝送回路を用いるようにすることによって、合理的で効率的な情報処理システムを構成することができる。
【0128】図19には、上記信号伝送回路が適用されたワークステーションシステムの他の一実施例のブロック図が示される。この実施例のワークステーションシステムは各種データ処理を行う高性能プロセッサユニット57、高性能プロセッサユニット57のワーク領域及びデータの一時記憶領域などとされる高速メモリユニット58、各種周辺装置とインタフェースされるI/Oコントロールユニット61、その他周辺LSIとして位置付けられるような一般目的のLSI60、及び上記それらのインタフェース制御を行うためのインタフェースLSI59を備える。
【0129】上記高性能プロセッサユニット57とインタフェースLSI59はバス70によって結合され、インタフェースLSI63と高速メモリユニッ62はバス(A)によって結合される。インタフェースLSI59、I/Oコントロールユニット61、及び一般目的のLSI60はTTLインタフェースバス(C)によって結合される。
【0130】このワークステーションシステムにおいて上記バス(A)及び(C)が上記信号線1とリファレンス線2を用いた低消費電力型の高速バスとされる。そして、高性能プロセッサユニット57、インタフェースユニット59、高速メモリユニット58は、図11又は図15等において説明した半導体集積回路LSI1〜LSI4に代表される半導体集積回路によって構成される。したがって、高速プロセッサユニット57と高速メモリユニット58との間でのデータ伝送に際してグランドノイズによる誤動作を防止できるので、その信号振幅を従来のGTLバス回路より小さくしても、高い信頼性を以って高速信号伝送を実現できる。
【0131】図20には、上記ワークステーションシステムの一実施例の外観図が示されている。高速バスにより構成されるシステム全体はシステムボード62に搭載される。高性能プロセッサユニット57は、それぞれがモジュールボード63に搭載されたプロセッサLSI65から構成される。1つのモジュールボード63に搭載されたプロセッサLSI65間の伝送路は、かかるモジュールボード上に形成されたプリント配線により構成される。複数のモジュールボード間の接続は、システムボードに設けられたコネクタとシステムボードに形成されたプリント配線により行われる。
【0132】同様に、高速メモリユニット58は、それぞれがモジュールボード64に搭載された高速メモリLSI66から構成される。1つのモジュールボード64に搭載された高速メモリLSI66に対するアクセスは、かかるモジュールボード上に形成されたプリント配線、システムボードに設けられたコネクタとシステムボードに形成されたプリント配線からなる信号線1とリリファレンス線2により構成される高速バスにより行われる。システムボード62には、インタフェースユニット59を構成するインターフェイスLSI67が搭載され、かかるシステムボード62上に形成されたプリント配線により接続される。
【0133】低速用バスからなるシステムは、他のシステムボード上に纏められて構成される。上記インターフェイスLSI67を通した低速バスは、それが搭載されたシステムボード62に形成されたプリント配線及び図示しないコネクタを介してフラットケーブル等の配線手段を通して上記システムボードの低速バスと接続される。
【0134】図21には、上記高速バスにおける信号線1とリファレンス線2とのパターン図が示されている。同図(A)のバスは、0からnまでのn+1ビットのバスにおいて信号線1とリファレンス線2を一本対一本で対応させて設けた例である。この場合には、各出力ビットの信号線1及びリファレンス線2には完全同相のノイズが載り、駆動MOSFETQ1のスイッチングノイズをキャンセルする作用を完全化することができる。また、全ての隣接信号線1の間にはリファレンス線2が介在されるから、接地電位GND又は電源電圧VTなどが与えられるリファレンス2はシールド線として機能され、隣接信号線間の容量性カップリングによるノイズの影響などを最小限にすることができる。
【0135】同図(B)は8本の信号線毎に1本のリファレンス線2を共有させる構成であり、(C)は16本の信号線毎に1本のリファレンス線2を共有させる構成である。(B)及び(C)の構成は、リファレンス線2を共有する信号線1の1本でも駆動トランジスタQ1等のスイッチングノイズを受けると、当該共有されるリファレンス線2にも同相でそのノイズが載るため、当該スイッチングノイズを受けない信号線の入力回路にとってリファレンス線2のそのようなノイズ成分は不所望な成分となる。但し、複数の信号線に共有されるリファレンス線2に与えられるその様なノイズの変化若しくはピーク値は信号線に一対一対応されるリファレンス線に与えられるノイズに比べて小さくされるから、1本のリファレンス線2が共有される信号線1の本数を適当に制限することによって、駆動トランジスタQ1等のスイッチングノイズによる影響を同様に解消することができる。
【0136】上記の実施例から得られる作用効果は、下記の通りである。すなわち、(1) 信号の伝送路と基準電圧の伝送路とを並走するようにされた一対のペア配線を用い、信号の伝送路の特性インピーダンスに整合した終端抵抗を終端電圧に接続するとともに、基準電圧の伝送路の特性インピーダンスに整合した終端抵抗を上記終端電圧又は回路の接地電位に接続し、それに接続される送信回路をオープンドレイン出力回路を用いて信号伝送を行う方法ないし構成により、伝送される信号は、終端電圧に対応した小振幅にすることができ、そこでの電力消費を大幅に低減させることができるという効果が得られる。
【0137】(2) 信号の伝送路と基準電圧の伝送路とを並走するようにされた一対のペア配線を用い、信号の伝送路の特性インピーダンスに整合した終端抵抗を終端電圧に接続するとともに、基準電圧の伝送路の特性インピーダンスに整合した終端抵抗を上記終端電圧又は回路の接地電位に接続し、それに接続される受信回路を上記終端電圧の約1/2に設定されたオフセットが設けられた差動入力回路を用いることにより、信号伝送路にのるコモンモードのノイズが差動入力回路により相殺され、しかもオフセットによって高精度の基準電圧が設定できるから上記の小振幅の信号に対して十分なレベルマージンを採ることができるという効果が得られる。
【0138】(3) 上記出力回路の出力端子と信号伝送路の接続点との間に直列抵抗を設けることによって、バスラインの接続点における特性インピーダンスの乱れを小さくでき、これによりそこでの電圧反射も小さくなるから低振幅の信号伝達と相俟って高速な信号伝送を行わせることができるという効果が得られる。
【0139】(4) 上記出力回路としてオープンドレインの出力回路を用いることにより、ワイヤードオア論理が採れるとともに、それぞれが異なる種類の電源電圧を持つ複数のディジタル回路を接続して相互に信号伝達を行わせることができるという効果が得られる。
【0140】(5) 上記駆動MOSFETのターン・オン又はターン・オフによって生ずる半導体集積回路内部でのグランドノイズは、駆動MOSFETを介して信号線1に伝達され、また、当該駆動MOSFETと同期してスイッチ制御されるスイッチングMOSFETを介してリファレンス線2にも伝達されるので、信号線1及びリファレンス線2にその様なグランドノイズを同相で載せることができ、入力回路に伝達される信号線1とリファレンス線2のレベルには同じノイズが載っているので、差動増幅に際して当該ノイズを相殺することができる。したがって、伝送すべき信号のS/Nを向上させ、信号振幅の低振幅化により高速化と低消費電力化を図ることができるという効果が得られる。
【0141】(6) 上記(5)の構成では、信号送出を行う出力回路においてのみ、駆動トランジスタと同期してグランドノイズをリファレンス線に伝えるスイッチMOSFETがオン状態にされるから、受信を行う半導体集積回路を含めた送信側以外の半導体集積回路では、上グランドノイズが接地電位に伝わるのを防止することができるという効果が得られる。
【0142】(7) リファレンス線を接地電位GND又は終端電圧VTに終端させる構成においては、回路ボード上に参照電位Vrefを発生させる回路が不要にできるという効果が得られる。
【0143】(8) リファレンス線2に直接参照電位Vrefを供給する場合には、回路ボード上に参照電位Vrefの発生回路を設けなければならないが、入力回路には特別な入力オフセットを設定しなくてもよいので、既存のGTLバス回路との共存若しくはGTLバス回路との直接インタフェースが可能になるという効果が得られる。
【0144】(9) 信号線1とリファレンス線2を一対一対応させてバスを構成する場合には、各出力ビットの信号線1及びリファレンス線2には完全同相のノイズが載り、駆動MOSFETのスイッチングノイズをキャンセルする作用を完全化することができる。また、全ての隣接信号線1の間にはリファレンス線2が介在されるから、接地電位GNDや終端電圧VTなどが与えられるリファレンス2はシールド線として機能され、隣接信号線間の容量性カップリングによるノイズの影響を最小限にすることができるという効果が得られる。
【0145】(10) リファレンス線2を複数の信号線1に共有させてバスを構成する場合には、グランドノイズによる誤動作防止のマージンが小さくされるが、リファレンス線の本数を減らすことができるという効果が得られる。
【0146】(11) リファレンス線2に基準電圧として終端電圧VTを供給し、それを基準にした入力回路のオフセット電圧により実質的な参照電圧を形成することにより、終端電圧が大きく変動した場合のレベルマージンの確保や、終端電圧の設定幅を広くしても所望のレベルマージンを確保できるという効果が得られる。
【0147】(12) 上記の高速バス回路を用いた高速情報処理部と、従来の低速バスを用いた低速情報処理部とをインターフェイス回路を介して相互に接続して階層的にシステムを構築することにより、それぞれの信号伝達速度に応じた効率のよい情報処理が行えるという効果が得られる。
【0148】以上本発明者によってなされた発明を実施例に基づいて具体的に説明したが、本発明はそれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは言うまでもない。例えば、信号伝送回路を構成する半導体集積回路は必ずしも上記実施例の出力回路と入力回路の双方を備えなくてもよく、個々の半導体集積回路の機能に応じて決定される性質のものである。また、信号線の終端電圧や参照電位は上記実施例に限定されず適宜変更可能であり、入力回路も上記実施例の回路構成に限定されない。また、駆動トランジスタ及びスイッチングトランジスタの導電型は上記実施例に限定されなく、バイポーラ型トランジスタを用いるものであってもよい。
【0149】図12や図15の実施例のようにカップリングコンデンサを用いる場合、かかるコンデンサを半導体集積回路に内蔵させるものであってもよい。この場合、小さな占有面積で大きな容量値を得るために、誘電体膜として強誘電体膜を利用するものであってもよい。あるいは、上記半導体集積回路チップとカップリングコンデンサとをモジュール化して1つのパッケージに収めるようにしてもよい。このようにすると、1ビット当たりの端子数を2本にすることができる。
【0150】上記の信号伝送回路は、高速コンピュータ等における1つの信号処理ユニット内の信号伝送回路として用いるものであってもよい。すなわち、信号の伝送線路の長さが比較的短くてよく、しかも信号伝達を低消費電力で高速に行う必要のある回路及びシステムに広く利用できる。
【0151】
【発明の効果】本願において開示される発明のうち代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば、下記の通りである。すなわち、信号の伝送路と基準電圧の伝送路とを並走するようにされた一対のペア配線を用い、信号の伝送路の特性インピーダンスに整合した終端抵抗を終端電圧に接続するとともに、基準電圧の伝送路の特性インピーダンスに整合した終端抵抗を上記終端電圧又は回路の接地電位に接続し、それに接続される送信回路をオープンドレイン出力回路を用いて信号伝送を行う方法ないし構成により、伝送される信号は、終端電圧に対応した小振幅にすることができ、そこでの電力消費を大幅に低減させることができる。
【0152】信号の伝送路と基準電圧の伝送路とを並走するようにされた一対のペア配線を用い、信号の伝送路の特性インピーダンスに整合した終端抵抗を終端電圧に接続するとともに、基準電圧の伝送路の特性インピーダンスに整合した終端抵抗を上記終端電圧又は回路の接地電位に接続し、それに接続される受信回路を上記終端電圧の約1/2に設定されたオフセットが設けられた差動入力回路を用いることにより、信号伝送路にのるコモンモードのノイズが差動入力回路により相殺され、しかもオフセットによって高精度の基準電圧が設定できるから上記の小振幅の信号に対して十分なレベルマージンを採ることができる。
【0153】上記出力回路の出力端子と信号伝送路の接続点との間に直列抵抗を設けることによって、バスラインの接続点における特性インピーダンスの乱れを小さくでき、これによりそこでの電圧反射も小さくなるから低振幅の信号伝達と相俟って高速な信号伝送を行わせることができる。
【0154】上記出力回路としてオープンドレインの出力回路を用いることにより、ワイヤードオア論理が採れるとともに、それぞれが異なる種類の電源電圧を持つ複数のディジタル回路を接続して相互に信号伝達を行わせることができる。
【0155】上記駆動MOSFETのターン・オン又はターン・オフによって生ずる半導体集積回路内部でのグランドノイズは、駆動MOSFETを介して信号線1に伝達され、また、当該駆動MOSFETと同期してスイッチ制御されるスイッチングMOSFETを介してリファレンス線2にも伝達されるので、信号線1及びリファレンス線2にその様なグランドノイズを同相で載せることができ、入力回路に伝達される信号線1とリファレンス線2のレベルには同じノイズが載っているので、差動増幅に際して当該ノイズを相殺することができる。したがって、伝送すべき信号のS/Nを向上させ、信号振幅の低振幅化により高速化と低消費電力化を図ることができる。
【0156】上記の構成では、信号送出を行う出力回路においてのみ、駆動トランジスタと同期してグランドノイズをリファレンス線に伝えるスイッチMOSFETがオン状態にされるから、受信を行う半導体集積回路を含めた送信側以外の半導体集積回路では、上グランドノイズが接地電位に伝わるのを防止することができる。
【0157】リファレンス線を接地電位GND又は終端電圧VTに終端させる構成においては、回路ボード上に参照電位Vrefを発生させる回路が不要にできる。
【0158】リファレンス線2に直接参照電位Vrefを供給する場合には、回路ボード上に参照電位Vrefの発生回路を設けなければならないが、入力回路には特別な入力オフセットを設定しなくてもよいので、既存のGTLバス回路との共存若しくはGTLバス回路との直接インタフェースが可能になる。
【0159】信号線1とリファレンス線2を一対一対応させてバスを構成する場合には、各出力ビットの信号線1及びリファレンス線2には完全同相のノイズが載り、駆動MOSFETのスイッチングノイズをキャンセルする作用を完全化することができるとともに、全ての隣接信号線1の間にはリファレンス線2が介在されるから、接地電位GNDや終端電圧VTなどが与えられるリファレンス2はシールド線として機能され、隣接信号線間の容量性カップリングによるノイズの影響を最小限にすることができる。
【0160】リファレンス線2を複数の信号線1に共有させてバスを構成する場合には、グランドノイズによる誤動作防止のマージンが小さくされるが、リファレンス線の本数を減らすことができる。
【0161】リファレンス線2に基準電圧として終端電圧VTを供給し、それを基準にした入力回路のオフセット電圧により実質的な参照電圧を形成することにより、終端電圧が大きく変動した場合のレベルマージンの確保や、終端電圧の設定幅を広くしても所望のレベルマージンを確保できる。
【0162】上記の高速バス回路を用いた高速情報処理部と、従来の低速バスを用いた低速情報処理部とをインターフェイス回路を介して相互に接続して階層的にシステムを構築することにより、それぞれの信号伝達速度に応じた効率のよい情報処理が行える。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る信号伝送回路(バス回路)の一実施例を示す回路図である。
【図2】この発明に係る信号伝送回路の他の一実施例を示す回路図である。
【図3】図2のバスライン1の特性インピーダンスを説明するための概念図である。
【図4】この発明に係る信号伝送回路の他の一実施例を示す回路図である。
【図5】この発明に係る信号伝送回路の他の一実施例を示す回路図である。
【図6】この発明に係る信号伝送回路の他の一実施例を示す回路図である。
【図7】この発明に係る信号伝送回路の更に他の一実施例を示す回路図である。
【図8】この発明に係る差動入力回路の一実施例を示す回路図である。
【図9】図1の実施例回路の動作の一例を説明するための波形図である。
【図10】図7の実施例回路の動作の一例を説明するための波形図である。
【図11】この発明に係る信号伝送回路の更に他の一実施例を示す回路図である。
【図12】この発明に係る信号伝送回路の更に他の一実施例を示す回路図である。
【図13】この発明に係る信号伝送回路における接地電位をリファレンスとした場合の動作の一例を説明するための波形図である。
【図14】この発明に係る信号伝送回路における終端電圧をリファレンスとした場合の動作の一例を説明するための波形図である。
【図15】この発明に係る信号伝送回路の更に他の一実施例を示す回路図である。
【図16】この発明に係る信号伝送回路の更に他の一実施例を示すの回路図である。
【図17】図15の出力回路と入力回路の一部の一実施例を示すレイアウト図である。
【図18】この発明に係る情報処理システムの一実施例を示すブロック図である。
【図19】上記信号伝送回路が適用されたワークステーションシステムの他の一実施例を示すブロック図である。
【図20】図19のワークステーションシステムの一実施例を示す外観図である。
【図21】この発明に係る高速バスにおける信号線1とリファレンス線2の一実施例を示すパターン図である。
【図22】従来技術(GTL)の一例を説明するための回路図である。
【符号の説明】
1…信号のバスライン(信号線)、2…基準電圧のバスライン(リファレンス線)、3〜5,13〜16…出力回路、6〜8,16〜19…差動入力回路、9〜12…LOGIC(情報処理回路又は論理回路)、32…GNDパターン(第2層目アルミニュウム)、34…VDDパターン(第2層目アルミニュウム)、34〜36…入出力セル領域、37〜38…ゲートポリシリコンパターン、39〜40…出力端子、41…入力端子、42〜43…配線パターン(第1層目アルミニュウム)、45,47…Nチャンネル型MOSFETの拡散層、44,46…Pチャンネル型MOSFETの拡散層、48−1,49−1…ゲートポリシリコンパターン、VT…終端電圧、RZ…終端抵抗、VDD,VDD1〜VDD3…LOGIC電源電圧、Q1〜Q19…MOSFET、INV1〜INV3,IG1〜IG9…インバータ回路、RS…直列抵抗、PU…プロセッサユニット、M1〜M3…メモリ装置、INF…インターフェイス回路、I/O…入出力装置。LSI1〜LSI4…半導体集積回路。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 並走するようにされた一対の配線の一方を信号の伝送路として両端にその特性インピーダンスに整合した終端抵抗を介して終端電圧を供給し、上記一対の配線の他方を基準電圧の伝送路として両端にその特性インピーダンスに整合した終端抵抗を介して上記終端電圧又は回路の接地電位を供給し、送信側からは接地電位と出力端子の間に設けられた駆動トランジスタにより信号送出を行い、受信側では上記終端電圧の約1/2に設定されたオフセット電圧により基準電圧を発生し、上記終端電圧が供給された増幅トランジスタと入力信号が供給された増幅トランジスタとが差動動作を行うようにして信号受信を行うことを特徴とする信号伝送方法。
【請求項2】 信号の伝送路と基準電圧の伝送路とを並走するようにされた一対の配線により構成し、信号側配線の両端と終端電圧との間にその特性インピーダンスに整合した終端抵抗を接続し、基準電圧側配線の両端と終端電圧又は回路の接地電位との間にその特性インピーダンスに整合した終端抵抗を接続し、上記信号伝送路の任意の箇所に設けられる受信回路を上記終端電圧の約1/2に設定されたオフセット電圧により伝送路の基準電圧を受ける増幅トランジスタと伝送路を通して入力された入力信号を受ける増幅トランジスタとが差動動作を行うようにされた入力段回路により構成し、送信回路を接地電位と出力端子との間に設けられた駆動トランジスタにより構成してなることを特徴とする信号伝送回路。
【請求項3】 上記出力回路は、オープンドレイン出力回路であり、その出力端子と信号伝送路の接続点との間にインピーダンス整合用の直列抵抗が設けられ、これと同様な抵抗が回路の接地電位と基準電圧の伝送路の接続点との間に設けられるものであることを特徴とする請求項2の信号伝送回路。
【請求項4】 上記伝送路は複数対の配線からなり、受信回路と送信回路とは複数対の配線に対して複数回路が設けられるものであることを特徴とする請求項1、請求項2又は請求項3の信号伝送回路。
【請求項5】 両端に終端抵抗を介して終端電圧を受ける第1の配線と、上記第1の配線に並設されてなり、両端に終端抵抗を介して回路の接地電位を受ける第2の配線と、上記第1及び第2の配線に結合される出力回路を有する第1の半導体集積回路と、上記第1及び第2の配線に結合される入力回路を有する第2の半導体集積回路とを備え、上記出力回路は、上記第1の配線と回路の接地電位との間に配置され出力信号にてスイッチ制御される駆動トランジスタと、上記第2の配線と回路の接地電位との間に配置され上記駆動トランジスタのオン/オフ状態に同期してスイッチ制御されるスイッチングトランジスタとを含み、上記入力回路は、上記終端電圧の約1/2に設定されたオフセット電圧により第2の配線の接地電位が供給された増幅トランジスタと上記第1の配線から伝えられる入力信号が供給された増幅トランジスタとが差動動作を行うような入力段回路を含むものであることを特徴とする信号伝送回路。
【請求項6】 両端に終端抵抗を介して終端電圧をそれぞれ受ける複数の第1の配線と、これに対応して並設されてなり、両端に終端抵抗を介してそれぞれ回路の接地電位を受ける複数の第2の信号線とによって構成されるバスラインと、上記バスラインにおいて対を成す第1及び第2の配線毎に各別に結合される複数の出力回路を有する第1の半導体集積回路と、上記バスラインにおいて対を成す第1及び第2の配線毎に各別に結合される複数の入力回路を有する第2の半導体集積回路とを備え、上記それぞれの出力回路は、上記第1の配線と回路の接地電位との間に配置され出力信号にてスイッチ制御される駆動トランジスタと、上記第2の配線と回路の接地電位との間に配置され上記駆動トランジスタのオン/オフ状態に同期してスイッチ制御されるスイッチングトランジスタとを含み、上記それぞれの入力回路は、上記終端電圧の約1/2に設定されたオフセット電圧により第2の配線の接地電位が供給された増幅トランジスタと上記第1の配線から伝えられる入力信号が供給された増幅トランジスタとが差動動作を行う入力段回路を含むものであることを特徴とする信号伝送回路。
【請求項7】 複数ビットからなる出力信号を並列出力可能とされた複数からなる出力回路を備えた第1の半導体集積回路と、複数ビットからなる並列入力可能とされた複数からはなる入力回路とを備えた第2の半導体集積回路と、両端に終端抵抗を介して終端電圧を受け、上記出力回路及び入力回路がそのビット対応で結合される複数の第1の配線と、両端に終端抵抗を介して回路の接地電位を受け、複数ビット分を一群とする上記出力回路及び入力回路毎に、又は全ビット分の上記出力回路及び入力回路毎に共通接続された複数若しくは単数の第2の配線とを備え、上記それぞれの出力回路は、上記第1の配線と回路の接地電位との間に配置され出力信号にてスイッチ制御される駆動トランジスタと、上記第2の配線と回路の接地電位との間に配置され上記駆動トランジスタのオン/オフ状態に同期してスイッチ制御されるスイッチングトランジスタとを含み、上記それぞれの入力回路は、上記終端電圧の約1/2に設定されたオフセット電圧により第2の配線の接地電位が供給された増幅トランジスタと上記第1の配線から伝えられる入力信号が供給された増幅トランジスタとが差動動作を行う入力段回路を含むものであることを特徴とする信号伝送回路。
【請求項8】 両端に終端抵抗を介して終端電圧を受ける第1の配線と、上記第1の信号線に並設されてなり、両端に終端抵抗を介して参照電位を受ける第2の配線と、上記第1及び第2の信号線に結合される出力回路を有する第1の半導体集積回路と、上記第1及び第2の配線に結合される入力回路を有する第2の半導体集積回路とを備え、上記出力回路は、上記第1の配線と回路の接地電位との間に配置され出力信号にてスイッチ制御される駆動トランジスタと、上記第2の配線と参照電位との間に配置され上記駆動トランジスタのオン/オフ状態に同期してオン/オフ状態にスイッチ制御されるスイッチングトランジスタとを含み、上記入力回路は、第1の配線のレベルと第2の配線のレベルとの差を差動増幅する差動増幅回路を含むものであることを特徴とする信号伝送回路。
【請求項9】 両端に終端抵抗を介して終端電圧を受ける複数の第1の配線とこれに対応して並設されて参照電位を受ける第2の信号線とによって構成される複数ビット分のバスラインと、上記バスラインにおいて対を成す第1及び第2の配線毎に各別に結合される複数の出力回路を有する第1の半導体集積回路と、上記バスラインにおいて対を成す第1及び第2の配線毎に各別に結合される複数の入力回路を有する第2の半導体集積回路とを備え、上記それぞれの出力回路は、上記第1の配線と回路の接地電位との間に配置され出力制御信号にてスイッチ制御される駆動トランジスタと、上記第2の配線と参照電位との間に配置され上記駆動トランジスタのオン状態に同期してオン状態に制御されるスイッチングトランジスタ及び上記参照電位と接地電位との間に配置されたカップリングコンデンサとを含み、上記入力回路は、第1の配線のレベルと第2の配線のレベルとの差を差動増幅する差動増幅回路を含むものであることを特徴とする信号伝送回路。
【請求項10】 上記第1の半導体集積回路は第2の半導体集積回路と同様な上記入力回路を備え、第2の半導体集積回路は第1の半導体集積回路と同様な出力回路とを備えて成り、第1と第2の半導体集積回路との間で双方向に送信と受信とが可能にされるものであるものであることを特徴とする請求項5、請求項6、請求項7、請求項8又は請求項9の信号伝送回路。
【請求項11】 両端に終端抵抗を介して終端電圧を受ける第1の配線と、上記第1の配線に並設されてなり、両端に終端抵抗を介して終端電圧を受ける第2の配線と、上記第1及び第2の配線に結合される出力回路を有する第1の半導体集積回路と、上記第1及び第2の配線に結合される入力回路を有する第2の半導体集積回路とを備え、上記出力回路は、上記第1の配線と回路の接地電位との間に配置され出力信号にてスイッチ制御される駆動トランジスタと、回路の接地電位と出力端子との間に配置され上記駆動トランジスタのオン/オフ状態に同期してスイッチ制御されるスイッチングトランジスタ及び上記出力端子と第2の配線との間に挿入されてなるカップリングコンデンサとを含み、上記入力回路は、上記終端電圧の約1/2に設定されたオフセット電圧により第2の配線の終端電圧が供給された増幅トランジスタと上記第1の配線から伝えられる入力信号が供給された増幅トランジスタとが差動動作を行うような入力段回路を含むものであることを特徴とする信号伝送回路。
【請求項12】 両端に終端抵抗を介して終端電圧を受ける第1の配線と、上記第1の配線に並設されてなり、両端に終端抵抗を介して終端電圧を受ける第2の配線と、上記第1及び第2の配線に結合される出力回路を有する第1の半導体集積回路と、上記第1及び第2の配線に結合される入力回路を有する第2の半導体集積回路とを備え、上記出力回路は、上記第1の配線と回路の接地電位との間に配置され出力信号にてスイッチ制御される駆動トランジスタと、回路の接地電位と上記第2の配線に接続される出力端子との間に配置され上記駆動トランジスタのオン/オフ状態に同期してスイッチ制御されるスイッチングトランジスタ及びスイッチングトランジスタの出力を上記出力端子に伝えるカップリングコンデンサとを含みとを含み、上記入力回路は、上記終端電圧の約1/2に設定されたオフセット電圧により第2の配線の終端電圧が供給された増幅トランジスタと上記第1の配線から伝えられる入力信号が供給された増幅トランジスタとが差動動作を行うような入力段回路を含むものであることを特徴とする信号伝送回路。
【請求項13】 上記スイッチングトランジスタには上記カップリングコンデンサに終端電圧を定常的に与えるバイアス抵抗が並列接続されるものであることを特徴とする請求項11又は請求項12の信号伝送回路。
【請求項14】 上記第1と第2からなる配線は複数から構成され、上記出力回路と入力回路は複数からなる配線に対応して複数回路が設けられるものであることを特徴とする請求項11、請求項12又は請求項13の信号伝送回路。
【請求項15】 上記第1と第2の配線からなる信号伝送路には、それぞれが異なる任意の電源電圧を持つ複数のディジタル回路が接続されるものであることを特徴とする請求項2、請求項3、請求項4、請求項5、請求項6、請求項7、請求項8、請求項9、請求項10、請求項11、請求項12、請求項13又は請求項14の信号伝送回路。
【請求項16】 上記終端電圧は1V以下の低電圧であり、入力段回路はPチャンネル型差動MOSFETを用いた第1の回路と、Nチャンネル型差動MOSFETを用いた第2の回路とが縦列形態に接続されてなり、電源電圧がそれを受ける信号処理回路の電源電圧と同じに設定されるものであることを特徴とする請求項2、請求項3、請求項4、請求項5、請求項6、請求項7、請求項8、請求項9、請求項10、請求項11、請求項12、請求項13、請求項14又は請求項15の信号伝送回路。
【請求項17】 上記オフセット電圧は、第1の回路又は第2の回路の差動MOSFET若しくはそれに対応した負荷MOSFET又は差動MOSFETと負荷MOSFETの組み合わせによるコンダクタンスの比により設定されるものであることを特徴とする請求項16の信号伝送回路。
【請求項18】 上記第1と第2の配線は、半導体集積回路装置を含む電子部品の実装基板においてプリント配線により構成されるものであることを特徴とする請求項2、請求項3、請求項4、請求項5、請求項6、請求項7、請求項8、請求項9、請求項10、請求項11、請求項12、請求項13、請求項14、請求項15、請求項16又は請求項17の信号伝送回路。
【請求項19】 信号の伝送路と基準電圧の伝送路とが並走するようにされた一対のペア配線により構成され、信号の伝送路の両端に特性インピーダンスに整合した終端抵抗を介して終端電圧が供給され、基準電圧の伝送路の両端に特性インピーダンスに整合した終端抵抗を介して上記終端電圧又は回路の接地電位が供給されてなる1ないし複数の伝送路からなる高速バス及びそれに接続される受信回路が上記終端電圧の約1/2に設定されたオフセットにより伝送路を通して入力された基準電圧を受ける増幅素子と伝送路を通して入力された入力信号を受ける増幅素子とが差動動作を行うようにされた入力段を用い、送信回路がオープンドレイン出力回路を用いてそれぞれ構成されてなる高速プロセッサと高速メモリ装置を含む高速情報処理部と、低速バスに接続された低速情報処理部と、上記高速処理部と低速処理部とのバスを相互接続させるインターフェイス回路とを備えてなることを特徴とする情報処理システム。
【請求項1】 並走するようにされた一対の配線の一方を信号の伝送路として両端にその特性インピーダンスに整合した終端抵抗を介して終端電圧を供給し、上記一対の配線の他方を基準電圧の伝送路として両端にその特性インピーダンスに整合した終端抵抗を介して上記終端電圧又は回路の接地電位を供給し、送信側からは接地電位と出力端子の間に設けられた駆動トランジスタにより信号送出を行い、受信側では上記終端電圧の約1/2に設定されたオフセット電圧により基準電圧を発生し、上記終端電圧が供給された増幅トランジスタと入力信号が供給された増幅トランジスタとが差動動作を行うようにして信号受信を行うことを特徴とする信号伝送方法。
【請求項2】 信号の伝送路と基準電圧の伝送路とを並走するようにされた一対の配線により構成し、信号側配線の両端と終端電圧との間にその特性インピーダンスに整合した終端抵抗を接続し、基準電圧側配線の両端と終端電圧又は回路の接地電位との間にその特性インピーダンスに整合した終端抵抗を接続し、上記信号伝送路の任意の箇所に設けられる受信回路を上記終端電圧の約1/2に設定されたオフセット電圧により伝送路の基準電圧を受ける増幅トランジスタと伝送路を通して入力された入力信号を受ける増幅トランジスタとが差動動作を行うようにされた入力段回路により構成し、送信回路を接地電位と出力端子との間に設けられた駆動トランジスタにより構成してなることを特徴とする信号伝送回路。
【請求項3】 上記出力回路は、オープンドレイン出力回路であり、その出力端子と信号伝送路の接続点との間にインピーダンス整合用の直列抵抗が設けられ、これと同様な抵抗が回路の接地電位と基準電圧の伝送路の接続点との間に設けられるものであることを特徴とする請求項2の信号伝送回路。
【請求項4】 上記伝送路は複数対の配線からなり、受信回路と送信回路とは複数対の配線に対して複数回路が設けられるものであることを特徴とする請求項1、請求項2又は請求項3の信号伝送回路。
【請求項5】 両端に終端抵抗を介して終端電圧を受ける第1の配線と、上記第1の配線に並設されてなり、両端に終端抵抗を介して回路の接地電位を受ける第2の配線と、上記第1及び第2の配線に結合される出力回路を有する第1の半導体集積回路と、上記第1及び第2の配線に結合される入力回路を有する第2の半導体集積回路とを備え、上記出力回路は、上記第1の配線と回路の接地電位との間に配置され出力信号にてスイッチ制御される駆動トランジスタと、上記第2の配線と回路の接地電位との間に配置され上記駆動トランジスタのオン/オフ状態に同期してスイッチ制御されるスイッチングトランジスタとを含み、上記入力回路は、上記終端電圧の約1/2に設定されたオフセット電圧により第2の配線の接地電位が供給された増幅トランジスタと上記第1の配線から伝えられる入力信号が供給された増幅トランジスタとが差動動作を行うような入力段回路を含むものであることを特徴とする信号伝送回路。
【請求項6】 両端に終端抵抗を介して終端電圧をそれぞれ受ける複数の第1の配線と、これに対応して並設されてなり、両端に終端抵抗を介してそれぞれ回路の接地電位を受ける複数の第2の信号線とによって構成されるバスラインと、上記バスラインにおいて対を成す第1及び第2の配線毎に各別に結合される複数の出力回路を有する第1の半導体集積回路と、上記バスラインにおいて対を成す第1及び第2の配線毎に各別に結合される複数の入力回路を有する第2の半導体集積回路とを備え、上記それぞれの出力回路は、上記第1の配線と回路の接地電位との間に配置され出力信号にてスイッチ制御される駆動トランジスタと、上記第2の配線と回路の接地電位との間に配置され上記駆動トランジスタのオン/オフ状態に同期してスイッチ制御されるスイッチングトランジスタとを含み、上記それぞれの入力回路は、上記終端電圧の約1/2に設定されたオフセット電圧により第2の配線の接地電位が供給された増幅トランジスタと上記第1の配線から伝えられる入力信号が供給された増幅トランジスタとが差動動作を行う入力段回路を含むものであることを特徴とする信号伝送回路。
【請求項7】 複数ビットからなる出力信号を並列出力可能とされた複数からなる出力回路を備えた第1の半導体集積回路と、複数ビットからなる並列入力可能とされた複数からはなる入力回路とを備えた第2の半導体集積回路と、両端に終端抵抗を介して終端電圧を受け、上記出力回路及び入力回路がそのビット対応で結合される複数の第1の配線と、両端に終端抵抗を介して回路の接地電位を受け、複数ビット分を一群とする上記出力回路及び入力回路毎に、又は全ビット分の上記出力回路及び入力回路毎に共通接続された複数若しくは単数の第2の配線とを備え、上記それぞれの出力回路は、上記第1の配線と回路の接地電位との間に配置され出力信号にてスイッチ制御される駆動トランジスタと、上記第2の配線と回路の接地電位との間に配置され上記駆動トランジスタのオン/オフ状態に同期してスイッチ制御されるスイッチングトランジスタとを含み、上記それぞれの入力回路は、上記終端電圧の約1/2に設定されたオフセット電圧により第2の配線の接地電位が供給された増幅トランジスタと上記第1の配線から伝えられる入力信号が供給された増幅トランジスタとが差動動作を行う入力段回路を含むものであることを特徴とする信号伝送回路。
【請求項8】 両端に終端抵抗を介して終端電圧を受ける第1の配線と、上記第1の信号線に並設されてなり、両端に終端抵抗を介して参照電位を受ける第2の配線と、上記第1及び第2の信号線に結合される出力回路を有する第1の半導体集積回路と、上記第1及び第2の配線に結合される入力回路を有する第2の半導体集積回路とを備え、上記出力回路は、上記第1の配線と回路の接地電位との間に配置され出力信号にてスイッチ制御される駆動トランジスタと、上記第2の配線と参照電位との間に配置され上記駆動トランジスタのオン/オフ状態に同期してオン/オフ状態にスイッチ制御されるスイッチングトランジスタとを含み、上記入力回路は、第1の配線のレベルと第2の配線のレベルとの差を差動増幅する差動増幅回路を含むものであることを特徴とする信号伝送回路。
【請求項9】 両端に終端抵抗を介して終端電圧を受ける複数の第1の配線とこれに対応して並設されて参照電位を受ける第2の信号線とによって構成される複数ビット分のバスラインと、上記バスラインにおいて対を成す第1及び第2の配線毎に各別に結合される複数の出力回路を有する第1の半導体集積回路と、上記バスラインにおいて対を成す第1及び第2の配線毎に各別に結合される複数の入力回路を有する第2の半導体集積回路とを備え、上記それぞれの出力回路は、上記第1の配線と回路の接地電位との間に配置され出力制御信号にてスイッチ制御される駆動トランジスタと、上記第2の配線と参照電位との間に配置され上記駆動トランジスタのオン状態に同期してオン状態に制御されるスイッチングトランジスタ及び上記参照電位と接地電位との間に配置されたカップリングコンデンサとを含み、上記入力回路は、第1の配線のレベルと第2の配線のレベルとの差を差動増幅する差動増幅回路を含むものであることを特徴とする信号伝送回路。
【請求項10】 上記第1の半導体集積回路は第2の半導体集積回路と同様な上記入力回路を備え、第2の半導体集積回路は第1の半導体集積回路と同様な出力回路とを備えて成り、第1と第2の半導体集積回路との間で双方向に送信と受信とが可能にされるものであるものであることを特徴とする請求項5、請求項6、請求項7、請求項8又は請求項9の信号伝送回路。
【請求項11】 両端に終端抵抗を介して終端電圧を受ける第1の配線と、上記第1の配線に並設されてなり、両端に終端抵抗を介して終端電圧を受ける第2の配線と、上記第1及び第2の配線に結合される出力回路を有する第1の半導体集積回路と、上記第1及び第2の配線に結合される入力回路を有する第2の半導体集積回路とを備え、上記出力回路は、上記第1の配線と回路の接地電位との間に配置され出力信号にてスイッチ制御される駆動トランジスタと、回路の接地電位と出力端子との間に配置され上記駆動トランジスタのオン/オフ状態に同期してスイッチ制御されるスイッチングトランジスタ及び上記出力端子と第2の配線との間に挿入されてなるカップリングコンデンサとを含み、上記入力回路は、上記終端電圧の約1/2に設定されたオフセット電圧により第2の配線の終端電圧が供給された増幅トランジスタと上記第1の配線から伝えられる入力信号が供給された増幅トランジスタとが差動動作を行うような入力段回路を含むものであることを特徴とする信号伝送回路。
【請求項12】 両端に終端抵抗を介して終端電圧を受ける第1の配線と、上記第1の配線に並設されてなり、両端に終端抵抗を介して終端電圧を受ける第2の配線と、上記第1及び第2の配線に結合される出力回路を有する第1の半導体集積回路と、上記第1及び第2の配線に結合される入力回路を有する第2の半導体集積回路とを備え、上記出力回路は、上記第1の配線と回路の接地電位との間に配置され出力信号にてスイッチ制御される駆動トランジスタと、回路の接地電位と上記第2の配線に接続される出力端子との間に配置され上記駆動トランジスタのオン/オフ状態に同期してスイッチ制御されるスイッチングトランジスタ及びスイッチングトランジスタの出力を上記出力端子に伝えるカップリングコンデンサとを含みとを含み、上記入力回路は、上記終端電圧の約1/2に設定されたオフセット電圧により第2の配線の終端電圧が供給された増幅トランジスタと上記第1の配線から伝えられる入力信号が供給された増幅トランジスタとが差動動作を行うような入力段回路を含むものであることを特徴とする信号伝送回路。
【請求項13】 上記スイッチングトランジスタには上記カップリングコンデンサに終端電圧を定常的に与えるバイアス抵抗が並列接続されるものであることを特徴とする請求項11又は請求項12の信号伝送回路。
【請求項14】 上記第1と第2からなる配線は複数から構成され、上記出力回路と入力回路は複数からなる配線に対応して複数回路が設けられるものであることを特徴とする請求項11、請求項12又は請求項13の信号伝送回路。
【請求項15】 上記第1と第2の配線からなる信号伝送路には、それぞれが異なる任意の電源電圧を持つ複数のディジタル回路が接続されるものであることを特徴とする請求項2、請求項3、請求項4、請求項5、請求項6、請求項7、請求項8、請求項9、請求項10、請求項11、請求項12、請求項13又は請求項14の信号伝送回路。
【請求項16】 上記終端電圧は1V以下の低電圧であり、入力段回路はPチャンネル型差動MOSFETを用いた第1の回路と、Nチャンネル型差動MOSFETを用いた第2の回路とが縦列形態に接続されてなり、電源電圧がそれを受ける信号処理回路の電源電圧と同じに設定されるものであることを特徴とする請求項2、請求項3、請求項4、請求項5、請求項6、請求項7、請求項8、請求項9、請求項10、請求項11、請求項12、請求項13、請求項14又は請求項15の信号伝送回路。
【請求項17】 上記オフセット電圧は、第1の回路又は第2の回路の差動MOSFET若しくはそれに対応した負荷MOSFET又は差動MOSFETと負荷MOSFETの組み合わせによるコンダクタンスの比により設定されるものであることを特徴とする請求項16の信号伝送回路。
【請求項18】 上記第1と第2の配線は、半導体集積回路装置を含む電子部品の実装基板においてプリント配線により構成されるものであることを特徴とする請求項2、請求項3、請求項4、請求項5、請求項6、請求項7、請求項8、請求項9、請求項10、請求項11、請求項12、請求項13、請求項14、請求項15、請求項16又は請求項17の信号伝送回路。
【請求項19】 信号の伝送路と基準電圧の伝送路とが並走するようにされた一対のペア配線により構成され、信号の伝送路の両端に特性インピーダンスに整合した終端抵抗を介して終端電圧が供給され、基準電圧の伝送路の両端に特性インピーダンスに整合した終端抵抗を介して上記終端電圧又は回路の接地電位が供給されてなる1ないし複数の伝送路からなる高速バス及びそれに接続される受信回路が上記終端電圧の約1/2に設定されたオフセットにより伝送路を通して入力された基準電圧を受ける増幅素子と伝送路を通して入力された入力信号を受ける増幅素子とが差動動作を行うようにされた入力段を用い、送信回路がオープンドレイン出力回路を用いてそれぞれ構成されてなる高速プロセッサと高速メモリ装置を含む高速情報処理部と、低速バスに接続された低速情報処理部と、上記高速処理部と低速処理部とのバスを相互接続させるインターフェイス回路とを備えてなることを特徴とする情報処理システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図18】
【図15】
【図16】
【図17】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
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【公開番号】特開平7−131471
【公開日】平成7年(1995)5月19日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平5−323291
【出願日】平成5年(1993)11月29日
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【公開日】平成7年(1995)5月19日
【国際特許分類】
【出願日】平成5年(1993)11月29日
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
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