説明

信号処理回路及び光ディスク記録再生装置

【課題】
回路機能ブロックを一般的、汎用的な回路構成要素の有機的な組み合わせで構成する信号処理回路及び光ディスク記録再生装置を提供する。
【解決手段】
受光信号を可変抵抗を介して加算し、この加算された光電流を、帰還抵抗R5を有すると共に低入力インピーダンス、高出力インピーダンス特性を有するカレントフォロア回路に供給し、帰還抵抗で差動信号に変換された信号をオフセットキャンセル回路30のシングル−差動変換回路に供給し、増幅して差動信号を出力する。さらに、この出力信号をOTA33と差動トランスコンダクタンス32を介して入力に帰還することにより、コモンモード電流とオフセット電流を補正することにより、コモンモード電圧の設計自由度が増す。またオフセットキャンセル時もシングル−差動変換回路のバイアスが変化しないので、設計マージンを取りやすくした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、利得制御アンプ(GCA:Gain Control Amplifier)、シングル−差動変換回路、およびオフセットキャンセル回路に関し、特に光ディスク記録メディアからの再生信号処理において、フォトダイオード(PD)からの再生信号をデータビット再生系、トラッキングエラー(TE)信号生成系、フォーカスエラー(FE)信号再生系、ウォブル信号再生系などに送るまでの、利得制御アンプ(GCA回路)、シングル−差動変換回路、およびオフセットキャンセル回路の構成に関する。
【背景技術】
【0002】
コンパクトディスク(CD)からDVD、Blu−rayに至る光ディスクにおいては、記録原理が再生専用型はレーザーカッティング、スタンピングによる物理的な凸凹ピットであり、追記型は例えば有機色素を記録レーザーで溶融分解することによるピット生成であり、書き換え型はパルス光によって記録膜結晶構造を相転位させることで反射率の異なる記録マーク列を生成するなど,それぞれの記録原理は異なっている。
しかしながら、光ディスクの再生系としてはレーザーダイオード(LD)からディスク盤面に光スポットを当て、その反射光の強度をフォトダイオード(PD)で検出することによって記録データビットを再生するという点で、ディスクメディアによらず同じ原理でデータビットを再生している。
したがって、再生装置の小型化・低コスト化の観点からは、再生信号処理系はメディアの種類によらず共通回路で構成するのが望ましい。このとき問題となるのが、反射光強度が再生専用型ディスク、追記型ディスク、書き換え型ディスクで大きく異なる点である。
すなわち、PDからの光電流、あるいはそれを電流−電圧変換(I−V変換)したピックアップ信号レベルはディスクメディアの反射率の違いに強く依存する。このため、レーザー光強度の経年変化による再生信号レベルの変動補償などと合わせて、再生信号処理前段ではGCA回路が約20dBの信号レベル差を吸収する必要がある。さもないと、後段の処理回路全体が広いダイナミックレンジを持たなければならず、設計が非常に困難になる。言い換えれば、消費電流の増大や、バンド幅などの他の性能を犠牲にする結果となるからである。
【0003】
また、再生信号からはデータビット列だけでなく、トラッキングエラー(TE)情報、フォーカスエラー(FE)情報などのサーボ系信号、或いは、追記、書き換えメディアにおいては、アドレス情報、あるいは書き込みクロック生成のリファレンスとなるウォブル信号を抽出する必要がある。このためPDは通常、単一フォトダイオードではなく、4分割或いは8分割フォトダイオードといった、多分割のフォトダイオードで構成されており、各フォトダイオードからの信号を適宜加減算等することで、TE情報、FE情報を得て、これを元にレーザースポットのトラッキングサーボ、フォーカスサーボをかけている。
例えば、図6に示した光ピックアップはトラッキングサーボにDPP(Differential Push-Pull)法を用い、フォーカスサーボに非点収差(アスティグマ)法を用いる場合のフォトダイオード配列および各フォトダイオードからの信号レベルを用いてTE情報、FE情報などを得るため従来より用いられている構成法である。ここでPDの分割数には多少の変形例もあるが,いずれも多分割のPD、信号経路で構成され,例えば,特開2003-257034号公報や、特開2004-192729号公報に開示されている。
【0004】
図6において、光ピックアップは、8分割構成のフォトダイオード(PD)とたとえばオペアンプなどを用いた加算、減算回路で構成されるRF回路、トラッキングエラー(TE)回路、フォーカスエラー(FE)回路で構成されている。
RF信号について、フォトダイオードA,B,C,Dで検出した光信号をオペアンプ201でC+D、オペアンプ206でA+Bを加算して、さらにこれらの出力をオペアンプ212で加算してA+B+C+DのRF信号が得られる。
フォーカスエラー(FE)において、オペアンプ204でA+Cの加算信号を得、またオペアンプ205でB+Dの加算信号を得る。そしてオペアンプ210でオペアンプ204の出力信号とオペアンプ205の出力信号の差を演算処理して、(A+C)−(B+D)のフォーカスエラー信号が得られる。
トラッキングエラー(TE)について、フォトディテクタE,Fで検出した光信号をオペアンプ202でその差信号(E−F)を得、またフォトディテクタG,Hで検出した光信号をオペアンプ203でその差信号(G―F)を得た後、オペアンプ207で両信号を加算して、(E−F+G−H)の信号を得る。
一方オペアンプ208でオペアンプ206からの出力信号A+Bとオペアンプ210からの出力信号C+Dの差信号(A+B)−(C+D)を得る。オペアンプ211でオペアンプ207からの出力信号とオペアンプ208からの出力信号の差をとると、(A+B)−(C+D)―(E−F+G−H)のトラッキングエラー信号が得られる。
【0005】
図7に一般的な光ディスク再生装置のフロントエンド信号処理回路250のブロック図を示す。フォトディテクタ251の出力がI−V(電流−電圧)変換回路255に接続され、フォトディテクタA(E)の光検出信号を電圧としてGCA259に出力する。フォトディテクタ252,253,254も同様にI−V変換回路256,257,258で光検出信号(電流)を電圧に変換してB(F),C(G),D(H)の出力信号をGCA260,261,262にそれぞれ供給する。
GCA259,260,261,262から出力されたフォトディテクタから出力された出力信号は演算回路263で加算、減算処理されて、上述した、RF信号、トラッキング信号、フォーカス信号が出力される。
演算回路263の出力方式はシングルエンド出力であるので、次段のシングル−差動変換回路254に接続されて差動出力に変換する。シングル−差動変換回路254の出力にVGA255が接続され、振幅検知信号で利得を調整し出力レベルを一定にする。このVGA255にはオフセットが存在するので、オフセットキャンセル回路・ハイパス(HP)回路256を構成するカップリングキャパシタを介してフィルタなどの次段回路258に接続される。
【0006】
このように、図7において、4系統のPDからの受光レベル信号を扱う例であるが、先ず、PDからの出力はシングルエンド信号であるため、後段の回路構成に合わせるため差動信号に変換する必要がある。差動化する必要性については,S/N向上、電源、基板等の外来ノイズ耐性向上など良く知られている通りである。
【0007】
次に,自動利得調整回路AGC(Automatic Gain Control)を構成するためのVGA(Variable Gain Amplifiers)255が置かれる。GCA(259,260,261,262)が主にメディアに起因するレベル差を段階的に調整するのに対し、AGCループでは再生信号処理の最中に後段回路での信号振幅を検出し、これを所望の振幅にすべくフィードバックがVGA255に対してかかる。これによって再生中の信号レベルは信号振幅検出ポイントに於いて常に一定に保たれる。また、このAGCループは、ディスク表面のキズ、ごみ等が原因で部分的に信号レベルが大きく変動したときに、VGA255によるゲイン設定が不必要に敏感に変化しないように最適なループ定数に設定され、トータルプレイアビリティを向上することにも貢献する。
【0008】
フロントエンド信号処理回路250では更にこれらに加え、オフセットキャンセル回路が設置される。これは、ゲインステージで増幅されるDCオフセットを除去し、後段回路での必要ダイナミックレンジを緩和するためで、図7に模式的に示したように容量結合としてDC成分を除去したり、あるいは出力部のDC成分をゲインステージの入力段に負帰還(結果としてハイパス回路を構成)することにより出力部でのDCオフセットを圧縮するといったことが行われる。
【特許文献1】特開2003−257034号公報
【特許文献2】特開2004−192729号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
以上述べたように、PDからの光電変換信号を扱うフロントエンド信号処理回路の構成要素としては、PD分割数分のGCA、加算回路、シングル−差動変換回路、VGA、オフセットキャンセル回路の5つの回路ブロックが必要で、これらは、トラッキングサーボ系、フォーカスサーボ系、RF信号系など、それぞれの用途において必要となる。
したがって、これらの構成を単純に従属接続する従来の方法では、総回路規模の増大、あるいは消費電力の増大を招いており、上記の5つの機能をコンパクトに実現できる回路構成法が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の信号処理回路は、1つ以上のシングルエンド信号入力端子と、前記シングルエンド信号入力端子の一端が抵抗の一端に接続された複数の入力抵抗と、前記複数の入力抵抗の他端を共通接続したノードに一端が接続された第1の帰還抵抗と、前記複数の入力抵抗の共通接続ノードと前記第1の帰還抵抗の他端がそれぞれ低インピーダンス入力端子および高インピーダンス出力端子に接続されたカレントフォロアと、前記第1の帰還抵抗と前記カレントフォロアの高インピーダンス出力端子の接続ノードが一方の入力端子に接続され、前記複数の入力抵抗と第1の帰還抵抗とカレントフォロアの低インピーダンス入力端子の接続ノードが他方の入力端子に接続されたシングル−差動変換回路と、前記シングル−差動変換回路の出力が接続された可変利得増幅器と、前記可変利得増幅器の出力と前記シングル−差動変換回路間に接続されて差動オフセットを検出し、検出した前記差動オフセットに応じて差動オフセットキャンセル電流を前記第1の帰還抵抗と前記カレントフォロアの高インピーダンス出力端子の接続ノードと、前記複数の入力抵抗と第1の帰還抵抗とカレントフォロアの低インピーダンス入力端子の接続ノードとの間に流すようにした差動オぺレーショナル・トランスコンダクタンス増幅器とを有する。
【0011】
本発明の光ディスク記録再生装置は、光ピックアップの複数個のフォトディテクでディスクから反射した光量を検出し、検出された光電流信号を電圧に変換した後、信号処理回路において電圧に変換された光信号が演算されこの演算された信号を差動信号に変換して増幅した後振幅レベルを一定にして出力し、前記信号処理回路から出力された信号を用いて前記ディスクに記録された信号を再生する光ディスク記録再生装置であって、前記信号処理回路は、1つ以上のシングルエンド信号入力端子と、前記シングルエンド信号入力端子の一端が接続された複数の入力抵抗と、前記複数の入力抵抗の他端を共通接続したノードに一端が接続された帰還抵抗と、前記複数の入力抵抗の共通接続ノードと前記帰還抵抗の他端がそれぞれ低インピーダンス入力端子および高インピーダンス出力端子に接続されたカレントフォロアと、前記帰還抵抗と前記カレントフォロアの高インピーダンス出力端子の接続ノードが一方の入力端子に接続され、前記複数の入力抵抗と帰還抵抗とカレントフォロアの低インピーダンス入力端子の接続ノードが他方の入力端子に接続されたシングル−差動変換回路と、前記シングル−差動変換回路の出力が接続された可変利得増幅器と、前記可変利得増幅器の出力と前記シングル−差動変換回路間に接続されて差動オフセットを検出し、検出した前記差動オフセットに応じて差動オフセットキャンセル電流を前記帰還抵抗と前記カレントフォロアの高インピーダンス出力端子の接続ノードと、前記複数の入力抵抗と帰還抵抗とカレントフォロアの低インピーダンス入力端子の接続ノードとの間に流すようにした差動オぺレーショナル・トランスコンダクタンス増幅器とを有する。
【発明の効果】
【0012】
光ディスク記録再生装置の再生系フロントエンド信号処理に不可欠な、利得制御アンプ(GCA回路)、加算回路、シングル−差動変換回路、自動利得調整回路(AGC)、オフセットキャンセル回路の5つの回路機能ブロックを一般的、汎用的な回路構成要素の有機的な組み合わせで実現でき、コモンモード電圧の設計自由度が高く、オフセットキャンセル時にもバイアス状態が変化せず、その結果、設計マージンのとりやすい構成が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1に本発明の光ディスク記録再生装置に使用される信号処理回路(フロントエンド信号処理回路)50の実施形態例を示す。
ここで、Ain〜DinはPDからの光電流をI−V変換して得られる受光(レベル)信号を示す。またここでは4入力の一例を示したが、明らかにこれに限定されるべきものではない。
図1に信号処理回路(フロントエンド信号処理回路)50の回路構成につて述べる。フォトディテクタ(PD)Aで検出された受光信号Ainが供給される端子がキャパシタC1の一方の端子に接続され、他方の端子は可変抵抗R1の一方の端子に接続される。可変抵抗R1の他方の端子は可変抵抗R5の一方の端子とカレントフォロア(回路)の低入力インピーダンスを有する入力端子に接続される。
図1の例において、可変抵抗R1,R2,R3,R4で構成される入力抵抗群(複数の入力抵抗)および帰還抵抗R5は切り換え手段によって抵抗値が可変され、前記入力抵抗群と前記帰還抵抗と前記カレントフォロアを加算器と利得制御アンプとして機能する。
また、フォトディテクタ(PD)Bの受光信号Binが供給される端子がキャパシタC2の一方の端子に接続され、他方の端子は可変抵抗R2の一方の端子に接続される。可変抵抗R2の他方の端子は可変抵抗R5の一方の端子とカレントフォロアの入力端子に接続される。
フォトディテクタ(PD)Cの受光信号Cinが供給される端子がキャパシタC3の一方の端子に接続され、他方の端子は可変抵抗R3の一方の端子に接続される。可変抵抗R3の他方の端子は可変抵抗R5の一方の端子とカレントフォロアの入力端子に接続される。
さらに、フォトディテクタ(PD)Dの受光信号Dinが供給される端子がキャパシタC4の一方の端子に接続され、他方の端子は可変抵抗R4の一方の端子に接続される。可変抵抗R4の他方の端子は可変抵抗R5の一方の端子とカレントフォロアの入力端子に接続される。
カレントフォロアの入力端子はまた(入力)抵抗R12の一方の端子に接続され、他方の端子はオペアンプ31の反転入力端子に接続される。
【0014】
可変抵抗R5の他方の端子はカレントフォロアの出力端子に接続されると共に、シングル−差動変換回路のオペアンプ31の(入力)抵抗R10の一方の端子に接続される。この入力抵抗R10の他方の端子はオペアンプ31の非反転入力端子に接続される。
オペアンプ31の非反転出力端子は帰還抵抗R11の一方の端子に接続され、この帰還抵抗R11の他方の端子はオペアンプ31の反転入力端子に接続される。また、オペアンプ31の反転出力端子は帰還抵抗R13一方の端子に接続され、この帰還抵抗R13の他方の端子はオペアンプ31の非反転入力端子に接続される。
【0015】
オペアンプ31の非反転出力と反転出力はVGA41に接続され、またこのVGA41の出力はOTA33の入力に接続される。このVGA41には振幅検知信号の制御信号が供給され、出力信号のレベルが一定になるようにしている。
OTA33の2出力(差動出力)は両出力間にキャパシタ35が接続され、帯域制限のフィルタとして機能している。そしてこの出力は次段の(差動)トランスコンダクタンス32に接続されそこで入力電圧に応じた電流に変換される。トランスコンダクタンス32の一方の出力端子は入力抵抗R12の一方の端子とカレントフォロアの入力端子、また可変抵抗R5の一方の端子に接続されている。
トランスコンダクタンス32の他方の出力端子は入力抵抗R10の一方の端子と、可変抵抗R5の他方の端子とカレントフォロアの出力端子に接続されている。
【0016】
つぎに信号処理回路50の動作について、図2、図3を用いて説明する。
入力信号はカレントフォロアとその入力およびフィードバック抵抗で構成されるボルテージアンプに入力される。ボルテージアンプはよく知られている通り、入力抵抗(R1,R2,R3,R4)とフィードバック抵抗(R5)の比によってゲインが設定できるので、各抵抗値をMOSスイッチ等で切り換えることによってGCA(利得制御アンプ)20が構成でき、同時にAin〜Dinの入力電圧(信号)はカレントフォロアの低インピーダンス入力ノード(節点)への流入電流として加算されるため、GCA(回路)20は加算回路としての機能を併せ持つ。GCA20によるゲインコントールおよび加算後の信号は続くシングル−差動変換回路に入力される。
【0017】
各フォトディテクタ(PD)から出力された受光電流がI−V変換された後、キャパシタC1〜C4と可変抵抗R1〜R4で電流に変換されて加算された電流は、カレントフォロアの入力端子と出力端子に分流され、それぞれ同量の入力電流Iinとして供給されるので、帰還抵抗である可変抵抗R5の両端子間にR15*Iinの電圧が発生し、この可変抵抗R15に発生する電圧が差電圧として差動回路を構成するシングル−差動変換回路のオペアンプ31の入力抵抗(R10,R12)に入力される。即ち、帰還抵抗R15とカレントフォロアの入出力端子に流れる電流Iinを用いて、シングルエンド信号を差動信号に変換している。
シングル−差動変換回路で増幅された差動出力信号は、後段のVGA41でAGC制御されて一定の振幅を有する差動信号となり、さらに後処理の信号処理回路に転送される。
【0018】
本発明においてはシングル−差動変換回路の構成は、具体的にはシンプルな差動構成の差動抵抗フィードバックアンプ(オペアンプ31,R10,R11,R12,R13)で実現される。
上述したように、上記シングルエンドGCA20の出力端子はシングル−差動変換回路を構成する差動抵抗フィードバックアンプの一方の入力端子に接続され、差動抵抗フィードバックアンプの他方の入力端子は前記GCA20を構成するカレントフォロアの低インピーダンス入力端子に接続される。
この構成を採ることで差動抵抗フィードバックアンプの入力コモンモード電圧はカレントフォロアの入力DCで決まり、出力コモンモード電圧はそれとは別に、オペアンプの出力段に設けたコモンモードフィードバック回路などによって自由度を持って設定できる。
即ち、差動抵抗フィードバックアンプの入出力コモンモード電圧差に起因するDC電流はフィードバック抵抗および入力抵抗を介してカレントフォロアの入出力端子にDC電流成分として流れる。
【0019】
差動抵抗フィードバックアンプの(差動)入力抵抗(R10,R12)、(差動)フィードバック(帰還)抵抗(R11,R13)は数10KΩと大きめに設定できるので、入出力コモンモード電位差によるDC電流値は小さく、ほとんど消費電力の増大をもたらすことなく、使用するカレントフォロア(回路)に最適な入力DCと、オペアンプ31出力或いは次段のVGA41の入力に最適なコモンモード電位との差を差動抵抗フィードバックアンプで吸収することができる。
なおこの時、図2に示すように、オペアンプ31の一方の出力端子から出力されたコモンモード電流a(Icm/2)は(差動)帰還抵抗R11、(差動)入力抵抗R12を介してカレントフォロアの入力端子に流れる。またオペアンプ31の他方の出力端子から出力されたコモンモード電流b(Icm/2)は(差動)帰還抵抗R13と(差動)入力抵抗R10を介してカレントフォロアの出力端子に流れる。
【0020】
このように、コモンモード電流(Icm)はカレントフォロアの入出力端子それぞれに等量ずつ流入し、GCA20のフィードバック抵抗R5には流れない(図2参照)。このため、コモンモード電流による2次的オフセットの誘発などの問題は起こらず、また、このようなコモンモード電位差に起因する定常電流は回路設計時点で正確に見積もることが出来るので、それに応じてカレントフォロア(回路)内部のDCバイアス設計をすればよく、設計余裕等を見積もりやすい回路設計が可能となる。
【0021】
また、前述の通り、シングル−差動変換回路はシンプルな差動構成の差動抵抗フィードバックアンプで実現されているので、ここで使用するオペアンプ等の具体回路はごく一般的な差動オペアンプ等を使うことが出来、当該設計環境で信頼性のある既存ライブラリの回路構成などをそのまま流用することが出来るので設計リスクを最小限に抑えられる。
【0022】
つぎに、シングル−差動変換回路以後の信号の流れと動作について説明する。
シングル−差動変換回路で差動化された出力信号は差動構成のVGA41に入力される。このVGA41は後段の振幅検知回路と共にAGCループを構成する。VGA41の出力段ではオフセットキャンセルが必要だが、本発明においては、先ず、VGA41出力での差動DCオフセットをOTA(Operational Transconductance Amplifier;オペレーショナル・トランスコンダクタンス増幅器)33で検出・増幅し、OTA33の後段に接続されている差動トランスコンダクタンス32でオフセット補償電流に変換する。
ここでOTA33、またそれに続く差動トランスコンダクタンス32も一般的な差動構成のものを利用できる。ここで本発明の特徴として、上述したように、差動トランスコンダクタンス32の一方の出力端子は上記カレントフォロアの入力端子に、また、差動トランスコンダクタンス32の他方の出力端子は上記カレントフォロアの出力端子に、それぞれ接続されている。この構成を採ることで、差動トランスコンダクタンス32の差動出力電流はVGA41出力端子でのオフセットをキャンセルする方向に働く。
このとき、上記差動トランスコンダクタンス32から出力されるオフセットキャンセル電流d(Ios)は全てGCA20のフィードバック(帰還)抵抗R5に流れ、カレントフォロア(回路)には流入しない(図3参照)。
このため、オフセットキャンセル電流によってカレントフォロアのDCバイアスが変動するといったことがなく、やはり設計余裕等を見積もりやすい回路設計が可能となる。
さらに、上記差動トランスコンダクタンス32はカレントフォロアの低インピーダンスノードに直接、あるいはフィードバック抵抗R5を介して接続されているため、その出力コモンモード電位が自ずと決まり、出力部にコモンモードフィードバック回路等を付加する必要が無い。これは本来の信号経路に付加される寄生素子数を抑えることなり、信号帯域を損なわずにオフセットキャンセルが実現できる。
【0023】
また、オフセットキャンセルループは本質的にハイパスフィルタであるので、本線信号帯域を損なわないようにフィードバックループの帯域は出来るだけ落としておくことが望ましい。本方式に於いてはOTA33の出力インピーダンスが容易に上げられるので、比較的小さい帯域制限容量との組み合わせでも極めて狭帯域のフィードバックループが実現できる。
【0024】
図4にカレントフォロア(回路)の一例を含む本発明の実施態様例の信号処理回路(フロントエンド信号処理回路)100の回路図を示す。図4の信号処理回路100の構成について述べる。GCA20を構成するカレントフォロア以外は図1のブロック構成は同じであるからその詳細な説明は省略する。なお同じ回路ブロック、回路素子などの番号は図1と同一とする。
【0025】
フォトダイオードA,B,C,Dで光電流が検出されてI−V変換された受光レベル信号Ain,Bin,Cin,Dinが発生する。この受光レベル信号が供給される入力端子がキャパシタC1,C2,C3,C4を介して可変抵抗R1,R2,R3,R4に接続され、これら可変抵抗R1,R2,R3,R4の出力端子が共通接続され、可変抵抗R5、オペアンプ31の入力抵抗R12の一方の端子、さらにカレントフォロアの入力端子であるPMOSトランジスタM1のドレイン(またはNMOSトランジスタM2のソース)に接続される。また可変抵抗R5の出力端子はオペアンプ31の入力抵抗R10の一方の端子とカレントフォロアを構成するPMOSトランジスタM3のドレインの出力端子に接続される。
【0026】
カレントフォロアにおいて、電源Vccに定電流源I14の一方の端子が接続され、他方の端子はNMOSトランジスタM2のドレインに接続される。このNMOSトランジスタM2のゲートにはバイアス電位Vが接続され、ソースは定電流源I11とI12を介してグランドに接続される。
PMOSトランジスタM1のソースは電源Vccに接続され、ゲートはNMOSトランジスタM2のドレインに接続され、またドレインはNMOSトランジスタM2のソース、入力端子で可変抵抗R5の入力側の端子と定電流源I11とI12に接続されている。
PMOSトランジスタM3のソースは電源Vccに接続され、ゲートはNMOSトランジスタM1のゲートに接続され、またドレインは、出力端子で可変抵抗R5の出力側の端子、トランスコンダクタンス32の出力端子と定電流源I13に接続されている。
【0027】
これ以降は図1で述べたように、シングル−差動変換回路で差動化された信号は差動構成のVGA41に入力され,このVGA41は後段の振幅検知回路と共にAGCループを構成する。VGA41の出力段ではオフセットキャンセルが必要であるが、本発明においては、先ず、VGA41出力での差動DCオフセットをOTA33で検出・増幅し、OTA33後段の差動トランスコンダクタンス32でオフセット補償電流に変換する。
差動トランスコンダクタンス32の一方の出力端子は上記カレントフォロアの入力端子に、また、差動トランスコンダクタンス32の他方の出力端子は上記カレントフォロアの出力端子に、それぞれ接続されている。この構成を採ることで、上述したように差動トランスコンダクタンス32の差動出力電流はVGA41出力端子でのオフセットをキャンセルする方向に働く。
【0028】
つぎに、図4に示す信号処理回路(フロントエンド信号処理回路)100の動作について説明する。ただし、全体の動作は図1で説明したものと同じであるので詳細な説明は省略し、ここでは主にGCA20の一部を構成するカレントフォロアの動作について説明する。
図4において、可変抵抗R1,R2,R3,R4から出力された電流が加算されて、入力端子であるPMOSトランジスタM1のドレインと定電流源I11とI12の共通接続端子に供給される。定電流源I11とI12の電流は一定であるので、入力電流Iinが入力されとNMOSトランジスタM2のソースに流れる電流は小さくなり、ゲート−ソース間の電圧Vgsが小さくなる。その結果、ドレイン電流が小さくなるので、定電流源I14から流れる電流は一定であるため、定電流源I14から流れる電流からNMOSトランジスタM2のドレインに流れる電流の差がPMOSトランジスタM1とPMOSトランジスタM3のそれぞれのゲートに流れる(充電する)。
【0029】
すると、PMOSトランジスタM1とPMOSトランジスタM3のゲート電位は上昇し、PMOSトランジスタM1(とM3)のVgsは小さくなり、PMOSトランジスタM1(とM3)のドレイン電流は減少する。その結果、定電流源I11とI12に流れる電流は補償され一定になる。すなわち、カレントフォロア回路は、入力端子に供給された入力電流Iinの増加分(または減少分)の逆方向に電流を増減し電流源I11とI12に供給する電流を一定にするよう補償している。
【0030】
一方、PMOSトランジスタM1とPMOSトランジスタM3はカレントミラー構成となっているので、PMOSトランジスタM1の出力に流れるドレイン電流とPMOSトランジスタM3に流れるドレイン電流は両者のトランジスタサイズが同一の場合同じであり、入力端子に流れる(入力)電流Iinと同じ電流が出力端子にも流入することになる。
【0031】
GCA20の出力信号がシングル−差動変換回路に構成された(差動)入力抵抗R10,R12を介してオペアンプ31の非反転入力端子と反転入力端子にそれぞれ供給され、非反転出力と反転出力端子から差動信号が出力される。またこの出力信号は、オペンプ31の入力に(差動)帰還抵抗(R11,R13)を用いてネガティブ・フィードバックされる。
【0032】
オペアンプ31の差動出力信号は後段のVGA41に出力され、ここで振幅検知信号により利得制御(AGC)されて、出力信号の振幅を一定にしている。
またこのVGA41の出力信号は、OTA33、フィルタを構成するキャパシタ35と差動トランスコンダクタンス32を介してシングル−差動変換回路の入力に帰還され、VGA41に関するオフセット電流をキャンセルするようにしている。
【0033】
すなわち、上述したカレントフォロアはゲート接地NMOSトランジスタM2のソースが入力端子となっており、入力端子での電位変化はM2,M1のトランスコンダクタンスで打ち消される方向にフィードバックが掛かり、低入力インピーダンスとなると同時に、入力端子への流入電流IinはM1,M3のカレントミラーで出力端子へとミラーリング(任意倍)されている。
【0034】
図4の信号処理回路50においても、図2で示したように、シングル−差動変換回路の出力端子のコモンモード電流は帰還抵抗R11,R13、入力抵抗R10,R12を介してカレントフォロアの入力端子と出力端子に同じ電流量が流れ、他には全く流れないので、その分I11とI13を同じ量だけ増やすとキャンセルできる。したがって、上述したコモンモードの電流の流れる経路とするとカレントフォロアの動作には影響しなくなる。
このように、カレントフォロアの回路バランスを崩さずにI11とI12を加算した電流とI13をマッチングさせて、コモンモード電流で変化する分を補償するバイアス設定すると、コモンモード電流とオフセット電流が回路に悪影響を及ぼさない形でシングル−差動変換回路の入力、出力電圧を最適な電圧に設定することができる。
また図4において、カレントフォロアの低インピーダンス入力端子の電圧は固定される。この固定された電圧で、シングル−差動変換回路を構成する差動オペアンプ31の入力同相電圧の設定は決定され、また上述したことから、シングル−差動変換回路の出力同相電圧はVGA41の入力電圧として適した値に決めることができ、設計の自由度を増すことができる。
【0035】
図4においてカレントフォロアはMOSトランジスタで構成されているが、PMOSトランジスタとNMOSトランジスタを入れ替えた回路構成でも勿論構わない。
【0036】
つぎに、図5に上述した上記カレントフォロア(回路)の等価入力インピーダンス回路を示す。ここで、例えばgo,M1はMOSトランジスタM1のドレインコンダクタンス、go,M1はMOSトランジスタM1のトランスコンダクタンスを示し、go,I1、go,I2、go,I3、go,I4はそれぞれ電流源I11、I12、I13、I14のコンダクタンスを示す。
カレントフォロア回路の入力端子即ちPMOSトランジスタM1のドレインとNMOSトランジスタM2のソースを見たときのインピーダンスZiは、3つの抵抗RA,RB,RCが並列接続された構成と等価と見ることができる。ここでRA,RB,RCについての式は図5に示してある。
図5から解るとおり、この入力インピーダンスZiは主にこの3つの抵抗(RA,RB,RC)のうち一番小さい抵抗でほぼ決まり、図5に示した例においては、抵抗RAが一番小さく、カレントフォロアの入力インピーダンスはドレインコンダクタンスをトランスコンダクタンスの二乗で割った程度にまで小さくできる。その結果入力インピーダンスZiは数Ωとなる。
したがって、図4の具体回路構成において、カレントフォロアの入力インピーダンスZiは非常に低いことが解る。
【0037】
以上の信号処理回路(フロントエンド信号処理回路)はCD,CD−R,CD−RW,DVD−R,DVD−RW,DVD−RAM装置などのデータ読み取り用として用いることができ、設計自由度を増した高性能な装置を実現することができる。
【0038】
以上述べたように、光ディスク記録再生装置の再生系の光信号処理(フロントエンド信号処理)に不可欠な、利得制御アンプ(GCA)、加算回路、シングル−差動変換回路、自動利得調整回路(AGC)、オフセットキャンセル回路の5つの回路機能ブロックを一般的、汎用的な回路構成要素の有機的な組み合わせで実現でき、コモンモード電圧の設計自由度が高く、オフセットキャンセル時にもバイアス状態が変化せず、その結果、設計マージンのとりやすい構成を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の光ディスク記録再生装置に用いられる信号処理回路のブロック構成を示す図である。
【図2】図1に示した信号処理回路のコモンモード電流の動作を説明するための回路図である。
【図3】図1に示した信号処理回路のオフセットキャンセル電流の動作を説明するための回路図である。
【図4】図1に示した信号処理回路の実施態様例のカレントフォロアの回路構成を示した図である。
【図5】図4に示したカレントフォロアの入力インピーダンスを説明する等価回路図である。
【図6】従来の光ピックアップの回路構成を示す回路図である。
【図7】従来の光ピックアップを含むフロントエンド信号処理回路の構成を示す回路図である。
【符号の説明】
【0040】
20,259〜262…GCA(Gain Control Amplifier;利得制御アンプ)、30…オフセットキャンセル回路、31,201〜212…オペアンプ、32…差動トランスコンダクタンス、33…OTA(Operational Transcondctance Amplifier)、35,256,257,C1〜C4…キャパシタ、40…AGC(Automatic Gain Control)回路、41,255…VGA(Variable Gain Amplifier)、50,100…信号処理回路(フロントエンド信号処理回路)、200…光ピックアップ回路、251〜254…フォトディテクタ、255〜258…I−V(電流−電圧)変換回路、263…加算・減算回路、254…シングル−差動変換回路、258…次段回路、R1〜R5…可変抵抗、R10〜R13,RA,RB,RC,RD…抵抗、M1,M3…PMOSトランジスタ、M2…NMOSトランジスタ、I1,I11〜I14…定電流源、Zi…入力インピーダンス。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上のシングルエンド信号入力端子と、
前記シングルエンド信号入力端子の一端が抵抗の一端に接続された複数の入力抵抗と、
前記複数の入力抵抗の他端を共通接続したノードに一端が接続された第1の帰還抵抗と、
前記複数の入力抵抗の共通接続ノードと前記第1の帰還抵抗の他端がそれぞれ低インピーダンス入力端子および高インピーダンス出力端子に接続されたカレントフォロアと、
前記第1の帰還抵抗と前記カレントフォロアの高インピーダンス出力端子の接続ノードが一方の入力端子に接続され、前記複数の入力抵抗と第1の帰還抵抗とカレントフォロアの低インピーダンス入力端子の接続ノードが他方の入力端子に接続されたシングル−差動変換回路と、
前記シングル−差動変換回路の出力が接続された可変利得増幅器と、
前記可変利得増幅器の出力と前記シングル−差動変換回路間に接続されて差動オフセットを検出し、検出した前記差動オフセットに応じて差動オフセットキャンセル電流を前記第1の帰還抵抗と前記カレントフォロアの高インピーダンス出力端子の接続ノードと、前記複数の入力抵抗と第1の帰還抵抗とカレントフォロアの低インピーダンス入力端子の接続ノードとの間に流すようにした差動オぺレーショナル・トランスコンダクタンス増幅器と
を有する信号処理回路。
【請求項2】
前記複数の入力抵抗および第1の帰還抵抗は切り換え手段によって抵抗値が可変され、前記複数の入力抵抗と前記第1の帰還抵抗と前記カレントフォロアが加算器と利得制御アンプの機能を有する
請求項1記載の信号処理回路。
【請求項3】
前記シングル−差動変換回路は、第1および第2の入力抵抗および第2および第3の帰還抵抗および差動オぺレーショナル・アンプを有し、該シングル−差動変換回路の前記差動入力端子は前記第1および第2の入力抵抗に接続されると共に該抵抗の他端は前記差動オぺレーショナル・アンプの差動入力端子に接続され、前記第2および第3の帰還抵抗は前記差動オぺレーショナル・アンプの前記差動出力端子と前記差動入力端子との間に接続された負帰還回路を有する
請求項1記載の信号処理回路。
【請求項4】
前記信号処理回路は、さらに前記差動オぺレーショナル・トランスコンダクタンス増幅器の差動出力間に、出力インピーダンスと共に差動オフセットキャンセル経路の信号帯域を制限するフィルタ回路を有する
請求項1記載の信号処理回路。
【請求項5】
前記信号処理回路は、さらに前記オぺレーショナル・トランスコンダクタンス増幅器の出力に差動トランスコンダクタ回路を有し、前記差動オフセットキャンセル電流を前記第1の帰還抵抗とカレントフォロアの出力端子の接続ノードと、前記複数の入力抵抗と第1の帰還抵抗とカレントフォロアの入力端子の接続ノードとの間に流す
請求項4記載の信号処理回路。
【請求項6】
前記カレントフォロアは前記低インピーダンス入力端子が第1の電界効果トランジスタのドレイン端子および第1および第2の定電流源および第2の電界効果トランジスタのソース端子に接続され、前記第2の電界効果トランジスタのドレイン端子は第4の定電流源に接続されると共に前記第1および第3の電界効果トランジスタのゲート端子に接続され、前記カレントフォロアは前記高インピーダンス出力端子が前記第3の電界効果トランジスタのドレイン端子および第3の定電流源に接続され、前記第1および第3の電界効果トランジスタのソース端子は電源供給線に接続され、前記第2の電界効果トランジスタのゲート端子には任意のバイアス電位が供給され、前記低インピーダンス入力端子は前記第2および第1の電界効果トランジスタを介した負帰還ループによって低インピーダンス化されると共に前記第1および第3の電界効果トランジスタを有するカレントミラーによって前記低インピーダンス入力端子への流入電流が前記高インピーダンス出力端子に任意倍される
請求項1記載の信号処理回路。
【請求項7】
光ピックアップの複数個のフォトディテクタでディスクから反射した光量を検出し、検出された光電流信号を電圧に変換した後、信号処理回路において電圧に変換された光信号が演算されこの演算された信号を差動信号に変換して増幅した後振幅レベルを一定にして出力し、前記信号処理回路から出力された信号を用いて前記ディスクに記録された信号を再生する光ディスク記録再生装置であって、
前記信号処理回路は、
1つ以上のシングルエンド信号入力端子と、
前記シングルエンド信号入力端子の一端が抵抗の一端に接続された複数の入力抵抗と、
前記複数の入力抵抗の他端を共通接続したノードに一端が接続された第1の帰還抵抗と、
前記複数の入力抵抗の共通接続ノードと前記第1の帰還抵抗の他端がそれぞれ低インピーダンス入力端子および高インピーダンス出力端子に接続されたカレントフォロアと、
前記第1の帰還抵抗と前記カレントフォロアの高インピーダンス出力端子の接続ノードが一方の入力端子に接続され、前記複数の入力抵抗と第1の帰還抵抗とカレントフォロアの低インピーダンス入力端子の接続ノードが他方の入力端子に接続されたシングル−差動変換回路と、
前記シングル−差動変換回路の出力が接続された可変利得増幅器と、
前記可変利得増幅器の出力と前記シングル−差動変換回路間に接続されて差動オフセットを検出し、検出した前記差動オフセットに応じて差動オフセットキャンセル電流を前記第1の帰還抵抗と前記カレントフォロアの高インピーダンス出力端子の接続ノードと、前記複数の入力抵抗と第1の帰還抵抗とカレントフォロアの低インピーダンス入力端子の接続ノードとの間に流すようにした差動オぺレーショナル・トランスコンダクタンス増幅器と
を有する光ディスク記録再生装置。
【請求項8】
前記複数の入力抵抗および帰還抵抗は切り換え手段によって抵抗値が可変され、前記入力抵抗群と前記第1の帰還抵抗と前記カレントフォロアを加算器と利得制御アンプとする
請求項7記載の光ディスク記録再生装置。
【請求項9】
前記シングル−差動変換回路は、第1および第2の入力抵抗および第2および第3の帰還抵抗および差動オぺレーショナル・アンプを有し、該シングル−差動変換回路の前記差動入力端子は前記第1および第2の入力抵抗に接続されると共に該抵抗の他端は前記差動オぺレーショナル・アンプの差動入力端子に接続され、前記第2および第3の帰還抵抗は前記差動オぺレーショナル・アンプの前記差動出力端子と前記差動入力端子との間に接続された負帰還回路を有する
請求項7記載の光ディスク記録再生装置。
【請求項10】
前記信号処理回路は、さらに前記差動オぺレーショナル・トランスコンダクタンス増幅器の差動出力間に、出力インピーダンスと共に差動オフセットキャンセル経路の信号帯域を制限するフィルタ回路を有する
請求項7記載の光ディスク記録再生装置。
【請求項11】
前記信号処理回路は、さらに前記オぺレーショナル・トランスコンダクタンス増幅器の出力に差動トランスコンダクタ回路を有し、前記差動オフセットキャンセル電流を前記第1の帰還抵抗とカレントフォロアの出力端子の接続ノードと、前記複数の入力抵抗と第1の帰還抵抗とカレントフォロアの入力端子の接続ノードとの間に流す
請求項10記載の光ディスク記録再生装置。
【請求項12】
前記カレントフォロアは前記低インピーダンス入力端子が第1の電界効果トランジスタのドレイン端子および第1および第2の定電流源および第2の電界効果トランジスタのソース端子に接続され、前記第2の電界効果トランジスタのドレイン端子は第4の定電流源に接続されると共に前記第1の電界効果トランジスタおよび第3の電界効果トランジスタのゲート端子に接続され、前記カレントフォロアは前記高インピーダンス出力端子が前記第3の電界効果トランジスタのドレイン端子および第3の定電流源に接続され、前記第1および第3の電界効果トランジスタのソース端子は電源供給線に接続され、前記第2の電界効果トランジスタのゲート端子には任意のバイアス電位が供給され、前記低インピーダンス入力端子は前記第2および第1の電界効果トランジスタを介した負帰還ループによって低インピーダンス化されると共に前記第1および第3の電界効果トランジスタを有するカレントミラーによって前記低インピーダンス入力端子への流入電流が前記高インピーダンス出力端子に任意倍される
請求項7記載の光ディスク記録再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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