説明

信号処理装置、信号処理方法およびプログラム

【課題】コストの増加を招くことなく、信号記録媒体の駆動に伴う動作音が発生しているタイミングを推定することが可能な信号処理装置、信号処理方法およびプログラムを提供する。
【解決手段】本発明に係る信号処理装置は、音を集音して音響信号に変換する集音部と、電源からの電流供給により駆動するとともに、駆動に伴って可聴ノイズを発生しうるアクチュエータを含み、前記音響信号が記録される信号記録部と、前記信号記録部に供給される前記電流の時間変化を検出する電流検出部と、検出された前記電流の時間変化に基づいて前記可聴ノイズの発生の有無を判定し、前記可聴ノイズの発生があると判定した場合に、前記可聴ノイズが重畳している前記音響信号から前記可聴ノイズを除去するノイズ除去処理を実行する信号処理部と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、信号処理装置、信号処理方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ハードディスク(Hard Disk Drive:HDD)等の信号記録媒体とマイクとを備え、マイクにより集音した音声等をハードディスク等の信号記録媒体に記録する信号記録装置が多数発表されている。図7に、かかる信号記録装置900の構成の一例を示した。信号記録装置900は、集音マイク901により音声等を集音してデジタル信号とし、このデジタル信号に対して信号処理部907により所定の信号処理を施した後に、記録制御部909の制御下で記録媒体であるHDD903に記録される。
【0003】
HDD903のように、電源905から供給される電力によりアクチュエータを駆動して種々の動作を行う機器においては、アクチュエータ等の駆動に伴う動作音が発生し、かかる動作音がノイズとして集音マイク901により集音されてしまう。その結果、集音マイク901によって集音される音声等には、機器の動作音がノイズとして重畳されてしまい、ノイズが重畳された音声等が記録されてしまう。
【0004】
このノイズ重畳の問題を解決するために、例えば特許文献1に開示されているハードディスクドライブのノイズ低減システムにおいては、「ハードディスクの動作状態は機器の外部から知ることが可能である」という前提に基づいてシステムの構築がなされており、ハードディスクドライブのノイズを低減する方法が提案されている。また、同特許文献1では、ハードディスクに集音マイクを取り付け、ハードディスクから発生するノイズを抽出することによって、ノイズ発生のタイミングを検出することが開示されている。
【0005】
【特許文献1】特開2003−217275号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、ハードディスク等の機器のベンダーではない機器開発の現場においては、機器の内部の動作状態を知ることには限界があり、上記特許文献1に記載の方法が適用可能な場合が限られるという問題があった。
【0007】
また、上記特許文献1に記載の方法では、ハードディスクのノイズを集音するためのマイクを信号記録装置に付加しなければならず、信号記録装置のコストが増加してしまうというデメリットがある。また、マイクからの入力信号についてノイズと外部音との判別を行うことは容易ではなく、ノイズの検出漏れや誤検出等により、ノイズ除去漏れやノイズ処理の過多により、音質の低下を招く恐れがあった。
【0008】
そこで、本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的は、コストの増加を招くことなく、信号記録媒体の駆動に伴う動作音が発生しているタイミングを推定することが可能な、新規かつ改良された信号処理装置、信号処理方法およびプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、音を集音して音響信号に変換する集音部と、電源からの電流供給により駆動するとともに、駆動に伴って可聴ノイズを発生しうるアクチュエータを含み、前記音響信号が記録される信号記録部と、前記信号記録部に供給される前記電流の大きさおよび時間変化を検出する電流検出部と、検出された前記電流の大きさ及び/又は時間変化に基づいて前記可聴ノイズの発生の有無を判定し、前記可聴ノイズの発生があると判定した場合に、前記可聴ノイズが重畳している前記音響信号から前記可聴ノイズを除去するノイズ除去処理を実行する信号処理部と、を備える信号処理装置が提供される。
【0010】
かかる構成によれば、集音部は、音を集音して音響信号に変換し、信号記録部は、音響信号を記録し、電流検出部は、信号記録部に供給される電流の大きさおよび時間変化を検出し、信号処理部は、検出された電流の大きさ及び/又は時間変化に基づいて可聴ノイズの発生の有無を判定し、可聴ノイズの発生があると判定した場合に、可聴ノイズが重畳している音響信号から可聴ノイズを除去するノイズ除去処理を実行する。本発明にかかる信号処理装置は、信号記録部に供給される電流の時間変化を測定することで、信号記録媒体である信号記録部の駆動に伴う動作音が発生しているタイミングを推定することができる。
【0011】
前記信号処理部は、前記検出された電流の時間変化を表す波形中に、所定形状の波形が存在するか否かに基づいて、前記可聴ノイズの発生の有無を判定してもよい。
【0012】
前記信号処理部は、前記所定形状の波形が検出された時点に応じて前記ノイズ除去処理を開始する除去処理開始時点を決定し、前記除去処理開始時点以降の前記可聴ノイズが重畳している音響信号に対して、前記ノイズ除去処理を実行してもよい。
【0013】
前記信号処理部は、前記音響信号を所定時間格納するバッファを更に備え、前記除去処理開始時点が、前記所定形状の波形が検出された時点よりも前に設定された場合に、前記バッファに格納されている前記音響信号を用いて前記ノイズ除去処理を実行してもよい。
【0014】
前記信号処理部は、前記所定形状の波形に応じた前記ノイズ除去処理の処理内容が、前記所定形状の波形に関連付けられて記憶されている処理内容記憶部を更に備え、検出された前記所定形状の波形に応じて、前記可聴ノイズが重畳している音響信号に対して実行する前記ノイズ除去処理の処理内容を変更してもよい。
【0015】
前記処理内容記憶部には、前記ノイズ除去処理を実行すべき期間の長さが前記所定形状の波形に関連付けられて記憶されており、前記信号処理部は、前記除去処理開始時点から前記ノイズ除去処理を実行すべき期間が経過するまでの間、前記ノイズ除去処理を実行してもよい。
【0016】
前記信号処理部は、ローパスフィルタ、ハイパスフィルタ、またはバンドパスフィルタを用い、前記可聴ノイズが重畳している音響信号から所定の周波数を有する信号を除去してもよい。
【0017】
前記信号処理部は、前記可聴ノイズが重畳している音響信号の一部を、当該可聴ノイズが重畳している音響信号の他の箇所における音響信号に置換してもよい。
【0018】
上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、電源からの電流供給により駆動するとともに、駆動に伴って可聴ノイズを発生しうるアクチュエータを備えた信号記録部に記録される音響信号から前記可聴ノイズを除去する信号処理方法であって、音を集音して前記音響信号に変換する集音ステップと、前記信号記録部に供給される前記電流の大きさおよび時間変化を検出する電流検出ステップと、検出された前記電流の大きさ及び/又は時間変化に基づいて前記可聴ノイズの発生の有無を判定し、前記可聴ノイズの発生があると判定した場合に、前記可聴ノイズが重畳している前記音響信号から前記可聴ノイズを除去する信号処理ステップと、を含む信号処理方法が提供される。
【0019】
かかる構成によれば、集音ステップでは、音を集音して音響信号へと変換し、電流検出ステップでは、信号記録部に供給される電流の大きさおよび時間変化を検出し、信号処理ステップは、検出された電流の大きさ及び/又は時間変化に基づいて可聴ノイズの発生の有無を判定し、可聴ノイズの発生があると判定した場合に、可聴ノイズが重畳している音響信号から前記可聴ノイズを除去する。本発明に係る信号処理方法では、信号記録部に供給される電流の時間変化を測定することで、信号記録媒体である信号記録部の駆動に伴う動作音が発生しているタイミングを推定することができる。
【0020】
上記課題を解決するために、本発明の更に別の観点によれば、コンピュータを、電源からの電流供給により駆動するとともに、駆動に伴って可聴ノイズを発生しうるアクチュエータを備えた信号記録部に記録される音響信号から前記可聴ノイズを除去する信号処理装置として機能させるためのプログラムであって、音を集音して音響信号に変換する変換機能と、前記信号記録部に供給される前記電流の大きさおよび時間変化を検出する電流検出機能と、検出された前記電流の大きさ及び/又は時間変化に基づいて前記可聴ノイズの発生の有無を判定し、前記可聴ノイズの発生があると判定した場合に、前記可聴ノイズが重畳している前記音響信号から当該可聴ノイズを除去する信号処理機能と、をコンピュータに実現させるためのプログラムが提供される。
【0021】
かかる構成によれば、コンピュータプログラムは、コンピュータが備える記憶部に格納され、コンピュータが備えるCPUに読み込まれて実行されることにより、そのコンピュータを上記の信号処理装置として機能させる。また、コンピュータプログラムが記録された、コンピュータで読み取り可能な記録媒体も提供することができる。記録媒体は、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、フラッシュメモリなどである。また、上記のコンピュータプログラムは、記録媒体を用いずに、例えばネットワークを介して配信してもよい。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、信号記録媒体に供給される電流の時間変化を測定することで、コストの増加を招くことなく、信号記録媒体の駆動に伴う動作音が発生しているタイミングを推定することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0024】
<信号記録部に供給される電流と信号記録部から発生するノイズとの関係について>
まず、本発明の各実施形態にかかる信号処理装置ついて詳細な説明をするに先立ち、図1および図2を参照しながら、信号記録部の一例であるハードディスクドライブ(HDD)に供給される電流と、HDDから発生するノイズとの関係について、詳細に説明する。図1は、HDDに供給される電流と、HDDから発生するノイズとを測定するための測定システムについて説明するためのブロック図であり、図2は、図1に示した測定システムにより測定された電流とノイズとを図示したグラフ図である。
【0025】
測定システム1は、図1に示したように、HDD2と、制御装置3と、電源4と、電流検出部5と、集音マイク6と、測定器7とを備える。
【0026】
HDD2は、後述する電源4からの電流供給により駆動するとともに、駆動に伴って可聴ノイズを発生しうるアクチュエータを含む信号記録部の一例である。このHDD2には、後述する電源4から、HDDの各種動作に必要な電力が供給される。
【0027】
制御装置3は、HDD2を制御する制御装置であり、HDD2が実装される予定の機器で想定される各種制御コマンドを発行する。ここで、HDDが実装される予定の機器とは、例えば、カムコーダやHDDレコーダ等のような、集音マイクとHDDとを共に備える機器を意味する。制御装置3が、HDDを実装予定の機器で想定される各種制御コマンドを発行することで、制御コマンドをHDD2が実行する際に供給される電流と、HDD2から発生する可聴ノイズとを関連づけて特定することが可能となる。
【0028】
電源4は、HDD2に対して電力を供給し、HDD2を駆動させる。HDD2への電力の供給回路上には、HDD2に供給される電流の大きさを検出する電流検出部5が設けられ、HDD2がある制御コマンドを実行する際に電源4からHDD2へ供給される電流の大きさを検出することが可能である。
【0029】
集音マイク6は、音を集音して音響信号へと変換する。本測定システム1における集音マイク6は、HDD2が実装される予定の機器におけるHDDと集音マイクとの位置関係を再現するように設けられ、HDD2がある制御コマンドを実行する際に発生する可聴ノイズを集音する。
【0030】
測定器7は、電流検出部5により検出された電流と、集音マイク6により集音された可聴ノイズ6とをあわせて表示し、HDD2がある制御コマンドを実行する際に供給される電流の時間変化と、HDD2から発生する可聴ノイズの時間変化を測定する。測定器7は、例えば、オシロスコープ等を用いて形成することが可能である。
【0031】
かかる測定システム1によって得られた結果を用いることで、HDDが実装される予定の機器において発生しうる電流の供給状況と可聴ノイズとを、データベース化することができる。
【0032】
図2は、上記測定システムにより測定した電流値および可聴ノイズの一例である。図2(a)は、HDD2から発生した可聴ノイズの時間変化を表したグラフ図であり、図2(b)は、HDD2に供給された電流値の時間変化を表したグラフ図である。図2(a)および図2(b)共に、横軸は時間(秒)であり、縦軸は、それぞれ可聴ノイズの音量および電流値を表している。
【0033】
図2(a)および図2(b)から明らかなように、ある時刻に、電源4からHDD2へとある絶対値以上の電流が供給されると、その時刻の前後に、HDD2から可聴ノイズが発生しており、電源4からHDD2に供給される電流と、HDD2の駆動により発生する可聴ノイズとは、相関があることがわかる。例えば、図2(b)のA点やE点のように電流値が急激に変化する場合や、図2(b)のC点のように電流値が増加から減少に切り替わるような場合には、図2(a)のB点、D点、F点のように、特徴的なノイズが発生している。このように、図2(b)のA点、C点、E点のような電流の時間変化の波形が、可聴ノイズの発生に関係のある特徴的な波形であることがわかる。また、電流の絶対値に注目することで、定常的な動作状態(例えば、HDDのスピンドル回転の有無等)を推定することができる。ここで、上述の「特徴的な波形」とは、可聴ノイズの発生と高い相関を有する、電流値の時間変化に検出される波形のことをいう。
【0034】
図2に示したような特徴的な電流波形に対して、当該電流波形に応じてマイクからの入力に反応があるため、特徴的な電流波形を測定結果から抽出し、それぞれの電流状態や電流変化、更には、HDDのどのような動作変化がどういったノイズ発生の原因となっているかを特定する。例えば、制御装置3がどのような制御信号を送信した際に、どのような電流波形が検出されたのかを解析することで、図2(b)のA点やC点のような波形は、例えば、HDDのディスクを回転させるために、スピンドルモータを駆動する際に発生する旨を明らかにすることができる。また、同様な解析を行うことで、図2(b)のB点のような波形は、HDDのヘッドを待避させるとき(リトラクト時)や、シーク時等のように、サーボ制御を行っている際に発生するということを明らかにできる。
【0035】
また、図2(a)と図2(b)とを対比すると、電流の供給開始時点がノイズ発生時点となっていない場合が存在し、電流の供給終了時点がノイズ終了時点となっていない場合が存在することがわかる。従って、HDD2に供給される電流の時間変化波形に特徴的な波形が検出されるタイミングと可聴ノイズが集音されるタイミングとの相関を、パターン学習等の方法を用いて調べることで、それぞれの特徴的な電流値の波形に対して、可聴ノイズを音響信号から除去する信号処理を開始する除去処理開始時点と、信号処理を実行する時間範囲とを決定することができる。
【0036】
従って、電源4からHDD2に供給される電流の時間変化を表す波形に、上述のような特徴的な波形が検出される時点(タイミング)を検知することで、集音マイク6にノイズが重畳されるタイミングを推定することができ、更には、可聴ノイズの除去処理を開始するタイミングと信号処理を実行する時間範囲とを決定することができる。
【0037】
また、可聴ノイズの検出結果に基づいて可聴ノイズを音響信号から除去する信号処理方法を検討し、それぞれの可聴ノイズに最適な信号処理アルゴリズムを決定することが可能である。例えば、図2に示した各グラフ図を検討することで、スピンドルモータに起因する可聴ノイズを除去する処理として、モータの回転数に応じた周波数をノッチフィルタ等で除去する処理を用いることとし、ディスクのリトラクトやシークに起因する可聴ノイズを除去する処理として、当該可聴ノイズが重畳している部分の音響信号を、ノイズが重畳している部分の前後に位置する類似波形を用いて置換する処理を用いるように決定可能である。
【0038】
以上のような検討を実装予定のHDD等に対して行うことで、特徴的な電流の時間変化の波形と、特徴的な波形が検出される際のHDDの動作状態に関する情報と、可聴ノイズの除去処理を開始するタイミングである除去処理開始時点と、信号処理を実行する時間範囲と、可聴ノイズを除去するために用いる信号処理方法とが互いに関連づけられたデータベースを作製することが可能である。
【0039】
(第1の実施形態)
<信号処理装置10の構成について>
続いて、図3〜図5を参照しながら、本発明の第1の実施形態に係る信号処理装置10について、詳細に説明する。図3は、本実施形態に係る信号処理装置10を説明するためのブロック図であり、図4は、本実施形態に係る電流検出部の一例について説明するための説明図であり、図5は、本実施形態に係る信号処理部について説明するためのブロック図である。
【0040】
図3に示したように、本実施形態に係る信号処理装置10は、集音部101と、信号記録部103と、電源105と、電流検出部107と、信号処理部109と、記録制御部111と、を主に備える。
【0041】
集音部101は、例えば集音マイクおよびAD変換部等から構成され、音を集音してデジタル信号である音響信号に変換する。ここで、「音」とは、音声、音楽、効果音、擬音等の、あらゆる音を意味する。また、本実施形態に係る集音部101で用いられるAD変換部は、一般的に用いられるAD変換器を利用することが可能である。
【0042】
信号記録部103は、集音部101により生成された音響信号が記録される記憶部である。この信号記録部103は、後述する電源105から供給される電流により駆動するとともに、駆動に伴って可聴ノイズを発生しうるアクチュエータを備える。ここで、本実施形態に係る信号記録部103には、例えば、CDメディア、DVDメディア、Blu−rayメディア、HD−DVDメディア等の各種光学ドライブや、HDD等が用いられる。以下では、信号記録部103がHDDである場合について説明を行うが、本発明に係る信号記録部103がHDDに限定されるわけではない。
【0043】
電源105は、信号記録部103に対して駆動のための電力である電流を供給する。電源105と信号記録部103とを結ぶ配線の途中には電流検出部107が設けられ、電源105から信号記録部103に供給される電流の大きさや時間変化が検出される。
【0044】
本実施形態に係る電流検出部107として、例えば図4に示したように、接地された信号記録部103に直列に設けられる抵抗R101を設けることが可能である。抵抗R101の抵抗値としては、例えば0.1Ω程度とすることが可能である。予め抵抗R101に印加される電圧と、印加される電圧値に応じて抵抗R101に流れる電流との相関関係を調べておいた上で、抵抗R101間に印加される電圧であるVを検出し、抵抗R101に流れる電流や電流の時間変化を測定することができる。なお、本実施形態に係る電流検出部10は、上記の例に限定されるわけではなく、信号記録部103に供給される電流の大きさと時間変化を測定可能な方法であれば、任意の方法を使用することが可能である。
【0045】
信号処理部109は、電流検出部107により検出された電流の大きさ及び/又は時間変化に基づいて、信号記録部103の駆動音等に由来する可聴ノイズの発生の有無を判定し、可聴ノイズの発生があると判定した場合に、可聴ノイズが重畳している音響信号から可聴ノイズを除去する。本実施形態に係る信号処理部109は、集音部101が生成した音響信号に対して常に信号処理を施すわけではなく、可聴ノイズが発生したと判定された場合にのみ所定の信号処理を行う。この信号処理部109については、以下で改めて詳述する。
【0046】
記録制御部111は、信号処理部109から出力された音響信号を信号記録部103に記録するための制御を行う。
【0047】
<信号処理部109について>
続いて、図5を参照しながら、本実施形態に係る信号処理部109について、詳細に説明する。本実施形態に係る信号処理部109は、図5に示したように、バッファ151と、制御部153と、カウンタ161と、信号演算処理部163と、処理内容記憶部165と、を更に備える。
【0048】
バッファ151は、例えばRAM(Random Access Memory)等で構成され、集音部101により生成された音響信号が入力される。また、バッファ151は、入力された音響信号を一定期間保持する。すなわち、バッファ151は、入力された音響信号と当該音響信号がバッファ151に入力された時刻とが互いに関連付けられて記録されており、ある時点からある短い一定時間前までの音響信号が蓄えられる。ここで、バッファ151が音響信号を一次保存する期間は、例えば数msec程度とする。上述のように、電流値の時間変化に所定の波形が検出される前から、信号記録部103の駆動に起因する可聴ノイズが発生している可能性があるため、かかるバッファ151を設けることで、過去に発生した可聴ノイズの除去が必要となった場合でも対応することが可能となる。また、一定期間が経過した音響信号は、バッファ151から出力され、記録制御部111へと伝送される。
【0049】
制御部153は、例えばCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM等で構成され、信号処理部109が実行する可聴ノイズ除去処理の制御を行う。この制御部153には、電流検出部107が検出した電源105から信号記録部103に供給される電流の大きさと時間変化とが入力される。本実施形態に係る制御部153は、更に、時間変化判定部155と、カウンタ制御部157と、遅延時間決定部159と、を備える。
【0050】
時間変化判定部155は、電流検出部107から入力された電流値の時間変化を表した波形に、例えばCPU、ROM、RAM等で構成され、可聴ノイズの発生に相関のある波形が存在するか否かを判定する。判定に際しては、後述する処理内容記憶部165に記録されているデータベースを利用する。判定の結果、可聴ノイズの発生が推定される場合、または、可聴ノイズが既に発生している場合には、判定結果を後述するカウンタ制御部157、遅延時間決定部159、信号演算処理部163等に通知する。このように、本実施形態に係る信号処理装置10では、電流検出部107から入力された電流値の時間変化波形に所定形状の波形が検出された状態を、可聴ノイズ除去処理を開始するトリガーとして使用する。
【0051】
カウンタ制御部157は、例えばCPU、ROM、RAM等で構成され、後述するカウンタ161を制御する制御部である。時間変化判定部155により電流の時間変化波形に特徴的な波形が検出された場合において、可聴ノイズが、特徴的な波形が検出されてから所定時間経過後に発生するときに、カウンタ制御部157は、波長が検出された時からカウンタ161のカウント処理を開始させ、検出された特徴的な波長に応じて、所定の時間が経過するまでカウンタ161の制御を行う。また、後述する信号演算処理部163が所定の可聴ノイズ除去処理の実行を開始した場合には、信号演算処理部163がノイズ除去処理を行っている時間を計測する。後述するカウンタ161が所定の時間をカウントすると、カウンタ制御部157は、所定の時間が経過したことを、後述する信号演算処理部163へと通知する。
【0052】
遅延時間決定部159は、例えばCPU、ROM、RAM等で構成され、時間変化判定部155により電流の時間変化波形に特徴的な波形が検出された場合において、可聴ノイズが、特徴的な波形が検出される前から発生しているときに、可聴ノイズの発生時と特徴的な波形の検出時との時間差(遅延時間)を決定する。すなわち、遅延時間とは、電流の時間変化波形に特徴的な波形が検出された時刻が、可聴ノイズの発生時からどのくらい遅れているかを表す時間である。
【0053】
遅延時間決定部159は、遅延時間を算出する場合には、後述する処理内容記憶部165を参照して、時間変化判定部155が検出した波形に関連付けられているデータ内容を検索し、遅延時間を決定する。遅延時間が決定すると、遅延時間決定部159は、バッファ151に蓄えられた必要とされる時間前のデータをアドレスで選択し、選択したアドレスを後述する信号演算処理部163へと伝送する。また、遅延時間決定部159は、バッファ151から取得した音響信号そのものを、信号演算処理部163へと伝送してもよい。
【0054】
カウンタ161は、例えばCPU、ROM、RAM等やフリップフロップ等の論理素子で構成され、カウンタ制御部157からの制御命令に従って時間のカウントを行う。
【0055】
信号演算処理部163は、例えばCPU、ROM、RAM等で構成され、時間変化判定部155により電流の時間変化波形に特徴的な波形が検出されると、後述する処理内容記憶部165に記録されているデータベース等を参照しながら、バッファ151に格納されている音響信号から重畳している可聴ノイズを除去する。信号演算処理部163が実行するノイズ除去処理は、電流の時間変化波形に検出される特徴的な波形に関連付けられて処理内容記憶部165に記録されており、信号演算処理部163は、検出された特徴的な波形に応じて、実行するノイズ除去処理およびノイズ除去処理を実行している時間を変更する。
【0056】
可聴ノイズが、特徴的な波形が検出されてから所定時間経過後に発生する場合には、カウンタ制御部157から所定時間が経過したこと旨の通知を受信した後に、信号演算処理部163は、ノイズ除去処理を実行する。また、可聴ノイズが、特徴的な波形が検出される前から発生している場合には、遅延時間決定部159から通知されたバッファ151上のアドレスより過去の音響信号を取得し、取得した過去の音響信号に対してノイズ除去処理を実行する。このように、カウンタ制御部157および遅延時間決定部159からの出力を利用することで、特徴的な電流波形に対して可聴ノイズ発生の時間が前後したとしても、特定した時間間隔だけノイズ除去処理を適用することが可能となる。
【0057】
本実施形態に係る信号演算処理部163は、例えば、信号記録部103を構成するディスクのスピンドルに関する可聴ノイズに対して、所定の周波数成分をローパスフィルタ、ハイパスフィルタ、またはバンドパスフィルタ等のノッチフィルタを用いて除去する処理を行う。ここで、除去すべき周波数成分は、スピンドルモータの回転数に応じた周波数となる。また、ディスクのリトラクトやシークに関する可聴ノイズに対しては、信号演算処理部163は、可聴ノイズが重畳していると推定される部分の音響信号に隣接する音響信号を利用して、可聴ノイズが重畳していると推定される部分の音響信号を置換する処理を行うことができる。例えば、信号演算処理部163は、可聴ノイズが重畳していると推定される部分の音響信号に隣接する音響信号から波形の類似している区間を抽出し、抽出した類似波形を利用してノイズの重畳部分を置換することが可能である。
【0058】
ノイズ除去処理が終了すると、信号演算処理部163は、可聴ノイズが除去された音響信号をバッファ151に出力する。
【0059】
以上のように、本実施形態に係る信号演算処理部163は、電流の時間変化波形に特徴的な波形が検出され可聴ノイズの発生が推定される場合にのみ、可聴ノイズが発生していると推定される音響信号の箇所に対してノイズ除去処理を実行する。そのため、音響信号に施されるノイズ除去処理は最小限度に抑えられるため、音響信号の音質の低下を抑制することが可能となる。
【0060】
処理内容記憶部165は、例えば、ROMやHDD等の記録装置等から構成されており、信号記録部103に供給される電流の時間変化に検出される特徴的な波形と、この特徴的な波形に対応した電流供給によって信号記録部103から発生する可聴ノイズを音響信号から除去するために用いられる信号処理方法と、が互いに関連付けられて例えばデータベースの形で記録されている記録部である。また、この処理内容記憶部165には、可聴ノイズの除去処理を開始するタイミングである除去処理開始時点を規定する情報(すなわち、どのくらい時間遡って処理を開始するか、または、どのくらい時間が経過したら処理を開始するか、等に関する情報)と、信号処理を実行する時間範囲に関する情報も記録されている。
【0061】
上記のような処理内容に関するデータベースは、信号処理装置10に実装される信号記録部103に応じて、例えば図1を用いて説明した測定システム等を利用して個別に作成される。また、信号処理装置10に実装される信号記録部103が複数種類存在する場合には、実装される可能性のある信号記録部103それぞれに対して上記データベースを作成し、可能性のあるデータベースすべてを処理内容記憶部165に記録しておいてもよい。処理内容記憶部165に複数種類のデータベースが存在する場合には、それぞれのデータベースに識別ID等を付与しておき、実装される信号記録部103が確定した際に、ハードウェア的またはソフトウェア的に使用するデータベースを指定することが可能である。
【0062】
また、処理内容記憶部165に格納されるデータベースは、各種の記録媒体やインターネット等のネットワーク等を介して、随時更新することが可能である。
【0063】
なお、信号記録部103が現在どのような動作状態にあるのかを、本実施形態に係る信号処理部109内に記憶しておくことで、例えば、回転開始状態遷移と、回転停止状態遷移を電流波形から推定できる場合に、この2つの状態遷移に挟まれた期間はディスクが回転していると推定できる。そのため、ノイズ除去の処理すべき時間を、固定の一定時間ではなく2つの状態遷移に挟まれた間の全区間と設定し、状態遷移に伴う突発的なノイズの除去だけでなく、定常的に発生するノイズの除去にも適用することができる。
【0064】
以上、本実施形態に係る信号処理装置10の機能の一例を示した。上記の各構成要素は、汎用的な部材や回路を用いて構成されていてもよいし、各構成要素の機能に特化したハードウェアにより構成されていてもよい。したがって、本実施形態を実施する時々の技術レベルに応じて、適宜、利用する構成を変更することが可能である。
【0065】
<信号処理方法について>
続いて、図6を参照しながら、本実施形態に係る信号処理方法について、詳細に説明する。図6は、本実施形態に係る信号処理方法を説明するための流れ図である。
【0066】
図6に示したように、本実施形態に係る信号処理方法では、まず、信号記録部103に供給される電流の大きさおよび時間変化を、電流検出部107により検出する(ステップS101)。検出された電流の時間変化に関する情報は、電流検出部107から信号処理部109へと出力される。次に、信号処理部109内の時間変化判定部155は、電流の時間変化を表す波形中に、処理内容記憶部165に記録されている特徴的な波形が存在するか否かを判定する(ステップS103)。
【0067】
特徴的な波形が存在しない場合には、信号演算処理部163は、ノイズ除去処理を行うことなく、音響信号を信号記録部103に記録して、処理を終了する(ステップS117)。
【0068】
また、特徴的な波形が存在する場合(すなわち、可聴ノイズの発生が推定される場合)には、時間変化判定部155は、判定結果を信号演算処理部163に通知する。信号演算処理部163は、検出された波形を、処理内容記憶部165に照会して、直ちにノイズ除去処理を実行すべきかどうかを判定する(ステップS105)。
【0069】
ここで、検出された波形を照会した結果、除去処理開始時点が特徴的な波形の検出時である旨が記録されていた場合には、信号演算処理部163は、処理内容記憶部165に記録されている信号処理方法に基づいて、直ちに信号処理を実行する(ステップS107)。
【0070】
また、検出された波形を照会した結果、信号処理を開始する前に何らかの処理が必要である旨が記録されていた場合には、信号演算処理部163は、更に処理内容記憶部165を検索して、既に可聴ノイズが発生していると推定されるかどうかを判定する(ステップS109)。
【0071】
判定の結果、既に可聴ノイズが発生していると推定される場合には、信号演算処理部163は、遅延時間決定部159から通知される遅延時間やバッファ上のアドレス等に基づいて、バッファ151からノイズが重畳している過去の音響信号を取得する(ステップS111)。その後、信号演算処理部163は、取得した音響信号に対して、所定のノイズ除去処理を実行する(ステップS113)。
【0072】
また、判定の結果、所定時間経過後から可聴ノイズが発生すると推定される場合には、信号演算処理部163は、カウンタ制御部157からの時間経過通知を取得するまで処理を待機し、所定時間経過後に所定のノイズ除去処理を実行する(ステップS115)。
【0073】
また、音響信号に対してノイズ除去処理を行った場合には、信号演算処理部163は、処理を実行した箇所の音響信号を処理後の信号に置換した上で、信号記録部103に音響信号を記録する(ステップS117)。
【0074】
このような処理方法を用いることで、検知した電流から推定された、ある時間の信号記録部の動作状態および動作遷移に対して、その状況に最適なノイズ除去処理を実行することが可能となる。また、ノイズ除去処理を必要最低限度の時間だけ実行することで、信号記録部の動作によって生じるノイズ除去を、少ない電力および信号劣化で実現することが可能である。
【0075】
以上説明したように、本実施形態に係る信号処理装置10および信号処理方法によれば、信号記録部に供給される電流の検出という手段を用いることで、信号記録部の動作状態を推定することが可能である。更に、電流の検出のみで動作状態を推定することが可能となるため、従来の信号処理方法に比べて、信号記録部の動作状態の推定に要する回路のコストを削減することができる。
【0076】
また、本実施形態に係る信号処理装置10および信号処理方法によれば、時間精度の高いノイズ位置の推定が可能となるため、ノイズ除去のための演算処理を必要最低限にすることができ、音質の劣化を抑制することができる。
【0077】
更に、電流値およびその変化と、可聴ノイズとの相関を詳細に解析し、可聴ノイズ除去のためのアルゴリズムの設計をより緻密なものとすることにより、定常的、非定常的なものを問わず、様々なノイズに対して、それぞれのノイズごとに当該ノイズを除去すべき的確なタイミングを生成することが可能である。
【0078】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0079】
例えば、上述した実施形態においては、信号記録部に供給される電流の時間変化を検知することで、可聴ノイズの除去処理を開始するタイミングを推定する場合について説明したが、信号記録部に印加される電圧の時間変化を検知することで、可聴ノイズの除去処理を開始するタイミングを推定してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】信号記録部において発生するノイズを記録する測定装置を説明するためのブロック図である。
【図2】信号記録部に供給される電流と発生するノイズとを示したグラフ図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る信号処理装置について説明するためのブロック図である。
【図4】同実施形態に係る電流検出部の一例について説明するための説明図である。
【図5】同実施形態に係る信号処理部について説明するためのブロック図である。
【図6】同実施形態に係る信号処理方法を説明するための流れ図である。
【図7】従来の信号処理装置について説明するための説明図である。
【符号の説明】
【0081】
10 信号処理装置
101 集音部
103 信号記録部
105 電源
107 電流検出部
109 信号処理部
111 記録制御部
151 バッファ
153 制御部
155 時間変化判定部
157 カウンタ制御部
159 遅延時間決定部
161 カウンタ
163 信号演算処理部
165 処理内容記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
音を集音して音響信号に変換する集音部と、
電源からの電流供給により駆動するとともに、駆動に伴って可聴ノイズを発生しうるアクチュエータを含み、前記音響信号が記録される信号記録部と、
前記信号記録部に供給される前記電流の大きさおよび時間変化を検出する電流検出部と、
検出された前記電流の大きさ及び/又は時間変化に基づいて前記可聴ノイズの発生の有無を判定し、前記可聴ノイズの発生があると判定した場合に、前記可聴ノイズが重畳している前記音響信号から前記可聴ノイズを除去するノイズ除去処理を実行する信号処理部と、
を備えることを特徴とする、信号処理装置。
【請求項2】
前記信号処理部は、
前記検出された電流の時間変化を表す波形中に、所定形状の波形が存在するか否かに基づいて、前記可聴ノイズの発生の有無を判定する
ことを特徴とする、請求項1に記載の信号処理装置。
【請求項3】
前記信号処理部は、
前記所定形状の波形が検出された時点に応じて前記ノイズ除去処理を開始する除去処理開始時点を決定し、
前記除去処理開始時点以降の前記可聴ノイズが重畳している音響信号に対して、前記ノイズ除去処理を実行する
ことを特徴とする、請求項2に記載の信号処理装置。
【請求項4】
前記信号処理部は、
前記音響信号を所定時間格納するバッファを更に備え、
前記除去処理開始時点が、前記所定形状の波形が検出された時点よりも前に設定された場合に、前記バッファに格納されている前記音響信号を用いて、前記ノイズ除去処理を実行する
ことを特徴とする、請求項3に記載の信号処理装置。
【請求項5】
前記信号処理部は、
前記所定形状の波形に応じた前記ノイズ除去処理の処理内容が、前記所定形状の波形に関連付けられて記憶されている処理内容記憶部を更に備え、
検出された前記所定形状の波形に応じて、前記可聴ノイズが重畳している音響信号に対して実行する前記ノイズ除去処理の処理内容を変更する
ことを特徴とする、請求項2に記載の信号処理装置。
【請求項6】
前記処理内容記憶部には、前記ノイズ除去処理を実行すべき期間の長さが前記所定形状の波形に関連付けられて記憶されており、
前記信号処理部は、前記除去処理開始時点から前記ノイズ除去処理を実行すべき期間が経過するまでの間、前記ノイズ除去処理を実行する
ことを特徴とする、請求項5に記載の信号処理装置。
【請求項7】
前記信号処理部は、
ローパスフィルタ、ハイパスフィルタ、またはバンドパスフィルタを用い、前記可聴ノイズが重畳している音響信号から所定の周波数を有する信号を除去する
ことを特徴とする、請求項1に記載の信号処理装置。
【請求項8】
前記信号処理部は、
前記可聴ノイズが重畳している音響信号の一部を、当該可聴ノイズが重畳している音響信号の他の箇所における音響信号に置換する
ことを特徴とする、請求項1に記載の信号処理装置。
【請求項9】
電源からの電流供給により駆動するとともに、駆動に伴って可聴ノイズを発生しうるアクチュエータを備えた信号記録部に記録される音響信号から前記可聴ノイズを除去する信号処理方法であって、
音を集音して前記音響信号に変換する集音ステップと、
前記信号記録部に供給される前記電流の大きさおよび時間変化を検出する電流検出ステップと、
検出された前記電流の大きさ及び/又は時間変化に基づいて前記可聴ノイズの発生の有無を判定し、前記可聴ノイズの発生があると判定した場合に、前記可聴ノイズが重畳している前記音響信号から前記可聴ノイズを除去する信号処理ステップと、
を含むことを特徴とする、信号処理方法。
【請求項10】
コンピュータを、電源からの電流供給により駆動するとともに、駆動に伴って可聴ノイズを発生しうるアクチュエータを備えた信号記録部に記録される音響信号から前記可聴ノイズを除去する信号処理装置として機能させるためのプログラムであって、
音を集音して音響信号に変換する変換機能と、
前記信号記録部に供給される前記電流の大きさおよび時間変化を検出する電流検出機能と、
検出された前記電流の大きさ及び/又は時間変化に基づいて前記可聴ノイズの発生の有無を判定し、前記可聴ノイズの発生があると判定した場合に、前記可聴ノイズが重畳している前記音響信号から当該可聴ノイズを除去する信号処理機能と、
をコンピュータに実現させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−54225(P2009−54225A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−219237(P2007−219237)
【出願日】平成19年8月27日(2007.8.27)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)