説明

信号処理装置及び信号処理方法

【課題】高精細な映像信号に同期させて192kHzオーディオを伝送すること。
【解決手段】信号送信装置5は、192kHzのサンプリング周波数でサンプリングされた4つのオーディオサンプルを、第1及び第2のAESチャンネルのそれぞれに含まれる第1及び第2のAESサブフレームに所定の順番でマッピングする。次に、第1及び第2のAESサブフレームにマッピングされたオーディオサンプルを2つのAESチャンネルから取り出し、取り出された4つのオーディオサンプルをオーディオデータパケットに4チャンネルペアのオーディオデータとして格納する。そして、オーディオデータパケットをHD−SDIフォーマットで規定される映像信号の補助データスペースに多重して映像信号を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、192kHzでサンプリングされたオーディオデータを映像信号に多重して伝送する場合に適用して好適な信号処理装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現行の1フレームが1920サンプル×1080ラインの映像信号(画像信号)であるHD(High Definition)信号を超える、超高精細映像信号の受像システムや撮像システムの開発が進んでいる。例えば、現行HDの4倍、16倍もの画素数を持つ次世代の放送方式であるUHDTV(Ultra High Definition Television)規格の標準化が行われている。この標準化は、ITU(International Telecommunication Union)やSMPTE(Society of Motion Picture and Television Engineers)に提案されて行われる。ITUやSMPTEに提案されている映像規格は、1920サンプル×1080ラインの2倍、4倍のサンプル数、ライン数を持つ3840サンプル×2160ラインや7680サンプル×4320ラインの映像信号である。このうち、ITUで標準化されているものはLSDI(Large screen digital imagery)と呼ばれ、SMPTEに提案されているものはUHDTV(Ultra High Definition TV)と呼ばれる。UHDTVに関しては次表1の信号が規定されている。
【0003】
【表1】

【0004】
これらのインタフェースとして、UHDTV規格の3840サンプル/60フレームの映像信号は、ビットレート10Gbpsの伝送路を2チャンネル使用して伝送する方式が提案されている。また、7680サンプル/60フレームの映像信号は、ビットレート10Gbpsの伝送路を8チャンネル使用して伝送する方式が提案されている。
【0005】
特許文献1には、4k×2k信号(4kサンプル×2kラインの超高解像度信号)の一種である3840×2160/30P,30/1.001P/4:4:4/12ビット信号を、ビットレート10Gbps以上でシリアル伝送する技術について開示されている。なお、[3840×2160/30P]と示した場合には、[水平方向の画素数]×[垂直方向のライン数]/[1秒当りのフレーム数]を示している。本明細書において以下同じである。また、[4:4:4]は、原色信号伝送方式である場合、[赤信号R:緑信号G:青信号B]の比率を示し、色差信号伝送方式である場合、[輝度信号Y:第1色差信号Cb:第2色差信号Cr]の比率を示す。
【特許文献1】特開2005−328494号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、超高精細映像信号の伝送規格では、オーディオ信号についても高音質化を図るようにしてある。例えばUHDTV用途では、現行HD用である48kHzのサンプリング周波数でサンプリングしたオーディオの2倍である96kHzのサンプリング周波数でサンプリングしたオーディオの伝送が想定されている。また、48kHzのサンプリング周波数の4倍である192kHzのサンプリング周波数でサンプリングしたオーディオの伝送が想定されている。以下の説明では、mkHzのサンプリング周波数でサンプリングしたオーディオを、「mkHzオーディオ」という。オーディオ信号チャンネルについては、最大で24チャンネルが必要とされている。
【0007】
しかしながら、従来の伝送方式では、最も伝送レートが高い光ファイバを伝送路に使用した伝送方式でも、1チャンネルで最大で10Gbps程度の伝送しかできない。このため、超高精細映像信号に必要な伝送レートではなく、超高精細映像信号そのものを複数のチャンネルに分割して伝送することが必要である。オーディオ信号も分割したチャンネルのいずれかを使用して伝送されることになる。そして、映像信号に同期したオーディオ信号は、映像信号と同じタイミングで伝送される必要があるため、映像信号とオーディオ信号を同期させる処理が必要である。しかし、上述した最大24チャンネルの192kHzオーディオを、多チャンネルに分割された映像データに同期して伝送するためには、何らかの同期処理が必要であり、そのための同期処理構成が複雑化する問題があった。また、192kHzオーディオを、10.692Gbpsに多重して伝送する方式や、オーディオ位相の規定は、これまで存在していなかった。
【0008】
本発明はこのような状況に鑑みて成されたものであり、高精細な映像信号に同期させて192kHzオーディオ伝送することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、192kHzのサンプリング周波数でサンプリングされた4つのオーディオサンプルを、2つのAESチャンネルのそれぞれに含まれる第1及び第2のAESサブフレームに所定の順番でマッピングする。
次に、第1及び第2のAESサブフレームにマッピングされたオーディオサンプルを2つのAESチャンネルから取り出し、取り出された4つのオーディオサンプルをオーディオデータパケットに4チャンネルペアのオーディオデータとして格納する。
そして、オーディオデータパケットをHD−SDIフォーマットで規定される映像信号の補助データスペースに多重して映像信号を出力する。
【0010】
このようにしたことによって、192kHzオーディオをHD−SDIフォーマットで規定される映像信号の補助データスペースに多重して映像信号を出力することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、192kHzの周波数でサンプリングされたオーディオデータをHD−SDIの水平ブランキング期間に多重する方式に関する。そして、現行の48kHzオーディオデータをHD−SDIの水平ブランキング期間へ多重する方式(SMPTE299M)と互換の取れる多重方式を得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、発明を実施するための最良の形態(以下実施の形態とする。)について説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.第1の実施の形態(オーディオサンプルの割当て制御:192kHzオーディオを映像信号に多重する第1の割当て例)
2.第2の実施の形態(オーディオサンプルの割当て制御:192kHzオーディオを映像信号に多重する第2の割当て例)
3.変形例
【0013】
<1.第1の実施の形態>
[伝送システムの例]
【0014】
以下、本発明の第1の実施の形態について、図1〜図13を参照して説明する。
図1は、本実施の形態を適用したテレビジョン放送局用のカメラ伝送システムの全体構成を示す図である。このカメラ伝送システムは、複数台の放送用カメラ1とCCU(カメラコントロールユニット)2とで構成されており、各放送用カメラ1が光ファイバケーブル3でCCU2に接続されている。
【0015】
放送用カメラ1は、同一構成のものである。そして、4k×2k信号として、UHDTVに相当する3840×2160/24P,25P,30P/4:4:4,4:2:2,4:2:0/10ビット,12ビット信号を生成し、送信する信号送信装置として機能する。なお、4k×2k信号は、4kサンプル×2kラインの超高解像度信号を表す。
【0016】
CCU2は、各放送用カメラ1を制御したり、各放送用カメラ1から映像信号を受信したり、各放送用カメラ1のモニタに他の放送用カメラ1で撮影中の映像を表示させるための映像信号(リターンビデオ)を送信するユニットである。CCU2は、各放送用カメラ1から映像信号を受信する信号受信装置として機能する。
【0017】
[放送用カメラが備える信号処理装置の内部構成例]
図2は、放送用カメラ1の回路構成のうち、本実施の形態に関連する部分に係る信号処理装置のブロック図である。以下、データ構成等の説明を容易とするため、従来の信号処理装置と本発明に係る信号処理装置とを比較しながら説明する。
【0018】
図2Aは、従来の信号処理装置100の内部構成例を示す。
信号処理装置100は、収音した音声から音声信号を生成する2本のマイクロホン101と、音声信号を所定のフォーマットのAESチャンネルにマッピングする2つのマッピング部102を備える。また、信号処理装置100は、マッピング部102から供給されるAESチャンネルのオーディオデータパケットをHD−SDIフォーマットで規定される入力映像信号の補助データスペースに多重するオーディオ信号多重部103を備える。マッピング部102は、48kHzオーディオ又は96kHzオーディオをAESチャンネルにマッピングする。このとき、2本のAESチャンネルが用いられており、48kHzオーディオは、2チャンネルずつの計4チャンネルで伝送される。また、96kHzオーディオは、1本のAESチャンネルで1チャンネルずつの計2チャンネルで伝送される。
【0019】
図2Bは、本発明に係る信号処理装置5の内部構成例を示す。
信号処理装置5、音声を収音して音声信号を生成する2本のマイクロホン6と、音声信号を所定のフォーマットのAESチャンネルにマッピングする2つのマッピング部7を備える。また、信号処理装置5は、マッピング部7から供給される第1及び第2のAESチャンネルのオーディオデータパケットをHD−SDIフォーマットで規定される入力映像信号の水平補助データスペースに多重するオーディオ信号多重部8を備える。
【0020】
音声信号は、192kHzのサンプリング周波数でサンプリングされたオーディオサンプルを含む。マッピング部7は、4つのオーディオサンプルを、第1及び第2のAESチャンネルのそれぞれに含まれる第1及び第2のAESサブフレームに所定の順番でマッピングする。
【0021】
放送用カメラ1内の撮像部及び映像信号処理部(図示略)によって生成された3840×2160/24P,25P,30P/4:4:4,4:2:2,4:2:0/10ビット,12ビット信号は、オーディオ信号多重部8に送られる。オーディオ信号多重部8は、192kHzでサンプリングされたビデオラインに続く水平補助データスペース(Horizontal ancillary data space)に、オーディオデータパケットを多重する。このとき、オーディオ信号多重部8は、第1及び第2のAESサブフレームにマッピングされたオーディオサンプルを第1及び第2のAESチャンネルから取り出す。次に、オーディオ信号多重部8は、取り出された4つのオーディオサンプルをオーディオデータパケットに4チャンネルペアのオーディオデータとして格納する。そして、オーディオデータパケットをHD−SDIフォーマットで規定される映像信号の補助データスペースに多重して後続する不図示の処理ブロックに映像信号を出力する。
【0022】
3840×2160/24P,25P,30P/4:4:4,4:2:2,4:2:0/10ビット,12ビット信号は、ワード長が12ビットずつのGデータ系列,Bデータ系列,Rデータ系列の同期を取って並列配置した、36ビット幅の信号である。1フレーム期間は1/24秒,1/25秒,1/30秒のうちのいずれかであり、1フレーム期間内に2160の有効ライン期間が含まれている。
【0023】
入力映像信号の有効ライン(水平ライン)期間には、タイミング基準信号EAV(End of Active Video)と、ライン番号LNと、誤り検出符号CRCと、水平ブランキング期間(補助データスペース/未定義ワードデータの区間)が配置される。また、タイミング基準信号SAV(Start of Active Video)と、映像データの区間であるアクティブラインが配置される。アクティブラインのサンプル数は3840であり、Gデータ系列,Bデータ系列,Rデータ系列のアクティブラインには、それぞれG,B,Rの映像データが配置される。
【0024】
[オーディオデータパケットの構成例]
図3は、所定のサンプリング周波数でサンプリングしたオーディオデータをAESサブフレーム1,2で送る場合のオーディオデータパケットの構成例の一部を示す図である。オーディオデータパケットのデータ構造は、SMPTE299Mによって定められる。以下の説明では、第1のAESサブフレームをAESサブフレーム1とし、第2のAESサブフレームをAESサブフレーム2とする。
【0025】
図3Aは、48kHzオーディオをAESサブフレーム1,2で送る場合のオーディオデータパケットの例である。このオーディオデータパケットは、2ワードのユーザデータワード(以下、UDW(User Data Word)と略記する場合がある。)を含むクロック領域と、4ワードのUDWを含むチャンネル1〜4で構成される。UDWは、オーディオクロック位相データ(CLK)、チャンネルn(オーディオデータ)、誤り訂正コード(以下、ECC(Error Correction Codes)と略記する場合がある。)の3種類のデータを含む。UDWに含まれるデータの内容は、後述する。
【0026】
図3Bは、96kHzオーディオをAESサブフレーム1,2で送る場合のオーディオデータパケットの例である。このオーディオデータパケットは、2ワードのUDWを含むクロック領域と、4ワードのUDWを含むチャンネル1,1,2,2で構成される。
【0027】
図3Cは、192kHzオーディオをサンプル毎に第1及び第2のAESチャンネルのAESサブフレーム1,2で送る場合のオーディオデータパケットの例である。以下の説明では、第1のAESチャンネルをチャンネルAとし、第2のAESチャンネルをチャンネルBとする。オーディオデータパケットは、AESチャンネルBにおける2ワードのUDWを含むクロック領域と、4ワードのUDWを含むサンプルn+2,n+3,n+6,n+7で構成される。また、AESチャンネルAにおける2ワードのUDWを含むクロック領域と、4ワードのUDWを含むサンプルn,n+1,n+4,n+5で構成される。なお、以下の説明において「n」とは、kを0以上の整数とした場合に4k+1として定まる数値(n=4k+1(k≧0))を表す。
【0028】
クロック領域には、次表2に示すように、オーディオクロック位相データが挿入される。どこでオーディオが発生したかを示すオーディオ位相は、表2(SMPTE299M)に示されるオーディオクロック位相データに従って定められる。また、所定のサンプリングクロックでサンプルされたオーディオサンプル位置は、各フレームの一水平期間中の74.25MHzでのサンプル位置で定義される。オーディオデータパケットは、オーディオ信号多重部8によって、水平補助データスペースに多重される。
【0029】
【表2】

【0030】
オーディオクロック位相データは、表2に示すck0〜ck12の13ビットで定められる。ck0〜ck12までのビットは、フォーマッタに入力したオーディオサンプルと同時に入力した画素サンプルと、映像ストリームのEAVの最初のワードとの差の映像クロック数を表示する。そして、ck0〜ck12は、SMPTE292Mによる74.25MHzのサンプリングクロックを使用するシステムで管理することができる。つまり、所定のサンプリングクロックでサンプルされたオーディオサンプルが挿入された一水平期間におけるオーディオ位相を、8192クロックまで管理することができる。
【0031】
デジタルオーディオのシリアルインタフェース規格であるAES(Audio Engineering Society)3―2003のFigure2には、サブフレームフォーマットが定められている。また、この規格にはフレームフォーマットとして、2チャンネルモードの場合、2チャンネルの48kHzオーディオを、連続したAESサブフレーム1,2で送る旨が規定されている。また、SMPTE299Mには、48kHzオーディオをチャンネル1,2に入れることについて規定されている。
【0032】
従来は、図3Aに示すように、48kHzオーディオのオーディオチャンネルの内、チャンネル1は、AESサブフレーム1で送られ、チャンネル2は、AESサブフレーム2で送られる。さらに、チャンネル3は、AESサブフレーム1で送られ、チャンネル4は、AESサブフレーム2で送られる。
また、図3Bに示すように、96kHzオーディオの連続したオーディオチャンネルの内、チャンネル1が連続するAESサブフレーム1,2で送られる。そして、チャンネル2が連続するAESサブフレーム1,2で送られる。
【0033】
本実施の形態では、図3Cに示すように、1チャンネルの192kHzオーディオの連続したオーディオサンプルのうち、AESチャンネルAのサンプルn,n+1が連続するAESサブフレーム1,2で送られる。そして、AESチャンネルBのサンプルn+2,n+3が連続するAESサブフレーム1,2で送られる。同様に、AESチャンネルAのサンプルn+4,n+5が連続するAESサブフレーム1,2で送られる。そして、AESチャンネルBのサンプルn+6,n+7が連続するAESサブフレーム1,2で送られる。
【0034】
このとき、信号送信装置5と、受信側の機器との間で、信号伝送時の互換性を有するために、192kHzオーディオのチャンネル1の連続したオーディオサンプル(第1及び第2のオーディオサンプル)を、チャンネル1,2に入れる。さらに、96kHzオーディオのチャンネル2の連続したオーディオサンプルを、チャンネル3,4に入れる。
【0035】
また、192kHzオーディオのオーディオデータパケットに定義されるクロック位相を、連続した4つのオーディオサンプル(第1〜第4のオーディオサンプル)のうち、第2のオーディオサンプルの位置で定めている。このことについては、図8を参照して後述する。
【0036】
[各オーディオデータパケットの構成例]
以下、オーディオ信号多重部8が行う処理の例について、データフォーマットと合わせて説明する。
図4は、AES3で定義される32〜48kHzオーディオとオーディオデータパケットの構造例を示す。
【0037】
AESオーディオは、AES3で規定される1つのAESデジタルストリームに含まれる全てのVUCPデータ、オーディオデータ及び付加データを指す。そして、AESサブフレーム1,2を順に並べたフレームを、AESフレームという。
【0038】
32〜48kHzオーディオの場合、AESチャンネルペア1(AES1),AESチャンネルペア2(AES2)によってサブフレームが伝送される。32〜48kHzオーディオのAESチャンネルペア1,2には、1つのAESフレームにAESサブフレーム1,2が連続して含まれる。そして、AESチャンネルペア1には、所定の周波数でサンプリングされたAESサブフレーム1,2が連続して含まれる。同様に、AESチャンネルペア2にも、AESサブフレーム1,2が連続して含まれる。そして、AESチャンネルペア2には、第1及び第2のオーディオサンプルが含まれる。AESサブフレームは、4ビットのプリアンブル、4ビットの付加データ又はオーディオデータ、20ビットのオーディオデータ、1ビットのV,U,C,Pデータの順に、32ビットで構成される。
【0039】
オーディオデータパケットは、各種フィールドを含む。例えば、補助データフラグ(ADF)、データID(DID)、データブロックナンバー(DBN)、データカウント(DC)、オーディオクロック位相データ(CLK)、ユーザデータワード(UDW)、チェックサム(CS)フィールドがある。
【0040】
また、オーディオデータも、各種フィールドを含む。例えば、クロック(CLK)と、チェックサムフィールドの間に、AESチャンネル1の第1のオーディオサンプル(CH1)、AESチャンネル1の第2のオーディオサンプル(CH2)を含む。また、AESチャンネル2の第1のオーディオサンプル(CH3)、AESチャンネル2の第2のオーディオサンプル(CH4)フィールドと、ECCフィールドを含む。オーディオデータパケットは、Cb/Crデータストリームの水平補助データスペースに多重される。
【0041】
図5は、AES3で定義される96kHzオーディオとオーディオデータパケットとの関係を示す。
【0042】
96kHzオーディオの場合、AESチャンネル1,2によってサブフレームが伝送される。AESチャンネル1,2には、1つのAESフレームにAESサブフレーム1,2が連続して含まれる。AESサブフレーム1,2には、所定の周波数でサンプリングされた第1及び第2のオーディオサンプルが連続して含まれる。同様に、AESチャンネル2も、AESサブフレーム1,2が連続して含まれ、AESサブフレーム1,2には、第1及び第2のオーディオサンプルが含まれる。AESサブフレームの構成例とオーディオデータパケットの構成例は、上述した48kHzオーディオの場合と同様である。
【0043】
図6は、本実施の形態に係るAES3で定義される192kHzオーディオとオーディオデータパケットとの関係例を示す。
【0044】
192kHzオーディオの場合、AESチャンネルA,Bによってサブフレーム1,2が伝送される。AESチャンネルAには、1つのAESフレームにAESサブフレーム1,2が連続して含まれる。AESサブフレーム1,2の構成例は、上述した48kHzオーディオの場合と同様である。また、オーディオデータパケットの構成例は、上述した48kHzオーディオの場合と同様である。
【0045】
マッピング部8は、kを0以上の整数とした場合に4k+1として定まるnに基づいて、オーディオサンプルをマッピングする。
このとき、n番目にサンプリングされた第nのオーディオサンプルを第1のAESチャンネルに含まれる第1のAESサブフレームに格納する。次に、n+1番目にサンプリングされた第n+1のオーディオサンプルを第1のAESチャンネルに含まれる第2のAESサブフレームに格納する。次に、n+2番目にサンプリングされた第n+2のオーディオサンプルを第2のAESチャンネルに含まれる第1のAESサブフレームに格納する。n+3番目にサンプリングされた第n+3のオーディオサンプルを第2のAESチャンネルに含まれる第2のAESサブフレームに格納する。
【0046】
この結果、192kHzオーディオのオーディオサンプルは、AESチャンネルA,Bによって以下のようにマッピングされる。
・AESチャンネルA:n,n+1,n+4,n+5,n+8,n+9,…
・AESチャンネルB:n+2,n+3,n+6,n+7,n+10,n+11,…
【0047】
そして、オーディオ信号多重部8は、AESチャンネルA,Bにマッピングされたオーディオサンプルをオーディオデータパケットに格納する。
本例では、オーディオデータパケットに、AESチャンネルAの第nのオーディオサンプル、第n+1のオーディオサンプル、AESチャンネルBの第n+2のオーディオサンプル、第n+3のオーディオサンプルを格納する。
【0048】
映像に同期したオーディオの映像フレーム当りオーディオサンプル数は、次表3に示される。表3には、オーディオサンプリングレートが32.0kHz、44.1kHz、48.0kHz、96.0kHz、192.0kHzの場合に、フレーム毎のオーディオサンプル数が示される。
【0049】
【表3】

【0050】
表4は、UDWnに対するチャンネル割当ての例を示す。UDWnとは、n番目のUDWを意味する。オーディオサンプリングレートが32.0kHz、44.1kHz、48.0kHz、96.0kHzの場合と、192.0kHzの場合とで割り当てられるチャンネルが異なることが示される。
【0051】
【表4】

【0052】
図7は、各オーディオデータパケットの構成例である。
CH1〜CH4に格納されるデータは、32kHz〜48kHzオーディオ、96kHzオーディオ及び192kHzオーディオの場合で異なる。つまり、192kHzオーディオの場合、連続するチャンネルA,A,B,Bの順に、オーディオサンプルn,n+1,n+2,n+3が格納される。
【0053】
図8は、192kHzオーディオのビデオライン、デジタル音声のサンプリングポイント、オーディオクロック位相データ間の関係を示す。ここでは、192kHzオーディオのサンプリングポイントについて説明する。
【0054】
入力音声信号のサンプリングポイントは、各オーディオデータに対して、連続する4つのオーディオサンプル(第1〜第4のオーディオサンプル)で規定される。このような4つのサンプルを、4サンプルペアともいう。
【0055】
例えば、192kHzオーディオでは、4サンプルペアのうち、EAVの先頭から見て、4つ目のオーディオサンプルの位置でオーディオクロック位相が定まる。クロック位相は、初めに、EAVの先頭からオーディオの発生した位置までの時間を、HD−SDIの74.25MHzあるいは74.25/1.001MHzクロックの1クロック期間で割って算定される。さらに、クロック位相は、UDW0,1のオーディオクロック位相データck0〜ck12(0〜8191)に書き込まれる。
【0056】
図9は、192kHzオーディオの多重位置フラグ(mpf)の規定例を示す。オーディオデータA〜Hは、4サンプルペアを含む。
【0057】
192kHzオーディオのデータパケットに定義する多重位置フラグ(mpf:Multiplex Position Flag)は、サンプルペアのうち、4つ目のオーディオサンプル位置を基準として設定される。オーディオデータパケットの多重位置は、オーディオのサンプリングポイントが発生した水平ラインに対して次のライン、あるいは、さらに1ライン遅れた水平補助データスペース(HANC、水平補助期間ともいう。)である。多重位置フラグ(mpf)は、オーディオデータパケットの多重位置とそれに対応する映像データとの関係を規定する。
【0058】
オーディオ信号多重部8は、4つのオーディオサンプルがマッピングされた第1及び第2のAESサブフレームが含まれる第1及び第2のAESチャンネルから第n乃至第n+3番目にサンプリングされたオーディオサンプルを4サンプルペアとして取り出す。そして、映像信号に含まれる第1の水平ラインに第n+3のオーディオサンプルのサンプリングポイントが含まれる場合に、第1の水平ラインに連続する第2の水平ラインの補助データスペースに、オーディオデータパケットを多重する。
【0059】
オーディオ信号多重部8は、第1の水平ラインにスイッチングポイントが含まれる場合、オーディオデータパケットを、第2の水平ラインに連続する第3の水平ラインの補助データスペースに多重する。
【0060】
例えば、オーディオデータA,B,C,E,Gの場合、4サンプルペアのうち、第4のオーディオサンプルの位置の次の水平ラインの水平補助データスペースにオーディオデータパケットが多重される。このとき、mpf=0である。そして、オーディオ信号多重部8は、オーディオサンプリングが行われたビデオラインに続く水平補助データスペースにオーディオデータパケットを多重される。また、オーディオデータパケットがスイッチングポイントに続く場合、データの誤りを防ぐために、1水平ライン分遅延して多重される。
【0061】
オーディオ信号多重部8は、所定の周波数でオーディオ信号がサンプリングされたサンプリングポイントが含まれる第1の水平ラインを認識する。そして、第1の水平ラインに連続する第2の水平ラインの補助データスペースに、第1〜第4のオーディオサンプルを含むオーディオデータパケットを多重して挿入する。そして、オーディオデータパケットが多重して挿入された映像信号は、後続の処理に供給される。
【0062】
一方、水平補助データスペースがスイッチングポイントに続く場合は、データの誤りを防ぐため、オーディオデータパケットを、次の1ライン分だけ遅延して多重する。つまり、オーディオ信号多重部8は、第1及び第2のオーディオサンプルが含まれる第1のオーディオデータパケット及び第1のオーディデータパケットに連続する第2のオーディオデータパケットを、第3の水平ラインの補助データスペースに多重して挿入する。第3の水平ラインは、第2の水平ラインに連続するラインである。
【0063】
ところで、N/A(Not Available)は、スイッチングポイントの次のラインの水平補助データスペースに、オーディオデータパケットが多重できないことを示す。例えば、オーディオデータDのサンプリングポイントには、入力映像信号の中にスイッチングポイントがある。このため、オーディオデータパケットがオーディオサンプルの入力タイミングに対して、2番目のラインの水平補助データスペースに多重されているので、mpf=1にセットされる。
【0064】
図10は、オーディオデータ(チャンネルn)のビット割当ての例を示す。
図10には、CH1〜4に割り当てられたUDWnのビット毎に設定される値が規定される。AESサブフレームのすべてのビットは、4つの連続するUDW(UDW4n−2、UDW4n―1、UDW4n、UDW4n+1)で伝送される。UDW2〜UDW17は、オーディオデータパケットで常に、CHnに用いられる。
【0065】
CH1には、UDW2〜5が割り当てられる。CH2には、UDW6〜9が割り当てられる。CH3には、UDW10〜13が割り当てられる。CH4には、UDW14〜17が割り当てられる。
【0066】
UDW18〜23の構成例は、表5に示される。
【0067】
【表5】

【0068】
誤り訂正コード(ECC)は、ADFの最初からUDW17までの24ワードの誤りを訂正、検出するために使用される。この誤り訂正コードは、BCHコードである。
BCHコードは、b0〜b7の各ビットシーケンスから生成される。ECCは、6ワードからなり、以下の生成方程式で決定される。
【0069】
【数1】

【0070】
図11は、BCHコード生成回路のブロックダイヤグラムの構成例を示す。
24ワード中のb0〜b7ビットの各ビットシーケンス(ADFの最初のワードからUDW17まで)を入力として、ECC0〜5が決定される。
【0071】
図12は、オーディオデータパケットの伝送に使用される、Cr/Cbデータストリームの補助データスペースの例を示す。
入力映像信号の水平ラインは、入力映像信号の有効ライン期間を示すタイミング基準信号と、水平ラインにおける水平ブランキング期間を示す補助データスペースを含む。そして、色差信号(Cr/Cb)のデータストリームの水平補助データスペースのみがオーディオデータパケットの送出に使用される。この水平補助データスペースは、サンプルナンバー1928〜2195であって、ラインナンバー1〜7,9〜569,571〜1125の領域である。ただし、スイッチングポイントの次のラインの水平補助データスペースには多重してはならない。
【0072】
そして、1つの水平補助データスペースに割り当てられる192kHzオーディオデータパケットの多重数は、以下の条件式で算定されるNa/4以下に制限される。このとき、1つの水平補助データスペースに多重できるチャンネル当りのオーディオサンプル数Noは、以下の条件式に基づいて、Na(Number of Audio samples)の値から導かれる。
【0073】
【数2】

【0074】
多重位置は、オーディオサンプルが発生した次の水平補助データスペース、あるいは、さらにもう一つ後の水平補助データスペースである。
【0075】
ここで、オーディオコントロールパケットについて説明する。
図13は、オーディオコントロールパケットの構成を示す。
オーディオコントロールパケットは、インタレースシステムでは1フィールドに1回、プログレッシブシステムでは1フレームに1回、スイッチングポイントから後の2番目のラインの、Yデータストリームの水平補助データスペースで送出される。この水平補助データスペースは、サンプルナンバー1928〜2195であって、インタレースシステムではラインナンバー9,571、プログレッシブシステムではラインナンバー9の領域である。1つのオーディオコントロールパケットのUDWには、常に11ワードがある。
【0076】
そして、オーディオコントロールパケットは、SMPTE291Mの規定に従ってフォーマットされる。オーディオコントロールパケットは、補助データフラグ(ADF)、データID(DID)、データブロックナンバー(DBN)、データカウント(DC)、ユーザデータワード(UDW)、チェックサム(CS)フィールドを含む。
【0077】
DIDは、以下のように定義される。つまり、CH1〜4をオーディオグループ1とする。CH5〜8をオーディオグループ2とする。CH9〜12をオーディオグループ3とする。CH13〜16をオーディオグループ4とする。
以下、ユーザデータワード(UDWn)の構成について説明する。
【0078】
UDW0の構成例は、表6に示される。表6は、オーディオフレームナンバーデータ(AF)のビット割当てを示す。
【0079】
【表6】

【0080】
オーディオフレームナンバーデータ(AF)は、ビデオフレームのシーケンシャル番号である。そして、オーディオサンプルの数が各ビデオフレーム当りで整数関係にないときに、総ビデオフレーム(オーディオフレームシーケンス)の何番目のフレームに当たるかを表示する。シーケンスの最初の番号は1であり、最後の番号はオーディオフレームシーケンスの長さに等しい。AFが全てゼロのときは、フレーム番号が得られないことを示す。
【0081】
1から始まりシーケンスの最後まで続く全てのオーディオフレームシーケンスでは、フレーム当りのオーディオサンプル数は、2つの整数(m,m+1)を基本にする。
基本的には奇数のオーディオフレーム(1,2,5,…)は2つのうちの大きい整数のオーディオサンプル数をもつ。また、偶数のオーディオフレーム(2,4,6,…)は小さい整数のオーディオサンプル数をもつ。しかし、表7に示される例外フレームがある。
【0082】
【表7】

【0083】
表7には、テレビジョンシステムが、30.00フレーム/秒の場合と、30.00/1.001フレーム/秒の場合について、サンプリングレート、フレームシーケンス、基本サンプル数、例外が示される。
【0084】
UDW1の構成例は、表8に示される。UDW1には、サンプリングレートを決定するためのレートコードが割り当てられる。全てのチャンネルペアに対するサンプリングレートは、RATEワードで規定される。チャンネルペアとは、同じAESオーディオ信号源からの2つのデジタルオーディオチャンネルをいう。
【0085】
【表8】

【0086】
表8に示したUDW1のビットb1,b2,b3に設定されるRATEコードの割当て例は、表9に示される。
【0087】
【表9】

【0088】
表9より、UDW1にセットされたX2,X1,X0フィールドが、それぞれ1,0,1の場合、サンプルレートは、192.0kHzであることが示される。
【0089】
UDW2の構成例は、表10に示される。
【0090】
【表10】

ACTワードは、アクティブチャンネルを表示する。a1〜a4のビットは、そのオーディオグループのアクティブな各チャンネル(CH1〜4)について、対応するビットを1にセットする。アクティブでないチャンネルのビットはゼロにセットする。
【0091】
UDW3〜8の構成例は、表11に示される。UDW3〜8には、DELm−nのビットが割当てられる。
【0092】
【表11】

【0093】
DELm−nワードは、映像に対する、オーディオプロセスで蓄積された遅延量(accumulated audio processing delay)を表示する。この遅延量は、CHmとCHnのチャンネルペアに対するもので、オーディオサンプリングクロックインターバルを基準単位としたものである。DEL0−25は、26ビットの2の歩数フォーマットで表現される。正の値は映像がオーディオに対して進んでいることを示す。
【0094】
UDW9〜10の構成例は、表12に示される。UDW9,10には、リザーブ(RSRV)のビットが割当てられる。将来の仕様変更に際して用いられるデータ領域である。
【0095】
【表12】

【0096】
以上説明した第1の実施の形態に係るカメラ伝送システムにおいて192kHzオーディオの伝送フォーマットは、従来用いられている48kHzオーディオ、96kHzオーディオの伝送規格であるSMPTE299Mと整合する形で定義される。例えば、3840×2160/24P,25P,30P/4:4:4,4:2:2,4:2:0/10ビット,12ビット信号は、CH1〜CH8(LinkA及びLinkB)のHD−SDI信号にマッピングされる。これにより、ビットレート10.692Gbpsのシリアル・デジタルデータに変換して伝送することができる。つまり、ITUやSMPTEで審議されている次世代の映像信号である4k信号を、従来用いている10.692Gbpsシリアルインタフェースの多chで伝送することが出来るという効果がある。
【0097】
また、上述した第1の実施の形態では、UHDTV規格でサンプリングされた映像データの水平補助データスペースに、所定の周波数でサンプリングされたオーディオサンプルを多重することが可能となる。このとき、UHDTVの要求仕様であるオーディオ24chの多重は、UHDTV1では48kHzオーディオで実現されると共に、UHDTV2では192kHzオーディオで実現される。
【0098】
また、オーディオ位相をUHDTV1とUHDTV2のサンプリングクロックではなく、74.25MHzで定義する。この結果、10Gインタフェースの1CHから順次オーディオサンプルを多重することが可能となり、ハードウエアの負担を軽減できるという効果が得られる。また、現行の48kHzオーディオ規格であるSMPTE299Mの内容と整合性が取れる形で192kHzオーディオのフォーマットを定義することが可能となる。
【0099】
<2.第2の実施の形態>
次に、本発明の第2の実施の形態に係るマッピング部7とオーディオ信号多重部8の動作例について、図14〜図16を参照して説明する。以下の説明において、既に第1の実施の形態で説明した図1に対応する部分には同一符号を付し、詳細な説明を省略する。また、32〜48kHzオーディオ、96kHzオーディオに関しても詳細な説明を省略する。
【0100】
[オーディオデータパケットの構成例]
図14は、192kHzオーディオをサンプル毎に2チャンネルのAESサブフレーム1,2で送る場合のオーディオデータパケットの例である。このオーディオデータパケットは、AESチャンネルAにおける2ワードのUDWを含むクロック領域と、4ワードのUDWを含むサンプルn,n+2,n+4,n+6で構成される。また、AESチャンネルBにおける2ワードのUDWを含むクロック領域と、4ワードのUDWを含むサンプルn+1,n+3,n+5,n+7で構成される。つまり、AESチャンネルAには、偶数番目のオーディオサンプルが含まれ、AESチャンネルBには、奇数番目のオーディオサンプルが含まれる。
【0101】
本実施の形態では、1チャンネルの192kHzオーディオの連続したオーディオサンプルのうち、AESチャンネルAのサンプルn,n+2が連続するAESサブフレーム1,2で送られる。そして、AESチャンネルBのサンプルn+1,n+3が連続するAESサブフレーム1,2で送られる。同様に、AESチャンネルAのサンプルn+4,n+6が連続するAESサブフレーム1,2で送られる。そして、AESチャンネルBのサンプルn+5,n+7が連続するAESサブフレーム1,2で送られる。
【0102】
図15は、本実施の形態に係るAES3で定義される192kHzオーディオとオーディオデータパケットとの関係を示す。
【0103】
192kHzオーディオの場合、AESチャンネルA,Bによってサブフレーム1,2が伝送される。AESチャンネルAには、1つのAESフレームにAESサブフレーム1,2が連続して含まれる。AESサブフレーム1,2の構成例は、上述した48kHzオーディオの場合と同様である。また、オーディオデータパケットの構成例は、上述した48kHzオーディオの場合と同様である。
【0104】
マッピング部8は、kを0以上の整数とした場合に4k+1として定まるnに基づいて、オーディオサンプルをマッピングする。
このとき、n番目にサンプリングされた第nのオーディオサンプルを第1のAESチャンネルに含まれる第1のAESサブフレームに格納する。次に、n+2番目にサンプリングされた第n+2のオーディオサンプルを第1のAESチャンネルに含まれる第2のAESサブフレームに格納する。次に、n+1番目にサンプリングされた第n+1のオーディオサンプルを第2のAESチャンネルに含まれる第1のAESサブフレームに格納する。n+3番目にサンプリングされた第n+3のオーディオサンプルを第2のAESチャンネルに含まれる第2のAESサブフレームに格納する。
【0105】
この結果、192kHzオーディオのオーディオサンプルは、AESチャンネルA,Bによって以下のようにマッピングされる。
・AESチャンネルA:n,n+2,n+4,n+6,n+8,n+10,…
・AESチャンネルB:n+1,n+3,n+5,n+7,n+9,n+11,…
【0106】
そして、オーディオ信号多重部8は、AESチャンネルA,Bにマッピングされたオーディオサンプルをオーディオデータパケットに格納する。
本例では、オーディオデータパケットに、AESチャンネルAの第nのオーディオサンプル、第n+2のオーディオサンプル、AESチャンネルBの第n+1のオーディオサンプル、第n+3のオーディオサンプルを格納する。
【0107】
表13は、UDWnに対するチャンネル割当ての例を示す。オーディオサンプリングレートが32.0kHz、44.1kHz、48.0kHz、96.0kHzの場合と、192.0kHzの場合とで割り当てられるチャンネルが異なることが示される。
【0108】
【表13】

【0109】
図16は、各オーディオデータパケットの構成例である。
CH1〜CH4に格納されるデータは、32kHz〜48kHzオーディオ、96kHzオーディオ及び192kHzオーディオの場合で異なる。つまり、192kHzオーディオの場合、連続するチャンネルA,A,B,Bの順に、オーディオサンプルn,n+3,n+2,n+4が格納される。
【0110】
以上説明した第2の実施の形態に係るカメラ伝送システムにおいて192kHzオーディオは、従来用いられている48kHzオーディオ、96kHzオーディオの伝送規格であるSMPTE299Mと整合する形で定義される。このとき、チャンネルAには、偶数番目のオーディオサンプルを格納し、チャンネルBには、奇数番目のオーディオサンプルを格納する。このように格納しても、例えば、3840×2160/24P,25P,30P/4:4:4,4:2:2,4:2:0/10ビット,12ビット信号は、CH1〜CH8(LinkA及びLinkB)のHD−SDI信号にマッピングされる。これにより、ビットレート10.692Gbpsのシリアル・デジタルデータに変換して伝送することができる。つまり、ITUやSMPTEで審議されている次世代の映像信号である4k信号を、従来用いている10.692Gbpsシリアルインタフェースの多chで伝送することが出来るという効果がある。
【0111】
<3.変形例>
なお、以上の例ではカメラ伝送システムに本発明を適用しているが、他にも様々な方式の信号を伝送するようにしてもよい。このように、様々な信号を送信する場合に、適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0112】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るテレビジョン放送局用のカメラ伝送システムの全体構成を示す図である。
【図2】放送用カメラの回路構成のうち、信号送信装置の内部構成例を示すブロック図である。
【図3】オーディオデータパケットの例を示す説明図である。
【図4】AES3で定義される32〜48kHzオーディオとオーディオデータパケットとの関係を示す説明図である。
【図5】AES3で定義される96kHzオーディオとオーディオデータパケットとの関係を示す説明図である。
【図6】AES3で定義される192kHzオーディオとオーディオデータパケットとの関係を示す説明図である。
【図7】各オーディオデータパケットの構造の例を示す説明図である。
【図8】192kHzオーディオのビデオライン、デジタル音声のサンプリングポイント、オーディオクロック位相データ間の関係を示す説明図である。
【図9】多重位置フラグ(mpf)とオーディオデータパケットの多重位置との関係を示す説明図である。
【図10】オーディオデータ(チャンネルn)のビット割当ての例を示す説明図である。
【図11】BCHコード生成回路のブロックダイヤグラムの例を示す説明図である。
【図12】オーディオデータパケットの伝送に使用できる、Cr/Cbデータストリームの補助データスペース(1080/60Iシステム)を示す説明図である。
【図13】オーディオコントロールパケットの構造の例を示す説明図である。
【図14】オーディオデータパケットの例を示す説明図である。
【図15】AES3で定義される192kHzオーディオとオーディオデータパケットとの関係を示す説明図である。
【図16】各オーディオデータパケットの構造の例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0113】
1…放送用カメラ、2…CCU(カメラコントロールユニット)、3…光ファイバケーブル、5…信号送信装置、7…マッピング部、8…オーディオ信号多重部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
192kHzのサンプリング周波数でサンプリングされた4つのオーディオサンプルを、第1及び第2のAESチャンネルのそれぞれに含まれる第1及び第2のAESサブフレームに所定の順番でマッピングするマッピング部と、
前記第1及び第2のAESサブフレームにマッピングされた前記オーディオサンプルを前記第1及び第2のAESチャンネルから取り出し、取り出された4つの前記オーディオサンプルをオーディオデータパケットに4チャンネルペアのオーディオデータとして格納し、前記オーディオデータパケットをHD−SDIフォーマットで規定される映像信号の補助データスペースに多重して前記映像信号を出力するオーディオ信号多重部と、を備える
信号処理装置。
【請求項2】
請求項1記載の情報処理装置において、
前記マッピング部は、kを0以上の整数とした場合に4k+1として定まるnに基づいて、n番目にサンプリングされた第nのオーディオサンプルを前記第1のAESチャンネルに含まれる前記第1のAESサブフレームに格納し、n+1番目にサンプリングされた第n+1のオーディオサンプルを前記第1のAESチャンネルに含まれる前記第2のAESサブフレームに格納し、n+2番目にサンプリングされた第n+2のオーディオサンプルを前記第2のAESチャンネルに含まれる前記第1のAESサブフレームに格納し、n+3番目にサンプリングされた第n+3のオーディオサンプルを前記第2のAESチャンネルに含まれる前記第2のAESサブフレームに格納する
信号処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の信号処理装置において、
前記オーディオ信号多重部は、前記4つのオーディオサンプルがマッピングされた前記第1及び第2のAESサブフレームが含まれる前記第1及び第2のAESチャンネルから前記第n乃至第n+3番目にサンプリングされた前記オーディオサンプルを4サンプルペアとして取り出し、前記映像信号に含まれる第1の水平ラインに前記第n+3のオーディオサンプルのサンプリングポイントが含まれる場合に、前記第1の水平ラインに連続する第2の水平ラインの補助データスペースに、前記オーディオデータパケットを多重する
信号処理装置。
【請求項4】
請求項3に記載の信号処理装置において、
前記オーディオ信号多重部は、前記第1の水平ラインにスイッチングポイントが含まれる場合、前記オーディオデータパケットを、前記第2の水平ラインに連続する第3の水平ラインの補助データスペースに多重する
信号処理装置。
【請求項5】
請求項1記載の情報処理装置において、
前記マッピング部は、kを0以上の整数とした場合に4k+1として定まるnに基づいて、n番目にサンプリングされた第nのオーディオサンプルを前記第1のAESチャンネルに含まれる前記第1のAESサブフレームに格納し、n+1番目にサンプリングされた第n+1のオーディオサンプルを前記第2のAESチャンネルに含まれる前記第1のAESサブフレームに格納し、n+2番目にサンプリングされた第n+2のオーディオサンプルを前記第1のAESチャンネルに含まれる前記第2のAESサブフレームに格納し、n+3番目にサンプリングされた第n+3のオーディオサンプルを前記第2のAESチャンネルに含まれる前記第2のAESサブフレームに格納する
信号処理装置。
【請求項6】
192kHzのサンプリング周波数でサンプリングされた4つのオーディオサンプルを、2つのAESチャンネルのそれぞれに含まれる第1及び第2のAESサブフレームに所定の順番でマッピングするステップと、
前記第1及び第2のAESサブフレームにマッピングされた前記オーディオサンプルを前記第1及び第2のAESチャンネルから取り出し、取り出された4つの前記オーディオサンプルをオーディオデータパケットに4チャンネルペアのオーディオデータとして格納するステップと、
前記オーディオデータパケットをHD−SDIフォーマットで規定される映像信号の補助データスペースに多重して前記映像信号を出力するステップと、を有する
信号処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−103776(P2010−103776A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−273606(P2008−273606)
【出願日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】