説明

信号対雑音比及び精度が改善されたセンサ

本発明は、試料(3)中の光学的に変化可能な分子(9)を検出するセンサ及び方法を供する。当該センサは、試料(3)を照射し、かつ光学的に変化可能な分子(9)を励起することによって発光信号(7)を発生させる励起放射線源(1)を有する。当該センサはさらに、励起放射線ビーム(2)を、該励起放射線ビーム(2)による試料(3)の走査方向とは異なる方向について変調する変調手段(4)を有する。その方向は、該励起放射線ビーム(2)による試料(3)の走査方向と実質的に垂直であることが好ましい。本発明による方法及びセンサは、発光信号(7)のバックグラウンド信号を減少させ、さらには最小化することによって信号対雑音比を改善し、かつ偽陽性に由来する信号を最小化することによって精度を改善する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば発光バイオセンサ又は発光化学センサのような発光センサに関する。当該発光センサは、当該発光センサを照射する励起ビームを変調する変調手段を有する。本発明はさらに、光学的に変化可能な分子による検体分子の検出方法にも関する。当該検出方法はたとえば、試料中に存在する、常に発光するか若しくは基板に付着したときにのみ発光する、たとえば蛍光物質のような発光物質によるか、又は、検体物質と結合したときに発光する、基板に付着した発光物質によって実現される。当該検出は、本発明によるセンサを用いて行われる。
【背景技術】
【0002】
センサは、物理的属性又は物理的事象の計測に広く用いられている。センサは、その測定の作用を読み取って、電気信号、光信号、又はデジタル信号として出力する。その信号は、他の装置によって情報に変換することができるデータである。センサの具体例はバイオセンサである。バイオセンサとは、たとえば血液、血清、血漿、唾液等の流体中に
存在する、タンパク質、ウイルス、バクテリア、細胞成分、細胞膜、胞子、DNA、RNA等の標的分子の存在(つまり定性的)の検出又はある一定の存在量(つまり定量的)の測定を行う素子である。標的分子は、“検体”とも呼ばれる。ほとんどの場合、バイオセンサは、検体を捕獲するための特定認識素子を有する表面を用いる。従って、流体中に存在する標的分子の結合に適した特定分子を付着させることによって、そのセンサ素子表面を修飾させることができる。
【0003】
特定分子への検体の結合効率を最適にするには、表面積が大きく、かつ拡散長が短いことが非常に好ましい。従ってミクロンサイズ又はナノサイズの有孔性基板(膜)が、大面積と迅速な結合キネティックスとを併せ持つバイオセンサ基板として提案された。特に検体濃度が低い(たとえば1nM未満又は1pM未満)の場合、拡散キネティックスはバイオセンサ分析の全体的な特性において重要な役割を果たす。この場合、検体自体は、たとえば蛍光ラベルのような発光ラベルを保持して良いし、あるいはその代わりに、たとえば蛍光のような発光によってラベルされた第2認識素子がさらに培養されても良い。
【0004】
結合した検体の量の検出には、複数の阻害要因が存在する恐れがある。そのような阻害要因とはたとえば、光の散乱、発光物質の漂白、基板のバックグラウンド発光、及び励起光の不完全な除去である。しかも結合ラベルと溶液中のラベルとの区別を可能にするには、1回以上の洗浄工程を実行して未結合ラベルを除去する必要がある。
【0005】
しかし単一ビードの発光、たとえば蛍光、を検出しようとする場合、測定された発光信号、たとえば蛍光信号、中の雑音が重要となる。この雑音のため、たとえば蛍光物質のような発光物質を検出するときに、偽陽性又は偽陰性が与えられてしまう恐れがある。偽陽性とは、測定結果が、実際にはバックグラウンドであるにもかかわらず、たとえば蛍光物質のような発光物質が存在していると誤って示唆した状態を指す。偽陰性とは、測定結果が、たとえば蛍光物質のような発光物質の存在を見逃した状態を指す。これらの偽陽性又は偽陰性によって、信号/雑音比が悪化することで、1つのたとえば蛍光物質のような発光物質を検出することが難しくなっている。
【0006】
さらに、1つのたとえば蛍光物質のような発光物質の直径が励起スポットのサイズよりも大きい場合、たとえば蛍光物質のような発光物質のバックグラウンド雑音は、励起ビームによって照射される全面積に依存する。なぜなら、そのスポットはたとえば蛍光物質のような発光物質を照射するだけではなく、その周辺環境をも照射するからである。この周辺環境はバックグラウンド信号を生じさせる。その結果、信号対雑音比すなわち信号対バックグラウンド比が悪化する。なぜならこの信号対バックグラウンド比は、そのスポットの有限サイズ(回折限界)によって制限されるからである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、信号対バックグラウンド比及び/又は精度が改善されたセンサ、並びに当該センサを用いた試料中の発光物質の検出方法の提供である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的は、本発明による方法及び素子によって実現される。
【0009】
本発明の特定態様及び好適態様は、「特許請求の範囲」の独立請求項及び従属請求項で提示されている。ただ単に各請求項中には明示的に開示されていないだけで、従属請求項に係る特徴は、独立請求項に係る特徴及び他の従属請求項に係る特徴と適切に組み合わせられて良い。
【0010】
本発明の第1態様では、試料中又は試料上に存在する光学的に変化可能な分子の検出方法が供される。当該方法は、
-試料を励起放射線ビームに対して第1方向に変位させることで、光学的に変化可能な分子を励起することによって発光信号を発生させる手順、及び
-発生した発光信号を検出する手順、
を有する。
【0011】
当該方法はさらに、発光信号を検出する際、試料に対して励起放射線ビームの相対位置を空間的に変調させる手順を有する。前記変調は、前記第1方向とは異なる第2方向での励起放射線ビームに対する試料の相対変位を供する。
【0012】
相対変位には、試料に対して第1及び第2方向に励起放射線ビームを変位させる手順、又は励起ビームに対して前記2方向に試料を変位させる手順が含まれて良い。あるいは相対変位には、試料に対する励起ビームの2つの変位のうちの1つ及び励起ビームに対する試料の2つの変位のうちの1つ、も含まれて良い。
【0013】
励起放射線ビームはたとえば、信号励起放射線ビームであって良い。
【0014】
光学的に変化可能な分子は、発光分析に適した如何なる分子であっても良い。そのような分子とはたとえば、検体分子をラベルする分子、及び照射ビームによって照射されると常に発光する分子である。結合した光学的に変化可能な分子が可視化される。その一方で、結合しない光学的に変化可能な分子は洗い流される。あるいはその代わりに、光学的に変化可能な分子はマーカー分子である。マーカー分子は検体分子をラベルし、かつ基板に付着する分子と結合するときにのみ発光する。これは、ドナー-アクセプタ対を作る。ストリンジェンシーを得るために洗浄が行われる。軽い結合分子は洗い流される。さらに他の実施例では、基板に付着する分子は、検体分子が結合するときに発光する。ストリンジェンシーを得るために洗浄が行われる。軽い結合分子は洗い流される。本発明の第1態様による好適実施例では、第2方向は第1方向と実質的に垂直であって良い。
【0015】
本発明による方法は、信号対雑音比(SNR)及び精度が改善された、たとえば蛍光のような発光信号を与える。電子雑音を減少させ、かつバックグラウンド信号を少なくとも部分的に除去する変調法を用いることによって、SNRは改善される。精度が改善される理由の1つは、本発明による方法を用いることによって、偽陽性に起因する信号を最小限に抑えることができるからである。偽陽性とは、測定結果が、実際にはバックグラウンドであるにもかかわらず、たとえば蛍光物質のような発光物質が存在していると誤って示唆した状態を指す。偽陰性とは、測定結果が、たとえば蛍光物質のような発光物質の存在を見逃した状態を指す。これらの偽陽性によって、信号/雑音比が悪化することで、1つのたとえば蛍光物質のような発光物質を検出することが難しくなっている。従って偽陽性に起因する信号を最小限に抑えることによって、本発明による方法は、精度が改善された信号を与える。
【0016】
本発明の実施例によると、当該方法はさらに、検出された発光信号を復調することで、復調信号を発生させる手順を有して良い。
【0017】
本発明の実施例によると、復調信号の符号及び/又は振幅は、光学的に変化可能な分子の位置についてのエラー信号として利用されて良い。
【0018】
変調は第1周波数で実行されて良い。信号を復調する復調信号は第1周波数を有して良い。第1周波数と第2周波数は同一ではない。本発明の実施例によると、第2周波数すなわち検出された発光信号を復調する周波数は、変調周波数の2倍又は他の倍数であって良い。この場合では、本発明による方法は、検出された発光信号からバックグラウンド信号を除去するのに用いられて良い。これらの実施例による検出信号を復調することによって、バックグラウンド信号が減少又は完全に除去された復調信号を得ることができる。
【0019】
本発明による他の実施例では、第2周波数すなわち検出された発光信号を復調する周波数は、第2周波数すなわち変調周波数と同一であって良い。これら他の実施例による方法を用いることによって、光学的に変化可能な分子の位置が特定されても良い。
【0020】
本発明による他の実施例では、励起放射線ビームはある大きさのスポットを有し、かつ当該方法はさらに、
-検出された発光信号から、励起放射線ビームに対する光学的に変化可能な分子の相対位置を決定する手順、
-光学的に変化可能な分子の中心に励起放射線ビームを設定する手順、
-スポットサイズを減少させる手順、及び
-さらに発生した発光信号を決定する手順、
を有する。
【0021】
中心への設定を可能にするためには、試料に対してビームが変位しても良いし、又はビームに対して試料が変位しても良い。
【0022】
さらに他の実施例では、当該方法は、さらに発生した発光信号を用いて、その発生した発光信号が偽陽性を示すか否かを判断する手順をさらに有して良い。これらの偽陽性によって、信号/雑音比が悪化することで、1つのたとえば蛍光物質のような発光物質を検出することが難しくなっている。従って偽陽性に起因する信号を最小限に抑えることによって、本発明による方法は、精度が改善された信号を与える。
【0023】
本発明の第2態様では、試料中又は試料上に存在する光学的に変化可能な分子を検出するセンサが供される。当該センサは、
-励起放射線ビームを発生させる励起放射線源、
-励起放射線ビームを試料に対して相対的に変位させることによって、第1方向に試料を走査する走査手段、
を有する。
【0024】
当該センサはさらに、試料に対する励起放射線ビームの相対変位を空間的に変調して、第1方向とは異なる第2方向での試料に対する励起放射線ビームの相対変位を供する変調手段を有する。
【0025】
相対変位には、試料に対して第1及び第2方向に励起放射線ビームを変位させる手順、又は励起ビームに対して前記2方向に試料を変位させる手順が含まれて良い。あるいは相対変位には、試料に対する励起ビームの2つの変位のうちの1つ及び励起ビームに対する試料の2つの変位のうちの1つ、も含まれて良い。
【0026】
励起放射線ビームはたとえば、信号励起放射線ビームであって良い。
【0027】
本発明の第1態様による好適実施例では、第2方向は第1方向に対して実質的に垂直であって良い。
【0028】
本発明による方法は、信号対雑音比(SNR)及び精度が改善された、たとえば蛍光のような発光信号を与える。電子雑音を減少させ、かつバックグラウンド信号を少なくとも部分的に除去する変調法を用いることによって、SNRは改善される。精度が改善される理由の1つは、本発明による方法を用いることによって、偽陽性に起因する信号を最小限に抑えることができるからである。偽陽性とは、測定結果が、実際にはバックグラウンドであるにもかかわらず、たとえば蛍光物質のような発光物質が存在していると誤って示唆した状態を指す。偽陰性とは、測定結果が、たとえば蛍光物質のような発光物質の存在を見逃した状態を指す。これらの偽陽性によって、信号/雑音比が悪化することで、1つのたとえば蛍光物質のような発光物質を検出することが難しくなっている。従って偽陽性に起因する信号を最小限に抑えることによって、本発明による方法は、精度が改善された信号を与える。
【0029】
本発明による実施例では、当該センサは、励起放射線ビームによる照射の際に光学的に変化可能な分子によって発生する発光信号を検出する検出器をさらに有して良い。検出器はたとえば、電荷結合素子(CCD)検出器、カメラ、又は相補的金属-酸化物-半導体(CMOS)検出器であって良く、それだけではなく光センサ又は顕微鏡をも含む。
【0030】
本発明によると、当該センサは、検出した発光信号を復調する復調手段をさらに有して良い。復調手段とはたとえば、ロックインアンプであって良い。
【0031】
本発明に係る上記及び他の特性、特徴、及び利点は、添付の図面と共に以降の詳細な説明を参照することで明らかとなる。図は、本発明の原理を例示によって説明している。本明細書の記載は単なる例示を目的としたものであり、本発明の技術的範囲を限定するものではない。以降で引用される参照番号は添付図面を参照している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
各図において、同一参照番号は同一又は類似の構成要素を指す。
【0033】
本発明は特定の実施例について記載され、かつ特定の図が参照される。しかし本発明は特定の実施例及び特定の図に限定されず、請求項によってのみ限定される。
【0034】
さらに、明細書及び特許請求の範囲に記載されている第1、第2、第3等の語は、同様の構成要素を区別するために用いられており、必ずしも生起順序又は時系列順序を表すものではない。よって用いられているそれらの語は適切な状況下では同義であり、本明細書で説明されている本発明は、説明すなわち例示されている順序以外の順序での動作が可能であることに留意すべきである。
【0035】
一の態様では、本発明は、試料又は媒質中に又はそれらの上に存在する、たとえば発光物質すなわち発光分子のような少なくとも1つの“光学的に変化可能な分子”の検出方法を供する。そのような分子はたとえば、蛍光分子、エレクトロルミネッセント分子、化学発光分子等であって良い。よって光学的に変化可能な分子は、媒質中に存在する検体にラベリングするのに用いられて良い。
【0036】
検体をラベリングする際に光学的変化可能な分子を用いることが可能な状況は、少なくとも3つ考えられる。
1) たとえば蛍光のような発光を常に起こす光学的に変化可能な分子によって検体分子がラベリングされる場合。分子を捕獲するために結合する、たとえば基板に付着している、検体分子は可視化可能となり、他すべての光学的に変化可能な分子は洗い流されて良い。
2) 検体分子が、基板に付着する分子と結合するときにのみ、たとえば蛍光のような発光を起こすマーカー分子によってラベリングされる場合。その方法では、ドナーアクセプタ対が形成される。この場合では、洗浄工程を用いることによって、軽い結合分子が除去されるので、ストリンジェンシーが得られる。
3) 基板に付着する分子の発光、たとえば蛍光が、検体分子がその基板に付着する分子と結合するときに起こる場合。
【0037】
媒質中の検体に付着する光学的に変化可能な分子、つまり発光分子について本発明は記載されている。認識ラベルと結合する検体は洗い流される。ラベルがセンサを走査してそのラベルに作用する発光ビームによって照射されるときに、そのラベルは発光する。他の記載では、“発光分子”と“発光物質”は同義語として用いられている。これは本発明を限定するのではなく、かつ本発明は上記以外の場合にも適用されることに留意して欲しい。
【0038】
本発明による方法は、測定される試料に対する励起放射線ビームの位置を空間的に変調する手順を有する。本発明によると、これにより、検出信号の信号対雑音比が改善される。他の態様では、本発明は、本発明による方法の実行に適した、信号対雑音比が改善された、たとえば発光バイオセンサ又は発光化学センサのような発光センサを供する。従って本発明によるセンサは、本発明の方法によって、励起放射線ビームと試料の相対位置を空間的に変調する変調手段を有する。
【0039】
1分子の検出を行う場合には、励起放射線ビームと試料の相対位置の空間変調は、信号対雑音比の改善、及び/又は、たとえば蛍光物質のような発光物質を発見するために用いられる。後者の場合では、励起放射線ビームと試料の相対位置の空間変調は、たとえば蛍光物質のような発光物質の特定し、その後たとえば蛍光物質のような発光物質に励起放射線ビームを集中させるのに用いられて良い(以降参照のこと)。
【0040】
本発明の実施例によると、励起放射線ビームの位置は、たとえば蛍光分子のような発光分子に対して空間的に変調する。
【0041】
その後、本発明の実施例による、たとえば蛍光物質のような少なくとも1つの発光物質の検出方法について説明する。本発明による方法によって、信号対雑音比(SNR)及び/又は精度が改善された検出信号が得られる。本発明によると、励起放射線源から放出される励起放射線ビームであって、たとえば蛍光物質のような発光物質を励起するのに用いられるビームを空間的に変調することによって、SNRは改善される。励起後、たとえば蛍光物質のような発光物質は、特定の強度Λを有する、たとえば蛍光放射線のような発光放射線を放出する。
【0042】
図1には、本発明によるセンサシステムの実施例の概略図が示されている。この図では、本発明による方法の実行に用いることのできるセンサの可能な実装例が示されている。たとえば光源のような励起放射線源1は、たとえば光のような励起放射線ビーム2を、少なくとも1つの発光分子(図1には図示されていない)、たとえば蛍光分子、を有する試料プレート3上へ導光する。本発明の実施例によると、たとえばトールボット効果を用いて可視化するような複数スポット光源のような様々な放射線源1が用いられて良い。あるいはその代わりに、集束レーザースポットのような集光スポットが、放射線ビーム2として用いられて良い。励起放射線ビーム2の位置は、励起放射線源1の位置を変位させることによって、及び/又は、固定された励起放射線源1に対して試料プレート3を変位させることによって、若しくは放射線ビーム2に対して試料プレート3を変位させることによって変化して良い。たとえば、試料はX-Yテーブル上に設けられて良く、かつX-Yテーブル位置が変位することで、試料とビームの相対位置が変化して良い。本発明の一態様によると、試料プレート3に対する励起放射線ビーム2の位置は、試料プレートに対して、第1位置から第2位置へ向かう第1方向に励起放射線ビームを変位(走査変位)させて試料プレート3を走査し、かつ第1方向とは異なり好適には第1方向に垂直な第2方向について、第1方向の各位置での試料プレートに対する励起放射線ビーム2の位置を変調することによって変化する。励起放射線ビーム2の位置の変調は、変調手段4によって実行される。本発明に用いることのできる適切な変調手段4の例は、音響光学変調器(AOM)、プリズム対、(入力ビームの焦点面を変化させることによる)多モード干渉計、ガルバノ若しくはピエゾ素子によって変位するミラー、又は液晶である。
【0043】
図2では、本発明に係る方法の基本原理が図示されている。よって本発明の一態様によると、励起放射線ビーム2は、たとえば蛍光分子のような発光分子を有する試料プレート3を、第1方向(図2では参照番号5で示されている)に、第1位置Aから第2位置Bへ走査する。この第1変位5に加えて、励起放射線ビーム2は、第2方向(図2では参照番号6で示されている)の第2変位にも影響を及ぼす。第2方向6は第1方向5とは異なり、好適には第1方向5に対して実質的に垂直である。走査変位に加えて第2変位(図2では参照番号6で示されている)が実行される。そのように走査変位と第2変位を行う可能性の1つは、第1位置Aと第2位置Bとの間の各点X1,X2,…X0の周囲を周波数fで振動させることである。変調後の励起放射線ビーム2の一部は変調信号2bと呼ばれる。
【0044】
たとえば励起光のような励起放射線ビーム2、より具体的には変調信号2b、で照射する際に、たとえば蛍光分子のような発光分子によって放出されるたとえば蛍光放射線のような発光放射線7は、検出器8によって測定される。本発明の実施例によると、検出器8は、発光放射線7を検出するのに適切な如何なる検出器であっても良い。そのような検出器はたとえば、電荷結合素子(CCD)、又はカメラ、又は相補的金属-酸化物-半導体(CMOS)検出器、フォトダイオード若しくはこれらのアレイ、フォトトランジスタ若しくはこれらのアレイ、又は顕微鏡である。あるいはその代わりに、限られた数の検出セルしか有しておらず、かつ小さな画像表示しか得られない検出器については、走査方法が用いられて良い。続いて、たとえば蛍光放射線のような発光放射線7は、ある特定期間、最適の信号対雑音比が得られるように、たとえばフォトダイオードのような検出器セル上で収集される。これにより、センサの感度を実質的に増大させることができる。検出器8による検出後、検出された信号は、たとえばロックインアンプのような適当な復調手段によって復調されて良い。
【0045】
以降では、本発明の実施例に係る方法が、本発明に係る方法を実行する特定のセンサの実施例によって説明される。しかしセンサの他の実施例も本発明に適用されて良いことに留意して欲しい。たとえば上述の記載では、センサは透過モードで使用された。このことは、励起放射線源1がセンサの第1面に設けられ、かつたとえば蛍光放射線のような発光放射線7が、前記第1面に対向するセンサの第2面に位置していることを意味している。他の実施例では、センサは反射モードで用いられても良い。つまり励起放射線源1は、検出器6が設けられているセンサの同一面上に設けられて良い。透過モードと反射モードのいずれが用いられるのかは、本発明の方法の実行に用いられるセンサの種類に依存する。
【0046】
理論的には、試料プレート3上での発光分子の存在を(定性的及び/又は定量的に)示し、かつ特定の用途(後述)での使用に適した復調発光信号を得るためには、たとえば蛍光分子のような発光分子に照射される励起放射線ビーム2の位置及び変調周波数に対して、可能な4つの異なる設定を考慮することができる。本発明による具体的実施例を説明する前に、これら4つの理論的ケースについて論じる。
【0047】
第1の理論的ケースでは、図3に図示されているように、たとえば蛍光分子のような発光分子9が、第2方向6での励起放射線ビーム2の位置の変調に対して中心となるように設けられる。この第1ケースでは、たとえば蛍光分子のような発光分子9は、よって励起放射線ビーム2の位置の変調傾向の中心である位置x=0に設けられている(図3参照)ものと推定され、かつ大きさsを有する。大きさsは、図4に図示されているように、大きさsは、発光分子9の断面積の大きさの半分で定義される。励起放射線源1から放出される励起放射線ビーム2は、変調周波数がfの変調方向6に、位置x=-Zから位置x=+Zへ変位すなわち変調される。図3に図示された例では、x=-Zからx=+Zへの位置の変位は、x=-2からx=+2への位置の変位である。図5は、たとえば蛍光放射線のような発光放射線を、変調励起放射線ビーム2bの位置の関数として図示している。図5で与えられた例では、励起放射線源1から放出される励起放射線ビーム2は、位置x=-1から位置x=+1へ変調される。変調励起放射線ビーム2bに対するたとえば蛍光分子のような発光分子9の応答は、以下のように表すことができる。
【0048】
【数1】

このことは、励起放射線ビーム2が発光分子9の位置を照射しているとき、換言すれば、励起放射線ビーム2の位置が発光分子9の少なくとも一部を照射するように設定されているときにのみ、その発光分子9は発光放射線7を放出する、ことを意味する。
【0049】
本発明によると、励起放射線ビーム2の位置の変調は周期的に行われる。従って上記より、かつすでに述べてきたように、励起放射線ビーム2の変位は2方向である。第1変位は、第1すなわち走査方向5に、第1位置(例ではAで与えられている)から第2位置(例ではBで与えられている)へ、たとえば蛍光分子のような発光分子9を有する試料を走査する励起放射線ビーム2に影響を及ぼす。第1位置と第2位置との間の各位置xでは、第2方向6への第2すなわち周期的変位が、励起放射線ビーム2に与えられる。たとえばこの周期的変位は、第1変位の第1方向5に対して実質的に垂直であって良い。第2変位は、以降の議論では変調と呼ばれ、かつ駆動周波数f及び振幅Aを有する。
【0050】
よって励起放射線ビーム2の位置xは時間tの周期関数によって表されて良い。
X(t)=Acos(f.2πt) (2)
たとえばf=1でA=1であれば、x(t)は図6に図示されたようになる。
【0051】
位置xで変調放射線ビーム2bによって照射されたたとえば蛍光分子のような発光分子9によって発生する、たとえば蛍光放射線のような発光放射線7であって、F(t)で表されるものを決定するため、式(1)と(2)は1つにされる必要がある。それによって次式が得られる。
【0052】
【数2】

たとえば蛍光分子のような発光分子9の大きさが、変調振幅又は変調深さと比較して小さい(s<<A)場合、この式は、s=0、つまり、発光分子9が、第2方向での励起放射線ビーム2の位置の変調に対して中心に位置すると仮定することによって、以下のように近似することができる。
【0053】
【数3】

Λ=1の場合についてグラフで表すと、式(6)は図7のようになる。図7は、励起放射線ビーム2の位置の時間変化(図7において参照番号10で表されている)に起因する、たとえば蛍光のような発光応答を図示している。この図から、たとえば蛍光放射線のような発光放射線7は、時間的には、周期的ピーク(参照番号11で示される)で表されることが分かる。これらの周期的ピークは、励起放射線ビーム2が試料プレート3上に存在する発光分子9を通り抜ける度に生じる。
【0054】
ある期間でその結果を積分した後、復調信号Sは、たとえば蛍光信号のような測定された発光信号F(t)と、参照信号R(t)を乗じることによって決定されて良い。一定バックグラウンド信号の効果を示すため、新たな項B(t)が加えられる。B(t)は、B(t)=bで一定バックグラウンド信号を表す。
【0055】
【数4】

参照信号R(t)は振幅Dを有する。この第1ケースによると、参照信号R(t)の周波数は、ある時間tでの励起放射線ビーム2の位置の駆動周波数fの2倍であると考えられる。参照信号R(t)の周波数は2fに等しい。R(t)は以下のように書くことができる。
R(t)=Dcos(2f.2πt+φ)=Dcos(f.4πt+φ) (8)
ここでφは位相に係る項である。
【0056】
式(8)を式(7)に代入することによって、次式が得られる。
【0057】
【数5】

あるいはバックグラウンド信号が一定であれば、次式が得られる。
【0058】
【数6】

この積分は、2つの部分に分けることができる。
【0059】
【数7】

式(11)の部分1は、たとえば蛍光分子のような発光分子9が変調された励起放射線ビーム2bで照射されることに起因する、たとえば蛍光放射線のような発光放射線7を表す。部分2は、バックグラウンドに起因する、たとえば蛍光放射線のような発光放射線を表す。
【0060】
復調された信号Sへのバックグラウンド信号の影響は0である。その理由は、時間t1が十分に長い場合、式(11)の部分2はゼロに等しくなるからである。よって復調信号は、
【0061】
【数8】

に等しくなる。
ここで、
【0062】
【数9】

である。
【0063】
上の議論から、本発明による変調された励起放射線ビーム2bは、たとえば蛍光放射線のような発光放射線7からバックグラウンド信号を除去するのに用いられて良い。
【0064】
以降では、復調したたとえば蛍光のような発光信号Sの値が決定される。積分を総和で書き直すことが可能である。原理としては、これは、F(t)での様々なピーク(図7参照)の影響を数えることによって行われる。ピークの影響は、励起放射線ビーム2が通過するときの、たとえば蛍光分子のような発光分子9の露光時間に依存する。この時間は励起放射線ビーム2の速度に依存する。その速度は次式で与えられる。
ν(t)=x’(t)=-Af.2πsin(f.2πt) (14)
たとえば蛍光分子のような発光分子9の大きさが、変調振幅又は変調深さと比較して小さい(s<<A)場合、たとえば蛍光分子のような発光分子9が励起放射線ビーム2によって露光される時間τは次式のように近似することができる。
【0065】
【数10】

式(12)の積分は次式のようになる。
【0066】
【数11】

総和はtの値にわたる。ここで、
【0067】
【数12】

である。これにより、
【0068】
【数13】

が得られる。
【0069】
kの最大値は振動の周期数に依存する。周期数は、変調周波数f及び全積分時間t0によって与えられる。
【0070】
【数14】

式(19)は次式のようになる。
【0071】
【数15】

(21)での結果は、復調信号Sが、参照信号R(t)の位相φに依存する一定値を有することを意味する。
【0072】
上での議論から、発光分子9の位置が、励起放射線ビーム2の位置の変調に対して中心に設けられている場合において、変調周波数fの2倍の周波数を有する復調用の参照信号を用いるとき、復調信号Sは一定のバックグラウンド信号に独立で、かつ発光信号7に直接比例する。と結論づけることができる。
【0073】
従って、たとえば蛍光分子のような発光分子9に対する励起放射線ビーム2の位置、及び、変調、つまりたとえば蛍光放射線のような発光放射線信号、の周波数に対する復調用の参照信号R(t)、つまり励起放射線源1から放出される励起放射線ビーム2、の周波数に係る上述の設定を得ることができる。それは、復調後、(ほとんど)全くバックグラウンド信号を示さない。よって従来技術に係るセンサよりも信号対雑音比が改善される。
【0074】
続いて、第1のケースと同じ状況が発生するが、変調周波数fと同じ周波数を有する参照信号が用いられるときには有効な結果が得られないことを示すため、第2の理論的ケースについて説明する。従って、この第2のケースでは、たとえば蛍光分子のような発光分子9は励起放射線ビーム2の中心に位置し、かつ復調用の参照信号R(t)の周波数は変調用の周波数fと同一である。第1のケースと同様の計算方法を用いることによって、この第2の場合では、ゼロに等しい復調信号Sが得られる。よってこの信号は、情報を収集するために用いることができない。
【0075】
この第2のケースの場合では、復調信号は以下で与えられる。
【0076】
【数16】

ここで、
【0077】
【数17】

である。式(15)を用いることによって、復調信号Sは次式のように書くことができる。
【0078】
【数18】

式(17)を用いることによって、この式は、
【0079】
【数19】

となる。
【0080】
式(26)から、復調信号はcos(π/2+kπ+φ)に依存し、かつ余弦成分の引数はkπを有することが分かる。このため、余弦成分は、負の値に続いて、その負の値と同じ大きさの正の値を周期的に与える。これを合計するときに、結果はゼロに等しくなる。
【0081】
よって、たとえば蛍光分子のような発光分子9の位置が励起放射線ビーム2の変調に対して中心に設けられている場合において、参照信号R(t)の周波数が変調周波数fと同一である場合には復調信号Sはゼロになる一方で、復調用の参照信号R(t)の周波数が変調周波数の2倍である場合には有効な結果が得られる、と結論づけることができる。
【0082】
他の理論的ケースでは、たとえば蛍光分子のような発光分子9が励起放射線ビーム2の変調に対して中心に位置しておらず、かつ参照信号R(t)の周波数が変調周波数fと同一である。よってこの場合では、たとえば蛍光分子のような発光分子9は、第1及び第2ケースのように位置x=0には設けられず、x=x0に位置していると推定される。ここでx0はゼロとは異なる値である。
【0083】
【数20】

励起放射線ビーム2の位置xは依然として、式(2)で表されているように、時間tの周期関数によって表すことができる。よってたとえば蛍光信号のような発光信号F(t)は、第1及び第2ケースと同じように、以下のように計算することができる。
【0084】
【数21】

変調信号R(t)は、たとえば蛍光信号のような発光信号F(t)と同一の周波数を有する。よって所与のケースでは、復調周波数は変調周波数と同一である。ここで復調信号Sは次式によって表すことができる。
【0085】
【数22】

この式を総和の形式に書き直し、かつ式(15)に記載されている露光時間を用いることによって、式(30)の積分は以下のように書くことができる。
【0086】
【数23】

ここで和はtの値にわたって計算される。tは以下のように表される。
【0087】
【数24】

これにより、次式が得られる。
【0088】
【数25】

余弦部分を書き直し、かつσにわたって和を計算すると、次式が得られる。
【0089】
【数26】

式(36)は、復調信号Sが、x0の値及び変調信号と参照信号の位相差の値に依存することを示している。この効果は、励起放射線ビーム2の位置に対するたとえば蛍光分子のような発光分子9の位置を見つけるのに用いることができる。図8は、復調信号Sを、励起放射線ビーム2の位置x0の関数として図示している。最も強い発光信号を得るには、変調信号と復調信号との位相差φはゼロに設定される必要がある。これはたとえば、システムがたとえば蛍光分子のような発光分子9を自動追跡しないときには、参照復調信号の位相を変化させることによって変化させることができる。
【0090】
上の議論から、及び図8から分かるように、x0が正の場合には復調信号Sも正となり、x0が負の場合には復調信号Sも負となる。しかもx0の値が増大する場合、つまり発光分子が励起放射線ビームの調和変位の中心から離れる場合にはこの信号Sの強度も増大する。このことは、励起放射線ビーム2に対するたとえば蛍光分子のような発光分子9の位置は、その励起放射線ビーム2の変調傾向に与えられる周波数と同一の周波数を復調信号に用いることによって、信号Sの符号及び強度を決定することによって発見することができる、ことを意味する。
【0091】
最後の理論的ケースでは、たとえば蛍光分子のような発光分子9はここでも、励起放射線ビーム2の位置の変調に対して中心に位置せず、かつ参照信号の周波数は変調周波数の2倍である。この場合、復調信号Sは、これまでのケースと同様に計算することができる。復調信号Sは以下のようになる。
【0092】
【数27】

σにわたって和を計算し、かつ余弦部分を書き直すことによって、次式が与えられる。
【0093】
【数28】

式(40)から、復調周波数が変調周波数の2倍である場合には、復調信号Sは、位相φ及びx0の値に依存し、x0の符号には依存しないと結論づけることができる。このことは図9にも図示されている。図9には、復調信号Sが、励起放射線ビーム2の位置x0の関数として図示されている。この図から、信号強度はx0=0で最高であることが分かる。従って、変調周波数の2倍に等しい復調周波数は、発光分子の厳密な位置を発見するのに利用されて良い。ただし変調周波数に等しい復調周波数が用いられる場合には、速度が落ちるため、良好ではなくなる。しかし上述の位置の決定には、信号の位相情報が必要である。このため、位相は校正される必要がある。よって方法はより複雑となる。従ってこの方法は、たとえば蛍光分子のような発光分子9の位置を発見するのに好ましい方法ではない。しかしたとえば蛍光のような発光を測定するには好適な方法である。なぜなら図9から、復調周波数が変調周波数の2倍である場合には、x0=0において、たとえば蛍光のような発光の最高値を測定できることが分かっているからである。
【0094】
上述の議論から、用途によっては、励起放射線ビーム2の変調は、正しい情報を得るために、適合させることができることが分かる。さらに、復調信号の周波数、及びたとえば蛍光分子のような発光分子9に対する励起放射線ビーム2の位置が、用途の関数として選ばれるべきであること明らかとなった。
【0095】
以降では本発明によるいくつかの具体的実施例について説明する。
【0096】
前述したように、たとえば蛍光信号のような発光信号7でのバックグラウンド雑音は、照射される全面積に依存する。その理由は、励起放射線ビーム2は、たとえば蛍光分子のような発光分子9だけではなく、たとえば中に発光分子9が存在する媒質のような発光分子9の周辺環境も照射するからである。この周辺環境は、バックグラウンド信号すなわち雑音を発生させる。標的への投射、すなわちたとえば試料プレート3上でのスポットが検出されるたとえば蛍光分子のような発光分子9の大きさに対して小さい励起放射線ビーム2を用いることによって、このバックグラウンド信号を減少させることができる。これはたとえば、回折限界の投射すなわちスポットを有する励起放射線ビーム2を用いることによって実行されて良い。回折限界の投射すなわちスポットとはつまり、中にたとえば蛍光分子のような発光分子9が存在する媒質の回折限界に等しい大きさのスポットである。
【0097】
図10は、小さな励起スポットを有する励起放射線ビーム2が、どのようにして信号対雑音比を改善できるのかを図示している。残念なことではあるが問題は、そのように小さな回折限界スポットで大面積を測定するには非常に長い時間がかかることである。図10は、各異なる状態で起こることを図示している。
【0098】
第1状態では、たとえば中に蛍光分子のような発光分子9が存在する溶液からの一定の通常バックグラウンド信号のみが存在する(参照番号20で示されている)。しかし大きなスポットを有する励起放射線ビーム2(大きな円21aで示されている)は、たとえば蛍光分子のような発光分子9には衝突しない。バックグラウンド信号は一定であるので、この第1状態による変調方法はこのバックグラウンド信号を完全に除去するので、たとえば蛍光信号のような発光信号7は検出されない。
【0099】
第2状態(参照番号30で示されている)では、寄生するたとえば蛍光分子のような発光分子が存在する。この場合では、大きな面積を有する励起放射線ビーム2(大きな円31aで示されている)によって、偽陽性が検出される。しかし励起放射線ビーム2の大きさが(31bで示された小さな円のように)減少すると、励起放射線ビーム2は、1つのたとえば蛍光物質のような発光物質にしか衝突しない。よってたとえば蛍光信号のような発光信号が小さくなり、最終的には正の検出信号は与えられない。あるいはその代わりに、寄生する他のたとえば蛍光物質のような発光物質については、たとえば蛍光信号のような発光信号7は、真の発光物質9について予想される大きさよりも大きくなる恐れがある。またそのような場合、正の検出信号は拒否される恐れがある。この第2状態(参照番号30で示されている)については、信号の拒否はたとえば、検出信号と予想される信号とを比較することによって行われて良い。励起放射線ビーム2のあるスポットの大きさでの予想される信号は、従前に決定される。
【0100】
他の状態(参照番号40で示されている)では、真のたとえば蛍光分子のような発光分子9が存在する。たとえば蛍光分子のような発光分子9は、大きな面積を有する励起放射線ビーム2(大きな円41aで示されている)と衝突する。励起放射線ビーム2の大きさが(41bで示された小さな円のように)減少すると、真のたとえば蛍光分子のような発光分子9には依然として衝突し、たとえば蛍光信号のような発光信号が検出される。
【0101】
最後の状態では、バックグラウンド信号が局所的に増大する領域が存在する(参照番号50で示されている)。より面積の大きな励起放射線ビーム2(大きな円51aで示されている)は、高いバックグラウンド信号を検出し、かつ偽陽性を与える。励起放射線ビーム2の大きさが(51bで示された小さな円のように)減少すると、わずかなバックグラウンド信号しか検出されない。結局正の検出信号は与えられない。
【0102】
従って本発明の第1の具体的実施例によると、たとえば蛍光信号のような発光信号7のバックグラウンド信号が減少するか、あるいは大きな面積を有する標的上への投射、すなわち励起放射線ビーム2の位置を変調させた励起スポット、を有する励起放射線ビーム2で、たとえば蛍光物質のような発光物質を最初に探索することによって、SNRが改善される。その後、たとえば蛍光分子のような発光分子9が(偽陽性であろうとなかろうとも)検出されるとき、検出信号が偽陽性であるか否かをチェックするため、励起スポットの大きさを減少させて、検出信号の雑音をも減少させる。偽陽性に由来する信号を最小限に抑えることによって、本発明による方法及び素子の精度を改善することが可能となる。
【0103】
たとえば蛍光分子のような発光分子9の探索すなわち位置の特定は、上の第3の理論的ケースで述べた方法によって実行されて良い。励起放射線ビーム2は、周波数fを有する変調信号によって変調される。励起放射線ビーム2に対する発光分子9の位置の特定を可能にするため、参照信号の周波数は、変調周波数fと同一の周波数でなければならない。上述の変調励起放射線ビーム2bで試料プレート3を走査することによって、図8に図示されたグラフが得られる。このグラフから、励起放射線ビーム2に対する発光分子9の相対位置を決定することができる。
【0104】
本発明のこの実施例によると、たとえば発光バイオセンサ又は発光化学センサのような発光センサの励起放射線ビーム2が空間的に変調されるとき、励起放射線ビーム2は、発光分子9を有する試料プレート3にわたって周期的に変位する。これに起因して、変調励起放射線ビーム2bへの応答である発光信号7は、周期的に現れたり消えたりする。すでに述べたように、復調信号もまた、変調の中心位置に対する発光分子9の位置に依存する。以降では、復調信号と励起放射線ビーム2の位置との関係について示す。
【0105】
以降では、理解の便宜を図ることのみを目的として、励起放射線ビーム2の変調に対するたとえば蛍光分子のような発光分子9の位置がそれぞれ異なる複数の状態について再度説明する。図11は、たとえば蛍光分子のような発光分子9が変調傾向の中心より左側に位置している状態を図示している。図11の下部は、走査ビームの1周期(つまりたとえば走査ビームを左から右へ、及びその反対方向に変位する期間)の間に、発光信号(点線)及び復調用参照信号(破線)に起こる状態を図示している。この場合では、図11の下部に点線で示された、たとえば蛍光信号のような発光信号7は、黒の実線の矢印で示された励起放射線ビーム2が発光分子9を照射するような位置であるときに発生し、かつ励起放射線ビーム2が矢印6及び点線の黒矢印で示された方向から離れるにつれてゼロとなる。励起放射線ビーム2が反対方向へ変位するとき、たとえば蛍光信号のような発光信号7は再び大きくなる。図11に図示されたケースでは、たとえば蛍光信号のような発光信号7(点線)は、復調用の参照信号(図11の下部において破線で示されている)とは位相が一致しない。このことは、復調信号が負になることを意味する(図8参照)。復調信号が負になるということは、発光分子が変調傾向の中心位置の左側に意味していることに対応する。
【0106】
図12は、たとえば蛍光分子のような発光分子9が変調傾向の中心に位置している状態を図示している。図12の下部は、走査ビームの1周期の間に、発光信号及び復調用参照信号に起こる状態を図示している。図12の下部に点線で示された、たとえば蛍光信号のような発光信号7は、変調励起放射線ビーム2bが1回振動する間に、2度大きい状態と小さい状態になる。つまり発光信号7は、発光分子が位置する変調傾向の中心を、走査ビームが通過する度毎に大きな値となる。図12の下部には、復調用参照信号が破線で示されている。復調用参照信号が変調信号と同一の周波数を有するため、復調信号はゼロとなる。このことは、発光分子が変調傾向の中心に位置していることを意味する。
【0107】
図13は、たとえば蛍光分子のような発光分子9が励起放射線ビーム2の変調の中心より右側に位置している状態を図示している。図13の下部は、走査ビームの1周期(つまりたとえば走査ビームを左から右へ、及びその反対方向に変位する期間)の間に、発光信号(点線)及び復調用参照信号(破線)に起こる状態を図示している。この場合では、たとえば蛍光信号のような発光信号7(図13の下部に点線で示された)は、図11に図示された状態、発光分子9が励起放射線ビーム2の変調の中心より左側に位置している状態、とは反対の振る舞いを示している。このことは、たとえば蛍光信号のような発光信号7が復調用の参照信号と位相が一致するときには、正の復調信号が与えられることを意味する。正の復調信号が与えられることは、発光分子が変調傾向の中心位置の右側に意味していることに対応する。
【0108】
よって復調したたとえば蛍光のような発光情報を用いることによって、たとえば蛍光分子のような発光分子9上の厳密な中心に励起放射線ビーム2を設定することが可能となる。その理由は、復調信号が、このたとえば蛍光分子のような発光分子9の位置に関する情報を与えるからである。
【0109】
一旦たとえば蛍光分子のような発光分子9の位置が特定されると、励起放射線ビーム2の位置設定及び変調がなされ、たとえば蛍光分子のような発光分子9が励起放射線ビーム2に対して中心に位置し、その一方で励起放射線ビーム2のスポットの大きさが減少する。たとえば励起放射線ビーム2の投射サイズすなわちスポットの大きさは、回折限界にまで減少させることができる。回折限界の投射すなわちスポットとはつまり、中にたとえば蛍光分子のような発光分子9が存在する媒質の回折限界に等しい大きさのスポットである。
【0110】
たとえば蛍光分子のような発光分子9は、変調周波数fを有する励起放射線ビームによって照射される。たとえば蛍光のような発光放射線7を測定し、かつ変調周波数の2倍に等しい周波数を有する復調信号で検出信号を復調することで、第1の理論的ケースで論じたように信号対雑音比の改善されたたとえば蛍光信号のような発光信号が得られる。たとえば蛍光のような発光が十分に大きい場合、上述の検出信号は真の陽性で、さもなければ上述の検出信号は偽陽性である。
【0111】
まとめると、本発明の第1の具体的実施例による方法は、次のような一連の手順を有して良い。
1) たとえば比較的大きな面積の励起スポットのような第1サイズを有する励起放射線ビーム2で試料プレート3を走査することによって、正のたとえば蛍光信号のような発光信号7の探索を開始する。
2) 正のたとえば蛍光信号のような発光信号が発見されたとき、励起放射線ビーム2に対するたとえば蛍光のような発光放射線7の線源である、たとえば蛍光分子のような発光分子9の厳密な位置を発見するために、本発明に従った励起スポットの変調を用いる。復調信号の符号及び振幅は、発光分子9の位置を発見するためのエラー信号として用いられる。
3) たとえば蛍光分子のような発光分子9に対して励起放射線ビーム2の位置を中心にするのに参照するために、2)で得られた情報を利用する。
4) 手順2)及び3)を繰り返す間、励起スポットの大きさを小さくする。
5) たとえば蛍光信号のような発光信号を再測定して、偽陽性が存在するか否かを判断する。
6) 1)での、次の発光分子9の存在を探索する手順を続ける。
【0112】
この第1の具体的実施例による方法は、検出されたたとえば蛍光分子のような発光分子9が偽陽性であるか否かの判断を可能にする一方で、たとえば蛍光分子のような発光分子9を探索するときにはより大きな面積を有する励起スポットを用いる。よってこの第1の具体的実施例による方法は、励起ビームを中心に維持する変調を用いることによって、比較的大きな面積の励起放射線ビーム2で標的を走査して、可能性のある陽性信号に接近することを可能にする。
【0113】
すでに述べたように、バックグラウンド信号を減少させる方法は、回折限界の投射すなわち回折限界のスポットサイズを有する励起放射線ビーム2を用いることである。回折限界のスポットサイズを有する励起放射線ビーム2とはつまり、たとえば試料プレート3のような標的上への投射すなわちスポットが、中にたとえば蛍光分子のような発光分子9が存在する媒質の回折限界に等しい大きさを有するようなビームである。しかし回折限界の励起放射線ビーム2のスポットよりも小さなたとえば蛍光分子のような発光分子9については、バックグラウンド信号は依然として残る。
【0114】
課題/問題は、回折限界による限界を超えて信号対雑音比(SNR)を増大させることである。それに加えて、測定されたたとえば蛍光信号のような発光信号のSNRをさらに増大させることが望ましい。
【0115】
従って本発明による第2の具体的実施例では、励起放射線ビーム2は、たとえば蛍光分子のような発光分子9にわたって調和的に励起放射線ビーム2を変位させることによって変調される。これにより、たとえば蛍光分子のような発光分子9によって発生する、たとえば蛍光放射線のような発光放射線7は、変調周波数Δωを有する調和信号となる。その一方で、バックグラウンド信号は変化しないままである。逆フーリエ変換を用いることによって、たとえば蛍光信号のような発光信号とバックグラウンド信号の変調周波数には差異が存在するので、たとえば蛍光信号のような発光信号7をバックグラウンドと分離することができる。
【0116】
この実施例では、励起放射線ビーム2の位置が変調されることで、たとえば蛍光分子のような発光分子9にわたって、励起放射線ビーム2を往復させるように動かす。このことは、図11-13に概略的に図示されている。すでに前述したように、励起放射線ビーム2の通常の走査変位に加えて、励起放射線ビーム2の位置をこのように変調させる。さらにこの変調は迅速だが位置の振動は小さい。変調速度が速いということは、変調が、少なくともkHzオーダーの周波数を有する、つまり1kHz以上で好適にはMHzオーダー、つまり1MHz以上の周波数を有する、ことを意味する。振動が小さいということは、典型的には、たとえば蛍光分子のような発光分子9の大きさ2sよりも大きく、かつ2sの数倍よりも小さな振幅を有する振動を意味する。振幅の上限が本発明の限界というわけではない。しかし大きな振幅を有する振動に発生する実際の問題は、利用可能な変調周波数が小さくなる恐れがあることである。なぜならその振動の振幅が小さくなると、高周波数に到達することがより容易になるからである。
【0117】
走査変位の周波数、つまり本明細書において第1方向5での第1変位と呼ばれる変位、は用途に依存する。しかし走査変位の周波数は、変調周波数、つまり第2方向6での第2変位を超えないことが好ましい。走査変位の周波数は、変調周波数の少なくとも10倍未満であることが好ましい。
【0118】
本発明のこの第2の具体的実施例によると、励起放射線ビーム2の位置の変調は、複数の方法で実現されて良い。その複数の方法とはたとえば、多モード干渉計(MMI)の入力ビームの焦点面を変化させること、又は音響光学変調器(AOM)、プリズム対、ガルバノ若しくはピエゾ素子によって変位するミラーを用いること、又は液晶を用いることである。
【0119】
たとえば蛍光分子のような発光分子9が励起放射線ビーム2によって照射されるか否かに、つまり発光分子9に対する励起放射線ビーム2の相対位置に依存して、発光信号7は、励起放射線ビーム2に加えられる調和変位のため、オンとオフを繰り返す。その結果、発光信号7は、励起放射線ビーム2と同一の周波数によって変調される。バックグラウンド信号を少なくとも部分的に除去することで発光信号のSNRを改善するため、復調用の参照信号の周波数は、変調周波数の2倍でなければならない。
【0120】
たとえば変調蛍光信号のような変調発光信号7は、検出器8(図1参照)によって測定される。検出器8は、たとえば電荷結合素子(CCD)又は相補的金属-酸化物-半導体(CMOS)検出器のような如何なる適切な検出器8であっても良い。
【0121】
測定信号は、たとえばロックインアンプのような電子機器を用いて復調される。そしてその結果生成された信号は、バックグラウンドのないたとえば蛍光信号のような発光信号7を与える。従ってその信号の信号対雑音比が改善される。
【0122】
電気雑音が変調周波数の逆数すなわち1/fに比例するので、ここでもさらにSNRが改善される。1/f雑音は、自然界に見いだされる過程において非常によく現れる雑音の種類である。この方法を用いると、ほとんどの雑音が除去可能だが、1/f雑音は依然として残る。この種類の雑音の強度は周波数の増大とともに減少する。この検出方法の好適要件は、たとえば蛍光分子のような発光分子9の応答時間が、励起放射線ビーム2の変調周波数よりも短いことである。たとえばmsオーダーの蛍光寿命のような発光寿命を有する蛍光分子のような発光分子9については、このことは、この場合では、たとえば1/f雑音に起因するSNRの改善がある程度制限されることを意味する。しかしたとえば蛍光分子のような発光分子9は、MHz領域での変調周波数を可能にする数ナノ秒オーダーの、たとえば蛍光寿命τfluorのような発光寿命τlumを有する。蛍光分子及びこれらの寿命についてのいくつか例と挙げると以下の通りである。
1. たとえばシアン、アレクサ、フルオロセイン:τfluor〜1-5ns
2. たとえばRu、Ir:τfluor〜1μs
3. たとえばEu、Tb:τfluor〜1ms
たとえ上述の議論が1本の励起放射線ビームについてのみ成立するものだとしても、本発明は複数の励起放射線ビームにも適用されて良いことに留意して欲しい。その場合、本発明の実施例によると、当該センサは、たとえば光源のような複数の励起放射線源1、及びそれと同数の検出器8を有して良い。この利点は、多数の位置が同時に探索されるため、たとえば蛍光分子のような発光分子9の発見が迅速にできることである。たとえば蛍光分子のような発光分子9が発見されるとき、1つのたとえば光源のような励起放射線源1とセンサ対にしか用いられない。その後、たとえば光源のような複数の励起放射線源1に由来する全スポットでの探索が再開される。
【0123】
たとえ本発明による素子についての、好適実施例、特定構成及び配置、並びに材料が記載されているとして、形態及び詳細については様々な変化型又は修正型が、本発明の技術的範囲及び技術的思想から逸脱することなく可能であることに留意して欲しい。
【図面の簡単な説明】
【0124】
【図1】本発明の実施例によるセンサの概略図である。
【図2】本発明の実施例による方法を図示している。
【図3】励起放射線ビームの変調に対して中心に設定される発光物質を図示している。
【図4】励起放射線ビームの位置に対する発光物質の大きさを図示している。
【図5】発光物質の応答を、励起放射線ビームに対する発光物質の位置の関数として図示している。
【図6】変調周波数f=1で振幅A=1の励起放射線ビームの時間依存する位置を図示している。
【図7】励起スポット位置の時間変化による発光の応答を図示している。
【図8】復調信号を、励起放射線ビームに対して中心に設定されていない発光物質に対する励起放射線ビームの位置の関数として図示している。ここで参照信号は変調周波数に等しい。
【図9】復調信号を、励起放射線ビームに対して中心に設定されていない発光物質に対する励起放射線ビームの位置の関数として図示している。ここで参照信号は変調周波数の2倍である。
【図10】励起スポットが小さくなることで、如何にして信号対雑音比を改善できるのかを概略的に図示している。
【図11】励起放射線ビームに対する発光物質の様々な位置、及びそれらに対応する参照信号と発光信号を図示している。
【図12】励起放射線ビームに対する発光物質の様々な位置、及びそれらに対応する参照信号と発光信号を図示している。
【図13】励起放射線ビームに対する発光物質の様々な位置、及びそれらに対応する参照信号と発光信号を図示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料中又は試料上に存在する光学的に変化可能な分子の検出方法であって、
当該方法は:
前記試料を励起放射線ビームに対して第1方向に変位させることで、前記光学的に変化可能な分子を励起することによって発光信号を発生させる手順、及び
前記の発生した発光信号を検出する手順、
を有し、
当該方法はさらに、前記発光信号を検出する際、前記試料に対して前記励起放射線ビームの相対位置を空間的に変調させる手順を有し、
前記変調させる手順は、前記第1方向とは異なる第2方向での前記励起放射線ビームに対する前記試料の相対変位を含む、
方法。
【請求項2】
前記の検出した発光信号を復調して、復調信号を発生させる手順をさらに有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記光学的に変化可能な分子の位置についてのエラー信号として、前記復調信号の符号及び/又は振幅を用いる手順をさらに有する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記変調させる手順が第1周波数で実行され、
復調用の復調信号が第2周波数を有し、かつ
前記第2周波数は前記第1周波数の2倍である、
請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記変調させる手順が第1周波数で実行され、
復調用の復調信号が第2周波数を有し、かつ
前記第2周波数は前記第1周波数と同一である、
請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記励起放射線ビームがある大きさのスポットを有する方法であって:
前記の検出された発光信号から、前記励起放射線ビームに対する前記光学的に変化可能な分子の相対位置を決定する手順、
前記光学的に変化可能な分子に対して前記励起放射線ビームを中心に設定する手順、
前記のスポットの大きさを減少させる手順、及び
他の発生した発光信号を決定する手順、
を有する、
請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記他の発生した発光信号を用いて、前記の発生した発光信号が偽陽性であるか否かを判断する手順をさらに有する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記励起放射線ビームが1本の励起放射線ビームである、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
試料中又は試料上に存在する光学的に変化可能な分子を検出するセンサであって、
当該センサは:
励起放射線ビームを発生させる励起放射線源、
前記試料に対して励起放射線ビームを第1方向に変位させることで前記試料を走査する走査手段、
を有し、
前記第1方向とは異なる第2方向で、前記試料に対して前記励起放射線ビームの相対位置を空間的に変調させることで、前記試料に対する前記励起放射線ビームの相対位置を供する変調手段、
をさらに有するセンサ。
【請求項10】
前記発光分子が前記励起放射線ビームによって照射される際に発光信号を発生させるセンサであって、前記の発生した発光信号を検出する検出器をさらに有する、請求項9に記載のセンサ。
【請求項11】
前記検出器が、電荷結合素子又は相補的金属-酸化物-半導体検出器のうちの1つである、請求項10に記載のセンサ。
【請求項12】
前記の検出された発光信号を復調する復調手段をさらに有する、請求項10に記載のセンサ。
【請求項13】
前記復調手段がロックインアンプである、請求項12に記載のセンサ。
【請求項14】
前記励起放射線ビームが1本の励起放射線ビームである、請求項9に記載のセンサ。

































【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公表番号】特表2009−518642(P2009−518642A)
【公表日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−543951(P2008−543951)
【出願日】平成18年11月28日(2006.11.28)
【国際出願番号】PCT/IB2006/054476
【国際公開番号】WO2007/066255
【国際公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】