説明

修飾されたオレオシン

本発明は、植物内で油体にターゲットすることができるオレオシン分子に基づいた新規のポリペプチド構造を記載する。修飾されたオレオシン・ポリペプチドは、オレオシンcDNAの疎水性ドメインをコードする配列に修飾を行うことによって得られる。本発明は、インビボでこのようなポリペプチドを得るための方法を記載する。新規のオレオシンは、組換え(非オレオシン)タンパク質を油体に送達するために使用してもよい。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、植物の油体にターゲットされる十分な情報を含む修飾されたオレオシン・ポリペプチドに関する。修飾されたポリペプチドは、オレオシンcDNAの疎水性ドメインをコードする配列に修飾を行うことによって得られる。本発明は、インビボでこのようなポリペプチドを得るための方法を記載する。修飾されたオレオシンは、異種タンパク質を油体に送達するために使用してもよい。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
脂肪種子植物は、油、タンパク質、およびその他の有益な産物の産生のために経済的に重要な再生可能資源を表す。このような脂肪種子植物において、中性脂質、典型的にはトリグリセリドは、種子内で、実生を発達させるためのエネルギー源として役立つ油体と呼ばれる細胞下の細胞小器官に貯蔵されている。電子顕微鏡観察の研究により、これらの細胞小器官が、小胞体(ER)膜で合成されて、半ユニット膜としてリン脂質の単層によって囲まれることを証明した。この層は、油体に特異的にターゲットされるタンパク質によって覆われており、油体タンパク質として公知である。油体に存在する油体タンパク質で最も豊富なクラスは、オレオシンと呼ばれている。
【0003】
全ての公知のオレオシンは、一次配列およびドメイン分布において特有の特徴を共有する。配列の整列化は、これらのタンパク質を3つの異なった領域に分けることができることを示す。N末端部分の最初の50〜70残基、約65〜75残基をもつ疎水性ドメインとして公知の中心的親油性の領域、およびC末端部分の最後の50〜90残基(Huang, 1992, Annu. Rev. Plant. Physiol. Plant Mol. Biol. 43: 177-200)。プロテアーゼ保護アッセイ法によれば、オレオシンの疎水性ドメインは、油体によって完全に保護されているが、N末端およびC末端領域は、細胞質に面している(Huang, 1992, Ann Rev Plant Physiol Plant Mol Biol 43: 177-200; Abell et al, 1997, Plant Cell 9: 1481-1493)。
【0004】
また、疎水性ドメインは、異なる種に由来するオレオシンを比較したときに、最も保存された領域である。このドメインの総合的解析により、全てのシーケンスされたオレオシンにおいて完全に保存された3つのプロリン、セリン、およびアラニンを含む12残基モチーフの存在が明らかになる。このモチーフ(プロリン・ノット・モチーフ(PKM)として公知)は、おそらく、中央の疎水性ドメインを180°曲げて、2つの逆平行の疎水性鎖を形成する役割を果たす。Tzen et al. (1992), JBC 267 (22): 15626-15634は、油体に付着されたトウモロコシ・オレオシンのモデルを提唱した。このモデルは、逆平行鎖がセリン、スレオニンの側鎖間の水素結合を介して互いに相互作用することを示唆する。
【0005】
先行技術は、タンパク質およびペプチドのためのキャリアとしてオレオシンを使用し、その後に組換えタンパク質およびペプチドのための精製媒体としてこれらのタンパク質融合物を含む油体を使用できることを開示する(米国特許第5,650,554号)。また、先行技術は、油体に対するオレオシンまたはオレオシン-タンパク質融合物の効率的なターゲティングを確実にするために、許容されるか、または許容されないいずれかのオレオシンに対する多くの修飾を開示する。Van Rooijen and Moloney (1995a) Plant Physiol 109:1353-1361は、オレオシン・タンパク質の細胞質に曝露されたC末端の喪失が、ターゲティングまたはオレオシン(またはオレオシン融合物)安定性のいずれをも有意に損なわなかったことを示した。一方では、オレオシンの細胞質に曝露されたN末端の除去により、オレオシン-タンパク質融合物の油体に対するターゲット効率を有意に障害した(同書)。Abell et al(1997)Plant Cell 9:1481-1493は、油体自体に対してターゲットするための必須成分としてのプロリン・ノット・モチーフの重要性を証明したが、決定されたプロリン・ノット・モチーフは、ER膜へのオレオシン・ポリペプチドの組み込みに必要とされなかった。現在まで、本発明者の知識の限りでは、1例のみにおいて、先行技術が、疎水性ドメイン内およびプロリン・ノット外でのオレオシン修飾を開示する。Abell et al,(2002)JBC 277:8602-8610は、それぞれH(N)およびH(C)と呼ばれるタンパク質ノットに隣接する疎水性部分を置換して、式:N末端-H(N)-PKM-H(N)-C末端またはN末端-H(C)-PKM-H(C)-C末端の修飾されたオレオシンを作製した。これらの修飾されたオレオシンは、ERに正しく結合することが示され、天然の一次配列がERでの同時翻訳に必須ではなかったことを示唆する。しかし、著者は、トランスジェニック植物において発現される場合、これらのポリペプチドが油体に正しくターゲットされるかどうか試験をしなかった。油体ターゲットのためにプロリン・ノット・モチーフが必要であるが、ER結合には必要ないことを考えると、このような変異体が、トランスジェニック植物の種子に発現される油体に正しくターゲットすることができると結論づけることはできない。加えて、先行技術は、疎水性コアの長さが修飾されたオレオシン変異体の油体ターゲティングに対する効果に関して何の情報も提供しない。したがって、先行技術は、修飾された疎水性コアを有するオレオシン変異体の限られた量だけを提供する。さらに、先行技術において利用できるこれらの変異体に関して、ターゲティングおよび組換えタンパク質のためのキャリアとして役立つことができることは、知られていない。
【0006】
当技術分野において、オレオシン変異体に対する要求がある。このような変異体は、タンパク質アンカーとしての有用性を有し、油体に対するオレオシン-タンパク質融合物の親和性をより大きく、またはより小さくするように設計することができる。天然のオレオシンよりも高い、またはより低い親和性のタンパク質アンカーは、油体からの組換えタンパク質の回収の際に有用である。
【発明の開示】
【0007】
発明の概要
本発明は、インビボで油体にターゲットすることができる修飾されたオレオシン・ポリペプチドを記載している。また、修飾されたオレオシンは、修飾されたオレオシンに共有結合で融合された異種ポリペプチドの油体に対するターゲティングを指揮することができる。
【0008】
特に、本発明は、疎水性ドメインの長さまたは組成物が変更されているが、インビボで油体にターゲットすることに成功し、かつ油体との組換えタンパク質の結合を指揮することができる一連のオレオシンで誘導されるタンパク質を開示する。さらにまた、本発明は、新規の油体にターゲットされたタンパク質およびタンパク質-融合物を発現することができるトランスジェニック植物の作製のための方法を開示する。修飾された油体および油体表面と結合するタンパク質を回収、単離、および精製するための方法も開示される。本発明は、修飾されたオレオシンがプロリン・ノット・モチーフ、および(i)疎水性ドメインのアミノ末端およびカルボキシ末端の両方での少なくとも1つのアミノ酸残基の除去によってサイズが減少された疎水性ドメイン、または(ii)疎水性ドメインのアミノ末端およびカルボキシ末端の両方での少なくとも1つのアミノ酸残基の付加によってサイズが増大された疎水性ドメインを含む油体にターゲットすることができる修飾されたオレオシン分子を提供する。好ましい態様において、オレオシン分子は、同数のアミノ酸残基が除去され、または疎水性ドメインに付加されているオレオシン分子を含み、たとえばオレオシンの疎水性ドメインは、たとえば疎水性ドメインのアミノ末端およびカルボキシ末端の両方において2〜28個の間のアミノ酸残基を除去することによって、またはたとえば疎水性ドメインのアミノ末端およびカルボキシ末端の両方において2〜28個の間アミノ酸残基を付加することによってサイズを減少してもよい。
【0009】
さらにこれらの植物に由来する種子および油体も開示される。
【0010】
本発明者は、修飾されたオレオシンに連結された組換えタンパク質の簡単な回収のための、油体上の修飾されたオレオシン・タンパク質融合物の使用をさらに開示する。
【0011】
本発明のその他の特徴および効果は、以下の詳細な説明から明らかになる。しかし、詳細な説明および具体的実施例は、本発明の精神および範囲内の種々の変更および修飾を行うことがこの詳細な説明から当業者に明らかであると考えられるので、一方で本発明の好ましい態様が例示のみの目的によって与えられることを示すことが理解されるはずである。
【0012】
発明の詳細な説明
I. 定義
他に定義されない限り、本明細書に使用される技術的および科学用語は全て、本発明が属する当業者によって共通に理解されるものと同じ意味を有するものとする。許容される場合は、全ての特許、出願、公表された出願、並びに開示において言及されるGenBank、SwissPro、およびその他のデータベースからの核酸およびポリペプチド配列を含む他の刊行物は、これらの全体が参照として組み入れられる。
【0013】
「少なくとも中程度にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」は、溶液中の2つの相補的核酸分子間の選択的なハイブリダイゼーションを促進する条件が選択されることを意味する。ハイブリダイゼーションは、全てまたは一部の核酸配列分子に生じてもよい。ハイブリダイズする部分は、典型的には少なくとも15(たとえば20、25、30、40、または50)ヌクレオチドの長さである。当業者であれば、核酸二重鎖(またはハイブリッド)の安定性は、ナトリウム含有緩衝液における、ナトリウムイオン濃度および温度の関数であるTm(Tm = 81.5℃ - 16.6(Log10 [Na+])+ 0.41(%(G+C) - 600/l)、または同様の方程式)によって決定されることを認識すると思われる。従って、洗浄条件において、ハイブリッド安定性を決定するパラメーターは、ナトリウムイオン濃度および温度である。公知の核酸分子に類似するが、同一でない分子を同定するために、1%のミスマッチにより、Tmに約1℃の減少を生じると想定することができ、たとえば、核酸分子が>95%の同一性を有することが要求される場合、最終洗浄温度は、約5℃まで減少されると思われる。これらの考慮に基づいて、当業者であれば、適切なハイブリダイゼーション条件を容易に選択することができると思われる。好ましい態様において、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件が選択される。例として、以下の条件を使用してストリンジェントなハイブリダイゼーションを達成してもよい。上記方程式に基づいてTm-5℃で、5×塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)/5×デンハート液/1.0%のSDSでのハイブリダイゼーション、続く60℃での0.2×SSC/0.1%のSDSの洗浄。中程度にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は、42℃での3×SSCにおける洗浄工程を含む。しかし、他の緩衝液、塩、および温度を使用して同等のストリンジェンシーを達成してもよいことが理解される。ハイブリダイゼーション条件に関するさらなるガイダンスは:Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, N.Y., 1989, 6.3.1.- 6.3. 6 および: Sambrook et al., Molecular Cloning, a Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1989, Vol.3において見い出されると思われる。
【0014】
本明細書に使用される「キメラの」という用語は、核酸配列に関して、天然には連結されていない少なくとも2つの連結された核酸配列をいう。キメラ核酸配列は、異なった天然の起源の連結された核酸配列を含む。たとえば、ヒトインスリンをコードする配列に連結された植物プロモーターを構成する核酸配列が、キメラとみなされる。また、キメラ核酸配列は、これらが天然に連結されていることを条件として、同じ天然の起源の核酸配列を含む。たとえば、特定の細胞型から得られたプロモーターを含む核酸配列は、同じ細胞型から得られたポリペプチドをコードするが、通常プロモーターを構成する核酸配列に連結されていない核酸配列に連結されていてもよい。また、キメラ核酸配列は、任意の天然に存在しない核酸配列に連結された任意の天然に存在する核酸配列を含む核酸配列を含む。
【0015】
本明細書に使用される「保存的アミノ酸置換」という句は、1つのアミノ酸残基がタンパク質の所望の特性を無くすことなく別のアミノ酸に置換されているものである。典型的には、保存的置換は、同様の電荷、疎水性、および/または全体のサイズを持つアミノ酸を含む。保存的アミノ酸置換の例は、アミノ酸アスパラギン酸でのグルタミン酸の置換、バリン、ロイシン、またはイソロイシンでのアラニンの置換を含む。
【0016】
本明細書に使用される「機能的変異体」という句は、特定された配列とは異なるタンパク質または核酸配列を意味するが、タンパク質または核酸配列が、特定された配列と同じ機能を保持することを意味する。機能的変異体は、少なくとも中程度にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で特定された配列の相補物に対してハイブリダイズすることができる核酸配列を含む。アミノ酸および核酸配列の両方の機能的変異体は、本明細書で定義されるものと実質的に同一である配列を含む。修飾されたオレオシンの機能的変異体は、インビボで油体の形成を可能にする修飾されたオレオシンおよび油体に対してオレオシンを連結された異種タンパク質のインビボにおけるターゲティングを可能にするオレオシンを含む。
【0017】
本明細書に使用される「修飾されたオレオシン」および「修飾されたオレオシン・ポリペプチド」という用語は、本明細書において交換可能に使用されてもよく、(a)プロリン・ノット・モチーフ、並びに(b)疎水性ドメインが、疎水性ドメインのアミノ末端(HN)鎖およびカルボキシ末端(HC)鎖上の少なくとも1つのアミノ酸残基の除去または付加によって修飾された疎水性ドメイン、を含む任意のおよび全ての修飾されたオレオシン・ポリペプチドをいう。修飾されたオレオシン・ポリペプチドは、配列番号:4、6、8、10、12、または14に一覧を示したポリペプチド、並びに(i)本明細書に記載された修飾されたオレオシン・ポリペプチドを構成するアミノ酸配列と実質的に同一か、または(ii)少なくとも中程度にストリンジェントな条件下で、本明細書に記載された修飾されたオレオシンをコードする任意の核酸配列に対してハイブリダイズすることができるか、もしくは少なくとも中程度にストリンジェントな条件下で、本明細書に記載された修飾されたオレオシンをコードする任意の核酸配列に対してハイブリダイズすることができるが、同義コドンの使用のためのものではない核酸配列によってコードされるアミノ酸残基の配列を含むポリペプチド分子を含む。
【0018】
本明細書に使用される「核酸配列」という用語は、天然に存在する塩基、糖、および糖間(intersugar)(バックボーン)結合からなる一連のヌクレオシドまたはヌクレオチド単量体をいう。また、本用語は、これらの天然に存在しない単量体もしくは部分を含む修飾されたか、または置換された配列を含む。本発明の核酸配列は、デオキシリボ核酸配列(DNA)またはリボ核酸配列(RNA)であってもよく、アデニン、グアニン、シトシン、チミジン、およびウラシルを含む天然に存在する塩基を含んでいてもよい。また、配列は、修飾塩基を含んでいてもよい。このような修飾塩基の例は、アザおよびデアザ・アデニン、グアニン、シトシン、チミジン、およびウラシル;並びにキサンチンおよびヒポキサンチンを含む。
【0019】
「修飾されたオレオシンをコードする核酸配列」および「修飾されたオレオシン・ポリペプチドをコードする核酸配列」という用語は、本明細書において交換可能に使用してもよく、配列番号:4、6、8、10、12、または14に一覧を示したオレオシン・ポリペプチドを含む本明細書で定義されるとおりの修飾されたオレオシン・ポリペプチドをコードする任意のおよび全ての核酸配列をいう。修飾されたオレオシン・ポリペプチドをコードする核酸配列は、(i)本明細書に記載された修飾されたオレオシン・ポリペプチド配列と実質的に同一であるポリペプチドをコードするか;または(ii)少なくとも中程度にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、本明細書に記載された任意の核酸配列に対してハイブリダイズするか、もしくは少なくとも中程度にストリンジェントな条件下で、これに対してハイブリダイズするが、同義コドンの使用のためのものではない任意のおよび全ての核酸配列をさらに含む。
【0020】
本明細書に使用される「油体」という用語は、任意の植物細胞を含む細胞内の任意の油または脂肪の貯蔵細胞小器官をいう(たとえば:Huang(1992)Ann. Rev. Plant Mol. Biol. 43: 177-200に記載されている)。
【0021】
本明細書に使用される「オレオシン」という用語は、3つのドメイン:1)N末端ドメイン;2)中央に位置する疎水性ドメイン;および3)C末端ドメインを含む植物において見いだされる油体タンパク質を意味する。オレオシンをコードする核酸配列は、当技術分野において公知である。これらは、たとえばシロイヌナズナ(Arabidopsis)・オレオシン(Van Rooijen et al (1991) Plant Mol. Bio. 18:1177-1179);トウモロコシ・オレオシン(Qu and Huang (1990) J. Biol. Chem. Vol. 265 4:2238-2243);アブラナ・オレオシン(Lee and Huang (1991) Plant Physiol. 96:1395-1397);およびニンジン・オレオシン(Hatzopoulos et al (1990) Plant Cell Vol. 2, 457-467)を含む。
【0022】
「プロリン・ノット・モチーフ」は、12〜15残基の領域にわたって分割される3つのプロリン残基から構成されるオレオシンの疎水性ドメイン内のモチーフである。プロリンは、ターンを介することが予測され、逆平行αヘリックスまたはαストランドの形成を容易にする(Huang (1992) Annu. Rev. Plant Physiol. Plant Mol. Biol. 43: 177-200)。プロリン・ノット・モチーフは、疎水性ドメイン内のHNおよびHC領域によって側面に位置される。
【0023】
「実質的に同一の」という用語は、2つのポリペプチド配列が、好ましくは少なくとも75%同一であること、およびより好ましくは少なくとも85%同一、最も好ましくは少なくとも95%同一、たとえば96%、97%、98%、または99%同一であることを意味する。2つのポリペプチド配列間の同一性の割合を決定するために、このような2つの配列のアミノ酸配列を、好ましくはClustal Wアルゴリズム(Thompson, JD, Higgins DG, Gibson TJ, 1994, Nucleic Acids Res. 22 (22): 4673-4680)をBLOSUM 62スコアリング・マトリクス(scoring matrix)(Henikoff S. and Henikoff J.G., 1992, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89: 10915-10919)と共に、並びに10のギャップ・オープニング・ペナルティおよび0.1のギャップ・エクステンション・ペナルティを使用して、最も高い順位のマッチが、配列のうちの1つの全長の少なくとも50%が整列に含まれる2つの配列間で得られるように整列させる。配列を整列させるために使用してもよいその他の方法は、NeedlemanおよびWunschの整列方法(J. Mol. Biol., 1970, 48: 443)があり、SmithおよびWaterman(Adv. Appl. Math., 1981, 2:482)によって改訂されたとおり、その結果として最も高い順位のマッチが2つの配列間で得られ、かつ同一のアミノ酸の数が、2つの配列間で決定される。2つのアミノ酸配列間のパーセンテージ同一性を算出するためのその他の方法は、一般に当業者に認識されており、たとえばCarilloおよびLipton(SIAM J. Applied Math., 1988, 48:1073)に記載されているもの、並びにComputational Molecular Biology, Lesk, e.d. Oxford University Press, New York, 1988, Biocomputing: Informatics and Genomics Projectsに記載されているものを含む。一般に、このような算出のためにコンピュータプログラムが使用される。この点に関して、使用してもよいコンピュータプログラムは、GCG(Devereux et al., Nucleic Acids Res., 1984, 12: 387)BLASTP, BLASTN および FASTA(Altschul et al., J. Molec. Biol., 1990: 215: 403)を含むが、これらに限定されない。
【0024】
II. 修飾されたオレオシン
本発明は、疎水性ドメインの長さまたは組成が変更されたが、インビボで油体にターゲットすることに成功し、かつ油体と組換えタンパク質の結合を指揮することができる一連のオレオシンで誘導されるタンパク質に関する。特に、本発明は、(a)プロリン・ノット・モチーフ、並びに(b)疎水性ドメインのアミノ末端(HN)鎖およびカルボキシ末端(HC)鎖上の少なくとも1つのアミノ酸残基の除去または付加によって修飾された疎水性ドメインを含む修飾されたオレオシン・ポリペプチドを提供する。一つの態様において、本発明は、油体にターゲットすることができる修飾されたオレオシン・ポリペプチドであって、修飾されたオレオシンが、プロリン・ノット・モチーフと疎水性ドメインのアミノ末端およびカルボキシル末端上の少なくとも1つのアミノ酸残基の除去によってサイズが減少された疎水性ドメイン、とを含む修飾されたオレオシン・ポリペプチドを提供する。もう一つの態様において、本発明は、油体にターゲットすることができる修飾されたオレオシン・ポリペプチドであって、修飾されたオレオシンが、プロリン・ノット・モチーフと疎水性ドメインのアミノ末端およびカルボキシ末端上の少なくとも1つのアミノ酸残基の付加によってサイズが増大された疎水性ドメインとを含む修飾されたオレオシン・ポリペプチドを提供する。
【0025】
前述のように、オレオシンのアミノ酸配列は、3つのドメイン、1)N末端ドメイン;2)疎水性ドメイン;および3)C末端ドメインを含む。疎水性ドメインは、疎水性鎖HN、プロリン・ノット・モチーフ、および疎水性鎖HCを含む(これは、図8aに図式的に示してある)。本発明に従って、修飾は、プロリン・ノット・モチーフに隣接する疎水性鎖配列において行われる。特に、本発明は、疎水性鎖の長さを減少および増大するための方法を記載する。HN鎖およびHC鎖を修飾するときに、HN鎖の長さは、予測されるオレオシン構造を保存するために、HC鎖の長さと同じままにするべきである(Tzen、et al. 1992, JBC 267(22):15626-15634)。
【0026】
好ましい形態では、修飾されたポリペプチドは、同数のアミノ酸残基が除去されたか、または疎水性ドメインに付加されたオレオシン・ポリペプチドを含み、たとえば、オレオシンの疎水性ドメインは、たとえば疎水性ドメインのアミノ末端およびカルボキシ末端上の2〜28個の間アミノ酸残基の除去によって、またはたとえば疎水性ドメインのアミノ末端およびカルボキシ末端の両方に対する2〜28個の間アミノ酸残基の付加によってサイズが減少されていてもよい。
【0027】
疎水性鎖HNは、3つのサブドメイン1a、2a、および3aにさらに分けることができ、並びに疎水性鎖HCは、3つのサブドメイン、1b、2b、および3bにさらに分けることができる。これらのサブドメインの疎水性鎖の各々のサブドメインは、ほぼ同数の疎水性残基を含む。好ましい態様において、サブドメインの1つまたは複数は、疎水性鎖HNおよび疎水性鎖HCの両方から除去される。さらなる好ましい態様において、個々のサブドメインが除去された修飾されたオレオシンが作製される。例えば、サブドメイン1aおよび1bの両方が除去されるか、サブドメイン2aおよび2bの両方が除去される、またはサブドメイン3aおよび3bの両方が除去される。さらなる好ましい態様において、複数のサブドメインが除去された修飾されたオレオシンが作製される。例えば、サブドメイン1a、1b、2a、および2b;2a、2b、3a、および3b;1a、1b、3a、および3b;または1a、1b、2a、2b、3a、および3bが除去される。
【0028】
本発明は、例えばシロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)・オレオシン、アブラナ(Brassica)・オレオシン、またはトウモロコシ・オレオシンのような任意の植物オレオシンを含む関心対象の任意のオレオシンを修飾するために使用することができる。好ましい態様において、オレオシンは、シロイヌナズナ(配列番号:2または15)またはアブラナ(Brassica napus)(配列番号:16)から単離されたオレオシンなどの植物オレオシンと実質的に同一である。好ましい態様において、修飾されたオレオシンを調製するために使用されるオレオシンは、配列番号:2に示される配列と実質的に同一である。特定の態様において、シロイヌナズナにおいて18kDaのオレオシンをコードするOleo-FLのcDNAは、修飾されたオレオシンを調製するために使用される(配列番号:1)。
【0029】
シロイヌナズナ・オレオシン由来のドメインのヌクレオチド配列は、以下の通りである。N末端ドメインは、Oleo-FLクローンからの1〜141(配列番号:17)ヌクレオチドからなるか、または配列番号:18に示したように修飾されており;疎水性鎖HNドメイン1aは、Oleo-FLクローンからのヌクレオチド142〜168(配列番号:19)によって表されるか、または配列番号:20に示したように修飾されており;疎水性鎖HNドメイン2aは、Oleo-FLクローンからのヌクレオチド169〜195(配列番号:21)によって表され;疎水性鎖HNドメイン3aは、Oleo-FLクローンからのヌクレオチド196〜219(配列番号:22)によって表され;プロリン・ノット・モチーフは、Oleo-FLクローンのヌクレオチド225〜261(配列番号:23)またはヌクレオチド220〜267(配列番号:24)として定義され;疎水性鎖HCドメイン1bは、Oleo-FLクローンからのヌクレオチド319〜345(配列番号:25)によって表されるか、または配列番号:26に示したように修飾されており;疎水性鎖HCドメイン2bは、Oleo-FLクローンからのヌクレオチド295〜318(配列番号:27)によって表され;疎水性鎖HNドメイン3bは、Oleo-FLクローンからのヌクレオチド268〜294(配列番号:28)によって表され;C末端ドメインは、Oleo-FLクローンからのヌクレオチド346〜519(配列番号:29)からなるか、または配列番号:30に示したように修飾されている。
【0030】
シロイヌナズナ・オレオシンに由来するドメインのアミノ酸配列は、以下の通りである。N末端ドメインは、Oleo-FLクローンからのアミノ酸1〜47(配列番号:31)からなるか、または配列番号:32に示したように修飾されており;疎水性鎖HNドメイン1aは、Oleo-FLクローンからのアミノ酸48〜56(配列番号:33)によって表されるか、または配列番号:34に示したように修飾されており;疎水性鎖HNドメイン2aは、Oleo-FLクローンからのアミノ酸57〜65(配列番号:35)によって表され;疎水性鎖HNドメイン3aは、Oleo-FLクローンからのアミノ酸66〜73(配列番号:36)によって表され;プロリン・ノット・モチーフは、Oleo-FLクローンのアミノ酸76〜87(配列番号:37)またはアミノ酸74〜89(配列番号:38)として定義され;疎水性鎖HCドメイン1bは、Oleo-FLクローンからのアミノ酸107〜115(配列番号:39)によって表されるか、または配列番号:40に示したように修飾されており;疎水性鎖HCドメイン2bは、Oleo-FLクローンからのアミノ酸99〜106(配列番号:41)によって表され;疎水性鎖HNドメイン3bは、Oleo-FLクローンからのアミノ酸の88〜98(配列番号:42)によって表され;C末端ドメインは、Oleo-FLクローンからのアミノ酸116〜173(配列番号:43)からなるか、または配列番号:44に示したように修飾されている。
【0031】
本発明の修飾されたオレオシン・ポリペプチドは、プロリン・ノット・モチーフと修飾されたHN鎖およびHC鎖とを含む。修飾されたオレオシンは、加えて、N末端ドメインおよび/またはC末端ドメイン、またはこれらの一部もしくは機能的変異体を含んでもよい。修飾されたオレオシンは、好ましくはN末端ドメイン、またはこれらの機能的変異体を含み、任意にC末端ドメインまたはこれらの機能的変異体を含む。特定の態様において、N末端ドメインのヌクレオチド配列は、配列番号:17もしくは配列番号:18の配列、またはこれらの一部もしくは機能的変異体から選択される。プロリン・ノット・モチーフのヌクレオチド配列は、配列番号:23もしくは配列番号:24の配列、またはこれらの機能的変異体から選択される。C末端ドメインのヌクレオチド配列は、配列番号:29もしくは配列番号:30の配列、またはこれらの一部もしくは機能的変異体から選択される。修飾されたオレオシン・ポリペプチドは、修飾された疎水性鎖HNおよび疎水性鎖HCをさらに含む。疎水性鎖HNは、以下の配列の1つまたは複数によってコードされ:配列番号:19(サブドメイン1a)、配列番号:20(修飾されたサブドメイン1a)、配列番号:21(サブドメイン2a)、配列番号:22(サブドメイン3a)、および疎水性鎖HCは、以下の配列の1つまたは複数によってコードされる:配列番号:25(サブドメイン1b)、配列番号:26(修飾されたサブドメイン1b)、配列番号:27(サブドメイン2b)、または配列番号:28(サブドメイン3b)。
【0032】
本発明の修飾されたオレオシン・ポリペプチドの特定の態様において、N末端ドメインのアミノ酸配列は、存在する場合、配列番号:31もしくは配列番号:32の配列、またはこれらの一部もしくは機能的変異体から選択される。プロリン・ノット・モチーフのアミノ酸配列は、配列番号:37もしくは配列番号:38の配列、またはこれらの機能的変異体から選択される。C末端ドメインのアミノ酸配列は、存在する場合、配列番号:43もしくは配列番号:44の配列、またはこれらの一部もしくは機能的変異体から選択される。修飾されたオレオシン・タンパク質は、修飾された疎水性鎖HNおよび疎水性鎖HCをさらに含む。疎水性鎖HNは、以下の配列の1つまたは複数からなり:配列番号:33(サブドメイン1a)、配列番号:34(修飾されたサブドメイン1a)、配列番号:35(サブドメイン2a)、配列番号:36(サブドメイン3a)、および疎水性鎖HCは、以下の配列の1つまたは複数からなる:配列番号:39(サブドメイン1b)、配列番号:40(修飾されたサブドメイン1b)、配列番号:41(サブドメイン2b)、または配列番号:42(サブドメイン3b)。
【0033】
(i)疎水性ドメイン長の減少
好ましい態様において、オレオシン疎水性ドメインの長さは減少される。オレオシンの疎水性ドメインのサイズの減少により、減少した分子重量の、おそらく天然のオレオシンよりも一定の溶媒に可溶性の新規の乳化剤を生じ得る。より短いオレオシン分子は、油体に対して減少した親和性を有し、したがって、油体表面からより容易に回収されることも予想される。より低分子量の修飾されたオレオシンは、全長オレオシンよりも迅速に拡散することが予想され、修飾されたタンパク質と結合した活性分子の生物学的利用能を増大するために有用であると考えられる。
【0034】
好ましい態様において、疎水性ドメイン長の長さは、プロリン・ノット・モチーフに隣接する疎水性鎖HNおよびHCをコードする領域を欠失させることによって減少することができる。疎水性鎖における連続欠失は、2つの異なる様式で行うことができる:N末端およびC末端からプロリン・ノット・モチーフまでの配列を欠失させること(「方向1」)またはプロリン・ノット・モチーフからN末端およびC末端まで配列を欠失させていること(「方向2」)(図8c)。
【0035】
好ましい態様において、「方向1」様式の欠失は、全疎水性ドメインの減少したものを得ること、並びにその後のN末端およびC末端ドメインに対する融合によって行うことができる。さらなる好ましい態様において、同等のアミノ酸残基が、それぞれの修飾において各々の疎水性鎖HNおよびHCから欠失される。このような修飾を行うためには、オレオシンDNAコード配列の3つの異なった断片:(a)N末端のコード配列、(b)疎水性ドメインの減少したもの(これは、プロリン・ノットを含む)、(c)C末端のコード配列を得ることが必要である。さらにもう一つの好ましい態様において、疎水性ドメインは、減少されており、生じる修飾されたオレオシン配列は、それぞれ配列番号:3、配列番号:5、または配列番号:7であるOleo-H23P、Oleo-H3P、またはOleo-Pによって表されるヌクレオチド配列を有し、アミノ酸配列は、それぞれ配列番号:4、配列番号:6、または配列番号:8であるOleo-H23P、Oleo-H3P、またはOleo-Pによって表される。本発明は、配列番号:4、配列番号:6、または配列番号:8に開示される配列の機能的変異体をさらに含み、これらは保存的アミノ酸置換によりこれらの配列とは異なる。機能的変異体は、これらがインビボで油体に対してターゲットする能力を保持する。
【0036】
さらなる好ましい態様において、Oleo-H23Pは、以下のドメインを含む。N末端ドメインは、配列番号:18であり、疎水性鎖HNドメイン2aは、配列番号:21であり、疎水性鎖HNドメイン3aは、配列番号:22であり、プロリン・ノット・モチーフは、配列番号:24であり、疎水性鎖HCドメイン2bは、配列番号:27であり、疎水性鎖HCドメイン3bは、配列番号:28であり、およびC末端ドメインは、配列番号:30である。
【0037】
さらなる好ましい態様において、Oleo-H23Pは、以下のドメインを含む。N末端ドメインは、配列番号:33であり、疎水性鎖HNドメイン2aは、配列番号:35であり、疎水性鎖HNドメイン3aは、配列番号:36であり、プロリン・ノット・モチーフは、配列番号:38であり、疎水性鎖HCドメイン2bは、配列番号:41であり、疎水性鎖HCドメイン3bは、配列番号:42であり、およびC末端ドメインは、配列番号:44である。
【0038】
さらなる好ましい態様において、Oleo-H3Pは、以下のドメインを含む。N末端ドメインは、配列番号:18であり、疎水性鎖HNドメイン3aは、配列番号:22であり、プロリン・ノット・モチーフは、配列番号:24であり、疎水性鎖HCドメイン3bは、配列番号:28であり、およびC末端ドメインは、配列番号:30である。
【0039】
さらなる好ましい態様において、Oleo-H3Pは、以下のドメインを含む。N末端ドメインは、配列番号:32であり、疎水性鎖HNドメイン3aは、配列番号:36であり、プロリン・ノット・モチーフは、配列番号:38であり、疎水性鎖HCドメイン3bは、配列番号:42であり、およびC末端ドメインは、配列番号:44である。
【0040】
さらなる好ましい態様において、Oleo-HPは、以下のドメインを含む。N末端ドメインは、配列番号:18であり、プロリン・ノット・モチーフは、配列番号:23であり、およびC末端ドメインは、配列番号:30である。
【0041】
さらなる好ましい態様において、Oleo-HPは、以下のドメインを含む。N末端ドメインは、配列番号:32であり、プロリン・ノット・モチーフは、配列番号:37であり、およびC末端ドメインは、配列番号:44である。
【0042】
「方向2」様式を用いた欠失は、N末端およびC末端コード領域に連結された疎水性鎖の減少したものを得ること、並びにその後のブリッジとしてプロリン・ノット・モチーフを使用する融合によって行うことができる。疎水性鎖をコードする領域内部でアニールする特異的なプライマーを使用することができる。使用する全てのプライマーは、特異的な融合ができるように5'末端に制限酵素部位を含むべきである。このような修飾を行うためには、以下のオレオシンDNAコード配列の3つの異なった断片:(a)N末端プラス疎水性鎖HNコード配列の減少したもの、(b)プロリン・ノット・モチーフをコードする配列、(c)C末端プラス疎水性鎖HCコード配列の減少したものを得ることが必要である。さらにもう一つの好ましい態様において、疎水性ドメインは、減少されており、生じる修飾されたオレオシン配列は、それぞれ配列番号:9、または配列番号:11であるOleo-H12PおよびOleo-H1Pによって表されるヌクレオチド配列を有し、アミノ酸配列は、それぞれ配列番号:10または配列番号:12であるOleo-H12PおよびOleo-H1Pによって表される。本発明は、配列番号:10または配列番号:12に開示される配列の機能的変異体をさらに含み、これは、保存的アミノ酸置換のためのこれらの配列とは異なる。機能的変異体は、これらがインビボで油体に対してターゲットする能力を保持する。
【0043】
さらなる好ましい態様において、Oleo-H12Pは、以下のドメインを含む。N末端ドメインは、配列番号:17であり、疎水性鎖HNドメイン1aは、配列番号:19であり、疎水性鎖HNドメイン2aは、配列番号:21であり、プロリン・ノット・モチーフは、配列番号:24であり、疎水性鎖HCドメイン・1bは、配列番号:25であり、疎水性鎖HCドメイン2bは、配列番号:27であり、およびC末端ドメインは、配列番号:29である。
【0044】
さらなる好ましい態様において、Oleo-H12Pは、以下のドメインを含む。N末端ドメインは、配列番号:31であり、疎水性鎖HNドメイン1aは、配列番号:33であり、疎水性鎖HNドメイン2aは、配列番号:35であり、プロリン・ノット・モチーフは、配列番号:38であり、疎水性鎖HCドメイン1bは、配列番号:39であり、疎水性鎖HCドメイン2bは、配列番号:41であり、およびC末端ドメインは、配列番号:43である。
【0045】
さらなる好ましい態様において、Oleo-H1Pは、以下のドメインを含む。N末端ドメインは、配列番号:17であり、疎水性鎖HNドメイン1aは、配列番号:19であり、プロリン・ノット・モチーフは、配列番号:24であり、疎水性鎖HCドメイン1bは、配列番号:25であり、およびC末端ドメインは、配列番号:29である。
【0046】
さらなる好ましい態様において、Oleo-H1Pは、以下のドメインを含む。N末端ドメインは、配列番号:31であり、疎水性鎖HNドメイン1aは、配列番号:33であり、プロリン・ノット・モチーフは、配列番号:38であり、疎水性鎖HCドメイン1bは、配列番号:39であり、およびC末端ドメインは、配列番号:43である。
【0047】
(ii)疎水性ドメイン長の増大
さらなる好ましい態様において、修飾されたオレオシン・タンパク質は、これらの天然の配列と比較して延長されている。適切にターゲットされる場合、これらは、油体に対して高い親和性を有することが予想される。疎水性ドメイン長の増大は、疎水性鎖HNおよびHCをコードする領域にDNA配列を挿入することによって行うことができる。挿入される配列は、油体トリアシルグリセロールマトリクス中に収められるように、疎水性ペプチドをコードすることが好ましい。また、修飾されたオレオシンの構造を維持するためには、両方の疎水性鎖に同じ長さをもつ配列を挿入することが好ましい。このような修飾を行うためには、オレオシンDNAコード配列の5つの異なる断片:(a)N末端の配列、(b)HN鎖に対する疎水性の伸張、(c)疎水性ドメイン(プロリン・ノット・モチーフを含む)、(d)HC鎖に対する疎水性の伸張、および(e)C末端の配列を得ることに必要である。疎水性の伸張配列は、油体に対して挿入されるように十分に疎水性のペプチドをコードする任意の配列であることができる。この配列は、その他のオレオシンまたは膜貫通領域に由来することができる。さらにもう一つの好ましい態様において、疎水性ドメインは延長されており、生じる修飾されたオレオシン配列は、配列番号:13であるOleo-doubleによって表されるヌクレオチド配列を有し、アミノ酸配列は、配列番号:14であるOleo-doubleによって表される。本発明は、配列番号:14に開示される配列の機能的変異体をさらに含み、これは、保存的アミノ酸置換のためにこれらの配列とは異なる。機能的変異体は、これらがインビボで油体に対してターゲットする能力を保持する。
【0048】
好ましい態様において、増大された疎水性ドメインを有する修飾されたオレオシンは、サブドメイン1aおよび1bもしくは2aおよび2b;または3aおよび3bの第2のコピーの付加によって、またはサブドメイン1a、1b、2a、および2b;または1a、1b、3a、および3b;または2a、2b、3a、および3bの第2のコピーの付加によって、またはサブドメイン1a、1b、2a、2b、3a、および3bの第2のコピーの付加によって;または任意の前述のサブドメインもしくはこれらの組み合わせの付加によってサイズが増大されており、このようなサブドメインは、1または2または3またはそれ以上のアミノ酸残基によって延長されている。
【0049】
好ましい態様において、増大された疎水性ドメインを有する修飾されたオレオシンは、疎水性HNおよび疎水性HCドメインの重複を有する。
【0050】
さらなる好ましい態様において、Oleo-doubleは、以下のドメインを含む。N末端ドメインは、配列番号:18であり、第1の疎水性鎖HNドメイン1aは、配列番号:19であり;第1の疎水性鎖HNドメイン2aは、配列番号:21であり;第1の疎水性鎖HNドメイン3aは、配列番号:22であり;第1の疎水性鎖HC ドメイン1bは、配列番号:26であり、第1の疎水性鎖HCドメイン2bは、配列番号:27であり;第1の疎水性鎖HCドメイン3bは、配列番号:28であり;プロリン・ノット・モチーフは、配列番号:24であり;第2の疎水性鎖HNドメイン1aは、配列番号:20であり、第2の疎水性鎖HNドメイン2aは、配列番号:21であり;第2の疎水性鎖HNドメイン3aは、配列番号:22であり;第2の疎水性鎖HCドメイン・1bは、配列番号:26であり、第2の疎水性鎖HCドメイン2bは、配列番号:27であり;第2の疎水性鎖HCドメイン3bは、配列番号:28であり;およびC末端ドメインは、配列番号:30である
【0051】
さらなる好ましい態様において、Oleo-doubleは、以下のドメインを含む。N末端ドメインは、配列番号:32であり、第1の疎水性鎖HNドメイン1aは、配列番号:33であり;第1の疎水性鎖HNドメイン2aは、配列番号:35であり;第1の疎水性鎖HNドメイン3aは、配列番号:36であり;第1の疎水性鎖HCドメイン1bは、配列番号:40であり、第1の疎水性鎖HCドメイン2bが、配列番号:41であり;第1の疎水性鎖HCドメイン3bは、配列番号:42であり;プロリン・ノット・モチーフは、配列番号:38であり;第2の疎水性鎖HNドメイン1aは、配列番号:34であり、第2の疎水性鎖HNドメイン2aは、配列番号:35であり;第2の疎水性鎖HNドメイン3aは、配列番号:36であり;第2の疎水性鎖HCドメイン1bは、配列番号:40であり、第2の疎水性鎖HCドメイン2bは、配列番号:41であり;第2の疎水性鎖HCドメイン3bは、配列番号:42であり;および、C末端ドメインは、配列番号:44である。
【0052】
III. 修飾されたオレオシンの使用
本発明は、本明細書に記載された修飾されたオレオシンの任意のおよび全ての使用、並びに修飾されたオレオシンを含む物質の任意のおよび全ての化合物を含む。
【0053】
(i)異種タンパク質のターゲティング
本発明は、米国特許第5,650,554号(その全体が参照によって本明細書に組み入れられる)に記載されたように、油体に対して異種のタンパク質をターゲットするための修飾されたオレオシン・ポリペプチドの使用を含む。
【0054】
本方法は、以下の工程を含む:(a)以下を含む発現カセットを調製する工程:(3)関心対象の異種ポリペプチドをコードする第3の核酸配列、(2)(3)に融合された油体に対するターゲティングを提供するために十分な変異体オレオシン・ポリペプチド部分をコードする第2の核酸配列、(1)(2)の転写を調節することができる第1の核酸配列;(b)発現カセットを宿主細胞へ送達する工程;(c)キメラ遺伝子産物が発現される形質転換された生物または細胞群を産生する工程、および(d)油体に対する特異的な結合を介してキメラ遺伝子タンパク質産物を回復する工程。異種ペプチドは、一般に、通常宿主細胞に発現されないか、または油体に結合することが見いだされていない外来ポリペプチドである。
【0055】
宿主細胞は、植物、細菌、酵母、昆虫、および哺乳類を含む広範囲にわたる宿主細胞から選択してもよい。
【0056】
一つの態様において、宿主細胞は、細菌細胞である。本発明を行うために適した細菌宿主細胞は、大腸菌(E. coli)、枯草菌(B. subtilis)、ネズミチフス菌(Salmonella typhimurium)、およびブドウ球菌(Staphylococcus)、並びに当技術分野の当業者に周知の多くのその他の細菌種を含む。細菌宿主細胞の代表例は、JM109 ATCC番号53323およびDH5(Stratagene, LaJolla, California)を含む。適切な細菌発現ベクターは、好ましくは宿主細胞において機能するプロモーター、1つまたは複数の選択可能な表現型マーカー、および細菌複製起源を含む。代表的プロモーターは、LacZ、b-ラクタマーゼ(ペニシリナーゼ)、およびラクトースプロモータ系(Chang et al., Nature, 1978 275:615を参照されたい)、trpプロモーター(Nichols and Yanofsky, 1983 Meth in Enzymology 101:155)およびtacプロモーター(Russell et al., 1982 Gene 20:231)を含む。
【0057】
もう一つの態様において、宿主細胞は、酵母細胞である。本発明を行うために適した酵母および真菌宿主細胞は、とりわけ出芽酵母(Saccharomyces cerevisae)、ピキア(Pichia)属、またはクルイベロマイセス(Kluyveromyces)属、およびコウジカビ属(Aspergillus)の種々の種を含む。酵母および真菌のために適した発現ベクターは、とりわけ、酵母のためのYCp50(ATCC番号37419)、およびamd SクローニングベクターpV3(Turnbull, Bio/Technology 1989 7:169)を含む。また、酵母の形質転換のためのプロトコルは、当業者に周知である。たとえば、形質転換は、DNAと共に酵母スフェロプラストを調製することによって(Hinnen et al., 1978 PNAS USA 75:1929を参照されたい)、またはLiClなどのアルカリ塩で処理することによって(Itoh et al., J. Bacteriology, 1983 153:163を参照されたい)、いずれかで容易に達成され得る。また、真菌の形質転換は、Cullen et al. Bio/Technology (1087) 5:369, 1987によって記載されたとおりに、ポリエチレングリコールを使用することによって行ってもよい。
【0058】
また、宿主細胞は、哺乳類細胞であってもよい。本発明を行うために適した哺乳動物細胞は、とりわけ:COS(たとえば、ATCC番号CRL 1650または1651)、BHK(たとえば、ATCC番号CRL 6281)、CHO(ATCC番号CCL 61)、HeLa(たとえば、ATCC番号CCL 2)、293(ATCC番号1573)、およびNS-1細胞を含む。b哺乳動物細胞における発現を指揮するための適切な発現ベクターは、一般にプロモーター、並びにその他の転写および翻訳制御配列を含む。適切なプロモーターは、PMSG、pSVL、SV40、pCH 110、MMTV、メタロチオネイン-1、アデノウイルスEla、CMV、最初期、免疫グロブリン重鎖プロモーターおよびエンハンサ、並びにRSV-LTRを含む。哺乳動物細胞のトランスフェクションのためのプロトコルは、当業者に周知である。代表的な方法は、リン酸カルシウムを媒介した電気穿孔法、レトロウイルス、およびプロトプラスト融合を媒介したトランスフェクションを含む(Sambrook et al., 1989 Molecular Cloning a Laboratory Manual, 2nd Edition, Cold Spring Harbour Laboratory Pressを参照されたい)。
【0059】
また、宿主細胞は、昆虫細胞であってもよい。本発明を行うために適した昆虫細胞は、カイコガ(Bombyx)またはスポドテラ(Spodotera)種由来の細胞および株化細胞を含む。昆虫細胞において発現を指揮するために適した発現ベクターは、オートグラファ・カリフォルニア(Autographa california)核多角体病などのバクロウイルス、ウイルス(Miller et al. 1987, Genetic Engineering, Vol. 8 ed. Setler, J.K. et al., Plenum Press, New York)、およびカイコ(Bombyx mori)核多角体病ウイルス(Maeda et al., 1985 Nature 315:592)を含む。
【0060】
好ましい態様において、宿主細胞は、植物であり、キメラ産物は、種子の油体に発現され、および転位置される。関心対象のタンパク質を産生する植物の使用により、植物がエネルギーを捕獲して、タンパク質を作製するための栄養素入力を制限する能力を利用することができる。植物における産生によってもたらされる物質のスケールおよび収率により、商業的な関心対象の種々のポリペプチドの産生に使用される技術に適合することができる。植物は、アブラナ科(Brassicaceae)、キク科(Compositae)、トウダイグサ科(Euphorbiaceae)、マメ科(Leguminosae)、アマ科(Linaceae)、アオイ科(Malvaceae)、ニンジン科(Umbilliferae)、およびイネ科(Graminae)を含む種々の植物ファミリーから選択されてもよい。植物は、アブラナ(アブラナ属種)、アマニ/アマ(リナム・ウシタチシマム(Linum usitatissimum))、ベニバナ(カルタムス・チンクトリウス(Carthamus tinctorius))、ヒマワリ(ヘリアンスス・アヌウス(Helianthus annuus))、トウモロコシ(トウコロコシ(Zea mays))、ダイズ(グリシン・マックス(Glycine max))、マスタード(アブラナ属種およびシナピス・アルバ(Sinapis alba))、ハマナ(Crambe abyssinica)、エルカ(eruca) (エルカ・サチバ(Eruca sativa))、アブラヤシ(エライス・グイニーイス(Elaeis guineeis))、綿実(ワタ種(Gossypium spp.))、落花生類(アラキス・ヒポゲア(Arachis hypogaea))、ココナッツ(コクス・ヌシフェラ(Cocus nucifera))、トウゴマ(リシナス・コムニス(Ricinus communis))、コリアンダー(コリアンドルム・サチブム(Coriandrum sativum))、セイヨウカボチャ(ククルビタ・マキシマ(Cucurbita maxima))、ブラジルナット(ベルトレチア・エクセルサ(Bertholletia excelsa))、およびホホバ(シモンドシア・キネシス(Simmondsia chinensis))を含む種々の植物種から選択してもよい。
【0061】
キャリアまたはターゲティング手段としての修飾されたオレオシン・タンパク質の使用は、タンパク質を回復するための単純な機構を提供する。油体と結合したキメラタンパク質は、例えば遠心分離サイズ除外または浮上分離を使用する油体画分の単離によって、一段階で細胞成分検体から分離してもよい。本発明は、修飾されたオレオシンに融合され、かつ油体と結合された、酵素、治療的タンパク質、診断タンパク質などを含む異種タンパク質の使用を想定する。油体とタンパク質の結合により、その後に単純な手段(遠心分離および浮上分離)によってタンパク質を回復することができる。
【0062】
本発明のさらなる態様に従って、単離された油体と結合された修飾されたオレオシン・タンパク質に融合される異種タンパク質は、オレオシンから放出され、および分離してもよい。従って、油体に対するターゲティングを提供するように修飾されたオレオシンの十分な部分をコードする第2の核酸配列の転写を調節することができ、かつ特異的なプロテアーゼによって、または化学的処理によって切断可能なアミノ酸配列をコードする核酸配列がこの第2の核酸配列に融合された第1の核酸配列と、異種のポリペプチドをコードする第3の核酸配列とを含む発現カセットを調製してもよく;その結果、関心対象のタンパク質を特異的な化学的処理またはプロテアーゼによって単離した油体画分から隔離することができる。
【0063】
本発明の一つの態様に従って、発現カセットは、発現カセットが宿主細胞のゲノムに安定に組み込まれる形態で宿主細胞に導入される。従って、発現カセットを、宿主染色体に組み込まれる必要なく、宿主細胞において複製およびまたは発現ができる組換え核酸配列の一部として導入してもよいことが明らかである。
【0064】
本発明の代わりの態様において、核酸は、相同組換えによって宿主細胞のゲノムに安定に組み入れられる。相同的組換えによる標的遺伝子組換えの例は、哺乳動物細胞(Mansour et al., 1988 Nature, 336, 348-352)および植物細胞(Miao and Lam, 1995 Plant Journal, 7: 359-365)を含む種々の細胞型について記載されてきた。関心対象のタンパク質の宿主細胞ゲノムへの導入は、組換えにより発現カセットが作製されるような様式で関心対象のタンパク質の相同的組換えによって達成してもよく、これは、一般に転写の5'-3'の向きで、宿主細胞において発現することができる転写および翻訳の制御領域を含む第1の核酸配列、油体および異種タンパク質に対するターゲティングを提供するための修飾されたオレオシン・タンパク質の十分な部分を含む融合タンパク質をコードする第2の核酸配列、並びに植物において機能的な転写および翻訳終結領域を含む。
【0065】
動物、昆虫、または微生物種などの異種の系におけるオレオシン融合物を修飾された組換えンパク質の産生のために、プロモーターは、組換えタンパク質産生のために使用される該細胞、組織、または器官において最大の発現のものが選択される。本発明は、動物、特にウシおよびヤギなどのミルクを産生するもの、昆虫、特に大規模に飼育することができる昆虫、より詳細にはオレオシン融合タンパク質を発現するように設計された組換えバキュロウイルスを感染することができる昆虫などの無脊椎動物、酵母などの真菌細胞、および細菌細胞を含む外来タンパク質を発現するために遺伝子改変することができる種々の生物に対する使用が想定される。ウイルス、微生物、真菌、昆虫、および動物において高度に活性なプロモーター領域は、十分に文献に記載されており、市販されているか、または当業者に公知の標準的な方法によって得ることができる。開始制御領域の転写および翻訳の機能的エレメントの全てが、同じ遺伝子に由来するか、または得られることが好ましい。
【0066】
組換えタンパク質の発現が、細胞質因子に由来する場合の適用のためには、発現を最大にするために、高コピー数を維持することができるレプリコンを選択してもよい。高コピー数レプリコンの代わりに、または加えて、宿主細胞における外来タンパク質の最大発現を確実にするために特異的な転写もしくは翻訳増強配列を含むように組換え核酸配列をさらに修飾してもよい。
【0067】
転写のレベルは、修飾された種子、細胞、組織、器官、または生物を生じることができるRNAの量を提供するために十分であるべきである。前述の文に使用される「修飾された」という用語は、同等の形質転換されていない材料、たとえばそのゲノムにおいて問題の発現カセットを有していないものと比較した、種子、細胞、組織、器官、または生物における検出可能な程度に異なる表現型を意味する。また、RNAは、特定の遺伝子の発現の阻害により表現型を変更することができる「アンチセンスRNA」であってもよい点に留意されたい。
【0068】
本発明の組換え発現ベクターおよびキメラ核酸配列は、分子生物学の当業者に周知の方法に従って調製してもよい。このような調製は、典型的には中間クローニング宿主として細菌種大腸菌(Escherichia coli)を含む。大腸菌ベクター、並びに植物形質転換ベクターの調製は、制限消化、ライゲーション、ゲル電気泳動、DNAシーケンシング、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、およびその他の方法などの一般に公知の技術を使用して達成してもよい。組換え発現ベクターを調製するために必要とされる必要な工程を行うために、多種多様なクローニングベクターを利用することができる。大腸菌において機能的な複製系をもつベクターの中には、pBR322、pUCシリーズのベクター、M13mpシリーズのベクター、pBluescript、その他などのベクターがある。典型的には、これらのクローニングベクターは、形質転換細胞の選択が可能なマーカーを含む。核酸配列は、これらのベクターに導入してもよく、ベクターは、適切な培地中で増殖する大腸菌に導入してもよい。組換え発現ベクターは、細胞の収集および溶解によって細胞から容易に回収され得る。さらに、組換えベクターの調製に関する一般的なガイダンスは、たとえば:Sambrook et al., Molecular Cloning, a Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1989, Vol. 3に見いだされ得る。
【0069】
発現される修飾されたオレオシン・タンパク質およびタンパク質が融合される様式は、N末端、C末端、または内部融合のいずれでもあることもできる。選択は、適用に依存的である。たとえば、C末端融合は、以下の通りに行うことができる。好ましくは5'から翻訳開始まで少なくとも100bpを含むオレオシン・タンパク質遺伝子のゲノムクローンを適切な細菌宿主において複製できるプラスミド媒体(たとえば、大腸菌において、pUCまたはpBR322)にクローニングする。制限部位は、遺伝子の親水性C末端部分をコードする領域に位置する。シロイヌナズナ・オレオシンなどの約18KDaの植物オレオシン・タンパク質では、この領域は、典型的にはコドン125からクローンの終わりまで及ぶ。理想的な制限部位は、独特であるが、これは絶対に必須なわけではない。都合のよい制限部位がこの領域に位置しない場合、部位特異的変異誘発によって導入してもよい。この部位の導入に対する唯一の主な制限は、オレオシン・タンパク質クローンの5'から翻訳停止シグナルに配置されなければならないことである。
【0070】
適所に変更されたこのクローンと共に、プロテアーゼ認識部位のコード配列またはこれらの多量体を含む合成オリゴヌクレオチド・アダプターを作製してもよい。これは、たとえばプロテアーゼ・コラゲナーゼのための認識部位であってもよい。アダプターは、外来ペプチド・コード配列およびさらなる塩基に対するライゲーションを容易にするために、必要に応じて、修飾されたオレオシン・タンパク質コード配列、プロテアーゼ認識部位、および外来ペプチド・コード配列の間にトランジションにおいて確実にフレームシフトがなくすために、修飾されたオレオシン・タンパク質クローンの3'末端における制限部位に適合する、5'末端における4塩基突出、アダプターの3'末端における4塩基突出を提供するような方法で合成されると考えられる。最終的なライゲーション産物は、ほぼ完全な修飾されたオレオシン・タンパク質遺伝子、コラゲナーゼ認識モチーフのコード配列、および単一の読み枠で所望のポリペプチド・コード領域全部を含む。
【0071】
N末端の融合のためにも、同様のアプローチが使用される。修飾された油体タンパク質の親水性N末端により、N末端に対するペプチドの融合が可能になり、一方で、なおも外来ペプチドは、油体の外面に保持されることを確実にする。この配置は、C末端の融合のために使用されるものと同様の開始材料から構築することができるが、修飾されたオレオシン・タンパク質遺伝子の翻訳開始近くに便利な制限部位を同定することが必要である。便利な部位は、多くの植物オレオシン・タンパク質遺伝子において、ちょうど5'から開始コドン(ATG)までに一塩基変化を導入することによって、コード配列に任意の変化を作製してもよい。したがって、はるかに研究される植物オレオシン・タンパク質において、第2のアミノ酸は、コドンが「G」で始まるアラニンである。その特定の「G」でのA-Cトランジションにより、Nco I部位を生じる。
【0072】
外来ペプチドのコード配列は、導入される制限部位に直接これをライゲーションすることができる標品を必要としてもよい。たとえば、上記したオレオシン・タンパク質コード配列に導入されるNco I部位へのコード配列の導入は、適合する末端を生じることを必要としてもよい。これは、典型的には部位特異的変異誘発によって1塩基修飾または2塩基修飾をして、外来ペプチドの翻訳開始周辺にNco I部位を作製することを必要としてもよい。次いで、このペプチドは、Nco Iおよび標的の翻訳停止近くを切断する第2の酵素を使用してそのクローニング媒体から削除される。また、上記した方法を使用して、第2の便利な部位を部位特異的変異誘発によって導入することができる。Qu and Huang (1990) J Biol Chem. 265 (4):2238-43によって、N末端のメチオニンは、インビボにおける植物オレオシン・タンパク質のプロセシングの間に除去される可能性があり、このすぐ下流のアラニンは、アシル化される可能性があることが示唆されている。この可能性の理由を説明するためには、タンパク質のN末端にMet-Ala配列を保持することが必要とされる場合がある。これは、都合のよい制限部位をAlaコドンの中の、またはAlaコドンの後のコード配列に導入する種々のストラテジーを使用して、容易に達成される。
【0073】
これらのN末端融合物から生じる構築物は、オレオシン・タンパク質プロモーター配列と、必要に応じて開始シグナルとしてそれ自体ATGを有する高い価値のペプチドをコードする配列のオレオシン・タンパク質遺伝子の最初の数コドンにおけるインフレーム融合物と、残りのオレオシン・タンパク質遺伝子、およびターミネーターを含んでもよい。
【0074】
原則として、任意の所望のタンパク質またはペプチドは、この技術を使用して産生してもよく、これらの組換えタンパク質を含む油体は、本発明のエマルジョンに組み込んでもよい。本発明は、供与源または異種ポリペプチドの使用によって限定されない。
【0075】
関心対象の異種ポリペプチドをコードする核酸配列は、合成の、天然に由来する、またはこれらの組み合わせであってもよい。関心対象のポリペプチドをコードする核酸の性質または供与源に応じて、発現が生じる生物の優先度(preference)を表すコドンをもつ核酸配列を合成することが望ましい。植物種における発現のためには、植物優先(preferred)コドンを使用してもよい。植物優先コドンは、宿主植物として関心対象の特定の植物種において最も大量に発現されるタンパク質において最も頻度の高いコドンから決定してもよい。
【0076】
組換え融合タンパク質を含む細胞、植物、および種子を産生するためには、キメラ核酸配列が組換え発現ベクターに組み入れられる。従って、修飾されたオレオシン・ポリペプチドの発現のために適した、選択した細胞に適した、本明細書に提供される核酸を含む組換え発現ベクターが、本明細書において提供される。「選択した細胞における発現のために適した」という用語は、組換え発現ベクターが、選択した細胞における発現を確実にするために必要とされる全ての核酸配列を含むことを意味する。
【0077】
従って、組換え発現ベクターは、発現のために使用される細胞に基づいて選択され、かつ修飾されたオレオシンをコードする核酸配列に機能的に連結された転写開始および終結を確実にする調節核酸配列をさらに含む。調節核酸配列は、プロモーター、エンハンサ、サイレンシングエレメント、リボソーム結合部位、シャイン‐ダルガーノ配列、イントロン、およびその他の発現エレメントを含む。「機能的に連結された」は、制御領域を含む核酸配列が、細胞内で修飾されたオレオシン発現をコードする核酸配列に連結されたことを意味することが企図される。典型的な核酸構築物は、5'から3'の向きに、発現を指揮することができるプロモーター領域、修飾されたオレオシン・ポリペプチドを含むコード領域、および選択された細胞において機能的終結領域を含む。
【0078】
制御配列の選択は、生物および修飾されたオレオシンが発現される細胞型に依存し、ポリペプチドの発現レベルにも影響する可能性がある。制御配列は、当業者に認識されており、細胞内に修飾されたオレオシンの発現を指揮するために選択される。
【0079】
細菌細胞に使用してもよいプロモーターは、lacプロモーター(Blackman et al., 1978 Cell 13: 65-71)、trpプロモーター(Masuda et al., 1996 Protein Eng 9: 101-106)、およびT7プロモーター(Studier et al., 1986 J. Mol. Biol. 189: 113-130)を含む。本明細書において使用してもよい植物細胞で機能的なプロモーターは、35S CaMVプロモーター(Rothstein et al., 1987 Gene 53: 153-161)、アクチン・プロモーター(McElroy et al., 1990 Plant Cell 2: 163-171)、およびユビキチン・プロモーター(欧州特許出願第0 342 926号)などの構成的プロモーターを含む。その他のプロモーターは、一定の組織または器官に(たとえば、根、葉、花、または種子)、または細胞型(たとえば、葉表皮細胞、葉肉細胞、または根皮質細胞)に、およびまたは植物発生の一定の段階に特異的である。発現のタイミングは、誘導性プロモーター、たとえば米国特許第5,614,395号に記載されているPR-aプロモーターを選択することによって制御してもよい。従って、プロモーターの選択は、所望の位置および所望のポリペプチドの蓄積のタイミングに依存する。特定の態様において、修飾されたオレオシンは、種子細胞に発現され、種子特異的なプロモーターが利用される。本明細書に使用してもよい種子特異的なプロモーターは、たとえばファゼオリン・プロモーター(Sengupta-Gopalan et al., 1985 Proc. Natl. Acad. Sci. USA: 82 3320-3324)、およびシロイヌナズナ18kDaオレオシン・プロモーター(van Rooijen et al., 1992 Plant. Mol. Biol. 18:1177-1179)を含む。種々の植物細胞型において有用な新たなプロモーターが常に発見される。植物プロモーターの多くの例は、Ohamuro et al.(Biochem of Pl., 1989 15:1-82)に見いだされ得る。
【0080】
ポリペプチドの発現を増強することができる遺伝因子が発現ベクターに含まれてもよい。植物細胞において、これらは、たとえばAMVリーダー配列などのウイルス由来の非翻訳リーダー配列(Jobling and Gehrke, 1987 Nature 325: 622-625)およびトウモロコシ・ユビキチン・プロモーターに関連したイントロン(米国特許第5,504,200号を参照されたい)を含む。
【0081】
転写ターミネーターは、一般に当業者に認識され、転写終結のためのシグナルとして役立つ他に、mRNA半減期を延長する役割を果たす保護エレメントとして役立つ(Guarneros et al., 1982 Proc. Natl. Acad. Sci. USA 79:238-242)。植物細胞における発現のための核酸配列において、転写ターミネーターは、典型的には約200ヌクレオチド〜約1000ヌクレオチドの長さである。本明細書に使用してもよいターミネーター配列は、たとえば、ノパリン・シンターゼ終結領域(Bevan et al., 1983 Nucl. Acid. Res. 11:369-385)、ファゼオリン・ターミネーター(van der Geest et al., 1994 Plant J. 6: 413-423)、アグロバクテリウムチュメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)のオクトピン・シンターゼ遺伝子のためのターミネーター、またはその他の同様に機能するエレメントを含む。転写ターミネーターは、An (1987) Methods in Enzym. 153: 292によって記載されているとおりに得ることができる。転写ターミネーターの選択は、転写率に対して効果を有し得る。
【0082】
従って、本明細書において、組換え融合ポリペプチドをコードするキメラ核酸配列が提供される。一つの態様において、該核酸は、
1)該細胞において転写を調節することができる第1の核酸配列;
2)(ii)融合ポリペプチドをコードし、かつ以下を含む第2の核酸配列:異種ポリペプチドをコードする核酸配列、(i)(ii)に対してリーディング・フレームで連結された脂質相に対する融合ポリペプチドのターゲティングを提供する本発明の修飾されたオレオシン・ペプチドをコードする核酸配列;および、
3)宿主細胞において機能的な終結領域をコードする第3の核酸配列。
【0083】
組換え発現ベクターは、マーカー遺伝子をさらに含んでもよい。本発明に従って使用してもよいマーカー遺伝子は、全ての選択可能かつスクリーン可能なマーカー遺伝子を含む非形質転換細胞から形質転換細胞を区別できる全ての遺伝子を含む。マーカーは、たとえば化学的手段によって特徴を選択できるカナマイシン、アンピシリン、G418、ブレオマイシン・ハイグロマイシン、クロラムフェニコールに対する抗生物質耐性マーカーなどの耐性マーカー、またはたとえば通常植物毒性糖質マンノースなどの化学剤に対する耐性マーカーであってもよい(Negrotto et al., 2000 Plant Cell Rep. 19: 798-803)。植物組換え発現ベクターにおいて、除草剤耐性マーカー、たとえばグリフォセート(米国特許第4,940,935号および同第5,188,642号)またはフォスフィノスリシン(White et al., 1990 Nucl. Acids Res. 18: 1062; Spencer et al., 1990 Theor. Appl. Genet. 79: 625-631)に対して耐性を与えるマーカーを都合よく使用してもよい。除草剤に対する耐性マーカーは、レドックスタンパク質または油体ターゲティング-タンパク質の付近に連結されたときに、関心対象のタンパク質を失わなかった植物のために、植物細胞または植物の集団に対する選択圧を維持するように使用してもよい。目視を介して形質転換体を同定するために使用し得るスクリーン可能なマーカーは、β-グルクロニダーゼ(GUS)(米国特許第5,268,463号および米国特許第5,599,670号を参照されたい)および緑色蛍光タンパク質(GFP)(Niedz et al., 1995 Plant Cell Rep. 14: 403)を含む。
【0084】
植物細胞内に核酸配列を導入するために適した組換え発現ベクターは、アグロバクテリウム(Agrobacterium)および根粒菌属(Rhizobium)に基づいたベクター(例えばTiおよびRiプラスミド)を含む。アグロバクテリウムに基づいたベクターは、典型的には少なくとも1つのT-DNA境界配列を有し、かつpBIN 19のようなベクター(Bevan, 1984 Nucl Acids Res. vol 12, 22:8711-8721)およびその他のバイナリーのベクター系(たとえば:米国特許第4,940,838号)を含む。
【0085】
本発明に従って、組換え発現ベクターは、選択された細胞に導入され、選択された細胞が、子孫細胞において修飾されたオレオシン・タンパク質を産生させるために培養される。
【0086】
本明細書において「形質転換」とも称される組換え発現ベクターを細胞に導入する方法は、当業者に周知であり、選択される細胞型に応じて変化する。組換え発現ベクターを細胞に導入するための一般的な技術は、電気穿孔法;化学的に媒介される技術、例えばCaCl2を媒介した核酸取り込み;微粒子銃(微粒子銃(biolistics));天然に感染性の核酸配列、たとえばウイルス由来の核酸配列か、または植物細胞が使用されるときは、アグロバクテリウムまたは根粒菌属由来核酸配列の使用;PEGを媒介した核酸取り込み、微量注入、および炭化シリコーンウィスカーの使用(Kaeppler et al., 1990 Plant Cell Rep. 9:415-418)を含み、これらの全てを本明細書において使用してもよい。
【0087】
細胞への組換え発現ベクターの導入により、染色体DNAまたは色素体ゲノムを含む宿主細胞ゲノムへその全部または部分的な取り込みの組込みを生じてもよい。または、組換え発現ベクターは、ゲノムに組み込まれなくてもよく、宿主細胞のゲノムDNAの中で独立して複製してもよい。核酸配列のゲノム組込みは、典型的にはこれが、細胞のその後の世代によって導入された核酸配列を安定に継承すること、および細胞、植物、または動物系の作出ができるように使用される。
【0088】
特定の態様は、植物細胞の使用を含む。本明細書に使用される特定の植物細胞は、ブラジルナット(ベトレチカ・エクセルサ(Betholletia excelsa);トウゴマ(リシナス・コムニス);ココナッツ(コクス・ヌシフェラ);コリアンダー(コリアンドルム・サチブム);綿実(ワタ種);落花生類(アラキス・ヒポゲア);ホホバ(シモンドシア・キネシス);アマニ/アマ(リナム・ウシタチシマム);トウモロコシ(トウコロコシ);マスタード(アブラナ属種およびシナピス・アルバ);アブラヤシ(エライス・グイニーイス);オリーブ(オリーブ(Olea europaea));アブラナ(アブラナ属種);ベニバナ(ベニバナ(カルタムス・チンクトリウス);ダイズ(グリシン・マックス);スカッシュ(セイヨウカボチャ(ククルビタ・マキシマ);オオムギ(オオムギ(Hordeum vulgare));コムギ(トレチカム・エスチブム(Traeticum aestivum))、およびヒマワリ(ヘリアンスス・アヌウス)から入手できる細胞を含む。
【0089】
双子葉類植物種のための形質転換方法は、周知である。一般に、アグロバクテリウムを媒介した形質転換は、その高い効率、並びに全ての双子葉類植物種というわけではない可能性があるが、多くのものによる一般的な感染性のために、利用される。アグロバクテリウム形質転換は、たとえば組換えバイナリーベクターを有する大腸菌株および標的アグロバクテリウム株にバイナリーベクターを動員することができるヘルパー・プラスミドを有する大腸菌株とのトリペアレンタル・メーティング(tri-parental mating)によって、またはアグロバクテリウム株のDNA形質転換によって、適切なアグロバクテリウム株(たとえば、CIB542)に関心対象のDNAを含むバイナリーベクター(たとえば、pBIN19)を導入することを一般に含む(Hofgen et al. Nucl. Acids. Res. 1988 16:9877)。双子葉類植物種を形質転換するために使用してもよいその他の形質転換方法論は、微粒子銃(Sanford, 1988 Trends in Biotechn. 6: 299-302);電気穿孔法(Fromm et al., 1985 Proc. Natl. Acad. Sci. USA 82: 5824-5828):PEGを媒介したDNA取り込み(Potrykus et al., 1985 Mol. Gen. Genetics 199: 169-177)、微量注入(Reich et al., 1986 Bio/Techn. 4:1001-1004)、および炭化シリコーンウィスカーの使用(Kaeppler et al., 1990 Plant Cell Rep. 9:415-418)を含む。正確な形質転換法は、典型的には、いくらか使用される植物種に応じて変化する。
【0090】
特定の態様において、油体はベニバナから得られ、組換えタンパク質はベニバナに発現される。ベニバナ形質転換は、BakerおよびDyerによって記載されている(1996 Plant Cell Rep. 16: 106-110.)。
【0091】
また、単子葉類植物種は、ここで微粒子銃(Christou et al., 1991 Biotechn. 9: 957-962; Weeks et al., 1993 Plant Physiol. 102: 1077-1084; Gordon- Kamm et al., 1990 Plant Cell 2: 603-61)、PEGを媒介したDNA取込み(欧州特許第 0 292 435号;同第0 392 225号)、またはアグロバクテリウムを媒介した形質転換(Goto-Fumiyuki et al., 1999 Nature-Biotech. 17 (3):282-286)を含む種々の方法を使用して形質転換してもよい。
【0092】
色素体形質転換は、米国特許第5,451,513号;同第5,545,817号および同第5,545,818号;並びにPCT特許出願番号95/16783;同98/11235、および同00/39313に記載されている。基本的葉緑体形質転換は、例えば微粒子銃またはプロトプラスト形質転換を使用して、適切な標的組織内に、関心対象の核酸配列と共に選択可能なマーカーに隣接するクローニングされた色素体DNAを導入することを含む。使用してもよい選択可能なマーカーは、たとえば細菌aadA遺伝子を含む(Svab et al., 1993 Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:913-917)。使用してもよい色素体プロモーターは、たとえばタバコclpP遺伝子プロモーター(PCT特許出願番号97/06250)を含む。
【0093】
もう一つの態様において、本明細書に提供される本発明のキメラ核酸構築物は、色素体ゲノムに直接形質転換される。色素体形質転換技術は、米国特許第5,451,513号、同第5,545,817号、同第5,545,818号、および同第5,576,198号;国際公開公報第95/16783号および国際公開公報第97/32977号;並びにMcBride et. al., 1994 Proc Natl Acad Sci USA 91:7301-7305に広範に記載されており、これらの全ての完全な開示は、参照として本明細書に組み入れられる。一つの態様において、色素体形質転換は、最初に単細胞の緑藻類コナミドリムシ(Chlamydomonas reinhardtii)において行われ(Boynton et al., 1988 Science 240:1534-1537)、次いでタバコまで及び(Svab et al., 1990 Proc Natl Acad Sci USA 87:8526-8530)、シス作動性抗生物質耐性座位(スペクチノマイシンまたはストレプトマイシン耐性)の選択または非光合成変異体表現型の補完と組み合わせて、微粒子銃を介して達成される。
【0094】
もう一つの態様において、タバコ色素体形質転換は、葉もしくはカルス組織の微粒子銃、または選択可能な抗生物質耐性マーカーに隣接するクローニングされた色素体DNAを使用して、プロトプラストによるプラスミドDNAのポリエチレングリコール(PEG)を媒介した取り込みによって行われる。たとえば、1〜1.5kbのフランキング領域(ターゲティング配列と呼ばれる)は、色素体ゲノムとの相同組換えを容易にし、156kbのタバコ色素体ゲノムの特異的領域の置換または修飾が可能である。一つの態様において、色素体16S rDNAにおける点突然変異並びにスペクチノマイシンおよび/またはストレプトマイシンに対する耐性を与えるrpsl2遺伝子を形質転換のための選択可能なマーカーとして利用することができ(Svab et al., 1990 Proc Natl Acad Sci USA 87:8526-8530;Staub et al., 1992 Plant Cell 4:39-45、これらの全開示が参照として本明細書に組み入れられる)、標的葉の100回の照射につき約1回の頻度で安定な同質細胞質(homoplasmic)形質転換体を生じる。これらのマーカー間にクローニング部位が存在することにより、外来遺伝子の導入のための色素体ターゲティングベクターを作製することができる(Staub et al., 1993 EMBO J 12:601-606、この全開示が、参照として本明細書に組み入れられる)。もう一つの態様において、優性の選択可能なマーカー、スペクチノマイシン解毒酵素アミノ配糖体-3'-アデニルトランスフェラーゼをコードする細菌aadA遺伝子と劣性のrRNAまたはr-タンパク質抗生物質耐性遺伝子の置換により、形質転換頻度の実質的な増大を得ることができる(Svab et al., 1993 Proc Natl Acad Sci USA 90:913-917、この全開示が参照として本明細書に組み入れられる)。また、このマーカーは、緑藻類クラミドモナス・レインハーディ(Chlamydomonas reinhardtii)の色素体ゲノムの高頻度形質転換のために使用され成功た(Goldschmidt-Clermont, M., 1991 Nucl Acids Res 19, 4083-4089、この全開示が参照として本明細書に組み入れられる)。その他の態様において、タバコおよびコケ・フィスコミトレラ(Physcomitrella)からのプロトプラストの色素体形質転換は、PEGを媒介したDNA取込みを使用して達成することができる(O'Neill et al. 1993 Plant J 3:729-738; Koop et al., 1996 Planta 199:193-201、この全開示が参照として本明細書に組み入れられる)。
【0095】
また、微粒子銃およびプロトプラスト形質転換の両者は、本明細書における使用が想定される。脂肪種子植物の色素体形質転換は、シロイヌナズナ属およびアブラナ属において行われ成功した(Sikdar et al., 1998 Plant Cell Rep 18:20-24;国際公開公報第00/39313号、これらの全開示が参照として本明細書に組み入れられる)。
【0096】
キメラ核配列構築物は、植物色素体において構築物を発現することができるプロモーターを含む色素体発現カセットに挿入される。植物色素体において発現できる特定のプロモーターは、たとえば、色素体遺伝子のコード領域の上流の5'フランキング領域から単離されるプロモーターであって、これは同じか、または異なる種を由来してもよく、その天然の産物は、典型的には非緑色組織に存在するものを含む大多数の色素体型に見いだされる。色素体における遺伝子発現は、核遺伝子発現とは異なり、原核生物における遺伝子発現に関連がある(Stern et al., 1997 Trends in Plant Sci 2:308-315、この全開示が参照として本明細書に組み入れられる)。
【0097】
色素体プロモーターは、一般に原核生物のプロモーターに典型的な-35および-10エレメントを含み、PEP(色素体コードRNAポリメラーゼ)プロモーターと呼ばれるいくつかの色素体プロモーターは、大部分が色素体ゲノムにおいてコードされる大腸菌様RNAポリメラーゼによって認識されるが、NEPプロモーターと呼ばれるその他の色素体プロモーターは、核コードRNAポリメラーゼによって認識される。両タイプの色素体プロモーターとも、本明細書における使用のために適している。色素体プロモーターの例は、タバコclpP遺伝子プロモーターなどのclpP遺伝子(国際公開公報第97/06250号、この全開示が参照として本明細書に組み入れられる)およびシロイヌナズナclpP遺伝子プロモーター(米国特許出願第09/038878号、この全開示が参照として本明細書に組み入れられる)のプロモーターを含む。植物色素体におけるキメラ核酸構築物の発現を駆動することができるもう一つのプロモーターは、色素体16SリボソームRNAオペロンの制御領域に由来する(Harris et al., 1994 Microbiol Rev 58:700- 754;Shinozaki et al., 1986 EMBO J 5:2043-2049、両方の全開示が参照として本明細書に組み入れられる)。植物色素体において核酸構築物の発現を駆動できるプロモーターのその他の例は、psbAプロモーターまたはrbcLプロモーターを含む。色素体発現カセットは、好ましくは、本発明のキメラ核酸構築物に対して機能的に連結された色素体遺伝子3'非翻訳配列(3'UTR)をさらに含む。非翻訳の配列の役割は、好ましくは転写の終結よりむしろ、転写されたRNAの3'プロセシングを指揮することである。例示的な3'UTRは、色素体rpsl6遺伝子3'非翻訳配列、またはシロイヌナズナ色素体psbA遺伝子3'非翻訳配列である。さらなる態様において、色素体発現カセットは、3'非翻訳配列の代わりにポリG域を含む。また、色素体発現カセットは、好ましくは本明細書に提供されるキメラ核酸構築物に対して機能的に連結された、植物色素体において機能的な5'非翻訳の配列(5'UTR)をさらに含む。
【0098】
色素体発現カセットは、色素体形質転換ベクターに含まれ、これは、好ましくは相同組換えによって色素体ゲノムに組み込むためのフランキング領域をさらに含む。色素体形質転換ベクターは、任意に少なくとも1つの色素体複製開始点を含んでもよい。本発明は、また、キメラ核酸構築物が、植物色素体において発現可能である、このような色素体形質転換ベクターで形質転換された植物色素体を含む。また、この植物色素体を含む植物または植物細胞(これらの子孫を含む)も本明細書に包含される。特定の態様において、植物または植物細胞(これらの子孫を含む)は、トランスジェニック色素体に対して同質細胞質である。
【0099】
植物色素体におけるキメラ核酸構築物の発現を駆動できるその他のプロモーターは、好ましくは発現が行われる植物に、または植物細胞の細胞下細胞小器官もしくは成分に関して異種であるトランス活性化因子で調節されるプロモーターを含む。これらの場合において、トランス活性化因子をコードするDNA分子は、植物核DNAに形質転換された適切な核発現カセットに挿入される。トランス活性化因子は、色素体輸送ペプチドを使用して色素体にターゲットされる。トランス活性化因子およびトランス活性化因子で駆動されるDNA分子は、共に、選択された色素体形質転換系と、および色素体ターゲティング配列を補い、かつ核プロモーターに作動可能に連結されたトランス活性化因子をコードするDNA分子を含むトランスジェニック系との交雑により、または核プロモーターに作動可能に連結された色素体ターゲティング配列を補ったトランス活性化因子をコードするキメラ核酸構築物を含むトランスジェニック系に所望のDNA分子を含む色素体形質転換ベクターを直接形質転換することによってもたらされる。核プロモーターが誘導性プロモーター、特に化学的誘導性の態様である場合、植物の色素体におけるキメラ核酸構築物の発現は、化学物質誘導因子の葉面処理によって活性化される。このような誘導性トランス活性化因子を媒介した色素体発現系は、好ましくは厳密に調節可能であり、誘導前に検出可能な発現がなく、かつ誘導後のタンパク質の例外的に高い発現および蓄積がある。
【0100】
特定のトランス活性化因子は、たとえば、ウイルスRNAポリメラーゼである。この型の特定のプロモーターは、バクテリオファージT7 DNA依存性RNAポリメラーゼによって認識されるT7遺伝子10プロモーターなどの単一のサブユニットRNAポリメラーゼによって認識されるプロモーターである。T7ポリメラーゼをコードする遺伝子は、好ましくは核ゲノムに形質転換され、T7ポリメラーゼは、色素体輸送ペプチドを使用して色素体にターゲットされる。遺伝子、例えばT7ポリメラーゼなどのウイルスRNAポリメラーゼをコードする遺伝子の核発現のために適したプロモーターは、上記され、および本出願の他に記載されている。色素体におけるキメラ核酸構築物の発現は、構成的であることができ、または誘導性であることができ、このような色素体発現は、また器官もしくは組織特異的であることができる。種々の発現系の例が、国際公開公報第98/11235号に広範に記載されており、その全開示が参照として本明細書に組み入れられる。従って、一つの局面では、本発明は、たとえば米国特許第5,614,395号(この全開示が参照として本明細書に組み入れられる)に記載されたように、T7遺伝子10プロモーター/ターミネーター配列によって調節される葉緑体リポーター導入遺伝子と作動可能に連結された、化学的誘導性のPR-1aプロモーターの、例えばタバコPR-1プロモーターの制御下の葉緑体にターゲットされたファージT7 RNAポリメラーゼの核ゲノムにおける連結された発現を利用する。もう一つの態様において、母系性に継承されたTR遺伝子またはNTR遺伝子に対して同質細胞質色素体形質転換体が、核においてT7ポリメラーゼを発現する系によって受粉されるときに、色素体において大量の酵素的に活性なタンパク質の合成が、PR-1a誘導因子化合物ベンゾ(1,2,3)チアジアゾール-7-カルボオ酸S-メチルエステル(BTH)の葉面処理によってトリガーされるまで、両方の導入遺伝子構築物を有するが、これらを発現しないF1植物が得られる。
【0101】
形質転換後、細胞は、典型的には形質転換体を同定することができる選択培地中で培養される。細胞は、当業者に公知の方法に従って収集されてもよい。さらに、修飾されたオレオシン組換え融合タンパク質に対して親和性を有する第2のタンパク質で修飾されたオレオシン組換え融合タンパク質を含む油体を結合するために、細胞の完全性を崩壊させることができる任意の物理的、化学的、または生物学的方法を使用して細胞の統合性を崩壊してもよい。これらの方法は、一般に細胞型に依存的であり、当業者に公知である。植物が使用される場合、これらは、当業者に一般に公知の植物組織培養技術を使用して成熟植物体内で再生してもよい。種子を成熟した形質転換植物から収穫して、植物系を伝播するために使用してもよい。また、植物を交雑してもよく、この方法で、遺伝的バックグランドの変化した株化細胞およびトランスジェニック植物の育種も本明細書において想定される。
【0102】
また、本発明は、本発明の組換え融合タンパク質を含む油体を含む。植物種子から油体を調製するために、植物を栽培して、共通の慣行農法に従って種子を用意することができる。従って、本発明は、また、本発明の組換え融合タンパク質を含む油体を含む種子を提供する。種子を収穫すると即座に、および必要に応じて、たとえば篩分けまたは水洗による、石または種子外皮などの大きな不溶性物質の除去、種子から油体を単離するために適した任意のプロセスが、本明細書に使用される。典型的なプロセスは、種子の粉砕、続く水抽出プロセスを含む。
【0103】
種子の粉砕は、種子細胞に存在する油体の構造統合性を損なうことなく、種子細胞膜および細胞壁の実質的破壊を生じさせる任意の粉砕プロセスによって達成してもよい。この点に関して、適切な粉砕プロセスは、種子の機械的押圧および製粉を含む。ワタ(Lawhon et al., 1977 J. Am. Oil Chem. Soc. 63: 533-534)およびダイズ(米国特許第3,971,856号;Carter et al., 1974 J. Am. Oil Chem. Soc. 51: 137-141)ついて記載されたような湿式製粉は、特にこの点に関して有用である。工業規模の種子製粉が可能な適切な製粉装置は、コロイド製粉機、ディスク製粉機、ピン製粉機、オービタル(orbital)製粉機、IKA製粉機、および工業規模ホモジナイザーを含む。製粉装置の選択は、選択される種子、並びにスループット要求に依存する。
【0104】
種子外皮、繊維状物質、未溶解炭水化物、タンパク質、およびその他の不溶性混入物などの固体の混入物は、その後、好ましくは、遠心分離に基づいた分離法などの濾過または重力に基づいた方法などのサイズ排除法に基づいた方法を使用して、粉砕された種子画分から除去される。遠心分離は、たとえばHASCO 200 2相デカンテーション遠心分離機(HASCO 200 2-phase decantation centrifuge)、またはNX310B(Alpha Laval)などのデカンテーション遠心分離機を使用して達成してもよい。操作条件は、不溶性混入物および沈殿物の実質部分が可溶性画分から分離され得るように選択される。
【0105】
不溶物の除去後、油体画分を水性画分から分離してもよい。重力に基づいた方法、並びにサイズ排除に基づいた技術を使用してもよい。使用してもよい重力に基づいた方法は、たとえばSharples AS-16もしくはAS-46(Alpha Laval)などの管状ボウル遠心分離機、ディスクスタック遠心分離機、もしくは液体サイクロンを使用する遠心分離、または天然の重力下での相分離を含む。使用してもよいサイズ排除法は、膜限外濾過およびクロスフローマイクロフィルトレーション法(crossflow microfiltration)を含む。
【0106】
また、水相からの固体の分離および油体相の分離は、重力に基づいた分別法またはサイズ排除に基づいた方法を同時に使用して行ってもよい。
【0107】
本プロセスのこの過程で得られた油体標品は、一般に比較的粗製であり、油体の適用に応じて、さらなる混入物を除去することが望ましい。この点に関して、さらなる種子混入物を除去することができる任意のプロセスを使用してもよい。都合よく、油体調製からのこれらの混入物の除去は、水相中の油体調製を再懸濁すること、および再懸濁された画分を再び遠心分離すること:本明細書において「油体洗浄」といわれるプロセスによって達成してもよい。選択される洗浄条件は、油体画分の望まれる純度に応じて変化してもよい。たとえば、油体が薬学的組成物に使用される場合、一般に、油体を食品標品に使用するよりも高い程度の純度が望ましい。油体は、所望の純度に応じて、1回またはそれ以上洗浄してもよく、イオン強度、pH、および温度の全ては多様であってもよい。混入物の除去をモニターするために、分析技術を使用してもよい。たとえば、SDSゲル電気泳動を種子タンパク質の除去をモニターするために使用してもよい。
【0108】
全油体単離プロセスは、バッチ的様式または連続フローで行われてもよい。特定の態様において、工業規模の連続フロープロセスが利用される。
【0109】
これらのおよび同様の技術の適用を介して、当業者は、油体を含む任意の細胞から油体を得ることができる。当業者であれば、一般に選択される細胞型に応じてプロセスがいくぶん変化することを認識すると考えられる。しかし、本発明の範囲および趣旨から逸脱することなく、このような変形型を行ってもよい。
【0110】
(ii)組成物
本発明は、本発明の修飾されたオレオシンを含む組成物を含む。このような組成物は、本発明の修飾されたオレオシンを含む油体、植物種子、および植物を含む。油体、植物、および植物種子は、第III節(i)に記載したように調製することができる。
【0111】
実施例
以下の実施例は、例示目的で提供され、限定目的ではない。
【0112】
実施例1
N末端およびC末端ドメインに隣接する領域の疎水性ドメインの減少
Oleo-FL由来の疎水性ドメインは、図8c(「方向 1」の減少)に記載したように、N末端およびC末端ドメインに隣接する領域において減少することができる。
【0113】
OleoH23Pの構築
N末端ドメイン(FrNT)をコードする断片は、XhoIおよびNcoI制限部位(下線を引いてある)を含むフォワード・プライマー

およびNarI制限部位(下線を引いてある)を含むリバース・プライマー

を使用して、テンプレートとしてOleo-FL cDNAを使用して増幅する。断片FrH23Pは、NarI制限部位(下線を引いてある)を含むフォワード・プライマー

およびMseI制限部位(下線を引いてある)を含むリバース・プライマー

を使用して、テンプレートとしてOleo-FL cDNAを使用して増幅する。(図9b)。
【0114】
これらのPCR断片を精製して、酵素NarIで消化し、断片FrNTの3'末端に、および断片FrH23Pの5'末端に突出末端を作製する。消化反応からの断片を精製する。次いでFrH23P断片をFrNTに結合させる。
【0115】
断片FrNTH23Pは、フォワード・プライマー

およびリバース・プライマー

を使用して、テンプレートとしてFrNTとFrH23Pとの間のライゲーション反応を使用して増幅する。C末端ドメイン(FrCT)をコードする断片は、MseI制限部位(下線を引いてある)を含むフォワード・プライマー

およびSpeI制限部位(下線を引いてある)を含むリバース・プライマー

を使用して、テンプレートとしてOleo-FL cDNAを使用して増幅する(図9c)。
【0116】
これらのPCR断片を精製して、酵素MseIで消化し、断片FrNTH23Pの3'末端に、および断片FrCTの5'末端に突出末端を作製する。消化反応からの断片を精製し、次いで共に結合させる。
【0117】
修飾されたオレオシンOleoH23P(配列番号:3)は、フォワード・プライマー

およびリバース・プライマー

を使用して、テンプレートとしてFrCTとFrNTH23Pとの間の結合反応を使用して増幅する。(図9d)。
【0118】
OleoH3Pの構築
N末端ドメイン(FrNT)をコードする断片は、XhoIおよびNcoI制限部位(下線を引いてある)を含むフォワード・プライマー

およびNarI制限部位(下線を引いてある)を含むリバース・プライマー

を使用して、テンプレートとしてOleo-FL cDNAを使用して増幅する。断片FrH3Pは、NarI制限部位(下線を引いてある)を含むフォワード・プライマー

およびMseI制限部位(下線を引いてある)を含むリバース・プライマー

を使用して、テンプレートとしてOleo-FL cDNAを使用して増幅する。(図9b)。
【0119】
これらのPCR断片を精製して、酵素NarIで消化し、断片FrNTの3'末端に、およびFrH3P断片の5'末端に突出末端を作製する。消化反応からの断片を精製し、共に結合させる。
【0120】
断片FrNTH3Pは、フォワード・プライマー

およびリバース・プライマー

を使用して、テンプレートとしてFrNTとFrH3Pとの間の結合反応を使用して増幅する。C末端ドメイン(FrCT)をコードする断片は、MseI制限部位(下線を引いてある)を含むフォワード・プライマー

およびSpeI制限部位(下線を引いてある)を含むリバース・プライマー

を使用して、テンプレートとしてOleo-FL cDNAを使用して増幅する(図9c)。
【0121】
これらのPCR断片を精製して、酵素MseIで消化し、FrNTH3Pの3'末端に、およびFrCT断片の5'末端に突出末端を作製する。消化反応からの断片を精製し、共に結合させる。
【0122】
修飾されたオレオシンOleoH3P(配列番号:5)は、フォワード・プライマー

およびリバース・プライマー

を使用して、テンプレートとして、FrCTとFrNTH3Pとの間の結合反応を使用して増幅する(図9d)。
【0123】
OleoPの構築
N末端ドメイン(FrNT)をコードする断片は、XhoIおよびNcoI制限部位(下線を引いてある)を含むフォワード・プライマー

およびNarI制限部位(下線を引いてある)を含むリバース・プライマー

を使用して、テンプレートとしてOleo-FL cDNAを使用して増幅する。断片FrPは、NarI制限部位(下線を引いてある)を含むフォワード・プライマー

およびMseI制限部位(下線を引いてある)を含むリバース・プライマー

を使用して、テンプレートとしてOleo-FL cDNAを使用して増幅する(図9b)。
【0124】
これらのPCR断片を精製して、酵素NarIで消化し、断片FrNTの3'末端に、およびFrP断片の5'末端に突出末端を作製する。消化反応からの断片を精製し、共に結合させる。
【0125】
断片FrNTPは、フォワード・プライマー

およびリバース・プライマー

を使用して、テンプレートとしてFrNTとFrPとの間の結合反応を使用して増幅する。C末端ドメイン(FrCT)をコードする断片は、MseI制限部位(下線を引いてある)を含むフォワード・プライマー

およびSpeI制限部位(下線を引いてある)を含むリバース・プライマー

を使用して、テンプレートとしてOleo-FL cDNAを使用して増幅する(図9c)。
【0126】
これらのPCR断片を精製して、酵素MseIで消化し、FrNTP断片の3'末端に、およびFrCT断片の5'末端に突出末端を作製する。消化反応からの断片を精製し、共に結合させる。
【0127】
修飾されたオレオシンOleoP(配列番号:7)は、フォワード・プライマー

およびリバース・プライマー

を使用して、テンプレートとしてFrCTおよびFrNTP間の結合反応を使用して増幅する(図9d)。
【0128】
実施例2
プロリン・ノット・モチーフに隣接する領域における疎水性ドメインの減少
Oleo-FL由来の疎水性ドメインは、図8c(「方向 2」の減少)に記載したように、N末端およびC末端ドメインに隣接する領域において減少することができる。
【0129】
OleoH12Pの構築
疎水性鎖HN(FrNTH12)のN末端ドメイン、さらに領域IおよびIIをコードする断片は、XhoIおよびNcoI制限部位(下線を引いてある)を含むフォワード・プライマー

およびHinfI制限部位(下線を引いてある)を含むリバース・プライマー

を使用して、テンプレートとしてOleo-FL cDNAを使用して増幅される。プロリン・ノット・モチーフ(PKM)をコードする断片は、HinfI制限部位(下線を引いてある)を含むフォワード・プライマー

およびSau96I制限部位(下線を引いてある)を含むリバース・プライマー

を使用して、テンプレートとしてOleo-FL cDNAを使用して増幅する(図10b)。
【0130】
これらのPCR断片を精製して、酵素HinfIで消化し、FrNTH12断片の3'末端に、およびPKM断片の5'末端に突出末端を作製する。消化反応からの断片を精製し、結合させる。
【0131】
断片FrNTH12Pは、フォワード・プライマー

およびリバース・プライマー

を使用して、テンプレートとしてFrNTH12とPKMとの間の結合反応を使用して増幅する。疎水性鎖HC(FrCTH12)のC末端ドメイン、さらに領域IおよびIIをコードする断片は、Sau96I制限部位(下線を引いてある)を含むフォワード・プライマー

およびSpeI制限部位(下線を引いてある)を含むリバース・プライマー

を使用して、テンプレートとしてOleo-FL cDNAを使用して増幅する(図10c)。
【0132】
これらのPCR断片を精製して、酵素Sau96Iで消化し、FrNTH12P断片の3'末端に、およびFrH12CT断片の5'末端に突出末端を作製する。消化反応からの断片を精製し、共に結合させる。
【0133】
修飾されたオレオシンOleoH12Pは、フォワード・プライマー

およびリバース・プライマー

を使用して、テンプレートとして、FrNTH12PとFrCTH12Pとの間の結合反応を使用して増幅する(図10d)。
【0134】
OleoH1Pの構築
疎水性鎖HN(FrNTH1)のN末端ドメインさらに領域Iをコードする断片は、フォワード・プライマー

およびHinfI制限部位(下線を引いてある)を含むリバース・プライマー

を使用して、テンプレートとしてOleo-FL cDNAを使用して増幅する。プロリン・ノット・モチーフ(PKM)をコードする断片は、HinfI制限部位(下線を引いてある)を含むフォワード・プライマー

およびSau96I制限部位(下線を引いてある)を含むリバース・プライマー

を使用して、テンプレートとしてOleo-FL cDNAを使用して増幅する(図10b)。
【0135】
これらのPCR断片を精製して、酵素HinfIで消化し、FrNTH2断片の3'末端に、および断片PKMの5'末端に突出末端を作製する。消化反応からの断片を精製し、共に結合させる。
【0136】
断片FrNTH1Pは、フォワード・プライマー

およびリバース・プライマー

を使用して、テンプレートとしてFrNTH1とPKMとの間の結合反応を使用して増幅する。疎水性鎖HC(FrCTH1)のC末端ドメインさらに領域Iをコードする断片は、Sau96I制限部位(下線を引いてある)を含むフォワード・プライマー

およびSpeI制限部位(下線を引いてある)を含むリバース・プライマー

を使用して、テンプレートとしてOleo-FL cDNAを使用して増幅する(図10c)。
【0137】
これらのPCR断片を精製して、酵素Sau96Iで消化し、FrNTH1P断片の3'末端に、およびFrH1CT断片の5'末端に突出末端を作製する。消化反応からの断片を精製し、共に結合させる。
【0138】
修飾されたオレオシンOleoH1P(配列番号:11)は、フォワード・プライマー

およびリバース・プライマー

を使用して、テンプレートとしてFrNTH1PとFrCTH1Pとの間の結合反応を使用して増幅する(図10d)。
【0139】
実施例3
疎水性ドメインの拡張
Oleodoubleの構築
Oleo-FL由来の疎水性ドメインは、伸張することができる。N末端ドメイン(FrNT)をコードする断片は、XhoIおよびNcoI制限部位(下線を引いてある)を含むフォワード・プライマー

およびNarI制限部位(下線を引いてある)を含むリバース・プライマー

を使用して、テンプレートとしてOleo-FL cDNAを使用して増幅する。HN疎水性鎖(FrHNext)の伸張をコードする断片は、NarI制限部位(下線を引いてある)を含むフォワード・プライマー

およびHinfI制限部位(下線を引いてある)を含むリバース・プライマーDouble

を使用して、テンプレートとしてOleo-FL cDNAを使用して増幅する(図11b)。
【0140】
PCR断片を精製して、酵素NarIで消化し、断片FrNTの3'末端に、および断片FrHNextの5'末端に突出末端を作製する。消化反応からの断片を精製し、次いで結合した。断片FrNTNextは、フォワード・プライマー

およびリバース・プライマー

を使用して、テンプレートとして以前の結合反応を使用して増幅する。Oleo-FL(FrCD)の疎水性ドメインをコードする断片は、HinfI制限部位(下線を引いてある)を含むフォワード・プライマー

およびSau96I制限部位(下線を引いてある)を含むリバース・プライマー

を使用して、テンプレートとしてOleo-FL cDNAを使用して増幅する(図11c)。
【0141】
PCR断片を精製して、酵素HinfIで消化し、断片FrNTNextの3'末端に、および断片FrCDの5'末端に突出末端を作製する。消化反応からの断片を精製し、次いで結合した。断片FrNTNextCDは、フォワード・プライマー

およびリバース・プライマー

を使用して、テンプレートとして以前の結合反応を使用して増幅する。HC疎水性鎖(FrHCext)の伸張をコードする断片は、Sau96I制限部位(下線を引いてある)を含むフォワード・プライマー

およびMseI制限部位(下線を引いてある)を含むリバース・プライマー

を使用して、テンプレートとしてOleo-FL cDNAを使用して増幅する(図11d)。
【0142】
PCR断片を精製して、酵素Sau96Iで消化し、断片FrNTNextCDの3'末端に、および断片FrHCextの5'末端に突出末端を作製する。消化反応からの断片を精製し、次いで結合した。断片FrNTNextCDCextは、フォワード・プライマー

およびリバース・プライマー

を使用して、テンプレートとして以前の結合反応を使用して増幅する。C末端ドメイン(FrCT)は、MseI制限部位(下線を引いてある)を含むフォワード・プライマー

およびSpeI制限部位(下線を引いてある)を含むリバース・プライマー

を使用して、テンプレートとしてOleo-FL cDNAを使用して増幅する(図11e)。
【0143】
PCR断片を精製して、酵素MseIで消化し、断片FrNTNextCDの3'末端に、および断片FrHCextの5'末端に突出末端を作製する。消化反応からの断片を精製し、次いで結合した。Oleo-doubleの修飾されたオレオシンは、フォワード・プライマー

およびリバース・プライマー

を使用して、テンプレートとして以前の結合反応を使用して増幅する(図11f)。
【0144】
実施例4
植物における組換えタンパク質(緑色蛍光タンパク質)のためのキャリアとしての、修飾されたオレオシンの使用
組換え緑色蛍光タンパク質は、SpeI制限部位(下線を引いてある)を含むフォワード・プライマー

およびPstI制限部位(下線を引いてある)を含むリバース・プライマー

を使用して、テンプレートとしてGFP cDNAを使用して増幅する。PCR断片を精製して、酵素SpeIおよびPstIで消化し、両方の3'および5'末端に突出末端を作製する。消化反応からの断片を精製し、事前にSpeIとPstIで消化したpBluescript KS+(Stratagene)に結合させる。このライゲーション産物は、pKS-GFP(図12a)と呼ばれる。
【0145】
フォワード・プライマー

およびリバース・プライマー

で、テンプレートとしてOleo-FL cDNAを使用して増幅された修飾されたオレオシン(OleoH12P、OleoH23P、OleoH1P、OleoH3P、OleoP、およびOleoDouble)並びに非修飾Oleo-FLをXhoIおよびSpeIで消化する。断片を精製し、事前にXhoIおよびSpeIで消化したベクターpKS-GFPに挿入する。増幅手順の間に、リバース・プライマーCTRは、オレオシンから終止コドンを除去してSpeI部位を付加し、GFPとインフレームの翻訳融合を作製するのを助ける。Oleo-FL、OleoH12P、OleoH23P、OleoH1P、OleoH3P、OleoP、およびOleoDoubleのライゲーションで得られたベクターは、pOLG-FL、pOLG-OleoH12P、pOLG-OleoH23P、pOLG-OleoH1P、pOLG-OleoH3P、pOLG-OleoP、およびpOLG-OleoDoubleと呼ばれる。要約するために、図12bにおいてこれらを単にpOLGと呼ぶ。
【0146】
pOLGシリーズプラスミド内に得た「オープンリーディングフレーム」融合オレオシン-GFPをNcoIおよびPstIで消化する。断片を、事前に同じ酵素で消化したベクターpubiP+IS3'内に個々に挿入し(図12b)、プラスミドpUBOL-GFL、pUBOLG-OleoH12P、pUBOLG-OleoH23P、pUBOLG-OleoH1P、pUBOLG-OleoH3P、pUBOLG-OleoP、およびpUBOLG-OleoDoubleを作製する。要約するために、図12cにおいてこれらを単にpUBOLGと呼ぶ。この工程のストラテジークローニングは、パセリ・ユビキチン・プロモーターとターミネーターとの間の融合物を挿入するように設計されている(Kawalleck P. et al., 1993 Plant Mol. Biol. 21:673-684)。最初に転写される「ATG」は、オレオシン由来の最初のメチオニン・コドンである。
【0147】
ユビキチン・ターミネーター、続いてオレオシン-GFP融合物、続いてユビキチン・プロモーターを含むカセットをEcoRIで消化する。断片を、事前にEcoRIで消化したベクターpBluescript KS+に個々にサブクローニングする(図12c)。作製されるプラスミドは、pKSUBOLG-FL、pKSUBOLG-OleoH12P、pKSUBOLG-OleoH23P、pKSUBOLG-OleoH1P、pKSUBOLG-OleoH3P、pKSUBOLG-OleoP、およびpKSUBOLG-OleoDoubleと名付けてある(図12dにおいてpKSUBOLGと名づけた)。
【0148】
次いで、pKSUBOLGプラスミド内のカセットをBamHIおよびKpnI制限酵素での消化を使用してpBluescriptバックボーンから除去し、事前に同じ酵素で消化したバイナリーベクターpSBS3000に個々に挿入した(図12d)。作製されるバイナリーベクターは、pSBS3000-UBOLG-FL、pSBS3000-UBOLG-OleoH12P、pSBS3000-UBOLG-OleoH23P、pSBS3000-UBOLG-OleoH1P、pSBS3000-UBOLG-OleoH3P、pSBS3000-UBOLG-OleoP、およびpSBS3000-UBOLG-OleoDoubleと名付けてある(図12eにおいて、pSBS3000-UBOLGと名づけた)。pSBS3000ベクターは、パセリ・ユビキチン・プロモーターとターミネーターとによって駆動されるフォスフィノスリシン・アセチル・トランスフェラーゼcDNAで構成される適切なカセットを含む。このカセットは、除草剤フォスフィノスリシンに対する宿主植物耐性を与える(Wohlleben W. et al., 1988 Gene 70:25-37)。適切なおよびオレオシン・カセットは、左右の境界(RBおよびLBそれぞれ)と呼ばれる2つの領域の間で表してある。これらの2領域間のDNA断片は、T-DNAと呼ばれており、アグロバクテリウム形質転換を経て植物ゲノムに挿入することができる。
【0149】
実施例5
アグロバクテリウムおよびシロイヌナズナ形質転換
バイナリーベクターpSBS3000-UBOLG-FL、pSBS3000-UBOLG-OleoH12P、pSBS3000-UBOLG-OleoH23P、pSBS3000-UBOLG-OleoH1P、pSBS3000-UBOLG-OleoH3P、pSBS3000-UBOLG-OleoP、およびpSBS3000-UBOLG-Oleo Doubleを電気穿孔法方法によってアグロバクテリウムEHA101内に個々に形質転換する(Hood, E. E. et al., 1986 J. Bacteriol. 168:1291-1301)。バイナリーベクターを含む形質転換されたアグロバクテリウム系は、スペクチノマイシン耐性を選択する(図12eにおいて「SpecR」)。それぞれの構築物について、アグロバクテリウムの1つの系を選択される。
【0150】
シロイヌナズナ生態型C24を形質転換のために使用する。5つの種子を4インチのポット内の土壌混合物(2/3レーディ-アースおよび1/3パーライト、pH = 6.7)の表面上に植える。実生を約2.5cmの直径に6〜8葉のローゼット・ステージに成長させる。これらの実生は、上記の土壌混合物を含み、メッシュに切断した各々の角に1つおよび中心に1つある5つの1cmの直径穴を有するウインドウ篩材料(window screen material)でおおわれている4インチのポットに移植する。ポットを寒冷処理のために4日間4℃でドーム内に入れて、その後、約150μEおよび50%の相対湿度で一定の光で24℃の増殖室に移動した。植物に2〜3日の間隔で水をやり、1%のピータース20-20-20で毎週施肥する。幹が高さ約2cmに達したときに、一次抽だい花茎(bolt)を、二次および三次抽だい花茎の成長を促進するために切断する。一次抽だい花茎を切断した4〜5日後に、植物は、アグロバクテリウムに感染しやすい。
【0151】
アグロバクテリウム系を個々に500mlのLB培地に播種し、600nmで0.8の光学濃度に達するまで培養する。培養液を遠心分離して細菌を沈殿させ、5%のショ糖および0.05%の界面活性物質Silwet L-77(Lehle Seeds)を含む溶液に懸濁する。
【0152】
シロイヌナズナ植物を含むポットを20秒間この溶液に反転する。その後、ポットを透明なプラスチック製ドームで24時間覆って、より高い湿度を維持する。植物を成熟期に成長させて、(形質転換されなかった、および形質転換された)種子を収穫する。
【0153】
トランスジェニック系の選択のために、推定上の形質転換された種子を70%のエタノールでの迅速な洗浄、および15分間の20%の市販の漂白剤中での処理で殺菌する。漂白剤溶液を水で4回種子をすすぐことによって除く。約1000個の殺菌された種子を0.6%の上層寒天と混合し、1%のショ糖および80μMの除草剤フォスフィノスリシン(PPT)DLを含む強度が半分の(half strength)MSプレート上に均一に広げる(Murashige and Skoog, 1962 Physiologia Plantarium 15: 473-497)。次いで、プレートを8時間暗く、16時間明るい光制度で24℃の増殖室に配置する。7〜10日後に、形質転換されなかった実生は死滅するのに対して、推定上のトランスジェニック実生は、緑色であり、成長している。根の確立後、推定上のトランスジェニック実生を個々にポットに移す(個々の植物は、3日間隔で水をやり、5日間隔で1%のピータース20-20-20で施肥し、成熟まで成長させる)。感受性の実生を保護するために、ポットを3日間透明なプラスチック製ドームで覆う。7日後に、散乱による種子の減少を防止するために、Lehle Seedsからの種子収集器(seed collector)で実生を覆う。これらのトランスジェニック植物からの種子は、個々に収穫し、解析のために準備する。
【0154】
それぞれのトランスジェニック植物からの10ミリグラムの種子を総タンパク質量抽出緩衝液(2%のSDS、5mM EDTA、50mMトリス-Cl、pH 6.8)中で粉砕する。抽出物を沸騰水中で5分間インキュベートし、10分間最高回転速度(full speed)で遠心分離する。可溶性相を除去し、さらなる解析のために-20℃で貯蔵する。GFPに融合された組換えオレオシンの存在は、ウエスタンブロットを使用する抗GFP抗体によって解析する。GFP標準をそれぞれの実験に使用し、異なる組換えタンパク質の比較をできるようにする。膜におけるそれぞれのバンドの強度は、濃度計を使用して測定する。それぞれのバンドの量をGFP標準で規準化してプロットする(図14)。Oleo-FLを除くそれぞれの組換えオレオシンについて最も高い発現を示す植物からの種子をさらに2世代のために伝播させる。Oleo-FLの場合、中間体蓄積を示す植物を伝播する。
【0155】
実施例6
油体の単離
種子を前述したように選択された植物から回収する。これらの種子からの油体の単離は、以下の修飾を伴った、van Rooijen & Moloney, (1995b) , Biotechnol 13: 72-77によって報告された方法を使用して行う。簡単には、50mgの乾燥した成熟種子を1.0mlの低いストリンジェンシーのリン酸緩衝液(100mMのリン酸緩衝液、pH 8、0.5MのNaClを含む)を含む1.7mlのミクロチューブ内で粉砕する。抽出物を室温(RT)において10,000gで15分間遠心分離する。遠心分離の後、油体を含む脂肪褥を水相から除去し、別のミクロチューブへ移す。油体を1.0mlの低いストリンジェンシー・リン酸緩衝液(100mMのリン酸緩衝液、pH 8、0.5MのNaClを含む)に再懸濁する。試料をRTにおいて10,000gで15分間遠心分離し、沈殿物(undertatant)を除去する。その後、油体を0.5mlの高ストリンジェンシー尿素緩衝液(8Mの尿素の100mM炭酸Na緩衝液、pH 8.0)に再懸濁する。試料を4℃において10,000gで15分間遠心分離し、沈殿物を除去する。最後に油体を0.3mlの水に懸濁する。
【0156】
実施例7
修飾されたオレオシン局在化のための共焦点顕微鏡観察
成熟胚は、Perry and Wang (2003) Biotechniques 35:278-281によって確立された方法に従って単離される。単離した胚をZeiss LSM 510レーザー走査共焦点顕微鏡で、488nmおよび543nmレーザー(それぞれ、20%および100%でセットする)でのAOTF制御された励起での線順次単一トラッキング・モード(line-sequential single-tracking mode)を使用して検査する。Plan-Appochromat 40×/1.4 Oil DIC対物レンズを走査ズームと共に使用する。ピンホールは、約100μmに対して最適化する。生じる顕微鏡写真を図15に示す。油体は、非修飾組換えオレオシンOleo-FLについて示されたそのままの細胞の境界に存在する(図15a)。また、修飾されたオレオシンは、細胞の境界の、油体の小さな中空構造内に存在する。
【0157】
実施例8
油体に対する修飾されたオレオシンの差示的親和性
Oleo-FLまたは修飾されたオレオシン(Oleo-H12P、Oleo-H23P、Oleo-H1P、Oleo-H3P、Oleo-P、またはOleo-double、それぞれGFPに付着されたもの)を有する50ミリグラムのシロイヌナズナ・トランスジェニック種子を1.5mlのトリスHCl 100mM pH 8.0中で乳鉢および乳棒で粉砕した。試料を15分間13,000rpmで遠心分離した。水相を針および注射器で回収した。脂肪褥を300μlのトリスHCl pH 8.0、100mMに懸濁し、0.5mlのエッペンドルフ・チューブ内で10分間13,000rpmで遠心分離した。水相を回収し、脂肪褥を50μlの塩化ナトリウム1Mに懸濁した。懸濁液を室温で10分間インキュベートし、10分間13,000rpmで遠心分離した。水相を回収し、脂肪褥を50μlのTween20 5%に懸濁した。懸濁液を室温で10分間インキュベートし、10分間13,000rpmで遠心分離した。水相を回収して、脂肪褥を50μlのCHAPS 5%に懸濁した。懸濁液を室温で10分間インキュベートし、10分間13000rpmで遠心分離した。水相を除去して、脂肪褥を50μlの炭酸ナトリウム100mM pH 10.0に懸濁した。懸濁液を室温で10分間インキュベートし、10分間13,000rpmで遠心分離した。水性画分を回収して、脂肪褥を50μlの9M尿素に懸濁した。懸濁液を室温で10分間インキュベートし、10分間13000rpmで遠心分離した。水相を回収して、脂肪褥を50μlの5% SDSに懸濁した。懸濁液を室温で10分間インキュベートして、10分間13,000rpmで遠心分離した。水相を回収した。脂肪褥を75μlのSDS-PAGE添加液に懸濁した。50μlの水相画分を25μlのSDS-PAGE添加液(3×濃縮)と混合した。試料を水煮沸浴中で5分間インキュベートし、10% SDS-PAGEに充填した。電気泳動による分離の後、タンパク質をPVDF膜へ転写した。組換えタンパク質は、抗GFP抗体を使用するウエスタンブロットを介して発色させた。
【0158】
図16に示すように、修飾されたオレオシンは、非修飾オレオシン(Oleo-FL)と比較して、油体に対する修飾されたオレオシンの差示的親和性を示す。より短い疎水性ドメイン(OleoH12P、OleoH23P、OleoH1P、およびOleo H3P)を含む修飾されたオレオシンは、双性イオン洗浄剤CHAPS(3-[(3-コラミドプロピル)ジメチル・アンモニオ]-1-プロパンスルホナート)および5%(v/v)濃度の非イオン性界面活性剤Tween20(ポリオキシエチレンソルビタンモノオレアート)などのいくつかの清浄液を使用して油体から選択的に抽出することができる。5%(w/v)濃度での陰イオン界面活性剤SDS(ドデシル硫酸ナトリウム)などのその他の洗浄剤は、これにより修飾および非修飾オレオシンが抽出されたので、選択性を示さなかった。また、炭酸ナトリウム100mM、pH 10.0および尿素9Mなどの非清浄液では、より短い疎水性ドメインを含む修飾されたオレオシンの抽出に対して選択性を示した。
【0159】
本発明は、現在好ましい実施例であるためと考えられることに関して記載したが、本発明は、開示された実施例に限定されないことが理解されるはずである。反対に、本発明は、添付の請求の範囲の精神および範囲内に含まれる種々の修飾および均等配列の組み合わせを包含することが企図される。
【0160】
全ての刊行物、特許、および特許出願は、個々の刊行物、特許、または特許出願が、具体的におよび個々にその全体が参照として組み入れられることを示したかのように、同範囲でこれらの全体が本明細書に参照として組み入れられる。
【0161】
配列の概要
配列番号:1および2は、それぞれ、Oleo-FLクローンのヌクレオチド配列および推定されるアミノ酸配列を記載する。
【0162】
配列番号:3および4は、それぞれ、Oleo-H23Pクローンのヌクレオチド配列および推定されるアミノ酸配列を記載する。
【0163】
配列番号:5および6は、それぞれOleo-H3Pクローンのヌクレオチド配列および推定されるアミノ酸配列を記載する。
【0164】
配列番号:7および8は、それぞれ、Oleo-Pクローンのヌクレオチド配列および推定されるアミノ酸配列を記載する。
【0165】
配列番号:9および10は、それぞれ、Oleo-H12Pクローンのヌクレオチド配列および推定されるアミノ酸配列を記載する。
【0166】
配列番号:11および12は、それぞれ、Oleo-H1Pクローンのヌクレオチド配列および推定されるアミノ酸配列を記載する。
【0167】
配列番号:13および14は、それぞれ、Oleo-doubleのクローンのヌクレオチド配列および推定されるアミノ酸配列を記載する。
【0168】
配列番号:15は、シロイヌナズナ・オレオシン・タンパク質のアミノ酸配列を記載する。
【0169】
配列番号:16は、アブラナ・オレオシン・タンパク質のアミノ酸配列を記載する。
【0170】
配列番号:17および18は、Oleo-FL N-末端ドメインのヌクレオチド配列を記載する。
【0171】
配列番号:19〜20は、Oleo-FL疎水性HNドメイン1aのヌクレオチド配列を記載する。
【0172】
配列番号:21は、Oleo-FL疎水性HNドメイン2aのヌクレオチド配列を記載する。
【0173】
配列番号:22は、Oleo-FL疎水性HNドメイン3aのヌクレオチド配列を記載する。
【0174】
配列番号:23および24は、Oleo-FLプロリン・ノットのヌクレオチド配列を記載する。
【0175】
配列番号:25および26は、Oleo-FL Hydrophobic HCドメイン1bのヌクレオチド配列を記載する。
【0176】
配列番号:27は、Oleo-FL疎水性HCドメイン2bのヌクレオチド配列を記載する。
【0177】
配列番号:28は、Oleo-FL疎水性HCドメイン3bのヌクレオチド配列を記載する。
【0178】
配列番号:29および30は、Oleo-FL C末端ドメインのヌクレオチド配列を記載する。
【0179】
配列番号:31および32は、Oleo-FL N-末端ドメインのアミノ酸配列を記載する。
【0180】
配列番号:33〜34は、Oleo-FL疎水性HNドメイン1aのアミノ酸配列を記載する。
【0181】
配列番号:35は、Oleo-FL疎水性HNドメイン2aのアミノ酸配列を記載する。
【0182】
配列番号:36は、Oleo-FL疎水性HNドメイン3aのアミノ酸配列を記載する。
【0183】
配列番号:37および38は、Oleo-FLプロリン・ノットのアミノ酸配列を記載する。
【0184】
配列番号:39および40は、Oleo-FL疎水性HCドメイン1bのアミノ酸配列を記載する。
【0185】
配列番号:41は、Oleo-FL疎水性HCドメイン2bのアミノ酸配列を記載する。
【0186】
配列番号:42は、Oleo-FL疎水性HCドメイン3bのアミノ酸配列を記載する。
【0187】
配列番号:43および44は、Oleo-FL C末端ドメインのアミノ酸配列を記載する。
【0188】
配列番号:45は、5'領域シロイヌナズナOleo-FLオレオシンに対して相補的であり、かつその後のライゲーションを容易にする5'領域に対するXhoIおよびNcoI部位の付加のために設計されたフォワード・プライマーNTD2のヌクレオチド配列を記載する。
【0189】
配列番号:46は、Oleo-FLのN末端領域とHN疎水性ドメインとの間の領域接合に対して相補的であり、かつその後のライゲーションを容易にする3'領域に対するNarI部位の付加のために設計されたリバース・プライマーNTRのヌクレオチド配列を記載する。
【0190】
配列番号:47は、Oleo-FLオレオシンのHN疎水性ドメインのドメイン2に対して相補的であり、かつその後のライゲーションを容易にする5'領域に対するNarI部位の付加のために設計されたフォワード・プライマーHN2Dのヌクレオチド配列を記載する。
【0191】
配列番号:48は、Oleo-FLオレオシンのHC疎水性ドメインのドメイン2に相補的であり、かつその後のライゲーションを容易にする3'領域に対するMseI部位の付加のために設計されたリバース・プライマーHC2Rのヌクレオチド配列を記載する。
【0192】
配列番号:49は、HC疎水性ドメインとOleo-FLオレオシンのC末端ドメインとの間の接合部に対して相補的であり、かつその後のライゲーションを容易にする5'領域に対するMseI部位の付加のために設計されたフォワード・プライマーCTDのヌクレオチド配列を記載する。
【0193】
配列番号:50は、Oleo-FLオレオシンのC末端ドメインの3'領域に対して相補的であり、かつその後のライゲーションを容易にする3'領域に対するSpeI部位の付加のために設計されたリバース・プライマーCTRのヌクレオチド配列を記載する。
【0194】
配列番号:51は、Oleo-FLオレオシンのHN疎水性ドメインのドメイン3に対して相補的であり、かつその後のライゲーションを容易にする5'領域に対するNarI部位の付加のために設計されたフォワード・プライマーHN3Dのヌクレオチド配列を記載する。
【0195】
配列番号:52は、Oleo-FLオレオシンのHC疎水性ドメインのドメイン3に相補的であり、かつその後のライゲーションを容易にする3'領域に対するMseI部位の付加のために設計されたリバース・プライマーHC3Rのヌクレオチド配列を記載する。
【0196】
配列番号:53は、HN疎水性ドメインとOleo-FLオレオシンのプロリン・ノット・モチーフとの間の接合部に対して相補的であり、かつその後のライゲーションを容易にする5'領域に対するNarI部位の付加のために設計されたフォワード・プライマーPKMDのヌクレオチド配列を記載する。
【0197】
配列番号:54は、プロリン・ノットとOleo-FLオレオシンのHC疎水性ドメインとの間の接合部に対して相補的であり、かつその後のライゲーションを容易にする3'領域に対するMseI部位の付加のために設計されたリバース・プライマーPKMRのヌクレオチド配列を記載する。
【0198】
配列番号:55は、Oleo-FLオレオシンのHN疎水性ドメインのドメイン2に対して相補的であり、かつその後のライゲーションを容易にする3'領域に対するHinfI部位の付加のために設計されたリバース・プライマーHN2Rのヌクレオチド配列を記載する。
【0199】
配列番号:56は、HN疎水性ドメインとOleo-FLオレオシンのプロリン・ノット・モチーフとの間の接合部に対して相補的であり、かつその後のライゲーションを容易にする5'領域に対するHinfI部位の付加のために設計されたフォワード・プライマーPKMD-Hinfのヌクレオチド配列を記載する。
【0200】
配列番号:57は、プロリン・ノットとOleo-FLオレオシンのHC疎水性ドメインとの間の接合部に対して相補的であり、かつその後のライゲーションを容易にする3'領域に対するSau96I部位の付加のために設計されたリバース・プライマーPKMR-Sau96Iのヌクレオチド配列を記載する。
【0201】
配列番号:58は、Oleo-FLオレオシンのHC疎水性ドメインのドメイン2に対して相補的であり、かつその後のライゲーションを容易にする5'領域に対するSau96I部位の付加のために設計されたフォワード・プライマーHC2Dのヌクレオチド配列を記載する。
【0202】
配列番号:59は、Oleo-FLオレオシンのHN疎水性ドメインのドメイン1に対して相補的であり、かつその後のライゲーションを容易にする3'領域に対するHinfI部位の付加のために設計されたリバース・プライマーHN1Rのヌクレオチド配列を記載する。
【0203】
配列番号:60は、Oleo-FLオレオシンのHC疎水性ドメインのドメイン1に対して相補的であり、かつその後のライゲーションを容易にする5'領域に対するSau96I部位の付加のために設計されたフォワード・プライマーHC1Dのヌクレオチド配列を記載する。
【0204】
配列番号:61は、Oleo-FLオレオシンのHN疎水性ドメインのドメイン1に対して相補的であり、かつその後のライゲーションを容易にする5'領域に対するNarI部位の付加のために設計されたフォワード・プライマーHN1Dのヌクレオチド配列を記載する。
【0205】
配列番号:62は、Oleo-FLオレオシンのHN疎水性ドメインの3'領域に対して相補的であり、かつその後のライゲーションを容易にする3'領域に対するHinfI部位の付加のために設計されたリバース・プライマーDoubleNRのヌクレオチド配列を記載する。
【0206】
配列番号:63は、Oleo-FLオレオシンのHN疎水性ドメインの5'領域に対して相補的であり、かつその後のライゲーションを容易にする5'領域に対するHinfI部位の付加のために設計されたフォワード・プライマーDoubleNDのヌクレオチド配列を記載する。
【0207】
配列番号:64は、Oleo-FLオレオシンのHC疎水性ドメインの3'領域に対して相補的であり、かつその後のライゲーションを容易にする3'領域に対するSau96I部位の付加のために設計されたリバース・プライマーDoubleCRのヌクレオチド配列を記載する。
【0208】
配列番号:65は、Oleo-FLオレオシンのHC疎水性ドメインの5'領域に対して相補的であり、かつその後のライゲーションを容易にする5'領域に対するSau96I部位の付加のために設計されたフォワード・プライマーDoubleCDのヌクレオチド配列を記載する。
【0209】
配列番号:66は、Oleo-FLオレオシンのHC疎水性ドメインのドメイン1に対して相補的であり、かつその後のライゲーションを容易にする3'領域に対するMseI部位の付加のために設計されたリバース・プライマーHC1Rのヌクレオチド配列を記載する。
【0210】
配列番号:67は、5'領域GFPに対して相補的であり、かつその後のライゲーションを容易にする5'領域に対するSpeI部位の付加のために設計されたフォワード・プライマーGFPderのヌクレオチド配列を記載する。
【0211】
配列番号:68は、3'領域GFPに対して相補的であり、かつその後のライゲーションを容易にする3'領域に対するPstI部位の付加のために設計されたリバース・プライマーGFPrevのヌクレオチド配列を記載する。
【図面の簡単な説明】
【0212】
本発明は、以下に図面に関して記載してある。
【図1】全長オレオシンクローン(Oleo-FL)のヌクレオチド配列(配列番号:1)および推定されるアミノ酸配列(配列番号:2)を示す。予想アミノ酸配列は、一文字コードで示してある。N末端ドメインの推定されるアミノ酸配列は、太字であり、N末端疎水性領域(鎖HN)は、イタリックであり、プロリン・ノット・モチーフの推定されるアミノ酸配列は、下線を引いてあり、C末端疎水性領域(鎖HC)配列の推定されるアミノ酸配列は、イタリックおよび太字であり、並びに最後に、C末端ドメインは、イタリックおよび下線を引いてある。
【図2】OleoH23Pクローンのヌクレオチド配列(配列番号:3)および推定されるアミノ酸配列(配列番号:4)を示す。予想アミノ酸配列は、一文字コードで示してある。N末端ドメインの推定されるアミノ酸配列は、太字であり、修飾されたN末端疎水性部分(鎖HN)は、イタリックであり、プロリン・ノット・モチーフの推定されるアミノ酸配列は、下線を引いてあり、修飾されたC末端疎水性領域(鎖HC)配列の推定されるアミノ酸配列は、イタリックおよび太字であり、並びに最後に、C末端ドメインは、イタリックおよび下線を引いてある。
【図3】OleoH3Pクローンのヌクレオチド配列(配列番号:5)および推定されるアミノ酸配列(配列番号:6)を示す。予想アミノ酸配列は、一文字コードで示してある。N末端ドメインの推定されるアミノ酸配列は、太字であり、修飾されたN末端疎水性領域(鎖HN)はイタリックであり、プロリン・ノット・モチーフの推定されるアミノ酸配列は、下線を引いてあり、修飾されたC末端疎水性領域(鎖HC)配列の推定されるアミノ酸配列は、イタリックおよび太字であり、並びに最後に、C末端ドメインは、イタリックおよび下線を引いてある。
【図4】OleoPクローンのヌクレオチド配列(配列番号:7)および推定されるアミノ酸配列(配列番号:8)を示す。予想アミノ酸配列は、一文字コードで示してある。N末端ドメインの推定されるアミノ酸配列は、太字であり、修飾されたN末端疎水性領域(鎖HN)は、イタリックであり、プロリン・ノット・モチーフの推定されるアミノ酸配列は、下線を引いてあり、修飾されたC末端疎水性領域(鎖HC)配列の推定されるアミノ酸配列は、イタリックおよび太字であり、並びに最後に、C末端ドメインは、イタリックおよび下線を引いてある。
【図5】OleoH12Pクローンのヌクレオチド配列(配列番号:9)および推定されるアミノ酸配列(配列番号:10)を示す。予想アミノ酸配列は、一文字コードで示してある。N末端ドメインの推定されるアミノ酸配列は、太字であり、修飾されたN末端疎水性領域(鎖HN)は、イタリックであり、プロリン・ノット・モチーフの推定されるアミノ酸配列は、下線を引いてあり、修飾されたC末端疎水性領域(鎖HC)配列の推定されるアミノ酸配列は、イタリックおよび太字であり、並びに最後に、C末端ドメインは、イタリックおよび下線を引いてある。
【図6】OleoH1Pクローンのヌクレオチド配列(配列番号:11)および推定されるアミノ酸配列(配列番号:12)を示す。予想アミノ酸配列は、一文字コードで示してある。N末端ドメインの推定されるアミノ酸配列は、太字であり、修飾されたN末端疎水性領域(鎖HN)は、イタリックであり、プロリン・ノット・モチーフの推定されるアミノ酸配列は、下線を引いてあり、修飾されたC末端疎水性領域(鎖HC)配列の推定されるアミノ酸配列は、イタリックおよび太字であり、並びに最後に、C末端ドメインは、イタリックおよび下線を引いてある。
【図7】Oleo-doubleクローンのヌクレオチド配列(配列番号:13)および推定されるアミノ酸配列(配列番号:14)を示す。予想アミノ酸配列は、一文字コードで示してある。N末端ドメインの推定されるアミノ酸配列は、太字であり、修飾されたN末端疎水性領域(鎖HN)は、イタリックであり、余分のアミノ酸残基は、太字および下線を引いてあり、プロリン・ノット・モチーフの推定されるアミノ酸配列は、下線を引いてあり、修飾されたC末端疎水性領域(鎖HC)配列の推定されるアミノ酸配列は、イタリックおよび太字であり、並びに最後に、C末端ドメインは、イタリックおよび下線を引いてある。
【図8】シロイヌナズナ(Oleo-FL)由来の18kDaオレオシンのアミノ酸配列および行った修飾の概要を示す。(a)Oleo-FLの一次構造。(b)オレオシン構造について提唱されたモデルに従ったOleo-FLにおけるそれぞれのドメインの詳細。(c)疎水性鎖に行われる修飾の一般的な詳細。
【図9】「方向1」モードに続く、減少された疎水性ドメイン範囲をもつオレオシンをコードするDNA配列の構築のためのスキームを示す。(a)野生型Oleo-FL_ドメイン構造のスキーム。(b)オレオシンのN末端配列の増幅およびオレオシン由来の疎水性ドメインの減少したものの増幅。(c)疎水性ドメインの異なるものに対するN末端断片の融合。オレオシンのC末端配列の増幅。(d)OleoH23P、OleoH3P、およびOleoPを作製するN末端/疎水性ドメインに対するC末端断片の融合。
【図10】「方向2」モードに続く、減少された疎水性ドメイン範囲をもつオレオシンをコードするDNA配列の構築のためのスキームを示す。(a)野生型Oleo-FLドメイン構造のスキーム。(b)N末端配列の増幅、さらにオレオシンの疎水性鎖HNの減少されたものの増幅。(c)N末端の減少された疎水性ドメインのプロリン・ノット・モチーフに対する融合。(d)OleoH12PおよびOleoH1Pを作製するN末端およびC末端ドメインの融合。
【図11】増大された疎水性ドメイン範囲をもつオレオシンをコードするDNA配列の構築のためのスキームを示す。(a)Oleo-FL_ドメイン構造のスキーム。(b)オレオシンのN末端配列の増幅および疎水性鎖HNの増幅。(c)オレオシンN末端配列と疎水性鎖HNのライゲーション。オレオシンの疎水性ドメインの増幅。(d)断片FrNTNextCDを作製するライゲーション。FrNTNext CDおよび疎水性鎖HCの増幅。(e)FrNTNextCDおよびFrHCextのライゲーションによりライゲートして断片FrNTNextCDCextを作製する。FrNTNextCDCextの増幅。(f)Oleodouble断片を作製するためのFrNTNextCDCextおよびFrCTのライゲーションおよびその後の増幅。
【図12】GFPと融合した修飾されたオレオシンを有するバイナリーベクター構築のためのスキームを示す。(a)オレオシン配列は、プラスミドpGFP内に、GFPと共にインフレームで部位XhoIおよびSpeI(pOLG)に挿入する。(b)融合は、NcoIおよびPstIで切除して、プラスミドpUBIp+is3’(pUBOLG)内にユビキチン・プロモーターとターミネーターとの間に挿入する。(c)カセットは、pBluescript KS(+)内に、EcoRI部位(pKsUBOLG)にサブクローニングする。(d)カセットは、バイナリーベクターpSBS3000内に、BamHIおよびKpnI部位に挿入して、GFP(e)に融合された修飾されたオレオシンを有するバイナリーベクターを形成する。
【図13】Oleo-FL疎水性ドメインの修飾を示す。(a)プロリン・ノット・モチーフおよび逆平行疎水性鎖を示す正常なOleo-FL疎水性ドメインの構造。(b)減少した、および増大された疎水性鎖を含むOleo-FL疎水性ドメインの修飾されたもの。
【図14】(A)トランスジェニック・シロイヌナズナ株に由来する種子における修飾されたオレオシンの蓄積を示す。約25個の独立した形質転換体の種子からの総種子タンパク質抽出物は、抗GFP抗体とウエスタンブロットを使用して解析することができる。GFP標準をそれぞれの実験に使用し、膜は濃度計で走査することができる。それぞれのバンドの量は、GFP標準で規準化し、プロットすることができる。(B)組換えのGFPに融合された修飾されたオレオシンの平均蓄積(総種子タンパク質のマイクログラムあたりの組換えオレオシンのナノグラム)。
【図15】GFPと融合された修飾されたオレオシンの細胞下局在は、共焦点顕微鏡観察で検査される。ポリペプチドがシロイヌナズナ種子において発現されており、インビボでの油体との結合を示す。修飾されたオレオシンを発現する成熟種子に由来する胚を単離し、Zeiss LSM 510レーザー操作共焦点顕微鏡で検査する。緑色蛍光は、GFPに対応する。(A)Oleo-FL、(B)Oleo-H12P、(C)Oleo-H23P、(D)Oleo-H1P、(E)Oleo-H3P、(F)Oleo-P、(G)Oleo-Double。
【図16】異なる清浄液で洗浄することによって証明される、油体に対する全長オレオシン(Oleo-FL)および修飾されたオレオシン(Oleo-H12P、Oleo-H23P、Oleo-H1P、Oleo-H3P、Oleo-P、およびOleo-double)の差示的親和性を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)プロリン・ノット・モチーフ、並びに(b)疎水性ドメインのアミノ末端(HN)鎖およびカルボキシ末端(HC)鎖の両方における少なくとも1つのアミノ酸残基の除去または付加によって修飾されている疎水性ドメインを含む修飾されたオレオシン・ポリペプチド。
【請求項2】
少なくとも1つのアミノ酸残基が、疎水性ドメインのHN鎖およびHC鎖の両方から除去されている、請求項1記載の修飾されたオレオシン。
【請求項3】
少なくとも2〜28アミノ酸残基が、疎水性ドメインのHN鎖およびHC鎖の両方から除去されている、請求項2記載の修飾されたオレオシン。
【請求項4】
サブドメイン1aおよび1bが除去されている、請求項1〜3のいずれか1項記載の修飾されたオレオシン。
【請求項5】
サブドメイン2aおよび2bが除去されている、請求項1〜4のいずれか1項記載の修飾されたオレオシン。
【請求項6】
サブドメイン3aおよび3bが除去されている、請求項1〜5のいずれか1項記載の修飾されたオレオシン。
【請求項7】
サブドメイン1aおよび1bを含む、請求項1〜3のいずれか1項記載の修飾されたオレオシン。
【請求項8】
サブドメイン1aが配列番号:33または配列番号:34に示される配列を有し、かつサブドメイン1bが配列番号:39または配列番号:40に示される配列を有する、請求項7記載の修飾されたオレオシン。
【請求項9】
サブドメイン2aおよび2bを含む、請求項1〜3のいずれか1項記載の修飾されたオレオシン。
【請求項10】
サブドメイン2aが配列番号:35に示される配列を有し、かつサブドメイン2bが配列番号:41に示される配列を有する、請求項9記載の修飾されたオレオシン。
【請求項11】
サブドメイン3aおよび3bを含む、請求項1〜3のいずれか1項記載修飾されたオレオシン。
【請求項12】
サブドメイン3aが配列番号:36に示される配列を有し、かつサブドメイン3bが配列番号:42に示される配列を有する、請求項11記載の修飾されたオレオシン。
【請求項13】
配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、もしくは配列番号:12に示されるアミノ酸配列、またはこれらの機能的変異体を含む請求項2記載の修飾されたオレオシン。
【請求項14】
少なくとも1つのアミノ酸残基が、疎水性ドメインのHN鎖およびHC鎖の両方に付加されている、請求項1記載の修飾されたオレオシン。
【請求項15】
少なくとも2〜28のアミノ酸残基が、疎水性ドメインのHN鎖およびHC鎖の両方に付加されている、請求項14記載の修飾されたオレオシン。
【請求項16】
サブドメイン1aおよび1bの第2のコピーが付加されている、請求項14または15記載の修飾されたオレオシン。
【請求項17】
サブドメイン2aおよび2bの第2のコピーが付加されている、請求項14または15記載の修飾されたオレオシン。
【請求項18】
サブドメイン3aおよび3bの第2のコピーが付加されている、請求項14または15記載の修飾されたオレオシン。
【請求項19】
サブドメイン1a、1b、2a、および2bの第2のコピーが付加されている、請求項14〜18のいずれか1項記載の修飾されたオレオシン。
【請求項20】
サブドメイン2a、2b、3a、および3bの第2のコピーが付加されている、請求項14〜18のいずれか1項記載の修飾されたオレオシン。
【請求項21】
サブドメイン1a、1b、3a、および3bの第2のコピーが付加されている、請求項14〜18のいずれか1項記載の修飾されたオレオシン。
【請求項22】
サブドメイン1a、1b、2a、2b、3a、および3bの第2のコピーが付加されている、請求項14〜21のいずれか1項記載の修飾されたオレオシン。
【請求項23】
サブドメイン1aが配列番号:33または配列番号:34に示される配列を有し、かつサブドメイン1bが配列番号:39または配列番号:40に示される配列を有する、請求項14〜16、19、21、および22のいずれか1項記載の修飾されたオレオシン。
【請求項24】
サブドメイン2aが配列番号:35に示される配列を有し、かつサブドメイン2bが配列番号:41に示される配列を有する、請求項14、15、17、19、20、および22のいずれか1項記載の修飾されたオレオシン。
【請求項25】
サブドメイン3aが配列番号:36に示される配列を有し、かつサブドメイン3bが配列番号:42に示される配列を有する、請求項14、15、18、および20〜22のいずれか1項記載の修飾されたオレオシン。
【請求項26】
配列番号:14に示されるアミノ酸配列またはこれらの機能的変異体を含む、請求項14記載の修飾されたオレオシン。
【請求項27】
プロリン・ノット・モチーフが、配列番号:37または配列番号:38の配列から選択される、請求項1〜26のいずれか1項記載の修飾されたオレオシン。
【請求項28】
N末端ドメインをさらに含む、請求項1〜27のいずれか1項記載の修飾されたオレオシン。
【請求項29】
N末端ドメインが、配列番号:31または配列番号:32の配列から選択される、請求項28記載の修飾されたオレオシン。
【請求項30】
C末端ドメインをさらに含む、請求項1〜29のいずれか1項記載の修飾されたオレオシン。
【請求項31】
C末端ドメインが、配列番号:43または配列番号:44の配列から選択される請求項30記載の修飾されたオレオシン。
【請求項32】
請求項1〜31のいずれか1項記載の修飾されたオレオシン・ポリペプチドをコードする核酸配列。
【請求項33】
配列番号:3、配列番号:5、配列番号:7、配列番号:9、配列番号:11、もしくは配列番号:13、またはこれらの機能的変異体に示したとおりの配列を有する請求項32記載の核酸配列。
【請求項34】
異種タンパク質に融合された請求項1〜31のいずれか1項記載の修飾されたオレオシン・ポリペプチドを含む組換え融合タンパク質。
【請求項35】
以下を含む宿主細胞の油体に付随して発現することができるキメラ核酸配列:
1)宿主細胞における転写を調節することができる第1の核酸配列;
2)融合ポリペプチドをコードし、かつ以下を含む第2の核酸配列:(ii)異種ポリペプチドをコードする核酸配列、(i)(ii)に対してリーディング・フレームで連結された脂質相に対する融合ポリペプチドのターゲティングを提供する請求項32または33記載の核酸配列;並びに、
3)宿主細胞において機能的な終結領域をコードする第3の核酸配列。
【請求項36】
請求項1〜31のいずれか1項記載の修飾されたオレオシン・ポリペプチドを含む細胞。
【請求項37】
請求項34記載の融合タンパク質を含む細胞。
【請求項38】
請求項32または33記載の核酸配列を含む細胞。
【請求項39】
請求項35記載のキメラ核酸配列を含む細胞。
【請求項40】
請求項1〜31のいずれか1項記載の修飾されたオレオシン・ポリペプチドを含む植物種子。
【請求項41】
請求項34記載の融合タンパク質を含む植物種子。
【請求項42】
請求項32または33記載の核酸配列を含む植物種子。
【請求項43】
請求項35記載のキメラ核酸配列を含む植物種子。
【請求項44】
請求項1〜31のいずれか1項記載の修飾されたオレオシン・ポリペプチドを含む植物。
【請求項45】
請求項34記載の融合タンパク質を含む植物。
【請求項46】
請求項32または33記載の核酸配列を含む植物。
【請求項47】
請求項35記載のキメラ核酸配列を含む植物。
【請求項48】
以下の工程を含む細胞において組換えポリペプチドを産生するための方法:
a)以下を含むキメラ核酸配列を宿主細胞に導入する工程:
1)宿主細胞における転写を調節することができる第1の核酸配列;
2)融合ポリペプチドをコードし、かつ以下を含む第2の核酸配列:(ii)組換えポリペプチドをコードする核酸配列、(i)(ii)に対してリーディング・フレームで連結された脂質相に対する融合ポリペプチドのターゲティングを提供するための請求項1〜31のいずれか1項記載の修飾されたオレオシン・タンパク質の十分な部分をコードする核酸配列;および、
3)宿主細胞において機能的な終結領域をコードする第3の核酸配列;並びに、
b)融合ポリペプチドを産生するために該宿主細胞を培養する工程。
【請求項49】
宿主細胞が植物細胞である、請求項48記載の方法。
【請求項50】
植物が双子葉類である、請求項48記載の方法。
【請求項51】
植物が単子葉である、請求項48記載の方法。
【請求項52】
植物が、種アブラナ(アブラナ属種(Brassica spp.))、アマニ/アマ(リナム・ウシタチシマム(Linum usitatissimum))、ベニバナ(カルタムス・チンクトリウス(Carthamus tinctorius))、ヒマワリ(ヘリアンスス・アヌウス(Helianthus annuus))、トウモロコシ(トウコロコシ(Zea mays))、ダイズ(グリシン・マックス(Glycine max))、マスタード(アブラナ属種(Brassica spp.)およびシナピス・アルバ(Sinapis alba))、ハマナ(クランベ・アビシニカ(Crambe abyssinica))、エルカ(eruca)(エルカ・サチバ(Eruca sativa))、アブラヤシ(エライス・グイニーイス(Elaeis guineeis))、綿実(ワタ種(Gossypium spp.))、落花生類(アラキス・ヒポゲア(Arachis hypogaea))、ココナッツ(コクス・ヌシフェラ(Cocus nucifera))、トウゴマ(リシナス・コムニス(Ricinus communis))、コリアンダー(コリアンドルム・サチブム(Coriandrum sativum))、セイヨウカボチャ(ククルビタ・マキシマ(Cucurbita maxima))、ブラジルナット(ベルトレチア・エクセルサ(Bertholletia excelsa))、およびホホバ(シモンドシア・キネシス(Simmondsia chinensis))に由来する、請求項51記載の方法。
【請求項53】
修飾されたオレオシン・タンパク質が、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、配列番号:12、もしくは配列番号:14、またはこれらの機能的変異体からなる群より選択される、請求項48〜52のいずれか1項記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公表番号】特表2007−535896(P2007−535896A)
【公表日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−515601(P2006−515601)
【出願日】平成16年6月18日(2004.6.18)
【国際出願番号】PCT/CA2004/000904
【国際公開番号】WO2004/113376
【国際公開日】平成16年12月29日(2004.12.29)
【出願人】(502452808)セムバイオシス ジェネティクス インコーポレイテッド (4)
【出願人】(506405954)
【Fターム(参考)】