修飾されたステフィンAスカフォールドタンパク質
本発明は、ペプチドアプタマーのようなペプチドのディスプレイのための新しいスカフォールドタンパク質を提供する。新しいスカフォールドタンパク質はステフィンAまたはSTM(ステフィンAの変異体)の修飾物であり、そしてスカフォールドタンパク質およびディスプレイシステムとして有用である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はペプチド、例えばペプチドアプタマーのようなペプチドのディスプレイのための新しいスカフォールドタンパク質に関し、特に、本発明は、修飾されたステフィンAポリペプチドおよびステフィンAに基づく修飾された人工的なタンパク質の使用に関し、全てをスカフォールドタンパク質およびディスプレイ法に使用することに関する。
【背景技術】
【0002】
タンパク質相互作用の研究は多くの生物学的プロセス、例えば遺伝子産物の健康および疾患の双方における生体内の役割のようなものにおいて重要である。ペプチドアプタマーは、特に分子医学の基礎および応用の双方の面のために有用である重要な分子ツールとして現れた。所定の標的タンパク質と細胞内レベルにおいて、特異的に結合して不活性化するそれらの能力により、それらは生体外および生体内の双方の機能タンパク質分析(解析)のための実験的方策を提供する。それらはまた細胞外タンパク質に対して使用することもできる。タンパク質機能の研究での適用と同様に、これらのツールは従って、分子検出、診断のため、および/または治療剤として有用である。ペプチドおよびペプチドアプタマーは溶液において遊離で使用することができる。しかしながら、小(低分子)ペプチドが非拘束のとき、制限された相互作用面を提示する構造を形成する傾向にある。さらに、それらは標的分子との関連により、立体構造のエントロピーを失うことが多く、結合の自由エネルギーが減少し、その結果、フリーのペプチドは緊密な非共有結合複合体を形成しないことが多く、それは問題である。その上、細胞内でペプチドは急速に分解し、それは生体内におけるタンパク質の相互作用の研究についてそれらの有効性制限し、それがまた問題である。
【0003】
自由溶液(free solutions)において使用されるよりもむしろ、興味のあるペプチドを物理的な支持体に結合してもよく、またはより一層大きなポリペプチドとの関連において表示してもよい。前者は生体内の研究において難なく適用することができない。後者において、ペプチドは単純且つ安定なスカフォールドタンパク質の一次配列中に遺伝学的に挿入する。スカフォールドの折り畳みはペプチドを立体構造的に拘束し、ペプチドアプタマーは高い特異性および親和性によってパートナーと結合する。これは本発明において重要なポリペプチドとの関連のディスプレイである。このようなディスプレイは、頻繁にスカフォールドタンパク質を用いて成し遂げられる。
【0004】
先行技術のスカフォールドは、不活性のブドウ球菌ヌクレアーゼ、緑色蛍光タンパク質(GFP)およびチオレドキシンA(TrxA)、ならびに分離したタンパク質の折り畳み、例えばブドウ球菌プロテインAのZドメイン、“アフィボディ(affibodies)”、アンチカリン(anticalins)、およびアンキリン(anyrin)反復からなる。
【0005】
さらに先行技術のスカフォールドタンパク質には、ファイブロネクチンIII型ドメイン(‘Fn3’)、アンチカリンが導き出されるリポカリンファミリータンパク質、ビリン結合タンパク質(BBP)等が含まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2006/131749号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
つい最近(国際公開第2006/131749号)は、ステフィンA内において形成されるいくつかの合理的な変異を、それをスカフォールドとして改善するために記載する。修飾されたステフィンAスカフォールドは、以下三つの部位、Lys71−Leu73,V48DおよびG4Wにおける変異を含み、STM(ステフィンA三重変異)と称す。これら三つの変異の組み合わせは、ヒト細胞において、タンパク質との最小の相互作用をもつタンパク質を生じさせ、そして特にすべての検出可能な既知の自然なパートナーとの相互作用を喪失したことを示した。しかしながら、本発明者らは、タンパク質中に位置71〜73でペプチドを挿入することは、挿入されたペプチドの端部でのタンパク質のトランケーション(切り詰め)のための強い選択圧(淘汰圧)につながることを見出した。このように切り詰められたタンパク質は生物学的な有効性を表示することができたが、この観察は単純に位置71−73で切り詰められずに挿入されたペプチドのサブセットが、標的タンパク質との相互作用のために自由に利用可能でありえないという懸念を導き、これは問題である。さらに、単一部位でペプチドを挿入することは、必然的にタンパク質の相互作用のために用いられる合計表面積を制限し、それは次に結合親和性および潜在的な特異性を制限する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
ステフィンAに対して、およびステフィンAに基づく修飾された人工タンパク質、例えば本発明において開示したようなSTM(ステフィンA三重変異)のようなものに対して作られた新しい変異は、代わりの改善された、およびより一層安定なスカフォールドタンパク質を提供し、そして、また、先行技術のものより用途の広いディスプレイシステムを提供する。さらに、これらの新たなタンパク質のスカフォールド/ディスプレイシステムはまた、効率的且つローバスト(robust)なディスプレイエンティティー(実体)としてまったく予測不可能である。これ以降に記載の新たな変異はステフィンA/STMタンパク質の特定された多様なエリアで作られ、そして驚くべきことにステフィンA/STMタンパク質の構造(立体構造)またはそれらのスカフォールドタンパク質としての潜在的な機能が見出された。さらにまた、本発明の改善されたスカフォールドを伴い、さらなる工学技術(engineering)の理由により、スカフォールドが多重の挿入物をもち、時には今まで先行技術のスカフォールドにおいて可能でない修飾を提供することが可能である。
【0009】
本開示の概略。本発明の第一形態において、修飾されたステフィンAポリペプチドまたは修飾されたSTMタンパク質を提供し、修飾は、単一の変異性の変化または次の
(i)コドン4での変異であり、ステフィンAのグリシンまたはSTMのトリプトファンをステフィンAのためにトリプトファンまたはSTMのためにグリシンでない別のアミノ酸によって、または異種のオリゴヌクレオチドによりコード化されたペプチドによって置換されたもの、または
(ii)コドン46から54までを含んでペプチド挿入をコード化する任意の変化または異種のオリゴヌクレオチドであり、そのコード化アミノ酸がループ1を含み、または拘束するもの、または
(iii)コドン67から84までを含んでペプチド挿入をコード化する任意の変化または異種のオリゴヌクレオチドであり、そのコード化アミノ酸がループ2を含み、または拘束するもの
が包含される群より選ばれる部位に挿入されたペプチドをコード化する異種のオリゴヌクレオチドを含む。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本願書の明細書および請求の範囲において、“含む(comprise)”、“なる(contain)”、そしてこの用語のバリエーション、例えば“含む(comprising)”および“含む(comprise)”の意味は“からなるが制限されない(including but not limited to)”であって、他の一部、添加物、成分、整数またはステップを排除するという意図はない。本願の明細書および請求の範囲において、その背景において必要とされなければ、単数形は複数形を含む。
【0011】
特に、本願は不定冠詞が使われているところで、背景に必要としなければ、複数形並びに単数形を意図している。
【0012】
特徴、整数、指標、化合物、化学成分、または群と共に記載された本発明の特定の態様、実施形態、または実施例は両立しない限り、いずれの本願の他の態様、実施形態、または実施例である。
【0013】
本明細書のスカフォールドタンパク質は、一つのタンパク質と結合した配列で、用語はまた融合タンパク質と同義語である。“融合タンパク質”は本発明のスカフォールドタンパク質を一つ以上の異なった(例えば“異種”)ペプチドまたはタンパク質と結合したタンパク質からなるものを意味する。異種ペプチドまたはタンパク質の挿入において、融合タンパク質は所望の標的と結合できる。
【0014】
本発明は、新しい変異体に基づく野生型ステフィンAタンパク質そのもの、好ましくはステフィンAがヒトのステフィンA、または三重変異STM、安定したスカフォールドタンパク質として使用するのに適した形状の状態にする一方、付随してそれらを有利な生物学的において中性な状態に生物学的に重要な相互作用および活性な状態にカテプシンまたは他の不明のタンパク質との自然の相互作用に必要な残基の変異によって取り除いて行った。 さらに、選択された変異または挿入部位は、挿入するペプチドを容認および拘束し、例えばペプチドアプタマーの産出を制限することができる。その一方、ヒトの研究はヒトのスカフォールドを必要とし、例えばマウスのステフィンAの使用は、マウスモデルの生態および/または疾患の研究に有利で、同様に他の種または植物のステフィンA由来の使用はまたその種に特異的であることができる。したがって、本発明のスカフォールドおよびプレゼンテーション法はいかなる選択された種において実用性を目的とし、ステフィンAの誘導は使用者の必要性に依存している。
【0015】
DNA配列の変異において、ステフィンAまたはそのSTM形状いずれのコドン4のアミノ酸をコード化するか、またはコドン46から54を含有したステフィンAまたはそのSTM形状のループ1を含むまたは拘束するアミノ酸をコード化し、コドン67から84までを含有するステフィンAまたはそのSTM形状のループ2を含むまたは制限するアミノ酸をコード化し、それぞれ独立することができ、好まれている。すなわち、ステフィンAタンパク質の変異体が、3つの異なる個々の領域または部位の1つであり、すなわち位置4またはループ1もしくはループ2に拘束されていることができる。同様に、三重変異形状STMにおける変異体はまた3つの特異的且つ独立した個々のサイトのの1つであり、すなわち位置4のループ1またはループ2に拘束された1箇所のいずれかであることができる。ステフィンAまたはSTMの配列の残余は、不変および以下における配列を含むであろう。
【0016】
野生型のヒトステフィンAの配列を以下の配列番号:1に示す
【化1】
【0017】
三重変異STMの配列を以下の変異部位を配列番号:2の様に示し、従ってSTMが野生型ステフィンAと異なる部分は、太字および下線で示す
【化2】
【0018】
本明細書の参照における“変異性の変化”は、遺伝子物質における変異性の変化がアミノ酸の付加、欠失、挿入または置換による永久の変異を伝えることができる。
【0019】
好ましくは、実施形態において単一の変異性の変化は、ステフィンAにおけるコドン4のグリシンの置換であって、G4V、G4I、G4L、G4M、G4F、G4P、G4N、G4V、G4Q、G4S、G4T、G4W、G4Y、G4R、G4H、G4K、G4DおよびG4Eを含む群から選択される。より好ましくは、置換がG4R、すなわちコドン4のグリシンをアルギニンに置換することである。
【0020】
好ましくは、実施形態において単一の変異性の変化は、STMにおけるコドン4のトリプトファンの置換であって、W4V、W4I、W4L、W4M、W4F、W4P、W4N、W4V、W4Q、W4S、W4T、W4G、W4Y、W4R、W4H、W4K、W4DおよびW4Eを含む群から選択される。より好ましくは、置換がW4R、すなわちコドン4のグトリプトファンをアルギニンに置換することである。
【0021】
ステフィンAのオープンリーディングフレームの5’末端部位のステフィンAまたはSTMの8アミノ酸をコード化するアミノ末端における変異は、制限エンドヌクレアーゼまたは標的とする組み換え部位の切断部位の導入を認めた。例えば、本明細書においてDNA配列の変異後、例えば位置4のアルギニン(STMの野生型グリシンまたはトリプトファンを置換する)をコード化することによって、STMと同様の生物物理学の特徴を有し、驚くほど安定性のあるタンパク質を産出することを示したが、オープンリーディングフレームが、現在、酵素特有の制限サイトを有し、ここで例えば酵素Avrllに制限はないので、選択肢を提供し、効率的なスカフォールドタンパク質としての役割を果たす。
【0022】
好ましくは、実施形態において、ステフィンA(配列番号3:QVVAGTNYY)またはSTM(配列番号4:QVDAGTNYY)のコード化アミノ酸がループ1を含むまたは拘束するもの、ここで、例えばQVLASTNYY(配列番号:5)を含む変異であり、変異性の変化はコドン46から54を含有するいかなる変異である。驚くべきことに、アミノ酸の配列は、例えば制限なしに、位置48、49、および50におけるロイシン、アラニン、セリンを取り入れ、STMと同様の生物物理学の特徴のタンパク質を導きだし、従って効率的なスカフォールドとなるであろう。
【0023】
好ましくは、ステフィンAの変異性の変化は48−VAG−50、そしてSTMにおいては48−LAS−50であり、結果は48−LXS−50においてXはいずれのアミノ酸である。
【0024】
好ましくは、実施形態において、ステフィンA(配列番号6:LKVFKSLPGQNEDLVLTG)またはSTM(配列番号7:LKVFNGPPGQNEDLVLTG)のコード化アミノ酸のループ2を含むか、または拘束し、ここで、例えば配列番号8:LKVFNGPPGQNEDLVRSGを含む変異である、変異性の変化は、コドン67から84番目までを含有するいかなる変異である。驚くべきことに、アミノ酸の配列、例えばアルギニンに続くセリン(ステフィンAまたはSTMのロイシン82およびトレオニン83の置換)は安定したタンパク質、例えばSTMの産出を導き、ペプチドアプタマーのプレゼンテーションにおいて優れたスカフォールドとして役割を果たすことを示した。
【0025】
好ましくは、ステフィンAの変異性の変化は71−KSL−73および82−LT−83、STMの変異性の変化は71−NPG−73および82−LT−83であって、その結果は71−NxP−73および82−RS−83において、Xはいかなるアミノ酸でもある。
【0026】
好ましくは、さらなる本発明の実施形態において、ステフィンAおよびSTMにおいて82−LT−83であって、その結果は82−XX−83において、Xはいかなるアミノ酸、特に好ましい実施形態において、それは82−RS−83のさらなる変異性の変化がある。
【0027】
好ましくは、変異性の変化は本明細書に述べる前記のいかなる組み合わせと、例えば制限なしに82−XX−83、そして特に好ましい変異は、少なくとも位置71−73および/または位置82−83における変異性の変化を有することである。
【0028】
他の形態では、修飾されたステフィンAポリペプチドまたは修飾されたSTMタンパク質であって、修飾は、単一の変異性の変化または次の
(i)コドン4での変異であり、ステフィンAのグリシンまたはSTMのトリプトファンをステフィンAのためにトリプトファンまたはSTMのためにグリシンでない別のアミノ酸によって、または異種のオリゴヌクレオチドによりコード化されたペプチドによって置換されたもの、または
(ii)コドン46から54までを含んでペプチド挿入をコード化する任意の変化または異種のオリゴヌクレオチドであり、そのコード化アミノ酸がループ1を含み、または拘束するもの、または
(iii)コドン67から84までを含んでペプチド挿入をコード化する任意の変化または異種のオリゴヌクレオチドであり、そのコード化アミノ酸がループ2を含み、または拘束するもの
が包含される群より選ばれる部位に挿入されたペプチドをコード化する異種のオリゴヌクレオチドを含む、ポリペプチドまたはタンパク質。
【0029】
本発明の態様において、修飾されたステフィンAは2つの変異を含み、それは例えば、位置4およびループ1の機能を有するコドン46から54のいかなる変異を含有するか、位置4の変異およびループ2の機能を有するコドン67から84までのいかなるコドンの変化を含有するか、またはループ1の機能を有するコドン46から54までのいかなるコドンの変化およびループ2の機能を有するコドン67から84までのいかなるコドンの変化を含有することができる。
【0030】
同様に、STMは、位置4の変異およびループ1の機能を有するコドン46から54までのいかなる変化を含有するか、位置4の変異およびループ2の機能を有するコドン67から84までのいかなる変化を含有するか、ループ1の機能を有するコドン46から54の変化およびループ2の機能を有するコドン67から84までのいかなる変化を含有するか、またはループ2の機能を有するコドン67から84までのいかなる変化を含有することができる。
【0031】
さらなる本発明の態様において、修飾されたステフィンAポリペプチドまたは修飾されたSTMタンパク質であって、修飾は、単一の変異性の変化または次の
(i)コドン4での変異であり、ステフィンAのグリシンまたはSTMのトリプトファンをステフィンAのためにトリプトファンまたはSTMのためにグリシンでない別のアミノ酸によって、または異種のオリゴヌクレオチドによりコード化されたペプチドによって置換されたもの、または
(ii)コドン46から54までを含んでペプチド挿入をコード化する任意の変化または異種のオリゴヌクレオチドであり、そのコード化アミノ酸がループ1を含み、または拘束するもの、または
(iii)コドン67から84までを含んでペプチド挿入をコード化する任意の変化または異種のオリゴヌクレオチドであり、そのコード化アミノ酸がループ2を含み、または拘束するもの
が包含される群より選ばれる部位に挿入されたペプチドをコード化する異種のオリゴヌクレオチドを含む、ポリペプチドまたはタンパク質。
【0032】
従って、本発明の特定の実施形態において、修飾されたステフィンAおよびSTMは前述した全て三つの変異性の変化を含む。それ故に、修飾されたステフィンAまたはSTMのスカフォールドタンパク質は、三つの特異的な変異を位置4のループ1およびループ2の双方における変化を含む。
【0033】
本発明の他の実施形態は修飾されたステフィンAポリペプチドまたは修飾されたSTMタンパク質に関して、いかなる上記リストの配列の単一または組み合わせであるが、ステフィンAまたはSTMの73残基またはステフィンAまたはSTMの84残基のいずれにおける終結、そしてこれらの位置における新しいアミノ酸配列の挿入の有無のいずれにおける終結に関する。STMのNGP後にアミノ酸配列を挿入する終止コドンに厳しい選択圧を見出したが、驚くべきことに、この様な機能を失ったタンパク質は共に安定、且つ標的タンパク質の生物学的機能を妨ぐことができる。
【0034】
本発明は従って、さらに切り詰めたかまたは短縮された修飾されたステフィンAおよびSTMスカフォールドタンパク質を含み、理想的にはC末端から15または25残基を短縮し、従ってステフィンAまたはSTMのいずれの73または84残基のいずれにおいて終結することを含有する。さらに本発明は切り詰めたかまたは短縮による修飾されたステフィンAおよびSTMスカフォールドタンパク質を含み、15から25の間の整数まで短縮し、従ってステフィンAまたはSTMの73から84までの間の残基において終結する。
【0035】
本発明は望ましくは全ての記載の変異からなり、それぞれが、ステフィンAまたはSTMの変異の一つ以上の位置において、作成したオープンリーディングフレーム内の改変制限酵素認識部位内にオリゴヌクレオチドを挿入することによって、異種ペプチドの導入を許可した。従って、本発明は、
位置4のタンパク質に特異的な異種ペプチドと、他のタンパク質はステフィンA、STM、または本明細書に記載の他の変異のいずれか一つに似ている。
位置46〜54、特に位置48/49/50におけるタンパク質に特異的な異種ペプチドと、他のタンパク質はステフィンA、STM、または本明細書に記載の他の変異のいずれか一つに似ている。
位置67〜84、特に位置71/72/73におけるタンパク質に特異的な異種ペプチドと、他のタンパク質はステフィンA、STM、または本明細書に記載の他の変異のいずれか一つに似ている。
位置67〜84、特に位置82/83におけるタンパク質に特異的な異種ペプチドと、他のタンパク質はステフィンA、STM、または本明細書に記載の他の変異のいずれか一つに似ている。
位置4および/または位置48/49/50および/または位置71/72/73および/または位置82/83における単数または複数のペプチドのいかなる組み合わせ。
ステフィンAまたはSTMいずれかの最後の25個のアミノ酸残基または最後の15個のアミノ酸残基の除去または置換する終止コドンに続いて位置4および/または位置48/49/50および/または位置71/72/73および/または位置82/83における単数または複数のペプチドのいかなる組み合わせに基づく、いくつかの新しいスカフォールドを提供する。
【0036】
本発明のスカフォールドタンパク質の特別な利点および新しい変異は、それらが全てのループ1またはループ2、またはループ1およびループ2の双方、並びにアミノ末端の使用ができる。同時に、これらの変異は少なくとも使用する抗体と同じ大きさの表面積の提示を許す。さらにそれぞれを単一で使用することができるか、またはそれらはペアに基づくか、または他の変異と複数の組み合わせで使用することができる。相互作用の表面性が異なる位置と、異なった位置に挿入されたペプチドの間の異なった相互作用との組み合わせは、スカフォールドの新しい使用を提供することがありえ、例えば実用的な相互作用のため、一つの部位において存在することができないため、現在は他の異なる部位におけるペプチドの組み合わせが既知のペプチドから相互作用しないものに交代し、相互作用する構造を提供する。さらに、これらのいかなる新しい変異はステフィンAの全長、STMの全長、本明細書に開示のタンパク質の全長、またはこれらいずれのタンパク質の変異型より使用することができ、ステフィンAもしくはSTMのいずれから生成することができる最終残基は、SteAのLeu73もしくは本願明細書に記載の新しい変異、STMのPro73もしくはその新しい変異、または挿入された異種性ペプチドの最終残基において、ステフィンAもしくはSTMの最後から15もしくは25アミノ酸残基は機能を失っている。
【0037】
本発明の他の形態は、核酸の分離に関して、本願明細書の上記スカフォールドタンパク質またはポリペプチドのアミノ酸配列をコードしているヌクレオチド配列を含む。
本発明の他の形態は、所望の構造に結合することができる標的ペプチドの同定方法に関して、本明細書の前記修飾されたステフィンAまたはSTMタンパク質のスカフォールドタンパク質を提供することを含み、標的ペプチドを含む;前記スカフォールドタンパク質と前記所望の構造と接触する方法に関して;スカフォールドおよび所望の構造の間の関係を観測する方法に関してであって、スカフォールドタンパク質と所望の構造の関連は、標的ペプチドを前記構造に結合する標的ペプチドの候補として同定する。
【0038】
本発明のさらなる態様において、スカフォールドタンパク質は、
【化3】
を含む群から選択される。
【0039】
本発明のさらなる態様において、本発明のスカフォールドタンパク質を診断、治療、バイオマーカー、バイオマーカーに結合し、およびそれを特異的に検出するための薬剤、合理化された薬物設計の鋳型、創薬のための標的または試薬、抗体の代替物およびリサーチツールを含む群より選ばれる薬剤としての用途を提供する。
【0040】
本発明のさらなる態様において、本発明のスカフォールドタンパク質の融合タンパク質としての使用を提供する。
【0041】
本明細書の前記の好ましい特徴は、必要な変更を加え(mutatis mutandis)、本発明の全てのそしてそれぞれの態様において適用した。
【0042】
本願明細書の以下に記載のおよび上記に示した結果を総合すると、本発明のスカフォールドは複数の箇所における操作の影響を受けやすく、それぞれの変異は単独、または驚くほど良い耐性およびいかなる変異の不安定な効果との組み合わせによって、アミノ末端およびループ2の挿入を拡大した。これらの部位は、従って定期的に使用できず、驚くべきことに複数の挿入物に対しては、SQM−ループ1などに対する部位の結合親和性およびペプチドアプタマーの特異性の改善に使用されるようになる耐性がある。さらに、ループ1は外見上、ペプチドの範囲において、ととても小さな問題が存在することができる。これは比較的小さなループであるため、とても驚くべきことである。
【0043】
本発明の詳細な記載
“欠失”とは、それぞれ一つ以上のアミノ酸残基または核酸の欠乏による、アミノ酸または核酸の配列の変異を参照する。“挿入”または“付加”という用語は、アミノ酸または核酸の配列の変異であって、参照の配列と比較して、分子またはその代表に、それぞれ一つ以上のアミノ酸残基または核酸の付加の結果であり、自然起源の分子において見られるもの等を参照する。“置換”とは一つ以上のアミノ酸または核酸をそれぞれ異なったアミノ酸または核酸と置き換えることを参照する。
【0044】
ステフィンAまたはSTMをスカフォールドとして改善するため、選択的な部位および/または複数の部位に異種ペプチドを挿入することができることが好ましい。これにはステフィンAまたはSTMのいずれかをコード化するオープンリーディングフレームを変えることを必要とするため、オリゴヌクレオチド内に異種ペプチドを挿入することができ、コード化される制限エンドヌークレアーゼ認識部位を導入する。オープンリーディングフレームを変えることは、ほぼ必然的に発現するタンパク質を含むアミノ酸配列を変えることにつながる。タンパク質が最適な機能および安定の組み合わせを形成してることが既知であれば、最もあり得る(最も頻繁的に観測される)タンパク質のアミノ酸配列の変異の結果は、二次構造の欠損であって、従って安定性の欠損である。本発明において、新しいスカフォールドタンパク質は安定性を保持している(実施例および図を参照)。
【0045】
DNA(オープンリーディングフレーム)レベルにおける変異、そしてさらに新しいステフィンA/STMの変異体のアミノ酸配列の変異によるタンパク質の安定性の減少へと導き出すことを明確にするため、本明細書に記載の全ての変異がE. coliにおいて発現していて、円偏光二色性を用いてそれらのステフィンAの構成の二次構造を比較した。全てのタンパク質がE. coliにおいて同等に良く発現していて、通常約28mg変異タンパク質/細菌用培養液mL(図1)であることが見出した。タンパク質を均一に近くなるまでNiアガロースを用いた親和性クロマトグラフィーで精製し、精製品を用いて0.3mgタンパク質/mLまで希釈した。それぞれ得られたサンプルは円偏光二色性による解析を受けた。これはタンパク質をUV波長に近い範囲に渡ってスキャン(scannning)し、光の楕円率がタンパク質の二次構造要素(αヘリックスまたはβストランド)等によって影響するからである。タンパク質の二次構造の比率が上昇するにつれ、楕円率の結果も上昇する。効果はタンパク質濃度によって影響するため、タンパク質を解析直前に0.3mg/mLまで希釈した。効果は解析するタンパク質のペプチド結合数に比例するので、この効果を考慮に入れて、モル楕円率を参照する。データを図3に示す。このデータは二次構造の比率がSTMおよび新しい変異体において保持されていること、STM内の挿入物の存在がその構造に不利に影響しないことを示す。二つの変異体(SUNおよびSQM)は他と比較して外見上、構造増加(increased structure)を示すことを意味する。これは二次構造の取得にこれら全てのタンパク質に存在するアミノ末端尾内において属すことができ、これがSUNおよびSQMに共通する少しの変異であるから、位置4のグリシン(ステフィンA)またはトリプトファン(STM)をアージニンに置換することで活性化するであろう、そしてこれらはこの変異を有する少ない変異である。
【0046】
スカフォールド
従来技術で良く知られているように、‘スカフォールド’の用語はそのものの構造を標的ペプチドによって変形することなく、標的ペプチドを溶媒に発現させるタンパク質を参照する。ペプチドを溶媒に発現するにあたって、これは免疫沈降実験を用いて試験することができる。例えば、ペプチドが溶媒に発現する表示はそれを認識できる抗体に対するその有効性から得ることができる。従って、スカフォールドタンパク質の溶媒に対するペプチドの発現性能を試験するため、ペプチドを含むスカフォールドを発現し、ペプチドを認識する抗体をスカフォールドペプチド融合の免疫沈降に使用されるであろう。このタンパク質が免疫沈降または抗体をキャプチャー(capture)することができるのであれば、これはペプチドがスカフォールドタンパク質に必要とされるため、溶媒に発現していることを示す。他のまたは別のペプチドが溶媒に発現していることはリン酸化反応の研究から得られる表示である。リン酸化受容体部位を標的ペプチド内に組み込み、その後類似のキナーゼとスカフォールドペプチド融合体がリン酸化反応の許容条件下において接触し、その後溶媒に対するペプチドの発現を検証した。ペプチドのリン酸化反応は溶媒に対して、あるべき発現を示した。形成された標的ペプチドによるスカフォールドタンパク質の抵抗に関して、これを円偏光二色または熱安定性の技術を用いて試験することができる。具体的には、スカフォールドタンパク質その物に標的ペプチドを挿入することのない円偏光二色解析は、標的ペプチドを形成するときの同じスカフォールドタンパク質と実質上同様な円偏光二色特徴である。これはスカフォールドタンパク質内の標的ペプチドの発現がスカフォールドタンパク質を産出するスカフォールドタンパク質の構造を危険にさらさないか、変形させないことの証明を提供する。標的ペプチドによる変形であるこの抵抗を試験する他の方法は、スカフォールドタンパク質と挿入物である標的ペプチドの有無の熱安定性を研究することである。
【0047】
スカフォールドタンパク質はペプチド挿入物を受容することができるべきである。ペプチド挿入物は、好ましくは36アミノ酸以下、好ましくは20アミノ酸以下である。好ましくは、標的ペプチド挿入物が12アミノ酸残基以下である。
【0048】
スカフォールドタンパク質は知られた構造でなければならない。‘知られた構造’とは、結晶性構造または溶液構造(NMR構造)が既知でなければならないことを意味する。
【0049】
本発明にかかるスカフォールドタンパク質の好ましい特徴
好ましくは、スカフォールドタンパク質が標的ペプチドを抑制していることである。スカフォールドタンパク質における抑制効果の存在は、標的ペプチドがスカフォールドタンパク質内のときの標的ペプチドの実態結合の親和力とペプチドがスカフォールドタンパク質内でないときの親和力を比較することによって証明することができる。これら二つの親和力の違いは、スカフォールドタンパク質がペプチドを抑制し、特定の三次元構造を仮定していることを示す。好ましくは、スカフォールドタンパク質はペプチドを抑制し、スカフォールドタンパク質の状況において発現しているとき、それが結合親和力の上昇を示していることである。言い換えれば、結合していないペプチドの結合と比較したとき、好ましくはスカフォールドタンパク質が結合のエントロピー消費を減少し、測定した親和性を上昇する。
【0050】
いくつかの実施形態において、抑制は標的ペプチドに対する単一のN末端またはC末端の融合によって提供される。
【0051】
好ましくは、スカフォールドタンパク質が生体内(in vivo)において標的ペプチドの向上した安定性を提供することである。この効果は、標的ペプチドの発現をスカフォールドタンパク質と標的ペプチドその物の発現の関係を比較することによって実証することができる。好ましくは、標的ペプチドがスカフォールドタンパク質の関係において上昇した安定性を示すことである。
【0052】
スカフォールドタンパク質が、好ましくは生物学的に中性であることである。‘生物学的に中性’とは他の既知のタンパク質との相互作用が取り除かれたことを意味する。さらに、タンパク質が保持しているいかなるシグナル伝達能力も好ましくは除去することである。従って、本発明にかかる好ましいスカフォールドタンパク質はSTMスカフォールドタンパク質である。
【0053】
生物学的に中性とは、それがスカフォールドタンパク質の大半の従来技術に存在しないことから、本発明の利点である。例えば、チオレドキシンAは、細胞内の自然な酸化還元経路の優性阻害として働くことである。さらに、それはP53を阻害することが知られていて、BCL6シグナル経路を阻害することが知られている。有利に、本発明のスカフォールドタンパク質は自然発生のシグナル経路と妨げない。
【0054】
スカフォールドタンパク質は小さい場合である。“小さい”とは25kDa以下を意味し、好ましくは13kDa以下である。最も好ましくは、スカフォールドタンパク質が110アミノ酸以下である(標的ペプチド挿入物を除いて)。
【0055】
好ましくは、本発明にかかるスカフォールドタンパク質が構造的に安定していることである。‘構造的に安定’とは、構造変化が起きないことを意味する。好ましくは、スカフォールドタンパク質がヒンジ部位を有さないことである。好ましくは、スカフォールドタンパク質がPHドメインを有さないことである。好ましくは、スカフォールドタンパク質がSH3ドメインを有さないことである。好ましくは、スカフォールドタンパク質がSH2ドメインを有さないことである。好ましくは、スカフォールドタンパク質が’WWドメインを有さないことである。好ましくはスカフォールドタンパク質が’WDドメインを有さないことである。好ましくはスカフォールドタンパク質がHEATドメインを有さないことである。好ましくは、スカフォールドタンパク質がプロリンに富むドメインを有さないことである。好ましくは、スカフォールドたんぱく質が細胞内において翻訳後修飾を有さないことである。好ましくは、スカフォールドタンパク質が構造変化を促進する他の既知のドメインを有さないことである。
【0056】
本発明にかかるスカフォールドタンパク質は、好ましくはタンパク質間相互作用ドメインを有さないことである。タンパク質は、これらが変異し、機能しない状態にある場合、タンパク質間相互作用ドメインを有さないと考えることができる。
【0057】
好ましくは、本発明にかかるスカフォールドタンパク質が翻訳後修飾を有さないことである。従って、好ましくは本発明にかかるスカフォールドタンパク質が糖鎖付加部位を有さないことである。これは従来技術のスカフォールドタンパク質、例えばジストロフィンに対して、翻訳後修飾が相互作用を妨げるか、それら自身の疑似相互作用を作り出すことができるため、有利である。
【0058】
上記のように、スカフォールドタンパク質はペプチド挿入物によって変形されるべきでない。この基準によって、緑色蛍光タンパク質が、少なくとも三分の一の挿入した標的ペプチドが緑色の蛍光を滅ぼすため、スカフォールドタンパク質としては考えられない。これは標的ペプチドインサートがタンパク質の構造を変形することを明らかにした。従って、スカフォールドタンパク質が好ましくは標的ペプチドの挿入によって変形されてるべきでないので、それは本発明にかかるスカフォールドタンパク質ではない。
【0059】
チオレドキシンA(TrxA)は従来技術のタンパク質である。TrxAは小さく、安定性がある。しかしながら、TrxA内における標的ペプチドの挿入はシステインの二残基の間に起こる。発明にかかるスカフォールドタンパク質は、TrxA内のシステイン残基が、スカフォールドタンパク質の構造を変えることができ、示した標的ペプチドの構造に影響することができる、可逆のジスルフィド結合を経ることができるため、有利にこの配列を避ける。従って、好ましくは標的ペプチドの挿入部位は、スカフォールドタンパク質のシステインの二残基の間ではない。
設計の検討
【0060】
スカフォールドタンパク質は、好ましくは以下の一つ以上の特徴を有する:
1)既知の構造によって、ペプチド挿入部位または置換部位のインフォームドチョイスを考慮していることと、
2)広範囲のペプチドの折り畳みを制限するために十分に安定であることと、
3)生物物理学的に中性であって、例えば表現型に寄与する細胞内タンパク質の相互作用を欠失していることと、
4)原核性および真核性の環境の双方において、同様に、好ましくは完全に同じように、折り畳むことができ、1つの方法から得たデータが他の実験の実施を満たすことができる。
【0061】
本発明は、ペプチドアプタマー技術の要件に適したスカフォールドを提供する。発明のスカフォールドタンパク質は、好ましくは全ての上記基準を有している:親(parent)ステフィンAの構造が既知である;操作されたスカフォールドは安定性があり、少なくとも一つのペプチド挿入に、その生物物理学的な安定性を欠失することなく耐性がある;広範囲のペプチドにおける機能上の相互作用を示すことができる;そして全ての既知の生物学的相互作用が操作されているわけではない。
さらなる応用
【0062】
当業者はマイクロアレイでのペプチドアプタマーの使用は、これらのペプチドアプタマーが本発明にかかるスカフォールドタンパク質に存在しているとき、特に好都合であると理解するであろう。従来技術におけるマイクロアレイ技術は抗体に大きく依存している。しかしながら、抗体はアレイに結合しているとき、特異性を欠失することができる。さらにマイクロアレイに使用される組み換えタンパク質は、タンパク質の存在の情報を提供することができるが、何が結合しているかについての情報は提供することができない。一方、本発明にかかるスカフォールドタンパク質において、ペプチドアプタマーを使用したディスプレイは、アレイを詮索したとき、有利に比較的たくさんの情報を提供することができる。例えば、結合パートナーの観測により、アプタマーのディスプレイにスカフォールドタンパク質を使用したとき、背景情報(contextual informaiton)が有利的に導き出される。この利点は繊細さの欠損および情報に基づくライブラリーとの間の違いにおいて特徴付けられる。従って、本発明の他の態様において、これら新しいスカフォールドタンパク質の使用はマイクロアレイ上にペプチドをディスプレイすることに関する。
【0063】
好ましくは、本発明にかかるスカフォールドタンパク質はステフィンAの配列に基づくことである。‘ステフィンAの配列に基づく’とは、スカフォールドタンパク質が、ステフィンAの98アミノ酸残基の少なくとも30を有するべきであり、好ましくはステフィンAのアミノ酸残基に対して25%、好ましくはステフィンAのアミノ酸配列に対して30%、40%、50%、60%または70%、好ましくは80%、好ましくは85%、好ましくは90%、好ましくはステフィンAの配列に対して95%またはそれ以上である。最も好ましいスカフォールドタンパク質はステフィンA、STM、または本明細書に開示の新しい変異体の一つを有し、本明細書前記の一つ以上の変異性の変化を含む。
【0064】
ペプチドアプタマーの特性である生体内のタンパク質間相互作用の分離において、新しい薬物の迅速な識別の主用として許容することができる。さらに、小さな薬物分子対象の使用は、タンパク質間相互作用の分離に本発明で有利に促進される。
【0065】
翻訳後修飾部位、リン酸化部位などを含むペプチド挿入物の使用は、有利に使用することができる。これは、標的ペプチドのリン酸化状態によって変異する相互作用解離に有益である。さらに、それは候補のペプチドアプタマーに結合したリン酸化反応に依存する方法の識別を考慮した。
【0066】
いくつかの実施形態において、それはジスルフィド結合を標的ペプチド挿入物のいずれかの側面に導入しることができ、例えばシステイン残基をそれぞれの標的ペプチド挿入物の側面に操作することが好ましい。これはスカフォールドが排他的に一条件において使用されているとき、実用的であることができる。この関連において、ファミリーIIシスタチンはジスルフィド結合を使用し、一つの好ましい挿入部位に一致する二次構造の要因を形成することを意味する。本発明の背景において、これは例えば、スカフォールドポリペプチドのC末端、または標的ペプチド内、例えば標的ペプチドのC末端エンドに単一のシステインを付加し、二番目の場所、例えばスカフォールドのN末端または標的ペプチドのN末端エンドに二つ目のシステイン残基挿入の付加し、従って二つの間に架橋を可能にすることで、達成することができる。 しかしながら、それはペプチドの共有結合性の制限をこの様に回避することが好ましい。従って、好ましい本発明のスカフォールドにおいて、好ましくは標的ペプチドはシステイン残基に対して側面に位置しないことである。
【0067】
全体的に、異なったスカフォールドがそれを発現するペプチドに対して偏見を押し付けることができ、標的ペプチドの研究は有利に一つ以上のスカフォールドにおけるペプチドおよび/またはライブラリーと関与し、成功率を最大にすると理解されている。
【0068】
本発明のスカフォールドは研究者に、細胞内の環境に対する生体外およびその逆の観測に伸ばし、そして生体外における識別または細胞内における折り畳みパターンまたはジスルフィド結合の酸化状態に関する問題もなく使用することができるツールの創作として考慮させることを可能とした。
【0069】
本発明のスカフォールドを基にしたペプチドアプタマーは、診断の要素、予後の試験、またはヒトの疾患の治療のための主な組成物の形成の基としても使用することができ、薬剤標的を有効にすることができる。本発明のスカフォールドは、有利に全長のヒトタンパク質に基づき、生物学的な治療および/または遺伝子治療において実用的であることができる。
標的ペプチド
【0070】
本明細書に使用される‘標的ペプチド’の用語は所望のペプチドを参照する。標的ペプチドは好ましくは、異種性ペプチドである。異種性とは通常の状況から除去したペプチドを意味し、好ましくはスカフォールドタンパク質の産出、保持、またはディスプレイの配列において通常発見されない配列を有するペプチドである。ペプチドがスカフォールドタンパク質の配列の他の場所に発生する配列を有する場合、その結果‘異種性’であるためには、配列が背景から外れていることである。すなわちその自然発生のスカフォールドタンパク質ポリペプチド内の位置(アドレス)を占領していないことである。この背景において“位置”とは直鎖アミノ酸内の位置であって、他のアミノ酸残基に対して三次元空間の位置を意味する。標的ペプチドは人工的で、例えばスカフォールドタンパク質内に組み込んだペプチドのライブラリー構築を生み出すことであることができる。これらの実施形態において、人工的なペプチドは本発明の目的のために‘異種性’であることが考えられる。
【0071】
ペプチドアプタマーは細胞内において拘束されたペプチドで、タンパク質機能の研究に用いられるスカフォールドタンパク質を示す。いくつかにおいては、タンパク質間相互作用を分離することができ、いくつかにおいては細胞内のタンパク質解析のための分子ツールキットの創作を可能とする認識モジュールを構成することができる。
【0072】
特異的に結合することができ、特定のタンパク質が高い親和性を備える小分子をデザインまたは識別できることは、タンパク質マイクロアレイの発展、生細胞の背景におけるタンパク質の解析、および薬剤標的候補の有効性を含む多数の実験において律速段階である。自然界において、タンパク質間相互作用は折り畳まれたタンパク質の狭い表面によって仲介することができる。これはスカフォールドと呼ばれるタンパク質認識モジュールとして安定性のあるタンパク質の背景において示される小ペプチド表面の使用へと導いた。このような試薬は、本明細書においてペプチドアプタマーと呼び、システムの範囲で、生体タンパク質活性の分離に使用される。
【0073】
ペプチドアプタマーは、細胞内において、結合していないペプチドと比較して、より簡単に輸送され、より安定性があり、そしてその制限された折り畳みは結合の低エントロピー消費、それ故に標的タンパク質に対して高い親和性という結果になる。ペプチドアプタマーのタンパク質操作はそれらが分子ツールキットのデザインにおける認識機能を提供することを可能とするが、しかしこの潜在力は完全には気付かれていない。ペプチドアプタマーのその標的との親和性は10”8から5×10”9MまでとIQ107から10”11Mまでの範囲における抗体/標的との相互作用とを比較した。複数の挿入物を使用することによって、相互作用の表面積を増加し、ペプチドアプタマーを一致することができると予期するか、可能性として抗体の結合親和性が有利に超えるかである。それにも関わらず、ペプチドアプタマーは明らかに生体内のタンパク質間相互作用を分離する。ペプチドアプタマースクリーンをペプチドまたは抗体ライブラリーのファージディスプレイ法スクリーン(phage display screen)から区別し、実質的にミスフォールドの(misfolded)原核生物において発現しているタンパク質に対して行う、酵母もしくは哺乳類細胞におけるペプチドアプタマースクリーンを実施した。
【0074】
比較的広範囲な多数の他のタンパク質が使用されているが、使用するスカフォールドは大腸菌(Escherichia coli)タンパク質チオレドキシン(TrxA)である。この技術の成功はスカフォールドのロバストネスに定まるが、ペプチドの三分の一が不安定なGFPであることができる一方、多数のTrxAを基にしたペプチドアプタマーは培養されたヒト細胞において不安定な発現をしていて、これはスカフォールドがより十分に厳密でない発現をしていて、それ自体が部分的にアンフォールドしていないペプチドを示唆する。あるスカフォールドの背景から取り出してきた、他の頻繁にそれらの標的タンパク質と相互作用能力を欠失する部位のペプチドが、適したスカフォールドが使用されないと失敗する既知の標的との相互作用に制限されたスクリーンである可能性として挙げる。最後に、本ペプチドとして使用されるスカフォールドの生物学的活性は従来技術において厳密に特徴付けられていないため、ペプチドアプタマーが発現しているとき、いかなる表現型が観測されるかの問題において、少なくとも一部はスカフォールドの効果のためであって、挿入されたペプチドではない。従って、制限されたペプチドのプレゼンテーションにおいて、ロバスト、多用途、生物学的に中性なスカフォールドを産出した。実験系の範囲において安定した発現である一方、機能的に広範囲の標的と相互作用することができるペプチドを示すタンパク質を得た。このようなスカフォールドは、実質的にペプチドアプタマー技術をそのロバストネスを上昇することによって改善する。さらに、複数のスカフォールドのライブラリーを使用して、それぞれの標的に対して、同時にスクリーンし、有効なスカフォールドのレパートリーを広げることによって、本発明は有利に多数の標的タンパク質に対するスクリーンにおいて、正しいものが得られる可能性を高めた。
ステフィンA
【0075】
ステフィンAは、リソソームペプチダーゼのパパインファミリーであるシステインカテプシンのタンパク質阻害剤のシスタチンファミリーの発起メンバーである。シスタチンファミリーのステフィン下位群は比較的小さな(約100アミノ酸)単一ドメインタンパク質である。これらは既知の翻訳後修飾を受けず、ジスルフィド結合を欠失していることから、これらが細胞外および細胞内環境の幅広い範囲において、完全に同じ様に折り畳むことができることを示唆する。SteAそのものは単量体、短鎖、単一ドメインの98アミノ酸のタンパク質である。SteAの構造を解明し、SteAからSTMスカフォールドへの合理的な変異を促進した。唯一既知のシスタチンの生物学的活性は、カテプシン活性の阻害であって、操作したタンパク質の残部生物学的活性を徹底的に試験することを可能とする。従って、本来のSteAの操作したタンパク質の開示は、ペプチドアプタマースカフォールドとして実用的な変異を産出することができる。従来技術のペプチドアプタマーは、生物活性を識別する難しさから細胞を基にした、少なくとも部分的には最適以下の様々なスカフォールドの存在による性能が原因の分析において妨害された。本発明は、生体外および生体内におけるタンパク質間相互作用の研究を求める者に有用であり、役立つであろう実用的なスカフォールドを提供する。
ステフィンA配列
【0076】
ステフィンAを“基にした”スカフォールドは、ステフィンA由来の配列を有する。好ましくは、ステフィンA由来の配列はステフィンA野生型配列を含み、好ましくは本願明細書に記載の一つ以上の修飾(変異)を含む。当業者には明白な、比較的重要でない修飾が、本発明から外れることなくスカフォールド配列に作られた。特に、本発明はアミノ酸配列および/または核酸配列において、本明細書の対応配列と少なくとも25%、35%、45%、55%または60%同一性を有し、好ましくは少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、好ましくは少なくとも85%、好ましくは少なくとも90%、好ましくは少なくとも92%、好ましくは少なくとも94%、好ましくは少なくとも95%、好ましくは少なくとも96%、好ましくは少なくとも97%、好ましくは少なくとも98%、好ましくは少なくとも99%同一、またはそれ以上に関する、しかしながらそれぞれの場合、配列変異は‘重要でない’と考えられ、それらがスカフォールドの特性に悪影響を与えず、標的ペプチドを溶媒に示し、生物学的機能を、野生型ステフィンAを有する等、復元または作り出さないが、本発明の変異性の変化を取り除いた。
【0077】
さらに、比較的重要でない修飾は、また本明細書に開示のステフィンAまたはステフィンA由来の配列への小さな付加または欠失を含み、例えばステフィンA由来のポリペプチドに10アミノ酸以下の付加または欠失である。従って、本発明は本明細書に開示のステフィンAまたはSTMの配列に対して、40アミノ酸以下、好ましくは30アミノ酸以下、好ましくは20アミノ酸以下、好ましくは15アミノ酸以下、さらに好ましくは10アミノ酸以下、好ましくは9アミノ酸以下、好ましくは8アミノ酸以下、好ましくは7アミノ酸以下、好ましくは6アミノ酸以下、好ましくは5アミノ酸以下、好ましくは4アミノ酸以下、好ましくは3アミノ酸以下、好ましくは2アミノ酸以下、好ましくは1アミノ酸以下の総付加または総欠失を有するアミノ酸配列に関する。総付加または総欠失は重要な要素であるから、9以下の違いは9つのアミノ酸の欠失を意味し、3つの欠失はそれぞれ3つのアミノ酸、3つのアミノ酸の2つの付加、3つのアミノ酸の1つの欠失などである。本発明はまた対応する核酸変異に関する。それぞれの場合、それがスカフォールドの標的ペプチドから溶媒に示す特徴に悪影響を与えず、生物学的機能、例えば野生ステフィンAの有し、復元または作り出さないと仮定すると、配列変異は“重要でない”修飾と考えられる。
ステフィンAおよびSTMの変異
【0078】
変異部位の討論の背景において、“近隣”とは7アミノ酸以内、好ましくは5アミノ酸内、好ましくは3アミノ酸内、好ましくは2アミノ酸内、好ましくは所定のアミノ酸、または2つの隣接したアミノ酸の1つである。
【0079】
挿入物の背景において、核酸レベルの制限酵素部位、好ましくは特有の制限酵素部位を今後の挿入物の促進に導入することが好ましい。核酸の組み換え技術におけるこれらの内容および一般的な知識は、当業者に関連する制限酵素部位を導入する一方、スカフォールドの重要な特徴を維持している。“特有”とはスカフォールドタンパク質のコード化される配列が特有であることを意味する。非特有部位は使用されるかもしれないが、特有部位は挿入物の容易さ、構造の操作によって好ましい。2つ以上の部位が使用される場合、例えばステフィンA1のループ1のいかなるコドン67−84の除去および置換、好ましくはそれぞれ2つ以上の部位が特有である。しかしながら、二つ以上の部位が同一である場合、それは有利に除去および置換の工程を単純にすることができ、例えば一回の制限酵素処理のみ伴う。これらの選択肢は本発明の当業者の能力内の範囲において十分である。好ましい実施形態において、二つの同一部位はループの除去および置換を導入した。好ましく変異性の変化をコード化する配列に使用される制限酵素部位は異なり、コード化される配列内のこれらそれぞれ4箇所の挿入または修飾が容易な操作のため、異なった制限酵素を使用して作られた。
位置4の変異
【0080】
‘位置4の変異’という用語は本明細書において、好ましくはステフィンAのG4部位、STMのW4部位またはその付近で、好ましくはこの部位として使用され、変異はSteAまたはSTMのアミノ末端のアミノ酸残基の付加、挿入または置換を参照する。好ましくは、この様な変異はPro3付近、好ましくはG4(ステフィンA)またはW4(STM)付近である。好ましくは、このような変異がヒトステフィンAもしくはSTMのPro3の付近もしくは好ましくはこの部位である。最も好ましいのは残基4とRの置換である。
【0081】
好ましい実施形態において、位置4とは本明細書の上記のループ1および/または2の他の変異性の変化に加えて、第一、第二または第三の挿入部位として使用する。Rは正電荷のアミノ酸であって、従ってαヘリックスループの認識部位を覆うことを防ぐため、RよりはむしろGの存在が認識(標的結合)表面への近接性を増加する。さらに変異は単一のときアプタマーを不安定にしたが、アプタマーが一度標的に結合すると安定する。
コドン46−54のいずれにおける変異
【0082】
‘コドン46−54のいずれにおける変異’という用語は本明細書において周囲の変異、SteAのVAG部位またはSTMのDAG部位の周り、好ましくはこの付近または好ましくはこの部位である。VAG部位はQVVAG部位の48−50残基、ヒトSteAの46−50残基である。DAG部位はQVDAG部位の48−50残基、STMの46−50残基である。
【0083】
好ましくはこの付加、挿入または置換、好ましくはVAG/DAG部位付近または好ましくはこの部位を参照する。好ましくはこのVAG/DAG部位の付加または挿入を参照する。
【0084】
好ましい実施形態において、46−54番目の部位は本明細書の上記の変異性の変化と組み合わせた第一、第二または第三の挿入部位として使用した。
【0085】
ある好ましい実施形態において、VAG/DAG部位の変異はLASである。
【0086】
実験はD48LおよびG50Sの修飾が細菌系の発現増加を導くことを示した。
コドン67−54のいずれにおける変化
【0087】
‘コドン67−54のいずれにおける変化’という用語は本明細書において周囲の変化、SteAのVAG部位またはSTMのDAG部位の周り、好ましくはこの付近または好ましくはこの部位である。
【0088】
用語はこの部位の付加、挿入または置換を参照することができる。
【0089】
一実施形態において、変異はL73とL80、P73とL80の間の全ループといずれのペプチド配列、好ましくは異なる標的ペプチド配列の範囲(好ましくは1ペプチド配列毎ステフィンスカフォールド分子)、すなわちライブラリーを含むことができる。
【0090】
核酸レベルにおいて、好ましい変異はこれらのループ内の挿入で、制限酵素部位をもたらし、より好ましくはこのループをコード化される配列の置換の二箇所の制限酵素部位である。特に好ましいのは、制限酵素部位がRsrII制限酵素部位である。
【0091】
好ましい実施形態において、ループ2部位は第一、第二または第三の挿入部位と本明細書の上記の変異性の変化との組み合わせとして使用される。
【0092】
本発明にかかる二つの新しいスカフォールドにおいて、変異性の変化はNGP(SQMはL82RとT83Sを有し、そしてSQTはE78AとL80Rを有する)で操作し、親タンパク質とかなり異なるため、最も予期していなかったが、それぞれE.coliにおいて高発現を示す。SQMおよびSQTは双方とも円偏光二色性に示すように、親タンパク質とかなり異なるため、最も予期していなかったが、安定した構造を有する。
【0093】
これらのアプタマー内に挿入したペプチドは抗体結合実験で示すように溶媒から得られ、有利にこれらのタンパク質は固体表面に付着したとき、これらの結合および機能を保つ。さらにこれらは三つの挿入物の位置による表面積の増加を有し、それ故に高い結合親和性を生み出し、実験はSQMがペプチド挿入物の特有のセットと共に正しく折り畳み、結合部位を遮蔽することができるダイマーを形成しないことを示し、これはSTMと対象であり、従って従来技術と比較して重要な利点を提供する。さらに本発明のペプチドアプタマーライブラリーのスカフォールドは、例えばSQMを用いて作成することができ、従ってアプタマーはヒト組織内の標的と複数の結合表面によって相互作用する潜在力を有することを確認できる。
挿入物
【0094】
好ましくは、挿入物がヒトステフィンAのL73−L80ループまたはSTMのP73−L80ループ付近または好ましくはその部位、より好ましくはアニーリング配列にコード化されている二残基LeuAlaと共にで、従ってスカフォールドタンパク質は基のステフィンAより二残基長い。
変異の組み合わせ
【0095】
好ましくは、本発明にかかるスカフォールドタンパク質はステフィンAまたはSTMを基にしていて、少なくとも一つの上記変異を含む。好ましくは、スカフォールドタンパク質は、少なくとも二つまたは三つ全ての上記変異を含む。好ましくは、本発明にかかるスカフォールドタンパク質は三つ全ての上記変異と残部のタンパク質ステフィンA、STMまたは他の変異の一つのいずれかと共通点を有する。さらにもしくは代わりに、末端の変異は位置72/73または82/83で、ステフィンAまたはSTMのいずれかの最後の25または最後の15アミノ酸の除去または置換は終止コドンが続く。標的ペプチドを有利に三つのいずれかの好ましい変異部位に挿入することができる。より高い実施形態において、ステフィンA/STMを基にしたスカフォールドタンパク質は総合で三面の表面を使用することを考慮に入れた。これらの表面は位置4のループ1およびループ2(図2)と定義する。
固体相およびマイクロアレイ
【0096】
上記のように、本発明はマイクロアレイの応用を見出した。固体相の実施形態において、マイクロアレイ実施形態などは、本発明のスカフォールドタンパク質が、好ましくは解析のため会合または固体相の基質に付着させ、促進するために操作した。好ましくは、これは金のコーティングに留めるか、ビオチンとの関連である。スカフォールドの操作のために、金のコーティングに留めるか、好ましくは一つ以上のCys残基をスカフォールドタンパク質のCまたはN末端に導入した。スカフォールド固定の操作のため、ビオチンで留めて、好ましくは8アミノ酸のビオチン結合ドメイン(“strepタグ”)の 一つ以上のコピーを前記スカフォールド内に導入した。固定はこれらの一つ以上またはいずれか他の適したものであることができる。好ましくは、本発明のスカフォールドタンパク質が固定化されたものである。好ましくは本発明のスカフォールドタンパク質を固定して操作することである。好ましくは、本発明にかかる相互作用試験を固定されたスカフォールドタンパク質を使用して実施することである。
本発明のさらなる利点
【0097】
ステフィンAを基にしたスカフォールドタンパク質は、これらを生体内において使用するものであるから、ペプチドの使用に優れていることである。さらに組み換え系の使用において、これらは合成ペプチドの研究より安いものである。さらに、ライブラリー構築は、同じ理由から合成ライブラリーの使用より安いものであり、さらにこれらは核酸の操作に用いて合理的なデザインをすることができるからである。これは複雑なペプチド合成の化学に頼ることを減少する。
【0098】
ステフィンAを基にしたスカフォールドタンパク質は、これらが細胞内部である一方、ファージディスプレイ法は細胞外相互作用に頼っているので、従来技術、例えばファージディスプレイ法スクリーンより優れている。さらに本発明のスカフォールドタンパク質は、組み換え標的よりはむしろ自然の標的に使用することができる。これは生体内における正確なリン酸化、グリコシレート、または他の翻訳語修飾されるが、おそらく生体外における産出は正確に形成されないであろう翻訳後修飾タンパク質の観測を許容し、さらなる利点を有する。
【0099】
本発明にかかるスカフォールドタンパク質のさらなる利点は、これらが自然に起こるスプライス変異および生体内における解析のためにそれぞれ一つずつの産出、それらの配列、または他の区画化を有さずに産出される翻訳後修飾変異のスペクトルの疑問を許容する。
【0100】
本発明のさらなる応用は、スカフォールドタンパク質を基としたステフィンAとの相互作用の出力としてのマイクロカンチレバーの使用である。さらに本発明のスカフォールドタンパク質は、特に電気化学および/または薄いフィルムのトランジスタ出力の使用に適している。
【0101】
本発明のスカフォールドのさらなる利点は、本発明のペプチドアプタマーが抗体の代用品であることができ、結果はそれらがより良く実施できることを示し、例えばCDK2はペプチドアプタマーの使用において抗体より迅速に検出された。従って、抗体の使用よりはむしろペプチドアプタマーの使用は、より少数の動物が分子プローブの生産に必要とされ、科学の研究で重大な利点を提供する。
【0102】
本発明を、現在参照の以下の図に示した例として記載する。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】E. coliにおけるSTMの発現および溶解性を示す;図1AはSUN、SUMおよびSTM変異体を示し、図1BはSUCおよびSDM変異体を示し、そして図1CはSQM変異体を示す。
【図2】NMR溶液構造におけるSTM変異において、ループ1のコドン4、コドン48−50、ループ2のコドン67−84、そしてコドン91−92をCn3DソフトウェアおよびPDB座標IDVD(Martin et al. 1995 ‘The three−dimensional solution structure of human stefin A.’J Mol Biol,vol246 pp331−43)を用いて作成した。変異部位は修飾されたステフィンAタンパク質の産出を示す。
【図3】SDM、SUC、AUM、SUN、SQM、STM W4RおよびSTM参照プロットの円偏光二色性(CD)分光法解析において、左回り円偏光に対する右回り円偏光の吸収の違いを測定し、構造非対称から生じた、STMおよび新しい変異に保持された二次構造の比率を説明する。
【図4】長期保管に続くSTM、SDM、SQM、SUM、SUN、SUC、pep6M、pep9Mおよびpep10Mの円偏光二色性(CD)分光法解析を示す。
【図5】独立したSTM、SDM、SQM、SUM、SUN、SUC、pep6M、pep9Mおよびpep10Mの調製の円偏光二色性(CD)分光法解析を示す。
【図6】SQTおよびエピトープ標識したその変異体:SQT−AUI(1)、SQT−AUI(2)、SQT−HA(2)、SQT−myc(1)、SQT−myc(2)、SQT−AUI(1)、AUI(2)、SQT AUI(1)、HA(2)およびSQT AUI(1)、myc(2)の円偏光二色性(CD)分光法解析を示す。
【図7】エピトープ標識したSQM変異体:SQM−myc(1)、SQM−AUI(2)、SQM−myc(n)AUI(1)、SQM−AUI(1)、HA(2)、SQM−myc(n)、AUI(1)、HA(2)、SQM−HA(n末端)、SQM−myc(2)、SQM(21ランダムループ1)、SQM−AUI(1)、SQM(AUIx2、ループ1)、SQM−HA(n)、AUI(1)、SQM−HA(n)、myc(2)、SQM−AUI(1)、myc(2)、SQM−HAx2(n)、AUI(1)、myc(2)、SQM−HA(n)、AUI(1)、myc(2)およびpep22(Trx)を指定するペプチドアプタマーの円偏光二色性(CD)分光法解析を示す。
【図8A】図8AはAUIペプチドの抗AUI抗体による免疫沈降を示す。
【図8B】図8BはSQM−myc(ループ1)の免疫沈降を示す。
【図8C】図8CはSQT−HA(ループ2)の免疫沈降を示す。
【図9】マイクロアレイ実験において、異なった部位でのペプチドアプタマーと異なるエピトープの結果を示す。
【図10A】抗体/エピトープ相互作用をSQMスカフォールドの背景における表面プラズモン共鳴(SPR)測定を示す。図10AはpH7.3における33nmのAnti−Myc(赤)、Anti−HA(青)、およびAnti−Au1(緑)の溶液および化学吸着SQM(Nt Ha、L1 Au1、L2 Myc)単分子層(黒)に固定した10mMリン酸緩衝液の比較を示す。
【図10B】図10Bは異なった濃度のAnti−Mycが飽和速度関数M=(C×Bmax)/(C+K)に一致し、平衡定数50×10−9Mを生じるSPR反応を示す。
【図11】ループ1(上)、ループ2(中)またはアミノ酸末端(下)に挿入した864ランダムペプチドアプタマーを含むマイクロアレイの結果である。
【図12】SQM(SQM−pep6)およびSQT(SQT−pep10m)におけるぺプチドアプタマーの使用で、ヒト(HeLa)細胞の二通りのライセートにおける内因性cdk2発現を検出した。
【実施例】
【0104】
実施例1
図2を参照とし、ステフィンAの三次元構造および本発明の新しいスカフォールドタンパク質の産出のため、ステフィンA内の三箇所に変異を作ったことを示す。これらの部位は:ステフィンAについてはG4またはSTMについてはW4の部位;ループ1を拘束するコドン46から54までを含むいずれのコドン;特にコドン48−50;いずれのコドン;ループ2に拘束するコドン67から84を含有するいずれのコドン、特に70−73の変異。修飾されたステフィンAまたはSTMポリペプチドのスカフォールドタンパク質としての使用は記載のようにステフィンAの配列を変異によって作成した。ステフィンAを基にして得られたタンパク質であるが、特異的な変異性の変化は上の本明細書に開示の既知の配列を有する。
実施例2
【0105】
図1はE. coliでのSTM発現および変異体の例を示す。本明細書に開示のSTMおよび変異体のオープンリーディングフレームは、アミノ末端尾に付加の機能を含む、システイン残基(全ての示した変異体に存在する)またはStrepIIタグ(STMのみ)等の工作をしたE. coli発現ベクターpET30a+型でクローンした。StrepIIタグに挿入した8アミノ酸の付加は、STMタンパク質と他の変異体の遊走を比較するとわずかな違いを占めた。これらの発現ベクター(expression construct)を有するE. coli細胞は、STMおよび変異体タンパク質(*で強調する)の発現を誘導するイソプロピル−β−d−チオガラクトピラノシド(IPTG)の欠乏(−)または存在(+)で培養した。37℃で誘導から3時間後、細胞を超音波処理で溶解し、10分間16,000×gの遠心後、総細胞ライセート(T)または溶解物(S)の部位に回収して、15%のポリアクリルアミドゲルに負荷した。タンパク質をクーマシィー染色によって視覚化した。この方法で限界に達するまで、それぞれ100%の示したタンパク質(SUN、SUM、STM、SUC、SDMおよびSQM)が可溶性成分に回収することができ、これは変異体タンパク質の残物がE. coli内において折り畳むことができることを示す。
実施例3
【0106】
新しいペプチドのデザインの合理的な方法において、ステフィンAおよび/またはSTMを基にした新しいスカフォールドタンパク質の産出を実施した。本発明の新しいスカフォールドタンパク質が、生体外および生体内における研究の広範囲において実用的な質を有する理想的なスカフォールドを有することを必要とし、これらの要素が新しいスカフォールドのデザインに応用されるであろう。
【0107】
ステフィンAまたはSTMの小さな、安定性のある細胞内プロテアーゼ阻害剤から始め、親タンパク質が安定した構造を保持する、生物学的に中性な多数のスカフォールドを操作した。異種性型新しいスカフォールドタンパク質は、既知の相互作用物の背景およびライブラリースクリーンの双方において、所望の標的に結合するペプチドを示すことを期待する。スカフォールドを基にした分子ツールとして生物学的な経路の研究の幅広い範囲および薬剤標的の検証を見出した。SteAは既知の翻訳後修飾を受けない、ジスルフィド結合を欠失した、98アミノ酸の単量体、単一ドメインタンパク質である。SteAは遷移と共に、SteAを基にしたスカフォールドの全ての重要な特徴である、98℃の観測および490kJ/molの折り畳みエンタルピーにおいて、驚くべき熱安定性を示した。
実施例4
【0108】
STM変異体発現プラスミド(全てはpET30a+を用いる)をE. coli内において変形した。単一のコロニーを接種し、一晩37℃で振とう(軌道振とう機で250rpm)による増殖で培養した。翌朝、それぞれ0.5mLの一晩培養した液体を、pET30プラスミドに対する選択を維持するためにカナマイシンを追加した500mLの新しい培地に接種した。培養が対数期の中央(OD600〜0.6−0.8)に達したとき、様々なタンパク質の発現を誘導した。培養液にさらに3時間、37℃のまま、振とうしながら培養した。E. coli細胞を遠心によって採取し、French Pressを用いて溶解した。ライセートを遠心によって澄まし、STM変異体タンパク質はNiキレート親和性クロマトグラフィーを用いて得られた上清から精製した。これに0.5mLのNi−NTAアガロース(QIAgen)を20mLのライセートに使用した。樹脂を50mLのファルコンチューブにて700gで2分間遠心し、上清を取り除いた。樹脂を2.5mLの1×Equilibration/Washバッファーで、樹脂をバッファーに再度けん濁し、その後700gで2分間、4℃で遠心し、上清を取り除く洗浄を3回行った。ライセートを洗浄した金属の親和性樹脂と組み合わせ、ローラー上において2時間、4℃で培養した。ライセートのアリコートを次の解析に保持した。樹脂をライセートから700g、5分、4℃で遠心し、分離し、上清を取り除いた。さらにライセートのアリコートをその後の結合親和性解析に保持した。樹脂を10mLのWashバッファーで(50mM NaH2PO4、300mM NaCl、20mMイミダゾール、pH7.4)、ビーズをバッファーに再度けん濁し、その後700gで2分間、4℃で遠心し、上清を取り除く洗浄を6回行った。樹脂を1mLのElutionバッファー(50mM NaH2PO4、300mM NaCl、150mMイミダゾール、pH7.4)と共に10分間室温で培養した。けん濁液を700g、5分間遠心し、上清を保持した。このステップをさらに二回繰り返し、さらに二つの溶出画分を得た。画分と最も高濃度のタンパク質を保持し、4℃に保管した。円偏光二色性のため、サンプルを50mMリン酸バッファーpH7.4にバッファー交換した。サンプルを解析する日に約0.3mg/mLまで希釈し、正確なタンパク質はNanoDrop分光光度計を使用して測定した。図1に示す部位において、1mM DTTを解析直前に直ちに加えた。CDスペクトラムをJasco J715分光偏光計を使用して200から260nmにおいて収集した。スペクトラムをモルタンパク質濃度および残留モル楕円率に標準化し、プロットすることで、サンプル間の不自然な結果を最小にした。
実施例5
【0109】
ステフィンAおよびSTMを基にした本発明のスカフォールドタンパク質を構造的に安定しているか、DNA(オープンリーディングフレーム)レベルで作った変異が新しいステフィンA/STMの変異体のアミノ酸配列を変異に導き、タンパク質の安定性を減少するかを明確にし、全ての本明細書に記載の変異体を発現させ、円偏光二色性の対象として、それらの二次構造組成物をステフィンAと比較した。図1に参照し、全てのタンパク質がE. coli内において同等、通常約28mg変異体のタンパク質/mLの細菌培養液に発現していることを見出すことができる。その後、タンパク質はNiアガロースを使用して、ほぼ均一に親和性クロマトグラフィーによって精製し、精製した調製物を円偏光二色性解析の直前に0.3mg/mLまで希釈した。前述のように、円偏光二色性解析はタンパク質をほぼUV波長の範囲に渡ってスキャンすることからなり、例えばライトの楕円率はタンパク質の二次構造要素(αヘリックスまたはβストランド)に影響する。
【0110】
図3を参照に、二次構造の割合はSTMおよび本発明において好都合にSDM、SQM、SUM、SUNおよびSUC(上記の本明細書で定めた配列番号:9−13)として参照される新しい変異体の間において保持され、STM内の挿入物の存在はその構造に悪影響を与えない。特に注目すべきは、二つの変異体(SUNおよびSQM)の外見が、他のスカフォールドタンパク質試験と比較して構造上昇していることである。これはこれら全てのタンパク質に存在するアミノ末端尾の二次構造の取得のためであることができ、位置4のグリシン(ステフィンA)またはトリプトファン(STM)をアルギニンに置換することによって誘導され、これがSUNおよびSQMに共通する唯一の変異で、これらはこの変異を有する唯一の変異体である。最小の変異をSUN、SUM、SUCおよびSDMにおいて考慮するとき、結果は主な変曲点の場所である218nmはそれぞれの変異によって大きくは影響されないことを示し(図3)、これはアミノ酸変異が一般的にタンパク質を不安定にして、ステフィンA由来の二次構造の割合はアミノ酸変異によって変異しないことを予期することを示す。その一方、変曲の深さを変異体の間において著しく変えた(図3)。
実施例6
【0111】
保存効果を検索した。図4は4℃で2週間、pH7.4のリン酸化バッファーで保存した後、濃縮したストックの全スカフォールドタンパク質変異体の試験をして、二次構造の比率を同じサンプルの作りたての希釈液を解析したとき(図5と比較)保持していることを示す。これは大半のタンパク質が完全に変性したか、保存ビンに吸着したため欠失しているため、この時点ではキャリアタンパク質の大量を添加しない限りとても驚くべきことである。このステップにおいて、ペプチドアプタマーの高い精製の調整、即ち診断および分析解析において関連性のないタンパク質、例えばキャリアタンパク質の存在の結果からなる非特異的なシグナルを最小にする使用が目標であるため、即ちキャリアタンパク質の添加は好ましくない。結論として、新しいスカフォールドタンパク質ステフィンAタンパク質の変異体は、明白な利点となる結果はないが、単純なリン酸化バッファーに保存することができる。この観測は新しいスカフォールドタンパク質ステフィンAの変異体の工業的な応用を補助する方法である。
実施例7
【0112】
円偏光二色性はまたSTM、SDM、SQM、SUM、SUN、SUCおよび3つのペプチドアプタマーのpep6M、pep9M、pep10M(図6)の変異体に実施した。DTTを添加し、アミノ末端尾に存在するシステイン残基の発現変異体タンパク質が、実験に影響を与えることができる分子間のジスルフィド結合の形成を妨ぐことができる。DTTの有無は観測された二次構造に影響ないが、DTTそのものがほぼUV範囲のシグナルの一因のため、その欠失のとき得られたスペクトラムの解析は比較的簡単であった。これらの結果はDTTが本発明のスカフォールドタンパク質の二次構造に影響しないことを示した。
実施例8
【0113】
ループ1および2の双方に加える変異において、位置4の部位に変異性の変化を含有するSQM変異体(配列番号:10)を、すなわち単一のスカフォールドに複数の挿入部位、そのスカフォールドタンパク質ディスプレイ法の特徴として評価した。ペプチド(HA、AU1またはMYC)をそれぞれ4、48、および72/82番目の部位に挿入し、円偏光二色性データを作り出した(図7)。円偏光二色性解析データは新しい挿入部位がペプチドの相互作用を示す特徴のみではないが、それらは重要な構造欠失がないことを示す。
実施例9
【0114】
二つの方法によってスカフォールド構造のアミノ酸変異の結果を得るために使用した。第一の方法は、おおざっぱにE. coli内のタンパク質操作の相対発現レベルを大半のアミノ酸変異がタンパク質を不安定にするという論理を定めた。以下の表1は細菌培養からの様々なスカフォールド変異体の発現収率が生じ、収率はmgの精製タンパク質毎培養液のリットルとして起こる。
【0115】
【表1】
【0116】
二番目に使用された方法は、直接それぞれのタンパク質を円偏光二色性(CD)によって二次構造の要素を評価する。E. coliのタンパク質収率を比較したとき、それは、それぞれステフィンA内のSUN、SUM、およびSUCに少しの効果、もしくはSTM(表1)と比較して上昇した収率を導き出すことを見出した(表1)。これはまた二つの変異の組み合わせ(SDM)またはSQM一つのタンパク質内に三つ全ての変異があるとき当てはまる。実に、SQMの4調製のタンパク質の平均収率が、58+/−29mg精製したスカフォールド/細菌培養のリットルである一方、三調製のSTMの培養の収率が58+/−41mg精製したスカフォールド/細菌培養のリットルであった。
【0117】
異なったSTM変異体のCDスペクトラムを200nmから260nmの間で得た。CDスペクトラムのプロットの形の変異は折り畳まれたαヘリックスおよびβシートの容量の変異を示していると考えられる。全てのSTM変異体における同様の約218nmの変曲点のCDスペクトラムは、導入した修飾(図3)によるかく乱作用のない同様の構造を示した。しかしながら、観測されたCDスペクトラムの振幅差は、またSTM(図3)と比較してSDM、SUCおよびSUMにおいても見られ、ゆるやかな曲線を示し、SQMおよびSUNにおいてはなだらかな曲線を示した。説明の可能性として、折り畳みの安定性の強化が考えられ、即ち正しく折り畳まれたタンパク質の平均の一定時間の容量が、STMと比較して、SQMおよびSUNの溶液において高上していて、高い楕円率の出力の結果に至った。CDスペクトラムに基づいて、得られたタンパク質の収率との組み合わせ(表1)によって、それはSQM変異体がスカフォールドタンパク質であることがあり得ることが断定された。
実施例10
【0118】
調査をSQMがペプチドの相互作用を示すことができるか否かであって、試験は、SQM内に作成された新しい部位が存在するとき、単純なエピトープタグがそれらの類似抗体に認識されることができるかによって実施された。長さおよび物理化学的な特徴双方において異なる、三つのエピトープが選択された(AU1、HAおよびMYCタグ)。これらのペプチドをスカフォールド内の可能な位置(N末端、ループ1またはループ2)に単一または様々な組み合わせによって挿入した。始めに、HAタグをアミノ末端部位、AU1タグ(最短ペプチド)をループ1の中、Mycタグをループ2の中に挿入した。驚くべきことに、アミノ末端内のHAタグの挿入物の許容はとても低く、タンパク質の収率は空スカフォールドと比較して約2.5倍であった。同様に、E. coliにおいてMycタグをループ2の中に挿入した結果は>5倍低下であった。その一方、ループ1内におけるAU1タグの挿入はSQMを不安定にせく、実際収率(表1)を上昇することができる。
【0119】
総合すると、タンパク質発現データはSQMがペプチドをアミノ末端、ループ1およびループ2の3カ所において示すことができることを現した。そのうち新しいループ1部位は最も広範囲において実用的であるように見られる。
実施例11
【0120】
実験は、上記のペプチドアプタマー2内のSTMスカフォールドに存在する短いペプチド由来の形状の挿入による効果の評価によって実施した。これらのペプチドは様々な長さ、10残基(A48、A52、およびA58)、17残基(A7)、および22残基(A52直列)の長さである。これらのA7のみがSTMタンパク質の二次構造に影響した(データ未記載)。驚くべきことに、同じペプチドをSQMのループ2の中に挿入したとき、二次構造の割合がそれぞれの得られたペプチドアプタマーの変異に至らなかった(データ未記載)。これはSQMがSTMよりペプチド挿入に耐えられることに優れていることを示した。さらに、実験を上記三つの部位内(表1)におけるエピトープタグの結果として得られたペプチドアプタマーの二次構造の割合に対して挿入効果を評価するため実施した。結果は予期せず、タンパク質収率を減少するそれらの挿入物でさえ、感知できるほど得られたペプチドアプタマー(図7)の二次構造の分離をしないことを示した。しかしながら、それはN末端部位変異のペプチドの存在が曲線の形状を変え、変曲点を218nmから209nmに向かって押す(図7、SQM−Ha)。これがスカフォールド構造のこの部位への挿入の一般的な効果に反映するか明確にするため、SQM由来ペプチドアプタマーとループ1および/またはループ2内への挿入、並びにアミノ末端全ての挿入の範囲におけるスペクトルを解析した。これは常にこれらのタンパク質がN末端部位に挿入物を欠失している相応のタンパク質より少ない二次構造を有することを見出した(図7)。
実施例12
【0121】
制限内であると、モデルペプチドをそれぞれ本発明の三つの部位に挿入することが可能だと断定され、挿入ペプチドアプタマーが免疫沈降することができることを見出した。図8Aを参照に、AU1ペプチドをループ1内に挿入する免疫沈降を示し、ループ1内へのAU1ペプチド挿入が抗AU1抗体結合の十分に密接で、ペプチドアプタマーが免疫沈降できることを示す。図8Bおよび8CはまたSQMのループ1(AU1およびMYC)そしてSQT(HA)のループ2のエピトープタグ付のスカフォールド変異体のエピトープ類似抗体によって認識することができることを示した。これはマイクロアレイ構成を使用した他のエピトープタグが同等に良く認識されることを確認した(図9)。ペプチドアプタマー(Pep2、pep6、pep9またはpep10m)はループ2内のSQMまたはSQTをガラス顕微鏡スライド上にアミン化学を使用して固定し、溶解、標識されていない工業用のソースのCDK2(New England Biolabs)活性によって探索(probe)した。長い間洗浄した後、固定されたペプチドアプタマーに結合したCDK2は抗CDK2抗体および標識された二次抗体を使用して検出して、標準のDNAマイクロアレイスキャナーを使用して画像化した。データはSQMが他のスカフォールドよりpep6に比較的良く存在するのに対して、SQTは他のスカフォールド変異体よりpep10mにおいて比較的良く存在することを臨床的に関連のある範囲において示した。空のSQTスカフォールドは低いシグナルを発し、これをバックグラウンドとして設定した。E. coliから精製された異なる部位におけるペプチドアプタマーと異なるエピトープをガラススライドにニッケルキレート(それぞれのペプチドアプタマーのヘキサヒスチジンタグを捕らえ、方向付けを制御する)または単純にポリLリジンのいずれかによって印刷した。全てのプリントは、始まりから終わりがプリントバッファースポット(print buffer spot)および遊離SQMスポットであって、常にシグナルが得られなく、ネガティブコントロールとして働く。全ての場合、抗体吸収率は特異的である。これらの結果をSPR(図10)で確認した。抗体は次の順にSQM標的に対して、最も高い親和性を有する:33nM溶液の噴射によって抗Myc、抗Haおよび抗Au1と表面濃度の変化0.4、0.13、および0.02pM cm−2を観測した(以下の表2)。これらの値は比較的定性的な平衡定数の降幅Kを示す。抗Myc抗体に対するK値は〜50nMの位数として算出され、抗シスタチンにおける同様の研究と一致する。抗Haおよび抗Au1に対するK値ヲSPR分析の非理想的な作用によって正確に測定した。抗Haは急速で、激しい関連性の急上昇後、同様の性質の分離として二番目に遅い関連性の要素を示した。このような性質は、複数の工程が起きていること、複数の代わりのスカフォールド末端構造の結合の結果によるものであることができるか、または商業用のサンプルの不純物を示す。あるいはそれはとても早い速度の結合および分離定数の結果であることができる。AU1はMycに対してはっきりと変化した分離関連曲線として同様な反応を示したが、完全に固定した等級抗体が大幅にca2位数の大きさで減少したことが見られた。HaおよびAu1の場合、K値は明白に50×10−9M以下である。
【0122】
表2は、抗体が三つ全てのエピトープタグからなるSQMアプタマーに共有結合した相対的な反応を示す。
【0123】
【表2】
【0124】
サンプルの結果は、二つの表面の間において同等の質で、基本となる違いは見られなかったが、ノイズシグナルおよび再現性はアミン表面より優れている。表面間の類似は双方のランダムな方向性および制御された方向性の場合を示し、三ループ全ては周囲に開放されていて、処置することができる。N末端のループ1または2に設置した類似エピトープが有する変数の結合親和性の証拠はない。実験はまた上記濃度の抗体を混合物に同時に加えて繰り返した。同程度の結果が全ての場合において、ループがそれぞれ他から十分に分離されていること、独立して反応を示すことが見られた。ループが隣接したループの抗体結合の阻害であることの証拠がないことが見られた。操作されたスカフォールドは予期しないほどの広い表面積において、タンパク質または450kDaまでの複数のタンパク質複合体を認識すると推定し、相性の良い三つの抗体分子の結合と同時に相互作用を示すことができる。
実施例13
【0125】
それぞれ三つの部位に挿入された864のランダムペプチドの発現プロフィールを解析した。この実験において、小スケールの培養物を96穴プレートのランダムペプチドアプタマーで成長させ、高い処理量のペプチドアプタマーを精製し(すなわちそれぞれの穴に最適な発現または精製プロトコールなしに)、それぞれのペプチドアプタマーを等体積でガラスの顕微鏡スライドにスポットし、小さいマイクロアレイを作り出した。マイクロアレイをその後、スカフォールドタンパク質を認識する二つの抗体によって検出した。得られたシグナルの強度と抗体は、その後それぞれの特徴のアレイにおいてペプチドアプタマーの量と比例する。結果はループ1およびループ2への挿入が、一般的に良く発現していることを示した一方、ほぼアミノ末端挿入物の50%があまり優位に発現していない(図11)。結果は試験した384のうち68%のペプチドアプタマーとSQMのループ1内への6アミノ酸の長さのランダム挿入物が良く発現していて、16%の発現が低レベルであることができる一方、15%の発現が検出することができない。結果は試験した384のうち76%のペプチドアプタマーとSQMのループ2内への12アミノ酸の長さのランダム挿入物が良く発現している一方、14%の発現が低レベルで、10%が全く検出されなかった。最後に、アミノ末端内の192ペプチドアプタマーとランダム挿入物の内、35%のみが良く発現している一方、32%の発現が低レベルで、32%が全く検出されなかった。
【0126】
結論として、多数の異なったペプチドがアミノ末端部位において挿入できることを示すが、これらはまたしばしばスカフォールドの安定性に不利である。それに応じて、スカフォールドおよび本発明の新しい部位が、標的タンパク質と広い表面積の使用、従って高い親和性および特異性で相互作用するペプチドアプタマーの産出に使用することができることを提案した。
実施例14
【0127】
ループ2のさらなる操作の試みによって、STMと比較して、82−83部位における新しい変異の不安定効果を始めた。従って、新しいスカフォールドはアミノ末端のループ1においてSQMと同様の変異を有し、また71−NGP−73を有するが、現在は野生型(ステフィンA)配列78−EDL−80と78−ADR−80、77−SDRL−80、または78−NTD−80のいずれかと置換し、操作した。これらそれぞれの変異は、ループ2内のペプチドをコード化するオリゴヌクレオチドの導入による二つのRsrII部位の使用に許容なようにデザインした。これらの78−ADR−80バージョンは比較的柔軟性があることを立証した。新しいスカフォールドはSQTとしてデザインした(配列番号:24)。E. coli内のSQTのタンパク質発現の収率はそれらのSQM(表3)と比較して減少していることを見出した。しかしながら、SQTのバージョンとループ2への挿入の収率は、SQM(表3)のループ2内へ同じ配列を挿入したものと比較して、常に改善している。これらの違いは、ループ2内のAU1として最も公表されていて、発現レベルが、SQMを使用したとき1Lの細菌培養液から1mgペプチドアプタマー以下であったが、45mg/Lの培養液とSQTであった。表3はペプチドアプタマー発現のペプチドの収率を1リットルの細菌培養液から通常の条件において得られる精製したタンパク質のmgとして示す。
【0128】
【表3】
【0129】
ある驚くべき観測は、ループ1単独の挿入物の発現収率がSQMにおいてSQTより高いことができる。例えば、25mgのペプチドアプタマー毎リットルの培養液がSQT−AU1−ループ1から得られるが、103mg毎SQM−AU1−ループ1であるかこれは一般概念ではなく、ペプチドアプタマーとループ1内のMycエピトープ(表3)より効果は反対であった。ペプチドアプタマーとSQTのループ1およびループ2内への二重挿入物は一般的に良く発現していて、SQMの同じ組み合わせの収率において改善を示したが、SQM(表3)のループ1内へのAU1タグおよびループ2内へのHAタグを挿入したとき、今までは高い収率がペプチドアプタマーにおいて得られた。
【0130】
別の手段のペプチド挿入の効果を考慮したとき、SQTはモデルCDK結合ペプチド(pep2、6、9および10m)またはMycエピトープの存在を見出した。一般的に、SQTはSQMよりこれらのペプチドを受容することができることに優れている。しかしながら、驚くべきことに、SQTはSTMより少しの(pep2、pep9)または一切認められない(pep6、pep10m)利点を有しているように見られる。これらのデータはスカフォールドおよびループ内へのペプチド挿入物の最小の操作が比較的複雑な変異より、これらが二次構造の分離を最小にするようデザインしたとしても、容易にできるとされている。
実施例15
【0131】
SQTのループ1を用いたライブラリー構築の効率を改善するために、
【化4】
(配列番号:26)をNheI部位内のオリゴヌクレオチド配列に、5’末端のNheI部位と3’末端のSpeI部位を使用して挿入し、後者は切断したNheI部位の切断をアニールしたとき欠失し、これはまたSTMオープンリーディングフレーム内の3’NheI部位欠失の結果に至った。挿入したオリゴヌクレオチドは、ペプチドをコード化するオリゴヌクレオチドの挿入に使用することができる3つの新しい制限酵素サイト(StuI、BCIIおよびNcoI)を有する。変性スカフォールドの最後の配列のこの部位において、新しいリンカー鎖はDNA:
【化5】
からなる。タンパク質:
【化6】
と挿入したオリゴヌクレオチドをコード化するアミノ酸を小文字で示す。リンカー鎖のNhe1およびNcoI部位を用いたオリゴヌクレオチド挿入は、SpeII/NheIアニーリング配列にコード化される二残基(LeuAla)の挿入の終結という結果となるであろう、そしてSQTスカフォールドタンパク質は従って、従来のステフィンAより二残基長い。これを延長したスカフォールドSQLと呼ぶ。この方法がライブラリー構築を改善に必要とする、5’−NheIおよび3’−NcoI部位による隣接塩基配列(flanked sequence)にSQL内の一致する部位のランダムオリゴヌクレオチドを挿入した。形質転換細胞の配列を決定した全20に対して、単一な正しい挿入物をそれぞれのクローンにおいて示す一方、NheI部位を単独で使用したとき、クローンしたとき、形質転換細胞の24配列中、8つのみが必要とされるものであった(単一の挿入物、正確な方向)。他の9つのクローンは空プラスミド(不十分な処理(digestion)および脱リン酸化ステップを示す)、3つのコンカテマー(オリゴヌクレオチドをライゲーション前にそれぞれ他のスカフォールドORF内においてライゲーションした)、4つは間違った方向であった。これらの数は、両端をNheI部位によって隣接塩基配列にされたランダムオリゴヌクレオチドをSQTのNheI内に挿入したとき、これら得られたものに対して方向付けられた挿入物を使用によって広大な改善を示した。従って、オープンリーディングフレームの核酸配列を変えて、SQTRsrII部位の代わりに、Xmal部位を作成した。これはSQTのアミノ酸配列に変異を及ぼさないような、ループ2と同様の手段を実施した。これはSQTのアミノ酸配列に変異を及ぼさない。
実施例16
【0132】
二つのペプチドアプタマーがCDK2に対して明白に最も高い親和性をマイクロアレイ実験における表示は、“免疫ブロット法”プロトコールを使用し(またウェスタンブロット法と呼ぶ、図12参照)、抗体の代わりにペプチドアプタマーを除いたもの(SQM−pep6およびSQTpep10M)を使用した。抗体は同様に、Sタンパク質のホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)融合を検出することができるSタグを有するペプチドアプタマーとして、“免疫ブロット法”の開発ステップから除いた。ネガティブコントロールとして、パラレルブロットは空スカフォールドと検出し(SQT参照)、Sタンパク質プロトコールを使用して開発した。ポジティブコントロールとしてパラレルブロットを同じ相対的な分子量のタンパク質検出に使用することができるが、抗体がペプチドアプタマーと同じ濃度で使用されるとき、長い露光時間を必要とする抗cdk2抗体で検出した。図12はニトロセルロースまたはPVDFメンブランへの転写前にポリアクリルアミドゲルの電気泳動における異種性の対象として、上記のようにスカフォールド、ペプチドアプタマーまたはスカフォールドによって検出した二つのヒト組織培養細胞のライセートを示す。データはペプチドアプタマーがこのプロトコールにおいて、抗体のみとの置換はできないが、ペプチドアプタマーを使用した検出は抗体より比較的迅速であるため、実際にはCDK2としての機能が優れていることを示した。従って、有利に抗体よりペプチドアプタマーの使用とは、分子プローブの産出に少ない動物の使用が必要されることを意味する。
【図1A−1C】
【技術分野】
【0001】
本発明はペプチド、例えばペプチドアプタマーのようなペプチドのディスプレイのための新しいスカフォールドタンパク質に関し、特に、本発明は、修飾されたステフィンAポリペプチドおよびステフィンAに基づく修飾された人工的なタンパク質の使用に関し、全てをスカフォールドタンパク質およびディスプレイ法に使用することに関する。
【背景技術】
【0002】
タンパク質相互作用の研究は多くの生物学的プロセス、例えば遺伝子産物の健康および疾患の双方における生体内の役割のようなものにおいて重要である。ペプチドアプタマーは、特に分子医学の基礎および応用の双方の面のために有用である重要な分子ツールとして現れた。所定の標的タンパク質と細胞内レベルにおいて、特異的に結合して不活性化するそれらの能力により、それらは生体外および生体内の双方の機能タンパク質分析(解析)のための実験的方策を提供する。それらはまた細胞外タンパク質に対して使用することもできる。タンパク質機能の研究での適用と同様に、これらのツールは従って、分子検出、診断のため、および/または治療剤として有用である。ペプチドおよびペプチドアプタマーは溶液において遊離で使用することができる。しかしながら、小(低分子)ペプチドが非拘束のとき、制限された相互作用面を提示する構造を形成する傾向にある。さらに、それらは標的分子との関連により、立体構造のエントロピーを失うことが多く、結合の自由エネルギーが減少し、その結果、フリーのペプチドは緊密な非共有結合複合体を形成しないことが多く、それは問題である。その上、細胞内でペプチドは急速に分解し、それは生体内におけるタンパク質の相互作用の研究についてそれらの有効性制限し、それがまた問題である。
【0003】
自由溶液(free solutions)において使用されるよりもむしろ、興味のあるペプチドを物理的な支持体に結合してもよく、またはより一層大きなポリペプチドとの関連において表示してもよい。前者は生体内の研究において難なく適用することができない。後者において、ペプチドは単純且つ安定なスカフォールドタンパク質の一次配列中に遺伝学的に挿入する。スカフォールドの折り畳みはペプチドを立体構造的に拘束し、ペプチドアプタマーは高い特異性および親和性によってパートナーと結合する。これは本発明において重要なポリペプチドとの関連のディスプレイである。このようなディスプレイは、頻繁にスカフォールドタンパク質を用いて成し遂げられる。
【0004】
先行技術のスカフォールドは、不活性のブドウ球菌ヌクレアーゼ、緑色蛍光タンパク質(GFP)およびチオレドキシンA(TrxA)、ならびに分離したタンパク質の折り畳み、例えばブドウ球菌プロテインAのZドメイン、“アフィボディ(affibodies)”、アンチカリン(anticalins)、およびアンキリン(anyrin)反復からなる。
【0005】
さらに先行技術のスカフォールドタンパク質には、ファイブロネクチンIII型ドメイン(‘Fn3’)、アンチカリンが導き出されるリポカリンファミリータンパク質、ビリン結合タンパク質(BBP)等が含まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2006/131749号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
つい最近(国際公開第2006/131749号)は、ステフィンA内において形成されるいくつかの合理的な変異を、それをスカフォールドとして改善するために記載する。修飾されたステフィンAスカフォールドは、以下三つの部位、Lys71−Leu73,V48DおよびG4Wにおける変異を含み、STM(ステフィンA三重変異)と称す。これら三つの変異の組み合わせは、ヒト細胞において、タンパク質との最小の相互作用をもつタンパク質を生じさせ、そして特にすべての検出可能な既知の自然なパートナーとの相互作用を喪失したことを示した。しかしながら、本発明者らは、タンパク質中に位置71〜73でペプチドを挿入することは、挿入されたペプチドの端部でのタンパク質のトランケーション(切り詰め)のための強い選択圧(淘汰圧)につながることを見出した。このように切り詰められたタンパク質は生物学的な有効性を表示することができたが、この観察は単純に位置71−73で切り詰められずに挿入されたペプチドのサブセットが、標的タンパク質との相互作用のために自由に利用可能でありえないという懸念を導き、これは問題である。さらに、単一部位でペプチドを挿入することは、必然的にタンパク質の相互作用のために用いられる合計表面積を制限し、それは次に結合親和性および潜在的な特異性を制限する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
ステフィンAに対して、およびステフィンAに基づく修飾された人工タンパク質、例えば本発明において開示したようなSTM(ステフィンA三重変異)のようなものに対して作られた新しい変異は、代わりの改善された、およびより一層安定なスカフォールドタンパク質を提供し、そして、また、先行技術のものより用途の広いディスプレイシステムを提供する。さらに、これらの新たなタンパク質のスカフォールド/ディスプレイシステムはまた、効率的且つローバスト(robust)なディスプレイエンティティー(実体)としてまったく予測不可能である。これ以降に記載の新たな変異はステフィンA/STMタンパク質の特定された多様なエリアで作られ、そして驚くべきことにステフィンA/STMタンパク質の構造(立体構造)またはそれらのスカフォールドタンパク質としての潜在的な機能が見出された。さらにまた、本発明の改善されたスカフォールドを伴い、さらなる工学技術(engineering)の理由により、スカフォールドが多重の挿入物をもち、時には今まで先行技術のスカフォールドにおいて可能でない修飾を提供することが可能である。
【0009】
本開示の概略。本発明の第一形態において、修飾されたステフィンAポリペプチドまたは修飾されたSTMタンパク質を提供し、修飾は、単一の変異性の変化または次の
(i)コドン4での変異であり、ステフィンAのグリシンまたはSTMのトリプトファンをステフィンAのためにトリプトファンまたはSTMのためにグリシンでない別のアミノ酸によって、または異種のオリゴヌクレオチドによりコード化されたペプチドによって置換されたもの、または
(ii)コドン46から54までを含んでペプチド挿入をコード化する任意の変化または異種のオリゴヌクレオチドであり、そのコード化アミノ酸がループ1を含み、または拘束するもの、または
(iii)コドン67から84までを含んでペプチド挿入をコード化する任意の変化または異種のオリゴヌクレオチドであり、そのコード化アミノ酸がループ2を含み、または拘束するもの
が包含される群より選ばれる部位に挿入されたペプチドをコード化する異種のオリゴヌクレオチドを含む。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本願書の明細書および請求の範囲において、“含む(comprise)”、“なる(contain)”、そしてこの用語のバリエーション、例えば“含む(comprising)”および“含む(comprise)”の意味は“からなるが制限されない(including but not limited to)”であって、他の一部、添加物、成分、整数またはステップを排除するという意図はない。本願の明細書および請求の範囲において、その背景において必要とされなければ、単数形は複数形を含む。
【0011】
特に、本願は不定冠詞が使われているところで、背景に必要としなければ、複数形並びに単数形を意図している。
【0012】
特徴、整数、指標、化合物、化学成分、または群と共に記載された本発明の特定の態様、実施形態、または実施例は両立しない限り、いずれの本願の他の態様、実施形態、または実施例である。
【0013】
本明細書のスカフォールドタンパク質は、一つのタンパク質と結合した配列で、用語はまた融合タンパク質と同義語である。“融合タンパク質”は本発明のスカフォールドタンパク質を一つ以上の異なった(例えば“異種”)ペプチドまたはタンパク質と結合したタンパク質からなるものを意味する。異種ペプチドまたはタンパク質の挿入において、融合タンパク質は所望の標的と結合できる。
【0014】
本発明は、新しい変異体に基づく野生型ステフィンAタンパク質そのもの、好ましくはステフィンAがヒトのステフィンA、または三重変異STM、安定したスカフォールドタンパク質として使用するのに適した形状の状態にする一方、付随してそれらを有利な生物学的において中性な状態に生物学的に重要な相互作用および活性な状態にカテプシンまたは他の不明のタンパク質との自然の相互作用に必要な残基の変異によって取り除いて行った。 さらに、選択された変異または挿入部位は、挿入するペプチドを容認および拘束し、例えばペプチドアプタマーの産出を制限することができる。その一方、ヒトの研究はヒトのスカフォールドを必要とし、例えばマウスのステフィンAの使用は、マウスモデルの生態および/または疾患の研究に有利で、同様に他の種または植物のステフィンA由来の使用はまたその種に特異的であることができる。したがって、本発明のスカフォールドおよびプレゼンテーション法はいかなる選択された種において実用性を目的とし、ステフィンAの誘導は使用者の必要性に依存している。
【0015】
DNA配列の変異において、ステフィンAまたはそのSTM形状いずれのコドン4のアミノ酸をコード化するか、またはコドン46から54を含有したステフィンAまたはそのSTM形状のループ1を含むまたは拘束するアミノ酸をコード化し、コドン67から84までを含有するステフィンAまたはそのSTM形状のループ2を含むまたは制限するアミノ酸をコード化し、それぞれ独立することができ、好まれている。すなわち、ステフィンAタンパク質の変異体が、3つの異なる個々の領域または部位の1つであり、すなわち位置4またはループ1もしくはループ2に拘束されていることができる。同様に、三重変異形状STMにおける変異体はまた3つの特異的且つ独立した個々のサイトのの1つであり、すなわち位置4のループ1またはループ2に拘束された1箇所のいずれかであることができる。ステフィンAまたはSTMの配列の残余は、不変および以下における配列を含むであろう。
【0016】
野生型のヒトステフィンAの配列を以下の配列番号:1に示す
【化1】
【0017】
三重変異STMの配列を以下の変異部位を配列番号:2の様に示し、従ってSTMが野生型ステフィンAと異なる部分は、太字および下線で示す
【化2】
【0018】
本明細書の参照における“変異性の変化”は、遺伝子物質における変異性の変化がアミノ酸の付加、欠失、挿入または置換による永久の変異を伝えることができる。
【0019】
好ましくは、実施形態において単一の変異性の変化は、ステフィンAにおけるコドン4のグリシンの置換であって、G4V、G4I、G4L、G4M、G4F、G4P、G4N、G4V、G4Q、G4S、G4T、G4W、G4Y、G4R、G4H、G4K、G4DおよびG4Eを含む群から選択される。より好ましくは、置換がG4R、すなわちコドン4のグリシンをアルギニンに置換することである。
【0020】
好ましくは、実施形態において単一の変異性の変化は、STMにおけるコドン4のトリプトファンの置換であって、W4V、W4I、W4L、W4M、W4F、W4P、W4N、W4V、W4Q、W4S、W4T、W4G、W4Y、W4R、W4H、W4K、W4DおよびW4Eを含む群から選択される。より好ましくは、置換がW4R、すなわちコドン4のグトリプトファンをアルギニンに置換することである。
【0021】
ステフィンAのオープンリーディングフレームの5’末端部位のステフィンAまたはSTMの8アミノ酸をコード化するアミノ末端における変異は、制限エンドヌクレアーゼまたは標的とする組み換え部位の切断部位の導入を認めた。例えば、本明細書においてDNA配列の変異後、例えば位置4のアルギニン(STMの野生型グリシンまたはトリプトファンを置換する)をコード化することによって、STMと同様の生物物理学の特徴を有し、驚くほど安定性のあるタンパク質を産出することを示したが、オープンリーディングフレームが、現在、酵素特有の制限サイトを有し、ここで例えば酵素Avrllに制限はないので、選択肢を提供し、効率的なスカフォールドタンパク質としての役割を果たす。
【0022】
好ましくは、実施形態において、ステフィンA(配列番号3:QVVAGTNYY)またはSTM(配列番号4:QVDAGTNYY)のコード化アミノ酸がループ1を含むまたは拘束するもの、ここで、例えばQVLASTNYY(配列番号:5)を含む変異であり、変異性の変化はコドン46から54を含有するいかなる変異である。驚くべきことに、アミノ酸の配列は、例えば制限なしに、位置48、49、および50におけるロイシン、アラニン、セリンを取り入れ、STMと同様の生物物理学の特徴のタンパク質を導きだし、従って効率的なスカフォールドとなるであろう。
【0023】
好ましくは、ステフィンAの変異性の変化は48−VAG−50、そしてSTMにおいては48−LAS−50であり、結果は48−LXS−50においてXはいずれのアミノ酸である。
【0024】
好ましくは、実施形態において、ステフィンA(配列番号6:LKVFKSLPGQNEDLVLTG)またはSTM(配列番号7:LKVFNGPPGQNEDLVLTG)のコード化アミノ酸のループ2を含むか、または拘束し、ここで、例えば配列番号8:LKVFNGPPGQNEDLVRSGを含む変異である、変異性の変化は、コドン67から84番目までを含有するいかなる変異である。驚くべきことに、アミノ酸の配列、例えばアルギニンに続くセリン(ステフィンAまたはSTMのロイシン82およびトレオニン83の置換)は安定したタンパク質、例えばSTMの産出を導き、ペプチドアプタマーのプレゼンテーションにおいて優れたスカフォールドとして役割を果たすことを示した。
【0025】
好ましくは、ステフィンAの変異性の変化は71−KSL−73および82−LT−83、STMの変異性の変化は71−NPG−73および82−LT−83であって、その結果は71−NxP−73および82−RS−83において、Xはいかなるアミノ酸でもある。
【0026】
好ましくは、さらなる本発明の実施形態において、ステフィンAおよびSTMにおいて82−LT−83であって、その結果は82−XX−83において、Xはいかなるアミノ酸、特に好ましい実施形態において、それは82−RS−83のさらなる変異性の変化がある。
【0027】
好ましくは、変異性の変化は本明細書に述べる前記のいかなる組み合わせと、例えば制限なしに82−XX−83、そして特に好ましい変異は、少なくとも位置71−73および/または位置82−83における変異性の変化を有することである。
【0028】
他の形態では、修飾されたステフィンAポリペプチドまたは修飾されたSTMタンパク質であって、修飾は、単一の変異性の変化または次の
(i)コドン4での変異であり、ステフィンAのグリシンまたはSTMのトリプトファンをステフィンAのためにトリプトファンまたはSTMのためにグリシンでない別のアミノ酸によって、または異種のオリゴヌクレオチドによりコード化されたペプチドによって置換されたもの、または
(ii)コドン46から54までを含んでペプチド挿入をコード化する任意の変化または異種のオリゴヌクレオチドであり、そのコード化アミノ酸がループ1を含み、または拘束するもの、または
(iii)コドン67から84までを含んでペプチド挿入をコード化する任意の変化または異種のオリゴヌクレオチドであり、そのコード化アミノ酸がループ2を含み、または拘束するもの
が包含される群より選ばれる部位に挿入されたペプチドをコード化する異種のオリゴヌクレオチドを含む、ポリペプチドまたはタンパク質。
【0029】
本発明の態様において、修飾されたステフィンAは2つの変異を含み、それは例えば、位置4およびループ1の機能を有するコドン46から54のいかなる変異を含有するか、位置4の変異およびループ2の機能を有するコドン67から84までのいかなるコドンの変化を含有するか、またはループ1の機能を有するコドン46から54までのいかなるコドンの変化およびループ2の機能を有するコドン67から84までのいかなるコドンの変化を含有することができる。
【0030】
同様に、STMは、位置4の変異およびループ1の機能を有するコドン46から54までのいかなる変化を含有するか、位置4の変異およびループ2の機能を有するコドン67から84までのいかなる変化を含有するか、ループ1の機能を有するコドン46から54の変化およびループ2の機能を有するコドン67から84までのいかなる変化を含有するか、またはループ2の機能を有するコドン67から84までのいかなる変化を含有することができる。
【0031】
さらなる本発明の態様において、修飾されたステフィンAポリペプチドまたは修飾されたSTMタンパク質であって、修飾は、単一の変異性の変化または次の
(i)コドン4での変異であり、ステフィンAのグリシンまたはSTMのトリプトファンをステフィンAのためにトリプトファンまたはSTMのためにグリシンでない別のアミノ酸によって、または異種のオリゴヌクレオチドによりコード化されたペプチドによって置換されたもの、または
(ii)コドン46から54までを含んでペプチド挿入をコード化する任意の変化または異種のオリゴヌクレオチドであり、そのコード化アミノ酸がループ1を含み、または拘束するもの、または
(iii)コドン67から84までを含んでペプチド挿入をコード化する任意の変化または異種のオリゴヌクレオチドであり、そのコード化アミノ酸がループ2を含み、または拘束するもの
が包含される群より選ばれる部位に挿入されたペプチドをコード化する異種のオリゴヌクレオチドを含む、ポリペプチドまたはタンパク質。
【0032】
従って、本発明の特定の実施形態において、修飾されたステフィンAおよびSTMは前述した全て三つの変異性の変化を含む。それ故に、修飾されたステフィンAまたはSTMのスカフォールドタンパク質は、三つの特異的な変異を位置4のループ1およびループ2の双方における変化を含む。
【0033】
本発明の他の実施形態は修飾されたステフィンAポリペプチドまたは修飾されたSTMタンパク質に関して、いかなる上記リストの配列の単一または組み合わせであるが、ステフィンAまたはSTMの73残基またはステフィンAまたはSTMの84残基のいずれにおける終結、そしてこれらの位置における新しいアミノ酸配列の挿入の有無のいずれにおける終結に関する。STMのNGP後にアミノ酸配列を挿入する終止コドンに厳しい選択圧を見出したが、驚くべきことに、この様な機能を失ったタンパク質は共に安定、且つ標的タンパク質の生物学的機能を妨ぐことができる。
【0034】
本発明は従って、さらに切り詰めたかまたは短縮された修飾されたステフィンAおよびSTMスカフォールドタンパク質を含み、理想的にはC末端から15または25残基を短縮し、従ってステフィンAまたはSTMのいずれの73または84残基のいずれにおいて終結することを含有する。さらに本発明は切り詰めたかまたは短縮による修飾されたステフィンAおよびSTMスカフォールドタンパク質を含み、15から25の間の整数まで短縮し、従ってステフィンAまたはSTMの73から84までの間の残基において終結する。
【0035】
本発明は望ましくは全ての記載の変異からなり、それぞれが、ステフィンAまたはSTMの変異の一つ以上の位置において、作成したオープンリーディングフレーム内の改変制限酵素認識部位内にオリゴヌクレオチドを挿入することによって、異種ペプチドの導入を許可した。従って、本発明は、
位置4のタンパク質に特異的な異種ペプチドと、他のタンパク質はステフィンA、STM、または本明細書に記載の他の変異のいずれか一つに似ている。
位置46〜54、特に位置48/49/50におけるタンパク質に特異的な異種ペプチドと、他のタンパク質はステフィンA、STM、または本明細書に記載の他の変異のいずれか一つに似ている。
位置67〜84、特に位置71/72/73におけるタンパク質に特異的な異種ペプチドと、他のタンパク質はステフィンA、STM、または本明細書に記載の他の変異のいずれか一つに似ている。
位置67〜84、特に位置82/83におけるタンパク質に特異的な異種ペプチドと、他のタンパク質はステフィンA、STM、または本明細書に記載の他の変異のいずれか一つに似ている。
位置4および/または位置48/49/50および/または位置71/72/73および/または位置82/83における単数または複数のペプチドのいかなる組み合わせ。
ステフィンAまたはSTMいずれかの最後の25個のアミノ酸残基または最後の15個のアミノ酸残基の除去または置換する終止コドンに続いて位置4および/または位置48/49/50および/または位置71/72/73および/または位置82/83における単数または複数のペプチドのいかなる組み合わせに基づく、いくつかの新しいスカフォールドを提供する。
【0036】
本発明のスカフォールドタンパク質の特別な利点および新しい変異は、それらが全てのループ1またはループ2、またはループ1およびループ2の双方、並びにアミノ末端の使用ができる。同時に、これらの変異は少なくとも使用する抗体と同じ大きさの表面積の提示を許す。さらにそれぞれを単一で使用することができるか、またはそれらはペアに基づくか、または他の変異と複数の組み合わせで使用することができる。相互作用の表面性が異なる位置と、異なった位置に挿入されたペプチドの間の異なった相互作用との組み合わせは、スカフォールドの新しい使用を提供することがありえ、例えば実用的な相互作用のため、一つの部位において存在することができないため、現在は他の異なる部位におけるペプチドの組み合わせが既知のペプチドから相互作用しないものに交代し、相互作用する構造を提供する。さらに、これらのいかなる新しい変異はステフィンAの全長、STMの全長、本明細書に開示のタンパク質の全長、またはこれらいずれのタンパク質の変異型より使用することができ、ステフィンAもしくはSTMのいずれから生成することができる最終残基は、SteAのLeu73もしくは本願明細書に記載の新しい変異、STMのPro73もしくはその新しい変異、または挿入された異種性ペプチドの最終残基において、ステフィンAもしくはSTMの最後から15もしくは25アミノ酸残基は機能を失っている。
【0037】
本発明の他の形態は、核酸の分離に関して、本願明細書の上記スカフォールドタンパク質またはポリペプチドのアミノ酸配列をコードしているヌクレオチド配列を含む。
本発明の他の形態は、所望の構造に結合することができる標的ペプチドの同定方法に関して、本明細書の前記修飾されたステフィンAまたはSTMタンパク質のスカフォールドタンパク質を提供することを含み、標的ペプチドを含む;前記スカフォールドタンパク質と前記所望の構造と接触する方法に関して;スカフォールドおよび所望の構造の間の関係を観測する方法に関してであって、スカフォールドタンパク質と所望の構造の関連は、標的ペプチドを前記構造に結合する標的ペプチドの候補として同定する。
【0038】
本発明のさらなる態様において、スカフォールドタンパク質は、
【化3】
を含む群から選択される。
【0039】
本発明のさらなる態様において、本発明のスカフォールドタンパク質を診断、治療、バイオマーカー、バイオマーカーに結合し、およびそれを特異的に検出するための薬剤、合理化された薬物設計の鋳型、創薬のための標的または試薬、抗体の代替物およびリサーチツールを含む群より選ばれる薬剤としての用途を提供する。
【0040】
本発明のさらなる態様において、本発明のスカフォールドタンパク質の融合タンパク質としての使用を提供する。
【0041】
本明細書の前記の好ましい特徴は、必要な変更を加え(mutatis mutandis)、本発明の全てのそしてそれぞれの態様において適用した。
【0042】
本願明細書の以下に記載のおよび上記に示した結果を総合すると、本発明のスカフォールドは複数の箇所における操作の影響を受けやすく、それぞれの変異は単独、または驚くほど良い耐性およびいかなる変異の不安定な効果との組み合わせによって、アミノ末端およびループ2の挿入を拡大した。これらの部位は、従って定期的に使用できず、驚くべきことに複数の挿入物に対しては、SQM−ループ1などに対する部位の結合親和性およびペプチドアプタマーの特異性の改善に使用されるようになる耐性がある。さらに、ループ1は外見上、ペプチドの範囲において、ととても小さな問題が存在することができる。これは比較的小さなループであるため、とても驚くべきことである。
【0043】
本発明の詳細な記載
“欠失”とは、それぞれ一つ以上のアミノ酸残基または核酸の欠乏による、アミノ酸または核酸の配列の変異を参照する。“挿入”または“付加”という用語は、アミノ酸または核酸の配列の変異であって、参照の配列と比較して、分子またはその代表に、それぞれ一つ以上のアミノ酸残基または核酸の付加の結果であり、自然起源の分子において見られるもの等を参照する。“置換”とは一つ以上のアミノ酸または核酸をそれぞれ異なったアミノ酸または核酸と置き換えることを参照する。
【0044】
ステフィンAまたはSTMをスカフォールドとして改善するため、選択的な部位および/または複数の部位に異種ペプチドを挿入することができることが好ましい。これにはステフィンAまたはSTMのいずれかをコード化するオープンリーディングフレームを変えることを必要とするため、オリゴヌクレオチド内に異種ペプチドを挿入することができ、コード化される制限エンドヌークレアーゼ認識部位を導入する。オープンリーディングフレームを変えることは、ほぼ必然的に発現するタンパク質を含むアミノ酸配列を変えることにつながる。タンパク質が最適な機能および安定の組み合わせを形成してることが既知であれば、最もあり得る(最も頻繁的に観測される)タンパク質のアミノ酸配列の変異の結果は、二次構造の欠損であって、従って安定性の欠損である。本発明において、新しいスカフォールドタンパク質は安定性を保持している(実施例および図を参照)。
【0045】
DNA(オープンリーディングフレーム)レベルにおける変異、そしてさらに新しいステフィンA/STMの変異体のアミノ酸配列の変異によるタンパク質の安定性の減少へと導き出すことを明確にするため、本明細書に記載の全ての変異がE. coliにおいて発現していて、円偏光二色性を用いてそれらのステフィンAの構成の二次構造を比較した。全てのタンパク質がE. coliにおいて同等に良く発現していて、通常約28mg変異タンパク質/細菌用培養液mL(図1)であることが見出した。タンパク質を均一に近くなるまでNiアガロースを用いた親和性クロマトグラフィーで精製し、精製品を用いて0.3mgタンパク質/mLまで希釈した。それぞれ得られたサンプルは円偏光二色性による解析を受けた。これはタンパク質をUV波長に近い範囲に渡ってスキャン(scannning)し、光の楕円率がタンパク質の二次構造要素(αヘリックスまたはβストランド)等によって影響するからである。タンパク質の二次構造の比率が上昇するにつれ、楕円率の結果も上昇する。効果はタンパク質濃度によって影響するため、タンパク質を解析直前に0.3mg/mLまで希釈した。効果は解析するタンパク質のペプチド結合数に比例するので、この効果を考慮に入れて、モル楕円率を参照する。データを図3に示す。このデータは二次構造の比率がSTMおよび新しい変異体において保持されていること、STM内の挿入物の存在がその構造に不利に影響しないことを示す。二つの変異体(SUNおよびSQM)は他と比較して外見上、構造増加(increased structure)を示すことを意味する。これは二次構造の取得にこれら全てのタンパク質に存在するアミノ末端尾内において属すことができ、これがSUNおよびSQMに共通する少しの変異であるから、位置4のグリシン(ステフィンA)またはトリプトファン(STM)をアージニンに置換することで活性化するであろう、そしてこれらはこの変異を有する少ない変異である。
【0046】
スカフォールド
従来技術で良く知られているように、‘スカフォールド’の用語はそのものの構造を標的ペプチドによって変形することなく、標的ペプチドを溶媒に発現させるタンパク質を参照する。ペプチドを溶媒に発現するにあたって、これは免疫沈降実験を用いて試験することができる。例えば、ペプチドが溶媒に発現する表示はそれを認識できる抗体に対するその有効性から得ることができる。従って、スカフォールドタンパク質の溶媒に対するペプチドの発現性能を試験するため、ペプチドを含むスカフォールドを発現し、ペプチドを認識する抗体をスカフォールドペプチド融合の免疫沈降に使用されるであろう。このタンパク質が免疫沈降または抗体をキャプチャー(capture)することができるのであれば、これはペプチドがスカフォールドタンパク質に必要とされるため、溶媒に発現していることを示す。他のまたは別のペプチドが溶媒に発現していることはリン酸化反応の研究から得られる表示である。リン酸化受容体部位を標的ペプチド内に組み込み、その後類似のキナーゼとスカフォールドペプチド融合体がリン酸化反応の許容条件下において接触し、その後溶媒に対するペプチドの発現を検証した。ペプチドのリン酸化反応は溶媒に対して、あるべき発現を示した。形成された標的ペプチドによるスカフォールドタンパク質の抵抗に関して、これを円偏光二色または熱安定性の技術を用いて試験することができる。具体的には、スカフォールドタンパク質その物に標的ペプチドを挿入することのない円偏光二色解析は、標的ペプチドを形成するときの同じスカフォールドタンパク質と実質上同様な円偏光二色特徴である。これはスカフォールドタンパク質内の標的ペプチドの発現がスカフォールドタンパク質を産出するスカフォールドタンパク質の構造を危険にさらさないか、変形させないことの証明を提供する。標的ペプチドによる変形であるこの抵抗を試験する他の方法は、スカフォールドタンパク質と挿入物である標的ペプチドの有無の熱安定性を研究することである。
【0047】
スカフォールドタンパク質はペプチド挿入物を受容することができるべきである。ペプチド挿入物は、好ましくは36アミノ酸以下、好ましくは20アミノ酸以下である。好ましくは、標的ペプチド挿入物が12アミノ酸残基以下である。
【0048】
スカフォールドタンパク質は知られた構造でなければならない。‘知られた構造’とは、結晶性構造または溶液構造(NMR構造)が既知でなければならないことを意味する。
【0049】
本発明にかかるスカフォールドタンパク質の好ましい特徴
好ましくは、スカフォールドタンパク質が標的ペプチドを抑制していることである。スカフォールドタンパク質における抑制効果の存在は、標的ペプチドがスカフォールドタンパク質内のときの標的ペプチドの実態結合の親和力とペプチドがスカフォールドタンパク質内でないときの親和力を比較することによって証明することができる。これら二つの親和力の違いは、スカフォールドタンパク質がペプチドを抑制し、特定の三次元構造を仮定していることを示す。好ましくは、スカフォールドタンパク質はペプチドを抑制し、スカフォールドタンパク質の状況において発現しているとき、それが結合親和力の上昇を示していることである。言い換えれば、結合していないペプチドの結合と比較したとき、好ましくはスカフォールドタンパク質が結合のエントロピー消費を減少し、測定した親和性を上昇する。
【0050】
いくつかの実施形態において、抑制は標的ペプチドに対する単一のN末端またはC末端の融合によって提供される。
【0051】
好ましくは、スカフォールドタンパク質が生体内(in vivo)において標的ペプチドの向上した安定性を提供することである。この効果は、標的ペプチドの発現をスカフォールドタンパク質と標的ペプチドその物の発現の関係を比較することによって実証することができる。好ましくは、標的ペプチドがスカフォールドタンパク質の関係において上昇した安定性を示すことである。
【0052】
スカフォールドタンパク質が、好ましくは生物学的に中性であることである。‘生物学的に中性’とは他の既知のタンパク質との相互作用が取り除かれたことを意味する。さらに、タンパク質が保持しているいかなるシグナル伝達能力も好ましくは除去することである。従って、本発明にかかる好ましいスカフォールドタンパク質はSTMスカフォールドタンパク質である。
【0053】
生物学的に中性とは、それがスカフォールドタンパク質の大半の従来技術に存在しないことから、本発明の利点である。例えば、チオレドキシンAは、細胞内の自然な酸化還元経路の優性阻害として働くことである。さらに、それはP53を阻害することが知られていて、BCL6シグナル経路を阻害することが知られている。有利に、本発明のスカフォールドタンパク質は自然発生のシグナル経路と妨げない。
【0054】
スカフォールドタンパク質は小さい場合である。“小さい”とは25kDa以下を意味し、好ましくは13kDa以下である。最も好ましくは、スカフォールドタンパク質が110アミノ酸以下である(標的ペプチド挿入物を除いて)。
【0055】
好ましくは、本発明にかかるスカフォールドタンパク質が構造的に安定していることである。‘構造的に安定’とは、構造変化が起きないことを意味する。好ましくは、スカフォールドタンパク質がヒンジ部位を有さないことである。好ましくは、スカフォールドタンパク質がPHドメインを有さないことである。好ましくは、スカフォールドタンパク質がSH3ドメインを有さないことである。好ましくは、スカフォールドタンパク質がSH2ドメインを有さないことである。好ましくは、スカフォールドタンパク質が’WWドメインを有さないことである。好ましくはスカフォールドタンパク質が’WDドメインを有さないことである。好ましくはスカフォールドタンパク質がHEATドメインを有さないことである。好ましくは、スカフォールドタンパク質がプロリンに富むドメインを有さないことである。好ましくは、スカフォールドたんぱく質が細胞内において翻訳後修飾を有さないことである。好ましくは、スカフォールドタンパク質が構造変化を促進する他の既知のドメインを有さないことである。
【0056】
本発明にかかるスカフォールドタンパク質は、好ましくはタンパク質間相互作用ドメインを有さないことである。タンパク質は、これらが変異し、機能しない状態にある場合、タンパク質間相互作用ドメインを有さないと考えることができる。
【0057】
好ましくは、本発明にかかるスカフォールドタンパク質が翻訳後修飾を有さないことである。従って、好ましくは本発明にかかるスカフォールドタンパク質が糖鎖付加部位を有さないことである。これは従来技術のスカフォールドタンパク質、例えばジストロフィンに対して、翻訳後修飾が相互作用を妨げるか、それら自身の疑似相互作用を作り出すことができるため、有利である。
【0058】
上記のように、スカフォールドタンパク質はペプチド挿入物によって変形されるべきでない。この基準によって、緑色蛍光タンパク質が、少なくとも三分の一の挿入した標的ペプチドが緑色の蛍光を滅ぼすため、スカフォールドタンパク質としては考えられない。これは標的ペプチドインサートがタンパク質の構造を変形することを明らかにした。従って、スカフォールドタンパク質が好ましくは標的ペプチドの挿入によって変形されてるべきでないので、それは本発明にかかるスカフォールドタンパク質ではない。
【0059】
チオレドキシンA(TrxA)は従来技術のタンパク質である。TrxAは小さく、安定性がある。しかしながら、TrxA内における標的ペプチドの挿入はシステインの二残基の間に起こる。発明にかかるスカフォールドタンパク質は、TrxA内のシステイン残基が、スカフォールドタンパク質の構造を変えることができ、示した標的ペプチドの構造に影響することができる、可逆のジスルフィド結合を経ることができるため、有利にこの配列を避ける。従って、好ましくは標的ペプチドの挿入部位は、スカフォールドタンパク質のシステインの二残基の間ではない。
設計の検討
【0060】
スカフォールドタンパク質は、好ましくは以下の一つ以上の特徴を有する:
1)既知の構造によって、ペプチド挿入部位または置換部位のインフォームドチョイスを考慮していることと、
2)広範囲のペプチドの折り畳みを制限するために十分に安定であることと、
3)生物物理学的に中性であって、例えば表現型に寄与する細胞内タンパク質の相互作用を欠失していることと、
4)原核性および真核性の環境の双方において、同様に、好ましくは完全に同じように、折り畳むことができ、1つの方法から得たデータが他の実験の実施を満たすことができる。
【0061】
本発明は、ペプチドアプタマー技術の要件に適したスカフォールドを提供する。発明のスカフォールドタンパク質は、好ましくは全ての上記基準を有している:親(parent)ステフィンAの構造が既知である;操作されたスカフォールドは安定性があり、少なくとも一つのペプチド挿入に、その生物物理学的な安定性を欠失することなく耐性がある;広範囲のペプチドにおける機能上の相互作用を示すことができる;そして全ての既知の生物学的相互作用が操作されているわけではない。
さらなる応用
【0062】
当業者はマイクロアレイでのペプチドアプタマーの使用は、これらのペプチドアプタマーが本発明にかかるスカフォールドタンパク質に存在しているとき、特に好都合であると理解するであろう。従来技術におけるマイクロアレイ技術は抗体に大きく依存している。しかしながら、抗体はアレイに結合しているとき、特異性を欠失することができる。さらにマイクロアレイに使用される組み換えタンパク質は、タンパク質の存在の情報を提供することができるが、何が結合しているかについての情報は提供することができない。一方、本発明にかかるスカフォールドタンパク質において、ペプチドアプタマーを使用したディスプレイは、アレイを詮索したとき、有利に比較的たくさんの情報を提供することができる。例えば、結合パートナーの観測により、アプタマーのディスプレイにスカフォールドタンパク質を使用したとき、背景情報(contextual informaiton)が有利的に導き出される。この利点は繊細さの欠損および情報に基づくライブラリーとの間の違いにおいて特徴付けられる。従って、本発明の他の態様において、これら新しいスカフォールドタンパク質の使用はマイクロアレイ上にペプチドをディスプレイすることに関する。
【0063】
好ましくは、本発明にかかるスカフォールドタンパク質はステフィンAの配列に基づくことである。‘ステフィンAの配列に基づく’とは、スカフォールドタンパク質が、ステフィンAの98アミノ酸残基の少なくとも30を有するべきであり、好ましくはステフィンAのアミノ酸残基に対して25%、好ましくはステフィンAのアミノ酸配列に対して30%、40%、50%、60%または70%、好ましくは80%、好ましくは85%、好ましくは90%、好ましくはステフィンAの配列に対して95%またはそれ以上である。最も好ましいスカフォールドタンパク質はステフィンA、STM、または本明細書に開示の新しい変異体の一つを有し、本明細書前記の一つ以上の変異性の変化を含む。
【0064】
ペプチドアプタマーの特性である生体内のタンパク質間相互作用の分離において、新しい薬物の迅速な識別の主用として許容することができる。さらに、小さな薬物分子対象の使用は、タンパク質間相互作用の分離に本発明で有利に促進される。
【0065】
翻訳後修飾部位、リン酸化部位などを含むペプチド挿入物の使用は、有利に使用することができる。これは、標的ペプチドのリン酸化状態によって変異する相互作用解離に有益である。さらに、それは候補のペプチドアプタマーに結合したリン酸化反応に依存する方法の識別を考慮した。
【0066】
いくつかの実施形態において、それはジスルフィド結合を標的ペプチド挿入物のいずれかの側面に導入しることができ、例えばシステイン残基をそれぞれの標的ペプチド挿入物の側面に操作することが好ましい。これはスカフォールドが排他的に一条件において使用されているとき、実用的であることができる。この関連において、ファミリーIIシスタチンはジスルフィド結合を使用し、一つの好ましい挿入部位に一致する二次構造の要因を形成することを意味する。本発明の背景において、これは例えば、スカフォールドポリペプチドのC末端、または標的ペプチド内、例えば標的ペプチドのC末端エンドに単一のシステインを付加し、二番目の場所、例えばスカフォールドのN末端または標的ペプチドのN末端エンドに二つ目のシステイン残基挿入の付加し、従って二つの間に架橋を可能にすることで、達成することができる。 しかしながら、それはペプチドの共有結合性の制限をこの様に回避することが好ましい。従って、好ましい本発明のスカフォールドにおいて、好ましくは標的ペプチドはシステイン残基に対して側面に位置しないことである。
【0067】
全体的に、異なったスカフォールドがそれを発現するペプチドに対して偏見を押し付けることができ、標的ペプチドの研究は有利に一つ以上のスカフォールドにおけるペプチドおよび/またはライブラリーと関与し、成功率を最大にすると理解されている。
【0068】
本発明のスカフォールドは研究者に、細胞内の環境に対する生体外およびその逆の観測に伸ばし、そして生体外における識別または細胞内における折り畳みパターンまたはジスルフィド結合の酸化状態に関する問題もなく使用することができるツールの創作として考慮させることを可能とした。
【0069】
本発明のスカフォールドを基にしたペプチドアプタマーは、診断の要素、予後の試験、またはヒトの疾患の治療のための主な組成物の形成の基としても使用することができ、薬剤標的を有効にすることができる。本発明のスカフォールドは、有利に全長のヒトタンパク質に基づき、生物学的な治療および/または遺伝子治療において実用的であることができる。
標的ペプチド
【0070】
本明細書に使用される‘標的ペプチド’の用語は所望のペプチドを参照する。標的ペプチドは好ましくは、異種性ペプチドである。異種性とは通常の状況から除去したペプチドを意味し、好ましくはスカフォールドタンパク質の産出、保持、またはディスプレイの配列において通常発見されない配列を有するペプチドである。ペプチドがスカフォールドタンパク質の配列の他の場所に発生する配列を有する場合、その結果‘異種性’であるためには、配列が背景から外れていることである。すなわちその自然発生のスカフォールドタンパク質ポリペプチド内の位置(アドレス)を占領していないことである。この背景において“位置”とは直鎖アミノ酸内の位置であって、他のアミノ酸残基に対して三次元空間の位置を意味する。標的ペプチドは人工的で、例えばスカフォールドタンパク質内に組み込んだペプチドのライブラリー構築を生み出すことであることができる。これらの実施形態において、人工的なペプチドは本発明の目的のために‘異種性’であることが考えられる。
【0071】
ペプチドアプタマーは細胞内において拘束されたペプチドで、タンパク質機能の研究に用いられるスカフォールドタンパク質を示す。いくつかにおいては、タンパク質間相互作用を分離することができ、いくつかにおいては細胞内のタンパク質解析のための分子ツールキットの創作を可能とする認識モジュールを構成することができる。
【0072】
特異的に結合することができ、特定のタンパク質が高い親和性を備える小分子をデザインまたは識別できることは、タンパク質マイクロアレイの発展、生細胞の背景におけるタンパク質の解析、および薬剤標的候補の有効性を含む多数の実験において律速段階である。自然界において、タンパク質間相互作用は折り畳まれたタンパク質の狭い表面によって仲介することができる。これはスカフォールドと呼ばれるタンパク質認識モジュールとして安定性のあるタンパク質の背景において示される小ペプチド表面の使用へと導いた。このような試薬は、本明細書においてペプチドアプタマーと呼び、システムの範囲で、生体タンパク質活性の分離に使用される。
【0073】
ペプチドアプタマーは、細胞内において、結合していないペプチドと比較して、より簡単に輸送され、より安定性があり、そしてその制限された折り畳みは結合の低エントロピー消費、それ故に標的タンパク質に対して高い親和性という結果になる。ペプチドアプタマーのタンパク質操作はそれらが分子ツールキットのデザインにおける認識機能を提供することを可能とするが、しかしこの潜在力は完全には気付かれていない。ペプチドアプタマーのその標的との親和性は10”8から5×10”9MまでとIQ107から10”11Mまでの範囲における抗体/標的との相互作用とを比較した。複数の挿入物を使用することによって、相互作用の表面積を増加し、ペプチドアプタマーを一致することができると予期するか、可能性として抗体の結合親和性が有利に超えるかである。それにも関わらず、ペプチドアプタマーは明らかに生体内のタンパク質間相互作用を分離する。ペプチドアプタマースクリーンをペプチドまたは抗体ライブラリーのファージディスプレイ法スクリーン(phage display screen)から区別し、実質的にミスフォールドの(misfolded)原核生物において発現しているタンパク質に対して行う、酵母もしくは哺乳類細胞におけるペプチドアプタマースクリーンを実施した。
【0074】
比較的広範囲な多数の他のタンパク質が使用されているが、使用するスカフォールドは大腸菌(Escherichia coli)タンパク質チオレドキシン(TrxA)である。この技術の成功はスカフォールドのロバストネスに定まるが、ペプチドの三分の一が不安定なGFPであることができる一方、多数のTrxAを基にしたペプチドアプタマーは培養されたヒト細胞において不安定な発現をしていて、これはスカフォールドがより十分に厳密でない発現をしていて、それ自体が部分的にアンフォールドしていないペプチドを示唆する。あるスカフォールドの背景から取り出してきた、他の頻繁にそれらの標的タンパク質と相互作用能力を欠失する部位のペプチドが、適したスカフォールドが使用されないと失敗する既知の標的との相互作用に制限されたスクリーンである可能性として挙げる。最後に、本ペプチドとして使用されるスカフォールドの生物学的活性は従来技術において厳密に特徴付けられていないため、ペプチドアプタマーが発現しているとき、いかなる表現型が観測されるかの問題において、少なくとも一部はスカフォールドの効果のためであって、挿入されたペプチドではない。従って、制限されたペプチドのプレゼンテーションにおいて、ロバスト、多用途、生物学的に中性なスカフォールドを産出した。実験系の範囲において安定した発現である一方、機能的に広範囲の標的と相互作用することができるペプチドを示すタンパク質を得た。このようなスカフォールドは、実質的にペプチドアプタマー技術をそのロバストネスを上昇することによって改善する。さらに、複数のスカフォールドのライブラリーを使用して、それぞれの標的に対して、同時にスクリーンし、有効なスカフォールドのレパートリーを広げることによって、本発明は有利に多数の標的タンパク質に対するスクリーンにおいて、正しいものが得られる可能性を高めた。
ステフィンA
【0075】
ステフィンAは、リソソームペプチダーゼのパパインファミリーであるシステインカテプシンのタンパク質阻害剤のシスタチンファミリーの発起メンバーである。シスタチンファミリーのステフィン下位群は比較的小さな(約100アミノ酸)単一ドメインタンパク質である。これらは既知の翻訳後修飾を受けず、ジスルフィド結合を欠失していることから、これらが細胞外および細胞内環境の幅広い範囲において、完全に同じ様に折り畳むことができることを示唆する。SteAそのものは単量体、短鎖、単一ドメインの98アミノ酸のタンパク質である。SteAの構造を解明し、SteAからSTMスカフォールドへの合理的な変異を促進した。唯一既知のシスタチンの生物学的活性は、カテプシン活性の阻害であって、操作したタンパク質の残部生物学的活性を徹底的に試験することを可能とする。従って、本来のSteAの操作したタンパク質の開示は、ペプチドアプタマースカフォールドとして実用的な変異を産出することができる。従来技術のペプチドアプタマーは、生物活性を識別する難しさから細胞を基にした、少なくとも部分的には最適以下の様々なスカフォールドの存在による性能が原因の分析において妨害された。本発明は、生体外および生体内におけるタンパク質間相互作用の研究を求める者に有用であり、役立つであろう実用的なスカフォールドを提供する。
ステフィンA配列
【0076】
ステフィンAを“基にした”スカフォールドは、ステフィンA由来の配列を有する。好ましくは、ステフィンA由来の配列はステフィンA野生型配列を含み、好ましくは本願明細書に記載の一つ以上の修飾(変異)を含む。当業者には明白な、比較的重要でない修飾が、本発明から外れることなくスカフォールド配列に作られた。特に、本発明はアミノ酸配列および/または核酸配列において、本明細書の対応配列と少なくとも25%、35%、45%、55%または60%同一性を有し、好ましくは少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、好ましくは少なくとも85%、好ましくは少なくとも90%、好ましくは少なくとも92%、好ましくは少なくとも94%、好ましくは少なくとも95%、好ましくは少なくとも96%、好ましくは少なくとも97%、好ましくは少なくとも98%、好ましくは少なくとも99%同一、またはそれ以上に関する、しかしながらそれぞれの場合、配列変異は‘重要でない’と考えられ、それらがスカフォールドの特性に悪影響を与えず、標的ペプチドを溶媒に示し、生物学的機能を、野生型ステフィンAを有する等、復元または作り出さないが、本発明の変異性の変化を取り除いた。
【0077】
さらに、比較的重要でない修飾は、また本明細書に開示のステフィンAまたはステフィンA由来の配列への小さな付加または欠失を含み、例えばステフィンA由来のポリペプチドに10アミノ酸以下の付加または欠失である。従って、本発明は本明細書に開示のステフィンAまたはSTMの配列に対して、40アミノ酸以下、好ましくは30アミノ酸以下、好ましくは20アミノ酸以下、好ましくは15アミノ酸以下、さらに好ましくは10アミノ酸以下、好ましくは9アミノ酸以下、好ましくは8アミノ酸以下、好ましくは7アミノ酸以下、好ましくは6アミノ酸以下、好ましくは5アミノ酸以下、好ましくは4アミノ酸以下、好ましくは3アミノ酸以下、好ましくは2アミノ酸以下、好ましくは1アミノ酸以下の総付加または総欠失を有するアミノ酸配列に関する。総付加または総欠失は重要な要素であるから、9以下の違いは9つのアミノ酸の欠失を意味し、3つの欠失はそれぞれ3つのアミノ酸、3つのアミノ酸の2つの付加、3つのアミノ酸の1つの欠失などである。本発明はまた対応する核酸変異に関する。それぞれの場合、それがスカフォールドの標的ペプチドから溶媒に示す特徴に悪影響を与えず、生物学的機能、例えば野生ステフィンAの有し、復元または作り出さないと仮定すると、配列変異は“重要でない”修飾と考えられる。
ステフィンAおよびSTMの変異
【0078】
変異部位の討論の背景において、“近隣”とは7アミノ酸以内、好ましくは5アミノ酸内、好ましくは3アミノ酸内、好ましくは2アミノ酸内、好ましくは所定のアミノ酸、または2つの隣接したアミノ酸の1つである。
【0079】
挿入物の背景において、核酸レベルの制限酵素部位、好ましくは特有の制限酵素部位を今後の挿入物の促進に導入することが好ましい。核酸の組み換え技術におけるこれらの内容および一般的な知識は、当業者に関連する制限酵素部位を導入する一方、スカフォールドの重要な特徴を維持している。“特有”とはスカフォールドタンパク質のコード化される配列が特有であることを意味する。非特有部位は使用されるかもしれないが、特有部位は挿入物の容易さ、構造の操作によって好ましい。2つ以上の部位が使用される場合、例えばステフィンA1のループ1のいかなるコドン67−84の除去および置換、好ましくはそれぞれ2つ以上の部位が特有である。しかしながら、二つ以上の部位が同一である場合、それは有利に除去および置換の工程を単純にすることができ、例えば一回の制限酵素処理のみ伴う。これらの選択肢は本発明の当業者の能力内の範囲において十分である。好ましい実施形態において、二つの同一部位はループの除去および置換を導入した。好ましく変異性の変化をコード化する配列に使用される制限酵素部位は異なり、コード化される配列内のこれらそれぞれ4箇所の挿入または修飾が容易な操作のため、異なった制限酵素を使用して作られた。
位置4の変異
【0080】
‘位置4の変異’という用語は本明細書において、好ましくはステフィンAのG4部位、STMのW4部位またはその付近で、好ましくはこの部位として使用され、変異はSteAまたはSTMのアミノ末端のアミノ酸残基の付加、挿入または置換を参照する。好ましくは、この様な変異はPro3付近、好ましくはG4(ステフィンA)またはW4(STM)付近である。好ましくは、このような変異がヒトステフィンAもしくはSTMのPro3の付近もしくは好ましくはこの部位である。最も好ましいのは残基4とRの置換である。
【0081】
好ましい実施形態において、位置4とは本明細書の上記のループ1および/または2の他の変異性の変化に加えて、第一、第二または第三の挿入部位として使用する。Rは正電荷のアミノ酸であって、従ってαヘリックスループの認識部位を覆うことを防ぐため、RよりはむしろGの存在が認識(標的結合)表面への近接性を増加する。さらに変異は単一のときアプタマーを不安定にしたが、アプタマーが一度標的に結合すると安定する。
コドン46−54のいずれにおける変異
【0082】
‘コドン46−54のいずれにおける変異’という用語は本明細書において周囲の変異、SteAのVAG部位またはSTMのDAG部位の周り、好ましくはこの付近または好ましくはこの部位である。VAG部位はQVVAG部位の48−50残基、ヒトSteAの46−50残基である。DAG部位はQVDAG部位の48−50残基、STMの46−50残基である。
【0083】
好ましくはこの付加、挿入または置換、好ましくはVAG/DAG部位付近または好ましくはこの部位を参照する。好ましくはこのVAG/DAG部位の付加または挿入を参照する。
【0084】
好ましい実施形態において、46−54番目の部位は本明細書の上記の変異性の変化と組み合わせた第一、第二または第三の挿入部位として使用した。
【0085】
ある好ましい実施形態において、VAG/DAG部位の変異はLASである。
【0086】
実験はD48LおよびG50Sの修飾が細菌系の発現増加を導くことを示した。
コドン67−54のいずれにおける変化
【0087】
‘コドン67−54のいずれにおける変化’という用語は本明細書において周囲の変化、SteAのVAG部位またはSTMのDAG部位の周り、好ましくはこの付近または好ましくはこの部位である。
【0088】
用語はこの部位の付加、挿入または置換を参照することができる。
【0089】
一実施形態において、変異はL73とL80、P73とL80の間の全ループといずれのペプチド配列、好ましくは異なる標的ペプチド配列の範囲(好ましくは1ペプチド配列毎ステフィンスカフォールド分子)、すなわちライブラリーを含むことができる。
【0090】
核酸レベルにおいて、好ましい変異はこれらのループ内の挿入で、制限酵素部位をもたらし、より好ましくはこのループをコード化される配列の置換の二箇所の制限酵素部位である。特に好ましいのは、制限酵素部位がRsrII制限酵素部位である。
【0091】
好ましい実施形態において、ループ2部位は第一、第二または第三の挿入部位と本明細書の上記の変異性の変化との組み合わせとして使用される。
【0092】
本発明にかかる二つの新しいスカフォールドにおいて、変異性の変化はNGP(SQMはL82RとT83Sを有し、そしてSQTはE78AとL80Rを有する)で操作し、親タンパク質とかなり異なるため、最も予期していなかったが、それぞれE.coliにおいて高発現を示す。SQMおよびSQTは双方とも円偏光二色性に示すように、親タンパク質とかなり異なるため、最も予期していなかったが、安定した構造を有する。
【0093】
これらのアプタマー内に挿入したペプチドは抗体結合実験で示すように溶媒から得られ、有利にこれらのタンパク質は固体表面に付着したとき、これらの結合および機能を保つ。さらにこれらは三つの挿入物の位置による表面積の増加を有し、それ故に高い結合親和性を生み出し、実験はSQMがペプチド挿入物の特有のセットと共に正しく折り畳み、結合部位を遮蔽することができるダイマーを形成しないことを示し、これはSTMと対象であり、従って従来技術と比較して重要な利点を提供する。さらに本発明のペプチドアプタマーライブラリーのスカフォールドは、例えばSQMを用いて作成することができ、従ってアプタマーはヒト組織内の標的と複数の結合表面によって相互作用する潜在力を有することを確認できる。
挿入物
【0094】
好ましくは、挿入物がヒトステフィンAのL73−L80ループまたはSTMのP73−L80ループ付近または好ましくはその部位、より好ましくはアニーリング配列にコード化されている二残基LeuAlaと共にで、従ってスカフォールドタンパク質は基のステフィンAより二残基長い。
変異の組み合わせ
【0095】
好ましくは、本発明にかかるスカフォールドタンパク質はステフィンAまたはSTMを基にしていて、少なくとも一つの上記変異を含む。好ましくは、スカフォールドタンパク質は、少なくとも二つまたは三つ全ての上記変異を含む。好ましくは、本発明にかかるスカフォールドタンパク質は三つ全ての上記変異と残部のタンパク質ステフィンA、STMまたは他の変異の一つのいずれかと共通点を有する。さらにもしくは代わりに、末端の変異は位置72/73または82/83で、ステフィンAまたはSTMのいずれかの最後の25または最後の15アミノ酸の除去または置換は終止コドンが続く。標的ペプチドを有利に三つのいずれかの好ましい変異部位に挿入することができる。より高い実施形態において、ステフィンA/STMを基にしたスカフォールドタンパク質は総合で三面の表面を使用することを考慮に入れた。これらの表面は位置4のループ1およびループ2(図2)と定義する。
固体相およびマイクロアレイ
【0096】
上記のように、本発明はマイクロアレイの応用を見出した。固体相の実施形態において、マイクロアレイ実施形態などは、本発明のスカフォールドタンパク質が、好ましくは解析のため会合または固体相の基質に付着させ、促進するために操作した。好ましくは、これは金のコーティングに留めるか、ビオチンとの関連である。スカフォールドの操作のために、金のコーティングに留めるか、好ましくは一つ以上のCys残基をスカフォールドタンパク質のCまたはN末端に導入した。スカフォールド固定の操作のため、ビオチンで留めて、好ましくは8アミノ酸のビオチン結合ドメイン(“strepタグ”)の 一つ以上のコピーを前記スカフォールド内に導入した。固定はこれらの一つ以上またはいずれか他の適したものであることができる。好ましくは、本発明のスカフォールドタンパク質が固定化されたものである。好ましくは本発明のスカフォールドタンパク質を固定して操作することである。好ましくは、本発明にかかる相互作用試験を固定されたスカフォールドタンパク質を使用して実施することである。
本発明のさらなる利点
【0097】
ステフィンAを基にしたスカフォールドタンパク質は、これらを生体内において使用するものであるから、ペプチドの使用に優れていることである。さらに組み換え系の使用において、これらは合成ペプチドの研究より安いものである。さらに、ライブラリー構築は、同じ理由から合成ライブラリーの使用より安いものであり、さらにこれらは核酸の操作に用いて合理的なデザインをすることができるからである。これは複雑なペプチド合成の化学に頼ることを減少する。
【0098】
ステフィンAを基にしたスカフォールドタンパク質は、これらが細胞内部である一方、ファージディスプレイ法は細胞外相互作用に頼っているので、従来技術、例えばファージディスプレイ法スクリーンより優れている。さらに本発明のスカフォールドタンパク質は、組み換え標的よりはむしろ自然の標的に使用することができる。これは生体内における正確なリン酸化、グリコシレート、または他の翻訳語修飾されるが、おそらく生体外における産出は正確に形成されないであろう翻訳後修飾タンパク質の観測を許容し、さらなる利点を有する。
【0099】
本発明にかかるスカフォールドタンパク質のさらなる利点は、これらが自然に起こるスプライス変異および生体内における解析のためにそれぞれ一つずつの産出、それらの配列、または他の区画化を有さずに産出される翻訳後修飾変異のスペクトルの疑問を許容する。
【0100】
本発明のさらなる応用は、スカフォールドタンパク質を基としたステフィンAとの相互作用の出力としてのマイクロカンチレバーの使用である。さらに本発明のスカフォールドタンパク質は、特に電気化学および/または薄いフィルムのトランジスタ出力の使用に適している。
【0101】
本発明のスカフォールドのさらなる利点は、本発明のペプチドアプタマーが抗体の代用品であることができ、結果はそれらがより良く実施できることを示し、例えばCDK2はペプチドアプタマーの使用において抗体より迅速に検出された。従って、抗体の使用よりはむしろペプチドアプタマーの使用は、より少数の動物が分子プローブの生産に必要とされ、科学の研究で重大な利点を提供する。
【0102】
本発明を、現在参照の以下の図に示した例として記載する。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】E. coliにおけるSTMの発現および溶解性を示す;図1AはSUN、SUMおよびSTM変異体を示し、図1BはSUCおよびSDM変異体を示し、そして図1CはSQM変異体を示す。
【図2】NMR溶液構造におけるSTM変異において、ループ1のコドン4、コドン48−50、ループ2のコドン67−84、そしてコドン91−92をCn3DソフトウェアおよびPDB座標IDVD(Martin et al. 1995 ‘The three−dimensional solution structure of human stefin A.’J Mol Biol,vol246 pp331−43)を用いて作成した。変異部位は修飾されたステフィンAタンパク質の産出を示す。
【図3】SDM、SUC、AUM、SUN、SQM、STM W4RおよびSTM参照プロットの円偏光二色性(CD)分光法解析において、左回り円偏光に対する右回り円偏光の吸収の違いを測定し、構造非対称から生じた、STMおよび新しい変異に保持された二次構造の比率を説明する。
【図4】長期保管に続くSTM、SDM、SQM、SUM、SUN、SUC、pep6M、pep9Mおよびpep10Mの円偏光二色性(CD)分光法解析を示す。
【図5】独立したSTM、SDM、SQM、SUM、SUN、SUC、pep6M、pep9Mおよびpep10Mの調製の円偏光二色性(CD)分光法解析を示す。
【図6】SQTおよびエピトープ標識したその変異体:SQT−AUI(1)、SQT−AUI(2)、SQT−HA(2)、SQT−myc(1)、SQT−myc(2)、SQT−AUI(1)、AUI(2)、SQT AUI(1)、HA(2)およびSQT AUI(1)、myc(2)の円偏光二色性(CD)分光法解析を示す。
【図7】エピトープ標識したSQM変異体:SQM−myc(1)、SQM−AUI(2)、SQM−myc(n)AUI(1)、SQM−AUI(1)、HA(2)、SQM−myc(n)、AUI(1)、HA(2)、SQM−HA(n末端)、SQM−myc(2)、SQM(21ランダムループ1)、SQM−AUI(1)、SQM(AUIx2、ループ1)、SQM−HA(n)、AUI(1)、SQM−HA(n)、myc(2)、SQM−AUI(1)、myc(2)、SQM−HAx2(n)、AUI(1)、myc(2)、SQM−HA(n)、AUI(1)、myc(2)およびpep22(Trx)を指定するペプチドアプタマーの円偏光二色性(CD)分光法解析を示す。
【図8A】図8AはAUIペプチドの抗AUI抗体による免疫沈降を示す。
【図8B】図8BはSQM−myc(ループ1)の免疫沈降を示す。
【図8C】図8CはSQT−HA(ループ2)の免疫沈降を示す。
【図9】マイクロアレイ実験において、異なった部位でのペプチドアプタマーと異なるエピトープの結果を示す。
【図10A】抗体/エピトープ相互作用をSQMスカフォールドの背景における表面プラズモン共鳴(SPR)測定を示す。図10AはpH7.3における33nmのAnti−Myc(赤)、Anti−HA(青)、およびAnti−Au1(緑)の溶液および化学吸着SQM(Nt Ha、L1 Au1、L2 Myc)単分子層(黒)に固定した10mMリン酸緩衝液の比較を示す。
【図10B】図10Bは異なった濃度のAnti−Mycが飽和速度関数M=(C×Bmax)/(C+K)に一致し、平衡定数50×10−9Mを生じるSPR反応を示す。
【図11】ループ1(上)、ループ2(中)またはアミノ酸末端(下)に挿入した864ランダムペプチドアプタマーを含むマイクロアレイの結果である。
【図12】SQM(SQM−pep6)およびSQT(SQT−pep10m)におけるぺプチドアプタマーの使用で、ヒト(HeLa)細胞の二通りのライセートにおける内因性cdk2発現を検出した。
【実施例】
【0104】
実施例1
図2を参照とし、ステフィンAの三次元構造および本発明の新しいスカフォールドタンパク質の産出のため、ステフィンA内の三箇所に変異を作ったことを示す。これらの部位は:ステフィンAについてはG4またはSTMについてはW4の部位;ループ1を拘束するコドン46から54までを含むいずれのコドン;特にコドン48−50;いずれのコドン;ループ2に拘束するコドン67から84を含有するいずれのコドン、特に70−73の変異。修飾されたステフィンAまたはSTMポリペプチドのスカフォールドタンパク質としての使用は記載のようにステフィンAの配列を変異によって作成した。ステフィンAを基にして得られたタンパク質であるが、特異的な変異性の変化は上の本明細書に開示の既知の配列を有する。
実施例2
【0105】
図1はE. coliでのSTM発現および変異体の例を示す。本明細書に開示のSTMおよび変異体のオープンリーディングフレームは、アミノ末端尾に付加の機能を含む、システイン残基(全ての示した変異体に存在する)またはStrepIIタグ(STMのみ)等の工作をしたE. coli発現ベクターpET30a+型でクローンした。StrepIIタグに挿入した8アミノ酸の付加は、STMタンパク質と他の変異体の遊走を比較するとわずかな違いを占めた。これらの発現ベクター(expression construct)を有するE. coli細胞は、STMおよび変異体タンパク質(*で強調する)の発現を誘導するイソプロピル−β−d−チオガラクトピラノシド(IPTG)の欠乏(−)または存在(+)で培養した。37℃で誘導から3時間後、細胞を超音波処理で溶解し、10分間16,000×gの遠心後、総細胞ライセート(T)または溶解物(S)の部位に回収して、15%のポリアクリルアミドゲルに負荷した。タンパク質をクーマシィー染色によって視覚化した。この方法で限界に達するまで、それぞれ100%の示したタンパク質(SUN、SUM、STM、SUC、SDMおよびSQM)が可溶性成分に回収することができ、これは変異体タンパク質の残物がE. coli内において折り畳むことができることを示す。
実施例3
【0106】
新しいペプチドのデザインの合理的な方法において、ステフィンAおよび/またはSTMを基にした新しいスカフォールドタンパク質の産出を実施した。本発明の新しいスカフォールドタンパク質が、生体外および生体内における研究の広範囲において実用的な質を有する理想的なスカフォールドを有することを必要とし、これらの要素が新しいスカフォールドのデザインに応用されるであろう。
【0107】
ステフィンAまたはSTMの小さな、安定性のある細胞内プロテアーゼ阻害剤から始め、親タンパク質が安定した構造を保持する、生物学的に中性な多数のスカフォールドを操作した。異種性型新しいスカフォールドタンパク質は、既知の相互作用物の背景およびライブラリースクリーンの双方において、所望の標的に結合するペプチドを示すことを期待する。スカフォールドを基にした分子ツールとして生物学的な経路の研究の幅広い範囲および薬剤標的の検証を見出した。SteAは既知の翻訳後修飾を受けない、ジスルフィド結合を欠失した、98アミノ酸の単量体、単一ドメインタンパク質である。SteAは遷移と共に、SteAを基にしたスカフォールドの全ての重要な特徴である、98℃の観測および490kJ/molの折り畳みエンタルピーにおいて、驚くべき熱安定性を示した。
実施例4
【0108】
STM変異体発現プラスミド(全てはpET30a+を用いる)をE. coli内において変形した。単一のコロニーを接種し、一晩37℃で振とう(軌道振とう機で250rpm)による増殖で培養した。翌朝、それぞれ0.5mLの一晩培養した液体を、pET30プラスミドに対する選択を維持するためにカナマイシンを追加した500mLの新しい培地に接種した。培養が対数期の中央(OD600〜0.6−0.8)に達したとき、様々なタンパク質の発現を誘導した。培養液にさらに3時間、37℃のまま、振とうしながら培養した。E. coli細胞を遠心によって採取し、French Pressを用いて溶解した。ライセートを遠心によって澄まし、STM変異体タンパク質はNiキレート親和性クロマトグラフィーを用いて得られた上清から精製した。これに0.5mLのNi−NTAアガロース(QIAgen)を20mLのライセートに使用した。樹脂を50mLのファルコンチューブにて700gで2分間遠心し、上清を取り除いた。樹脂を2.5mLの1×Equilibration/Washバッファーで、樹脂をバッファーに再度けん濁し、その後700gで2分間、4℃で遠心し、上清を取り除く洗浄を3回行った。ライセートを洗浄した金属の親和性樹脂と組み合わせ、ローラー上において2時間、4℃で培養した。ライセートのアリコートを次の解析に保持した。樹脂をライセートから700g、5分、4℃で遠心し、分離し、上清を取り除いた。さらにライセートのアリコートをその後の結合親和性解析に保持した。樹脂を10mLのWashバッファーで(50mM NaH2PO4、300mM NaCl、20mMイミダゾール、pH7.4)、ビーズをバッファーに再度けん濁し、その後700gで2分間、4℃で遠心し、上清を取り除く洗浄を6回行った。樹脂を1mLのElutionバッファー(50mM NaH2PO4、300mM NaCl、150mMイミダゾール、pH7.4)と共に10分間室温で培養した。けん濁液を700g、5分間遠心し、上清を保持した。このステップをさらに二回繰り返し、さらに二つの溶出画分を得た。画分と最も高濃度のタンパク質を保持し、4℃に保管した。円偏光二色性のため、サンプルを50mMリン酸バッファーpH7.4にバッファー交換した。サンプルを解析する日に約0.3mg/mLまで希釈し、正確なタンパク質はNanoDrop分光光度計を使用して測定した。図1に示す部位において、1mM DTTを解析直前に直ちに加えた。CDスペクトラムをJasco J715分光偏光計を使用して200から260nmにおいて収集した。スペクトラムをモルタンパク質濃度および残留モル楕円率に標準化し、プロットすることで、サンプル間の不自然な結果を最小にした。
実施例5
【0109】
ステフィンAおよびSTMを基にした本発明のスカフォールドタンパク質を構造的に安定しているか、DNA(オープンリーディングフレーム)レベルで作った変異が新しいステフィンA/STMの変異体のアミノ酸配列を変異に導き、タンパク質の安定性を減少するかを明確にし、全ての本明細書に記載の変異体を発現させ、円偏光二色性の対象として、それらの二次構造組成物をステフィンAと比較した。図1に参照し、全てのタンパク質がE. coli内において同等、通常約28mg変異体のタンパク質/mLの細菌培養液に発現していることを見出すことができる。その後、タンパク質はNiアガロースを使用して、ほぼ均一に親和性クロマトグラフィーによって精製し、精製した調製物を円偏光二色性解析の直前に0.3mg/mLまで希釈した。前述のように、円偏光二色性解析はタンパク質をほぼUV波長の範囲に渡ってスキャンすることからなり、例えばライトの楕円率はタンパク質の二次構造要素(αヘリックスまたはβストランド)に影響する。
【0110】
図3を参照に、二次構造の割合はSTMおよび本発明において好都合にSDM、SQM、SUM、SUNおよびSUC(上記の本明細書で定めた配列番号:9−13)として参照される新しい変異体の間において保持され、STM内の挿入物の存在はその構造に悪影響を与えない。特に注目すべきは、二つの変異体(SUNおよびSQM)の外見が、他のスカフォールドタンパク質試験と比較して構造上昇していることである。これはこれら全てのタンパク質に存在するアミノ末端尾の二次構造の取得のためであることができ、位置4のグリシン(ステフィンA)またはトリプトファン(STM)をアルギニンに置換することによって誘導され、これがSUNおよびSQMに共通する唯一の変異で、これらはこの変異を有する唯一の変異体である。最小の変異をSUN、SUM、SUCおよびSDMにおいて考慮するとき、結果は主な変曲点の場所である218nmはそれぞれの変異によって大きくは影響されないことを示し(図3)、これはアミノ酸変異が一般的にタンパク質を不安定にして、ステフィンA由来の二次構造の割合はアミノ酸変異によって変異しないことを予期することを示す。その一方、変曲の深さを変異体の間において著しく変えた(図3)。
実施例6
【0111】
保存効果を検索した。図4は4℃で2週間、pH7.4のリン酸化バッファーで保存した後、濃縮したストックの全スカフォールドタンパク質変異体の試験をして、二次構造の比率を同じサンプルの作りたての希釈液を解析したとき(図5と比較)保持していることを示す。これは大半のタンパク質が完全に変性したか、保存ビンに吸着したため欠失しているため、この時点ではキャリアタンパク質の大量を添加しない限りとても驚くべきことである。このステップにおいて、ペプチドアプタマーの高い精製の調整、即ち診断および分析解析において関連性のないタンパク質、例えばキャリアタンパク質の存在の結果からなる非特異的なシグナルを最小にする使用が目標であるため、即ちキャリアタンパク質の添加は好ましくない。結論として、新しいスカフォールドタンパク質ステフィンAタンパク質の変異体は、明白な利点となる結果はないが、単純なリン酸化バッファーに保存することができる。この観測は新しいスカフォールドタンパク質ステフィンAの変異体の工業的な応用を補助する方法である。
実施例7
【0112】
円偏光二色性はまたSTM、SDM、SQM、SUM、SUN、SUCおよび3つのペプチドアプタマーのpep6M、pep9M、pep10M(図6)の変異体に実施した。DTTを添加し、アミノ末端尾に存在するシステイン残基の発現変異体タンパク質が、実験に影響を与えることができる分子間のジスルフィド結合の形成を妨ぐことができる。DTTの有無は観測された二次構造に影響ないが、DTTそのものがほぼUV範囲のシグナルの一因のため、その欠失のとき得られたスペクトラムの解析は比較的簡単であった。これらの結果はDTTが本発明のスカフォールドタンパク質の二次構造に影響しないことを示した。
実施例8
【0113】
ループ1および2の双方に加える変異において、位置4の部位に変異性の変化を含有するSQM変異体(配列番号:10)を、すなわち単一のスカフォールドに複数の挿入部位、そのスカフォールドタンパク質ディスプレイ法の特徴として評価した。ペプチド(HA、AU1またはMYC)をそれぞれ4、48、および72/82番目の部位に挿入し、円偏光二色性データを作り出した(図7)。円偏光二色性解析データは新しい挿入部位がペプチドの相互作用を示す特徴のみではないが、それらは重要な構造欠失がないことを示す。
実施例9
【0114】
二つの方法によってスカフォールド構造のアミノ酸変異の結果を得るために使用した。第一の方法は、おおざっぱにE. coli内のタンパク質操作の相対発現レベルを大半のアミノ酸変異がタンパク質を不安定にするという論理を定めた。以下の表1は細菌培養からの様々なスカフォールド変異体の発現収率が生じ、収率はmgの精製タンパク質毎培養液のリットルとして起こる。
【0115】
【表1】
【0116】
二番目に使用された方法は、直接それぞれのタンパク質を円偏光二色性(CD)によって二次構造の要素を評価する。E. coliのタンパク質収率を比較したとき、それは、それぞれステフィンA内のSUN、SUM、およびSUCに少しの効果、もしくはSTM(表1)と比較して上昇した収率を導き出すことを見出した(表1)。これはまた二つの変異の組み合わせ(SDM)またはSQM一つのタンパク質内に三つ全ての変異があるとき当てはまる。実に、SQMの4調製のタンパク質の平均収率が、58+/−29mg精製したスカフォールド/細菌培養のリットルである一方、三調製のSTMの培養の収率が58+/−41mg精製したスカフォールド/細菌培養のリットルであった。
【0117】
異なったSTM変異体のCDスペクトラムを200nmから260nmの間で得た。CDスペクトラムのプロットの形の変異は折り畳まれたαヘリックスおよびβシートの容量の変異を示していると考えられる。全てのSTM変異体における同様の約218nmの変曲点のCDスペクトラムは、導入した修飾(図3)によるかく乱作用のない同様の構造を示した。しかしながら、観測されたCDスペクトラムの振幅差は、またSTM(図3)と比較してSDM、SUCおよびSUMにおいても見られ、ゆるやかな曲線を示し、SQMおよびSUNにおいてはなだらかな曲線を示した。説明の可能性として、折り畳みの安定性の強化が考えられ、即ち正しく折り畳まれたタンパク質の平均の一定時間の容量が、STMと比較して、SQMおよびSUNの溶液において高上していて、高い楕円率の出力の結果に至った。CDスペクトラムに基づいて、得られたタンパク質の収率との組み合わせ(表1)によって、それはSQM変異体がスカフォールドタンパク質であることがあり得ることが断定された。
実施例10
【0118】
調査をSQMがペプチドの相互作用を示すことができるか否かであって、試験は、SQM内に作成された新しい部位が存在するとき、単純なエピトープタグがそれらの類似抗体に認識されることができるかによって実施された。長さおよび物理化学的な特徴双方において異なる、三つのエピトープが選択された(AU1、HAおよびMYCタグ)。これらのペプチドをスカフォールド内の可能な位置(N末端、ループ1またはループ2)に単一または様々な組み合わせによって挿入した。始めに、HAタグをアミノ末端部位、AU1タグ(最短ペプチド)をループ1の中、Mycタグをループ2の中に挿入した。驚くべきことに、アミノ末端内のHAタグの挿入物の許容はとても低く、タンパク質の収率は空スカフォールドと比較して約2.5倍であった。同様に、E. coliにおいてMycタグをループ2の中に挿入した結果は>5倍低下であった。その一方、ループ1内におけるAU1タグの挿入はSQMを不安定にせく、実際収率(表1)を上昇することができる。
【0119】
総合すると、タンパク質発現データはSQMがペプチドをアミノ末端、ループ1およびループ2の3カ所において示すことができることを現した。そのうち新しいループ1部位は最も広範囲において実用的であるように見られる。
実施例11
【0120】
実験は、上記のペプチドアプタマー2内のSTMスカフォールドに存在する短いペプチド由来の形状の挿入による効果の評価によって実施した。これらのペプチドは様々な長さ、10残基(A48、A52、およびA58)、17残基(A7)、および22残基(A52直列)の長さである。これらのA7のみがSTMタンパク質の二次構造に影響した(データ未記載)。驚くべきことに、同じペプチドをSQMのループ2の中に挿入したとき、二次構造の割合がそれぞれの得られたペプチドアプタマーの変異に至らなかった(データ未記載)。これはSQMがSTMよりペプチド挿入に耐えられることに優れていることを示した。さらに、実験を上記三つの部位内(表1)におけるエピトープタグの結果として得られたペプチドアプタマーの二次構造の割合に対して挿入効果を評価するため実施した。結果は予期せず、タンパク質収率を減少するそれらの挿入物でさえ、感知できるほど得られたペプチドアプタマー(図7)の二次構造の分離をしないことを示した。しかしながら、それはN末端部位変異のペプチドの存在が曲線の形状を変え、変曲点を218nmから209nmに向かって押す(図7、SQM−Ha)。これがスカフォールド構造のこの部位への挿入の一般的な効果に反映するか明確にするため、SQM由来ペプチドアプタマーとループ1および/またはループ2内への挿入、並びにアミノ末端全ての挿入の範囲におけるスペクトルを解析した。これは常にこれらのタンパク質がN末端部位に挿入物を欠失している相応のタンパク質より少ない二次構造を有することを見出した(図7)。
実施例12
【0121】
制限内であると、モデルペプチドをそれぞれ本発明の三つの部位に挿入することが可能だと断定され、挿入ペプチドアプタマーが免疫沈降することができることを見出した。図8Aを参照に、AU1ペプチドをループ1内に挿入する免疫沈降を示し、ループ1内へのAU1ペプチド挿入が抗AU1抗体結合の十分に密接で、ペプチドアプタマーが免疫沈降できることを示す。図8Bおよび8CはまたSQMのループ1(AU1およびMYC)そしてSQT(HA)のループ2のエピトープタグ付のスカフォールド変異体のエピトープ類似抗体によって認識することができることを示した。これはマイクロアレイ構成を使用した他のエピトープタグが同等に良く認識されることを確認した(図9)。ペプチドアプタマー(Pep2、pep6、pep9またはpep10m)はループ2内のSQMまたはSQTをガラス顕微鏡スライド上にアミン化学を使用して固定し、溶解、標識されていない工業用のソースのCDK2(New England Biolabs)活性によって探索(probe)した。長い間洗浄した後、固定されたペプチドアプタマーに結合したCDK2は抗CDK2抗体および標識された二次抗体を使用して検出して、標準のDNAマイクロアレイスキャナーを使用して画像化した。データはSQMが他のスカフォールドよりpep6に比較的良く存在するのに対して、SQTは他のスカフォールド変異体よりpep10mにおいて比較的良く存在することを臨床的に関連のある範囲において示した。空のSQTスカフォールドは低いシグナルを発し、これをバックグラウンドとして設定した。E. coliから精製された異なる部位におけるペプチドアプタマーと異なるエピトープをガラススライドにニッケルキレート(それぞれのペプチドアプタマーのヘキサヒスチジンタグを捕らえ、方向付けを制御する)または単純にポリLリジンのいずれかによって印刷した。全てのプリントは、始まりから終わりがプリントバッファースポット(print buffer spot)および遊離SQMスポットであって、常にシグナルが得られなく、ネガティブコントロールとして働く。全ての場合、抗体吸収率は特異的である。これらの結果をSPR(図10)で確認した。抗体は次の順にSQM標的に対して、最も高い親和性を有する:33nM溶液の噴射によって抗Myc、抗Haおよび抗Au1と表面濃度の変化0.4、0.13、および0.02pM cm−2を観測した(以下の表2)。これらの値は比較的定性的な平衡定数の降幅Kを示す。抗Myc抗体に対するK値は〜50nMの位数として算出され、抗シスタチンにおける同様の研究と一致する。抗Haおよび抗Au1に対するK値ヲSPR分析の非理想的な作用によって正確に測定した。抗Haは急速で、激しい関連性の急上昇後、同様の性質の分離として二番目に遅い関連性の要素を示した。このような性質は、複数の工程が起きていること、複数の代わりのスカフォールド末端構造の結合の結果によるものであることができるか、または商業用のサンプルの不純物を示す。あるいはそれはとても早い速度の結合および分離定数の結果であることができる。AU1はMycに対してはっきりと変化した分離関連曲線として同様な反応を示したが、完全に固定した等級抗体が大幅にca2位数の大きさで減少したことが見られた。HaおよびAu1の場合、K値は明白に50×10−9M以下である。
【0122】
表2は、抗体が三つ全てのエピトープタグからなるSQMアプタマーに共有結合した相対的な反応を示す。
【0123】
【表2】
【0124】
サンプルの結果は、二つの表面の間において同等の質で、基本となる違いは見られなかったが、ノイズシグナルおよび再現性はアミン表面より優れている。表面間の類似は双方のランダムな方向性および制御された方向性の場合を示し、三ループ全ては周囲に開放されていて、処置することができる。N末端のループ1または2に設置した類似エピトープが有する変数の結合親和性の証拠はない。実験はまた上記濃度の抗体を混合物に同時に加えて繰り返した。同程度の結果が全ての場合において、ループがそれぞれ他から十分に分離されていること、独立して反応を示すことが見られた。ループが隣接したループの抗体結合の阻害であることの証拠がないことが見られた。操作されたスカフォールドは予期しないほどの広い表面積において、タンパク質または450kDaまでの複数のタンパク質複合体を認識すると推定し、相性の良い三つの抗体分子の結合と同時に相互作用を示すことができる。
実施例13
【0125】
それぞれ三つの部位に挿入された864のランダムペプチドの発現プロフィールを解析した。この実験において、小スケールの培養物を96穴プレートのランダムペプチドアプタマーで成長させ、高い処理量のペプチドアプタマーを精製し(すなわちそれぞれの穴に最適な発現または精製プロトコールなしに)、それぞれのペプチドアプタマーを等体積でガラスの顕微鏡スライドにスポットし、小さいマイクロアレイを作り出した。マイクロアレイをその後、スカフォールドタンパク質を認識する二つの抗体によって検出した。得られたシグナルの強度と抗体は、その後それぞれの特徴のアレイにおいてペプチドアプタマーの量と比例する。結果はループ1およびループ2への挿入が、一般的に良く発現していることを示した一方、ほぼアミノ末端挿入物の50%があまり優位に発現していない(図11)。結果は試験した384のうち68%のペプチドアプタマーとSQMのループ1内への6アミノ酸の長さのランダム挿入物が良く発現していて、16%の発現が低レベルであることができる一方、15%の発現が検出することができない。結果は試験した384のうち76%のペプチドアプタマーとSQMのループ2内への12アミノ酸の長さのランダム挿入物が良く発現している一方、14%の発現が低レベルで、10%が全く検出されなかった。最後に、アミノ末端内の192ペプチドアプタマーとランダム挿入物の内、35%のみが良く発現している一方、32%の発現が低レベルで、32%が全く検出されなかった。
【0126】
結論として、多数の異なったペプチドがアミノ末端部位において挿入できることを示すが、これらはまたしばしばスカフォールドの安定性に不利である。それに応じて、スカフォールドおよび本発明の新しい部位が、標的タンパク質と広い表面積の使用、従って高い親和性および特異性で相互作用するペプチドアプタマーの産出に使用することができることを提案した。
実施例14
【0127】
ループ2のさらなる操作の試みによって、STMと比較して、82−83部位における新しい変異の不安定効果を始めた。従って、新しいスカフォールドはアミノ末端のループ1においてSQMと同様の変異を有し、また71−NGP−73を有するが、現在は野生型(ステフィンA)配列78−EDL−80と78−ADR−80、77−SDRL−80、または78−NTD−80のいずれかと置換し、操作した。これらそれぞれの変異は、ループ2内のペプチドをコード化するオリゴヌクレオチドの導入による二つのRsrII部位の使用に許容なようにデザインした。これらの78−ADR−80バージョンは比較的柔軟性があることを立証した。新しいスカフォールドはSQTとしてデザインした(配列番号:24)。E. coli内のSQTのタンパク質発現の収率はそれらのSQM(表3)と比較して減少していることを見出した。しかしながら、SQTのバージョンとループ2への挿入の収率は、SQM(表3)のループ2内へ同じ配列を挿入したものと比較して、常に改善している。これらの違いは、ループ2内のAU1として最も公表されていて、発現レベルが、SQMを使用したとき1Lの細菌培養液から1mgペプチドアプタマー以下であったが、45mg/Lの培養液とSQTであった。表3はペプチドアプタマー発現のペプチドの収率を1リットルの細菌培養液から通常の条件において得られる精製したタンパク質のmgとして示す。
【0128】
【表3】
【0129】
ある驚くべき観測は、ループ1単独の挿入物の発現収率がSQMにおいてSQTより高いことができる。例えば、25mgのペプチドアプタマー毎リットルの培養液がSQT−AU1−ループ1から得られるが、103mg毎SQM−AU1−ループ1であるかこれは一般概念ではなく、ペプチドアプタマーとループ1内のMycエピトープ(表3)より効果は反対であった。ペプチドアプタマーとSQTのループ1およびループ2内への二重挿入物は一般的に良く発現していて、SQMの同じ組み合わせの収率において改善を示したが、SQM(表3)のループ1内へのAU1タグおよびループ2内へのHAタグを挿入したとき、今までは高い収率がペプチドアプタマーにおいて得られた。
【0130】
別の手段のペプチド挿入の効果を考慮したとき、SQTはモデルCDK結合ペプチド(pep2、6、9および10m)またはMycエピトープの存在を見出した。一般的に、SQTはSQMよりこれらのペプチドを受容することができることに優れている。しかしながら、驚くべきことに、SQTはSTMより少しの(pep2、pep9)または一切認められない(pep6、pep10m)利点を有しているように見られる。これらのデータはスカフォールドおよびループ内へのペプチド挿入物の最小の操作が比較的複雑な変異より、これらが二次構造の分離を最小にするようデザインしたとしても、容易にできるとされている。
実施例15
【0131】
SQTのループ1を用いたライブラリー構築の効率を改善するために、
【化4】
(配列番号:26)をNheI部位内のオリゴヌクレオチド配列に、5’末端のNheI部位と3’末端のSpeI部位を使用して挿入し、後者は切断したNheI部位の切断をアニールしたとき欠失し、これはまたSTMオープンリーディングフレーム内の3’NheI部位欠失の結果に至った。挿入したオリゴヌクレオチドは、ペプチドをコード化するオリゴヌクレオチドの挿入に使用することができる3つの新しい制限酵素サイト(StuI、BCIIおよびNcoI)を有する。変性スカフォールドの最後の配列のこの部位において、新しいリンカー鎖はDNA:
【化5】
からなる。タンパク質:
【化6】
と挿入したオリゴヌクレオチドをコード化するアミノ酸を小文字で示す。リンカー鎖のNhe1およびNcoI部位を用いたオリゴヌクレオチド挿入は、SpeII/NheIアニーリング配列にコード化される二残基(LeuAla)の挿入の終結という結果となるであろう、そしてSQTスカフォールドタンパク質は従って、従来のステフィンAより二残基長い。これを延長したスカフォールドSQLと呼ぶ。この方法がライブラリー構築を改善に必要とする、5’−NheIおよび3’−NcoI部位による隣接塩基配列(flanked sequence)にSQL内の一致する部位のランダムオリゴヌクレオチドを挿入した。形質転換細胞の配列を決定した全20に対して、単一な正しい挿入物をそれぞれのクローンにおいて示す一方、NheI部位を単独で使用したとき、クローンしたとき、形質転換細胞の24配列中、8つのみが必要とされるものであった(単一の挿入物、正確な方向)。他の9つのクローンは空プラスミド(不十分な処理(digestion)および脱リン酸化ステップを示す)、3つのコンカテマー(オリゴヌクレオチドをライゲーション前にそれぞれ他のスカフォールドORF内においてライゲーションした)、4つは間違った方向であった。これらの数は、両端をNheI部位によって隣接塩基配列にされたランダムオリゴヌクレオチドをSQTのNheI内に挿入したとき、これら得られたものに対して方向付けられた挿入物を使用によって広大な改善を示した。従って、オープンリーディングフレームの核酸配列を変えて、SQTRsrII部位の代わりに、Xmal部位を作成した。これはSQTのアミノ酸配列に変異を及ぼさないような、ループ2と同様の手段を実施した。これはSQTのアミノ酸配列に変異を及ぼさない。
実施例16
【0132】
二つのペプチドアプタマーがCDK2に対して明白に最も高い親和性をマイクロアレイ実験における表示は、“免疫ブロット法”プロトコールを使用し(またウェスタンブロット法と呼ぶ、図12参照)、抗体の代わりにペプチドアプタマーを除いたもの(SQM−pep6およびSQTpep10M)を使用した。抗体は同様に、Sタンパク質のホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)融合を検出することができるSタグを有するペプチドアプタマーとして、“免疫ブロット法”の開発ステップから除いた。ネガティブコントロールとして、パラレルブロットは空スカフォールドと検出し(SQT参照)、Sタンパク質プロトコールを使用して開発した。ポジティブコントロールとしてパラレルブロットを同じ相対的な分子量のタンパク質検出に使用することができるが、抗体がペプチドアプタマーと同じ濃度で使用されるとき、長い露光時間を必要とする抗cdk2抗体で検出した。図12はニトロセルロースまたはPVDFメンブランへの転写前にポリアクリルアミドゲルの電気泳動における異種性の対象として、上記のようにスカフォールド、ペプチドアプタマーまたはスカフォールドによって検出した二つのヒト組織培養細胞のライセートを示す。データはペプチドアプタマーがこのプロトコールにおいて、抗体のみとの置換はできないが、ペプチドアプタマーを使用した検出は抗体より比較的迅速であるため、実際にはCDK2としての機能が優れていることを示した。従って、有利に抗体よりペプチドアプタマーの使用とは、分子プローブの産出に少ない動物の使用が必要されることを意味する。
【図1A−1C】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
修飾されたステフィンAポリペプチドまたは修飾されたSTMタンパク質であって、修飾は、単一の変異性の変化または次の
(i)コドン4での変異であり、ステフィンAのグリシンまたはSTMのトリプトファンをステフィンAのためにトリプトファンまたはSTMのためにグリシンでない別のアミノ酸によって、または異種のオリゴヌクレオチドによりコード化されたペプチドによって置換されたもの、または
(ii)コドン46から54までを含んでペプチド挿入をコード化する任意の変化または異種のオリゴヌクレオチドであり、そのコード化アミノ酸がループ1を含み、または拘束するもの、または
(iii)コドン67から84までを含んでペプチド挿入をコード化する任意の変化または異種のオリゴヌクレオチドであり、そのコード化アミノ酸がループ2を含み、または拘束するもの
が包含される群より選ばれる部位に挿入されたペプチドをコード化する異種のオリゴヌクレオチドを含む、ポリペプチドまたはタンパク質。
【請求項2】
位置4での変異性の変化は、ステフィンAについてはG4Rであり、およびSTMについてはW4Rである、請求項1に記載の修飾されたステフィンAポリペプチドまたは修飾されたSTMタンパク質。
【請求項3】
変異性の変化はコドン46から54まで(包括的)の任意の変化であり、ステフィンAについては48−VAG−50であり、およびSTMについては48−LAS−50である、請求項1に記載の修飾されたステフィンAポリペプチドまたは修飾されたSTMタンパク質。
【請求項4】
変異は48−LXS−50であり、式中、Xは任意のアミノ酸である、請求項3に記載の修飾されたステフィンAポリペプチドまたは修飾されたSTMタンパク質。
【請求項5】
変異性の変化はコドン67から84まで(包括的)の任意の変化であり、ステフィンAについては71−KSL−73であり、およびSTMについては71−NPG−73である、請求項1に記載の修飾されたステフィンAポリペプチドまたは修飾されたSTMタンパク質。
【請求項6】
変異は71−NxP−73であり、式中、Xは任意のアミノ酸である、請求項5に記載の修飾されたステフィンAポリペプチドまたは修飾されたSTMタンパク質。
【請求項7】
ステフィンAまたはSTMの残基73または84のいずれかで終結する、先行する請求項のいずれか一項に記載の修飾されたステフィンAポリペプチドまたは修飾されたSTMタンパク質。
【請求項8】
終結性残基73または84には、ステフィンAまたはSTMのいずれかの最後の25個のアミノ酸残基または最後の15個のアミノ酸残基を除去または置換する終止コドンが続く、請求項7に記載の修飾されたステフィンAポリペプチドまたは修飾されたSTMタンパク質。
【請求項9】
ペプチドをコード化する異種のオリゴヌクレオチドはステフィンAまたはSTMのいずれかの残基73または84と終結性終止コドンとの間に挿入される、請求項7または8に記載の修飾されたステフィンAポリペプチドまたは修飾されたSTMタンパク質。
【請求項10】
ペプチドをコード化する異種のオリゴヌクレオチドは20個のアミノ酸またはそれよりも少数を含む、請求項9に記載の修飾されたステフィンAポリペプチドまたは修飾されたSTMタンパク質。
【請求項11】
変異性の変化とは別に、タンパク質の残部は、ステフィンAまたはSTMのいずれかと似ている、先行する請求項のいずれか一項に記載の修飾されたステフィンAポリペプチドまたは修飾されたSTMタンパク質。
【請求項12】
修飾されたステフィンAポリペプチドまたは修飾されたSTMタンパク質であって、二つの変異性の変化または次の
(i)コドン4での変異であり、ステフィンAのグリシンまたはSTMのトリプトファンを別のアミノ酸によって、または異種のオリゴヌクレオチドによりコード化されたペプチドによって置換されたもの、および/または
(ii)コドン46から54までを含んでペプチド挿入をコード化する任意の変化または異種のオリゴヌクレオチドであり、そのコード化アミノ酸がループ1を含み、または拘束するもの、および/または
(iii)コドン67から84までを含んでペプチド挿入をコード化する任意の変化の異種のオリゴヌクレオチドであり、そのコード化アミノ酸がループ2を含み、または拘束するもの
が包含される群より選ばれる部位に挿入されたペプチドをコード化する2つの異種のオリゴヌクレオチドを含む、ポリペプチドまたはタンパク質。
【請求項13】
さらに、請求項2から11までに記載の特色の任意の一つまたはそれよりも多くを含む、請求項14に記載の修飾されたステフィンAポリペプチドまたは修飾されたSTMタンパク質。
【請求項14】
修飾されたステフィンAポリペプチドまたは修飾されたSTMタンパク質であって、三つの変異性の変化または次の
(i)コドン4での変異であり、ステフィンAのグリシンまたはSTMのトリプトファンを別のアミノ酸によって、または異種のオリゴヌクレオチドによりコード化されたペプチドによって置換されたもの、および
(ii)コドン46から54までを含んでペプチド挿入をコード化する任意の変化または異種のオリゴヌクレオチドであり、そのコード化アミノ酸がループ1を含み、または拘束するもの、および
(iii)コドン67から84までを含んでペプチド挿入をコード化する任意の変化または異種のオリゴヌクレオチドであり、そのコード化アミノ酸がループ2を含み、または拘束するもの
で挿入されたペプチドをコード化する異種のオリゴヌクレオチドを含む、ポリペプチドまたはタンパク質。
【請求項15】
さらに、請求項2から11までに記載の特色の任意の一つまたはそれよりも多くを含む、請求項14に記載の修飾されたステフィンAポリペプチドまたは修飾されたSTMタンパク質。
【請求項16】
配列番号9,10,11,12,13,14,15,16,17,18,19,20,21,22,23,24および25のいずれか一つに記載するようなアミノ酸配列を含む、ポリペプチド。
【請求項17】
いずれか一つのアミノ酸配列はさらに、それに挿入されるペプチドをコード化する一つまたはそれよりも多くの異種のオリゴヌクレオチドを含む、請求項19に記載のポリペプチド。
【請求項18】
任意の一つまたはそれよりも多くの変異性の変化の部位に挿入されたペプチドをコード化する異種のオリゴヌクレオチドを含む、先行する請求項のいずれか一項に記載のポリペプチドの、スカフォールドタンパク質としての使用。
【請求項19】
診断、治療、バイオマーカー、バイオマーカーに結合し、およびそれを特異的に検出するための薬剤、合理化された薬物設計の鋳型、創薬のための標的または試薬、抗体の代替物およびリサーチツールを含む群より選ばれる薬剤としての用途のための先行する請求項のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項20】
興味ある構造を結合することが可能な標的ペプチドを識別するための方法であって、次の
(i)標的ペプチドを含む請求項1から17までのいずれか一項に規定されたような修飾されたステフィンAまたはSTMタンパク質を提供すること、
(ii)前記スカフォールドタンパク質を興味のある前記構造と接触させること、および
(iii)スカフォールドと興味ある構造との間の関連を監視することであり、スカフォールドタンパク質の興味ある構造との関連は、標的ペプチドを、前記構造と結合することが可能な候補標的ペプチドとして識別するものを含む、方法。
【請求項1】
修飾されたステフィンAポリペプチドまたは修飾されたSTMタンパク質であって、修飾は、単一の変異性の変化または次の
(i)コドン4での変異であり、ステフィンAのグリシンまたはSTMのトリプトファンをステフィンAのためにトリプトファンまたはSTMのためにグリシンでない別のアミノ酸によって、または異種のオリゴヌクレオチドによりコード化されたペプチドによって置換されたもの、または
(ii)コドン46から54までを含んでペプチド挿入をコード化する任意の変化または異種のオリゴヌクレオチドであり、そのコード化アミノ酸がループ1を含み、または拘束するもの、または
(iii)コドン67から84までを含んでペプチド挿入をコード化する任意の変化または異種のオリゴヌクレオチドであり、そのコード化アミノ酸がループ2を含み、または拘束するもの
が包含される群より選ばれる部位に挿入されたペプチドをコード化する異種のオリゴヌクレオチドを含む、ポリペプチドまたはタンパク質。
【請求項2】
位置4での変異性の変化は、ステフィンAについてはG4Rであり、およびSTMについてはW4Rである、請求項1に記載の修飾されたステフィンAポリペプチドまたは修飾されたSTMタンパク質。
【請求項3】
変異性の変化はコドン46から54まで(包括的)の任意の変化であり、ステフィンAについては48−VAG−50であり、およびSTMについては48−LAS−50である、請求項1に記載の修飾されたステフィンAポリペプチドまたは修飾されたSTMタンパク質。
【請求項4】
変異は48−LXS−50であり、式中、Xは任意のアミノ酸である、請求項3に記載の修飾されたステフィンAポリペプチドまたは修飾されたSTMタンパク質。
【請求項5】
変異性の変化はコドン67から84まで(包括的)の任意の変化であり、ステフィンAについては71−KSL−73であり、およびSTMについては71−NPG−73である、請求項1に記載の修飾されたステフィンAポリペプチドまたは修飾されたSTMタンパク質。
【請求項6】
変異は71−NxP−73であり、式中、Xは任意のアミノ酸である、請求項5に記載の修飾されたステフィンAポリペプチドまたは修飾されたSTMタンパク質。
【請求項7】
ステフィンAまたはSTMの残基73または84のいずれかで終結する、先行する請求項のいずれか一項に記載の修飾されたステフィンAポリペプチドまたは修飾されたSTMタンパク質。
【請求項8】
終結性残基73または84には、ステフィンAまたはSTMのいずれかの最後の25個のアミノ酸残基または最後の15個のアミノ酸残基を除去または置換する終止コドンが続く、請求項7に記載の修飾されたステフィンAポリペプチドまたは修飾されたSTMタンパク質。
【請求項9】
ペプチドをコード化する異種のオリゴヌクレオチドはステフィンAまたはSTMのいずれかの残基73または84と終結性終止コドンとの間に挿入される、請求項7または8に記載の修飾されたステフィンAポリペプチドまたは修飾されたSTMタンパク質。
【請求項10】
ペプチドをコード化する異種のオリゴヌクレオチドは20個のアミノ酸またはそれよりも少数を含む、請求項9に記載の修飾されたステフィンAポリペプチドまたは修飾されたSTMタンパク質。
【請求項11】
変異性の変化とは別に、タンパク質の残部は、ステフィンAまたはSTMのいずれかと似ている、先行する請求項のいずれか一項に記載の修飾されたステフィンAポリペプチドまたは修飾されたSTMタンパク質。
【請求項12】
修飾されたステフィンAポリペプチドまたは修飾されたSTMタンパク質であって、二つの変異性の変化または次の
(i)コドン4での変異であり、ステフィンAのグリシンまたはSTMのトリプトファンを別のアミノ酸によって、または異種のオリゴヌクレオチドによりコード化されたペプチドによって置換されたもの、および/または
(ii)コドン46から54までを含んでペプチド挿入をコード化する任意の変化または異種のオリゴヌクレオチドであり、そのコード化アミノ酸がループ1を含み、または拘束するもの、および/または
(iii)コドン67から84までを含んでペプチド挿入をコード化する任意の変化の異種のオリゴヌクレオチドであり、そのコード化アミノ酸がループ2を含み、または拘束するもの
が包含される群より選ばれる部位に挿入されたペプチドをコード化する2つの異種のオリゴヌクレオチドを含む、ポリペプチドまたはタンパク質。
【請求項13】
さらに、請求項2から11までに記載の特色の任意の一つまたはそれよりも多くを含む、請求項14に記載の修飾されたステフィンAポリペプチドまたは修飾されたSTMタンパク質。
【請求項14】
修飾されたステフィンAポリペプチドまたは修飾されたSTMタンパク質であって、三つの変異性の変化または次の
(i)コドン4での変異であり、ステフィンAのグリシンまたはSTMのトリプトファンを別のアミノ酸によって、または異種のオリゴヌクレオチドによりコード化されたペプチドによって置換されたもの、および
(ii)コドン46から54までを含んでペプチド挿入をコード化する任意の変化または異種のオリゴヌクレオチドであり、そのコード化アミノ酸がループ1を含み、または拘束するもの、および
(iii)コドン67から84までを含んでペプチド挿入をコード化する任意の変化または異種のオリゴヌクレオチドであり、そのコード化アミノ酸がループ2を含み、または拘束するもの
で挿入されたペプチドをコード化する異種のオリゴヌクレオチドを含む、ポリペプチドまたはタンパク質。
【請求項15】
さらに、請求項2から11までに記載の特色の任意の一つまたはそれよりも多くを含む、請求項14に記載の修飾されたステフィンAポリペプチドまたは修飾されたSTMタンパク質。
【請求項16】
配列番号9,10,11,12,13,14,15,16,17,18,19,20,21,22,23,24および25のいずれか一つに記載するようなアミノ酸配列を含む、ポリペプチド。
【請求項17】
いずれか一つのアミノ酸配列はさらに、それに挿入されるペプチドをコード化する一つまたはそれよりも多くの異種のオリゴヌクレオチドを含む、請求項19に記載のポリペプチド。
【請求項18】
任意の一つまたはそれよりも多くの変異性の変化の部位に挿入されたペプチドをコード化する異種のオリゴヌクレオチドを含む、先行する請求項のいずれか一項に記載のポリペプチドの、スカフォールドタンパク質としての使用。
【請求項19】
診断、治療、バイオマーカー、バイオマーカーに結合し、およびそれを特異的に検出するための薬剤、合理化された薬物設計の鋳型、創薬のための標的または試薬、抗体の代替物およびリサーチツールを含む群より選ばれる薬剤としての用途のための先行する請求項のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項20】
興味ある構造を結合することが可能な標的ペプチドを識別するための方法であって、次の
(i)標的ペプチドを含む請求項1から17までのいずれか一項に規定されたような修飾されたステフィンAまたはSTMタンパク質を提供すること、
(ii)前記スカフォールドタンパク質を興味のある前記構造と接触させること、および
(iii)スカフォールドと興味ある構造との間の関連を監視することであり、スカフォールドタンパク質の興味ある構造との関連は、標的ペプチドを、前記構造と結合することが可能な候補標的ペプチドとして識別するものを含む、方法。
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図11】
【図12】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図11】
【図12】
【公表番号】特表2011−520786(P2011−520786A)
【公表日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−504541(P2011−504541)
【出願日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際出願番号】PCT/GB2009/050380
【国際公開番号】WO2009/136182
【国際公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【出願人】(503184740)ユニヴァーシティ オブ リーズ (1)
【氏名又は名称原語表記】UNIVERSITY OF LEEDS
【住所又は居所原語表記】LEEDS,LS2 9JT United Kingdom
【出願人】(311007497)メディカル リサーチ カウンシル (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際出願番号】PCT/GB2009/050380
【国際公開番号】WO2009/136182
【国際公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【出願人】(503184740)ユニヴァーシティ オブ リーズ (1)
【氏名又は名称原語表記】UNIVERSITY OF LEEDS
【住所又は居所原語表記】LEEDS,LS2 9JT United Kingdom
【出願人】(311007497)メディカル リサーチ カウンシル (1)
【Fターム(参考)】
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