説明

修飾光触媒およびその製造方法

【課題】 本発明は、高湿度雰囲気下でも、光触媒表面が水分によって被覆されることなく、酸素アニオンラジカルなどの活性種の生成や、光触媒表面と被反応物との接触が阻害されることのない、修飾光触媒を提供することを課題とする。
【解決手段】 表面にシロキサン結合を介して化学吸着した撥水性有機官能基を有する光触媒からなる修飾光触媒。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、修飾光触媒およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、光触媒の耐水性、および耐湿性を向上させるために、粒子状酸化金属の表面をフッ素化する技術(例えば、特許文献1参照)、光触媒の表面にシランカップリング剤によって撥水膜を形成する技術(例えば、特許文献2参照)、および、撥水性粒子の混合溶液によって被膜を形成する技術(例えば、特許文献3参照)などが知られている。
また、撥水処理として、セラミック基材の表面にフッ素含有シラン系化学吸着単分子膜を形成する技術が開示されている(例えば、特許文献4参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平10−324505号公報
【特許文献2】特開2003−27000号公報
【特許文献3】特開平11−300270号公報
【特許文献4】特開平4−240171号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
光触媒は、空気中の酸素と水分を取り込むことで、活性種である酸素アニオンラジカルとヒドロキシラジカルとを生成する。高湿度雰囲気下で上記活性種を生成した場合、水分の過剰な存在により、光触媒表面が水分によって被覆されるため、酸素アニオンラジカルなどの活性種の生成が抑制され、かつ光触媒表面と被反応物との接触が阻害される。そこで、光触媒表面が水分で被覆されないように、撥水処理がなされる場合がある。
しかしながら、フッ化水素処理による撥水処理では、光触媒表面にフッ素基が形成されるものの、その厚みが極めて薄いため、光触媒表面から水分を十分に隔離することができない。
また、シランカップリング剤による撥水処理では、光触媒表面から水分を隔離することはできるものの、光触媒表面に無配向の膜が形成されるため、酸素アニオンラジカルなどの活性種の生成や、光触媒表面と被反応物との接触が阻害される。
また、撥水性粒子の混合溶液による撥水処理では、光触媒である酸化チタンの割合が減るため、実質上の性能低下となり、ミクロ的には酸化チタン表面は、上記同様、水分による影響を受けることになる。
また、セラミック基材表面へのフッ素含有シラン系化学吸着単分子膜形成による撥水処理では、シロキサン結合を介して、光触媒に耐水性・耐湿性を持たせるという思想が見られない。
本発明は、上記課題を解決するものであり、高湿度雰囲気下でも、光触媒表面が水分によって被覆されることなく、酸素アニオンラジカルなどの活性種の生成や、光触媒表面と被反応物との接触が阻害されることのない、修飾光触媒およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記従来の課題を解決するために、本発明の修飾光触媒は、表面にシロキサン結合を介して化学吸着した撥水性有機官能基を有する光触媒からなる。
上記構成における、撥水性有機官能基により、光触媒表面に撥水性を有する膜が形成されるため、光触媒表面が水分に直接被覆されることがない。また、その一方で、上記膜の最表面から、酸素や光触媒に対する反応物を拡散させることができるため、酸素アニオンラジカルなどの活性種の生成や、光触媒と上記反応物との接触が阻害されることがない。これは、ミクロ的には光触媒表面に、撥水性有機官能基によって被覆されている箇所と、被覆されていない箇所とが存在することによるものであると予想される。したがって、高湿度雰囲気下での光触媒反応においても、光触媒の耐水性、および耐湿性を向上させることができる。さらに、撥水性有機官能基は、光触媒表面に直接ではなく、シロキサン結合を介して化学吸着しているため、光触媒による分解反応を受けることがない。したがって、本発明の修飾光触媒は、長期にわたって、その性能を安定して維持することができる。
本発明の修飾光触媒の製造方法は、光触媒表面に、無水溶媒中に撥水性有機官能基−トリクロロシランを含有する溶液を接触させる化学吸着工程と、光触媒表面に無吸着の撥水性有機官能基−トリクロロシランを、無水溶媒を用いた洗浄により取り除く工程と、を含む。
上記製造方法によれば、触媒性能のばらつきが抑えられた修飾光触媒を製造することができる。
【0006】
本発明の修飾光触媒の別の製造方法は、光触媒表面に、無水溶媒中に撥水性有機官能基−トリクロロシランを含有する溶液を接触させる化学吸着工程と、光触媒表面に無吸着の撥水性有機官能基−トリクロロシランを前記光触媒の触媒能が発現する波長の光を照射することにより取り除く工程と、を含む。
上記製造方法によれば、本発明の修飾光触媒の製造工程がさらに簡便になり、また、溶媒の使用量を抑制することができるので環境にも優しい。
【発明の効果】
【0007】
本発明の修飾光触媒およびその製造方法によれば、高湿度雰囲気下での光触媒反応においても、修飾触媒の耐水性、および耐湿性を向上させることができる。
また、本発明の修飾光触媒は、長期にわたって、その性能を安定して維持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における修飾光触媒1の概念図を示す。図1に示すように、本実施の形態1における修飾光触媒1は、光触媒2表面に、シロキサン結合を介して化学吸着した、式:CF−(CF)n−3−(CH−(式中、nは4〜12の整数である)で表される基を有する。また、図中のmは1以上の整数を示す。
この基は、本発明の修飾光触媒で用いられる撥水性有機官能基の一例である。
当該撥水性有機官能基は、下記で説明する本発明の修飾光触媒の製造における化学吸着工程で、高密度の単分子膜の形成を可能にするものが好ましい。このような撥水性有機官能基としては、直鎖状構造を有するものが好ましい。
撥水性有機官能基が分岐状の場合、高密度の膜が形成されず、撥水性能が低下する。
また、撥水性有機官能基が形成する膜が単分子膜の場合、膜厚が超均一となるため、触媒性能のばらつきが少なくなり、より好ましい。
前記撥水性有機官能基として好ましくは、具体的には、ハロゲン化されていてもよい炭素数4以上12以下の直鎖状炭化水素基である。当該直鎖状炭化水素基としては、直鎖状アルキル基が好ましい。
「ハロゲン化されていてもよい炭素数4以上12以下の直鎖状炭化水素基」としては、例えば、1個〜置換可能な最大個数のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数4以上12以下の直鎖状炭化水素基が挙げられる。当該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、およびヨウ素原子が挙げられ、なかでも、フッ素原子が好ましい。すなわち、「ハロゲン化されていてもよい炭素数4以上12以下の直鎖状炭化水素基」として好ましくは、例えば、炭素数4以上12以下の直鎖状フルオロアルキル基である。
当該「炭素数4以上12以下の直鎖状炭化水素基」の根元側(すわなち、ケイ素原子と結合している炭素側)の1〜2個(好ましくは2個)の炭素原子は、好ましくは無置換である。
「ハロゲン化されていてもよい炭素数4以上12以下の直鎖状炭化水素基」として、また好ましくは、炭素数4以上12以下の直鎖状アルキル基である。
図1に示す本実施の形態1においては、光触媒2として酸化チタンを用いたが、本発明の修飾光触媒で用いられる光触媒は、これに限られることはない。光触媒は、撥水性有機官能基のシロキサン結合を介する化学吸着メカニズムから理解されるように、表面水酸基を有するものであればよい。本発明者らは、例えば、チタン、タングステン、鉄、タンタル、ガリウム、もしくはインジウムのオキサイド、オキシナイトライド、もしくはナイトライド、および、これらの複合酸化物;ならびに、これらにアルカリ金属イオンやアルカリ土類金属、あるいは、鉄、銅、銀、金、白金を添加したものが、有効であることを確認している。
また、光触媒の形状は、特に限定されず、本発明者らは、通常の粉末の他、多孔体ナノチューブ、ナノロッド構造の粉末、基板上に担持したこれらの粉末、基板上に形成した薄膜が有効であることを確認している。
【0009】
以下、本発明の修飾光触媒の製造方法について説明する。
まず、光触媒を、無水溶媒中に撥水性有機官能基−トリクロロシラン(本明細書中、シラン化合物と略称する場合がある)を含有する溶液に浸漬する。
当業者に明らかなように、本明細書中、撥水性有機官能基−トリクロロシランは、すなわち、1個の撥水性有機官能基で置換されたトリクロロシランである。
撥水性有機官能基−トリクロロシランは、市販品にて入手でき、または公知の方法に従って製造することもできる。
上記溶媒内では、シラン化合物が、その両親媒性分子としての性質により配向し、光触媒に接触すると、光触媒表面において、光触媒のOH基とシラン化合物のクロロシリル基(Si−Cl基)とが脱塩酸反応を起こす。これにより、化学吸着反応が起こり、撥水性有機官能基が、シロキサン結合を介して、光触媒の表面に固定される(化学吸着工程)。そして、化学吸着反応後に残ったクロロシリル基(Si−Cl基)が加水分解され、生じた隣接しているヒドロキシシリル基(Si−OH基)が脱水縮合を起こし、重合していく(重合工程)。
これから明らかなように、本明細書中、便宜上、“撥水性有機官能基が形成する膜”と記述しているが、これを“撥水性有機官能基−トリクロロシランが形成する膜”と表現してもよい。
シラン化合物と光触媒表面とを接触させる雰囲気としては、シラン化合物と雰囲気中の水蒸気との反応を抑えるため、雰囲気湿度が35%以下が望ましく、さらに望ましくは、不活性ガス雰囲気下、および無水雰囲気下である。
無水溶媒としては、水分を含まない非水系溶媒を用いるのが好ましく、水分を含まない炭化水素系溶媒、シリコーン系溶媒、アルコール系溶媒、石油系の溶剤などを用いることが可能である。その他、具体的には例えば、石油ナフサ、ソルベントナフサ、石油エーテル、石油ベンジン、イソパラフィン、ノルマルパラフィン、デカリン、工業ガソリン、灯油、リグロイン、ジメチルミリコーン、フェニルシリコーン、アルキル変性シリコーン、ポリエステルシリコーンなどを挙げることができる。
これらの溶媒を用いたシラン化合物の溶液の濃度として、0.01〜10vol%が望ましい。これより薄い場合、光触媒表面にシロキサン結合を有する膜が高密度に形成されず、撥水性能が低下するため、本発明の性能が発揮できない。また、これより濃い場合、光触媒表面に化学吸着しないシラン化合物が多く残存するため、コストの高いシラン化合物が無駄になるだけでなく、触媒性能の発揮のために、これらを取り除く洗浄を十分に行う必要が生じ、さらにコスト高になる。特に、光触媒表面に化学吸着しないシラン化合物が過剰に存在する場合、その一部は光触媒表面に化学吸着していない膜状物質として存在し、除去が困難になる。
溶液の量は、光触媒を浸漬するために十分な量であればよい。
反応温度としては、室温が好ましい。本明細書中、室温は15℃〜35℃を意味する。
反応時間(すなわち、浸漬時間)は、光触媒とシラン化合物とを接触させるだけでよいため、比較的短時間で問題はない。ただし、シラン化合物と光触媒との接触を確実にするため、1〜15分間の反応時間を確保するのがより好ましい。
その後、溶液から光触媒を引き上げ、所望により乾燥させてから、無水溶媒を用いた洗浄により無吸着の撥水性有機官能基を取り除き(洗浄工程)、再び光触媒を乾燥させることにより、本発明の修飾光触媒を得る。
当該無水溶媒としては、上記のシラン化合物の無水溶媒と同じものを用いることができる。
乾燥条件は、好ましくは、雰囲気湿度が35%以下(さらに望ましくは、不活性ガス雰囲気下、および無水雰囲気下)、室温である。
【0010】
別法として、前記の洗浄工程に換えて、光触媒表面に無吸着の撥水性有機官能基−トリクロロシランを、前記光触媒の触媒能が発現する波長の光を照射することにより、取り除いてもよい。
光の照射により光触媒の触媒能が発現させるには、当該光触媒のバンドギャップ以上のエネルギーを与えうる波長域を少なくとも有するランプが有効である。例えば、水銀ランプや、ケミカルランプ、ブラックライトなど、ほぼ全ての修飾光触媒に対して適用することができる。
【実施例】
【0011】
以下、本発明の具体例について説明する。
【0012】
(実施例1)
光触媒として、酸化チタン粉末(日本アエロジル(株)製 AEROXIDE TiO P25)を用い、窒素雰囲気(無水)下で、ヘプタデカフルオロデシルトリクロロシラン(C17CHCHSiCl)を含むフロリナート(住友3M(株)製)溶液に10分間浸漬した。その後、溶液から引き上げた光触媒を室温で乾燥(窒素雰囲気(無水)下)させてから、窒素雰囲気下でフロリナート(住友3M(株)製)で洗浄することで、無吸着ヘプタデカフルオロデシルトリクロロシランを取り除き、再び前記光触媒を室温で乾燥(窒素雰囲気(無水)下)させることで、修飾光触媒Aを作製した。
【0013】
(比較例1)
比較例1として、実施例1で用いたヘプタデカフルオロデシルトリクロロシランの代わりに、ヘプタデカフルオロデシルトリエトキシシラン(C17CHCHSi(OC)を用いること、通常湿度雰囲気下で行うこと、および、乾燥を80℃で行うことを除いて、実施例1と同様に、修飾光触媒R1を作製した。
【0014】
(比較例2)
比較例2として、光触媒である酸化チタン粉末Tを、無処理の状態で用いた。
【0015】
<試験1>
実施例の修飾光触媒A、比較例の修飾光触媒R1と無処理の酸化チタン粉末Tについて、以下のように、アセトアルデヒドの分解試験を行った。
【0016】
まず、修飾光触媒Aを、直径10cmのシャーレ底面上に均一に塗布し、所定の湿度に調整可能な10Lの密閉ボックスに入れた。この時の修飾光触媒Aの塗布量は、0.6gとした。密閉ボックスの内部には、シャーレ底面上に、波長365nm、光量1mW/cmの光が照射されるように、ブラックライトを設置した。ブラックライトによる光照射を開始した直後に、密閉ボックス内にアセトアルデヒド20ppmを導入し、アセトアルデヒドの濃度変化を観測した。そして、経過時間に対するセトアルデヒドの濃度から、所定の湿度(5%RH、20%RH、50%RH)における修飾光触媒Aのアセトアルデヒドに対する分解速度定数を求めた。また、修飾光触媒R1と無処理の酸化チタン粉末Tについても、上記同様に分解試験を行った。この結果を図2に示す。
【0017】
図2に示すように、無処理の酸化チタン粉末Tにおいては、湿度が高くなるにつれて、分解速度定数が低下した。これは、湿度が高くなるにつれて、無処理の酸化チタン粉末Tの表面が水分に被覆されることにより、無処理の酸化チタン粉末Tとアセトアルデヒドとの接触が阻害され、分解速度定数が低下したと考えられる。
【0018】
また、修飾光触媒R1においては、湿度に依存しないものの、分解速度定数が低かった。これは、光触媒である酸化チタンの表面が、ヘプタデカフルオロデシルトリエトキシシランの加水分解により形成された無配向のポリマー膜に被覆されることで、光触媒(酸化チタン)と水分との接触を防ぐことができ、湿度の影響がなくなるものの、酸素アニオンラジカルなどの活性種の生成や、光触媒(酸化チタン)とアセトアルデヒドとの接触が阻害され、分解速度定数が低いままで伸びなかったと考えられる。
【0019】
一方、修飾光触媒Aにおいては、湿度に依存することなく、高い分解速度定数を維持した。これは、シロキサン結合を介して化学吸着した炭素数4以上の直鎖状フルオロアルキル基により、撥水性を有する膜が形成されるため、光触媒である酸化チタンの表面が、直接水分に被覆されることがない。また、その一方で、光触媒(酸化チタン)の表面には、シロキサン結合を介して化学吸着した炭素数12以下の直鎖状フルオロアルキル基や、これに被覆されていない箇所が存在することにより、上記膜の最表面から、酸素やアセトアルデヒドを拡散させることができるため、酸素アニオンラジカルなどの活性種の生成や、光触媒(酸化チタン)とアセトアルデヒドとの接触が阻害されることなく、高い分解速度定数を維持することができたと考えられる。
【0020】
このように、本発明の修飾光触媒は、高湿度雰囲気下での光触媒反応においても、耐水性、耐湿性に優れている。
【0021】
<試験2>
密閉ボックスの内部を湿度50%RHとし、実施例の修飾光触媒Aに、ブラックライトにより波長365nm、光量1mW/cmの光を所定の時間(1h、5h、10h)照射した時の修飾光触媒Aのアセトアルデヒドに対する分解速度定数を求めた。また、比較例の修飾光触媒R1と無処理の酸化チタン粉末Tについても、上記同様に分解試験を行った。この結果を図3に示す。
【0022】
図3に示すように、無処理の酸化チタン粉末Tにおいては、低い分解速度定数を維持した。また、修飾光触媒R1においては、時間が経過するにつれて、低い分解速度定数がさらに低下した。
【0023】
一方、修飾光触媒Aにおいては、長時間の照射でも、高い分解速度定数を維持した。これは、光触媒である酸化チタンの表面に、炭素数4以上12以下の直鎖状フルオロアルキル基が、直接ではなくシロキサン結合を介して化学吸着していることにより、光触媒による分解反応を受けることがないためと考えられる。
【0024】
このように、本発明の修飾光触媒は、長期にわたって、その性能を安定して維持することができる。
【0025】
(実施例2)
実施例2として、実施例1で用いたヘプタデカフルオロデシルトリクロロシランの代わりに、テトラフルオロブチルトリクロロシラン(CCHCHSiCl)を用いたことを除いて、実施例1と同様に、修飾光触媒Bを作製した。
【0026】
(実施例3)
実施例3として、実施例1で用いたヘプタデカフルオロデシルトリクロロシランの代わりに、ノナフルオロオクチルトリクロロシラン(CCHCHSiCl)を用いたことを除いて、実施例1と同様に、修飾光触媒Cを作製した。
【0027】
(実施例4)
実施例4として、実施例1で用いたヘプタデカフルオロデシルトリクロロシランの代わりに、ヘニコサフルオロドデカニルトリクロロシラン(C1021CHCHSiCl)を用いたことを除いて、実施例1と同様に、修飾光触媒Dを作製した。
【0028】
(比較例3)
比較例3として、実施例1で用いたヘプタデカフルオロデシルトリクロロシランの代わりに、ペンタイコサフルオロテトラデカニルトリクロロシラン(C1225CHCHSiCl)を用いたことを除いて、実施例1と同様に、修飾光触媒R2を作製した。
【0029】
<試験3>
実施例の修飾光触媒A〜D、および比較例の修飾光触媒R2と無処理の酸化チタン粉末Tについて、上記試験1同様、所定の湿度でアセトアルデヒドの分解試験を行い、所定の湿度(5%RH、20%RH、50%RH)における各々のアセトアルデヒドに対する分解速度定数を求めた。この結果を図4に示す。
【0030】
図4に示すように、無処理の酸化チタン粉末Tにおいては、上記試験1同様、湿度が高くなるにつれて、分解速度定数が低下した。
【0031】
また、修飾光触媒R2においては、湿度に依存しないものの、分解速度定数が低かった。これは、シロキサン結合を介して化学吸着した直鎖状フルオロアルキル基により、撥水性を有する膜が形成されるため、光触媒である酸化チタンの表面は、直接水分に被覆されることがない。しかし、その一方で、光触媒(酸化チタン)の表面には、シロキサン結合を介して化学吸着した炭素数14の直鎖状フルオロアルキル基により、上記膜の最表面から酸素やアセトアルデヒドを拡散させることができず、酸素アニオンラジカルなどの活性種の生成や、光触媒(酸化チタン)とアセトアルデヒドとの接触が阻害されるため、分解速度定数が低いままで伸びなかったと考えられる。
【0032】
一方、修飾光触媒A〜Dにおいては、湿度に依存することなく、高い分解速度定数を維持した。これは、シロキサン結合を介して化学吸着した炭素数4以上の直鎖状フルオロアルキル基により、撥水性を有する膜が形成されるため、光触媒である酸化チタンの各表面が直接水分に被覆されることがない。また、その一方で、光触媒(酸化チタン)の各表面には、シロキサン結合を介して化学吸着した炭素数12以下の直鎖状フルオロアルキル基や、これに被覆されていない箇所が存在することにより、上記膜の最表面から酸素やアセトアルデヒドを拡散させることができるため、酸素アニオンラジカルなどの活性種の生成や、光触媒(酸化チタン)とアセトアルデヒドとの接触が阻害されることなく、高い分解速度定数を維持することができたと考えられる。
【0033】
このように、本発明の修飾光触媒は、高湿度雰囲気下での光触媒反応においても、耐水性、耐湿性に優れている。
【0034】
(実施例5)
実施例5として、窒素雰囲気(無水)下でのフロリナート(住友3M(株)製)溶液を用いた洗浄工程、および、室温での乾燥工程の代わりに、通常雰囲気下で、ブラックライトにより波長365nm、光量1mW/cmの光を1時間照射したことを除いて、実施例1と同様に、修飾光触媒Eを作製した。
【0035】
(実施例6)
実施例6として、窒素雰囲気(無水)下でのフロリナート(住友3M(株)製)溶液を用いた洗浄工程、および、室温での乾燥工程の代わりに、通常雰囲気下で、ブラックライトにより波長365nm、光量1mW/cmの光を2時間照射したことを除いて、実施例1と同様に、修飾光触媒Fを作製した。
【0036】
(比較例4)
比較例4として、窒素雰囲気(無水)下でのフロリナート(住友3M(株)製)溶液を用いた洗浄工程、および、室温での乾燥工程をなしにすることを除いて、実施例1と同様に、修飾光触媒R3を作製した。
【0037】
<試験4>
実施例の修飾光触媒A、E、F、比較例の修飾光触媒R3と無処理の酸化チタン粉末Tについて、上記試験1同様、所定の湿度(5%RH、20%RH、50%RH)でアセトアルデヒドの分解試験を行い、所定の湿度における各々のアセトアルデヒドに対する分解速度定数を求めた。この結果を図5に示す。
【0038】
図5に示すように、無処理の酸化チタン粉末Tにおいては、上記試験1同様、湿度が高くなるにつれて分解速度定数が低下した。
【0039】
また、修飾光触媒R3においては、湿度に依存しないものの、分解速度定数が低かった。これは、光触媒である酸化チタンの表面が、化学吸着せずに残った有機トリクロロシランが加水分解により形成された無配向のポリマー膜に被覆されるために、光触媒(酸化チタン)と水分との接触を防ぐことができ、湿度の影響がなくなるものの、酸素アニオンラジカルなどの活性種の生成や、光触媒(酸化チタン)とアセトアルデヒドとの接触が阻害され、低い分解速度定数がさらに低下したと考えられる。
【0040】
一方、修飾光触媒A、E、Fにおいては、湿度に依存せず、高い分解速度定数を維持した。具体的には、修飾光触媒Aにおいては、化学吸着せずに残った有機トリクロロシランを洗い流して取り除くことにより、光触媒である酸化チタンの表面が無配向のポリマー膜に被覆されることがないため、高い分解速度定数を維持することができたと考えられる。また、修飾光触媒EおよびFにおいては、化学吸着せずに残った有機トリクロロシランを光照射して分解除去することにより、上記修飾光触媒Aと同様の効果を得ることができたと考えられる。
【0041】
このように、本実施例1、5、6に示す洗浄あるいは光照射のどちらの方法を用いて製造された修飾光触媒も、光触媒反応における耐水性、耐湿性に優れている。
【0042】
(実施例7)
光触媒として酸化チタン粉末(日本アエロジル(株)製 AEROXIDE TiO P25)を用い、窒素雰囲気(無水)下で、1vol%のn−デシルトリクロロシラン(C1021SiCl)を含むヘキサメチルジシロキサン((CHSi−O−Si(CH)(信越化学工業(株)製)溶液に10分間浸漬した。その後、浸漬した光触媒を室温で乾燥(窒素雰囲気(無水)下)させてから、窒素雰囲気下でヘキサメチルジシロキサン((CHSi−O−Si(CH)(信越化学工業(株)製)で洗浄することで、無吸着のn−デシルトリクロロシランを取り除き、再び光触媒を室温で乾燥(窒素雰囲気(無水)下)させることで、修飾光触媒A’を作製した。
【0043】
(比較例5)
比較例5として、実施例7で用いたヘプタデカフルオロデシルトリクロロシランの代わりに、n−デシルトリエトキシシラン(C1021Si(OC)を用いること、通常湿度雰囲気下で行うこと、および、乾燥を80℃で行うことを除いて、実施例7と同様に、修飾光触媒R1’を作製した。
【0044】
(比較例6)
比較例6として、光触媒である酸化チタン粉末T’を、無処理の状態で用いた。
【0045】
<試験5>
実施例の修飾光触媒A’、比較例の修飾光触媒R1’と無処理の酸化チタン粉末T’について、以下のように、アセトアルデヒドの分解試験を行った。
まず、修飾光触媒A’を、直径10cmのシャーレ底面上に均一に塗布し、所定の湿度に調整可能な10Lの密閉ボックスに入れた。この時の修飾光触媒A’の塗布量は、0.6gとした。密閉ボックスの内部には、シャーレ底面上に、波長365nm、光量1mW/cmの光が照射されるように、ブラックライトを設置した。ブラックライトによる光照射を開始した直後に、密閉ボックス内にアセトアルデヒド20ppmを導入し、アセトアルデヒドの濃度変化を観測した。そして、経過時間に対するセトアルデヒドの濃度から、所定の湿度(5%RH、20%RH、50%RH)における修飾光触媒A’のアセトアルデヒドに対する分解速度定数を求めた。また、修飾光触媒R1’と無処理の酸化チタン粉末T’についても、上記同様に分解試験を行った。この結果を図6に示す。
図6に示すように、無処理の酸化チタン粉末T’においては、湿度が高くなるにつれて、分解速度定数が低下した。これは、湿度が高くなるにつれて、無処理の酸化チタン粉末T’の表面が水分に被覆されることにより、無処理の酸化チタン粉末T’とアセトアルデヒドとの接触が阻害され、分解速度定数が低下したと考えられる。
また、修飾光触媒R1’においては、湿度に依存しないものの、分解速度定数が低かった。これは、光触媒である酸化チタンの表面が、n−デシルトリエトキシシランの加水分解により形成された無配向のポリマー膜に被覆されることで、光触媒(酸化チタン)と水分との接触を防ぐことができ、湿度の影響がなくなるものの、酸素アニオンラジカルなどの活性種の生成や、光触媒(酸化チタン)とアセトアルデヒドとの接触が阻害され、分解速度定数が低いままで伸びなかったと考えられる。
一方、修飾光触媒A’においては、湿度に依存することなく、高い分解速度定数を維持した。これは、シロキサン結合を介して化学吸着した炭素数4以上の直鎖状アルキル基により、撥水性を有する膜が形成されるため、光触媒である酸化チタンの表面が直接水分に被覆されることがない。また、その一方で、光触媒(酸化チタン)の表面には、シロキサン結合を介して化学吸着した炭素数12以下の直鎖状アルキル基や、これに被覆されていない箇所が存在することにより、上記膜の最表面から酸素やアセトアルデヒドを拡散させることができるため、酸素アニオンラジカルなどの活性種の生成や、光触媒(酸化チタン)とアセトアルデヒドとの接触が阻害されることなく、高い分解速度定数を維持することができたと考えられる。
このように、本発明の修飾光触媒は、高湿度雰囲気下での光触媒反応においても、光触媒の耐水性、耐湿性に優れている。
【0046】
<試験6>
密閉ボックスの内部を湿度50%RHとし、実施例の光触媒A’に、ブラックライトにより波長365nm、光量1mW/cmの光を所定の時間(1h、5h、10h)照射した時の、修飾光触媒A’のアセトアルデヒドに対する分解速度定数を求めた。また、比較例の修飾光触媒R1’と無処理の酸化チタン粉末T’についても、上記同様に分解試験を行った。この結果を図7に示す。
図7に示すように、無処理の酸化チタン粉末T’においては、低い分解速度定数を維持した。また、修飾光触媒R1’においては、時間が経過するにつれて、低い分解速度定数がさらに低下した。
一方、修飾光触媒A’においては、長時間の照射でも、高い分解速度定数を維持した。これは、光触媒である酸化チタンの表面に、炭素数4以上12以下の直鎖状アルキル基が、直接ではなくシロキサン結合を介して化学吸着していることにより、光触媒による分解反応を受けることがないためと考えられる。
このように、本発明の修飾光触媒は、長期にわたって、その性能を安定して維持することができる。
【0047】
(実施例8)
実施例8として、実施例1で用いたn−デシルトリクロロシランの代わりに、n−ブチルトリクロロシラン(CSiCl)を用いたことを除いて、実施例7と同様に、修飾光触媒B’を作製した。
【0048】
(実施例9)
実施例9として、実施例7で用いたn−デシルトリクロロシランの代わりに、n−オクチルトリクロロシラン(C13SiCl)を用いたことを除いて、実施例7と同様に、修飾光触媒C’を作製した。
【0049】
(実施例10)
実施例10として、実施例7で用いたn−デシルトリクロロシランの代わりに、n−ドデカニルトリクロロシラン(C1225SiCl)を用いたことを除いて、実施例7と同様に、修飾光触媒D’を作製した。
【0050】
(比較例7)
比較例7として、実施例7で用いたn−デシルトリクロロシランの代わりに、n−テトラデカニルトリクロロシラン(C1429SiCl)を用いたことを除いて、実施例7と同様に、修飾光触媒R2’を作製した。
【0051】
<試験7>
実施例の修飾光触媒A’、B’、C’、D’、および比較例の修飾光触媒R2’と無処理の酸化チタン粉末T’について、上記試験1同様、所定の湿度(5%RH、20%RH、50%RH)でアセトアルデヒドの分解試験を行い、所定の湿度における各々のアセトアルデヒドに対する分解速度定数を求めた。この結果を図8に示す。
図8に示すように、無処理の酸化チタン粉末T’においては、上記試験1同様、湿度が高くなるにつれて、分解速度定数が低下した。
また、修飾光触媒R2’においては、湿度に依存しないものの、分解速度定数が低かった。これは、シロキサン結合を介して化学吸着した直鎖状アルキル基により、撥水性を有する膜が形成されるため、光触媒である酸化チタンの表面は直接水分に被覆されることがない。しかし、その一方で、光触媒(酸化チタン)の表面には、シロキサン結合を介して化学吸着した炭素数14の直鎖状アルキル基により、上記膜の最表面から酸素やアセトアルデヒドを拡散させることができず、酸素アニオンラジカルなどの活性種の生成や、光触媒(酸化チタン)とアセトアルデヒドとの接触が阻害されるため、分解速度定数が低いままで伸びなかったと考えられる。
一方、修飾光触媒A’〜D’においては、湿度に依存することなく、高い分解速度定数を維持した。これは、シロキサン結合を介して化学吸着した炭素数4以上の直鎖状アルキル基により、撥水性を有する膜が形成されるため、光触媒である酸化チタンの各表面が直接水分に被覆されることがない。また、その一方で、光触媒(酸化チタン)の各表面には、シロキサン結合を介して化学吸着した炭素数12以下の直鎖状アルキル基や、これに被覆されていない箇所が存在することにより、上記膜の最表面から酸素やアセトアルデヒドを拡散させることができるため、酸素アニオンラジカルなどの活性種の生成や、光触媒(酸化チタン)とアセトアルデヒドとの接触が阻害されることなく、高い分解速度定数を維持することができたと考えられる。
このように、本発明の修飾光触媒は、高湿度雰囲気下での光触媒反応においても、光触媒の耐水性、耐湿性に優れている。
【0052】
(実施例11)
実施例11として、窒素雰囲気(無水)下でのヘキサメチルジシロキサン((CHSi−O−Si(CH)(信越化学工業(株)製)を用いた洗浄工程、および、室温での乾燥工程の代わりに、通常雰囲気下で、ブラックライトにより波長365nm、光量1mW/cmの光を1時間照射したことを除いて、実施例7と同様に、修飾光触媒E’を作製した。
【0053】
(実施例12)
実施例12として、窒素雰囲気(無水)下でのヘキサメチルジシロキサン((CHSi−O−Si(CH)(信越化学工業(株)製)を用いた洗浄工程、および、室温での乾燥工程の代わりに、通常雰囲気下で、ブラックライトにより波長365nm、光量1mW/cmの光を2時間照射したことを除いて、実施例7と同様に、修飾光触媒F’を作製した。
【0054】
(比較例8)
比較例8として、窒素雰囲気(無水)下でのヘキサメチルジシロキサン((CHSi−O−Si(CH)(信越化学工業(株)製)を用いた洗浄工程、および、室温での乾燥工程をなしにすることを除いて、実施例7と同様に、修飾光触媒R3’を作製した。
【0055】
<試験8>
実施例の修飾光触媒A’、E’、F’、比較例の修飾光触媒R3’と無処理の酸化チタン粉末T’について、上記試験1同様、所定の湿度(5%RH、20%RH、50%RH)でアセトアルデヒドの分解試験を行い、所定の湿度における各々のアセトアルデヒドに対する分解速度定数を求めた。この結果を図9に示す。
図9に示すように、無処理の酸化チタン粉末T’においては、上記試験1同様、湿度が高くなるにつれて、分解速度定数が低下した。
また、修飾光触媒R3’においては、湿度に依存しないものの、分解速度定数が低かった。これは、光触媒である酸化チタンの表面が、化学吸着せずに残った有機トリクロロシランが加水分解により形成された無配向のポリマー膜に被覆されるために、光触媒2(酸化チタン)と水分との接触を防ぐことができ、湿度の影響がなくなるものの、酸素アニオンラジカルなどの活性種の生成や、光触媒(酸化チタン)とアセトアルデヒドとの接触が阻害され、低い分解速度定数がさらに低下したと考えられる。
一方、修飾光触媒A’、E’、F’においては、湿度に依存せず、高い分解速度定数を維持した。具体的には、光触媒A’においては、化学吸着せずに残った有機トリクロロシランを洗い流して取り除くことにより、光触媒である酸化チタンの表面が無配向のポリマー膜に被覆されることがないため、高い分解速度定数を維持することができたと考えられる。また、光触媒E’およびF’においては、化学吸着せずに残った有機トリクロロシランを光照射して分解除去することにより、上記光触媒A’と同様の効果を得ることができたと考えられる。
このように、本実施例7、11、12に示す洗浄あるいは光照射のどちらの方法を用いて製造された修飾光触媒も、光触媒反応における光触媒の耐水性、耐湿性に優れている。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明の修飾光触媒およびその製造方法により、高湿度雰囲気下での光触媒反応においても、光触媒の耐水性、耐湿性を向上させることができる。例えば、本発明の修飾光触媒を空気清浄機などに搭載することにより、外気湿度の影響を受けることなく、光触媒の分解反応による脱臭性能を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の実施の形態1における光触媒表面の概念図である。
【図2】修飾光触媒の所定の湿度におけるアセトアルデヒドに対する分解速度定数の変化を示す図である。
【図3】修飾光触媒の光照射時間に対するアセトアルデヒドに対する分解速度定数の変化を示す図である。
【図4】修飾光触媒の所定の湿度におけるアセトアルデヒドに対する分解速度定数の変化を示す図である。
【図5】修飾光触媒の所定の湿度におけるアセトアルデヒドに対する分解速度定数の変化を示す図である。
【図6】修飾光触媒の所定の湿度におけるアセトアルデヒドに対する分解速度定数の変化を示す図である。
【図7】修飾光触媒の光照射時間に対するアセトアルデヒドに対する分解速度定数の変化を示す図である。
【図8】修飾光触媒の所定の湿度におけるアセトアルデヒドに対する分解速度定数の変化を示す図である。
【図9】修飾光触媒の所定の湿度におけるアセトアルデヒドに対する分解速度定数の変化を示す図である。
【符号の説明】
【0058】
1 修飾光触媒
2 光触媒

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面にシロキサン結合を介して化学吸着した撥水性有機官能基を有する光触媒からなる修飾光触媒。
【請求項2】
前記撥水性有機官能基が単分子膜を形成していることを特徴とする、請求項1に記載の修飾光触媒。
【請求項3】
撥水性有機官能基が、ハロゲン化されていてもよい炭素数4以上12以下の直鎖状アルキル基である請求項1または2記載の修飾光触媒。
【請求項4】
撥水性有機官能基が、炭素数4以上12以下の直鎖状フルオロアルキル基である請求項1または2記載の修飾光触媒。
【請求項5】
撥水性有機官能基が、炭素数4以上12以下の直鎖状アルキル基である請求項1または2記載の修飾光触媒。
【請求項6】
光触媒表面に、無水溶媒中に撥水性有機官能基−トリクロロシランを含有する溶液を接触させる化学吸着工程と、
光触媒表面に無吸着の撥水性有機官能基−トリクロロシランを、無水溶媒を用いた洗浄により取り除く工程と、
を含む、請求項1記載の修飾光触媒の製造方法。
【請求項7】
光触媒表面に、無水溶媒中に撥水性有機官能基−トリクロロシランを含有する溶液を接触させる化学吸着工程と、
光触媒表面に無吸着の撥水性有機官能基−トリクロロシランを前記光触媒の触媒能が発現する波長の光を照射することにより取り除く工程と、
を含む、請求項1記載の修飾光触媒の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2009−160570(P2009−160570A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−204323(P2008−204323)
【出願日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】