説明

個人化カードの反り除去

個人化カードの反り除去装置および反り除去方法であって、第1接触部材を備える。第1接触部材は、装置に挿入された個人化カードと接触して、カードに発生している反りと逆方向に個人化カードを変位させるように配置することができる。第1接触部材は、個人化カードの一方の側の一部であり、かつ概ね縦横の中心となる領域と接触して変位させる。第2接触部材は、第1接触部材とは反対側において、個人化カードと接触するようにフレームによって支持されることができる。第2接触部材は、個人化カードの反対側において、カードの外周近傍の複数の位置で接触するように配置されて構成される。このように、第1接触部材および第2接触部材が協働して、カードに発生している反りと逆方向に、個人化カードの実質的に全表面積を湾曲させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願のクロスリファレンス
本願は、データカード・コーポレイション(DataCard Corporation)の名において、PCT国際出願として出願されており、2005年11月10日に出願された米国仮出願第60/735,945号、「個人化カードの反り除去(DE-BOWING PERSONALIZED CARDS)」に基づく優先権を主張する。
【0002】
本発明の技術的開示は、例えば、金融カード(クレジットカード、デビットカード等)、運転免許証、国民IDカード、およびカード所持者に固有の個人データおよび/または他のカード情報またはドキュメント情報を記録するその他のカードを含むプラスチックカード等の個人化された識別ドキュメント(personalized identity documents)の作成に伴う反りの影響を低減することに関する。特に、本発明の技術的開示は、このような個人化された識別ドキュメントの作成時に生じる可能性がある、熱ラミネート加工および他の熱転写加工に伴う反りの影響を低減することに関する。
【背景技術】
【0003】
個人化カード(personalized cards)および他の個人化された識別ドキュメントを作成する際に用いられるカード個人化システムおよび方法は、これらのドキュメントを発行する機関により採用されている。上記システムおよび方法により個人化されることが多い識別ドキュメント(identity documents)は、プラスチックカードおよび複合カード(composite cards)を含み、例えば、金融カード(クレジットカード、デビットカード等)、運転免許証、国民IDカード、および指定されたドキュメント所持者に固有の情報によって個人化されたその他のカードおよびドキュメント等が挙げられる。
【0004】
カード個人化システムおよび方法は、小規模な個別のカード個人化および作成用に設計されることがある。このようなシステムでは、個人化される1枚のカードが、個人化装置(personalization machine)に投入されるが、個人化装置は、通常、印刷およびラミネート加工等の1つまたは2つの個人化/作成機能を含む。
【0005】
カードを大量にバッチ生産する場合、機関では、同時に複数のカードを処理して、全体的なカード1枚当たりの処理時間を削減させる多重処理ステーションまたはモジュールを用いるシステムが利用されることが多い。このようなシステムの例は、米国ミネソタ州ミネアポリスのデータカード・コーポレイションの米国特許第4,825,054号、第5,266,781号およびその後継、ならびに第6,902,107号に開示されている。この種のシステムのそれぞれに共通しているのは、個人化/作成される比較的多数のカードを保持することができる投入部、個人化/作成動作が行なわれるように各カードが導かれる複数の個人化/作成ステーション、および個人化済カードを保持する出力部である。一般に、データ情報と、入力部、個人化/作成ステーションおよび出力部を動作させるための命令とを転送する制御部が用いられる。小規模のカード個人化装置と同様に、バッチ生産システムも印刷機能およびラミネート加工機能を備える。
【特許文献1】米国特許第4825054号明細書
【特許文献2】米国特許第5266781号明細書
【特許文献3】米国特許第6902107号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記システムまたは装置における個人化/作成動作は、個人化カードに、望ましくない反りの影響をもたらすことがある。すなわち、カードに対して行なわれた個人化/作成動作の結果、個人化カードが曲がることがある。とりわけ、このような反りの問題は、個人化カードに反りまたは曲げを発生させ得る熱ラミネート加工および他の熱転写加工によって起こる傾向がある。
【0007】
以下に述べる技術的開示は、個人化カードの作成、特に、熱ラミネート加工および他の熱転写加工のような個人化/作成動作に起因する反りの影響を低減する解決策を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一般に、本発明の開示は、個人化ドキュメント(personalized documents)の反りの低減を図るものである。特に、本発明の開示は、例えば、熱ラミネート加工または他の熱転写加工をカードに施した後に、個人化カードの反りを除去する(de-bowing)装置および方法を提供する。本発明の開示によれば、信頼性および性能が向上された個人化カードの作成を実現できる。
【0009】
一実施形態において、個人化カードの反り除去装置は、第1接触部材および1つ以上の第2接触部材を支持するフレームを備える。第1接触部材および第2接触部材は、カードに発生している反りと逆方向に個人化カードを湾曲させるために協働する。
【0010】
一実施形態において、個人化カードの反り除去装置は、装置に挿入された個人化カードと接触して、カードに発生している反りと逆方向に個人化カードを変位させる第1接触部材を支持するフレームを備える。第1接触部材は、個人化カードの一方の側の一部であり、かつ概ね縦横の中心となる領域と接触して変位させるように配置することができる。1つ以上の第2接触部材は、第1接触部材とは反対側における個人化カードの別の部分と接触するように、フレームによって支持されることができる。1つ以上の第2接触部材は、個人化カードの反対側において、カードの外周近傍の複数の位置で接触するように配置されて構成される。
【0011】
このように、第1接触部材および第2接触部材が協働して個人化カードと接触し、個人化カードの水平軸および垂直軸に沿って発生している反りと逆方向に、個人化カードの実質的に全表面積を湾曲させる。
【0012】
一実施形態において、第1接触部材は、フレームに対して移動可能な単一のパッドを含む。第1接触部材は、通常、接触位置と非接触位置との間を移動できるように、フレーム上に配置されても良い。第1接触部材は、カードに発生している反りと逆方向に個人化カードを変位させるように、個人化カードに向かって移動できる。第1接触部材は、個人化カードに向かって移動することにより、カードの概ね縦横の中心となる領域で個人化カードとの接触を開始するとともに個人化カードの変位を生じさせる。
【0013】
一実施形態において、第1接触部材は、個人化カードの縦横の中心となる一点で個人化カードとの接触を開始するとともに個人化カードの変位を生じさせる。第1接触部材は、接触位置と非接触位置との間の連続する軸に沿って移動する。
【0014】
一実施形態において、1つ以上の第2接触部材は、フレームによって支持され、第1接触部材の経路の外側に配置されても良い。第2接触部材は、第1接触部材が1つ以上の第2接触部材に向かって移動して個人化カードを変位させるとき、個人化カードと接触するように配置されて構成される。1つ以上の第2接触部材は、第1接触部材が接触する側とは反対側に接触する。
【0015】
一実施形態において、1つ以上の第2接触部材は、通常、個人化カードの4つのコーナーと接触し、それらを支える位置に配置されて構成される。さらに別の実施形態において、1つ以上の第2接触部材は、個人化カードのそれぞれのコーナーに概ね対応する位置に配置された4つの接触部材を含む。
【0016】
一実施形態において、1つ以上の第2接触部材は、第1接触部材が1つ以上の第2接触部材に向かって移動するとき、第1接触部材の方向に旋回可能である。
【0017】
さらに別の実施形態において、個人化カードの反り除去方法は、第1接触部材を個人化カードに向かって移動させることを含む。第1接触部材は、個人化カードに向かって移動し、個人化カードの一方の側の概ね縦横の中心となる領域と接触する。第1接触部材は、カードに発生している反りと逆方向に個人化カードの一部を変位させる。この場合、第1接触部材は、カードの概ね縦横の中心となる領域から始めて、個人化カードの一部を変位させる。1つ以上の第2接触部材は、個人化カードの第1接触部材とは反対側の別の部分と接触する。第1接触部材が個人化カードを変位させるとき、1つ以上の第2接触部材は、個人化カードの反対側において、カードの外周近傍の複数の位置で接触する。第1接触部材および1つ以上の第2接触部材が協働することにより、個人化カードに発生している反りを低減する。
【0018】
実施形態によっては、個人化カードのラミネート加工または加熱直後に反り除去を行なうことも理解できるだろう。
【0019】
本発明の開示には、個人化カードの反りの影響を低減または完全に除去できるという利点がある。特に、本発明の開示によれば、個人化カードに熱ラミネート加工または他の熱転写加工を施した後に、個人化カードの反りの影響を低減できる。
【0020】
本願の発明概念を特徴付ける上記およびその他のさまざまな利点および新規な特徴は、以下の詳細な説明の中で指摘される。本発明の技術的開示、その利点、およびその使用により達成される目的を十分に理解するために、本願の発明概念の原理に従って具体例が示され説明されている、本明細書のさらなる一部をなす図面およびそれらに付随する記載事項も参照すべきである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
図1Aおよび図1Bは、個人化カードの反り除去装置10の一実施形態を示す。装置10は、例えば、第1支持フレーム32および第2支持フレーム38を有するフレームを備える。単なる一例として、第1支持フレーム32は、その上に平面台である第2支持フレーム38を支える平面部材でも良い。第1支持フレーム32は、第1接触部材16に接続し、接触位置と非接触位置との間で第1接触部材16を移動させる移送機構を支持する。シャフト16aにより、第1接触部材16を移送台26につなげても良い。以下に、第1接触部材16の動きをさらに説明する。
【0022】
まず、移送機構において、移送台26は、例えば、直線スライド(linear slide)に沿って移動できる。例示的な一実施形態として、直動ねじ(linear screw)27が移送台26に挿通されることにより、移送台は、直線スライドに沿って移動できる。また、当該技術分野において公知の好適な手段を用いて、直線スライドに沿って移送台26を移動させても良い。一例としては、電動制御によって移送台26を動かしても良い。図1Aおよび図1Bに示すように、移送台26は、動力入力またはモータ34および直動ねじ27と動作可能(operatively)に接続される。動力入力またはモータ34は、第1支持フレーム32の表面上に保持される。第1支持フレーム32は、カード処理システム(図示せず)に装置を取り付けるための複数のボルト孔32aを含んでも良い。
【0023】
移送台26および直動ねじ27を含む移送機構ならびに直線スライドは、これらと同等またはより適した設計が他にもある場合があるため、例示的なものにすぎないことが理解されるだろう。好ましくは、移送機構とは、後述するように、単に第1接触部材16に接続して、接触位置と非接触位置との間で第1接触部材16を移動させるために必要な手段であると広く解釈されるべきである。
【0024】
第2支持フレーム38は、個人化カード40の反り除去のための装置10への搬入および反り除去後の装置10からの搬出を支持する。個人化カード40は、カード通路42(後述する図2A〜図2Eに最もよく示されている)に沿って、装置へ出し入れされる。第2支持フレーム38は、一方の端部から他方の端部に向かう方向に伸びる開口17を含む。単なる一例として、開口17は溝(slot)でも良く、シャフト16aはこの開口17を通って上方に伸びることができる。また、シャフト16aは、溝の方向に移動できる。シャフト16a上の開口17を通過して上方に伸びる部分には、第1接触部材16が配置されている。
【0025】
図1Aに示すように、開口17は、第2支持フレーム38の中央部に沿って配置された溝であっても良い。第1接触部材16は、処理のために個人化カード40が装置10に挿入されたら、カードの一方の側の概ね縦横の中心となる領域と接触できるように、シャフト16a上に配置されている。シャフト16aが、第1接触部材16を開口17に沿って個人化カード40の方へ移動させると、第1接触部材16は、個人化カード40と接触する。この動きは、上述のように、移送台26からシャフト16aを介して第1接触部材16に伝えられる。
【0026】
単なる一例として、第1接触部材16は、開口17に沿って移動可能な1つの接触パッドでも良い。また、第1接触部材16は、ゴム材からなるローラでも良い。第1接触部材16は、個人化カード40に向かって移動することにより、カードの概ね縦横の中心となる領域で個人化カード40との接触を開始するとともに個人化カード40の変位を生じさせる。好ましくは、第1接触部材16は、カードの縦横の中心となる一点で個人化カード40との接触を開始するとともに個人化カード40の変位を生じさせる。また、好ましくは、第1接触部材16は、開口17と同じ方向の連続する軸に沿って移動する。第1接触部材16は、接触位置(接触によりカードが変位する)と非接触位置(接触しないため、カードが変位しない)との間を移動する。以下に、図2A〜図2Eにおいて、接触位置および非接触位置をさらに説明する。
【0027】
一実施形態において、第1接触部材16は、個人化カード40と接触する弓形外面(outer arcuate surface)16bを含む。弓形外面16bは、第1接触部材16が個人化カード40と接触する際、カードが弓形外面の輪郭に合わせた形状となるように、表面を形成する。このようにして、第1接触部材16が個人化カード40と接触して、カードに発生している反りと逆方向に個人化カード40を変位させることにより、より均一な逆曲げ(reverse bending)を実現できる。
【0028】
一般に、第2支持フレーム38も、1つ以上の第2接触部材を支持する。一実施形態において、1つ以上の第2接触部材は、第1接触部材16の経路の外側に存在する。つまり、1つ以上の第2接触部材は、上述のように規定された開口17の外側に存在する。また、1つ以上の第2接触部材は、鋼またはプラスチックからなる、自由回転する軸受けとして構成され配置されても良い。好ましくは、1つ以上の第2接触部材は、第1接触部材16が1つ以上の第2接触部材に向かって移動して個人化カード40を変位させるとき、個人化カード40と接触するように配置されて構成される。1つ以上の第2接触部材は、第1接触部材16が接触する側とは反対側における、個人化カード40の概ね縦横の中心となる領域ではない位置で接触する。好ましくは、1つ以上の第2接触部材は、個人化カード40の外周近傍の複数の位置で、個人化カード40と接触する。
【0029】
図1Aに示すように、1つ以上の第2接触部材20は、通常、個人化カード40の4つのコーナーと接触し、それらを支える位置に配置されて構成される。単なる一例として、1つ以上の第2接触部材は、個人化カード40のそれぞれのコーナーに概ね対応する位置に配置された4つの接触部材20を含む。好ましくは、第2接触部材は、第1接触部材16が接触する側とは反対側に接触する対向ローラ(opposing rollers)として配置される。第2接触部材を個人化カード40の縁部またはその近傍に位置決めするために、第2接触部材は径が小さいことが好ましく、それによって、個人化カード40との接触を保ちながらも、反りを除去できるカードの表面積が増加することが理解されるだろう。
【0030】
第1接触部材16が、例えば、カードの縦横の中心となる一点で個人化カード40を変位させると、第2接触部材20は、個人化カード40の実質的に全表面積を湾曲させることができる。つまり、第1接触部材16は、その接触および変位を個人化カード40の略中心に集中させる一方、第2接触部材20は、第1接触部材16による個人化カード40の変位に対抗して、個人化カード40のコーナー近傍を保持する。
【0031】
このように、第1接触部材および第2接触部材が協働して、個人化カードの水平軸および垂直軸に沿って発生している反りと逆方向に、個人化カードの実質的に全表面積を湾曲させる。その結果、水平軸および垂直軸に関して、反りに対する逆曲げを実現できる。図示のように、第1接触部材16は、個人化カードの一方の側に対して垂直な軸に沿って移動するように構成される。別の実施形態では、第1接触部材16は、開口17に沿って移動するのではなく、通常、個人化カード40を支えるように構成されても良く、その一方で、第2接触部材20が、個人化カード40と接触して、カードに発生している反りと逆方向に個人化カード40を変位させるために、個人化カードのもう一方の側に対して垂直な軸に沿って移動するように構成されることが理解されるだろう。また、4つの第2接触部材20は、例示的なものにすぎないことが理解されるだろう。個人化カードの4つのコーナーにおいて対抗する作用(opposing effect)を得るために、第2接触部材の他の構成が適する場合もある。
【0032】
さらに別の実施形態において、第2接触部材20は、第1接触部材16が第2接触部材20に向かって移動するとき、第1接触部材16の方向に旋回可能である。第2接触部材20を内側に旋回させるためのピボットアセンブリ(pivot assembly)を用いても良い。ピボットアセンブリは、旋回軸24aを有する旋回支持体24を含む。旋回軸24aは、旋回アーム22の一方の端部を旋回可能に支持し、旋回アーム22の他方の端部には、ピボットシャフト20aが配置されている。旋回軸24aは、反り除去時に、旋回アーム22を内側に動かすことができる(図2Cに最もよく示されている)。第2接触部材20は、ピボットシャフト20a上に配置されている。
【0033】
図1Aに示すように、装置10は、上述のような部品を備えた2つのピボットアセンブリを含み、それらは、開口17および第1接触部材16の経路の外側に配置される。第2接触部材20は、それぞれのピボットシャフト20a上に配置されている。第2接触部材20は、第1接触部材16による変位に対抗して個人化カード40のコーナー近傍を保持できるようにピボットシャフト20a上に構成される。各ピボットシャフト20aは、開口20b内で旋回できる。開口20bは、開口17の方向を横切る方向に伸びている。旋回アーム22を動かすために、各ピボットアセンブリの旋回シャフト20aは、リンクアーム26aによって移送台26に接続することができる。このような構成において、第1接触部材16が個人化カード40および第2接触部材20に向かって移動すると、第2接触部材20は、第1接触部材16によるカードの変位に対抗するように、ピボットアセンブリによって内側に移動する。このようにして、第2接触部材が内側に旋回することにより、個人化カード40の実質的に全表面積にわたって反りを除去できるように、カードとの接触点を得るための第2接触部材の最適な位置を実現できる。
【0034】
また、当該技術分野において公知の好適な手段を用いて、ピボットアセンブリの旋回アームを旋回させても良い。一例としては、電動制御によって旋回アームを旋回させても良い。ピボットアセンブリは、電気制御を可能にするため、動力入力34と動作可能に接続しても良い。このように、旋回アームは、リンクアーム26aを備えるリンク装置を通じて、移送台26によって動かすことができる。
【0035】
旋回支持体24、旋回軸24a、旋回アーム22およびピボットシャフト20aを含む図示されたピボットアセンブリは、これらと同等または旋回機構を実現するのにより適した設計が他にもある場合があるため、例示的なものにすぎないことが理解されるだろう。好ましくは、ピボットアセンブリとは、カードとの接触点における位置を最適化するために、単に第2接触部材を第1接触部材の方へ旋回させるために必要な手段であると広く解釈されるべきである。
【0036】
移送台26は、シャフト18aに取り付けられたバッキングパッド(backing pad)18を支持しても良い。バッキングパッド18は、開口17に沿って、第1接触部材16に対向して配置される。バッキングパッド18は、個人化カード40の第1接触部材16に対して反対側に配置されるように示されている。バッキングパッド18は、個人化カードが搬送時および反り除去時に装置から外れるのを防ぐのに役立つ。第1接触部材16が個人化カード40に向かって移動すると、バッキングパッド18は、個人化カード40から離れることができる。このようにして、バッキングパッド18は、個人化カード40が、カードに発生している反りと逆方向に曲げられるように、隙間をあける(図2C〜図2Dに示されている)。
【0037】
第2支持フレーム38は、個人化カードの受け取りおよび排出のために配置された搬送ローラも含む。図示の都合上、図1Aには搬送ローラが示されていないが、以下に説明する図2A〜図2Eに示されている。搬送ローラを駆動するために、モータ36を設けても良い(図1A〜図1B参照)。
【0038】
図2A〜図2Eは、作動中の装置10を示す。図2Aは、反り除去前の段階における装置10の部分上面図である。図2Aには、第1搬送ローラ12および第2搬送ローラ14が示されている。第1搬送ローラ12は、例えば、シャフト12aにより第2支持フレーム38に取り付けられていても良い。第2搬送ローラ14は、例えば、シャフト14aにより移送台26に取り付けられていても良い。好ましくは、第2搬送ローラ14は、移送台26とともに移動できる。第2搬送ローラ14は、第2支持フレーム38に設けられた開口14bに沿って移動しても良い。開口14bは、第1接触部材16の開口17の外側に存在し、開口17と同じ方向に伸びている。
【0039】
図2B〜図2Eは、反り除去開始および反り除去時の装置10を示す。移送台26が、第1接触部材16を個人化カード40に向かって接触位置まで移動させると、第2搬送ローラ14は、個人化カード40から離れる。このように、第2搬送ローラ14の移動により、カードに発生している反りと逆方向に個人化カード40を曲げるための隙間がとられる。図2Cは、上述のように、開口20bに沿って、第1接触部材16に向かって内側に旋回している第2接触部材20を示す。接触位置において、第1接触部材16は、カードの反り除去時に個人化カード40を変位させる。図2Cは、反り除去の一段階における装置10を示し、特に、水平方向の反り除去状態を示している。図2Dは、反り除去の一段階における装置10を示し、特に、垂直方向の反り除去状態を示している。両方の反り除去状態は、反り除去の段階で同時に起こり得ることが理解されるだろう。このように、個人化カード40は、実質的に全表面積にわたって反りを除去できるように、その垂直軸および水平軸に沿って反りが除去される。
【0040】
個人化カード40が受ける変位量および変位時間は、約1.0インチ(約25.4ミリ)および約1.5秒である。しかし、このような量は、これらと同等またはより適した変位量および反り除去時間が他にもある場合があるため、例示的なものにすぎず、カードに発生している反りの量に応じて変更しても良い。図2Eは、反り除去後の装置10を示し、個人化カードの反りが除去されて、第1接触部材は、変位がない位置(non-displaced position)にある。実施形態によっては、個人化カードのラミネート加工または加熱直後に反り除去を行なうことも理解されるだろう。この構成によれば、第1接触部材および第2接触部材が個人化カードと接触するときに必要な変位量を減少させながらも、加熱された個人化カードの効果的な反り除去が可能となる。装置10は、個人化カード40の処理および効果的な反り除去を容易にするために、反り除去前および/または反り除去時に、個人化カード40の加熱および/または冷却動作を用いても良い。
【0041】
搬送ローラ12、14について、これらのローラは、個人化カードの装置10への出し入れを可能にする。図示のように、第1搬送ローラ12の1つおよび第2搬送ローラ14の1つが挿入ローラ(entry rollers)を構成し、第1搬送ローラ12の他の1つおよび第2搬送ローラ14の他の1つが排出ローラ(exit rollers)を構成しても良い。
【0042】
装置10には、個人化カードの反りの影響を低減または完全に除去できるという利点がある。特に、この装置は、個人化カードに熱ラミネート加工または他の熱転写加工を施した後に、個人化カードの反りの影響を低減できる。
【0043】
以上の説明に関して、特に、用いられた構成材料および部品の形状、大きさ、配列等の細部にわたる変更を、本発明の範囲から逸脱することなく実行できることが理解されるだろう。明細書および記載された実施形態は例示的なものにとどまり、本発明の真の範囲および精神は、特許請求の範囲において広義に示されている。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1A】図1Aは、個人化カードの反り除去装置の一実施形態を示す斜視図である。
【図1B】図1Bは、図1Aに示す個人化カードの反り除去装置の側面および底面の一部を示す斜視図である。
【図2A】図2Aは、個人化カードの反り除去装置における反り除去前の段階を示す部分上面図である。
【図2B】図2Bは、個人化カードの反り除去装置における反り除去開始の段階を示す部分上面図である。
【図2C】図2Cは、個人化カードの反り除去装置における反り除去の一段階、特に水平方向の反り除去状態を示す部分上面図である。
【図2D】図2Dは、個人化カードの反り除去装置における反り除去の一段階、特に垂直方向の反り除去状態を示す側面図である。
【図2E】図2Eは、個人化カードの反り除去装置における反り除去後の段階を示す部分上面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
個人化ドキュメント(personalized document)の一方の側の中心に概ね対応する位置において、前記個人化ドキュメントと接触するように構成された第1接触部材と、
前記個人化ドキュメントの概ね縦横の中心ではない複数の位置において、前記個人化ドキュメントと接触するように構成された第2接触部材とを備えた個人化ドキュメントの反り除去装置であって、
前記第1接触部材または前記第2接触部材の少なくとも一方が、前記第1接触部材または前記第2接触部材の他方に向かって移動でき、
前記第1接触部材および前記第2接触部材が協働して前記個人化ドキュメントを変位させることにより、前記個人化ドキュメントの実質的に全表面積にわたって、概ね垂直および水平の両方向に変位が起こり、前記個人化ドキュメントに発生している反りを除去することを特徴とする反り除去装置。
【請求項2】
前記第1接触部材は、フレームに対して、接触位置と非接触位置との間を移動可能な単一のパッドを含む請求項1に記載の装置。
【請求項3】
フレームに支持され、前記個人化ドキュメントの反対側に、前記第1接触部材と概ね対向して配置されるバッキングパッドをさらに備えた請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記第1接触部材は、前記個人化ドキュメントに向かって移動して、前記個人化ドキュメントの概ね縦横の中心となる領域で前記個人化ドキュメントとの接触を開始するとともに前記個人化ドキュメントの変位を生じさせるように構成されている請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記第1接触部材は、前記個人化ドキュメントの縦横の中心点となる一点で前記個人化ドキュメントとの接触を開始するとともに前記個人化ドキュメントの変位を生じさせるように構成されている請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記第2接触部材は、カードの外周近傍の複数の位置で、前記個人化ドキュメントと接触するように構成されている請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記第2接触部材は、移動可能な前記第1接触部材の経路の外側に配置されている請求項2に記載の装置。
【請求項8】
前記第2接触部材は、前記個人化ドキュメントの4つのコーナーの位置と接触するように概ね構成されている請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記第2接触部材は、前記個人化ドキュメントの概ね4つのコーナーの位置で、前記個人化ドキュメントと接触するように構成された4つの接触部材を含む請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記第2接触部材は、前記第1接触部材が前記第2接触部材に向かって移動するとき、前記第1接触部材の方向に旋回可能である請求項1に記載の装置。
【請求項11】
個人化ドキュメント(personalized document)の水平軸および垂直軸の両方に沿って、前記個人化ドキュメントの実質的に全表面積の反りを除去する装置を備えた個人化ドキュメント処理システムであって、前記装置は、
前記個人化ドキュメントの一方の側の中心に概ね対応する位置において、前記個人化ドキュメントと接触するように構成された第1接触部材と、
前記個人化ドキュメントの概ね縦横の中心ではない複数の位置において、前記個人化ドキュメントと接触するように構成された第2接触部材とを備え、
前記第1接触部材または前記第2接触部材の少なくとも一方が、前記第1接触部材または前記第2接触部材の他方に向かって移動でき、
前記第1接触部材および前記第2接触部材が協働して前記個人化ドキュメントを変位させることにより、前記個人化ドキュメントの実質的に全表面積にわたって、概ね垂直および水平の両方向に変位が起こり、前記個人化ドキュメントに発生している反りを除去することを特徴とする個人化ドキュメント処理システム。
【請求項12】
前記反り除去装置の前記第1接触部材は、フレームに対して、接触位置と非接触位置との間を移動可能な単一のパッドを含む請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記反り除去装置の前記第1接触部材は、前記個人化ドキュメントに向かって移動して、前記個人化ドキュメントの概ね縦横の中心となる領域で前記個人化ドキュメントとの接触を開始するとともに前記個人化ドキュメントの変位を生じさせるように構成されている請求項11に記載のシステム。
【請求項14】
前記第2接触部材は、カードの外周近傍の複数の位置で、前記個人化ドキュメントと接触するように構成されている請求項11に記載のシステム。
【請求項15】
前記反り除去装置の前記第2接触部材は、移動可能な前記第1接触部材の経路の外側に配置されている請求項11に記載のシステム。
【請求項16】
前記第2接触部材は、前記個人化ドキュメントの概ね4つのコーナーの位置で、前記個人化ドキュメントと接触するように構成された4つの第2接触部材を含む請求項11に記載のシステム。
【請求項17】
前記第2接触部材は、前記第1接触部材が前記第2接触部材に向かって移動するとき、前記第1接触部材の方向に旋回可能である請求項11に記載のシステム。
【請求項18】
第1接触部材および第2接触部材を支持するフレームを有する反り除去装置を備え、
個人化ドキュメント(personalized document)に向かって移動でき、前記個人化ドキュメントの一方の側の概ね縦横の中心となる領域と接触するように前記第1接触部材を構成し、
前記第1接触部材が接触する側とは反対側であって、前記個人化ドキュメントの概ね縦横の中心ではない領域で、前記個人化ドキュメントの一部と接触するように前記第2接触部材を構成し、
前記第1接触部材が前記個人化ドキュメントの前記一方の側との接触を開始し、前記第2接触部材が前記個人化ドキュメントの前記反対側との接触を開始するとき、前記個人化ドキュメントに発生している反りと逆方向に、前記個人化ドキュメントの概ね縦横の中心となる領域部分を変位させることを含む、個人化ドキュメントの実質的に全表面積の反りを除去する方法。
【請求項19】
前記個人化ドキュメントの垂直軸および水平軸の両方に沿って、前記個人化ドキュメントの全表面積の反りを除去することをさらに含む請求項18に記載の方法。
【請求項20】
複数の前記第2接触部材として、個人化カードの前記反対側の概ね4つのコーナーの位置で接触を開始する4つの第2接触部材を構成することをさらに含む請求項18に記載の方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図2E】
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【公表番号】特表2009−515737(P2009−515737A)
【公表日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−540347(P2008−540347)
【出願日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際出願番号】PCT/US2006/060736
【国際公開番号】WO2007/059413
【国際公開日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【出願人】(504012756)データカード・コーポレイシヨン (15)
【Fターム(参考)】