説明

個体認証システム並びにそれを用いた農産物の追跡方法及び農産物追跡システム

【課題】栽培農産物が栽培地管理フィールド内の複数各地点における気象観測、栽培環境データを収集しモニタリングするために配設したフィールドサーバ群を用いて、収穫された農産物を追跡し、収穫された農産物と、購入した農産物とが同一であることを確認できる個体認証・追跡システムを提供する。
【解決手段】フィールドの各地点に配設したフィールドサーバ群を無線LAN送受信部により接続してネットワークを形成し、各地点で記録蓄積された更新データを自動的に順次隣接フィールドサーバに転送するようにし、一方農産物にはRF−IDを貼付して、所定距離範囲に入ればフィールドサーバが自動的に読取り書込みを実行するようにし、RF−ID貼付の農産物は自動的に最初に収穫されたときのデータ・画像データなどと自動的に比較照合し、その結果のパターン一致率が所定値以下なら表示警告させることにより追跡確認を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農産物の生産・加工・移動・貯蔵を行う各地点における環境・生育・保存状態・加工などの生産履歴情報及び農産物の識別・固有情報を収集するために配設したフィールドサーバ群を用いて、農産物の生産現場から最終需要者の手元まで情報収集及び農産物の追跡を行い、該地点で生産された農産物の同一性の検証・確認を行う個体認証システム並びに農産物の追跡方法及び農産物追跡システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の個体認証技術は、対象となる物品または人にRF−IDなどの識別子を付与し、それを暗号化などの方法と組み合わせて同一性を認証するものであったが、識別子そのものが改変または交換されると機能しなくなるという問題があった。識別に指紋等を用いるバイオメトリクスによる認証方式は改変される危険性は少ないが、指紋を読み取る装置に改変を加えられると脆弱であり、また指紋と同じパターンを有する模擬物体を人工的に作ることで詐称できる可能性がある。
【0003】
従来のトレーサビリティシステムは、農産物や食品等の生産物(以下、生産物)に何らかの瑕疵があったとき、その発生原因を迅速に究明するための遡及可能性を実現するシステムであり、悪意のある生産者、流通業者あるいは小売業者が巧妙に生産物の品質を偽ろうとした場合や梱包の内容物だけをすり替えた場合、それを見破ることは難しかった。消費者の手元に届いた製品が品質表示通りの品質と生産履歴を有していることを保証するためには、生産過程のスタートから消費者の手元に渡るまで、一瞬たりとも目を離すべきではないが、これを実現することは困難であった。
【0004】
また、内容物を巧妙に作られた偽物にすり替えられた場合、それをパターンマッチング等の画像認識技術で100%正確に判別を行うことは難しい。あえて行おうとすれば、宝石のように専門家の目で視認・鑑定する必要がある。しかし、農産物のような大量かつ安価な生産物に対して専門家が鑑定することは事実上不可能であった。
【0005】
また、無農薬野菜が真に無農薬栽培であったことあるいは栽培農産物が当該農場のフィールドで生産されたことを示して消費者に安心感を与えるためには、農場を常時、気象及び環境条件も含めてモニタリングし、その情報を包み隠さず消費者に見せる必要がある。また、そのような監視がなされていることを知ることで、消費者は生産者を信頼することができる。このような屋外における監視システムは、多数の計測装置や通信装置からなり、これを屋外及び流通過程に設置することは耐候性及びコストの面で困難であり、またこのような複雑なシステムを実際に運用することは困難であった。
【0006】
フィールドサーバは、複数の環境計測センサと無線LAN等の通信手段を備えた装置であり、生産現場における環境情報をリアルタイムに取得することができる。しかし、従来のフィールドサーバは農産物に関する情報を取得し、生産現場から最終需要者までの移動を追跡する手段は備わっていなかった。
【0007】
また、前記農産物が、前述のフィールド内で生産され収穫された後、その移動・搬送経路で、すり替えなどの偽装を防止する必要がある。このような問題に対しても対応可能なシステムは考えられていなかった。さらに従来の農場に使用する各種モニタリングを搭載した装置、それらの情報の通信ネットワークは、以下のような問題に対する対応が考慮されていなかった。
【0008】
気象・生物・農産物・食品関連の計測では、作物に関しての計測や、土壌水分、植物体水分、葉の濡れなどのセンサがそれぞれ必要である。また、気象や環境に関しては、気温、湿度、風速・風向計、日射量センサ等も必要である。さらに現場のモニタリングシステムとしてリアルタイムに画像を得るためのカメラ、通信機器、GPSなど多くの種類の計測機器を必要とする。従来、現場の情報を得るためには、このような、それぞれの機器を個別に設置していた。
【0009】
従来の方法では、このような装置を設置するためには大型の装置とそれを設置するための広い面積が必要となり、設置のための工数が膨大となる。フィールドサーバはこのようなものを一つのモジュールにまとめて製造コストと設置コストを低減させるところに大きな特徴があるが、さらに農産物のトレーサビリティや認証に関する機能を盛り込むことで大きなコスト低減効果と、フィールドサーバが有する上記機能との組み合わせによる相乗効果が発生し、それぞれの装置を単独に用いた場合に実現し得ない新しい機能を実現することが出来る。
本発明で実現しようとする新しい機能は、従来のトレーサビリティシステムで実現できなかったすり替え及び詐称防止のための個体の真正性に関する情報取得とその開示方法である。
【0010】
特許文献1には、農産物のトレーサビリティシステムとして、農産物の識別情報を農産物に付与する方法が示されている。
この場合の具体的な識別子としては、一般にはRF−IDまたはバーコードが用いられるが、RF−IDの読取書込装置やバーコードリーダを現場に設置する必要が生じる。
【0011】
とくに農場においては精密機器の設置は防水・防塵・耐熱の面で、しかも機器の設置は農作業の障害物となる。また、機器間の配線に要するコストが大きく、設備が大きくなると周囲の景観を損ねるという問題もある。
【0012】
特許文献2には、多数の対象物の設置環境を連続観測してデータを取得し、そのデータを短時間に、低いコストで監視場所に集中させることにより、少数の監視場所による多数の対象物の監視を効率的に可能とする設置環境観測装置と、設置環境監視装置並びに通信ネットワークを経由して情報を伝送するシステムが開示されている。
【0013】
この発明では、設置環境観測装置の連続観測手段で観測したデータを、一定の時間間隔で統計解析処理し、その観測統計データを本文に含む電子メールを通信ネットワークへ送出し、遠隔地に設けられた設置環境観測装置で受信して監視を行うものであった。
【0014】
しかし、連続観測部に設けられた観測機器からの信号を設置環境観測装置のA/D変換器に接続する構成であり、多数の機器を設置、接続する架設が必要であった。また、それらのデータ統計処理などの加工が必要であった。
【0015】
【特許文献1】特開平10−302105号公報(第2、3頁、第図1)
【特許文献2】特開平11−149595号公報(第2、3頁、4頁、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明は前述の各方面の問題点に鑑みてなされたものであり、本発明で実現しようとする新しい機能は、従来のトレーサビリテイシステムで実現できなかったすり替え及び詐称防止のための個体の真性性に関する情報取得とその開示方法であり、以下に示すように総合的に解決することを課題とするものである。
【0017】
まず、認証の安全性に関しては以下の方法で対処する。
対象となる物品または人にRF−IDなどの識別子を付与するとともに、対象物の生体情報(バイオメトリクス情報)を一対の情報として、認証に用いる。ただし、生体情報も対象物と全く同じハードコピーまたは情報を作り出せば詐称の手段として用いることができる。そこで、生体情報は時間とともに少しずつ変化することを利用して、その変化記録を時系列情報として蓄積し、詐称を見破る手がかりとする。
【0018】
認証に必要となる生体情報の取得に関しては以下の方法で対処する。
すなわち、前記農産物栽培フィールドの複数各地点のそれぞれ、気象観測データ・栽培環境データを所定時間毎に収集し、同時にその各地点周囲360度前方向あるいは対象物の部分拡大された画像情報を取得し遠隔地に蓄積できるフィールドサーバを配置する。
【0019】
それらの各地点ごとの栽培状況により、前記フィールド外部の管理所のコンピュータシステムからモニターできるように、さらに前記フィールドサーバには無線LANを組み込んで、前記フィールド内に配置される複数の各地点を接続してネットワークを形成する。
【0020】
以上のように形成されたネットワークの各フィールドサーバは、各地点に記録蓄積された前記栽培状況の各種受信データ(ビデオデータを含む)を隣接するフィールドサーバに移す手段を備え、フィールドサーバネットワークを経由してフィールド内の全地点の各フィールドサーバに順次自動的に同じデータを蓄えるシステムとする。
【0021】
以上のシステムにおいて、その栽培フィールド内の各地点でそれぞれ収穫された農産物の移動・搬送を行うに際して、その農産物に非接触RF−IDを付し、一方、前記フィールドサーバには、さらに、非接触RF−ID読取書込手段を備え、前記フィールドサーバネットワーク範囲内のRF−IDを付した農産物の移動・搬送を追跡可能とし、さらにフィールドサーバネットワーク範囲外に農産物が移動・搬送されて、最終需要者がWebブラウザを有する携帯電話、パソコンなどによりインターネットを介して、その農産物の収穫された地点のフィールドサーバで収集されたデータ・画像情報にアクセスして同一性判定情報を得る認証方法で確認ができるシステムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0022】
前記課題を解決するため、本発明の個体認証システムは、認証対象となる物品または人などの個体に非接触型タグ(RF−ID)、バーコード等の識別子を付与するとともに当該個体の生体情報や傷などの固有情報を同時に取得し、この二つの情報を一対の情報として遠隔地にある記録サーバに通信手段を用いて保存し、さらに生体情報や物品の傷などの物理的状態が一般に時間とともに連続的または累積的に変化することを利用して、その一連の変化を時系列情報として記録サーバに追記し、識別子を有する個体が最初の個体と同一であること判定するための情報として用いることを特徴とする。
【0023】
また、個体の固有情報が農産物の品質や製品の劣化などのように環境条件の影響を受けるものである場合、環境条件に関する情報を前記2つの情報(個体に付与された識別子及び個体の固有情報)に付加し、遠隔地にある記録サーバに通信手段を用いて保存し、当該個体に関する品質情報として特定の者に認証を与え情報開示することを特徴とする。
【0024】
また、本発明の個体認証システムを用いた農産物の追跡方法は、農産物または農産物を格納するケースあるいは包装資材にRF−IDやバーコード等識別子より品名やシリアル番号等の識別情報を付与し、その農産物識別情報と同時に農産物の表面の模様や形状、皺、傷、テクスチャ、蛍光カメラで計測できる農産物固有情報を画像情報として取得し、農産物識別情報と農産物固有情報を一対の情報として無線LANまたはインターネットを用いて遠隔地にある記録手段に伝送し、さらに農産物の梱包、加工、輸送、販売などに伴う空間的移動に対応して、それぞれの各地点で農産物識別情報と農産物固有情報を記録手段に伝送・記録し、この記録手段に蓄積された情報を用いて農産物の移動及び同一性を時間と場所を遡って検証することを特徴とする。
【0025】
また、前記農産物固有情報については、拡大撮影機能を備えたカメラで農産物の一部または全体を拡大撮影した画像、あるいは紫外線や赤外線などの特定波長で撮影した画像、あるいは蛍光画像を用いて固有情報を取得し、生産から流通・消費までの一連の過程において農産物に関する同一性の検証を行うことを特徴とする。
【0026】
また、本発明の個体認証システムを用いた農産物追跡システムは、農産物の生産・加工・移動・貯蔵を行う各地点における環境・生育・保存状態・加工などの生産履歴情報を各種センサ及び前記請求項によって所定時間毎に農産物固有情報を収集し、同時に無線LANによって周囲の空間においてインターネットに接続するインターネット接続サービス提供機能を備え、農産物又はその包装資材に貼付したRF−IDまたはバーコード等識別子情報の読み取り手段を有する複数のフィールドサーバと、
さらに前記生産履歴情報、前記農産物識別情報、前記農産物固有情報を蓄積する外部の情報記憶手段及びそれらの情報をアクセスするための情報管理プログラムから構成され、
それらフィールドサーバ群は、必要に応じて無線LANアクセスポイント又はルータを介してフィールドサーバ間で相互に接続されるネットワークを形成するとともにインターネットを経由して遠隔地にある記憶手段と接続され、
該フィールドサーバは、前記農産物が移動搬送され前記農産物に関する識別情報を前記農産物が読み取り可能な距離に入ったときに前記識別子情報の読み取り手段によって読み取り、記憶手段に記録することによって、農産物の出所及び実体に疑義が生じた際に前記記憶手段に記録された一連の農産物識別情報、農産物固有情報を検索し、各時点で記録された識別情報及び農産物固有情報を比較照合することを特徴とする。
【0027】
また、前記フィールドサーバ群が形成する無線LANによるホットスポット(無線LANによってインターネット接続ができる空間)において、無線LANで接続するRF−IDを用いてデータの読取り書込みを行うことを特徴とする。
【0028】
前記フィールドサーバのRF−ID読取書込手段は、RF−IDとその中で通信するフィールドサーバの外部に敷設したループコイル又は農産物がくぐりぬけるゲート状コイルを備え、そのコイルの範囲内又は通過するRF−IDと通信することにより、農産物の移動を追跡可能としたことを特徴とする。
【0029】
前記フィールドサーバは農産物識別情報を取得後、農産物のすり替えの危険の生じない範囲の時間内に請求項3記載の画像獲得手段を用いて農産物固有情報を取得し、遠隔地の記憶手段に記録され、農産物のすり替えが疑われる場合には、判定者は記憶手段に蓄積されている農産物識別情報から各地点で記録された農産物固有画像情報を引き出し、手元の農産物と照合することで農産物の「すり替え有りまたは無し」の識別を目視によって行い、農産物移動の最終地点まで農産物の信憑性を維持することを特徴とする。
【0030】
前記農産物固有画像情報の照合手段において、農産物固有情報の同一性判定を、予め定めたパターン認識プログラムで自動的に判定を行い、その表示手段では、パターン一致率が予め定めた率より低い画像のみが少なくとも表示され、その画像のみ肉眼目視による効率的な判定が可能になることを特徴とする。
【0031】
前記フィールドサーバは、少なくとも、
(1)生産履歴情報記録部
(2)農産物識別情報取得部
(3)農産物固有情報取得部
(4)無線LANまたはインターネット通信部
(5)電源部
を単一または複数の収納ケースに格納し、複数の収納ケースに格納した場合には地面に垂直方向に積層した構造とし、設置の容易さと設置面積が少ないことを特徴とする。
【0032】
前記フィールドサーバは、その表面上にフィールドサーバのURLまたは、
(1)前記生産履歴情報
(2)前記農産物識別情報
(3)前記農産物固有情報
に関する前記記憶手段の情報を表示するWebサーバのURLを記録したバーコード或は符号を添付して備え、
判定者は、前記バーコード又は符号のURLを解読できるプログラムを有する携帯電話等携帯端末を用いて、その場で前記生産履歴情報、前記農産物識別情報、前記農産物固有情報を取得し、判定を行うことを特徴とする。
【0033】
前記フィールドサーバに組み込まれる前記農産物固有情報読取書込手段のRF−IDに関しては、
第1のプログラム入力によって決められる周波数合成波形信号波を出力するデジタルシンセサイザと、
2つの入力電圧を入力し、その積を電圧として出力する乗算器と、
さらにそれらの定数と結線選択を第2のプログラム入力によって変更できる素子とからなるFPAA(フィールド・プログラマブル・アナログ・アレイ)と、
前記デジタルシンセサイザ、乗算器、FPAAも含めたすべてを制御するコンピュータ部とDA/ADコンバータを少なくとも有すると共に、
前記第1及び第2のプログラムをデジタルバスを介して指令信号として出力できるプログラマブル機能を有するFPGA(フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ)とを備えた4回路要素からなり、RF−IDの使用条件に対応して汎用性のある単一デバイスのプログラマブル・モジュールであって、
読取・書込対象である前記RF−IDとアンテナを介して送信信号を出力し、そのRF−IDからの応答信号をアンテナを介して受信入力する出力/入力端子を前記FPAAにさらに備え、
前記FPGAのコンピュータ部は、前記4回路要素間の必要とする配線を動的に組み替える手段を備え、
前記出力/入力端子とアンテナを介して前記RF−IDと通信可能とする条件に合致する前記第3のプログラムを前記コンピュータ部より起動して前記4回路要素間の配線を定め、
また前記コンピュータ部は、前記RF−IDとの通信に対応する搬送波を生成するため第1のプログラムを起動して、所定の搬送波をデジタルシンセサイザで生成し、次にFPGAのコンピュータ部の指令信号をDAコンバータにより変調電圧波として乗算器により変調させる搬送波生成手段・変調手段を備え、さらに前記コンピュータ部は第2のプログラムの起動により前記FPAAの各素子の結線と素子定数を前記搬送波の送受信回路に定めて、前記変調搬送波を送信すると共に、RF−IDからの搬送波を受信して検波し、その出力をFPGAの前記ADコンバータへ送り、RF−IDと通信するFPAAの定数・結線選択手段を備えることを特徴とする。
【0034】
前記フィールドサーバのホットスポット内に無人農産物販売所があり、利用者がある農産物を購入したいとき、フィールドサーバは前記請求項で述べた方法によって
(1)その場の環境情報
(2)購入する農産物の情報(農産物識別情報及び農産物固有情報)
と、さらに購買者が携帯するICカードまたは購買者が携帯する携帯電話等携帯端末に内蔵された情報によって
(4)課金情報または個人識別情報
を取得し、これらの情報を遠隔地にある前記記憶手段に記録することによって農産物購入課金手段を与えることを特徴とする。
【0035】
前記フィールドサーバの農産物販売管理サーバは、前記利用者確認または農産物購入課金購入の手続きに関するプログラムの処理が正しく実行されず、且つ、前記請求項で示される方法によって前記無人農産物販売所にある農産物に貼付されたRF−IDの移動を検出し、その検出結果を前記管理サーバが受けたときは、警告表示及び警報音等警告信号を出力すると共に、インターネット経由で予め指定した警備会社又は通知先へ通知する無断農産物移動警報手段を備えることを特徴とする。
【0036】
すなわち、前記課題を解決するため本発明の農産物追跡システムは、まず、認証の詐称防止方法に関しては以下の方法によって対処する。
対象となる物品または人にRF−IDなどの識別子を付与するとともに、対象物の生体情報を一対の情報として認証に用いる。さらに、生体情報は時間とともに少しずつ変化することを利用して、その変化記録を時系列情報として蓄積し、詐称を見破るための情報として用いる。例えば、農産物の表面の傷や色、テクスチャは生長及び追熟によって少しずつ変化する。また人間の場合、指の表面の傷全体に関しても新たな傷の発生及び傷の回復によって少しずつ変化する。したがって、不正を行おうとする者が過去のハードコピーを提示したとき、蓄積された過去のデータと比較することでそれが現在のものではなく過去のものであることが発覚する可能性がある。この可能性を示すことで、詐称を抑止することができる。
【0037】
農産物の場合、生体情報としては農産物の重量などの単純な情報でも十分に機能する。例えば、圃場において収穫された果実の重量は、呼吸及び蒸散によって微小に減少する。そのため、増加あるいは急激に減少することはあり得ない。したがって、収穫時、選果時、小売り時、家庭等における重量がある時点で増加した場合、その時点の直前ですり替えが起こった可能性が高いと判定できる。ただし、重量だけでは詐称は容易である。そのため、重量の他、大きさ、形状、表面の色・傷・テクスチャなども組み合わせて利用する必要がある。さらに環境条件に関する情報も同時に記録しておくことで、詐称を見破ることが出来る。例えば、低温、高湿度環境で保存された農産物は、高温、低湿度環境で保存された農産物よりも萎れや重量の減少は少ない。したがって、低温、高湿度環境で保存された農産物の表面のテクスチャの変化が著しい場合、詐称の可能性が高い。すなわち、環境情報は生体情報を補完する情報として利用できる。
【0038】
また、本発明のフィールドサーバを用いた農産物追跡システムは、農産物栽培フィールドの複数地点における気象観測データ・栽培環境データ・生育状況画像データを所定時間毎に少なくとも収集し、前記各地点における栽培状況をモニタリングするため配設されたフィールドサーバ群を用いて、
前記農産物栽培フィールド内の各地点でそれぞれ収穫された農産物の移動・搬送を、その前記フィールドの生産現場から、遠く離れた消費者の手元までを追跡するシステムであって、
前記フィールドサーバは、気象観測測器;栽培環境データ計測各種センサ;配設地点周囲画像機構付ビデオ画像用カメラ部;隣接フィールドサーバと通信できる無線LAN送受信機部及びそれを制御するWebサーバ;農産物又はその格納ケースに貼付した非接触型ICチップからなるRF−IDと通信するRF−ID読取書込手段;所定時間毎の前記観測測器・各種センサからの計測データを制御蓄積すると共に、前記カメラ部、RF−ID読取書込手段を制御し、画像・RF−IDデータを蓄積する情報記録手段サーバ及びそれらのデータと前記農産物管理用プログラムからなるデータベースを記録する記憶装置;電子制御照明器;それらの電源部とから構成され、
それらフィールドサーバ群は、無線LANアクセスポイント又はルータを介してフィールドサーバ間でそれぞれ無線LAN送信部により接続されネットワークを形成し、
該ネットワークの一端に配置されるフィールドサーバは、通信回線・インターネットを経由して遠隔地にあるモニタリング用中央管理所コンピュータシステムと接続するネットワークとし、
前記各フィールドサーバのアプリケーションサーバは、前記タグ読取書込装置に通信用搬送波を発信させ、前記農産物又はその格納ケースに貼付されたRF−IDが通信可能範囲内距離に入ったときは、直ちにRF−IDのデータを読取り、前記データベースに記録すると共にRF−IDへデータを書き込む必要があれば書込むRF−ID読取書込手段と、
前記データベースに記録されるデータが更新される毎に、前記計測データ及び画像・RF−IDデータを隣接フィールドサーバへ自動的に転送し、そのフィールドサーバのデータベースへ記録させる更新データ隣接転送手段と、
前記農産物又はその収納ケースが移動搬送されて、貼付されたRF−IDが、ネットワーク内の別の地点のフィールドサーバの通信可能範囲内距離に入ったときは、そのフィールドサーバは前記RF−ID読取書込手段により直ちにRF−IDのデータを読取り、データベースに記録すると共に、データベースに転送記録されているRF−IDデータを検索し、あれば、先に記録された画像情報と照合比較し、一致したならば「すり替えなし」の識別データを付してデータベースに記録すると共に、該RF−IDに識別結果を書込み、
先に記録された画像情報と照合比較し、一致しないときは、「すり替え有り」の識別データを付してデータベースに記録すると共に、該RF−IDに識別結果を書込み、表示するRF−ID照合手段とを備える。
【0039】
また、農産物、その表示カード、その物品の移動機械、生物を含む移動体或いは固定物体に貼付される前記RF−IDは、さらに組み込まれたWebブラウザを備え、
前記フィールドサーバは、前記RF−ID、携帯電話、パソコンのいずれからでもそれらにインストールされているWebプラウザによりフィールドサーバ内の前記Webサーバに、インターネットを経由して接続し、情報の読込みを行える手段を備え、
前記フィールドサーバ群が形成する無線LANによるネットワークにおけるホットスポット内のWebブラウザを備えたRF−IDと通信して該RF−IDデータの読取り書込みを行う。
【0040】
また、前記フィールドサーバのRF−ID読取書込手段は、RF−IDとその中で通信するフィールドサーバの外部に敷設したループコイル又は農産物がくぐりぬけるゲート状コイルを備え、そのコイルの範囲内又は通過するRF−IDと通信することにより、農産物の移動を追跡可能とした。
【0041】
また、前記各フィールドサーバのカメラ部は、さらに顕微鏡を付加したデジタル画像を取得する電子制御カメラを備え、前記各フィールドサーバの前記情報記録手段サーバは、前記RF−ID読取書込手段の実行直後の農産物のすり替えの危険の生じない範囲の時間内に、前記電子制御カメラで、その農産物の形状・模様を含む拡大画像を予め定めた拡大率で記録する拡大画像記録手段と、
前記RF−ID照合手段が、照合して一致していれば、次にさらにその農産物の拡大画像記録と比較し、そこで差異があれば、「すり替え有り」と識別して表示部へ拡大による判定として表示し、そのデータをさらにデータベースに記録する画像照合手段と、
前記RF−IDデータ隣接記録手段に加えて拡大画像データもRF−IDデータと共に隣接フィールドサーバに記録する拡大画像隣接記録手段とを備え、
前記RF−IDと拡大画像の両データで農産物の「すり替え有りまたは無し」の識別を、農産物移動の最終地点まで行う。
【0042】
また、前記画像照合手段において、各地点のフィールドサーバにおける拡大画像と、最初の収穫地点のフィールドサーバにおける拡大画像データの同一性判定は、予め定めたパターン認識プログラムで自動的に行う判定及び表示手段を備え、
その表示手段では、前記プログラムによるパターン一致率が予め定めた率より低い画像のみが少なくとも表示され、その画像のみ肉眼目視による効率的な判定が可能になる。
【0043】
また、前記フィールドサーバに組み込まれる前記RF−ID読取書込手段は、
第1のプログラム入力によって決められる周波数合成波形信号波を出力するデジタルシンセサイザと、
2つの入力電圧を入力し、その積を電圧として出力する乗算器と、
オペアンプ、抵抗、コンデンサーを少なくとも含む電子回路基本素子を複数有し、さらにそれらの定数と結線選択を第2のプログラム入力によって変更できる素子とからなるFPAA(フィールド・プログラマブル・アナログ・アレイ)と、
前記デジタルシンセサイザ、乗算器、FPAAも含めたすべてを制御するコンピュータ部とDA/ADコンバータを少なくとも有すると共に、
前記第1及び第2のプログラムをデジタルバスを介して指令信号として出力できるプログラマブル機能を有するFPGA(フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ)とを備えた4回路要素からなり、RF−IDの使用条件に対応して汎用性のある単一デバイスのプログラマブル・モジュールであって、
読取・書込対象である前記RF−IDとアンテナを介して送信信号を出力し、そのRF−IDからの応答信号をアンテナを介して受信入力する出力/入力端子を前記FPAAにさらに備え、
前記FPGAのコンピュータ部は、前記4回路要素間の必要とする配線をアクティブにする選択をデジタルバスを介して処理する第3のプログラムによる組替手段を備え、
前記出力/入力端子とアンテナを介して前記RF−IDと通信可能とする条件に合致する前記第3のプログラムを前記コンピュータ部より起動して前記4回路要素間の配線を定め、
また前記コンピュータ部は、前記RF−IDとの通信に対応する搬送波を生成するため第1のプログラムを起動して、所定の搬送波をデジタルシンセサイザに生成し、次にFPGAのコンピュータ部の指令信号をDAコンバータにより変調電圧波として乗算器により変調させる搬送波生成手段・変調手段を備え、さらに前記コンピュータ部は第2のプログラムの起動により前記FPAAの各素子の結線と素子定数を前記搬送波の送受信回路に定めて、前記変調搬送波を送信すると共に、RF−IDからの搬送波を受信して検波し、その出力をFPGAの前記ADコンバータへ送り、RF−IDと通信するFPAAの定数・結線選択手段を備える。
【0044】
また、前記単一デバイスのプログラマブル・モジュールのRF−ID読取書込手段は、
複数個のモジュールを用いて、同時にRF−ID群の集積物或いは搬送車にあるRF−IDと通信し、効率的な処理が行えるよう、
前記フィールドサーバの農産物管理のアプリケーションサーバは、前記各プログラマブル・モジュールとLAN、ルータを介して接続され、
前記アプリケーションサーバは、前記モジュールの中で、送受信可能範囲内にRF−ID群が最初に入ったモジュールからの受信を受けて、そのモジュールを介してその範囲内のRF−IDと読取・書込を行い、そのRF−ID群の読取・書込が完了するまでは、他のRF−ID群があっても、そのモジュールによる読取・書込は行わない選択手段を備え、
複数個のモジュールで、同時処理が行えることを特徴とする。
【0045】
また、前記フィールドサーバは、少なくとも、
(1)前記生産履歴情報
(2)前記周囲画像機構付ビデオ記録カメラ部
(3)前記電子制御照明器
(4)前記各種センサ、Webサーバ、無線LAN送受信部、アプリケーションサーバ、RF−ID読取書込手段、記憶装置
(5)電源部
に5分類して、それぞれ格納する収納ケースを設け、(1)−(5)のそれぞれを一つの組立基本単位とし、
前記(1)−(5)の各単位を地面に垂直方向に積層した構造とし、
フィールドサーバに要求される前記電源部、照明器、計測器、カメラ部の要・不要に基づいて、前記組立基本単位の収納ケースを選択できることを特徴とする。
【0046】
また、前記(1)−(5)の各組立基本単位の収納ケースは、それぞれ上面と下面の接合部の構造をそれぞれ同一形状寸法或いはネジによる結合機構とし、地上から地中に埋込み容易な単一ポールに挿入して、下から任意の順序で順次前記収納ケースを固定しながら積層し、収納ケース間の接合部を固定する構造とし、
フィールドサーバ内の各収納ケースの取外し交換を簡便容易に行え、しかも設置面積が少ない。
【0047】
また、前記フィールドサーバは、その表面上にフィールドサーバのURLアドレスを記録した2次元バーコード或は符号を添付して備え、
そのフィールドサーバのアプリケーションサーバは、前記2次元バーコード又は符号のURLアドレスを解読できるプログラムを有する携帯電話からのアクセスを受けたときは、その携帯電話からの利用者ID番号と、データベースに予め登録されている利用者毎のID番号とを照合し、一致すれば、その利用者を認証する利用者認証手段と、
認証された利用者に前記計測データ、農産物の画像、RF−IDデータを蓄積したデータベースを閲覧する許可を与えるデータ閲覧許可手段とを少なくとも備える。
【0048】
また、前記フィールドサーバのホットスポット内に無人農産物販売所がある場合、該フィールドサーバのアプリケーションサーバは、前記認証された利用者からの依頼内容が農産物の購入の選択である時は、その購入の許可をして前記無人農産物販売所における農産物取引決済情報の記録をデータベースに記録する農産物購入課金手段を備える。
【0049】
また、前記フィールドサーバのアプリケーションサーバは、前記利用者認証手段および農産物購入課金手段のプログラムの実行がなく、且つ、前記RF−ID読取書込手段が前記無人農産物販売所にある農産物に貼付されたRF−IDの移動を検出し、その検出結果を前記アプリケーションサーバが受けたときは、表示装置に警報表示し、警報音を出力すると共に、インターネット経由で予め指定した警備会社又は通知先へ通知する無断農産物移動警報手段を備える。
【0050】
前記フィールドサーバは、携帯電話機或は携帯端末機(PDA)に、少なくとも、周囲画像機構付ビデオ画像用カメラ部;隣接フィールドサーバと通信できる無線LAN送受信機部及びそれを制御するWebサーバ;農産物又はその格納ケースに貼付した非接触型ICチップからなるRF−IDと通信するRF−ID読取書込手段並びにそれらのカメラ部、RF−ID読取書込手段を制御する農産物管理用プログラムを備えた、携帯可能なフィールドサーバを含む。
【0051】
又、本発明の個体認証方法では、生物を含む物品に貼付されたRF−IDの識別情報と、物品の特徴を画像した画像情報及びそれらの情報を取得したフィールドサーバの個別情報から、物品の同一性判定情報を構成する。
【0052】
以上の発明は、以下の作用を実現する。画像、RF−IDリーダー及び複数のセンサを搭載したフィールドサーバを用いて生産履歴及び消費者の手元に生産物が渡るまでの流通履歴に関する情報を記録する。具体的には生産物に関する画像や環境情報を要所要所で測定し、その情報を改竄できない安全な場所にある記憶装置に保存する。
【0053】
記憶装置に保存された情報に何らかの矛盾点が見つかりすり替えや改竄の疑義が生じた場合や消費者が品質・産地・生産者等の表示に疑義を抱いた場合、生産者あるいは査察者(以下、査察者)は画像の一部を手がかりに目視で真偽の判定を行う。手がかりに使う画像は特定しやすい部位(例えばミカンであればヘタの部分)を偽造が困難になる程度に十分拡大して撮影または十分大きな画素数を有する高解像度カメラで撮影する。査察者による真偽判定は疑義が生じた場合や抜き打ちで行う。これにより全量検査を行う必要がなくなり、検査に要するコストを減らすことが出来る。
【0054】
また、流通ルート等に関するトレースは、RF−ID等の識別子を用いて行うため、疑義が生じても生じなくても大量かつ迅速に処理が出来る。
【0055】
例えば、ある消費者が完全無農薬有機栽培ミカンを店頭で見かけ、購入して家に持ち帰ったとする。さらにそのとき、完全無農薬有機栽培のミカンなど生産できないという家人の疑惑を招いたとする。このミカンの表面あるいは梱包にRF−IDや2次元バーコード等の識別子があり、この識別子の情報から、消費者はインターネットを通じて生産者の氏名・顔写真・生産履歴等の詳細な情報を取得できる。圃場に設置したフィールドサーバのが画像情報からこの生産者は本当に無農薬かつ有機栽培でミカンを栽培していたことを知った。ここまでが従来のトレーサビリティシステムでできることである。
【0056】
しかしながら、「魚沼産コシヒカリは生産量よりも遙かに多い偽物が流通している」という噂を耳にした消費者は、このミカンが途中で別のミカンにすり替えられているのではないかという疑惑を抱くだろう。
【0057】
本発明は、このとき以下のように機能し、消費者の不安を解消することが出来る。すなわち、手元にあるミカンを生産者が箱詰めする際に撮影した画像と突き合わせ、ヘタの部分が全く同じ形状のものがないかを探し、あればすり替えがないものとして、「安心感」を獲得できる。もし、どうしても同じ形状のものがない場合には、すり替えが起こった可能性があり、流通経路途中の撮影された画像で確認する。さらに不用意に人が近づいていないかなどの情報から、すり替えを行った者を探し出すことができる。
【0058】
フィールドサーバのカメラは、作物の微細情報も記録できる。そのため、個体識別情報となるメロンのメッシュや、みかんの下手、りんごの表面のまだら模様やごま模様、微細な傷までがリアルタイムに農産物識別情報とともに記録される。また、高解像度撮影によれば作業者の顔や衣服の皺、作業機械(トラクターなど)まで、RF−ID貼付の情報と高解像度画像を記録することが出来、その記録が遠隔地のサーバに安全に、改ざんできない状態で記録保存することが出来る。
【0059】
農産物のすり替えが疑われる場合には、消費者自ら、或はNGO/NPOなどによる第三者認証機関の専門家が、この画像のデータを元にして、すり替えがあったかどうか調べることができる。専門家の調査はインターネットを介して遠隔地から行うことが出来る。この調べは、抜き打ち的に行うことで、すり替え行為の抑止とすることが出来る。
【0060】
さらに、フィールドサーバにそれぞれのURLアドレスを記録した2次元バーコード又は符号を貼付し、そのURLアドレスを解読できる携帯電話により、インターネットを介してそのフィールドサーバと接続し、フィールドサーバ内のデータベースの閲覧することができる。とくに、フィールドサーバが無人農産物販売所をその管理下におけば、無人販売所の利用者は、そのような携帯電話で購入することが可能となる。さらに、利用者以外の無断持ち出しを監視し、盗難を防止する管理が行える。
【発明の効果】
【0061】
本発明によれば、以下に述べる効果を奏する。すなわち、従来の技術ではカメラ、非接触型タグ(RF−ID)リーダー、複数センサ及び通信システムを各場所に個別に設置するしようとすると施工費が非常にかさみ、農産物のような安価な生産物には適用困難であった。またシステムが複雑となるため、故障やメンテナンスの不備が発生しやすくなり、悪意を持った者によるシステムへの破壊や妨害工作などの不正行為との区別が付きにくく、破壊工作を容易に許すことになる。これに対し、本発明では、フィールドサーバにこれらの機能を全て集約してあるため、設置に要する工数を大幅に低減することができる。また、装置が規格化され大量生産量産に適するため、装置のコストを大幅に低減することができる。
【0062】
さらに、同一のフィールドサーバを大量に設置するだけで良いため、故障の際には単に交換するだけで迅速にシステムを復旧することができる。悪意を持つ者がフィールドサーバの装置そのものに不正な改造を加えたとしても、その行為の発見が容易にできる。
【0063】
具体的には、非接触RF−ID読取書込手段及び無線LAN送受信機を少なくとも組込んだ複数のフィールドサーバ群を、農産物栽培フィールドの各地点に配設したフィールドサーバネットワークにより、フィールド内いずれの場所から農産物が収穫されても、その収穫地における農産物栽培データ及びその農産物の拡大画像、特にその農産物の特徴となる画像が、前記収穫場所にもっとも近いフィールドサーバで画像され記録蓄積されると共にその記録が隣接フィールドサーバに転送され、さらに、農産物にRF−IDを付けることにより、RF−ID内の識別情報もその最初のフィールドサーバに読取られ、それらのRF−IDデータが隣接記録手段により順次、他のすべてのフィールドサーバに転送されるので、記録データ及びRF−IDデータの改ざんを防止できる。
【0064】
各地点に配置されたフィールドサーバ群により、農産物が最初に収穫されてから、各フィールドサーバの非接触RF−ID読取書込手段の送受信距離範囲内を通過する毎に自動的に、前記記録データ及びRF−IDデータがフィールドサーバのCPUにより自動的に比較・照合され、書き替えされた確率が高ければ、警告表示され、さらにRF−IDに書き込むようにできるので、流通業者や消費者は、その時点で、農産物の形状・模様を含む拡大画像で、すり替え有無を調査することができる、これにより人手作業を必要最小限とする効率的な追跡システムを構築することができる。
【0065】
また、前記フィールドサーバネットワークが形成するホットスポット範囲外にあっても、農産物購入者の携帯電話、Webブラウザ付きパソコンから、インターネットを介してフィールドサーバ内に備えるWebサーバに接続し、農産物に関する各種データ及び画像データを読取り、その農産物が最初のデータと「すり替え」られていないかを容易に確認することができる。
【0066】
フィールドサーバネットワークを形成する各地点に配設されるフィールドサーバに組み込まれるRF−ID読取書込手段は、汎用性のある単一デバイスのプログラマブル・モジュールとする構成とすることができるので、各地点におけるフィールドサーバはその地点に対応した機能に設定して、効果的な配設をすることができる。
【0067】
また、複数のプログラマブル・モジュールのRF−ID読取書込手段を使用すれば、同時にRF−IDが貼付された多数の農産物或いは搬送物を同時に処理することが可能となる。
【0068】
また、各地点に配設されるフィールドサーバは、それぞれ機能毎に分類して、収納ケースに格納する構成とされ、さらに、それらの収納ケースを必要に応じて垂直方向に搭載する構造とされていることから、フィールドサーバの設置及び保守を容易に行うことができる。また、これらの収納ケースを一本の支持棒に取り付ける構造とすることにより、その配置面積を最小とし、設置作業も容易とすることができる。
【0069】
さらに、フィールドサーバにそれぞれ2次元バーコード又は符号を用いてURLアドレスを貼付し、そのアドレスを解読できる携帯電話により、インターネットを介してフィールドサーバ内のデータベースの閲覧或は管理下の無人販売所の管理を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0070】
本発明のフィールドサーバを用いる農産物追跡システムの実施例について以下図に基づいて詳細に説明する。
【0071】
図1は、フィールドサーバのネットワークを示す模式図である。図1において、10は、標準的な構成のフィールドサーバを示し、図2は、そのフィールドサーバ10の構成及びRF−ID1、2、3との関係を示す模式図である。以下、図1、図2を参照して説明する。(尚、RF−ID1とRF−ID3との違いは、図7に示し段落113以下で説明する)
【0072】
フィールドサーバ10は、生産環境データ計測各種センサ10a、気象観測測器10d、配設地点周囲360度方向画像機構付ビデオ記録用カメラ部10b(カメラ駆動機構及びビデオ記録カメラ)、電子制御スイッチ付照明器10c、隣接フィールドサーバと通信できる無線LAN送受信部10f、それに接続するWebサーバ10l、農産物またはその収納ケースに貼り付けた非接触型の搬送波周波数マイクロ波帯共振回路を含むICチップからなるRF−IDと通信できるRF−ID読取書込手段10i、前記観測測器10d及び各種センサ10aからのデータを蓄積制御すると共に、前記カメラ部10b、照明部10c、RF−ID読取書込手段10iを制御する情報記録手段サーバ10g及びそれらのデータと農産物管理用プログラムからなる各種データベース群を管理するハードディスクドライブ(HDD)などの記憶装置10j(以後データベースも記憶装置と同符号を付す)と、それらの電源回路部10hから少なくとも構成される。尚、電源回路部10hは、ソーラパネル、100V交流電源、12Vバッテリーのいずれかに接続する。
【0073】
前記情報記録手段サーバ10gは、少なくともRF−ID読取書込手段と、更新データ隣接転送手段と、RF−ID照合手段とを備えている。以下、各手段の機能を説明する。
【0074】
前記RF−ID読取書込手段は、各フィールドサーバ10のアプリケーションサーバ10gに備えられて、前記RF−ID読取書込手段10iに通信用搬送波を発信させ、前記農産物またはその収納ケースに貼付されたRF−ID3が、通信可能距離範囲内に入ったとき、直ちにRF−ID3のデータを読取り、前記データベース10jに記録すると共に、必要があれば、RF−ID3へデータを書込む手段である。
【0075】
更新データ隣接転送手段は、データベース10jに記録されるデータが更新される毎に、前記計測データ及び画像データ、RF−IDデータを隣接フィールドサーバへ自動的に転送し、隣接のフィールドサーバのデータベース10jに記録させる手段である。
【0076】
RF−ID照合手段は、RF−IDが貼付されそのデータが記録された農産物が、搬送・移動された場合、移動先のフィールドサーバ10が、そのRF−IDデータを読取り、最初のフィールドサーバから転送記録されたRF−IDの識別情報を検索し、作業メモリー上でそのRF−IDデータ、画像データを照合し、一致すれば「すり替えなし」、もし、不一致ならば「すり替えあり」の識別データを付してデータベース10jに記録すると共にRF−IDにも書込み、さらに不一致の際にはフィールドサーバ10の表示部に「すり替えあり」の警告を表示又は/及び警告音を発する手段である。
【0077】
このRF−ID照合手段は、前記RF−IDの通信可能距離範囲内(図1に点線円内として示す)に、収穫・集積された農産物またはその収納ケースに貼付されたRF−ID3が入ったとき、そのデータを読取った最初のフィールドサーバの記録が、前記更新データ隣接転送手段により順次ネットワーク100内の全フィールドサーバ10のデータベース10jに記録されていることにより、照合が可能となるものである。
【0078】
また、前記アプリケーションサーバ10gは、さらに、HUBなどを介して現場周辺の農産物の拡大画像または顕微鏡を付加した電子制御デジタルカメラ10pによる画像を画像し、データベース10jに蓄積できる。
【0079】
図1、図2中のフィールドサーバ10−1は、保護シートなどで外気から遮断された、例えば温室、ビニールハウス内に設置されたフィールドサーバを示す。このようなフィールドサーバは屋外設置の標準的なフィールドサーバとは電源、気象観測機器の構成が異なる場合がある。また、カメラ部は照明器と同一の収納ケースに入れてもよい。
【0080】
フィールドサーバ10−2は、丘の上や山頂、気球などの高所に設置したフィールドサーバを示す。このような条件に設置されるフィールドサーバには無線LAN送受信部10fだけを備えさせて、無線中継機能のみを果たさせればよい。電源部10hとしては、太陽電池とバッテリーの組み合わせが望ましい。
【0081】
フィールドサーバ10−3は、インターネット及び通信回線網150に接続するモデムを含むブロードバンド回線接続部を備えたフィールドサーバを示す。このフィールドサーバは、インターネットを介して中央管理所のコンピュータシステム200からのアクセスに応答して、農産物のデータ、画像データ、RF−IDデータをデータベース10jから読み出してコンピュータシステム200へ送信する機能を有する。すなわち、このフィールドサーバ10−3によれば、中央管理所で各フィールドサーバを制御してデータを集めることができる。
【0082】
図1、図2中、破線は無線LANによる無線中継回線を示す。図1の丸印はフィールドサーバ10、10−1、10−2、10−3の配設位置を示し、その外側に示した実線の外円は各フィールドサーバが農産物栽培管理をする範囲(ホットスポット)を示す。
【0083】
点線で示した丸印は、非接触RF−ID読取書込手段10iによるRF−ID1又は3の読取り距離範囲である。RF−ID3の回路はマイクロ波帯の集積型共振回路を含み、その搬送周波数はマイクロ波帯に設計されているIC回路が多い。
【0084】
RF−ID3が貼付けされた農産物または収納ケースが、前記点線で示した円内を通過すれば、その中心にあるフィールドサーバ10は、自動的に前記RF−ID読取書込手段によりRF−ID3との通信を行い、次に前記RF−ID照合手段によりそれぞれのフィールドサーバ10はデータベース10jの最初のRF−IDデータと比較し、その比較結果を記録し、そのデータは前記更新データ隣接転送手段により周辺のフィールドサーバに転送する。
【0085】
前記フィールドサーバネットワーク100の範囲外で、最終需要者がそのフィールドサーバネットワーク内で収穫された農産物を購入した場合、その需要者は各自の携帯電話300またはWebブラウザを備えたパソコン400からインターネット150を介してフィールドサーバ10−3に接続し、そこに集積されているRF−IDのデータと、現在、自分が購入した農産物と照合できる。また、Webブラウザを備えたRF−ID2からも照合できる。
【0086】
その照合を行う場合、前記フィールドサーバ10のビデオ記録カメラ部10bは、さらに、拡大画像を取得する顕微鏡レンズを備えた電子制御カメラ10pを備え、微細構造のデジタル画像を記録させてもよい。
【0087】
各フィールドサーバ10のアプリケーションサーバ10gは、RF−ID読取書込手段10iに前記RF−ID読取書込手段を実行させると共に、さらに加えて、その実行直後(農産物の「すり替え」ができない直後の時間内)に、その農産物の形状、電子制御カメラ10pにより模様を含む拡大画像を予め定めた拡大率で記録(拡大画像記録手段)し、前記RF−ID照合手段による照合が一致していれば、次に、農産物の拡大画像と比較し、そこで差異があれば「拡大画像すり替え有り」と識別して表示部へ表示し、そのデータをデータベース10jに記録する画像照合手段と、拡大画像データを前記更新データ隣接転送手段と同様に転送する、拡大画像隣接記録手段とを備える。
【0088】
すなわち、以上の手段により、拡大画像すり替え有無の識別データもネットワーク100全体のフィールドサーバへ転送される。
【0089】
なお、画像照合手段において、各地点のフィールドサーバにおける拡大画像と最初の収穫地点のフィールドサーバで取得された拡大画像データとの同一性判定は、予め定めたパターン認識プログラムで自動的に行う公知の判定手段と、その表示データ手段を備え、
前記プログラムによるパターン一致率が予め定めた率より低い場合のみ、肉眼で判定することを求める表示画像の表示部への出力を行うこととし、自動判定を効率的に行い、自動判定が困難なケースのみ肉眼チェックを求め、判定作業の効率的な運用を行う。
【0090】
図2に示したように、RF−ID2を、少なくともWebブラウザとフィールドサーバへの送信ボタンを備えるIC回路とすれば、農産物に貼付しているRF−ID2からインターネット150を介してフィールドサーバ10−3にあるその農産物のデータと直接照合することができる。
【0091】
図3は、フィールドサーバ10に標準装備されている非接触RF−ID読取書込手段10iを単一デバイスのプログラマブル・モジュール80としたものである。
【0092】
このプログラマブル・モジュール80は、農産物に貼付されているRF−ID3と通信する送受信回路が設けられている。また、前記アプリケーションサーバ10gからの指令信号を受けて、その信号により変調した搬送波をアンテナiより発信する。
【0093】
一方、前記RF−ID3がその搬送波の受信距離範囲内に入れば、RF−ID3のIC回路内の共振回路に搬送周波数が共振、すなわち同調することにより、RF−ID3は、その変調搬送波を受信し、復調してアプリケーションサーバ10gのデータを読取り指令信号を受信する。その指令信号に基づいてRF−ID3内のデータを返信する。
【0094】
次に、図3を参照してプログラマブル・モジュール80の構成を説明する。RF−ID3の使用条件に対応して、汎用性のある単一デバイスのプログラマブル・モジュール80は、以下の4回路要素から構成されている。
【0095】
すなわち、(1)周波数合成波形信号波を第1のプログラム入力によって出力するデジタルシンセサイザ81、(2)2つの入力電圧を入力し、それらの積を電圧として出力する乗算器82、(3)オペアンプ、抵抗、コンデンサーを少なくとも含む電子回路基本素子を複数、さらに、それらの定数と結線選択を第2のプログラム入力によって変更できる素子とからなるFPAA(フィールド・プログラマブル・アナログ・アレイ)83。
【0096】
(4)前記デジタルシンセサイザ81、乗算器82、FPAA(フィールド・プログラマブル・アナログ・アレイ)83を含めた全体を制御するコンピュータ部84aと、DAコンバータ84xと、前記第1及び第2のプログラムをデジタルバス84p、84qを介して指令信号を出力するプログラマブル機器を有するFPGA(フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ)84から構成されている。
【0097】
前記FPAA83は、読取り・書込対象である前記RF−ID3へ、アンテナを介して送信信号を出力し、RF−ID3からの応答信号をアンテナを介して受信入力する出力/入力端子83a、83bを備える。
【0098】
尚、アンテナには、送受信兼用アンテナiとして、そのアンテナから入力する或いは出力する電磁波を方向性結合器などで分離する従来の技術を使用することができる。
【0099】
また、FPGA84のコンピュータ部84aは、前記4回路要素81乃至84間の配線をアクティブにする選択をデジタルバス84p、84qを介して第3のプログラムにより組み替える組換手段を備える。
【0100】
また、4回路要素81乃至84は、それぞれDC−DCコンバータ85の直流電源と接続している。
【0101】
以上の構成の非接触RF−ID読取書込手段10i(プログラマブル・モジュール80)は、図2に示した農産物管理アプリケーションサーバ10gからのRF−IDとの通信開始信号指令を受けて、以下のようにして出力端子83aからアンテナiを介して周辺に電磁波を発射する。
【0102】
まず、コンピュータ部84aは、前記第3のプログラムを起動してRF−ID3との通信を可能にする条件に合致するよう4回路要素81〜84間の配線86、87、87a、88をアクティブにする。
【0103】
次に、コンピュータ部84aは、第1のプログラムを起動して、RF−ID3と通信するため、そのRF−IDの共振周波数帯に相応する搬送波用の電圧波をデジタルシンセサイザ81で生成し、配線86へ出力する。
【0104】
次に、FPGA84のコンピュータ部84aの指令信号データをDAコンバータ84xにより変調電圧波として配線87を介して乗算器82へ入力し、前記デジタルシンセサイザ81との積を生成して配線88を介してFPAA83へ出力する。
【0105】
コンピュータ部84aは、FPAA83が配線88より変調搬送波電圧を受信したとの信号をデジタルバス84qを介して受けると、第2のプログラムを起動する。
【0106】
第2のプログラムによりFPAA83の各素子の結線と素子定数を、前記変調搬送波の送信回路並びに受信搬送波を検波する受信回路に対応するように定めると共に、変調搬送波をアンテナより発射させる。
【0107】
次に、RF−ID3が、もし搬送波(通常例ではマイクロ波帯)の受信距離範囲内にあれば、RF−ID3はその搬送波に応答しRF−ID内部メモリーにあるデータにより変調された電磁波をアンテナiにより受信する。その受信搬送波は、FPAA83内の受信回路で検波され、その検波出力は配線87aを経由してADコンバータ84yに入り、デジタル信号に変換され手コンピュータ部84aに読込まれる。
【0108】
又、必要に応じて、アプリケーションサーバ10gにあらかじめ定めたプログラム手順により、プログラマブル・モジュール80(10i)は、指令を受けて書込処理を行うことができる。
【0109】
以上、構成を説明した単一デバイスのプログラマブル・モジュール80のRF−ID読取書込手段10iは、LAN及びHUBなどを介して複数個接続し、集積収納容器や搬送車にある複数のRF−ID3群を同時並行処理で読取り書込み処理を行うようにしてもよい。これにより、RF−IDが貼付された農産物が多数積載された状態であっても、積載状態のまま、短時間で逐次読取書込処理できるシステムとすることができる。
【0110】
次に、フィールドサーバ10のアプリケーションサーバ10gの動作を説明するアプリケーションサーバ10gは、制御下にある複数のプログラマブル・モジュール80に対して、それぞれRF−ID群のいずれかと通信できるように変調搬送波を発信させる。
【0111】
各モジュール80は、それぞれの送受信可能範囲内に最初に入ったRF−ID3と通信し、読取り結果データをアプリケーションサーバ10gへ送り、アプリケーションサーバ10gはそのデータをデータベースにRF−ID毎に蓄積記録する。
【0112】
モジュール80は、アプリケーションサーバ10gの指令により、次に送受信可能範囲内にあるRF−ID3からの受信信号を受けて、同様な処理を行い、モジュール80の受信処理中は他のRF−ID3の受信を受付けない選択手段を有する。
【0113】
複数個のモジュール80で、同時に多数のRF−ID3の読取書込処理が順次処理できることとなる。すなわち、短時間で、効率的に読取が行われる特徴を備えたシステムとすることができる。
【0114】
図4は、本発明の一実施例のフィールドサーバの構造を示す模式図で、地面に垂直方向に積層したフィールドサーバの構造を示す。 この実施例は、設置面積が少なく、且つ、保守し易く、構成の組換えを容易に行えることを特徴とする構成である。
【0115】
このフィールドサーバ10は以下の5分類として、格納ケースに収容される。
(1)気象観測測器10a
(2)360度周囲画像機構付ビデオ記録カメラ10b
(3)電子制御ON/OFF照明器具10c
(4)各種センサ10d、Webサーバ10e、無線LAN送受信部10f、
アプリケーションサーバ10g、RF−ID読取書込手段10i、HDDなどの記憶装置10j
(5)電源部10h
【0116】
前記(1)〜(5)は、それぞれ格納する5個の収納ケースに収容され、(1)〜(5)の各単位を一つの組立基本単位とする。
【0117】
また、(1)〜(5)の各単位を地面に垂直方向に積層する構造とする。
【0118】
フィールドサーバ10は、要求仕様により、各組立単位の収納ケースを自由に選択し、必要な機能のフィールドサーバとする。
【0119】
(1)〜(5)の各組立基本単位の収納ケースは、それぞれ上面と下面の接合部の構造を、それぞれ同一形状、寸法或いはネジによる結合機構とし、組立を容易にする構成とする。
【0120】
又、各組立基本単位の収納ケースは、それぞれ中心に中空棒を貫通する穴を設けるか、或いは中空棒を挟み込む構造とし、任意の順序で、選択したその収納ケースを、地上から地中に埋め込み容易な単一ポールの中空棒に挿入し固定して積層する。よって、取り外し交換が容易に行え、又その設置面積を少なくすることができる。
【0121】
図4は、中空ポール12に、下から固定した架台の上に太陽電池電源部10h(5)を搭載し、次に固定した架台の上に透明円筒部材からなるカメラ部10b(2)を搭載する。中空ポール12の中空部内側は電源配線の設置スペースに利用することができる。
【0122】
次に、その上に架台を固定し網籠に収納された気象観測機器10a(1)を搭載する。さらに、その上に架台を固定し、透明円筒部材に収納された照明器10c(3)を搭載する。
【0123】
その上側の中空ポール12に架台を固定し、透明円筒内に各種センサ10d、Webサーバ10e、無線LAN10f、アプリケーションサーバ10g、RF−ID読取書込手段10iデータベース装置10j(4)などを収容し搭載する。さらにその上に最上位蓋11を設け、各種センサ10dを配置する。
【0124】
次に、図1を参照し、収穫された農産物の追跡について説明する。また、フィールド内のある場所で収穫された農産物が、その生産現場から移動搬送されるまでの過程及びそれらが販売される店頭までの経路で、他の農産物と「すり替え」されるいわゆる偽装防止追跡システムの具体的な動作を説明する。
【0125】
図1に示されたフィールドサーバ10の農産物栽培管理範囲であるホットスポット(図1ではフィールドサーバを中心としたハッチングされた円形の範囲で示す)のいずれかの場所で農産物が収穫されたとし、その場所を第1の地点とする。
【0126】
その、第1の地点において、収穫農産物或いはその収穫容器にRF−ID3を貼付する。次に、その第1の地点を管理するフィールドサーバ10のRF−ID読取可能距離範囲内(図1中に円形破線で示す)にその農産物或いは収納容器を集積させて、RF−ID3との通信を開始させるようにする。
【0127】
すなわち、フィールドサーバ10のアプリケーション10gは、RF−ID読取書込手段10iに対してRF−ID3との通信を指令し、RF−ID読取書込手段10iはアンテナiより搬送波を所定時間毎に発信し、RF−ID3が前記読取り可能距離範囲に入れば、直ちにその応答搬送波を受信して通信を開始し、そのRF−ID3のデータを読取ると共にその収穫農産物に関するデータを書込み、それらのデータを第1の地点の最初の収穫農産物データとしてアプリケーションサーバ10gのデータベース10jに記録する。(RF−ID読取書込手段)
【0128】
前記第1の地点における最初の収穫農産物データは、自動的にネットワーク10内の全フィールドサーバ10のデータベース10jに順次記録される。(更新データ隣接転送手段)
【0129】
一方、RF−ID3が貼付された農産物又はその収納ケースが販売のために移動搬送される場合、そのRF−ID3が図1の点線円内を通過する毎に自動的にその中心にあるフィールドサーバ10と通信し、そのRF−ID3に関するデータは更新され、その都度照合結果データがデータベース10jとRF−ID3に書込まれる。(RF−ID照合手段)
【0130】
従って、農産物の需要者は、ネットワーク100内は勿論、そのネットワーク100範囲外でも、携帯電話300、パソコン400、Webブラウザを有するRF−ID2から、その農産物がすり替えられていないかを確認することができる。
【0131】
農産物の拡大画像による固有情報とRF−IDによる識別情報をインターネット経由で組み合わせて利用することですり替えを検知し得る本発明は、皮革製品やべっ甲製品など生物由来素材で作られた製品も農産物の一種として管理することができる。例えば、ブランド名とともにRF−IDまたはシリアル番号などの識別子が付与された高級ブランドのハンドバッグがあったとしよう。中古ルートや廃品から剥ぎ取られた識別子が偽物のハンドバッグに貼付されて市販されると、従来のトレーサビリティシステムでは本物と識別されてしまう。しかし、本発明ではハンドバッグの一部または全体の画像を細かな皺が識別できる程度の拡大率で遠隔地にあるサーバに保存されており、この画像と一致するかどうかでこのような偽物と区別することが出来る。
【0132】
図5は携帯電話300からインターネット150を介して無線LAN対応のRF−ID3を読取る方法を示した説明図である。
【0133】
無線LAN対応RF−ID3であれば、そのRF−ID3がフィールドサーバ10が形成するホットスポット範囲内にあれば、そのデータを携帯電話、パソコン、PDAなどでインターネット経由でアクセスして読取れる。すなわち、そのホットスポット内の無線LAN対応のRF−ID3(無線LANのアクセスポイントに接続できるクライアント機能を有するICカード)のデータをアクセスし、農産物等物品の属性情報や履歴情報を読み取り又は許可されれば書込むこともできる。
【0134】
図7は、RF−IDからの読取り方法を示す説明図で、(1)はフィールドサーバ近傍の場合、(2)は、リング状のループコイルを用いた場合、(3)はトンネル状ループコイルを用いた場合を示す。
【0135】
図7(1)は、無線LAN対応のRF−ID3の場合を示し、フィールドサーバ10の非接触RF−ID読取書込み装置10iにより、フィールドサーバ10近傍の農産物やケースに添付したRF−ID3のデータをアクセスする方法である。この場合のアクセスできる範囲はRF−ID読取書込手段10iのアンテナから発射される無線(例えばマイクロ波帯)搬送波の電界強度によるが、次に示すコイル式より当然遠くても通信できる。
【0136】
図7(2)は、RF−ID1がフィールドサーバ内のRF−ID読取書込手段10iから伝送線を配設し、リング状のループコイルを接続しておき、その外付けループコイル13内の電磁界と、RF−ID1内のコイルとカップリングすることによりデータ通信する方法である。
【0137】
図7(3)は、そのコイルがトンネル状ループコイルとしたものである。図7(2)の結合方法と同様である。
【0138】
図6は、農産物画像とそのデータの流れおよび目視による照合過程の説明図である。図6に基づき農産物4の画像データとその関連データの流れと、それらのデータをインターネットを介してパソコン400などで照合する課程を説明する。
【0139】
ここで、200は、中央管理所コンピュータシステムで収集した各フィールドサーバ10の情報を蓄積したデータベースサーバを示す。このサーバ200は、農産物4が収穫されたフィールドサーバ10における画像データから、移動した際に通過したフィールドサーバ10における画像およびデータが全て蓄積されている。
【0140】
利用者は、パソコン400でインターネットを介し、現在購入する農産物4と、サーバ200の画像記録内容とを目視して比較することができる。
【0141】
勿論、目視しなくても前述したように各フィールドサーバ10が農産物4の画像が、その通過点で画像される毎に自動的に所定のパターン項目について照合し、一致率が予め定めた率より低い画像は、その旨表示するようになされ、自動照合機能で効率的に処理されるようになっている。本発明によれば、目視は最終的に農産物のある現場でも、又現場から離れたところでもインターネットを介して可能とされている。
【0142】
次に、前記フィールドサーバ10にそれぞれの表面、例えば中空ポール12の側面などに、URLアドレスを記録した2次元バーコード或は2次元図形符号を予め添付(貼り付け)して配置する場合を説明する。
【0143】
各フィールドサーバ10のアプリケーションサーバ10gは、以下のプログラム手段を備えている。
【0144】
前記2次元バーコード又は符号のURLアドレスパターンを解読復符できるプログラムを有する携帯電話から、そのURLアドレスによるアクセスを受けたときは、その携帯電話から送られる利用者ID番号又はパスワードと、データベースに予め登録されている利用者ID番号又はパスワードとをその都度照合し、一致すれば、その利用者を認証する利用者認証手段と、
【0145】
その認証された利用者に対して、各種農産物管理に関する計測データ、画像/RF−IDデータを蓄積したデータベースを閲覧する許可を与えるデータ閲覧許可手段とを備える。
【0146】
また、それらのフィールドサーバ10のホットスポット内に管理すべき無人農産物販売所がある場合は、該フィールドサーバ10のアプリケーションサーバ10gは、前記認証された利用者からのアクセス依頼内容が農産物購入の選択である時は、その購入の価格と数量を選択させて、その購入を許可し、農産物取引決済情報をデータベースに記録する農産物購入課金手段を備える。
【0147】
さらに、アプリケーションサーバ10gは前記利用者認証手段及び農産物購入課金手段のプログラムの実行がなく、且つ、前記RF−ID読込書込装置10iが、前記農産物販売所にある農産物に貼付されているRF−ID3の移動を検出して、その検出結果をアプリケーションサーバ10gが受けたときは、表示装置に無断持ち出しの警報を表示し、警報音を出力すると共に、インターネット経由で、予め指定した警備会社などの通知先へ通知する無断農産物移動警報手段を備える。
【図面の簡単な説明】
【0148】
【図1】フィールドサーバのネットワークを示す模式図である。
【図2】フィールドサーバ10の構成及びRF−IDとの関係を示す模式図である。
【図3】本発明の単一デバイスのプログラマブル・モジュールを用いた非接触RF−ID読取書込手段の構成図である。
【図4】本発明の一実施例のフィールドサーバの構造を示す模式図である。
【図5】携帯電話から無線LAN対応のRF−IDを読取る方法を示した説明図である。
【図6】農産物画像とそのデータの流れおよび目視による照合過程の説明図である。
【図7】RF−IDからの読取り方法を示す説明図で、(1)はフィールドサーバ近傍の場合、(2)は、リング状のループコイルを用いた場合、(3)はトンネル状ループコイルを用いた場合を示す図である。
【符号の説明】
【0149】
1 コイル対応RF−ID
2 Webブラウザを有するRF−ID
3 無線LAN対応のRF−ID
4 農産物
10 フィールドサーバ
10−1 温室内に配設されたフィールドサーバ
10−2 気球上又は山上に配設されたフィールドサーバ
10−3 インターネット当に接続するブロードバンド回線接続回路部を備えるフィールドサーバ
10a 環境データ計測各種センサ
10b カメラ駆動機構付ビデオ記録カメラ
10c 電子制御スイッチ付照明器
10d 気象観測測器
10e Webサーバ
10f 無線LAN送受信部
10g 情報記録手段サーバ
10h 電源回路
10i 非接触RF−ID読取書込手段
10j データベース、記憶装置(HDD)
10p 顕微鏡画像画像デジタルカメラ(電子制御カメラ)
11 最上位蓋
12 中空ポール
80 プログラマブル・モジュール
81 デジタルシンセサイザ
82 乗算器
83 FPAA
83a 出力端子
83b 入力端子
84 FPGA
84a コンピュータ部
84p、84q デジタルバス
84x、84y DA/ADコンバータ
85 DC−DCコンバータ
86 選択配線
87 選択配線
88 選択配線
100 フィールドサーバ中継回路網、フィールドサーバネットワーク
150 インターネット及び通信回線網
200 中央管理所のコンピュータシステム、各フィールドサーバの情報を蓄積するデータベースサーバ
300 Webブラウザを備えた携帯電話機
400 Webブラウザを備えたパソコン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
認証対象となる物品または人などの個体に非接触型タグ(RF−ID)、バーコード等の識別子を付与するとともに当該個体の生体情報や傷などの固有情報を同時に取得し、この二つの情報を一対の情報として遠隔地にある記録サーバに通信手段を用いて保存し、さらに生体情報や物品の傷などの物理的状態が一般に時間とともに連続的または累積的に変化することを利用して、その一連の変化を時系列情報として記録サーバに追記し、識別子を有する個体が最初の個体と同一であること判定するための情報として用いることを特徴とする個体認証システム。
【請求項2】
個体の固有情報が農産物の品質や製品の劣化などのように環境条件の影響を受けるものである場合、環境条件に関する情報を前記2つの情報(個体に付与された識別子及び個体の固有情報)に付加し、遠隔地にある記録サーバに通信手段を用いて保存し、当該個体に関する品質情報として特定の者に認証を与え情報開示することを特徴とする請求項1記載の個体認証システム。
【請求項3】
農産物または農産物を格納するケースあるいは包装資材にRF−IDやバーコード等識別子より品名やシリアル番号等の識別情報を付与し、その農産物識別情報と同時に農産物の表面の模様や形状、皺、傷、テクスチャ、蛍光カメラで計測できる農産物固有情報を画像情報として取得し、農産物識別情報と農産物固有情報を一対の情報として無線LANまたはインターネットを用いて遠隔地にある記録手段に伝送し、さらに農産物の梱包、加工、輸送、販売などに伴う空間的移動に対応して、それぞれの各地点で農産物識別情報と農産物固有情報を記録手段に伝送・記録し、この記録手段に蓄積された情報を用いて農産物の移動及び同一性を時間と場所を遡って検証することを特徴とする請求項1又は2記載の個体認証システムを用いた農産物の追跡方法。
【請求項4】
前記農産物固有情報については、拡大撮影機能を備えたカメラで農産物の一部または全体を拡大撮影した画像、あるいは紫外線や赤外線などの特定波長で撮影した画像、あるいは蛍光画像を用いて固有情報を取得し、生産から流通・消費までの一連の過程において農産物に関する同一性の検証を行うことを特徴とする請求項3記載の個体認証システムを用いた農産物の追跡方法。
【請求項5】
農産物の生産・加工・移動・貯蔵を行う各地点における環境・生育・保存状態・加工などの生産履歴情報を各種センサ及び前記請求項によって所定時間毎に農産物固有情報を収集し、同時に無線LANによって周囲の空間においてインターネットに接続するインターネット接続サービス提供機能を備え、農産物又はその包装資材に貼付したRF−IDまたはバーコード等識別子情報の読み取り手段を有する複数のフィールドサーバと、
さらに前記生産履歴情報、前記農産物識別情報、前記農産物固有情報を蓄積する外部の情報記憶手段及びそれらの情報をアクセスするための情報管理プログラムから構成され、
それらフィールドサーバ群は、必要に応じて無線LANアクセスポイント又はルータを介してフィールドサーバ間で相互に接続されるネットワークを形成するとともにインターネットを経由して遠隔地にある記憶手段と接続され、
該フィールドサーバは、前記農産物が移動搬送され前記農産物に関する識別情報を前記農産物が読み取り可能な距離に入ったときに前記識別子情報の読み取り手段によって読み取り、記憶手段に記録することによって、農産物の出所及び実体に疑義が生じた際に前記記憶手段に記録された一連の農産物識別情報、農産物固有情報を検索し、各時点で記録された識別情報及び農産物固有情報を比較照合することを特徴とする請求項1ないし4記載の個体認証システムを用いた農産物追跡システム。
【請求項6】
前記フィールドサーバ群が形成する無線LANによるホットスポット(無線LANによってインターネット接続ができる空間)において、無線LANで接続するRF−IDを用いてデータの読取り書込みを行うことを特徴とする請求項5記載の個体認証システムを用いた農産物追跡システム。
【請求項7】
前記フィールドサーバのRF−ID読取書込手段は、RF−IDとその中で通信するフィールドサーバの外部に敷設したループコイル又は農産物がくぐりぬけるゲート状コイルを備え、そのコイルの範囲内又は通過するRF−IDと通信することにより、農産物の移動を追跡可能としたことを特徴とする請求項5記載の個体認証システムを用いた農産物追跡システム。
【請求項8】
前記フィールドサーバは農産物識別情報を取得後、農産物のすり替えの危険の生じない範囲の時間内に請求項3記載の画像獲得手段を用いて農産物固有情報を取得し、遠隔地の記憶手段に記録され、農産物のすり替えが疑われる場合には、判定者は記憶手段に蓄積されている農産物識別情報から各地点で記録された農産物固有画像情報を引き出し、手元の農産物と照合することで農産物の「すり替え有りまたは無し」の識別を目視によって行い、農産物移動の最終地点まで農産物の信憑性を維持することを特徴とする請求項5記載の個体認証システムを用いた農産物追跡システム。
【請求項9】
前記農産物固有画像情報の照合手段において、農産物固有情報の同一性判定を、予め定めたパターン認識プログラムで自動的に判定を行い、その表示手段では、パターン一致率が予め定めた率より低い画像のみが少なくとも表示され、その画像のみ肉眼目視による効率的な判定が可能になることを特徴とする請求項8記載の個体認証システムを用いた農産物追跡システム。
【請求項10】
前記フィールドサーバは、少なくとも、
(1)生産履歴情報記録部
(2)農産物識別情報取得部
(3)農産物固有情報取得部
(4)無線LANまたはインターネット通信部
(5)電源部
を単一または複数の収納ケースに格納し、複数の収納ケースに格納した場合には地面に垂直方向に積層した構造とし、設置の容易さと設置面積が少ないことを特徴とする請求項5記載の個体認証システムを用いた農産物追跡システム。
【請求項11】
前記フィールドサーバは、その表面上にフィールドサーバのURLまたは、
(1)前記生産履歴情報
(2)前記農産物識別情報
(3)前記農産物固有情報
に関する前記記憶手段の情報を表示するWebサーバのURLを記録したバーコード或は符号を添付して備え、
判定者は、前記バーコード又は符号のURLを解読できるプログラムを有する携帯電話等携帯端末を用いて、その場で前記生産履歴情報、前記農産物識別情報、前記農産物固有情報を取得し、判定を行うことを特徴とする請求項5記載の個体認証システムを用いた農産物追跡システム。
【請求項12】
前記フィールドサーバに組み込まれる前記農産物固有情報読取書込手段のRF−IDに関しては、
第1のプログラム入力によって決められる周波数合成波形信号波を出力するデジタルシンセサイザと、
2つの入力電圧を入力し、その積を電圧として出力する乗算器と、
さらにそれらの定数と結線選択を第2のプログラム入力によって変更できる素子とからなるFPAA(フィールド・プログラマブル・アナログ・アレイ)と、
前記デジタルシンセサイザ、乗算器、FPAAも含めたすべてを制御するコンピュータ部とDA/ADコンバータを少なくとも有すると共に、
前記第1及び第2のプログラムをデジタルバスを介して指令信号として出力できるプログラマブル機能を有するFPGA(フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ)とを備えた4回路要素からなり、RF−IDの使用条件に対応して汎用性のある単一デバイスのプログラマブル・モジュールであって、
読取・書込対象である前記RF−IDとアンテナを介して送信信号を出力し、そのRF−IDからの応答信号をアンテナを介して受信入力する出力/入力端子を前記FPAAにさらに備え、
前記FPGAのコンピュータ部は、前記4回路要素間の必要とする配線を動的に組み替える手段を備え、
前記出力/入力端子とアンテナを介して前記RF−IDと通信可能とする条件に合致する前記第3のプログラムを前記コンピュータ部より起動して前記4回路要素間の配線を定め、
また前記コンピュータ部は、前記RF−IDとの通信に対応する搬送波を生成するため第1のプログラムを起動して、所定の搬送波をデジタルシンセサイザで生成し、次にFPGAのコンピュータ部の指令信号をDAコンバータにより変調電圧波として乗算器により変調させる搬送波生成手段・変調手段を備え、さらに前記コンピュータ部は第2のプログラムの起動により前記FPAAの各素子の結線と素子定数を前記搬送波の送受信回路に定めて、前記変調搬送波を送信すると共に、RF−IDからの搬送波を受信して検波し、その出力をFPGAの前記ADコンバータへ送り、RF−IDと通信するFPAAの定数・結線選択手段を備えることを特徴とする請求項5記載の個体認証システムを用いた農産物追跡システム。
【請求項13】
前記フィールドサーバのホットスポット内に無人農産物販売所があり、利用者がある農産物を購入したいとき、フィールドサーバは前記請求項で述べた方法によって
(1)その場の環境情報
(2)購入する農産物の情報(農産物識別情報及び農産物固有情報)
と、さらに購買者が携帯するICカードまたは購買者が携帯する携帯電話等携帯端末に内蔵された情報によって
(4)課金情報または個人識別情報
を取得し、これらの情報を遠隔地にある前記記憶手段に記録することによって農産物購入課金手段を与えることを特徴とする請求項5又は6記載の個体認証システムを用いた農産物追跡システム。
【請求項14】
前記フィールドサーバの農産物販売管理サーバは、前記利用者確認または農産物購入課金購入の手続きに関するプログラムの処理が正しく実行されず、且つ、前記請求項で示される方法によって前記無人農産物販売所にある農産物に貼付されたRF−IDの移動を検出し、その検出結果を前記管理サーバが受けたときは、警告表示及び警報音等警告信号を出力すると共に、インターネット経由で予め指定した警備会社又は通知先へ通知する無断農産物移動警報手段を備えることを特徴とする請求項13記載の個体認証システムを用いた農産物追跡システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate