説明

偏光計の自己較正手順

【課題】既知の入力信号を使用する必要性を排除した偏光計の自己較正手順を開発する。
【解決手段】いくつかのランダムで未知の偏光状態(SOP)間で偏光コントローラを移動させ、偏光状態ごとに検出器出力値(D、...、D)を記録することによって、自己較正データを取得する。次いで、これらの値を使用して「近似」較正行列を作成する。例示的な一実施形態では、入来信号のSOPを、(例えば別個の偏光コントローラ要素を調整することによって)3回調整し、入来信号のこれらの4つのそれぞれの偏光状態に対する4つの一組の検出器出力値、初期較正行列を作成する。次いで、最小2乗フィットを使用して、この初期較正行列の第1行を、パワー測定値にフィットするように調整する。第3の最終ステップでは、較正行列の残り要素を、所与の制約条件(例えば全てのSOPに対してDOP=100%)を満たすように調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互出願
本出願は、2010年7月8日に出願された米国特許仮出願第61/362,633号および2010年9月7日に出願された米国特許仮出願第61/380,677号の恩典を主張するものであり、これらの仮出願はともに、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、偏光計を較正する技法、より具体的には、外部偏光「標準」の使用に依存せず、「その場で」使用して、据付けおよび/または現場での操作中に偏光計を較正することができる自己較正手順に関する。
【背景技術】
【0003】
偏光計は、入力光信号の偏光状態を測定する。偏光およびその経時変化の測定は、電気通信およびファイバ・センサを含む多くのフォトニック用途にとって重要である。しかしながら、偏光計は一般にバルク光学構成要素でできており、電気的な帯域幅が1MHz未満であり、広い波長範囲にわたって動作させるには再較正が必要であることから、偏光計の広範な使用は限定されている。さらに、偏光計は較正する必要があり、ほとんどの場合に外部基準偏光計が必要となる。
【0004】
さらに、コヒーレント光波通信システムの設計では、光ファイバ・デバイスの偏光伝達特性が重要である。アイソレータ、カプラ、増幅器などのファイバ・ベースの光デバイスの伝達特性は、ファイバ内の偏光状態に依存する。したがって、これらのデバイスを完全に特徴づけるためには、ファイバ・ベース・システムの入力偏光状態(state of polarization)(SOP)と出力SOPの間の関係が既知でなければならない。
【0005】
光ビームのSOPを測定する従来の方法は、ビームの光路上に波長板および直線偏光子を一列に並べることを含む。波長板は、光軸を軸に回転可能であり、一般に1/4波長板である。波長板および偏光子を透過した光の強度を測定するために、光検出器などの光センサが配置される。動作時には、波長板を、光軸を軸に、直線偏光子に対して、少なくとも4つの角度位置まで順番に回転させ、それぞれの位置で、透過光の強度を光検出器によって測定する。この方法の欠点は、波長板が機械的に動き、その結果、測定速度が遅くなることである。さらに、全ての光学要素を自由空間内で一列に整列させなければならないため、デバイスを小さくすることができない。
【0006】
この制約が、インライン・ファイバ偏光計の開発につながった。例えば、「In−line Light−saving Photopolarimeter and its Fiber−optic Analog」、R.M.A.Azzam、Optics Letters、第12巻、558〜60ページ、1987を参照されたい。1987年7月21日にR.M.A.Azzamに対して発行された米国特許第4,681,450号が例示している最も初期のインライン偏光計は、伝搬光信号の小さな部分だけを吸収し、信号の残りの部分はさらに伝搬させ、それぞれの検出器に順番に衝突させる4つの一組の固体検出器を使用する。それぞれの検出器は、その検出器がファイバから吸収した光の偏光依存部分に比例した電気信号を生成する。次いで、これらの4つの電気出力信号を使用して、ファイバ内の光の4つのストークス・パラメータを、較正によって決定された機器行列(これは時に「較正行列」と呼ばれる)を介して決定する。
【0007】
これらの4つのストークス・パラメータS、S、SおよびSは一般に以下のように定義される:Sは全パワー、Sは、直線偏光の水平成分と直線偏光の垂直成分の差、Sは、45°の直線偏光成分と−45°の直線偏光成分の差、Sは、右回りの円偏光成分と左回りの円偏光成分の差である。このようにすると、4つの一組の検出器出力信号D、D、DおよびDと4つのストークス・パラメータS、S、SおよびSの間の関係を定義する4×4較正行列Cを作成することができる。
【数1】

この関係は単純だが、初めに較正行列を作成する能力は難しい。前述のとおり、この行列の選択された成分を決定するのを助けるように入来SOPを制御するために、外部デバイスが使用されている。先行技術で使用されている他の配置では、所望の解に到達するために、この関係に、1つまたは複数の「補正係数」を追加する必要がある。例えば、2005年7月12日にE.Krause他に対して発行された「Highly Accurate Calibration of Polarimeters」という名称の米国特許第6,917,427号を参照されたい。ほとんどの場合、これらの先行技術の配置は、依然として、比較的に狭い電気帯域幅および波長依存性を欠点として有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第4,681,450号
【特許文献2】米国特許第6,917,427号
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】「In−line Light−saving Photopolarimeter and its Fiber−optic Analog」、R.M.A.Azzam、Optics Letters、第12巻、558〜60ページ、1987
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、所望の正確さをなおも提供するよりロバストなインライン・ファイバ偏光計、および偏光計を較正する改良された方法が依然として求められている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
先行技術に依然として残るこれらの必要性は、本発明によって解決される。本発明は、偏光計を較正する技法、より具体的には、外部偏光「標準」の使用に依存せず、据付けおよび/または現場での操作中に偏光計を較正するのに使用することができる自己較正手順であって、較正を実行するためにその時の位置から偏光計を取り外す必要のない自己較正手順に関する。
【0012】
本発明の利点は、自己較正技法が、特定のタイプの偏光計に限定されないことである。
【0013】
本発明の一実施形態によれば、既知でもまたはそうでなくてもよい所与の一組の入力SOPに対応する測定された一組の検出器値に、較正行列Cの要素をフィット(fit)させる。この自己較正手順に対する唯一の制約条件は、源が、偏光度(degree of polarization)(DOP)が100%に近い偏光光源(レーザ)であることである。DOPは、偏光されたパワーと全パワーの比を表し、ストークス・パラメータに換算して、以下のように定義することができる。
【数2】

【0014】
次いで、例えば、偏光コントローラを数回動かして、ランダムで未知のSOPを有する信号を発射させ、偏光状態ごとに検出器出力値(D、...、D)を記録することによって、自己較正用のデータを得る。一実施形態では、これらの値を使用して、「近似」(初期)較正行列を作成する。例示的な一実施形態では、測定された検出器出力値から、初期行列を導き出す。あるいは、後に詳細に論じるように、推定した較正行列を初期較正行列として使用する。特定の1つの推測(guess)は、後に定義する四面体偏光計(tetrahedral polarimeter)構成の仮定に基づき、あるいは、値のランダムな集合を初期較正行列として使用することもできる。検出器値に加えて、いくつかのランダムで未知のSOPのそれぞれのSOPに対して、全信号パワーを記録してもよい。この場合には、測定された検出器値に加えて、この測定されたパワーを使用して、較正を得る。
【0015】
次のステップでは、測定された全信号パワー値のベスト・フィット(best fit)を生み出すように、この初期較正行列の第1行を、好ましくは最小2乗フィットを使用して調整する。好ましくは、較正プロセスの間、発射される信号パワーが一定である(その場合、いくつかのランダムで未知のSOPのそれぞれのSOPに対してパワーを測定する必要はない)。次いで、初期較正行列の第1行を、いくつかのランダムで未知の発射された入力SOPのそれぞれのSOPに対する一定のパワー値にフィットさせる。全信号パワーの利用が選択肢であるのは、パワーが固定されている場合に、較正行列の第1行を一定のパワーに対してフィットさせることができるという意味においてのみであることに留意されたい。この実施形態に対しては、測定されたパワーまたは仮定された一定のパワーが必要である。
【0016】
第3のステップでは、全てのSOPに対してDOP=100%となるように、較正行列の残りの要素を調整する。
【0017】
他の実施形態では、DOP=100%以外の入力信号に対する制約条件が利用される。例えば、1つの制約条件は、ストークス空間において、発射された異なる信号の2つ以上のSOP間の既知の角度(1つまたは複数)を維持することを含む。あるいは、入来信号に制約条件を適用する代わりに、偏光計に沿った検出器の配置に制約条件を課すこともできる。限定はされないが、これらの制約条件には、射影状態の固定された角度(後に定義する)を生成すること、検出器に対して固定された消光を定義すること、または5つ以上の検出器を使用する(すなわち過剰に決定された(over−determined)偏光計を形成する)ことが含まれる。
【0018】
本発明に従って形成された偏光計は、検出器の特性が「整合」している場合に、比較的に広い較正帯域幅を提供することが分かった。この整合は一般に、応答性などの特性および偏光光学部品(例えば波長板、複屈折ファイバ、偏光子など)に関し、ある範囲の光波長または電気的周波数または動作温度などにわたって整合するように設計されることが好ましい。
【0019】
本発明の他の態様および利点は、添付図面を参照することにより、以下の議論を読み進めるうちに明白となる。
【0020】
次に図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の自己較正技法を使用することを特徴とすることできるオール・ファイバ(all−fiber)偏光計の概略図である。
【図2】図1の配置に関して、DOPおよび格子散乱パワーを、波長の関数として示すプロットである。
【図3】図1の配置で使用される4つの整合した一組の検出器の正規化された周波数応答のプロットである。
【図4】本発明の一実施形態の自己較正プロセスを示す高次流れ図である。
【図5】本発明の自己較正技法を実行するために偏光レーザ源および偏光コントローラと組み合わせて使用したときの図1の偏光計を示す図である。
【図6】図4の配置の一変型を示す図であり、この場合には、加えられたそれぞれの光信号の入力パワーを偏光計の入口で測定するために、この配置がパワー・モニタを含む。
【図7】入力光信号のうちの少なくとも2つの入力光信号間の既知の関係(すなわち対をなす直交入力)を生み出すために、偏光計の入力のところで直線偏光子を利用する、本発明の代替実施形態を示す図である。
【図8】DOPの標準偏差(および最大値)を、較正手順に含まれる点の数の関数として示すプロットである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
偏光計は、入来信号の偏光状態を定義する4つのストークス・パラメータを測定する。一般に、ストークス偏光計は、少なくとも、波長板、偏光子などの偏光感応光学部品、およびそれに続く少なくとも4つの一組の検出器からなる。したがって、これらの検出器は、検出器値とストークス・ベクトルの間の線形関係を確立する、異なるストークス・ベクトル上への入来光の射影を測定するように構成されている。以下の議論での検出器への言及には、光路上の検出器の前に置かれた偏光感応光学部品が含まれることが理解される。この関係の決定を較正手順と呼び、この決定の結果、N個の検出器測定値を4つのストークス・パラメータに関係づける較正行列C(4×N行列として示される)が作成される。本発明の一般的な手順は、較正行列パラメータを測定データにフィットさせることである。このような手順のためのデータは、異なる(おそらくは未知の)偏光状態を有する光を偏光計内へ発射し、それぞれの場合に検出器電圧を記録することによって得られる。
【0023】
較正行列が唯一の解に収斂するためには、後に詳細に論じるように、入来偏光および/または検出器測定値に、1つまたは複数の制約条件を課さなければならない。これらの制約条件には、以下のうちの1つまたは複数の条件が含まれる:(1)発射された全ての信号に対してほぼ100%の偏光度(DOP)、(2)発射された全ての信号に対して一定のパワー、(3)発射された信号のストークス・ベクトル間で固定された既知の向き(orientation)、(4)プロセス中に調整されない既知の向きを有するストークス・ベクトルに射影する2つ以上の検出器。(3)または(4)に定義された制約条件については、2つの検出器が、発射された信号の、空間角θによって分離された直線偏光上への射影を測定することが知られている。この空間角制約条件は、2つの直線偏光に対するストークス・ベクトル間の角度に対する制約条件と同一である。したがって、それぞれの検出器は、所与のストークス・ベクトル上への射影を測定し、これらの2つのベクトルの要素S、SおよびSは、互いに対して角度2θを示す2つの3次元ベクトルを形成し、または、(5)それぞれの入来信号に対してパワーを測定し、フィッティング・ルーチン中にそのパワーを使用して、較正行列を作成する。これらの制約条件は例であるとみなされ、別の制約条件を利用して、較正行列に対する唯一の解を生成することもできる。
【0024】
図1に示した偏光計10は、以下の議論において、本発明の一実施形態に基づく本発明の自己較正技法を説明するために使用される。しかしながら、この技法は、この配置で使用することだけに限定されず、実質的に任意の偏光計設計と一緒に使用することができることを理解されたい。偏光計10の要素を見ると、偏光計10が、内部に4つの別個の一組の格子が形成された(すなわち「書き込まれた」)光ファイバ12を備えることが分かる。これらの4つの格子は、測定された4つの検出器値から4つのストークス・パラメータを決定するのを助けるために利用される。
【0025】
較正行列に対する唯一の解に到達するため、入力光信号Iに制約条件を課すことができる(あるいは、後に論じるように、制約条件が課せられた構成内に検出器を配置することもできる)。入力光信号に制約条件を課す場合に戻ると、例示的な1つの制約条件は、DOP=100%を示すことをそれぞれの入力信号に求める制約条件である(後に論じるように、これは、狭線幅出力信号を生成する偏光入力源を使用することによって容易に得られる)。
【0026】
図1を参照すると、第1の格子14が、「オンアクシス(on−axis)」格子として示されている。すなわち、第1の格子14は、ファイバの2つの複屈折軸のうちの一方の軸の方向に光を散乱させ、そうすることでファイバの複屈折軸を定義する2つのストークス・ベクトルのうちの一方のベクトル上への光のストークス射影を測定し、その後、信号Iの一部を第1の光検出器16内へ導き、第1の光検出器16は、第1の検出器電気出力信号Dを生成する。光信号Iのこの残りの部分は、光ファイバ12に沿って伝搬し続け、次に、第2の格子18(この格子は例えば53°だけオフアクシス(off−axis)の向きに配置されている)に遭遇し、第2の格子18は、信号Iの第2の部分を第2の光検出器20内へ導き、第2の光検出器20は、信号Dを生成する。このプロセスはさらに、光信号の一部を(信号Dを生成する)第3の光検出器24内へ導く第3の格子22(格子18に対してさらに53°オフアクシスの向きに配置されている)、ならびに(格子22に対してオフアクシスの向きに配置された)最終格子26および第4の検出器出力信号Dを生成するために使用される光検出器28に沿って進行する。53°の選択は設計上の選択であり、射影状態の最適の向きを与える。しかしながら、他の格子の向きを使用することもでき、それらの向きも本発明の範囲に含まれるとみなされることを理解されたい。
【0027】
4つの一組の検出器16、20、24および28が性能特性に関して整合している場合、より幅広い較正帯域幅を達成することができることが分かった。この整合は一般に、応答性などの特性および偏光光学部品(例えば波長板、複屈折ファイバ、偏光子など)に関し、ある範囲の光波長または電気的周波数または動作温度などにわたって整合するように設計されることが好ましい。図2は、4つの整合した一組の検出器について、DOPおよび格子散乱パワーを波長の関数として示すプロットを含み、約33nmの較正帯域幅を示している。図1の偏光計内の4つの整合した一組の検出器に対する正規化された周波数応答(500MHzを超えるとして示されている)のプロットを含む図3に示すように、結果としてのRF帯域幅も、以前の従来の偏光計よりも高い。さらに、図3のプロットから分かるように、RF応答はカットオフ周波数まで整合しており、カットオフ周波数まで、高速な偏光変化の測定に対する改良された正確さを提供する。
【0028】
上で論じたとおり、これらの4つの検出器16、20、24および28は、それらの対応するそれぞれの電圧出力信号(D、D、D、D)を、伝搬光信号IのSOPを定義する4つのストークス・パラメータに関係づけるのに、4×4較正行列Cを必要とする。知られている一方法によれば、「4点」較正手順を使用して、この行列を作成することができ、この手順では、4つの既知の非縮退偏光状態を偏光計内へ発射し、検出器値を記録する。次いで、単純な行列反転が較正行列を与える。この手順は非常に効率的だが、SOPの正確な基準測定値を生成する必要があり、この生成はしばしば実際的でない。
【0029】
本発明の実施形態は、後に論じるように、「基準信号」の使用を全く必要とせず、その代わりに、偏光計からの測定データに依存し、1つまたは複数の制約条件に関してデータを解析する自己較正手順を提供する。一実施形態では、この手順が、以下の4ステップ・プロセスを含む:(1)少なくとも4つの信号を偏光計内へ発射し、測定された検出器値およびそれぞれの信号の発射された全パワーを記録するステップ、(2)近似較正行列を作成するステップ、(3)発射されたそれぞれの信号の測定された全パワー値にフィットするように、近似較正行列の第1行を調整するステップ(この行列の第1行が全パワーに関連づけられている限り、このプロセスが使用されるときに調整されるのは常にこの第1行である)、ならびに(4)較正行列の残り要素を、所定の制約条件を満たすように調整するステップ。第2のステップは、最初に測定した一組の検出器値または値の「理想的な推測」を使用することができる。この手順の第3のステップは、測定されたパワーを使用し、またはパワーが一定であることが分かっている場合には、一定のパワー値を使用することができる。第4のステップの間に、較正行列の残りの要素を、所定の制約条件を満たすように(例えばそれぞれの信号に対して所定のDOP(例えばDOP=100%)を維持するように)調整する。
【0030】
図4の流れ図は、源が、DOP値が(約)1(すなわちDOP=100%)である偏光レーザであるという制約条件を利用する、本発明の一実施形態に基づく自己較正プロセスを説明する。単一周波数レーザは、長い距離にわたってこの条件を維持することができ、この制約条件がロバストでトランスポータブル(transportable)であることを可能にし、偏光計の「現場」較正を提供する。このプロセスには偏光コントローラも必要であり、かなりの偏光依存損失(polarization dependent loss)(PDL)が存在する場合には、パワーを測定することが必要である。
【0031】
自己較正データは、最初に、偏光コントローラを動かして、いくつかの(可能にはランダムな)可能には未知のSOPを発射させ、次いでそれぞれの発射条件に対する検出器値を記録することによって得る。図4を参照すると、これが、最初に、第1のSOPの信号を偏光計へ発射し(ステップ100)、次いで、偏光計に沿って配置されたN個(例えば4つ)の一組の検出器のところで電気信号を測定する(ステップ110)ことによって、示されている。一実施形態では、この現在のSOPについて、発射されたパワーも測定する。次いで、十分に正確な較正のために十分な数のSOPが偏光計を透過したかどうかを判定するチェックを実施する(ステップ120)(少なくとも4つのこのような測定が必要であり、4つよりも多いことが望ましい)。答えが「no」の場合、偏光コントローラは、SOPを異なる値に調整し(ステップ125)、ステップ110の測定プロセスが繰り返される。
【0032】
十分な数のSOPが発射され、関連する検出器電圧値(およびおそらくは電力レベル)が記録された後、プロセスは、較正行列の生成に進む。これが、図4のステップ130に示されている。この時点で、記録された検出器値(あるいは理想的な一組の値)を使用して、初期の近似較正行列を形成する。次いで、ステップ150に定義されているように、最小2乗フィットなどの許容可能な「ベスト・フィット」法を使用して、較正行列の第1行を調整する。較正手順の間、パワーが一定であった場合には、第1行を一定のパワーにフィットさせる。この場合、パワーが一定であることが唯一の制約条件であるため、検出器中の絶対パワーは分からないことになる。あるいは、パワーを測定した場合には、第1行を、測定された値にフィットさせる。全パワーは、較正行列中の残りのパラメータのフィットに対する制約条件であるため、最初に調整するのは常に較正行列の第1行であることに留意されたい。
【0033】
次に、使用している特定の制約条件(このケースではDOP=100%)がそれぞれのSOPに対して維持されるように、較正行列の残りの要素を調整する(ステップ160)。これらの残りの要素に対する許容可能な最初の「推測」は、第1行の値を使用してそれらの要素を基準化することである。後に詳細に論じるように、より多くのSOPを発射し、または偏光計により多くの検出器を含めることによって、正確さを増大させることができる。
【0034】
本発明の自己較正手順は、入力SOPの先験的な知識を一切必要とせず、選択された制約条件(例えばDOPがそれぞれのSOPに対して実質的に100%であること)が維持されることだけを要求することに留意されたい。
【0035】
次に、これらのそれぞれのステップを詳細に説明する。
【0036】
1.少なくとも4つの異なるランダムな偏光状態を偏光計内に発射する
図5は、この手順を実施するための例示的な一配置を示し、この配置は、線幅が比較的に狭い偏光された入力光信号Iを供給するレーザ源30を含む。光信号Iは、次いで、偏光コントローラ32(調整可能なデバイス)を通過し、その後、偏光計10を通過する。偏光コントローラ32の「状態」を調整することによって、信号Iの入力SOPを制御し、初期推測(所望の場合)および較正行列において使用する検出器値を測定する。この較正データを生成するために、偏光コントローラ32を少なくとも3回、別々に調整して、偏光計10内へ発射された入力信号に対して、少なくとも4つの異なるSOPを生成する。
【0037】
2.較正行列Cの「最初の推測」を生成する
次いで、較正行列Cの初期推測を生成する。この初期推測は、このプロセスの後のある時点において再基準化することによって改良されることがあるが(下記ステップ4参照)、本ステップにおいて計算の大部分が実行されることがあることに留意されたい。この項では、「モデル」較正行列を与える2つの可能な方法を概説する。この項は、初期推測を決定する際に有用な較正行列Cの解析からスタートする。続いて、このモデル較正行列を使用して、この較正手順の初期推測を導き出す。
【0038】
モデル較正行列を導き出すため、前述のとおり、較正行列Cが、測定された検出器値Dを光のストークス・ベクトルSに結びつける線形変換と定義されることに留意されたい。

S=CD (1)

図1を参照して上で論じたとおり、この関係は、4つの一組の検出器を使用する一実施形態について、以下のように表すことができる(完全な行列表記法で書かれている)。
【数3】

上式で、Cijは、較正行列値である。偏光計は、これらの4つの検出器値を出力として供給するため、ベクトルDは既知である。較正行列の逆行列P=C−1を考えることによって、較正行列Cのより明瞭な理解およびモデル較正行列の導出を達成することができる。これを、完全な行列表記法で書くと以下のようになる。
【数4】

式(3)から、逆較正行列Pの行をストークス・ベクトルと解釈し、検出器値を、ストークス空間内の対応する射影と解釈することができることは明白である。すなわち、
【数5】

である。この解釈によれば、物理的に解釈可能なパラメータを使用して、Pを以下のように書き直すことができる。
【数6】

上式で、gは、光パワーを検出器電圧に関係づけるゲイン(gain)であり、η(正にとる)は、入力偏光状態が変化したときにDがとる最小値と最大値の比に関係し、
【数7】

は、ポアンカレ球上の単位ストークス・ベクトルである。
【0039】
本発明の目的上、ベクトル
【数8】

を、検出器iに対する射影ベクトル(または射影状態)と定義する。実際に、それぞれの検出器は、入力偏光状態のその射影ベクトルへの射影を測定する。入力偏光がその射影ベクトルと整列しているとき、検出器値は、最小値または最大値をとり、式(5)中のストークス射影を、上で定義した信号の偏光度(DOP)に換算して単純に表現することができ、それによって下式が得られる。
【数9】

4つのパラメータPij、j=0,1,2,3が、別の4つのパラメータg、ηおよびpijによって置き換えられていることに留意されたい。これらのパラメータに対する唯一の制約条件は、0<η<1であること、およびこの射影状態が単位ベクトルであることである。その代わりに、ηに対する可能な負の値はpの方向に関連し、Dは正の数でなければならないため、η値は1未満でなければならない(上式(6)のDiminに対する式を参照されたい)。
【0040】
したがって、行列の形で書くと、「モデル」逆較正行列Pを以下のように表現することができる。
【数10】

を定義するパラメータ値は、検出器値の最小値および最大値の測定、ならびに他の1つの検出器が最小値または最大値であるときの残りの検出器の値から抽出することができる。あるいは、ランダムな一組の偏光が偏光計内へ発射された場合には、発射されたランダムな信号の中から最小および最大検出器値をとることによって、最小値および最大値を推定することもできる。結果は、2つの4×4行列DmaxおよびDminである。
【数11】

したがって、Dmax00は、Dの最大値であり、Dmax01は、Dが最大であるときのDの値であり、逆もまた同様である。それぞれの列は、検出器iが最大または最小値をとっているときに測定される4つの検出器値によって形成されることに留意されたい。ランダムな状態が発射されたときに、これらの全てのランダム状態にわたって最小および最大値がとられ、この最小および最大値は、実際の最小および最大値の推定だけを表す。したがって、ランダムな未知の偏光状態では、式(7)のモデル較正行列を使用して、較正行列の推定だけを達成することができる。
【0041】
次いで、DmaxおよびDmin(またはそれらの近似値)から、モデル逆較正行列のパラメータ(またはそれらの近似値)を導き出すことができる。全体のパワーは計算に影響を及ぼさないため、これらの計算に対してSは1と定義する。パラメータgおよびηは、最小パワーと最大パワーの比に換算して書くことができる。rは、以下のように定義される比パラメータであり、
【数12】

パラメータηおよびgは、以下のように表現される。
【数13】

および
【数14】

maxおよびDminの対角要素以外の要素は、異なる主状態間の角度の余弦に関係する。すなわち、
【数15】

であり、上式で、
【数16】

であり、したがって、
【数17】

である。
【0042】
これらの余弦から、上記の射影状態を以下のように計算することができる。最初に、
【数18】

であり、上式で、sijは単純にsin(θij)である。θijは、0とπの間で定義され、そのため、sin(θij)は一意的に決まることに留意されたい。この形が許されるのは、4つの射影状態の向きが、任意の1回転まで任意であるためである。残りの2つの射影状態をこの形で書くことができる。
【数19】

パラメータφおよびφは、pおよびpとpの点乗積から決定することができる。
【数20】

式(16)は、φおよびφの余弦だけを決定することに留意されたい。これらは、0から2πまでの範囲にわたって定義されるため、正弦に対する値も決定しなければならない。これらは、c23が正しい値を有することをチェックすることによって決定することができる。
【0043】
したがって、モデル逆較正行列Pを以下のように書くことができる。
【数21】

全体のゲインは任意であり、そのため、gを1にセットすることができる。その場合、考慮すべきパラメータとして以下の12個のパラメータが残る:g、g、g、η、η、η、η、c01、c02、c03、φおよびφ。式(17)は、可能な唯一のモデル逆較正行列でないことに留意されたい。しかしながら、向きおよび全体の倍率(scale factor)が除かれているため、式(17)は、この行列の最も単純な形である。実際、式(17)は、任意の4つの検出器偏光感応デバイスに対して有効である。本発明のさまざまな実施形態に関連して説明されるフィッティング・ルーチンのうちの1つまたは複数のフィッティング・ルーチンで、このモデル較正行列のこれらの12個のパラメータを使用することができる。
【0044】
さらに、5つ以上の検出器がある場合にも、モデル逆較正行列を計算することができることに留意されたい。この場合には、以下のように、単純に、より多くの行を式(16)に追加する。
【数22】

【0045】
式(17)のモデル較正行列を使用して、本発明の較正手順において使用する較正行列Cの最初の推測を生成することができる。この最初の推測は、第1のステップの発射信号から測定した上式(8)に概要を示した最小および最大検出器値を使用することによって得る。一般に、発射された偏光状態がランダムである場合、これらの値は真の最大値および最小値ではなく、そのため、この最初の推測は推定である。発射されるランダム状態が多いほど、この最初の推測は正確になる。あるいは、発射された信号(1つまたは複数)の偏光を調整して、それぞれの検出器信号を最大および最小にすることも可能である。
【0046】
上記の手順は、測定データから初期推測を抽出することができるが、理想化された推測を使用することも可能であり、この場合にも、前述のモデル較正行列の解析が使用される。これを達成できるのは、射影状態の向きが既知の場合である。例えば、射影状態に対する有用な1つの向きは、それらの射影状態が四面体を形成する向きである。この場合、このような偏光計に対する理想的な較正行列から、初期推測が得られる。したがって、理想的な四面体偏光計に対しては、下式を、モデル逆較正行列に対する「最初の推測」として使用することができる。
【数23】

四面体偏光計は、射影状態がストークス空間において四面体を形成すること、ならびに全てのgおよびηについてg=1およびη=1であることを意味する。
【0047】
3.較正行列の第1行を実際のデータにフィットさせる
次の2つのステップを詳細に説明する前に、以下では、第2のステップを利用し、較正行列C全体をDOP=lにフィットさせる近似法について論じる。次いで、前述の実施形態を、第3のステップ(第1行をパワーにフィットさせる)および第4のステップ(DOPまたは他の制約条件を満たすように残りの行列要素を調整する)に関して論じる。データまたは理想的な推測から導き出した初期推測は、両方のステップに対して与えられる。
【0048】
式(17)は、技術的には正確であることがあるが、実際には、上記の12個のパラメータは、雑音などの因子によって正しい値から容易に逸脱しうる。式(17)は、検出器値の最小および最大値の8回の測定によって得られる。これらが少量でも不正確である場合には、モデル較正行列が大幅に外れる可能性がある。したがって、正確な較正を保証するためには、別の改良が有用である。この改良を実行するためには、偏光測定用の参照標準が必要である。1つの可能性は、直線偏光、円偏光などある種の偏光状態を発射することである。これは非常に正確に実行することができるが、このような偏光状態は、介在する複屈折および偏光依存損失(PDL)の結果として、偏光計までの伝搬経路上で劣化しうる。
【0049】
(既知の偏光状態を生成するよりも)ロバストな標準は、偏光計まで伝搬する間、比較的に変化しない量を使用する。少なくとも2つの可能な選択肢(1)Sおよび(2)DOPが存在する。本発明の目的上、最初にDOPを選択し、狭線幅源、高品質偏光子を使用し、全ての増幅自然放出(amplified spontaneous emission)(ASE)をフィルタリングで除くことによって、DOPを、1(すなわち全ての信号に対して100%)に非常に近くなるように制御する。実際に、光源が狭帯域、低雑音である場合には、偏光に依存した遅延および損失(またはゲイン)がある長い(例えば>100m)ファイバを通して伝搬するときであっても、DOPを、1に非常に近い値に維持することができる。
【0050】
これらの条件が満たされる場合、信号は、任意のSOPに対してDOP=1となる。したがって、一組の偏光を偏光計内へ発射する場合に、全てのSOPに対してDOP=1を仮定することができる。この最適化の間、SOPを知っている必要はないことに留意されたい。実際、偏光計まで伝搬する間に偏光がかなり変化する可能性があるが、全てのSOPに対してDOP=1である限り、このフィッティング・ルーチン(最適化)を依然として実行することができる。
【0051】
本発明の一実施形態によれば、この最適化は、単純に、測定された全てのDOPをDOP=1にフィットさせるものである(他のタイプの「フィット」を使用することもでき、単なる例として最小2乗フィットが考えられることを理解されたい)。このフィットでは、測度Qを定義し、このQを最小化する。この場合には、測定されたN個の全てのSOPに対してできるだけ1に近くなるように、DOPを定義する。
【数24】

前述のとおり、SOP値は分かっていない。分かっているのは、測定された検出器値D、D、DおよびDである。したがって、較正行列を見つけるためにモデル逆較正行列の逆行列をとることによって(C=(P−1)、近似ストークス・ベクトルを決定する。
【数25】

この段階では、このモデルのさまざまなパラメータを選択することができる。最も選択しやすいパラメータは、上式(17)に定義されたモデル較正パラメータである。次いで、最小化しなければならない上記量を、式(17)、(26)および(27)によって定義する。完全を期して、以下に、それらの式を書き直して示す。
【数26】

【0052】
第2項で述べたとおり、本発明の自己較正手順の一実施形態によれば、最初に、一組の測定値Dを使用して、モデル較正行列Cを使用した近似的な最初の推測を得る。あるいは、例えば上式(18)に示した行列などの理想的な行列によって最初の推測を決定することもできる。いずれにしても、この行列を、式(28)の非線形最小2乗フィットにおける最初の推測として使用する。この最初の推測はかなり不正確であることがあり、依然として収斂の余地が残っていることがあることに留意されたい。このモデルは相対的なゲインだけに依存し、そのため、全体のゲインを除去することができることに留意されたい。最適化後、適当な倍率を追加して、Sの単位を正確に調整することができる。
【0053】
式(28)に至る手順は較正行列を与えるが、この手順は、重大な誤差の原因を含むことがある。実際、DOP=1である場合、この最小化手順を満たすCの多く値が存在し、解は1つではない。これらの解は全て、偏光依存損失(PDL)変換によって関係づけられている。具体的には、較正レーザ源と偏光計の間にPDLが導入されても、全てのSOPに対してDOP=1であるという条件は変わらない。したがって、この最適化手順に対する較正行列の任意の解Cに対して、行列RPDLCも解である。ここで、RPDLは、任意のストークス軸に沿ってPDLを有する要素を表すミュラー(Mueller)行列である。
【0054】
この縮退(degeneracy)を除去するため、測定データを使用して別の制約条件を課す。一実施形態では、パワー測定値を使用してこの問題に対処する。具体的には、較正レーザと偏光計の間の経路に沿ったある点、あるいはどちらかの要素の後または前のある点で、それぞれの入力信号のパワーを測定する。異なる偏光状態を生成している偏光コントローラの後でパワーを測定するのが最もよい。図6は、この実施形態を示しており、この実施形態では、偏光コントローラ32の出力のところでパワーを測定するようにパワー・メータ34が挿入されている。このパワー測定点は同時に、PDLの基準点でもある。図6に示した特定の実施形態とは対照的に、偏光計の出力側の後にパワー・メータ34を配置することもできることに留意されたい。
【0055】
代替実施形態では、偏光計の内部に、パワー測定を組み込むこともができる。例えば、同じ散乱強度が、ファイバ内に、パワー(S)に比例した検出器電圧を与えるように、偏光計を形成している格子のうちの2つの格子を、互いに対して90度の角度に向けることができる。
【0056】
この追加のパワー要件を較正手順に関連づける場合には、異なるフィッティング・ルーチンを使用する。最初の要件は、(上記の議論で「ステップ3」として定義した)較正行列Cの第1行をパワー測定値にフィットさせることである。最初に、偏光計のパワー測定値は、較正行列の第1行の要素のみに依存することに留意されたい。式(2)から、
【数27】

であることが分かる。次いで、これらの値を、所与の一組の測定パワーS0i(m)にフィットさせることができる。単純な最小2乗測度は、
【数28】

の最小化を必要とする。上式で、jは、Ndata個の全てのデータ点にわたって合計される。この最小化は、
【数29】

のときに達成される。これによって、
【数30】

が得られる。上式で、ZおよびXはそれぞれ、入力データに依存する行列およびベクトルであり、Ndataは、データ点の数である。単純にZの逆行列をとることによって、式(32)を形成している一組の関係を解くことができる。この解を、5つ以上の検出器を有する偏光計にも拡張することができることに留意されたい。
【0057】
4.較正行列の残りの要素をデータに対する制約条件にフィットさせる
この段階で、「ステップ4」のプロセス、すなわち較正行列の残りの要素をフィットさせるプロセスを説明する。この特定のプロセスを始めるためには、較正行列Cの第1行をパワー・データにベスト・フィットさせ、残りの要素に対する最初の推測を得る(上で論じたステップ2で得た初期推測から導き出す)。したがって、この最初の推測は、単純に、検出器データを使用する式(17)に示したモデル較正行列、または理想的な推測(偏光計が四面体偏光計に近いことが分かっている場合の式(18)など)とすることができる。
【0058】
上で論じたように、較正行列Cの残りのパラメータに対する正しい最初の推測を得るためには、初期推測行列を再基準化する追加の1つのステップが必要である。実際、初期推測行列は、測定されたパワーを使用してベスト・フィットさせた値とは異なる第1行を有する。これは、ゲインが正確にセットされていないことに起因する。したがって、この第1行の代わりに、「ベスト・フィットさせた」第1行を使用しなければならない。残りの3行が表す推測を調整するため、これらの行を単一の倍率によって基準化して、これらの行を、ベスト・フィットさせた第1行の基準化された値に近づけることができる。これは、単純に、第1行の平均倍率をとり、他の全ての要素を割ることによって達成することができる。要するに、推測行列は、
【数31】

である。上式で、Cは、測定されたパワーによるベスト・フィットさせた第1行、Cは、式(17)(または式(18)の理想モデル)から導き出されたモデル行列、hは、これらの2つの行列の第1行の比から導き出された倍率である。
【数32】

【0059】
これが唯一の基準化ではないことに留意されたい。実際には、一般に、以下の形のモデル較正行列Cを使用することができる。
【数33】

ゲインgはCの第1行に容易に関係づけられるため、この形のCを使用して、最初の推測を列ごとに基準化することができる。例えば、四面体推測の場合には、以下の基準化された四面体推測を利用する。
【数34】

【0060】
モデル行列Cの回転は、較正行列Cの第1行に影響を及ぼさないことに留意することも重要である。これらの信号のPDL変換(すなわちSの値または全体のパワーを入力偏光の関数として変化させる偏光変換)だけが、これらの値に影響を及ぼす。したがって、式(17)(または式(18))中のPの向きは重要ではない。しかしながら、モデル行列Cに関連したPDLは重要であり、初期の推測をゆがめることがある。測定されたパワーへのフィットは、較正行列Cに対して特定のPDL値を固定することにも留意されたい。したがって、残りのパラメータの後続の最適化においてPDLは変化しない。
【0061】
この段階で、較正行列Cの残りの要素の最適化は、次のように進行する。最初に、この新たな最適化に対して、式(28)を以下のように書き直すことができる。
【数35】

次いで、較正行列Cの第1行が固定されているという制約条件を前提に、最適化を実行する。それぞれのデータ点の全パワーS0nに対してQを正規化することもできる。レーベンバーグ−マルカート(Levenberg−Marquardt)法、信頼領域(trust Regon)法など、任意の標準最適化手順を使用することができる。PDL=0を有するストークス回転Rは同じDOP=1条件を与えるため、すなわち行列CとRCは同じ解を与えるため、この最適化は、多くの最小値を有することに留意されたい。したがって、式(35)からのフィットの向きは任意である。しかしながら、実際には、ベスト・フィットが達成された後、3つの回転のうちのどの回転でも、Qは全く変化せず、そのため、最適化は終了する。そうなるのは、このような回転下ではDOPメトリック(metric)が全く変化せず、それによってQが正確に同じになるためである。作成された較正行列は、任意に向きが決められており、次いで、後に説明するストークス回転を使用して、較正の正確さを変化させることなく、所望の向きに向け直すことができることに留意されたい。
【0062】
パワー測定値を較正に加えることはしばしば容易だが、パワー測定値に依存しない較正手順を有することが有用であると考えられる。前述の較正手順の間、パワーが一定である場合には、パワーを測定する必要はないことに留意されたい。較正Cの第1行のパワー・フィットを、単純に、任意の一定値にセットすることができる。後に、絶対パワーに対する全体の倍率を追加しなければならない。この較正法は非常に望ましいが、それでも、較正中に別の理由でパワーが変動する可能性があり、発射されたそれぞれの偏光のパワーを測定するときには、これらのパワーの変動がおのずと計上される。パワー測定を実施しない状況では、較正行列Cを決定するフィッティング手順に、別の制約条件を追加しなければならない。
【0063】
パワーの測定は、特定の基準点に対してPDLを正確に調整するために必要であったことを思い出してほしい。パワー測定を使用しない場合には、PDLが正確に調整されることを保証するために、別のある制約条件を追加しなければならない。この制約条件は、互いに対して固定されたストークス空間角を試験偏光が有するようにすることによって、達成することができる。例えば、直交方向に偏光した2つの偏光状態を発射した場合には、正確に較正されたPDLだけが、その直交性を維持した較正行列Cを与える。入力偏光が直交した対からなる場合には、較正を得ることができる。DOP=1制約条件とストークス角度制約条件の両方が満たされるように、式(35)に定義されたQに、この制約条件を追加することができる場合には、入力の中の所定の任意のストークス角度が十分であることに留意されたい。
【0064】
DOP制約条件、またはDOPとストークス角度など他の任意の一組の制約条件を用いて、別のフィッティング手順を使用することができることにも留意されたい。具体的には、最小化する量としてはもはやDOP=1を使用しない。その代わりに、制約条件がどれくらい厳密に満たされているかに依存するパラメータを最小化するように、較正行列Cを変化させる。次に、DOP/ストークス空間角制約条件の例を使用して、この代替フィッティング手順を説明する。
【0065】
DOP=1のとき、偏光計によって測定される4つの検出器値に対する制約条件が存在する。また、1)較正行列を使用する方法と、2)較正行列およびDOP=1条件を使用する方法の2つの異なる方法でストークス・ベクトルを計算することができる。したがって、最初に、較正行列Sからストークス・ベクトルを計算する。
【数36】

次いで、SおよびDOP=l条件を使用して、ストークス・ベクトルを再計算する。
【数37】

上式で、この解は、Sとして定義されている。S1n、S2nおよびS3nについては、解が正と負の両方をとりうるため、2つの解があることに留意されたい。S0nに対しては、解が正であると定義されているため、解は1つしかない。この較正行列が正しい場合、解SとSは同じになる。したがって、この手順は、これらの2つの解の差を最小化するように較正行列Cを変化させる手順である。例えば、下記を最小化することができる。
【数38】

ここでは、ストークス・ベクトルがSの平均値に対して正規化される。最初に、S1n、S2nおよびS3n成分についてScに最も近いSの解を選び出す必要があることに留意されたい。そうした後に初めて、Qに対する和を実行する。
【0066】
しかしながら、前述のとおり、この最小化手順は多くの解を有する。Cが解である場合、RPDLCも解である。前述のとおり、RPDLは、任意の軸に沿ったPDLを有するミュラー行列である。この縮退を断ち切るため、既知のある関係を有する偏光状態を発射する。最も単純な関係は、対ごとの直交性である。すなわち、各対の状態が直交している。これは、図7に示すように、光を直線偏光子36に通し、次いで制御状態の関数としてPDLを固定させる偏光コントローラ32に通すことによって達成することができる。パワーは、異なる発射状態に対して異なることがあり、パワーを測定する必要はないことに留意されたい。偏光コンバータと偏光計の間にPDLがあることもありえる。唯一の要件は、このPDLが変化しないことである。
【0067】
次いで、この直交制約条件を、最小化量Qに以下のように含めることができる。
【数39】

上式で、2つの部分にそれに応じた重みを与えるため、パラメータζを1以外の値にセットすることができる。ここで、σcは、Scを正規化したものであり、そのゼロ成分が1にセットされている。
【数40】

式(39)の第2項を、式(35)および(28)に出ている以前に説明したQの表現と一緒に使用することもでき、その場合、この項は同様に、そのフィットに直交制約条件を課す。
【0068】
入力較正信号に制約条件を課すことができるが、偏光計の検出器および偏光光学部品、例えば偏光計を構成するN個の一組の検出器に制約条件を課すことも可能である。最も単純な制約条件は、直交方向に偏光した光を測定する2つの検出器を有することである。すなわち、検出器の選択された対が、ストークス空間内の反対方向を指す射影ベクトルを有する。このような制約条件はPDLの縮退を断ち切ると考えられる。所与の逆較正行列Pは、PDLが適用されたとき(P=(RPDLC)−1)に直交するこれらの2つの状態をもはや持たないと考えられる。このような制約条件を課すことによって、PDLに対する局所基準を得ることができる。
【0069】
あるいは、別の全般的な制約条件として、より多くの検出器(およびより多くの検出器測定)を偏光計に追加することもできる。最初の4つの測定値を超える測定値は、ストークス・ベクトルに対する解を過剰に決定する。実際、(上で論じた)2つ以上の方法で、ストークス・パラメータを計算することができる。例えば、5つの検出器がある場合には、それぞれのグループを使用して偏光を決定することができる4つの検出器の5つのグループがある。次いで、これらのストークス・パラメータが全て同じになるようにすることによって、較正手順を続行することができる。その後の較正手順は前述の手順と同様である。最初に、モデル較正行列を使用して近似解を決定する。しかしながら、より多くの検出器、したがってより多くの射影状態が存在する。したがって、この場合には、式16(b)に定義された5つ以上の射影状態を使用して、モデル較正行列から初期推定を導き出す。次に、4つの検出器の5つの異なる検出器セットを使用して、ストークス・ベクトルを計算する。このフィットでは、変化させるパラメータが、式(17)のモデル較正行列のパラメータとなる。適用可能な場合には、この段階で、それらの射影状態のうちの2つの射影状態が直交していなければならないという制約条件が課せられるであろう。あるいは、η=1(完全な消光)をセットするなど、消光パラメータηに対する制約条件を課すこともできる。このプロセスの後続のステップの間、このフィット中にこれらの消光パラメータは調整されないであろうが、課せられた値を維持するという制約条件が課せられるであろう。
【0070】
一例として、5つの検出器がある場合には、ストークス・パラメータの5つの異なる値が存在することになる。
【数41】

最小化するQは以下のようになる。
【数42】

3番目の和は、4つの検出器の5つの検出器セットから選択された固有の10対の解にわたる(より少ない解の対にわたる和も可能である)。次いで、Pから1つの行を落とすことによって、Cを導き出す。更新された行列Pは以下のように定義され、
【数43】

行kを排除することによって、それぞれのCをPから導き出す。例えば以下のようになる。
【数44】

以前に論じたようにより多くの行を単純に追加することによって、これをさらに、より多くの検出器に一般化することができる。例えば、ポアンカレ球全体にわたって射影を測定する多くの検出器のアレイを使用することができる。
【0071】
次いで、それらの相対的な角度(すなわちそれぞれに対する射影状態)についての知識は、偏光計に対する較正を決定する別の手段として使用することができる制約条件を与えることができる。
【0072】
図8は、DOPの標準偏差(および最大値)を、較正に含まれる点の数の関数として示すプロットである。示されているように、(最大偏差に対する)1%未満への収斂は非常に速く、12点ないし15点しか必要としない。漸近値(約0.02%)への収斂はそれよりもいくぶん遅く、約30のランダムな点を必要とする。
【0073】
本発明の他の実施形態では、所与の数の発射された信号を用いて較正手順全体が実行され、発射された信号データへのCの十分に良好なフィットが達成される場合には、それ以上のデータ点は使用されない。一方、フィットが依然として最適でない場合には、追加のデータ点が生成される。較正品質は、所与の較正メトリックによって決定される。図8に示された1つの較正メトリックは、較正データ中の全ての発射信号に対して計算された(Cおよび検出器値を使用して計算された)DOPの標準偏差である(図8では、この「標準偏差」が「stdev」として示されている)。他の可能なメトリックは、発射された全ての信号についての100%からのDOPの最大偏差である(図8では「maxdev」として示されている)。いずれにせよ、図8のプロットは、較正に使用される点の数が増えるにつれて較正メトリックが低下することを示している。このメトリックが許容可能な値に到達すると(例えばDOPの標準偏差=0.3e−3)、それ以上の点は取られず、較正は、完了と定義される。あるいは、較正プロセスが完了したと定義するのに、数回の繰返しの間に所与の較正メトリックに到達することを要求することもできる。
【0074】
較正が達成された後、それ以上の変更なしでその較正を使用することができる。しかしながら、用途によっては、その較正を、偏光計から離れたある点の特定のSOPまたは特定の一組のSOPにリファレンス(reference)することが重要である。ある波長範囲にわたって多数の較正が存在するとき、それらの較正が一致することも重要である。一般に、実施することができるいくつかのタイプのリファレンシングがあり、それには、限定はされないが、(1)カノニカル(canonical)な回転、(2)ユーザ定義の状態への回転、(3)1つの内部軸/複数の内部軸に対する整列(alignment)、(4)1つの波長較正の別の波長較正に対する整列、または(5)1つのファイバ格子軸/複数のファイバ格子軸に対する整列が含まれる。次に、これらをそれぞれ順番に説明する。
【0075】
カノニカルな回転は、式(7)に定義された射影状態の特定の向きを指す。カノニカルな回転は、較正行列Cを所望のカノニカルな向きへ回転させるポアンカレ球上の3次元回転であり、この向きは、式(17)に定義された向きと同じである。したがって、最初の検出器は、0度で直線偏光を測定し、2番目の検出器は、別の角度で測定を実行するが、依然として純粋な直線偏光を測定する。あるいは、行列Pは、式(17)に示されているように3つのゼロを有する。
【0076】
ユーザ定義の回転は、カノニカルな回転と本質的に同じだが、この場合には、射影状態の代わりに、測定された2つのSOPが使用される。したがって、例えば、ユーザは、直線および円偏光状態を発射することができる。次いで、偏光計によって生成されたストークス・パラメータがユーザ入力と整合するように、較正行列Cを回転させる。
【0077】
1つまたは複数の内部軸に対する整列を使用することもできる。この内部軸を、高複屈折偏光計の高複屈折軸とすることができる。内部高複屈折軸に対する整列を実行する1つの方法は、この軸に光を発射し、次いで、その偏光が、その軸に対して整列した状態に対して直線偏光になるように、較正を回転させる方法である。1つの検出器が高複屈折軸とすでに整列していることが好ましい。この場合、この整列は内部的に実行することができる。その検出器が高複屈折軸の近くにある場合には、高複屈折発射を通して、整列の正確さを向上させることができる。他の可能性は、単一偏光の光を発射し、次いで波長または温度を変化させることである。局所的な高複屈折軸が、ファイバ偏光計とレーザの間の複屈折を支配する限り、この偏光は、その局所的な高複屈折軸を軸に回転する。
【0078】
局所的な高複屈折軸にリファレンスされた較正の1つの結果は、偏光計が、2つの高複屈折軸間のパワー分割比の安定した測定を提供することである。これは、光の消光比としても知られている。
【0079】
最後に、偏光計が多くの波長で較正される場合、射影状態は局所的な複屈折を軸に回転し、そのため、これを使用してその軸を見つけることもできる。
【0080】
2つの状態が波長に対して無感応な直交性を有することが有利であることに留意されたい。このような直交性は、2つの格子がファイバに沿って非常に近くに位置する場合に達成することができる。2つの格子が高複屈折軸に対して同じ角度を有する場合にも、それは促進される。具体的には、2つの格子がともに高複屈折軸に近い場合には、それらの格子が、うなりの長さの約1/2だけ分離されていると有利である。それらの格子が高複屈折軸に対してある角度を有する場合であっても、うなりの長さの1/2だけ分離されているならば、それらの格子は、波長が変化するときに第1の次数に対して直角であり続ける。
【0081】
1つの波長較正と別の波長較正との整列を利用するときには、1つの波長に対する一組の偏光を発射し、別の波長に対しても同じ一組の偏光を発射する。それぞれの波長での較正の後、それらの2組の偏光が重なり合うように、それぞれの較正行列に対して回転を実施する。
【0082】
最後に、前述のとおり、1つまたは複数のファイバ格子軸に対して整列を使用することが可能である。すなわち、ファイバ偏光計の1つまたは複数の格子に対して所与の較正の向きを定めることが可能である。この場合、2つの格子の向きは、一組の自由空間光学部品内のある外部マーカあるいは高複屈折ファイバまたは他のファイバ内の軸に整列させる。
【0083】
本明細書では、1つまたは複数の実施形態に関して本発明を説明したが、その趣旨および範囲から逸脱することなく、他の配置または構成を実施することもできることが理解される。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲およびその合理的な解釈によってのみ限定されるものとみなされる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
信号経路に沿って伝搬する光信号に関連したストークス・パラメータを生成するために使用する較正行列Cを、N個(N≧4)の複数の検出器に関連したN個の複数の検出器出力信号から作成することにより、偏光計を較正する方法であって、
a)異なる偏光状態(SOP)をそれぞれが有する少なくとも4つの光信号を、前記偏光計内へ順番に発射するステップと、
b)順番に発射されたそれぞれの信号について、前記検出器出力信号を少なくとも含む複数の光信号を、前記N個の複数の検出器のそれぞれの検出器のところで測定するステップと、
c)初期較正行列を作成するステップと、
d)前記初期較正行列の選択された要素の値を、予め定義された少なくとも1つの制約条件を満たすように調整して、最終的な較正行列を決定するステップとを含む、方法。
【請求項2】
ステップc)を実行する際に、ステップb)で測定した信号を使用して前記初期較正行列を作成する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ステップc)を実行する際に、四面体偏光計に関連した値を使用して前記初期較正行列を作成する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
ステップb)を実行する際に、発射されたそれぞれの信号に関連した光パワーを記録し、
ステップd)を実行する際に、
1)発射されたそれぞれの信号に対する測定されたパワー値にベスト・フィットするように、前記初期較正行列の第1行を調整するステップと、
2)前記予め定義された少なくとも1つの制約条件を最もよく満たすように、残りの較正行列値を調整するステップとを実行する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
ステップd)を実行する際に、前記予め定義された少なくとも1つの制約条件が、前記少なくとも4つの異なる入来光信号に関連した信号制約条件を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記信号制約条件が、それぞれの入来光信号の光パワーとそれぞれの信号の偏光度(DOP)の両方に関連した、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
ステップd)を実行する際に、前記予め定義された制約条件が、前記N個の複数の検出器に関連した検出器制約条件を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記検出器制約条件が、前記N個の複数の検出器のそれぞれの検出器の信号ゲインに関連する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
ステップd)を実行する際に、前記予め定義された少なくとも1つの制約条件が、前記発射された信号の入力偏光の少なくとも2つの独立した計算を実行することに関連した計算制約条件を含み、前記最終的な較正行列が、前記少なくとも2つの計算間の差が最小になるまでそれぞれの要素の値を調整することによって決定される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
ステップd)を実行する際に、前記予め定義された少なくとも1つの制約条件が、前記少なくとも4つの異なる入来光信号に関連した信号制約条件と、前記複数の検出器に関連した検出器制約条件の両方を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
所定の数の別個の波長に対して前記ステップを繰り返し、それぞれの波長に対して別個の最終的な較正行列を形成し、その後に、前記別個の最終的な較正行列を、それぞれの波長に対して実質的に同じ結果を与えるように整列させる、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記N個の複数の検出器の光応答が、所定の波長範囲にわたって整合している、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
ステップb)を実行する際に、整合した複数の光信号を測定し、所定の波長範囲にわたって正確な較正行列を与える、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記偏光計が、前記偏光計に沿って形成された少なくとも4つの格子を備え、1対1の関係で前記格子に関連づけられた少なくとも4つの検出器を含み、前記検出器の応答が、所定の波長範囲にわたって整合している、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
ステップb)を実行する際に、整合した複数の光信号を測定し、所定の波長範囲にわたって正確な較正行列を与える、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
光ファイバのある区間に沿って形成された少なくとも4つの複数の別個の格子を備え、前記少なくとも4つの複数の別個の格子は、光ファイバの前記区間の光軸に沿った向きに配置された第1の格子と、前記光軸に対して所定の第1の角度の向きに配置された第2の格子と、前記光軸に対して所定の第2の角度の向きに配置された第3の格子と、前記光軸に対して所定の第3の角度の向きに配置された第4の格子とを含み、それぞれの格子が、伝搬光信号の一部を、前記光軸から遠ざかるように外側へ散乱させるためのものであり、さらに、
少なくとも4つの複数の別個の光検出器を備え、それぞれの光検出器が、1対1の関係で格子に関連づけられ、そして、前記関連格子によって生成された散乱光信号の一部を捕捉し出力信号を生成するように光ファイバの前記区間の外面に配置されており、少なくとも4つの複数の出力信号は加えられた入力信号の偏光状態を示し、前記少なくとも4つの複数の別個の光検出器が、広帯域幅の偏光計を形成するために整合した性能特性を示す、インライン偏光計。
【請求項17】
前記第2の格子が前記光軸に対して約53°の向きに配置され、前記第3の格子が前記光軸に対して約106°の向きに配置され、前記第4の格子が前記光軸に対して約159°の向きに配置される、請求項16に記載のインライン偏光計。
【請求項18】
前記少なくとも4つの複数の別個の光検出器が、ある入力波長範囲にわたる応答性、動作温度範囲および電気帯域幅出力からなるグループから選択された1つまたは複数の特性に関して、整合した性能を示す、請求項16に記載のインライン偏光計。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−18165(P2012−18165A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−151357(P2011−151357)
【出願日】平成23年7月8日(2011.7.8)
【出願人】(509094034)オーエフエス ファイテル,エルエルシー (44)