説明

停止装置

【課題】単方向に駆動力を発揮する電動アクチュエータを採用しながら、停止装置に必要な機能を実現すること。
【解決手段】搬送中のワークに当接してワークを停止させる停止装置において、前記ワークに当接され、搬送中のワークを停止させるワーク当接部を有し、前記ワーク当接部が前記ワークに当接される当接位置と、前記ワーク当接部がワークの下面よりも下方に後退し、ワークと非接触の退避位置と、の間で回動自在な揺動ユニットと、前記揺動ユニットに対して、前記揺動ユニットを前記当接位置に位置させる方向に付勢力を付与する揺動ユニット用弾性部材と、前記揺動ユニットと連結された可動部、及び、前記揺動ユニットが前記退避位置側に回動する方向に前記可動部を移動させる駆動部を有する電動駆動手段と、前記可動部の移動に連動して移動することにより、前記揺動ユニットとの係合による前記揺動ユニットの回動規制と、該回動規制の解除を行う回動規制部材と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は搬送中のワークに当接してワークを停止させる停止装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ローラコンベア等の搬送装置上を搬送されるワークを所定位置で停止させる停止装置が知られている。停止装置は、ワークに当接するローラ等の当接部分を搬送装置上に進出又は退避させることによりワークの停止又は停止解除を行う。このため、当接部分を往復動させる機構及びアクチュエータが必要となる。停止装置のアクチュエータとしては、当接部分の往復動が必要なことから、双方向に駆動力を発揮可能なエアシリンダが用いられることが多い(特許文献1乃至3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−16233号公報
【特許文献2】特開平8−319023号公報
【特許文献3】特開平11−227937号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、エアシリンダを採用するためにはエアの供給システムが必要となる。エアの供給システムを廃して搬送設備の電動化を図る場合には、エアシリンダに代わる電動のアクチュエータの採用が必要となる。電動のアクチュエータとしてはモータ等よりもソレノイド等のアクチュエータが比較的安価であり、搬送設備のコストダウンを図れる。
【0005】
しかし、ソレノイド等は駆動力が単方向にしか発揮されない。停止装置においては、ワークに当接させる当接部分の進出、退避動作に加えて、進出状態及び退避状態の維持が必要となるため、ソレノイド等を採用する場合には、単方向の駆動力でこれらの要求を満たすことが必要となる。
【0006】
本発明の目的は、単方向にのみ駆動力を発揮する電動アクチュエータを採用しながら、停止装置に必要な機能を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、搬送中のワークに当接してワークを停止させる停止装置において、前記ワークに当接され、搬送中のワークを停止させるワーク当接部を有し、前記ワーク当接部がワークの下面よりも上方に突出し、前記ワークに当接される当接位置と、前記ワーク当接部がワークの下面よりも下方に後退し、ワークと前記ワーク当接部とが非接触の退避位置と、の間で回動自在な揺動ユニットと、前記揺動ユニットに対して、前記揺動ユニットを前記当接位置に位置させる方向に付勢力を付与する揺動ユニット用弾性部材と、前記揺動ユニットと連結された可動部、及び、前記揺動ユニットが前記退避位置側に回動する方向に前記可動部を移動させる駆動部を有する電動駆動手段と、前記可動部の移動に連動して移動することにより、前記揺動ユニットとの係合による前記揺動ユニットの回動規制と、該回動規制の解除を行う回動規制部材と、を備えたことを特徴とする停止装置が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、単方向にのみ駆動力を発揮する電動アクチュエータを採用しながら、停止装置に必要な機能を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】(A)は停止装置1の斜視図、(B)は図1(A)の線X−Xに沿う断面図。
【図2】停止装置1の分解斜視図。
【図3】(A)及び(B)は停止装置1の動作説明図。
【図4】(A)及び(B)は停止装置1の動作説明図。
【図5】(A)及び(B)は停止装置1の動作説明図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1及び図2を参照して本発明の一実施形態に係る停止装置1について説明する。図1(A)は停止装置1の斜視図、図1(B)は図1(A)の線X−Xに沿う断面図、図2は停止装置1の分解斜視図である。なお、図1(B)においては停止装置1の要部の断面図とし、かつ、揺動部材11については部分断面図としている。
【0011】
停止装置1は揺動ユニット10を備える。揺動ユニット10は揺動部材11と当接ユニット12とから構成されている。揺動部材11は、水平方向に延びる上部水平部11aと、上部水平部11aから曲折されて上下方向に延びる中部11bと、中部11bから曲折されて同じく水平方向に延びる下部水平部112と、を一体に備える。
【0012】
揺動部材11は、その一方端部(上部水平部11aの端部)に軸孔111を備える。軸孔111には回動軸53が挿入されて回動軸53を回動中心として揺動部材11は回動自在である。また、上部水平部11aの端部には下方に突出した凸部114が形成されている。上部水平部11aには、また、その下面に開口した有底の開口部115及び117を有する。開口部115は断面形状が円形であり、後述する弾性部材20が装着されるバネ受け孔である。開口部117は断面形状が長円形状であり、後述する連結部322が挿入される孔である。上部水平部11aの側面部には、その側面間を貫通するピン差込孔116が形成されており、このピン差込孔116は開口部117と連通している。
【0013】
上部水平部11aと中部11bとの曲折部分には凹状の切欠部113が形成されている。この切欠部113は後述する当接ユニット12のローラ121及び可動部材122と揺動部材11との干渉を回避するために形成されている。
【0014】
中部11bの内側側面(上部水平部11aの下面と連続している面)には、半球形状の凸部118が2箇所設けられている。中部11bの内側側面のうち、凸部118の下側には下部水平部112まで延びる切欠部(段差部)119が形成されている。下部水平部112には、当接ユニット12が搭載される。下部水平部112の上面には、下部水平部112を貫通する貫通孔112a及びネジ孔112bが形成されている。
【0015】
当接ユニット12は、ワークに当接するワーク当接部としてのローラ121と、ローラ121を回転自在に支持する可動部材122と、下部水平部112の上面に載置される支持部材124と、を備える。可動部材122は軸123を回動中心として回動自在に支持部材124に支持されている。支持部材124の上下面を貫通して形成される挿通孔(図示せず)にショックアブソーバ125のシリンダ部(外筒部)が挿通され、ショックアブソーバ125は、ロッド部125aを支持部材124の上面に突出させた状態で支持部材124に固定されている。ショックアブソーバ125のロッド部125aの先端に、可動部材122の後端部下面が当接される。また、ショックアブソーバ125のシリンダ部の、支持部材124の下面に突出した部分が、貫通孔112aに挿通される。ボルト126をネジ孔112bに螺合させ、支持部材124を揺動部材11の下部水平部112に固定することで、当接ユニット12は揺動部材11に固定される。
【0016】
次に、停止装置1は、支持部材50を備える。支持部材50はL字型の一対の壁部51、51と、壁部51間を連結する連結部52と、を一体に備える。各壁部51、51は、回動軸53を支持する軸受孔51a、51aを備える。回動軸53は一方の軸受孔51a、揺動部材11の軸孔111、他方の軸受孔51aを順次挿通し、その両端に止め輪54が係合することで回動軸53の脱落を防ぎ、支持部材50に揺動部材11が組みつけられる。これにより、揺動ユニット10全体が回動軸53を回動中心として回動自在に支持部材50に支持される。
【0017】
各壁部51、51は、回動規制部材40が挿通する溝51b、51bを備える。溝51bは上下方向(後述するプランジャ321の移動方向と平行)に延びる長円形状をなしており、壁部51をその厚み方向に貫通している。回動規制部材40はピン状をなし、溝51b、51bを挿通することで、溝51bに沿って移動自在に支持されている。各溝51b、51bには、回動規制部材40を下方より支持する受け部材41と弾性部材42とがそれぞれ設けられる。
【0018】
受け部材41は大径の頭部と小径の脚部とを備え、頭部表面が回動規制部材40の周面の最底部に当接する一方、脚部は弾性部材42に挿入されている。溝51bの底部には、受け部材41が降下した場合に脚部が進入可能な孔51cが形成されている。弾性部材42は本実施形態の場合、押しバネ(コイルバネ)であり、受け部材41を介して回動規制部材40を上方向に常時付勢しその付勢力は後述する弾性部材20よりも小さい。なお、弾性部材42はコイルバネに限られず、例えば、板バネ等の他の押しバネの他、他の弾性部材も採用可能である。
【0019】
接続部52は、その断面形状が略L字型になっており、そのL字状の上部から延出する水平上段部分に回動規制面52aを備える。回動規制面52aは揺動部材11の凸部114と当接することにより、揺動ユニット10が図1(B)の状態から反時計回りに回動することを防止する。接続部52の下段水平部には、有底の開口部52bと、貫通孔である挿通孔52cとが形成され、これらは一部が重なり合っている。
【0020】
開口部52bは断面形状が円形であり、弾性部材20が装着されるバネ受け孔である。弾性部材20は本実施形態の場合、押しバネ(コイルバネ)コイルバネであり揺動部材11の開口部115と接続部52の開口部52bとの間に装填される。弾性部材20は揺動ユニット10を上方向に常時付勢し、図1(B)の状態を維持する。なお、弾性部材20はコイルバネに限られず、例えば、板バネ等の他の押しバネの他、他の弾性部材も採用可能である。
【0021】
次に、停止装置1は、ケース60に囲包された電動駆動ユニット30を備える。電動駆動ユニット30は、駆動部31と可動部32とを備える。可動部32はプランジャ321と、連結部322と、連結ピン323とを備える。本実施形態の場合、駆動部31とプランジャ321とはプルソレノイドを構成しており、筒状の駆動部31(電磁石)に対する通電により、プランジャ321を駆動部31の筒内に引き込む方向(下方向)にのみ駆動力を発揮させる。すなわちプルソレノイドはプランジャ321を駆動部31の筒内から押出す方向(上方向)には駆動力を発揮しない。
【0022】
プランジャ321の上端部には、連結部322の一部が挿入されるスリット321aが設けられている。プランジャ321の上端部周面にはプランジャ321を径方向(スリット321aに対して垂直な方向)に貫通するピン差込孔321bが形成されている。連結部322は、本体部322aと、本体部322aの中ほどにおいて側方に突出した当接部322bと、から略T字型に形成されている。当接部322bは、図1(B)に示すように、その下面が回動規制部材40の周面の最上部に当接して両者は係合する。
【0023】
本体部322aの下部には、連結ピン323が挿通する、円形の連結孔322cが形成されている。連結部322をスリット321aに挿入し、連結ピン323をピン挿込孔321bおよびピン孔322cに挿し込んで連結することで、スリット321aにおいて、プランジャ321に対して連結ピン323を回動中心として連結部322が回動自在に連結される。
【0024】
本体部322aの上部には、連結ピン13が挿通する連結孔322dが形成されている。連結孔322dは、上下方向に延びる長孔となっている。連結部322は、その上部が揺動部材11の開口部117に挿入され、連結ピン13を揺動部材11のピン差込孔116及び連結孔322dに挿通することで、連結部322と揺動部材11とが連結される。連結孔322dが長孔であることから、連結部322と揺動部材11との連結は一定の遊びを持った嵌合(遊嵌)である。なお、本実施形態では連結孔322dを長孔としたが、その形状は長孔以外の他の形状(例えば、連結ピン13よりも大径の円形)でもよい。
【0025】
次に、係る構成からなる停止装置1の作用について図3乃至図5を参照して説明する。停止装置1はローラコンベア等の搬送装置に設けられ、該搬送装置上を搬送されるワークを一時停止させるために用いられる。図3乃至図5において、二点鎖線Lは搬送面を意味する。搬送面は、不図示の搬送装置においてワークが載置されて搬送される位置(高さ)である。
【0026】
図3(A)は、同図の左から右へ水平方向に搬送されてきたワークWを停止させる状態を示している。停止装置1の揺動ユニット10は、ローラ121がワークWに当接される当接位置に位置している。この当接位置においてローラ121はワークWの下面、つまり搬送面Lよりも上方に突出している。
【0027】
弾性部材20は揺動ユニット10に対して、揺動ユニット10を当接位置に位置させる方向(同図では上方向であり、揺動部材11の水平状態を上限とし、回動軸53を中心とした反時計回りの方向)に付勢力を付与している。なお、上記の通り、接続部52の回動規制面52aと揺動部材11の凸部114との当接によって、揺動ユニット10は、図3(A)の状態から更に反時計回りには回動しないようになっている。
【0028】
図3(A)の状態では電動駆動ユニット30は非駆動状態にある。弾性部材42の付勢により回動規制部材40は溝51cの上端に位置している。本実施形態の場合、図3(A)の状態では、回動規制部材40と揺動部材11の凸部118との間に僅かな隙間S(0.1〜0.3mm程度)が形成されるが、回動規制部材40と凸部118とが当接して係合状態にあるようにしてもよい。なお、回動規制部材40は連結部322の当接部322bの下面に当接して係合状態にある。
【0029】
電動駆動ユニット30は非駆動状態であるため、弾性部材42の付勢により回動規制部材40を介して連結部322及びプランジャ321がこれらの最上方位置に押し上げられており、連結ピン13は連結孔322dの最下部に位置している。このように弾性部材42は、回動規制部材40を連結部322に係合させる方向に付勢力を付与する。
【0030】
図3(B)はワークWがローラ121に当接し始めた状態を示す。本実施形態の場合、ローラ121を支持する可動部材122が軸123を回動中心として回動自在である。このため、ワークWがローラ121に当接し始めた段階では、ワークWの搬送力が揺動ユニット10全体を回動させる方向には働かず、可動部材122のみが同図のように時計回りに回動し始める。そして、可動部材122の回動に伴ってショックアブソーバ125のロッド部125aの先端に可動部材122が当接し始めるので、ショックアブソーバ125によりワークWとローラ121との衝突の衝撃が緩衝される。
【0031】
なお、本実施形態の場合、ワークWが同図右から左へ逆搬送されてきた場合、ローラ121とワークWとの衝突により可動部材122は反時計回りに回動し、ローラ121及び可動部材122が揺動部材11の切欠部113に進入して搬送面L上に突出しなくすることで、ワークWの逆搬送を妨げないようにしている。
【0032】
ワークWがローラ121に当接して可動部材122の回動が完了すると、ワークWの搬送力が揺動ユニット10を時計回りに回動させる方向に働く。このとき、本実施形態では図3(A)に示した通り、回動規制部材40と揺動部材11の凸部118との間に僅かな隙間Sが存在するので、図4(A)に示すように、隙間S分だけ、揺動ユニット10が時計回りに回動することが許容される。揺動ユニット10が回動すると、回動規制部材40と揺動部材11の凸部118とが当接して係合状態となるので、揺動ユニット10のそれ以上の回動が規制される。回動規制部材40は、溝51cを介して支持部材50に支持されているので、電動駆動ユニット30の駆動力を利用せずに、より確実かつ強固に揺動ユニット10の回動を規制できる。このように、揺動ユニット10が隙間S分だけ回動することにより、揺動ユニット10に対するワークWとの衝撃を回動規制部材40で受け止めることができる。
【0033】
揺動ユニット10が隙間S分だけ回動すると、その分だけ弾性部材20は圧縮される。本実施形態の場合、ワークWの衝突初期の衝撃が強い段階を過ぎると、弾性部材20の弾性復帰力による揺動部材11の回動力が、ワークWの搬送力による揺動部材11の回動力に勝るように、弾性部材20の弾性復帰力が設計されており、図4(B)に示すように、揺動部材11が図3(A)に示した位置に復帰する。すなわち、揺動ユニット10に対するワークWの衝突の衝撃は、弾性部材20にて衝撃吸収することができる。回動規制部材40と揺動部材11の凸部118との間にも、再び隙間Sが形成される。
【0034】
なお、ここでは可動部材122の回動が完了すると、ワークWの搬送力が揺動ユニット10を時計回りに回動させる方向に働くとしたが、必ずしも順序通りに動作しなくても良い。
【0035】
こうして、本実施形態では、ワークWを停止させることができる。本実施形態では、揺動部材11を、上部水平部11a、中部11b、下部水平部112から構成し、当接ユニット12を下部水平部112に搭載した。これは、ローラ121とワークWとの当接位置と、回動軸53の位置との上下方向の高さの差を小さくする意味がある。この差が小さいと、ワークWがローラ121に当接した際に揺動ユニット10に作用する衝撃(時計回りに揺動ユニット10を回動させる力)をより小さくできる。
【0036】
次に、電動駆動ユニット30を駆動することで、ローラ121をワークWの下面よりも下方に後退させ、ワークWとローラ121とが非接触の退避位置に揺動ユニット10を回動させ、ワークWが停止装置1を通過可能とされる場合について説明する。本実施形態の場合、駆動部31は、弾性部材20の付勢に抗して揺動ユニット10が退避位置側に回動する方向にプランジャ321を移動させる。
【0037】
図5(A)は、電動駆動ユニット30を駆動し始めた初期の状態を示しており、プランジャ321が下方へ移動し始めている(駆動部31に引き込まれ始めている)。回動規制部材40は連結部322と係合しているので、プランジャ321および連結部322の移動に連動して下方へ移動し始めている。本実施形態の場合、回動規制部材40と揺動部材11の凸部118との間には隙間Sが形成されているので、隙間Sが形成されていない場合よりも駆動部31の駆動力はより小さくて済む。
【0038】
つまり、隙間Sが形成されていない場合は、停止されているワークWの搬送力による揺動部材11の回動力が凸部118を介して回動規制部材40に伝達し、回動規制部材40においてこれを負担することになる。この場合、回動規制部材40を移動させるためにはより大きな力((揺動部材11の回動力と、凸部118と回動規制部材40との摩擦抵抗力と、回動規制部材40と溝51bとの摩擦抵抗力とを合わせた力)以上の力)が必要となる。しかし、隙間Sを形成することで、前述した摩擦抵抗力は存在せず、停止されているワークWの搬送力による揺動部材11の回動力は弾性部材20で負担されるので、駆動部31の駆動力としてはより小さな出力(揺動部材11の回動力と弾性部材20の付勢力の差分)で足りる。
【0039】
一般に、ソレノイドの駆動力は、同サイズのエアシリンダ、モータ等に比べ低い事から、エアシリンダ、モータ等と同じ駆動力をソレノイドで得るにはエアシリンダ、モータ等よりも大きなソレノイドが必要となるが、本実施形態では、駆動部31の駆動力としては、上記の通り、より小さな出力で足りるため、エアシリンダやモータを採用した装置と比べて、装置が大型化することを回避することができる。
【0040】
プランジャ321の移動方向と溝51の長手方向が平行であるため、回動規制部材40はプランジャ321の移動方向と平行な方向に移動する。回動規制部材40が一定量下方へ移動すると図5(A)に示すように、回動規制部材40と凸部118とが係合不能となる。係合不能となるまでの回動規制部材40の移動範囲を規制領域といい、係合不能となった後の移動範囲を規制解除領域という。規制領域では回動規制部材40は連結部322と係合するが、規制解除領域に至ると回動規制部材40は連結部322とは係合せず、切欠部119と係合することになる。
【0041】
揺動ユニット10と連結部322とは連結されているが遊嵌である。例えば、図4(B)の段階において、連結ピン13の周面底部は連結孔322dの底部に着座されているが、連結ピン13の周面上部と連結孔322dの上部との間には隙間(遊び)がある。このため、プランジャ321が下方へ移動し始めた段階(図4(B)と図5(A)との間の段階)では、連結ピン13の周面上部が連結孔322dの上部に着座するまでの間、揺動ユニット10と連結部322とは非連結状態にあり、電源駆動ユニット30から揺動ユニット10に回動力が付与されない。プランジャ321が一定量下方へ移動すると、図5(A)に示すように、連結ピン13の周面上部が連結孔322dの上部に着座される。これによって、揺動ユニット10と連結部322とが連結状態となり、電源駆動ユニット30から揺動ユニット10に回動力が付与されることになる。
【0042】
このように、本実施形態では連結部322と揺動ユニット10とが、プランジャ321及び回動規制部材40の移動に遅れて連結状態になるようにしている。これは、回動規制部材40による揺動ユニット10の回動規制が解除される前に、電源駆動ユニット30から揺動ユニット10に回動力が付与されても無駄になるため、この状態を回避しようとしたものである。このため、連結孔322dの長孔の長さは、回動規制部材40が規制領域を脱するまで、揺動ユニット10と連結部322とが連結状態にならないように設定される。
【0043】
揺動ユニット10と連結部322とが連結状態になり、回動規制部材40が規制解除領域に移動した状態で、プランジャ321が更に下方へ移動すると、弾性部材20の付勢に抗して揺動ユニット10が時計回りに回動し、図5(B)に示すように当接ユニット12が退避位置に至る。回動規制部材40は揺動部材11の切欠部119に入り込んだ状態で、切欠部119と係合することで、揺動ユニット10は、その回動が阻害されない、回動規制を解除した状態にある。また、本実施形態の場合、回動軸53に対して、連結部322と揺動ユニット10とが連結される位置(連結ピン13)を、弾性部材20が揺動ユニット10に対して付勢力を付与する作用位置(開口部115)よりも離れた位置に設けている。このため、回転軸53に対して、連結ピン13の位置を作用位置よりも近くに設ける場合と比べて、てこの原理により、電動駆動ユニット30はより低出力のものを利用できる。
【0044】
図5(B)の状態から電動駆動ユニット30を非駆動状態とすると、弾性部材20と弾性部材42との復元力により図4(B)の状態に復帰することになる。なお、ローラ121が、搬送が再開されたワークWの底面に当接した状態で電動駆動ユニット30を非駆動状態とすると、弾性部材20と弾性部材42との復元力により、ワークWの通過後、図3(A)の状態に復帰する(当接ユニット12も元の状態に戻る)。
【0045】
このように本実施形態では、回動規制部材40を移動部32の移動に連動させて移動させたことにより、単方向にのみ駆動力を発揮する電動駆動ユニット30を採用しながら、揺動ユニット10が当接位置から回動してしまうことの防止(図4(A))や、揺動ユニット10の退避位置への移動(図5(B))ができ、停止装置に必要な機能を実現することができる。
【0046】
また、回動規制部材40と移動部32の移動との連動に連結部322を用いたことにより、比較的簡易な構成で実現できる。また、特に、電動駆動ユニット30はプルソレノイド以外のものでもよいが、プルソレノイドから構成したことで比較的安価に生産が可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送中のワークに当接してワークを停止させる停止装置において、
前記ワークに当接され、搬送中のワークを停止させるワーク当接部を有し、前記ワーク当接部がワークの下面よりも上方に突出し、前記ワークに当接される当接位置と、前記ワーク当接部がワークの下面よりも下方に後退し、ワークと前記ワーク当接部とが非接触の退避位置と、の間で回動自在な揺動ユニットと、
前記揺動ユニットに対して、前記揺動ユニットを前記当接位置に位置させる方向に付勢力を付与する揺動ユニット用弾性部材と、
前記揺動ユニットと連結された可動部、及び、前記揺動ユニットが前記退避位置側に回動する方向に前記可動部を移動させる駆動部を有する電動駆動手段と、
前記可動部の移動に連動して移動することにより、前記揺動ユニットとの係合による前記揺動ユニットの回動規制と、該回動規制の解除を行う回動規制部材と、
を備えたことを特徴とする停止装置。
【請求項2】
前記回動規制部材が、
前記揺動ユニットの回動を規制する規制領域から、前記揺動ユニットの回動を許容する規制解除領域の範囲で移動自在に設けられたことを特徴とする請求項1に記載の停止装置。
【請求項3】
前記揺動ユニットの回動軸を支持する支持部材を備え、
前記回動規制部材は、前記支持部材に設けた溝に沿って移動自在に支持されていることを特徴とする請求項2に記載の停止装置。
【請求項4】
前記弾性部材が、前記揺動ユニットと前記支持部材との間に圧縮状態で挿入された押しバネであり、
前記回動軸と、前記可動部と前記揺動ユニットとが連結される位置との離間距離が、前記回動軸と、前記押しバネが前記揺動ユニットに対して付勢力を付与する作用位置との離間距離よりも長くなるよう、前記可動部と前記揺動ユニットとの連結位置を設定したことを特徴とする請求項3に記載の停止装置。
【請求項5】
前記電動駆動手段が、前記可動部を構成するプランジャを備えたプルソレノイドであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の停止装置。
【請求項6】
前記電気制御駆動手段が、前記可動部を構成するプランジャを備えたプルソレノイドであり、
前記回動規制部材は、前記プランジャの移動方向と平行な方向に移動可能に前記支持部材に支持され、
前記可動部は、前記プランジャと前記揺動ユニットを連結する連結部を有し、
前記回動規制部材は前記連結部に係合される係合ピンであり、
前記係合ピンを前記連結部に係合させる方向に付勢力を付与する回動規制部材用弾性部材を備え、
前記連結部は、前記プランジャ及び前記揺動ユニットに連結される本体部と、その本体部から突出して設けられ、前記係合ピンに当接される回動規制部材当接部とを有することを特徴とする請求項3に記載の停止装置。
【請求項7】
前記連結部の前記本体部と前記揺動ユニットとは、
前記電動駆動手段の前記駆動部が前記プランジャを移動させたときに、前記連結部及び前記係合ピンの移動に遅れて前記本体部と前記揺動ユニットとが連結状態となるように、遊嵌されていることを特徴とする請求項6に記載の停止装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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