説明

停電情報処理システム

【課題】配電線事故による停電範囲を需要家宅単位に把握する。
【解決手段】配電統括システム1において、停電情報管理システム5は、各営業所に設置され、配電自動化システム2から停電発生時に送信される停電情報を受信し、その停電情報の停電区間番号から停電対象の顧客住所を含む停電顧客情報を生成し、停電情報総合システム6に送信する。その際、区間DB、変圧器DB及び引込柱DBから生成した区間電柱顧客DBを参照する。停電情報総合システム6は、停電情報管理システム5から停電顧客情報を受信し、停電情報通知システム7に送信する。カスタマセンタにおいて、停電情報通知システム7は、停電情報総合システム6から停電顧客情報を受け付け、戸別詳細地図とともに顧客業務端末8に全配信する。顧客業務端末8は、停電情報通知システム7から停電顧客情報及び戸別詳細地図を受信し、停電対象の顧客宅を示す戸別詳細地図をオペレータ向けに表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、停電範囲を需要家宅単位に表示する停電情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電力会社において顧客対応業務を行っているオペレータに対して、停電発生に関する情報を確実に通知するために、通常業務で使用される画面に重ねて停電発生情報を表示させる停電情報通知システムが導入されている。その停電情報通知システムの例について、特許文献1に開示されている。また、その停電情報通知システムに関連する停電情報統合システム及び停電情報管理システムの例について、特許文献2及び3にそれぞれ開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−153328号公報
【特許文献2】特開2009−151667号公報
【特許文献3】特開2009−153300号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来の停電情報通知システムにおいては、配電線の事故による停電区間が住居区画(例えば、「A西3丁目」等)の単位に表示され、顧客宅ごとの停電状況が表示されない。また、電話番号等の顧客情報により配電線事故に関する情報を検索することもできない。従って、オペレータが顧客からの停電に関する問い合わせに対応する際に、当該顧客宅の停電が配電線事故によるのか、又は、個別の故障修理(屋内故障)によるのかをすぐに特定することができない。
【0005】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、配電線事故による停電範囲を需要家宅単位に把握することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、停電情報処理システムであって、電力会社の営業所に設置される停電情報変換システムと、前記電力会社のカスタマセンタに設置される停電情報表示システムと、を備え、前記停電情報変換システムが、配電線の区間に固有の番号である区間番号と、前記区間の配電線から給電を受ける需要家の住所とを対応付けた区間住所データを記憶する手段と、前記配電線の事故による停電が発生した場合に、当該停電が発生している前記区間の区間番号である停電区間番号を取得する手段と、前記区間住所データに基づいて、前記停電区間番号から、停電になっている需要家の住所である停電需要家住所を特定し、特定した前記停電需要家住所を前記停電情報表示システムに送信する手段と、を備え、前記停電情報表示システムが、前記需要家の住所により当該需要家の家屋を特定可能である住宅地図データを記憶する手段と、前記停電情報変換システムから前記停電需要家住所を受信した場合に、受信した前記停電需要家住所により、停電になっている需要家の家屋を識別可能とした前記住宅地図データを、前記カスタマセンタのオペレータが参照する表示装置に表示する手段と、を備えることを特徴とする。
【0007】
この構成によれば、配電線区間の区間番号と、その区間から給電を受ける需要家の住所とを対応付けて記憶することにより、その区間で事故が発生したときに、停電になる需要家の住所を特定することができる。そして、停電になる需要家の住所により、その需要家宅を示した住宅地図を表示することにより、カスタマセンタのオペレータは、配電線の事故による停電範囲を需要家宅単位に把握することができる。
【0008】
なお、特許請求の範囲における停電情報処理システムは、実施の形態における配電統括システム1の一部分を抽出したものであり、特に、停電情報管理システム5、停電情報通知システム7及び顧客業務端末8の機能を併せたものに相当する。詳細には、特許請求の範囲における停電情報変換システムは、実施の形態における停電情報管理システム5に相当する。特許請求の範囲における停電情報表示システムは、実施の形態における停電情報通知システム7に相当する。特許請求の範囲における表示装置は、実施の形態における顧客業務端末8に相当する。
【0009】
また、本発明の上記停電情報処理システムにおいて、前記停電情報表示システムが、前記需要家の電話番号と、住所とを対応付けた電話番号住所データを記憶する手段と、前記オペレータの操作により、停電に関する問い合わせのあった需要家の電話番号を取得する手段と、前記電話番号住所データに基づいて、前記電話番号から前記需要家の住所を特定する手段と、前記停電になっている需要家の家屋を識別可能とした前記住宅地図データのうち、特定した前記需要家の住所を含む範囲の住宅地図データを取得し、前記表示装置に表示する手段と、をさらに備えることとしてもよい。
【0010】
この構成によれば、停電した需要家から問い合わせがあったときに、その需要家の電話番号をオペレータが停電情報表示システムに入力すると、配電線事故により停電になる需要家宅を示した住宅地図のうち、問い合わせをした需要家の住所を含む範囲の地図が表示される。これによれば、オペレータは、問い合わせをした需要家宅が配電線事故による停電対象か否かを確認することにより、その需要家宅の停電が、配電線事故によるものなのか、又は、個別の故障によるものなのかをすぐに回答することができる。
【0011】
その他、本願が開示する課題及びその解決方法は、発明を実施するための形態の欄、及び図面により明らかにされる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、配電線事故による停電範囲を需要家宅単位に把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】配電統括システム1の構成を示す図である。
【図2】停電情報管理システム5のハードウェア構成を示す図である。
【図3】停電情報通知システム7のハードウェア構成を示す図である。
【図4】停電情報管理システム5の記憶部55に記憶されるDB(Data Base)の構成を示す図であり、(a)は区間DB55Aの構成を示し、(b)は変圧器DB55Bの構成を示す。
【図5】停電情報管理システム5の記憶部55に記憶されるDB(Data Base)の構成を示す図であり、(a)は引込柱DB55Cの構成を示し、(b)は顧客検索基本情報DB55Dの構成を示し、(c)は区間電柱顧客DB55Eの構成を示す。
【図6】停電情報通知システム7の記憶部75に記憶される戸別詳細地図DB75Aの内容例を示す図である。
【図7】停電情報通知システム7の記憶部75に記憶されるデータの構成を示す図であり、(a)は電話番号住所DB75Bの構成を示し、(b)は停電顧客情報75Cの構成を示す。
【図8】配電統括システム1の処理を示すフローチャートである。
【図9】停電発生時の戸別詳細地図を表示した画面例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態を説明する。本発明の実施の形態に係る配電統括システム(停電情報処理システム)は、主として、配電線事故による停電区間の番号を取得し、その停電区間の番号から停電している需要家宅の住所を特定し、需要家宅ごとの停電範囲が識別可能な住宅地図を、顧客対応業務を行うオペレータに向けて表示するものである。
【0015】
≪システムの構成と概要≫
図1は、配電統括システム1の構成を示す図である。配電統括システム1は、電力会社の変電所から顧客宅に円滑に配電を行うために配電系統を統括管理するシステムであり、配電自動化システム2、配電システム3、営業システム4、停電情報管理システム5、停電情報総合システム6、停電情報通知システム7及び顧客業務端末8を含む構成となっている。
【0016】
配電自動化システム2及び停電情報管理システム5はそれぞれサーバ用コンピュータによって実現され、それらのシステム間はLAN(Local Area Network)によって通信可能である。特に、停電情報管理システム5は、各営業所の営配サーバ等によって実現される。配電システム3及び営業システム4は、ホストコンピュータ(大型の汎用コンピュータ)によって実現されるが、同じコンピュータ内にあってもよいし、異なるコンピュータに分かれていてもよい。それらのシステム間は、ホスト内処理モジュール間インタフェース又はホスト間インタフェースによって通信可能である。また、配電自動化システム2及び停電情報管理システム5と、配電システム3及び営業システム4との間は、それぞれサーバ・ホスト間インタフェース(対ホスト通信インタフェース)によって通信可能である。
【0017】
停電情報総合システム6は、サーバ用コンピュータによって実現され、停電情報通知システム7及び顧客業務端末8は、電力会社内のカスタマセンタに設置されたサーバ用コンピュータ及び端末用コンピュータ(PC(Personal Computer)等)によって実現される。停電情報総合システム6と、停電情報管理システム5及び停電情報通知システム7とは、例えば、インターネットを用いた公衆網又は仮想私設網(VPN:Virtual Private Network)を介して、IP(Internet Protocol)アドレス方式により通信可能である。停電情報通知システム7及び顧客業務端末8は、例えば、LANによるイントラネットを介して通信可能である。さらに、停電情報通知システム7と、営業システム4との間は、サーバ・ホスト間インタフェース(対ホスト通信インタフェース)によって通信可能である。
【0018】
配電自動化システム2は、配電系統(配電線)の各区間を常時監視しており、その停電の発生に即した停電情報を停電情報管理システム5に送信する。
【0019】
配電システム3は、高圧系統(構成柱番号及び変圧器柱番号)、負荷(変圧器柱番号及び引込柱番号)及び引込柱(引込柱番号及び契約番号)に関するDB内の情報を管理し、それらの情報を停電情報管理システム5に1日1回(例えば、夜間に)送信する。この際、停電情報管理システム5は、配電システム3から受信した更新情報を自らのDB(区間DB、変圧器DB及び引込柱DB)に反映する。これにより、配電システム3と、停電情報管理システム5との間において、高圧系統、負荷及び引込柱に関する情報の日々連携が実現する。
【0020】
営業システム4は、管轄地域内の戸別詳細地図に関する情報(住宅地図データ)を管理する。戸別詳細地図の更新を行った場合には、その更新された情報により自らのDBを更新するとともに、更新された戸別詳細地図の情報を停電情報通知システム7に送信する。この際、停電情報通知システム7は、営業システム4から受信した更新情報を自らのDB(戸別詳細地図DB)に反映する。これにより、営業システム4と、停電情報通知システム7との間において、戸別詳細地図に関する情報の日々連携が実現する。なお、営業システム4は、各顧客の電力料金を計算し、その電力料金に関する情報を停電情報管理システム5に送信する機能も有する。
【0021】
停電情報管理システム5は、営業所単位の分散系システムとして、配電自動化システム2から停電の発生に伴って送信される停電情報を受信し、その停電情報から、停電範囲に含まれる顧客宅の住所を含む停電顧客情報を生成し、その停電顧客情報を停電情報総合システム6に送信する。その際、区間DB、変圧器DB及び引込柱DBから生成した区間電柱顧客DBを参照する。
【0022】
停電情報総合システム6は、各営業所の停電情報管理システム5から当該営業所の管轄内の停電顧客情報を受信し、記憶するとともに、停電情報通知システム7に停電顧客情報を提供する。
【0023】
停電情報通知システム7及び顧客業務端末8は、カスタマセンタに設置され、停電発生に関する情報をオペレータに速やかに知らせるものである。停電情報通知システム7は、Webサーバとして、停電情報総合システム6から停電顧客情報を受け付け、戸別詳細地図とともに、通信可能な顧客業務端末8に全配信する。そして、顧客業務端末8は、停電情報通知システム7から停電顧客情報及び戸別詳細地図を受信し、停電している顧客宅が識別可能な戸別詳細地図をオペレータ向けに表示する。
【0024】
図2は、停電情報管理システム5のハードウェア構成を示す図である。停電情報管理システム5は、通信部51、表示部52、入力部53、処理部54及び記憶部55を備え、各部がバス56を介してデータを送受信可能なように接続されている。通信部51は、ネットワークを介して他のシステムとIP通信等を行う部分であり、例えば、NIC(Network Interface Card)等によって実現される。表示部52は、処理部54からの指示によりデータを表示する部分であり、例えば、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)等によって実現される。入力部53は、オペレータが所定のデータを入力する部分であり、例えば、キーボードやマウス等によって実現される。処理部54は、所定のメモリを介して各部間のデータの受け渡しを行うととともに、停電情報管理システム5全体の制御を行うものであり、CPU(Central Processing Unit)が所定のメモリに格納されたプログラムを実行することによって実現される。記憶部55は、処理部54からデータを記憶したり、記憶したデータを読み出したりするものであり、例えば、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等の不揮発性記憶装置によって実現される。
【0025】
図3は、停電情報通知システム7のハードウェア構成を示す図である。停電情報通知システム7は、通信部71、表示部72、入力部73、処理部74及び記憶部75を備え、各部がバス76を介してデータを送受信可能なように接続されている。通信部71は、ネットワークを介して他のシステムとIP通信等を行う部分であり、例えば、NIC等によって実現される。表示部72は、処理部74からの指示によりデータを表示する部分であり、例えば、液晶ディスプレイ(LCD)等によって実現される。入力部73は、オペレータが所定のデータを入力する部分であり、例えば、キーボードやマウス等によって実現される。処理部74は、所定のメモリを介して各部間のデータの受け渡しを行うととともに、停電情報通知システム7全体の制御を行うものであり、CPUが所定のメモリに格納されたプログラムを実行することによって実現される。記憶部75は、処理部74からデータを記憶したり、記憶したデータを読み出したりするものであり、例えば、HDDやSSD等の不揮発性記憶装置によって実現される。
【0026】
なお、他のシステム及び顧客業務端末7は、上記のハードウェア構成と同様に、通信部、表示部、入力部、処理部及び記憶部を備え、各部が連携して動作するものとする。
【0027】
≪データの構成≫
図4及び図5は、停電情報管理システム5の記憶部55に記憶されるDBの構成を示す図である。図4(a)は、区間DB55Aの構成を示す。区間DB55Aは、発変電所の引出口から柱上変圧器までの高圧線のつながりを管理するデータベース(高圧系統管理台帳)であり、開閉器により分割された高圧配電線区間を表す系統管理ブロック(以下、高圧区間という)内の情報として、高圧区間開閉器柱番号55A1、高圧区間電柱番号55A2及び変圧器電柱番号55A3を含む、高圧区間ごとのレコードからなる。高圧区間開閉器柱番号55A1は、高圧区間を構成する開閉器が設置されている電柱の電柱番号であり、これにより高圧区間(開閉器区間)が特定される。高圧区間電柱番号55A2は、高圧線が施設されている高圧区間内の電柱全ての電柱番号である。変圧器電柱番号55A3は、高圧区間内において変圧器が設置されている電柱の電柱番号である。なお、区間DB55Aのレコードには、上記以外に、高圧区間内において高圧機器が設置されている電柱の電柱番号、高圧機器の種別、開閉器間の亘長、高圧電線情報、高圧顧客情報等が設定される。
【0028】
図4(b)は、変圧器DB55Bの構成を示す。変圧器DB55Bは、変圧器に関するデータベース(負荷管理台帳)であり、変圧器電柱番号55B1及び引込柱電柱番号55B2を含む、変圧器ごとのレコードからなる。変圧器電柱番号55B1は、変圧器が設置された電柱の電柱番号であり、これにより、変圧器が特定されるとともに、区間DB55Aの変圧器電柱番号55A3と関連付けられる。引込柱電柱番号55B2は、変圧器の2次側につながる配電線から需要家宅へ分岐する引込線の電柱(引込柱)の電柱番号であり、1の変圧器電柱番号55B1に対して1以上の電柱番号が設定される。なお、変圧器DB55Bのレコードには、上記以外に、バンク用途(変圧器用途)、変圧器の種別、容量、夏期及び冬期の利用率等が設定される。
【0029】
図5(a)は、引込柱DB55Cの構成を示す。引込柱DB55Cは、引込柱に関するデータベース(引込柱台帳)であり、引込柱電柱番号55C1及び顧客契約番号55C2を含む、引込柱ごとのレコードからなる。引込柱電柱番号55C1は、引込柱の電柱番号であり、これにより、引込柱が特定されるとともに、変圧器DB55Bの引込柱電柱番号55B2と関連付けられる。顧客契約番号55C2は、顧客が電力会社と交わした電気使用契約の番号であり、1の引込柱電柱番号55C1に対して1以上の契約番号が設定される。なお、引込柱DB55Cのレコードには、上記以外に、引込柱の線路や分岐に関する情報、契約番号ごとの高圧、低圧の区分、施設年月日、契約種別等が設定される。
【0030】
図5(b)は、顧客検索基本情報DB55Dの構成を示す。顧客検索基本情報DB55Dは、高圧区間から電力の供給を受けている顧客に関するデータベース(顧客情報台帳)であり、顧客契約番号55D1、契約種別55D2、顧客名55D3及び住所55D4を含む、契約に係る顧客ごとのレコードからなる。顧客契約番号55D1は、顧客の電気使用契約の番号であり、これにより、契約及びそれに係る顧客が特定されるとともに、引込柱DB55Cの顧客契約番号55C2と関連付けられる。契約種別55D2は、電気使用契約の種別である。顧客名55D3は、電力会社と電気使用契約を交わしている顧客の名称(氏名等)である。住所55D4は、顧客宅の住所である。なお、顧客検索基本情報DB55Dのレコードには、上記以外に、顧客の郵便番号や電話番号、担当の営業所コード等が設定される。
【0031】
図5(c)は、区間電柱顧客DB55Eの構成を示す。区間電柱顧客DB55Eは、高圧区間と、引込柱と、顧客とを対応付けたデータベース(開閉器区間顧客情報台帳)であり、高圧区間開閉器柱番号55E1、引込柱電柱番号55E2、顧客契約番号55E3、契約種別55E4、顧客名55E5及び住所55E6を含むレコードからなる。高圧区間開閉器柱番号55E1は、高圧区間を構成する開閉器が設置されている電柱の電柱番号であり、これにより高圧区間(開閉器区間)が特定され、区間DB55Aの高圧区間開閉器柱番号55A1に対応する。引込柱電柱番号55E2は、引込柱の電柱番号であり、これにより引込柱が特定され、引込柱DB55Cの引込柱電柱番号55C1に対応する。顧客契約番号55E3は、顧客の電気使用契約の番号である。契約種別55E4は、電気使用契約の種別である。顧客名55E5は、電力会社と電気使用契約を交わしている顧客の名称(氏名等)である。住所55E6は、顧客宅の住所である。なお、顧客契約番号55E3、契約種別55E4、顧客名55E5及び住所55E6は、顧客検索基本情報DB55の顧客契約番号55D1、契約種別55D2、顧客名55D3及び住所55D4にそれぞれ対応する。
【0032】
図6及び図7は、停電情報通知システム7の記憶部75に記憶されるデータの構成を示す図である。図6は、戸別詳細地図DB75Aの内容例を示す。戸別詳細地図DB75Aは、配電統括システム1が管理する変電所の給電範囲の地図データであり、顧客宅(需要家宅)ごとの家屋が視認可能な住宅地図が設定されている。そして、顧客宅の住所が特定されると、その顧客宅の家屋に相当する図形が着色され、他の家屋と区別可能になる。また、顧客宅の住所が特定されると、その住所を含む所定範囲の地図データが取得可能になっている。顧客宅の住所と、地図データ上における家屋の図形とを対応させる際には、例えば、住所から緯度経度を特定し、その緯度経度の地点を含む図形を地図データ上で特定する方法があるが、他の方法で行ってもよい。
【0033】
図7(a)は、電話番号住所DB75Bの構成を示す。電話番号住所DB75Bは、配電統括システム1が管理する変電所の給電範囲内における顧客の電話番号から住所を特定するものであり、電話番号75B1及び住所75B2を含むレコードからなる。電話番号75B1は、顧客の電話番号を示す。住所75B2は、顧客の住所を示す。電話番号75B1と、住所75B2とは、通常1対1に対応するが、複数の電話番号75B1が1つの同じ住所75B2に対応することもある。
【0034】
図7(b)は、停電顧客情報75Cの構成を示す。停電顧客情報75Cは、停電情報総合システム6から受信した直近の停電顧客情報に関するデータであり、受信日時75C1、引込柱電柱番号75C2、顧客名75C3及び住所75C4を含む。受信日時75C1は、停電情報通知システム7が停電顧客情報を受信した日時を示す。引込柱電柱番号75C2、顧客名75C3及び住所75C4には、受信した停電顧客情報に含まれる引込柱電柱番号、顧客名及び住所がそれぞれ設定される。
【0035】
≪システムの処理≫
図8は、配電統括システム1の処理を示すフローチャートである。本処理は、配電統括システム1の各システムにおいて、主として処理部が通信部によりデータを送受信し、記憶部のデータを参照、更新しながら、顧客業務端末8に顧客宅ごとの停電状況の分かる地図を表示させるものである。
【0036】
まず、停電情報管理システム5は、配電システム3から高圧系統管理台帳、負荷管理台帳及び引込柱台帳のデータを受信し、それぞれ区間DB55A、変圧器DB55B及び引込柱DB55Cとして記憶部55に記憶する(S801)。配電システム3からは、各台帳の最新データが1日1回(例えば、夜間に)送信される。そして、記憶部55の区間DB55A、変圧器DB55B、引込柱DB55C及び顧客検索基本情報DB55Dから開閉器区間顧客情報台帳を作成し、区間電柱顧客DB55Eとして記憶部55に記憶する(S802)。
【0037】
S802の詳細は、停電情報管理システム5において、まず、区間DB55Aのレコードごとに高圧区間開閉器柱番号55A1及び変圧器電柱番号55A3を抽出する。そして、抽出した高圧区間開閉器柱番号55A1を高圧区間開閉器柱番号55E1とする区間電柱顧客DB55Eのレコードを記憶部55に追加する。次に、抽出した変圧器電柱番号55A3により変圧器DB55Bのレコードを検索し、該当したレコードの引込柱電柱番号55B2を抽出し、先に追加したレコードの引込柱電柱番号55E2として記憶部55に記憶する。続いて、抽出した引込柱電柱番号55B2により引込柱DB55Cのレコードを検索し、該当したレコードの顧客契約番号55C2を抽出する。さらに、抽出した顧客契約番号55C2により顧客検索基本情報DB55Dを検索し、該当したレコードの契約種別55D2、顧客名55D3及び住所55D4を抽出し、抽出した各データを、先に追加したレコードの顧客契約番号55E3、契約種別55E4、顧客名55E5及び住所55E6として記憶部55に記憶する。
【0038】
配電線事故による停電が発生した場合に、配電自動化システム2から停電情報が送信され、その停電情報を停電情報管理システム5が受信する(S803)。停電情報には、停電の発生日時及び停電区間番号が含まれる。そこで、停電情報管理システム5は、受信した停電情報から停電顧客情報を作成し、停電情報総合システム6に送信する(S804)。詳細には、停電情報から停電区間番号を抽出し、抽出した停電区間番号により区間電柱顧客DB55Eのレコードを検索し、該当したレコードの引込柱電柱番号55E2、顧客名55E5及び住所55E6を抽出する。そして、抽出した引込柱電柱番号、顧客名及び住所を含む停電顧客情報を作成する。
【0039】
停電情報総合システム6は、停電情報管理システム5から停電顧客情報を受信し、配下の停電情報通知システム7に送信する(S805)。
【0040】
停電情報通知システム7は、営業システム4から戸別詳細地図データを受信し、戸別詳細地図DB75Aとして記憶部75に記憶するとともに、停電情報総合システム6から停電顧客情報を受信した場合に、停電顧客情報75Cとして記憶部75に記憶し、停電顧客情報に含まれる住所を含む範囲の地図データを戸別詳細地図DB75Aから抽出し、当該地図データ及び停電顧客情報を顧客業務端末8に送信する(S806)。
【0041】
顧客業務端末8は、停電情報通知システム7から戸別詳細地図データ及び停電顧客情報を受信し、配電線事故により停電している顧客宅が識別可能な戸別詳細地図を表示部(ディスプレイ)に表示する(S807)。図9は、停電発生時の戸別詳細地図を表示した画面例を示す図である。停電が発生すると、顧客の家屋及び給電元の電柱が、例えば、赤色に点滅表示する。顧客の家屋は停電顧客情報の住所により特定され、電柱は停電顧客情報の引込柱電柱番号により特定される。これにより、カスタマセンタのオペレータは、配電線事故により停電になっている顧客宅及び関連する電柱がすぐに分かる。
【0042】
一方、顧客業務端末8は、オペレータ操作により、停電になっている顧客からの申出情報(例えば、電話番号)を取得し、その電話番号を停電情報通知システム7に送信する。停電情報通知システム7は、顧客業務端末8から顧客の電話番号を受信し、電話番号住所DB75Bにより電話番号に対応する住所を特定し、特定した住所を含む地図データを記憶部75の戸別詳細地図DB75Aから抽出する。そして、記憶部75のうち、停電顧客情報75Cの受信日時75C1が所定時間以内であれば、引込柱電柱番号75C2、顧客名75C3及び住所75C4を含む停電顧客情報とともに、戸別詳細地図データを顧客業務端末8に送信する。顧客業務端末8は、戸別詳細地図データを受信し、表示部に表示するとともに、停電顧客情報を受信し、その停電顧客情報の住所が地図データの表示範囲に含まれていれば、該当する家屋及び電柱を点滅表示する。これにより、オペレータは、顧客の申出情報(電話番号等)により配電線事故に関する停電情報を検索することができ、申出情報のあった顧客宅が配電線事故による停電になっているか否かを確認することができる。
【0043】
なお、上記実施の形態では、図1に示す配電統括システム1内の各システムを機能させるために、処理部(CPU)で実行されるプログラムをコンピュータにより読み取り可能な記録媒体に記録し、その記録したプログラムをコンピュータに読み込ませ、実行させることにより、本発明の実施の形態に係る配電統括システム1が実現されるものとする。この場合、プログラムをインターネット等のネットワーク経由でコンピュータに提供してもよいし、プログラムが書き込まれた半導体チップ等をコンピュータに組み込んでもよい。
【0044】
以上説明した本発明の実施の形態によれば、配電線事故による停電範囲を顧客宅単位に把握することができる。詳細には、顧客業務端末8の表示部に、顧客宅単位の停電範囲を示した戸別詳細地図が表示されるので、顧客対応業務を行っているオペレータは、停電した顧客からの問合せを受けたときに、戸別詳細地図を参照することにより、当該顧客宅の停電が配電線事故によるのか、又は、個別の故障によるのかを特定し、迅速に問合せに回答することができる。そして、災害が発生した場合に、停電範囲が顧客宅単位に分かるので、営業関係課の顧客対応が迅速に行えるようになる。さらに、配電関係の災害復旧計画を策定する際に、停電情報管理システム5に配電系統の停電区間番号を入力すると、顧客業務端末8の同一画面に顧客宅単位の停電範囲と、住宅地図とが表示されるため、所定の配電区間において災害が発生したと想定したときに、その災害発生で停電になる顧客宅がすぐに分かるので、配電区間ごとの災害復旧計画を立てやすくなる。
【0045】
≪その他の実施の形態≫
以上、本発明を実施するための形態について説明したが、上記実施の形態は本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明はその趣旨を逸脱することなく変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物も含まれる。例えば、上記実施の形態では、顧客業務端末8が戸別詳細地図と、停電顧客情報の住所とを組合せて表示するように説明したが、停電情報通知システム7が、停電顧客情報を受信したときに、その停電顧客情報の住所により、記憶部75の戸別詳細地図DB75A上に、停電になっている顧客宅を明示するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0046】
1 配電統括システム(停電情報処理システム)
5 停電情報管理システム(停電情報変換システム)
54 処理部
55 記憶部
55E 区間電柱顧客DB(区間住所データ)
55E1 高圧区間開閉器柱番号(区間番号)
55E6 住所(需要家の住所)
7 停電情報通知システム(停電情報表示システム)
74 処理部
75 記憶部
75A 戸別詳細地図DB(住宅地図データ)
75B 電話番号住所DB(電話番号住所データ)
75C4 住所(停電需要家住所)
8 顧客業務端末(表示装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力会社の営業所に設置される停電情報変換システムと、
前記電力会社のカスタマセンタに設置される停電情報表示システムと、
を備え、
前記停電情報変換システムは、
配電線の区間に固有の番号である区間番号と、前記区間の配電線から給電を受ける需要家の住所とを対応付けた区間住所データを記憶する手段と、
前記配電線の事故による停電が発生した場合に、当該停電が発生している前記区間の区間番号である停電区間番号を取得する手段と、
前記区間住所データに基づいて、前記停電区間番号から、停電になっている需要家の住所である停電需要家住所を特定し、特定した前記停電需要家住所を前記停電情報表示システムに送信する手段と、
を備え、
前記停電情報表示システムは、
前記需要家の住所により当該需要家の家屋を特定可能である住宅地図データを記憶する手段と、
前記停電情報変換システムから前記停電需要家住所を受信した場合に、受信した前記停電需要家住所により、停電になっている需要家の家屋を識別可能とした前記住宅地図データを、前記カスタマセンタのオペレータが参照する表示装置に表示する手段と、
を備える
ことを特徴とする停電情報処理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の停電情報処理システムであって、
前記停電情報表示システムは、
前記需要家の電話番号と、住所とを対応付けた電話番号住所データを記憶する手段と、
前記オペレータの操作により、停電に関する問い合わせのあった需要家の電話番号を取得する手段と、
前記電話番号住所データに基づいて、前記電話番号から前記需要家の住所を特定する手段と、
前記停電になっている需要家の家屋を識別可能とした前記住宅地図データのうち、特定した前記需要家の住所を含む範囲の住宅地図データを取得し、前記表示装置に表示する手段と、
をさらに備える
ことを特徴とする停電情報処理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【図6】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−22399(P2012−22399A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−158092(P2010−158092)
【出願日】平成22年7月12日(2010.7.12)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】