側柵用スペーサ
【課題】従来の側柵に容易に取り付けられ、取り付けた後の取り扱いも容易である側柵用スペーサを提供する。
【解決手段】側柵用スペーサ1は、フレーム20、ヘッドボード21、フットボード22及び側柵23を有するベッド2において、側柵23のコーナー部に取り付けられる。側柵用スペーサ1は、コーナー部を挟み込む1対の挟持部1aと、挟持部1aに対して挟持部1aから遠ざかる方向に延出するように形成された延出部1bと、を有する。挟持部1aの少なくとも一方の内面には、コーナー部を嵌合する凹部としてのガイドが形成されており、側柵23とヘッドボード21又はフットボード22との間の隙間、及び隣接する側柵23間の隙間を狭める。
【解決手段】側柵用スペーサ1は、フレーム20、ヘッドボード21、フットボード22及び側柵23を有するベッド2において、側柵23のコーナー部に取り付けられる。側柵用スペーサ1は、コーナー部を挟み込む1対の挟持部1aと、挟持部1aに対して挟持部1aから遠ざかる方向に延出するように形成された延出部1bと、を有する。挟持部1aの少なくとも一方の内面には、コーナー部を嵌合する凹部としてのガイドが形成されており、側柵23とヘッドボード21又はフットボード22との間の隙間、及び隣接する側柵23間の隙間を狭める。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベッドのヘッドボード及びフットボードと側柵との間、及び複数個の側柵間の隙間を狭めるように取り付けられ、この隙間への手足及び首等の挟み込みを防止する側柵用スペーサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、医療用及び介護用のベッドには、サイドフレームに側柵(サイドレールとも称する)を設置し、ベッド上の使用者がベッドから転落することを防止することが行われている。図11は、従来の側柵を設置したベッドを一例として示す図である。この図11に示すベッド2には、ヘッドボード21とフットボード22とが、フレーム20の長手方向の頭部側及び足部側の夫々端部に固定されており、フレーム20の両側部のサイドフレームには、夫々分割型の側柵23が設置されている。この分割型の側柵が設置されたベッド2においては、図11に示すように、ヘッドボード21と頭部側の側柵23との間の領域A、側柵23間の領域B、及び脚部側の側柵23とフットボード22との間の領域Cに隙間が形成されている。
【0003】
図11に示すような従来の側柵付きのベッドにおいては、上記ボード21,22及び側柵23により形成される領域A乃至Cの隙間が人の手首、足首及び首の太さに比して大きく、この隙間にベッド使用者等が手足又は首等を挿入することが容易である。近時、医療用及び介護用のベッドとしては、例えばベッド使用者が横たわるボトムをフレーム20に対して傾動可能に構成されたものが使用されるようになってきたが、上記のような領域A乃至Cの隙間にベッド使用者等が手足又は首等を挿入した状態で背上げ等のベッドの動作を行うと、手足又は首等を挟む虞がある。また、背上げ等したベッド上で、ベッド使用者がバランスを崩した際に、領域A乃至Cの隙間に手足又は首等を挟む虞もある。
【0004】
本願出願人は、例えば特許文献1乃至4において、上記のようなボード及び側柵により形成される隙間への手足及び首等の挟み込みを防止する技術を提案した。例えば、特許文献1及び2において、本願出願人は、側柵間に形成される(図11における領域Bのような)隙間を埋めるために、側柵同士を連結する連結具を提案した。しかしながら、連結具により側柵同士を連結した場合においては、例えば側柵が取り外し可能な場合に、連結具を一旦側柵から取り外してから側柵をベッドから取り外すか、又は連結具により連結された状態で、複数本の柵をベッドから一度に取り外す必要があり、取り扱いが煩雑である。
【0005】
また、本願出願人は、特許文献3において、側柵のボード側上端のコーナー部に取り付ける補助具を提案した。そして、側柵の上端のコーナー部を、曲率半径が小さくなるような補助具によって覆うことにより、隙間の部分に手足等が容易に入り込むことを防止する技術を提案した。
【0006】
更に、本願出願人は、特許文献4において、側柵の上部に例えば発泡樹脂板からなる軟質性部材を2つ折りにして被せることにより、ボード21,22及び側柵23間により形成される隙間を軟質性部材により覆う技術を提案した。
【0007】
ボード及び側柵により形成される隙間への手足等の挟み込みを防止する技術としては、上記特許文献1乃至4のような技術の他にも、近時、在宅用電動介護用ベッド及び病院用ベッドの安全性についてのJIS規格(非特許文献1,2)が改正となり、サイドレールの寸法及び形状により安全性を確保することが試みられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平10−24071号公報
【特許文献2】特開2003−79674号公報
【特許文献3】特開2005−152057号公報
【特許文献4】特開2004−208810号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】JIS T9205(規格名称:病院用ベッド)、1983年6月1日制定、2009年3月20日改正
【非特許文献2】JIS T9254(規格名称:在宅用電動介護用ベッド)、2005年11月21日制定、2009年3月20日改正
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上述の従来技術には以下のような問題点がある。上記特許文献3の補助具は、側柵の上端のコーナー部の曲率半径を小さくして、ボード21,22及び側柵23間の隙間への手足の滑り込みを防止するものであり、この技術を採用した場合においても、図11のような領域A乃至Cの隙間を狭めることはできない。また、特許文献4の技術は、隙間を覆う部材が発泡樹脂等の軟質性の材料により形成されたものである。従って、特許文献3及び4の技術を採用した場合においても、隙間への手足及び首等の挟み込みを完全に防止することは難しい。
【0011】
近時販売されているベッド及び側柵は、上記改正後のJIS規格を満足するように設計されており、ボード21,22及び側柵23間に形成される隙間は、従来よりも小さく設計されている、しかしながら、市場には、改正前のJIS規格に準じて設計されたベッド及び側柵、並びにJIS規格が制定される前のベッド及び側柵が多数存在しており、現在もなお使用されている。これらの旧来のベッド及び側柵を改正後のJIS規格を満足するものに置き換えることは、ユーザーにとっては多大のコスト負担がかかり、また、多大な時間も要する。従って、旧来のベッド及び側柵において、改正後のJIS規格を満足させるための技術の開発が望まれている。
【0012】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、従来の側柵に容易に取り付けられ、取り付けた後の取り扱いも容易である側柵用スペーサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係る側柵用スペーサは、水平のフレームと、このフレームの頭部側及び足部側の端部に固定された夫々ヘッドボード及びフットボードと、前記フレームの側部に取り付けられ前記ヘッドボード側及び前記フットボード側の上部に夫々端縁が湾曲するコーナー部を備えた側柵と、を有するベッドに使用される側柵用スペーサにおいて、前記コーナー部を挟み込み少なくとも一方の内面に前記コーナー部を嵌合する凹部としてのガイドが形成された1対の挟持部と、少なくとも一方の挟持部に対して前記挟持部から遠ざかる方向に延出するように形成された延出部と、を有することを特徴とする。
【0014】
例えば前記ベッドは、複数の側柵が前記フレームの側部に連なって取り付けられており、互いに隣接する側柵の一方に取り付けたスペーサの前記延出部と他方の側柵に取り付けたスペーサの前記延出部とにより、両側柵間に形成された隙間を狭める。この場合に、例えば前記隣接する側柵間に対をなすように取り付けられた前記スペーサは、双方の延出部がその厚さ方向に互い違いで延出している。
【0015】
上述の側柵用スペーサにおいて、例えば前記ヘッドボード寄りの側柵の前記ヘッドボード側のコーナー部に取り付けられたスペーサは、その延出部により、側柵とヘッドボードとの間に形成された隙間を狭めるように構成することができる。また、例えば前記フットボード寄りの側柵の前記フットボード側のコーナー部に取り付けられたスペーサは、その延出部により、側柵とフットボードとの間に形成された隙間を狭めるように構成してもよい。
【0016】
上述の側柵用スペーサにおいて、例えば前記ガイドは、前記1対の挟持部の双方の内面に形成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明の側柵用スペーサは、側柵のコーナー部を挟持部に形成されたガイドに嵌合し、1対の挟持部によりコーナー部を挟み込むだけで取り付けることができ、側柵を変更したり、ベッドそのものを新しいものに変更する必要はなく、既存の側柵に容易に取り付けることができる。
【0018】
また、側柵の夫々のコーナー部に取り付けられるため、例えばベッドが複数個の側柵を有し、側柵をベッドから取り外す必要がある場合等において、スペーサを取り付けた状態で側柵の夫々を取り外すことができ、その取り扱いが容易である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1実施形態に係る側柵用スペーサを側柵に取り付けたベッドを示す図である。
【図2】(a)は本発明の第1実施形態に係る側柵用スペーサを示す平面図、(b)は同じく側面図である。
【図3】(a)乃至(d)は本発明の第1実施形態に係る側柵用スペーサを示す平面図である。
【図4】(a)乃至(c)は、本発明の第1実施形態に係る側柵用スペーサを側柵に取り付ける工程を示す図である。
【図5】(a)乃至(c)は、側柵間の隙間とスペーサとの関係を示す図である。
【図6】(a)乃至(c)は、種々の側柵にスペーサを取り付けた状態を示す図である。
【図7】(a)及び(b)は、連結部の位置が異なる側柵用スペーサを示す第1実施形態の変形例である。
【図8】(a)乃至(c)は、本発明の第2実施形態に係る側柵用スペーサを部材ごとに示す図であり、図8(a)は板状部材及び樹脂部材、図8(b)は板状部材、図8(c)は袋状部材を示す。
【図9】(a)乃至(c)は、種々の側柵にスペーサを取り付けた状態を示す図である。
【図10】(a)及び(b)は、本発明の第2実施形態に係る側柵用スペーサを側柵に取り付ける工程を示す図である。
【図11】従来の側柵付きのベッドを示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本願発明者等は、旧来のベッド及び側柵において、改正後のJIS規格を満足させるための技術を種々検討し、本発明の側柵用スペーサを開発するに至った。即ち、旧来の種々のベッド及び側柵の組み合わせにおいても、本発明のスペーサを側柵に取り付けることにより、ボード及び側柵間に形成される隙間を狭めることができ、隙間への手足及び首等の挟み込みを防止することができる。
【0021】
以下、本発明の実施形態に係る側柵用スペーサについて、添付の図面を参照して具体的に説明する。図1は本発明の第1実施形態に係る側柵用スペーサを側柵に取り付けたベッドを示す図、図2(a)は本発明の第1実施形態に係る側柵用スペーサを示す平面図、図2(b)は同じく側面図である。図3(a)乃至図3(d)は本発明の第1実施形態に係る側柵用スペーサを示す平面図である。図1に示すように、本発明の側柵用スペーサ1は、図11に示すような従来のベッド2に取り付けられるものである。即ち、ベッド2には、ヘッドボード21とフットボード22とが、水平のフレーム20の長手方向の頭部側及び足部側の夫々端部に固定されている。ヘッドボード21及びフットボード22は、例えば平板状に形成されたものであるか、又は金属製若しくは樹脂製の複数本のパイプを連結することにより形成されたものであり、これらがフレーム20の長手方向の夫々端部に固定されることにより、ベッド2の前後からの利用者の転落を防止している。また、フレーム20の両側部のサイドフレームには、夫々複数個の転落防止用の側柵23が設置されており、ベッド2の左右からの利用者の転落を防止している。この側柵23も例えば平板状に形成されているか、又は金属製若しくは樹脂製の複数本のパイプが連結されパイプ間に隙間が形成されたものである。本実施形態においては、図1に示すように、複数本のパイプを連結することにより形成された2個の側柵23が、フレームの夫々の側部に取り付けられている。夫々の側柵23は、フレームに固定され支持部となる2本の支持用パイプ23aと、枠状に曲成された1本以上のパイプ及びその中央の隙間を狭めることにより枠体部分を補強する複数本のパイプにより構成された柵部本体23bと、により構成されている。そして、柵部本体23bの上部には、端縁が湾曲したコーナー部がヘッドボード21側及びフットボード22側に夫々形成されている。
【0022】
このような分割型の側柵23が設置されたベッド2においては、図11に示すように、ヘッドボード21と頭部側の側柵23との間の領域A、隣接する側柵23間の領域B、及び脚部側の側柵23とフットボード22との間の領域Cに隙間が形成されている。図1に示すように、本発明の側柵用スペーサ1は、これらの領域A乃至Cの隙間を狭めるように、複数個の側柵23の上部の夫々コーナー部(側柵の上部及び側部)を挟み込むように取り付けられる。即ち、図1に示すように、ベッド2の頭部側の一方の側柵23には、その上部のヘッドボード21側及び他方の側柵23側に夫々1個のスペーサ1が取り付けられ、ベッド2の脚部側の他方の側柵23には、その上部のフットボード22側及び前記一方の側柵23側に夫々1個のスペーサ1が取り付けられる。
【0023】
本実施形態においては、各側柵用スペーサ1は、図1に示すように、例えば側柵23上方のコーナー部、即ち、柵部本体23bの前記曲成されたパイプの上部及び側部を覆うように側面視で略直角三角形に形成された挟持部1aと、挟持部1aに対して挟持部1aから遠ざかる方向に延出するように形成された延出部1bと、により構成されている。従って、スペーサ1を側柵23に取り付けたときに、延出部1bにより、ヘッドボード21と側柵23との間の隙間(図11における領域A)及びフットボード22と側柵23との間の隙間(図11における領域C)を夫々狭めることができる。また、本実施形態のように、ベッド2が分割型の側柵23を有する場合においては、スペーサ1の延出部1bにより隣接する側柵23間の隙間(図11における領域B)を夫々狭めることができる。
【0024】
図2に示すように、各側柵用スペーサ1は、例えば、側柵23上部のコーナー部を挟み込むように対をなす第1部分11及び第2部分12と、第1部分11及び第2部分12同士を連結する連結部13とにより構成されている。第1部分11、第2部分12及び連結部13は例えばポリプロピレン等の樹脂により一体成形されており、図3に示すように、第1部分11と連結部13との境界、及び第2部分12と連結部13との境界は、夫々、その材質による適度な弾性及び良好な折り曲げ性により、自在に折曲可能に構成されている。第1部分11及び第2部分12は、夫々、側柵本体23bの転落防止面に平行な面となる挟持面を有し、側柵23に取り付けたときにこの挟持面同士が互いに対向する。また、各挟持面は、その外縁部の一部が略垂直に延出しており、この延出面同士が係合することにより、前記連結部13と共にスペーサ1の側面の一部を構成する。これにより、側柵用スペーサ1は、全体として殻状に構成されている。図2に示すように、例えば第1部分11又は第2部分12の一方の前記延出面には、係止爪11dが設けられ、他方には、係止爪11dと係合する係止孔11eが設けられており、係止爪11dと係止孔11eとが係合することにより、挟持部1aにより側柵23のコーナー部を包み込んでスペーサ1が側柵23に保持されるように構成されている。
【0025】
本実施形態においては、連結部13は、挟持部1aの略直角三角形の斜辺に相当する位置に設けられている。即ち、側柵用スペーサ1は、柵部本体23bの曲成されたパイプの内側の隙間に挿入され、第1部分11及び第2部分12と連結部13との夫々境界部分にて折曲されることにより、側柵23の内側からコーナー部を挟み込むように取り付けられ、側柵23に固定される。
【0026】
図2(b)に示すように、例えば第1部分11及び第2部分12の双方には、その挟持面の互いに向かい合わせになる内面に、複数本の隔壁11cが略垂直に立設されている。この隔壁11cは、側柵23のコーナー部の内側及び外側の形状に対応して設けられており、隔壁11c間の領域が側柵23のコーナー部を嵌合する凹部としてのガイド部11aとなる。このように、第1部分11及び第2部分12の双方にガイド部11aを設けることにより、ガイド11aの厚さを第1部分11及び第2部分12に分割することができ、図2(a)に示すように、スペーサ1の厚さを薄くすることができる。ガイド部11aの両端部は、第1部分11と第2部分とを係合させた状態で、スペーサ1の表面に開口しており、この開口部において、夫々側柵23の上部及び側部の直線部分が取り出される。本実施形態においては、図2(b)に示すガイド部11aとなる部分の寸法は、側柵23の上部及び側部の直線部分が取り出される部分の幅D1が、例えば側柵を構成するパイプの直径が19mmである場合に、その直径よりも数mm大きく、例えば19乃至21mmであり、側柵23のコーナー部分を保持する部分の幅D2は、パイプの直径よりも大きく、例えば30乃至35mmである。これらの余裕代は、側柵23を製造する際に、パイプの曲げ成形により生じる製造誤差を考慮したものである。
【0027】
図2及び図3に示すように、第1部分11及び第2部分12は、側柵23のコーナー部に対応する隔壁11cから長さLだけ延出しており、この部分が前述の延出部1bとなる。この延出部1bの延出長さLは、例えば42乃至52mmである。従来のベッド2においては、ヘッドボード21と側柵23との間の領域Aの隙間は、例えば49乃至53mmであり、フットボード22と側柵23との間の領域Cの隙間は、例えば49乃至92mmであり、分割型の側柵を有するベッドの側柵間の領域Bの隙間は、例えば60乃至70mmである。従って、延出部1bによりこの隙間を狭めることができる。なお、本発明において、前記隙間を狭めるのに十分な延出部1bの延出長さLとは、スペーサ設置後のベッドの各寸法が、少なくともJIS T9205及びJIS T9254の規定を満足するような長さであり、また、スペーサ1と他の部材(ヘッドボード21、フットボード22又は隣接する側柵に設置されたスペーサ1)との間に隙間が残る場合においても、例えばこの隙間間に直径60mmの剛性を有する円柱形状のジグを載置し、ジグに50Nの力を印加した際に、ジグが60mm以上入りこまないという条件を満足する。
【0028】
側柵用スペーサ1は、例えばヘッドボード21側、フットボード22側及び側柵間に取り付けられるものを同一の形状のものに統一して使用することができる。即ち、上記従来のベッド2においては、側柵23間の隙間は、ヘッドボード21と側柵23との間の隙間及びフットボード22と側柵23との間の隙間に比して小さい場合があるが、例えば図2(a)に示すように、延出部1bには、複数個の側柵を有するベッドに取り付けられた際に、隣接する延出部1b同士が干渉しないための凹部11bが設けられている。従って、図5に示すように、隣接する側柵間に対をなすように取り付けられたスペーサ1は、双方の延出部1bがその厚さ方向に互い違いで延出した状態で取り付けられる。
【0029】
次に、本実施形態の側柵用スペーサの動作について説明する。図4(a)乃至図4(c)は、本発明の第1実施形態に係る側柵用スペーサを側柵に取り付ける工程を示す図である。図4(a)に示すように、先ず、柵部本体23bのコーナー部に側柵用スペーサ1を近づけ、側柵用スペーサ1を柵部本体23bの曲成されたパイプの内側の隙間に挿入する。次に、図2(b)に示すように、第1部分11又は第2部分12の内面に形成された隔壁11c間のガイド部11aに側柵23のコーナー部を嵌合させる。このとき、ガイド部11aにおける側柵23の上部及び側部の直線部分が取り出される部分の幅D1、及びコーナー部分を保持する部分の幅D2は、側柵23の製造誤差を考慮した寸法であるため、ガイド部11aに側柵23を容易に嵌合することができ、ガイド部11aによりスペーサ1が確実に保持される。
【0030】
次に、第1部分及び第2部分12と連結部13との境界部を折り曲げていき、第1部分11の挟持面と第2部分12の挟持面同士を互いに向かい合わせていく。これにより、挟持面の外縁部から略垂直に延出した面同士が近づいていく。そして、この延出面の一方に設けられた係止爪11dを他方に設けられた係止孔11eに係合させる。これにより、図4(c)に示すように、第1部分11と第2部分12との間に側柵23上方のコーナー部分が包み込まれ、スペーサ1が側柵23の内側からコーナー部を挟み込むように取り付けられ、側柵23に固定される。
【0031】
ベッド2が分割型の複数個の側柵23を有する場合においては、隣接する側柵23の双方にもスペーサ1を取り付けて、側柵間の隙間をスペーサ1により狭める。従来のベッド2においては、側柵23間の隙間は、ヘッドボード21と側柵23との間の隙間及びフットボード22と側柵23との間の隙間に比して大きい場合、同等の場合、及び小さい場合がある。従って、側柵23のヘッドボード21側、フットボード22側及び他方の側柵23側に設置するスペーサ1を同一の形状に統一した場合、スペーサ1同士が干渉してしまう可能性もある。しかしながら、本実施形態においては、隣接する延出部1b同士が干渉しないように、延出部1bには凹部11bが設けられている。よって、図5(a)乃至(c)に示すように、側柵23間の隙間の大きさによらず、スペーサ1を1種類に統一して使用することができ、隣接する側柵23間の隙間もスペーサ1により確実に狭めることができる。
【0032】
以上のように、本実施形態の側柵用スペーサ1は、側柵23の上部と側部とにより構成されたコーナー部を挟み込むだけで取り付けることができ、側柵を変更したり、ベッドそのものを新しいものに変更しなくても、既存の側柵23に容易に取り付けることができる。
【0033】
また、本実施形態の側柵用スペーサ1は、ベッド2が分割型の複数個の側柵23を有する場合においては、側柵23の夫々に取り付けられる。よって、例えば側柵23をベッド2から取り外す必要がある場合には、スペーサ1を取り付けた状態で側柵23の夫々を取り外すことができ、取り扱いが容易である。
【0034】
そして、側柵23にスペーサ1を取り付けた状態で、スペーサ1の延出部1bは、側柵23の側部から長さLだけ外方に延出した状態となる。上述の如く、この延出長さLは、従来のヘッドボード21と側柵23との間の隙間、フットボード22と側柵23との間の隙間及び複数個の側柵間の隙間をなくすのに十分な長さであるか、又はスペーサ1と他の部材(ヘッドボード21、フットボード22又は隣接する側柵に設置されたスペーサ1)との間に隙間が残る場合においても、スペーサ1は、取り付け後のベッドの各寸法等がJIS T9205及びJIS T9254に規定された条件を満足するような形状及び材質で構成されている。よって、ボード及び側柵により形成される隙間への手足及び首等の挟み込みを防止し、ベッドの安全性を十分に確保することができる。
【0035】
側柵23とヘッドボード21との間の隙間と、側柵23とフットボード22との間の隙間の大きさが異なるベッドにおいては、スペーサ1の形状を1種類に統一した場合、いずれかの隙間が若干大きい場合がある。この場合においては、例えば側柵用スペーサ1に加えて、図1に示すような補助スペーサ3をヘッドボード21又はフットボード22の隙間が大きい側のボードに設置してもよい。
【0036】
なお、本実施形態の側柵用スペーサ1は、側柵23の上部及び側部のコーナー部分に保持されるように取り付けられるため、例えば図6に示す異なる形状の側柵231乃至233のように、側柵の高さが異なる場合においても、側柵の材料となるパイプの直径が同程度の太さであれば、いずれの側柵にも取り付けることができる。
【0037】
また、本実施形態においては、連結部13を挟持部1aの略直角三角形の斜辺に相当する位置に設けているが、このような態様のスペーサ1は、柵部本体23bの曲成されたパイプの内側に隙間が形成されている場合に使用することができる。本発明においては、この実施態様に限らず、例えば連結部13を設けずに、スペーサ1を1対の第1部分11及び第2部分12によって構成してもよい。また、例えば、図7(a)に示すように、連結部13は、側柵本体23bのコーナー部の上部に対応する位置に設けてもよく、図7(b)に示すように、コーナー部から隙間側に延出した延出部1bに設けてもよい。これにより、柵部本体23bの内側にスペーサ1を挿入する隙間がない場合、例えば板状の部材により側柵本体23bが構成されている場合においても、本発明の側柵用スペーサ1を設置することができる。また、本実施形態のように第1部分11及び第2部分12同士を連結部13により連結する場合においては、必ずしもこれらを一体成形により形成する必要はない。例えば、第1部分11及び第2部分12と夫々連結部13との間にヒンジ等の部材を設置してもよく、ヒンジそのものを連結部13として使用してもよい。
【0038】
更に、本実施形態においては、対をなす第1部分11及び第2部分12の少なくとも一方には、側柵23のコーナー部が嵌合する凹部としてのガイド部11aが設けられているが、側柵23へのスペーサ1の保持が確実にできる限り、ガイド部11aのような構成を設けなくてもよい。
【0039】
更にまた、本実施形態においては、複数個の側柵を有するベッドに取り付けられた際に、隣接する延出部1b同士が干渉しないための凹部11bが設けられているが、図5(a)に示すように、側柵23間の距離により隣接する延出部1b同士が干渉しない場合においては、スペーサ1には凹部11bが設けられていなくてもよい。
【0040】
更にまた、本実施形態においては、延出部1bは対をなす第1部分11及び第2部分12の双方に形成されているが、延出部1bは第1部分11及び第2部分12のいずれか一方に形成されていればよい。
【0041】
次に、本発明の第2実施形態に係る側柵用スペーサについて説明する。先ず、第2実施形態に係る側柵用スペーサの構成について説明する。図8(a)乃至図8(c)は、本発明の第2実施形態に係る側柵用スペーサを部材ごとに示す図であり、図8(a)は板状部材及びガイド部材、図8(b)は板状部材、図8(c)は袋状部材を示す。第1実施形態においては、側柵用スペーサ1は、側柵23上方のコーナー部分、即ち、柵部本体23bの前記曲成されたパイプの上部及び側部を覆うように構成されていたが、本実施形態においては、側柵用スペーサ1により、前記コーナー部を含む側柵23の隙間側の領域を覆う。
【0042】
本実施形態においては、図8に示すように、側柵用スペーサ10は、2枚の板状部材101と、この板状部材101の一方に固定された例えば発泡ポリエチレン製の若干柔軟性を有する複数個の樹脂部材102と、袋状部材103とにより構成されている。
【0043】
板状部材101は、例えばダンボールプラスチック製の板であり、側柵23の側部の高さよりも若干長く設けられている。一方の板状部材101に固定された複数個の樹脂部材102は、樹脂部材102間の溝が側柵23の隙間側のパイプの形状に対応していて、側柵23の隙間側の領域のうち、少なくともコーナー部を嵌合するガイド溝10aとなるように構成されている。このガイド溝10aは、図9に示すように、複数種類の側柵231乃至233の側部を夫々嵌合できるように形成されている。即ち、第1実施形態においては、第1部分11及び第2部分12の双方にガイド部11aとなる隔壁11cが形成されていたが、本実施形態においては、凹部としてのガイドは一方の挟持部に形成されている。
【0044】
本実施形態においては、これらの1対の板状部材101と樹脂部材102とにより側柵23の少なくともコーナー部を嵌合し、隙間側の領域を挟持した状態で、図8(c)に示すような袋状部材103により、板状部材101及び樹脂部材102の外側を覆うことにより、板状部材101及び樹脂部材102が側柵23に取り付けられた状態を保持するように構成されている。なお、本実施形態においても、板状部材101が側柵23から隙間側に延出する部分の長さ、即ち、ベッドの各部材(ヘッドボード、フットボード及び側柵)間の隙間を狭める部分の長さLについては、第1実施形態と同様である。
【0045】
次に、本第2実施形態の側柵用スペーサの動作について説明する。図10(a)及び図10(b)は、本発明の第2実施形態に係る側柵用スペーサを側柵に取り付ける工程を示す図である。本実施形態においては、先ず、樹脂部材102が固定された側の板状部材101を側柵23へと近づけていき、図10(a)に示すように、側柵23の隙間側の領域を樹脂部材102間に形成されたガイド溝10aに対応して嵌合させる。このとき、ガイド溝10aは、図9に示すように、複数種類の側柵の形状に対応して設けられているため、ガイド溝10a間に側柵23が容易に嵌合すると共に、ガイド溝10aにより、板状部材101及び樹脂部材102が側柵23に確実に保持される。本実施形態においては、第1実施形態の場合とは異なり、樹脂部材102が若干柔軟性を有する樹脂により構成されているため、ガイド溝10a間の寸法は、第1実施形態のような側柵23の製造誤差等を考慮しなくてもよく、若干締まり嵌めのような状態であっても、側柵を嵌合できる。
【0046】
ガイド溝10aに側柵23の隙間側の領域を嵌合したら、他方の板状部材101により、ガイド溝10aを覆う。これにより、樹脂部材102のガイド溝10a間に側柵23が嵌合した状態で、樹脂部材102及び側柵23が1対の板状部材101によって挟持された状態となる。この状態で、図10(b)に示すように、袋状部材103を板状部材101及び樹脂部材102の外側から被せる。これにより、板状部材101及び樹脂部材102が側柵23に取り付けられた状態が、袋状部材103により保持される。
【0047】
本実施形態の側柵用スペーサ10も、側柵23の隙間側の領域を板状部材101及び樹脂部材102により挟み込み、袋状部材103を被せるだけで取り付けることができ、側柵を変更したり、ベッドそのものを新しいものに変更しなくても、既存の側柵23に容易に取り付けることができる。また、その他の効果についても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0048】
なお、本実施形態においても、第1実施形態と同様に、複数個の側柵を有するベッドに取り付けられた際に、隣接する延出部同士が干渉しないための凹部を設けることができる。具体的には、例えば樹脂部材102が固定された側の板状部材101の大きさを設置する凹部の形状に合わせて小さくすると共に、樹脂部材102を凹部の形状に合わせて切り欠けばよい。これにより、第1実施形態と同様に、スペーサ1同士を干渉させることなく、側柵23のヘッドボード21側、フットボード22側及び他方の側柵23側に設置するスペーサ1を同一の形状に統一することができる。
【0049】
また、例えば本実施形態の側柵用スペーサ10と第1実施形態のスペーサ1とをベッドの各隙間の大きさ等により、使い分けることができる。例えば、図9に示すように、ヘッドボード及びフットボードと側柵との間の隙間を狭めるために第2実施形態のスペーサ10を使用し、側柵間の隙間を狭めるために第1実施形態のスペーサ1を使用してもよい。逆に、ヘッドボード及びフットボードと側柵との間の隙間を狭めるために第1実施形態のスペーサ1を使用し、側柵間の隙間を狭めるために第2実施形態のスペーサ10を使用してもよい。
【0050】
なお、上述の実施形態においては、ヘッドボード及びフットボードと側柵との間、並びに複数個の側柵間に手足及び首等を挿入しやすい隙間が形成されている場合について説明したが、言うまでもなく、例えば、いずれかの領域において隙間が小さい場合又は隙間が形成されていない場合においては、スペーサを設置しなくてもよい。
【符号の説明】
【0051】
1,10:(側柵用)スペーサ、1a:挟持部、1b:延出部、11:第1部分、12:第2部分、11a:ガイド部、11b:凹部、11c:隔壁、11d:係止爪、11e:係止孔、13:連結部、101:板状部材、102:樹脂部材(ガイド部材)、103:袋状部材、20:フレーム、21:ヘッドボード、22:フットボード、23,231,232,233:側柵、23a:支持用パイプ、23b:柵部本体、3:補助スペーサ
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベッドのヘッドボード及びフットボードと側柵との間、及び複数個の側柵間の隙間を狭めるように取り付けられ、この隙間への手足及び首等の挟み込みを防止する側柵用スペーサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、医療用及び介護用のベッドには、サイドフレームに側柵(サイドレールとも称する)を設置し、ベッド上の使用者がベッドから転落することを防止することが行われている。図11は、従来の側柵を設置したベッドを一例として示す図である。この図11に示すベッド2には、ヘッドボード21とフットボード22とが、フレーム20の長手方向の頭部側及び足部側の夫々端部に固定されており、フレーム20の両側部のサイドフレームには、夫々分割型の側柵23が設置されている。この分割型の側柵が設置されたベッド2においては、図11に示すように、ヘッドボード21と頭部側の側柵23との間の領域A、側柵23間の領域B、及び脚部側の側柵23とフットボード22との間の領域Cに隙間が形成されている。
【0003】
図11に示すような従来の側柵付きのベッドにおいては、上記ボード21,22及び側柵23により形成される領域A乃至Cの隙間が人の手首、足首及び首の太さに比して大きく、この隙間にベッド使用者等が手足又は首等を挿入することが容易である。近時、医療用及び介護用のベッドとしては、例えばベッド使用者が横たわるボトムをフレーム20に対して傾動可能に構成されたものが使用されるようになってきたが、上記のような領域A乃至Cの隙間にベッド使用者等が手足又は首等を挿入した状態で背上げ等のベッドの動作を行うと、手足又は首等を挟む虞がある。また、背上げ等したベッド上で、ベッド使用者がバランスを崩した際に、領域A乃至Cの隙間に手足又は首等を挟む虞もある。
【0004】
本願出願人は、例えば特許文献1乃至4において、上記のようなボード及び側柵により形成される隙間への手足及び首等の挟み込みを防止する技術を提案した。例えば、特許文献1及び2において、本願出願人は、側柵間に形成される(図11における領域Bのような)隙間を埋めるために、側柵同士を連結する連結具を提案した。しかしながら、連結具により側柵同士を連結した場合においては、例えば側柵が取り外し可能な場合に、連結具を一旦側柵から取り外してから側柵をベッドから取り外すか、又は連結具により連結された状態で、複数本の柵をベッドから一度に取り外す必要があり、取り扱いが煩雑である。
【0005】
また、本願出願人は、特許文献3において、側柵のボード側上端のコーナー部に取り付ける補助具を提案した。そして、側柵の上端のコーナー部を、曲率半径が小さくなるような補助具によって覆うことにより、隙間の部分に手足等が容易に入り込むことを防止する技術を提案した。
【0006】
更に、本願出願人は、特許文献4において、側柵の上部に例えば発泡樹脂板からなる軟質性部材を2つ折りにして被せることにより、ボード21,22及び側柵23間により形成される隙間を軟質性部材により覆う技術を提案した。
【0007】
ボード及び側柵により形成される隙間への手足等の挟み込みを防止する技術としては、上記特許文献1乃至4のような技術の他にも、近時、在宅用電動介護用ベッド及び病院用ベッドの安全性についてのJIS規格(非特許文献1,2)が改正となり、サイドレールの寸法及び形状により安全性を確保することが試みられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平10−24071号公報
【特許文献2】特開2003−79674号公報
【特許文献3】特開2005−152057号公報
【特許文献4】特開2004−208810号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】JIS T9205(規格名称:病院用ベッド)、1983年6月1日制定、2009年3月20日改正
【非特許文献2】JIS T9254(規格名称:在宅用電動介護用ベッド)、2005年11月21日制定、2009年3月20日改正
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上述の従来技術には以下のような問題点がある。上記特許文献3の補助具は、側柵の上端のコーナー部の曲率半径を小さくして、ボード21,22及び側柵23間の隙間への手足の滑り込みを防止するものであり、この技術を採用した場合においても、図11のような領域A乃至Cの隙間を狭めることはできない。また、特許文献4の技術は、隙間を覆う部材が発泡樹脂等の軟質性の材料により形成されたものである。従って、特許文献3及び4の技術を採用した場合においても、隙間への手足及び首等の挟み込みを完全に防止することは難しい。
【0011】
近時販売されているベッド及び側柵は、上記改正後のJIS規格を満足するように設計されており、ボード21,22及び側柵23間に形成される隙間は、従来よりも小さく設計されている、しかしながら、市場には、改正前のJIS規格に準じて設計されたベッド及び側柵、並びにJIS規格が制定される前のベッド及び側柵が多数存在しており、現在もなお使用されている。これらの旧来のベッド及び側柵を改正後のJIS規格を満足するものに置き換えることは、ユーザーにとっては多大のコスト負担がかかり、また、多大な時間も要する。従って、旧来のベッド及び側柵において、改正後のJIS規格を満足させるための技術の開発が望まれている。
【0012】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、従来の側柵に容易に取り付けられ、取り付けた後の取り扱いも容易である側柵用スペーサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係る側柵用スペーサは、水平のフレームと、このフレームの頭部側及び足部側の端部に固定された夫々ヘッドボード及びフットボードと、前記フレームの側部に取り付けられ前記ヘッドボード側及び前記フットボード側の上部に夫々端縁が湾曲するコーナー部を備えた側柵と、を有するベッドに使用される側柵用スペーサにおいて、前記コーナー部を挟み込み少なくとも一方の内面に前記コーナー部を嵌合する凹部としてのガイドが形成された1対の挟持部と、少なくとも一方の挟持部に対して前記挟持部から遠ざかる方向に延出するように形成された延出部と、を有することを特徴とする。
【0014】
例えば前記ベッドは、複数の側柵が前記フレームの側部に連なって取り付けられており、互いに隣接する側柵の一方に取り付けたスペーサの前記延出部と他方の側柵に取り付けたスペーサの前記延出部とにより、両側柵間に形成された隙間を狭める。この場合に、例えば前記隣接する側柵間に対をなすように取り付けられた前記スペーサは、双方の延出部がその厚さ方向に互い違いで延出している。
【0015】
上述の側柵用スペーサにおいて、例えば前記ヘッドボード寄りの側柵の前記ヘッドボード側のコーナー部に取り付けられたスペーサは、その延出部により、側柵とヘッドボードとの間に形成された隙間を狭めるように構成することができる。また、例えば前記フットボード寄りの側柵の前記フットボード側のコーナー部に取り付けられたスペーサは、その延出部により、側柵とフットボードとの間に形成された隙間を狭めるように構成してもよい。
【0016】
上述の側柵用スペーサにおいて、例えば前記ガイドは、前記1対の挟持部の双方の内面に形成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明の側柵用スペーサは、側柵のコーナー部を挟持部に形成されたガイドに嵌合し、1対の挟持部によりコーナー部を挟み込むだけで取り付けることができ、側柵を変更したり、ベッドそのものを新しいものに変更する必要はなく、既存の側柵に容易に取り付けることができる。
【0018】
また、側柵の夫々のコーナー部に取り付けられるため、例えばベッドが複数個の側柵を有し、側柵をベッドから取り外す必要がある場合等において、スペーサを取り付けた状態で側柵の夫々を取り外すことができ、その取り扱いが容易である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1実施形態に係る側柵用スペーサを側柵に取り付けたベッドを示す図である。
【図2】(a)は本発明の第1実施形態に係る側柵用スペーサを示す平面図、(b)は同じく側面図である。
【図3】(a)乃至(d)は本発明の第1実施形態に係る側柵用スペーサを示す平面図である。
【図4】(a)乃至(c)は、本発明の第1実施形態に係る側柵用スペーサを側柵に取り付ける工程を示す図である。
【図5】(a)乃至(c)は、側柵間の隙間とスペーサとの関係を示す図である。
【図6】(a)乃至(c)は、種々の側柵にスペーサを取り付けた状態を示す図である。
【図7】(a)及び(b)は、連結部の位置が異なる側柵用スペーサを示す第1実施形態の変形例である。
【図8】(a)乃至(c)は、本発明の第2実施形態に係る側柵用スペーサを部材ごとに示す図であり、図8(a)は板状部材及び樹脂部材、図8(b)は板状部材、図8(c)は袋状部材を示す。
【図9】(a)乃至(c)は、種々の側柵にスペーサを取り付けた状態を示す図である。
【図10】(a)及び(b)は、本発明の第2実施形態に係る側柵用スペーサを側柵に取り付ける工程を示す図である。
【図11】従来の側柵付きのベッドを示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本願発明者等は、旧来のベッド及び側柵において、改正後のJIS規格を満足させるための技術を種々検討し、本発明の側柵用スペーサを開発するに至った。即ち、旧来の種々のベッド及び側柵の組み合わせにおいても、本発明のスペーサを側柵に取り付けることにより、ボード及び側柵間に形成される隙間を狭めることができ、隙間への手足及び首等の挟み込みを防止することができる。
【0021】
以下、本発明の実施形態に係る側柵用スペーサについて、添付の図面を参照して具体的に説明する。図1は本発明の第1実施形態に係る側柵用スペーサを側柵に取り付けたベッドを示す図、図2(a)は本発明の第1実施形態に係る側柵用スペーサを示す平面図、図2(b)は同じく側面図である。図3(a)乃至図3(d)は本発明の第1実施形態に係る側柵用スペーサを示す平面図である。図1に示すように、本発明の側柵用スペーサ1は、図11に示すような従来のベッド2に取り付けられるものである。即ち、ベッド2には、ヘッドボード21とフットボード22とが、水平のフレーム20の長手方向の頭部側及び足部側の夫々端部に固定されている。ヘッドボード21及びフットボード22は、例えば平板状に形成されたものであるか、又は金属製若しくは樹脂製の複数本のパイプを連結することにより形成されたものであり、これらがフレーム20の長手方向の夫々端部に固定されることにより、ベッド2の前後からの利用者の転落を防止している。また、フレーム20の両側部のサイドフレームには、夫々複数個の転落防止用の側柵23が設置されており、ベッド2の左右からの利用者の転落を防止している。この側柵23も例えば平板状に形成されているか、又は金属製若しくは樹脂製の複数本のパイプが連結されパイプ間に隙間が形成されたものである。本実施形態においては、図1に示すように、複数本のパイプを連結することにより形成された2個の側柵23が、フレームの夫々の側部に取り付けられている。夫々の側柵23は、フレームに固定され支持部となる2本の支持用パイプ23aと、枠状に曲成された1本以上のパイプ及びその中央の隙間を狭めることにより枠体部分を補強する複数本のパイプにより構成された柵部本体23bと、により構成されている。そして、柵部本体23bの上部には、端縁が湾曲したコーナー部がヘッドボード21側及びフットボード22側に夫々形成されている。
【0022】
このような分割型の側柵23が設置されたベッド2においては、図11に示すように、ヘッドボード21と頭部側の側柵23との間の領域A、隣接する側柵23間の領域B、及び脚部側の側柵23とフットボード22との間の領域Cに隙間が形成されている。図1に示すように、本発明の側柵用スペーサ1は、これらの領域A乃至Cの隙間を狭めるように、複数個の側柵23の上部の夫々コーナー部(側柵の上部及び側部)を挟み込むように取り付けられる。即ち、図1に示すように、ベッド2の頭部側の一方の側柵23には、その上部のヘッドボード21側及び他方の側柵23側に夫々1個のスペーサ1が取り付けられ、ベッド2の脚部側の他方の側柵23には、その上部のフットボード22側及び前記一方の側柵23側に夫々1個のスペーサ1が取り付けられる。
【0023】
本実施形態においては、各側柵用スペーサ1は、図1に示すように、例えば側柵23上方のコーナー部、即ち、柵部本体23bの前記曲成されたパイプの上部及び側部を覆うように側面視で略直角三角形に形成された挟持部1aと、挟持部1aに対して挟持部1aから遠ざかる方向に延出するように形成された延出部1bと、により構成されている。従って、スペーサ1を側柵23に取り付けたときに、延出部1bにより、ヘッドボード21と側柵23との間の隙間(図11における領域A)及びフットボード22と側柵23との間の隙間(図11における領域C)を夫々狭めることができる。また、本実施形態のように、ベッド2が分割型の側柵23を有する場合においては、スペーサ1の延出部1bにより隣接する側柵23間の隙間(図11における領域B)を夫々狭めることができる。
【0024】
図2に示すように、各側柵用スペーサ1は、例えば、側柵23上部のコーナー部を挟み込むように対をなす第1部分11及び第2部分12と、第1部分11及び第2部分12同士を連結する連結部13とにより構成されている。第1部分11、第2部分12及び連結部13は例えばポリプロピレン等の樹脂により一体成形されており、図3に示すように、第1部分11と連結部13との境界、及び第2部分12と連結部13との境界は、夫々、その材質による適度な弾性及び良好な折り曲げ性により、自在に折曲可能に構成されている。第1部分11及び第2部分12は、夫々、側柵本体23bの転落防止面に平行な面となる挟持面を有し、側柵23に取り付けたときにこの挟持面同士が互いに対向する。また、各挟持面は、その外縁部の一部が略垂直に延出しており、この延出面同士が係合することにより、前記連結部13と共にスペーサ1の側面の一部を構成する。これにより、側柵用スペーサ1は、全体として殻状に構成されている。図2に示すように、例えば第1部分11又は第2部分12の一方の前記延出面には、係止爪11dが設けられ、他方には、係止爪11dと係合する係止孔11eが設けられており、係止爪11dと係止孔11eとが係合することにより、挟持部1aにより側柵23のコーナー部を包み込んでスペーサ1が側柵23に保持されるように構成されている。
【0025】
本実施形態においては、連結部13は、挟持部1aの略直角三角形の斜辺に相当する位置に設けられている。即ち、側柵用スペーサ1は、柵部本体23bの曲成されたパイプの内側の隙間に挿入され、第1部分11及び第2部分12と連結部13との夫々境界部分にて折曲されることにより、側柵23の内側からコーナー部を挟み込むように取り付けられ、側柵23に固定される。
【0026】
図2(b)に示すように、例えば第1部分11及び第2部分12の双方には、その挟持面の互いに向かい合わせになる内面に、複数本の隔壁11cが略垂直に立設されている。この隔壁11cは、側柵23のコーナー部の内側及び外側の形状に対応して設けられており、隔壁11c間の領域が側柵23のコーナー部を嵌合する凹部としてのガイド部11aとなる。このように、第1部分11及び第2部分12の双方にガイド部11aを設けることにより、ガイド11aの厚さを第1部分11及び第2部分12に分割することができ、図2(a)に示すように、スペーサ1の厚さを薄くすることができる。ガイド部11aの両端部は、第1部分11と第2部分とを係合させた状態で、スペーサ1の表面に開口しており、この開口部において、夫々側柵23の上部及び側部の直線部分が取り出される。本実施形態においては、図2(b)に示すガイド部11aとなる部分の寸法は、側柵23の上部及び側部の直線部分が取り出される部分の幅D1が、例えば側柵を構成するパイプの直径が19mmである場合に、その直径よりも数mm大きく、例えば19乃至21mmであり、側柵23のコーナー部分を保持する部分の幅D2は、パイプの直径よりも大きく、例えば30乃至35mmである。これらの余裕代は、側柵23を製造する際に、パイプの曲げ成形により生じる製造誤差を考慮したものである。
【0027】
図2及び図3に示すように、第1部分11及び第2部分12は、側柵23のコーナー部に対応する隔壁11cから長さLだけ延出しており、この部分が前述の延出部1bとなる。この延出部1bの延出長さLは、例えば42乃至52mmである。従来のベッド2においては、ヘッドボード21と側柵23との間の領域Aの隙間は、例えば49乃至53mmであり、フットボード22と側柵23との間の領域Cの隙間は、例えば49乃至92mmであり、分割型の側柵を有するベッドの側柵間の領域Bの隙間は、例えば60乃至70mmである。従って、延出部1bによりこの隙間を狭めることができる。なお、本発明において、前記隙間を狭めるのに十分な延出部1bの延出長さLとは、スペーサ設置後のベッドの各寸法が、少なくともJIS T9205及びJIS T9254の規定を満足するような長さであり、また、スペーサ1と他の部材(ヘッドボード21、フットボード22又は隣接する側柵に設置されたスペーサ1)との間に隙間が残る場合においても、例えばこの隙間間に直径60mmの剛性を有する円柱形状のジグを載置し、ジグに50Nの力を印加した際に、ジグが60mm以上入りこまないという条件を満足する。
【0028】
側柵用スペーサ1は、例えばヘッドボード21側、フットボード22側及び側柵間に取り付けられるものを同一の形状のものに統一して使用することができる。即ち、上記従来のベッド2においては、側柵23間の隙間は、ヘッドボード21と側柵23との間の隙間及びフットボード22と側柵23との間の隙間に比して小さい場合があるが、例えば図2(a)に示すように、延出部1bには、複数個の側柵を有するベッドに取り付けられた際に、隣接する延出部1b同士が干渉しないための凹部11bが設けられている。従って、図5に示すように、隣接する側柵間に対をなすように取り付けられたスペーサ1は、双方の延出部1bがその厚さ方向に互い違いで延出した状態で取り付けられる。
【0029】
次に、本実施形態の側柵用スペーサの動作について説明する。図4(a)乃至図4(c)は、本発明の第1実施形態に係る側柵用スペーサを側柵に取り付ける工程を示す図である。図4(a)に示すように、先ず、柵部本体23bのコーナー部に側柵用スペーサ1を近づけ、側柵用スペーサ1を柵部本体23bの曲成されたパイプの内側の隙間に挿入する。次に、図2(b)に示すように、第1部分11又は第2部分12の内面に形成された隔壁11c間のガイド部11aに側柵23のコーナー部を嵌合させる。このとき、ガイド部11aにおける側柵23の上部及び側部の直線部分が取り出される部分の幅D1、及びコーナー部分を保持する部分の幅D2は、側柵23の製造誤差を考慮した寸法であるため、ガイド部11aに側柵23を容易に嵌合することができ、ガイド部11aによりスペーサ1が確実に保持される。
【0030】
次に、第1部分及び第2部分12と連結部13との境界部を折り曲げていき、第1部分11の挟持面と第2部分12の挟持面同士を互いに向かい合わせていく。これにより、挟持面の外縁部から略垂直に延出した面同士が近づいていく。そして、この延出面の一方に設けられた係止爪11dを他方に設けられた係止孔11eに係合させる。これにより、図4(c)に示すように、第1部分11と第2部分12との間に側柵23上方のコーナー部分が包み込まれ、スペーサ1が側柵23の内側からコーナー部を挟み込むように取り付けられ、側柵23に固定される。
【0031】
ベッド2が分割型の複数個の側柵23を有する場合においては、隣接する側柵23の双方にもスペーサ1を取り付けて、側柵間の隙間をスペーサ1により狭める。従来のベッド2においては、側柵23間の隙間は、ヘッドボード21と側柵23との間の隙間及びフットボード22と側柵23との間の隙間に比して大きい場合、同等の場合、及び小さい場合がある。従って、側柵23のヘッドボード21側、フットボード22側及び他方の側柵23側に設置するスペーサ1を同一の形状に統一した場合、スペーサ1同士が干渉してしまう可能性もある。しかしながら、本実施形態においては、隣接する延出部1b同士が干渉しないように、延出部1bには凹部11bが設けられている。よって、図5(a)乃至(c)に示すように、側柵23間の隙間の大きさによらず、スペーサ1を1種類に統一して使用することができ、隣接する側柵23間の隙間もスペーサ1により確実に狭めることができる。
【0032】
以上のように、本実施形態の側柵用スペーサ1は、側柵23の上部と側部とにより構成されたコーナー部を挟み込むだけで取り付けることができ、側柵を変更したり、ベッドそのものを新しいものに変更しなくても、既存の側柵23に容易に取り付けることができる。
【0033】
また、本実施形態の側柵用スペーサ1は、ベッド2が分割型の複数個の側柵23を有する場合においては、側柵23の夫々に取り付けられる。よって、例えば側柵23をベッド2から取り外す必要がある場合には、スペーサ1を取り付けた状態で側柵23の夫々を取り外すことができ、取り扱いが容易である。
【0034】
そして、側柵23にスペーサ1を取り付けた状態で、スペーサ1の延出部1bは、側柵23の側部から長さLだけ外方に延出した状態となる。上述の如く、この延出長さLは、従来のヘッドボード21と側柵23との間の隙間、フットボード22と側柵23との間の隙間及び複数個の側柵間の隙間をなくすのに十分な長さであるか、又はスペーサ1と他の部材(ヘッドボード21、フットボード22又は隣接する側柵に設置されたスペーサ1)との間に隙間が残る場合においても、スペーサ1は、取り付け後のベッドの各寸法等がJIS T9205及びJIS T9254に規定された条件を満足するような形状及び材質で構成されている。よって、ボード及び側柵により形成される隙間への手足及び首等の挟み込みを防止し、ベッドの安全性を十分に確保することができる。
【0035】
側柵23とヘッドボード21との間の隙間と、側柵23とフットボード22との間の隙間の大きさが異なるベッドにおいては、スペーサ1の形状を1種類に統一した場合、いずれかの隙間が若干大きい場合がある。この場合においては、例えば側柵用スペーサ1に加えて、図1に示すような補助スペーサ3をヘッドボード21又はフットボード22の隙間が大きい側のボードに設置してもよい。
【0036】
なお、本実施形態の側柵用スペーサ1は、側柵23の上部及び側部のコーナー部分に保持されるように取り付けられるため、例えば図6に示す異なる形状の側柵231乃至233のように、側柵の高さが異なる場合においても、側柵の材料となるパイプの直径が同程度の太さであれば、いずれの側柵にも取り付けることができる。
【0037】
また、本実施形態においては、連結部13を挟持部1aの略直角三角形の斜辺に相当する位置に設けているが、このような態様のスペーサ1は、柵部本体23bの曲成されたパイプの内側に隙間が形成されている場合に使用することができる。本発明においては、この実施態様に限らず、例えば連結部13を設けずに、スペーサ1を1対の第1部分11及び第2部分12によって構成してもよい。また、例えば、図7(a)に示すように、連結部13は、側柵本体23bのコーナー部の上部に対応する位置に設けてもよく、図7(b)に示すように、コーナー部から隙間側に延出した延出部1bに設けてもよい。これにより、柵部本体23bの内側にスペーサ1を挿入する隙間がない場合、例えば板状の部材により側柵本体23bが構成されている場合においても、本発明の側柵用スペーサ1を設置することができる。また、本実施形態のように第1部分11及び第2部分12同士を連結部13により連結する場合においては、必ずしもこれらを一体成形により形成する必要はない。例えば、第1部分11及び第2部分12と夫々連結部13との間にヒンジ等の部材を設置してもよく、ヒンジそのものを連結部13として使用してもよい。
【0038】
更に、本実施形態においては、対をなす第1部分11及び第2部分12の少なくとも一方には、側柵23のコーナー部が嵌合する凹部としてのガイド部11aが設けられているが、側柵23へのスペーサ1の保持が確実にできる限り、ガイド部11aのような構成を設けなくてもよい。
【0039】
更にまた、本実施形態においては、複数個の側柵を有するベッドに取り付けられた際に、隣接する延出部1b同士が干渉しないための凹部11bが設けられているが、図5(a)に示すように、側柵23間の距離により隣接する延出部1b同士が干渉しない場合においては、スペーサ1には凹部11bが設けられていなくてもよい。
【0040】
更にまた、本実施形態においては、延出部1bは対をなす第1部分11及び第2部分12の双方に形成されているが、延出部1bは第1部分11及び第2部分12のいずれか一方に形成されていればよい。
【0041】
次に、本発明の第2実施形態に係る側柵用スペーサについて説明する。先ず、第2実施形態に係る側柵用スペーサの構成について説明する。図8(a)乃至図8(c)は、本発明の第2実施形態に係る側柵用スペーサを部材ごとに示す図であり、図8(a)は板状部材及びガイド部材、図8(b)は板状部材、図8(c)は袋状部材を示す。第1実施形態においては、側柵用スペーサ1は、側柵23上方のコーナー部分、即ち、柵部本体23bの前記曲成されたパイプの上部及び側部を覆うように構成されていたが、本実施形態においては、側柵用スペーサ1により、前記コーナー部を含む側柵23の隙間側の領域を覆う。
【0042】
本実施形態においては、図8に示すように、側柵用スペーサ10は、2枚の板状部材101と、この板状部材101の一方に固定された例えば発泡ポリエチレン製の若干柔軟性を有する複数個の樹脂部材102と、袋状部材103とにより構成されている。
【0043】
板状部材101は、例えばダンボールプラスチック製の板であり、側柵23の側部の高さよりも若干長く設けられている。一方の板状部材101に固定された複数個の樹脂部材102は、樹脂部材102間の溝が側柵23の隙間側のパイプの形状に対応していて、側柵23の隙間側の領域のうち、少なくともコーナー部を嵌合するガイド溝10aとなるように構成されている。このガイド溝10aは、図9に示すように、複数種類の側柵231乃至233の側部を夫々嵌合できるように形成されている。即ち、第1実施形態においては、第1部分11及び第2部分12の双方にガイド部11aとなる隔壁11cが形成されていたが、本実施形態においては、凹部としてのガイドは一方の挟持部に形成されている。
【0044】
本実施形態においては、これらの1対の板状部材101と樹脂部材102とにより側柵23の少なくともコーナー部を嵌合し、隙間側の領域を挟持した状態で、図8(c)に示すような袋状部材103により、板状部材101及び樹脂部材102の外側を覆うことにより、板状部材101及び樹脂部材102が側柵23に取り付けられた状態を保持するように構成されている。なお、本実施形態においても、板状部材101が側柵23から隙間側に延出する部分の長さ、即ち、ベッドの各部材(ヘッドボード、フットボード及び側柵)間の隙間を狭める部分の長さLについては、第1実施形態と同様である。
【0045】
次に、本第2実施形態の側柵用スペーサの動作について説明する。図10(a)及び図10(b)は、本発明の第2実施形態に係る側柵用スペーサを側柵に取り付ける工程を示す図である。本実施形態においては、先ず、樹脂部材102が固定された側の板状部材101を側柵23へと近づけていき、図10(a)に示すように、側柵23の隙間側の領域を樹脂部材102間に形成されたガイド溝10aに対応して嵌合させる。このとき、ガイド溝10aは、図9に示すように、複数種類の側柵の形状に対応して設けられているため、ガイド溝10a間に側柵23が容易に嵌合すると共に、ガイド溝10aにより、板状部材101及び樹脂部材102が側柵23に確実に保持される。本実施形態においては、第1実施形態の場合とは異なり、樹脂部材102が若干柔軟性を有する樹脂により構成されているため、ガイド溝10a間の寸法は、第1実施形態のような側柵23の製造誤差等を考慮しなくてもよく、若干締まり嵌めのような状態であっても、側柵を嵌合できる。
【0046】
ガイド溝10aに側柵23の隙間側の領域を嵌合したら、他方の板状部材101により、ガイド溝10aを覆う。これにより、樹脂部材102のガイド溝10a間に側柵23が嵌合した状態で、樹脂部材102及び側柵23が1対の板状部材101によって挟持された状態となる。この状態で、図10(b)に示すように、袋状部材103を板状部材101及び樹脂部材102の外側から被せる。これにより、板状部材101及び樹脂部材102が側柵23に取り付けられた状態が、袋状部材103により保持される。
【0047】
本実施形態の側柵用スペーサ10も、側柵23の隙間側の領域を板状部材101及び樹脂部材102により挟み込み、袋状部材103を被せるだけで取り付けることができ、側柵を変更したり、ベッドそのものを新しいものに変更しなくても、既存の側柵23に容易に取り付けることができる。また、その他の効果についても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0048】
なお、本実施形態においても、第1実施形態と同様に、複数個の側柵を有するベッドに取り付けられた際に、隣接する延出部同士が干渉しないための凹部を設けることができる。具体的には、例えば樹脂部材102が固定された側の板状部材101の大きさを設置する凹部の形状に合わせて小さくすると共に、樹脂部材102を凹部の形状に合わせて切り欠けばよい。これにより、第1実施形態と同様に、スペーサ1同士を干渉させることなく、側柵23のヘッドボード21側、フットボード22側及び他方の側柵23側に設置するスペーサ1を同一の形状に統一することができる。
【0049】
また、例えば本実施形態の側柵用スペーサ10と第1実施形態のスペーサ1とをベッドの各隙間の大きさ等により、使い分けることができる。例えば、図9に示すように、ヘッドボード及びフットボードと側柵との間の隙間を狭めるために第2実施形態のスペーサ10を使用し、側柵間の隙間を狭めるために第1実施形態のスペーサ1を使用してもよい。逆に、ヘッドボード及びフットボードと側柵との間の隙間を狭めるために第1実施形態のスペーサ1を使用し、側柵間の隙間を狭めるために第2実施形態のスペーサ10を使用してもよい。
【0050】
なお、上述の実施形態においては、ヘッドボード及びフットボードと側柵との間、並びに複数個の側柵間に手足及び首等を挿入しやすい隙間が形成されている場合について説明したが、言うまでもなく、例えば、いずれかの領域において隙間が小さい場合又は隙間が形成されていない場合においては、スペーサを設置しなくてもよい。
【符号の説明】
【0051】
1,10:(側柵用)スペーサ、1a:挟持部、1b:延出部、11:第1部分、12:第2部分、11a:ガイド部、11b:凹部、11c:隔壁、11d:係止爪、11e:係止孔、13:連結部、101:板状部材、102:樹脂部材(ガイド部材)、103:袋状部材、20:フレーム、21:ヘッドボード、22:フットボード、23,231,232,233:側柵、23a:支持用パイプ、23b:柵部本体、3:補助スペーサ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平のフレームと、このフレームの頭部側及び足部側の端部に固定された夫々ヘッドボード及びフットボードと、前記フレームの側部に取り付けられ前記ヘッドボード側及び前記フットボード側の上部に夫々端縁が湾曲するコーナー部を備えた側柵と、を有するベッドに使用される側柵用スペーサにおいて、前記コーナー部を挟み込み少なくとも一方の内面に前記コーナー部を嵌合する凹部としてのガイドが形成された1対の挟持部と、少なくとも一方の挟持部に対して前記挟持部から遠ざかる方向に延出するように形成された延出部と、を有することを特徴とする側柵用スペーサ。
【請求項2】
前記ベッドは、複数の側柵が前記フレームの側部に連なって取り付けられており、互いに隣接する側柵の一方に取り付けたスペーサの前記延出部と他方の側柵に取り付けたスペーサの前記延出部とにより、両側柵間に形成された隙間を狭めることを特徴とする請求項1に記載の側柵用スペーサ。
【請求項3】
前記隣接する側柵間に対をなすように取り付けられた前記スペーサは、双方の延出部がその厚さ方向に互い違いで延出していることを特徴とする請求項2に記載の側柵用スペーサ。
【請求項4】
前記ヘッドボード寄りの側柵の前記ヘッドボード側のコーナー部に取り付けられたスペーサは、その延出部により、側柵とヘッドボードとの間に形成された隙間を狭めることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の側柵用スペーサ。
【請求項5】
前記フットボード寄りの側柵の前記フットボード側のコーナー部に取り付けられたスペーサは、その延出部により、側柵とフットボードとの間に形成された隙間を狭めることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の側柵用スペーサ。
【請求項6】
前記ガイドは、前記1対の挟持部の双方の内面に形成されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の側柵用スペーサ。
【請求項1】
水平のフレームと、このフレームの頭部側及び足部側の端部に固定された夫々ヘッドボード及びフットボードと、前記フレームの側部に取り付けられ前記ヘッドボード側及び前記フットボード側の上部に夫々端縁が湾曲するコーナー部を備えた側柵と、を有するベッドに使用される側柵用スペーサにおいて、前記コーナー部を挟み込み少なくとも一方の内面に前記コーナー部を嵌合する凹部としてのガイドが形成された1対の挟持部と、少なくとも一方の挟持部に対して前記挟持部から遠ざかる方向に延出するように形成された延出部と、を有することを特徴とする側柵用スペーサ。
【請求項2】
前記ベッドは、複数の側柵が前記フレームの側部に連なって取り付けられており、互いに隣接する側柵の一方に取り付けたスペーサの前記延出部と他方の側柵に取り付けたスペーサの前記延出部とにより、両側柵間に形成された隙間を狭めることを特徴とする請求項1に記載の側柵用スペーサ。
【請求項3】
前記隣接する側柵間に対をなすように取り付けられた前記スペーサは、双方の延出部がその厚さ方向に互い違いで延出していることを特徴とする請求項2に記載の側柵用スペーサ。
【請求項4】
前記ヘッドボード寄りの側柵の前記ヘッドボード側のコーナー部に取り付けられたスペーサは、その延出部により、側柵とヘッドボードとの間に形成された隙間を狭めることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の側柵用スペーサ。
【請求項5】
前記フットボード寄りの側柵の前記フットボード側のコーナー部に取り付けられたスペーサは、その延出部により、側柵とフットボードとの間に形成された隙間を狭めることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の側柵用スペーサ。
【請求項6】
前記ガイドは、前記1対の挟持部の双方の内面に形成されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の側柵用スペーサ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−70963(P2012−70963A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−218371(P2010−218371)
【出願日】平成22年9月29日(2010.9.29)
【出願人】(390039985)パラマウントベッド株式会社 (165)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月29日(2010.9.29)
【出願人】(390039985)パラマウントベッド株式会社 (165)
【Fターム(参考)】
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